説明

メニューに識別性を付与してなるセルフオーダリング・システム

【課題】少ない端末台数で何ら不都合なく実現可能なオーダリング・システムを提供すること。
【解決手段】少なくとも、電気通信ネットワークを介して有線又は無線により接続された店舗サーバー及びクライアント端末と、当該クライアント端末に有線又は無線により接続されたコードリーダーと、当該コードリーダーにより読取可能な識別コードを表示したメニュー表を具備してなるセルフオーダリング・システムであって、識別コードは、当該識別コードの表示されたメニュー表を他のメニュー表から識別するための識別情報を含み、クライアント端末は、コードリーダーによって前記識別情報を読み取るとともに、同情報を前記店舗サーバーに送信し、店舗サーバーは、前記識別情報によって識別されるメニュー表ごとに入力された注文情報及び課金情報を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店を始めとする各種店舗において構築するセルフオーダリング・システムに関し、より詳しくは、来店客が手にするメニュー表の方に識別性を与えてなるセルフオーダリング・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店において行われている旧来の注文方法は、ウェイターが、来店客のテーブルまで赴いて当該客の所望する飲食物の種類と数量を聞き取り、これをメモ等した上で厨房に伝達して、その後出来上がった飲食物を厨房より当該客テーブルまで運んで行うというものであった。
【0003】
一方斯かる旧来の方法に対して、近時では、人員の削減や注文ミスの防止等さまざまな観点から、電気通信ネットワークに接続されたコンピューターを利用することによって注文を自動的に処理することができる、いわゆるセルフオーダリング・システムを導入した飲食店舗の増加を認めることができる。
【0004】
そして、このようなシステムとしては、提供する飲食物の各飲食物表示に対応してコードがドット印刷されたドット印刷メニューと、前記コードからドットを抽出・解析し数値としてシリアル信号で出力するペンデバイスと、該ペンデバイスから出力されたシリアル信号が入力され、注文情報を作成可能なモニター端末とを備え、前記モニター端末は、前記数値に関連付けて飲食物データが記録された記憶装置及び又は前記数値に関連付けて飲食物データが記録された記憶媒体から前記シリアル信号の数値に対応する飲食物データを読み出す手段と、該読み出した飲食物データに基づいて飲食物情報を表示する手段と、該表示された飲食物情報に対応する飲食物について注文情報を作成する手段と、該注文情報を外部に送信する手段とを備えたオーダリング・システムについての提案がなされており(特開2006-244183)、これによれば上記のようなメニュー表の作成を安価に行うことができるという利点があった。
【0005】
しかしながら、上記のシステムは、たとえば大型のテーブルに複数の無関係なグループが合い席をするような場合において、モニター端末機が各グループに少なくとも一台は行き渡るだけの台数を確保しておかなければ、見知らぬ客同士で当該モニター端末機を共有してもらう必要があるため、無自覚な客にあってはこれを長時間独占してしまうといった弊害が考えられるとともに、そもそも来店客の方に予め識別性を持たせておかない限り入力されたオーダーがどのグループによるものであるかを判別できないという大きな不具合があり、さらにコスト面でも問題を有するものであることは言うまでもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、少ない端末台数で何ら不都合なく実現可能なオーダリング・システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明セルフオーダリング・システムの構成は、少なくとも、電気通信ネットワークを介して有線又は無線により接続された店舗サーバー及びクライアント端末と、当該クライアント端末に有線又は無線により接続されたコードリーダーと、当該コードリーダーにより読取可能な識別コードを表示したメニュー表を具備してなるセルフオーダリング・システムであって、識別コードは、当該識別コードの表示されたメニュー表を他のメニュー表から識別するための識別情報を含み、クライアント端末は、コードリーダーによって前記識別情報を読み取るとともに、同情報を前記店舗サーバーに送信し、店舗サーバーは、前記識別情報によって識別されるメニュー表ごとに入力された注文情報及び課金情報を管理することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明セルフオーダリング・システムにおける識別情報は、店舗内に備わる各客席に付与された客席番号に対応するように構成することも任意である。
【0009】
また、本発明セルフオーダリング・システムにおいて、前記識別コードはドットコードを有するものとして構成されるのが望ましい。
【0010】
さらに、本発明セルフオーダリング・システムを構成するコードリーダーは、ペン形状を有する本体の先端部に小型カメラを搭載してなるものとすることができる。
【0011】
しかも、本発明セルフオーダリング・システムは、電気通信ネットワークを介して有線又は無線により前記店舗サーバーと接続され、当該店舗サーバーに対して前記メニュー表の掲載内容に係るデータを配信する運用サーバーをさらに具備してなるものとすることが可能である。
【0012】
また、上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明セルフオーダリング方法の構成は、少なくとも、電気通信ネットワークを介して有線又は無線により接続された店舗サーバー及びクライアント端末と、当該クライアント端末に有線又は無線により接続されたコードリーダーと、当該コードリーダーにより読取可能な識別コードを表示したメニュー表を備えてなる飲食店等の店舗において行うセルフオーダリング方法であって、メニュー表に表示された識別コードに含まれる識別情報をコードリーダーが読み取る段階と、前記識別情報をクライアント端末が店舗サーバーへ送信する段階と、前記店舗サーバーがクライアント端末へ入力された注文情報及び課金情報を前記識別情報によって識別されたメニュー表ごとに管理する段階を備えてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、メニュー表自体が識別性を有しているので、これを手渡された来店客が自己のメニュー表からクライアント端末に接続されたコードリーダーを用いて識別情報や注文に係る情報などを読み取り同情報を店舗サーバーへ送信するだけで、該店舗サーバーは、受信した前記識別情報に基づきこれが付されたメニュー表ごとに、すなわち同メニュー表を手にしている来店客ごとに、注文情報、課金情報、精算情報、更には配膳状況に係る情報なども個別管理することができるようになり、割り勘など精算を容易に実現できる。
【0014】
しかも、本発明セルフオーダリング・システムにおいて、店舗側はクライアント端末を増設する必要が一切なく、かつメニュー表は簡単かつ安価に作成することができるので、使用中などにメニュー表を破損してしまったとしても、クライアント端末の増設に比べればコスト的な面では殆ど問題とならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明セルフオーダリング・システムの構成の一例を模式化したブロック図
【図2】本発明セルフオーダリング・システムにおけるメニュー表及びクライアント端末をメニュー表立てに収納した状態の一例を示す斜視図
【図3】本発明セルフオーダリング・システムにおけるメニュー表及びクライアント端末をメニュー表立てに収納した状態の一例を示す斜視図
【図4】本発明セルフオーダリング・システムにおけるコードリーダーの使用態様例を示す斜視図
【0016】
本発明セルフオーダリング・システムの実施の形態例について、図面を参照しつつ、以下に説明する。
【0017】
図1において、1は本発明セルフオーダリング・システムであって、店舗Rの内部に構築したLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)に接続された店舗サーバーRS、クライアント端末CL及びPOSシステム対応のレジRGと、このクライアント端末CLに接続されたコードリーダーCRと、(図示しない)識別コードIDを印刷したメニュー表MNを具備し、本実施例においては、インターネットを介して店舗サーバーRSに接続された運用サーバーOS及び保守サーバーSSを更に有してなるものである。
【0018】
識別コードIDは、赤外線を吸収する目に見えない特殊インク(たとえばステルスインクなど)により印刷されたドットコードを有してなり、これには当該識別コードIDの表示されたメニュー表MNを他のメニュー表MNから識別するための識別情報IFが含まれている。
【0019】
コードリーダーCRは、ペン形状を有する本体ボディCRbの先端部にCMOSイメージセンサーを備え、さらに本体CRbの内部にはコード解析用CPUが搭載されているので、読み取った識別コードIDをコードリーダーCRの側で解析して、当該識別コードIDに含まれる識別情報IFのみをクライアント端末CLに出力することができる。
【0020】
なお、コードリーダーCRは、光源が赤外線LED、読取角度が全方向35度、撮影速度が毎秒30回、マルチプラットフォーム対応タイプに設計されており、具体的な製品名としてはグリッドマーク社製の「グリッドスキャナー」などが好適である。
【0021】
クライアント端末CLは、図2に示すとおり、前面に操作用タッチパネル・ディスプレイCLdを備え、側面には前記コードリーダーCRが有線接続されており、該コードリーダーCRにおいて解析された識別情報IFを受け取ることができるようになっている。
【0022】
さらに、クライアント端末CLは、無線ターミナルATを経由して店舗サーバーRSと情報を送受信するための送信部及び受信部を具備している。
【0023】
店舗サーバーRSは、POSシステム対応のレジスターRGと接続されるとともに、一方ではルーターRTを介してインターネットにアクセス可能である。
【0024】
前記ルーターRTは、インターネットを介して、さらに運用サーバーOS及び保守サーバーSSと接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
はじめに来店客Gは、店舗Rに入店するに際して、識別コードIDをドット印刷されたメニュー表MNを一人に一枚ずつ手渡される。
【0026】
この識別コードIDには、店舗Rに備わる客席Rsごとに付与された客席番号Rnに対応する識別情報IFが含まれており、これによって店舗R内にいる客Gについてはすべてメニュー表MNごとに個別に識別することができる(なお、メニュー表MNではなく、これを封入する例えばクリア・ファイル等に識別コードIDを印刷して各メニュー表MNに識別性を付与してもよい。斯かる構成に拠れば、メニュー表MN自体は同一のものを使用できるので、印刷等より容易に行うことができることになる。)。
【0027】
入店後、例えば「12卓」という客席番号に案内される客Gの場合、当該客Gに手渡されるメニュー表MNには「12卓」を意味する識別情報IFを含む識別コードIDが表示されているため、これをクライアント端末CLに接続されたコードリーダーCRの先端部に備わるCMOSイメージセンサーから読み取り、続いて所望のメニュー表示部分にドット印刷されたメニューや数量などに対応する商品コードその他各種コードを読み取ることによって、ファーストオーダーを行うことができる(ここで、各種メニュー情報(飲食物の名称、価格、写真画像、及びこれらに付された商品コードに関する情報)は、各々が紐付けられて管理・格納されているため、客Gは従来通り、メニュー表MNに表示された飲食物の画像をコードリーダーCRにより指示するだけで、ファーストオーダーを行うことができるとともに、既存のPOSシステムとも連携するよう構成することも可能である)。
【0028】
ファーストオーダーはクライアント端末CLの送信部から店舗サーバーRSに送られ、ここで客Gのチェック・インが行われることとなる。
【0029】
店舗サーバーRSにおいては、クライアント端末CLから受信した識別情報IFによって間接的に客Gごとの注文状況、課金状況、決済状況などに関する情報を格納しており、これらを店舗サーバーRS内の任意の記憶領域RSmにおいて蓄積しながら管理している。
【0030】
この結果、クライアント端末CLの台数が少ない場合であってもこれを増設することなく、簡易かつ確実に、客Gごとの個別管理を行うことができるようになる。
【0031】
特に、一つのテーブルRtに対して複数の客Gが着席する場合などにあっては、たとえば図2に示すように、テーブルRtの中央に設置したターンテーブル上にクライアント端末CLを載置して、「12卓」「13卓」「14卓」「15卓」とそれぞれに識別されたメニュー表MNを手にする客Gが、当該ターンテーブルを囲むように着席するなどして、上述の方法により各自チェック・インないしファーストオーダーを行うことによって個別の情報管理が行われ、割り勘などの精算をきわめて簡易迅速に処理することができるので好適である。
【0032】
オーダーに関する情報は、クライアント端末CLから店舗サーバーRSに送信されると共に、LANを介して同店舗サーバーRSに接続された(図示しない)キッチン・サーバーKSにも送信される。
【0033】
送信された客Gのオーダー情報は、キッチン・サーバーKSに接続されたキッチン・プリンターKPから出力され、厨房Kへと伝達される。無論キッチン・プリンターKPによる出力の替わりに適宜のディスプレイ装置を用いて、これに当該情報を表示することによって、伝達するように構成することなどは任意である。
【0034】
厨房Kにおいて飲食物提供の準備が整えば、たとえば厨房内の者がキッチン・サーバーKSに対して配膳準備完了の入力を行い、斯かる情報が店舗R内のウェイターに適宜の方法(モニター表示や携帯端末機器への通信など)で伝えられ、これを知ったウェイターが飲食物をテーブルRtまで配膳する。
【0035】
一方、上記の配膳状況に係る情報は店舗サーバーRSの前記記憶領域において各メニュー表MNごとに管理されることになるため、該店舗サーバーRSからクライアント端末CLへ上記の配膳状況に係る情報が配信され、又は該クライアント端末CLからの要求に応じて送信され、客Gは自己の注文した飲食物等の調理状況ないし配膳状況について把握することができる。
【0036】
なお、飲食の途中で席を移動するような場合には、客Gは自己のメニュー表MNを携えて移動するのが最も合理的かつ効率的である。
【0037】
尤も、新たな席でこれに対応するメニュー表MNを新たに手渡し、店舗サーバーRSにおいて、移動前の情報と移動後の情報とを統合して管理できるよう構成することも任意である。
【0038】
飲食後において客Gは、自己の保有するメニュー表MNをレジRGに持って行き、レジ担当者はこれに基づきレジRGから店舗サーバーRSに格納された課金情報等を参照し、決済を行う。
【0039】
このとき、課金情報は各メニュー表MNごとに管理され、これにより間接的には客Gごとに管理することになっているため、自己の飲食に係る分だけ支払うなど、各種の精算に際してきわめて好適である。
【0040】
レジRGは前述のとおりPOS機能を備えているので、注文情報等についてPOSで処理された後に当該客Gはチェック・アウトされる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は以上のとおりであって、メニュー表自体が識別性を有しているので、これを手渡された来店客が自己のメニュー表からクライアント端末に接続されたコードリーダーを用いて識別情報や注文に係る情報などを読み取り同情報を店舗サーバーへ送信するだけで、該店舗サーバーは、受信した前記識別情報に基づきこれが付されたメニュー表ごとに、すなわち同メニュー表を手にしている来店客ごとに、注文情報、課金情報、精算情報、更には配膳状況に係る情報なども個別管理することができるようになり、割り勘など精算を容易に実現でき、しかも、店舗側はクライアント端末を増設する必要が一切なく、かつメニュー表は簡単かつ安価に作成することができるので、使用中などにメニュー表を破損してしまったとしても、クライアント端末の増設に比べればコスト的な面では殆ど問題とならないといった効果を有するので、セルフオーダリング・システムに適用してきわめて有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 本発明セルフオーダリング・システム
R 店舗
RS 店舗サーバー
RT ルーター
RG レジ
AT 無線ターミナル
CL クライアント端末
MN メニュー表
OS 運用サーバー
SS 保守サーバー
MS メニュー立て


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、電気通信ネットワークを介して有線又は無線により接続された店舗サーバー及びクライアント端末と、当該クライアント端末に有線又は無線により接続されたコードリーダーと、当該コードリーダーにより読取可能な識別コードを表示したメニュー表を具備してなるセルフオーダリング・システムであって、
識別コードは、当該識別コードの表示されたメニュー表を他のメニュー表から識別するための識別情報を含み、
クライアント端末は、コードリーダーによって前記識別情報を読み取るとともに、同情報を前記店舗サーバーに送信し、
店舗サーバーは、前記識別情報によって識別されるメニュー表ごとに入力された注文情報及び課金情報を管理することができるようにしたことを特徴とするセルフオーダリング・システム。
【請求項2】
前記識別情報は、店舗内に備わる各客席に付与された客席番号に対応している請求項1のセルフオーダリング・システム。
【請求項3】
前記識別コードは、ドットコードを有してなる請求項1又は2のセルフオーダリング・システム。
【請求項4】
前記コードリーダーは、ペン形状を有する本体の先端部に小型カメラを搭載した請求項1〜3のいずれかのセルフオーダリング・システム。
【請求項5】
電気通信ネットワークを介して有線又は無線により前記店舗サーバーと接続され、当該店舗サーバーに対して前記メニュー表の掲載内容に係るデータを配信する運用サーバーを具備してなる請求項1〜4のいずれかのセルフオーダリング・システム。
【請求項6】
少なくとも、電気通信ネットワークを介して有線又は無線により接続された店舗サーバー及びクライアント端末と、当該クライアント端末に有線又は無線により接続されたコードリーダーと、当該コードリーダーにより読取可能な識別コードを表示したメニュー表を備えてなる飲食店等の店舗において行うセルフオーダリング方法であって、
メニュー表に表示された識別コードに含まれる識別情報をコードリーダーが読み取る段階と、
前記識別情報をクライアント端末が店舗サーバーへ送信する段階と、
前記店舗サーバーがクライアント端末へ入力された注文情報及び課金情報を前記識別情報によって識別されたメニュー表ごとに管理する段階を備えてなることを特徴とするセルフオーダリング方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−59773(P2011−59773A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205860(P2009−205860)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(501383831)アスカティースリー株式会社 (3)