説明

メラノコルチン−4受容体作働薬としての二環式ピペリジン誘導体

ある種の新規な二環式N−アシル化ピペリジン誘導体は、ヒトメラノコルチン受容体の作働薬であり、特に、ヒトメラノコルチン−4受容体(MC−4R)の選択的作働薬である。従ってその誘導体は、肥満、糖尿病、勃起不全および女性性的機能不全のような性的機能不全などのMC−4Rの活性化に応答する疾患および障害の治療、管理または予防において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二環式ピペリジン誘導体、それの合成およびそれのメラノコルチン受容体(MC−R)作働薬としての使用に関する。詳細には本発明の化合物は、メラノコルチン−4受容体(MC−4R)の選択的作働薬であることで、肥満、糖尿病、男性性的機能不全および女性性的機能不全などのMC−4Rの活性化に反応する障害の治療において有用である。
【背景技術】
【0002】
理想体重を20%より大きく超過する体重と定義することができる肥満は、西洋社会における主要な健康上の懸念となっている。米国では、約9700万人の成人が体重超過または肥満であると推定されている。肥満は、カロリー摂取/エネルギー消費の比が高くなったことによって生じる正のエネルギーバランスの結果である。疫学的研究から、体重超過および肥満の度合いの上昇が平均寿命低下の重要な予兆であることが明らかになっている。肥満は多くの健康上の問題を、引き起こしたり、増悪させるものであり、それは他の疾患と独立でもそれら疾患に関連しても起こる。重大かつ生命にかかわる可能性がある肥満関連の医学的問題には、高血圧;II型糖尿病;高血漿インシュリン濃度;インシュリン耐性;異脂肪血症;高脂肪血症;子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌;骨関節炎;閉塞型睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器系合併症;胆石症;胆石;動脈硬化;心疾患;心調律動異常;および心不整脈などがある(Kopelman, P. G., Nature 404, 635-643 (2000))。肥満はまた、早死にならびに卒中、心筋梗塞、鬱血性心不全、冠動脈性心疾患および突然死による死亡率および罹患率の大幅な増加にも関連している。
【0003】
肥満者の大多数において、脂肪過多の原因はすぐにはわからない。現在一般に受け入れられている作業仮説は、肥満が低コスト/高エネルギー密度食品が無制限に手に入ることおよび座りがちの生活などの環境上の変化に対する生得的代謝反応の不適応の結果であるというものである(Hill et al, Science 1998; 280: 1371)。自由生活者におけるエネルギー摂取の研究での成功はごく限られたものであり、多食がほとんどの形態のヒト肥満の原因であることを示す決定的な実験的証拠は得られていない。レプチンの発見後、食物摂取の神経ホルモン的調節への関心が再び高まった。しかしながら、齧歯類および他の動物における飼料摂取調節に関して多くの知見が得られているが、ヒトにおける摂食行動の神経生理学についての理解は相変わらず極めて限られている。
【0004】
プロオピオメラノコルチン(POMC)由来ペプチド類は、食物摂取に影響することが知られている。いくつかの系統の証拠が、メラノコルチン受容体(MC−R)ファミリー(そのうちのいくつかは脳で発現される)のG−蛋白共役受容体(GPCR)が、食物摂取および代謝の制御に関与するPOMC由来ペプチドの標的であるという認識を裏付けている。肥満抑制の標的とすることができる具体的な1種類のMC−Rが確認されているわけではないが、MC−4R信号伝達が摂取行動において重要であることを示す証拠が示されている(S. Q. Giraudo et al.,″Feeding effects of hypothalamic injection of melanocortin-4 receptor ligands,″Brain Research, 80 : 302-306 (1998))。
【0005】
肥満におけるMC−R類の関与を示す証拠には、i)異所的にMC−1R、MC−3Rおよび−4Rの拮抗薬を発現するアグーチ(Avy)マウスが肥満であり、それら3種類のMC−Rの作用の遮断が過食症および代謝障害を生じ得ることを示していること;ii)MC−4Rノックアウトマウス(D. Huszar et al., Cell, 88 : 131-141 (1997))が、アグーチマウスの表現型を反復し、それらのマウスが肥満であること;iii)齧歯類において心室内注射(ICV)した環状ヘプタペプチドMT−II(非選択的MC−1R、−3R、−4Rおよび−5R作働薬)がいくつかの動物飼料飼育モデル(NPY、ob/ob、アグーチ、絶食)で飼料摂取を低下させ、ICV注射SHU−9119(MC−3Rおよび4R拮抗薬;MC−1Rおよび−5R作働薬)がその効果を逆転させて、過食症を誘発し得ること;iv)ズッカー(Zucker)肥満ラットに対するα−NDP−MSH誘導体(HP228)の慢性腹腔内投与が、MC−1R、−3R、−4Rおよび−5Rを活性化し、12週間にわたって飼料摂取および体重増を低下させることが報告されていること(I. Corcos et al.,″HP228 is a potent agonist of melanocortin receptor-4 and significantly attenuates obesity and diabetes in Zucker fatty rats,″Society for Neuroscience abstracts, 23 : 673 (1997))などがある。
【0006】
これまでに5種類の異なるMC−Rが確認されており、それらは異なる組織で発現される。MC−1Rは最初に、チロシナーゼ制御を介してフェオメラニンからオイメラニンへの変換を制御することで毛色に影響する、拡張座での機能突然変異の優性取得を特徴とするものであった。MC−1Rは主として、メラニン細胞で発現される。MC−2Rは副腎で発現され、ACTH受容体を代表する。MC−3Rは、脳、腸および胎盤で発現され、食物摂取および熱発生の制御に関与し得る。MC−4Rは脳で独特の発現をされ、その失活が肥満を引き起こすことが明らかになった(A. Kask, et al.,″Selective antagonist for the melanocortin-4 receptor (HS014) increases food intake in free-feeding rats,″Biochem. Biophys. Res. Commun., 245 : 90-93 (1998))。MC−5Rは、白色脂肪、胎盤および外分泌腺などの多くの組織で発現される。脳でも低レベルの発現が認められる。MC−5Rノックアウトマウスでは、皮脂腺脂質産生の低下が明らかになっている(Chen et al., Cell, 91 : 789-798 (1997))。
【0007】
肥満治療に現在使用されている減量薬は、効力が限定的であり、かなりの副作用がある。減量薬であるオルリスタットについての研究(Davidson, M. H. et al. (1999) JAMA 281: 235-42)、デクスフェンフルラミンについての研究(Guy Grand, B. et al. (1989) Lancet 2: 1142-5)、シブトラミンについての研究(Bray, G. A. et al. (1999) Obes. Res. &: 189-98)およびフェンテルミンについての研究(Douglas, A. et al. (1983) Int. J. Obes. 7: 591-5)により、プラシーボと比較して薬剤では減量が約5%〜10%と限られたものであることが明らかになった。それらの薬剤および抗肥満薬では副作用があるため、それらの用途はさらに限定される。デクスフェンフルラミンは心弁膜症が生じる疑いがあることから市場から回収され、オルリスタットは消化管系の副作用によって制限を受け、トピラメートの使用は中枢神経系効果によって制限され、シブトラミンの使用は心血管系の副作用によって制限され、その副作用のために死亡例の報告があり、イタリアでは市場から回収された。
【0008】
そこで、効力がさらに高く、望ましくない副作用がより少ない減量処置が必要とされている。本発明は、肥満および糖尿病のような肥満関連の障害の治療および予防において有用なメラノコルチン受容体(MC−R)作働薬、特にはメラノコルチン−4受容体(MC−4R)の選択的作働薬を提供することによって、この問題に対処するものである。
【0009】
男性および女性性機能不全におけるメラノコルチン受容体の関与も報告されている。
【0010】
勃起不全とは、性交を奏功させるだけの陰茎の勃起が達成できない医学的状態を指す。「インポテンツ」という用語が、この一般的な状態を説明するのに用いられる場合が多い。世界中で約1億4000万人の男性が、そして国立衛生研究所の試験によれば約3000万人の米国人がインポテンツまたは勃起不全を患っている。後者の数は2000年度までに男性4700万人まで上昇する可能性があると推定されている。勃起不全は、器質性または心因性のいずれかの原因よって生じ得るものであり、そうした症例の約20%の原因が純粋に心因性である。勃起不全は、40歳で40%であるものが、75歳では67%に増加し、50歳を超えた男性での発生率は75%を超える。この状態の発生頻度が高いにもかかわらず、注射療法、人工ペニス移植および真空ポンプなどの既存の治療選択肢が一様に不愉快なものであったため、ごく少数の患者しか治療を受けていない[考察については、″ABC of sexual health-erectile dysfunction″, Brit. Med. J. 318: 387-390 (1999)参照]。ごく最近になって、より実行可能な治療形態が利用できるようになり、詳細には、バイアグラ(Viagra;登録商標)の商品名でファイザー(Pfizer)が販売しているクエン酸シルデナフィルなどの経口作用薬がある(″Emerging pharmacological therapies for erectile dysfunction″, Exp. Opin. Ther. Patents 9: 1689-1696 (1999)参照)。シルデナフィルは、ホスホジエステラーゼV型(PDE−V)、すなわちサイクリックGMP特異的ホスホジエステラーゼアイソザイムの選択的阻害剤である[R. B. Moreland et al., ″Sildenafil: A Novel Inhibitor of Phosphodiesterase Type 5 in Human Corpus Cavernosum Smooth Muscle Cells″, Life Sci., 62: 309-318 (1998)参照]。バイアグラが上市される以前は、勃起不全の患者の10%未満しか、治療を受けていなかった。シルデナフィルは、女性性的機能不全の治療に関しても診療所で評価されているところである。
【0011】
勃起不全の経口治療に関してバイアグラ(登録商標)が規制当局によって承認されたことで、さらに一層有効な勃起不全治療法を発見しようとする努力が活発になった。さらにいくつかの選択的PDE−V阻害剤が、臨床試験中である。UK−114542は、ファイザーからのシルデナフィルのバックアップ薬であり、特性が改善されていると予想される。タダラフィルすなわちIC−351(ICOS社)は、シルデナフィルに比べ、PDE−VIよりPDE−Vに対して大きな選択性を有すると訴求されている。他のPDE−V阻害剤には、バイエル(Bayer)からのバルデナフィル、持田製薬株式会社からのM−54033およびM−54018、ならびにエーザイ株式会社からのE−4010などがある。
【0012】
勃起不全の治療に対する他の薬理学的手法も報告されている[例えば、″Latest Findings on the Diagnosis and Treatment of Erectile Dysfunction″, Drug News & Perspectives, 9: 572-575 (1996);″Oral Pharmacotherapy in Erectile Dysfunction″, Current Opinion in Urology, 7: 349-353 (1997)参照]。ゾナゲン(Zonagen)が臨床開発中の製品は、商品名バソマックス(Vasomax;登録商標)のα−アドレナリン受容体拮薬フェントラミンメシレートの経口製剤である。バソマックス(登録商標)については、女性性的機能不全の治療についても評価中である。
【0013】
勃起不全を治療するための薬は、末梢または中枢のいずれかで作用する。これらは、性的反応を「開始する」か、事前の刺激に対する性的反応を「促進する」かによっても分類される[考察については、″A Therapeutic Taxonomy of Treatments for Erectile Dysfunction: An Evolutionary hnperative″, Int. J. Impotence Res., 9: 115-121 (1997)を参照]。シルデナフィルおよびフェントラミンは末梢的に作用し、性愛刺激に対する性的反応の「強化剤」または「促進剤」であると考えられているが、シルデナフィルは、軽度の器質性勃起不全および心因性勃起不全の両方に有効であるように思われる。シルデナフィルは、経口服用後30分〜60分で作用が発現し、その効果は約4時間持続する。これに対して、フェントラミンは、発現に5分〜30分必要であり、効果は2時間持続する。シルデナフィルは、大部分の患者に有効であるが、化合物が所望の効果を示すには比較的長い時間がかかる。シルデナフィルに比べ、早く作用するフェントラミンは、さほど有効ではなく、作用の持続時間が短いように思われる。経口シルデナフィルは、それを服用した男性の約70%に有効であり、これに対してフェントラミンで十分な反応が認められるのは、患者の35%〜40%だけである。両方の化合物が、効能を生じるために性愛刺激を必要とする。シルデナフィルは、酸化窒素の平滑筋弛緩効果を強化することによって全身循環における血流を間接的に増加させるので、不安定な心臓状態または心臓血管疾患の患者、特に、狭心症治療のためにニトログリセリンなどの硝酸塩を服用している患者には禁忌である。シルデナフィルの臨床使用に関連する他の有害効果には、頭痛、潮紅、消化不良、および「視力異常」などがある。後者は、ホスホジエステラーゼVI型アイソザイム(PDE−VI)、すなわち網膜で濃縮されるサイクリックGMP特異的ホスホジエステラーゼが阻害されるために生じる。「視力異常」は、視野に軽度で一過性の「青っぽい」色合いと定義されるが、光に対する感受性亢進または視力障害とも定義される。
【0014】
合成メラノコルチン受容体作動薬(メラニン刺激ペプチド)は、心因性勃起不全の男性に勃起を起こさせることが認められている[H. Wessells et al., ″Synthetic Melanotropic Peptide Initiates Erections in Men With Psychogenic Erectile Dysfunction: Double-Blind, Placebo Controlled Crossover Study″, J. Urol., 160: 389-393 (1998); Fifteenth American Peptide Symposium, June 14-19, 1997 (Nashville TN)参照]。脳のメラノコルチン受容体の活性化が、性的覚醒の正常な刺激をもたらすように思われる。上記の研究において、中枢作用性α−メラノサイト刺激ホルモン類縁体であるメラノタンン−II(MT−II)は、心因性勃起不全の男性に筋肉注射または皮下注射した場合に、アポモルフィンで得られた結果と同様の反応率75%を示した。MT−IIは、合成環状ヘプタペプチドであるAc−Nle−c[Asp−His−DPhe−Arg−Trp−Lys]−NHであり、それはα−MSHおよびアデレノコルチコトロピンに共通の4〜10メラノコルチン受容体結合領域を含むが、ラクタム架橋を有する。これは、非選択的MC−1R、−3R、−4Rおよび−5R作動薬である(Dorr et al., Life Sciences, Vol. 58, 1777-1784, 1996)。MT−II(PT−14とも称される)(エレクチド(Erectide;登録商標))は、現在、パラチン・テクノロジーズ社(Palatin Technologies, Inc.)およびテラテク社(TheraTech, Inc.)により、非ペニス皮下注射製剤として臨床開発中である。これは、性反応の「開始剤」であると考えられる。この薬での勃起開始までの時間は比較的短く(10分〜20分)、作用の持続時間は約2.5時間である。MT−IIで認められる有害反応には、悪心、潮紅、食欲不振、緊張およびあくびなどがあり、こうした有害反応は、MC−1R、MC−2R、MC−3Rおよび/またはMC−5Rの活性化の結果である可能性がある。MT−IIは、経口経路で投与すると全身循環に吸収されないので、皮下、静脈または筋肉経路などにより非経口投与しなければならない。
【0015】
MR−IIの勃起発現特性は、各種の器質性危険因子を有する男性がこの化合物を皮下注射するとペニスの勃起を生じた心因性勃起不全症例に限定されないのは明かであり、さらに、プラシーボ投与後に比べ、MT−II投与後の方が性欲レベルが有意に高い[H. Wessells,″Effect of an Alpha-Melanocyte Stimulating Hormone Analog on Penile Erection and Sexual Desire in Men with Organic Erectile Dysfunction″, Urology, 56: 641-646 (2000)参照]。
【0016】
心因性勃起不全治療のためのメラノトロピックペプチド類の組成物および方法が、コンペティティブ・テクノロジーズ(Competitive Technologies)に譲渡された米国特許第5576290号に開示されている。メラノトロピックペプチドを用いた女性における性的応答の刺激方法が、米国特許第6051555号に開示されている。
【0017】
WO 99/64002(1999年12月16日);WO 00/74679(2000年12月14日);WO 01/70708(2001年9月27日);WO 01/70337(2001年9月27日);WO 01/91752(2001年12月6日);WO02/59095(2002年8月1日);WO02/059107(2002年8月1日);WO02/059108(2002年8月1日);WO02/059117(2002年8月1日);WO02/068387(2002年9月6日);WO02/068388(2002年9月6日);WO03/007949(2003年1月30日);およびWO03/009847(2003年2月6日)に、メラノコルチン受容体の作働薬として、特にはMC−4R受容体の選択的作働薬として、従って肥満、糖尿病そして勃起不全および女性性的機能不全などの性的機能不全のような疾患および障害の治療において有用なスピロピペリジン誘導体、ピペリジン誘導体およびピペラジン誘導体が開示されている。
【0018】
上記の各種医薬の欠陥が未解決であることから、心因性および/または器質性の性的機能不全を患う人を治療するための改善された方法および組成物が、医療分野において現在もなお必要とされている。こうした方法は、現在利用可能な薬剤と比較して、広い適用範囲を有し、向上した利便性を有し、服用遵守が容易であり、短時間で作用を発現し、妥当な長さの作用持続時間を有し、禁忌が少なくて副作用が最小限であるべきである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って本発明の目的は、メラノコルチン受容体作動薬であることで、肥満、糖尿病、男性性的機能不全および女性性的機能不全の治療に有用である二環式ピペリジン誘導体を提供することにある。
【0020】
本発明の別の目的は、メラノコルチン−4(MC−4R)受容体の選択的作働薬である二環式ピペリジン誘導体を提供することにある。
【0021】
本発明の別の目的は、本発明のメラノコルチン受容体作動薬とともに製薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、本発明の化合物および医薬組成物を投与することによって、処置を必要とする哺乳動物におけるメラノコルチン−4受容体の活性化に応答する障害、疾患または状態を治療または予防する方法を提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、処置を必要とする哺乳動物に、本発明の化合物および医薬組成物を投与することによって、肥満、糖尿病、男性性的機能不全および女性性的機能不全を治療または予防する方法を提供することにある。
【0024】
本発明の別の目的は、処置を必要とする哺乳動物に、本発明の化合物および医薬組成物を投与することによって、勃起不全を治療する方法を提供することにある。
【0025】
上記および他の目的は、下記の詳細な説明から容易に明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、下記構造式Iの新規な二環式N−アシル化ピペリジン類に関する。
【0027】
【化10】

【0028】
これらの二環式ピペリジン誘導体は、メラノコルチン受容体作動薬として有効であり、選択的メラノコルチン−4受容体(MC−4R)作動薬として特に有効である。従って、これらは、肥満、糖尿病ならびに男性および女性性的機能不全、特に男性勃起不全などのMC−4Rの活性化に応答する障害の治療および/または予防に有用である。
【0029】
本発明は、本発明の化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物にも関する。
【0030】
本発明は、本発明の化合物および医薬組成物を投与することによって、処置を必要とする哺乳動物におけるメラノコルチン−4受容体の活性化に応答する障害、疾患または状態を治療または予防方法に関するものでもある。
【0031】
本発明は、本発明の化合物および医薬組成物を投与することによって、肥満、糖尿病、男性性的機能不全および女性性的機能不全を治療または予防する方法に関するものでもある。
【0032】
本発明は、本発明の化合物および医薬組成物を投与することによって、勃起不全を治療する方法に関するものでもある。
【0033】
本発明は、勃起不全状態の治療に有用であることが知られている治療上有効量の別の薬剤との併用で本発明の化合物を投与することによって、勃起不全を治療する方法に関するものでもある。
【0034】
本発明は、肥満状態の予防または治療に有用であることが知られている治療上有効量の別の薬剤との併用で本発明の化合物を投与することによって、肥満を治療または予防する方法に関するものでもある。
【0035】
本発明は、糖尿病状態の予防または治療に有用であることが知られている治療上有効量の別の薬剤との併用で本発明の化合物を投与することによって、糖尿病を治療または予防する方法に関するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、メラノコルチン受容体作働薬として、特には選択的MC−4R作働薬として有用な二環式N−アシル化ピペリジン誘導体に関する。本発明の化合物は、構造式Iによって記載されるか、あるいはそれの製薬上許容される塩である。
【0037】
【化11】

式中、
XおよびYは、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)−(CH3−8シクロアルキル、
(5)−(CH−フェニル、
(6)−(CH−ナフチル、
(7)−(CH−ヘテロアリール、
(8)−(CH2−8複素環アルキル、
(9)−(CHC≡N、
(10)−(CHCON(R
(11)−(CHCO
(12)−(CHCOR
(13)−(CHNRC(O)R
(14)−(CHNRCO
(15)−(CHNRC(O)N(R
(16)−(CHNRSO
(17)−(CHS(O)
(18)−(CHSON(R
(19)−(CHOR
(20)−(CHOC(O)R
(21)−(CHOC(O)OR
(22)−(CHOC(O)N(R
(23)−(CHN(Rおよび
(24)−(CHNRSON(R
からなる群から独立に選択され;
上記においてアルケニル、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、
(1)水素、
(2)アミジノ、
(3)C1−4アルキルイミノイル、
(4)C1−10アルキル、
(5)−(CH−C3−7シクロアルキル、
(6)−(CH−フェニル、
(7)−(CH−ナフチルおよび
(8)−(CH−ヘテロアリール
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、
(1)C1−6アルキル、
(2)フェニル、
(3)ナフチルおよび
(4)ヘテロアリール
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
各Rは、
(1)C1−8アルキル、
(2)−(CH−フェニル、
(3)−(CH−ナフチル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH2−8複素環アルキル、
(6)−(CH3−7シクロアルキル、
(7)ハロゲン、
(8)OR
(9)−(CHN(R
(10)−(CHC≡N、
(11)−(CHCO
(12)NO
(13)−(CHNRSO
(14)−(CHSON(R
(15)−(CHS(O)
(16)−(CHNRC(O)N(R
(17)−(CHC(O)N(R
(18)−(CHNRC(O)R
(19)−(CHNRCO
(20)−(CHNRC(O)−ヘテロアリール、
(21)−(CHC(O)NRN(R
(22)−(CHC(O)NRNRC(O)R
(23)O(CHCN(R
(24)CF
(25)−CHCF
(26)OCFおよび
(27)OCHCF
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;あるいは同一炭素原子上の2個のR置換基がその炭素原子と一体となってシクロプロピル基を形成しており;
各Rは、
(1)水素、
(2)C1−6アルキル、
(3)−(CH−フェニル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH−ナフチル、
(6)−(CH2−8複素環アルキル、
(7)−(CH3−7シクロアルキルおよび
(8)−(CH3−7ビシクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてアルキル、フェニル、ヘテロアリール、複素環アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、C1−4アルキル、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基が、それらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い4〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
各Rは、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH−フェニル、
(4)−(CH−ナフチル、
(5)−(CH−ヘテロアリールおよび
(6)−(CH3−7シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、(CH)およびシクロアルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基が、それらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い5〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
およびRはそれぞれ独立に、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH3−6シクロアルキル、
(4)−(CH−アリール、
(5)ヒドロキシ、
(6)ハロゲンおよび
(7)アミノ
からなる群から選択され;
rは1または2であり;
sは0、1または2であり;
tは1、2または3であり;
nは0、1または2であり;
pは0、1または2である。
【0038】
構造式Iの化合物の1実施形態では、Rは水素、C1−6アルキル、−(CH0−13−6シクロアルキルおよび−(CH0−1−フェニルからなる群から選択され;フェニルは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い。
【0039】
構造式Iの化合物の第2の実施形態では、Rは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルまたはチエニルである。この実施形態の1群では、Rは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルである。
【0040】
構造式Iの化合物の第3の実施形態では、Rは、
(1)C1−8アルキル、
(2)−(CH−フェニル、
(3)−(CH−ナフチル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH2−8複素環アルキル、
(6)−(CH3−7シクロアルキル、
(7)ハロゲン
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;あるいは同一炭素原子上の2個のR置換基がその炭素原子と一体となってシクロプロピル基を形成している。
【0041】
構造式Iの化合物の第4の実施形態では、Xは
(1)水素、
(2)−(CH−フェニル、
(3)−(CH−ナフチル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH3−8シクロアルキルおよび
(6)−(CH2−8複素環アルキル
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い。この実施形態の1群において、Xは水素、−(CH0−1−フェニル、−(CH0−1−ヘテロアリール、−(CH0−12−8複素環アルキルおよび−(CH0−13−8シクロアルキルからなる群から選択され;フェニルおよびヘテロアリールは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;シクロアルキル、複素環アルキルおよびCHは独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い。この群の1小群において、Xは水素および−(CH0−1−C3−8シクロアルキルからなる群から選択され;シクロアルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い。この小群の1小群において、Xは水素およびシクロヘキシルからなる群から選択され;シクロヘキシルは独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い。
【0042】
構造式Iの化合物の第5の実施形態では、YはC1−6アルキル、−(CH−フェニル、−(CH−ナフチル、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−C3−8シクロアルキル、−(CH2−8複素環アルキル、−(CHC()N(R、−(CHCO、−(CHS(O)、−(CHOR、−(CHNRC(O)Rおよび−(CHNRSOからなる群から選択され;フェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い。この実施形態の1群において、YはC1−6アルキル、−(CH0−1−フェニル、−(CH0−1−ヘテロアリール、−(CH−C3−8シクロアルキル、−(CH0−12−8−複素環アルキル、−(CH0−1NHC(O)R、−(CH0−1CO、−(CH0−1C(O)N(Rおよび−(CH0−1S(O)からなる群から選択され;フェニルおよびヘテロアリールは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い。この群の1小群において、Yは−(CH0−1−フェニル、−(CH0−1NHC(O)R、−(CH0−1C(O)N(Rおよび−(CH0−1S(O)からなる群から選択され;(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い。
【0043】
構造式Iの化合物のさらに別の実施形態では、rは1である。この実施形態の1群では、rは1であり、sは1である。
【0044】
構造式Iの化合物のさらに別の実施形態では、rは2である。この実施形態の1群では、rは2であり、sは1である。
【0045】
構造式Iの化合物のさらに別の実施形態では、tは2である。
【0046】
本発明の化合物の別の実施形態では、Rと架橋ピペリジンカルボニル置換基のトランス配向を有する下記で指定の立体化学的配置を持つ下記構造式IIaまたはIIbの化合物あるいはそれの製薬上許容される塩が提供される。
【0047】
【化12】

式中、
Xは、
(1)水素、
(2)−(CH−フェニル、
(3)−(CH−ナフチル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH3−8シクロアルキルおよび
−(CH2−8複素環アルキル
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;
Yは
【0048】
【化13】




からなる群から選択され;
上記においてフェニルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、水素、アミジノ、C1−4アルキルイミノイル、C1−6アルキル、C5−6シクロアルキル、−(CH0−1フェニル、−(CH0−1ヘテロアリールであり;フェニルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルまたはチエニルであり;
各Rは、
(1)C1−8アルキル、
(2)−(CH−ヘテロアリール、
(3)−(CH2−8複素環アルキル、
(4)ハロゲン、
(5)OR
(6)−(CHN(R
(7)−(CHC≡N、
(8)−(CHCO
(9)−(CHNRSO
(10)−(CHSON(R
(11)−(CHS(O)
(12)−(CHNRC(O)N(R
(13)−(CHC(O)N(R
(14)−(CHNRC(O)R
(15)−(CHNRCO
(16)−(CHNRC(O)−ヘテロアリール、
(17)−(CHC(O)NRN(R
(18)−(CHC(O)NRNRC(O)R
(19)O(CHC(O)N(R
(20)CF
(21)CHCF
(22)OCFおよび
(23)OCHCF
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;あるいは同一炭素原子上の2個のR置換基がその炭素原子と一体となってシクロプロピル基を形成しており;
各R
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)フェニル、
(4)ヘテロアリール、
(5)−(CH2−8複素環アルキルおよび
(6)C3−6シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてアルキル、フェニル、ヘテロアリール、複素環アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、C1−4アルキル、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基がそれらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い4〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
各R
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH−フェニル、
(4)−(CH−ナフチル、
(5)−(CH−ヘテロアリールおよび
(6)−(CH3−7シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、(CH)およびシクロアルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基がそれらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い5〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
およびRはそれぞれ独立に、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH3−6シクロアルキル、
(4)−(CH−アリール、
(5)ヒドロキシ、
(6)ハロゲンおよび
(7)アミノ
からなる群から選択され;
rは1または2であり;
sは0、1または2であり;
tは1、2または3であり;
nは0、1または2であり;
pは0、1または2である。
【0049】
別の実施形態では、Yは
【0050】
【化14】

からなる群から選択され;
上記においてフェニルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換される。
【0051】
本発明の化合物のさらに別の実施形態では、フェニル置換基とピペリジンカルボニル置換基のトランス配向を有する下記で指定の立体化学的配置を持つ下記構造式IIIaまたはIIIbの化合物あるいはそれの製薬上許容される塩が提供される。
【0052】
【化15】

式中、
Xは
(1)水素、
(2)−(CH0−1−フェニル、
(3)−(CH0−1−ナフチル、
(4)−(CH0−1−ヘテロアリール、
(5)−(CH0−13−8シクロアルキルおよび
(6)−(CH0−12−8複素環アルキル
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;
Yは
【0053】
【化16】

からなる群から選択され;
上記においてフェニルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、水素、C1−4アルキルまたは−(CH0−1フェニルであり;
各R
(1)C1−8アルキル、
(2)−(CH0−1−ヘテロアリール、
(3)−(CH0−12−8複素環アルキル、
(4)ハロゲン、
(5)OR
(6)−(CH0−1N(R
(7)−(CH0−1C≡N、
(8)−(CH0−1CO
(9)−(CH0−1NRSO
(10)−(CH0−1SON(R
(11)−(CH0−1S(O)0−3
(12)−(CH0−1NRC(O)N(R
(13)−(CH0−1C(O)N(R
(14)−(CH0−1NRC(O)R
(15)−(CH0−1NRCO
(16)−(CH0−1NRC(O)−ヘテロアリール、
(17)−(CH0−1C(O)NRN(R
(18)−(CH0−1C(O)NRNRC(O)R
(19)O(CH0−1C(O)N(R
(20)CF
(21)CHCF
(22)OCFおよび
(23)OCHCF
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;あるいは同一炭素原子上の2個のR置換基がその炭素原子と一体となってシクロプロピル基を形成しており;
各R
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)フェニル、
(4)ヘテロアリール、
(5)−(CH0−12−8複素環アルキルおよび
(6)C3−6シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてアルキル、フェニル、ヘテロアリール、複素環アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、C1−4アルキル、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基がそれらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い4〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
各R
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH0−1−フェニル、
(4)−(CH0−1−ナフチル、
(5)−(CH0−1−ヘテロアリールおよび
(6)−(CH0−13−7シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、(CH)およびシクロアルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基がそれらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い5〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
およびRはそれぞれ独立に、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH0−13−6シクロアルキル、
(4)−(CH0−1−アリール、
(5)ヒドロキシ、
(6)ハロゲンおよび
(7)アミノ
からなる群から選択され;
tは1、2または3であり;
rは1または2であり;
sは0、1または2である。
【0054】
メラノコルチン−4受容体作働薬として有用である本発明の化合物の例としては、下記のものまたはそれらの製薬上許容される塩があるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
【化17】


【0056】
構造式Iの化合物は、メラノコルチン受容体作動薬として有効であり、MC−4Rの選択的作動薬として特に有効である。従って、これらは、肥満、糖尿病ならびに男性および/または女性性的機能不全、詳細には勃起不全、さらに詳細には男性勃起不全などのMC−4Rの活性化に応答する疾患の治療および/または予防に有用である。
【0057】
本発明の別の態様は、処置を必要とする哺乳動物での肥満または糖尿病を治療または予防する方法において、治療上または予防上有効量の構造式Iの化合物を前記哺乳動物に投与する段階を有する方法を提供する。
【0058】
本発明の別の態様は、勃起不全を含む男性または女性性的機能不全の治療または予防方法において、治療上または予防上有効量の構造式Iの化合物をそうした治療および予防を必要とする哺乳動物に投与する段階を有する方法を提供する。
【0059】
本発明の別の態様は、構造式Iの化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0060】
本発明のさらに別の態様は、勃起不全を含む男性または女性性的機能不全を治療または予防する方法であって、そうした治療または予防が必要な哺乳動物に、これらの状態の治療に有用であることが知られている治療上有効量の別の薬剤との併用で治療上または予防上有効量の構造式Iの化合物を投与する段階を有する方法を提供する。
【0061】
本発明のさらに別の態様は、肥満を治療または予防する方法であって、そうした治療または予防が必要な哺乳動物に、この状態の治療に有用であることが知られている治療上有効量の別の薬剤との併用で治療上または予防上有効量の構造式Iの化合物を投与する段階を有する方法を提供する。
【0062】
本発明のさらに別の態様は、処置を必要とする哺乳動物でメラノコルチン−4受容体が介在する疾患の治療または予防あるいは抑制で有用な医薬の製造における式Iの化合物の使用に関する。
【0063】
本発明のさらに別の態様は、処置を必要とする哺乳動物でのメラノコルチン−4受容体が介在する疾患の治療または予防あるいは抑制で有用な医薬の製造における式Iの化合物の使用であって、前記疾患が肥満、糖尿病、男性性的機能不全および女性性的機能不全からなる群から選択される使用に関する。
【0064】
本発明のさらに別の態様は、処置を必要とする哺乳動物での男性勃起不全の治療または予防あるいは抑制に有用な医薬の製造における式Iの化合物の使用に関する。
【0065】
本発明のさらに別の態様は、処置を必要とする哺乳動物での糖尿病または肥満の治療、管理または予防に有用な医薬の製造における、治療上有効量の式Iの化合物またはそれの製薬上許容される塩、ならびに治療上有効量のインシュリン増感剤、インシュリン様作用剤、スルホニル尿素、α−グルコシダーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、セロトニン作働薬、β3−アドレナリン受容体作働薬、神経ペプチドY1拮抗薬、神経ペプチドY2作働薬、神経ペプチドY5拮抗薬、膵リパーゼ阻害薬、カンナビノイドCB受容体拮抗薬もしくは逆作働薬、メラニン濃縮ホルモン受容体拮抗薬、ボンベシン受容体サブタイプ3作働薬およびグレリン受容体拮抗薬またはそれらの製薬上許容される塩からなる群から選択される薬剤の使用に関する。
【0066】
本発明のさらに別の態様は、糖尿病または肥満の治療または予防用の医薬製造における治療上有効量の式Iの化合物またはそれの製薬上許容される塩およびエステル、ならびに治療上有効量のインシュリン増感剤、インシュリン様作用剤、スルホニル尿素、α−グルコシダーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、セロトニン作働薬、β3−アドレナリン受容体作働薬、神経ペプチドY1拮抗薬、神経ペプチドY2作働薬、神経ペプチドY5拮抗薬、膵リパーゼ阻害薬、カンナビノイドCB受容体拮抗薬もしくは逆作働薬、メラニン濃縮ホルモン受容体拮抗薬、ボンベシン受容体サブタイプ3作働薬およびグレリン受容体拮抗薬またはそれらの製薬上許容される塩およびエステルからなる群から選択される薬剤の使用において、前記医薬が有効量の式Iの化合物および有効量の前記薬剤を一緒にまたは別個に含む使用に関する。
【0067】
本発明のさらに別の態様は、処置を必要とする哺乳動物での勃起不全の治療、管理または予防において有用な医薬での、治療上有効量の式Iの化合物またはそれの製薬上許容される塩、ならびに治療上有効量のV型サイクリックGMP選択的ホスホジエステラーゼ阻害薬、α−アドレナリン受容体拮抗薬およびドーパミン作働薬またはそれらの製薬上許容される塩からなる群から選択される薬剤の使用に関する。
【0068】
本発明のさらに別の態様は、勃起不全の治療または予防用の医薬製造における治療上有効量の式I化合物ならびにそれの製薬上許容される塩およびエステル;ならびに治療上有効量のV型サイクリックGMP選択的ホスホジエステラーゼ阻害薬、α−アドレナリン受容体拮抗薬およびドーパミン作働薬ならびにそれらの製薬上許容される塩およびエステルからなる群から選択される薬剤の使用において、前記医薬が有効量の式Iの化合物および有効量の前記薬剤を一緒にまたは別個に含む使用に関する。
【0069】
メラノコルチン受容体作働薬化合物は、キットで提供することができる。そのようなキットは代表的には、投与用の製剤に活性化合物を含むものである。製剤は、1日以上の日数において1日1〜6回等の定期的間隔中に患者に投与した場合に有用な効果を得ることができるだけの量の活性化合物を含むものである。好ましくはキットには、減量(例えば、肥満または体重超過を治療するため)または性的機能不全における前記製剤の使用を説明する説明書と特定の期間にわたって服用されるべき量の製剤が入っている。
【0070】
本願全体を通じて、下記の用語はそこに示した意味を有する。
【0071】
「アルキル」という用語ならびにアルコキシおよびアルカノイルなどの接頭語「アルク」を有する他の基は、直鎖または分岐あるいはそれらの組合せであることができる指定の長さの炭素鎖を意味する。アルキルという用語は、(CH)と表されるメチレン基も含む。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、4−エチルペンチル、1−プロピルブチル、2−プロピルブチル、3−プロピルブチル、1,1−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、3,4−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1−メチル−1−エチルブチル、1−メチル−2−エチルブチル、2−メチル−2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルブチル、1−エチル−3−メチルブチル、1,1−ジエチルプロピル、n−オクチル、n−ノニルなどがある。
【0072】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、直鎖または分岐あるいはそれらの組合せであることができる炭素鎖を意味する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどがある。
【0073】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、直鎖または分岐あるいはそれらの組合せであることができる炭素鎖を意味する。アルキニルの例には、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−へプチニルなどがある。
【0074】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0075】
「C1−4アルキルイミノイル」という用語は、C1−3アルキルC(=NH)−を意味する。
【0076】
「アリール」という用語は、炭素原子のみを有する単環式または二環式の芳香環を含む。アリールの例には、フェニルおよびナフチルなどがある。
【0077】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する単環式または二環式の芳香環を含む。それの例には、ピリジニル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルなどがあるが、これらに限定されるものではない。本発明の1実施形態では、ヘテロアリールはピリジニル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサチアゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾチアゾリルおよびベンゾオキサゾリルからなる群から選択される。この実施形態の1群において、ヘテロアリールはピリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリミジニルおよびピラジニルからなる群から選択される。二環式ヘテロ芳香環には、ベンゾチアジアゾール、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、キナゾリン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、プリン、フロピリジン、チエノピリジン、ベンゾイソジアゾール、トリアゾロピリミジンおよび5,6,7,8−テトラヒドロキノリンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
「シクロアルキル」という用語は、炭素原子のみを有する単環式または二環式非芳香環を含む。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
「複素環アルキル」という用語は、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する非芳香族複素環を含むものである。複素環アルキルの例には、アゼチジン、ピペリジン、モルホリン、チアモルホリン、ピロリジン、イミダゾリジン、テトラヒドロフラン、ピペラジン、1−チア−4−アザ−シクロヘキサンなどがあるが、これらに限定されるものではない。複素環アルキル環上の置換には、その複素環アルキル環の炭素および/または窒素原子上の置換などがある。
【0080】
上記で定義のある種の用語は、上記の式中に複数個存在する場合があり、そのように存在する時は各用語は、他のものとは無関係に定義されるものとする。従って、例えば、NRは、NH、NHCH、N(CH)CHCHなどを表すことができる。
【0081】
「被験者」という用語は哺乳動物を意味する。「哺乳動物」という用語の1実施形態は「ヒト」であり、そのヒトは男性または女性である。本発明の化合物は、ネコおよびイヌにおける肥満および肥満関連障害を治療または予防する上でも有用である。従って、「哺乳動物」という用語は、ネコおよびイヌなどのペット動物を含むものである。
【0082】
「処置を必要とする哺乳動物」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が決定する、治療または予防が必要な哺乳動物を指す。
【0083】
医薬組成物での場合のような「組成物」という用語は、有効成分、および担体を構成する不活性成分、ならびにいずれか2種類以上の成分の組み合わせ、錯形成もしくは凝集から、または1以上の成分の解離から、または1以上の成分の他の種類の反応もしくは相互作用から直接または間接に生じる生成物を含む製造物を包含するものである。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および製薬上許容される担体を混合することで製造される組成物を包含するものである。
【0084】
メラノコルチン受容体「作働薬」とは、メラノコルチン受容体と相互作用し、メラノコルチン受容体の薬理応答特性を開始することができる内因性または薬剤物質もしくは化合物を意味する。メラノコルチン受容体「拮抗薬」とは、通常別の生理活性薬剤によって誘発されるメラノコルチン受容体関連応答に対抗する薬剤または化合物を意味する。本発明の化合物の「作働薬」特性とは、以下に記載の機能アッセイで測定したものである。その機能アッセイは、メラノコルチン受容体拮抗薬からメラノコルチン受容体作働薬を区別するものである。
【0085】
「結合アフィニティ」とは、生体標的に化合物/薬剤が結合する能力を意味し、本願の場合には構造式Iの化合物がメラノコルチン受容体と結合する能力である。本発明の化合物についての結合アフィニティは、下記の結合アッセイで測定したものであり、IC50として表している。
【0086】
「効力」とは、作働薬が同数の受容体を同じアフィニティで占有する場合であっても、それが生じさせる応答において変動する相対的強度を表すものである。効力とは、薬剤が応答を生じさせることができる特性である。化合物/薬剤の特性は2つの群に分類することができ、それらを受容体と会合させる特性(結合アフィニティ)および刺激を生じる特性(効力)である。「効力」という用語は、作働薬が誘発する最大応答レベルを特徴づけるのに用いられる。受容体の作働薬が全て、同じレベルの最大応答を誘発できるわけではない。最大応答は、受容体結合の効率、すなわち、受容体への薬剤の結合から望ましい生理効果を生じる一連の事象からの効率によって決まる。
【0087】
特定濃度での本発明の化合物におけるEC50として表現される機能的活性および「作働薬効力」は、以下に記載の機能アッセイで測定した。
【0088】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異体
構造式Iの化合物は1以上の不斉中心を有することから、ラセミ体およびラセミ混合物、単独のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして得られる場合がある。本発明は、構造式Iの化合物のそのような全ての異性体を包含するものである。
【0089】
本明細書に記載の化合物の一部はオレフィン系二重結合を有し、別段の断りがない限り、EおよびZの幾何異性体の両方を含むものである。
【0090】
本明細書に記載の化合物の一部は、ケト−エノール互変異体などの互変異体として存在することができる。個々の互変異体ならびにそれらの混合物は、構造式Iの化合物に包含される。
【0091】
構造式Iの化合物は、例えばメタノールもしくは酢酸エチルまたはそれらの混合物などの好適な溶媒からの分別結晶によって、あるいは光学活性固定相を用いるキラルクロマトグラフィーを用いて、個々のジアステレオマーに分離することができる。絶対立体化学は、必要に応じて、既知の絶対配置の不斉中心を有する試薬で誘導体化した結晶生成物または結晶中間体のX線結晶解析によって決定することができる。
【0092】
あるいは一般式I、IIa、IIb、IIIaおよびIIIbの化合物の立体異性体は、絶対配置が既知である光学的に純粋な原料または試薬を用いる立体特異的合成によって得ることができる。
【0093】

「製薬上許容される塩」という用語は、無機もしくは有機塩基および無機もしくは有機酸などの製薬上許容される無毒性の塩基もしくは酸から製造される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などがある。特に好ましいものとしては、アンモニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩である。製薬上許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、1級、2級および3級アミン塩、天然置換アミンを含む置換アミンの塩、環状アミン塩および塩基性イオン交換樹脂の塩などがあり、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂類、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等の塩がある。
【0094】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸および有機酸などの製薬上許容される無毒性酸から製造することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などがある。特に好ましいものは、クエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0095】
本明細書で使用する場合に、式Iの化合物についての言及は、塩酸塩などの製薬上許容される塩をも含むことは明らかであろう。
【0096】
用途
式Iの化合物はメラノコルチン受容体作働薬であることから、MC−1、MC−2、MC−3、MC−4またはMC−5などの(これらに限定されるものではない)1以上のメラノコルチンの活性化に応答する疾患、障害または状態の治療、管理または予防において有用である。そのような疾患、障害または状態には、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、骨関節炎、癌、胆嚢疾患、睡眠無呼吸、抑鬱、不安、強迫、神経症、不眠症/睡眠障害、薬物乱用、疼痛、男性および女性性的機能不全、発熱、炎症、免疫調節、関節リウマチ、日焼け、アクネおよび他の皮膚障害、アルツハイマー病治療などの神経保護および認識および記憶促進などがあるが、それらに限定されるものではない。式Iによって包含される一部の化合物は、MC−1R、MC−2R、MC−3RおよびMC−5Rと比較してメラノコルチン−4受容体(MC−4)に対して非常に選択的なアフィニティを示すことから、肥満ならびに勃起不全のような男性および/または女性性的機能不全の予防および治療において特に有用となる。
【0097】
本発明の組成物は、肥満および肥満関連障害などの過食に関連する障害の治療または予防において有用である。この場合の肥満は、遺伝的または環境的を問わずあらゆる原因によるものであることができる。
【0098】
この場合での肥満関連障害は、肥満に関連しているか、肥満によって生じるか、あるいは肥満の結果であるものである。肥満関連障害の例には、大食、過食および食欲異常亢進、高血圧、糖尿病、高血漿インシュリン濃度およびインシュリン耐性、異脂肪血症、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌、骨関節炎、閉塞性睡眠時無呼吸、胆石症、胆石、心臓疾患、心調律動の異常および不整脈、心筋梗塞、鬱血性心不全、冠動脈性心臓疾患、突然死、卒中、多嚢胞性卵巣症、頭蓋咽頭腫、プラダーウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠乏被験者、ノーマルバリアント低身長、ターナー症候群ならびに代謝活性低下または総無脂肪重量のパーセントとしての休止時エネルギー消費低下を示す他の病的状態、例えば急性リンパ芽球性白血病の小児などがある。肥満関連障害の別の例には、代謝症候群、インシュリン耐性症候群、性的・生殖機能障害(例:不妊、男性における生殖機能不全および女性における男性型多毛症)、消化管運動障害(例:肥満関連胃−食道逆流)、呼吸障害(例:肥満関連性換気低下症候群(ピックウィック症候群))、心血管障害、炎症(例:全身性血管炎症)、アテローム性動脈硬化、高コレステレロール血症、高尿酸血症、腰痛、胆嚢疾患、痛風および腎臓癌がある。本発明の組成物は、左心室過形成のリスク低下などの肥満の二次的結果のリスクを低下させる上でも有用である。
【0099】
症候群Xとも称される「代謝症候群」という用語は、文献で定義されている(the Third Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (ATP-III). E. S. Ford et al., JAMA, vol.287(3), Jan. 16, 2002, pp356-359)。すなわち、腹部肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧および高空腹時血漿糖という症状のうち3個以上を有する人は、代謝障害を有すると定義される。これらについての基準は、ATP−Mで定義されている。
【0100】
本明細書で定義される「糖尿病」という用語は、インシュリン依存型糖尿病(すなわち、I型糖尿病とも称されるIDDM)および非インシュリン依存型糖尿病(すなわち、II型糖尿病とも称されるNIDDM)の両方を含む。I型糖尿病すなわちインシュリン依存型糖尿病は、グルコース利用を調節するホルモンであるインシュリンの絶対的欠乏の結果である。II型糖尿病すなわち非インシュリン依存型糖尿病(すなわち、非インシュリン依存型糖尿病)は多くの場合、正常または高レベルのインシュリンにもかかわらず生じるものであり、組織がインシュリンに対して適切に応答できないことによる結果であるように思われる。II型糖尿病患者のほとんどが肥満でもある。本発明の組成物は、I型およびII型の両方の糖尿病を治療する上で有用である。その組成物は、I型糖尿病を治療する上で特に有効である。本発明の化合物または組成物は、妊娠性糖尿病の治療および/または予防においても有用である。
【0101】
糖尿病の治療とは、本発明の化合物または組合せ剤の投与による糖尿病治療を指す。治療の一つの結果は、高血糖レベルのある被験者での血糖レベルの低下であることができる。治療の別の結果は、血糖コントロールの改善であることができる。治療の別の結果は、高インシュリンレベルの被験者でのインシュリンレベル降下であることができる。治療の別の結果は、高血漿トリグリセリドの被験者での血漿トリグリセリド低下であることができる。治療の別の結果は、高LDLコレステロールレベルの被験者でのLDLコレステロールの低下であることができる。治療の別の結果は、低HDLコレステロールレベルの被験者でのHDLコレステロールの上昇であることができる。別の結果は、処置を必要とする被験者でのLDL/HDL比の低下であることができる。治療の別の結果は、インシュリン感受性の上昇であることができる。治療の別の結果は、グルコース不耐性の被験者でのグルコース耐性の向上であることができる。治療の別の結果は、インシュリン耐性上昇またはインシュリンレベル上昇がある被験者でのインシュリン耐性の低下であることができる。別の結果は、高トリグリセリドの被験者でのトリグリセリドの低下であることができる。さらに別の結果は、LDLコレステロール、非HDLコレステロール、トリグリセリド、HDLコレステロールその他の脂質分析物プロファイルの改善であることができる。
【0102】
糖尿病の予防とは、本発明の化合物または組合せ剤を投与することで、糖尿病のリスクがある哺乳動物での糖尿病の発症を予防することを指す。
【0103】
「肥満」とは、体脂肪の過剰がある状態である。肥満の実務上の定義は、肥満指数(BMI)に基づくものであり、それはメートル単位の身長の二乗当たりの体重(kg/m)として計算される。「肥満」とは、別の点については健康な被験者が30kg/m以上の肥満指数(BMI)を有する状態、あるいは少なくとも一つの併存疾患を有する被験者が27kg/m以上のBMIを有する状態を指す。「肥満被験者」とは、肥満指数(BMI)が30kg/m以上である他の面では健康な被験者または少なくとも一つの併存疾患を有して27kg/m以上のBMIを有する被験者である。「肥満の危険性がある被験者」とは、BMIが25kg/m〜30kg/m未満であって他の面では健康な被験者または少なくとも一つの併存疾患を有して25kg/m〜25kg/m未満のBMIを有する被験者である。
【0104】
肥満に関連する高リスクが、アジア人において比較的低い肥満指数(BMI)で起こる。日本を含めたアジア諸国では「肥満」とは、減量を必要とするか、減量によって改善されると考えられる少なくとも一つの肥満誘発または肥満関連の併存疾患を有する被験者が、25kg/m以上のBMIを有する状態を指す。日本を含めたアジア諸国では「肥満被験者」とは、減量を必要とするか、減量によって改善されると考えられる少なくとも一つの肥満誘発または肥満関連の併存疾患を有し、25kg/m以上のBMIを有する被験者を指す。太平洋地域のアジアでは、「肥満の危険性がある被験者」とは、BMIが23kg/m強〜25kg/m未満である被験者である。
【0105】
本明細書で使用される場合、「肥満」という用語は、上記の肥満の定義全てを包含するものである。
【0106】
肥満誘発または肥満関連の併存疾患いは、糖尿病、非インシュリン依存型糖尿病−II(2)型、グルコース耐性障害、空腹時血糖障害、インシュリン耐性症候群、異脂肪血症、高血圧、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、脂肪肝、脳梗塞、脳血栓、一過性虚血性発作、整形外科的障害、変形関節炎、腰痛(lumbodynia)、月経異常および不妊などがあるが、それらに限定されるものではない。特には併存疾患には、高血圧、高脂血症、異脂肪血症、耐糖能障害、心血管疾患、睡眠時無呼吸、糖尿病および他の肥満関連状態などがある。
【0107】
肥満および肥満関連障害の治療とは、本発明の化合物または組合せ剤を投与して、肥満被験者の体重を減少または維持させることを指す。治療の一つの結果は、本発明の化合物または組合せ剤を投与する直前のその被験者の体重と比較して肥満被験者の体重が減少することであることができる。治療の別の結果は、ダイエット、運動または薬物療法の結果としてこれまでに減量した体重の再獲得の予防であることができる。治療の別の結果は、肥満関連疾患の発生の減少および/または重度の低下であることができる。その治療によって好適には、総食物摂取の減少または炭水化物または脂肪などの食事の特定成分の摂取の減少などの被験者による食物またはカロリー摂取の減少;および/または栄養分吸収の阻害;および/または代謝速度低下の阻害;ならびに必要とされる被験者での減量を生じさせることができる。治療は、代謝速度低下の阻害ではなく、あるいはそれに加えての、代謝速度上昇などの代謝速度変化;および/または通常は減量によって生じる代謝抵抗性の低下を生じさせることもできる。
【0108】
肥満および肥満関連障害の予防とは、本発明の化合物または組合せ剤を投与して、肥満の危険性がある被験者の体重を減少または維持することを指す。予防の一つの結果は、本発明の化合物または組合せ剤を投与する直前のその被験者の体重と比較して肥満の危険性がある被験者の体重が減少することであることができる。予防の別の結果は、ダイエット、運動または薬物療法の結果としてこれまでに減量した体重の再獲得の予防であることができる。予防の別の結果は、肥満の危険性がある被験者での肥満発症に先だって投与を行った場合に、肥満が起こるのを防止することであることができる。予防の別の結果は、肥満の危険性がある被験者での肥満発症に先だって投与を行った場合に、肥満関連障害の発生および/または重度を低下させることであることができる。さらに、すでに肥満である被験者で処置を開始した場合に、そのような処置によって、アテローム性動脈硬化、II型糖尿病、多嚢胞性卵巣症、心血管疾患、骨関節炎、皮膚障害、高血圧、インシュリン耐性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症および胆石症など(それらに限定されるものではない)の肥満関連障害の発生、進行または重症化を防止することができる。
【0109】
「男性性的機能不全」には、インポテンツ、性欲喪失および勃起不全などがある。
【0110】
「勃起不全」は、雄哺乳動物の勃起もしくは射精またはそれら両方の不首尾が関与する疾患である。勃起不全の症状には、勃起の達成もしくは維持ができないこと、射精不首尾、早漏またはオルガスム達成不能が挙げられる。勃起不全および性的機能不全の増加には、(1)老化、(b)外傷、手術および抹消血管疾患などの基礎身体機能不全、および(3)薬物治療によって生じた副作用、抑鬱および他のCNS障害など(それらに限定されるものではない)の非常に多数の基礎原因があり得る。
【0111】
男性性的機能不全の治療とは、本発明の化合物または組合せを投与することで、処置を必要とする雄哺乳動物でのインポテンツおよび/または性欲低下および/または勃起不全を治療することを指す。治療の一つの結果は、インポテンツの減少であることができる。治療の別の結果は、性欲増加であることができる。治療のさらに別の結果は、勃起不全の程度および頻度の低下であることができる。
【0112】
男性性的機能不全の治療とは、本発明の化合物または組合せを投与することで、処置を必要とする雄哺乳動物での男性性的機能不全の1以上の症状を治療することを指す。治療の一つの結果は、勃起達成能力の向上であることができる。治療の別の結果は、勃起維持能力の向上であることができる。治療の別の結果は、射精不首尾の減少であることができる。治療の別の結果は、早漏の減少であることができる。治療のさらに別の結果は、オルガスム達成能力の向上であることができる。
【0113】
男性性的機能不全および男性勃起不全の予防とは、本発明の化合物または組合せを投与することで、それらの危険性がある雄哺乳動物での性的機能不全および勃起不全の症状を予防することを指す。
【0114】
「女性性的機能不全」は、陰核、膣、尿道周囲亀頭および他の性的機能の誘発箇所における障害に関連した性欲、性的覚醒、性的感受性およびオルガスムにおける機能不全を含む複数の構成要素から生じるものと見ることができる。特に、そうした誘発箇所の解剖学的および機能的変化が、乳癌および婦人科癌の患者においてオルガスムの可能性を低下させ得る。MC−4受容体作働薬での女性性的機能不全の治療は、血流向上、潤滑向上、感覚向上、オルガスム到達の促進、オルガスムとオルガスムの間の不応期の短縮、ならびに覚醒および性欲の改善をもたらし得る。より広い意味で、「女性性的機能不全」には、性交痛、早産および月経困難も入る。
【0115】
化合物の「投与」および/または「投与すること」という用語は、処置を必要とする被験者に対して本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを提供することを意味するものと理解すべきである。
【0116】
本発明の治療方法を実施するための本発明の化合物の投与は、そのような治療または予防を必要とする被験者に対して治療上有効量の化合物を投与することで行われる。本発明の方法による予防的投与の必要性は、既知の危険因子を用いることで決定される。
【0117】
本明細書で使用される場合の「治療上有効量」という用語は、治療対象の障害の症状改善を含む、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が探求している組織、系、被験者、哺乳動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物の量を意味する。本発明の新規な治療方法は、当業者が公知の障害に対するものである。
【0118】
本明細書で使用される場合の「予防上有効量」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が探求している組織、系、被験者、哺乳動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を誘発して、肥満または障害の危険がある被験者における障害の発症を防止する活性化合物の量を意味する。
【0119】
個々の化合物の治療上または予防上有効な量または用量は、最終的な分析で、その患者を担当している医師が決定するものであるが、治療対象の詳細な疾患、その疾患の重度および患者が患っている他の疾患もしくは状態、選択される投与経路、患者が同時に必要とし得る他の薬剤および治療、ならびに医師の判断での他の要素などの要素によって決まる。
【0120】
用法および用量範囲
哺乳動物、特にヒトに有効量または有効用量の本発明の化合物を投与するのに、いずれか好適な投与経路を用いることができる。例えば、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与、眼球投与、肺投与、経鼻投与などを用いることができる。製剤には、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、液剤、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどがある。好ましくは式Iの化合物は、経口投与または局所投与する。
【0121】
糖尿病および/または高血糖とともにあるいは単独で肥満を治療する場合、本発明の化合物を約0.001mg〜約100mg/kg動物体重の1日用量で投与した場合、好ましくは単回投与または1日2〜6回の分割投与にてあるいは徐放剤の形で投与した場合に、ほぼ満足できる結果が得られる。体重70kgの成人の場合、総1日用量は約0.07mg〜約3500mgとなる。この投与法を調節して、至適な治療応答を得ることができる。場合によってはこの範囲外の用量を用いる必要が生じることがある。
【0122】
糖尿病および/または高血糖、ならびに式Iの化合物が有用である他の疾患または障害を治療する場合、本発明の化合物を約0.001mg〜約100mg/kg動物体重の1日用量で投与した場合、好ましくは単回投与または1日2〜6回の分割投与にてあるいは徐放剤の形で投与した場合に、ほぼ満足できる結果が得られる。体重70kgの成人の場合、総1日用量は約0.07mg〜約3500mgとなる。この投与法を調節して、至適な治療応答を得ることができる。場合によってはこの範囲外の用量を用いる必要が生じることがある。
【0123】
性的機能不全の治療の場合、本発明の化合物は、0.001mg〜約100mg/kgの用量範囲で、好ましくは単回投与で経口的にまたは経鼻噴霧剤として投与する。
【0124】
経口組成物を用いる場合、好適な用量範囲は例えば、1日当たり式Iの化合物約0.01mg〜約1500mg、好ましくは1日当たり約0.1mg〜約10mgである。経口投与の場合、組成物は好ましくは、治療を受ける患者に対する用量の症状に応じた調節を行うために有効成分を0.01〜1000mg、好ましくは0.01、0.05、0.1、0.5、1、2.5、5、10、15、20、25、30、40、50、100、250、500、750、1000、1250または1500mg含む錠剤の形態で提供される。
【0125】
鼻腔内投与用の組成物を用いる使用の場合、許容される鼻腔内製剤中に式Iの化合物の0.001〜10重量%溶液または懸濁液を含む鼻腔内投与用の鼻腔内製剤を用いることができる。
【0126】
静脈投与用の組成物を用いる場合、好適な用量範囲は、式Iの化合物約0.001mg〜約100mg/kg(好ましくは0.01mg〜約50mg/kg、より好ましくは0.1mg〜10mg/kg)である。この投与法は、至適な治療応答を得るために調節することができる。場合によってはこの範囲外の用量を用いる必要が生じることがある。
【0127】
眼球疾患の治療の場合、許容される眼科製剤中での式Iの化合物の0.001〜1重量溶液を含む眼球投与用の眼科製剤を用いることができる。
【0128】
本発明の化合物の予防用量または治療用量の大きさは当然のことながら、使用される特定の化合物、投与形態、治療対象の状態および治療対象の状態の重度に応じて変動する。それは、個々の患者の年齢、体重および応答に応じても変動する。そのような用量は、当業者であれば容易に確認することができる。
【0129】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患または状態の治療/予防/抑制または改善において用いられる他薬剤と併用することができる。そのような他薬剤は、それに関して一般的に使用される経路および量で、式Iの化合物と同時または順次投与することができる。式Iの化合物を1以上の他薬剤と同時使用する場合、式Iの化合物以外にそのような他薬剤を含む医薬組成物が好ましい。従って本発明の医薬組成物には、式Iの化合物以外に、1以上の他の有効成分を含むものが包含される。
【0130】
別個に投与されるか同じ医薬組成物中にて、肥満および/または糖尿病の治療または予防を目的として式Iの化合物と併用することができる他の有効成分の例としては、下記のものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0131】
(a)(i)グリタゾン類(例:シグリタゾン;ダルグリタゾン(darglitazone);エングリタゾン;イサグリタゾン(isaglitazone;MCC−555);ピオグリタゾン;ロシグリタゾン(rosiglitazone);トログリタゾン;テュラリック;BRL49653;CLX−0921;5−BTZDなど)、GW−0207、LG−100641およびLY−300512など)およびWO97/10813、WO97/27857、97/28115、97/28137および97/27847に開示の化合物などのPPARγ作働薬;(ii)メトホルミンおよびフェンホルミンなどのビグアニド類のようなインシュリン増感剤;
(b)バイオタ、LP−100、ノバラピド(novarapid)、インシュリン・デテミール(detemir)、インシュリン・リスプロ(lispro)、インシュリン・グラルジン(glargine)、インシュリン・亜鉛懸濁液(レンテおよびウルトラレンテ);Lys−Proインシュリン、GLP−1(73−7)(インシュリントロピン(insulintropin));およびGLP−1(7−36)−NH)などのインシュリンまたはインシュリン様作用剤;
(c)アセトヘキサミド;クロルプロパミド;ダイヤビニーズ;グリベンクラミド;グリピジド;グリブリド;グリメピリド(glimepiride);グリクラジド;グルペンジド(glipentide);グリキドン(gliquidone);グリソラミド(glisolamide);トラザミド;およびトルブタミドおよびなどのスルホニル尿素類;
(d)アカルボース、アジポシン(adiposine);カミグリボース(camiglibose);エミグリテート(emiglitate);ミグリトール(miglitol);ボグリボース(voglibose);プラジミシン(pradimicin)−Q;サルボスタチン(salbostatin);CKD−711;MDL−25637;MDL−73945;およびMOR14などのα−グルコシダーゼ阻害薬;
(e)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬(アトルバスタチン、イタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンおよび他のスタチン類)、(ii)コレスチラミン、架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体、コレスチド(Colestid;登録商標));ロコレスト(LoCholest;登録商標)などの胆汁酸吸収剤/金属イオン封鎖剤、(ii)ニコチニルアルコールニコチン酸またはそれの塩、(iii)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレートおよびベンザフィブレート(benzafibrate))などの増殖因子−活性化因子受容体α作働薬、(iv)例えばスタノールエステル類、β−シトステロール、チクエシド(tiqueside)などのステロールグリコシド類;およびエゼチミベなどのアゼチジノン類のようなコレステロール吸収阻害薬および例えばアバシミベ(avasimibe)およびメリナミドなどの(アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT))阻害薬、(v)プロブコールなどの抗酸化剤、(vi)ビタミンEおよび(vii)甲状腺様作用剤(thyromimetics)のようなコレステロール降下剤;
(f)ベクロフィブレート、ベンザフィブレート、シプロフィブレート、クロフィブレート、エトフィブレート、フェノフィブレートおよびゲムフィブロジル(gemfibrozil)などのPPARα作働薬;ならびにアトロミド(Atromid(登録商標))、ロピド(Lopid(登録商標))およびトリコール(Tricol(登録商標))などの他のフィブリン酸誘導体、そしてグラクソ(Glaxo)によってWO97/36579に記載のようなPPARα作働薬;
(g)WO97/28149に開示のものなどのPPARδ作働薬;および
(h)(1)NN703、ヘキサレリン(hexarelin)、MK−0677、SM−130686、CP−424391、L−692429およびL−163255および米国特許出願5536716および6358951、米国特許出願2002/049196および2002/022637そしてPCT出願WO01/56592およびWO02/32888に開示のものなどの成長ホルモン分泌促進剤、成長ホルモン分泌促進剤受容体作働薬/拮抗薬;(2)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害薬;(3)リモナバント(サノフィ・シンセラボ(Sanofi-Synthelabo))ならびにSR−147778(サノフィ・シンセラボ)、ならびに米国特許第5532237号、4973587号、5013837号、5081122号、5112820号、5292736号、5624941号、6028084号、PCT出願WO96/33159、WO98/33765、WO98/43636、WO98/43635、WO01/09120、WO98/31227、WO98/41519、WO98/37061、WO00/10967、WO00/10968、WO97/29079、WO99/02499、WO01/58869そしてEPO出願EP−658546に開示のものなどのカンナビノイドCB受容体拮抗薬または逆作働薬などのカンナビノイド受容体リガンド;(4)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミンおよびシブトラミンなどの抗肥満セロトニン作働薬;(5)AD9677/TAK677(大日本(Dainippon)/武田(Takeda))、CL−316243、SB418790、BRL−37344、L−796568、BMS−196085、BRL−35135A、CGP12177A、BTA−243、トレカドリン(Trecadrine)、ゼネカ(Zeneca)D7114、SR59119A、ならびに米国特許出願第5705515号および米国特許第5451677号およびPCT特許公開WO94/18161、WO95/29159、WO97/46556、WO98/04526およびWO98/32753、WO01/74782およびWO02/32897に開示のものなどのβ−アドレナリン受容体作働薬;(6)オルリスタット(キセニカル(Xenical;登録商標))、トリトン(Triton)WR1339、RHC80267、リプスタチン、テトラヒドロリプスタチン、テアサポニン(teasaponin)、ジエチルアンベリフェリルホスフェートならびにPCT出願WO01/77094に開示のものなどの膵リパーゼ阻害薬;(7)BIBP3226、J−115814、BIBO3304、LY−357897、CP−671906、GI−264879Aならびに米国特許第6001836号およびPCT特許公開WO96/14307、WO01/23387、WO99/51600、WO01/85690、WO01/85098、WO01/85173およびWO01/89528に開示のものなどの神経ペプチドY1拮抗薬;(8)GW−569180A、GW−594884A、GW−587081X、GW−548118X、FR226928、FR240662、FR252384、1229U91、GI−264879A、CGP71683A、LY−377897、PD−160170、SR−120562A、SR−120819AおよびJCF−104、ならびに米国特許第6140354号、6191160号、6313298号、6337332号、6329395号、6326375号、6335345号および6340683号、欧州特許EP−01010691およびEP−01044970そしてPCT特許公開WO97/19682、WO97/20820、WO97/20821、WO97/20822、WO97/20823、WO98/27063、WO00/64880、WO00/68197、WO00/69849、WO01/09120、WO01/14376、WO01/85714、WO01/85730、WO01/07409、WO01/02379、WO01/02379、WO01/23388、WO01/23389、WO01/44201、WO01/62737、WO01/62738、WO01/09120、WO02/22592、WO0248152およびWO02/49648に開示のものなどの神経ペプチドY5拮抗薬;(9)WO01/21577およびWO01/21169に開示のものなどのメラニン濃縮ホルモン(MCH)受容体拮抗薬;(10)T−226296(武田)およびPCT特許出願WO01/82925、WO01/87834、WO02/06245、WO02/04433およびWO02/51809、および日本特許出願JP13226269に開示のものなどのメラニン濃縮ホルモン1受容体(MCH1R)拮抗薬;(11)メラニン濃縮ホルモン2受容体(MCH2R)作働薬/拮抗薬;(12)SB−334867−AならびにPCT特許出願WO01/96302、WO01/68609、WO02/51232およびWO02/51838に開示のものなどのオレキシン(orexin)−1受容体拮抗薬;(13)フルオキセチン、パロキセチンおよびセルトラリンならびに米国特許出願第6365633号ならびにPCT特許出願WO01/27060およびWO01/162341に開示のものなどのセロトニン再取り込み阻害薬;(14)メラノタン(Melanotan)IIまたはWO99/64002およびWO00/74679に記載のものなどのメラノコルチン作働薬;(15)CHIR86036(Chiron)、ME−10142およびME−10145(Melacure)、そしてPCT出願WO01/991752、WO01/74844、WO02/12166、WO02/11715およびWO02/12178に開示のものなどの他のMc4r(メラノコルチン4受容体)作働薬;(16)5HT−2作働薬;(17)BVT933、DPCA37215、WAY161503、R−1065ならびに米国特許第3914250号およびPCT出願WO02/36596、WO02/48124、WO02/10169、WO01/66548、WO02/44152、WO02/51844、WO02/40456およびWO02/40457に開示のものなどの5HT2C(セロトニン受容体2C)作働薬;(18)ガラニン拮抗薬;(19)CCK作働薬;(20)AR−R15849、GI181771、JMV−180、A−71378、A−71623およびSR146131、ならびに米国特許第5739106に開示のものなどのCCK−A(コレシストキニン−A)作働薬;(21)GLP−1作働薬;(22)コルチコトロピン放出ホルモン作働薬;(23)ヒスタミン受容体−3(H3)調節剤;(24)ヒオペラミド(hioperamide)、3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピルN−(4−ペンテニル)カーバメート、クロベンプロピット(clobenpropit)、ヨードフェンプロピット(iodophenpropit)、イモプロキシファン(imoproxifan)、GT2394(Gliatech)ならびにPCT特許出願WO02/15905に記載のもの、ならびにO−[3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパノール]−カーバメート類(Kiec-Kononowicz, K. et al., Pharmazie, 55: 349-55 (2000))、ピペリジン含有ヒスタミンH3−受容体拮抗薬(Lazewska, D. et al., Pharmazie, 56: 927-32 (2001))、ベンゾフェノン誘導体および関連化合物(Sasse, A. et al., Arch. Pharm. (Weinheim) 334: 45-52 (2001))、置換N−フェニルカーバメート類(Reidemeister, S. et al., Pharmazie, 55: 83-6 (2000))およびプロキシファン誘導体(Sasse, A. et al., J. Med. Chem., 43: 3335-43 (2000))などのヒスタミン受容体−3(H3)拮抗薬/逆作働薬;(25)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1阻害薬(β−HSD−1);(26)テオフィリン、ペントキシフィリン、ザプリナスト(zaprinast)、シルデナフィル、アムリノン、ミルリノン、シロスタミド(cilostamide)、ロリプラム(rolipram)およびシロミラスト(cilomilast)などのPDE(ホスホジエステラーゼ)阻害薬;(27)ホスホジエステラーゼ−3B(PDE3B)阻害薬;(28)GW320659、デスピラミン(despiramine)、タルスプラム(talsupram)およびノミフェンシンなどのNE(ノルエピネフリン)輸送阻害薬;(29)PCT特許出願WO01/87335およびWO02/08250に開示のものなどのグレリン受容体拮抗薬;(30)組換えヒトレプチン(PEG−OB、Hoffman La Roche)および組換えメチオニルヒトレプチン(Amgen)などのレプチン;(31)米国特許第5552524号、5552523号、5552522号、5521283号ならびにPCT国際公開WO96/23513、WO96/23514、WO96/23515、WO96/23516、WO96/23517、WO96/23518、WO96/23519およびWO96/23520に開示のものなどのレプチン誘導体;(32)BRS3(ボンベシン受容体サブタイプ3)作働薬;(33)GI−181771(Glaxo-SmithKline)、SR146131(Sanofi Synthelabo)、ブタビンダイド、PD170292およびPD149164(Pfizer)などのCNTF(毛様体神経栄養因子);(34)アキソキン(axokine)(Regeneron)ならびにPCT特許出願WO94/09134、WO98/22128およびWO99/43813に開示のものなどのCNTF誘導体;(35)PCT特許出願WO01/27068およびWO01/62341に開示のものなどのモノアミン再取り込み阻害剤;(36)フィタン酸、4−[(E)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸(TTNPB)、レチノイン酸ならびにPCT特許出願WO99/00123に開示のものなどのUCP−1(脱共役タンパク質−1)、−2または−3活性化剤;(37)KB−2611(KaroBioBMS)ならびにPCT特許出願WO02/15845および日本特許出願JP2000−256190に開示のものなどの甲状腺ホルモン作働薬;(38)セルレニンおよびC75などのFAS(脂肪酸シンターゼ)阻害薬;(39)DGAT1(ジアシルグリセリン・アシルトランスフェラーゼ1)阻害薬;(40)DGAT2(ジアシルグリセリン・アシルトランスフェラーゼ2)阻害薬;(41)ACC2(アセチル−CoAカルボキシラーゼ−2)阻害薬;(42)グルココルチコイド拮抗薬;(43)デル・マル−グラサらの報告(del Mar-Grasa, M. et al., Obesity Research, 9: 202-9 (2001))に開示のオレイル−エストロンなどのアシルエストロゲン類;(44)DPP−728、P3298、TSL225、バリンピロリジド、TMC−2A/2B/2C、CD−26阻害薬、FE999011、P9310/K364、VIP0177、NVPLAF237、DPP4、SDZ274−444;ならびにEP1258476、EP1258480およびWO03/000180に開示の化合物などのジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害薬;(45)脂肪酸輸送体阻害薬;(46)ジカルボキシレート輸送体阻害薬;(47)グルコース輸送体阻害薬;(48)リン酸輸送体阻害薬;(49)メトホルミン(グルコファージ(Glucophage;登録商標);(50)トピラメート(Topiramate)(トピマックス(Topimax);登録商標);および(50)WO03/026591、WO03/057235およびWO03/027637に開示のものなどのペプチドYY、PYY3−36、ペプチドYY類縁体およびPYY作働薬;および(51)ロフェコキシブ、セレコキシブおよびアルコキシアなどのシクロ−オキシゲナーゼ−2阻害薬のような抗肥満薬。
【0132】
式Iの化合物と併用することができる他の抗肥満薬の例は、文献に開示されている(″Patent focus on new anti-obesity agents″, Exp. Opin. Ther. Patents, 10: 819-831 (2000); ″Novel anti-obesity drugs″, Exp. Opin. Invest. Drugs, 9: 1317-1326 (2000); and ″Recent advances in feeding suppressing agents: potential therapeutic strategy for the treatment of obesity″, Exp. Pin. Ther. Patents, 11: 1677-1692 (2001))。肥満における神経ペプチドYの役割について、文献に記載されている(Exp. Opin. Invest. Drugs, 9: 1327-1346 (2000))。カンナビノイド受容体リガンドについて、文献に記載されている(Exp. Opin. Invest. Drugs, 9:1553-1571 (2000))。
【0133】
別個に投与するか同じ医薬組成物で投与される、男性または女性性的機能不全、特に男性勃起不全の治療または予防において式Iの化合物と併用可能な他の有効成分の例には、(a)シルデナフィルおよび(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6− (3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2′,1′:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351)などのV型サイクリック−GMP−特異的ホスホジエステラーゼ(PDE−V)阻害薬;(b)フェントラミンおよびヨヒンビンまたはそれらの製薬上許容される塩などのα−アドレナリン受容体拮抗薬;(c)アポモルヒネまたはそれの製薬上許容される塩などのドーパミン受容体作働薬;および(d)一酸化窒素(NO)供与体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
本発明はまた、第2の有効成分と組み合わせて両方のMC−4R作働薬を含む単一の医薬製剤の投与、ならびに各活性剤のそれ自体の別個の医薬製剤の投与をも含むものである。別個の製剤を用いる場合、組成物の個々の成分は、実質的に同じ時間に、すなわち同時に、あるいは別個に時間に食い違いを持たせて、すなわち組成物の他方の成分を投与する前または後に順次にて投与することができる。従って本発明は、そのような同時または交互での全ての投与法を包含するものと理解すべきであり、「投与」および「投与すること」という用語は、それに従って解釈すべきである。これらの各種方法での投与は、MC−4R作働薬と第2の有効成分の組合せによる有益な医薬的効果が、患者によって実質的に同時に実現される限りにおいて、本発明の組成物において好適である。そのような有益な効果は好ましくは、各有効成分の目標血中レベル濃度が実質的に同時に維持される場合に得られる。MC−4R作働薬と第2の有効成分を1日1回投与の計画で同時に併用投与することが好ましい。しかしながら、MC−4R作働薬を1日1回および第2の有効成分を1日1回、2回または3回などのように投与計画を変えることも、本発明に包含される。MC−4R作働薬と第2の有効成分の両方からなる単一経口製剤が好ましい。単一製剤は患者にとって便利であり、それは特に、複数の投薬が必要である可能性がある糖尿病患者または肥満患者については重要な考慮事項である。
【0135】
本発明の併用での化合物は別個に投与することができる。従って本発明は、キットの形態に別個の医薬組成物を組み合わせることにも関するものである。本発明によればそのキットは、予防上または治療上有効量のメラノコルチン−4受容体作働薬またはそれの製薬上許容される塩もしくはエステルおよび製薬上許容される担体もしくは希釈剤を第1の単位製剤で含む第1の単位製剤、ならびに予防上または治療上有効量の第2の有効成分もしくは薬剤またはそれの製薬上許容される塩もしくはエステルおよび製薬上許容される担体もしくは希釈剤を第2の単位製剤で含む第2の単位製剤という2種類の別個の医薬組成物を含む。
【0136】
1実施形態において、そのキットはさらに容器を含む。そのようなキットは特に、錠剤またはカプセルなどの固体経口剤の投与に好適である。そのようなキットは好ましくは、多くの単位製剤を含む。そのようなキットは、所期の使用順序で配列された製剤を含むカードを含むことができる。そのようなキットの例には、「ブリスタパック」がある。ブリスタパックは包装業では公知であり、医薬単位制剤を包装するのに広く用いられている。所望に応じて、例えば数字、文字その他の印の形態で、あるいはカレンダー挿入物で、製剤を投与することができる投与計画における期日または時刻を示す記憶補助物を提供することができる。
【0137】
医薬組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、有効成分としての式Iの化合物またはそれの製薬上許容される塩を含有し、製薬上許容される担体および場合によって他の治療成分を含むこともできる。「製薬上許容される塩」という用語は、無機塩基もしくは酸および有機塩基もしくは酸を含む製薬上許容される無毒性塩基もしくは酸から製造される塩を指す。
【0138】
その組成物には、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与(皮下投与、筋肉投与および静脈投与など)、眼球投与(点眼)、肺投与(経鼻または口腔内吸入)または経鼻投与に好適な組成物などがある。ただし、いずれか特定の場合に最も適した経路は、治療対象の状態の性質および重度ならびに有効成分の性質よって決まる。それらは簡便には単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知の方法によって製造することができる。
【0139】
実際の使用では、従来の医薬調合法に従って、式Iの化合物を医薬担体と十分に混合して組み合わせることができる。その担体は、投与に望ましい剤型、例えば経口製剤または非経口製剤(静脈投与を含む)に応じて多様な形態をとり得る。経口製剤用組成物の製造では、懸濁液、エリキシル剤および液剤などの経口液体製剤の場合には例えば水、グリコール類、オイル類、アルコール類、香味剤、保存剤、着色剤などの通常の医薬媒体を用いることができ、あるいは粉剤、硬および軟カプセルおよび錠剤などの経口固体製剤の場合には例えば、デンプン、糖類、微結晶セルロール、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を用いることができ、液体製剤より固体経口製剤の方が好ましい。 投与が容易であることから、錠剤およびカプセルが代表的な経口単位製剤であり、その場合は通常は、固体の医薬担体を用いる。所望に応じて、標準的な水系もしくは非水系法によって錠剤をコーティングすることができる。そのような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むものでなければならない。当然のことながら、これら組成物中の活性化合物のパーセントは変動し得るものであり、簡便には単位重量の約2%〜約60%であることができる。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な用量が得られるようなものとする。活性化合物は、例えば液体滴剤または噴霧剤として鼻腔内投与することもできる。
【0140】
錠剤、丸薬、カプセルなどは、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびショ糖、乳糖またはサッカリンなどの甘味剤を含むこともできる。単位製剤がカプセルである場合、それは上記の種類の材料以外に、脂肪油などの液体担体を含むことができる。
【0141】
他の各種材料が、コーティングとして存在したり、あるいは単位製剤の物理的形態を変えるために存在しても良い。例えば錠剤は、シェラック、糖またはその両方でコーティングされていても良い。シロップまたはエリキシル剤は、有効成分以外に、甘味剤としてのショ糖、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素ならびにチェリー香味もしくはオレンジ香味などの香味剤を含有することができる。
【0142】
式Iの化合物はまた、非経口投与することもできる。これら活性化合物の液剤または懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合した水中で調製することができる。分散液も、グリセリン、液体ポリエチレングリコール類およびそれらのオイル中混合物中で調製することができる。通常の保管および使用条件下では、これらの製剤は微生物成長を防止するために保存剤を含有する。
【0143】
注射用途に好適な医薬製剤には、無菌の水系液剤または分散液ならびに無菌注射液もしくは注射分散液の即時調製のための無菌粉剤などがある。いずれの場合も、その製剤は無菌でなければならず、容易に注射器注入できる程度の流動性を有するものでなければならない。それは、製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して防腐されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、多価アルコール(例:グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物および植物油を含む溶媒または分散媒体であることができる。
【0144】
本発明の化合物の製造
本発明の構造式Iの化合物は、適切な材料を用いて以下の図式および実施例の手順に従って製造することができ、下記の具体的な実施例によってさらに例示される。
【0145】
さらに、本明細書に含まれる開示内容とともに、PCT国際特許公開WO02/068387(2002年9月6日)、WO02/068388(2002年9月6日)、WO02/067869(2002年9月6日)およびWO03/007949(2003年1月30日)(それらの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)に詳細に記載の手順を用いることで、当業者であれば、本明細書で特許請求される本発明の別の化合物を容易に製造することができる。しかしながらこれら実施例に示した化合物は、本発明と見なされる唯一の属を形成するものと解釈すべきではない。以下の実施例は、本発明の化合物の製造についての詳細をさらに説明するものである。当業者であれば、以下の製造手順の条件および工程についての公知の変更を用いてこれら化合物を製造可能であることは明らかであろう。本発明の化合物は概して、本明細書で前述したものなどの製薬上許容される塩の形で単離される。単離された塩に相当する遊離アミン塩基は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの水溶液などの好適な塩基による中和、ならびに生じたアミン遊離塩基の有機溶媒への抽出とそれに続く溶媒留去によって得ることができる。このようにして単離されたアミン遊離塩基はさらに、有機溶媒に溶解させ、次に適切な酸を加え、その後溶媒留去、沈殿または結晶化を行うことで、別の製薬上許容される塩に変換することができる。別段の断りがない限り、温度は全て摂氏単位である。質量分析(MS)は、電子スプレーイオン質量分析によって測定した。
【0146】
「標準的なペプチドカップリング条件」という表現は、HOBTなどの触媒存在下に、塩化メチレンなどの不活性溶媒中、EDC、DCCおよびBOPなどの酸活性化剤を用いてカルボン酸とアミンをカップリングさせることを意味している。アミン官能基およびカルボン酸官能基用の保護基を用いて所望の反応を促進し、望ましくない反応を低減する方法は確立されている。保護基を外すのに必要な条件は、標準的な教科書に記載されている(例えば、Greene, T, and Wuts. P. G. M., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, 1991)。CBZおよびBOCは、有機合成において一般的に使用される保護基であり、それらの脱離条件は当業者には公知である。例えばCBZは、メタノールまたはエタノールなどのプロトン性溶媒中、パラジウム/活性炭などの貴金属またはそれの酸化物存在下に、接触水素化することで脱離させることができる。他の反応性であり得る官能基が存在するために接触水素化が禁忌である場合、CBZ基の脱離は、酢酸中臭化水素溶液での処理によって、あるいはTFAとジメチルスルフィドとの混合物で処理することで行うこともできる。BOC保護基の脱離は、トリフルオロ酢酸、塩酸または塩化水素ガスなどの強酸を用いて、塩化メチレン、メタノールもしくは酢酸エチルなどの溶媒中で行う。
【0147】
本発明の化合物の製造についての説明で使用される略称
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル、
BOC(boc):t−ブチルオキシカルボニル、
BOP:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、
Bu:ブチル、
calc.:計算値、
セライト:セライト(商標名)珪藻土、
CBZ(Cbz):ベンジルオキシカルボニル、
CHCl:塩化メチレン、
CHOH:メタノール
DCM:4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(4−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン、
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン、
DMAP:ジメチルアミノピリジン、
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、
DPPA:ジフェニルホスホリルアジド、
dppf:1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、
EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミドHCl、
EtN:トリエチルアミン、
ES−MS:電子噴霧イオン−質量分析、
Et:エチル、
EtOAc:酢酸エチル、
h:時間、
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート、
HOAt:1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、
MC−χR:メラノコルチン受容体(χは数字である)、
Me:メチル、
MS:質量分析スペクトラム、
Ms:メタンスルホニル、
NMM:N−メチルモルホリン、
Otf(OTf):トリフルオロメタンスルホニル、
PG:保護基、
Ph:フェニル、
Pr:プロピル、
PyBrop:ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、
r.t.:室温、
t−bu:tert−ブチル、
TFA:トリフルオロ酢酸、
THF:テトラヒドロフラン、
TLC:薄層クロマトグラフィー。
【0148】
反応図式Aには、構造式(I)の化合物の合成で用いられる一般法を示した。反応図式Aで示したように、構造式(I)の化合物は、一般式の4−置換架橋ピペリジン中間体の一般式の酸とのカップリングによって誘導される。
【0149】
一般式の具体的な架橋ピペリジン中間体の製造を図式1および2に示してある。下記に示すピロリジン酸2Aおよびピペリジン酸類2Bおよび2C
【0150】
【化18】

などの一般式の酸の製造は、図式E〜Iに示してある。これら図式における置換基はいずれも、別段の断りがない限り、上記で定義の通りである。
【0151】
図式Aに示したように、のアミド結合カップリング反応による式(I)の化合物の形成は、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化メチレンなどの適切な不活性溶媒中で行い、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)またはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジンホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)などのアミドカップリング反応に好適な各種試薬を用いて行うことができる。反応図式Aに示したアミド結合カップリング反応に好ましい条件は、有機合成の当業者には公知である。そのような変更には、トリエチルアミン(TEA)またはN−メチルモルホリン(NMM)などの塩基性試薬の使用や、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)などの添加剤の添加などがあり得るが、これらに限定されるものではない。あるいは、式の4−置換架橋ピペリジンを、一般式のカルボン酸から誘導される活性エステルまたは酸塩化物で処理することができ、それによっても構造式(I)の化合物が得られる。反応図式Aに示したアミド結合カップリングは、通常は0℃〜室温の温度で、場合によっては高温で行い、そのカップリング反応は合成であり、例えば塩化メチレンなどの溶媒中トリフルオロ酢酸または酢酸エチルなどの溶媒中塩化水素を室温で用いる等の酸性条件下で脱保護する。
【0152】
【化19】

【0153】
反応図式B〜Jに、反応図式Aに示したアミド結合カップリング反応で用いられる一般式AおよびBのカルボン酸の合成方法を示した。
【0154】
反応図式Bには、rが2でありsが1であることで、得られる複素環が3−アリール−4−ピペリジンカルボン酸誘導体10となる一般式2Bの化合物の好ましい合成方法を示してある。10の合成では、などの市販のβ−ケトエステルを出発原料とする。通常、N−BOC基のN−ベンジル基への保護基交換を最初に行う。そうして、式のβ−ケトエステルについて、水素雰囲気下で1:1エタノール−水のような溶媒系中にてパラジウム/炭素触媒を用いる水素化分解による脱ベンジル化を行う。次に、得られたピペリドンを、塩基および好適な溶媒の存在下にBOC無水物を用いて、それのtert−ブチルカーバメートとして保護する。例えばそれは、図示のようにクロロホルムおよび重炭酸ナトリウム水溶液の2相混合物中で行うことができる。次に、3−アリール置換基の組み込みを2段階で行う。最初に、β−ケトエステル基を、塩化メチレンなどの非プロトン性溶媒中にて無水トリフルオロメタンスルホン酸およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基を用いて、相当するビニルトリフレートに変換する。得られたビニルトリフレートについて、[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム(II)触媒を用いるアリールボロン酸()とのパラジウム触媒交差カップリング反応を行う。この反応に好ましい条件は、例えば50〜100℃の高温での2〜24時間という期間にわたるトルエン−エタノール−炭酸ナトリウム水溶液の溶媒系の使用である。得られたアリール置換テトラヒドロピリジン誘導体8を、各種公知の方法を用いてなどのピペリジン化合物に還元することができ、選択される方法によって生成物の立体化学的結果が決まる。例えば、エタノールなどの溶媒中にてパラジウム/炭素触媒でを水素化することで、一般式のシス−3,4−ジ置換ピペリジンが得られる。あるいは、メタノール中マグネシウムなどの金属を用いる溶解金属還元によって、の二重結合を還元し、シスおよびトランスの両方の式の3,4−ジ置換ピペリジンの混合物を得る。得られたシスおよびトランスジアステレオマーの混合物はクロマトグラフィーによって分離することができるか、あるいは次に、混合物をメタノール中ナトリウムメトキシドなどの塩基で処理することでエピマー化して、の純粋なトランス異性体を得ることができる。最後に、シスまたはトランス3−アリール−4−ピペリジンカルボン酸エステルの加水分解によって、rが2でありsが1である一般式2Bの酸に相当する一般式10のシスまたはトランス3−アリール−4−ピペリジンカルボン酸を得る。一般式10のシスまたはトランスカルボン酸はラセミ体として得られ、有機合成で公知の方法によっていずれかを分割して、エナンチオマー的に純粋な化合物を得ることができる。好ましい方法には、酸10およびキラルアミン塩基から誘導されるジアステレオマー塩の結晶化またはキラル固定相液体クロマトグラフィーカラムの使用による分割などがある。
【0155】
【化20】

【0156】
反応図式Cに、rが1でありsが2であることで、得られる複素環が4−アリール−3−ピペリジン−カルボン酸誘導体17となる一般式2Cの化合物の好ましい合成方法を示してある。17の合成は反応図式Bに示したものと同様であり、市販のβ−ケトエステル11または12のいずれかを出発原料とすることができる。これら原料のうちの一つのN−BOC保護ピペリジン13への変換を図示にように行い、得られたβ−ケトエステルについて前述の2段階アリール化プロトコールを行って15を得る。シスまたはトランス17を得るのに適した条件を用いて15の二重結合を還元し、次にエステル加水分解を行って、rが1でありsが2である一般式2Cの酸に相当する一般式17のシスまたはトランス4−アリール−3−ピペリジン−カルボン酸を得る。一般式17のシスまたはトランスカルボン酸はラセミ体として得られ、有機合成で公知の方法によっていずれかを分割して、エナンチオマー的に純粋な化合物を得ることができる。好ましい方法には、酸17およびキラルアミン塩基から誘導されるジアステレオマー塩の結晶化またはキラル固定相液体クロマトグラフィーカラムの使用による分割などがある。
【0157】
【化21】

【0158】
反応図式BおよびCに示した一般式10および17のN−BOC保護カルボン酸の合成は、上記のような各種R置換基を有する構造式Iの標題化合物の製造において有用である。構造式Iのある種の標題化合物の合成の場合、例えばRがtert−ブチル基であることが望ましい場合、合成の比較的早期の段階でそのR置換基を組み込むことが好ましい。1−置換−3−ケトピペリジン−4−カルボン酸エステル(21)の合成を反応図式Dに示した。tert−ブチル基などの所望のR置換基を有する1級アミン18を、溶媒の非存在下に高温で4−ブロモ酪酸エチルと反応させて、N−置換4−アミノ酪酸エチル19を得る。次にそのアミノエステル19について、トルエンなどの高沸点不活性溶媒中、粉末炭酸カリウムなどの塩基存在下にブロモ酢酸エチルで2回目のアルキル化を行う。得られた一般式20のアミノジエステルを、分子内ディークマン反応を用いて環化して、21などのピペリジン化合物を得る。そのディークマン反応は、THFなどの非プロトン性溶媒中、室温〜その溶媒の沸点の温度で、カリウムtert−ブトキシドなどの強塩基を用いて行う。得られた1−置換−3−ケトピペリジン−4−カルボン酸エステル21は、BOC基が所望のR置換基に置き換わった反応図式Bに示した一般式の化合物に相当する。次に、反応図式Bに示した反応手順を用いて、一般式21の化合物を、BOC基がR置換基に置き換わっている一般式の化合物に変換することができる。
【0159】
【化22】

【0160】
BOC基が置換基Rによって置き換わった一般式17の化合物を合成することが望ましい場合、反応図式Cに図示したものと同様の反応手順を、反応図式Eに示したように用いることができる。最初に、所望のR置換基を有するアミン18について、THFまたはエタノールなどの溶媒存在下に過剰のアクリル酸エチルを用いるマイケル付加を行う。次に、反応図式Cに示したものと同様の条件下での分子内ディークマン反応を用いて、得られたジエステル22を1−置換−4−ケトピペリジン−3−カルボン酸エステル23を得る。置換ピペリジン23は、BOC基が所望のR置換基に置き換わった反応図式Cに示した一般式13の化合物に相当する。次に、反応図式Cに示した方法を用いて、一般式23の化合物を、BOC基がR置換基に置き換わった一般式の化合物に変換することができる。
【0161】
【化23】

【0162】
反応図式Fには、rおよびsの値を選択して得られる複素環が3−アリール−4−ピロリジンカルボン酸誘導体(29)となるようにした場合の一般式2Aの化合物の合成戦略を示してある。一般式29の化合物の合成において好ましい方法では、一般式25のアゾメチンイリド前駆体と置換ケイ皮酸エステル24のアゾメチンイリド3+2環状付加反応を行う。2425のアゾメチン環状付加反応によって3,4−ジ置換ピロリジン26が得られ、新たに形成されたピロリジン環上の置換基の立体化学的関係が、ケイ皮酸エステル24における二重結合の立体化学によって決定される。従って、トランスエステル24からは、図示のように式26のトランス3,4−ジ置換ピロリジンが得られる。相当するシスケイ皮酸エステルからは、一般式26のシス3,4−ジ置換ピロリジンが得られる。26およびキラルカルボン酸から誘導されるジアステレオマー塩の結晶化あるいは直接のキラル固定相液体クロマトグラフィーカラムの使用による分割などの方法を用いて、一般式26のシスまたはトランス3−アリールピロリジン−4−カルボン酸エステルを分割して、エナンチオマー的に純粋な化合物を得ることができる。反応図式Fには、トランスケイ皮酸エステル24をトランス3,4−ジ置換ピロリジン26に変換し、それを次に分割してエナンチオマー的に純粋なトランスピロリジンエステル27および28を得る場合を示してある。最後に、一般式26のエステル(またはそれの純粋なエナンチオマー27および28)を、反応図式Fの下部分に示したように加水分解して、一般式29の相当するアミノ酸塩酸塩を得る。
【0163】
一般式29のアミノ酸は両性イオンである。従って、水系の反応または後処理から、これら化合物の効率的な分離および精製を行うことが困難な場合がある。そのような場合、ジエチルエーテル中にてカリウムトリメチルシラノレートなどの試薬を用いる加水分解を行うことが好ましい。この条件下では、カルボン酸のカリウム塩が得られ、それはエーテル中で容易に単離される沈殿を与える。得られた塩を、酢酸エチルなどの好適な溶媒中にて過剰の塩化水素で処理することで、相当するアミノ酸塩酸塩に変換する。あるいは、26などのエステルを、酸性加水分解条件下で直接、アミノ酸塩酸塩29に変換することができる。エステル26の加水分解は、高温下での濃塩酸との長時間の反応によって行われる。例えば、その反応は8M塩酸中にて終夜還流下に行うことができる。次に、反応混合物を冷却し、減圧下に溶媒留去して、アミノ酸塩酸塩29を得る。一般式29のアミノ酸塩酸塩は、rおよびsのいずれも1である一般式2Aのアミノ酸塩酸塩に相当し、反応図式Aに示したアミド結合カップリング段階で直接用いて、構造式Iの本発明の化合物を製造することができる。
【0164】
【化24】

【0165】
エナンチオマー的に純粋な3−アリールピロリジン−4−カルボン酸誘導体の別の好ましい合成方法を反応図式Gに示した。この合成方法では、最初に一般式29の置換ケイ皮酸酸を(S)−(−)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(30)などのキラル助剤で誘導体化する。酸を最初に活性化することで式29のケイ皮酸でのキラル助剤30のアシル化を行って、混成無水物を得る。代表的には、一般式29の酸を、トリエチルアミンなどの塩基存在下に、そしてTHFなどの好適な非プロトン性溶媒中にてピバロイルクロライドなどの酸塩化物と反応させる。中間体のシンナミル−ピバロイル無水物を、塩化リチウム、トリエチルアミンなどのアミン塩基存在下に、THFなどの溶媒中にてオキサゾリジノン30と反応させることで生成物31に変換する。その反応は、−20℃〜室温の温度で1〜24時間にわたって行う。あるいは、オキサゾリジノン30を、−78℃などの低温下にTHF中n−ブチルリチウムなどの強塩基で脱プロトンし、次に上記のように酸29およびピバロイルクロライドなどの酸塩化物から得られた混成無水物と反応させることができる。次に、これらのいずれかの方法によって製造された一般式31のシンナミルオキサゾリジノンを、反応図式Fに記載の方法と同様にしてアゾメチンイリド前駆体25と反応させると、図示のように反応生成物は一般式33および34の置換ピロリジンとなる。これらの生成物33および34は互いにジアステレオマー異性体であることから、結晶化またはシリカゲルなどの固体担体での液体クロマトグラフィーなどの標準的な方法によって分離することができる。前述のように、一般式29のケイ皮酸のトランス異性体を反応図式Gの第1段階で用いると、置換シンナミルオキサゾリジノン31のトランス異性体が得られる。そのようなトランスシンナミルオキサゾリジノンについて式25のアゾメチンイリド前駆体によるアゾメチンイリド環状付加を行うと、生成物は33および34に関連するジアステレオマー異性体のトランス−ジ置換ピロリジンとなる。
【0166】
【化25】

【0167】
反応図式FおよびGに示したアゾメチンイリド環状付加反応は通常、市販のアゾメチンイリド前駆体N−(メトキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)−ベンジルアミン(25、R=−CHPh)を用いて行う。構造式Iの標題化合物におけるR置換基をベンジル以外の基となるように選択する場合、その時点で置換ピロリジン化合物からベンジル基を脱離させ、それをN−BOC基などのより脱離させ易い保護基に置き換えることが好ましい。反応図式Hに、式32の一般的な3,4−ジ置換ピロリジンでこの工程を示してある。一般式32の化合物からのN−ベンジル基の脱離の好ましい方法は、R置換基が何であるかによって決まる。それらの置換基が水素化条件によって影響を受けない場合、エタノールなどの溶媒中、水素ガスまたはギ酸などの水素供与体の存在下にパラジウム/炭素触媒を用いる水素化分解によってN−ベンジル基を脱離させることができる。場合によっては、置換基Rのうちの一つがハロゲンであるか、水素化条件下で反応性であると考えられる上記で定義の別の置換基であることが好ましいことがある。そのような場合、一般式32の化合物を、トルエンなどの不活性溶媒中、室温〜110℃の温度でクロルギ酸1−クロロエチルと反応させる(Olafson, R. A. et al., J. Org. Chem. 1984, 49, 2081)。次にトルエンを除去し、残留物をメタノール中で15〜60分間にわたって加熱する。生成物は一般式35の脱ベンジル化ピロリジンである。次に、塩基および好適な溶媒の存在下にBOC無水物を用いて、得られたピロリジン35をそれのtert−ブチルカーバメート(36)として保護する。例えばそれは、反応図式Hに示したように、クロロホルムと重炭酸ナトリウム水溶液の2相混合物中で行うことができる。
【0168】
次に、反応図式Hの下部分に示したように、オキサゾリジノンキラル助剤部分を一般式36のピロリジンから加水分解する。その加水分解反応は、水酸化リチウムおよび30%過酸化水素水からin situで発生させたリチウムヒドロペルオキシドを用いて行う。この反応は代表的には、THF水溶液などの溶媒系中で行い、反応は0℃〜室温の温度で1〜6時間にわたって行う。得られる一般式37のカルボン酸は、rおよびsのいずれも1である一般式のカルボン酸に相当する。次に、反応図式Aに示した方法を用いて、一般式37の化合物を構造式Iの本発明の化合物に変換することができる。
【0169】
【化26】

【0170】
反応図式Dの議論で前述したように、例えばRがtert−ブチル基であることが望ましい場合のように、合成の比較的早い段階で一般式37の置換ピロリジンにR置換基を組み込むことが好ましい場合がある。そのような場合には、反応図式FおよびGに示した環状付加反応で所望のR置換基を有するアゾメチンイリド前駆体(25)を用いることが可能である。反応図式Iには、一般式18のアミンを出発原料とする式25のアゾメチン前駆体の製造を示した。高温および溶媒非存在下での式18のアミンとクロロメチルトリメチルシランとの反応によって、一般式38のN−トリメチルシリルメチル置換アミンが得られる。次に、メタノールおよび炭酸カリウムなどの塩基の存在下に38をホルムアルデヒド水溶液と反応させることで、一般的なイリド前駆体25が得られ、それを上記の環状付加反応に用いることができる。
【0171】
【化27】

【0172】
t=1または3である一般式1の化合物は、適切な出発原料を用いて図式1、2または3に従って製造することができる。例えばt=3である一般式1の化合物を製造するには、図式1において化合物1−1に代えてプソイドペレチエリンを用いることができる。
【0173】
以下において中間体および実施例を本発明の説明を目的として示すが、それらはいかなる形態でも本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0174】
構造式Iの本発明の化合物を製造するための図式Fに記載の一般的手順に従い、図式Jに記載の方法によって中間体1−10を製造した。
【0175】
中間体1の製造
(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸塩酸塩(1−10)
【0176】
【化28】

【0177】
段階A:N−tert−ブチル−N−(トリメチルシリルメチル)アミンの製造
tert−ブチルアミン(18.0mL、171mmol)および(クロロメチル)トリメチルシラン(7.00g、57.1mmol)の混合物を肉厚ガラス管中200℃で終夜加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を1N NaOHに投入し、ジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、脱水し(MgSO)、揮発分を減圧下に留去した。残留液体の蒸留(大気圧;−135℃)によって標題化合物を無色液体として得た。
【0178】
段階B:N−tert−ブチル−N−(メトキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)アミンの製造
ホルムアルデヒド水溶液(37重量%水溶液5.98mL、79.7mmol)を0℃(氷冷)で攪拌しながら、それに均圧滴下漏斗を用いて約30分間かけて、段階AからのN−tert−ブチル−N−(トリメチルシリルメチル)アミン(8.47g、53.1mmol)を滴下した。45分後、メタノール(6.45mL、159.3mmol)を加え、得られた溶液を炭酸カリウムで飽和させた。約5時間高攪拌した後、水相を除去した。有機相を炭酸カリウムで飽和させ、終夜攪拌した。反応混合物を水に投入し、ジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、脱水し(MgSO)、揮発分を減圧下に留去した。残留液体の蒸留(高真空;−70℃)によって標題化合物を無色液体として得た。
【0179】
段階C:(3R,4S)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチルおよび(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチルの製造
段階BからのN−tert−ブチル−N−(メトキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)アミン(3.07g、15.1mmol)および(2E)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)プロプ−2−エン酸メチル(2.99g、15.1mmol)の塩化メチレン(60mL)溶液に室温で、トリフルオロ酢酸(116μL、1.51mmol)を加えた。18時間後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液に投入し、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、脱水し(NaSO)、減圧下に濃縮した。残留物を、シリカゲルでの順相中圧液体クロマトグラフィー(勾配溶離;溶離液として0%から9%メタノール(10体積%の水酸化アンモニウム含有)/塩化メチレン)によって精製して、ラセミ体の標題化合物を無色液体として得た。得られたラセミ体の標題化合物を、キラルパック(CHIRALPAK)ADフェーズ(Phaese)での分取キラル高速液体クロマトグラフィー(溶離液として5%イソプロパノール/ヘプタン)を用いてエナンチオマー成分に分割して、溶出順に無色油状物としての標題化合物の(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチルエナンチオマーと次に無色油状物としての標題化合物の(3R,4S)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチルエナンチオマーを得た。
【0180】
段階D:(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸塩酸塩(1−10)の製造
段階Cからの(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチルエナンチオマー(1.37g、4.61mmol)およびカリウムトリメチルシラノレート(0.68g、5.30mmol)のジエチルエーテル(23mL)中混合物を室温で終夜攪拌した。飽和塩化水素の酢酸エチル溶液を加え、揮発分を溶媒留去し、残留固体1−10をそれ以上精製せずに、下記で詳述する製造例で用いた。
【0181】
別法として、下記図式Iの手順に従って、(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸(1−10)を得ることができる。
【0182】
【化29】


【0183】
段階A
(S)−2−メチル−CBS−オキソアザボロリジン(131mL、1Mトルエン溶液)、ボラン−N,N−ジエチルアニリン(46.36リットル)のMTBE(10リットル)溶液を加熱して38〜42℃とし、2−クロロ−2′,4′−ジフルオロ−アセトフェノンI−1(4891g)のMTBE(16リットル)溶液を10時間かけて加えた。得られた均一溶液を40℃で1時間攪拌し、放冷して18℃とし、終夜攪拌した。冷却することで温度を<20℃に維持しながら、メタノール(2.3リットル)を60分間かけて加えた。反応混合物を30分間攪拌し、冷却下に温度を22〜25℃に維持しながら5.0N HCl水溶液(10リットル)を30分間かけて加えた。30分間攪拌後、相を分液し、有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮して化合物1−2の溶液を得た。
【0184】
段階B
段階Aからの化合物I−2のMTBE溶液(5040g、98重量%、25.67mol)をメタノール(5リットル)で希釈し、tert−ブチルアミン(25リットル)を加えた。混合物を冷却して25℃とし、固体NaOHペレット(1048g)を加え、得られた反応混合物を攪拌し、加熱還流した。還流下に12〜20時間後、混合物を減圧下に濃縮して1/3容量とし、水(5リットル)およびMTBE(20リットル)を加えた。相を分液し、水相をMTBEで再抽出した(2リットルで2回)。合わせた抽出液を飽和NaCl(1リットル)で洗浄し、減圧下に濃縮した。ヘプタン(40リットル)を加え、濃縮を続けて容量を20リットルとした。混合物を加熱して約90℃として全ての固体を溶解させ、次に4時間かけて放冷して22℃として結晶化させた。混合物を冷却して0℃とし、12〜15時間攪拌し、濾過した。得られた濾液を冷ヘプタンで洗浄し(5リットルで2回)、減圧下に35℃で脱水して、化合物I−3を得た。
【0185】
段階C
化合物I−3(5.205kg、99.9%、22.68mol)およびアクリロニトリル(26.9リットル、408mol)の混合物を窒素雰囲気下に加熱還流した(約77℃)。20時間加熱後(変換率約90%)、各1当量のエタノール(1.32リットル、22.68mol)およびホルムアミド(0.9リットル、22.68mol)を加え、加熱を12時間続けた。冷却して22℃とした後、溶液を蒸留(80〜90torr/ポット温度20〜22℃)によって濃縮して12リットルとし、得られた残留物を酢酸イソプロピル(22リットル)で希釈し、再度濃縮した(55〜75torrおよびポット温度22〜27℃)。それを繰り返した。次に、残留物を酢酸イソプロピルで希釈して総容量を34リットルとし、上清を10〜15μm有孔性フィルターを用いて濾過した。フィルターケーキを酢酸イソプロピルで洗浄し、濾液を計24リットルの酢酸イソプロピルで希釈した。合わせた濾液(約54リットル)を水(31.2リットル)、酢酸(52mL、4mol%)および飽和ブライン(3.1リットル)からなる溶液で洗浄し、次に12%NaCl水溶液洗浄液で洗浄した(34リットルで2回)。有機層を濃縮し(15〜45torrおよび5〜29℃)で容量を約15リットルとし、n−ヘプタン6リットルを5回流したところ、その間に生成物が結晶化した。得られたスラリーをn−ヘプタンで希釈して容量23リットルとし、濃度が10g/18リットルとなるまで0〜5℃で1〜3日間攪拌し、濾過し、冷(5℃)n−ヘプタン(14リットル)で洗浄した。得られた湿ケーキを窒素気流下に20℃で真空乾燥して、化合物I−4を得た。
【0186】
段階D
化合物I−4(5.73kg、99.9%、20.28mol)の脱水THF(31.3リットル)溶液を冷却して−20℃とし、クロロジエチルホスフェート(3.79kg、21.29mol)を加えた。反応温度を−15℃に維持しながら、LiHMDS(1.35M THF溶液;31.5リットル、42.58mol)を1.5時間かけてゆっくり加えた。−15℃で2時間攪拌後、反応混合物を<15℃にて水(50.6リットル)で反応停止し、n−ヘプタン(40.5リットル)にて20℃で抽出した。有機層を10%NaCl水溶液(52リットル)で洗浄し、冷却して温度を<35℃に維持しながら3N HCl溶液(40.6リットル、121.8mol)で抽出した。水層(58リットル)を50%NaOH水溶液(6.13リットル、116.1mol)でpH11〜12に調節し、n−ヘプタン(54リットル)で抽出した。有機相を10%NaCl水溶液(26リットル)で1回洗浄し、得られた化合物I−5を含むヘプタン溶液を段階Eで用いた。
【0187】
段階E
段階Dからの化合物I−5(4.88kg、18.46mol)のn−ヘプタン(計約65リットル)溶液をエタノール(計約20.6リットル)に溶媒交換した。その溶液に、50%NaOH水溶液(2.7リットル、51.15mol)を攪拌しながら2分間かけて加えた。NaOHを添加したら、混合物の温度が16℃から34℃まで上昇した。混合物を窒素下に5〜6時間加熱還流した(78〜80℃)。冷却して−20℃とした後、溶液をエタノール(25.4リットル)およびメタノール(40.6リットル)で希釈した。溶液を冷却して12℃とし、温度を約20℃に維持しながら、96%HSO(1.42リットル、25.6mol)でpHを調節して、見かけのpH6.8とした。硫酸ナトリウムスラリーをソルカ−フロック(Solka-Floc;登録商標)(5kg)および無水NaSO粉末(4kg)の床で濾過し、1:1EtOH:MeOH(20リットル)で洗浄した。濾液を濾過し、濃縮し、溶媒交換して2−プロパノール溶液(容量約15リットル)とした。得られたスラリーを2時間加熱還流し(約80℃)、冷却して16℃とした。MTBE(30.4リットル、IPAに対して3倍容量)を混合物に5時間かけて加えた。16〜17℃で3日間攪拌した後、得られたスラリーを濾過し、1:3IPA:MTBE 12リットルで洗浄した。得られた固体を、窒素気流下に50℃で真空乾燥して(150torr)、化合物(1−10)を得た。
【0188】
中間体2の製造
(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸(1−12)
【0189】
【化30】

【0190】
(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸(1−12)も、中間体1の製造について記載の一般的手順に従って、適切な原料から製造される。
【0191】
あるいは(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸(1−12)は、下記図式Jの手順に従って製造することができる。
【0192】
【化31】

【0193】
段階A
化合物I−3(24g、0.105mol)、4−ブロモブチロニトリル(42g、0.28mol、2.7当量)、KCO(22g、0.16mol、1.52当量)およびDMF(70mL)の混合物を50℃で64時間加熱した。反応液を水(500mL)に投入して反応停止し、エーテルで抽出した(250mLで2回)。エーテル層を1N HClで抽出し(125mLで2回)、得られた水層をヘキサンで抽出した(100mLで2回)。水層を5N NaOHで塩基性とし、エーテルで抽出した(250mLで2回)。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー精製して(シリカ、9/1ヘキサン/THF、次に4:1ヘキサン/THF)、化合物J−1を無色油状物として得た。
【0194】
段階B
化合物J−1(50g、0.169mol)をTHF(500mL)に溶かし、溶液を冷却して−15℃とした。ジエチルクロロホスホネート(25mL、1.74mol、1.03当量)を加え、次に1M LiHMDSのTHF溶液(350mL、2.07当量)を滴下した。反応温度を−12℃〜−15℃に維持しながら、LiHMDSを100分間かけて加えた。反応液を徐々に昇温させて室温とし、終夜熟成させた。水で反応停止し、エーテルで2回抽出した。エーテル層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、化合物J−2を得た。
【0195】
段階C
化合物J−2をエタノール(150mL)に溶かし、50%NaOH(24mL)を加え、混合物を5時間還流させた。反応液を12N HCl(60mL)で酸性としたところ、その時点で液は固化した。その塊をエタノール(50mL)およびメタノール(200mL)に溶かし、濾過した。得られたケーキをエタノールで洗浄し、濾液を濃縮し、イソプロピルアルコール(500mL)を流した。追加のイソプロピルアルコールを加え、混合物を濃縮してほぼ300mLとした。得られたスラリーを濾過し、残ったケーキをイソプロピルアルコールで洗浄した。固体ケーキを合わせて、化合物J−3を得た。
【0196】
段階D
化合物J−3をメタノール(1リットル)に溶かし、HClガスで飽和させた。溶液を72時間還流させ、濃縮し、エーテルと飽和NaHCO溶液との間で分配させた。エーテル層をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して化合物J−4を得た。HCl/MeOHで同様に処理し、クロマトグラフィー(シリカ90/10/1CHCl/MeOH/NHOH)処理することで、上記の濾液から追加の化合物J−4を得た。
【0197】
段階E
化合物J−4を6N HCl(300mL)に溶かし、溶液を3時間還流させた。溶液を濃縮し、得られた残留物を水に溶かし、再度濃縮した。残留物をイソプロピルアルコール(300mLで2回)および酢酸エチル(500mLで2回)で洗い流した。得られたスラリーを室温で1時間攪拌し、濾過した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、脱水して化合物1−12を得た。
【0198】
【化32】

【実施例1】
【0199】
N−(tert−ブチル)−8−{[(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−3−シクロヘキシル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボキサミド(1−11)
段階A:3−(メトキシメチレン)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸エチル(1−2)の製造
N−カルボエトキシ−4−トロピノン(1−1)(8.00g、40.6mmol、アクロス(Acros))および(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド(16.7g、48.7mmol)のTHF溶液に、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(48.7mL、48.7mmol、1.0N THF溶液)を0℃で加えた。室温で終夜攪拌した後、溶媒をロータリーエバポレータによって除去した。混合物を飽和NHCl水溶液で反応停止し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮して粗残留物を得た。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離;溶離液として0%から20%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(1−2)を無色油状物として得た。
【0200】
段階B:3−ホルミル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(1−3)の製造
3−(メトキシメチレン)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(1−2)(2.31g、10.3mmol)を、HCl水溶液(10.3mL、61.5mmol、6.0N水溶液)およびテトラヒドロフラン(40.0mL)の混合物に室温で加えた。混合物を3時間攪拌し、水で反応停止し、EtOAcで抽出した(100mLで3回)。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮して、(1−3)を無色油状物として得た。
【0201】
段階C:8−(エトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(1−4)の製造
3−ホルミル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(1−3)(1.84g、8.71mmol)のt−BuOH(50.0mL)溶液を、5%NaHPO水溶液(35.3mL、14.8mmol、0.42N水溶液)で希釈した。高攪拌しながら、1.0M KMnO水溶液(52.3mL、52.3mmol)を室温で加えた。混合物を10分間攪拌し、飽和NaSO水溶液で反応停止した。得られた混合物のpHを冷(0℃)希HClで調節して3とすることで、コロイド状のMnOを溶かした。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮して、(1−4)を白色固体として得た。
【0202】
段階D:8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3,8−ジカルボン酸3−シクロヘキス−2−エン−1−イル8−エチル(1−5)の製造
8−(エトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(1−4)(1.88g、8.27mmol)の塩化メチレン(30.0mL)溶液に、2−シクロヘキセン−1−オール(0.812g、8.27mmol、アルドリッチ(Aldrich))、EDC(2.38g、12.4mmol)およびDMAP(0.100g)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、EtOAc(200mL)で反応停止した。有機溶液を5%HCl水溶液(100mL)、飽和NaHCO水溶液(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮した。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液として10%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(1−5)を無色油状物として得た。
【0203】
段階E:3−シクロヘキス−2−エン−1−イル−8−(エトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(1−6)の製造
ジイソプロピルアミン(0.471g、4.65mmol)の脱水THF(10.0mL)溶液に、n−BuLi(2.91mL、4.65mmol、1.6N THF溶液)を0℃で加えた。混合物を室温で15分間攪拌し、冷却して−78℃とし、次に8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3,8−ジカルボン酸3−シクロヘキス−2−エン−1−イル8−エチル(1−5)(1.30g、4.23mmol)のTHF(5.0mL)溶液を加えた。−78℃で30分間攪拌後、TMSCl(0.459g、4.23mmol)を加え、得られた溶液を−78℃で1時間攪拌した。混合物を昇温させて室温とし、80℃で終夜攪拌した。冷却して室温とした後、2N HCl水溶液(10mL)を混合物に加えた。混合物の攪拌を5分間続け、EtO(50mL)と2N HCl水溶液との間で分配した。有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮して粗残留物を得た。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離;溶離液として10%から50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(1−6)を白色固体として得た。
【0204】
段階F:3−シクロヘキシル−8−(エトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(1−7)の製造
3−シクロヘキス−2−エン−1−イル−8−(エトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(1−6)(1.86g、6.05mmol)のMeOH(20.0mL)溶液にPtO(68.7mg、0.30mmol)を加え、懸濁液を水素雰囲気(約0.34MPa(50psi))下に振盪器上に終夜置いた。固体を濾去し、MeOHで洗った。得られた溶液を濃縮して、(1−7)を白色固体として得た。
【0205】
段階G:3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−シクロヘキシル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(1−8)の製造
3−シクロヘキシル−8−(エトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(1−7)(1.50g、4.85mmol)のCHCl(60.0mL)溶液に、オキサリルクロライド(2.67mL、5.33mmol、2.0N)をゆっくり加え、次に触媒としてのDMF(3滴)を加えた。発泡が停止した後、混合物を30分間攪拌し、溶媒を減圧下に除去した。その混合物に、t−BuNH(5.32g、72.7mmol)を加え、得られた懸濁液を終夜で昇温させて80℃とした。溶媒を減圧下に除去した。1N HClで反応停止し、EtOAcで抽出した(100mLで3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮して、粗残留物を得た。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液として10%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(1−8)を白色固体として得た。
【0206】
段階H:3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−シクロヘキシル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド(1−9)の製造
3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−シクロヘキシル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(1−8)(1.00g、2.74mmol)のDCM(20.0mL)溶液に、ヨードトリメチルシラン(2.20g、11.0mmol)をゆっくり加えた。混合物を室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧下に除去し、固体をエーテルで洗浄して(5mLで2回)、(1−9)を黄色固体として得た。
【0207】
段階I:N−(tert−ブチル)−8−{[(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−3−シクロヘキシル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボキサミド(1−11)の製造
(3R,4S)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸(1−10)(0.150g、0.357mmol)の塩化メチレン(5.0mL)溶液に、3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−シクロヘキシル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド(1−9)(0.101g、0.357mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、0.163g、0.428mmol)、1−ヒドロキシル−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT、0.058g、0.428mmol)およびNMM(0.108g、1.07mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、濃縮した。得られた粗残留物を高速液体クロマトグラフィー(勾配溶離、溶離液として15%から95%アセトニトリル/水)によって精製し、次に1N HClのエーテル溶液を加えることで、(1−11)を白色固体として得た(m/z(ES)558(MH))。
【実施例2】
【0208】
(3R,4R)−1−tert−ブチル−4−({3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−シクロヘキシル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル}カルボニル)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペリジニウムクロライド(1−13)
【0209】
【化33】

【0210】
段階A:(3R,4R)−1−tert−ブチル−4−({3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−シクロヘキシル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル}カルボニル)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペリジニウムクロライド(1−13)の製造
3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−シクロヘキシル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド(1−9)(42.0mg、0.100mmol)の塩化メチレン(5.0mL)溶液に、(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸(1−12)(35.7mg、0.120mmol)、HOBt(16.2mg、0.120mmol)、EDC(23.0mg、0.120mmol)およびDIEA(38.8mg、0.300mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、飽和NaHCO水溶液で反応停止し、塩化メチレンで抽出した(20mLで3回)。合わせた抽出液をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮した。粗残留物を高速液体クロマトグラフィー(勾配溶離;溶離液として15%から95%アセトニトリル/水)によって精製し、1N HClのエーテル溶液を加えて、(1−13)を白色固体として得た(m/z(ES)572(MH))。
【0211】
【化34】


【実施例3】
【0212】
(3S,4R)−3−[(3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)カルボニル]−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジニウム・トリフルオロ酢酸塩(2−11)
段階A:3−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸エチル(2−2)の製造
N−カルボエトキシ−4−トロピノン(2−1)(15.0g、76.1mmol)の脱水テトラヒドロフラン(150mL)溶液に−78℃で、KN(TMS)(182mL、トルエン中0.5mL)をゆっくり加えた。溶液を−78℃で30分間攪拌し、N−フェニルトリフルオロメタンスルホンアミド(32.6g、91.3mmol)の脱水テトラヒドロフラン(150mL)溶液を加えた。混合物を−78℃で2時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(150mL)で反応停止した。減圧下にテトラヒドロフランを除去した後、水層をEtOAcで抽出した(150mLで3回)。合わせたEtOAc層を1N KOH(150mL)、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離;溶離液として0%から30%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(2−2)を無色油状物として得た。
【0213】
段階B:3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸エチル(2−3)の製造
3−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸エチル(2−2)(24.0g、72.8mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(20.4g、80.2mmol)、酢酸カリウム(21.5g、219mmol)および[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(塩化メチレンとの1:1錯体2.98g、3.64mmol)のメチルスルホキシド(水溶液、500mL)懸濁液を高攪拌しながら、減圧/窒素導入サイクルを3回行って脱気し、80℃で約15時間加熱した。冷却して室温とした後、反応混合物を水/ブライン(1:1)混合物に投入し、セライトで濾過して酢酸エチルで溶離した。濾液を分液し、水相を酢酸エチルで3回再抽出した。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、脱水し(無水MgSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。粗残留物をHPLC(勾配溶離;溶離液として0%から20%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(2−3)を白色固体として得た。
【0214】
段階C:トリフルオロメタンスルホン酸4−クロロ−2−プロピオニルフェニル(2−5)の製造
5′−クロロ−2′−ヒドロキシプロピオフェノン(2−4)(14.0g、75.8mmol)の塩化メチレン(110mL)溶液に、ジメチルアミノピリジン(0.93g、7.58mmol)を加え、溶液を冷却して−78℃とした。トリエチルアミン(12.5mL、89.5mmol)を加え、次に反応温度を−70℃以下に維持しながら無水トリフルオロメタンスルホン酸(25.0g、88.7mmol)を30分間かけて滴下し、−78℃で3時間攪拌した。混合物を氷冷水に投入し、EtOAcで希釈した。層を分液し、水層をEtOAc100mLで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離;溶離液として0%から10%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(2−5)を無色油状物として得た。
【0215】
段階D:3−(4−クロロ−2−プロピオニルフェニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸エチル(2−6)の製造
トリフルオロメタンスルホン酸4−クロロ−2−プロピオニルフェニル(2−5)(21.0g、66.3mmol)、純粋エタノール(120mL)、トルエン(120mL)および2M炭酸ナトリウム水溶液(100mL)の混合物に、3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸エチル(2−3)(20.3g、66.3mmol)を加えた。混合物を排気し、窒素を3回流した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.69g、6.63mmol)を加えた後、混合物を75℃で1時間加熱したところ、TLCでトリフルオロメタンスルホン酸エステルが残っていないことが示された。冷却して室温とした後、混合物を水に投入し、EtOAcで抽出した(250mLで3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン溶離液として)によって精製して、(2−6)を無色油状物として得た。
【0216】
段階E:3−(4−クロロ−2−プロピオニルフェニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(2−7)の製造
3−(4−クロロ−2−プロピオニルフェニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸エチル(2−6)(1.50g、4.31mmol)のエタノール(10mL)および酢酸(10mL)溶液を、酸化白金(980mg、0.431mmol、少量ずつ加えた)とともに、1気圧の水素下に室温で60時間振盪した。固体をセライト層で濾過し、エタノールで洗った。エタノール溶液を濃縮して、(2−7)を無色油状物として得た。
【0217】
段階F:3−[4−クロロ−2−(1−ヒドロキシプロピル)フェニル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(2−8)の製造
(S)(−)−α,α−デフェニル−2−ピロリジンメタノール(0.724g、2.86mmol)の脱水テトラヒドロフラン(25mL)溶液に、ホウ酸トリメチル(0.446g、4.29mmol)を全量一気に加え、室温で1時間攪拌した。ボラン・ジメチルスルフィド錯体(7.15mL、14.3mmol、2.0M THF溶液)を1時間かけて滴下した。混合物を氷浴で冷却して0℃とし、3−(4−クロロ−2−プロピオニルフェニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(2−7)(5.00g、14.9mmol)の脱水テトラヒドロフラン(15mL)溶液を3時間かけて滴下した(反応温度を4℃以下に維持)。反応混合物を徐々に昇温させて室温とし、終夜攪拌した。反応完結後、その混合物を、2N HCl(125mL)およびEtOAc(100mL)の混合物を攪拌したものに少量ずつ加えた。層を分液し、水層をEtOAcで抽出した(100mLで2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液として5%エチルアセトン/塩化メチレン)によって精製し、(2−8)を無色油状物として得た。
【0218】
段階G:3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(2−9)の製造
3−[4−クロロ−2−(1−ヒドロキシプロピル)フェニル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(2−8)(2.25g、6.39mmol)のアセトニトリル(100mL)溶液に、濃HSO(5.11mL、95.9mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液を加えた。混合物を60℃で1時間攪拌し、1N NaOH(200mL)で反応停止し、EtOAcで抽出した(200mLで3回)。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液として9:1:0.1塩化メチレン:MeOH:30%NHOHの混合物)によって精製して、(2−9)を白色固体として得た。
【0219】
段階H:3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド(2−10)の製造
3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル(2−9)(0.200g、0.51mmol)のDCM(5.0mL)溶液に、ヨードトリメチルシラン(0.360mL、2.55mmol)をゆっくり加えた。混合物を室温で終夜攪拌した。反応完結後、溶媒を減圧下に除去し、固体をエーテルで洗浄して(5mLで2回)、(2−10)を黄色固体として得た。
【0220】
段階I:(3S,4R)−3−[(3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)カルボニル]−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジニウム・トリフルオロ酢酸塩(2−11)の製造
(3R,4S)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸(1−10)(0.144g、0.508mmol)の塩化メチレン(10.0mL)溶液に、3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド(2−10)(0.228g、0.508mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、0.232g、0.610mmol)、1−ヒドロキシル−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT、0.083g、0.610mmol)およびNMM(0.514g、5.08mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、飽和NaHCO水溶液で反応停止し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。高速液体クロマトグラフィー(溶離液として15%から95%アセトニトリル/水)による粗残留物の精製および異性体の分離によって、(2−11)を白色固体として得た(m/z(ES)586(MH))。
【実施例4】
【0221】
(3R,4R)−4−[(3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)カルボニル]−1−tert−ブチル−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペリジニウムクロライド(2−12)
【0222】
【化35】

【0223】
段階A:(3R,4R)−4−[(3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)カルボニル]−1−tert−ブチル−3−(2、4−ジフルオロフェニル)ピペリジニウムクロライド(2−12)の製造
3−{2−[1−(アセチルアミノ)プロピル]−4−クロロフェニル}−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド(2−10)(46.8mg、0.115mmol)の塩化メチレン(2.0mL)溶液に、(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸(1−12)(34.0mg、0.115mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、52.1mg、0.138mmol)、1−ヒドロキシル−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT、19.0mg、0.138mmol)およびNMM(35.0g、0.345mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、飽和NaHCO水溶液で反応停止し、塩化メチレンで抽出した(20mLで3回)。抽出液をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮した。粗残留物の分取TLCによる精製(移動相として10%メタノール/塩化メチレンで展開)および高速液体クロマトグラフィー(勾配溶離;溶離液として15%から95%アセトニトリル/水)による異性体分離および1N HCl溶液のエーテル溶液の添加によって、(2−12)を白色固体として得た(m/z(ES)600(MH))。
【0224】
【化36】

【実施例5】
【0225】
段階A:3−カルボキシ−3−シクロヘキシル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド(3−1)の製造
3−シクロヘキシル−8−(エトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(1−7)(2.50g、8.08mmol)のクロロホルム(80mL)溶液に、ヨードトリメチルシラン(4.75mL、16.8mmol)を滴下した。混合物を室温で終夜攪拌し、昇温させて50℃としてさらに2時間経過させた。反応完結後、揮発分を減圧下に除去し、(3−1)を黄色固体として得た。
【0226】
段階B:8−(tert−ブトキシカルボニル)−3−シクロヘキシル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(3−2)の製造
3−カルボキシ−3−シクロヘキシル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド(3−1)(2.74g、8.08mmol)のジオキサン(30mL)溶液に、1.2N NaOH水溶液30mLを加え、次にジ(tert−ブチル)ジカーボネート(3.00g、13.7mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、揮発分を減圧下に除去した。残留物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、1N HCl水溶液(40mL)で反応停止した。層を分液し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、(3−2)を白色固体として得た。
【0227】
段階C:3−シクロヘキシル−3−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチル(3−3)の製造
8−(tert−ブトキシカルボニル)−3−シクロヘキシル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸(3−2)(1.47g、4.35mmol)の脱水テトラヒドロフラン(50mL)溶液に、ボラン−メチルスルフィド錯体(8.70mL、17.4mmol、2.0Mテトラヒドロフラン溶液)を室温で滴下した。混合物を50℃で48時間攪拌し、揮発分を減圧下に除去した。粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液として50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(3−3)を白色固体として得た。
【0228】
段階D:3−シクロヘキシル−3−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチル(3−4)の製造
3−シクロヘキシル−3−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチル(3−3)(0.870g、2.69mmol)の塩化メチレン溶液に、ジイソプロピルアミン(0.562mL、3.23mmol)、ジメチルアミノピリジン(32.5mg、0.269mmol)およびメタンスルホニルクロライド(0.229mL、2.97mmol)を加えた。混合物を室温で4時間攪拌し、塩化メチレンで希釈し、水、飽和NaHCO水溶液および1N HCl水溶液で洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮して、(3−4)を無色油状物として得た。
【0229】
段階E:3−シクロヘキシル−3−[(メチルチオ)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチル(3−5)の製造
3−シクロヘキシル−3−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチル(3−4)(1.01g、2.69mmol)のDMF(50mL)溶液に、ナトリウムチオメトキシド(0.943g、13.5mmol)を加えた。混合物を60℃で3日間攪拌した。冷却して室温とした後、ジエチルエーテル200mLを加えた。固体を濾過し、濾液を水で3回洗浄した。有機層を無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮して、(3−5)を透明黄色油状物として得た。
【0230】
段階F:3−シクロヘキシル−3−[(メチルチオ)メチル]−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンクロライド(3−6)の製造
4.0N HClのジオキサン溶液(20.0mL)に、3−シクロヘキシル−3−[(メチルチオ)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチル(3−5)(0.870g、2.46mmol)を加えた。混合物を室温で3時間攪拌し、揮発分を減圧下に除去して、(3−6)を淡色固体として得た。
【0231】
段階G:(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−({3−シクロヘキシル−3−[(メチルチオ)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イルカルボニル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジニウムクロライド(3−7)の製造
(3R,4S)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸(1−10)(0.170g、0.601mmol)の塩化メチレン(5.0mL)溶液に、3−シクロヘキシル−3−[(メチルチオ)メチル]−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンクロライド(3−6)(0.174g、0.601mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC、0.173g、0.901mmol)、1−ヒドロキシル−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT、0.082g、0.603mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.105mL、0.601mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、塩化メチレンで希釈し、水および飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機相を無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。粗残留物を分取TLC(溶離液として90%塩化メチレン、9%メタノール、1%(40%NHOH水溶液))によって精製し、次に1当量のHClのエーテル溶液を加えて、(3−7)を白色固体として得た(m/z(ES)519(MH))。
【実施例6】
【0232】
【化37】

【0233】
段階A:(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−({3−シクロヘキシル−3−[(メチルスルフィニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル}カルボニル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジニウムクロライド(3−8)の製造
(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−({3−シクロヘキシル−3−[(メチルチオ)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル}カルボニル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジニウムクロライド(3−7)(0.150g、0.270mmol)のエタノール(6.0mL)溶液に、NaIO(0.174g、0.813mmol)の水(6.0mL)溶液を加えた。混合物を室温で50分間攪拌した。固体を濾過し、濾液を濃縮し、塩化メチレンで希釈し、飽和NaCO水溶液で洗浄した。有機相を無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮し、次に1当量のHClのエーテル溶液を加えて、(3−8)を白色固体として得た(m/z(ES)534(MH))。
【実施例7】
【0234】
【化38】

【0235】
段階A:(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−({3−シクロヘキシル−3−[(メチルスルホニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イルカルボニル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジニウムクロライド(3−9)の製造
(3R,4R)−1−tert−ブチル−3−({3−シクロヘキシル−3−[(メチルスルフィニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル}カルボニル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジニウムクロライド(3−8)(50mg、0.090mmol)のエタノール(2.0mL)溶液に、オキソン(oxone;登録商標)(276mg、0.451mmol)の水(2.0mL)溶液を加えた。混合物を室温で40分間攪拌した。固体を濾過し、濾液を濃縮し、塩化メチレンで希釈し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮し、次に1当量のHClのエーテル溶液を加えて、(3−9)を白色固体として得た(m/z(ES)551(MH))。
【0236】
ペプチドカップリング反応において(3R,4S)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸(1−10)などの適切な原料および中間体を用い、化合物2−11の製造について記載の手順(実施例3)と同様の手順に従って、下記の化合物8−1および9−1を製造することができる。
【0237】
【化39】

【0238】
生物アッセイ
A.結合アッセイ
膜結合アッセイを用いて、マウスL−またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)−細胞で発現されるクローニングヒトMCRへの125I−NDP−α−MSH結合の競争的阻害薬を確認した。
【0239】
メラノコルチン受容体を発現する細胞系を、L−グルコース4.5g、25mM Hepesを含み、ピルビン酸ナトリウムを含まないダルベッコの調整イーグル培地(DMEM)1リットル(Gibco/BRI);10%加熱失活ウシ胎仔血清(Sigma)100mL;10000単位/mLのペニシリンおよび10000μg/mLのストレプトマイシン(Gibco/BRI)10mL;200mML−グルタミン(Gibco/BRI)10mL;1mg/mLゲネチシン(Geneticin)(G418)(Gibco/BRI)という組成の選択培地の入ったT−180フラスコで増殖させた。所望の細胞密度および細胞数が得られるまで、COおよび湿度の管理を行いながら、細胞を37℃で成長させた。
【0240】
培地を注ぎ出し、酵素を含まない解離培地を10mL/単層(Specialty Media Inc.)で加えた。細胞を37℃で、10分間またはフラスコを手に当てた場合に細胞が剥離するまでインキュベートした。
【0241】
細胞を200mL遠心管に回収し、1000rpm、4℃で10分間遠心した。上清を廃棄し、細胞を10mM Tris pH7.2〜7.4;4μg/mLロイペプチン(Sigma);10μMホスホラミドン(Boehringer Mannheim);40μg/mLバシトラシン(Sigma);5μg/mLアプロチニン(Sigma);10mMペファブロック(Pefabloc)(Boehringer Mannheim)という組成を有する5mL/単層膜調製緩衝液に再懸濁させた。細胞を、モーター式ダウンス(dounce)(Talboy setting 40)で、10行程を用いて均質化し、得られたホモジネートを4℃にて6000rpmで15分間遠心した。
【0242】
ペレットを0.2mL/単層膜調製緩衝液に再懸濁させ、小分けサンプルを試験管に入れ(500〜1000μL/管)、液体窒素で急速冷凍し、−80℃で保存した。
【0243】
被験化合物または未標識NDP−α−MSHを、膜結合緩衝液100μLに最終濃度1μMまで加えた。膜結合緩衝液は、50mM Tris pH7.2;2mMCaCl;1mM MgCl;5mM KCl;0.2%BSA;4μg/mLロイペプチン(SIGMA);10μMホスホラミドン(Boehringer Mannheim);40μg/mLバシトラシン(SIGMA);5μg/mLアプロチニン(SIGMA);10mMペファブロック(Pefabloc)(Boehringer Mannheim)という組成を有するものであった。膜蛋白10〜40μgを含む膜結合緩衝液100μLを加え、次に100μM 125I−NDP−α−MSHを最終濃度100pMまで加えた。得られた混合物を短時間渦撹拌し、振盪しながら90〜120分間室温でインキュベートした。
【0244】
混合物を0.1%ポリエチレンイミン(Sigma)を含むパッカードユニフィルター(Packard Unifilter)96ウェルGF/Cフィルターを用いるパッカード・マイクロプレート196フィルター装置で濾過した。フィルターを、50mM Tris−HCl pH7.2および20mM NaClの組成を有する室温のフィルター洗浄液で洗浄した(ウェル当たり10mLの総量で5回)。フィルターを乾燥し、底を封止し、パッカード・マイクロシンチ(Microscint)−20 50μLを各ウェルに加えた。頂部を封止し、パッカード・トップカウント(Topcount)マイクロプレートシンチレーションカウンターで放射能を定量した。
【0245】
B.機能アッセイ
機能細胞に基づくアッセイを開発して、メラノコルチン受容体作働薬を拮抗薬から区別した。
【0246】
ヒトメラノコルチン受容体を発現する細胞(例:CHO−またはL−細胞あるいは他の真核細胞)(例えば、Yang-YK; Ollmann-MM; Wilson-BD; Dickinson-C; Yamada-T; Barsh-GS; Gantz-I; Mol-Endocrinol. 1997 Mar; 11 (3): 274-80参照)を、CaおよびMgを含まないリン酸緩衝生理食塩水(14190−136、Life Technologies, Gaithersburg, MD)で洗浄することで組織培養フラスコから解離させ、酵素を含まない解離緩衝液(S−014−B、Specialty Media, Lavellette, NJ)とともに、37℃で5分間インキュベートして分離した。細胞を遠心によって回収し、10mM HEPES pH7.5、5mM MgCl、1mMグルタミンおよび1mg/mLウシ血清アルブミンを加えたアールの平衡塩類溶液(14015−069、Life Technologies, Gaithersburg, MD)に再懸濁させた。細胞をカウントし、希釈して1〜5×10/mLとした。ホスホジエステラーゼ阻害薬である3−イソブチル−1−メチルキサンチンを、0.6mMまで細胞に加えた。
【0247】
被験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し(10−5〜10−10M)、化合物溶液0.1容量部を細胞懸濁液0.9容量部に加えた。最終DMSO濃度は1%であった。室温で45分間インキュベーション後、100℃で5分間インキュベーションすることで細胞を溶解させて、蓄積cAMPを放出させた。
【0248】
細胞溶解物の小分けサンプルにおいて、アマシャム(Amersham; Arlington Heights, IL)cAMP検出アッセイ(RPA556)を用いてcAMPを測定した。未知化合物から得られたcAMP産生の量を、100%作働薬と定義されるα−MSHに応答して産生されたcAMPの量と比較した。EC50は、薬剤自体の最大刺激レベルと比較して、最大値の1/2刺激を生じる化合物濃度と定義される。
【0249】
拮抗薬アッセイ
拮抗薬活性は、化合物がα−MSHに応答してcAMP産生を遮断する能力と定義した。上記の方法に従って、被験化合物の溶液および受容体含有細胞の懸濁液を調製し、混合した。混合物を15分間インキュベートし、EC50用量(約10nM α−MSH)を細胞に加えた。アッセイを45分間で終了させ、cAMPを上記の方法に従って定量した。被験化合物非存在下で産生された量と被験化合物の存在下で産生されたcAMPの量を比較することで、阻害パーセントを求めた。
【0250】
C.in vivo飼料摂取モデル
1)終夜飼料摂取
スプレーグ・ドーリーラットに、50%プロピレングリコール/人工脳脊髄液400nL中の被験化合物を脳室内注射してから、1時間後に暗周期を開始する(12時間)。各ラットの飼料をコンピュータでモニタリングする天秤に乗せるコンピュータ化システムを用いて測定する。化合物投与後16時間にわたる累積飼料摂取を測定する。
【0251】
2)食餌誘発肥満マウスでの飼料摂取
4週齢から6.5ヶ月間にわたって高脂肪飼料(60%脂肪カロリー)に維持した雄C57/B16Jマウスに、被験化合物を腹腔内投与する。飼料摂取および体重を8日間にわたって測定する。レプチン、インシュリン、トリグリセリド、遊離脂肪酸、コレステロールおよび血清グルコースレベルなどの肥満に関係する生化学パラメータを測定する。
【0252】
D.ラット無交尾(ex copula)アッセイ
性的に成熟した雄無菌スプレーグ・ドーリー(CD)ラット(60日齢より上)を用い、提靭帯を手術で切除して、評価の際に陰茎が陰茎包皮に引き込まれないようにする。動物には飼料および飲料水を自由に摂取させ、通常の明/暗周期に維持する。試験は明周期時に行う。
【0253】
1)無交尾反射試験のための仰臥拘束への馴致
この馴致には約4日を要する。第1日に、動物を暗くした拘束装置に入れ、15〜30分間放置する。第2日には動物を、仰臥位で拘束装置に15〜30分間拘束する。第3日には動物を、陰茎包皮を引き込んだ状態での仰臥位で拘束装置に15〜30分間拘束する。第4日には動物を、陰茎応答が認められるまで陰茎包皮を引き込んだ状態で、仰臥位で拘束装置に拘束する。一部の動物では、手順に完全に馴致されるまで、さらに馴致期間が必要な場合がある。応答のない動物をそれ以降の評価から除外する。取り扱いまたは評価後、動物に処置を行って、陽性強化を確認する。
【0254】
2)無交尾反射試験
ラットを、通常の頭部および足の毛づくろいができるだけの大きさの円筒内に前胴部を入れた仰臥位で軽く拘束する。400〜500gのラットの場合、円筒の直径は約8cmである。下側胴部および後足を、非接着性材料(ベトラップ(vetrap))で拘束する。陰茎亀頭が通り抜ける穴を有する別のベトラップを動物上で固定して、包皮を引き込み位置に維持する。陰茎応答を観察し、代表的には無交尾性器反射試験と称する。代表的には、包皮引き込み後数分以内に、一連の陰茎勃起が自然に生じる。通常の反射性勃起応答の種類には、伸長、充血、カップ形状およびピクつきなどがある。伸長は、陰茎本体の膨張と分類される。充血は、陰茎包皮の膨張である。カップ形状は、陰茎包皮の遠位縁部が一瞬開いてカップを形成する強い勃起と定義される。ピクつきとは、陰茎本体の背屈である。
【0255】
基底線および/または媒体評価を行って、動物がどの程度応答するか、そして動物が応答するか否かを確認する。一部の動物では最初の応答があるまで長時間を要するが、他の動物では全く応答がない。この基底線評価の際、初回応答までの潜伏期間、応答の回数および種類を記録する。試験時間枠は初回応答から15分間である。
【0256】
評価間で最低1日間経過した後、上記の同じ動物に20mg/kgで被験化合物を投与し、陰茎反射を評価する。評価はいずれもビデオテープに記録し、後に評点する。データを収集し、個々の動物について、薬剤投与評価に対して比較した基底線および/または媒体評価に対して対応のある両側t検定を用いて解析を行う。最低4匹の動物の群を用いて、変動性を小さくする。
【0257】
陽性基準対照を各試験に含めて、試験の妥当性を確保する。動物には、実施する試験の性質に応じて多くの投与経路によって投与を行うことができる。投与経路には、静脈投与(IV)、腹腔内投与(IP)、皮下投与(SC)および脳室内投与(ICV)などがある。
【0258】
E.女性性的機能不全のモデル
女性性的応答性に関連する齧歯類アッセイには、ロードシスの行動モデルおよび交尾活動の直接観察などがある。雄ラットおよび雌ラットの両方でのオルガスムを測定するための、麻酔背骨切開ラットでの泌尿性器反射モデルもある。上記および他の確立された女性性的機能不全の動物モデルが各種文献に記載されている(McKenna KE et al, A Model For The Study of Sexual Function In Anesthetized Male And Female Rats, Am. J. Physiol. (Regulatory Integrative Comp. Physiol 30) : R1276-R1285, 1991 ; McKenna KE et al, Modulation By Peripheral Serotonin of The Threshold For Sexual Reflexes In Female Rats, Pharm. Bioch. Behav., 40 : 151-156, 1991 ; and Takahashi LK et al, Dual Estradiol Action In The Diencephalon And The Regulation Of Sociosexual Behavior In Female Golden Hamsters, Brain Res., 359 : 194-207, 1985)。
【0259】
本発明の代表的化合物について試験を行ったところ、メラノコルチン−4受容体に結合することが認められた。これらの化合物は概して、10μM未満のIC50値を有することが認められた。本発明の代表的化合物について機能アッセイも行ったところ、EC50値5μM未満でメラノコルチン−4受容体を活性化することが認められた。
【0260】
医薬組成物の例
本発明の組成物の経口組成物の具体的な実施形態として、実施例3の化合物15mgを、十分に微粉砕した乳糖と調合して総量580〜590mgを得て、O型硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0261】
本発明の化合物の経口組成物の別の具体的な実施形態として、実施例4の化合物10mgを十分に微粉砕した乳糖と調合して総量580〜590mgを得て、O型硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0262】
本発明の化合物の経口組成物の別の具体的な実施形態として、実施例2の化合物15mgを十分に微粉砕した乳糖と調合して総量580〜590mgを得て、O型硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0263】
以上、本発明のある種の好ましい実施形態を参照しながら、本発明について記載および説明したが、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて各種の変更、修正および置き換えを行うことが可能であることは明らかであろう。例えば、吸収によって生じる骨障害の重度あるいは上記で示した本発明の化合物についての他の適応症に関して治療を受ける哺乳動物の応答性における変動の結果として、上記本明細書に記載の好ましい用量以外の有効な用量が適用可能となる場合がある。同様に、認められる具体的な薬理応答は、選択される特定の活性化合物に応じて、あるいは医薬担体が存在するか否かに応じて、さらには使用される製剤の種類および投与形態に応じて変動し得るものであり、そのような結果において予想される変動または差は、本発明の目的および実務により想到されるものである。従って本発明は、添付の特許請求の範囲のみに限定されるものであり、そのような特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式Iの化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化1】

[式中、
XおよびYは、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)−(CH3−8シクロアルキル、
(5)−(CH−フェニル、
(6)−(CH−ナフチル、
(7)−(CH−ヘテロアリール、
(8)−(CH2−8複素環アルキル、
(9)−(CHC≡N、
(10)−(CHCON(R)、
(11)−(CHCO
(12)−(CHCOR
(13)−(CHNRC(O)R
(14)−(CHNRCO
(15)−(CHNRC(O)N(R
(16)−(CHNRSO
(17)−(CHS(O)
(18)−(CHSON(R
(19)−(CHOR
(20)−(CHOC(O)R
(21)−(CHOC(O)OR
(22)−(CHOC(O)N(R
(23)−(CHN(R)(R)および
(24)−(CHNRSON(R)(R
からなる群から独立に選択され;
上記においてアルケニル、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、
(1)水素、
(2)アミジノ、
(3)C1−4アルキルイミノイル、
(4)C1−10アルキル、
(5)−(CH−C3−7シクロアルキル、
(6)−(CH−フェニル、
(7)−(CH−ナフチルおよび
(8)−(CH−ヘテロアリール
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、
(1)C1−6アルキル、
(2)フェニル、
(3)ナフチルおよび
(4)ヘテロアリール
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
各Rは、
(1)C1−8アルキル、
(2)−(CH−フェニル、
(3)−(CH−ナフチル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH2−8複素環アルキル、
(6)−(CH3−7シクロアルキル、
(7)ハロゲン、
(8)OR
(9)−(CHN(R
(10)−(CHC≡N、
(11)−(CHCO
(12)NO
(13)−(CHNRSO
(14)−(CHSON(R
(15)−(CHS(O)
(16)−(CHNRC(O)N(R
(17)−(CHC(O)N(R
(18)−(CHNRC(O)R
(19)−(CHNRCO
(20)−(CHNRC(O)−ヘテロアリール、
(21)−(CHC(O)NRN(R
(22)−(CHC(O)NRNRC(O)R
(23)O(CHCN(R
(24)CF
(25)−CHCF
(26)OCFおよび
(27)OCHCF
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;あるいは同一炭素原子上の2個のR置換基がその炭素原子と一体となってシクロプロピル基を形成しており;
各Rは、
(1)水素、
(2)C1−6アルキル、
(3)−(CH−フェニル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH−ナフチル、
(6)−(CH2−8複素環アルキル、
(7)−(CH3−7シクロアルキルおよび
(8)−(CH3−7ビシクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてアルキル、フェニル、ヘテロアリール、複素環アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、C1−4アルキル、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基が、それらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い4〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
各Rは、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH−フェニル、
(4)−(CH−ナフチル、
(5)−(CH−ヘテロアリールおよび
(6)−(CH3−7シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、(CH)およびシクロアルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基が、それらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い5〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
およびRはそれぞれ独立に、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH3−6シクロアルキル、
(4)−(CH−アリール、
(5)ヒドロキシ、
(6)ハロゲンおよび
(7)アミノ
からなる群から選択され;
rは1または2であり;
sは0、1または2であり;
tは1、2または3であり;
nは0、1または2であり;
pは0、1または2である。]
【請求項2】
が水素、C1−6アルキル、−(CH0−13−6シクロアルキルおよび−(CH0−1−フェニルからなる群から選択され;フェニルが未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキルおよび(CH)が独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い請求項1に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項3】
が独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルまたはチエニルである請求項1に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項4】
が独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルである請求項3に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項5】
Xが
(1)水素、
(2)−(CH−フェニル、
(3)−(CH−ナフチル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH3−8シクロアルキルおよび
(6)−(CH2−8複素環アルキル
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールが独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)が独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い請求項3に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項6】
Xが
(1)水素、
(2)−(CH0−1−フェニル、
(3)−(CH0−1−ヘテロアリール、
(4)−(CH0−1−C2−8複素環アルキルおよび
(5)−(CH0−1−C3−8シクロアルキル
からなる群から選択され;
上記において、フェニルおよびヘテロアリールが独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)が独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い請求項5に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項7】
Yが、
(1)C1−6アルキル、
(2)−(CH−フェニル、
(3)−(CH−ナフチル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH−C3−8シクロアルキル、
(6)−(CH−C2−8複素環アルキル、
(7)−(CHC(O)N(R
(8)−(CHCO
(9)−(CHS(O)
(10)−(CHOR
(11)−(CHNRC(O)Rおよび
(12)−(CHNRSO
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールが独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)が独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い請求項1に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項8】
Yが、
(1)C1−6アルキル、
(2)−(CH0−1−フェニル、
(3)−(CH0−1−ヘテロアリール、
(4)−(CH0−1−C3−8シクロアルキル、
(5)−(CH0−1−C2−8複素環アルキル、
(6)−(CH0−1NHC(O)R
(7)−(CH0−1CO
(8)−(CH0−1C(O)N(Rおよび
(9)−(CH0−1S(O)
からなる群から選択され;
上記においてフェニルおよびヘテロアリールが独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)が独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良い請求項5に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項9】
およびRが水素である請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
rが1であり、sが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
rが2であり、sが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
指定のトランス相対立体化学配置の下記構造式IIaまたはIIbの請求項1に記載の化合物あるいは該化合物の製薬上許容される塩。
【化2】

[式中、
Xは、
(1)水素、
(2)−(CH−フェニル、
(3)−(CH−ナフチル、
(4)−(CH−ヘテロアリール、
(5)−(CH3−8シクロアルキルおよび
−(CH2−8複素環アルキル
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;
Yは
【化3】




からなる群から選択され;
上記においてフェニルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、水素、アミジノ、C1−4アルキルイミノイル、C1−6アルキル、C5−6シクロアルキル、−(CH0−1フェニル、−(CH0−1ヘテロアリールであり;フェニルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルまたはチエニルであり;
各Rは、
(1)C1−8アルキル、
(2)−(CH−ヘテロアリール、
(3)−(CH2−8複素環アルキル、
(4)ハロゲン、
(5)OR
(6)−(CHN(R
(7)−(CHC≡N、
(8)−(CHCO
(9)−(CHNRSO
(10)−(CHSON(R
(11)−(CHS(O)
(12)−(CHNRC(O)N(R
(13)−(CHC(O)N(R
(14)−(CHNRC(O)R
(15)−(CHNRCO
(16)−(CHNRC(O)−ヘテロアリール、
(17)−(CHC(O)NRN(R
(18)−(CHC(O)NRNRC(O)R
(19)O(CHC(O)N(R
(20)CF
(21)CHCF
(22)OCFおよび
(23)OCHCF
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;あるいは同一炭素原子上の2個のR置換基がその炭素原子と一体となってシクロプロピル基を形成しており;
各R
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)フェニル、
(4)ヘテロアリール、
(5)−(CH2−8複素環アルキルおよび
(6)C3−6シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてアルキル、フェニル、ヘテロアリール、複素環アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、C1−4アルキル、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基がそれらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い4〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
各R
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH−フェニル、
(4)−(CH−ナフチル、
(5)−(CH−ヘテロアリールおよび
(6)−(CH3−7シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、(CH)およびシクロアルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基がそれらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い5〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
およびRはそれぞれ独立に、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH3−6シクロアルキル、
(4)−(CH−アリール、
(5)ヒドロキシ、
(6)ハロゲンおよび
(7)アミノ
からなる群から選択され;
rは1または2であり;
sは0、1または2であり;
tは1、2または3であり;
nは0、1または2であり;
pは0、1または2である。]
【請求項13】
指定のトランス相対立体化学配置を持つ下記構造式IIIaまたはIIIbの請求項1に記載の化合物あるいは該化合物の製薬上許容される塩。
【化4】

[式中、
Xは
(1)水素、
(2)−(CH0−1−フェニル、
(3)−(CH0−1−ナフチル、
(4)−(CH0−1−ヘテロアリール、
(5)−(CH0−13−8シクロアルキルおよび
(6)−(CH0−12−8複素環アルキル
からなる群から選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは独立にRから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換されていても良く;
Yは
【化5】

からなる群から選択され;
上記においてフェニルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;
は、水素、C1−4アルキルまたは−(CH0−1フェニルであり;
各R
(1)C1−8アルキル、
(2)−(CH0−1−ヘテロアリール、
(3)−(CH0−12−8複素環アルキル、
(4)ハロゲン、
(5)OR
(6)−(CH0−1N(R
(7)−(CH0−1C≡N、
(8)−(CH0−1CO
(9)−(CH0−1NRSO
(10)−(CH0−1SON(R
(11)−(CH0−1S(O)0−3
(12)−(CH0−1NRC(O)N(R
(13)−(CH0−1C(O)N(R
(14)−(CH0−1NRC(O)R
(15)−(CH0−1NRCO
(16)−(CH0−1NRC(O)−ヘテロアリール、
(17)−(CH0−1C(O)NRN(R
(18)−(CH0−1C(O)NRNRC(O)R
(19)O(CH0−1C(O)N(R
(20)CF
(21)CHCF
(22)OCFおよび
(23)OCHCF
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキル、シクロアルキル、複素環アルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル、トリフルオロメチルおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており;あるいは同一炭素原子上の2個のR置換基がその炭素原子と一体となってシクロプロピル基を形成しており;
各R
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)フェニル、
(4)ヘテロアリール、
(5)−(CH0−12−8複素環アルキルおよび
(6)C3−6シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてアルキル、フェニル、ヘテロアリール、複素環アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキルおよび(CH)は未置換であるかハロゲン、C1−4アルキル、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基がそれらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い4〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
各R
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH0−1−フェニル、
(4)−(CH0−1−ナフチル、
(5)−(CH0−1−ヘテロアリールおよび
(6)−(CH0−13−7シクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
上記においてフェニル、ナフチルおよびヘテロアリールは未置換であるか独立にRから選択される1〜3個の基で置換され;アルキル、(CH)およびシクロアルキルは未置換であるか独立にRおよびオキソから選択される1〜3個の基で置換され;あるいは2個のR基がそれらが結合している原子と一体となって、O、Sおよび−NC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を有していても良い5〜8員の単環式または二環式環系を形成しており;
およびRはそれぞれ独立に、
(1)水素、
(2)C1−8アルキル、
(3)−(CH0−13−6シクロアルキル、
(4)−(CH0−1−アリール、
(5)ヒドロキシ、
(6)ハロゲンおよび
(7)アミノ
からなる群から選択され;
tは1、2または3であり;
rは1または2であり;
sは0、1または2である。]
【請求項14】
下記のものからなる群から選択される請求項11に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化6】

【請求項15】
下記のものである請求項14に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化7】

【請求項16】
下記のものである請求項14に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化8】

【請求項17】
下記のものである請求項14に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化9】

【請求項18】
処置を必要とする哺乳動物でのメラノコルチン−4受容体の活性化に応答する障害、疾患または状態の治療または予防方法であって、該哺乳動物に対して、治療上または予防上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項19】
処置を必要とする哺乳動物での肥満の治療または予防方法であって、該哺乳動物に対して治療上または予防上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項20】
処置を必要とする哺乳動物での大食、過食および食欲異常亢進、高血圧、糖尿病、高血漿インシュリン濃度およびインシュリン耐性、異脂肪血症、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌、骨関節炎、閉塞性睡眠時無呼吸、胆石症、胆石、心臓疾患、心調律動の異常および不整脈、心筋梗塞、鬱血性心不全、冠動脈性心臓疾患、突然死、卒中、多嚢胞性卵巣症、頭蓋咽頭腫、プラダーウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠乏被験者、ノーマルバリアント低身長、ターナー症候群、代謝症候群、インシュリン耐性症候群、性的・生殖機能障害、不妊、生殖機能不全、男性型多毛症、肥満関連胃−食道逆流)、ピックウィック症候群、心血管障害、炎症、全身性血管炎症、アテローム性動脈硬化、高コレステレロール血症、高尿酸血症、腰痛、胆嚢疾患、痛風、腎臓癌、心臓肥大および左心室肥大からなる群から選択される肥満関連障害の治療または予防方法であって、該哺乳動物に対して治療上または予防上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項21】
処置を必要とする哺乳動物での糖尿病の治療または予防方法であって、該哺乳動物に対して治療上または予防上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項22】
処置を必要とする哺乳動物での男性または女性性的機能不全の治療または予防方法であって、該哺乳動物に対して治療上または予防上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項23】
処置を必要とする哺乳動物での勃起不全の治療または予防方法であって、該哺乳動物に対して治療上または予防上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項25】
インシュリン増感剤、インシュリン様作用剤、スルホニル尿素、α−グルコシダーゼ阻害薬およびHMG−CoAレダクターゼ阻害薬からなる群から選択される第2の有効成分をさらに含む請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
処置を必要とする哺乳動物での勃起不全の治療方法であって、該哺乳動物に対して治療上有効量の請求項24に記載の組成物を投与する段階を有する方法。
【請求項27】
処置を必要とする哺乳動物での勃起不全の治療方法であって、該哺乳動物に対して、V型サイクリックGMP選択的ホスホジエステラーゼ阻害薬、α−アドレナリン受容体拮抗薬またはドーパミン作働薬と併用して、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項28】
処置を必要とする哺乳動物での糖尿病の治療方法であって、該哺乳動物に対して治療上有効量の請求項24に記載の組成物を投与する段階を有する方法。
【請求項29】
処置を必要とする哺乳動物での肥満の治療方法であって、該哺乳動物に対して治療上有効量の請求項24に記載の組成物を投与する段階を有する方法。
【請求項30】
処置を必要とする哺乳動物での糖尿病または肥満の治療方法であって、インシュリン増感剤、インシュリン様作用剤、スルホニル尿素、α−グルコシダーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、セロトニン作働薬、β3−アドレナリン受容体作働薬、神経ペプチドY1拮抗薬、神経ペプチドY5拮抗薬、膵リパーゼ阻害薬、カンナビノイドCB受容体拮抗薬もしくは逆作働薬、またはメラニン濃縮ホルモン受容体拮抗薬との併用で、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項31】
前記製薬上許容される塩が塩酸塩である請求項14に記載の化合物。
【請求項32】
前記製薬上許容される塩がトリフルオロ酢酸塩である請求項14に記載の化合物。
【請求項33】
処置を必要とするヒト被験者でのメラノコルチン−4受容体介在疾患の治療または予防に有用な医薬の製造における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項34】
前記メラノコルチン−4受容体介在疾患が肥満、糖尿病、男性性的機能不全および女性性的機能不全からなる群から選択される請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記男性性的機能不全が男性勃起不全である請求項34に記載の使用。
【請求項36】
大食、過食および食欲異常亢進、高血圧、糖尿病、高血漿インシュリン濃度およびインシュリン耐性、異脂肪血症、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌、骨関節炎、閉塞性睡眠時無呼吸、胆石症、胆石、心臓疾患、心調律動の異常および不整脈、心筋梗塞、鬱血性心不全、冠動脈性心臓疾患、突然死、卒中、多嚢胞性卵巣症、頭蓋咽頭腫、プラダーウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠乏被験者、ノーマルバリアント低身長、ターナー症候群、代謝症候群、インシュリン耐性症候群、性的・生殖機能障害、不妊、生殖機能不全、男性型多毛症、肥満関連胃−食道逆流)、ピックウィック症候群、心血管障害、炎症、全身性血管炎症、アテローム性動脈硬化、高コレステレロール血症、高尿酸血症、腰痛、胆嚢疾患、痛風、腎臓癌、心臓肥大および左心室肥大からなる群から選択される肥満関連障害の治療または予防において有用な医薬の製造における請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−521359(P2006−521359A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507449(P2006−507449)
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/008711
【国際公開番号】WO2004/087159
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】