説明

メモリー付き電極を備えた計測装置

【課題】電極を取り替える度に校正或は補正値の設定をする必要がなく、用途別の電極を自由に使い分けることのできるメモリー付き電極を備えた計測装置を提供する。
【解決手段】装置本体20と、この装置本体20に対して着脱自在とされた測定電極10とを備えた計測装置1において、測定電極10内に、又は、この測定電極10を装置本体20に対して接続するためのケーブル12或はコネクタ13内に、測定電極10に関する情報を記憶するための記憶手段15を設け、記憶手段15に、測定電極10使用開始時にその使用有効期限を、装置本体20の書き込み機能を使用して記憶させ、測定電極10を使用するときに、測定電極10の記憶手段15に記憶された使用有効期限と装置本体20の時計とを比較し、使用有効期限が近づいている場合若しくは使用有効期限を過ぎている場合にその旨を表示するか、又は測定電極10の使用を停止する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に着脱自在とされた測定電極を備えたpH計、イオンメータ、電気伝導率計などの計測装置に関するものであり、特に、測定電極が記憶手段(メモリー)を有し、このメモリーに電極の特性などに関する情報が入力されており、極めて利便性の良い計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、装置本体に対し着脱自在とされた測定電極を備えたpH計やイオンメータなどの計測装置においては、使用する前に標準液を用いて電極個々の特性を校正し、この校正データを基に測定値を計算補正して表示している。又、電気伝導率計における電気伝導率セルのように補正値が必要な電極は、電極に表示されている補正値を目視で読み取り、この補正値を装置本体に設定して使用することが要求される。
【0003】
従って、上述のように、従来の計測装置では、電極を使用するときに校正されたデータ或は補正値は装置本体内のメモリーに記憶されているために、電極を他の電極に取り替えた場合には、この新たな電極のために再度標準液を用いて校正を行なったり、新たな補正値の設定を行なわなければならない。
【0004】
計測装置によっては、幾つかの校正値を記憶していて選択して使用できるものもあるが、どのデータがどの電極のものかは使用する者が覚えていなければならない。つまり、装置本体が自動的に電極を識別することはできなかった。
【0005】
又、補正値が必要な電極、例えば電気伝導率セルなどは、上述のように、セル定数を装置本体に設定しなければならないが、電気伝導率セルは用途によっていろいろな形状の電極があり、それらを取り替えて使用するときなど、その都度セル定数を設定しなければならない。従って、設定間違いや設定忘れなどにより正確な測定ができない場合があった。更に、測定結果を印字した時も測定結果だけが印字されるに過ぎず、どの電極を使用して得られた結果なのかを印字することはできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、電極を取り替える度に校正或は補正値の設定をする必要がなく、用途別の電極を自由に使い分けることのできるメモリー付き電極を備えた計測装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、電極の校正履歴、使用状態などの電極管理が可能なメモリー付き電極を備えた計測装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、設定違いや、設定忘れをなくし、電極の交換が容易なメモリー付き電極を備えた計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は本発明に係るメモリー付き電極を備えた計測装置にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた測定電極とを備えた計測装置において、前記測定電極内に、又は、この測定電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、測定電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け;前記記憶手段に、前記測定電極に関する情報として、前記測定電極を使用し始めた時にこの測定電極の使用有効期限を、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶させ;前記装置本体は、前記測定電極を使用するときに、前記測定電極の前記記憶手段に記憶された前記使用有効期限と、前記装置本体の時計とを比較し、前記使用有効期限が近づいている場合若しくは前記使用有効期限を過ぎている場合にその旨を表示するか、又は前記使用有効期限が過ぎている場合に前記測定電極の使用を停止することを特徴とする計測装置である。
【0010】
第2の本発明によると、装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた測定電極とを備えた計測装置において、前記測定電極内に、又は、この測定電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、測定電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け;前記記憶手段に、前記測定電極に関する情報として、この測定電極の校正有効期限を、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶させ;前記装置本体は、前記測定電極の校正をするときに、前記測定電極の前記記憶手段に記憶された前記校正有効期限と、校正日時とを比較して、前記校正有効期限が近づいている場合若しくは前記校正有効期限を過ぎている場合にその旨を表示することを特徴とする計測装置が提供される。
【0011】
第3の本発明によると、装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされたpH電極とを備えたpH計において、前記pH電極内に、又は、このpH電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、pH電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、前記記憶手段に、前記pH電極に関する情報として、少なくともこのpH電極の不斉電位及び感度を記憶させることを特徴とするpH計が提供される。
【0012】
第4の本発明によると、装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされたpH電極とを備えたpH計において、前記pH電極内に、又は、このpH電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、pH電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け;前記記憶手段に、前記pH電極に関する情報として、前記pH電極の劣化を判断するための劣化判断情報である、このpH電極の不斉電位の基準値及び感度の基準値を記憶させ;前記装置本体は、前記pH電極の校正時に、pH標準液を使用して求めた不斉電位及び感度と、前記pH電極の前記記憶手段に記憶された前記劣化判断情報とを比較して、このpH電極が劣化しているか否かを判断することを特徴とするpH計が提供される。
【0013】
第5の本発明によると、装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた電気伝導率セルとを備えた電気伝導率計において、前記測定電極内に、又は、この電気伝導率セルを前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、電気伝導率セルに関する情報を記憶するための記憶手段を設け、前記記憶手段に、前記電気伝導率セルに関する情報として、少なくともこの電気伝導率セルのセル定数を記憶させることを特徴とする電気伝導率計が提供される。
【0014】
第6の本発明によると、装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた抵抗式測温体電極とを備えた温度計において、前記抵抗式測温体電極内に、又は、この抵抗式測温体電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、抵抗式測温体電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、前記記憶手段に、前記抵抗式測温体電極に関する情報として、少なくともこの抵抗式測温体電極のB定数又は公称抵抗値を記憶させることを特徴とする温度計が提供される。
【0015】
第7の本発明によると、装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされたイオン電極とを備えたイオンメータにおいて、前記イオン電極内に、又は、このイオン電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、イオン電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け;前記記憶手段には、前記イオン電極に関する情報として、前記イオン電極の製造時にこの測定電極を識別するための識別情報を記憶させ;前記装置本体は、測定時に、前記イオン電極の前記記憶手段に記憶された前記識別情報を読み込んで、測定値と共に測定されたイオン種を表示或は印字することを特徴とするイオンメータが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、
(1)電極を取り替える度に校正或は補正値の設定をする必要がなく、用途別の電極を自由に使い分けることができる。
(2)電極の校正履歴、使用状態などの電極管理が可能であり、且つ容易である。
(3)設定違いや、設定忘れをなくし、電極の交換が容易である。
といった効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るメモリー付き電極を備えた計測装置を図面に則して更に詳しく説明する。以下の実施例では、主としてpH電極を備えたpH計に関して説明するが、本発明は、その他にも、イオン電極、電気伝導率セル、抵抗式測温体電極、溶存酸素電極などを備えた種々の計測装置に適用し得るものである。
【0018】
実施例1
図1に、本発明の計測装置の一実施例であるpH計1が示される。このようなpH計1は、先端部にガラス感応膜のようなpH感応部11を備えた全体が細長形状とされるpH測定電極10と、このpH測定電極10からの信号を処理し、表示する装置本体20とを備え、測定電極10はケーブル12を介してコネクタ13にて装置本体20に着脱自在に接続されている。
【0019】
本発明によれば、図2に示すように、測定電極10の、pH感応部11とは反対側の端部に隣接してプリント基板14を配置し、そこに電極が必要とするデータを記憶させるための記憶手段15を取付ける構造とされる。又、別法として、図3に示すように、記憶手段15は、測定電極10を装置本体20に接続するためのケーブル12の先端に取付けられたコネクタ13内のプリント基板14に設けることもできる。
【0020】
電極の記憶手段15としては、本実施例では、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory:電気的消去書き込み可能な読み出し専用メモリー)を用いたが、更に、記憶手段15としては、フラッシュメモリー、電池バックアップ付きRAM、EPROM、更にはワンタイムROMなども使用し得る。
【0021】
上述したように、測定電極10を備えたpH計のような計測装置1においては、使用する前に標準液を用いて電極の特性を校正し、この校正結果を基に測定値を計算補正して表示することが必要である。
【0022】
従って、例えば電極10内に設けられたメモリー15内には、電極の情報(データ)として、電極の製造時において型式名、製造番号が入力され、電極の検査時に、校正データが書き込まれる。更に、メモリー15内に記憶する情報としては、電極の使用時間データ或は電極の劣化データなどを含むことができる。
【0023】
本発明によれば、装置本体20内には、前記測定電極10のメモリー15に記憶された情報を読み込み、記憶する手段を有すると共に、又、前記測定電極10のメモリー15に新たな校正データなどを書き込むための手段を有している。
【0024】
次に、図4を参照して、本発明に従った上記構成の測定装置の作動態様について説明する。
【0025】
pH計にて測定を行なうために測定電極10のコネクタ13を装置本体20に接続し、電源をONとして測定モードをスタートさせる。装置本体20は、装置本体20に設けられた読み込み/書き込み手段により、先ず、接続された電極10のメモリー15から、この電極10の型式名、製造番号などを読み込み(ステップ1)、この電極(X)が以前に使用していた電極(M)であるか否かを判断する(ステップ2)。この電極(X)が以前に使用していた電極(M)であると判断した場合には前回のデータをそのまま使用する(ステップ3)。もし、この電極(X)が以前使用していた電極(M)でないと判断した場合には、この電極(X)のメモリー15から校正データを読み出し、装置本体20のメモリーに記憶する(ステップ4)。
【0026】
装置本体20は、読み込まれた校正データ及び測定電極10から得られた電位に基づきpH値を演算補正し、測定pH値として表示する(ステップ5)。又、プリンタを備えた計測装置では、必要に応じて印字をも行なうことができる。
【0027】
上述のように、本発明によれば、装置本体20は、接続された電極10が個々に記憶しているデータを使用して、電極の型式名、製造番号などを識別し、且つ装置本体20内のデータの書き換えなどを行なう。
【0028】
次に、必要に応じて行なわれるpH測定電極の標準液を用いた校正手順について、図5を参照して説明する。
【0029】
電源をONとし校正モードをスタートさせる。装置本体20に接続された電極10を標準液に浸漬する(ステップ1)。pH標準液としては、しゅう酸塩pH標準液(pH1.68/at25℃)、フタル酸pH標準液(pH4.01/at25℃)、中性りん酸塩pH標準液(pH6.86/at25℃)、ほう酸塩pH標準液(pH9.18/at25℃)などがある。
【0030】
次いで、測定される電位が安定したと判断されると(ステップ2)、使用した標準液の種別を識別し、その時の標準液のpH値を算出する(ステップ3)。即ち、先ず、標準液に電極を入れ発生した電位を読み取り温度補償の計算をし、その値からどの標準液であるかを識別する。
【0031】
次に、標準液には温度特性があり、温度によりpH値が違うので、電極10とは別に設けられた温度センサーにより測定された温度に基づき標準液のpH値を算出する。次いで、測定された電位と算出されたpH値を装置本体20のメモリーに記憶し、(ステップ4)、更に、装置本体20はその書き込み手段により、校正データを測定電極10のメモリー15に書き込む(ステップ4、5)。
【0032】
このような測定電極10の校正は、上述のように、電極10を装置本体20に接続して行なうこともできるが、専用の校正器を用意して実施することもできる。この場合には、装置本体20は、測定値を表示するための単なる表示器として機能するだけでよい。
【0033】
実施例2
本実施例では、本発明を電気伝導率計とそのセル(電極)に応用した場合について説明する。
【0034】
本実施例においても、実施例1の場合と同様に、セル自体に、或は装置本体へのコネクタ内に記憶手段、例えばEEPROMを設ける。このメモリー内には、製造時に型式名と製造番号を、検査時にセル定数が書き込まれる。
【0035】
従って、このセルを装置本体に接続すると、装置本体はセルよりセル定数を読み込み、装置本体のメモリーに記憶し、このデータを使い測定値を演算、補正し、測定電気伝導率として表示し、必要に応じて印字を行なう。
【0036】
上述のように、本実施例でも実施例1と同様に、装置本体は、セルの状態を監視し、セルの交換時などにセル定数の変更などを行なう。電気伝導率セルを標準液を用いて校正を行なう場合は、自動でセル定数を計算し、この値をセルに記憶させることができる。
【0037】
このように、本発明では、セル定数を自動設定することができるので、設定忘れや間違いがなくなる。
【0038】
実施例3
有効期限のある電極を有する計測装置について説明する。例えば、pH電極は、取引証明に使用する場合のように計量法による検定が必要な場合があり、この場合には電極についての有効期間は1年である。このような計測装置においては、電極を使用し始めた時に有効期限を装置本体の書き込み機能によりこの電極のメモリーに書き込んでおく。装置本体は、電極を使用する度にこの電極のメモリーに記憶された有効期限を読み出し、装置本体に内蔵した時計と比較し、期限が近づいていることを表示器に表示し、使用者に知らせることができる。もし、期限が過ぎている場合には、使用者に警告を発するか、或は使用を停止するようにすることもできる。
【0039】
又、必要に応じては、使用者自身で、標準液による校正有効期限を設定することもできる。つまり、使用者は、装置本体の書き込み機能を使用して、電極を校正したときにその標準液校正の日時を測定電極に書き込み、電極の校正日時と有効期間とを比較し、注意や警告などのメッセージを随時表示させることができる。
【0040】
又、電極の使用時間をメモリーに記憶させることも可能である。つまり、計測器の電源が入っている状態で電極が計測器に接続されている時間を積算することによって使用時間とする。本発明によれば電極の個々の判別が可能であるので、電極を取り替えてもそれぞれの積算時間を処理判断することができる。
【0041】
更には、電極のメモリーには、電極の劣化判断情報を記憶させることもできる。つまり、電極にはそれぞれ理論的な発生電位がある。個々の電極によってそれぞれ違いがあるので校正が必要になるが、基本的に理論からかけ離れた電位を発生することはない。そこで、理論電位から例えば10%下回ったら劣化と判断することができる。
【0042】
例えば、pH計では2点校正を行ない不斉電位と感度を算出するが、不斉電位に対しては0mVが基準で±30mV以上あった場合には異常、感度は59.16mVが基準で10%異常下回った場合に異常(劣化)と判断することができる。
【0043】
このように、本発明の計測装置によれば、電極が個々にその有効期限或は校正日時、更には、電極使用時間、電極劣化判断情報を記憶しているので、電極の管理が極めて有効に達成される。
【0044】
上記説明は、pH計に関して説明したが、本発明はイオンメータ、電気伝導率計、溶存酸素計などにも同様に適用し、同様の効果を達成し得るものである。
【0045】
実施例4
イオン性選択電極を使用している計測装置の場合には、イオン標準液により校正を行なった場合はその結果を電極のメモリーに書き込み、更に、校正日時も校正データと共に書き込んでおく。イオン電極の場合は、種々のイオン電極があるので、読み出した電極の型式名から測定されたイオンの種類をも測定結果と共に表示或は印字することができる。従って、何種類かのイオン電極を、装置本体の特別の切換え操作を必要とすることなく使用することができる。勿論、校正期限などをも、電極に記憶したデータを基に上記実施例と同様に管理することができる。
【0046】
実施例5
サーミスタ式温度計のような計測装置では、温度測定の精度又は互換性を上げるために測定電極であるサーミスタに補正抵抗を入れたり、或は同じ特性の素子を選択して使用することが行なわれている。従って、本発明に従って、サーミスタ電極に、又はケーブル若しくはコネクタ内に記憶手段を配置し、サーミスタの特性データ、例えばB定数、公称抵抗値などを書き込んでおくことにより、接続時にこのデータを読み出し、測定抵抗値より演算することにより精度の高い測定を行なうことができる。
【0047】
本実施例は、サーミスタ電極の代わりに白金抵抗体など、その他の抵抗式測温体電極を使用した計測装置に対しても同様に適用して同じ効果を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の計測装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】計測装置の測定電極の部分破断図である。
【図3】計測装置のコネクタ部分の断面図である。
【図4】測定時の作動を説明するフロー図である。
【図5】校正時の作動を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0049】
1 計測装置
10 測定電極
12 ケーブル
13 コネクタ
14 プリント基板
15 記憶手段(メモリー)
20 装置本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた測定電極とを備えた計測装置において、
前記測定電極内に、又は、この測定電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、測定電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、
前記記憶手段に、前記測定電極に関する情報として、前記測定電極を使用し始めた時にこの測定電極の使用有効期限を、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶させ、
前記装置本体は、前記測定電極を使用するときに、前記測定電極の前記記憶手段に記憶された前記使用有効期限と、前記装置本体の時計とを比較し、前記使用有効期限が近づいている場合若しくは前記使用有効期限を過ぎている場合にその旨を表示するか、又は前記使用有効期限が過ぎている場合に前記測定電極の使用を停止する、
ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた測定電極とを備えた計測装置において、
前記測定電極内に、又は、この測定電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、測定電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、
前記記憶手段に、前記測定電極に関する情報として、この測定電極の校正有効期限を、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶させ、
前記装置本体は、前記測定電極の校正をするときに、前記測定電極の前記記憶手段に記憶された前記校正有効期限と、校正日時とを比較して、前記校正有効期限が近づいている場合若しくは前記校正有効期限を過ぎている場合にその旨を表示する、
ことを特徴とする計測装置。
【請求項3】
装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされたpH電極とを備えたpH計において、
前記pH電極内に、又は、このpH電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、pH電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、
前記記憶手段に、前記pH電極に関する情報として、少なくともこのpH電極の不斉電位及び感度を記憶させることを特徴とするpH計。
【請求項4】
装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされたpH電極とを備えたpH計において、
前記pH電極内に、又は、このpH電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、pH電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、
前記記憶手段に、前記pH電極に関する情報として、前記pH電極の劣化を判断するための劣化判断情報である、このpH電極の不斉電位の基準値及び感度の基準値を記憶させ、
前記装置本体は、前記pH電極の校正時に、pH標準液を使用して求めた不斉電位及び感度と、前記pH電極の前記記憶手段に記憶された前記劣化判断情報とを比較して、このpH電極が劣化しているか否かを判断する、
ことを特徴とするpH計。
【請求項5】
装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた電気伝導率セルとを備えた電気伝導率計において、
前記測定電極内に、又は、この電気伝導率セルを前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、電気伝導率セルに関する情報を記憶するための記憶手段を設け、
前記記憶手段に、前記電気伝導率セルに関する情報として、少なくともこの電気伝導率セルのセル定数を記憶させることを特徴とする電気伝導率計。
【請求項6】
装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた抵抗式測温体電極とを備えた温度計において、
前記抵抗式測温体電極内に、又は、この抵抗式測温体電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、抵抗式測温体電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、
前記記憶手段に、前記抵抗式測温体電極に関する情報として、少なくともこの抵抗式測温体電極のB定数又は公称抵抗値を記憶させることを特徴とする温度計。
【請求項7】
装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされたイオン電極とを備えたイオンメータにおいて、
前記イオン電極内に、又は、このイオン電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、イオン電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、
前記記憶手段には、前記イオン電極に関する情報として、前記イオン電極の製造時にこの測定電極を識別するための識別情報を記憶させ、
前記装置本体は、測定時に、前記イオン電極の前記記憶手段に記憶された前記識別情報を読み込んで、測定値と共に測定されたイオン種を表示或は印字する、
ことを特徴とするイオンメータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、この装置本体に対して着脱自在とされた測定電極とを備えた計測装置において、
前記測定電極内に、又は、この測定電極を前記装置本体に対して接続するためのケーブル或はコネクタ内に、測定電極に関する情報を記憶するための記憶手段を設け、
前記装置本体に、前記測定電極の前記記憶手段に記憶された情報を読み込む機能を設けると共に、前記記憶手段に情報を書き込む機能を設け、
前記記憶手段に、前記測定電極に関する情報として、この測定電極の使用有効期限、校正有効期限、使用時間及び電極劣化判断情報のうち少なくとも1つを、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶させる、
ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記記憶手段に、前記使用有効期限が、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶される場合において、
前記装置本体は、前記測定電極を使用するときに、前記記憶手段に記憶された前記使用有効期限と、前記装置本体の時計とを比較し、前記使用有効期限が近づいている場合若しくは前記使用有効期限を過ぎている場合にその旨を表示するか、又は前記使用有効期限が過ぎている場合に前記測定電極の使用を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記記憶手段に、前記校正有効期限が、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶される場合において、前記記憶手段には更に、前記測定電極に関する情報として、前記測定電極の校正をしたときに校正日時が、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶され、
前記装置本体は、前記測定電極の前記記憶手段に記憶された前記校正有効期限と、前記校正日時とを比較して、前記校正有効期限が近づいている場合若しくは前記校正有効期限を過ぎている場合にその旨を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記記憶手段に、前記使用時間が、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶される場合において、
前記装置本体は、該装置本体に電源が入っている状態で前記測定電極が該装置本体に接続されている時間を積算することによって前記使用時間とすることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
前記記憶手段に、前記電極劣化判断情報が、前記装置本体の書き込み機能を使用して記憶され、前記測定電極が、pH電極又はイオン電極である場合において、
前記電極劣化判断情報は、前記測定電極の基準の不斉電位又は感度であり、
前記装置本体は、前記測定電極の校正時に算出された不斉電位が前記記憶手段に記憶された前記基準の不斉電位よりも所定値以上あった場合、又は前記測定電極の校正時に算出された感度が前記記憶手段に記憶された前記基準の感度よりも所定値以上下回った場合に、その測定電極が劣化していると判断することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−349679(P2006−349679A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162907(P2006−162907)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【分割の表示】特願2004−159837(P2004−159837)の分割
【原出願日】平成9年3月7日(1997.3.7)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】