説明

メモリデバイスに対する電力制御

【課題】余分のピンを使用すること、およびそれに関わる費用は、ある厳しい予算の環境下で、チップサイズおよび回路基板の大きさが決定的な要因である場合には、関心事項になる。
【解決手段】電力コントローラは、異なるタイプのメモリデバイスに異なるレベルの電力を供給するように構成される。電力コントローラは、メモリデバイスに供給する電力を制御する制御モードを選定する選定ユニットを含む。選定ユニットは、モード信号を受信するように構成された第1の入力と、いくつかの制御モード信号を受信するように構成された複数の制御入力と、メモリデバイスに電力を出力するように構成された複数の出力とを含む。選定ユニットは、受信したモード信号に従って制御モードを選定し、制御モード信号に従って電力を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリデバイスに対する電力制御に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、メモリカード等のメモリデバイスは、多くの電子デバイスの中で共通に使用されている。これらの電子デバイスは、ディジタルカメラ、カムコーダ(camcorder)、移動電話機、ラップトップコンピュータ、およびビデオゲームコンソール等を含む。メモリカードまたはフラッシュメディアカードは、再記録可能な電子データ記憶デバイスであり、ディジタル情報を記憶するために使用される。メモリカードは、メモリスティックカード、セキュアディジタルメモリカード(SD(secure digital memory)カード)、xDピクチャ(xD−picture)カード、マルチメディアカード(MMC:MultiMediaCard)、組込み型マルチメディアカード(eMMC:embedded MMC)、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード(CF(Compactflash(登録商標))カード)等を含むが、これらに限定はされない。
【0003】
ある環境下では、同様のインタフェースプロトコルを有する2つ以上のメモリカードは、これらのメモリカードをサポートする1つの統合したインタフェースを共有することができる。例えば、SDカード、MMC、およびeMMCは、同様のインタフェースプロトコルを有し、これらのインタフェースプロトコルは、1つのCLOCKライン、1つのCMMANDライン、および4つの(SDに対して)または8つの(MMC/eMMCに対して)DATAラインを使用して、ホストとメモリカードとの間を、メモリカードアダプタを通して、データの通信または転送を行う。従って、多くのMMC/eMMC/SDカードは、1つの統合したインタフェースを共有し、この統合したインタフェースは、これら3つの異なるタイプのメモリカードをサポートしている。この統合したインタフェースは、システム応用に対して、より大きな柔軟性を与えることができる。
【0004】
メモリカードの内のいくつかは、同様のインタフェースプロトコルを有するが、これらのメモリカードを制御するための電力制御プロトコルは、異なっている可能性がある。その結果、メモリカードアダプタを使用してパッケージしたチップでは、それぞれのタイプのメモリカードに供給する電力を個別に制御するためには、余分のピンが必要になる。例えば、SD仕様およびeMMC仕様では、それぞれ2つの電力制御信号を規定している。具体的には、SDカード仕様では、SDカードへの電力供給に対して、1対の電力制御信号VDD1(3.3V)およびVDD2(1.8V)を規定している。また、eMMC仕様では、eMMCへの電力供給に対して、1対の電力制御信号VCC(3.3V)およびVCCQ(3.3V/1.8V)を規定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、単一のSDカード/eMMCカードアダプタチップでは、SDカードおよびeMMCが互いに排他的に活性であるときでも、電力を制御するためには、2組のピン(これは、それぞれ、VDD1、VDD2、VCC、およびVCCQに対応した、4つのピンを意味する)が必要になる。余分のピンを使用すること、およびそれに関わる費用は、ある厳しい予算の環境下で、チップサイズおよび回路基板の大きさが決定的な要因である場合には、関心事項になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電力コントローラは、異なるタイプのメモリデバイスに対して異なるレベルの電力を供給するように構成される。電力コントローラは、選定ユニットを含み、この選定ユニットは、メモリデバイスに供給する電力を制御する制御モードを選定する。選定ユニットは、モード信号を受信するように構成された第1の入力と、いくつかの制御モード信号を受信するように構成された複数の制御入力と、メモリデバイスに対して電力を出力するように構成された複数の出力とを含む。選定ユニットは、受信したモード信号に従って制御モードを選定し、制御モード信号に従って電力を出力する。
【0007】
別の実施形態においては、本発明は、電力コントローラと切り替え器とを有する電力制御システムである。電力コントローラは、メモリデバイスに供給する電力を制御し、複数の電力制御信号を出力してメモリデバイスを制御する。電力コントローラは、複数の制御モードの中から、メモリデバイスに供給する電力を制御する制御モードを選定する。切り替えユニットは、電力コントローラと複数の電源とに結合して、電力制御信号に従ってメモリデバイスに電力を出力する。
【0008】
更に別の実施形態においては、本発明は、電力コントローラを通してメモリデバイスに電力を供給するための方法である。本方法は、受信するステップと、選定するステップと、出力するステップとを含む。受信するステップは、メモリデバイスに対応した所定の制御モードを規定するモード信号を、電力コントローラの入力を通して受信する。選定するステップは、モード信号に従って、複数の制御モードの中から所定の制御モード選定をする。制御モードは、複数のメモリデバイスへの電力の供給を制御する。そして出力するステップは、制御モードに対応した複数の電力制御信号を出力する。
【0009】
特許請求の範囲の主題の実施形態が持つ特徴および利点は、以下の詳細な記述が進むにつれて、また、図面を参照することにより、明らかになるであろう。ここでは同様の番号は同様の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の1つの実施形態に従った電力コントローラを示す図である。
【図2】本発明の代替的実施形態に従った電力コントローラを示す図である。
【図3】本発明の1つの実施形態に従った電力制御システムに対するブロック図である。
【図4】本発明の1つの実施形態に従ったメモリカードアダプタを示す図である。
【図5】本発明の1つの実施形態に従った、メモリカードへの電力を制御するための方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の1つの実施形態に従った、メモリカードを制御するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施形態につて詳細な説明を行う。本発明は、これらの実施形態に関連して記述するであろうが、これらの実施形態は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないと理解されるであろう。そうではなくて、本発明は、代替、変形、および均等物を包含すると意図され、これらは、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の精神および範囲の中に含めることができる。
【0012】
さらに、以下で示す本発明の詳細な説明では、本発明の十分な理解を与えるために、多くの具体的な詳細を記載している。しかしながら、通常の当業者には、本発明は、これらの具体的な詳細を使用せずとも実行することができると認識されるであろう。また、本発明の視点を不必要に曖昧なものにしないために、公知の方法、手順、要素、および回路については、詳細な記述は行っていない。
【0013】
本発明の1つの実施形態においては、メモリカードアダプタが開示される。このメモリカードアダプタは、電力コントローラを含み、電力コントローラは、異なるタイプのメモリカードに供給する電力を制御することができる。この電力コントローラは、1組の電力制御信号を使用して、異なるメモリカードに電力を供給できることが有利である。このように、メモリカードアダプタがメモリカードアダプタチップの中にパッケージされる場合には、メモリカードアダプタチップの上にある、電力制御のためのチップピンは、異なるメモリカードが共有することができる。その結果、メモリカードアダプタチップの電力制御機能を改善することができ、また、費用を低減することができる。同時に、メモリカードアダプタを集積する回路基板の上の空間を節約することができる。
【0014】
図1は、本発明の1つの実施形態に従った電力コントローラ100を示す。電力コントローラ100は、選定ユニット102とスリープモードコントローラ104とを含む。選定ユニット102は、2つの制御モード(第1の制御モードおよび第2の制御モード)の中から1つの制御モードを選定することができる。第1の制御モードはeMMC制御モードであってよく、これは、eMMC制御モード信号132によってイネーブルされる。また、第2の制御モードはSD制御モードであってよく、これは、SDカード制御モード信号130によってイネーブルされる。選定ユニット102は、選定した制御モードに対応した1対/組の電力制御信号VCC1およびVCC2を出力する。モード信号120は選定ユニット102に結合し、制御モードを選定する。選定ユニット102は、2つのセレクタ106および108を備え、各セレクタは、「1」状態および「0」状態を含む。SDカード制御モード信号130とeMMC制御モード信号132とは、それぞれ、「0」状態と「1」状態とに結合している。従って、モード信号120が「0」状態を選定すると、SDカード制御モードが選定されて、SDカード制御モード信号130に従って、電力制御信号VCC1およびVCC2が出力される。同様に、モード信号120が「1」状態を選定すると、eMMC制御モードが選定されて、eMMC制御モード信号132に従って、電力制御信号VCC1およびVCC2が出力される。
【0015】
電力コントローラ100は、所定の制御モードに対応して、メモリカードに供給する電力を制御することができる。例えば、所定の制御モードがSDカード制御モードである場合には、モード信号120は、選定ユニット102を制御して、SDカード制御モードを選定する。それに従って、電力コントローラ100は、SDカードへの電力を制御する。つまり、電力コントローラ100は、SDカード電力コントローラとして利用することができる。同様に、eMMC制御モードが選定された場合には、電力コントローラ100は、eMMC電力コントローラとして利用することができる。
【0016】
電力コントローラ100は、1組の電力制御信号VCC1およびVCC2を使用して、SDカードおよびeMMCに供給する電力を制御するので、電力コントローラ100を集積しているメモリカードアダプタ(図1には示されていない)がメモリカードアダプタチップにパッケージされている場合には、SDカードとeMMCとに供給する電力を個別に制御するために、従来のメモリカードアダプタチップが4ピンを使用するのと比較して、ただ2ピンが必要となるだけである。これは有利なことである。その結果、チップサイズと回路基板の大きさを低減することができる。
【0017】
1つの実施形態においては、制御モードが選定されて、電力コントローラ100が正規の動作モードで動作する場合には、電力制御信号VCC1およびVCC2は、どちらも論理値1に設定されて、1組の電源(図3で詳細に説明する)をイネーブルし、メモリカードに電力が供給される。
【0018】
別の実施形態においては、選定された制御モードがスリープモード機能をサポートする場合には、電力コントローラ100は、スリープモードコントローラ104を更に含むことができる。スリープモードコントローラ104は、選定ユニット102に結合し、スリープモードになるように電力コントローラ100を操作する。スリープモードでは、スリープモードコントローラ104は、電力制御信号VCC1またはVCC2のどちらかを論理値0に設定する。メモリカードに対して電力を供給する全ての電源をイネーブルするのではないということによって、電力コントローラ100はスリープモードで動作する。例えば、eMMC仕様では、電力消費の節減のために、スリープモード機能を規定している。eMMC制御モードが選定された場合には、スリープモードコントローラ104はイネーブルされて、電力コントローラ100をスリープモードに切り替えることができる。スリープモードコントローラ104は、合成ユニット(例えば、ANDゲート110)と反転ユニット(例えば、NOTゲート112)とを含む。ANDゲート110は、選定ユニット102に結合し、スリープモード制御信号142に従って、電力制御信号VCC1およびVCC2の対(ペア)をスリープモードに設定する。NOTゲート112は、ANDゲート110に結合し、スリープモードイネーブル信号140に従って、スリープモード制御信号142を生成する。1つの実施形態においては、eMMC制御モードが選定されて、電力コントローラ100がeMMC電力コントローラとして利用される場合には、スリープモードイネーブル信号140を論理値1に設定して、eMMCのスリープモードをイネーブルすることができる。論理値1のスリープモードイネーブル信号140の受信に応答して、NOTゲート112は、論理値0のスリープモード制御信号142を出力する。その結果、ANDゲート110は、セレクタ108に対して論理値0を出力し、それにより電力制御信号VCC2は、論理値0に設定されて、それによってスリープモード機能が実行される。あるいは、モード信号120がSDカードモードを選定した場合には、スリープモードイネーブル信号140の値に拘わらず、電力制御信号VCC1およびVCC2が生成される。
【0019】
別の実施形態においては、電力コントローラ100が第1および第2の制御モードから制御モードを選定して、それらどちらのモードもスリープモード機能をサポートしている場合には、電力コントローラ100は、2つのスリープモードコントローラ(図1には示されていない)を含むことができる。各スリープモードコントローラは、1つの制御モードに関係づけられており、対応した制御モードが選定された時には、電力コントローラ100をスリープモードに切り替える。例えば、第2の制御モードをスリープモードに設定するための第2のスリープモードコントローラ(図1には示されていない)は、スリープモードコントローラ104と同様のトポロジーで、選定ユニット102に結合することができる。
【0020】
電力コントローラ100は、スリープモードコントローラ104を使用するので、選定したメモリカード制御モードのスリープモード機能を実行することができるという点が有利である。それにより電力消費を低減することができる。
【0021】
図2は、本発明の別の実施形態に従った電力コントローラ200を示す。図1と同じ符号を付した要素は、同様の機能を有し、従ってここでは説明はしないことにする。電力コントローラ200は、選定ユニット202とスリープモードコントローラ104とを含む。選定ユニット202は、3つの制御モード(第1の制御モード、第2の制御モード、および第3の制御モード)の中から1つの制御モードを選定することができる。第3の制御モードは、MMC制御モードであってよく、MMC制御モード信号230によってイネーブルされる。選定ユニット202は、1対/組の電力制御信号VCC1およびVCC2を出力する。選定ユニット202は、第1のステージセレクタ204および第2のステージセレクタ206を含む。第1のモード信号214および第2のモード信号216は、それぞれ、第1のステージセレクタ204および第2のステージセレクタ206を制御するように構成される。1つの実施形態においては、第2のステージセレクタ206は、2つの制御モード(例えば、SDカード制御モードおよびMMC制御モード)の中から1つの制御モードを選定する。第1のステージセレクタ204は、選定された制御モード(例えば、SDカード制御モード)とeMMC制御モードとの中から1つの制御モードを選定する。
【0022】
1つの実施形態においては、電力コントローラ200の選定ユニット202は、第3のステージセレクタ(図2には示されていない)等を更に含むことができる。ステージセレクタの数は、電力コントローラ200がサポートする制御モードの数に基づいて決定することができる。例えば、N個の電力制御モードに対しては、(N−1)個のステージセレクタ(ここで、Nは整数であり、またN≧2)が必要である。各ステージセレクタは、2つの制御モードの中から1つの制御モードを選定することができ、次のステージセレクタは、選定された制御モードと別の制御モードとの間から1つの制御モードを選定する。終局的に、第1のステージセレクタ204は、所定の制御モードに従って電力制御信号VCC1およびVCC2を出力する。
【0023】
従って、電力コントローラ200を使用して、1組の電力制御信号に従って、複数のタイプのメモリカードに供給する電力を制御することができる。メモリカードアダプタのピン数とサイズを更に低減できるということは有利なことである。
【0024】
制御モードがスリープモード機能をサポートしている場合には、スリープモードコントローラ104がイネーブルされて、電力コントローラ200をスリープモードに切り替えることができる。例として、第1のステージセレクタ204がeMMC制御モードを選定して、eMMC制御モードがスリープモードをサポートしている場合には、スリープモードコントローラ104は、イネーブルされて、eMMC電力コントローラ200をスリープモードに切り替えることができる。
【0025】
1つの実施形態においては、第1のステージセレクタ204が2つの制御モードの間から制御モードを選定し、それらどちらの制御モードもスリープモード機能をサポートしている場合には、電力コントローラ200は、どちらもが第1のステージセレクタ204に結合している2つのスリープモードコントローラ(図2には示されていない)を含むことができる。各スリープモードコントローラは、1つの制御モードに対応し、対応した制御モードが選定されたときには、電力コントローラ200をスリープモードに切り替える。
【0026】
図3は、本発明の1つの実施形態に従った電力制御システム300を示す。図3は、図1および図2と組み合わせて描かれている。電力制御システム300は、切り替えユニット310および電力コントローラ302を含む。電力コントローラ302は、図1に示した電力コントローラ100であってもよいし、または図2に示した電力コントローラ200であってもよい。1つの実施形態においては、電力コントローラ302は、メモリカード312への電力を制御し、電力制御信号VCC1およびVCC2を出力して、メモリカード312に供給する電力を制御する。切り替えユニット310は、電力コントローラ302に結合し、それぞれ電源1および電源2を含む1対/組の電源を、電力制御信号VCC1およびVCC2に従って、オン/オフに切り替えるように構成される。切り替えユニット310はまた、電圧信号318および320を出力して、メモリカード312を制御する。
【0027】
1つの実施形態においては、制御モード(例えば、eMMC制御モード)が選定された場合には、電力コントローラ302をeMMC電力コントローラとして利用して、eMMC制御モード信号132を論理値1に設定することができる。電力制御信号VCC1およびVCC2は、eMMC制御モード信号132に従って生成される。図1および図2に示したように、正規の動作モードで、eMMC制御モード信号132が論理値1に設定されたときには、電力制御信号VCC1およびVCC2の両方が論理値1を出力する。これにより、切り替え器306および308がイネーブルされる。上記で述べたように、eMMC仕様は、eMMCに電力を供給するために電力制御信号VCC(3.3V)およびVCCQ(3.3V/1.8V)の対が必要であるとしている。電源1および電源2は、それぞれ、3.3Vおよび3.3V/1.8Vに事前に設定されていて、この仕様の要求条件を満たすことができる。従って、切り替え器306および308がイネーブルされた時には、VCC(3.3V)に対応する電圧信号318とVCCQ(3.3V/1.8V)に対応する電圧信号320とが生成されて、eMMCカードを制御することができる。
【0028】
1つの実施形態においては、図2におけるスリープモードイネーブル信号140をイネーブルすることによって、電力コントローラ302はスリープモードになるように操作される。従って、電力制御信号VCC2は論理値0に設定されて、切り替え器308はディセーブルされ、そして電圧信号320は必要な電圧VCCQよりもより低い値になる。eMMCのVCCおよびVCCQの片方に対しては必要な電力レベルを供給しないことにより、電力コントローラ302はスリープモードで動作する。
【0029】
別の実施形態においては、制御モード(例えば、SDカード制御モード)が選定された場合には、電力コントローラ302はSDカード電力コントローラとして利用することができる。以前と同様に、SDカード仕様は、SDカードに供給する電力レベルとしてVDD1(3.3V)およびVDD2(1.8V)を規定しているので、電源1および電源2は、それぞれ、3.3Vおよび1.8Vに事前に設定することができ、以前に述べた選定処理がSDカード制御モードに対して繰り返される。
【0030】
図4は、本発明の1つの実施形態に従ったメモリカードアダプタ400を示す。図4は、図1、図2、および図3と組み合わせて描かれている。図3と同じ符号を付した要素は、同様の機能を有し、従ってここでは説明はしないことにする。メモリカードアダプタ400は、回路基板420の上に実装される。回路基板420は、ホスト402および切り替えユニット310を更に含む。回路基板420は、電源に結合している。1つの実施形態においては、回路基板420は、回路基板上に集積するように規定されたeMMC等のメモリカード312を更に含むことができる。別の実施形態においては、メモリカード312(例えば、SDカード)は、回路基板420上のスロットの中に挿入することができる。メモリカードアダプタ400は、制御信号およびデータ情報を、ホスト402とメモリカード312との間で交換する。1つの実施形態においては、メモリカードアダプタ400は、電力コントローラ302、ホストコントローラ404、データバッファ406、およびカードコントローラ408を含む。ホストコントローラ404は、ホスト402と同じインタフェースプロトコルをサポートしている。ホストコントローラ404は、ホスト402からの制御信号を解釈し、ホスト402から受信したデータをデータバッファ406の中に記憶し、更に、データバッファ406から検索したデータをホスト402に転送する。データバッファ406は、ホスト402およびカードコントローラ408からのデータを一時的に記憶するように構成される。カードコントローラ408は、メモリカード312と同じインタフェースプロトコルをサポートしている。カードコントローラ408は、ホスト402からの制御信号に基づいてメモリカードを制御し、また、メモリカード312からのデータの読み出しと書き込みとを行う。
【0031】
カードコントローラ408の中のレジスタ450は、図1に示したモード信号120、または図2に示したモード信号214および216を生成する。メモリカードアダプタチップのドライバまたはホスト402の中のシステム初期化プログラムは、レジスタ450を設定することができる。1つの実施形態においては、ドライバまたはシステム初期化プログラムは、サポートするように回路基板420を設定してあるメモリカードタイプに従って、レジスタ450の中のある数のビットを設定する。そして、レジスタ450は、その設定されたビットに従ってモード信号120を生成する。従って、メモリカードアダプタ400を使用してパッケージしたメモリカードアダプタチップは、異なるメモリカードに対して電力を供給することができる。これにより、メモリカードアダプタチップは、1組のチップピンを使用して、異なるタイプのメモリカードに対する電力を制御する。
【0032】
メモリカードアダプタチップが回路基板420の上に実装された後に、サポートするように回路基板420を設定してあるメモリカードに従って、図3に示した電源が設定される。つまり、回路基板420は、あるタイプのメモリカードをサポートすることができて、電源はこのタイプのメモリカードに従って設定される。例えば、回路基板420がSDカードをサポートするように設定されている場合には、電源は、3.3V(VDD1)および1.8V(VDD2)に事前設定される。また、回路基板がeMMCをサポートするように設定されている場合には、電源は、3.3V(VCC)および3.3V/1.8V(VCCQ)に事前設定される。eMMC仕様は2つのレベルのVCCQ(3.3Vまたは1.8V)を規定しているので、VCCQの電圧レベルは事前に選択することができる。回路基板上の、図3における電源2は、それに従って設定することができる。
【0033】
図5は、本発明の1つの実施形態に従った、電力を制御するための方法500を示したものである。図5では具体的なステップが開示されているが、これらのステップは単なる実施例である。すなわち、図5に記載したステップとは異なる種々の他のステップ、または図5に記載したステップの変形に対しても、本発明はそれらを実行するのによく適している。図5は、図1および図2と組み合わせて記述されている。
【0034】
ブロック510において、図1に示した選定ユニット102は、モード信号120を受信する。または、図2に示した選定ユニット202は、第1および第2のモード信号214および216を受信する。モード信号は、あるタイプの制御モードを選定するように設定されて、1つのタイプのメモリカードに供給する電力を制御する。例えば、図1においては、モード信号120は1に設定されて、eMMC制御モードを選定する。
【0035】
ブロック520において、電力コントローラ100または電力コントローラ200は、モード信号120、または第1および第2のモード信号214および216に従って、いくつかの制御モードの中から制御モードを選定する。これらの制御モードでは、電力コントローラ100または200を使用して、異なるタイプのメモリカードに供給する電力を制御することができる。1つの実施形態においては、図1に示した選定ユニット102および図2に示した選定ユニット202は、モード信号に従って、あるタイプの制御モードを選定するように構成される。例えば、決定されたあるタイプの制御モードは、eMMC制御モードである。図1においては、選定ユニット102は、2つのセレクタ106および108を含み、eMMC制御モードを選定する。図2においては、選定ユニット202は、第2のステージセレクタ204を含み、2つの制御モード(例えば、SDカード制御モードおよびMMC制御モード)の中から、制御モードを選定する(例えば、SDカード制御モード)。選定ユニット202は、第1のステージセレクタ204を更に含み、選定されたSDカード制御モードとeMMC制御モードとの間からeMMC制御モードを選定する。
【0036】
ブロック530において、制御モードに対応した電力制御信号VCC1およびVCC2が出力される。1つの実施形態においては、eMMC制御モードが選定された場合には、eMMC制御モード信号132に基づいて、電力制御信号VCC1およびVCC2が生成される。1つの実施形態においては、選定された制御モードがスリープモード機能をサポートしている場合には、スリープモードイネーブル信号140が受信されて、電力制御信号VCC1およびVCC2をスリープモードに設定する。例えば、eMMC仕様は、電力消費を節減するために、スリープモード機能を規定している。eMMC制御モードが選定された場合には、スリープモードイネーブル信号140は、電力制御信号VCC1またはVCC2のどちらかを論理値「0」に設定することができる。
【0037】
図6は、本発明の1つの実施形態に従った、メモリカードを制御するための方法600を示したものである。図6では具体的なステップが開示されているが、これらのステップは単なる実施例である。すなわち、図6に記載したステップとは異なる種々の他のステップ、または図5に記載したステップの変形に対しても、本発明はそれらを実行するのによく適している。図6は、図1、図2、図3、および図4と組み合わせて記述されている。
【0038】
ブロック610において、図4に示した回路基板420の上の電源を設定する。これらの電源は、図3に示した電源1および電源2であってよく、サポートするように回路基板420を設定してあるメモリカードに従って設定される。例えば、回路基板420がSDカードをサポートするように設定されている場合には、電源1は3.3Vに設定され、また電源2は設定1.8Vに設定される。
【0039】
ブロック620において、図4に示したメモリカードアダプタ400の中のレジスタ450は、モード信号120、または第1および第2のモード信号214および216を生成する。モード信号が生成されて、サポートするように回路基板420を設定してあるメモリカードに対応した制御モードが選定される。例えば、回路基板420がSDカードをサポートするように設定されていて、SDカード制御モードが選定されるべき場合には、図1に示したモード信号120は論理値0に設定される。
【0040】
ブロック630において、選定された制御モードに従って、電力コントローラ302は、1組の電力制御信号VCC1およびVCC2を出力する。例えば、SDカード制御モードが選定された場合には、SDカード制御モード信号130は論理値1に設定される。電力コントローラ100は、どちらも論理値1に設定された電力制御信号VCC1およびVCC2を出力する。1つの実施形態においては、メモリカード(例えば、eMMC)がスリープモードをサポートする場合には、スリープモードコントローラ104は、電力制御信号VCC1またはVCC2のどちらかを論理値0に設定する。
【0041】
ブロック640において、電源は、電力制御信号VCC1およびVCC2に従ってイネーブルされる。上記で述べたように、電力制御信号VCC1およびVCC2はどちらも論理値1に設定されているので、切り替えユニット310の中の切り替え器306および308は、オンに切り替えられて、それに従って電源がイネーブルされる。
【0042】
ブロック650において、1組の電圧信号318および320が出力されて、メモリカードに電力を供給する。eMMCスリープモードでは、電力制御信号の内の1つが論理値0に設定されて、電源の内の1つがディセーブルされる。eMMCに対して、片方の電圧信号は必要な電力レベルを供給しないことにより、電力コントローラ302はスリープモードで動作する。
【0043】
これまでの記述および図面は、本発明の実施形態を提供したものであるが、それらに対する種々の追加、変形、および置き換えが可能であり、これらは、添付の特許請求の範囲が画定する本発明の原理の精神および範囲から逸脱するものではないと理解されるであろう。当業者は、本発明は、本発明を実行する上で使用する、形状、構成、配置、比率、材料、要素、および素子等に対する多くの変更をもって実行することが可能であり、これらは、具体的な環境条件と動作要求条件とに対して特に適合しており、これらは、本発明の原理から逸脱するものではないと理解するであろう。従って、本明細書で開示した実施形態は、全ての点に関して、例示的なものであって限定的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲とその法的均等物とが示すものであって、これまでの記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0044】
100 電力コントローラ
102 選定ユニット
104 スリープモードコントローラ
106、108 セレクタ
110 ANDゲート
112 NOTゲート
120 モード信号
130 SDカード制御モード信号
132 eMMC制御モード信号
140 スリープモードイネーブル信号
142 スリープモード制御信号
200 電力コントローラ
202 選定ユニット
204 第1のステージセレクタ
206 第2のステージセレクタ
214 第1のモード信号
216 第2のモード信号
230 MMC制御モード信号
300 電力制御システム
302 電力コントローラ
306、308 切り替え器
310 切り替えユニット
312 メモリカード
318、320 電圧信号
400 メモリカードアダプタ
402 ホスト
404 ホストコントローラ
406 データバッファ
408 カードコントローラ
420 回路基板
450 レジスタ
500 電力を制御するための方法
510 モード信号を受信する
520 モード信号に従って制御モードを選定する
530 選定した制御モードに対応した電力制御信号を出力する
600 メモリカードを制御するための方法
610 サポートするように回路基板を設定してあるメモリカードに従って電源を設定する
620 モード信号を生成し、メモリカードに対応した制御モードを選定する
630 選定した制御モードに従って1組の電力制御信号を出力する
640 電力制御信号に従って電源をイネーブルする
650 1組の電圧信号を出力してメモリカードに電力を供給する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるタイプのメモリデバイスに供給する電力を制御するための電力コントローラであって、
メモリデバイスに供給する電力を制御する制御モードを選定するための選定ユニットを備え、
前記選定ユニットは、モード信号を受信するための第1の入力と、複数の制御モード信号を受信するための複数の制御入力と、前記メモリデバイスに対して電力を出力するための複数の出力とを有し、
前記選定ユニットは、前記受信したモード信号に従って前記制御モードを選定して、前記複数の制御モード信号に従って電力を出力し、
前記電力コントローラは、異なるタイプのメモリデバイスに異なるレベルの電力を供給する
ことを特徴とする電力コントローラ。
【請求項2】
前記選定ユニットに結合したスリープモードコントローラを更に備え、前記選定ユニットは、スリープモード制御信号を受信するための第2の入力を有することを特徴とする請求項1に記載の電力コントローラ。
【請求項3】
前記スリープモードコントローラは、前記選定ユニットに結合した合成ユニットを更に備え、
前記合成ユニットは、前記スリープモード制御信号を受信して、前記スリープモード制御信号に従って電力制御信号をスリープモードに設定し、
前記スリープモードで、前記複数の出力のうちの1つを論理値0に設定することを特徴とする請求項2に記載の電力コントローラ。
【請求項4】
前記スリープモードコントローラは、前記合成ユニットに結合した反転ユニットを更に備え、
前記反転ユニットは、スリープモードイネーブル信号を受信して、前記スリープモードイネーブル信号に従って前記スリープモード制御信号を生成することを特徴とする請求項3に記載の電力コントローラ。
【請求項5】
前記制御モードは、SDカード制御モードとeMMCカード制御モードとを備えることを特徴とする請求項1に記載の電力コントローラ。
【請求項6】
前記選定ユニットは、複数のステージセレクタを更に備え、各ステージセレクタは、前記制御モード信号の内の2つを受信して、前記モード信号に従って選定した1つの制御モード信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の電力コントローラ。
【請求項7】
前記選定ユニットは、第1のステージセレクタを更に備え、
前記第1のステージセレクタは、前記制御モード信号の内の2つを受信して、前記モード信号に従って前記制御モードに対応した制御モード信号を選定し、前記制御モード信号に従って前記電力を出力することを特徴とする請求項1に記載の電力コントローラ。
【請求項8】
前記選定ユニットに結合したスリープモードコントローラを更に備え、前記選定ユニットは、スリープモード制御信号を受信するための第2の入力を有することを特徴とする請求項6に記載の電力コントローラ。
【請求項9】
前記選定ユニットは、複数のモード信号を受信するための複数の入力を更に備え、各ステージセレクタは、複数のモード信号の内の1つに従って制御モード信号を選定することを特徴とする請求項6に記載の電力コントローラ。
【請求項10】
電力制御システムであって、
メモリデバイスに供給する電力を制御し、複数の電力制御信号を出力して前記メモリデバイスを制御する電力コントローラと、
前記電力コントローラと複数の電源とに結合して、前記電力制御信号に従って前記メモリデバイスに対して電力を出力する切り替えユニットと
を備え、
前記電力コントローラは、前記メモリデバイスに供給する電力を制御する制御モードを、複数の制御モードの中から選定する
ことを特徴とする電力制御システム。
【請求項11】
前記電力コントローラは、前記制御モードを選定するための選定ユニットを備え、
前記選定ユニットは、モード信号を受信するための第1の入力と、複数の制御モード信号を受信するための複数の制御入力と、メモリデバイスに対して電力を出力するための複数の出力とを有し、
前記選定ユニットは、前記受信したモード信号に従って前記制御モードを選定して、前記複数の制御モード信号に従って複数の電圧信号を出力し、
前記電力コントローラは、異なるタイプのメモリデバイスに対して異なるレベルの電力を供給する
ことを特徴とする請求項10に記載の電力制御システム。
【請求項12】
前記切り替えユニットは、複数の切り替え器を備え、各切り替え器は、前記電源の内の1つから電力を受けて、前記複数の電力制御信号の内の1つに従って電力を出力することを特徴とする請求項10に記載の電力制御システム。
【請求項13】
メモリカードアダプタであって、
ホストから送信される複数の制御信号に従ってメモリデバイスを制御するためのカードコントローラと、
前記カードコントローラに結合した電力コントローラであって、前記メモリデバイスに供給する電力を制御する制御モードを、複数の制御モードの中から選定するための電力コントローラと
を備えることを特徴とするメモリカードアダプタ。
【請求項14】
前記ホストに結合し、前記制御信号を解釈するホストコントローラと、
前記ホストコントローラと前記カードコントローラとに結合し、前記ホストコントローラと前記カードコントローラとの間で交換されるデータを記憶するデータバッファと
を更に備えることを特徴とする請求項13に記載のメモリカードアダプタ。
【請求項15】
前記電力コントローラは、前記制御モードを選定するための選定ユニット備え、
前記選定ユニットは、モード信号を受信するための第1の入力と、複数の制御モード信号を受信するための複数の制御入力と、前記メモリデバイスに対して電力を出力するための複数の出力とを有し、
前記選定ユニットは、前記受信したモード信号に従って前記制御モードを選定し、前記複数の制御モード信号に従って電力を出力し、
前記電力コントローラは、異なるタイプのメモリデバイスに対して異なるレベルの電力を供給することを特徴とする請求項13に記載のメモリカードアダプタ。
【請求項16】
電力コントローラを通して、メモリデバイスに対して電力を供給するための方法であって、
メモリデバイスに対応した所定の制御モードを規定するモード信号を、前記電力コントローラの入力を通して受信するステップと、
前記モード信号に従って、複数の制御モードから前記所定の制御モードを選定するステップと、
前記制御モードに対応した複数の電力制御信号を出力するステップと
を備え、
前記制御モードは、複数のメモリデバイスに対する電力の供給を制御することを特徴とする電力制御法。
【請求項17】
スリープモードコントローラを通して、前記所定の制御モードのスリープモードをイネーブルするステップを更に備え、
前記スリープモードで、前記複数の電力制御信号のうちの1つを論理値0に設定することを特徴とする請求項16に記載の電力制御法。
【請求項18】
前記制御モードの2つのモードの間で制御モードを選定するステップと、
前記選定した制御モードと前記制御モードのうちの別の1つとの間で、前記所定の制御モードを選定するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項16に記載の電力制御法。
【請求項19】
スリープモードコントローラを通して、前記所定の制御モードのスリープモードをイネーブルするステップを更に備え、
前記スリープモードで、前記複数の電力制御信号のうちの1つを論理値0に設定することを特徴とする請求項18に記載の電力制御法。
【請求項20】
前記複数の電力制御信号に従って、複数の切り替え器をイネーブルするステップと、
前記複数の切り替え器がイネーブルされた時には、複数の電源によって複数の電圧信号を生成するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項16に記載の電力制御法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109747(P2013−109747A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−76088(P2012−76088)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】