説明

メラニン産生促進剤

【課題】優れたメラニン産生促進効果を有する化合物を有効成分とするメラニン産生促進剤、当該メラニン産生促進剤を有効成分とする白髪予防または改善剤、白斑病の治療剤として、また太陽光(日光)暴露等によらなくても日焼け効果が得られる化粧料として有用なタンニング促進剤の提供。
【解決手段】式(1)で示される化合物群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする。


具体的には、プラトール、アカセチン、ケンフェライド、フィセチン、4’-O-メチルフィセチン、4’-O-エチルフィセチン、ジオスメチン、3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチン、3’,5,7-O-アセチル-ジオスメチン、イソギンクゲチン及びシアドピチシンが例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラニンの産生を促進することで、毛髪の黒色化を図って白髪を予防または改善したり、また肌の褐色化(タンニング)を促して白斑病の治療や太陽光(日光)暴露等によらなくても日焼け効果が得られるメラニン産生促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の色を決定するメラニン色素は、毛母細胞上部に存在するメラノサイト(メラニン合成細胞)内のメラノソームでチロシンから生合成され、毛髪に供給される。白髪は、老化やストレス等により、例えば、メラノサイトやメラノソームの減少、あるいはこれら細胞や器官の異常によるチロシナーゼの量や活性の低下、メラノソームの輸送阻害等が関与すると考えられているが、未だその全容は明らかになっていない。
【0003】
また、白斑とはメラニン色素をつくる細胞であるメラノサイトが消失するか、あるいはその機能が低下してメラニン色素の生成が減少する皮膚疾患である。メラノサイトの消失あるいは機能低下は先天的な場合もあるが後天的に起こることもある。先天的なものには、白斑性母斑、脱色素性色素失調症、部分的白皮症などがあり、一方、後天的なものには尋常性白斑、外傷あるいは炎症後の白斑などが挙げられる。これらの中でも尋常性白斑が最も多く発症するが原因はいずれも不明である。従って治療法としては、日光照射、紫外線照射等の光線療法、ステロイドホルモンの内服、外用等が挙げられるが有効なものがなく、安全性についても問題があるのが現状である。
【0004】
白髪防止や白髪改善のような抗白髪作用を有するもの、あるいはメラノサイトを改善し、メラニン産生を促進するための技術としては、植物抽出液を有効成分とする物質が種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4を参照)。しかし、これらの抽出物等では、その有効性や安全性の面で満足する結果が得られていないのが現状である。
【0005】
また、野菜や果実などの植物に広く存在しているフラボノイドに関しては、ルテオリン、ケルセチン、アピゲニン、ケンフェロール及びアメントフラボンにメラニン産生促進効果があることが報告されている(特許文献5〜7を参照)。
【0006】
しかしながら、未だ充分満足できる効果を有する物質はなく、また、白髪の発生機序等の複雑さを考えれば、優れたメラニン産生を促進する有効成分が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−263540号公報
【特許文献2】特開平10−330218号公報
【特許文献3】特開平11−228337号公報
【特許文献4】特開2001−131031号公報
【特許文献5】特開2004−2264号公報
【特許文献6】特開平5−279225号公報
【特許文献7】特開平9−263534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、優れたメラニン産生促進効果を有する化合物を有効成分とするメラニン産生促進剤を提供することを目的とする。また本発明は、当該メラニン産生促進剤を有効成分とする白髪予防または改善剤を提供することを目的とする。さらに本発明は、局所的あるいは汎発的に皮膚のメラニン合成能が低下して白色部位が斑点状に発生する白斑病の治療剤として、また太陽光暴露等によらないで日焼け効果が得られる日焼け用化粧料として有用なタンニング促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討していたところ、下記一般式(1)で示されるRに低級アルキル基、特にメチル基を有する化合物又は代謝によりメチル基を有することになる化合物に優れたメラニン産生促進作用があることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明には下記の態様が含まれる。
【0011】
(I)メラニン産生促進剤
(I-1)下記一般式(1)で示される化合物群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とするメラニン産生促進剤:
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基または水素原子;R及びRは、同一又は異なって、水素原子、水酸基又はアシルオキシ基;Rは炭素数1〜4の低級アルキル基、水素原子又はアシル基;Rは水素原子、水酸基、アシルオキシ基又は下記一般式(2)で示される基:
【0014】
【化2】

【0015】
[式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子;・は一般式(1)で示される化合物との結合部位を意味する。]
を意味する。但し、Rが水素原子であるとき、R及びRは水酸基で、R及びRは水素原子である。)
【0016】
(I-2)一般式(1)においてR、R、R及びRで示される低級アルキル基はメチル基またはエチル基であり、Rで示されるアシル基及びR〜Rで示されるアシルオキシ基中のアシル基はアセチル基である、(I-1)に記載するメラニン産生促進剤。
【0017】
(I-3)一般式(1)で示される化合物が、プラトール(Pratol)、アカセチン(Acacetin)、ケンフェライド(Kaempferide)、フィセチン(Fisetin)、4’-O-メチルフィセチン(4’-O-Methylfisetin)、4’-O-エチルフィセチン(4’-O-Ethylfisetin)、ジオスメチン(Diosmetin)、3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチン(3,3’,7-O-Acetyl-4’-O-Methylfisetin)、3’,5,7-O-アセチル-ジオスメチン(3’,5,7-O-Acetyl-Diosmetin)、イソギンクゲチン(Isoginkgetin)及びシアドピチシン(Sciadopitysin)からなる群から選択されるいずれか少なくとも一種である(I-1)または(I-2)に記載するメラニン産生促進剤。
【0018】
(II)白髪予防または改善剤
(II-1)(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するメラニン産生促進剤を有効成分とする白髪予防または改善剤。
【0019】
(II-2)頭皮頭髪用組成物または経口組成物である(II-1)に記載する白髪予防または改善剤。
【0020】
(II-3)白髪予防用の化粧料または医薬部外品である(II-1)または(II-2)に記載する白髪予防または改善剤。
【0021】
(II-4)白髪予防または治療用の医薬品である(II-1)または(II-2)に記載する白髪予防または改善剤。
【0022】
(II-5)白髪予防用の食品である(II-1)または(II-2)に記載する白髪予防または改善剤。
【0023】
(III)タンニング促進剤
(III-1)(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するメラニン産生促進剤を有効成分とするタンニング促進剤。
【0024】
(III-2)皮膚外用組成物または経口組成物である(III-1)に記載するタンニング促進剤。
【0025】
(III-3)日焼け用の化粧料または医薬部外品である(III-1)または(III-2)に記載するタンニング促進剤。
【0026】
(III-4)日焼け用の食品である(III-1)または(III-2)に記載するタンニング促進剤。
【0027】
(III-5)白斑病改善または治療用の医薬品、化粧料または医薬部外品である(III-1)または(III-2)に記載するタンニング促進剤。
【0028】
(III-6)白斑病改善用の食品である(III-1)または(III-2)に記載するタンニング促進剤。
【発明の効果】
【0029】
本発明のメラニン生成促進剤は、メラニン産生細胞に作用してメラニン生成を顕著に促進する作用に優れているため、皮膚や毛髪の色調改善や褐色〜黒色化(タンニング化)に有効に使用することができる。このため、本発明のメラニン生成促進剤を有効成分とする頭皮頭髪用組成物または経口組成物は白髪予防または改善剤として、また皮膚外用組成物または経口組成物は、白斑病治療効果や日焼け効果を発揮するタンニング促進剤として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】B16メラノーマ細胞のメラニン産生量(pg/細胞)に対する各種フラボノイドの影響を示した結果を示す(実験例1)。白抜きの棒グラフは対照(DMSO)(横軸の記号1)及び比較化合物(横軸記号2:ケルセチン、3:イソラムネチン、5:ルテオリン、8:アピゲニン、10:ケンフェロール、16:アメントフラボン)の結果を、黒塗り棒グラフは本発明の化合物(横軸記号4:プラトール、6:ジオスメチン、7:3’,5,7-O-アセチル-ジオスメチン、9:アカセチン、11:ケンフェライド、12:フィセチン、13:4’-O-メチルフィセチン、14:4’-O-エチルフィセチン、15:3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチン、17:イソギンクゲチン、18:シアドピチシン)の結果を示す。
【図2】背部の一部を剃毛したAyマウスの一方にフィセチンを含むMF粉餌を4日間食べさせ(フィセチン含有飼料給餌マウス)(図中左側)、他方のマウスにはフィセチンを含まないMF粉餌を4日間食べさせた(対照マウス)(図中右側)。その後、背部の毛の色を比較した画像である(実験例2)。
【図3】フィセチン含有飼料給餌マウスの糞を、高性能液体クロマトグラフ質量分析計で分析し、糞中にフィセチンとその代謝物(4’-O-メチルフィセチン)が存在することを示す結果である(実験例3)。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(I)メラニン産生促進剤
本発明のメラニン産生促進剤は、下記一般式(1)で示される化合物群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、一般式(1)で示される化合物を単に「化合物(1)」ともいう。)を有効成分とすることを特徴とする:
【0032】
【化3】

【0033】
ここで、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子である。炭素数1〜4の低級アルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、及びt−ブチル基を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜3の低級アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2の低級アルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0034】
及びRは、同一又は異なって、水素原子、水酸基又はアシルオキシ基を意味する。アシルオキシ基として、好ましくはアシル基としてアセチル基を有するアセチルオキシ基を挙げることができる。
【0035】
は、炭素数1〜4の低級アルキル基、水素原子又はアシル基を意味する。ここでいう炭素数1〜4の低級アルキル基にも上記で列記したアルキル基が包含される。好ましくは炭素数1〜3の低級アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2の低級アルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。アシル基として、好ましくはアセチル基を挙げることができる。
【0036】
は、水素原子、水酸基、アシルオキシ基又は下記一般式(2)で示される基を意味する。
【0037】
【化4】

【0038】
[式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子;・は一般式(1)で示される化合物との結合部位を意味する。]。
【0039】
なお、R及びRで示される「炭素数1〜4の低級アルキル基」にも上記で列記したアルキル基が包含される。好ましくは炭素数1〜3の低級アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2の低級アルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。アシルオキシ基として、好ましくはアシル基としてアセチル基を有するアセチルオキシ基を挙げることができる。
【0040】
本発明の化合物(1)には、Rが低級アルキル基、R及びRがいずれも水素原子、R及びRが、同一又は異なって水素原子又は水酸基であるフラボン及びフラボノールが含まれる。当該化合物(1)としては、具体的にプラトール(Pratol)[R=CH、R=H、R=H、R=H、R=H]、アカセチン(Acacetin)[R=CH、R=H、R=H、R=OH、R=H]、ケンフェライド(Kaempferide)[R=CH、R=H、R=OH、R=OH、R=H]が含まれる。
【0041】
また本発明の化合物(1)には、Rが低級アルキル基、Rが水酸基またはアシルオキシ基、Rが水素原子、水酸基又はアシルオキシ基、Rが水素原子、水酸基またはアシルオキシ基、Rが水素原子またはアシル基であるフラボン及びフラボノールが含まれる。当該化合物(1)としては、具体的にジオスメチン(Diosmetin)[R=CH、R=OH、R=H、R=OH、R=H]、3’,5,7-O-アセチル−ジオスメチン(3’,5,7-O-Acetyl-Diosmetin)[R=CH、R=OAc、R=H、R=OAc、R=Ac]、4’-O-メチルフィセチン(4’-O-Methylfisetin)[R=CH、R=OH、R=OH、R=H、R=H]、4’-O-エチルフィセチン(4’-O-Ethylfisetin)[R=C、R=OH、R=OH、R=H、R=H]、3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチン(3,3’,7-O-Acetyl-4’-O-Methylfisetin)[R=CH、R=OAc、R=OAc、R=H、R=Ac]が含まれる。また、本発明の化合物(1)には、代謝により、Rに低級アルキル基を有する4’-O-メチルフィセチンや4’-O-エチルフィセチンになる化合物となる化合物も含まれ、かかる化合物としてはフィセチン(Fisetin)[R=H、R=OH、R=OH、R=H、R=H]を挙げることができる。
【0042】
さらに、本発明の化合物(1)には、Rが低級アルキル基、Rが水素原子、Rが水酸基、Rが水素原子または低級アルキル基、Rが一般式(2)で示される基であるフラボンが含まれる。当該化合物(1)としては、具体的にイソギンクゲチン(Isoginkgetin)[R=CH、R=一般式(2)(R=CH、R=H)、R=H、R=OH、R=H]、シアドピチシン(Sciadopitysin)[R=CH、R=一般式(2)(R=CH、R=H)、R=H、R=OH、R=CH]が含まれる。
【0043】
本発明の化合物(1)は、種々の植物から単離、精製された植物由来のものであってもよいし、また公知の方法で合成された合成品であってもよい。かかる植物としては、例えばコウヤマキ(Sciadopitys verticillata)を挙げることができる。例えば、本発明の化合物(1)に含まれるイソギンクゲチン及びシアドピチシンは、実施例に記載するように当該コウヤマキから抽出・精製することができる。本発明の化合物(1)のうち、プラトール、アカセチン、ケンフェライド、フィセチン、ジオスメチンはいずれも商業的に入手することができる。例えば、アカセチンはSIGMA社から、プラトール、ケンフェライド、ジオスメチンはEXTRSYNTHESE S.A. 社から、またフィセチンは和光純薬(株)からそれぞれ入手することができる。
【0044】
ちなみに、プラトールの合成方法は「Dao, Tran Thanh; Chi, Yeon Sook; Kim, Jeongsoo; Kim, Hyun Pyo; Kim, Sanghee; Park, Haeil, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 14(5), 1165-1167 (2004)」に、アカセチンの合成方法は「Seijas, Julio A.; Vazquez-Tato, M. Pilar; Carballido-Reboredo, Raquel. Journal of Organic Chemistry, 70(7), 2855-2858 (2005)」に、ケンフェライドの合成方法は「Wadher, S. J.; Tapas, A. R.; Yeole, P. G., International Journal of Chemical Sciences, 4(4), 761-766 (2006)」により、公知になっている。また、ジオスメチンは、ジオスメチン配糖体を加水分解することによって調製することができ、かかる方法は「Matsuda, Hisashi; Morikawa, Toshio; Toguchida, Iwao; Yoshikawa, Masayuki. Chemical & Pharmaceutical Bulletin, 50(6), 788-795 (2002)」に記載されている。
【0045】
また、4’-O-メチルフィセチンは、「Hosny, Mohammed; Dhar, Kajari; Rosazza, John P. N., Journal of Natural Products 64(4), 462-465 (2001)」に記載する方法で製造することができるほか、4’-O-メチルフィセチン及び4’-O-エチルフィセチンは、フィセチンを原料としてそれぞれ製造例2及び3に記載する方法に従って製造することができる。
【0046】
さらに3’,5,7-O-アセチル−ジオスメチンは、ジオスメチンを原料として製造例4に記載する方法に従って製造することができ、3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチンは4’-O-メチルフィセチンを原料として製造例5に記載する方法に従って製造することができる。
【0047】
本発明のメラニン産生促進剤は、一般式(1)に示される化合物の少なくとも1種を含むものであればよく、任意に選択される2種以上を組み合わせて含むものであってもよい。本発明のメラニン産生促進剤中に含まれる化合物(1)の配合割合としては、メラニン産生促進作用を発揮する限り特に制限されず、例えば0.0003重量%(3ppm)〜100重量%の範囲から適宜選択することができる。
【0048】
後述するように、本発明のメラニン産生促進剤は、それ単独で、または頭皮頭髪用の基剤またはその他の成分を配合して、頭皮頭髪用組成物(白髪予防または治療剤:医薬品、医薬部外品、化粧料が含まれる)として使用することができる。また、本発明のメラニン産生促進剤は、それ単独で、または皮膚外用剤の基剤またはその他の成分を配合して、皮膚外用組成物(タンニング促進剤:医薬品、医薬部外品、化粧料が含まれる)として使用することができる。さらに本発明のメラニン産生促進剤は、それ単独で、または経口摂取可能な基剤またはその他の成分を配合して、経口組成物(白髪予防または治療剤、タンニング促進剤:経口医薬品、医薬部外品及び食品が含まれる。但し、好ましくは経口医薬品である)として使用することができる。
【0049】
(II)白髪予防または改善剤
本発明の白髪予防または改善剤は、前述する本発明のメラニン産生促進剤を有効成分とするものである。当該白髪予防または治療剤は、メラニン産生促進剤に含まれる化合物(1)のメラニン産生促進作用に基づいて、毛髪の黒色化を促進して、白髪を予防したり白髪を改善することができる。
【0050】
本発明の白髪予防または改善剤に配合するメラニン産生促進剤の配合割合としては、白髪予防または改善作用を発揮する限り特に制限されないが、有効成分である化合物(1)の量に換算して、通常0.0003重量%(3ppm)〜80重量%程度を挙げることができる。好ましくは0.0003〜70重量%、さらに好ましくは0.003〜50重量%である。
【0051】
本発明の白髪予防または改善剤は、頭皮頭髪に適用される頭皮頭髪用組成物(外用医薬品、医薬部外品、化粧料が含まれる)として調製及び供給することができるし、また経口的に摂取して用いられる経口組成物(経口医薬品、医薬部外品、食品が含まれる)として調製及び供給することもできる。
【0052】
頭皮頭髪用組成物の調製には、医薬品、医薬部外品または化粧料などの用途に応じて、各分野で許容される希釈剤(溶剤を含む)、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤)、油脂剤、保湿剤、増粘剤、皮膜形成剤、防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、紫外線防止剤、pH調整剤、その他の活性物質、色剤、香料等を、目的とする剤型に応じて適宜使用することができる。
【0053】
その他の活性物質としては、塩化カプロニウム、センブリエキス、アセチルコリン誘導体等の血管拡張剤、セリン、メチオニン等のアミノ酸類、ビタミンB6、ビタミンEおよびその誘導体、ビオチン等のビタミン類、パントテン酸およびその誘導体、グリチルリチン酸およびその誘導体、ニコチン酸ベンジルなどのニコチン酸エステル類、セファランチン等の皮膚機能亢進剤およびエストラジオール等の女性ホルモン剤等、ならびにこれらの混合物が挙げられる。さらに、例えばヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ウンデシレン酸、トリクロロカルバニリドおよびビチオノール等の抗菌剤、メントール等の清涼剤、サリチル酸、亜鉛およびその誘導体、乳酸およびそのアルキルエステル等の活性物質、クエン酸等の有機酸類、アルギニン等のアミノ酸類も、本発明の組成物に添加することができる。
【0054】
頭皮頭髪用組成物の形態は、液状、乳液、軟膏、クリーム、フォーム及びゲルなどの頭皮または頭髪に適用できる性状のものであればいずれでもよく、一般的にヘアローション、ヘアセットローション、ヘアクリーム、ヘアジェル、ヘアフォーム、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトニック、ヘアリキッド、スカルプトリートメント、エアゾールスプレー、等と称される製品形態をとることができる。
【0055】
これらの製品形態を有する本発明の白髪予防または改善剤は、有効成分である化合物(1)の用量が、1日1回当りとして1.5〜120mg/体重60kg、好ましくは3〜90mg/体重60kgとなるように頭皮または頭髪に施用することができる。
【0056】
経口組成物の調製には、経口医薬品または食品などの用途に応じて、各分野で許容される賦形剤、結合剤、湿潤剤、増粘剤、滑沢剤、酸化防止剤、その他の活性物質、色剤、香料等を、目的とする剤型に応じて適宜使用することができる。
【0057】
経口組成物の形態は、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、液状(ドリンクを含む)、シロップ状、クリーム状などの経口的に摂取できる形態であればいずれでもよい。食品としては、飲料や飴やガムなどの形状に調製することもできるが、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、または液剤などの製剤形態を有するサプリメントとして調製することもできる。
【0058】
これらの製品形態を有する本発明の白髪予防または改善剤は、有効成分である化合物(1)の用量が、1日1回当り1.5〜120mg/体重60kg、好ましくは3〜90mg/体重60kgとなるように経口摂取することができる。
【0059】
(III)タンニング促進剤
本発明のタンニング促進剤は、前述する本発明のメラニン産生促進剤を有効成分とするものである。当該タンニング促進剤は、メラニン産生促進剤に含まれる化合物(1)のメラニン産生促進作用に基づいて、皮膚の褐色化を促進して、白斑病を治療若しくは改善したり、また効率的に日焼け効果を発揮することができる。
【0060】
本発明のタンニング促進剤に配合するメラニン産生促進剤の配合割合としては、タンニング促進作用(皮膚の褐色化を促進する作用)を発揮する限り特に制限されないが、有効成分である化合物(1)の量に換算して、通常0.0003重量%(3ppm)〜80重量%程度を挙げることができる。好ましくは0.0003〜70重量%、さらに好ましくは0.003〜50重量%である。
【0061】
本発明のタンニング促進剤は、皮膚に適用される皮膚外用組成物(外用医薬品、医薬部外品、化粧料が含まれる)として調製及び供給することができるし、また経口的に摂取して用いられる経口組成物(経口医薬品、医薬部外品、食品が含まれる)として調製及び供給することもできる。
【0062】
皮膚外用組成物の調製には、外用医薬品、医薬部外品または化粧料などの用途に応じて、各分野で許容される希釈剤、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤)、油脂剤、保湿剤、増粘剤、溶剤、収レン剤、防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、紫外線防止剤、紫外線散乱剤、その他の活性物質、色剤、香料等を、目的とする剤型に応じて適宜使用することができる。具体的な成分については、制限されないが、(II)において説明したものを同様に用いることができる。なお、収レン剤及び紫外線散乱剤についても、特に制限されず、通常、皮膚外用組成物に使用される慣用成分を用いることができる。
【0063】
皮膚外用組成物の形態は、液状、乳液、軟膏、クリーム、フォーム、貼付剤及びゲルなど、皮膚に外用適用できる性状のものであればいずれでもよく、一般的に皮膚用ローション、皮膚用乳液、皮膚用ゲル剤、皮膚用軟膏、化粧水、メイクアップクリーム、乳液状ファンデーション、エアゾールスプレー、スプレーフォーム等と称される製品形態をとることができる。
【0064】
これらの製品形態を有する本発明のタンニング促進剤は、有効成分である化合物(1)の用量が、1日1回当り1.5〜120mg/体重60kg、好ましくは3〜90mg/体重60kgとなるように頭皮または頭髪に施用することができる。
【0065】
経口組成物の調製には、経口医薬品または食品などの用途に応じて、各分野で許容される賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤、増粘剤、香味剤、安定剤、吸収助剤、酸化防止剤、その他の活性物質、色剤、香料等を、目的とする剤型に応じて適宜使用することができる。特に制限されないが、賦形剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、砂糖、ショ糖、乳糖、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、システイン、結晶セルロースなどを挙げることができる。また結合剤としては、例えば、デンプン、α−デンプン、ショ糖、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、結晶セルロース、エチルセルロース、セルロース高分子、アクリル酸系高分子、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、マクロゴール、プルランなどを挙げることができる。また、滑沢剤としては、例えば、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール、硬化ヒマシ油、タルクなどを挙げることができる。また崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、架橋化ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。
【0066】
その他、湿潤剤、増粘剤、香味剤、安定剤、吸収助剤、酸化防止剤、その他の活性物質、色剤、香料等についても、特に制限されず、通常、医薬品や食品などの経口組成物に使用される慣用成分を用いることができる。
【0067】
経口組成物の形態は、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、液状(ドリンクを含む)、シロップ状、クリーム状などの経口的に摂取できる形態であればいずれでもよい。食品としては、飲料や飴やガムなどの形状に調製することもできるが、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、または液剤などの製剤形態を有するサプリメントとして調製することもできる。
【0068】
これらの製品形態を有する本発明のタンニング促進剤は、有効成分である化合物(1)の用量が、1日1回当り1.5〜120mg/体重60kg、好ましくは3〜90mg/体重60kgとなるように経口摂取することができる。
【実施例】
【0069】
以下、実験例及び処方例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、これらによって何ら限定されるものでない。
【0070】
製造例1 イソギンクゲチンとシアドピチシンの抽出及び精製
乾燥コウヤマキ葉(926g)を細かく切り刻み乳鉢ですりつぶし粉末とした。その粉末を3000ml容三角フラスコ2つに、それぞれ450gずつ入れ、室温中48時間メタノール(3L)で3回抽出した。得られたメタノール抽出液に水を加え、90容量% メタノールにして、90%メタノール液:Hexane=7:1で4回分液した。90%メタノール層は水と沈殿物の混合液(水層)になるまで、減圧濃縮し、この混合液を酢酸エチルで3回分液した(H2O: 酢酸エチル=1:1)。分液後、水層、不溶物、及び酢酸エチル層を濃縮し重量を量った(水層:約111.1g、不溶物:約62.2g、酢酸エチル層:約54.5g)。酢酸エチル層(約54.5g)のうち29.7gをSiO2column chromatography(メタノール: CHCl3=95:5)を用いて分離し、各フラクションを薄層クロマト(TLC)で、確認し、Sciadopitysinを含むフラクション(Sciadopitysin含有フラクション)をまとめて減圧濃縮しSciadopitysin含有フラクションの11.9gを得た。このフラクションのうち7.8gを、SiO2分取薄層クロマトグラフィー(PLC; 展開溶媒メタノール:CHCl3:トルエン=95:5:1)で分離しSciadopitysin 2.2gを得た。このうち0.27gを酢酸エチルに溶かし、そこに、Hexaneを加えることで、沈殿を生じさせる結晶化を行い、黄色結晶0.2gを得た。
【0071】
かかる黄色結晶を、下記条件のLC-MSに供し、イソギンクゲチン及びシアドピチシンに相当する画分をそれぞれ単離し、得られた各化合物を1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 25 ℃)で分析し、構造確認した。
【0072】
<LC-MS条件>
Column: Inertsil ODS-3 (2.1 x 50 mm),
Eluant: 0.1% HCOOH CH3CN/H2O=30/70-80/20 (60 min),
Detection: UV 254 nm,
Temperature: 40 ℃。
【0073】
製造例2 4’-O-メチルフィセチンの製造
【0074】
【化5】

【0075】
Fisetin (122.4 mg, 4.3×10-4 mol)をN,N-dimethylformamide (10 mL)に溶解し、K2CO3 (71.7 mg, 5.1×10-4 mol)とMeI (26.4μL, 4.3×10-4)を加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮後、酢酸エチルに溶解し、その酢酸エチル相を飽和食塩水で洗浄した。酢酸エチル相をMgSO4で乾燥させ、減圧溜去し粗生成物を得た。これを液体クロマトグラフィー(JAIGEL GS-320、展開溶媒:MeOH) および薄層クロマトグラフィー (PLC plate 20×20 cmsilica gel 60 F254, 1mm, 展開溶媒 : CHCl3 /MeOH)で精製後、凍結乾燥し、黄色粉末状の4’-O-メチルフィセチンを得た(5.9 mg, 5.3 %)。
【0076】
製造例3 4’-O-エチルフィセチンの製造
【0077】
【化6】

【0078】
Fisetin (93.5 mg, 3.3×10-4 mol)をN,N-dimethylformamide (7 mL)に溶解し、K2CO3 (55.8 mg, 4.0×10-4 mol)とCH3CH2I (26.0μL, 3.3×10-4)を加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮後、酢酸エチルに溶解し、その酢酸エチル相を飽和食塩水で洗浄した。酢酸エチル相をMgSO4で乾燥させ、減圧溜去し粗生成物を得た。これを液体クロマトグラフィー(JAIGEL GS-320、展開溶媒:MeOH)で精製後、凍結乾燥し、黄色粉末状の4’-O-Ethylfisetinを得た(4.6 mg, 4.5 %)。
【0079】
製造例4 3’,5,7-O-アセチルジオスメチンの製造
【0080】
【化7】

【0081】
Diosmetin (11.0 mg, 3.7×10-5 mol)をN,N-dimethylformamide (500μL)に溶解し、無水酢酸(500μL, 5.3×10-3 mol)と数滴のトリエチルアミンを加え、室温で1時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮後、酢酸エチルに溶解し、その酢酸エチル相を飽和食塩水で洗浄した。酢酸エチル相をMgSO4で乾燥させ、減圧溜去した。これを凍結乾燥し、黄色粉末状のDiosmetinのアセチル化体(3’,5,7-O-アセチルジオスメチン)を得た(9.0 mg, 57.7 %)。
【0082】
製造例5 3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチンの製造
【0083】
【化8】

【0084】
4’-O-Methylfisetin (6.3 mg, 2.1×10-5 mol)に無水酢酸(500μL, 5.3×10-3mol)と数滴のトリエチルアミンを加え、室温で3時間反応させた。反応液を酢酸エチルに溶解し、その酢酸エチル相を飽和食塩水で洗浄した。窒素気流下で酢酸エチル相を溜去し、黄色油状の4’-O-Methylfisetinのアセチル化体を得た(2.5 mg, 27.9 %)。
【0085】
実験例1 メラニン産生促進効果の評価
(1)試験方法
下記に示す各種フラボノイド類(表1参照)を用いて、メラニン産生促進効果を評価した。具体的には、マウス由来のB16メラノーマ細胞(入手先:JCRB0202:B16メラノーマ:医薬基盤研究所)を各種フラボノイドを含む培地で培養した後、細胞中のメラニン量(pg/細胞)を測定し、各種フラボノイド類のメラニン産生促進作用を比較した。なお、コントロール試験として、各種フラボノイドの添加に代えて、当該フラボノイドを溶解する溶媒として用いたDMSO液を添加したものについても同様に、B16メラノーマ細胞に含まれるメラニンの量(pg/細胞)を測定した。
【0086】
(1-1)被験化合物
<本発明対象化合物>
プラトール(EXTRSYNTHESE S.A. 社から入手)
アカセチン(SIGMA社から入手)
ケンフェライド(EXTRSYNTHESE S.A. 社から入手)
ジオスメチン(EXTRSYNTHESE S.A. 社から入手)
3’,5,7-O-アセチル-ジオスメチン(製造例4参照)
フィセチン(和光純薬工業(株)から入手)
4’-O-メチルフィセチン(製造例2参照)
4’-O-エチルフィセチン(製造例3参照)
3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチン(製造例5参照)
イソギンクゲチン(製造例1参照)
シアドピチシン(製造例1参照)。
【0087】
<比較化合物>
ケルセチン(東京化成工業(株)から入手)
イソラムネチン(EXTRSYNTHESE S.A. 社から入手)
ルテオリン(EXTRSYNTHESE S.A. 社から入手)
アピゲニン(EXTRSYNTHESE S.A. 社から入手)
ケンフェロール(EXTRSYNTHESE S.A. 社から入手)
アメントフラボン(SIGMA社から入手)。
【0088】
(1-2)細胞の培養方法
培地は、10%(v/v)牛胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地/高グルコースを使用した。12ウェルマイクロプレートの各ウェル1mlの培地に、B16メラノーマ細胞を1×10個/ウェルずつ播種した。B16メラノーマ細胞を37℃、5%CO条件下で3日間培養した後、培地を、10μM濃度の各種フラボノイド(アメントフラボン、イソギンクゲチン、シアドピチシンは5μM)を含有する培地に交換し、さらに上記同条件で4日間培養を行った。
【0089】
(1-3)細胞中のメラニンの定量
上記のように培養した細胞を、ダルベッコのりん酸緩衝液で洗浄し、0.02%EDTAを含む0.25%トリプシン溶液を加え剥離した。剥離した細胞に適量の培地を加え、細胞浮遊液を作り、血球計算盤にて細胞数を測定し、1ウェルあたりの細胞数を算出した。
【0090】
細胞数を測定した後、1000rpmで10分間遠心分離し、得られた細胞ペレットをダルベッコのりん酸緩衝液で洗浄した。さらに遠心分離により細胞ペレットを回収し、風乾させた後、1NのNaOH水溶液を200μl加え、加温および超音波処理により細胞とメラニンを溶解した。その後、得られた細胞溶解液を96ウェルマイクロプレートに移しマイクロプレートリーダーにて吸光度(415nm)を測定し、既知量の合成メラニン(Melanin;シグマ アルドリッチ ジャパン社製)により作成した検量線を用いて、計算により1細胞に含まれるメラニン量(pg/細胞)を決定した。
【0091】
また、遠心分離後の細胞ペレットの褐色〜黒色度の程度を目視で観察し、これからメラニンの産生量を以下の基準で評価した。
【0092】
+++:メラニンの産生量が非常に多い
++:メラニンの産生量が多い
+:メラニンの産生量が少ない
−:メラニンの産生がほとんどない。
【0093】
(2)結果
各種フラボノイドで処理した細胞のメラニン含量(pg/細胞)と、黒色度を目視判定した結果を表1及び図1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
アカセチンとアピゲニンは、一般式(1)で示す化合物の置換基のうち、Rのみが異なり(アカセチン:CH、アピゲニン:H)、他の置換基は共に同一の置換基(R=H、R=H、R=OH、R=H)を有する化合物である。表1及び図1に示すように、アカセチンはアピゲニンよりも2倍以上も高いメラニン産生量を示した。
【0096】
ケンフェライドとケンフェロールも、同様に、一般式(1)で示す化合物の置換基のうち、Rのみが異なり(ケンフェライド:CH、ケンフェロール:H)、他の置換基は共に同一の置換基(R=H、R=OH、R=OH、R=H)を有する化合物である。表1及び図1に示すように、ケンフェライドはケンフェロールよりも3倍以上も高いメラニン産生量を示した。
【0097】
さらに、ジオスメチンとルテオリンも、同様に、一般式(1)で示す化合物の置換基のうち、Rのみが異なり(ジオスメチン:CH、ルテオリン:H)、他の置換基は共に同一の置換基(R=OH、R=H、R=OH、R=H)を有する化合物である。表1及び図1に示すように、ジオスメチンはルテオリンよりも2倍以上も高いメラニン産生量を示した。
【0098】
また、同様の構造活性相関が合成化合物にも言えて、4’-O-メチルフィセチンや4’-O-エチルフィセチンとフィセチンも、同様に、一般式(1)で示す化合物の置換基のうち、Rのみが異なり(4’-O-メチルフィセチン:CH、4’-O-エチルフィセチン:C、フィセチン:H)、他の置換基は共に同一の置換基(R=OH、R=OH、R=H、R=H)を有する化合物である。表1及び図1に示すように、4’-O-メチルフィセチンや4’-O-エチルフィセチンはフィセチンよりも高いメラニン産生量を示した。
【0099】
これらのことから、R基を水素原子からCH基を始めとする低級アルキル基に置換してなる化合物(1)は、顕著に優れたメラニン産生促進作用を発揮することが判明した。
【0100】
また同様に、R基がCH基ではなく水素原子であるケルセチン、イソラムネチン及びアメントフラボンはいずれもメラニン産生量が少ないのに対して、R基がCH基であるプラトール、ジオスメチン及びそのアセチル体(3’,5,7-O-アセチル-ジオスメチン)、イソギンクゲチン、シアドピチシン、並びにR基が低級アルキル基で置換されたフィセチン(4’-O-メチルフィセチン、4’-O-エチルフィセチン)及びそのアセチル体(3’5,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチン)は、優れたメラニン産生促進作用を発揮することが確認された。
【0101】
以上のことから、一般式(1)で示されるRにメチル基やエチル基等のアルキル基を有する化合物は、顕著に優れたメラニン産生作用を発揮することが認められた。
【0102】
実験例2 メラニン産生促進効果試験:マウス等を用いた摂食試験
(1)実験方法
背部の一部を剃毛したAyマウス(日本SLCから購入、4.5週齢)の二匹のうち、一方のマウスに0.5 % フィセチンを含むMF粉餌(オリエンタル酵母製)を4日間自由に食べさせた(フィセチン含有飼料給餌マウス)。対照試験として、他方のマウスにはフィセチンを含まないMF粉餌(オリエンタル酵母製)を4日間自由に食べさせた(対照マウス)。
【0103】
(2)実験結果
図2の(A)に給餌前の剃毛したAyマウスの背部を写した画像を、(B)に給餌後、毛が生えそろったAyマウスの背部を写した画像を、それぞれ示す。各図において左側のマウスはフィセチン含有飼料給餌マウスであり、右側のマウスは対照マウスである。この結果からわかるように、フィセチンの投与により明らかに毛髪の黒色化(メラニン産生増加)が確認された。なお、フィセチン含有飼料給餌マウスの糞中には、R=CHを有する化合物(4’-O-メチルフィセチン)(フィセチンのR=CH化代謝物)が多く含まれていることが確認された(実験例3参照)。
【0104】
フィセチンは一般式(1)においてR基として水素原子を有する化合物であり、実験例1で好適な化合物(1)として示した「R=CH」を有する化合物に入らない。しかし、上記で示すように、フィセチンを経口投与したマウスでメラニン産生促進作用を示し、しかもその糞中にはR=CH化代謝物(4’-O-メチルフィセチン)が多く含まれていた。またB16細胞に対して、フィセチンのメラニン産生促進活性は弱いものの、そのR=CH化体(4’-O-メチルフィセチン)のメラニン産生促進活性は強かった。これらのことから、フィセチンは生体内でメチル化されて活性本体(R=CH化体、4’-O-メチルフィセチン)となり、作用していると考えられる。つまり、フィセチンは4’-O-メチルフィセチンの前駆体(プロドラッグ)として機能すると考えられる。
【0105】
実験例3 フィセチン含有飼料給仕マウスの糞中代謝物の分析
(1)実験方法
マウスに1 % フィセチンを含む餌を5日間自由に食べさせ、その期間の糞を回収した。水と酢酸エチル混合液(水:酢酸エチル= 1 : 1)40 mLを回収した糞3.0 gに加え、4℃で一晩撹拌した。その後、8000 rpm、10 min遠心分離し、酢酸エチル相を回収した。回収した酢酸エチル相を窒素気流下、溶媒を溜去し、これを下記条件の高性能液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)で分析した。
【0106】
<LCMS条件>
カラム:C18(Waters)
カラム温度:30℃
検出波長:255 nm
流速:0.2 mL / min
溶媒:0.1 % ギ酸アセトニトリル‐水(20 % - 100 %、25 min)。
【0107】
(2)実験結果
結果を図3に示す。結果からわかるように、糞中にはフィセチンの他、その代謝物として一般式(1)においてR基としてメチル基を有する4’-O-メチルフィセチンが含まれていた。このことから、フィセチンは体内で代謝して4’-O-メチルフィセチンとなること、つまりフィセチンは4’-O-メチルフィセチンの前駆体(プロドラッグ)であると考えられる。
【0108】
以下に、本発明のメラニン産生促進剤を含有する処方例を示す。なお、下記処方例に記載する「メラニン産生促進剤」とは、実験例1でメラニン産生促進作用が確認された各化合物(プラトール、アカセチン、ケンフェライド、ジオスメチン、3’,5,7-O-アセチル-ジオスメチン、フィセチン、4’-O-メチルフィセチン、4’-O-エチルフィセチン、3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチン、イソギンクゲチン、及びシアドピチシン)、並びにコウヤマキ抽出物のそれぞれを意味する。
【0109】
また使用したコウヤマキ抽出物は、下記の方法で調製したコウヤマキ葉の抽出物であり、イソギンクゲチンとシアドピチシンを合計して0.01〜50重量%含むものである。
【0110】
<コウヤマキ抽出物の調製>
乾燥コウヤマキ葉(1kg)を粉末とし、その粉末を室温中48時間メタノール(3L)で2回抽出した。得られたメタノール抽出液に水を加え、90容量% メタノール溶液にして、これをHexaneで4回洗浄した。その後、洗浄済みの90容量% メタノール層をクロロホルムで3回抽出し、ここで得られたクロロホルム層(下層)をエバポレーターで濃縮した。その濃縮残渣をエタノールに溶かし濃縮する工程を繰り返し、残留するクロロホルムとメタノールを除き、得られた濃縮残渣をコウヤマキ抽出物とした。
【0111】
処方例1 皮膚用ローション
(1)エタノール[溶剤] 30.0(%)
(2)ヒドロキシエチルセルロース[増粘剤] 1.0
(3)メラニン産生促進剤 0.05
(4)パラオキシ安息香酸メチル[防腐剤] 0.1
(5)水 全量を100とする量
製法:
(1)〜(5)を混合し均一とする。
【0112】
処方例2 皮膚用乳剤
(1)ステアリン酸[油脂剤] 0.2(%)
(2)セタノール[油脂剤] 1.5
(3)ワセリン [油脂剤] 3.0
(4)流動パラフィン[油脂剤] 7.0
(5)ポリオキシエチレン(10EO)セチルエーテル[界面活性剤] 2.5
(6)メラニン産生促進剤 0.3
(7)グリセリン [保湿剤] 5.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル[防腐剤] 0.1
(9)トリエタノールアミン[pH調整剤] 1.0
(10)香料 0.1
(11)水 全量を100とする量
製法:
(1)〜(5)の油相成分に(6)を混合して約80℃に加熱する。一方(7)〜(9)、(11)の水相成分を混合、加熱して均一とし、約80℃とする。この水相成分に前記油相成分を撹拌しながら徐々に添加して乳化・混合し、冷却後40℃で(10)を添加し、混合する。
【0113】
処方例3 皮膚用ゲル剤
(1)カルボキシビニルポリマー[増粘剤] 0.5(%)
(2)プロピレングリコール[保湿剤] 10.0
(3)パラオキシ安息香酸メチル[防腐剤] 0.1
(4)メラニン産生促進剤 0.01
(5)水酸化カリウム[pH調整剤] 0.1
(6)水 全量を100とする量
製法:
(6)に(1)を均一にした後、(2)〜(4)を添加して、次いで(5)を加えて増粘させ、均一に混合する。
【0114】
処方例4 皮膚用軟膏
(1)ミツロウ[油脂剤] 6.0(%)
(2)セトステアリルアルコール[油脂剤] 5.0
(3)吸着精製ラノリン[油脂剤] 5.0
(4)スクワラン [油脂剤] 30.0
(5)親油型モノオレイン酸グリセリル[界面活性剤] 2.0
(6)親油型モノステアリン酸グリセリル[界面活性剤] 5.0
(7)メラニン産生促進剤 0.1
(8)ジプロピレングリコール [保湿剤] 5.0
(9)パラオキシ安息香酸メチル [防腐剤] 0.1
(10)水 全量を100とする量
製法:
(1)〜(6)の油相成分に(7)メラニン産生剤を混合して約75℃に加熱する。一方、(8)〜(10)の水相成分を混合、溶解して約75℃に加熱する。ついで、上記水相成分に油相成分を添加してホモミキサーで均一に乳化・撹拌し、冷却する。
【0115】
処方例5 ヘアローション
(1)エタノール[溶剤] 90.0(%)
(2)酢酸トコフェロール[油脂剤] 0.5
(3)プロピレングリコール[保湿剤] 2.0
(4)メラニン産生促進剤 1.0
(5)水 全量を100とする量
製法:
(1)に(2)〜(5)を順次添加して均一に混合する。
【0116】
処方例6 ヘアセットローション
(1)エタノール[溶剤] 30.0(%)
(2)アクリル樹脂アルカノールアミン液(40%)[皮膜形成剤] 5.0
(3)パラオキシ安息香酸メチル[防腐剤] 0.1
(4)ポリオキシエチレン変性シリコーン[油脂剤] 0.5
(5)グリセリン[保湿剤] 2.0
(6)ヒアルロン酸ナトリウム(1%)[保湿剤] 1.0
(7)メラニン産生促進剤 0.05
(8)水 全量を100とする量
製法:
(1)に(2)〜(8)を加えて均一に溶解する。
【0117】
処方例7 ヘアクリーム
(1)セタノール[油脂剤] 2.0(%)
(2)ベヘニルアルコール[油脂剤] 2.0
(3)パルミチン酸イソプロピル[油脂剤] 5.0
(4)自己乳化型モノステアリン酸プロピレングリコール[界面活性剤]1.0
(5)メラニン産生促進剤 0.3
(6)グリセリン[保湿剤] 5.0
(7)1,3−ブチレングリコール[保湿剤] 3.0
(8)エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム[金属イオン封鎖剤] 0.1
(9)水 全量を100とする量
製法:
(1)〜(4)の油相成分に(5)を混合して約80℃に加熱する。一方、(6)〜(9)の水相成分を混合,溶解して約80℃に加熱する。ついで、前記水相成分に油相成分を添加して、ホモミキサーで均一に乳化・撹拌し、冷却する。
【0118】
処方例8 ヘアジェル
(1)カルボキシビニルポリマー[増粘剤] 0.7(%)
(2)グリセリン[保湿剤] 5.0
(3)ポリビニルピロリドン[皮膜形成剤] 2.0
(4)エタノール[溶剤] 10.0
(5)メラニン産生促進剤 0.01
(6)水酸化ナトリウム[pH調整剤] 0.2
(7)水 全量を100とする量
製法:
(7)に(1)〜(5)を順次添加し、均一に溶解する。前記溶解物に(6)を添加し、中和増粘させ、混合し均一にする。
【0119】
処方例9 ヘアフォーム(原液処方)
(1)塩化ジメチルジアルキルアンモニウム・アクリルアミド共重合体[皮膜形成剤]
3.0(%)
(2)ポリオキシエチレン(50EO)硬化ヒマシ油[界面活性剤] 1.0
(3)ジメチルシリコン[油脂剤] 3.0
(4)プロピレングリコール[保湿剤] 7.0
(5)エタノール[溶剤] 15.0
(6)メラニン産生促進剤 0.01
(7)水 全量を100とする量
(充填処方)
上記の原液 90.0
DME/液化石油ガス(LPG)(95/5) 10.0
製法:
(1)〜(7)の成分を混合し、原液を調製する。充填は缶に原液を充填し、バルブ等装着後、DME/液化石油ガス(LPG)を充填する。
【0120】
処方例10 ヘアシャンプー
(1)ポリオキシエチレン(3EO)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(30%)[界面活性剤] 15.0(%)
(2)ラウリル硫酸トリエタノールアミン (30%)[界面活性剤] 5.0
(3)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド[界面活性剤] 4.0
(4)ラウロイルサルコシントリエタノールアミン[界面活性剤] 4.0
(5)パラオキシ安息香酸メチル[防腐剤] 0.2
(6)エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム[金属イオン封鎖剤] 0.3
(7)メラニン産生促進剤 0.1
(8)香料 0.2
(9)水 全量を100とする量
製法:
(9)に(1)〜(8)を順次添加して均一にする。
【0121】
処方例11 ヘアリンス
(1)セチルアルコール[油脂剤] 10.0(%)
(2)ステアリルアルコール[油脂剤] 1.0
(3)オクチルドデカノール[油脂剤] 5.0
(4)パルミチン酸イソプロピル[油脂剤] 1.5
(5)メラニン産生促進剤 0.1
(6)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(30%)[界面活性剤] 3.0
(7)グリセリン[保湿剤] 3.0
(8)水 全量を100とする量
製法:
(1)〜(4)の油相成分に(5)を混合し、約80℃に加熱する。(6)〜(8)の水相成分を混合、均一化し、約80℃に加熱する。油相に水相を添加してホモミキサーで乳化・混合した後、冷却する。
【0122】
処方例12 化粧水
(1)エタノール[溶剤] 30.0(%)
(2)グリセリン[保湿剤] 5.0
(3)植物抽出液[収レン剤] 2.0
(4)メラニン産生促進剤 0.05
(5)水 全量を100とする量
製法:
(1)〜(5)を順次添加し、均一にする。
【0123】
処方例13 メイクアップクリーム
(1)ステアリン酸[油脂剤] 7.0(%)
(2)セタノール[油脂剤] 2.0
(3)ホホバ油[油脂剤] 7.5
(4)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル[界面活性剤] 2.0
(5)メラニン産生促進剤 0.1
(6)プロピレングリコール[保湿剤] 8.0
(7)水酸化カリウム[pH調整剤] 0.2
(8)酸化チタン[紫外線散乱剤] 1.0
(9)ベンガラ[色剤] 0.1
(10)黄酸化鉄 [色剤] 0.4
(11)香料 0.1
(12)水 全量を100とする量
製法:
(1)〜(4)の油相成分に(5)を混合し約75℃に加熱する。一方(12)に(6)および(7)を混合し、約75℃に加熱・溶解し、これに(8)〜(10)の顔料を添加し、均一に分散させる(水相成分)。この水相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて乳化・撹拌した後冷却し、約40℃で(11)を添加、混合する。
【0124】
処方例14 乳液状ファンデーション
(1)セタノール[油脂剤] 1.0(%)
(2)ステアリン酸[油脂剤] 2.0
(3)スクワラン[油脂剤] 5.0
(4)ミリスチン酸オクチルドデシル[油脂剤] 5.0
(5)デカステアリン酸デカグリセリル[油脂剤] 8.0
(6)メラニン産生促進剤 0.2
(7)グリセリン[保湿剤] 5.0
(8)水酸化カリウム[pH調整剤] 0.1
(9)パラオキシ安息香酸メチル[防腐剤] 0.1
(10)酸化チタン[紫外線散乱剤] 9.0
(11)タルク[賦形剤] 7.4
(12)ベンガラ[色剤] 0.5
(13)黄酸化鉄[色剤] 1.1
(14)黒酸化鉄[色剤] 0.1
(15)香料 0.1
(16)水 全量を100とする量
製法:
(1)〜(5)の油相成分に(6)を混合し約75℃に加熱して均一とする。一方(16)に(7)〜(9)を混合し、約75℃に加熱・溶解し、これに(10)〜(14)の顔料を添加し、均一に分散させる(水相成分)。この水相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーで乳化した後冷却し、40℃にて(15)を添加、混合する。
【0125】
処方例15 錠剤
(1)乳糖[賦形剤] 54.0(mg)
(2)トウモロコシデンプン[賦形剤] 20.0
(3)結晶セルロース[安定剤] 20.0
(4)活性吸収型カルシウム(カキ殻由来)[吸収助剤] 10.0
(5)炭酸マグネシウム[賦形剤] 1.0
(6)メラニン産生促進剤 100.0
(1)〜(6)を上記配合比率で、各成分をよく混合し、この混合物を打錠して錠剤を得る。
【0126】
処方例16 カプセル剤
(1)乳糖[香味剤] 60.0(mg)
(2)トウモロコシデンプン[賦形剤] 38.0
(3)炭酸マグネシウム[賦形剤] 2.0
(4)メラニン産生促進剤 300.0
(1)〜(4)を上記配合比率で、よく混合したものを、カプセルに充填してカプセル剤を得る。
【0127】
処方例17 軟カプセル剤
(1)精製大豆油[吸収助剤] 80.0(mg)
(2)トコフェロール[酸化防止剤] 20.0
(3)メラニン産生促進剤 200.0
(1)〜(3)を上記配合比率で、よく混合したものを、カプセルに充填して軟カプセル剤を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とするメラニン産生促進剤:
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子;R及びRは、同一又は異なって、水素原子、水酸基又はアシルオキシ基;Rは炭素数1〜4の低級アルキル基、水素原子又はアシル基;Rは水素原子、水酸基、アシルオキシ基又は下記一般式(2)で示される基:
【化2】

[式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子;・は一般式(1)で示される化合物との結合部位を意味する。]
を意味する。但し、Rが水素原子であるとき、R及びRは水酸基で、R及びRは水素原子である。)。
【請求項2】
一般式(1)においてR、R、R及びRで示される炭素数1〜4の低級アルキル基はメチル基又はエチル基であり、Rで示されるアシル基及びR〜Rで示されるアシルオキシ基中のアシル基はアセチル基である、請求項1に記載するメラニン産生促進剤。
【請求項3】
一般式(1)で示される化合物が、プラトール(Pratol)、アカセチン(Acacetin)、ケンフェライド(Kaempferide)、フィセチン(Fisetin)、4’-O-メチルフィセチン(4’-O-Methylfisetin)、4’-O-エチルフィセチン(4’-O-Ethylfisetin)、ジオスメチン(Diosmetin)、3,3’,7-O-アセチル-4’-O-メチルフィセチン(3,3’,7-O-Acetyl-4’-O-Methylfisetin)、3’,5,7-O-アセチル-ジオスメチン(3’,5,7-O-Acetyl-Diosmetin)、イソギンクゲチン(Isoginkgetin)及びシアドピチシン(Sciadopitysin)からなる群から選択されるいずれか少なくとも一種である請求項1または2に記載するメラニン産生促進剤。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載するメラニン産生促進剤を有効成分とする白髪予防または改善剤。
【請求項5】
頭皮頭髪用組成物または経口組成物である請求項4に記載する白髪予防または改善剤。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載するメラニン産生促進剤を有効成分とするタンニング促進剤。
【請求項7】
皮膚外用組成物または経口組成物である請求項6に記載するタンニング促進剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−6895(P2012−6895A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146931(P2010−146931)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(399030060)学校法人 関西大学 (208)
【Fターム(参考)】