説明

メモリカード接続装置

【課題】ハウジングと扉体との連結部の破損が抑えられるメモリカード接続装置を提供する。
【解決手段】メモリカードMCが挿入されるスロット10が底面に開口した接続凹部11を有するハウジング1と、ハウジング1に対して回転自在に取り付けられ接続凹部11を開閉する扉体2とを備える。ハウジング1は周方向の一部に切欠が設けられた筒状の軸受け部12を有し、扉体2に設けられた円柱形状の軸部22が上記の切欠を通じて軸受け部12に嵌め込まれることで扉体2はハウジング1に対して回転可能となっている。扉体2が開く方向に力を受け続けた場合に軸部22に作用する力の向きを、軸受け部12に嵌め込まれる向きの逆向きとした。連結部である軸部22や軸受け部12が破損するよりも先に扉体2がハウジング1から外れることになるから破損が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、メモリカードが接続されるメモリカード接続装置が提供されている。この種のメモリカード接続装置としては、例えば、接続されたメモリカードに対する読み書きを外部装置との通信内容に応じて行うリーダライタやデータロガーなどがある。
【0003】
さらに、この種のメモリカード接続装置として、メモリカードが挿抜されるスロットが底面に開口した接続凹部を有するハウジングと、接続凹部を開放しメモリカードの挿抜を可能とする開位置と接続凹部を覆いメモリカードの挿抜を不可能とする閉位置との間でハウジングに対して回転可能に取り付けられた扉体とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。上記のメモリカード接続装置によれば、スロットへの埃等の異物の進入を扉体によって抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−95869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のメモリカード接続装置では、開位置にある扉体に対し、閉位置から開位置に変位させる方向の力をさらに加えた場合、扉体とハウジングとの連結部が破損し、再び扉体をハウジングに装着することができなくなる可能性があった。
【0006】
そして、扉体が装着されていない場合、スロットに埃等の異物が入ってしまう可能性や、メモリカードの読み書き中にメモリカードが抜かれてしまう可能性が高くなる。
【0007】
ここで、閉位置にある扉体によって押し込まれる押釦を上記の接続凹部の内部に有し、この押釦が押し込まれている期間(つまり扉体が閉位置にある期間)にのみメモリカードの読み書きが可能となるように回路が構成されたメモリカード接続装置もある。この場合、メモリカードの読み書き中にメモリカードが抜かれてしまうことは防止できるものの、上記のように扉体をハウジングに装着することができなくなった状態ではメモリカードの読み書きが不可能となってしまう。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、ハウジングと扉体との連結部の破損が抑えられるメモリカード接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のメモリカード接続装置は、メモリカードが挿入されるスロットが底面に開口した接続凹部を有するハウジングと、前記ハウジングに対して取り付けられ前記接続凹部を開閉する扉体とを備え、前記ハウジングは、周方向の一部に切欠が設けられた筒状であって該切欠の幅を広げるように弾性変形が可能な軸受け部を有し、前記扉体は、それぞれ前記軸受け部に対し前記切欠を通じて嵌め込まれる少なくとも1個の円柱形状の軸部と、前記各軸部にそれぞれ連結された本体部とを有し、前記軸受け部内での前記各軸部の回転に伴って、前記本体部により前記接続凹部を閉塞する閉位置と、前記接続凹部を開放するとともに前記本体部を前記ハウジングに当接させる開位置との間で、前記ハウジングに対して回転自在であって、前記扉体を前記閉位置から前記開位置に変位させる向きに回転させる力が前記開位置にある前記扉体に加えられたときに前記本体部と前記ハウジングとの当接により上記の力が変換されて前記各軸部にそれぞれ作用する力の向きが、前記各軸部をそれぞれ前記軸受け部に嵌め込む向きに対して逆向きとなっていることを特徴とする。
【0010】
このメモリカード接続装置において、前記各軸部は、それぞれ、軸方向の両端部において前記本体部に連結されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開位置にある扉体に対してさらに開く方向の力が加わった場合には、軸部や軸受け部が破損するよりも先に扉体がハウジングから外れることになるから、ハウジングと扉体との連結部(すなわち軸部及び軸受け部)の破損が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態において図5のA−A断面の要部を示す断面図である。
【図2】同上を示す斜視図である。
【図3】同上において扉体が取り外された状態を示す斜視図である。
【図4】同上の扉体を示す斜視図である。
【図5】同上の要部を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態は、図2及び図3に示すように、メモリカードMCが挿入されるスロット10が底面に開口した接続凹部11を有するハウジング1と、ハウジング1に対して取り付けられ接続凹部11を開閉する扉体2とを備える。ハウジング1と扉体2とはそれぞれ例えば合成樹脂からなる。
【0015】
メモリカードMCは、扁平な外形を有し、内部に半導体メモリのような記憶手段(図示せず)を有するとともに、この記憶手段にアクセスするための複数個の端子(図示せず)が一面に設けられたものである。このようなメモリカードMCとしては例えばSDメモリカードやマルチメディアカードがある。スロット10内には、それぞれ例えば金属のような導電材料からなりメモリカードMCの端子に対して一対一に接触導通する複数個のコンタクト(図示せず)が保持されている。
【0016】
さらに、ハウジング1には、外部装置(図示せず)に一端が接続される信号線の他端に設けられたプラグ(図示せず)が挿入接続されるレセプタクル31,32が保持されている。上記の外部装置としては例えば各種の測定装置やパーソナルコンピュータなどが考えられる。また、上記の信号線としては例えばLANケーブルやRS232Cケーブルを用いることができる。さらに、ハウジング1には、上記の信号線とプラグとレセプタクル31,32とを介して上記の外部装置から受信される信号に応じて上記のコンタクトを介してメモリカードMCに対する読み書きを行うリーダライタ回路(図示せず)が収納されている。上記のようなレセプタクル31,32やリーダライタ回路は周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。
【0017】
以下、上下左右は図2を基準とし、スロット10からメモリカードMCが抜かれる方向(図2での左下方向)を前方と呼ぶ。つまり、接続凹部11及びスロット10はそれぞれハウジング1の前面に開口している。また、扉体2の形状については、図2のように接続凹部11を閉塞した状態(後述する閉位置にある状態)での向きを基準として説明する。
【0018】
扉体2は、図4に示すように、接続凹部11内に収まる扁平な寸法形状の本体部21と、それぞれ本体部21の左端部(図4での右端部)に連結され互いに同一直線上に中心軸を有する円柱形状の2個の軸部22とを有する。より具体的には、本体部21の左端部(図4での右端部)の後面には3個の連結凸部21aが上下に並べて後方へ突設されており、各軸部22はそれぞれ連結凸部21a間に架設されている。
【0019】
また、ハウジング1において、接続凹部11の底面の左端部には、各軸部22に対して軸受け凸部12a,12bが2個ずつ設けられている。各軸受け凸部12a,12bはそれぞれ軸部22の外径に略等しい内径を有し軸方向を上下方向に向けた半円筒形状であり、全ての軸受け凸部12a,12bの中心軸は同一直線上に並んでいる。さらに、4個の軸受け凸部12a,12bのうち、上下両端に位置する2個の軸受け凸部(以下、「第1軸受け凸部」と呼ぶ。)12aはそれぞれ左側に開口し、残り2個の(つまり内側に位置する)軸受け凸部(以下、「第2軸受け凸部」と呼ぶ。)12bはそれぞれ前方に開口している。そして、各軸部22に対し、それぞれ1個ずつの第1軸受け凸部12aと軸受け凸部12bとが、全体として左前方に開口し幅が軸部22の外径よりも小さい切欠を有する円筒形状の軸受け部12を構成している。
【0020】
ハウジング1に対して扉体2を取り付ける際には、各軸部22をそれぞれ左前方から軸受け部12に押し込む。すると、各第1軸受け凸部12aの弾性変形によって各軸部22がそれぞれ軸受け部12に導入される。各軸部22がそれぞれ完全に押し込まれて各第1軸受け凸部12aがそれぞれ弾性復帰すると、各軸部22はそれぞれ図1及び図5に示すように軸受け部12に嵌め込まれた形となり、ここにおいて扉体2はハウジング1に対して軸受け部12の中心軸周り(すなわち各軸受け凸部12a,12bの中心軸周り)に回転可能に連結される。
【0021】
上記の連結を維持したままでの扉体2のハウジング1に対する可動範囲は、上方から見て反時計回り方向については図2に示すように本体部21の右端部の後面が接続凹部11の底面に当接する位置(以下、「閉位置」と呼ぶ。)までとなり、上方から見て時計回り方向については本体部21の左端部がハウジング1に当接する位置(以下、「開位置」と呼ぶ。)までとなる。
【0022】
扉体2が閉位置にある状態では、接続凹部11が扉体2の本体部21によって閉塞され、つまり前方から見てスロット10が扉体2の本体部21によって覆われるから、スロット10に対するメモリカードMCの挿抜が不可能となる。また、少なくとも扉体2が開位置にある状態では、接続凹部11が開放されて前方から見てスロット10が露出し、スロット10に対するメモリカードMCの挿抜が可能となる。つまり、各軸部22の軸受け部12内での回転に伴って、本体部21による接続凹部11の開閉がなされる。
【0023】
また、本実施形態では、扉体2の本体部21の右下端部(図4での左下端部)の後面に円柱形状の突起(以下、「開閉認識用突起」と呼ぶ。)23が突設されるとともに、接続凹部11内には、扉体2が閉位置にあるときに開閉認識用突起23によって押操作される押釦スイッチ(以下、「開閉認識用スイッチ」と呼ぶ。)13が保持されている。そして、スロット10に挿入されたメモリカードMCに対する読み書きを行う上記のリーダライタ回路は、開閉認識用スイッチ13が押操作されていない期間(すなわち、扉体2が閉位置にない期間)にはメモリカードMCに対する読み書きを一切行わないように構成されている。ここで、メモリカードMCに対する読み書きが行われている最中にメモリカードMCが抜かれると、メモリカードMC内のデータが破損される可能性がある。本実施形態では、上記のように扉体2が閉位置にある期間にしかメモリカードMCの読み書きが行われないことにより、メモリカードMCに対する読み書きが行われている最中にメモリカードMCが抜かれることが防止される。
【0024】
さらに、本実施形態では、閉位置にある扉体2が勝手に回転することがないようにロック機構が設けられている。具体的には、接続凹部11の底面の上下両端には、それぞれハウジング1内の空間に連通した係止穴11aが設けられている。さらに、扉体2において本体部21の上下両端には、それぞれ係止片24が後方へ突設されている。各係止片24は、それぞれ、上下方向に扁平であって、後端部を本体部21に対して上下に変位させるように弾性変形可能となっている。さらに、各係止片24において上下方向の外向きの面の後端部には、それぞれ係止凸部24aが上下方向の外向きに突設されている。扉体2が閉位置にある状態では各係止凸部24aがそれぞれ係止穴11aの後側の開口縁(ハウジング1の内面)に係止されることで、扉体2の回転が防止される。また、各係止凸部24aは、前端部及び後端部がそれぞれ前後方向の端に向かって突出寸法を小さくするように傾斜した傾斜面を構成しており、扉体2の開閉の過程では、接続凹部11の内面上を上記の傾斜面が摺動することで、各係止片24がそれぞれ上下方向の内向きに反り返るように一時的に弾性変形する。
【0025】
また、扉体2において本体部21の右端の後面には凹部(以下、「操作用凹部」と呼ぶ。)21bが設けられており、閉位置にある扉体2を開く際には、操作用凹部21bの内面に手の爪等を引っ掛けることで、各係止片24をそれぞれ弾性変形させるために必要な力を加えることができる。
【0026】
ここで、本実施形態は、開位置にある扉体2に対してさらに開く方向(つまり、上方から見て時計回り方向)の力が加わったとき、扉体2の本体部21とハウジング1との接点を支点とした梃子の原理により上記の力の向きが変換され、各軸部22に対してはそれぞれ上記の力が左前方(図1での左下方)向きの力として作用する構造となっている。つまり、上記の力によって各軸部22にそれぞれ作用する力の向きが、各軸部22をそれぞれ軸受け部12に嵌め込む向きの逆向き(すなわち、各軸部22をそれぞれ軸受け部12から取り外す向き)となっている。これにより、開位置にある扉体2に対してさらに開く方向の力が加わった場合には、軸部22や軸受け部12が破損するよりも先に扉体2がハウジング1から外れることになるから、ハウジング1と扉体2との連結部(軸部22及び軸受け部12)の破損が抑えられる。
【0027】
また、各軸部22がそれぞれ軸方向の両端部(つまり上下両端部)において本体部21の連結凸部21aに連結された構造(いわゆる両持ち梁構造)となっているので、各軸部22が軸方向の一端部でしか本体部21に連結されていない構造(いわゆる片持ち梁構造)に比べ、機械的強度が向上して軸部22が破損しにくくなっている。
【符号の説明】
【0028】
1 ハウジング
2 扉体
10 スロット
11 接続凹部
12 軸受け部
21 本体部
22 軸部
MC メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリカードが挿入されるスロットが底面に開口した接続凹部を有するハウジングと、
前記ハウジングに対して取り付けられ前記接続凹部を開閉する扉体とを備え、
前記ハウジングは、周方向の一部に切欠が設けられた筒状であって該切欠の幅を広げるように弾性変形が可能な軸受け部を有し、
前記扉体は、それぞれ前記軸受け部に対し前記切欠を通じて嵌め込まれる少なくとも1個の円柱形状の軸部と、前記各軸部にそれぞれ連結された本体部とを有し、前記軸受け部内での前記各軸部の回転に伴って、前記本体部により前記接続凹部を閉塞する閉位置と、前記接続凹部を開放するとともに前記本体部を前記ハウジングに当接させる開位置との間で、前記ハウジングに対して回転自在であって、
前記扉体を前記閉位置から前記開位置に変位させる向きに回転させる力が前記開位置にある前記扉体に加えられたときに前記本体部と前記ハウジングとの当接により上記の力が変換されて前記各軸部にそれぞれ作用する力の向きが、前記各軸部をそれぞれ前記軸受け部に嵌め込む向きに対して逆向きとなっていることを特徴とするメモリカード接続装置。
【請求項2】
前記各軸部は、それぞれ、軸方向の両端部において前記本体部に連結されていることを特徴とする請求項1記載のメモリカード接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−253245(P2011−253245A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125095(P2010−125095)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(592070649)パナソニック電工SUNX竜野株式会社 (61)
【Fターム(参考)】