説明

メモリカード切り替え装置

【課題】
メモリカードを使うデバイス側の回路に手を入れることなく、複数のメモリカードをデバイスに接続でき、それらを手動差し替えでなく電子的に切り替えることができるようにする。
【解決手段】
データバスおよび電源がメモリカード間で直結されており、クロックラインのみフォトMOSリレーで切り替え、排他的に一枚のみにクロックが共有されるようにするとともに、フォトMOSリレーの出力から2KΩ前後のダンピング抵抗と10KΩ前後のプルアップ抵抗を介してメモリカードへクロックを共有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のメモリカードを切り替えて使用するのに好適な、切り替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SDメモリカードはディジタルカメラや携帯電話など、広範囲のモバイル機器において、大容量のデータを保存できる不揮発ストレージとして利用されている。現在のSDカード容量は数十GBに達しているが、ハイビジョンクラスの解像度の動画などを保存すると数時間が限界であり、野外利用の場合など十分に事足りているわけではない。
【0003】
しかし容量不足については複数のメモリカードを用いれば対応できる。メモリカードのバス・プロトコルも複数カードをサポートしているので、複数カードをサポートできるカード・コントローラを搭載し、かつカード・スロットを複数持つ機器であれば、対応可能である。
【0004】
しかし、多くのデバイスでカード・スロットは一つしかサポートしておらず、かつ、複数カード用のプロトコルをサポートしていないカード・コントローラが使われる場合も多い。
【0005】
そのようなデバイスで複数カードを使用しようとすると、手動でカードを抜き差しして入れ替えるか、カード・コントローラ(LSI)を入れ替えて複数のカード・スロットを増設するしかない。前者は不便であるとともに自動長時間撮影などに対応できず、後者はデバイス回路の抜本的な作り変えが必要となる。
【0006】
そこで、デバイスの回路は基本的にそのままとし、そこに追加回路を増設する形にできるとともに、電子的な自動カード切り替えが可能なカード増設方式をとりたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デバイスおよびその内部のカード・コントローラを改変することなく、複数のメモリカードを接続可能にするとともに、それらを手動差し替えではなく電子的に切り替え可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数メモリカードのデータバス・ラインと電源は直結して共通化し、クロックラインのみを電子的に切り替える。すなわち、カード・コントローラから供給されるクロックが単一のメモリカードのみへ伝播するようにする。
【0009】
ここで,クロックラインの切り替えはAND,OR,マルチプレクサ等の論理ゲートや、P−chFET,N−chFETではなく、半導体リレーの一種であるフォトMOSリレーを用いて行う。なおかつ、フォトMOSリレーの遮断時のリーク電流を減衰するためのダンピング抵抗と、プルアップ抵抗を用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、デバイスおよびその内部のカード・コントローラを変更することなく、複数のメモリカードを電子的に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態のメモリカード切り替え装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、本発明について説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明にかかるカード切り替え装置は、メモリカードを使用するデバイス101に接続して使用する。デバイス内部にはメモリカード・コントローラ102があり、ここから出る電源および信号ラインがメモリカードにつながる。N枚のメモリカード106、110、114のデータバス、電源およびグランドは、そのままメモリカード・コントローラと直結する。メモリカード・コントローラからのクロック信号は、それぞれフォトMOSリレー103、107、111に接続される。フォトMOSリレーから出力されたクロック信号は、抵抗104、108、112を介して各メモリカードに接続される。また、抵抗105、109、113によって電源へプルアップされる。
【0014】
通常の電子回路でこのような切り替えを行う場合には、ANDゲート、ORゲート、セレクタなどの論理回路が用いられる。または、N−chFETやP−chFETによるスイッチ回路も用いられる。
【0015】
しかし実際には、これらの方法でメモリカードを切り替えることができない。とくに、単一方向への信号伝播のみを想定していたり、信号の電圧レベルが伝播できない方法では動作しないことが実験から判明している。
【0016】
本発明の特徴の一つとして、アナログスイッチの一種であるフォトMOSリレーを切り替えに用いる点が挙げられる。
【0017】
しかし実際には、単にフォトMOSリレーを用いるだけではメモリカードの切り替えができない。フォトMOSリレーでは、遮断時にも数uAのリーク電流があり、これによって遮断したいメモリカードが反応してしまうからである。
【0018】
本発明の他の特徴として、ダンピング抵抗によってフォトMOSリレーの遮断時リーク電流を減衰させるとともに、プルアップ抵抗により導通時のレベルを保つ点が挙げられる。
【0019】
具体的には、ダンピング抵抗は1KΩ〜3KΩ、プルアップ抵抗は4.7KΩ〜47KΩの範囲であり、とくにダンピング抵抗が2KΩ前後、プルアップ抵抗が10KΩ前後の場合に温度条件等の環境変化に強くなる。
【0020】
また、フォトMOSリレーの出力をプルダウン抵抗でグランドに接続してもよい。
【0021】
上述のように、本実施の形態によれば、メモリカードを使うデバイス側の回路に手を入れることなく、複数のメモリカードをデバイスに接続でき、それらを手動差し替えでなく電子的に切り替えることができる。
【0022】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記に応じて限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0023】
101 デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリカードを電子的に切り替えて選択的に1枚を選ぶ装置で、
データバスおよび電源がメモリカード間で直結されており、クロックラインのみを切り替えて、排他的に一枚のみにクロックが共有されるようにする
ことを特徴とするメモリカード切り替え装置。
【請求項2】
前記メモリカード切り替え装置で、
クロックラインの切り替え回路がフォトMOSリレーである
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリカード切り替え装置。
【請求項3】
前記メモリカード切り替え装置で、
フォトMOSリレーの出力とメモリカードのクロック入力がダンピング抵抗を介して接続され、かつメモリカードのクロック入力がプルアップ抵抗を介して電源に接続される
ことを特徴とする請求項2に記載のメモリカード切り替え装置。
【請求項4】
前記メモリカード切り替え装置で、
ダンピング抵抗が1KΩ〜3KΩ、プルアップ抵抗が4.7KΩ〜47KΩである
ことを特徴とする請求項3に記載のメモリカード切り替え装置。
【請求項5】
前記メモリカード切り替え装置で、
ダンピング抵抗が2KΩ、プルアップ抵抗が10KΩである
ことを特徴とする請求項4に記載のメモリカード切り替え装置。
【請求項6】
前記メモリカード切り替え装置で、
フォトMOSリレーの出力とメモリカードのクロック入力が接続され、
かつメモリカードのクロック入力がプルダウン抵抗を介してグランドに接続される
ことを特徴とする請求項2に記載のメモリカード切り替え装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−238156(P2012−238156A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106388(P2011−106388)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】