説明

メモリ素子、メモリセル、メモリセルアレイ及び電子機器

【課題】メモリ層の抵抗値を正確に制御することにより、信頼性の高いメモリ素子、メモリセル、メモリセルアレイ、及び電子機器を提供する。
【解決手段】温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層9を設け、このメモリ層9の近傍に独自ヒータ層7を配置する。そして、メモリ層9の抵抗値を、独自ヒータ層7に対して印加される独自のパルス電圧又はパルス電流により発生する熱エネルギーにより制御するようにする。これにより、メモリ層9の抵抗値が、数段階(多値)で正確に制御されるため、メモリセルにおいて、正確な情報の書き込み及び読み出しが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度変化に応じて抵抗値が徐々に変化する材料を用い、その抵抗値の違いを利用して情報を記録する相変化型の不揮発性メモリ素子、メモリセル、メモリセルアレイに関し、また、それらを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、相変化型の不揮発性メモリが次世代の高集積の不揮発性メモリとして期待されている。相変化型の不揮発性メモリでは、相変化材料として、例えばカルコゲナイド系の材料が用いられる。図18は、従来の相変化型の不揮発性メモリに用いられている相変化材料の温度変化に対応する抵抗特性を示した図である。横軸に温度T、縦軸に抵抗率ρを示す。例えば、図18A,Bにおいて、領域aは高抵抗のアモルファス相であり、領域bは、低抵抗の結晶相である。図18Aに示す相変化材料は、抵抗値ρが、ある温度Tで急に低下し、その後一定になるような材料であり、図18Bに示す相変化材料は、抵抗値ρが、ある温度Tで急に低下し、その後徐々に下がる材料である。相変化の不揮発性メモリでは、この相変化材料を用いた薄膜において、結晶相及びアモルファス相間の相転移を利用して、情報の書き込み/読み出しが行われる。例えば、高抵抗のアモルファス相を「1」、低抵抗の結晶相を「0」とすることで、2値の情報を記録(書き込み)することができる。また、相変化材料に所定電圧を印加したときに流れる電流量を検出することで、アモルファス相が結晶相かを判断し、書き込まれた情報を再生(読み出し)することができる。
【0003】
この相変化型の不揮発性メモリは、フラッシュメモリに代表される既存の不揮発性メモリに比べて、書き込み/読み出し速度が早く、書き換え耐性が高い。また、記録時間が長く、低コストで製造できるので、集積化に有利であるという利点がある。
【0004】
一方、近年、より高い記録密度を実現するために、多値記録メモリの実用化に向けての開発が進められている。通常、多値記録メモリでは、相変化材料からなる薄膜を、部分的にアモルファス相または結晶相に転移させた中間層を用いて多値記録を実現している。例えば、相変化材料からなる薄膜の全体を結晶相とした場合を「0」、薄膜の全体の1/4をアモルファス相に転移させた場合を「1」、薄膜の全体の1/2をアモルファス相に転移させた場合を「2」、薄膜の全体をアモルファス相に転移させた場合を「3」とすることで、多値の情報を記録することができる。
【0005】
特許文献1には、相変化型の多値記録メモリについて記載されている。ここで記載されているように、多値記録は、例えば単一の相変化材料層を有するメモリ素子において、相変化材料層に流すリセット電流を制御することによって実行される。この方法によれば、リセット電流の量により、相変化材料層が相転移され、メモリ素子においてマルチレベルの抵抗値が得られる。
【0006】
また、特許文献2には、1つの相変化型のメモリ素子に多数の電極を有する多値記録方式が提案されている。このメモリ素子においては、ある電極ペアにパルスを印加し、この電極ペア間の相変化材料領域を相変化させることにより、一つの記録が行われる。さらに、他の電極ペアを使用すると、別の記録が可能となり、多値記録を得ることができる。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5534711号明細書
【特許文献2】米国特許第0178404号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のメモリ素子では、相変化材料層の状態が結晶か、非結晶であるかによって、抵抗値Rが異なる。この為、制御された電流Iの印加パルスを同じにしても、印加される熱エネルギーE=IRt(R:抵抗,t:時間)が異なってしまうため、この制御が難しいという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術は、パルスが印加された電極ペア以外の相変化材料領域でも相変化が生じる可能性があるので、メモリ層の抵抗値の制御が難しいという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、メモリ層の抵抗値を正確に制御することにより、信頼性の高いメモリ素子、メモリセル、メモリセルアレイ、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のメモリ素子は、温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層と、メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層とを有し、メモリ層の抵抗値は、独自ヒータ層に対して独自のパルス電圧又はパルス電流が印加されることにより発生する熱エネルギーにより制御されることを特徴とする。
【0011】
本発明のメモリ素子において、温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料とは、温度変化に対応して、いくつかの抵抗値を有するように、段階的又は連続的に抵抗値が変化する相変化材料を示す。また、独自ヒータ層に対して印加される「独自のパルス電圧又はパルス電流」は、メモリ層の抵抗値に影響されないパルス電圧又はパルス電流を意味する。
本発明のメモリ素子では、メモリ層の抵抗値は、独自ヒータ層から発生する熱エネルギーにより制御されるので、正確に制御される。
【0012】
また、本発明のメモリセルは、基板上に、温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層と、メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層と、メモリ層に接続されるスイッチング素子とを有し、独自ヒータ層に対して独自のパルス電圧又はパルス電流を印加することにより発生する熱エネルギーにより、メモリ層の抵抗値を制御してメモリ層に情報を書き込み、メモリ層に書き込まれた情報は、スイッチング素子を制御することにより読み出されるように構成されることを特徴とする。
【0013】
本発明のメモリセルでは、メモリ素子がメモリ層の抵抗値は、独自ヒータ層から発生する熱エネルギーにより制御されるので、正確に制御されるため、メモリセルにおいて、正確な情報の書き込み及び読み出しができる。
【0014】
また、本発明のメモリセルアレイは、温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層と、メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層と、メモリ層に接続されたスイッチング素子とを有し、独自ヒータ層に対して独自のパルス電圧又はパルス電流を印加することにより発生する熱エネルギーにより、メモリ層の抵抗値を制御してメモリ層に情報を書き込み、メモリ層に書き込まれた情報が、スイッチング素子を制御することにより読み出されるように構成されたメモリセルが、基板上に複数配列されてなることを特徴とする。
【0015】
本発明のメモリセルアレイでは、メモリ素子がメモリ層の抵抗値は、独自ヒータ層から発生する熱エネルギーにより制御されるので、正確に制御されるため、メモリセルアレイにおいて、正確な情報の書き込み及び読み出しができる。
【0016】
また、本発明の電子機器は、少なくとも、信号処理回路と、信号処理回路により処理された情報が入力されるメモリセルアレイとを有し、メモリセルアレイは、温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層と、メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層と、メモリ層に接続されたスイッチング素子とを有し、独自ヒータ層に対して独自のパルス電圧又はパルス電流を印加することにより発生する熱エネルギーにより、メモリ層の抵抗値を制御してメモリ層に情報を書き込み、メモリ層に書き込まれた情報が、スイッチング素子を制御することにより読み出されるように構成されたメモリセルが、基板上に複数配列されてなることを特徴とする。
【0017】
本発明の電子機器では、メモリセルアレイにおいて、メモリ層の抵抗値が独自ヒータ層から発生する熱エネルギーにより制御されるので、正確に制御される。このため、メモリセルアレイにおいて、正確な情報の書き込み及び読み出しができるので、電子機器において得られた情報を正確に書き込み及び読み出しすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、相変化材料からなるメモリ層の温度を正確に制御することができるで、メモリ素子、メモリセル、メモリセルアレイ、及び電子機器において、信頼性の向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1Aに、本発明のメモリ素子における、第1の実施形態の概略断面構成を示す。また、図1Bには、図1AにおけるA−A断面構成を示す。本実施形態例におけるメモリ素子は、下部電極である第1電極と、上部電極である第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられたメモリ層と、第1電極2と第2電極6よりも第1電極2側に設けられた第3電極4との間であって、メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層7により構成される。
以下に詳述する。
【0021】
本実施形態例におけるメモリ層9は、図1Bに示す断面図からわかるように円柱型に構成されており、下部電極である第1電極2上に、例えばTiNからなる接着用金属膜3を介し、第1電極2平面に対して円柱の軸心が垂直になるように設けられている。また、このとき、円柱型のメモリ層9の底部及び側面には、高抵抗の材料からなる抵抗膜8が形成されている。また、メモリ層9の上部には、上部電極である第2電極4が形成されている。このような構成により、第1電極2及び第2電極6間のメモリ層9に電流が通電される。
【0022】
また、本実施形態例のメモリ層9には、温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料が用いられる。図2に、本実施形態例で用いられる相変化材料の抵抗率(ρ)に対する温度(T)特性を示す。図2に示すように、本実施形態例のメモリ層9に用いられる相変化材料としては、例えば温度TのT〜Tn−1に上昇するのに比例して抵抗率ρがρ〜ρn−1に低下する材料が用いられる。
【0023】
このような相変化材料としては、例えば、GeSbTe,GaSb,InSb,InSe,SbTe,GeTe,InSbTe,GaSeTe,SnSbTe,InSbGe,GaInSbTe,GeSnSbTe,GeSbSnTe,又はTeGeSbSeのいずれかに、O(酸素),N(窒素),Ag(銀),Si(珪素),Sn(錫)のうち、1種又は複数種を添加した材料が挙げられる。すなわち、GeSbTe,GaSb,InSb,InSe,SbTe,GeTe,InSbTe,GaSeTe,SnSbTe,InSbGe,GaInSbTe,GeSnSbTe,GeSbSnTe,又はTeGeSbSeのいずれかに、O(酸素),N(窒素),Ag(銀),Si(珪素),Sn(錫)のうち、1種又は複数種を添加することにより、温度変化に対応して、連続的に緩やかに抵抗値が変化する相変化材料となる。
【0024】
図3に、温度上昇に伴う相変化材料の状態変化を模式的に示す。図3A〜Dに示すように、温度上昇に伴って結晶核100を中心に徐々に結晶101が成長し、例えば図3Aに示す非結晶のアモルファス状態から図3Dに示す結晶状態に相転移する。すなわち、図2において、アモルファス状態では抵抗率ρが高く、結晶状態では抵抗率ρが低い。
【0025】
また、メモリ層9の側面及び底部に設けられる高抵抗の抵抗膜8の抵抗値は、メモリ層9がアモルファス状態であるときの抵抗値より小さく、結晶状態であるときの抵抗値より大きいことが好ましい。
【0026】
本実施形態例においては、相変化材料からなるメモリ層9は、メモリ層9近傍に配置された独自ヒータ層7から熱が与えられることによって、アモルファス状態から結晶状態に徐々に相転移する。本実施形態例では、この相転移の過程に生じる抵抗値の違いを利用して、多値記録がなされる。
【0027】
図1に示したとおり、本実施形態例における独自ヒータ層7は円筒型に構成されており、この円筒型の独自ヒータ層7が、円柱型のメモリ層8の側面であって、例えばメモリ層8の底部から2/3程度までの側面を取り囲むように配置されている。すなわち、独自ヒータ層7は、第2電極6に達しない高さに配置される。このとき、メモリ層9と独自ヒータ層7との間には、例えばSiNからなる絶縁層5が設けられており、メモリ層9と独自ヒータ層7とは、電気的に絶縁されている。また、独自ヒータ層7における底部側の端部は、メモリ層9と同様に接着用金属膜3を介して第1電極2に接続されている。すなわち、メモリ層9及び独自ヒータ層7の底部は、共通の第1電極2に接続されている。
【0028】
そして、独自ヒータ層7の上部側の端部は、第1電極2と第2電極6との間に位置する第3電極4に接続されている。第1電極2と第3電極4との間には、メモリ層9と独自ヒータ層7との間に設けられた絶縁層5が延在して設けられており、第1電極2と第3電極4は電気的に絶縁されている。また、円筒型の独自ヒータ層7の側面の外側であって、第1電極2及び第3電極4の間には、例えばSiOからなる絶縁層10が形成されている。このような構成により、第1電極2及び第3電極4間の独自ヒータ層7に電流が通電される。すなわち、独自ヒータ層7には、メモリ層9とは異なる、別の回路から電流が流れる。
【0029】
独自ヒータ層7には例えば、Si,Si(n型),Si(p型),TiAlN,TiSiN,TaN,WSiN,TiN,GeSi,又はC等が用いられる。
【0030】
図4A,Bに、本実施形態例のメモリ素子1に電圧を印加したときの回路図を示し、図5,6に、本実施形態例におけるメモリ素子1にパルス電圧を印加していった際の概略断面構成を模式的に示す。
図4A,Bに示すように、第1電極2と第2電極6との間には、高抵抗の抵抗膜8が有する抵抗Rbと、相変化材料からなるメモリ層9が有する抵抗値Raが直列に接続されている。そして、メモリ層9が有する抵抗値Raは、メモリ層9における相変化材料の結晶成長状態により変化する。また、第1電極2と第3電極4との間には、独自ヒータ層7が有する抵抗値Rが接続されている。独自ヒータ層7が有する抵抗値Rは一定である。
【0031】
以上のようなメモリ素子1において、第1電極2及び第2電極6間には図4Aに示すように、後述するリセットパルスRPが印加され、第1電極2及び第3電極4間には図4Bに示すように後述するセットパルスSPが印加される。このように本実施形態例では第1電極2はメモリ層9と独自ヒータ層7に対して共通であるが、独自ヒータ層7には、メモリ層9に印加されるパルス電圧又はパルス電流には影響されない独自のパルス電圧又はパルス電流が印加される。すなわち、本実施形態例で印加される独自のパルス電圧又はパルス電流とは、可変抵抗であるメモリ層9の抵抗の変化に影響されない、パルス電圧又はパルス電流である。
【0032】
本実施形態例におけるメモリ素子1では、独自ヒータ層7から発生される熱エネルギーEにより、相変化材料からなるメモリ層9の温度が正確に制御される。以下に、本実施形態例におけるメモリ層9の温度制御について詳述する。
【0033】
まず、図5Aは、メモリ層9がアモルファス状態であるときの概略断面構成を示している。アモルファス状態であるときは、例えば、図7に示すように、メモリ層9の抵抗値Rは一番高い状態、すなわち、図7では抵抗値Rである。このような、図5Aに示す状態において、第1電極2及び第3電極4間の独自ヒータ層7に、所望の大きさのパルス電流又はパルス電圧からなるセットパルスSP1を印加する。
【0034】
第1電極2及び、第3電極4から、独自ヒータ層7にセットパルスSP1を印加することにより、独自ヒータ層7からセットパルスSP1に応じた熱エネルギーが発生する。そして、この熱エネルギーが、絶縁層5及び抵抗膜8を介して、メモリ層9に伝達する。そうすると、この伝達された熱エネルギーにより、メモリ層9が加熱され、所望の抵抗値Raを有するまで結晶成長される。このとき、例えば図7において、メモリ層9の抵抗値RaはRとなる。図5Bでは、図7における抵抗値Rを有するように結晶成長されたメモリ層9を模式的に示している。
【0035】
次に、図5Bに示す状態において、さらに、第1電極2及び第3電極4間の独自ヒータ層7にセットパルスSP2を印加する。そして、この場合においても、第1電極2、第3電極4から独自ヒータ層7に所望の大きさのセットパルスSP2を印加することにより、独自ヒータ層7からセットパルスSP2に応じた熱エネルギーが発生する。そして、この熱エネルギーが、絶縁層5及び抵抗膜8を介して、メモリ層9に伝達する。そうすると、この伝達された熱エネルギーにより、メモリ層9が加熱され、所望の抵抗値Raを有するまで結晶成長される。このとき、例えば図7において、メモリ層9の抵抗値RはRとなる。図5Cでは、図7における抵抗値Rを有するように結晶成長されたメモリ層9を模式的に示している。
【0036】
さらに、図5Cに示す状態において、第1電極2及び第3電極4間の独自ヒータ層7にセットパルスSP3を印加する。そして、この場合においても、第1電極2、第3電極4から独自ヒータ層7に所望の大きさのセットパルスSP3を印加することにより、独自ヒータ層7からセットパルスSP3に応じた熱エネルギーが発生する。そして、この熱エネルギーが、絶縁層5及び抵抗膜8を介して、メモリ層9に伝達する。そうすると、この伝達された熱エネルギーにより、メモリ層9が加熱され、所望の抵抗値Raを有するまで結晶成長される。図5Dに示す例では、メモリ層9が結晶相に相転移された例を示しており、このとき、例えば図7において、メモリ層9の抵抗値RaはRとなる。図5Dでは、図7における抵抗値Rを有するように結晶成長されたメモリ層9を模式的に示している。
【0037】
以上のように、独自ヒータ層7から熱エネルギーを発生させることにより、図5Aから図5Dに示すようにメモリ層9における相変化材料層の結晶成長がなされ、メモリ層9の抵抗値Raが段階的に制御される。そして、本実施形態例では、独自ヒータ層7の抵抗値Rは常に一定であるため、セットパルスSPを所望の大きさに変えることにより、正確な熱エネルギーE=Itを発生させることができる。このため、メモリ層の抵抗値Raを正確に制御することができるため、正確な多値情報を記録することができる。
【0038】
次に、結晶化されたメモリ層9を、アモルファス状態に相転移する方法について説明する。図6Aに示すように第1電極2及び第2電極6間の結晶化されたメモリ層9に、所望の大きさのパルス電圧又はパルス電流からなるリセットパルスRPを印加する。そうすると、メモリ層9の側面及び底面を被覆した高抵抗の抵抗膜8が熱エネルギーを発生する。この熱エネルギーが、メモリ層9に伝達され、メモリ層9がアモルファス状態に相転移される。また、このリセットパルスRPの大きさを調整することにより、図5B〜Dに示すそれぞれの状態から、図6Bに示すアモルファス状態、すなわち非結晶状態に選択的にリセットすることができる。
また、本実施形態例では、高抵抗の抵抗膜8を設けることにより、結晶状態からアモルファス状態に相転移するために必要なエネルギーを、小さな電力で発生させることができる。また、抵抗膜8をメモリ層9の底部に設けることにより、リセットパルスRPを印加したときに、メモリ層9底部における温度変化を大きくすることができるので、メモリ層9の相変化が起こる位置を底部に集中させることができる。
【0039】
図8に、セットパルスSPとリセットパルスRPを印加したときのメモリ層9における状態転移図を示す。以上で説明したように、セットパルスSPとリセットパルスRPの値を適宜変化させることにより、所望の状態にメモリ層9を変化させることができる。また、セットパルスSP及びリセットパルスRPは、パルス幅や、パルスレベルを調整して所望のパルス電圧又はパルス電流とすることが好ましい。
【0040】
以上のように、本実施形態例では、例えば3段階のセットパルスSPを独自ヒータ層に印加することにより、メモリ層9において4段階の抵抗値Raが正確に設定される構成となっている。この4段階の異なる抵抗値Raを利用して、多値情報を記録することができる。
【0041】
次に、図9に、本発明のメモリセルにおける、第1の実施形態の概略断面構成を示す。本実施形態のメモリセルは、図1に示したメモリ素子1を用いた例である。図9に示すメモリセル200を同一基板上に複数形成することで、メモリセルアレイを構成することができる。図9において図1と対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0042】
本実施形態例に係るメモリセル200は、例えば、n型のシリコン半導体基板31上にスイッチング素子43とメモリ素子1とを有する例である。
まず、n型のシリコン半導体基板31の表面近傍には、p+拡散領域33とp+拡散領域34とが互いに離間して設けられている。このp+拡散領域33,34は、イオン打ち込み等によりp+型の不純物をn型のシリコン半導体基板31上に拡散させた領域である。これらのp+拡散領域33とp+拡散領域34との間にある領域は、キャリアが移動するチャネル領域となる。
【0043】
そして、p+拡散領域33上には、p+拡散領域33と電気的に接続されたソース電極44が設けられている。また、p+拡散領域34上には、p+拡散領域34と電気的に接続されたドレイン電極32が設けられており、このドレイン電極32はメモリ素子1の第1電極2である。チャネル領域上には、ゲート絶縁膜35を介してゲート電極45が設けられている。ソース電極44、ドレイン電極32、ゲート電極45は例えば、Poly−Si,Al等の導電性材料で構成されている。ゲート絶縁膜35はSiO等の絶縁材料で構成されている。
【0044】
これらの、p+拡散領域33、p+拡散領域34、チャネル領域、ソース電極44、ドレイン電極32、ゲート電極45によりp−MOSトランジスタからなるスイッチング素子43が形成される。
また、ドレイン電極32上に形成されるメモリ素子1は、図1のメモリ素子1と同様である。このとき、円柱型のメモリ層9の軸心は、シリコン半導体基板31面と垂直となるように配置されている。本実施形態例において、スイッチング素子43とメモリ素子1とは、絶縁層30で覆われている。メモリ素子1は、第2電極6が露出されるように絶縁層30に覆われており、また、図1で示したメモリ素子1を構成する絶縁層10及び5は、図9における絶縁層30により一体に図示されている。
【0045】
絶縁層30上には、メモリ素子1の第2電極6が露出されている他、所望の取り出し電極37,38,39が形成されている。ソース電極44は導電性材料が充填されたコンタクトホール40により、絶縁層30上の取り出し電極39に接続されている。ゲート電極45は導電性材料が充填されたコンタクトホール41により、絶縁層30上の取り出し電極38に接続されている。メモリ素子1の第3電極4は導電性材料が充填されたコンタクトホール42により、絶縁層30上の取り出し電極37に接続されている。
【0046】
このように、スイッチング素子43では、ゲート電極45の取り出し電極38にはゲート電圧が印加され、第2電極6と、第3電極4の取り出し電極37にはそれぞれ電源電圧が印加される。なお、ソース電極44の取り出し電極39は接地されている。
【0047】
図10に、本実施形態例のメモリセル200における等価回路を示す。図10に示すように、本実施形態例のメモリセル200では、ゲート電極45に接続される取り出し電極38には、ワード線Wが接続される。ワード線Wからのゲート電圧Vtの供給を制御することにより、ソース電極44とドレイン電極32間との間の電流をON,OFFさせる。すなわち、取り出し電極38を介してゲート電極45にマイナスのゲート電圧Vtが印加されると、ソース電極44とドレイン電極32との間に電流が流れる(ON状態)。一方、ゲート電圧Vtが印加されない状態では、ソース電極33とドレイン電極32との間に電流は流れない(OFF状態)。
【0048】
また、第2電極6には、第1のビット線B1が接続されており、読み出し電圧Vrと、リセットパルスRPが印加される。第3電極4に接続される取り出し電極37には、第2のビット線B2が接続されており、所望の書き込み電圧VwであるセットパルスSPが印加される。
【0049】
本実施形態例のメモリセル200では、前述したように、メモリ素子1がメモリ層9と並列に接続された独自ヒータ層7を有し、独自ヒータ層7には、書き込み電圧VwであるセットパルスSPが印加される。このセットパルスSPは、メモリ層9に印加される読み込み電圧Vr、リセットパルスRPとは別の電源電圧により供給される。このように、独自ヒータ層7には、メモリ層9の抵抗値に影響されない独自のセットパルスSPが印加されることになる。こうして、メモリ層9の抵抗値Raは、一定の抵抗値Rを有する独自ヒータ層7からの熱エネルギーE=Itにより、制御される。
すなわち、本実施形態例の独自ヒータ層7の抵抗値Rは一定であるため、制御されたセットパルスSPが一定であれば、独自ヒータ層7から発生する熱エネルギーE=Itは一定に保たれる。ここで、メモリ層9に用いられる相変化材料は、温度変化に比例して抵抗値Raが変化する材料である。従って、これらの特性を利用することで、図5〜図7に示したように、メモリ層9を正確に所望の抵抗値Raに変化させることができる。そして、このように正確に制御されたメモリ層9に、読み出し電極Vrを印加することにより、第2電極6に接続される第1のビット線B1に正確な値を読み出すことができる。
【0050】
また、メモリ素子1において、第2電極にリセットパルスRPを印加することにより、メモリ層9を結晶状態から所望のアモルファス状態に相転移させることができる。
【0051】
上述したメモリ素子、及びメモリセルの実施形態例においては、メモリ層の形状が円柱型である例としたが、図11A,B,Cに示すように、円柱型(図11A)の他、角錐型(図11B)、または、頭切円錐型(図11C)等、種々の形態が可能である。また、角錐型(図11B)や頭切円錐型(図11C)のメモリ層としたときの独自ヒータ層の形は、それらのメモリ層を囲むような筒状の形状であることが好ましい。
【0052】
図12に、本発明のメモリ素子における、第2の実施形態の概略構成を示し、図13A,Bに図12におけるメモリ素子20のA−A’断面構成、B−B’断面構成を示す。
本実施形態例のメモリ素子20は、例えばSi,またはSiO2からなる基板11上に独自ヒータ層17を有する。そして、この独自ヒータ層17上に例えばSiNからなる第1の絶縁層18を介して相変化材料からなるメモリ層19を有しており、このメモリ層19上には例えばSiO2からなる第2の絶縁層15を有している。本実施形態例のメモリ素子19では、X方向に長辺を持つ独自ヒータ層17と、Y軸方向に長辺を持つメモリ層19とが、互いの長辺が垂直に交わるように配置されている。また、独自ヒータ層17とメモリ層19とが3次元的に交わる箇所において、独自ヒータ層17とメモリ層19の短辺の幅が他の部分よりも短くなるように形成されている。
このように、独自ヒータ層17とメモリ層19が交わる箇所において、短辺の幅が他の部分よりも短く形成されているので、独自ヒータ層17又はメモリ層19に電圧を印加した際に、幅が短い箇所において、電流密度が高くなる。第1及び第2の絶縁層18,15は、それぞれ、独自ヒータ層17及びメモリ層19を覆うように配置されている。
【0053】
また、本実施形態例において、独自ヒータ層17には例えば、Si,Si(n),Si(p),TiAlN,TiSiN,TaN,WSiN,TiN,GeSi,Cが用いられる。また、メモリ層19を構成する相変化材料としては、例えば、GeSbTe,GaSb,InSb,InSe,SbTe,GeTe,InSbTe,GaSeTe,SnSbTe,InSbGe,GaInSbTe,GeSnSbTe,GeSbSnTe,TeGeSbSeに、O(酸素),N(窒素),Ag(銀),Si(珪素),Sn(錫)等を添加した材料が挙げられる。本実施形態例においても、メモリ層19は第1の実施形態例で用いられる相変化材料と同様に、図2に示すように、温度Tの上昇に比例して抵抗率Rが下がる相変化材料が用いられる。
【0054】
図14A,Bに、本実施形態例のメモリ素子20における回路図を示す。図14A,Bにおいて、メモリ層19の抵抗値はRaで示し、独自ヒータ層17の抵抗値はRで示す。図14A,Bに示すように、メモリ層19は、図12,13では図示しない第1電極12、第2電極16に接続されており、独自ヒータ層17は図12,13では図示しない第3電極13、第4電極14に接続されている。すなわち、第1電極12,第2電極16間には、抵抗値Raが接続されており、第3電極13、第4電極14間には、抵抗値Rhが接続されている。そして、これらの回路において、第1電極12と第2電極16間のメモリ層19(抵抗値Ra)には、リセットパルスRPが印加され、第3電極13と第4電極14間の独自ヒータ層17(抵抗値Rh)には、セットパルスSPが印加される。
【0055】
このように本実施形態例では、独自ヒータ層17には、メモリ層19に印加されるパルス電圧又はパルス電流には影響されない、独自のパルス電圧又はパルス電流が印加される。すなわち、本実施形態例で印加される独自のパルス電圧又はパルス電流とは、可変抵抗であるメモリ層19の抵抗の変化に影響されない、パルス電圧又はパルス電流である。
【0056】
本実施形態例においても、上述した図1に示すメモリ素子1と同様に、所望のセットパルスSPを印加することにより、独自ヒータ層17では熱エネルギーが発生するので、その熱エネルギーにより、メモリ層19の状態を変化させることができる。また、本実施形態例では、独自ヒータ層17の抵抗値Rhが一定であるため、独自ヒータ層17に発生する熱エネルギーE=Itは、印加するセットパルスSPに対応して正確に制御される。これにより、メモリ層19の抵抗値Raも正確に制御されるため、的確な多値記録を行うことができる。
また、セットパルスSP及びリセットパルスRPは、パルス幅や、パルスレベルを調整して所望のパルス電圧又はパルス電流とすることが好ましい。
【0057】
図15に、本発明のメモリセルにおける、第2の実施形態の概略断面構成を示す。本実施形態例のメモリセル300は、図12に示したメモリ素子20を用いた例である。このようなメモリセル300を同一基板上に複数形成することで、メモリセルアレイを構成することができる。図15において、図12に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0058】
本実施形態例に係るメモリセル300は、例えば、n型のシリコン半導体基板51上にスイッチング素子62とメモリ素子20とを有する例である。
まず、n型のシリコン半導体基板51の表面近傍には、p+拡散領域53とp+拡散領域54とが互いに離間して設けられている。このp+拡散領域53,54は、イオン打ち込み等によりp+型の不純物をn型のシリコン半導体基板51上に拡散させた領域である。これらのp+拡散領域53とp+拡散領域54との間にある領域は、キャリアが移動するチャネル領域となる。
【0059】
そして、p+拡散領域53上には、p+拡散領域53と電気的に接続されたソース電極57が設けられている。また、p+拡散領域54上には、p+拡散領域54と電気的に接続されたドレイン電極56が設けられている。チャネル領域上には、ゲート絶縁膜52を介してゲート電極55が設けられている。ソース電極57、ドレイン電極56、ゲート電極55は例えば、Poly−Si,Al等の導電性材料で構成されている。ゲート絶縁膜52はSiO2等の絶縁材料で構成されている。
【0060】
これらの、p+拡散領域53、p+拡散領域54、チャネル領域、ソース電極57、ドレイン電極56、ゲート電極55によりp−MOSトランジスタからなるスイッチング素子62が構成される。
また、スイッチング素子62のドレイン電極56にメモリ層1の第1電極12が電気的に接続されるように、シリコン半導体基板51上にメモリ層20が形成される。本実施形態例のメモリ素子20は、図12のメモリ素子20と同様である。このとき、メモリ層19及び独自ヒータ層17に流れる電流は、シリコン半導体基板51の平面に平行な方向である。そして、本実施形態例において、スイッチング素子62とメモリ素子20とは、絶縁層50で覆われている。また、ここにおいては、図12で示したメモリ素子20を構成する絶縁層18,15は、図15における絶縁層50において、一体に図示されている。
【0061】
図15に示すように、絶縁層50上には、所望の取り出し電極59,61,65,67,69が形成されている。
ソース電極57は導電性材料が充填されたコンタクトホール58により、絶縁層50上の取り出し電極59に接続される。
ゲート電極55は導電性材料が充填されたコンタクトホール60により、絶縁層50上に取り出し電極61に接続される。
メモリ素子19の第2電極16は導電性材料が充填されたコンタクトホール68により、絶縁層50上の取り出し電極69に接続される。
独自ヒータ層17の第3電極13は導電性材料が充填されたコンタクトホール66により、絶縁層50上の取り出し電極67に接続され、第4電極14は導電性材料が充填されたコンタクトホール64により、絶縁層50上の取り出し電極65に接続されている。
【0062】
スイッチング素子62では、ゲート電極55の取り出し電極61にゲート電圧Vtが印加され、第2電極16及び第3電極13の取り出し電極69,67にはそれぞれ電源電圧が印加される。なお、ソース電極57の取り出し電極59及び、第4電極14は接地されている。
【0063】
図16に、本実施形態例のメモリセル300における等価回路を示す。図16に示すように、本実施形態例のメモリセル300では、ゲート電極55に接続される取り出し電極61には、ワード線Wが接続される。このワード線Wからのゲート電圧Vtの供給を制御することにより、ソース電極57とドレイン電極56間との間の電流をON,OFFさせる。すなわち、取り出し電極61を介してゲート電極55にマイナスのゲート電圧Vtが印加されると、ソース電極57とドレイン電極56との間に電流が流れる(ON状態)。一方、ゲート電圧Vtが印加されない状態では、ソース電極55とドレイン電極56との間に電流は流れない(OFF状態)。
【0064】
また、第2電極16に接続される取り出し電極69には、第1のビット線B1が接続されており、読み出し電圧Vrと、リセットパルスRPが印加される。第3電極13に接続される取り出し電極67には第2のビット線B2が接続されており、第2のビット線B2からは、所望の書き込み電圧VwであるセットパルスSPが印加される。また第4電極14に接続される取り出し電極65は接地されている。
【0065】
本実施形態例のメモリセル300でも、第2の実施形態例と同様に、メモリ素子20がメモリ層19と並列に接続された独自ヒータ層17を有しており、この独自ヒータ層17に、書き込み電圧VwであるセットパルスSPが印加されるようになっている。このセットパルスSPは、メモリ層19に印加される読み込み電圧Vr、リセットパルスRPとは別の電源電圧により供給されるものである。
このように、独自ヒータ層17には、メモリ層19の抵抗値に影響されない独自のセットパルスSPが印加される。そして、メモリ層19は、一定の抵抗値Rを有する独自ヒータ層17からの熱エネルギーE=Itにより、メモリ層19の抵抗値Raが正確に制御される。そして、このように正確に制御されたメモリ層19に、読み出し電極Vrを印加することにより、第2電極16の取り出し電極69に接続される第1のビット線B1に正確な値を読み出すことができる。
【0066】
また、メモリ素子20において、第2電極16にリセットパルスRSを印加することにより、メモリ層19を結晶状態から所望のアモルファス状態に相転移させることができる。
【0067】
上述したメモリ素子及びメモリセル、また、メモリセルを複数同一基板上に配置してなるメモリセルアレイは、携帯電話、電子辞書、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の電子機器に用いることができる。
【0068】
図17に、本発明の電子機器の一実施形態に係る概略構成図を示す。本実施形態例における電子機器80は、例えば上述したメモリセルアレイ200又は300をデジタルカメラに組み込んだ例である。
【0069】
図17に示すように、本実施形態例の電子機器80であるカメラは、光学系82と、固体撮像素子83と、信号処理回路84と、メモリセルアレイ85と、表示部86とから構成される。本実施形態例のカメラでは、被写体81からの反射光を、光学系82を介して固体撮像素子83に入射させ、固体撮像素子83において光電変換により電気信号に変換する。そして、電気信号に変換された被写体81の情報は、信号処理回路84を介してメモリセルアレイ85に書き込まれる。このようにしてメモリセルアレイ85に書き込まれた情報を読み込むことにより、例えば液晶パネル等からなる表示部86に表示することができる。
【0070】
本実施形態例における電子機器81では、メモリセルアレイ85において、独自ヒータ層が設けられており、独自ヒータ層から発生する熱エネルギーによりメモリ層が相変化されて、抵抗値が変化される。このため、信号処理回路84からの情報が正確にメモリセルアレイ85に書き込まれて、正確に読み出されるため、電子機器80としての信頼性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】A,B本発明のメモリ素子の、第1の実施形態に係る概略断面構成図及びそのA−A断面構成である。
【図2】本発明のメモリ素子の第1の実施形態において、メモリ層に用いられる相変化材料の温度特性を示した図である。
【図3】A〜Dメモリ層に用いられる相変化材料の温度変化に対する相変化を段階的に示した模式図である。
【図4】A,B本発明のメモリ素子の第1の実施形態において、メモリ素子の要部の回路構成を示した図である。
【図5】A〜D本発明のメモリ素子の第1の実施形態において、メモリ素子にセットパルスSPを与えていったときのメモリ層の変化を段階的に示した模式図である。
【図6】A,B本発明のメモリ素子の第1の実施形態において、メモリ素子にリセットパルスRPを与えていったときのメモリ層の変化を示した模式図である。
【図7】本発明のメモリ素子の第1の実施形態において、メモリ層にパルス電圧を印加したときのメモリ層の抵抗値を示した図である。
【図8】セットパルスとリセットパルスを印加したときのメモリ層の状態転移図である。
【図9】本発明のメモリセルの第1の実施形態に係る概略断面構成図である。
【図10】本発明のメモリセルの第1の実施形態における、メモリセルの等価回路図である。
【図11】A,B,C本発明のメモリ素子及びメモリセルの第1の実施形態に用いられるメモリ層の形状例を示す。
【図12】本発明のメモリ素子の第2の実施形態に係る概略構成図である。
【図13】本発明のメモリ素子の第2の実施形態において、メモリ素子のA−A’断面構成及びB−B’断面構成を示した図である。
【図14】A,B本発明のメモリ素子の第2の実施形態において、メモリ素子の要部の回路構成を示した図である。
【図15】本発明のメモリセルの第2の実施形態に係る概略断面構成図である。
【図16】本発明のメモリセルの第2の実施形態に係る等価回路図である。
【図17】本発明の電子機器の一実施形態に係る概略構成図である。
【図18】A,B従来の相変化メモリ素子に用いられている相変化材料の温度に対する抵抗特性を示す。
【符号の説明】
【0072】
1,20・・・メモリ素子、2,12・・・第1電極、3・・・金属接着層、4,13・・・第3電極、5・・・絶縁層、6,16・・・第2電極、7,17・・・独自ヒータ層、8・・・抵抗膜、9,19・・・メモリ層、10,15,18・・・絶縁層、11・・・基板、14・・・第4電極、200,300・・・メモリセル、80・・・電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層と、
前記メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層とを有し、
前記メモリ層の抵抗値は、前記独自ヒータ層に対して独自のパルス電圧又はパルス電流が印加されることにより発生する熱エネルギーにより制御される
ことを特徴とするメモリ素子。
【請求項2】
前記メモリ層の一方の端部と、前記独自ヒータ層の一方の端部が、共通電極に接続されていることを特徴とする請求項1記載のメモリ素子。
【請求項3】
前記独自ヒータ層から発生する熱エネルギーは、独自ヒータ層に印加されるパルス電圧又はパルス電流のパルス幅及び/又はパルスレベルに対応して変化することを特徴とする請求項1記載のメモリ素子。
【請求項4】
前記独自ヒータ層は、Si,TiAlN,TiSiN,TaN,WSiN,TiN,GeSi,又はCのいずれかより構成されることを特徴とする請求項3記載のメモリ素子。
【請求項5】
前記メモリ層は、GeSbTe,GaSb,InSb,InSe,SbTe,GeTe,InSbTe,GaSeTe,SnSbTe,InSbGe,GaInSbTe,GeSnSbTe,GeSbSnTe,又はTeGeSbSeに、O,N,Ag,Si又はSnのうちの一種又は複数種を添加した相変化材料から構成されることを特徴とする請求項1記載のメモリ素子。
【請求項6】
前記メモリ層は、円柱型、円錐型、角錐型、または頭切錐型に形成されることを特徴とする請求項1記載のメモリ素子。
【請求項7】
前記メモリ層に直列に接続されるように高抵抗の抵抗膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載のメモリ素子。
【請求項8】
基板上に、温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層と、前記メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層と、前記メモリ層に接続されるスイッチング素子とを有し、
前記独自ヒータ層に対して独自のパルス電圧又はパルス電流を印加することにより発生する熱エネルギーにより、前記メモリ層の抵抗値を制御して前記メモリ層に情報を書き込み、
前記メモリ層に書き込まれた情報は、前記スイッチング素子を制御することにより読み出されるように構成される
ことを特徴とするメモリセル。
【請求項9】
温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層と、前記メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層と、前記メモリ層に接続されたスイッチング素子とを有し、
前記独自ヒータ層に対して独自のパルス電圧又はパルス電流を印加することにより発生する熱エネルギーにより、前記メモリ層の抵抗値を制御して前記メモリ層に情報を書き込み、
前記メモリ層に書き込まれた情報が、前記スイッチング素子を制御することにより読み出されるように構成されたメモリセルが、基板上に複数配列されてなる
ことを特徴とするメモリセルアレイ。
【請求項10】
少なくとも、信号処理回路と、信号処理回路により処理された情報が入力されるメモリセルアレイとを有し、
前記メモリセルアレイは、温度変化に対応して徐々に抵抗値が変化する相変化材料から構成されたメモリ層と、前記メモリ層の近傍に配置された独自ヒータ層と、前記メモリ層に接続されたスイッチング素子とを有し、
前記独自ヒータ層に対して独自のパルス電圧又はパルス電流を印加することにより発生する熱エネルギーにより、前記メモリ層の抵抗値を制御して前記メモリ層に情報を書き込み、
前記メモリ層に書き込まれた情報が、前記スイッチング素子を制御することにより読み出されるように構成されたメモリセルが、基板上に複数配列されてなる
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−123847(P2009−123847A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294887(P2007−294887)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【Fターム(参考)】