説明

メモリカードソケット

【課題】複数種類のメモリカードに共用でき、かつメモリカードの装着時におけるコンタクトとコンタクトパッドとの接触状態を各種のメモリカードの性能を発揮するのに適した状態とする。
【解決手段】高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持された状態では第2のコンタクトC10〜C13が第2のコンタクトパッドP10〜P13に対してリブ106,106’の幅方向に沿って弾接している。故に、高速型SDメモリカードMC2とソケット本体3との間のクリアランスや外部から加わる振動・衝撃の影響で第2のコンタクトC10〜C13と第2のコンタクトパッドP10〜P13との位置関係がリブ106,106’の幅方向(左右方向)にずれたとしても、第2のコンタクトC10〜C13(接触片80)の弾性によって位置関係のずれが修正されて第2のコンタクトパッドP10〜P13から離れることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SDメモリカード(登録商標)やマルチメディアカード(MMC)などのメモリカードを挿抜自在に接続するためのメモリカードソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型で大容量のメモリカードとしてSDメモリカードが提供されており、このようなSDメモリカードは、それを使用する電気機器(以下、ホスト機器と言う。)に搭載されたメモリカードソケットに装着されて使用される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図6(a)〜(c)は従来のSDメモリカードMC1を示し、矩形板状のカード体100の内部にフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子を収納してある。カード体100の一面には長手方向における一側(カード挿入方向の前側部)に9個のコンタクトパッドP1〜P9が短幅方向に並べて配設されている。またカード体100の長手方向に沿う両側縁には突部101が形成されるとともに、前側部の片方の角部に斜めに傾斜する切欠部102を形成してある。またカード体100の挿入方向に沿った片側縁には、後述するメモリカードソケットの係合爪が係合する係合凹所103が形成されると共に、反対側の側縁にはライトプロテクトスイッチの摘み105がスライド移動自在に配置される凹部104を設けてある。尚、コンタクトパッドP1〜P8の間には、絶縁のためのリブ106がカード体100の厚み方向に沿ってコンタクトパッドP1〜P9の表面よりも前方へ突出するように形成されている。
【0004】
SDメモリカードMC1は、動作モードを切り替えて使用することが可能であり、動作モードに応じて各コンタクトパッドP1〜P9の機能が切り替えられるようになっている。従来のSDメモリカードMC1において、データの高速転送が可能なモードでは、4個のコンタクトパッドを介してデータ転送を行っており、1クロックサイクルで4ビットのデータ転送が可能となっている。
【0005】
このようなSDメモリカードMC1は、例えばデジタルカメラやデジタルビデオカメラのような映像記録機器の記憶媒体として使用されるのであるが、近年の映像記録機器の高精細度化に伴って、記憶媒体に記憶されるコンテンツが大容量化しており、大容量のデータをリアルタイムで記録したり、或いはコンピュータなどの外部機器に転送する場合に従来のSDメモリカードMC1ではデータの転送速度が十分速いとはいえず、比較的長い時間がかかっていた。
【0006】
そこで、データの転送速度を高速化した高速型SDメモリカードMC2が提供されようとしている。図7(a)〜(c)は高速型SDメモリカードMC2の三面図であり、この高速型SDメモリカードMC2では、従来型のSDメモリカードMC1と同じ位置にコンタクトパッドP1〜P9が設けてある。またコンタクトパッドP2とP3並びにP3とP4、P5とP6、P6とP7の間を絶縁するためのリブ106’の高さを他のリブ106の高さよりも若干低くするとともに当該リブ106’の表面(上面及び側面)にそれぞれコンタクトパッドP10,P11,P12,P13が露設してある(図8参照)。
【0007】
このような高速型SDメモリカードMC2の動作モードは、従来のSDメモリカードと同様の動作を行うSDモードと、より高速のデータ転送が可能な高速モードに切り替えが可能となっており、SDモードと高速モードとで各コンタクトパッドP1〜P13の機能が切り替えられるようになっている。
【0008】
そして、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信すると共に、コンタクトパッドP12,P13が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信する。すなわち、上述のSDモードでは、4個のコンタクトパッドを用いて4ビットのデータを送受信していたが、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11の対と、コンタクトパッドP12,P13の対とを用いて2ビットのデータを送受信している。ここで、高速モードの方がSDモードよりも1クロックサイクルで伝送可能なビット数は少ないが、差動データを送受信することで動作クロックの周波数を飛躍的に高く設定できるため、高速モードではSDモードに比べて高速なデータ伝送を実現することができる。
【0009】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、従来のSDメモリカードMC1に比べて高速のデータ転送が可能になっているが、従来のSDメモリカードMC1をブリッジメディアとして使用するホスト機器が既に数多く生産されている。これらのホスト機器は、従来のSDメモリカードに対応したメモリカードソケット(以下、従来型ソケットと言う。)を採用しているため、高速型SDメモリカードMC2には、従来型ソケットに装着して、データ転送が行えるようにすることが要求されている。
【0010】
ここで、高速型SDメモリカードMC2に追加されている4つのコンタクトパッドP10〜P13が絶縁用のリブ106’の表面に露設されているので、従来型ソケットに高速型SDメモリカードMC2を装着したときに、従来のSDメモリカードMC1と共通のコンタクトパッドP1〜P9と各別に接触導通するコンタクトが高速型SDメモリカードMC2のみが有する4つのコンタクトパッドP10〜P13と接触することはなく、高速型SDメモリカードMC2を従来型ソケットに装着しても、通常通りデータ転送が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−71175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、高速型SDメモリカードMC2は従来のメモリカードMC1との寸法及び形状の互換性を保つ必要があるので、リブ106’の幅寸法を広げることができず、4つのコンタクトパッドP10〜P13の幅寸法が他の9つのコンタクトパッドP1〜P9と比べて半分以下になっている。一方、高速型SDメモリカードMC2に対応するメモリカードソケットにおいては、従来型ソケットに対して、絶縁用のリブ106’の表面に露設されている4つのコンタクトパッドP10〜P13と各別に接触導通する4つのコンタクトを追加で設ける必要があるが、コンタクトパッドP10〜P13の幅寸法が他のコンタクトパッドP1〜P9の幅寸法よりも小さいため、カード体100が挿入されたときのソケット本体との間のクリアランスや外部から加わる振動・衝撃の影響でコンタクトとコンタクトパッドP10〜P13との位置関係(特に、幅方向の位置関係)がずれて接触導通しなくなることを防止しなければならない。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、複数種類のメモリカードに共用でき、かつメモリカードの装着時におけるコンタクトとコンタクトパッドとの接触状態を各種のメモリカードの性能を発揮するのに適した状態とすることができるメモリカードソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、書換可能な不揮発性の記憶素子が内蔵される矩形板状のカード体の厚み方向の一面側に複数のコンタクトパッドを備えるとともにコンタクトパッドの配列により分類される複数種類のメモリカードを挿抜可能なカード挿入口を有し、当該カード挿入口から挿入されたメモリカードを保持するソケット本体と、ソケット本体に保持されたメモリカードの複数のコンタクトパッドと接触導通する複数のコンタクトとを備え、複数種類のメモリカードは、全ての種類で共通する第1のコンタクトパッドと、一部の種類にのみ設けられた第2のコンタクトパッドと、複数の第1のコンタクトパッドの間に突設されて第1のコンタクトパッド同士を絶縁する複数のリブとをカード体の先端側に有し、何れかのリブの表面に第2のコンタクトパッドが露設されており、前記複数のコンタクトは、第1のコンタクトパッドと接触導通する第1のコンタクトと、第2のコンタクトパッドと接触導通する第2のコンタクトとを含むメモリカードソケットであって、第2のコンタクトは、リブの幅方向に沿った側面に露出する第2のコンタクトパッドに対して当該リブの幅方向に沿って弾接することを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明によれば、第2のコンタクトパッドを有するメモリカードがソケット本体に保持された状態においては、メモリカードとソケット本体との間のクリアランスや外部から加わる振動・衝撃の影響で第2のコンタクトと第2のコンタクトパッドとの位置関係がリブの幅方向にずれたとしても、第2のコンタクトが第2のコンタクトパッドに対して前記リブの幅方向に沿って弾接しているために第2のコンタクトパッドから離れることがない。その結果、複数種類のメモリカードに共用でき、かつメモリカードの装着時におけるコンタクトとコンタクトパッドとの接触状態を各種のメモリカードの性能を発揮するのに適した状態とすることができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第2のコンタクトパッドがリブの幅方向に沿った両側面に露出しており、第2のコンタクトは、リブの幅方向に沿った一方の側面側から第2のコンタクトパッドに弾接する第1の接触片と、リブの幅方向に沿った他方の側面側から第2のコンタクトパッドに弾接する第2の接触片とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明によれば、リブの幅方向に沿って第2のコンタクトパッドの両側面に第2のコンタクトの第1および第2の接触片がそれぞれ弾接することにより第2のコンタクトパッドを第1および第2の接触片で挟持することができる。その結果、請求項1の発明と比較して第2のコンタクトが第2のコンタクトパッドから離れることをより確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数種類のメモリカードに共用でき、かつメモリカードの装着時におけるコンタクトとコンタクトパッドとの接触状態を各種のメモリカードの性能を発揮するのに適した状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態を示し、高速型SDメモリカードを装着し且つベースシェルを外した状態の平面図である。
【図2】同上のカバーシェルを外した状態の斜視図である。
【図3】同上を示し、従来型SDメモリカードを装着し且つベースシェルを外した状態の平面図である。
【図4】同上を示し、従来型SDメモリカードを装着し且つベースシェルを外した状態の一部省略した斜視図である。
【図5】同上を示し、高速型SDメモリカードを装着し且つベースシェルを外した状態の一部省略した斜視図である。
【図6】従来型のSDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
【図7】高速型SDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は表側から見た平面図、(c)はカード挿入方向から見た側面図である。
【図8】高速型SDメモリカードの一部省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、従来技術で説明した従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の2種類のメモリカードに対応可能としたメモリカードソケットの実施形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0021】
本実施形態のメモリカードソケットMSは、図2に示すようにベースシェル1およびカバーシェル(図示せず)からなる扁平な矩形箱状のソケット本体3と、複数本のコンタクトC1〜C13を保持するコンタクトブロック4と、ソケット本体3内に2種類のSDメモリカード(従来型のSDメモリカードMC1及び高速型のSDメモリカードMC2)の挿入方向に沿った前後方向で移動自在に配置され、カード挿入口3aから挿入されたSDメモリカードMCn(n=1,2)の先端側と衝合し、SDメモリカードMCnからの押力を受けてSDメモリカードMCnとともに前方に移動するスライダ5と、スライダ5を後方(カード挿入口3a側)に常時弾性付勢するコイルばね(付勢ばね)14と、スライダ5を所定位置(SDメモリカードMCnのコンタクトパッドにコンタクトが接触導通する位置)でロックし、該ロック後にSDメモリカードMCnへの押力が加わってスライダ5が前方移動するときにロックを解除するスライダロック機構SLとを主要な構成要素として備えている。なお、スライダ5やコイルばね14ならびにスライダロック機構SLについては、従来周知であるから詳細な説明を省略する。また、以下の説明では図2において前後左右上下の各方向を規定する。
【0022】
ベースシェル1は、厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工並びに曲げ加工を施すことにより形成され、左右両側部を上方に折り曲げて側片6b,6bを形成したものであり、上側および前後両側が開放されている。
【0023】
ベースシェル1の前部および左側部には、上方に突出する複数個の突出片(図示せず)が折り曲げ形成されており、これらの突出片をコンタクトブロック4の基体7下面に開口した圧入溝(図示せず)に圧入することで、ベースシェル1の上面にコンタクトブロック4が圧入固定されるようになっている。なお、ベースシェル1の前端よりやや後方には、コンタクトブロック4に保持されたコンタクトC1〜C9が下向きに撓む際の逃げとなる貫通孔11が複数形成されている。
【0024】
また、ベースシェル1の後側縁の右端には、SDメモリカードMCnの通過位置よりも外側位置から上方に突出し、さらにその先端側が前方に突出する側面視L字形の支持片12が折り曲げ形成されている。
【0025】
カバーシェルは、厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、カバーシェルの前縁からは下方に突出する曲げ片(図示せず)が折り曲げ形成されている。また、カバーシェルには、曲げ片よりもやや後端寄りの位置に、下方に突出する複数個の突出片(図示せず)が切り起こしによって形成されている。而して、上面にコンタクトブロック4の基体7が固定されたベースシェル1の上側にカバーシェルを載置して、カバーシェルの突出片をコンタクトブロック4の基体7に設けた圧入溝(図示せず)に圧入するとともに、カバーシェルの周縁部とベースシェル1との当接部位をレーザ溶接などの方法で接合することにより、カバーシェルがベースシェル1およびコンタクトブロック4に対して固定され、後面にカード挿入口3aが開口する扁平な矩形箱状のソケット本体3が構成される。
【0026】
コンタクトブロック4は上下方向から見て平面視略L字状に形成された樹脂成形品からなる基体7を備えている。この基体7は、ベースシェル1およびカバーシェルの前側辺に沿って配置されてソケット本体3の前面を閉塞する前側部7aと、前側部7aの左側端部から後方に突出し、ベースシェル1の側片6bに沿って配置される側部7bとで構成されている。また、前側部7aの後面右端には、コイルばね14の一端側を保持するばね受け(図示せず)が設けられ、コンタクトブロック4とスライダ5との間にコイルばね14が介装されている。したがって、スライダ5はコイルばね14のばね力によって常時後ろ向き(カード挿入口3aに対する反挿入向き)に弾性付勢されている。また、前側部7aの上面における前端側には下方へ後退した段部7dが設けられている。さらに、側部7bには、前後方向に沿って延び、SDメモリカードMCnの裏面と対向する段部7cが設けられている。
【0027】
さらに、基体7の前側部7aには、2種類のSDメモリカードMCnの前部裏面に共通して左右方向に並設された複数のコンタクトパッド(第1のコンタクトパッド)P1〜P9にそれぞれ接触導通する9本のコンタクト(第1のコンタクト)C1〜C9と、高速型SDメモリカードMC2の絶縁用リブ106’の表面(上面並びに左右両側面)にのみ露設された複数のコンタクトパッド(第2のコンタクトパッド)P10〜P13にそれぞれ接触導通する4本のコンタクト(第2のコンタクト)C10〜C13とが圧入または同時成形により一体に保持されている。各コンタクトC1〜C13は、弾性を有する金属板によって帯板状に形成され、前側部7aより前方に突出する部位が略鈎形に曲成されることでプリント配線板などに表面実装するための半田付端子112が形成されている。また、第1のコンタクトC1〜C9は、前側部7aより後方に突出する部位の先端部分が略へ字形に曲成されることでコンタクトパッドPn(n=1,2,…,9)に上下方向から弾接する接触部が形成されている。一方、第2のコンタクトC10〜C13は、前側部7aより後方に突出する部位が一対の接触片(第1の接触片並びに第2の接触片)80,80を有する略コ字状に形成されるとともに各接触片80,80の先端部分が略へ字形に曲成されており、リブ106’の左右両側面に露出する第2のコンタクトパッドP10〜P13に左右方向から弾接するように構成されている。
【0028】
スライダ5は合成樹脂成形品であって、SDメモリカードMCnの右側縁に沿って前後方向に移動する短冊形の側部5aと、側部5aの先端部(前端部)から側方(図2における左方)に突出してカード体100の切欠部102に当接する側部5bとが一体に形成されている。また、側部5aの内側面の下側縁には、前後方向に沿って、SDメモリカードMCnの裏面と対向する段部19が一体に突設されている。尚、側部5bの後面には、カード体100の切欠部102と略同じ角度で傾斜する傾斜面が形成されている。而して、ソケット挿入口3aよりソケット本体3内にSDメモリカードMCnが挿入されるとカード体100の切欠部102が側部5bの傾斜面と衝合し(図1及び図3参照)、カード体100からの押力を受けてスライダ5が前方に移動することになる。
【0029】
ここにおいて、SDメモリカードMC1,MC2のカード体100の一面(裏面)には、長手方向における一側(図4及び図5における上側)に8個の凹所110が短幅方向(図4及び図5における左右方向)に並設され、各凹所110の底面に第1のコンタクトパッドP1〜P9がそれぞれ配置されている。一方、高速型SDメモリカードMC2においては、各凹所110の間に設けられた突条形状のリブ106のうちで第1のコンタクトパッドP2が配置された凹所110と第1のコンタクトバッドP3が配置された凹所110の間のリブ106’、第1のコンタクトパッドP3が配置された凹所110と第1のコンタクトバッドP4が配置された凹所110の間のリブ106’、第1のコンタクトパッドP5が配置された凹所110と第1のコンタクトバッドP6が配置された凹所110の間のリブ106’、第1のコンタクトパッドP6が配置された凹所110と第1のコンタクトバッドP7が配置された凹所110の間のリブ106’の表面(上面及び左右両側面)にそれぞれ第2のコンタクトパッドP10,P11,P12,P13が露設してある(図5及び図8参照)。
【0030】
而して、高速型SDメモリカードMC2においては第1のコンタクトパッドP1〜P9に対して第2のコンタクトパッドP10〜P13がカード体100の厚み方向に沿って突出していることになる。そのため、第2のコンタクトパッドP10〜P13と各別に弾接する第2のコンタクトC10〜C13は、基体7の前側部7aに対して第1のコンタクトC1〜C9よりも下方に配置されている(図2参照)。
【0031】
次に、本実施形態のメモリカードソケットMSに2種類のSDメモリカードMC1,MC2を装着する場合の動作を説明する。
【0032】
従来型のSDメモリカードMC1が装着された場合、図3並びに図4に示すように第1のコンタクトC1〜C9は各々第1のコンタクトパッドP1〜P9に上下方向から弾接して接触導通し、第2のコンタクトC10〜C13は、凹所110の間に突設されている絶縁用のリブ106を一対の接触片80,80の間に挟み込む。このとき、従来型のSDメモリカードMC1はリブ106の表面にコンタクトパッドが露設されておらず、しかも、接触片80,80が基体7の前側部7aに対して第1のコンタクトC1〜C9よりも下方(図4においては上方)に配置されているために第1のコンタクトパッドP1〜P9の何れとも接触しないから、第2のコンタクトC10〜C13はSDメモリカードMC1との間の電気的な信号の授受に一切関与しない。
【0033】
一方、高速型のSDメモリカードMC2が装着された場合、図1並びに図5に示すように第1のコンタクトC1〜C9が各々第1のコンタクトパッドP1〜P9に上下方向から弾接して接触導通するとともに、第2のコンタクトC10〜C13が凹所110の間に突設されている絶縁用のリブ106’を一対の接触片80,80の間に挟み込むようにして当該リブ106’の左右両側面に露出している第2のコンタクトパッドP10〜P13に左右方向から弾接して接触導通する。このとき、第2のコンタクトC10〜C13における各一対の接触片80,80がリブ106’の幅方向に沿って当該リブ106’の側面に露出する第2のコンタクトパッドP10〜P13と幅方向(左右方向)から弾接しているので、第2のコンタクトC10〜C13と第2のコンタクトパッドP10〜P13との幅方向(左右方向)における位置関係のずれが規制されることになる。
【0034】
ここで、接触片80,80におけるカード挿入口3a寄りの先端側の対向距離が第2のコンタクトパッドP10〜P13に弾接する部位の対向距離よりも大きくなっているので、ソケット挿入口3aから挿入されるSDメモリカードMC1,MC2のリブ106,106’を接触片80,80の間に案内することができて装着時の操作性が向上できるという利点がある。
【0035】
上述のように本実施形態のメモリカードソケットMSは、高速型SDメモリカードMC2が装着されると当該高速型SDメモリカードMC2の第1および第2のコンタクトパッドP1〜P13にそれぞれ第1および第2のコンタクトC1〜C13が接触導通し、従来型のSDメモリカードMC1が装着されると当該従来型のSDメモリカードMC1の第1のコンタクトパッドP1〜P9にそれぞれ第1のコンタクトC1〜C9のみが接触導通して第2のコンタクトC10〜C13が第1のコンタクトパッドP1〜P9の何れとも接触導通しないから、従来型と高速型の2種類のSDメモリカードMC1,MC2に共用することが可能である。しかも、第2のコンタクトパッドP10〜P13を有する高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持された状態においては、高速型SDメモリカードMC2とソケット本体3との間のクリアランスや外部から加わる振動・衝撃の影響で第2のコンタクトC10〜C13と第2のコンタクトパッドP10〜P13との位置関係がリブ106,106’の幅方向(左右方向)にずれたとしても、弾性を有する金属板で形成されている第2のコンタクトC10〜C13が第2のコンタクトパッドP10〜P13に対して前記リブ106,106’の幅方向に沿って弾接しているため、第2のコンタクトC10〜C13(接触片80)の弾性によって位置関係のずれが修正されて第2のコンタクトパッドP10〜P13から離れることがない。その結果、従来型と高速型の2種類のSDメモリカードMC1,MC2に共用でき、かつ高速型SDメモリカードMC2の装着時における第2のコンタクトC10〜C13と第2のコンタクトパッドP10〜P13との接触状態を各種のSDメモリカードMC1,MC2の性能を発揮するのに適した状態とすることができる。特に本実施形態においては、リブ106’の幅方向に沿って第2のコンタクトパッドP10〜P13の両側面に第2のコンタクトC10〜C13の一対の接触片80,80をそれぞれ弾接させているので、第2のコンタクトパッドP10〜P13を一対の接触片80,80で左右方向から挟持することができる。その結果、第2のコンタクトC10〜C13を単一の接触片80で構成して第2のコンタクトパッドP10〜P13の片側の側面にのみ弾接させる場合と比較して第2のコンタクトC10〜C13が第2のコンタクトパッドP10〜P13から離れることをより確実に防ぐことができるという利点がある。
【符号の説明】
【0036】
MS1 メモリカードソケット
3 ソケット本体
80 接触片(第1および第2の接触片)
C1〜C9 第1のコンタクト
C10〜C13 第2のコンタクト
MC2 高速型SDメモリカード
106’ リブ
P1〜P9 第1のコンタクトパッド
P10〜P13 第2のコンタクトパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書換可能な不揮発性の記憶素子が内蔵される矩形板状のカード体の厚み方向の一面側に複数のコンタクトパッドを備えるとともにコンタクトパッドの配列により分類される複数種類のメモリカードを挿抜可能なカード挿入口を有し、当該カード挿入口から挿入されたメモリカードを保持するソケット本体と、ソケット本体に保持されたメモリカードの複数のコンタクトパッドと接触導通する複数のコンタクトとを備え、
複数種類のメモリカードは、全ての種類で共通する第1のコンタクトパッドと、一部の種類にのみ設けられた第2のコンタクトパッドと、複数の第1のコンタクトパッドの間に突設されて第1のコンタクトパッド同士を絶縁する複数のリブとをカード体の先端側に有し、何れかのリブの表面に第2のコンタクトパッドが露設されており、
前記複数のコンタクトは、第1のコンタクトパッドと接触導通する第1のコンタクトと、第2のコンタクトパッドと接触導通する第2のコンタクトとを含むメモリカードソケットであって、
第2のコンタクトは、リブの幅方向に沿った側面に露出する第2のコンタクトパッドに対して当該リブの幅方向に沿って弾接することを特徴とするメモリカードソケット。
【請求項2】
第2のコンタクトパッドがリブの幅方向に沿った両側面に露出しており、第2のコンタクトは、リブの幅方向に沿った一方の側面側から第2のコンタクトパッドに弾接する第1の接触片と、リブの幅方向に沿った他方の側面側から第2のコンタクトパッドに弾接する第2の接触片とを有することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−267137(P2010−267137A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118937(P2009−118937)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】