説明

メラニン消去剤

次の式(I)


(式中、Mは金属を示し、RはOH基、O−低級アルキル基、N−結合のアミン類、N−結合のアミノ酸またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる金属キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩を含有するメラニン消去剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、6,8−ジメルカプトオクタン酸金属キレート化合物、その誘導体またはそれらの薬理学的に許容できる塩を含有してなる新規かつ有用なメラニン消去剤に関する。
【背景技術】
6,8−ジメルカプトオクタン酸はミトコンドリア中に存在する補酵素、α−リポ酸の還元体であり、酸化型のグルタチオンやビタミンCを還元型に再生させる作用がある。しかし、6,8−ジメルカプトオクタン酸は空気中では非常に不安定で酸化されてα−リポ酸に戻る。
特公昭42−1286号公報(対応米国特許No.3,238,224)にはα−リポ酸にグリシン、メチオニン、グルタミン酸、バリンなどがそれぞれ結合したα−リポイルアミノ酸が記載されている。
特開2000−169371号公報の実施例24にはα−リポイルアミノエチルスルホン酸のイミダゾール塩が記載されている。
特開昭63−8316号公報にはリポアミドを有効成分として含有してなる外用剤が開示されている。
また、リポ酸誘導体としてリポイルエステルなども知られている(Biochem.J.(1990)271,45−49)。
さらに、ジヒドロリポ酸およびジヒドロリポアミドの金属誘導体も知られている(Inorganica Chimica Acta,192(1992)237−242)(J.Org.Chem.1985,50 2522−2524)。
このような状況下、本発明者は研究を重ねた結果、6,8−ジメルカプトオクタン酸金属キレート化合物、その誘導体およびその薬理学的に許容できる塩にメラニン消去効果、すなわち、皮下に沈着された凝集メラニン色素に対して本化合物を塗布するだけで皮膚を傷付けることなくしてメラニンを消去させることを見出し、本発明を完成させた
本発明は、6,8−ジメルカプトオクタン酸金属キレート化合物、その誘導体またはそれらの薬理学的に許容できる塩を含有してなるメラニン消去剤を提供する。
【発明の開示】
本発明は、
次の式(I)

(式中、Mは金属を示し、RはOH基、O−低級アルキル基、N−結合のアミン類、N−結合のアミノ酸またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる金属キレート(または金属コンプレックス)化合物(以下、本化合物ということもある。)またはそれらの薬理学的に許容できる塩を含有するメラニン消去剤。
(2)金属キレート化合物が6,8−ジメルカプトオクタン酸金属キレート化合物である、上記(1)記載のメラニン消去剤。
(3)金属キレート化合物が6,8−ジメルカプトオクタン酸低級アルキルエステル金属キレート化合物である、上記(1)記載のメラニン消去剤。
(4)6,8−ジメルカプトオクタン酸低級アルキルエステル金属キレート化合物が6,8−ジメルカプトオクタン酸エチルエステル金属キレート化合物である、上記(3)記載のメラニン消去剤。
(5)金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミン類金属キレート化合物である、上記(1)記載のメラニン消去剤。
(6)N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミン類金属キレート化合物が6,8−ジメルカプトオクタン酸アミド金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノエタノール金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)イソプロピルアミン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)メラトニン金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノピリジン金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、上記(5)記載のメラニン消去剤。
(7)金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物である、上記(1)記載のメラニン消去剤。
(8)N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−α−アミノ酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−ω−アミノ酸金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)特殊アミノ酸金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、上記(7)記載のメラニン消去剤。
(9)N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−α−アミノ酸金属キレートがN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)グリシン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アラニン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)スレオニン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)セリン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アスパラギン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)グルタミン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)フェニルアラニン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)メチオニン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ノルロイシン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)システイン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ハイドロキシプロリン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ヒスチジン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−5−ハイドロキシトリプトファン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ペニシラミン金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)リジン金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、上記(8)記載のメラニン消去剤。
(10)N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−ω−アミノ酸金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)特殊アミノ酸金属キレート化合がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−3−アミノプロピオン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−4−アミノ酪酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−6−アミノヘキサン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−4−トランスアミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノエタンスルホン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)スルファニル酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アントラニル酸金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アントラニル酸エチル金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、上記(9)記載のメラニン消去剤。
(11)金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ペプタイド金属キレート化合物である、上記(1)記載のメラニン消去剤。
(12)N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ペプタイド金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アスパラチイルグリシン金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)スレオニイルグリシン金属キレートからなる群から選ばれるものである、上記(11)記載のメラニン消去剤。
(13)金属が亜鉛である上記(1)〜(12)のいずれかに記載のメラニン消去剤。
(14)皮膚外用剤である上記(1)〜(13)のいずれかに記載のメラニン消去剤。
(15)化粧料である上記(14)記載のメラニン消去剤。
(16)次の式(II)

(式中、RはOH基、O−アルキル基、N−結合のアミン類またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる亜鉛キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩。
(17)6,8−ジメルカプトオクタン酸亜鉛キレート化合物である上記(16)記載の亜鉛キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩。
(18)次の式(I)

(式中、Mは金属を示し、RはOH基、O−低級アルキル基、N−結合のアミン類、N−結合のアミノ酸またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる金属キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩の有効量をヒトに投与することを含む、メラニンを消去する方法。
(19)メラニン消去剤の製造のための、次の式(I)

(式中、Mは金属を示し、RはOH基、O−低級アルキル基、N−結合のアミン類、N−結合のアミノ酸またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる金属キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明のメラニン消去剤に含有される金属キレート化合物の金属としては、亜鉛、コバルト、鉄、ゲルマニウムが掲げられるが、このうち、亜鉛が好ましい。
本発明において、低級アルキル基としては炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル基たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基などが挙げられ、これらのうちメチル基およびエチル基が好ましい。
本発明においては、アミン類とは、アンモニアNHの1〜2の水素原子を水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基で置換された化合物またはアンモニアNHの1〜2の水素原子をピリジン環、ピリミジン環もしくは置換されていてもよいインドール環などの窒素原子を含むヘテロ環で置換された化合物をいう。具体的には、2−アミノエタノール、イソプロピルアミン、メラトニン、2−アミノピリジンなどをいう。
本発明において、アミノ酸とは同一分子内にカルボキシル基とアミノ酸を有する、α−アミノ酸およびβ−、γ−、δ−、ε−アミノ酸などのω−アミノ酸、並びにアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、アントラニル酸およびアントラニル酸エチルなどの特殊アミノ酸、並びに同一分子内にスルホン酸基とアミノ酸を有するアミノエタンスルホン酸(タウリン)やp−アミノベンゼンスルホン酸(スルファニル酸)などの特殊アミノ酸をいう。α−アミノ酸としては、たとえばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファンなどが挙げられ、β−アミノ酸としてはβ−アラニンが挙げられ、γ−アミノ酸としてはγ−アミノ−n−酪酸(GABA)やカルニチンが挙げられ、δ−アミノ酸としては5−アミノレブリン酸や5−アミノ吉草酸、ε−アミノ酸としては6−アミノヘキサン酸が挙げられる。これらアミノ酸のうち、アントラニル酸、アミノエタンスルホン酸、メチオニン、ヒスチジン、リジン、フェニルアラニン、γ−アミノ−n−酪酸、6−アミノヘキサン酸が好ましい。
本発明において、ペプタイドとは、同種または異種のアミノ酸(前記と同義)が2個で、互いに一方のカルボキシル基と他方のアミノ酸のアミノ基が酸アミド結合したジペプタイドをいい、たとえばアスパラチイルグリシンやスレオニイルグリシンなどをいう。
本化合物の薬理学的に許容できる塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩およびカルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられるが、これら以外の塩であっても薬理学的に許容できる塩であればいずれのものであっても本発明の目的のため適宜に用いることが出来る。
本発明のメラニン消去剤に含有される6,8−ジメルカプトオクタン酸金属キレート化合物およびその誘導体の合成法を、亜鉛キレート化合物を例に挙げて次に説明する。

(式中、RはOH基、O−低級アルキル基、N−結合のアミン類、N−結合のアミノ酸またはN−結合のペプタイドを示す。)
α−リポ酸またはα−リポ酸アミドを各々、亜鉛と塩酸(または酢酸)で還元して、6,8−ジメルカプトオクタン酸亜鉛キレートおよびそのアミド化合物を合成する。また、たとえば6,8−ジメルカプトオクタン酸エチルエステル亜鉛キレートは、α−リポ酸エチルエステルを同様に還元して得られる。さらに、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミン類、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸またはN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ペプタイドは、たとえばα−リポ酸をクロロホルムまたはアセトニトリルに溶かし、トリエチルアミン存在下、クロル炭酸エチルを用いて混合酸無水物法によりアミン類、アミノ酸またはペプタイドを各々、カップリングさせ、N−α−リポイルアミン、N−α−リポイルアミノ酸またはN−α−リポイルペプタイドを得る。これらを亜鉛と酢酸(または塩酸)で還元して、各々、目的の化合物を得ることができる。さらに、アミノ酸またはペプタイド誘導体を、例えばアルカリ塩に導く場合は、その遊離酸を水に溶解または懸濁して置き、水酸化アルカリで中和して溶かした後、濃縮し、アルコールを加えて析出する結晶を濾取すれば高収率で目的化合物の塩を得ることができる。
α−リポ酸またはα−リポ酸誘導体の還元体、すなわち、6,8−ジメルカプトオクタン酸またはその誘導体は空気中で非常に不安定であるが、金属、例えば亜鉛でこれをキレート化させると六員環となり結晶性の良い安定な化合物となる。更に、本化合物は還元作用並びにラジカル抑制作用も強く、また、生体由来のものであるため安全性に優れた化合物である。
シミ、ソバカスの基となるメラニン生成メカニズムは、先ず、紫外線で皮膚中にフリーラジカルが発生、その刺激によりメラノサイトが活性化され、その結果、メラノサイト内のチロシナーゼの働きが活発となり、チロシンが化学的に酸化、重合など数段経てメラニンとなる。殆どの美白剤の作用は酵素チロシナーゼ阻害作用でメラニンの生成を防止することにある。
しかし、本発明者は研究を進めた結果、本化合物に既に生成されたメラニン色素凝集沈着(シミ、ソバカス、黒子)を消去する効果があることを突き止めた。すなわち、この効果はチロシナーゼ阻害作用またはエラスターゼ阻害作用ではなく他のメカニズムによるものであると考えられる。
黒子(ホクロ)を除去する方法は、外科手術、水酸化カリウム/澱粉、液体窒素法などがあり、いずれも皮膚に損傷を与える。近年、レーザー光でメラニン含有細胞を選択的に破壊する方法が知られている。しかし、レーザー治療そのものが照射時に炎症を起こすため再発の可能性がある。
本化合物はメラニン消去を目的として、軟膏、化粧品またはローションに混ぜて塗布する。
本化合物による治癒効果を観察すると、メラニン色素は黒から徐々に薄い赤褐色に退色していくものと、メラニンが角質層の方向に進み、最後は垢となって排出されるものが見られる。このことは細胞内のメラニンが生体異物として認識され、免疫力が高められ外部に押し出されるのであれば、癌細胞にも適用できる可能性も示唆される。
後記の実施例から明らかなように、本化合物の効果、例えば、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−3−アミノプロピオン酸ナトリウム・亜鉛キレートまたはN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アントラニル酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物0.5(w/v)%含有のローションで、1日、1〜2回の塗布でシミ、黒子の程度にもよるが、例えば、表皮角質に最も近いシミ、黒子なら顔面、腕などの生成場所によっても異なるが顔面では約1ヶ月間で黒色は薄い赤褐色に退色するか、またはかさぶたとして剥がれ落ち満足すべき効果が得られた。また、ニキビ跡のシミなどに効果を発揮し、使用前に比べ顕著な差が見られた。
このようなことから、本化合物はメラニン色素を消去する作用があることがわかった。
本化合物の使用濃度は軟膏、クリーム剤の場合、通常0.001〜5(w/w)%で、好ましくは0.01〜1.0(w/w)%、水溶液またはローションの場合、通常0.001〜5(w/v)%で、好ましくは0.01〜1.0(w/v)%である。
本発明のメラニン消去剤には、通常、化粧品、皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、賦形剤、顔料、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤などを適宜配合してもよい。
本発明のメラニン消去剤には、目的と必要に応じて、本化合物の1種または2種以上を適宜組み合わせて含有させることもできる。
【実施例】
次に、参考例、実施例および試験例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されない。
[参考例1〜9、実施例1〜12および19,20] N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸(またはペプタイド)ナトリウム・亜鉛キレート化合物の一般的な合成法
DL−α−リポ酸4.2g(0.02モル)およびトリエチルアミン2.4g(0.023モル)をアセトニトリル40mlに溶かして攪拌下−5℃に冷却して置き、これにクロル炭酸エチル2.4g(0.022モル)を徐々に滴下させ、滴下終了20分後、これにメタノール(または70%メタノール水溶液)約50mlに水酸化ナトリウム1.0g〜2.0gを溶かし、さらに、アミノ酸(またはペプタイド)約0.023モルを加えて溶かしたものを速やかに加えて30分間、さらに、室温に戻して1時間攪拌する。続いて、減圧下、溶媒を留去させ、N−(α−リポイル)アミノ酸(またはペプタイド)塩を得ることができる。
つぎに、これに60%酢酸水溶液50mlおよび亜鉛末2.5gを加えて50℃で1〜5時間加熱攪拌させた後、末反応の亜鉛を濾別後、濾液を濃縮させ、水(またはメタノール)を加えて析出した結晶を濾取し、水洗後、さらに、アルカリ塩にするため、これを水に懸濁させて置き、水酸化アルカリでpH9〜10として溶かし、不溶物を濾別後、濾液を濃縮させ、アルコールを加えて析出した結晶を濾取、これを適当な溶媒、例えば、水/アルコールから再結晶させる。
参考例1 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)グリシンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびグリシン1.9gを用いて、N−α−リポイルグリシンナトリウム(mp.218〜220℃)を経て、目的化合物の白色結晶3.9gを得た。mp.297℃付近から分解。TLC,Rf=0.64(クロロホルム:メタノール:水=5:4:1)。
参考例2 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アスパラギン酸モノナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−アスパラギン酸2.9gを用いて、N−α−リポイルアスパラギン酸ナトリウム(mp.300℃以上)を経て、目的化合物の白色結晶4.2gを得た。mp.295℃付近から分解。TLC,Rf=0.53(クロロホルム:メタノール:水=5:4:1)。
参考例3 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)メチオニン・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−メチオニン3.5gを用いて、N−α−リポイルメチオニン(mp.108〜109℃)を経て、目的化合物の白色結晶2.8gを得た。mp.260℃付近から分解。TLC,Rf=0.82(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
参考例4 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)システイン・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−システイン2.6gを用いて、N−α−リポイルシステインナトリウム(mp.150℃付近から分解)を経て、目的化合物の白色結晶4.1gを得た。mp.280℃付近から分解。TLC,Rf=0.71(クロロホルム:メタノール:水=5:4:1)。
参考例5 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)フェニルアラニンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−フェニルアラニン3.5gを用いて、N−α−フェニルアラニン(mp.154〜156℃)を経て、目的化合物の白色結晶3.9gを得た。mp.270℃付近から分解。TLC,Rf=0.82(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
参考例6 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−4−アミノ酪酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよび4−アミノ酪酸2.3gを用いて、N−α−リポイル−4−アミノ酪酸ナトリウム(mp.235℃付近から分解、)を経て、目的化合物の白色結晶5.2gを得た。mp.297℃付近から分解。TLC,Rf=0.70(クロロホルム:メタノール:水=5:4:1)。
参考例7 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−6−アミノヘキサン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよび6−アミノヘキサン酸3.0gを用いて、N−α−リポイル−6−アミノヘキサン酸ナトリウム(mp.200〜202℃)を経て、目的化合物の白色結晶2.0gを得た。mp.295℃付近から分解。TLC,Rf=0.84(クロロホルム:メタノール:水=5:4:1)。
参考例8 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アントラニル酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびアントラニル酸2.9gを用いて、N−α−リポイルアントラニル酸ナトリウム(mp.300℃以上)を経て、目的化合物の白色結晶2.1gを得た。mp.290℃付近から分解。TLC,Rf=0.88(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
参考例9 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノエタンスルホン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸6.2gおよび2−アミノエタンスルホン酸4.5gを用いて、N−α−リポイルアミノエタンスルホン酸ナトリウム(mp.235〜237℃)を経て、目的化合物の白色結晶4.5gを得た。mp.293℃付近から分解。TLC,Rf=0.51(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例1 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ハイドロキシプロリンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−4−ハイドロキシプロリン2.8gから目的化合物の白色結晶4.9gを得た。mp.300℃以上。TLC,Rf=0.66(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例2 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ヒスチジンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−ヒスチジン3.4gから目的化合物の白色結晶5.8gを得た。mp.300℃以上。TLC,Rf=0.39(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例3 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)グルタミン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−グルタミン酸3.5gから目的化合物の白色結晶5.7gを得た。mp.300℃以上。TLC,Rf=0.74(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例4 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)スレオニンナトリウム亜鉛・キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−スレオニン2.6gから目的化合物の白色結晶5.5gを得た。mp.300℃以上。TLC,Rf=0.73(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例5 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アラニンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−アラニン2.1gから目的化合物の白色結晶5.4gを得た。mp.290℃付近から分解。TLC,Rf=0.78(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例6 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)セリンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−セリン2.4gから目的化合物の白色結晶5.0gを得た。mp.285℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.64(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例7 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ノルロイシンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−ノルロイシン3.0gから目的化合物の白色結晶5.1gを得た。mp.295℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.90(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例8 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−5−ハイドロキシトリプトファンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびL−5−ハイドロキシトリプトファン5.0gから目的化合物の灰白色結晶6.5gを得た。mp.290℃付近から分解。TLC,Rf=0.81(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例9 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ペニシラミンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびD−ペニシラミン3.5gから目的化合物の白色結晶6.0gを得た。mp.280℃付近から徐々に分解TLC,Rf=0.80(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例10 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−3−アミノプロピオン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびβ−アラニン2.0gから目的化合物の白色結晶5.8gを得た。mp.295℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.83(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例11 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−4−トランスアミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよび4−トランスアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸3.5gから目的化合物の白色結晶5.8gを得た。mp.297℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.81(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例12 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)スルファニル酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびスルファニル酸3.8gから目的化合物の白色結晶5.4gを得た。mp.300℃以上。TLC,Rf=0.57(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例13 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)イソプロピルアミン・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびトリエチルアミン2.4gをアセトニトリル50mlに溶かして攪拌下−5℃に冷却し、これにクロル炭酸エチル2.4gを徐々に滴下させ、滴下終了20分後、さらに、イソプロピルアミン1.5gをアセトニトリル30mlに溶かしたものを速やかに加えて30分間、さらに、室温に戻して1時間攪拌させた。これを減圧下で溶媒を留去させ、残渣に水を加えて冷却させ、析出した淡黄色結晶を濾取、これをテトラハイドロフラン(THF)60mlに溶かし、50%酢酸水溶液20mlおよび亜鉛末2.0gを加えて、50℃、2時間攪拌させた後、末反応の亜鉛を濾別し、濾液を濃縮させた。残渣に水を加えて析出した白色結晶を濾取し、THF/酢酸/水から再結晶させると、目的化合物5.0gを得た。mp.271〜273℃。TLC,Rf=0.89(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例14 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノエタノール・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびモノエタノールアミン1.5gを用いて実施例13と同様な方法で目的化合物の白色結晶4.2gを得た。mp.298℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.77(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)
実施例15 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)メラトニン・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびメラトニン4.0gを用いて、実施例13と同様にして目的化合物の白色結晶6.5gを得た。mp.210〜212℃。TLC,Rf=0.84(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例16 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノピリジン・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよび2−アミノピリジン2.2gを用いて実施例13と同様な方法で目的化合物の白色結晶5.3gを得た。mp.243〜245℃。TLC,Rf=0.87(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例17 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アントラニル酸エチル・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2gおよびアントラニル酸エチル3.6gを用いて白色結晶(THF−酢酸−水から再結晶)の目的化合物4.6gを得た。mp.290℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.88(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例18 Nε−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)リジン・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸4.2g、トリエチルアミン2.4gおよびクロル炭酸エチル2.4gをアセトニトリル50ml中、冷却下で混合酸無水物とし、これにL−リジン3.1g、硫酸銅(5水和物)5.5gおよび水酸化ナトリウム2.0gを水60mlに溶かしたものを加えて反応させ、析出したNε−(α−リポイル)リジンの銅塩を濾取し、水およびメタノールで洗った後、これを70%の酢酸水溶液にサスペンドして置き、硫化水素で銅を硫化銅として濾別し、濾液を濃縮し、残渣にメタノールを加えて析出した淡黄色の結晶を濾取、mp.254〜255℃、3.5gを得た。
つぎに、これを60%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛末2.0gを加えて、50℃、3時間攪拌し、亜鉛を濾別した後、濃縮し、これにメタノールを加えて析出した白色結晶を濾取、目的化合物3.4gを得た。mp.295℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.47(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例19 N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アスパラチイルグリシンジナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸2.1gおよびL−アスパラチイルグリシン2.1gを用いて、同様にして、N−(α−リポイル)アスパラチイルグリシンナトリウムを径由して、目的化合物の白色結晶3.1gを得た。mp.270℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.54(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例20 N−(ジメルカプトオクタノイル)スレオニルグリシンナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸2.1gおよびL−スレオニルグリシン2.1gを用いて、目的化合物、の淡黄白色結晶2.6gを得た。mp.260℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.60(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)。
実施例21 6,8−ジメルカプトオクタン酸モノエタノールアミン塩・亜鉛キレート化合物(別名:ジヒドロリポ酸モノエタノールアミン塩・亜鉛コンプレックス)
DL−α−リポ酸6.2gをメタノール70mlに溶かし、これに亜鉛末3.5gおよび2N−塩酸15mlを加えて、50℃で1時間攪拌し、溶液が無色となったら未反応の亜鉛を濾別し、濾液を減圧下で濃縮する。残渣油状物に水150mlを加え、析出した白色結晶を濾取し、水で洗って、6,8−ジメルカプトオクタン酸・亜鉛キレート化合物の遊離酸を得た。
上記の遊離酸を水150mlに懸濁して置き、モノエタノールアミン約2.5gを加えて溶かした後、減圧下で濃縮させる。残渣油状物にエタノールを加えて析出した白色結晶を濾取し、水/エタノールから再結晶、目的化合物8.5gを得た。mp.137〜139℃。
実施例22 6,8−ジメルカプトオクタン酸ナトリウム・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸6.2gをメタノール70mlに溶かし、亜鉛末3.0gおよび1N−塩酸40mlを加えて50℃、1時間攪拌した。つぎに、末反応の亜鉛を濾別し、濾液を減圧下で濃縮させ、これに水を加えて析出した白色結晶を濾取した。これを水150mlに懸濁して置き、2N−水酸化ナトリウムで約pH9として溶かし、不溶物を濾別し、濾液を濃縮させ、これにエタノールを加えて析出する白色結晶を濾取し、水/エタノールから再結晶させると、目的化合物6.0gを得た。mp.300℃以上。TLC,Rf=0.88(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)
実施例23 6,8−ジメルカプトオクタン酸エチル・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸エチル3.5gをテトラハイドロフラン60mlに溶かし、これに亜鉛末2.0gおよび70%酢酸水溶液40mlを加えて、50℃で2時間攪拌した後、末反応の亜鉛を濾別し、濾液を濃縮させ、これに水を加えて析出した白色結晶を濾取し、酢酸/水から再結晶させると、目的化合物3.6gを得た。mp.290℃付近から徐々に分解。TLC,Rf=0.88(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)
実施例24 6,8−ジメルカプトオクタン酸アミド・亜鉛キレート化合物
DL−α−リポ酸アミド4.2gをテトラハイドロフラン70mlに溶かし、これに亜鉛末2.5gおよび50%酢酸水溶液30mlを加えて50℃、2時間攪拌させ、溶媒を留去させた後、析出した亜鉛混じりの結晶を濾取し、水およびエタノールで洗い、酢酸/水から再結晶させると、白色結晶4.5gを得た。mp.257〜259℃。TLC,Rf=0.80(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)
以下に、製剤実施例を挙げる。
製剤実施例1 化粧水
参考例8の化合物 0.5g
グリセリン 3.5g
p−オキシ安息香酸メチル 0.02g
p−オキシ安息香酸プロピル 0.01g
滅菌精製水 全量 100ml
製剤実施例2 化粧水
実施例10の化合物 0.5g
プロピレングリコール 3.0g
テゴー51 0.005g
滅菌精製水 全量 100ml
製剤実施例3 クリーム剤
実施例11の化合物 0.1g
ステアリン酸 2.0g
ステアリルアルコール 7.0g
スクワラン 5.0g
オクチルデカノール 6.0g
ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0g
グリセリンモノステアレート 2.0g
プロピレングリコール 5.0g
p−オキシ安息香酸メチル 0.05g
p−オキシ安息香酸プロピル 0.02g
滅菌精製水 全量 100g
製剤実施例4 軟膏剤
参考例7の化合物 1.0g
親水軟膏 全量 100g
製剤実施例5
実施例22の化合物 0.5g
パントニルアルコール 0.5g
グリセリン 2.5g
テゴー51 0.007g
滅菌精製水 全量 100ml
さらに、以下、試験例により本発明の効果を明らかにするが、これらは単なる例示であって、これらにより本発明の範囲が限定されるものではない。
試験例1
顔面にできたシミおよびソバカスに製剤実施例1に示した化粧水を1日1回の割合で1ヶ月間塗布した。その結果、殆ど消失したもの、および薄い赤褐色なったものを含めて、使用前に比べて顕著な効果を示した。
試験例2
顔面、ニキビ跡によるシミに製剤実施例2を試験例1と同様に1ヶ月間塗布した。その結果、使用前に比べてシミは殆ど消失した。
試験例3
製剤実施例5の処方で、唇の一部メラニン色素沈着に対して、1日1回、塗布して3カ月後には黒色が消失した。
試験例4
海辺で2日間連続して日焼けした手のひらの甲を炎症が止んでから製剤実施例5を1日1回、塗布して1カ月後には日焼けの黒色も日焼け前の色調に回復した。
試験例5
腕に出来ていた黒子(直径1mm)に製剤実施例1に記載された化合物、参考例11のN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アントラニル酸ナトリウム・亜鉛キレートの代わりに実施例2のN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ヒスチジンナトリウム・亜鉛キレートを用いた処方で1日2回局所に塗布した結果、2カ月間で僅かな痕跡は残るが黒色は消失していた。
【産業上の利用可能性】
本化合物の6,8−ジメルカプトオクタン酸亜鉛キレート、その誘導体およびそれらの薬理学的に許容できる塩はメラニン色素消去に対して優れた治療効果を示し、メラニン消去剤として有用である。
以上、本発明の態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の新規な教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で色々な修正と変更をなし得ることは可能であるので、そのような修正および変更も、全て後記の特許請求の範囲で定義される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。
本出願は日本で出願された特願2002−307643を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I)

(式中、Mは金属を示し、RはOH基、O−低級アルキル基、N−結合のアミン類、N−結合のアミノ酸またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる金属キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩を含有するメラニン消去剤。
【請求項2】
金属キレート化合物が6,8−ジメルカプトオクタン酸金属キレート化合物である、請求項1記載のメラニン消去剤。
【請求項3】
金属キレート化合物が6,8−ジメルカプトオクタン酸低級アルキルエステル金属キレート化合物である、請求項1記載のメラニン消去剤。
【請求項4】
6,8−ジメルカプトオクタン酸低級アルキルエステル金属キレート化合物が6,8−ジメルカプトオクタン酸エチルエステル金属キレート化合物である、請求項3記載のメラニン消去剤。
【請求項5】
金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミン類金属キレート化合物である、請求項1記載のメラニン消去剤。
【請求項6】
N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミン類金属キレート化合物が6,8−ジメルカプトオクタン酸アミド金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノエタノール金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)イソプロピルアミン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)メラトニン金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノピリジン金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、請求項5記載のメラニン消去剤。
【請求項7】
金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物である、請求項1記載のメラニン消去剤。
【請求項8】
N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アミノ酸金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−α−アミノ酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−ω−アミノ酸金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)特殊アミノ酸金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、請求項7記載のメラニン消去剤。
【請求項9】
N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−α−アミノ酸金属キレートがN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)グリシン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アラニン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)スレオニン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)セリン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アスパラギン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)グルタミン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)フェニルアラニン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)メチオニン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ノルロイシン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)システイン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ハイドロキシプロリン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ヒスチジン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−5−ハイドロキシトリプトファン金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ペニシラミン金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)リジン金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、請求項8記載のメラニン消去剤。
【請求項10】
N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−ω−アミノ酸金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)特殊アミノ酸金属キレート化合がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−3−アミノプロピオン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−4−アミノ酪酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−6−アミノヘキサン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−4−トランスアミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)−2−アミノエタンスルホン酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)スルファニル酸金属キレート、N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アントラニル酸金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アントラニル酸エチル金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、請求項9記載のメラニン消去剤。
【請求項11】
金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ペプタイド金属キレート化合物である、請求項1記載のメラニン消去剤。
【請求項12】
N−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)ペプタイド金属キレート化合物がN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)アスパラチイルグリシン金属キレートおよびN−(6,8−ジメルカプトオクタノイル)スレオニイルグリシン金属キレート化合物からなる群から選ばれるものである、請求項11記載のメラニン消去剤。
【請求項13】
金属が亜鉛である請求項1〜12のいずれかに記載のメラニン消去剤。
【請求項14】
皮膚外用剤である請求項1〜13のいずれかに記載のメラニン消去剤。
【請求項15】
化粧料である請求項14記載のメラニン消去剤。
【請求項16】
次の式(II)

(式中、RはOH基、O−アルキル基、N−結合のアミン類またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる亜鉛キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩。
【請求項17】
6,8−ジメルカプトオクタン酸亜鉛キレート化合物である請求項16記載の亜鉛キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩。
【請求項18】
次の式(I)

(式中、Mは金属を示し、RはOH基、O−低級アルキル基、N−結合のアミン類、N−結合のアミノ酸またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる金属キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩の有効量をヒトに投与することを含む、メラニンを消去する方法。
【請求項19】
メラニン消去剤の製造のための、次の式(I)

(式中、Mは金属を示し、RはOH基、O−低級アルキル基、N−結合のアミン類、N−結合のアミノ酸またはN−結合のペプタイドを示す。)で表わされる金属キレート化合物またはそれらの薬理学的に許容できる塩の使用。

【国際公開番号】WO2004/024139
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535955(P2004−535955)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011676
【国際出願日】平成15年9月11日(2003.9.11)
【出願人】(502384060)有限会社オガ リサーチ (14)
【Fターム(参考)】