説明

メモリーカード及びそれを備えたメインボード並びにコンピュータ

【課題】信頼性が高いメモリーカード、このメモリーカードを備えたメインボード及びコンピュータを提供すること。
【解決手段】本発明に係るメモリーカードは、1つの電源端と、少なくとも1つの記憶チップ及び1つの電圧変換回路と、を備える。前記電源端は、前記メモリーカードの外部の電気回路により供給される電源電圧を直接に受信し、前記電圧変換回路は、前記電源端から伝送されてきた該電源電圧を、前記少なくとも1つの記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧に変換した後、該駆動電圧を前記少なくとも1つの記憶チップに供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置に関し、特にコンピュータのメインボードに装着される記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴い、各種の電子装置は人々の日常生活の中で、益々重要な役割を果たしている。例えば、記憶装置は、電子装置の重要な部品として、その安定性及び使用寿命が、電子装置全体に直接に影響を与える。しかし、実際の使用過程において、該メモリーカードは損傷し易いため、正常に作動することができず、且つ使用寿命も短い。
【0003】
更に、具体的にその原因を説明すると、従来の研究によれば、異なるタイプ或いは同一タイプの中の異なる型番のメモリーカードの駆動電圧は、常に異なっている。例えば、DDR3メモリーカードは2種類の型番を備え、該2種類の型番の駆動電圧は互いに異なり、1種のDDR3メモリーカードの駆動電圧は1.5Vであり、もう一種の、電力消費がより低いDDR3メモリーカードの駆動電圧は1.35Vである。従って、この2種類のDDR3メモリーカードに対して、異なる駆動電圧をそれぞれ供給しなければならない。
【0004】
通常、コンピュータが起動すると、コンピュータのメインボードは、各々のメモリーカードに駆動電圧を出力する。この際、該駆動電圧は全て同一電圧(例えば1.5V)である。次いで、前記メインボードの中央処理装置(CPU)が始動すると、あらゆるメモリーカードの型番及び駆動電圧を検出し、各々のメモリーカードの型番に基づいて、それに適合する駆動電圧を改めて提供する。しかし、この過程において、1.35Vで作動するメモリーカードは、1.5Vの駆動電圧を所定時間受けるので、該1.5Vの駆動電圧は、駆動電圧が1.35Vであるメモリーカードの記憶チップに損害を与える。これにより、前記メモリーカードの安定性は低くなり、使用寿命も短くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、信頼性が高いメモリーカード、このメモリーカードを備えたメインボード及びコンピュータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るメモリーカードは、1つの電源端と、少なくとも1つの記憶チップ及び1つの電圧変換回路と、を備える。前記電源端は、前記メモリーカードの外部の電気回路により供給される電源電圧を直接に受信し、前記電圧変換回路は、前記電源端から伝送されてきた該電源電圧を、前記少なくとも1つの記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧に変換した後、該駆動電圧を前記少なくとも1つの記憶チップに供給する。
【0007】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係るメインボードは、少なくとも1つのスロット及び少なくとも1つのメモリーカードを備え、且つ各々のメモリーカードは各々のスロットにそれぞれ対応して挿入接続される。前記メモリーカードは、少なくとも1つの記憶チップ及び1つの電圧変換回路を備え、前記メインボードからの電源電圧は前記スロットを介して、前記メモリーカードに伝送され、該電源電圧は前記メインボードの前記メモリーカードに供給する基準電圧とし、前記電圧変換回路は、前記基準電圧を受信し、且つ該基準電圧を前記記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧を変換した後、該駆動電圧を前記記憶チップに供給する。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係るコンピュータは、少なくとも1つのメモリーカード及びメインボードを備える。前記メモリーカードは、1つの電源端、少なくとも1つの記憶チップ及び1つの電圧変換回路を備え、前記電源端は、前記メインボードにより供給される基準電圧を直接に受信し、前記電圧変換回路は、前記電源端から伝送されてきた該基準電圧を、前記少なくとも1つの記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧に変換した後、該駆動電圧を前記少なくとも1つの記憶チップに供給する。
【発明の効果】
【0009】
従来の技術とは異なり、本発明のメモリーカードは、電圧変換回路を介して入力された電源信号を、前記メモリーカードの複数の記憶チップに対応する駆動電圧に変換した後、該駆動電圧を複数の前記記憶チップにそれぞれ出力させる。従って、前記メモリーカードに供給された電圧が何Vであっても、前記メモリーカードの各々の記憶チップは適当な駆動電圧の下で作動するので、各々の記憶チップ及びメモリーカード全体の安定性を高めると共に、その使用寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るメモリーカードの内部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したメモリーカードを備えたコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るメモリーカード10は、1つの電源端101と、少なくとも1つの記憶チップ110及び1つの電圧変換回路130と、を備える。前記電圧変換回路130は、前記電源端101に電気的に接続されると共に、少なくとも1つの前記記憶チップ110にも電気的に接続される。
【0012】
本実施形態において、前記メモリーカード10は、複数の記憶チップ110を備える。また、前記メモリーカード10は複数の電気ピン(図示せず)をさらに備え、前記電源端101は複数の該電気ピンの中の1つである。前記メモリーカード10は、複数の前記電気ピンを介して、外部電気回路と信号の伝送及び交換を行う。
【0013】
前記電源端101は、前記メモリーカード10の外部の電源回路から電圧を獲得するために用いられる。前記電圧変換回路130は、各々の前記記憶チップ110に駆動電圧を供給して、該記憶チップ110を正常的に作動させる。具体的には、前記電圧変換回路130は、前記電源端101からの電圧信号を受信して、この電圧を駆動電圧に変換し、且つ電圧出力端131を介して、各々の前記記憶チップ110に出力する。
【0014】
本実施形態において、前記電圧変換回路130は、電圧を下げることができる電気回路である。例えば、前記電圧変換回路130は、1.5Vの電圧を1.35Vの電圧に変換することができる。つまり、前記電圧変換回路130の受信した電源電圧に対する変換量を、実際の必要に応じて設定することができる。例えば、前記電圧変換回路130は、1.8V、2.6V及び5Vの電圧も1.35Vに変換することができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
また、本実施形態において、前記電圧変換回路130は、受信した電源電圧を上げることもできる。例えば、1.35Vの電圧を1.5V、1.8V或いは2.6Vに変換することができる。好ましくは、前記電圧変換回路130は集積回路であり、例えば、ディジタル直流/直流電源モジュールの集積チップZL9101Mを介して作動する。
【0016】
複数の前記記憶チップ110は、前記電圧出力端131に電気的にそれぞれ接続され、且つ前記電圧出力端131から前記電圧変換回路130により変換されてなる駆動電圧を受信する。複数の前記記憶チップ110は、データ格納機能をそれぞれ有し、入力されたデータを受信して格納する。また、複数の前記記憶チップ110は、他の設備をサポートでき、この他の設備が格納したデータを読み出す機能も有する。つまり、複数の前記記憶チップ110は、前記メモリーカード10の外部の他の電気回路或いは電子部品とデータをやりとりして、データを格納することができる。本実施形態において、複数の前記記憶チップ110は、同じ駆動電圧の下で正常的に作動する。
【0017】
また、複数の前記記憶チップ110を前記メモリーカード10の外部の回路モジュールとデータを交換させるため、前記メモリーカード10に他の補助回路を設けることが必要である。
【0018】
本発明のメモリーカード10は、構造が簡単で集積度が高い前記電圧変換回路130を介して、入力された電源電圧信号を複数の前記記憶チップ110に適合する駆動電圧に変換してから、該駆動電圧を各々の前記記憶チップ110に出力する。従って、前記メモリーカード10に入力した電源電圧は何ボルト(V)であっても、複数の前記記憶チップ110は、適当な駆動電圧を得ることができる。これにより、本発明のメモリーカード10の前記記憶チップ110は、適当な駆動電圧の下で作動するので、従来技術における適当でない駆動電圧が前記記憶チップ110に加えられて、該記憶チップ110を損傷させる問題を効果的に防止し、前記メモリーカード10全体の使用寿命を延ばし、さらに該メモリーカード10を備えるメインボード及びコンピュータの安定性を高め、その使用寿命を延ばすことできる。
【0019】
図2は、本発明の上記の実施形態に係るメモリーカード10を備えたコンピュータ30を示している。前記コンピュータ30は、少なくとも1つの前記メモリーカード10及び1つの前記メインボード20を備え、前記メモリーカード10は、前記メインボード20に設けられている。本実施形態において、前記メインボード20は、前記コンピュータ30のホスト内に装着される回路基板である。
【0020】
前記メインボード20は回路基板210を含む。前記回路基板210には、複数の回路モジュールが設けられている。中でも、電源電圧を出力するための少なくとも1つの電源モジュール(図示せず)を含む。複数の前記回路モジュールは、前記コンピュータ30のデータ処理機能を実現し、且つ前記コンピュータ30のホストの作動状態及び前記ホストに接続される他の設備の作動状態をコントロールする。
【0021】
また、前記回路基板210は、少なくとも1つのスロット211を備え、該スロット211は複数の接続ピンを備える。複数の前記接続ピンの内の少なくとも1つは、電源電圧を受信するための電源ピン213である。前記電源電圧は、前記回路基板210がその前記スロット211から出力する基準電圧のことである。
【0022】
前記メモリーカード10は、前記メインボード20にデータ格納機能を提供する。より詳しく説明すると、前記メモリーカード10は、前記回路基板210中の各種の前記回路モジュールのデータを格納すると共に、複数の前記回路モジュールが前記メモリーカード10から格納されたデータを読み出すことを支持する。
【0023】
前記メモリーカード10が前記スロット211の中に挿入されると、前記メモリーカード10の複数の前記電気ピンは、前記スロット211の複数の前記接続ピンと各々対応して、電気的に接続される。これと同時に、前記メモリーカード10の前記電源端101は、前記スロット211の前記電源ピン213に接続され、前記電源ピン213から基準電圧とする電源電圧を受信する。
【0024】
次いで、前記電圧変換回路130は、前記電源端101により伝送されてきた基準電圧を受信し、且つ該基準電圧を前記メモリーカード10が正常的に作動するために必要な駆動電圧に変換させた後、該駆動電圧を複数の前記記憶チップ110にそれぞれ出力して、複数の前記記憶チップ110を正常的に作動させる。
【0025】
本発明において、前記メモリーカード10は、それ自身が前記電圧変換回路130を有するので、前記コンピュータ30の前記回路基板210中の対応する回路モジュールは、前記メモリーカード10の型番或いは駆動電圧を読み取った後、前記メモリーカード10に対する適当な駆動電圧の供給を必要とせずとも、前記回路基板210の作動量を減らし、該回路基板210の作動効率を向上させることができる。
【0026】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形、又は修正が可能であり、該変形、又は修正も本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
10 メモリーカード
20 メインボード
30 コンピュータ
101 電源端
110 記憶チップ
130 電圧変換回路
131 電圧出力端
210 回路基板
211 スロット
213 電源ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの電源端と、少なくとも1つの記憶チップと、1つの電圧変換回路と、を備えるメモリーカードであって、前記電源端は、前記メモリーカードの外部の電気回路により供給される電源電圧を直接に受信し、前記電圧変換回路は、前記電源端から伝送されてきた該電源電圧を、前記少なくとも1つの記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧に変換してから、該駆動電圧を前記少なくとも1つの記憶チップに供給することを特徴とするメモリーカード。
【請求項2】
前記少なくとも1つの記憶チップの数量が複数である場合、複数の前記記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧は同じであることを特徴とする請求項1に記載のメモリーカード。
【請求項3】
少なくとも1つのスロット及び少なくとも1つのメモリーカードを備え、且つ各々の前記メモリーカードは、各々の前記スロットにそれぞれ対応して挿入接続されるメインボードであって、前記メモリーカードは、少なくとも1つの前記記憶チップ及び1つの前記電圧変換回路を備え、前記メインボードからの電源電圧は、前記スロットを介して、前記メモリーカードに伝送され、該電源電圧は前記メインボードの前記メモリーカードに供給する基準電圧とし、前記電圧変換回路は、前記基準電圧を受信し、且つ該基準電圧を前記記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧に変換した後、該駆動電圧を前記記憶チップに供給することを特徴とするメインボード。
【請求項4】
前記スロットは1つの電源ピンを備え、前記メモリーカードは1つの電源端を備え、前記電源電圧は前記電源ピンを介して、前記電源端に伝送されることを特徴とする請求項3に記載のメインボード。
【請求項5】
各々の前記メモリーカードの記憶チップの数量が複数である場合、複数の前記記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧は同じであることを特徴とする請求項3に記載のメインボード。
【請求項6】
少なくとも1つのメモリーカード及びメインボードを備えるコンピュータであって、
前記メモリーカードは、1つの電源端と、少なくとも1つの記憶チップと、1つの電圧変換回路と、を備え、前記電源端は、前記メインボードにより供給される基準電圧を直接に受信し、前記電圧変換回路は、前記電源端から伝送されてきた該基準電圧を、前記少なくとも1つの記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧に変換してから、該駆動電圧を前記少なくとも1つの記憶チップに供給することを特徴とするコンピュータ。
【請求項7】
前記メインボードには、少なくとも1つのスロットが設けられ、前記少なくとも1つのメモリーカードは前記スロットに対応して挿入接続され、該コンピュータからの電源電圧は前記スロットを介して、前記メモリーカードに伝送され、該電源電圧は前記コンピュータの前記メモリーカードに供給する基準電圧とし、前記電圧変換回路は、前記基準電圧を受信し、且つ該基準電圧を前記記憶チップが正常的に作動することに必要な駆動電圧に変換した後、該駆動電圧を前記記憶チップに供給することを特徴とする請求項6に記載のコンピュータ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−84254(P2013−84254A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−206694(P2012−206694)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】