説明

メンテナンス液

【課題】 パターン形成性に優れたインプリントを行うためのメンテナンス液を開示する。
【解決手段】エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を含有するインプリントを行うためのインクジェット装置のメンテナンス液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面にモールドの表面形状を転写する光インプリント法において、基材上またはモールド上に光硬化組成物を設置するのに用いられるインクジェット吐出装置のメンテナンス液に関する。
【背景技術】
【0002】
インプリント法は、光ディスク製作ではよく知られているエンボス技術を発展させ、凹凸のパターンを形成した金型(一般的にモールド、スタンパ、テンプレートと呼ばれる)を、レジストにプレスして力学的に変形させて微細パターンを精密に転写する技術である。モールドを一度作製すれば、ナノ構造等の微細構造が簡単に繰り返して成型できるため経済的であるとともに、有害な廃棄・排出物が少ない加工技術であるため、近年、さまざまな分野への応用が期待されている。
【0003】
インプリント法には、被加工材料として熱可塑性樹脂を用いる熱インプリント法(例えば、非特許文献1参照)と、光硬化性組成物を用いる光インプリント法(例えば、非特許文献2参照)の2通りの技術が提案されている。光インプリント用硬化性組成物を光硬化させる光ナノインプリント法では、モールドのプレス時に転写される材料を加熱する必要がなく室温でのインプリントが可能になる。
【0004】
このようなインプリント法においては、以下のようなナノスケールへの応用技術が提案されている。
第一の技術としては、成型した形状(パターン)そのものが機能を持ち、様々なナノテクノロジーの要素部品、あるいは構造部材として応用できる場合である。例としては、各種のマイクロ・ナノ光学要素や高密度の記録媒体、光学フィルム、フラットパネルディスプレイにおける構造部材などが挙げられる。第二の技術は、マイクロ構造とナノ構造との同時一体成型や、簡単な層間位置合わせにより積層構造を構築し、これをμ−TAS(Micro-Total Analysis System)やバイオチップの作製に応用しようとするものである。第3の技術としては、形成されたパターンをマスクとし、エッチング等の方法により基板を加工する用途に利用されるものである。かかる技術では高精度な位置合わせと高集積化とにより、従来のリソグラフィ技術に代わって高密度半導体集積回路の作製や、液晶ディスプレイのトランジスタへの作製、パターンドメディアと呼ばれる次世代ハードディスクの磁性体加工等に応用できる。前記の技術を始め、これらの応用に関するインプリント法の実用化への取り組みが近年活発化している。
【0005】
インプリント法の適用例として、まず、高密度半導体集積回路作製への応用例を説明する。近年、半導体集積回路は微細化、集積化が進んでおり、その微細加工を実現するためのパターン転写技術としてフォトリソグラフィ装置の高精度化が進められてきた。しかし、さらなる微細化要求に対して、微細パターン解像性、装置コスト、スループットの3つを満たすのが困難となってきている。これに対し、微細なパターン形成を低コストで行うための技術として、インプリントリソグラフィ技術、特にナノインプリントリソグラフィ(光ナノインプリント法)が提案された。例えば、下記特許文献1および特許文献3にはシリコンウエハをスタンパとして用い、25nm以下の微細構造を転写により形成するナノインプリント技術が開示されている。本用途においては数十nmレベルのパターン形成性と基板加工時にマスクとして機能するための高いエッチング耐性および歩留まり向上のため転写欠陥が極めて少ないことが要求される。
【0006】
次世代ハードディスクドライブ(HDD)においてもトラック間を非磁性材料で充填し、物理的、磁気的に分離することで解決するディスクリートトラックメディアやビットパターンドメディアといった技術が提案されている。これらメディア作製において磁性体あるいは非磁性体パターンを形成する方法としてインプリントの応用が提案されている。本用途においても数十nmレベルのパターン形成性と基板加工時にマスクとして機能するための高いエッチング耐性とが要求される。
【0007】
液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)などのフラットディスプレイ製造においても基板の大型化や高精細化の動向に伴い、薄膜トランジスタ(TFT)や電極板の製造あるいは、特許文献4および特許文献5に記載される透明保護膜材料や、特許文献5に記載されるスペーサなどに対する光インプリント法の応用も検討され始めており、従来のフォトリソグラフィ法に代わる安価なリソグラフィとして光インプリント法が、近年注目されている。
【0008】
さらに、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、回折格子やレリーフホログラム等の光学部品、ナノデバイス、光学デバイス、フラットパネルディスプレイ製作のための光学フィルムや偏光素子、液晶ディスプレイの薄膜トランジタ、有機トランジスタ、カラーフィルタ、オーバーコート層、柱材、液晶配向用のリブ材、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルター、フォトニック液晶、反射防止構造体(モスアイ)などの永久膜形成用途においてもインプリント法は有用である。
光インプリント法においては基材またはモールド上に光硬化性組成物を設置し、基材とモールドの間に光硬化性組成物をはさんだ状態で光照射し、光硬化組成物を硬化させ、モールドを離型することでパターンを得ることができる。光硬化性組成物を基材上に設置する方法としてスピンコート法などさまざまな手法が提案されている。特許文献6では、インクジェットを用いて光硬化性組成物を塗布する方法を提案している。このインクジェットを用いた塗布方法は、基板にレジストの液滴の位置を指定し離散的にレジストを塗布できるため、パターンの粗密に応じて必要量を基材上に設置でき、残膜の膜厚を均一にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,772,905号公報
【特許文献2】米国特許第5,956,216号公報
【特許文献3】米国特許第5,259,926号公報
【特許文献4】特開2005−197699号公報
【特許文献5】特開2005−301289号公報
【特許文献6】特表2005−533393号公報
【0010】
【非特許文献1】S.Chou et al.:Appl.Phys.Lett.Vol.67,3114(1995)
【非特許文献2】M.Colbun et al,:Proc.SPIE,Vol. 3676,379 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、本願発明者が検討を行ったところ、インクジェット装置を用いて基材またはモールド上に光硬化組成物を吐出して、パターン転写を行うと、微細パターン、特に、パターンサイズ50nm以下の超微細パターンにおいて、パターン転写性が劣ることが分かった。
【0012】
本発明の目的は、上記の問題を解決することにある。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、超微細パターンの転写を行ってもパターン転写の欠陥を少なくする手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、インクジェット装置を洗浄する際に用いるメンテナンス液がパターン転写性に影響を与えていることが分かった。そして、多数のインクジェット装置のメンテナンス液のから、エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を含むものを採用することにより、パターン転写の欠陥が大幅に改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。メンテナンス液の種類の選択が、パターン転写の欠陥に寄与することは、極めて予想外のことである。
【0014】
具体的には、以下の手段により、達成された。
(1)重合性単量体を主成分とする光硬化性組成物を、基材上または微細パターンを有するモールド上に、インクジェット装置を用いて吐出し、光硬化性組成物を基材と微細パターンを有するモールドではさんだ状態で光照射することを含むパターン形成方法に用いるインクジェット装置のメンテナンス液であって、該メンテナンス液がエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を含有するメンテナンス液。
(2)前記メンテナンス液が重合性単量体を含有する、(1)に記載のメンテナンス液。
(3)前記エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物が、重合性単量体である、(1)または(2)に記載のメンテナンス液。
(4)メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種が光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種と共通する、(2)または(3)に記載のメンテナンス液。
(5)光硬化性組成物が(メタ)アクリレートを含有する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(6)光硬化性組成物が芳香族基および/または脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含有する、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(7)前記メンテナンス液に含まれる重合性単量体が、芳香族基および/または脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含有する、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(8)メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種および光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種が、それぞれ、芳香族基および/または脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含有する、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(9)光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の99質量%以上が(メタ)アクリレートである、(1)〜(8)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(10)メンテナンス液の25℃における粘度が50mPa・s以下である、(1)〜(9)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(11)メンテナンス液がエステル官能基およびエーテル官能基の両方を有する化合物を含むか、エステル官能基を有する化合物とエーテル官能基を有する化合物の両方を含む、(1)〜(10)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(12)メンテナンス液の1気圧における沸点が150℃以上である、(1)〜(11)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(13)メンテナンス液がエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を50質量%以上含有する、(1)〜(12)のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
(14)(1)〜(13)のいずれか1項に記載のメンテナンス液の製造方法であって、メンテナンス液を構成する成分を配合した後、濾過をすることを含む、メンテナンス液の製造方法。
(15)重合性単量体を主成分とする光硬化性組成物を、基材上または微細パターンを有するモールド上に、インクジェット装置を用いて吐出し、光硬化性組成物を基材と微細パターンを有するモールドではさんだ状態で光照射することを含むパターン形成方法に用いるインクジェット装置の洗浄方法であって、(1)〜(13)のいずれか1項に記載のメンテナンス液を用いることを特徴とする洗浄方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のインクジェット装置のメンテナンス液を用いると、超微細パターンの転写を行ってもパターン転写欠陥が少なく、良好なパターンが形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願実施例で用いたインクジェットヘッド周辺流路の構成を示す概略図である。
【図2】本願実施例で行ったノズル面の洗浄の方法を示す概略図である。
【図3】本願実施例で行ったシリコンウェハ上への光硬化性組成物の打滴の状態を示す概略図である。ここで、図3(a)は、シリコンウェハ上に打滴する間隔を示す概略図であり、図3(b)は、インクジェットのヘッドを回転させるイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0018】
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
また、本発明でいう“インプリント”は、好ましくは、1nm〜10mmのサイズのパターン転写をいい、より好ましくは、およそ10nm〜100μmのサイズ(ナノインプリント)のパターン転写をいう。本発明においては特に100nm以下のパターンサイズ、好ましくは50nm以下のパターンサイズの転写を行う際に特に顕著な効果を発揮する。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0019】
(メンテナンス液)
本発明のメンテナンス液は、重合性単量体を主成分とする光硬化性組成物を、基材上または微細パターンを有するモールド上に、インクジェット装置を用いて吐出し、光硬化性組成物を基材と微細パターンを有するモールドではさんだ状態で光照射することを含むパターン形成方法に用いるインクジェット装置のメンテナンス液であって、該メンテナンス液がエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を含有することを特徴とする。
【0020】
エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物
エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物としては重合性官能基を有していても有していなくてもよいが、重合性官能基を有していることが光硬化性組成物との相溶性の観点から好ましい。
重合性官能基を有さない化合物としては、グリコール類、グリコールモノエーテル類、グリコールジエーテル類、グリコールモノエステル類、グリコールジエステル類、グリコールモノエーテルモノエステル類が好ましい。
具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル類、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールジエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等のグリコールモノエーテルモノエステル類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジエステル類、さらには、ジオキサン、トリオキサン、フラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、メチルフラン、テトラヒドロピラン、フルフラール、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸メチルエステル、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エチルエステルなどの環状エーテル系化合物、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−ヘプタラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル系化合物も好ましく挙げられる。
【0021】
エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物は1種類のみ含まれていても良いし、2種類以上含まれていても良い。エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物は、エステル官能基とエーテル官能基の一方を有していれば良いが、メンテナンス液がエステル官能基およびエーテル官能基の両方を有することが好ましい。また、エステル官能基を有する化合物とエーテル官能基を有する化合物を併用することも好ましい形態として挙げられる。
本発明のメンテナンス液におけるエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物の含有量は、合計で、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。上限値は特に定めるものでないが、通常、100質量%以下である。
【0022】
メンテナンス液は、重合性単量体を有していることが好ましい。重合性単量体を配合することにより、光硬化性組成物の主成分である重合性単量体とのなじみがよくなり、洗浄力が向上すると共に、インプリント性もさらに向上する。本発明のメンテナンス液は、重合性単量体として、重合性基を有するエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を含んでいても良いし、該化合物とは別に、または、該化合物に加えて、他の重合性単量体を含んでいても良い。本発明では、メンテナンス液が含む重合性単量体として、少なくとも、重合性基を有するエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を含んでいることが好ましい。
重合性単量体の種類としては、特に定めるものではないが、後述する光硬化性組成物に含まれる重合性単量体が例示され、(メタ)アクリレート系化合物、ビニルエーテル系化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物が挙げられ、(メタ)アクリレートを用いる場合により効果的である。さらに、メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種が光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種と共通することが好ましい。このような構成とすることにより、メンテナンス液と光硬化性組成物のなじみがよくなり、より洗浄力が向上する。本発明では特に、メンテナンス液に含まれる重合性単量体の99質量%以上が(メタ)アクリレートであることが好ましい。重合性単量体がエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物である場合、エステルおよび/またはエーテル官能基を有する非重合性化合物を含んでいても含んでいなくてもよい。
【0023】
特に、本発明では、メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種および光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種が、それぞれ、近似する構造・性質等を有する化合物群に含まれる化合物に該当することが好ましい。このような化合物群の例として、下記(1)〜(6)が例示される。
特に、本発明では、メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種および光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種が、それぞれ、下記化合物群(1)に含まれることが好ましい。また、本発明では、メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種および光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種が、それぞれ、下記化合物群(2)に該当する化合物群に含まれることも好ましい。
(1)芳香族基および/または脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート群
(2)フッ素原子とシリコン原子のうち少なくとも一方を有する重合性化合物群
【0024】
(3)フロロアルキル基およびフロロアルキルエーテル基から選ばれる含フッ素基を少なくとも2つ含有し、かつ、該含フッ素基の少なくとも2つは、炭素数2以上の連結基により隔てられている化合物群
(4)下記一般式で表される重合性単量体群
【化1】

(一般式中、R1は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表し、Zは芳香族基を含有する基、または、または脂環式炭化水素基を有する基を表す。但し、重合性単量体(Ax)が25℃において液体であるとき、25℃における粘度が500mPa・s以下である。)
(5)下記一般式で表される重合性単量体群
【化2】

(一般式中、X1〜X3はそれぞれ独立に単結合または連結基を表す。Meはメチル基を表す。)
(6)下記一般式で表される重合性単量体群
【化3】

[式中、Arは置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基を表し、Xは単結合または有機連結基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは2または3を表す。]
これらの重合性単量体の詳細については、後に述べる、光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の欄で説明する。
【0025】
本発明のメンテナンス液に含まれる重合性単量体の含有量は、合計で、5〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、40〜100質量%がさらに好ましい。このような範囲で配合することにより、パターン転写性が向上する傾向にある。
また、本発明のメンテナンス液は、上述のとおり、重合性単量体を含むことが好ましいが、該重合性単量体の少なくとも1種を繰り返し単位として含むポリマーを実質的に含有しないことが好ましい。特に、重合性単量体が2官能以上である場合に、効果的である。
重合性単量体を繰り返し単位として含むポリマーとは、重合性単量体の製造時や保存時、さらには、光硬化性組成物の製造時や保存時などに、重合性単量体同士が重合してしまうことによって生成してしまう、いわゆる、「不純物ポリマー」を表す。従って、界面活性剤などのポリマー添加剤とは完全に異なるものである。
ここで、ポリマーを実質的に含有しないとは、例えば、重合性単量体のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定において、前記重合性単量体よりも分子量の大きい重合性単量体由来の成分の面積比(ピーク比)が該重合性単量体成分に対し、0.5%以下であることをいい、好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは検出限界以下である。
【0026】
重合性単量体のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定において、RI検出器で検出できない極微量のポリマー成分も光散乱検出器を用いると高感度に検出することができる。光散乱検出器としてはレーザー光散乱検出器および蒸発光散乱検出器(ELSD)いずれもRI検出器よりも高感度でポリマー成分を検出でき好ましいがより好ましくは、ポリマー成分をより高感度に検出可能なレーザー光散乱検出器が好ましい。すなわち、光散乱の散乱強度は粒子サイズが大きくなれば大きくなるほど強いため、GPC測定においてレーザー光散乱検出器を用いると分子量の大きいポリマーほど大きいピークとして観測されるため、実際のポリマー含量がRI検出器で検出できないくらい微量でも大きなピークとして高感度に検出できる。レーザー光散乱検出器としては多数の検出角度で観測できる多角度光散乱検出器(MALS)が市販で入手可能である。
好ましい様態として、重合性単量体のGPC測定においてレーザー光散乱検出器を用いて測定した場合に、前記重合性単量体よりも分子量の大きい重合性単量体由来の成分の面積比(ピーク比)が該重合性単量体成分に対し、通常、50%以下であることが挙げられ、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは検出限界以下である。
本発明のメンテナンス液が、重合性単量体を2種類以上含む場合、重合性単量体を繰り返し単位として含むポリマーには、それぞれの重合性単量体を由来とするポリマーのほか、2種以上の重合性単量体を由来とするコポリマーも含まれる。
本願発明者が検討したところ、重合性単量体の市販品として販売されているもののような、重合性単量体と該重合性単量体を繰り返し単位として含むポリマーを含む重合性単量体組成物から、極微量のポリマー不純物をGPCで検出するのは困難であることが分かった。そして、GPCで検出できない程度の微量のポリマーでもインプリントのパターンに影響を与えることが分かった。かかる観点から、重合性単量体組成物は、重合性単量体が可溶であり、該重合性単量体を繰り返し単位として含むポリマーが不溶または難溶である溶剤に、該重合性単量体組成物を、10質量%の濃度で混合した際の溶液の濁度が1000ppm以下であることが好ましい。より好ましい濁度としては、700ppm以下であり、さらに好ましくは500ppm以下であり、よりさらに好ましくは100ppm以下であり、特に好ましくは10ppm以下であり、最も好ましくは1ppm以下である。
【0027】
ここで重合性単量体を繰り返し単位として含むポリマーが不溶または難溶である溶剤とは、ポリマー成分の溶解度が1質量%以下である溶媒のことを表し、炭化水素溶剤(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン)、あるいはアルコール溶剤(例えば、メタノール、エタノール、1−または2−プロパノール、1−または2−ブタノール)を含有する溶剤が好ましい。
上記におけるポリマー成分とは、重合性単量体よりも分子量の大きい成分を表し、いわゆる、オリゴマーも含む趣旨である。好ましくはGPCにおける重量平均分子量が1万以上、より好ましくは重量平均分子量が3万以上、好ましくは重量平均分子量が5万以上の成分である。特に分子量の大きいポリマーを含有しているとインプリント時のパターン転写性が悪化する。
不純物ポリマーを除去する工程としては、公知の方法を広く採用できるが、重合性単量体が可溶であり、重合性単量体を繰り返し単位として含むポリマーが不溶または難溶である溶剤と、前記重合性単量体組成物を混合してポリマーを析出させる工程を経由して除去することが好ましい。重合性単量体組成物を繰り返し単位として含むポリマーが不溶または難溶である溶剤としては、炭化水素溶剤(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン)、あるいはアルコール溶剤(例えば、メタノール、エタノール、1−または2−プロパノール、1−または2−ブタノール)を含有する溶剤が好ましい。混合する濃度としては、重合性単量体組成物の濃度として1〜99質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましく、5〜20質量%が最も好ましい。
ポリマーを析出させる工程の後、通常は、さらに析出したポリマーを除去する。除去する方法としては、ろ過法が好ましい。ろ過媒体としては、濾紙、フィルター、シリカゲル、アルミナ、セライトなどが好ましく、フィルターが好ましい、フィルター材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製などが好ましい。フィルターサイズとしては0.005μm〜10μmが好ましく、0.01μm〜1μmがより好ましい。
【0028】
本発明のメンテナンス液は揮発による異物の析出抑制や気泡混入抑制の観点から全組成の80質量%以上が1気圧における沸点が100℃以上の化合物であることが好ましく、より好ましくは1気圧における沸点が120℃以上の化合物であり、さらに好ましくは1気圧における沸点が150℃以上の化合物である。上限値は特に定めるものではないが、通常、500℃以下である。
さらに本発明ではメンテナンス液中の溶存酸素量を45mg/l〜10mg/lとすることが好ましい。インクジェット装置部材の洗浄を溶存酸素量の多いメンテナンス液を用いた場合、インクジェット装置の内部に微小な気泡が発生しやすくなる。このメンテナンス液から発生した気泡が内部に残ったまま、洗浄後に光硬化性組成物の吐出を行なうと、光硬化性組成物に圧力を加えた際に、気泡が光硬化性組成物に印加される圧力を吸収してしまい、正常な吐出状態が得られなくなる。また、メンテナンス液の溶存酸素から発生した微小な気泡がインクジェット装置の内部に発生した場合、吐出する光硬化性組成物に酸素が含まれ、光硬化性組成物中の重合性単量体の重合においてラジカル活性種を失活させ、重合性単量体の重合反応に十分な量のラジカルを供給できなくなる。結果として、光硬化性組成物の硬化反応が不充分になる。これらのような問題を回避するために、本発明ではメンテナンス液の溶存酸素量を45mg/l〜10mg/lとし、重合阻害を効果的に抑制することができる。
本発明のメンテナンス液の25℃における粘度は、50mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下がより好ましく、20mPa・s以下がさらに好ましい。下限値は特に定めるものではないが、通常、1mPa・s以上である。
本発明のインクジェット吐出装置のメンテナンス液は非水系であることが好ましく、水の含有量が、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
【0029】
本発明のインクジェット吐出装置のメンテナンス液はさらに、各種添加剤を含有していてもよい、添加剤としては界面活性剤、消泡剤、安定剤、酸化防止剤、重合禁止剤などが好ましい。これらの添加剤の含量は、0〜20質量%であることが好ましい。また、本発明のメンテナンス液は、光重合開始剤を含んでいても良いが、含んでいない方が好ましい。
【0030】
特に本発明のメンテナンス液は、エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物0〜95質量%と、(メタ)アクリレート5〜100質量%と、他の成分20質量%以下で構成されることが好ましい。
【0031】
インクジェット吐出方法
本発明では、光硬化性組成物をインクジェット吐出液として用いるため、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、20〜80℃、好ましくは20〜60℃)において、光硬化性組成物の粘度が、5〜30mPa・sであり、より好ましくは5〜20mPa・sであることが好ましい。例えば、本発明において光硬化性組成物の25℃での粘度は、好ましくは5〜100mPa・s、より好ましくは5〜50mPa・sである。本発明において、光硬化性組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。
その他、インクジェット吐出方法は本発明の趣旨を逸脱しない限り、特開2007−254546号公報の記載を採用できる。
【0032】
本発明において吐出性、基材への濡れ性の観点から光硬化性組成物の表面張力は、例えば好ましくは20〜40mN/m、より好ましくは22〜38mN/m、さらに好ましくは24〜36mN/mである。
【0033】
インクジェット装置
本発明に用いられるインクジェット装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット装置を用いて被記録媒体へ記録することができる。本発明で用いることのできるインクジェット装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、を含む。インク供給系は、例えば、本発明に用いられる上記光硬化性組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルタ、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、1〜20plで吐出できるよう駆動することができる。
【0034】
上述したように、インクとしての光硬化性組成物は、吐出される光硬化性組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱および/または加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するインクジェット装置立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0035】
次に、インクジェット装置のメンテナンス方法について説明する。本発明のメンテナンス液の使用方法としては、インクジェット装置内、好ましくはヘッドの洗浄、未使用時の装置内の充填液として使用することが好ましい。本発明のメンテナンス液を用いてインクジェット装置または一部の部品をクリーニングする。クリーニング方法としては、本発明のメンテナンス液で濡らした生地やクリーニングブレードでインクジェット装置またはその部品を拭く方法、本発明のメンテナンス液にインクジェット装置またはその部品を浸漬する方法、本発明のメンテナンス液をインクジェット装置またはその部品に塗布した後に吸収材をインクジェット装置またはその部品に接触させ、メンテナンス液を吸収材で吸い取る方法、本発明のメンテナンス液をインクジェット装置またはその部品に塗布した後に、インクジェット装置またはその部品に対してエア吸引、エア給気などを行ってメンテナンス液を除去する方法が挙げられる。
【0036】
また、メンテナンス液でインクジェット装置のヘッドをクリーニングするクリーニング機構がインクジェット装置に設けられている場合、本発明のメンテナンス液をクリーニング機構に供給すれば、ヘッドがクリーニング機構によってクリーニングされる。また、ヘッドの吐出口をキャップで蓋をするに際して、本発明のメンテナンス液が塗布されたキャップを使っても良い。
【0037】
さらに、本発明のメンテナンス液をインクジェット装置のヘッド内に充填し、ノズルから排出させることによって、ヘッド内およびノズル近傍を清浄にすることができる。この場合、1kPa〜100kPa程度の圧力をかけることが好ましく、具体的には、ヘッドに接続しているインク供給路からメンテナンス液をヘッド内に送液する。その際、圧力を調整してメンテナンス液をノズルから排出させたり、あるいは充填したメンテナンス液をノズル面からノズル面を傷つけないように、ゴム状チューブなどで強制的に吸引することなども含まれる。場合によっては、装置ヘッドを駆動し、インク吐出と同様の動作を行ってメンテナンス液を排出することもできる。 一方、メンテナンス液を循環させて装置内(ノズル、ヘッド、チューブ、ポンプ等)を清浄する方法も例示できる。 また、ヘッド内にメンテナンス液を充填し、超音波による外的振動を加えてヘッド内の固形分の溶解性を促進させた後、メンテナンス液を排出または回収しても良い。
【0038】
本発明において、インクジェット装置の使用方法として、数時間に渡りインクジェット装置を使用しない場合、本発明のメンテナンス液をインクジェット装置のヘッド内に充填するインクジェット装置の使用方法が好ましい。このように本発明のメンテナンス液をヘッド内に充填しておくことにより、光硬化性インクの硬化を防ぐことができ、ヘッド詰まりを抑制することができるので好ましい。 また、一定時間以上(好ましくは12〜168時間、さらに好ましくは24〜36時間)吐出が行われない場合に、メンテナンス液により自動的にヘッドのクリーニングを行うことが好ましく、クリーニング後のヘッドをメンテナンス液により充填しておくことがより好ましい。使用時には、充填してあるメンテナンス液を排出または回収することで光硬化性インクを吐出可能である。
【0039】
(光硬化性組成物)
次に、本発明における光硬化性組成物について説明する。
本発明における光硬化性組成物は、重合性単量体を含み、通常は、重合性単量体および光重合開始剤を含む。本発明に用いる光硬化性組成物に用いられる重合性単量体の種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、例えば、エチレン性不飽和結合含有基を1〜6個有する重合性不飽和単量体;エポキシ化合物、オキセタン化合物;ビニルエーテル化合物;スチレン誘導体;フッ素原子を有する化合物;プロペニルエーテルまたはブテニルエーテル等を挙げることができる。
【0040】
前記エチレン性不飽和結合含有基を1〜6個有する重合性不飽和単量体(1〜6官能の重合性不飽和単量体)について説明する。
【0041】
まず、エチレン性不飽和結合含有基を1つ有する重合性不飽和単量体としては具体的に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリジノン、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシ2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性(以下「EO」という。)クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下「ECH」という)変性フェノキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、p−イソプロペニルフェノール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムが例示される。
【0042】
前記エチレン性不飽和結合を含有する単官能の重合性単量体の中でも、本発明では単官能(メタ)アクリレート化合物を用いることが、光硬化性の観点から好ましい。単官能(メタ)アクリレート化合物としては、前記エチレン性不飽和結合を含有する単官能の重合性単量体で例示した中における、単官能(メタ)アクリレート化合物類を例示することができる。
【0043】
さらに前記単官能(メタ)アクリレート化合物の中でも、芳香族構造および/または脂環式炭化水素構造を有する単官能(メタ)アクリレートがドライエッチング耐性の観点で好ましく、芳香族構造を有する単官能(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0044】
このような芳香族構造および/または脂環式炭化水素構造を有する単官能(メタ)アクリレートの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート、芳香環上に置換基を有するベンジル(メタ)アクリレート(好ましい置換基としては炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレート、芳香環上に置換基を有するベンジル(メタ)アクリレート、ナフタレン構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましく、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0045】
本発明では、重合性単量体として、エチレン性不飽和結合含有基を2つ以上有する多官能重合性不飽和単量体を用いることも好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるエチレン性不飽和結合含有基を2つ有する2官能重合性不飽和単量体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレンオキシド(以後「PO」という。)変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、o−,m−,p−キシリレンジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジアクリレートノルボルナンジメタノールジアクリレートが例示される。
【0046】
これらの中で特に、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、o−,m−,p−ベンゼンジ(メタ)アクリレート、o−,m−,p−キシリレンジ(メタ)アクリレート、等の2官能(メタ)アクリレートが本発明に好適に用いられる。
【0047】
エチレン性不飽和結合含有基を3つ以上有する多官能重合性不飽和単量体の例としては、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】
これらの中で特に、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上の官能(メタ)アクリレートが本発明に好適に用いられる。
【0049】
前記エチレン性不飽和結合を2つ以上有する多官能の重合性不飽和単量体の中でも、本発明では多官能(メタ)アクリレートを用いることが、光硬化性の観点から好ましい。なお、ここでいう多官能(メタ)アクリレートとは、前記2官能(メタ)アクリレートおよび前記3官能以上の官能(メタ)アクリレートを総称するもののことである。多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、前記エチレン性不飽和結合を2つ有する多官能重合性不飽和単量体で例示した中、および、前記エチレン性不飽和結合を3つ以上有する多官能重合性不飽和単量体で例示した中における、各種多官能(メタ)アクリレートを例示することができる。
【0050】
前記オキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物)としては、例えば、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエテーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物およびエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらの化合物は、その一種を単独で使用することもできるし、また、その二種以上を混合して使用することもできる。
【0051】
本発明に好ましく使用することのできる前記オキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物)としては、特開2009−73078号公報の段落番号0053に記載のものを好ましく採用することができる。
【0052】
特に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
【0053】
グリシジル基含有化合物として好適に使用できる市販品としては、特開2009−73078号公報の段落番号0055に記載のものを好ましく採用することができる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0054】
また、これらのオキシラン環を有する化合物はその製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John & Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号公報、特許第2906245号公報、特許第2926262号公報などの文献を参考にして合成できる。
【0055】
本発明で用いることができる重合性単量体として、ビニルエーテル化合物を併用してもよい。ビニルエーテル化合物は公知のものを適宜選択することができ、例えば、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,1,1−トリス〔4−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕エタン、ビスフェノールAジビニロキシエチルエーテル等が挙げられる。
【0056】
これらのビニルエーテル化合物は、例えば、Stephen.C.Lapin,Polymers Paint Colour Journal.179(4237)、321(1988)に記載されている方法、即ち多価アルコールもしくは多価フェノールとアセチレンとの反応、または多価アルコールもしくは多価フェノールとハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により合成することができ、これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
上述のとおり、本発明における光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種は、メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種と共に、それぞれ、特定の共通する化合物群に含まれるときに、本発明の効果がより効果的に発揮される。以下これらの化合物について詳細に説明する。
【0058】
(1)芳香族基および/または脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート群
本化合物群に含まれる化合物としては、芳香族基(メタ)アクリレートが好ましく、ベンゼン環および/またはナフタレン環を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
一例として、下記化合物群(4)〜(7)に該当する化合物が例示される。
本発明に用いられる光硬化性組成物中における該重合性単量体の含有量は、特に制限はないが、全重合性化合物中、10〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましく、50〜100質量%がさらに好ましく、70〜100質量%が特に好ましい。
【0059】
(2)フッ素原子とシリコン原子のうち少なくとも一方を有する重合性化合物群
フッ素原子とシリコン原子のうち少なくとも一方を有する重合性化合物は、フッ素原子、シリコン原子またはフッ素原子とシリコン原子の両方を有する官能基の少なくとも1つと重合性官能基を少なくとも1つ有する化合物である。
【0060】
本発明に用いられる光硬化性組成物中における含有量は、特に制限はないが、硬化性向上の観点や、組成物粘度化の観点から、全重合性化合物中、0.1〜100質量%が好ましく、0.2〜50質量%がより好ましく、0.5〜20質量%がさらに好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。
【0061】
(A)フッ素原子を有する重合性化合物
前記フッ素原子を有する重合性化合物が有するフッ素原子を有する基としては、フロロアルキル基およびフロロアルキルエーテル基から選ばれる含フッ素基が好ましい。
前記フロロアルキル基としては、炭素数が2以上のフロロアルキル基であることが好ましく、4以上のフロロアルキル基であることがより好ましく、上限値としては特に定めるものではないが、20以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。最も好ましくは炭素数4〜6のフロロアルキル基である。前記好ましいフロロアルキル基としては、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基、ヘキサフロロイソプロピル基、ノナフロロブチル基、トリデカフロロヘキシル基、ヘプタデカフロロオクチル基が挙げられる。
【0062】
前記フッ素原子とシリコン原子のうち少なくとも一方を有する重合性化合物が、トリフロロメチル基を有するフッ素原子を有する重合性化合物であることが好ましい。すなわち、また、フロロアルキル基の少なくとも1つは、トリフロロメチル基構造を含有することが好ましい。トリフロロメチル基構造を有することで、少ない添加量(例えば、10質量%以下)でも本願発明の効果が発現するため、他の成分との相溶性が向上し、ドライエッチング後のラインエッジラフネスが向上する。
【0063】
前記フロロアルキルエーテル基としては、前記フロロアルキル基の場合と同様に、トリフロロメチル基を有しているものが好ましく、パーフロロエチレンオキシ基、パーフロロプロピレンオキシ基を含有するものが好ましい。−(CF(CF3)CF2O)−などのトリフロロメチル基を有するフロロアルキルエーテルユニットおよび/またはフロロアルキルエーテル基の末端にトリフロロメチル基を有するものが好ましい。
【0064】
前記フッ素原子を有する重合性化合物が有する全フッ素原子の数は、非ポリマー化合物の場合1分子当たり、3〜60個が好ましく、より好ましくは5〜40個、さらに好ましくは9〜26個である。
【0065】
前記フッ素原子を有する重合性化合物は、非ポリマー化合物の場合、下記に定義するフッ素含有率が30〜60%のフッ素原子を有する重合性化合物であることが好ましく、より好ましくは35〜55%であり、さらに好ましくは35〜50%である。前記フッ素原子を有する重合性化合物がポリマー化合物の場合、下記に定義するフッ素含有率が10〜50%のフッ素原子を有する重合性化合物であることが好ましく、より好ましくは15〜40%であり、さらに好ましくは20〜30%である。フッ素含有率を適性範囲とすることでモールド汚れを低減でき且つ、他の成分との相溶性が向上することで、ドライエッチング後のラインエッジラフネスが向上する上、高アスペクトパターン形成性や繰り返しパターン形成性が向上する。本明細書中において、前記フッ素含有率は下記式で表される。
【0066】
【数1】

【0067】
前記フッ素原子を有する重合性化合物の好ましい一例として、下記一般式(I)で表される部分構造を有する化合物が挙げられる。このような部分構造を有する化合物を採用することにより、パターン形成性に優れ、かつ、光硬化性組成物の経時安定性が良好となる。
【0068】
一般式(I)
【化4】

一般式(I)中、nは1〜8の整数を表し、好ましくは4〜6の整数である。
【0069】
前記フッ素原子を有する重合性化合物の好ましい他の一例として、下記一般式(II)で表される部分構造を有する化合物が挙げられる。もちろん、一般式(I)で表される部分構造と、一般式(II)で表される部分構造の両方を有していてもよい。
【0070】
一般式(II)
【化5】

一般式(II)中、L1は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、L2は、それぞれ炭素数1〜8のアルキレン基を表し、m1およびm2はそれぞれ、0または1を表し、m1およびm2の少なくとも一方は1である。m3は1〜3の整数を表し、pは1〜8の整数を表し、m3が2以上のとき、それぞれの、−Cp2p+1は同一であってもよいし異なっていてもよい。
前記L1およびL2は、それぞれ、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。また、前記アルキレン基は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において置換基を有していてもよい。前記m3は、好ましくは1または2である。前記pは4〜6の整数が好ましい。
【0071】
以下に、本発明に用いられる光硬化性組成物で用いられるフッ素原子を有する重合性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
前記フッ素原子を有する重合性化合物としては、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチル−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する単官能重合性化合物が挙げられる。また、前記フッ素原子を有する重合性化合物としては、2,2,3,3,4,4−ヘキサフロロペンタンジ(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフロロヘキサンジ(メタ)アクリレートなどのフロロアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートを有する2以上の重合性官能基を有する多官能重合性化合物も好ましい例として挙げられる。
また、より好ましくは、化合物群(3)に該当する化合物である。
【0073】
(B)シリコン原子を有する重合性化合物
シリコン原子を有する官能基の構造としては、トリアルキルシリル基、鎖状シロキサン構造、環状シロキサン構造、籠状シロキサン構造などが挙げられ、他の成分との相溶性、モールド剥離性の観点から、トリメチルシリル基またはジメチルシロキサン構造を有する官能基が好ましい。
【0074】
以下に、本発明に用いられる光硬化性組成物で用いられる前記シリコン原子を有する重合性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記シリコン原子を有する重合性化合物としては3−トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサンで置換されたアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン構造を有するジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0075】
(3)フロロアルキル基およびフロロアルキルエーテル基から選ばれる含フッ素基を少なくとも2つ含有し、かつ、該含フッ素基の少なくとも2つは、炭素数2以上の連結基により隔てられている化合物群
フロロアルキル基およびフロロアルキルエーテル基から選ばれる含フッ素基を少なくとも2つ含有し、かつ、該含フッ素基の少なくとも2つは、炭素数2以上の連結基により隔てられている化合物
重合性単量体は、フロロアルキル基およびフロロアルキルエーテル基から選ばれる含フッ素基を少なくとも2つ含有し、かつ、該含フッ素基の少なくとも2つは、炭素数2以上の連結基により隔てられている化合物である。
フロロアルキル基としては、炭素数が2以上のフロロアルキル基であることが好ましく、4以上のフロロアルキル基であることがより好ましく、上限値としては特に定めるものではないが、20以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。最も好ましくは炭素数4〜6のフロロアルキル基である。また、フロロアルキル基の少なくとも2つは、トリフロロメチル基構造を含有することが好ましい。トリフロロメチル基構造を複数有することで、少ない添加量(例えば、10質量%以下)でも本願発明の効果が発現するため、他の成分との相溶性が向上し、ドライエッチング後のラインエッジラフネスが向上する。
同様の観点から、重合性単量体中にトリフロロメチル基構造を3つ以上含有する化合物も好ましい。より好ましくはトリフロロメチル基構造を3〜9個、さらに好ましくは4〜6個含有する化合物である。トリフロロメチル基構造を3つ以上含有する化合物としては1つの含フッ素基に2つ以上のトリフロロメチル基を有する分岐のフロロアルキル基、例えば−CH(CF32基、−C(CF33、−CCH3(CF32CH3基などのフロロアルキル基を有する化合物が好ましい。
【0076】
フロロアルキルエーテル基としては、トリフロロメチル基を有しているものが好ましく、パーフロロエチレンオキシ基、パーフロロプロピレンオキシ基を含有するものが好ましい。−(CF(CF3)CF2O)−などのトリフロロメチル基を有するフロロアルキルエーテルユニットおよび/またはフロロアルキルエーテル基の末端にトリフロロメチル基を有するものが好ましい。
重合性単量体が有する全フッ素原子の数は6〜60個が好ましく、より好ましくは9〜40個、さらに好ましくは12〜40個である。
重合性単量体は、上記で定義したフッ素含有率で、30〜60%が好ましく、より好ましくは35〜55%であり、さらに好ましくは35〜50%である。フッ素含有率を適性範囲とすることでモールド汚れを低減でき且つ、ドライエッチング後のラインエッジラフネスが向上する。
【0077】
重合性単量体が有する含フッ素基のうち少なくとも2つは炭素数2以上の連結基により隔てられている。すなわち、重合性単量体が含フッ素基を2つ有する場合は、その2つの含フッ素基は炭素数2以上の連結基で隔てられている。重合性単量体が含フッ素基を3つ以上有する場合は、このうち少なくとも2つが炭素数2以上の連結基で隔てられており、残りの含フッ素基はどのような結合形態を有していても良い。炭素数2以上の連結基はフッ素原子で置換されていない炭素原子を少なくとも2つ有する連結基である。
炭素数2以上の連結基中に含まれる官能基としては、アルキレン基、エステル基、スルフィド基、アリーレン基、アミド基およびウレタン基の少なくとも1つを含有する基が例示され、少なくとも、エステル基および/またはスルフィド基を有することがより好ましい。炭素数2以上の連結基は、アルキレン基、エステル基、スルフィド基、アリーレン基、アミド基、ウレタン基およびこれらの組み合わせから選ばれる基が好ましい。
これらの基は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基を有していても良い。
【0078】
重合性単量体の好ましい一例として、一般式で表される化合物が挙げられる。
【化6】

一般式中、Rfはフロロアルキル基およびフロロアルキルエーテル基から選ばれる含フッ素基を有する官能基を表し、A1は連結基を表す。Yは重合性官能基を表し、好ましくは(メタ)アクリルエステル基、エポキシ基、ビニルエーテル基を表す。xは1〜4の整数を表し、好ましくは1または2である。xが2以上の場合、それぞれのYは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
1は好ましくはアルキレン基および/またはアリーレン基を有する連結基であり、さらにヘテロ原子を含む連結基を含有していても良い。ヘテロ原子を有する連結基としては−O−、−C(=O)O−、−S−、−C(=O)−、−NH−が挙げられる。これらの基は本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において置換基を有していても良いが、有していない方が好ましい。A1は、炭素数2〜50であることが好ましく、炭素数4〜15であることがより好ましい。
重合性単量体の好ましい一例として、下記一般式で表される部分構造を有する化合物が挙げられる。このような部分構造を有する化合物を採用することにより、パターン形成性に優れ、かつ、光硬化性組成物の経時安定性が良好となる。
【化7】

一般式中、nは1〜8の整数を表し、好ましくは4〜6の整数である。
【0079】
重合性単量体の好ましい他の一例として、下記一般式(II)で表される部分構造を有する化合物が挙げられる。もちろん、一般式で表される部分構造と、一般式(II)で表される部分構造の両方を有していても良い。
【化8】

一般式(II)中、R2およびR3は、それぞれ炭素数1〜8のアルキレン基を表し、それぞれ、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。アルキレン基は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において置換基を有していてもよい。
m1およびm2はそれぞれ、0または1を表し、m1およびm2の少なくとも一方は1である。m3は1〜3の整数を表し、好ましくは1または2である。nは1〜8の整数を表し、4〜6の整数が好ましい。m3が2以上のとき、それぞれの、−Cn2n+1は同一であっても良いし異なっていてもよい。
【0080】
重合性単量体として好ましくは下記一般式(III)で表される重合性単量体である。
【化9】

(一般式(III)中、R1は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、Aは(a1+a2)価の連結基を表し、a1は1〜6の整数を表す。a2は2〜6の整数を表し、R2およびR3はそれぞれ炭素数1〜8のアルキレン基を表す。m1およびm2はそれぞれ、0または1を表し、m1およびm2の少なくとも一方は1である。m3は1〜3の整数を表す。m4およびm5は、それぞれ、0または1を表し、m4およびm5の少なくとも一方は1であり、m1およびm2の両方が1のとき、m4は1である。nは1〜8の整数を表す。)
【0081】
1は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
Aは(a1+a2)価の連結基であり、好ましくはアルキレン基および/またはアリーレン基を有する連結基であり、さらにヘテロ原子を含む連結基を含有していても良い。ヘテロ原子を有する連結基としては−O−、−C(=O)O−、−S−、−C(=O)−、−NH−が挙げられる。これらの基は本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において置換基を有していても良いが、有していない方が好ましい。Aは、炭素数2〜50であることが好ましく、炭素数4〜15であることがより好ましい。
2、R3、m1、m2、m3およびnは、一般式(II)と同義であり、好ましい範囲も同義である。
a1は1〜6の整数であり、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。
a2は2〜6の整数であり、好ましくは2または3、さらに好ましくは2である。
a1が2以上のとき、それぞれのAは同一であってもよいし、異なっていても良い。
a2が2以上のとき、それぞれのR2、R3、m1、m2、m3、m4、m5およびnは同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0082】
本発明で用いる重合性単量体の分子量は、好ましくは500〜2000である。より好ましくは600〜1500であり、更に好ましくは600〜1200である。
【0083】
以下に、本発明に用いられる光硬化性組成物で用いられる重合性単量体の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記式中におけるR1はそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子およびシアノ基のいずれかである。
【0084】
【化10】

【0085】
(4)下記一般式で表される重合性単量体群
【化11】

(一般式中、Zは芳香族基を含有する分子量100以上の基を表し、R1は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。但し、重合性単量体(Ax)が25℃において液体であるとき、25℃における粘度が500mPa・s以下である。)
1は、好ましくは、水素原子またはアルキル基であり、水素原子またはメチル基が好ましく、硬化性の観点から、水素原子がさらに好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、フッ素原子が好ましい。
Zは、好ましくは置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良いアリール基、または、これらの基が連結基を介して結合した基である。ここでいう連結基は、ヘテロ原子を含む連結基を含んでいてもよく、好ましくは、−CH2−、−O−、−C(=O)−、−S−およびこれらの組み合わせからなる基である。Zに含まれる芳香族基としてはフェニル基が好ましく、フェニル基のみが含まれていることが好ましい。多環芳香族基、ヘテロ芳香族基に比べフェニル基のみの方が粘度が低くパターン形成性が良好で、且つパーティクル欠陥を抑制できる。Zの分子量としては100〜300であることが好ましく、より好ましくは120〜250である。
重合性単量体に含まれる重合性基の数と芳香族基の数は
重合性基の数≦芳香族基 の数であることが粘度、ドライエッチング耐性の点から好ましい。この際、ナフタレンなどの縮合芳香環は1つの芳香族基として数え、ビフェニルのような2つの芳香環が結合を解して連結している場合、2つの芳香族基として数える。
重合性単量体が25℃において液体であるときの25℃における粘度としては2〜500mPa・sが好ましく、3〜200mPa・sがより好ましく、3〜100mPa・sが最も好ましい。重合性単量体は25℃において液体であるか、固体であっても融点が60℃以下であることが好ましく、25℃において液体であることがより好ましい。
Zは−Z1−Z2で表される基であることが好ましい。ここで、Z1は、単結合または炭化水素基であり、該炭化水素基は、その鎖中にヘテロ原子を含む連結基を含んでいてもよい。Z2は、置換基を有していてもよい芳香族基であり、分子量90以上である。
1は、好ましくは、単結合またはアルキレン基であり、該アルキレン基は、その鎖中にヘテロ原子を含む連結基を含んでいてもよい。Z1は、より好ましくは、その鎖中にヘテロ原子を含む連結基を含まないアルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン基、エチレン基である。ヘテロ原子を含む連結基としては−O−、−C(=O)−、−S−およびこれらとアルキレン基の組み合わせからなる基などが挙げられる。また、炭化水素基の炭素数は1〜3であることが好ましい。
2は、分子量が15以上の置換基を有する芳香族基であることが好ましい。Z2に含まれる芳香族基の一例として、フェニル基及びナフチル基が挙げられ、分子量が15以上の置換基を有するフェニル基がより好ましい例として挙げられる。Z2は、単環の芳香族基から形成される方が好ましい。
2は、2つ以上の芳香族基が、直接にまたは連結基を介して連結した基であることも好ましい。この場合の連結基も、好ましくは、−CH2−、−O−、−C(=O)−、−S−およびこれらの組み合わせからなる基である。
【0086】
芳香族基が有していても良い置換基としては、置換基の例としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基などが挙げられる。又、これらの基によってさらに置換されている基も好ましい。
【0087】
本発明における重合性単量体は25℃において液体であることが好ましく、重合性単量体は25℃において液体である時、25℃における粘度が500mPa・s以下である。より好ましくは25℃における粘度が300mPa・s以下であり、更に好ましくは200mPa・s以下であり、最も好ましくは100mPa・s以下である。
一般式で表される化合物の光硬化性組成物中における添加量は、10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましく、30〜80質量%であることが特に好ましい。
【0088】
一般式で表される化合物は、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【化12】

(一般式(II)中、R1は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表し、X1は単結合または炭化水素基であり、該炭化水素基は、その鎖中にヘテロ原子を含む連結基を含んでいてもよい。Y1は分子量15以上の置換基を表し、n1は0〜3の整数を表す。但し、n1が0のときは、X1は炭素数2以上の炭化水素基である。Arは、芳香族基、または芳香族連結基を表し、フェニル基またはフェニレン基が好ましい。)
【0089】
1は、上記一般式のR1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
1は、上記Z1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
1は、分子量15以上の置換基であり、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子などが挙げられる。これら置換基は更なる置換基を有していても良い。
n1が0のときは、X1は炭素数2または3のアルキレン基であることが好ましく、n1が2のときは、X1は単結合または炭素数1の炭化水素基であることが好ましい。
特に、好ましい様態としてはn1が1で、X1は炭素数1〜3のアルキレン基である。
【0090】
一般式(II)で表される化合物は、さらに好ましくは、下記一般式(III)で表される化合物である。
【化13】

(一般式(III)中、R1は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。X1は単結合または炭化水素基であり、該炭化水素基は、その鎖中にヘテロ原子を含む連結基を含んでいてもよい。Y1は分子量15以上の置換基を表し、n1は0〜3の整数を表す。但し、n1が0のときは、X1は炭素数2以上の炭化水素基である。)
1は、上記一般式のR1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
1は、上記Z1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
1は、上記一般式(II)におけるY1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
n1は、上記一般式(II)におけるn1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0091】
一般式(III)で表される化合物は、さらに好ましくは、(IV)〜(VI)のいずれかで表される化合物である。
【0092】
一般式(IV)で表される化合物
【化14】

(一般式(IV)中、R1は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。X2は単結合、または、炭化水素基であり、該炭化水素基は、その鎖中にヘテロ原子を含む連結基を含んでいてもよい。Y2は分子量15以上の芳香族基を有さない置換基を表し、n2は0〜3の整数を表す。但し、n2が0のときは、X2は炭素数2または3の炭化水素基である。)
1は、上記一般式のR1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
2は、炭化水素基である場合、炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましく、置換又は無置換の炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、無置換の炭素数1〜3のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基であることがさらに好ましい。このような炭化水素基を採用することにより、より低粘度で低揮発性を有する光硬化性組成物とすることが可能になる。
2は分子量15以上の芳香族基を有さない置換基を表し、Y2の分子量の上限は80以下であることが好ましい。Y2としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい例として挙げられる。
n2は、0〜2の整数であることが好ましい。n2が1の場合、置換基Yはパラ位にあるのが好ましい。また、粘度の観点から、n2が2のときは、X2は単結合もしくは炭素数1の炭化水素基が好ましい。
一般式(IV)で表される化合物は(メタ)アクリレート基を1つ有する単官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0093】
低粘度と低揮発性の両立という観点から、一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物の分子量は175〜250であることが好ましく、185〜245であることがより好ましい。
また、一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物の25℃における粘度が10mPa・s以下であることが好ましく、6mPa・s以下であることがより好ましい。
一般式(IV)で表される化合物は、反応希釈剤としても好ましく用いることができる。
【0094】
一般式(IV)で表される化合物の光硬化性組成物中における添加量は、組成物の粘度や硬化後のパターン精度の観点から10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。一方、硬化後のタッキネスや力学強度の観点からは、添加量は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが特に好ましい。
【0095】
以下に、一般式(IV)で表される化合物を例示するが、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでも無い。
【化15】

【0096】
一般式(V)で表される化合物
【化16】

(一般式(V)中、R1は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表し、X3は単結合、または、炭化水素基であり、該炭化水素基は、その鎖中にヘテロ原子を含む連結基を含んでいてもよい。Y3は分子量15以上の芳香族基を有する置換基を表し、n3は1〜3の整数を表す。)
1は、上記一般式のR1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
1は、上記Z1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
3は、分子量15以上の芳香族基を有する置換基を表し、芳香族基を有する置換基としては芳香族基が単結合、あるいは連結基を介して一般式(V)の芳香環に結合している様態が好ましい。連結基としては、アルキレン基、ヘテロ原子を有する連結基(好ましくは−O−、−S−、−C(=O)O−、)あるいはこれらの組み合わせが好ましい例として挙げられ、アルキレン基または−O−ならびにこれらの組み合わせからなる基がより好ましい。分子量15以上の芳香族基を有する置換基としてはフェニル基を有する置換基であることが好ましい。フェニル基が単結合または上記連結基を介して結合している様態が好ましく、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、フェニルチオ基が特に好ましい。Y3の分子量は好ましくは、230〜350である。
n3は、好ましくは、1または2であり、より好ましくは1である。
【0097】
一般式(V)で表される化合物の組成物中における添加量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。一方、硬化後のタッキネスや力学強度の観点からは、添加量は90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。
【0098】
以下に、一般式(V)で表される化合物を例示するが、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでも無い。
【化17】

【0099】
一般式(VI)で表される化合物
【化18】

(一般式(VI)中、X6は(n6+1)価の連結基であり、R1は、それぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子である。R2およびR3は、それぞれ、置換基であり、n4およびn5は、それぞれ、0〜4の整数である。n6は1または2であり、X4およびX5は、それぞれ、炭化水素基であり、該炭化水素基は、その鎖中にヘテロ原子を含む連結基を含んでいてもよい。)
【0100】
6は、(n6+1)価の連結基を表し、好ましくは、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)O−、およびこれらのうちの複数が組み合わさった連結基である。アルキレン基は、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。また、無置換のアルキレン基が好ましい。
n6は、好ましくは1である。n6が2のとき、複数存在する、R1、X5、R2は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていても良い。
4およびX5は、は、それぞれ、連結基を含まないアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、最も好ましくはメチレン基である。
1は、上記一般式のR1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
2およびR3は、それぞれ、置換基を表し、好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基である。アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、フッ素原子が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましい。アシル基としては、炭素数1〜8のアシル基が好ましい。アシルオキシ基としては、炭素数1〜8のアシルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基が好ましい。
n4およびn5は、それぞれ、0〜4の整数であり、n4またはn5が2以上のとき、複数存在するR2およびR3は、それぞれ、同一でも異なっていても良い。
【0101】
一般式(VI)で表される化合物は、下記一般式(VII)で表される化合物が好ましい。
【化19】

(X6は、アルキレン基、−O−、−S−および、これらのうちの複数が組み合わさった連結基であり、R1は、それぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子である。)
1は、上記一般式のR1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
6がアルキレン基である場合、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。また、無置換のアルキレン基が好ましい。
6としては、−CH2−、−CH2CH2−、−O−、−S−が好ましい。
【0102】
本発明に用いられる光硬化性組成物中における一般式(VI)で表される化合物の含有量は、特に制限はないが、硬化性、組成物粘度の観点から、全重合性単量体中、1〜100質量%が好ましく、5〜70質量%がさらに好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
【0103】
以下に、一般式(VI)で表される化合物を例示するが、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでも無い。下記式中におけるR1はそれぞれ、一般式(VI)におけるR1と同義であり、好ましい範囲も同義であり、特に好ましくは水素原子である。
【化20】

【0104】
(5)下記一般式で表される重合性単量体群
【化21】

(一般式中、X1〜X3はそれぞれ独立に単結合または連結基を表す。Meはメチル基を表す。)
【0105】
1〜X3が連結基の場合、好ましくは、有機連結基であり、炭素数1〜50の有機連結基であることが好ましい。有機連結基の具体例としては、オキシアルキレン基、−O−C(=O)−、アルキレン基およびこれらの2以上の組み合わせからなる基が挙げられる。オキシアルキレン基としては、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基が例示される。また、アルキレン基としては、プロピレン基、ブチレン基、ペンチル基、ヘキシル基等が例示される。X1〜X3は単結合であることが好ましい。
一般式で表される化合物は25℃において液体状であることが好ましいが、液体状でなくてもよい。
【0106】
以下に本発明における重合性単量体の具体例を示す。
【化22】

【化23】

1、m2、m3、n1、n2、n3は、それぞれ、0〜10の整数を表し、m1、m2、m3、n1、n2およびn3の和は、1よりも大きい化合物であるか、該和の平均が1より大きい化合物の混合物である。
1、l2、l3は、それぞれ、0〜10の整数を表し、k1、k2、k3は、それぞれ、3〜6の整数を表し、l1、l2およびl3の和は、1よりも大きい化合物であるか、該和の平均が1より大きい化合物の混合物である。
【0107】
(6)下記一般式で表される重合性単量体群
【化24】

[式中、Arは置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合または有機連結基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは2または3を表す。]
【0108】
一般式中、前記アリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基などの炭化水素系アリーレン基;インドール、カルバゾールなどが連結基となったヘテロアリーレン基などが挙げられ、好ましくは炭化水素系アリーレン基であり、更に好ましくは粘度、エッチング耐性の観点からフェニレン基である。前記アリーレン基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホンアミド基が挙げられる。
【0109】
前記Xの有機連結基としては、鎖中にヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基が挙げられる。その中でも、アルキレン基、オキシアルキレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。前記Xとしては、単結合またはアルキレン基であることが特に好ましい。
【0110】
前記R1は水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子である。
【0111】
nは2または3であり、好ましくは2である。
【0112】
前記重合性単量体が下記一般式(I−a)または(I−b)で表される重合性単量体であることが、組成物粘度を低下させる観点から好ましい。
【0113】
【化25】

[式中、X1、X2は、それぞれ独立に単結合または炭素数1〜3の置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表す。]
【0114】
前記一般式(I−a)中、前記X1は、単結合またはメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが粘度低減の観点からより好ましい。
前記X2の好ましい範囲は、前記X1の好ましい範囲と同様である。
前記R1は一般式におけるとR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0115】
前記重合性単量体は25℃において液体であると、添加量を増やした際にも異物の発生が抑制でき好ましい。
【0116】
好ましい重合性単量体の具体例を示す。R1は一般式におけるとR1と同義であり、水素原子またはメチル基を表す。なお、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【化26】

【0117】
(B)光重合開始剤
本発明に用いられる光硬化性組成物は、光重合開始剤を含む。本発明に用いられる光重合開始剤は、光照射により上述の重合性単量体を重合する活性種を発生する化合物であればいずれのものでも用いることができる。光重合開始剤としては、カチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤が挙げられ、ラジカル重合開始剤が好ましい。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
【0118】
本発明に用いられる光重合開始剤の含有量は、溶剤を除く全組成物中、例えば、0.01〜15質量%であり、好ましくは0.1〜12質量%であり、さらに好ましくは0.2〜7質量%である。2種類以上の光重合開始剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。
光重合開始剤の含有量が0.01質量%以上であると、感度(速硬化性)、解像性、ラインエッジラフネス性、塗膜強度が向上する傾向にあり好ましい。一方、光重合開始剤の含有量を15質量%以下とすると、光透過性、着色性、取り扱い性などが向上する傾向にあり、好ましい。染料および/または顔料を含む系では、これらがラジカルトラップ剤として働くことがあり、光重合性、感度に影響を及ぼす。その点を考慮して、これらの用途では、光重合開始剤の添加量が最適化される。
【0119】
本発明で使用されるラジカル光重合開始剤としては、例えば、市販されている開始剤を用いることができる。これらの例としては、例えば、特開平2008−105414号公報の段落番号0091に記載のものを好ましく採用することができる。この中でもアセトフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物が硬化感度、吸収特性の観点から好ましい。
【0120】
アセトフェノン系化合物として好ましくはヒドロキシアセトフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、アミノアセトフェノン系化合物が挙げられる。ヒドロキシアセトフェノン系化合物として好ましくはCiba社から入手可能なIrgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、Irgacure(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、Irgacure(登録商標)500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン)、Darocur(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)が挙げられる。
ジアルコキシアセトフェノン系化合物として好ましくはCiba社から入手可能なIrgacure(登録商標)651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)が挙げられる。
アミノアセトフェノン系化合物として好ましくはCiba社から入手可能なIrgacure(登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)、Irgacure(登録商標)379(EG)(2−ジメチルアミノー2ー(4メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)ブタン−1−オン、Irgacure(登録商標)907(2−メチル−1[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが挙げられる。
【0121】
アシルフォスフィンオキサイド系化合物として好ましくはCiba社から入手可能なIrgacure(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、Irgacure(登録商標)1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、BASF社から入手可能なLucirin TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)、Lucirin TPO−L(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド)が挙げられる。
オキシムエステル系化合物として好ましくはCiba社から入手可能なIrgacure(登録商標)OXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、Irgacure(登録商標)OXE02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。
本発明で使用されるカチオン光重合開始剤としては、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、オキシムスルホネート化合物などが好ましく、4−メチルフェニル[4 −(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ローデア製 PI2074)、4−メチルフェニル[4 −(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート(Ciba社製IRGACURE250)、IRGACURE PAG103、108、121、203(Ciba社製)などが挙げられる。
【0122】
(その他成分)
本発明に用いられる光硬化性組成物は、上述の成分の他に種々の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、酸化防止剤、溶剤、ポリマー成分等その他の成分を含んでいてもよい。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、着色剤、染料、顔料等を含んでいても良いが、含んでいない方が本発明の効果がより効果的に発揮される。
【0123】
−界面活性剤−
本発明に用いられる光硬化性組成物には、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる界面活性剤は、全組成物中、例えば、0.001〜5質量%含有し、好ましくは0.002〜4質量%であり、さらに好ましくは、0.005〜3質量%である。2種類以上の界面活性剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。界面活性剤が組成物中0.001未満では、塗布の均一性の効果が不十分であり、一方、5質量%を越えると、モールド転写特性を悪化させるため、好ましくない。
界面活性剤は、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびフッ素・シリコーン系界面活性剤の少なくとも1種を含むことが好ましく、フッ素系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤の両方または、フッ素・シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましく、フッ素・シリコーン系界面活性剤を含むことが最も好ましい。
ここで、フッ素・シリコーン系界面活性剤とは、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の両方の要件を併せ持つものをいう。
このような界面活性剤を用いることにより、本発明の組成物を、半導体素子製造用のシリコーンウェーハや、液晶素子製造用のガラス角基板、クロム膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜、タンタル膜、タンタル合金膜、窒化珪素膜、アモルファスシリコーン膜、酸化錫をドープした酸化インジウム(ITO)膜や酸化錫膜などの、各種の膜が形成されるなど基板上の塗布時に起こるストリエーションや鱗状の模様(レジスト膜の乾燥むら)などの塗布不良の問題を解決する目的、およびモールド凹部のキャビティ内への組成物の流動性を良くし、モールドとレジスト間の剥離性を良くし、レジストと基板間の密着性を良くする、組成物の粘度を下げる等が可能になる。特に、本発明の組成物において、上記界面活性剤を添加することにより、塗布均一性を大幅に改良でき、スピンコーターやスリットスキャンコーターを用いた塗布において、基板サイズに依らず良好な塗布適性が得られる。
【0124】
本発明で用いる非イオン性フッ素系界面活性剤の例としては、商品名フロラードFC−430、FC−431(住友スリーエム社製)、商品名サーフロン「S−382」(旭硝子社製)、EFTOP「EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100」(トーケムプロダクツ社製)、商品名PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(いずれもOMNOVA社)、商品名フタージェントFT250、FT251、DFX18(いずれも(株)ネオス社製)、商品名ユニダインDS−401、DS−403、DS−451(いずれもダイキン工業(株)社製)、商品名メガフアック171、172、173、178K、178A、(いずれも大日本インキ化学工業社製)が挙げられ、非イオン性ケイ素系界面活性剤の例としては、商品名SI−10シリーズ(竹本油脂社製)、メガファック31(大日本インキ化学工業社製)、KP−341(信越化学工業社製)が挙げられる。
本発明で用いる、フッ素・シリコーン系界面活性剤の例としては、商品名X−70−090、X−70−091、X−70−092、X−70−093、(いずれも信越化学工業社製)、商品名メガフアックR−08、XRB−4(いずれも大日本インキ化学工業社製)が挙げられる。
【0125】
−酸化防止剤−
さらに、本発明に用いられる光硬化性組成物には、公知の酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を含むことにより、透明性を向上させることができる。本発明に用いられる酸化防止剤は、全組成物中、例えば、0.01〜10質量%含有し、好ましくは0.2〜5質量%である。2種類以上の酸化防止剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。
酸化防止剤は、熱や光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOx(Xは整数)などの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。特に本発明では、酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色を防止できる、または分解による膜厚減少を低減できるという利点がある。このような酸化防止剤としては、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。この中では、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が硬化膜の着色、膜厚減少の観点で好ましい。
【0126】
酸化防止剤の市販品としては、Irganox1010、1035、1076、1222(以上、チバガイギー(株)製)、Antigene P、3C、FR、スミライザーS、スミライザーGA80(住友化学工業製)、アデカスタブAO70、AO80、AO503((株)ADEKA製)等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0127】
−重合禁止剤−
さらに、本発明に用いられる光硬化性組成物には、重合禁止剤を含有することが好ましい。重合禁止剤の含有量としては、全重合性単量体に対し、0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.005〜0.5質量%、さらに好ましくは0.008〜0.05質量%である、重合禁止剤を適切な量配合することで高い硬化感度を維持しつつ経時による粘度変化が抑制できる。重合禁止剤は重合性単量体の製造時に添加してもよいし、光硬化性組成物に後から添加してもよい。
【0128】
さらに本発明における光硬化性組成物は、重合性単量体を繰り返し単位として含むポリマー不純物を除去することが好ましい。除去の方法等は、上記メンテナンス液における記載を参酌できる。
【0129】
析出したポリマーを除去した後、そのままの溶液または、濃縮あるいは溶剤置換などの方法により光硬化性組成物に配合する形態にする。本発明において、重合性単量体を製造する際には、重合禁止剤を添加することが好ましく、濃縮工程よりも前の段階において添加されていることが好ましい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、フェノチアジン、フェノキサジン、4−メトキシナフトール、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、ニトロベンゼン、ジメチルアニリン等が挙げられ、好ましくはp−ベンゾキノン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、フェノチアジンである。これら重合禁止剤は重合性単量体の製造時だけでなく、光硬化性組成物の保存時においてもポリマー不純物の生成を抑制し、インプリント時のパターン形成性の劣化を抑制する。
【0130】
以下において、光硬化性組成物を用いたパターン形成方法(パターン転写方法)について具体的に述べる。
パターン形成方法においては、まず、光硬化性組成物を基材または微細パターンを有するモールド上にインクジェット吐出により設置してパターン形成層を形成する。インクジェット吐出によって設置される液滴は間隔をおいて設置されていてもよいし、液滴が相互に結合するように設置してもよい。液滴の量は1pl〜20pl程度が好ましい。液滴の総量は形成されるパターンによって異なり、パターンおよび残膜が適正な厚みになるように調整される。また、パターンの粗密に合わせて液滴の間隔を不均一にすることが好ましい。
その他の条件については、特開2010−109092号公報の段落番号0103〜0115の記載を参酌できる。
【0131】
本発明のパターン形成方法によって形成されたパターンは、エッチングレジストとしても有用である。本発明に用いられる光硬化性組成物をエッチングレジストとして利用する場合には、まず、基材として例えばSiO2等の薄膜が形成されたシリコンウェハ等を用い、基材上にパターン形成方法によってナノオーダーの微細なパターンを形成する。その後、ウェットエッチングの場合にはフッ化水素等、ドライエッチングの場合にはCF4等のエッチングガスを用いてエッチングすることにより、基材上に所望のパターンを形成することができる。本発明に用いられる光硬化性組成物は、フッ化炭素等を用いるドライエッチングに対するエッチング耐性も良好であることが好ましい。
【実施例】
【0132】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0133】
(メンテナンス液の調整)
下記に示す化合物を下記表3に示す割合で配合してメンテナンス液を配合した。メンテナンス液に用いた重合性単量体(X4)〜(X6)、および硬化性組成物に用いた重合性単量体(M1)〜(M6)はメタノールに溶解させた後、孔径0.1μmのテトラフロロエチレンフィルターを用いてろ過しポリマー成分を除去、濃縮したものを用いた。これら重合性単量体を以下の条件でGPC測定を行ったところポリマー成分は観測されなかった。
(GPC条件)
Waters社製、2695セパレーションモジュールを用い、カラムとしてはShodex社製、KF−805を3本連結したものを用いた。溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速は40℃で1mL/minとした。検出器はRI検出器(WATERS社製、2414)またはレーザー光散乱検出器として多角度光散乱検出器(WyattTechnology社製、DAWN−EOS)に即時デジタル相関器(WyattQels)を接続し90度散乱光を観測した。
【0134】
【表1】

【0135】
粘度の測定は、東機産業(株)社製のRE−80L型回転粘度計を用い、25±0.2℃で測定した。
【0136】
(光硬化性組成物の調製)
下記に記載の重合性単量体、光重合開始剤、界面活性剤を表に示すような重量比で、合計100質量%となるように配合して、光硬化性組成物を調製した。
【0137】
<重合性単量体>
M1:ヘキサンジオールジアクリレート:大阪有機社製、V#230
M2:フェノキシエチルアクリレート:大阪有機社製、V#192
M3:1,3−ビス(アクリロキシメチル)ベンゼン:α,α’−ジクロロ−m−キシレンとアクリル酸より合成
M4:イソボルニルアクリレート:大阪有機社製、IBXA
M5:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート:新中村化学社製、NKエステルA−DCP
M6:パーフルオロヘキシルエチルアクリレート:関東化学社製
【0138】
<光重合開始剤>
P1:IRGACURE−379EG(チバ・スペシャルティ・ケミカルス社製)
P2:IRGACURE−OXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
【0139】
<界面活性剤>
W1:フッ素系界面活性剤(OMNOVA社製:PF−656)
W2:シリコーン系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製:メガファック31)
【0140】
【表2】

【0141】
<パターン形成性評価>
以下の方法に従い、下記表に示すメンテナンス液と光硬化組成物の組み合わせで、パターン形成を行い、パターン形成性評価を行った。また、本実験では、富士フイルムダイマティックス社製インクジェットヘッドSX3を用いた。
【0142】
インクジェットヘッドがメンテナンス液で充填された状態から光硬化性組成物に置換し、光硬化性組成物を充填した。メンテナンス液でノズル面洗浄したのち、シリコンウェハ上に光硬化性組成物を、インクジェットヘッドを用いて所定のピッチになるように打滴した。具体的には、以下の方法に従って行った。
【0143】
(メンテナンス液の充填)
図1に示す流路構成で、まず圧力コントローラーを、圧力30kPaに設定してメンテナンス液をインクジェットヘッドに供給した。このときインクジェットヘッドのOUT側のバルブを開放して、ヘッド内の気泡を十分排出した。OUT側から気泡が排出されなくなった段階で圧力コントローラーの圧力を0kPaにしてOUT側バルブを閉じた。さらに圧力コントローラーの圧力を10kPaに設定してノズルからメンテナンス液を吐出させた。全ノズルからの吐出を確認したのち、圧力を−0.75kPaに設定した。
圧力コントローラーは長野計器株式会社製PC71を利用した。また、ヘッドへの気泡混入を防ぐためにヘッドとメンテナンス液タンク、光硬化性組成物タンクとの間にDIC株式会社製脱気モジュールEF−G3を配した。
尚、図1中、1は光硬化性組成物側圧力コントローラーを、2はメンテナンス液側コントローラーを、3〜6はフィルタを、7は光硬化性組成物用タンクを、8はメンテナンス液用タンクを、9は三方弁を、10は気泡抜きを、11は廃液タンクを、12は脱気モジュールを、13はインクジェットヘッドを、14はインク受けを、15はバルブを、16は廃液タンクを、それぞれ示している。
【0144】
(光硬化性組成物の充填)
次に三方弁を切り替え、光硬化性組成物が保管されているタンクに接続している圧力コントローラーを動作させて光硬化性組成物をインクジェットヘッドに供給した。インクジェットヘッドのOUT側のバルブを開放して、圧力コントローラーを30kPaで動作させた。メンテナンス液と光硬化性組成物との間に気泡が入った場合には、気泡抜き用三方弁を切り替え、気泡がヘッドに入らないようにした。気泡がなくなった状態で三方弁を、光硬化性組成物をヘッドに供給できるように切り替えた。
メンテナンス液がヘッドOUT側から十分排出するだけの光硬化性組成物を押し流した。
ここでは200ml押し流した。この後、圧力コントローラーの圧力を0kPaにしてOUT側バルブを閉じ、さらに圧力コントローラの圧力を10kPaに設定してノズルからメンテナンス液、光硬化性組成物を吐出させた。ヘッド内メンテナンス液が十分排出するだけの量(20ml)を吐出したのち、全ノズルからの吐出を確認し、圧力を−0.75kPaに設定した。
【0145】
(ノズル面の洗浄)
本実施例で用いるインクジェットヘッドのノズルの洗浄以下のとおり行った。
図2に示すメンテナンス機構を利用してノズル洗浄を実施した。インクジェットヘッド21をノズル面20が払拭ユニット29、塗布ユニット27のメンテナンス液と接触可能なように下側へ下げ、図の矢印方向にインクジェットヘッド21を移動させた(図2(B)参照)。このとき、塗布ローラ25は、ヘッドユニット21の移動方向と同方向に回転しつつメンテナンス液トレイ26に貯留されたメンテナンス液28を巻き上げて、外面にメンテナンス液膜を形成した。また、巻出部31及び巻取部33は、ワイピングシート36がヘッド21の移動方向と逆方向に移動するように駆動された。
インクジェットヘッド21のノズル面20は、図2(A)の矢印方向へ向かって移動しつつ塗布ローラ25の上部に至り、塗布ローラ25の表面のメンテナンス液28に接触し、メンテナンス液28が塗布された。そして、メンテナンス液28が塗布された状態でさらに移動させた。このとき、ノズル面20に光硬化性組成物等が付着している場合は、メンテナンス液28により溶解される。そして、払拭ローラ部93上に至る。この位置で、ワイピングシート36がノズル面20に押し当てられ、メンテナンス液28により溶解された付着物Bがワイピングシート36により払拭された(図2(C)参照)。塗布ローラ25によるメンテナンス液28の塗布と、ワイピングシート36による払拭は連続的に行われ、ノズル面20全体の付着物Bが払拭された(図2(D)参照)。
塗布ロールの径をφ40mm、塗布ロールの回転数を600rpmとし、塗布ロール上に0.5mmのメンテナンス液膜を形成し、ヘッドの移動速度を80mm/sec、として、ノズル面にメンテナンス液を塗布した。ワイピングシートとしてトレシー(東レ)を用い、ヘッドとは逆方向に1.5mm/secで移動させて、ノズル面を払拭した。
ここで、図2において、Bは光硬化性組成物を、20はノズル面を、21はインクジェットヘッドを、22はメンテナンス部を、23は廃液トレイを、24は送出路を、25は塗布ローラを、26はトレイを、27は塗布ユニットを、28はメンテナンス液を、29は払拭ユニットを、30はワイピングシートを、31は巻出部を、32は 払拭ローラ部を、33は巻取部を、34は筐体を、35は上下動機構を、35Aは移動台を、36は搬送ローラを、それぞれ示している。
【0146】
(光硬化性組成物の打滴)
ノズル面洗浄の終わったインクジェットヘッドを用いて、シリコンウェハ上の光硬化性組成物を打滴した。
全ノズルの吐出を確認した後、ノズルあたり8plの液滴量で、ヘッドをX方向に走査させつつ、シリコンウェハ上に450μm間隔となるように、吐出タイミングを制御して光硬化性組成物を吐出した。X方向と垂直方向にも450μmピッチになるようにヘッドを回転させて実施した。ここで利用したインクジェットヘッドSX3のノズルが508umピッチであるので、ノズル並び方向とX方向が平行の状態から、62.4°回転させた。このイメージを図3に示す。
【0147】
(パターンの形成)
これに25nmのライン/スペース1/1を有し、溝深さが50nmのパターンを有し、表面がパーフロロポリエーテル構造を有するシランカップリング剤(ダイキン社製、オプツールDSX)で離型処理されたモールドを乗せ、窒素気流下1MPaの圧力でモールドを組成物に押し付けながら365nmの光を含有する水銀ランプ光にて、露光照度10mW/cm2、露光量200mJ/cm2で硬化させ、硬化後、ゆっくりモールドを剥がした。得られたパターンを走査型顕微鏡にて観察し、(I)直径1μm以上の範囲に渡ってパターン転写ができていない巨大なパターン欠陥、および、(II)パターンの欠け、倒れ、剥がれなどのパターン欠損を以下のように評価した。
【0148】
(I)直径1μm以上の範囲に渡ってパターン転写ができていない巨大なパターン欠陥
a:巨大なパターン欠陥が全く見られなかった
b:巨大なパターン欠陥がわずかに見られた。
c:巨大なパターン欠陥が多数見られた。
(II)パターンの欠け、倒れ、剥がれなどの微小なパターン欠損
A:パターンの欠損が全くみられなかった。
B:パターンの欠損がわずかに見られた。
C:パターンの欠損が多数見られた。
【0149】
【表3】

【0150】
本発明のメンテナンス液を用いてメンテナンスしたインクジェット装置を用いた場合、パターン形成性が高いことが分かった。メンテナンス液の種類がインプリント性に影響することは極めて驚くべきことである。
【符号の説明】
【0151】
1 光硬化性組成物側圧力コントローラー
2 メンテナンス液側コントローラー
3 フィルタ
4 フィルタ
5 フィルタ
6 フィルタ
7 光硬化性組成物用タンク
8 メンテナンス液用タンク
9 三方弁
10 気泡抜き
11 廃液タンク
12 脱気モジュール
13 インクジェットヘッド
14 インク受け
15 バルブ
16 廃液タンク
20 ノズル面
21 インクジェットヘッド
22 メンテナンス部
23 廃液トレイ
24 送出路
25 塗布ローラ
26 トレイ
27 塗布ユニット
28 メンテナンス液
29 払拭ユニット
30 ワイピングシート
31 巻出部
32 払拭ローラ部
33 巻取部
34 筐体
35 上下動機構
35A 移動台
36 搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性単量体を主成分とする光硬化性組成物を、基材上または微細パターンを有するモールド上に、インクジェット装置を用いて吐出し、光硬化性組成物を基材と微細パターンを有するモールドではさんだ状態で光照射することを含むパターン形成方法に用いるインクジェット装置のメンテナンス液であって、該メンテナンス液がエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を含有するメンテナンス液。
【請求項2】
前記メンテナンス液が重合性単量体を含有する、請求項1に記載のメンテナンス液。
【請求項3】
前記エステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物が、重合性単量体である、請求項1または2に記載のメンテナンス液。
【請求項4】
メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種が光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種と共通する、請求項2または3に記載のメンテナンス液。
【請求項5】
光硬化性組成物が(メタ)アクリレートを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項6】
光硬化性組成物が芳香族基および/または脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項7】
前記メンテナンス液に含まれる重合性単量体が、芳香族基および/または脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項8】
メンテナンス液に含まれる重合性単量体の少なくとも1種および光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の少なくとも1種が、それぞれ、芳香族基および/または脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項9】
光硬化性組成物に含まれる重合性単量体の99質量%以上が(メタ)アクリレートである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項10】
メンテナンス液の25℃における粘度が50mPa・s以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項11】
メンテナンス液がエステル官能基およびエーテル官能基の両方を有する化合物を含むか、エステル官能基を有する化合物とエーテル官能基を有する化合物の両方を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項12】
メンテナンス液の1気圧における沸点が150℃以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項13】
メンテナンス液がエステルおよび/またはエーテル官能基を有する化合物を50質量%以上含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のメンテナンス液の製造方法であって、メンテナンス液を構成する成分を配合した後、濾過をすることを含む、メンテナンス液の製造方法。
【請求項15】
重合性単量体を主成分とする光硬化性組成物を、基材上または微細パターンを有するモールド上に、インクジェット装置を用いて吐出し、光硬化性組成物を基材と微細パターンを有するモールドではさんだ状態で光照射することを含むパターン形成方法に用いるインクジェット装置の洗浄方法であって、請求項1〜13のいずれか1項に記載のメンテナンス液を用いることを特徴とする洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−31389(P2012−31389A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116598(P2011−116598)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】