説明

メマンチン又はネラメキサンの直接圧縮によって製造された、飲用に適した即効型錠剤

本発明は、1-アミノシクロヘキサン類, 好ましくはメマンチン又はネラメキサン, 及び場合により薬学的に許容し得る コーティングを含む即効型経口固形投薬形において, その有効成分が用量比例性を示し、そして適用環境に上記投薬形を投与した後のほぼ 最初の60分以内に約 80 %より大きい溶出割合で放出される、上記投薬形によって関する。この投薬形は直接圧縮され、そして約 3〜 約 40 Kpの範囲内の硬度を示し、約2〜約8 時間の範囲内に平均Tmax を約2.5〜約 150 mgの範囲内の有効成分量と共に示す。この製剤は、 Tmaxの安定した平均範囲を維持しながら、1日1回又は1日2回服用に対する用量比例配合を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年6月17日に出願された米国仮出願番号第60/581,244号、及び2004年12月16日に出願された米国仮出願番号第60/636,899 号に基づき、米国特許法119条に元づく優先権を主張し、これらの双方はその全部を参考としてここに組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、即効型プロフィールを示し、有利な安定性プロフィールを有し、そして更に水溶液中で急速に崩壊する1-アミノシクロヘキサン化合物の調合物の薬物用経口固形投薬形を対象とする。本発明は、治療上有効な量の有効成分が投与直後の適用環境で提供される、1-アミノシクロヘキサン化合物の薬物固形投薬形に特に適する。この調合物を、経口水溶液として投与するための分散錠剤として提供することができる。 1つの実施態様において, 有効成分は好ましくは1-アミノシクロヘキサン, メマンチンである。もう一つの好ましい実施態様において1-アミノシクロヘキサンはネラメキサンである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
1-アミノシクロヘキサン類, たとえばメマンチン (1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン)及びネラメキサン (1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン), は、強い電圧依存性及び速い遮断/非遮断動力学を有する、中等度の親和性の, 非競合NMDA 受容体アンタゴニスト である。したがって1-アミノシクロヘキサン化合物, より好ましくは メマンチン HCl (1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン塩酸塩)及びネラメキサンメシラート (1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサンメシラート)の経口固形製剤に対して、現行の絶え間ない、技術的要求がある。
【0004】
経口固形医薬調合物又は調製物は、種々の放出プロフィール、たとえばFDA ガイドライン (非特許文献1)によって言及されているような即効型プロフィール、又はFDA ガイドライン(非特許文献2)に言及されているような徐放プロフィールを有する。即効型プロフィールに関する溶出試験ガイドラインにおいて,最初の30〜60分で少なくとも80%を溶液中に溶出する材料は、即効型プロフィールとして適する。したがって, 即効型固形投薬形は、ほとんど又はすべての有効成分の放出を短時間で, たとえば60分以下で可能にし, そして薬物の急速な吸収を可能にさせる。これとは対照的に, 徐放性経口固形投薬形は、有効成分の放出を長時間かけて可能にする。これは同様に長時間にわたって治療上有効な血漿中濃度を維持し、服薬遵守(dosing compliance)を改善し,及び(又は) 有効成分のその他の薬物動態性質を変えることによって可能である。
【0005】
特許文献1の発明は、持続性二相放出プロフィールを示す、メマンチンを含む固体薬物投薬形によって薬物の一部が直ちに放出され、ついで残りが徐放されることを提供する。この製剤のマトリックスは、カゼインの水溶性及び水不溶性塩の双方, 好ましくはカゼインナトリウム及びカルシウムを含む。しかし, カゼインは不快な味を有する。これは特許文献2に記載されているように、いくつかの副作用を深刻化させる望ましくない作用と関係し、そしてpH変動の不安定性を示す。 カゼインに関する別の懸念は、牛海綿状脳症 (BSE) 汚染 又は別の感染物質の伝播である。というのはカゼインが動物由来の生成物であるからである。
【0006】
徐放性(徐放性) N-メチル-D-アスパラギン酸 (NMDA) 受容体アンタゴニストを製造する一般方法は、特許文献3に記載されている。この方法は、即時放出成分、及び徐放性成分を製造し、最終製剤に到達することを含む。この特許に、有機溶剤をベースとする系によって予めカプセル封入されたビーズより成る製剤が開示されている。しかし, この特許に、メマンチン又はネラメキサンを含む調合物が具体的に開示されていない。この特許に、また放出割合がどのように Tmax (最大血漿中濃度までの時間) に影響を与えるか又はこの処理が用量比例製剤(dose proportional formulation)もたらすことは教示されていない。
【0007】
近年, 一日2回のメマチン投薬計画が、非用量比例即効型錠剤を用いて行われている。ヒトに経口投与後, メマンチンが完全に吸収される(約100%の絶対的バイオアベイラビリティ)。 10〜40 mgのメマンチンの経口投与後の最大血漿中濃度(Tmax)までの時間は3から7時間に及び, 一方1回分20 mg の経口投与後のピーク血漿中濃度 (Cmax)は22 から46 ng/mLに及ぶ。メマンチンのAUC 及びCmax 値は、5〜40mgの投薬量範囲にわたる投薬量と比例して増加する。メマンチンの消失半減期はおよそ 60-80時間である。
【0008】
即効型製剤で容易に達成される、用量比例メマンチン製剤が必要である。即効型用量比例製剤の利点は、投与されるのに必要である錠剤の数を増加させることなく、薬用量の増加を可能にすることで投薬がより容易になり、そして対象薬物を複数の低力価製剤として又は1つの高力価製剤としての投与を可能にすることで薬物投与にますます融通性をもたせることを含む。極めて可溶性の、そして極めて浸透性薬物の用量比例製剤のもう一つの利点、特にそのメマンチン及びネラメキサン製剤の利点は,複数力価, たとえば10 mg対80 mgのバイオアベイラビリティが米国保健福祉省、食品薬物品投与局のガイドライン, “Waiver of In Vivo Bioavailability and Bioequivalence Studies for Immediate-Release Solid oral Dosage Forms Based on a Biopharmaceutics Classification System”,によれば同一であるとみなされていることである。増加する薬物服用量の投与は、しばしば所望の治療薬用量に対する漸増(up-titration)投薬計画の一部として必要である。というのはこのような投薬計画が改善された耐容性(tolerability)をもたらすからである。実際, アルツハイマー病の治療にメマンチンを使用する最近のガイドラインは、メマンチンを一日あたり 開始用量5 mgとして投与し、そして 毎週5mgの用量増加によって一日あたり20 mgの用量に段階的に増加させることを薦めている。用量比例製剤は、疾患, たとえば神経障害性苦痛(これはより高い薬用量への漸増を要求する)の治療に特に重要である。したがって2.5 mgから80 mg に及ぶメマンチンの種々の力価を有する用量比例即効型製剤の存在は、漸増段階中でも、比較的高い治療用量レベルでの維持中でも、投薬を容易に、そして簡便にすることができる。
【特許文献1】米国特許第 5,382,601号明細書
【特許文献2】米国特許第 6,413,556号明細書
【特許文献3】米国特許第6,194,000号明細書
【非特許文献1】“Dissolution Testing of Immediate Release Solid 経口 Dosage Forms”, issued 8/1997, Section IV-A
【非特許文献2】“Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations”, Food and Drug Administration, CDER, September 1997, Page 17
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の要旨
本発明のよれば, 本発明者は、1-アミノシクロヘキサン類, たとえばメマンチン (1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン) 及びネラメキサン (1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン), 及びそれらの塩(その塩酸塩, 臭化水素酸塩, メシラート塩並びにその他の薬学的に許容し得る塩を含む)が, 用量比例バイオアベイラビリティ及び有利な安定性プロフィールを有する即効型投薬形に製剤化され、そこで投薬形は好ましくは急速に崩壊することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の製剤は、1-アミノシクロヘキサン類, たとえばメマンチン (1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン) 及びネラメキサン (1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン), 場合により薬学的に許容し得るコーティング、及び1種以上の賦形剤を含む、一回分経口投薬形で, 好ましくは一日1回投与される。あるいはこの投薬形を一日2回, 各投与間隔約4〜約8時間で投与することができる。好ましくはこの投薬形は分散型錠剤(a dispersed tablet)又は分散型錠剤の水溶液である。
【0011】
具体的に, 本発明は有効物質, たとえばメマンチン又はネラメキサンを、適用環境にこの投薬形を投与して最初の 60 分以内に約 80%以上の割合で直ちに放出する投薬形を提供する。好ましくは, この投薬形は最初の30分, より好ましくは, 最初の15分以内に放出してこの量に達する。
【0012】
本発明において, メマンチンを含む投薬形に対するTmax は、適用環境にこの投薬形を投与して、平均して約3時間〜約7時間の期間で達成される。好ましくは, 期間は平均して約4時間〜約6時間である。ネラメキサンを含む投薬形に対するTmax は、適用環境にこの投薬形を投与して、平均して約2時間〜約8時間の期間で達成される。好ましくは, 期間は平均して約3〜約8時間である。
【0013】
有効成分がメマンチン塩酸塩である特定の実施態様において, 本発明の有効成分は常に約2% w/wから約20% w/wに及ぶ量で存在する。好ましくは, この量は投薬形全体の重量に対して約 3.2 % w/wから約10 %w/w, より好ましくは約 3.9 % w/wから約 8.4 % w/wに及ぶ。
【0014】
有効成分がネラメキサンメシラートである特定の実施態様において, 本発明の有効成分は常に約2%w/wから約50%w/wに及ぶ量で存在する。好ましくは, この量は約2 % w/wから約 40 % w/w, より好ましくは約 3 % w/wから約25 % w/wに及ぶ。
【0015】
本発明において, 好ましくは任意の薬学的に許容し得るコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース, たとえばOpadry(登録商標)(Colorcon, West Point, PA) 又はSepifilm (登録商標) (Seppic, NJ) を約2%w/w〜約 7%w/w, 好ましくは約2%w/w〜約5%w/wに及ぶ量で含む。
【0016】
適切な実施態様において, この製剤は増量剤、たとえばデンプン及びデンプン誘導体, 水和糖アルコール, リン酸カルシウム, 及びセルロースをベースとする賦形剤及びそれらの誘導体を含む。
【0017】
本発明の経口投薬形は1種以上の薬学的に許容し得るキャリヤー, 賦形剤, 抗スティッキング剤, 安定剤, 結合剤, 着色剤, 崩壊剤, 流動促進剤及び滑剤を更に含む。
【0018】
本発明の別の実施態様において, 投薬形は、室温で36ヶ月間の保存で、3.0 % w/wより少ない, 好ましくは2.5%w/wより少ないラクトース付加物を形成する、安定性が改善された賦形剤を含む。本発明は、予想された付加物形成反応でないラクトース付加物形成を見出した。当業者は付加物, たとえばラクトース付加物が1-アミノシクロヘキサン同族体有効成分とラクトース賦形剤とのメイラード反応によって形成されることを承知している。
【0019】
1つの実施態様において, 投薬形は約10% w/wから約 35 % w/w、好ましくは約18%w/wから約22%w/wに及ぶ量で存在する増量剤の微晶質セルロースを含み, この際調合物は付加的にラクトース一水和物を含む。このような投薬形は、3%よりすくない付加物形成を36ヶ月後に示す。ラクトース(又はあらゆるその他の還元剤)が存在しない別の実施態様において, 微晶質セルロース増量剤は約20% w/wから約 95 % w/wに及ぶ量で, 好ましくは約 60% w/wから約 90 % w/wに及ぶ量で存在する。このような投薬形は、0.5 %より少ない付加物形成を36ヶ月後に示す。
【0020】
本発明の別の実施態様において, 投薬形は滑剤ステアリン酸マグネシウムを含み, これは約 0 %から約2%w/wに及ぶ量で, 好ましくは約 0.2 % から約 0.5 % w/wに及ぶ量で存在する。
【0021】
別の実施態様において, 投薬形は製剤の崩壊を支援する賦形剤を含む。この賦形剤は、約 0.2から10 % w/wに及ぶ量で、デンプンベース又はその誘導体ベース, セルロースベース又はその誘導体ベース, ピロリドンベース又はその誘導体ベースであることができる。
【0022】
好ましい実施態様において, 調合物は錠剤形にある。錠剤形は約 3〜約 40 Kpの硬度を有する。硬度が約 4〜約 30Kpであるのが好ましい。当業者は、錠剤の硬度が錠剤の形及び大きさにも関係すると承知している。
【0023】
図面の簡単な説明
図1は、投与から経過する時間(h:時間)と共に、若い健康な男性及び女性対象者において、本発明の10 mg メマンチン HCl 即効型錠剤2個の4時間間隔の投与(黒丸)後、メマンチンの平均血漿中濃度 (ng/mL)のプロットである。 2個の徐放性錠剤 (白丸及び逆三角形)の結果もプロットで示される。
【0024】
図2は、投与から経過する時間(時間)に対する若い健康な男性及び女性対象者において、10 mg メマンチン HCl 即効型錠剤2個 の4時間間隔の投与 (治療A, 30 分放出) (黒丸), 又は徐放性錠剤 (治療B及びC, 6時間及び12時間放出) 錠剤 (白丸及び逆三角形)の投与後, メマンチンの平均血漿中濃度 (ng/mL)の対数のプロットである。
【0025】
図3は、投与後最初の24時間の時間(時間)に対する若い健康な男性及び女性対象者において、本発明の10 mg メマンチン HCl 即効型錠剤2個の4時間間隔の投与(治療A) (黒丸)又はHPMCを含むマトリックス形態を用いて製造された徐放性錠剤の投与(治療B及びC) (白丸及び逆三角形) 後、メマンチンの平均血漿中濃度 (ng/mL)のプロットである。
【0026】
図 4 は5 mg メマンチン HCl 錠剤の溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【0027】
図 5 は10 mg メマンチン HCl 錠剤の溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【0028】
図 6 は15 mg メマンチン HCl 錠剤の溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【0029】
図 7a は20 mg メマンチン HCl 錠剤, ロットAの溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【0030】
図 7b は20 mg メマンチン HCl 錠剤, ロットBの溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【0031】
図 8 は80 mg メマンチン HCl 錠剤の溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【0032】
図 9 は、投与からの時間(分)に対する、メマンチンと微晶質セルロース (すなわちラクトース不含) 錠剤の溶出をプロットする。この際 メマンチン力価5 mgでProsolv(登録商標) (微晶質セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の混合物)を用いて、及びメマンチン力価20 mgで Avicel (登録商標) (微晶質セルロース)を用いて形成された錠剤を使用した。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明によれば、即効型医薬調合物が1-アミノシクロヘキサン類, 好ましくはメマンチン又はネラメキサン, 又はその薬学的に許容し得る塩をヒト又は動物対象者に投与することを提供し、この際この調合物は経口固形投薬形を、好ましくは錠剤形で含む。
【0034】
本発明において, 医薬調合物は、治療上有効な量の1-アミノシクロヘキサン, 好ましくはメマンチン (遊離塩基)又はネラメキサン (遊離塩基), 又はその薬学的に許容し得る塩, 好ましくはそのHCl塩及び場合により薬学的に許容し得るコーティング, 並びに場合により1種以上のキャリヤー, 増量剤, 抗スティッキング剤, 賦形剤, 安定化剤, 結合剤, 着色剤, 崩壊剤, 流動促進剤及び滑剤 (すべて薬学的に許容し得る)を含む。
【0035】
メマンチン (1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン) 及びネラメキサン (1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン)は、1-アミノ-シクロヘキサンの同族体とみなすことができ (たとえば米国特許第4,122,193号; 第4,273,774号;第 5,061,703号明細書に記載されている), そして受容体に低い〜中等度の親和性、及び強い電圧依存性及び速い遮断/非遮断動力学を有する、系統的に活性な非競合 NMDA 受容体アンタゴニストである。これらの薬理学的特徴は、メマンチン及びネラメキサンに病的状態下で受容体の持続的活性化を遮断させ、そしてNMDAチャネルをそのチャネルの正常の生理学的活性化中に急速に解離させる。メマンチン及びその塩 (たとえばそのHCl塩, MW 215.77) は、CNS 疾患、たとえばアルツハイマー病の治療に用いられる。メマンチンは、米国でアルツハイマー病の治療に許可され、そして現在米国以外でアルツハイマー病及びパーキンソン病用経口製剤として許可され、1982年以来市場で入手される。現在、神経障害性苦痛の治療に関して調査している。
【0036】
NMDA-アンタゴニスト活性を有する本発明の1-アミノシクロヘキサン化合物は、一般式(I):
【0037】
【化1】

【0038】
(I)
{式中、
R* は-(A)n-(CR1R2)m-NR3R4であり、
n+m = 0, 1又は2,
A は線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6),線状又は分枝状低級アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれ,
R1 及び R2 は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級アルキニル(C2-C6) アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれ,
R3 及び R4 は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル(C1-C6), 線状又は分枝状低級アルケニル(C2-C6), 及び線状又は分枝状低級アルキニル(C2-C6)より成る群から選ばれるか、又は一緒になってアルキレン (C2-C10) 又は アルケニレン (C2-C10)を形成するか又はNと一緒になって3-7-員のアザシクロアルカン又はアザシクロアルケン[置換された(アルキル (C1-C6), アルケニル (C2-C6)) 3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケンを含む]を形成するか、あるいは
独立して R3 又は R4 はRp, Rq, Rr, 又は Rs と一緒になって、アルキレン鎖 -CH(R6)-(CH2)t- (式中、t= 0 又は 1)を形成することができ、そして アルキレン鎖の左側はU又はYに結合し、そしてアルキレン鎖の右側は N に結合し、そしてR6 は水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級アルキニル (C2-C6), アリール, 置換されたアリール及びアリールアルキルより成る群から選ばれるか、あるいは
独立してR3 又は R4 はR5 と一緒になって式 -CH2-CH2-CH2-(CH2)t- で表わされるアルキレン鎖又は式-CH=CH-CH2-(CH2)t-, -CH=C=CH-(CH2)t- 又は -CH2-CH=CH-(CH2)t-, (式中、 t= 0 又は 1)で表わされるアルケニレン鎖を形成することができ, そしてアルキレン鎖又はアルケニレン鎖の左側は Wに結合し、そして アルキレン環の側は Nに結合し、
R5 は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又はR5 はこれが結合する炭素及び隣の隣接する環炭素と一緒になって二重結合を形成し、
Rp, Rq, Rr 及びRs は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), シクロアルキル (C3-C6) 及び アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれか、 又は Rp, Rq, Rr及び Rs は独立してこれが結合するU 又はYと一緒になって二重結合を形成することができるか、又は Rp, Rq, Rr及びRs は一緒になって低級アルキレン -(CH2)x- 又は低級アルケニレン架橋 (式中、 x は2-5である。)を示すことができ、 このアルキレン架橋はついで R5 と一緒になって別の低級アルキレン -(CH2)y- 又は低級アルケニレン架橋(式中、y は1-3である。)を形成することができ、そして
U-V-W-X-Y-Zによって定義される環は、場合により飽和されていないシクロヘキサン環を示し、この際U, W及びY は炭素原子を示し、そしてV, X及び Zはそれぞれ独立して炭素原子、 CH又はCH2を示すか (又は一方の U, W及び Y、そして他方のV, X 及び Z の定義をR 基 R*, R5, Rp, Rq, Rr及びRsの対応する配置を含めて入れ換えることができる) -------これは環原子の原子価要求が顧慮されることを意味する。}
で表わされ、そして式(I)で表わされる化合物の光学異性体, ジアステレオマー, 多形体, 対掌体, 水和物, 薬学的に許容し得る塩及びその混合物を含む。
【0039】
U-V-W-X-Y-Z によって定義された環は、シクロヘキサン, シクロヘキシ-2-エン, シクロヘキシ-3-エン, シクロヘキシ-1,4-ジエン, シクロヘキシ-1,5-ジエン, シクロヘキシ-2,4-ジエン, 及び シクロヘキシ-2,5-ジエンより成る群から選ばれるのが好ましい。
【0040】
式Iで表わされる化合物はアダマンチル物質であることができる。
【0041】
本発明にしたがって使用される1-アミノシクロヘキサン化合物の限定されない例は、
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1(トランス),3(トランス),5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1(シス),3(シス),5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン (ネラメキサン),
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-シス-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1S,5S)シス-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-トランス-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1R,5S)トランス-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチル-シクロヘキサン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル) ピロリジン,
3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルメチルアミン,
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1 アミノ-1,3,3,5(トランス)-テトラメチルシクロヘキサン (アキシャル アミノ基),
3-プロピル-1,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルアミン半水和物,
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-プロピルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3(トランス),5(トランス)-トリメチル-3(シス)-プロピルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
シス-3-エチル-1(トランス)-3(トランス)-5-トリメチルシクロヘキサミン,
1-アミノ-1,3(トランス)-ジメチルシクロヘキサン,
1,3,3-トリメチル-5,5-ジプロピルシクロヘキシルアミン,
1-アミノ-1-メチル-3(トランス)-プロピルシクロヘキサン,
1-メチル-3(シス)-プロピルシクロヘキシルアミン,
1-アミノ-1-メチル-3(トランス)-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(シス)-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(トランス)-エチルシクロヘキサン,
シス-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン,
トランス-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン,
N-エチル-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシルアミン,
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5.5-ペンタメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチルシクロヘキサン,
N,N-ジメチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
2-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)エチルアミン,
2-メチル-1-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)プロピル-2-アミン,
2-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル-1)-エチルアミン 半水和物,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)-ピロリジン,
1-アミノ-1,3(トランス),5(トランス)-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3(シス),5(シス)-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1R,SS)トランス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1S,SS)シス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5, 5-トリメチル-3(シス)-イソプロピル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3(トランス)-イソプロピル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチル-3(シス)-エチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチル-3(シス)-メチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-5,5-ジエチル-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
N-(1,3,5-トリメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-[1,3(トランス),5(トランス)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン,
N-[1,3(シス),5(シス)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン,
N-(1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3-トリメチル-シス-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-[(1S,SS)シス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3-トリメチル-トランス-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-[(1R,SS)トランス-5-エチル,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン,
より成る群から選ばれた1-アミノアダマンタン及びその誘導体、これらの光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 水和物, その薬学的に許容し得る塩, 及びその混合物を含む。
【0042】
ネラメキン (1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン)は、たとえば米国特許出願第09/597,102号明細書及び米国特許第6,034,134号明細書に記載され、これらの全部を本明細書に引用して援用する。
【0043】
一般式(I)で表わされる特定の1-アミノシクロヘキサン 誘導体は、3つのアキシャルアルキル置換基, たとえば Rp, Rr 及び R5 のすべてが一緒になって橋頭を形成し、下記式 IIb及びIId で表わされる化合物 (いわゆる 1-アミノアダマンタン類) を生じる場合を含む:
【0044】
【化2】

【0045】
式(I)で表わされる特定の1-アミノシクロヘキサン 誘導体(式中、n + m = 0, U, V, W, X, Y 及び Zはシクロヘキサン環を形成し、R3 及び R4のうちの1又は2つは独立して、 Rp, Rq, Rr, Rs 又は R5によって形成されるアルキレン架橋を介して上記シクロヘキサン環に結合する。)は、下記式IIIa-IIIcによって表わされる:
【0046】
【化3】

【0047】
(式中、Rq, Rr, Rs, Rr 及び R5は式(I)に対して定義された通りであり, R6 は水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), アリール, 置換されたアリール又はアリールアルキルであり、 Y は飽和されているか、 又はR6と一緒になって、これが結合する環炭素と共に炭素-水素結合を形成してよく, l= 0 又は 1 及び k= 0, 1 又は 2、 そして単結合又は二重結合を示す。)
本発明にしたがって使用される1-アミノシクロヘキサン化合物の限定されない例は:
1-アミノ-3-フェニルアダマンタン,
1-アミノ-メチルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン (メマンチン),
1-アミノ-3-エチルアダマンタン,
1-アミノ-3-イソプロピルアダマンタン,
1-アミノ-3-n-ブチルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジエチルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジイソプロピルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジ-n-ブチルアダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-エチルアダマンタン,
1-N-メチルアミノ-3,5-ジメチルアダマンタン,
1-N-エチルアミノ-3,5-ジメチルアダマンタン,
1-N-イソプロピル-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン,
1-N,N-ジメチル-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン,
1-N-メチル-N-イソプロピル-アミノ-3-メチル-5-エチルアダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-フェニルアダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジペンチルアダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-ヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-シクロヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-フェニルアダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシル-5-シクロヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシル-5-フェニルアダマンタン,
1-アミノ-3-シクロヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジシクロヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-シクロヘキシル-5-フェニルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジフェニル アダマンタン,
1-アミノ-3,5,7-トリメチルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジメチル-7-エチルアダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジエチル-7-メチルアダマンタン,
1-N-ピロリジノ及び1-N-ピペリジン誘導体,
1-アミノ-3-メチル-5-プロピルアダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ブチルアダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ペンチルアダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-シクロヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-フェニルアダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-プロピルアダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ブチルアダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ペンチルアダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-シクロヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-フェニルアダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ブチルアダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ペンチルアダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-シクロヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-フェニルアダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-ペンチルアダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-ヘキシルアダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-シクロヘキシルアダマンタン,
より成る群から選ばれた1-アミノ アダマンタン及びその誘導体、これらの光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 水和物, N-メチル誘導体, N,N-ジメチル誘導体, N-エチル誘導体, N-プロピル誘導体, その薬学的に許容し得る塩, 及びこれらの混合物を含む。
【0048】
たとえばメマンチン (1-アミノ-3,5-ジメチル アダマンタン) 及びその薬学的に許容し得る塩は、米国特許第 4,122,193号 及び第 4,273,774号明細書の対象であって、双方の文献は全部を本明細書に引用して援用する。ネラメキサンはたとえば米国特許第6,034,134号明細書の対象であって, この文献は全部本明細書に引用して援用する。
【0049】
式IIb 及びIId で表わされる1-アミノアダマンタン 誘導体(メマンチンを含む)は一般にハロゲン化アダマンタンのアルキル化, 好ましくはブロモ- 又はクロロアダマンタン類のアルキル化によって製造される。ジ- 又はトリ-置換されたアダマンタン類は付加的なハロゲン化及び アルキル化操作によって得られる。アミノ基は、三酸化クロムによる酸化及び HBrによる臭素化又は臭素による臭素化及び ホルムアミドと反応させて、ついで加水溶出して導入される。アミノ官能基を一般に認められている方法にしたがってアルキル化することができる。たとえば、メチル化はギ酸クロロメチルと反応させ、ついで還元させることによって達成することができる。エチル基を、それぞれのアセトアミドの還元によって導入することができる。合成に関して更に詳細は、たとえば米国特許第5,061,703号及び第 6,034,134号明細書を参照。前記化合物に対する別の合成法を、米国特許公開第2003/0166634号明細書及び第2004/0034055号明細書 [これらの全部を本明細書に引用して援用する。]に見出すことができる。
【0050】
本発明によれば, 式(I) で表わされる1-アミノシクロヘキサン誘導体は、そのまま投与することができるか又はその薬学的に許容し得る塩の形で使用することができる。化合物の適する塩は、酸付加塩, たとえば塩酸, メチルスルホン酸, 臭化水素酸, ヨウ化水素酸, 過塩素酸, 硫酸, 硝酸, リン酸, 酢酸, プロピオン酸, グリコール酸, 乳酸、ピルビン酸, マロン酸, 琥珀酸, マレイン酸, フマル酸, マレイン酸, 酒石酸, クエン酸, 安息香酸, カルボン酸、 ケイヒ酸、マンデル酸, メタンスルホン酸, エタンスルホン酸, ヒドロキシエタンスルホン酸, ベンゼンスルホン酸、 p-トルエンスルホン酸, シクロヘキサンスルファミン酸, サリチル酸, p-アミノサリチル酸, 2-フェノキシ安息香酸, 及び2-アセトキシ安息香酸との酸付加塩; サッカリンとの塩を含むが、これらに限定されない。好ましい実施態様において, 塩はメマンチン塩酸塩 (C12H21N・HCl, MW 215.77)である。その他の好ましい実施態様において, 塩はネラメキサンメシラート (C11H23N・CH4O3S, MW 265.42)である。用語“塩” は放出酸の付加塩を含むこともできる。これらの塩(又はその他の類似の塩)すべては通常の手段で製造することができる。このような塩のすべては、これが非毒性であり、そして所望の薬理学的活性を実質上妨げないという条件で、許容される。
【0051】
更に、本発明はすべての個々の対掌体、ジアステレオマー, ラセミ化合物, 及びこれらの化合物のその他の異性体(このような構造変化が可能である。)を含む。本発明はまたこれらの化合物のすべての多形体及び溶媒和, たとえば水和物及び有機溶剤と共に形成されたものを含む。このような異性体, 多形体及び溶媒和を、従来公知の方法によって、たとえば異なる溶媒からの結晶化によって、又は 本願に記載される発明の開示に基づいてレジオ特異的及び(又は)エナンチオ選択的合成によって製造することができる。
【0052】
本発明は、本発明の化合物の誘導体を含む。本発明に適用される誘導体の例は、アミノ基を有する三環状10-炭素環からなる構造上関連する化合物、たとえばニトロキシ-メマンチン誘導体 (米国特許第5,234,956号及び第5,455,279号明細書における、たとえばニトロプルシド,ニトログリセリン, 又はニトロプルシド又はニトログリセリンのNO-発生誘導体)を含むが、これらに限定されない。
【0053】
1つの好ましい実施態様において、有効成分はメマンチン塩酸塩である。有効成分は、約2.5 mg〜約80 mgの広い範囲にわたる量で,好ましくは約5 mg 〜約60 mgに及ぶ量で存在する。好ましい実施態様において, 調合物は約2%〜約20% w/wのメマンチン; 好ましくは約3.2%〜約10% w/wのメマンチン; 最も好ましくは約3.9 %〜約 8.4 % w/wのメマンチンを含む。
【0054】
別の好ましい実施態様において, 有効成分はネラメキサンメシラートである。有効成分は、約 6.25 mg 〜約150 mgの広い範囲にわたる量で,好ましくは約 12.5 mg 〜約 125 mgに及ぶ量で存在する。本発明の経口投薬形にある有効成分, たとえばネラメキサンメシラートは、約2% w/wから約50% w/wに及ぶ量で通常存在する。好ましくは, その量は約2 % w/w〜約 40 % w/w, より好ましくは約 3 % w/wから約25 % w/wに及ぶ。
【0055】
即効型投薬形は、場合により単一放出コアの全表面に塗布される又は沈着されるコーティングを有する。薬物の即効型は、その薄さ(すなわち約100 ミクロンより小さい)のために胃液が急速に浸透し、薬物の速い溶出を可能にする極めて薄い層又はコーティングの使用を含む,従来公知の種々の方法のいずれかによって達成される。
【0056】
本発明において, 急速に崩壊し、分散するコーティング材料の例は、ラクトース及び微晶質セルロース, コロイド状二酸化ケイ素, 親水性ポリマー、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース, PVA, メタアクリレート (たとえばEudragit(登録商標) Rohm Pharma Polymer, Piscataway, NJ) 、天然ポリマー、たとえばキサンタンガム及びその組み合わせ(たとえばProsolv(R), これは微晶質セルロース及びコロイド状二酸化ケイ素を含む)を含む。ラクトース不含環境を有する製剤で, コロイド状二酸化ケイ素は微晶質セルロース, たとえば Avicel(登録商標)の使用と共に必要である。これらの物質は、打錠助剤, 着色剤, 結合剤, 増量剤, 流動促進剤, 及び滑剤 (すべての薬学的に許容し得るもの)を含む通常の助剤及び添加物又は増量剤 と共に賦形剤として存在することもできる。
【0057】
本発明の1つの好ましい実施態様において, ヒドロキシプロピルメチルセルロースはコーティング物質として使用される。任意のコーティング物質は、約1mg から約70mg, 好ましくは約 3 mgから約60mg, より好ましくは約3mgから約40 mgに及ぶ量で存在する。好ましい実施態様において, 調合物はヒドロキシプロピルメチルセルロース含有コーティング材料約2% w/w〜約5%w/w、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース含有コーティング材料約2%〜約4%w/wを含む。
【0058】
増量剤又は崩壊剤は、溶出パターンを変化させるために働く。このような増量剤の例は、ラクトース一水和物, 微晶質セルロース, Prosolv (登録商標)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース, 及びそれらの組み合わせを含む。ラクトース一水和物は、これが使用される場合,調合物の溶けにくい成分を相殺し,それによって崩壊剤として働く。一方微晶質セルロース及び類似のタイプの増量剤は、これらがラクトース不含環境で使用される場合、付加的な崩壊剤、たとえばクロスカメロースナトリウムを必要とする。投薬形中の崩壊剤は、製剤の崩壊を支援する賦形剤を更に含むことができる。当業者は、これらの賦形剤が、約 0.2から10 %に及ぶ量で、デンプンベースであるか, セルロースベースであるか又はピロリドンベースであるか, 又はそれらの誘導体であることができることを承知している。
【0059】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はエチルセルロースをマトリックス錠剤中に使用する場合, その溶出速度は目標とされる即効型速度よりもはるかに遅い。これは、これらのポリマーがポリマー侵食(polymer erosion)のメカニズムによって薬物を放出する 場合に疎水性マトリックス錠剤 が生じるからである。疎水性マトリックスからの侵食は極めて遅いので, 急速に溶ける有効成分の溶出速度も遅い。
【0060】
メマンチン含有製剤で本発明の1つの実施態様において, ラクトース一水和物 を増量剤として使用する。ラクトース一水和物は、約40 mgから約 1,400 mg, 好ましくは約80mgから約1,050mgに及ぶ量で存在する。別の実施態様において, 調合物は約50%〜約 80% w/w、好ましくは約 60 % w/w〜約 75 % w/wのラクトース一水和物を含む。 ラクトース付加物形成は3 % w/wより少ない, より好ましくは2.5 %w/wより少ない。
【0061】
メマンチン含有製剤で本発明の好ましい実施態様において, 微晶質セルロース (MCC) を増量剤として使用する。ラクトース一水和物含有製剤中に、MCCを付加的な増量剤として使用し,単位服用量あたり約 13 mgから約 420 mg, 好ましくは約25から約 315 mgに及ぶ量で存在する。 1つの実施態様において, MCCは約 10 % w/w〜約 35 % w/w, 好ましくは約 18 % w/w〜約22 % w/wの量で存在する。
【0062】
MCCを増量剤としてラクトース一水和物の不在下で使用する場合, MCCは単位服用量あたり約50 mg から約1,600 mg, 好ましくは約 100 mgから約 1,200 mgに及ぶ量で存在する。好ましい実施態様において, 調合物は約20 % w/w〜約 95 % w/w; より好ましくは 約 60 % w/w〜約 90 % w/wの微晶質セルロースを含む。微晶質セルロースは、所望の溶出プロフィールに許容し得る又は改良された製剤及びプロセシング特性を与える。当業者は、これらの微晶質セルロースベースの製剤が崩壊剤を含むことを承知している。崩壊剤は、約 0.2から10 % w/wに及ぶ量で、デンプンベースの、 セルロースベースの又はピロリドンベースの賦形剤, 又は上記のいずれかの誘導体ベースの賦形剤を含む。
【0063】
付加的な賦形剤、たとえばタルク (抗スティッキング剤), デンプン, 燐酸二カルシウム, マンニトール, クロスカメロースナトリウム, コロイド状二酸化ケイ素, デンプングリコール酸ナトリウムを組み合わせて使用することもできる。崩壊剤又は可溶性増量剤の使用は、大きい表面積をさらす錠剤及び薬物のより速い溶出を導く薬物の急速な崩壊を可能にする。
【0064】
更に, 投薬形は、ラクトース-不含製剤中で3.0 %より少ない、好ましくは2.5%より少ない、0%でさえ付加物を生じる賦形剤を含む。当業者は物質、たとえばメマンチン及びネラメキサン付加物がメイラード反応に由来することを承知している。 付加物, たとえばラクトース 又はその他の還元糖付加物は, アダマンタン 誘導体のアミンと共に生じる。
【0065】
本発明に錠剤を、製薬工業でよく知られた通常の混合, 粉砕及び打錠法によって製造することができる。即効型錠剤を、たとえば直接圧縮法にしたがって、パンチし、回転打錠プレスに適合するダイスカットし, 排出(ejection)又は圧縮成型し, 造粒後圧縮するか, 又はペーストを形成し、ついで このペーストを型に押し出すか又は押し出し物を短い長さに切断し、ついで圧縮することによって製造することができる。上述のように, 即効型成分を 、噴霧, デッィピング, 又はパン-コーティングによりコアを覆うコーティングとしてか, 又は打錠又は圧縮により付加的な層として付与することができる。好ましくは,錠剤を製造するために使用される方法は混合物の直接圧縮法である。通常, 直接混合は困難な方法であって,混合分離(blend segregation), 低い圧縮率及び低い含量均一性のような問題が生じうる。しかしながら、本発明の製剤も、これを製造する方法もこの問題を示さないか、又はこのこのような問題は実質上それほど重要でない。Near IR 吸収スペクトル測定法は、錠剤中の薬物の良好な分布を示した。
【0066】
錠剤を直接圧縮法によって製造した場合, 滑剤の添加は有益であり、ときどき粉末流動を促進するのに重要であり、そして加圧が解かれた時に 錠剤の“キャピング” (錠剤の一部の崩壊)を防止するのに重要である。有用な滑剤は、ステアリン酸マグネシウム及び硬化植物油 (好ましくはステアリン酸及びパルミチン酸の水素化及び精製されたトリグリセリド)である。好ましい実施態様において、ステアリン酸マグネシウムを、滑剤として約0mg〜約6mg, 好ましくは約0.3mg〜約4.0mgの量で使用する。好ましい実施態様において, 調合物は約 0 % w/w〜約2 % w/wの ステアリン酸マグネシウム; より好ましくは約 0.2 % w/w〜約 0.5 % w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。付加的な賦形剤を添加して、錠剤硬度, 粉末流動性を増大させ、そして, 錠剤易砕性を減少させ、そして 金型(die wall)に付着させることができる。
【0067】
錠剤硬度は種々の圧縮力、錠剤の形及び大きさによって線形で影響を受ける。 圧縮力(kN)が増加すると、錠剤硬度(Kp)の線形増加がある。好ましくは, 硬度値は約 3から約 40 Kp, より好ましくは 約 4から約 30 Kpに及ぶ。さらに,より低い圧縮, それゆえにより低い硬度値, たとえば3Kpより低い値で, ロゴ及び生成物識別デ-ボッシングが “削られる(picked)”。このことは判読が困難になり、そして美学的見地から感じのいいものにならない。より高い圧縮及び硬度値で、ピッキングは30 分で溶出に影響を与えることなく消失する (例1参照)。
【0068】
用量比例即効型メマンチン製剤の血漿中濃度は、ヒト患者で最大血漿中濃度 (Tmax) の時間が約3から約7時間に、そしてさらにしばしば平均して約 4から約6 時間に及び、 そして約60分で, より好ましくは約30分で約80%より多いインビトロ放出割合を有する。
【0069】
ネラメキサンの用量比例即効型製剤の血漿中濃度は、最大血漿中濃度 (Tmax) の時間が約2から約 8 時間に及び, さらにしばしば平均して約 2から約7 時間に及び,そして約60分で, より好ましくは約 30 分で約80%より多いインビトロ放出割合を有する。
【0070】
本発明の薬剤は、用量比例調合物及び薬物のTmax に実質上影響を与えることなく製剤の力価を変えることによってCmaxの変化を可能にする。本発明に記載の30-分即効型製剤は、メマンチン塩又はネラメキサン塩の特徴である開始ピーク(Cmax)を危うくすることなく所望のTmaxを提供する。
【0071】
更に, 長いT1/2 は即効型投薬形に対する 一日2回か, 又は好ましくは一日1回投与を可能にし、そして生成物の薬物有効性に必須であるみなされる、相対的に高いCmax を達成する。たとえば, 20 mgのメマンチン (10 mgの 錠剤 2個を4 時間間隔の投与)に対するCmaxは、約15〜 約 40 ng/mlの範囲にあり, 約25 ng/mlの平均値である。メマンチン又はネラメキサン投薬形を一日2回、約4 時間間隔の投与した場合, 平均Tmax は約8時間 ± 2 時間である。更に, 用量比例は、本質的に同一の製剤調合物(formulation composition)を用いて患者により低い服用量で開始し、ついでメマンチン又はネラメキサンの重量負荷(weight load)のみを主に変化させる漸増が種々の力価を達成させるのを可能にする。
【0072】
本発明によれば, 即効型医薬調合物を、メマンチン又はその薬学的に許容し得る塩, 好ましくはそのHCl塩をヒト又は動物対象者に一日1回投与、好ましくは一日2回投与で与える。本発明によれば、即効型医薬調合物を、ネラメキサン又はその薬学的に許容し得る塩, 好ましくはそのメシラート塩をヒト又は動物対象者に一日1回、好ましくは一日2回投与する。
【0073】
本発明の別の実施態様において, 錠剤の急速溶出プロフィールは、錠剤を摂取することができない患者が飲むことができる溶液をもたらす。
【0074】
本発明のメマンチン及びネラメキサン製剤は、アルツハイマー病, パーキンソン病, AIDS痴呆症(米国特許第 5,506,231号明細書,Parsons等, Neuropharmacology 1999 Jun;38(6):735-67も参照), 神経障害性苦痛 (米国特許第 5,334,618), 脳虚血, 癲癇, 緑内障, 肝性脳症, 多発性硬化症, 卒中, 鬱病(米国特許第6,479,553号明細書), 遅発性ジスキネジー, マラリア, ボルナウイルス,肝炎C (米国特許第6,034,134号及び第6,071,966号明細書)の治療(これらに限定されない)を含む、CNS疾患の治療に適する。メマンチンが適する治療に対する別の病状は、米国特許第 5,614,560 号及び第6,444,702号明細書に記載されている。したがって, 本発明はヒト又は動物対象者におけるCNS 障害の治療又は予防治療法(これは本発明の調合物を上記対象者に投与することを含む方法)を更に提供する。
【0075】
本明細書において, “付加物形成”とは、固相反応によって調合物の特定の製剤化と共に、ある複合物の形成を意味する。付加化合物とも呼ばれる、化合物に対する一般用語“付加物”は,2種以上の異なる化合物の組み合わせによって生じる。たとえば, 本発明において, ラクトース付加物形成はラクトース含有製剤によって生じる。このような付加物形成は生成物の有効性を損ない、そしてその他の副作用の危険性を増大させる。
【0076】
本明細書において, “治療上有効な量”とは、状態、障害又は病態の治療のために哺乳類に投与する場合このような治療に十分である化合物の量を意味する。“治療上有効な量”は、化合物、治療されるべき哺乳類の疾患及びその重さ及び年齢、体重、体調及び感応性にしたがって変化する。本発明によれば, 1つの実施態様において, メマンチンの治療上有効な量は、アルツハイマー病又はパーキンソン病を含むCNS障害を治療するのに有効な量である。その他の使用は、痴呆症及びうつ病の治療を含むが、これらに限定されない。薬理学的作用にとって薬物の有効量、及びそれ故錠剤力価は,疾患それ自体に依存し, たとえばアルツハイマー病において, 患者は最初に5mgの服用量が与えられ、ついでその投薬量は次第に1日2回10mg〜1日1回20mgに増加する。より高いベース量から出発するが同様な漸増(たとえば 約12〜約15mgで出発するベース値は約 80 mgまで増量する)は、鎮痛、たとえば神経障害性苦痛に有用である。このような漸増は、標準又は通常用量, たとえば5mg, 10 mg, 15 mg, 20 mg, 40 mg 及び80 mgの有効物質投薬量を示す錠剤の選択を提供することによって容易に行うことができる。したがって用量比例製剤を提供することが重要である。
【0077】
本明細書において, 用語 “薬学的に許容し得る”とは、生物学的に又は薬理学的にインビボ使用に許容し得ることを意味し、そして好ましくは米国連邦政府又は州政府の管理機関によって承認されているか、又は米国薬局方又は動物に使用される, 及び 更に具体的にはヒトに使用される、その他の一般に容認された薬物類中に列挙されていることを意味する。
【0078】
本明細書において, 用語“治療” 及びその派生語は、神経過敏な哺乳類又はCNS障害, たとえば痴呆症又はパーキンソン病を患う哺乳類の苦痛を軽減又は緩和することを意味するためにここで使用される。 用語“治療” は、任意の刺激 (たとえば圧力, 組織侵害, 寒い温度等々)に反応する患者によって体験される疾患の徴候の激しさ及び(又は)持続期間を軽減又は緩和することを意味する。たとえば, 痴呆症に関連して, 用語“治療” は、認知機能障害 (たとえば記憶及び(又は)見当識(orientation)の機能障害として) 又は全体機能(日常生活動作、ADL) の機能障害を軽減又は緩和すること及び(又は) ADL又は 認知機能障害における進行性悪化を減速又は無効にすることを意味する。本発明の意味のうち, 用語“治療” は、またその開始 (すなわち疾患の臨床徴候以前の期間)を阻む、遅延する 及び(又は)疾患の進行又は悪化の危険性を軽減することを意味する。 用語“保護” は、遅延又は治療を避けることを意味するか、又は必要に応じて,対象者の疾患のすべての進行又は持続又は悪化を阻むことを意味することでここで使用される。本発明の意味のうち, 痴呆症は、これに限定されないが神経変性疾患、たとえばアルツハイマー病 (AD)を含むCNS障害に関連する。
【0079】
用語“ピッキング”は、別の物体に接触して錠剤の表面から材料(たとえばフィルムフラグメント)の剥離及びその他の物体 (たとえば別の錠剤又は器具)の表面に錠剤の付着を意味する (Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets Volume 3, edited by H. A. Lieberman and L. Lachman, pp. 101 and 272 (Marcel Dekker, Inc. 1982) 参照)。たとえば錠剤を圧縮又は回転させる場合、ピッキングは生じる。薄利された材料は、錠剤の表面上に見えるように意図されているロゴ, モノグラム, レタリング, 及びナンバリングを不明瞭にするか又は痕跡をなくす。
【0080】
ここで使用される用語 “用量比例”は、薬物投薬量とそのバイオアベイラビリティとの関係を意味する。たとえば, 本発明において,2倍の薬物を送達する投薬形とするための同一調合物の2倍用量は、その投薬形の1回服用量と同一バイオアベイラビリティ(すなわちAUC及びCmax)を提供する。本発明の用量比例は、ここで詳細に議論される広い範囲の薬用量に当てはまる。
【0081】
用語“約”又は “おおよそ” は、当業者によって測定された特定値に対して許容し得る誤差範囲内であることを意味し、これはその値がどうように測定されるか又は決定されるか、すなわち測定系の限界に一部依存する。たとえば, “約” は1つの実施あたり1以内又は1より多くの標準偏差を意味することができる。 あるいは, 調合物に関する“約”は、20%まで, 好ましくは10%まで, より好ましくは5%までの範囲をプラス又はマイナスすることを意味することができる。あるいは, 特に生物学的系又は方法に関して, この用語は値の桁数, 好ましくは 5-倍以内, 及びより好ましくは2-倍以内を意味することができる。 特定の値が明細書及び請求の範囲に記載されている場合, その他に明記しない限り、用語“約”は特定値に対して許容し得る誤差範囲内であることを意味する。たとえば 期間, たとえば時間を言及する場合, 本発明の値 (± 20%) がより一層あてはまる。 したがって, 6 時間はたとえば4.8 時間, 5.5 時間, 6.5 時間, 7.2 時間であることができ, 同様に通常 6 時間であることができる。
【0082】
製剤に適用される場合の用語“適用環境”は、製剤が投与される患者の胃液又は擬似溶出媒体を意味する。
【実施例】
【0083】
本発明は、下記例を参照することによってより一層理解される。これらの例は本発明を説明するものであって, 限定するものでない。
【0084】
例 1: メマンチン HCl 即効型錠剤の製造
本例に、メマンチン塩酸塩即効型錠剤 (2.5, 5, 10, 15, 20, 40, 60及び80 mgの投薬量)を調製する方法を記載する。
【0085】
材料及び方法
下記の表に、特異的ターゲット放出時間を有する特定の投薬形に対する、有効成分, コーティング剤及びその他の賦形剤を含む即効型錠剤の構成を示す。表1及び2 は、ラクトース含有錠剤の構成を提供し、そしてそれぞれ表わされる同一データを絶対(mg) 又は相対(% w/w) 項(terms)で含む。
【0086】
表1. 2.5mg〜80mgの用量比例製剤 (ラクトース/MCC含有)
【0087】
【表1】

【0088】
表1の用量比例製剤に関して, 有効成分及び賦形剤それぞれに対する百分率 w/w を同定し、表2に示す。
【0089】
表2. 錠剤 (ラクトース/MCC)に対する重量(% w/w)
【0090】
【表2】

【0091】
表3a - 3c及び表4 は、またラクトース不含錠剤の製造を提供し、そしてそれぞれ表わされる同一データを絶対(mg) 又は相対(% w/w) 項(terms)で含む。
【0092】
表 3a. 2.5 mg 〜80 mgの用量比例製剤 (ラクトース不含)
【0093】
【表3a】

【0094】
*コア重量を、増量剤密度にしたがって +/- 10%まで増量剤によって調整することができる。ProSolv(R) は 微晶質セルロース とコロイド状二酸化ケイ素の混合物である。
【0095】
表 3b. 6.25 mg〜125 mgの用量比例製剤 (ラクトース不含)
厳密な処方調合物(exact formula composition)(錠剤1錠あたりの処方(mg))
【0096】
【表3b】

【0097】
*コア重量を、増量剤 密度にしたがって+/- 10% まで増量剤によって調整することができる。
【0098】
表 3c. 10 mg 〜 80 mgの用量比例製剤(メマンチン錠剤用), より小さい錠剤サイズの10 mg〜80mgの (ラクトース不含の) 高い薬物含量
錠剤1錠あたりの処方(mg)
【0099】
【表3c】

【0100】
*コア重量を、増量剤 密度にしたがって+/- 10% まで増量剤によって調整することができる。
** コロイド状二酸化ケイ素は使用されない。
【0101】
表3cの用量比例製剤に関して, 有効成分及び賦形剤それぞれに対する百分率 w/w を同定し、表4に示す。
【0102】
表 4. 錠剤 (ラクトース 不含) すべての力価, 高い薬物含量を含む)の重量(% w/w)
【0103】
【表4】

【0104】
それぞれの錠剤の試験バッチを、下記に説明する方法にしたがって製造する。
【0105】
打錠用混合物 (ラクトース/MCC)の製造。微晶質セルロース 及び有効薬物の量のほぼ半分を20 ft3 コーン混合機(cone 混合機)に入れる。コロイド状二酸化ケイ素を、約 0.71 mmのスクリーンを通過した微晶質セルロースの残りと共に篩分し、ついで20 ft3 コーン混合機に加える。成分を6分間増強棒(intensifier bar)をオフにして混合する。ラクトース一水和物 (上記処方で呼ばれている) 及びタルクを約 0.71 mmを通して篩分し、ついで上記コーン混合機に加える。混合機内容物を 20 分間増強棒をオフにして混合する。ステアリン酸マグネシウムを、約 0.8 mmのフルターを通して篩分し、ついで上記コーン混合機に加える。混合物を更に5分間増強棒をオフにして混合する。 当業者は 、MCC 及びその他の増量剤に関して, 上記方法を変更することができることを承知している。当業者は、順を入れ換えた添加及び混合法も容認されることを承知している。
【0106】
錠剤の製造工程の間, 錠剤形に圧縮する前に、混合生成物の最初のバッチを2 時間混合し, その間にサンプルを採取する。サンプルを偏析(segregation)に関して試験する。
【0107】
錠剤の圧縮。混合物を回転錠剤プレスで圧縮する。錠剤を5〜25 Kpに及ぶ異なる圧縮力で圧縮し、 ついで物理学的特性:硬度, 溶出, 厚さ, 脆さ, 及び含量均一性に関して試験する。溶出試験に関して, 種々の硬度の錠剤を、USP Apparatus II によって900 ml の緩衝液pH 1.2 を用いて試験する。 錠剤を 圧縮後錠剤脱塵機(deduster)及び金属チェッカー中に通す。ついで錠剤を穴空きコーティングパン中でコーティングする。
【0108】
試験は、コーティングの溶出及び安定性への影響を調べるためにも行われる。錠剤を、Opadry (ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有) 材料でコーティングする。 100 rpmで溶出試験装置を使用して、結果を生じさせる。代替溶出法, たとえば50 rpmで適切なUSP装置を用いる方法も可能である。 量(コーティングの量に対して) を種々のレベルに増した後、サンプルを集め、ついで15, 30及び45 分で溶出に関して試験する。安定性を測定するために, コーティングされた錠剤を、3ヶ月間開放皿中で40℃/75%RH加速条件下にチエンバー中に入れる。溶出試験を15分, 30分及び45 分で実施する。
【0109】
Near IR吸収スペクトル測定法。 メマンチン即効型製剤に対する近赤外(near IR)を、インフラレッドケミカルイメージングシステム(Infrared Chemical Imaging System) (Spectral Dimension, Olney, MD)を用いて実施する。錠剤横断面を測定し, ついで1692 nmでのシングルチャネルイメージをメマンチンに対するマーカーとして使用する。メマンチンリッチドメインを測定し、有効成分の分布を示す。 メマンチン即効型錠剤の種々のロットを3重に分析する。データの分析は、種々のロット間のメマンチン分布が類似することを示す。
【0110】
結果及び議論
2-時間混合試験中に得られたサンプルは、顕著な脱混合を示さなかった。結果は、処方成分が有効成分の良好な分布を可能にさせること及び混合されるやいなや, 有効成分が錠剤マトリックスにくまなく均一に分布された状態で維持されることを示した。20 分 (400回転)の混合時間を、好ましい混合時間として選ぶ。 粒子サイズ分布での著しい変動がないことが、混合時間にかかわらず観察され,これは測定可能な粒子摩滅は混合中に行われないことを示す。結果は、錠剤に関するUSP 含量均一性試験(USP content uniformity test)の限界内にあった。
【0111】
錠剤硬度への圧縮力の影響の結果は、圧縮力 (kN) が増加すると, 錠剤硬度 (Kp)の線形増加も生じることも示した。同様に,圧縮力が増加すると,錠剤厚さ (インチ)の線形増加があった。圧縮中、1つの不都合な発現は、錠剤スティッキングの出現であった。下方のパンチは錠剤強度(5, 10 又は20)で型押しし、そして上方のパンチは“FP”で型押しした。パンチへのスティッキング, 特に“P”がより低い圧縮力で観察された。より硬い錠剤の製造は、 スティッキング問題を排除した。
【0112】
溶出への錠剤硬度の影響を更に評価した。データは、硬度が溶出に影響を与えることを示した。この作用は、錠剤の崩壊に関係する15 分の時点でしか観察されなかった。 完全な放出が30分の時点で得られた。生成物の提案された溶出仕様は、 30 分で 80%ほど多く溶出された。 データに基づき, スティッキングを避けるために要求されるより高い錠剤硬度は、溶出仕様に影響を与えない。 硬度及び溶出値に関するデータは、下記表5a 及び5b 及び表6a 及び6bにある。
【0113】
表 5.種々の硬度を有するメマンチン HClの非コーティングコア錠剤の溶出
【0114】
【表5】

【0115】
表 5b.種々の硬度を有する ネラメキサンメシラート コア錠剤の溶出
(増量剤 ラクトース-不含)
【0116】
【表5b】

【0117】
表 6. メマンチン HClのコーティングされた錠剤(種々の硬度)の溶出
【0118】
【表6】

【0119】
表 6b. ネラメキサンメシラートのコーティングされた錠剤の溶出
【0120】
【表6b】

【0121】
錠剤脆さを試験した。というのは生成物が薬物の特徴的な味をマスクするためにフィルムコーティングされているからである。一般に, 脆さ値は極めて低く、錠剤に対して良好な機械的インテグリティを示す。 錠剤含量を均一性に関して調べ, そしてすべての場合錠剤は、含量で低変動性を有する。
【0122】
また、最初の溶出試験を行った。メマンチンHClは非常に可溶性及び非常に浸透性薬物である。薬物に関するBiopharmaceutical Classification System (BCS) Class 1 分類を維持するために、30 分で80%ほど多くのターゲット溶出が所望される。錠剤はまた極めて高い硬度 (20 mgの錠剤に対して20 Kp)でさえ急速な溶出 (30 分で80%より多きい)を示した。
【0123】
試験結果はまたコーティング工程及びコーティング レべルが最終生成物の溶出及び安定性に影響を与えないことを示した。著しい変化は厳しい条件下で3ヶ月後に観察され、製剤の安定性を実証した。規定の乾燥混合工程は、混合偏析に極めて耐性であり、そしてこれは有効物質混合の粒子サイズ分布に敏感でない。錠剤は(5 mgの錠剤に対して圧縮力10 kNで) 良好な機械的インテグリティ及び良好な含量均一性を示した。2つの方法をメマンチン粒子の凝集を減少させるために使用した: 1) 薬物に対する希釈剤の割合を増加させ, それによって相互作用に利用可能な経路を減少させる; 2)有効物質及び希釈剤を適切な時間混合することによって。
【0124】
例 2: メマンチンの薬物動態試験
本例に、徐放性メマンチン錠剤と対比して、即効型メマンチン錠剤のバイオアベイラビリティを示す。
【0125】
材料及び方法
本例の試験計画は、24人の若い健康対象者(18〜35才の年齢)で57-日単一施設(single-center), 非盲検試験である。対象者は全病歴、バイタルサイン、12-lead ECGによる全健康診断からなるスクリーニング評価, CBC (鑑別診断を含む), 臨床化学,尿検査, RPR/VDRL, 抗 HIV 1 及び2 テスト, 薬物乱用選別 (アルコール及びニコチンを含む), 抗-HCV 及びHbsAgからなる臨床検査評価を受けた。女性対象者は、1日目にスクリーニングで行われるb-hCG 血清妊娠テスト及び 尿妊娠テストを受けた。
【0126】
試験対象患者基準は、インフォームドコンセント, 通常の健康診断,年齢18〜35才の健康な成人, 非喫煙者, 身長に対する標準体重15%以内, 及び動悸によって1分あたり少なくとも50 拍数の座位脈拍数(sitting pulse rate), 及びECGによって記録される1分あたり少なくとも50 拍数の心拍数を含む。 臨床試験除外基準は、メマンチン又はその他の NMDA アンタゴニストに対する過敏症、あらゆる臨床上顕著な疾患の存在, スクリーニングで、180 mmHg より大きい又は 100mmHg より小さい座位最高血圧 又は100 mmHgより大きい又は60 mmHgより小さい最低血圧, 顕著なECG 異常, アルコール又は薬物乱用の病歴, 薬物乱用に対する陽性テスト, 試験前48 時間以内のカフェイン又は試験前72 時間以内のアルコールの消費, 試験の30日以内にその他の臨床検査に参加,メマンチンに関連する臨床状態, 併用薬又は女性の授乳を含む 。
【0127】
即効型 (IR) メマンチン HCl 10 mgの錠剤 (30 分溶出、すなわち処置A), 徐放性(MR) メマンチン HCl 20 mgの錠剤 (製剤 I, 6 時間溶出、すなわち処置B), 及び第二の徐放性メマンチン HCl 20 mgの錠剤 (製剤 II, 12時間, すなわち処置C)を含む3つの治療計画がある。徐放性製剤は、約 6時間及び約12 時間で放出割合 > 70 %の薬物放出を達成する種々の調合物を含む。対象者は、無作為に選ばれた処置順序に基づき21日の消薬期間を経る交替法で、試験1, 22, 及び43日目で3つの処置を受けた。即効型薬剤は 1日目の8:00 及び12:00に投与された。徐放性薬剤は1日目の8:00に投与された。消薬期間後、対象者を他方の処置(MR又はIR)と交替させた。製剤 B 及びCは、本発明と同時に出願された同時係属出願(弁理士事件番号03269/1200817-US1)で詳細に議論されている。
【0128】
対象者は、1, 21及び42日目のほぼ9:00に非喫煙環境に入った。 それぞれ対象者は全体で6泊した(1, 1, 21, 22, 42及び43日目)。対象者は食事制限及び水分の制限を受け、そして併用薬を与えかった。
【0129】
バイタルサイン及び有害事象を、試験の経過にわたって記録した。メマンチンの測定のための血液サンプルは、それぞれの患者からその試験の経過中に試験日1, 22及び43日目に、08:00の薬物投与後次の時間で得られる: 0.0 時間 (投与前), 最初の 12 時間は毎時間, 投与後14, 24, 36, 48, 72, 96, 144, 192, 240, 288及び 336 時間。 約390 mLの血液を、各患者からこの試験の経過中に採集する(試験前, 試験後及び引き続き行われる臨床分析を含む)。全部で72個の血漿サンプルを、薬物動態分析のための試験中に採集する。メマンチン濃度の測定用血液サンプルを、 適格な瀉血専門医によって予め冷却された5 mLのgreen top Vacutainer(登録商標)チューブ (抗凝血剤としてナトリウムヘパリン含有)を用いて採集する。
【0130】
約5mLの血液を、1, 22及び43日目の投薬後に予め冷却された5-mLの green top Vacutainer(登録商標) チューブ (ナトリウムヘパリン含有) 中に直接採集する。血液サンプルを 採取時間から30 分以内に2,500 gで10 分間4℃で遠心分離し、ついで血漿を集め、予め冷却された, Forest 仕様のポリプロピレンチューブに移す。ついでサンプルをイソプロピルアルコール/ドライアイス浴中で急速冷蔵し、ついで-70℃フリーザー中に貯蔵する。
【0131】
バイオアナリティカル法。血漿メマンチン濃度を測定するために使用されるバイオアナリティカル法は、分析法の精度, 線形性, 再現性及び精密度(precision)を実証するのに有効である。LC/MS/MS (液体クロマトグラフィー/質量分析/タンデム質量分析) 法 は、ヒト血漿中の メマンチンの測定に開発された。 10 ngの [2H6] メマンチン内部標準及び0.5 M炭酸ナトリウム緩衝液を血漿スタンダードに添加した後、 化合物を酢酸エチルで抽出する。有機層を単離し、室温で減圧下にサンプル濃縮器(Savant)中で乾燥させる。 乾燥残留物を移動相中に再構成させた後分析する。再構成されたサンプルの成分をZorbax SB-C8 カラム (150 x 4.6 mm, 3.5 μm)上で分離し、ついで大気圧化学イオン化 (APCI)によって選択反応モニタリング (SRM) 正イオンモードを用いて検出する。 SRM は、前駆体 a 正の生成物イオン(m/z 180 a 163 及びm/z 186 a 169)を使用してメマンチン及びその内部標準それぞれをモニタする。 メマンチン及び[2H6] メマンチンのプロトン化した分子イオンは、SRM 法に対する前駆体イオンである。 メマンチン生成物イオンとその内部標準とのピーク高さ比率は、定量化に関して使用されるレスポンスである。バリデイション法(the method validation)の血漿スタンダードは±8.2% 偏差内の精度示し、そして精密度は7.6% CVを超えなかった。 血漿品質コントロール中でのメマンチン測定の精度は、9.8% CVを超えない精密度と同時に±8.8% 偏差以内である。この方法の定量化の下方限界は、0.5 ng/mLである。
【0132】
薬物動態分析。薬物動態パラメータを、WinNonlin (バージョン3.3, Pharsight Corporation, Mountain View, CA)を用いて推計した。次のパラメータを1回投薬後のメマンチン血漿中濃度から測定した: 血漿中濃度時間曲線下面積 (AUC0-t, AUC0-24, 及びAUC0-\ ), 最大血漿中濃度 (Cmax), 最大血漿中濃度時間 (Tmax), 消失半減期 (T1/2) 及び 平均滞留時間 (MRT)。 最大血漿中濃度 (Cmax) 及び メマンチンに関する最大濃度時間(Tmax)を観察によって測定した。
一次速度定数, λz, (血漿中の最終低下を表す)を、メマンチンの平均血漿中濃度-時間曲線のターミナル直線位相の対数-線形回帰を用いてWinNonlin (バージョン3.3)によって推計した。 .
ターミナル消失半減期 (T1/2) (時間)の推計を、方程式 1を用いて算出する:
【0133】
【数1】

【0134】
血漿中濃度対時間t (AUC0-t) で又は 24 時間 (AUC0-24)での最後の測定可能な濃度までの時間曲線下面積は、線形台形公式 (方程式 2)を用いて数値積分法によって推計される。
【0135】
【数2】

【0136】
(式中、 Ci は 対応するサンプリング時点 ti.での血漿中濃度 である。)
血漿中濃度-メマンチンの時間無限 (AUC0-\)までの時間曲線下面積を、下記式(方程式 3)を用いて算定する:
【0137】
【数3】

【0138】
(式中、 Clast は濃度-時間プロフィールにおける最終測定可能濃度である。)
MRT を下記式 (方程式 4)を用いて算出する:
【0139】
【数4】

【0140】
(式中、AUMC は一次モーメント曲線下面積である。)
メマンチン薬物動態パラメータCmax, Tmax, AUC0-t, AUC0-24, AUC0-\, t1/2, 及びMRTに関する記述統計学を、 試験を終えた対象者に提供する。
【0141】
結果
有害事象。深刻な有害事象は報告されなかった。 23人の対象者のうちの19人(82.6%)が処置A, B及びCの付与後に全部で42の処置発生有害事象を報告した。処置と同時に観察された有害事象の数に差異はなかった。全部で14, 12, 及び16 個の有害事象が、処置A, B, 及び Cそれぞれの後に観察された。最も通常の有害事象(すなわち3人以上の対象者に起こる)は頭痛, めまい, 鼓腸及び感染である。
【0142】
薬物動態結果。メマンチンの平均血漿中濃度を 図 1 (常数目盛) 及び図 2 (反対数目盛)中に表す。図1及び2中のプロットは、3つの処置の結果を示す。差異を図 3に更に描写する。 図3は、投薬後の最初の 24 時間中でメマンチンの平均血漿中濃度を示す。 ピークメマンチン濃度はIR 製剤の投薬 (処置 A)後に最高であり、そして MR 製剤 IIの投薬 (処置 C)後に最低である。.
処置A, B 及び C後のメマンチンの平均 (± SD)薬物動態パラメータを、下記 表 7に列挙する。
【0143】
【表7】

【0144】
メマンチン パラメータの統計学的比較を、下記表 8に提示する。
【0145】
【表8】

【0146】
徐放性錠剤からメマンチンの吸収は、即効型錠剤に比べて遅い。メマンチンの吸収の速度及び量は、 徐放性製剤の投与後即効型製剤に比べて減少した。重要なことだが,吸収速度 (Tmax)は 、IR 錠剤に関して8.2 時間 (すなわち一日2回、 最初の投与後約 4 時間して投与) から徐放性錠剤 I及び IIそれぞれに関して、12.1 時間 及び19.3 時間に遅れた。
【0147】
処置 A (IR 錠剤) 対 処置 B (MR 製剤 I)に関して、対数変換 Cmax, AUC0-24, AUC0-t 及びAUC0-\ の比較に対する90%信頼区間は、著しくより高い平均Cmax 値を示すが、 AUC パラメータ 値では示さない。処置 A (IR 錠剤) 対 処置 C (MR 製剤 II)に関して、対数変換 Cmax, AUC0-24, AUC0-t及びAUC0-\ に対する90% 信頼区間は、平均 Cmax 及びAUC値で顕著により高い。これらの結果は、IR 錠剤が徐放性製剤に比べてバオアベイラビリティを改善することを実証した。
【0148】
統計学的に有意な性別 がIR 製剤の投与後、消失半減期及び重量-調整されたCmax, AUC0-t 及びAUC0-\ 値に影響を与えなかった。
【0149】
議論
この試験で, 毎日1回服用のメマンチン20 mg( 4-時間間隔で、2回-10 mg服用量の即効型錠剤として投与される)は安全で、そして耐容性であることが分かった。この試験で深刻な有害事象はなかった。
【0150】
メマンチン吸収の速度及び量は、即効型錠剤の投与後最高であった。Cmax 値 は即効型 錠剤 (処置 A, 30 分 放出), 徐放性錠剤製剤 I (処置 B, 6時間放出) 及び徐放性錠剤製剤 II (処置 C, 12時間放出)それぞれに対して平均して24.92, 20.37 及び17.48 ng/mLであった。AUC0-\ は、即効型 錠剤 (処置 A), 徐放性錠剤製剤 I (処置 B) 及び徐放性錠剤製剤 II (処置 C)それぞれに対して平均して1969, 1827 及び1730 ng・h/mLであった。平均Tmax は処置 A, B及び Cそれぞれに対して8.2 時間, 12.1時間及び19.3 時間であった。2つの徐放性製剤に対する遅延Tmax は、即効型錠剤に比べてより遅い吸収速度を示す。これらの結果は、所望の放出特徴が徐放性製剤でも、即効型製剤でも得られることを実証した。
【0151】
例 3: メマンチン HCl 30-分即効型錠剤の製造
本例に、ラクトース一水和物含有及び不含、30-分即効型 メマンチン 錠剤の製造を例示する。
【0152】
錠剤の製造方法は、例 1に記載した方法と同一である。具体的には、錠剤は下記表 9 及び10に示すような、次の有効成分, コーティング剤及びその他の賦形剤から成る。
【0153】
表 9及び10(ラクトース一水和物含有錠剤をまとめて示す)は, 絶対 (mg)又は相対 (% w/w) 項でそれぞれ表わされる同一のデータを含む。
【0154】
表 9. ラクトース一水和物/MCC含有の30 分放出錠剤 (錠剤1錠あたりの重量(mg))
【0155】
【表9】

【0156】
表10の用量比例製剤に関して, それぞれの成分の百分率範囲は表 9で確認される。
【0157】
表 10. ラクトース一水和物含有錠剤の重量(% w/w)
【0158】
【表10】

【0159】
表 11 及び12(ラクトース不含錠剤をまとめて示す)は, 絶対 (mg)又は相対 (% w/w) 項でそれぞれ表わされる同一のデータを含む。
【0160】
表11. 30 分放出錠剤 ラクトース不含 (錠剤1錠あたりの重量(mg))
【0161】
【表11】

【0162】
表 11の用量比例製剤に関して, それぞれの成分の百分率範囲は表 12で確認される。
【0163】
表 12. 錠剤の重量(% w/w)
【0164】
【表12】

【0165】
図 4, 5, 6, 7及び8に、30 分IR錠剤 (5 mg, 10 mg, 15 mg, 20 mg 及び80 mgの2個のロットはそれぞれラクトース一水和物及びMCC含有製剤である)の溶出を示す。 図 9に、 5 mg 及び 20 mgのラクトース-不含製剤の溶出を示す。 図 7中に, 20 mgの別のロットが15 分で開始時点で約 65 % であるが,安定性において80 % より大きいことを示す。この変化はロット 間変動である。この結果は、薬物の 80 %より多くが30 分で放出され、多くの場合薬物の 80 %より多くが15 分で放出されることを示す。
【0166】
付加物形成。付加物は、ラクトース一水和物含有メマンチンと類似の賦形剤(還元糖として周知)含有メマンチンとの反応の結果として生じる。 この付加物は、ラクトース-不含/MCC単独製剤中に生じない。付加物形成は、HPLC法を用いて蒸発光散乱検出器によって検出される。40 ヶ月にわたって環境条件で貯蔵された生成物は、約2.5 %までの付加物レベルを含む。 付加物データを表 13に示す。
【0167】
【表13】

【0168】
約 3 %より少ない,好ましくは約2.5 % より少ない付加物レベルがICH guidelines Q3B(R), FDA Guidelines, Rockville, MDにしたがって適することが決定される。
【0169】
本発明はここに記載した具体的な実施態様によって範囲を限定するものではない。確かに, ここの記載した変更に加えて、本発明の種々の変更は、前述の記載から当業者に明かになる。このような変更は付加された請求項の範囲内にあることを意図している。
【0170】
更にすべての値はおおよそであり、そのように記載されていると理解されねばならない。
【0171】
すべての特許明細書, 出願明細書, 公表明細書, 試験法, 文献及びここに引用されたその他の記事を参考としてここに援用する。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】図1は、投与から経過する時間(h:時間)と共に、若い健康な男性及び女性対象者において、本発明の10 mg メマンチン HCl 即効型錠剤2個の4時間間隔の投与(黒丸)後、メマンチンの平均血漿中濃度 (ng/mL)及び2個の徐放性錠剤 (白丸及び逆三角形)の結果を示す。
【図2】図2は、投与から経過する時間(時間)に対する若い健康な男性及び女性対象者において、10 mg メマンチン HCl 即効型錠剤2個 の4時間間隔の投与 (治療A, 30 分放出) (黒丸), 又は徐放性錠剤 (治療B及びC, 6時間及び12時間放出) 錠剤 (白丸及び逆三角形)の投与後, メマンチンの平均血漿中濃度 (ng/mL)の対数を示す。
【図3】図3は、投与後最初の24時間の時間(時間)に対する若い健康な男性及び女性対象者において、本発明の10 mg メマンチン HCl 即効型錠剤2個の4時間間隔の投与(治療A) (黒丸)又はHPMCを含むマトリックス形態を用いて製造された徐放性錠剤の投与(治療B及びC) (白丸及び逆三角形) 後、メマンチンの平均血漿中濃度 (ng/mL)を示す。
【図4】図 4 は、5 mg メマンチン HCl 錠剤の溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【図5】図 5 は10 mg メマンチン HCl 錠剤の溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【図6】図 6 は15 mg メマンチン HCl 錠剤の溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【図7a】図 7a は20 mg メマンチン HCl 錠剤, ロットAの溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【図7b】図 7b は20 mg メマンチン HCl 錠剤, ロットBの溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【図8】図 8 は、80 mg メマンチン HCl 錠剤の溶出を示す。溶出を、時間(分)と共に溶出されるパーセントとして示す。
【図9】図 9 は、投与からの時間(分)に対する、メマンチンと微晶質セルロース (すなわちラクトース不含) 錠剤の溶出を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 1-アミノシクロヘキサン化合物及びその薬学的に許容し得る塩より成る群から選ばれた有効成分と(ii) 場合により、薬学的に許容し得るコーティングを含む即効型経口固形投薬形において, この投薬形は用量比例性(dose-proportionality)を示し、そしてこの投薬形を適用環境に投与した後、ほぼ最初の60分以内に約80 %より大きい割合で上記有効成分を放出し、その際この投薬形は 、約2.5〜約150mgの範囲内の有効成分量(active ingredient load)と共に約2〜約8 時間以内に平均Tmax を示し、そしてこの投薬形は直接圧縮法によって得られる、上記即効型経口固形投薬形。
【請求項2】
上記経口投薬形が、この投薬形を適用環境に入れた後、最初の30分以内に約80 %より大きい割合で上記有効成分を放出する、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項3】
上記経口投薬形が、この投薬形を適用環境に入れた後、最初の15分以内に約80 %より大きい割合で上記有効成分を放出する、請求項2記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項4】
上記有効成分がメマンチン塩酸塩である、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項5】
上記有効成分がネラメキサンメシラートである、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項6】
有効成分が約2% w/w〜約20% w/wの範囲内の量で存在する、請求項4記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項7】
有効成分が約 3.2% w/w 〜 約 10% w/wの範囲内の量で存在する、請求項6記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項8】
有効成分が約 3.9% w/w〜約 8.4 % w/wの範囲内の量で存在する、請求項6記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項9】
薬学的に許容し得るコーティングがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項10】
薬学的に許容し得るコーティング がメタアクリル酸-エチルアクリレートコポリマーを含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項11】
薬学的に許容し得るコーティング が約2% w/w〜約 7% w/wの範囲内の量で存在する、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項12】
薬学的に許容し得るコーティングが約2% w/w〜約 5% w/wの範囲内の量で存在する、請求項11記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項13】
1種以上の薬学的に許容し得るキャリヤー, 賦形剤, 抗付着剤, 増量剤、安定剤, 結合剤, 着色剤, 崩壊剤, 流動促進剤及び 滑剤を更に含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項14】
薬学的に許容し得る増量剤を更に含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項15】
3% w/wより少ない範囲で付加物形成を示す、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項16】
2.5% w/wより少ない範囲で付加物形成を示す、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項17】
0.5% w/wより少ない範囲で付加物形成を示す、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項18】
薬学的に許容し得る増量剤が微晶質セルロースである、請求項14記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項19】
微晶質セルロースが約10% w/w〜約 35 % w/wの範囲内の量で存在し, そして経口固形投薬形が付加的にラクトース一水和物を含む、請求項18記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項20】
微晶質セルロースが約18% w/w〜約22% w/wの範囲内の量で存在する、請求項19記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項21】
微晶質セルロースが約20% w/w〜約 95 % w/wの範囲内の量で存在し、この際経口固形投薬形がラクトース不含である、請求項18記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項22】
微晶質セルロースが約 60% w/w〜約 90 % w/wの範囲の量で存在する、請求項21記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項23】
経口固形投薬形が 約 3 〜 約 40 Kpの範囲内の硬度を有する、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項24】
経口固形投薬形が約 4〜約 30 Kpの範囲内の硬度を有する、請求項23記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項25】
滑剤を更に含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項26】
滑剤 がステアリン酸マグネシウムである、請求項25記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項27】
ステアリン酸マグネシウムが約 0 % 〜約2% w/wの範囲内の量で存在する、請求項26記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項28】
ステアリン酸マグネシウムが約 0.2 % 〜約 0.5 % w/wの範囲内の量で存在する、請求項27記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項29】
経口固形投薬形が錠剤である、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項30】
経口固形投薬形が、
a) 約2 % w/w 〜約 10 % w/wの メマンチン塩酸塩;
b) 約2 % w/w 〜約 5 % w/wの ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
c) 約 10 % w/w〜約 35 % w/wの 微晶質セルロース;
d) 約 50 % w/w〜約 70% w/wの ラクトース一水和物;
e) 約 0 % w/w 〜約 3 % w/wの コロイド状二酸化ケイ素;
f) 約 3 % w/w 〜約 5 % w/wの タルク;及び
g) 約 0 % w/w〜約2 % w/wの ステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項31】
経口固形投薬形が、
a) 約 3.2 % w/w〜約 10 % w/wの メマンチン塩酸塩;
b) 約2 % w/w〜約 4 % w/wの ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
c) 約 18 % w/w〜約22 % w/wの 微晶質セルロース;
d) 約 65 % w/w〜約 70 % w/wの ラクトース一水和物;
e) 約 0 % w/w〜約 0.5 % w/wの コロイド状二酸化ケイ素;
f) 約 4 % w/w〜約 5 % w/wの タルク;及び
g) 約 0.2 % w/w〜約 0.5 % w/wの ステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項32】
経口固形投薬形が
a) 約2 % w/w〜約 10 % w/wの メマンチン塩酸塩;
b) 約2 % w/w〜約 5 % w/wの ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
c) 約20 % w/w〜約 95% w/wの 微晶質セルロース;
d) 約 0 % w/w〜約 3 % w/wの コロイド状二酸化ケイ素;
e) 約 0% w/w〜約 5% w/wの タルク;及び
f) 約 0 % w/w〜約2 % w/wの ステアリン酸マグネシウム.
g) 約 0% w/w〜約 3 % w/wの クロスカメロースナトリウム
を含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項33】
経口固形投薬形が、
a) 約 3.2 % w/w〜約 10 % w/wの メマンチン塩酸塩;
b) 約2 % w/w〜約 4 % w/wの ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
c) 約 60 % w/w〜約 90% w/wの 微晶質セルロース;
d) 約 0 % w/w〜約 0.5 % w/wの コロイド状二酸化ケイ素;
e) 約 4% w/w〜約 5% w/wの タルク;及び
f) 約 0.2 % w/w〜約 0.5 % w/wの ステアリン酸マグネシウム.
g) 約 1.8% w/w〜約2.2 % w/wの クロスカメロースナトリウム
を含む、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項34】
経口固形投薬形がラクトースを含まない、請求項1記載の即効型経口固形投薬形。
【請求項35】
メマンチン及び メマンチンの薬学的に許容し得る塩より成る群から選ばれた有効成分及び場合により、薬学的に許容し得るコーティングの, 請求項1〜33のいずれか1つに記載の、軽度、中等度又は重度アルツハイマー病を治療するための即効型経口固形投薬形の製造への使用。
【請求項36】
ネラメキサン及びネラメキサンの薬学的に許容し得る塩より成る群から選ばれた有効成分及び場合により、薬学的に許容し得るコーティングの, 請求項1〜3のいずれか1つに記載の、軽度、中等度又は重度アルツハイマー病を治療するための即効型経口固形投薬形の製造への使用。
【請求項37】
メマンチン及び メマンチンの薬学的に許容し得る塩より成る群から選ばれた有効成分及び場合により、薬学的に許容し得るコーティングの, 請求項1〜33のいずれか1つに記載の、神経障害性苦痛を治療するための即効型経口固形投薬形への使用。
【請求項38】
ネラメキサン及びネラメキサンの薬学的に許容し得る塩より成る群から選ばれた有効成分及び場合により、薬学的に許容し得るコーティングの, 請求項1〜3のいずれか1つに記載の、神経障害性苦痛を治療するための即効型経口固形投薬形への使用。
【請求項39】
軽度、中等度及び重度 アルツハイマー痴呆, 及び神経障害性苦痛より成る群から選ばれた障害の治療方法において, この方法が請求項1記載の即効型経口固形投薬形の投与を含む、上記治療方法。
【請求項40】
投与が1日1回である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
投与が1日2回服用である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
投薬形を約 4 時間間隔で投与する、請求項41記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−509089(P2008−509089A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516731(P2007−516731)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/021284
【国際公開番号】WO2006/096194
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(397045220)メルツ・ファルマ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト・アウフ・アクティーン (31)
【Fターム(参考)】