説明

メモリカード内容の無線伝送のためのアダプタ及び方法

本発明は、メモリカード内容の無線伝送のためのアダプタ(1)に関し、このアダプタは、メモリカード(72)の接触片(721)のための受け口(2)とメモリカード(72)の接触片に対応する接触片(3)とを有し、スプリッタ(5)と、直列接続アンテナ(42)を伴うトランスミッタ(41)とを含む。本発明はさらに、取り外し可能なメモリモジュール(72)を有する持ち運び可能な装置(7)からビデオ及び/又はオーディオ信号を再生機器(9)へ伝送するための方法に関し、この方法では、メモリモジュール(72)と持ち運び可能な装置(7)のモジュールスロット(71)との間にアダプタ(1)が配され、このアダプタが、その作用を呈することなく、メモリモジュール(72)と持ち運び可能な装置(7)との間のデータフローを、再生機器(9)に接続されたレシーバ(8)に付加的に無線形態で伝送する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード内容の無線伝送のためのアダプタ及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用CE(家電)機器のマーケットは着実に伸びている。特にオーディオ及びビデオ装置の分野では、かなりの急成長が見込まれる。ディジタル写真技術の分野は、ここで述べることのできる1つの例である。専門職の写真家の高級な機器が出ると、全てのレベルの写真技術につきディジタルカメラが登場した。その人自身がディジタルカメラと呼ぶことができない人はあまりいない。ディジタルカメラの重要な利点は、フィルムが不要な点である。写真は、交換可能なメモリーカードにおいてディジタルデータの形式で記憶される。この記憶されたデータは、その後に鑑賞のため又はさらなる処理のためにコンピュータにダウンロードされることが可能である。さらに、テレビジョンセット又はモニタに特定のケーブルを経由して当該カメラを接続し、その後そこで当該写真を鑑賞することが可能である。この手順は、ある点ではそのケーブル配線が複雑となることがよくあり、他の点ではそのようなケーブルの長さに限界があり、当該カメラ及びそのユーザはモニタ又はテレビジョンセットの間近に居続けなければならないので、非常に不経済であることを証明するものである。
【0003】
米国特許出願に係る文献のUS2002/0174337A1は、再書き込み可能なメモリ(フラッシュRAM)に加えてデータを無線で伝送することを可能とする通信ユニットを有するメモリカードを開示している。さらに、当該カードにはコントローラが配され、これを介して、当該通信ユニットを介したメモリへの直接のアクセスが可能なものとされる。データ伝送を保護するため、メモリと通信ユニットとの間に符号化及び復号化ユニットが設けられる。しかしながら、当該カードの複雑な構成のため、これは、特に現行の慣例的メモリカードと置き換わるという事実のため、コスト高である。大メモリ容量が必要であれば、複数のこのようなカードを持ち合わせておく必要が生じ、今度はコスト面で不利な効果を呈することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の意図は、この状況に対処することである。本発明の目的は、合理的なコストで製造が可能で従来のメモリカードの継続使用を可能とするカード内容の無線伝送のためのアダプタを生産することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、メモリカードの接触片(コンタクトピース)の端子(受け口)とメモリカードのものに対応する接触片とを有し、スプリッタの他、直列接続アンテナとともにトランスミッタを有する送信ユニットを含むアダプタにより上記目的を達成する。
【0006】
本発明により、メモリカード内容の無線伝送のためのアダプタが生産され、合理的コストで製造可能であり、従来のメモリカードの継続使用を可能とする。この効果は、特に、当該アダプタが従来のメモリカードとオーディオ又はビデオ装置の対応スロットとの間に配され、直列接続アンテナを備えたトランスミッタを有する送信ユニットに対するメモリカードとオーディオ又はビデオ装置との間のデータフローがコピーされる。本発明のさらなる利点は、当該ユーザがメモリカード内容の出力デバイスに対する伝送のために何ら新しい動作機能を学ぶ必要がないことである。
【0007】
ユーザはろしろ、自分が親しんでいる携帯用又は持ち運び可能型装置の動作機能を用い、これにより得られるデータフローがコピーされ再生機器に転送される。
【0008】
本発明の他の態様において、当該アダプタは、バッファメモリを有する。これにより、2つのデータフロー、例えばバッファ処理されるべき2つの画像の間の間隔を可能とする。1つの画像がロードされている間、前の画像が当該バッファから再生機器(例えばテレビジョンセット)への転送が継続可能となる。
【0009】
トランスミッタは、ブルートゥース規格に準拠するのが好ましい。この無線伝送規格は、低エネルギ消費の他に、10メートルまでの範囲を可能とする。さらに、この規格は、送信ユニット及び受信ユニットの製造を合理的なコストで実現する。IEEE802.11(WLAN)又はジグビー(商標)規格に準拠したトランスミッタが適切な代替例である。
【0010】
アダプタの端子(受け口)は、種々のタイプのメモリカードのためのマルチカードスロットの形を採るのが有利である。これにより、同一のアダプタによって複数の異なるメモリカードの使用が可能となる。
【0011】
本発明の他の態様において、アダプタは、コントローラを有し、接触片を経て制御されることが可能で、これを介して送信ユニットがオンオフ切り換わることができる。これにより、使用していないときにはアダプタの非活性化(機能停止)を可能とし、その結果として一方では電力消費が減り他方では望ましくないデータ伝送を回避することができる。
【0012】
本発明の一実施例において、送信ユニットの送信チャネルは、コントローラにより調整可能である。これにより、例えば干渉又はノイズの影響がある場合にチャネル変更が可能となる。
【0013】
本発明の他の目的は、取り外し可能なメモリモジュールを有する持ち運び可能な装置からのビデオ及び/又はオーディオ信号を再生機器へ伝送する方法であって、合理的コストで実現可能とし、従来のメモリカードの継続使用を可能とするものを提供することである。本発明によれば、この目的は、メモリモジュールと持ち運び可能な装置のモジュールスロットとの間でアダプタが配され、このアダプタがメモリモジュールと持ち運び装置との間のデータフローを、それに対する影響を呈することなく、再生機器と結合されたレシーバに付加的に無線の態様で伝送することによって達成される。
【0014】
本発明は、取り外し可能なメモリモジュールを備えた持ち運び可能装置からのビデオ及び/又はオーディオ信号の再生機器への伝送のための方法であって、合理的なコストで実現することができ、従来のメモリカードの継続使用を可能とするものを提供する。
【0015】
本発明の一実施例においては、レシーバは、データを受信する際に再生のために必要な動作状態に自動的に切り換えられるという態様で再生機器に接続される。これにより、さらなる動作ステップが当該再生機器に必要さなることなくデータの便利な再生が可能となる。
【0016】
レシーバは、伝送信号が規定の期間の間無い場合には低消費モードに自動的に切り換えられるのが有利である。これにより、不要な電力消費が回避され、ここでもコストを最小限にとどめる効果を奏する。
【0017】
本発明の他の態様及び実施例は、その他の従属請求項に規定されている。本発明のこれらの態様及びその他の態様は、以下に説明される実施例に基づいて明瞭となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
模範的実施例として選ばれたアダプタ1は、ほぼ立方体の構造となっている。コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カードのスロット2は、このアダプタの一方の横側に配される。反対の横側において、アダプタは、当該CFカードの接触片(コンタクトピース)と一致する接触片3を有する。
【0019】
直列接続アンテナ42とともにトランスミッタ41を有する送信ユニット4は、このアダプタの内部に配される。さらに画像データをバッファ処理するために、バッファメモリ43が送信ユニット4に設けられる。このバッファメモリは、最大の解像度でカメラ7の2つの画像を保持することができるような大きさとなっている。スプリッタ5は、送信ユニット4の上流に接続される。このスプリッタの機能は、データフローを複製しそれを送信ユニット4に中継することである。送信ユニット4の上流では、コントローラ6も接続されている。コントローラ6によって、送信ユニット4のチャネルが変化可能となっており、送信ユニット4はそれ自身、オンオフ切り替わり可能である。コントローラは、接触片3を経由して制御される。
【0020】
図2による模範的実施例においては、アダプタ1は、ディジタルカメラ7のスロット71に挿入される。アダプタ1のスロット2においては、メモリカード(CFカード)72が設けられる。画像がメモリカード72からカメラ7を介してロードされると、メモリカード72とカメラ7との間のデータフローは、送信ユニット4に対してアダプタ1のスプリッタ5によりコピーされ、当該データをバッファ43に送り、それをアンテナ42を介して送信する。オーディオ及び/又はビデオデータとは別に、かかるデータフローは、記録時間、解像度、分析(interpret)などのいわゆる「メタデータ」を付加的に含むことができる。
【0021】
送信データは、レシーバ8のアンテナ81を通じて受信され、送信ユニット4の送信チャネルにセットされる。この模範的実施例では、トランスミッタ及びレシーバは、ブルートゥース規格に準拠する。送信ユニット4の送信チャネルは、アダプタの入力装置9(図示せず)によって調整可能である。トランスミッタ及びレシーバの同一性の承認は、慣例的なブルートゥースペアリングプロシージャ(Bluetooth pairing procedure)により行われる。レシーバにより受信されたデータパケットは、トランスミッタに対するいわゆる「アクノリッジメッセージ」によって承認され、データの損失を回避する。
【0022】
受信データは、SCARTケーブル82を介してレシーバ8からテレビジョンセット9に転送され、当該テレビジョンセットは、そのスクリーン91に対応の画像を再生する。この模範的実施例においては、SCARTプラグは、「フィードスループラグ」の形態を採り、すなわち当該プラグがそのハウジングの反対側にSCARTソケットを有し、その結果としてテレビジョンセットのSCARTスロットが、ケーブルを替える必要なくビデオレコーダのために用いることができる。
【0023】
テレビジョンセットのSCART接続を介して、データを記録する際にはテレビジョンセットがオーディオ/ビデオ(AV)モードに自動的に切り換えられ、伝送された画像がスクリーン91に表示される。画像のデータは、他のデータシーケンスがバッファ43に記憶されるまで、バッファ43を介して送信ユニット4から伝送される。これ以降、新しい画像のデータが送信され、先行の画像により占められるメモリ領域が新しい記憶のためにクリアされる。
【0024】
或いは、バッファ43をレシーバ8に配することができる。その場合、メモリカード72とスロット71との間に存在するデータフローは、カメラ7により正確に伝送される。レシーバ8は、当該バッファにおいてデータを適切にバッファ処理し、それをそこからテレビジョンセット9へ中継する。レシーバ8がデータを受信しない場合は、次のデータ受信までバッファ内容がテレビジョンセット9に継続して中継される。レシーバ8は、テレビジョンセット9に一体化させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】アダプタの概略的代表例を示す図。
【図2】アダプタを用いた無線伝送の構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0026】
1…アダプタ
2…スロット
3…接触片
4…送信ユニット
5…スプリッタ
6…コントローラ
7…ディジタルカメラ
8…レシーバ
9…テレビジョンセット
41…トランスミッタ
42…アンテナ
43…バッファ
71…スロット
72…メモリカード
721…接触片
81…アンテナ
82…SCARTケーブル
91…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリカード内容の無線伝送のためのアダプタであって、メモリカードの接触片のための受け口と前記メモリカードの接触片に対応する接触片とを有し、スプリッタと、直列接続アンテナとともにトランスミッタを有する送信ユニットとを含むアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載のアダプタであって、バッファメモリを有するアダプタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアダプタであって、前記送信ユニットは、ブルートゥース規格に準拠している、アダプタ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のアダプタであって、前記送信ユニットは、ジグビー規格に準拠している、アダプタ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のアダプタであって、前記送信ユニットは、IEEE802.11(WLAN)規格に準拠している、アダプタ。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちいずれか1つに記載のアダプタであって、前記受け口は、種々のタイプのメモリカードのためのマルチカードスロットの形態を採る、アダプタ。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちいずれか1つに記載のアダプタであって、前記接触片を経由して制御可能なコントローラを有し、当該接触片を介して前記送信ユニットがオンオフ切り換えられることを可能とした、アダプタ。
【請求項8】
請求項7に記載のアダプタであって、前記送信ユニットの送信チャネルは、前記コントローラにより調整可能である、アダプタ。
【請求項9】
取り外し可能なメモリモジュールを有する持ち運び可能な装置からビデオ及び/又はオーディオ信号を再生機器へ伝送するための方法であって、前記メモリモジュールと前記持ち運び可能な装置のモジュールスロットとの間にアダプタが配され、このアダプタが、その作用を呈することなく、前記メモリモジュールと前記持ち運び可能な装置との間のデータフローを、前記再生機器に接続されたレシーバに付加的に無線形態で伝送する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記持ち運び可能な装置は、ディジタル写真カメラであり、前記取り外し可能なメモリモジュールは、コンパクトフラッシュ(登録商標)カードであり、前記再生機器は、テレビジョンセットである、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記持ち運び可能な装置は、ディジタルオーディオ装置であり、前記取り外し可能なメモリカードは、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カード又はセキュアディジタル(メモリ)(SD)カードであり、前記再生機器は、オーディオ増幅器である、方法。
【請求項12】
請求項9ないし11のうちいずれか1つに記載の方法であって、前記レシーバは、データを受信する際に当該再生に必要な動作状態に自動的に切り換えられるように前記再生機器と接続される、方法。
【請求項13】
請求項9ないし11のうちいずれか1つに記載の方法であって、前記レシーバは、規定の期間において送信信号がない場合に自動的に低消費モードに切り換えられる、方法。
【請求項14】
請求項9ないし13のうちいずれか1つに記載の方法であって、前記データ伝送は、ブルートゥース規格、ジグビー規格又はIEEE802.11(WLAN)規格に準じて行われる、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−508604(P2007−508604A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527536(P2006−527536)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051777
【国際公開番号】WO2005/032071
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】