説明

メラミン化粧板

【課題】 化粧板表面に付着した指紋が目立つといった欠点や、メラミン樹脂層での光の照り返しや、白ボケにより印刷紙の絵柄が鮮明に表現できないという欠点を解消する。
【解決手段】 反応性(メタ)アクリルポリマーを必須成分とする樹脂液が塗布されたメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を、コア材及びメラミン樹脂含浸パターン紙に積層して熱圧成形(例えば、加熱温度110〜180℃、加圧条件5〜10MPa)する。反応性(メタ)アクリルポリマーに加えシリケート化合物、及び/又はオルガノシリカゾルを用いる。更に、撥水撥油性物質を加えることにより、耐指紋性が一層向上し、油払拭性の機能を有するメラミン化粧板となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメラミン化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでよりメラミン化粧板が知られており、表面硬度、耐熱性、耐摩耗性等の諸物性に優れることからカウンター、机などの水平面用途に好適に用いられている。このメラミン化粧板は一般に化粧板用パターン原紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を含浸、乾燥させたメラミン樹脂含浸パターン紙と、クラフト紙にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を含浸、乾燥させたフェノール樹脂含浸コア紙とを積層し、平板プレス機で加熱加圧することにより得られる。
【0003】
【特許文献1】特開2009−34984号公報
【特許文献2】特開平4−65241号公報
【特許文献3】特開昭62−85938号公報
【特許文献4】特開昭61−76364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メラミン化粧板は、その樹脂の特徴から表面硬度、耐熱性、耐摩耗性等に優れる一方で、指紋(=皮脂膜、以下指紋と表記)等の油汚れが付着しやすいという欠点があった。特に、化粧板用パターン原紙に濃色系のものを用いると、指紋付着部は濡れ色となるため周囲とのコントラストで指紋が著しく目立ち、水拭き程度では容易に除去できないといった欠点があった。また、指紋の成分の屈折率は1.4〜1.5程度であるのに対し、メラミン樹脂層の屈折率は1.6〜1.7程度であるため付着した指紋が目立ち、さらにメラミン樹脂層での光の照り返しや、白ボケにより印刷紙の絵柄が鮮明に表現できないという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる従来の欠点を解消するために検討されたもので、表面に反応性(メタ)アクリルポリマーを必須成分とする樹脂組成物による低屈折率層が形成されてなるメラミン化粧板である。
【発明の効果】
【0006】
化粧板表面に反応性(メタ)アクリルポリマーによる低屈折率層が形成されることで、指紋の目立ち易さが低減される。この低屈折率層はメラミン樹脂に比べ屈折率が低く、指紋との屈折率差が低下するため、光の照り返し、白ボケが改善され、印刷紙の絵柄が鮮明になり意匠性が向上する。
【0007】
また、反応性(メタ)アクリルポリマーに加えシリケート化合物、及び/又はオルガノシリカゾルを用いることにより指紋の目立ち易さがさらに低減され、柄鮮明性がさらに向上する。
【0008】
更に、撥水撥油性物質を加えることにより、耐指紋性が一層向上し、油払拭性の機能を有するメラミン化粧板となる。特に濃色系の印刷紙を用いた化粧板やエンボス仕上げの化粧板では、指紋付着部でも光が乱反射して目立たない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係わる(A)反応性(メタ)アクリルポリマーは、反応性官能基が導入された(メタ)アクリルポリマーをいい、反応性官能基は(メタ)アクリルポリマーに直接結合していても、反応性官能基がアルキレン基、オキシアルキレン基等の基を介して(メタ)アクリルポリマーに結合していてもよい。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリルまたはメタクリル」を意味する。
【0010】
(メタ)アクリルポリマーは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、及びこれらの誘導体を単量体とし、これを重合してなるポリマーであり、単量体の単独重合体であってもよいし、また、これらの単量体の2種以上を重合させた共重合体であってもよい。更には、前記単量体と、前記以外の単量体とを含む共重合体であってもよい。また、複数の(メタ)アクリルポリマーの混合物であってもよい。導入される反応性官能基としては、例えば、カルボン酸官能基、アミノ官能基、酸無水物官能基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル官能基及びエポキシ官能基等が挙げられる。この反応性官能基により反応性(メタ)アクリルポリマーがBステージの樹脂含浸化粧紙に含まれるメラミン樹脂と強固に接着し、メラミン樹脂層上に低屈折率層が形成される。
【0011】
前記の(A)反応性(メタ)アクリルポリマーを加熱、紫外線等により硬化させる場合には前述の反応性(メタ)アクリルポリマーの官能基の種類により重合開始剤を適宜選択して用いる。重合開始剤としては加熱硬化させる場合は、ラジカル発生源として公知の熱重合開始剤を用いる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、前記反応性(メタ)アクリルポリマー100重量部に対して0.1〜5重量部配合する。(以下、本明細書において重量部は固形分重量をいう。)
【0012】
紫外線により硬化させる場合は光重合開始剤、例えば、ベンゾイルアルキルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルケタール、α−ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チタノセン系化合物、オキシムエステルなどを用いる。
【0013】
本発明に係わる(B)シリケート化合物としては、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−n−ブチルシリケート、テトラ−2−エチルヘキシルシリケート、テトラ−n−オクチルシリケート、テトラ−n−ドデシルシリケート、テトラ−n−オクタデシルシリケートの如き炭素数が1〜18程度のアルコキシ基を含有する各種のシリケート類、テトラ−2−メトキシエトキシシリケート、テトラ−3−メトキシプロピルシリケートの如き置換アルキルシリケート;ベンジルシリケート、2−フェニルエチルシリケートの如きアラルキルシリケート等、あるいはこれらの低縮合物等の有機シリケート化合物が挙げられる。
【0014】
低縮合物の製造方法は、例えば前記テトラアルコキシシラン(単量体)に水、酸、及び/又は溶剤を加えて部分的に加水分解して縮合させて得ることができる。このような部分加水分解されたアルキルシリケートとして、縮合度、構造、アルコキシ基の種類の異なる各種のものがあり、市販品として、例えばMシリケート51、エチルシリケート40、エチルシリケート45(以上、多摩化学工業(株)製)、エチルシリケート40、エチルシリケート48、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、メチルシリケート51(以上、コルコート株式会社製)などの有効シリカ分を28〜52重量%程度のもの、またはテトラエトキシシランをエタノールやイソプロパノールに溶解して加水分解したHAS−1、HAS−6、HAS−10(以上、コルコート株式会社製)などが挙げられる。
【0015】
本発明の組成物で用いるオルガノシリカゾルとしては、例えば、粒径1〜40nm(さらに好ましくは粒径7〜30nm)のコロイダルシリカを有機溶媒に安定的に分散させたコロイド溶液が挙げられる。シリカ濃度は1〜50重量%の範囲が好ましく、ゲル化防止のために40重量%以下のものがより好ましい。オルガノシリカゾルの市販品としては、日産化学工業株式会社製のIPA−ST、IPA−ST−ZL、メタノールシリカゾル、NPC−ST−30、EG−ST、DMAC−ST、等や、触媒化成工業株式会社製のOSCAL、扶桑化学工業株式会社製のクォートロン(登録商標)、クラリアントジャパン株式会社製のHighlink(登録商標)OGシリカ オルガノゾル等が挙げられる。
【0016】
本発明で用いるオルガノシリカゾルの中でも、水性シリカゾルをアルコール等の親水性溶媒で置換したものが好ましい。水性シリカゾルを原料としたオルガノシリカゾルでは、シリカ表面の水酸基量が十分となるため、本発明の組成物を用いてメラミン化粧板の低屈折率層を形成した場合、低屈折率層とメラミン層の密着性が良く、メラミン化粧板の表面耐久性が向上する。疎水性溶媒に分散させる際、ゾルを安定化させるため表面を疎水化処理したオルガノシリカゾルでは、シリカ表面の水酸基量が不十分であり、低屈折率層とメラミン層の密着性が劣りやすくなる。
【0017】
ここで、親水性(極性)溶媒とは、水との親和性を有する溶媒であり、例えば、分子内に水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等の親水基を有する親水性有機溶媒である。親水性(極性)溶媒としては、プロトン性極性溶媒や非プロトン性極性溶媒が挙げられる。プロトン性極性溶媒の具体例として、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレンジアルコール、プロパノール等のアルコール系溶媒や、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、n−プロピルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン等が挙げられる。
【0018】
(A)反応性(メタ)アクリルポリマーと(B)シリケート化合物、及び/又はオルガノシリカゾルの両方を用いる場合は、前者100重量部に対して10〜300重量部の範囲で配合すると、前者単独よりも指紋の付着が目立たなくなり、化粧層の絵柄のより鮮明になる。
【0019】
その他、フッ素化合物、シリコーン化合物、脂肪酸、フッ素樹脂又はアクリル樹脂と、シロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマー、片末端或いは両末端官能型のオルガノポリシロキサン等の(C)撥水撥油性物質を配合することにより、化粧板の表面に付着した油を容易に拭き取りやすくなる。
【0020】
フッ素化合物としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルリン酸エステル類、パーフルオロアルキルリン酸塩類、パーフルオロアルキルシラン類、パーフルオロアルキルシラザン類、パーフルオロアルキル含有環状オルガノシロキサン等、シリコ−ン化合物としては、ジメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、脂肪酸モノグリセライド等が挙げられる。その他、パラフィン類、動植物油、高級アルコール、エステル油、水素添加レシチン、酸化ポリエチレン、アシル化コラーゲンペプチド塩類等が挙げられる。
【0021】
フッ素樹脂又はアクリル樹脂と、シロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーの市販例としては、ZX−022、ZX−022H,ZX−007C、ZX−001(いずれも富士化成工業株式会社製)等が挙げられる。シロキサングラフト型ポリマーの硬化剤には、フッ素樹脂又はアクリル樹脂と、シロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマーにおける水酸基と反応可能な硬化剤を適宜選択することができ、例えば、アニリンアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアネート等が挙げられる。また、シロキサングラフト型ポリマーがアルコキシシリル基を有する単量体を有する場合は、シリケート系の硬化剤を使用することもできる。反応基/OH(当量比)は1.0以上が好ましい。1.0以上であることにより、硬化を十分に行うことができる。
【0022】
オルガノポリシロキサンは、末端に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、またはアミノ基Xを有する上記構造式のものである。(メタ)アクリロイル基を有する官能型シロキサンとしては、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−7711、サイラプレーンFM−7721、サイラプレーンFM−7725などが挙げられる。エポキシ基を有する官能型シロキサンとしては、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−5511、サイラプレーンFM−5521サイラプレーンFM−5525などが挙げられる。アミノ基を有する官能型シロキサンとしては、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−3311、サイラプレーンFM−3321、サイラプレーンFM−3325)などが挙げられる。
【0023】
(C)成分は、使用する物質により異なるが概ね(A)成分100重量部、あるいは(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して1〜30重量部であれば撥水撥油機能を充分に発揮する。
【0024】
本発明のメラミン化粧板の製造方法としては、例えば、
(1)(A)反応性(メタ)アクリルポリマーを必須成分とする樹脂液が塗布されたメラミン樹脂含浸パターン紙を、コア材とともに積層して熱圧成形(例えば、加熱温度110〜180℃、加圧条件5〜10MPa)する方法、
(2)(A)反応性(メタ)アクリルポリマーを必須成分とする樹脂液が塗布されたメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を、コア材及びメラミン樹脂含浸パターン紙に積層して熱圧成形(例えば、加熱温度110〜180℃、加圧条件5〜10MPa)する方法、
(3)基材に(A)反応性(メタ)アクリルポリマーを必須成分とする樹脂液を塗布して転写シートを作成し、その転写シートを、最上層となるメラミン樹脂含浸パターン紙の上に置き、コア材とともに積層して熱圧成形(例えば、加熱温度110〜180℃、加圧条件5〜10MPa)し、成形後基材を除去する方法、
(4)基材に(A)反応性(メタ)アクリルポリマーを必須成分とする樹脂液を塗布して転写シートを作成し、その転写シートをメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙の上に置き、コア材とメラミン樹脂含浸パターン紙を積層して熱圧成形(例えば、加熱温度110〜180℃、加圧条件5〜10MPa)し、成形後基材を除去する方法等が挙げられる。
【0025】
メラミン樹脂含浸パターン紙は、例えば、坪量80〜140g/m程度の化粧板用化粧紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を70〜160%の含浸率で含浸し、乾燥させて得ることができる。
メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙は、例えば、坪量20〜60g/m程度のオーバーレイ原紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を200〜400%の含浸率で含浸し、乾燥させて得ることができる。
コア材は、例えば、坪量150〜300g/m程度のクラフト紙に、フェノール樹脂を主成分とする樹脂液を含浸させ、乾燥させて得ることができる。フェノール樹脂の含浸率は、例えば、30〜80%とすることができる。なお、含浸率は、数1で示される方法で算出できる。
【数1】

【0026】
メラミン樹脂含浸パターン紙又はメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙の表面に、前記の(A)反応性(メタ)アクリルポリマーを必須成分とする樹脂液を塗布する場合は、公知の方法、例えば、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、カーテンコート法などを用いることができる。
【0027】
乾燥後における低屈折率層の塗膜の厚みは0.1〜100μmの範囲、好ましくは0.5〜50μmの範囲が好ましい。塗膜の厚みをこのような範囲とすることで、極めて耐指紋性に優れたものとなる。乾燥後における塗膜の厚みが上記の上限値以下であれば、白化により外観不良となってしまうようなことが生じにくい。また、乾燥後における塗膜の厚みが上記下限値以上であれば、外観ムラが生じにくい。
【0028】
本発明のメラミン化粧板を転写方式により製造する場合に用いる基材としては、例えば、プラスチックフィルムや金属箔が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等を使用することができる。
金属箔としては、例えば、金箔、銀箔、銅箔、亜鉛箔、インジウム箔、アルミニウム箔、錫箔、鉄(ステンレス(SUS)箔を含む)箔、チタン箔等が挙げられる
以下、本発明を実施例、比較例により説明するが、本発明は以下に示される例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
1.組成物(a)の調製
反応性(メタ)アクリルポリマーとして、メタクリロイル官能基含有アクリルポリマー(商品名RA−3705MB、根上工業株式会社製)100重量部と、熱重合開始剤として、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(カヤレン6−70、商品名、化薬アクゾ社製)0.4重量部配合して組成物(a)を得た。
2.メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙(b)の製造
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を、坪量40g/mの黒色のオーバーレイ紙に含浸、乾燥して、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙(b)を得た。樹脂の含浸率は、数1で示される算出方法で、300%であった。
3.メラミン樹脂含浸パターン紙(c)の製造
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を、坪量100g/mの黒色の化粧板用原紙に含浸、乾燥して、メラミン樹脂含浸パターン紙(c)を得た。樹脂の含浸率は、上記数1で示される算出方法で、100%であった。
4.フェノール樹脂含浸コア紙(d)の製造
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を、坪量200g/mのクラフト紙に、含浸、乾燥して、フェノール樹脂含浸コア紙(d)を得た。樹脂の含浸率は、上記数1で示される算出方法で、50%であった。
5.反応性(メタ)アクリルポリマー樹脂塗布オーバーレイ紙(e)の製造
メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙(b)の表面に、バーコート法により、乾燥膜厚が1μmとなるように組成物(a)を塗布し、前処理乾燥させて反応性(メタ)アクリルポリマー樹脂塗布オーバーレイ紙(e)を得た。
6.メラミン化粧板の製造
フェノール樹脂含浸コア紙(d)を5枚、メラミン樹脂含浸パターン紙(c)を1枚、反応性(メタ)アクリルポリマー樹脂塗布オーバーレイ紙(e)を1枚積層し、温度135℃、圧力8MPa、時間80分で熱圧成形し、メラミン化粧板を得た。
【実施例2】
【0030】
実施例1において、乾燥膜厚が5μmとなるように組成物(a)を塗布した以外は同様に実施した。
【実施例3】
【0031】
実施例1において、乾燥膜厚が10μmとなるように組成物(a)を塗布した以外は同様に実施した。
【実施例4】
【0032】
前記実施例1と同様に、組成物(a)、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙(b)、メラミン樹脂含浸パターン紙(c)、及びフェノール樹脂含浸コア紙(d)を製造した。
次に、組成物(a)を、厚み30μmのOPP(延伸ポリプロピレン)フィルムの表面に、バーコート法により乾燥膜厚が1μmとなるように塗布して転写シートを作成した。
次に、上記転写シート、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙(b)、メラミン樹脂含浸パターン紙(c)、フェノール樹脂含浸コア紙(d)の順に積層し、前記実施例1と同様に熱圧成形した。最後に、OPPフィルムを除去し、メラミン化粧板を得た。
【実施例5】
【0033】
実施例4において、乾燥膜厚が5μmとなるように塗布した以外は同様に実施した。
【実施例6】
【0034】
実施例4において、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した以外は同様に実施した。
【実施例7】
【0035】
実施例2において、反応性(メタ)アクリルポリマー(商品名RA−3705MB、根上工業株式会社製)の代わりに、反応性(メタ)アクリルポリマーとして、アクリロイル官能基含有アクリルポリマー(商品名RA−3603MI、根上工業株式会社製)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例8】
【0036】
実施例2において、反応性(メタ)アクリルポリマー(商品名RA−3705MB、根上工業株式会社製)の代わりに、アクリロイル官能基含有アクリルポリマー(商品名RA−3610MI、根上工業株式会社製)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例9】
【0037】
実施例2において、シリケート化合物として、テトラアルコキシシラン縮合物(HAS−1、商品名、コルコート株式会社製)を10重量部配合した組成物(b1)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例10】
【0038】
実施例9において、シリケート化合物として、テトラアルコキシシラン縮合物(HAS−1、商品名、コルコート株式会社製)を50重量部配合した組成物(b2)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例11】
【0039】
実施例9において、シリケート化合物として、テトラアルコキシシラン縮合物(HAS−1、商品名、コルコート株式会社製)を100重量部配合した組成物(b3)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例12】
【0040】
実施例9において、シリケート化合物として、テトラアルコキシシラン縮合物(HAS−1、商品名、コルコート株式会社製)を300重量部配合した組成物(b4)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例13】
【0041】
実施例10において、シリケート化合物として、テトラエトキシシランの加水分解物HAS−6、商品名、コルコート株式会社製)を50重量部配合した組成物(b5)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例14】
【0042】
実施例10において、シリケート化合物として、イソプロピルアルコールを溶剤として用い、エチルシリケートを加水分解させて得たシリカ含有量が10wt%のアルコール性シリカゾル(HAS−10、商品名、コルコート株式会社製)を50重量部配合した組成物(b6)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例15】
【0043】
実施例10において、オルガノシリカゾルとして、IPA−ST(イソプロパノール分散シリカゾル、平均粒径10〜20nm、SiO30重量%、日産化学工業株式会社製)を50重量部配合した組成物(b7)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例16】
【0044】
実施例10において、オルガノシリカゾルとして、メタノールシリカゾル(メタノール分散シリカゾル、平均粒径10〜20nm、SiO30%、日産化学工業株式会社製)を50重量部配合した組成物(b8)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例17】
【0045】
実施例10において、オルガノシリカゾルとして、NPC−ST―30(平均粒径10〜20nm、n−プロピルセロソルブ分散シリカゾル、SiO30%、日産化学工業株式会社製)を50重量部配合した組成物(b9)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例18】
【0046】
実施例10において、シリケート化合物として、テトラアルコキシシラン縮合物(HAS−1、商品名、コルコート株式会社製)を50重量部、さらにオルガノシリカゾルとして、IPA−ST(イソプロパノール分散シリカゾル、平均粒径10〜20nm、SiO30重量%、日産化学工業株式会社製)を50重量部配合した組成物(b10)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例19】
【0047】
実施例2において、撥水撥油性物質として、シロキサングラフトポリマー(ZX−022、商品名、富士化成工業株式会社製)を1重量部配合した組成物(b11)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例20】
【0048】
実施例2において、撥水撥油性物質として、シロキサングラフトポリマー(ZX−022、商品名、富士化成工業株式会社製)を5重量部配合した組成物(b12)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例21】
【0049】
実施例10において、撥水撥油性物質として、シロキサングラフトポリマー(ZX−022、商品名、富士化成工業株式会社製)を5重量部配合した組成物(b13)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例22】
【0050】
実施例21において、撥水撥油性物質として、ZX−022の代わりに、シリコーン系グラフトポリマー(レゼタ(登録商標)GS−1015、商品名、東亞合成株式会社製)を5重量部配合した組成物(b14)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例23】
【0051】
実施例21において、撥水撥油性物質として、ZX−022の代わりに、OH基含有シリコン変性アクリル(Byk−Silclean3700、商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)を5重量部配合した組成物(b15)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例24】
【0052】
実施例21において、撥水撥油性物質として、ZX−022の代わりに、メタクリル基含有シロキサンマクロモノマー(サイラプレーン(登録商標)FM−7721、商品名、チッソ株式会社製)を5重量部配合した組成物(b16)を用いた以外は同様に実施した。
【0053】
比較例
フェノール樹脂含浸コア紙(d)を5枚、メラミン樹脂含浸パターン紙(c)を1枚、樹脂含浸オーバーレイ紙(e´)を1枚積層し、温度135℃、圧力8MPa、時間80分で熱圧成形し、比較例のメラミン化粧板を得た。
【0054】
評価結果を表1に示す。

【表1】

【0055】
試験方法は以下の通りとした。
外観:目視にて確認し、ムラなきを○とした。
指紋視認性:基材表面に実際に指紋を付着させ目視にて確認する。
◎:指紋が目立たない。
○:指紋がほぼ目立たない。
△:指紋が若干目立つ。
×:指紋が目立つ。
柄鮮明性:化粧板の印刷柄の鮮明性について、斜光にて目視で確認する。
◎:印刷柄が鮮明に確認できる。
○:印刷柄がほぼ鮮明に確認できる。
△:若干光の照り返し・白ボケがある。
×:光の照り返し・白ボケにより印刷柄が鮮明に確認できない。
油払拭性:
食用油を5mmたらし、24時間経過後に布で拭き取り、跡が全く残らないものを◎、僅かに残るものを○、油の跡が残るものを×とした。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のメラミン化粧板の構成断面図。
【符号の説明】
【0057】
1 フェノール樹脂含浸コア紙
2 メラミン樹脂含浸パターン紙
3 反応性(メタ)アクリルポリマー樹脂塗布オーバーレイ紙
5 メラミン化粧板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に(A)反応性(メタ)アクリルポリマーを必須成分とする樹脂組成物による低屈折率層が形成されてなるメラミン化粧板。
【請求項2】
前記樹脂組成物中に(B)シリケート化合物、及び/又はオルガノシリカゾルが含まれてなることを特徴とする請求項1記載のメラミン化粧板。
【請求項3】
前記樹脂組成物中に(C)撥水撥油性物質が含まれてなることを特徴とする請求項1又は2記載のメラミン化粧板。
【請求項4】
前記(A)反応性(メタ)アクリルポリマーと前記(B)シリケート化合物、及び/又はオルガノシリカゾルの配合割合は、固形分比で100重量部:10〜300重量部であることを特徴とする請求項2記載のメラミン化粧板。


【図1】
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【公開番号】特開2012−176515(P2012−176515A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39741(P2011−39741)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】