メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法及び評価システム
【課題】メーキャップ化粧料を拭き取る効果を実際の使用場面に即しながら客観的に評価するための評価方法及び評価システムを提供する。
【解決手段】メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価する方法であって、前記拭き取り用具でメーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り工程(a)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得工程(b)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換工程(c)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化して表す数値化工程(d)と、を有し、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価する。
【解決手段】メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価する方法であって、前記拭き取り用具でメーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り工程(a)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得工程(b)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換工程(c)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化して表す数値化工程(d)と、を有し、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法及び評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マスカラや口紅等のメーキャップ化粧料は化粧くずれしにくい化粧料が望まれる一方、化粧を落とす際には化粧用コットンで手軽に化粧を拭き取ることができることが望まれており、特に、化粧用コットンに含浸させて使用するメーキャップリムーバーにおいては優れた化粧落とし効果を有する基剤の開発が期待されている。
【0003】
化粧落とし効果に優れたメーキャップリムーバーを開発するためには、メーキャップ化粧料を拭き取る効果を正確かつ客観的に評価することができる評価方法が必要であるとともに、消費者が実際の使用場面で満足できる機能を得るために消費者の使用態様に即した試験方法で評価することが好ましい。このため、通常は、メーキャップ化粧料を拭き取った化粧用コットンの表面を、経験豊富な研究者や美容技術者が目視観察して官能評価を行い、メーキャップ化粧料の落ち具合を評価する試験法が採用されている。
【0004】
しかしながら、このような官能評価は、評価のバラツキを完全に排除することは難しく、特に、マスカラ、口紅、エナメル等のメーキャップ化粧料は、多種多様な色調や質感を有しており、色調の相違等に左右されることなく、客観的に落ち具合を判断することは難しい。また、化粧用コットンに付着したメーキャップ化粧料の滲んだり掠れた箇所をどのように判定するかは個人差が生じ易くバラツキの要因となる。さらに、経験豊富な研究者および美容技術者を育成するには時間と手間を要するため、評価の難しさや煩雑さを回避することができない。
【0005】
したがって、メーキャップリムーバーの化粧落とし効果を実際の使用状況に即しながら的確に評価することができ、メーキャップリムーバーの研究開発を効率的に進めることができるとともに、店頭販売等において、消費者に好適なメーキャップリムーバーや化粧情報を提供することができる評価方法および評価システムの開発が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−188189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、メーキャップ化粧料を拭き取る効果を実際の使用場面に即しながら客観的に評価するための評価方法及び評価システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明者らが検討を行った結果、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析し、メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化して表すことにより、メーキャップ化粧料を拭き取る効果を客観的に評価し得る方法を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価する方法であって、前記拭き取り用具で前記メーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り工程(a)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得工程(b)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換工程(c)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化してして表す数値化工程(d)と、を有し、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0010】
さらに本発明は、前記数値化工程(d)が、前記メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(e)と、前記二値化処理工程(e)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化工程(f)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0011】
さらに本発明は、前記付着領域数値化工程(f)において、前記二値化処理工程(e)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を算出して数値化することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0012】
さらに本発明は、前記付着領域数値化工程(f)において、前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数から前記メーキャップ化粧料が付着した実面積を算出して数値化することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0013】
さらに本発明は、前記数値化工程(d)が、前記グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理工程(g)と、前記積算処理工程(g)により得られた明度の積算値から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(h)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0014】
さらに本発明は、前記数値化工程(d)が、前記メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(i)と、前記二値化処理工程(i)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測工程(j)と、前記粒子数計測工程(j)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(k)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0015】
さらに本発明は、前記拭き取り工程(a)において、前記メーキャップ化粧料をメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具で拭き取ることにより、前記メーキャップリムーバーによる前記メーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0016】
また本発明は、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価するシステムであって、前記拭き取り用具で前記メーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り手段(A)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得手段(B)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換手段(C)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化してして表す数値化手段(D)と、を備え、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0017】
さらに本発明は、前記数値化手段(D)が、前記メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理手段(E)と、前記二値化処理工程(E)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化手段(F)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0018】
さらに本発明は、前記付着領域数値化手段(F)において、前記二値化処理工程(E)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を算出して数値化することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0019】
さらに本発明は、前記付着領域数値化手段(F)において、前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数から前記メーキャップ化粧料が付着した実面積を算出して数値化することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0020】
さらに本発明は、前記数値化手段(D)が、前記グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理手段(G)と、前記積算処理手段(G)により得られた明度の積算値から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化手段(H)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0021】
さらに本発明は、前記数値化手段(D)が、前記メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理手段(I)と、前記二値化処理手段(I)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測手段(J)と、前記粒子数計測手段(J)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(K)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0022】
さらに本発明は、前記拭き取り手段(A)において、前記メーキャップ化粧料をメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具で拭き取ることにより、前記メーキャップリムーバーによる前記メーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法又は評価システムによれば、拭き取り用具により拭き取られるメーキャップ化粧料を数値化して表すことができ、メーキャップ化粧料の拭き取り効果を客観的に評価することができる。
【0024】
また、メーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具を使用してメーキャップ化粧料を拭き取り、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を本発明のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法又は評価システムを使用して拭き取り効果を評価することによりメーキャップリムーバーによるメーキャップ化粧料の拭き取り効果を評価することができる。
【0025】
メーキャップ化粧料を拭き取る際にメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具をどのくらいの時間、メーキャップ部分に当てて保持すべきかなど、化粧を落とすための適切な情報を得ることができ、店頭での商品情報として活用することができる。
【0026】
本発明のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法又は評価システムは、拭き取り効果の高いメーキャップリムーバーを開発するための評価方法として利用するだけでなく、落ちにくく化粧持ちの良いメーキャップ化粧料を開発するための評価にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムの概略構成を示すブロック図
【図2】メーキャップ化粧料の拭き取り操作を示す概念図((ア)化粧用コットンにリムーバーを塗布した状態、(イ)マスカラを化粧用コットンで拭き取る状態)
【図3】メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法の概念図
【図4】二値化処理した画像とメーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を示すグラフ
【図5】リムーバーを塗布した化粧用コットンを瞼の上に保持する時間を変化させた場合の拭き取り効果の変化を示す二値化処理した画像とメーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を示すグラフ
【図6】付着量数値化工程における明度の積算処理を示す概念図
【図7】メーキャップ化粧料に含有される粒子数を計測するための画像(二値化処理した画像と粒子数を計測した画像)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係るメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法およびそのシステムについて、図を参照して、以下に説明する。
【0029】
本発明は、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価する方法であって、メーキャップ化粧料を拭き取り用具で拭き取る拭き取り工程(a)と、メーキャップ化粧料が付着した拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得工程(b)と、取得した画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換工程(c)と、グレースケール画像データの各画素の明度からメーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化して表す数値化工程(d)と、有し、付着したメーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価するメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0030】
メーキャップ化粧料とは、消費者の肌等に美的効果と保護的効果を発揮し得る化粧料であり、例えば、マスカラ、口紅類、頬紅類、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、アイブロー、ネールエナメル、ネールトリートメント等の製品形態が挙げられる。剤型は、油性型、乳化型、固型、粉末、シート状、練状、液状、揮発性油剤型等があるが、本発明の評価方法によれば任意の剤型に対応することができる。ただし、本発明における画像解析のため、メーキャップ化粧料は画像として認識可能な有色であることが好ましい。また、有色であれば白色や金属光沢を有する色調等であってもかまわない。
【0031】
拭き取り用具は、メーキャップ化粧料を拭き取る際に使用するための用具であり、一般的には、コットン繊維やレーヨン繊維等からなる不織布を中綿として、クレンジング液やリムーバー液をよく吸収する化粧用コットンや化粧用パフ等をいうが、これに限定されるものではなく、メーキャップ化粧料の剤型等にあわせ材質あるいは形状等を適宜選定したものでよい。また、本来の用途が化粧を拭き取るものでなくても、メーキャップ化粧料を拭き取る用途として使用できるものは本発明の拭き取り用具に含まれる。尚、拭き取り用具は、メーキャップ化粧料が付着した領域が容易に認識できるようにメーキャップ化粧料とのコントラストを考慮して色調を適宜選択することが好ましい。例えば、濃い色調のメーキャップ化粧料の場合は、拭き取り用具は白色とし、淡い色の色調あるいは金属光沢を有するメーキャップ化粧料の場合には、拭き取り用具は黒色に近いものを選択し、コントラストを明確にすることが好ましい。
【0032】
メーキャップリムーバーはマスカラや口紅、アイライナー、アイカラーなどのメーキャップ化粧料を除去する目的で用いられるものであり、化粧用コットン等の拭き取り用具に塗布あるいは含浸して使用する。メーキャップリムーバーの性状は一般的に液状またはゲル状であり、剤型は油型、水中油型、油中水型等があるが、これに限定されるものではなく、任意に選定することができる。また、本来の用途がメーキャップを落とすものでなくても、メーキャップ化粧料を落とす用途として使用できるものは本発明においてメーキャップリムーバーに含まれる。
【0033】
拭き取り工程(a)は、拭き取り用具を使用してメーキャップ化粧料を拭き取るための工程である(図3(ア))。消費者の実際の使用場面に即し、メーキャップ化粧料を拭き取った拭き取り用具の表面を測定し評価することで、消費者にとって満足度が高いメーキャップリムーバーの開発が可能となる。消費者は拭き取り用具の表面を見てメーキャップ化粧料の拭き取り効果を判断することが多く、このような消費者が日常行う判断に対応した評価結果を得るためのものである。
【0034】
画像データ取得工程(b)では、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面から画像データを取得し、拭き取り用具の表面に付着したメーキャップ化粧料の状態を画像データとしてコンピューターに取り入れる。画像データは、拭き取り用具の表面をスキャニングして得られるか、あるいは、デジタルカメラで撮影するなどして得られもので、画像の濃淡や色の情報を数値化したデジタル画像データである(図3(イ))。尚、画像データはファイル形式の設定によりTIFF、BMP、JPEG等の種々の形式のものを適宜選択して適用することができる。
【0035】
画像変換工程(c)は、画像データ取得工程(b)で取得した画像データをグレースケール画像データに変換する工程である(図3(ウ))。画像データ取得工程(b)で取得した画像データは、色情報を有するもので、一般的には画素ごとのR(赤)、G(緑)、B(青)情報を含む形式であり、これらの色情報形式はコンピューター処理することで明度、色相、彩度の色の三要素を含む形式などに相互に変換することができる。例えば、RGB値から明度(V)への変換は、V=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式により行うことができ、明度(V)をもって、画像データをグレースケール画像データに変換することができる。
【0036】
数値化工程(d)は、変換されたグレースケール画像データの各画素の明度から、メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表すか、あるいはメーキャップ化粧料が付着した量を数値化して表すための工程である。
【0037】
メーキャップ化粧料が付着した領域の数値化は、メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(e)と、二値化処理された画像データからメーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化工程(f)を経ることにより行うことができる。
【0038】
二値化処理工程(e)は、拭き取り用具の表面とメーキャップ化粧料とを区別するための閾値を明度について設定し画素ごとに判別することにより、画像データをメーキャップ化粧料が存在する領域と存在しない領域とに区分けするものである(図3(エ))。
【0039】
例えば、メーキャップ化粧料がマスカラのように濃い色の化粧料である場合には、明度の閾値を例えばV=175とし、175以下の領域をメーキャップ化粧料が付着している領域として識別することができるが、逆に、メーキャップ化粧料がリップグロスなどのように、薄い色の化粧料である場合には、拭き取り用具を濃い色のものを使用し、メーキャップ化粧料と拭き取り用具のコントラストを明確にしておき、明度が閾値より高い部分をメーキャップ化粧料が付着している領域として認識することができる。
【0040】
メーキャップ化粧料がリップグロスなどのような薄い色の化粧料を薄い色の拭き取り用具で拭き取る場合のように、メーキャップ化粧料の基剤の色と拭き取り用具の色とのコントラストが明確とならないような場合であっても、メーキャップ化粧料が比較的大きい粒径のラメ材やパール剤を含有する場合には、ラメ材やパール剤を判別し得る閾値を設定することにより、ラメ材やパール剤の存在する領域を検出することができ、これによりメーキャップ化粧料が付着している領域を認識することができる。
【0041】
メーキャップ化粧料の色調や質感にあわせて最適な閾値を設定しておくことにより、色調等に影響されることなく拭き取り量の評価を客観的に行うことができる。また、拭き取った後の掠れたり滲んだりした部分についてメーキャップ化粧料の付着量をバラツキなく評価することができる。メーキャップ化粧料の色調、質感にあわせて細かく閾値を設定することにより精度の高い画像解析が可能となる。
【0042】
付着領域数値化工程(f)は、二値化処理した画像からメーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表示する工程である(図3(オ))。これにより客観的な拭き取り効果の評価が可能となる。メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化する方法としては、付着領域の面積を画素数を用いて表示する方法や画素数から換算される実面積を表示する方法がある。
【0043】
付着領域数値化工程(f)では、メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数や実面積の数値をもってメーキャップ化粧料の付着領域を表すことができるが、数値による表示だけに限らず、例えば、画素数や実面積等の数値を段階に分けてランク付けを行い、ランクを表示することによってメーキャップ化粧料の付着領域を表示してもよい。
【0044】
このような画素数を用いた面積による評価は、消費者の化粧落ち効果を評価する際の感覚に即したものである。したがって、本発明の拭き取り効果の評価方法およびそのシステムを用いて得た評価結果は、単に再現性、簡易性、迅速性等に優れるのみでなく、消費者の評価実感に即した評価指標として利用価値が高い。尚、これらの画像解析は市販の画像解析ソフトを使用しても行うことができる。
【0045】
メーキャップ化粧料が付着した量の数値化は、グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理工程(g)と、積算処理した明度の数値からメーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(h)を経ることにより行うことができる(図6)。
【0046】
例えば、メーキャップ化粧料がマスカラのように濃い色の化粧料である場合には、グレースケール画像データの各画素の明度を積算した数値が小さい方が、より多くメーキャップ化粧料が付着していると認識することができる。逆に、メーキャップ化粧料がリップグロスなどのように、薄い色の化粧料である場合には、コントラストを明確にするため、濃い色の拭き取り用具を使用してメーキャップ化粧料を拭き取るが、この場合には、明度を積算した数値が大きいほど、メーキャップ化粧料をより多く拭き取ることができたと認識することができる。
【0047】
積算処理工程(g)は、グレースケール画像の全体に亘って各画素の明度を積算して行うが、グレースケール画像データを予め二値化処理することにより、メーキャップ化粧料が付着している領域を抽出し、かかる領域について明度を積算して行うこともできる。このような操作を行うことにより、例えば、化粧料が付着していない領域の拭き取り用具のシワや撚れによって生じた影が、明度の積算において誤差となって影響を及ぼすことを防止でき、より精度の高い評価を行うことが可能となる。
【0048】
付着量数値化工程(h)は、積算処理工程で積算した数値をもってメーキャップ化粧料の付着量を表すことができるが、数値による表示だけに限らず、例えば、積算した数値を段階に分けてランク付けを行い、ランクを表示することによってメーキャップ化粧料の付着量を表示してもよい。
【0049】
また、メーキャップ化粧料が付着した量の数値化は、前記の数値化工程(d)が、メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(i)と、当該二値化処理工程(i)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測工程(j)と、当該粒子数計測工程(j)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(k)を経ることによっても行うことができる。
【0050】
メーキャップ化粧料には、通常、メーキャップ効果を高めるためにラメ材やパール剤等の粒子が配合されるため、拭き取られたメーキャップ化粧料の量は、拭き取り用具に付着したラメ材やパール剤の粒子数を計測することによっても評価することができる。この場合、ラメ材等を判別し得る閾値で画像を二値化処理することで粒子が存在する領域を特定し、さらに二値化処理した画像について粒子解析を行うことで粒子が重なった状態で存在する部分も粒子ごとに分離して計測し正確な粒子数を求めることができる(図7)。粒子解析は、市販の粒子解析ソフトを用いて行うことができる。
【0051】
また本発明は、図1に示すように、拭き取り手段(A)と、画像データ取得手段(B)と、画像変換手段(C)と、数値化手段(D)と、を備え、数値化手段(D)は、二値化処理手段(E)と付着領域数値化手段(F)、又は積算処理手段(G)と付着量数値化手段(H)からなり、前記拭き取り効果の評価方法における各工程を実施することを可能とする拭き取り効果の評価システム(10)である。
【実施例】
【0052】
本発明の拭き取り効果の評価方法による試験例を以下に示す。
【0053】
4種類のマスカラ(製品A〜D)を上睫毛に30回塗布し乾燥させた後、マスカラリムーバーを1ml含浸させた化粧用コットン(図2(ア))を10秒間押し当て、下方に滑らせるようにしてマスカラを拭き取った(図2(イ))。
【0054】
拭き取った化粧用コットンの表面は、スキャニングにより画像の濃淡や色の情報を数値化したデジタル画像データとしてコンピュータに取り入れた(図3(ア)(イ))。本実施例では、サンプル間での比較を行うために、スケール(1ピクセルあたりの長さ)を一定とし、7.87ピクセル/mmのスケールにて、591×352ピクセルの画像を取得した。
【0055】
画像データは、画素ごとのR、G、B情報を含む形式であるが、これらの色情報形式はコンピューター処理することで新たに定義される、明度、色相、彩度の色の三要素に変換することができる。
【0056】
RGB値から明度(V)への変換は、V=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式により行うことができる。この明度(V)により、画像データをグレースケール画像データに変換した(図3(ウ))。
【0057】
マスカラとコットンの表面とを識別するための閾値をV=175としてグレースケール画像を二値化処理すると、175以下の領域はメーキャップ化粧料が付着している領域として識別され抽出することができる(図3(エ))。
【0058】
図4に示すように、二値化処理する前の画像(グレースケール画像)では、4種類のマスカラの拭き取り効果を客観的に評価することは困難であるが、二値化処理し、更にマスカラが付着した領域を画素数で表すと4種類のマスカラについて的確に付着量を評価することができる。本実施例では、グラフに示すように製品Dが最も落とし易く、製品Cが最も落ちにくいことが確認された。また、マスカラが付着した領域は、画素数として数値化するだけでなく、実面積として数値化して表示することもできる。例えば、図4中の製品Dのマスカラが付着した領域は、約36000画素であるが、これを換算し実面積約581.2mm2として表示することもできる。
【0059】
また、二値化処理は行わず、グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理し、積算処理した明度の数値からメーキャップ化粧料の付着量を数値化して表すことにより、メーキャップ化粧料の拭き取り効果を評価してもよい(図6)。
【0060】
本実施例は、4種類のマスカラに対して同一のマスカラリムーバーを使用し、マスカラの落ちやすさについて評価した結果であるが、マスカラを同一にして、数種類のマスカラリムーバーを使用して拭き取った際の化粧用コットンの表面を画像解析すれば、マスカラリムーバーによる化粧落とし効果の評価法として利用することができる。
【0061】
また、図5は、マスカラリムーバーを含浸した化粧用コットンを押し当てる時間(保持時間)を変化させた場合の拭き取り効果を表したものである。二値化処理する前の画像(元画像)では、保持時間によるマスカラの拭き取り効果を判断することは困難であるが、二値化処理した後、マスカラが付着した領域を画素数で表すと保持時間の変化による拭き取り効果の変化を見ることができ、グラフからは、保持時間を40秒以上とすれば十分な拭き取り効果が得られることを確認することができた。
【符号の説明】
【0062】
10 メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム
11 拭き取り手段(A)
12 画像データ取得手段(B)
13 画像変換手段(C)
14 数値化手段(D)
15 出力手段
16 二値化処理手段(E)
17 付着領域数値化手段(F)
18 積算処理手段(G)
19 付着量数値化手段(H)
20 二値化処理手段(I)
21 粒子数計測手段(J)
22 付着量数値化手段(K)
【技術分野】
【0001】
本発明は、メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法及び評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マスカラや口紅等のメーキャップ化粧料は化粧くずれしにくい化粧料が望まれる一方、化粧を落とす際には化粧用コットンで手軽に化粧を拭き取ることができることが望まれており、特に、化粧用コットンに含浸させて使用するメーキャップリムーバーにおいては優れた化粧落とし効果を有する基剤の開発が期待されている。
【0003】
化粧落とし効果に優れたメーキャップリムーバーを開発するためには、メーキャップ化粧料を拭き取る効果を正確かつ客観的に評価することができる評価方法が必要であるとともに、消費者が実際の使用場面で満足できる機能を得るために消費者の使用態様に即した試験方法で評価することが好ましい。このため、通常は、メーキャップ化粧料を拭き取った化粧用コットンの表面を、経験豊富な研究者や美容技術者が目視観察して官能評価を行い、メーキャップ化粧料の落ち具合を評価する試験法が採用されている。
【0004】
しかしながら、このような官能評価は、評価のバラツキを完全に排除することは難しく、特に、マスカラ、口紅、エナメル等のメーキャップ化粧料は、多種多様な色調や質感を有しており、色調の相違等に左右されることなく、客観的に落ち具合を判断することは難しい。また、化粧用コットンに付着したメーキャップ化粧料の滲んだり掠れた箇所をどのように判定するかは個人差が生じ易くバラツキの要因となる。さらに、経験豊富な研究者および美容技術者を育成するには時間と手間を要するため、評価の難しさや煩雑さを回避することができない。
【0005】
したがって、メーキャップリムーバーの化粧落とし効果を実際の使用状況に即しながら的確に評価することができ、メーキャップリムーバーの研究開発を効率的に進めることができるとともに、店頭販売等において、消費者に好適なメーキャップリムーバーや化粧情報を提供することができる評価方法および評価システムの開発が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−188189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、メーキャップ化粧料を拭き取る効果を実際の使用場面に即しながら客観的に評価するための評価方法及び評価システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明者らが検討を行った結果、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析し、メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化して表すことにより、メーキャップ化粧料を拭き取る効果を客観的に評価し得る方法を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価する方法であって、前記拭き取り用具で前記メーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り工程(a)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得工程(b)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換工程(c)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化してして表す数値化工程(d)と、を有し、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0010】
さらに本発明は、前記数値化工程(d)が、前記メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(e)と、前記二値化処理工程(e)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化工程(f)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0011】
さらに本発明は、前記付着領域数値化工程(f)において、前記二値化処理工程(e)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を算出して数値化することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0012】
さらに本発明は、前記付着領域数値化工程(f)において、前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数から前記メーキャップ化粧料が付着した実面積を算出して数値化することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0013】
さらに本発明は、前記数値化工程(d)が、前記グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理工程(g)と、前記積算処理工程(g)により得られた明度の積算値から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(h)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0014】
さらに本発明は、前記数値化工程(d)が、前記メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(i)と、前記二値化処理工程(i)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測工程(j)と、前記粒子数計測工程(j)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(k)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0015】
さらに本発明は、前記拭き取り工程(a)において、前記メーキャップ化粧料をメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具で拭き取ることにより、前記メーキャップリムーバーによる前記メーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0016】
また本発明は、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価するシステムであって、前記拭き取り用具で前記メーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り手段(A)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得手段(B)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換手段(C)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化してして表す数値化手段(D)と、を備え、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0017】
さらに本発明は、前記数値化手段(D)が、前記メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理手段(E)と、前記二値化処理工程(E)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化手段(F)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0018】
さらに本発明は、前記付着領域数値化手段(F)において、前記二値化処理工程(E)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を算出して数値化することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0019】
さらに本発明は、前記付着領域数値化手段(F)において、前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数から前記メーキャップ化粧料が付着した実面積を算出して数値化することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0020】
さらに本発明は、前記数値化手段(D)が、前記グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理手段(G)と、前記積算処理手段(G)により得られた明度の積算値から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化手段(H)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【0021】
さらに本発明は、前記数値化手段(D)が、前記メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理手段(I)と、前記二値化処理手段(I)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測手段(J)と、前記粒子数計測手段(J)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(K)と、からなることを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0022】
さらに本発明は、前記拭き取り手段(A)において、前記メーキャップ化粧料をメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具で拭き取ることにより、前記メーキャップリムーバーによる前記メーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法又は評価システムによれば、拭き取り用具により拭き取られるメーキャップ化粧料を数値化して表すことができ、メーキャップ化粧料の拭き取り効果を客観的に評価することができる。
【0024】
また、メーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具を使用してメーキャップ化粧料を拭き取り、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を本発明のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法又は評価システムを使用して拭き取り効果を評価することによりメーキャップリムーバーによるメーキャップ化粧料の拭き取り効果を評価することができる。
【0025】
メーキャップ化粧料を拭き取る際にメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具をどのくらいの時間、メーキャップ部分に当てて保持すべきかなど、化粧を落とすための適切な情報を得ることができ、店頭での商品情報として活用することができる。
【0026】
本発明のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法又は評価システムは、拭き取り効果の高いメーキャップリムーバーを開発するための評価方法として利用するだけでなく、落ちにくく化粧持ちの良いメーキャップ化粧料を開発するための評価にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システムの概略構成を示すブロック図
【図2】メーキャップ化粧料の拭き取り操作を示す概念図((ア)化粧用コットンにリムーバーを塗布した状態、(イ)マスカラを化粧用コットンで拭き取る状態)
【図3】メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法の概念図
【図4】二値化処理した画像とメーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を示すグラフ
【図5】リムーバーを塗布した化粧用コットンを瞼の上に保持する時間を変化させた場合の拭き取り効果の変化を示す二値化処理した画像とメーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を示すグラフ
【図6】付着量数値化工程における明度の積算処理を示す概念図
【図7】メーキャップ化粧料に含有される粒子数を計測するための画像(二値化処理した画像と粒子数を計測した画像)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係るメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法およびそのシステムについて、図を参照して、以下に説明する。
【0029】
本発明は、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価する方法であって、メーキャップ化粧料を拭き取り用具で拭き取る拭き取り工程(a)と、メーキャップ化粧料が付着した拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得工程(b)と、取得した画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換工程(c)と、グレースケール画像データの各画素の明度からメーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化して表す数値化工程(d)と、有し、付着したメーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価するメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法である。
【0030】
メーキャップ化粧料とは、消費者の肌等に美的効果と保護的効果を発揮し得る化粧料であり、例えば、マスカラ、口紅類、頬紅類、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、アイブロー、ネールエナメル、ネールトリートメント等の製品形態が挙げられる。剤型は、油性型、乳化型、固型、粉末、シート状、練状、液状、揮発性油剤型等があるが、本発明の評価方法によれば任意の剤型に対応することができる。ただし、本発明における画像解析のため、メーキャップ化粧料は画像として認識可能な有色であることが好ましい。また、有色であれば白色や金属光沢を有する色調等であってもかまわない。
【0031】
拭き取り用具は、メーキャップ化粧料を拭き取る際に使用するための用具であり、一般的には、コットン繊維やレーヨン繊維等からなる不織布を中綿として、クレンジング液やリムーバー液をよく吸収する化粧用コットンや化粧用パフ等をいうが、これに限定されるものではなく、メーキャップ化粧料の剤型等にあわせ材質あるいは形状等を適宜選定したものでよい。また、本来の用途が化粧を拭き取るものでなくても、メーキャップ化粧料を拭き取る用途として使用できるものは本発明の拭き取り用具に含まれる。尚、拭き取り用具は、メーキャップ化粧料が付着した領域が容易に認識できるようにメーキャップ化粧料とのコントラストを考慮して色調を適宜選択することが好ましい。例えば、濃い色調のメーキャップ化粧料の場合は、拭き取り用具は白色とし、淡い色の色調あるいは金属光沢を有するメーキャップ化粧料の場合には、拭き取り用具は黒色に近いものを選択し、コントラストを明確にすることが好ましい。
【0032】
メーキャップリムーバーはマスカラや口紅、アイライナー、アイカラーなどのメーキャップ化粧料を除去する目的で用いられるものであり、化粧用コットン等の拭き取り用具に塗布あるいは含浸して使用する。メーキャップリムーバーの性状は一般的に液状またはゲル状であり、剤型は油型、水中油型、油中水型等があるが、これに限定されるものではなく、任意に選定することができる。また、本来の用途がメーキャップを落とすものでなくても、メーキャップ化粧料を落とす用途として使用できるものは本発明においてメーキャップリムーバーに含まれる。
【0033】
拭き取り工程(a)は、拭き取り用具を使用してメーキャップ化粧料を拭き取るための工程である(図3(ア))。消費者の実際の使用場面に即し、メーキャップ化粧料を拭き取った拭き取り用具の表面を測定し評価することで、消費者にとって満足度が高いメーキャップリムーバーの開発が可能となる。消費者は拭き取り用具の表面を見てメーキャップ化粧料の拭き取り効果を判断することが多く、このような消費者が日常行う判断に対応した評価結果を得るためのものである。
【0034】
画像データ取得工程(b)では、メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面から画像データを取得し、拭き取り用具の表面に付着したメーキャップ化粧料の状態を画像データとしてコンピューターに取り入れる。画像データは、拭き取り用具の表面をスキャニングして得られるか、あるいは、デジタルカメラで撮影するなどして得られもので、画像の濃淡や色の情報を数値化したデジタル画像データである(図3(イ))。尚、画像データはファイル形式の設定によりTIFF、BMP、JPEG等の種々の形式のものを適宜選択して適用することができる。
【0035】
画像変換工程(c)は、画像データ取得工程(b)で取得した画像データをグレースケール画像データに変換する工程である(図3(ウ))。画像データ取得工程(b)で取得した画像データは、色情報を有するもので、一般的には画素ごとのR(赤)、G(緑)、B(青)情報を含む形式であり、これらの色情報形式はコンピューター処理することで明度、色相、彩度の色の三要素を含む形式などに相互に変換することができる。例えば、RGB値から明度(V)への変換は、V=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式により行うことができ、明度(V)をもって、画像データをグレースケール画像データに変換することができる。
【0036】
数値化工程(d)は、変換されたグレースケール画像データの各画素の明度から、メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表すか、あるいはメーキャップ化粧料が付着した量を数値化して表すための工程である。
【0037】
メーキャップ化粧料が付着した領域の数値化は、メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(e)と、二値化処理された画像データからメーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化工程(f)を経ることにより行うことができる。
【0038】
二値化処理工程(e)は、拭き取り用具の表面とメーキャップ化粧料とを区別するための閾値を明度について設定し画素ごとに判別することにより、画像データをメーキャップ化粧料が存在する領域と存在しない領域とに区分けするものである(図3(エ))。
【0039】
例えば、メーキャップ化粧料がマスカラのように濃い色の化粧料である場合には、明度の閾値を例えばV=175とし、175以下の領域をメーキャップ化粧料が付着している領域として識別することができるが、逆に、メーキャップ化粧料がリップグロスなどのように、薄い色の化粧料である場合には、拭き取り用具を濃い色のものを使用し、メーキャップ化粧料と拭き取り用具のコントラストを明確にしておき、明度が閾値より高い部分をメーキャップ化粧料が付着している領域として認識することができる。
【0040】
メーキャップ化粧料がリップグロスなどのような薄い色の化粧料を薄い色の拭き取り用具で拭き取る場合のように、メーキャップ化粧料の基剤の色と拭き取り用具の色とのコントラストが明確とならないような場合であっても、メーキャップ化粧料が比較的大きい粒径のラメ材やパール剤を含有する場合には、ラメ材やパール剤を判別し得る閾値を設定することにより、ラメ材やパール剤の存在する領域を検出することができ、これによりメーキャップ化粧料が付着している領域を認識することができる。
【0041】
メーキャップ化粧料の色調や質感にあわせて最適な閾値を設定しておくことにより、色調等に影響されることなく拭き取り量の評価を客観的に行うことができる。また、拭き取った後の掠れたり滲んだりした部分についてメーキャップ化粧料の付着量をバラツキなく評価することができる。メーキャップ化粧料の色調、質感にあわせて細かく閾値を設定することにより精度の高い画像解析が可能となる。
【0042】
付着領域数値化工程(f)は、二値化処理した画像からメーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表示する工程である(図3(オ))。これにより客観的な拭き取り効果の評価が可能となる。メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化する方法としては、付着領域の面積を画素数を用いて表示する方法や画素数から換算される実面積を表示する方法がある。
【0043】
付着領域数値化工程(f)では、メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数や実面積の数値をもってメーキャップ化粧料の付着領域を表すことができるが、数値による表示だけに限らず、例えば、画素数や実面積等の数値を段階に分けてランク付けを行い、ランクを表示することによってメーキャップ化粧料の付着領域を表示してもよい。
【0044】
このような画素数を用いた面積による評価は、消費者の化粧落ち効果を評価する際の感覚に即したものである。したがって、本発明の拭き取り効果の評価方法およびそのシステムを用いて得た評価結果は、単に再現性、簡易性、迅速性等に優れるのみでなく、消費者の評価実感に即した評価指標として利用価値が高い。尚、これらの画像解析は市販の画像解析ソフトを使用しても行うことができる。
【0045】
メーキャップ化粧料が付着した量の数値化は、グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理工程(g)と、積算処理した明度の数値からメーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(h)を経ることにより行うことができる(図6)。
【0046】
例えば、メーキャップ化粧料がマスカラのように濃い色の化粧料である場合には、グレースケール画像データの各画素の明度を積算した数値が小さい方が、より多くメーキャップ化粧料が付着していると認識することができる。逆に、メーキャップ化粧料がリップグロスなどのように、薄い色の化粧料である場合には、コントラストを明確にするため、濃い色の拭き取り用具を使用してメーキャップ化粧料を拭き取るが、この場合には、明度を積算した数値が大きいほど、メーキャップ化粧料をより多く拭き取ることができたと認識することができる。
【0047】
積算処理工程(g)は、グレースケール画像の全体に亘って各画素の明度を積算して行うが、グレースケール画像データを予め二値化処理することにより、メーキャップ化粧料が付着している領域を抽出し、かかる領域について明度を積算して行うこともできる。このような操作を行うことにより、例えば、化粧料が付着していない領域の拭き取り用具のシワや撚れによって生じた影が、明度の積算において誤差となって影響を及ぼすことを防止でき、より精度の高い評価を行うことが可能となる。
【0048】
付着量数値化工程(h)は、積算処理工程で積算した数値をもってメーキャップ化粧料の付着量を表すことができるが、数値による表示だけに限らず、例えば、積算した数値を段階に分けてランク付けを行い、ランクを表示することによってメーキャップ化粧料の付着量を表示してもよい。
【0049】
また、メーキャップ化粧料が付着した量の数値化は、前記の数値化工程(d)が、メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(i)と、当該二値化処理工程(i)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測工程(j)と、当該粒子数計測工程(j)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(k)を経ることによっても行うことができる。
【0050】
メーキャップ化粧料には、通常、メーキャップ効果を高めるためにラメ材やパール剤等の粒子が配合されるため、拭き取られたメーキャップ化粧料の量は、拭き取り用具に付着したラメ材やパール剤の粒子数を計測することによっても評価することができる。この場合、ラメ材等を判別し得る閾値で画像を二値化処理することで粒子が存在する領域を特定し、さらに二値化処理した画像について粒子解析を行うことで粒子が重なった状態で存在する部分も粒子ごとに分離して計測し正確な粒子数を求めることができる(図7)。粒子解析は、市販の粒子解析ソフトを用いて行うことができる。
【0051】
また本発明は、図1に示すように、拭き取り手段(A)と、画像データ取得手段(B)と、画像変換手段(C)と、数値化手段(D)と、を備え、数値化手段(D)は、二値化処理手段(E)と付着領域数値化手段(F)、又は積算処理手段(G)と付着量数値化手段(H)からなり、前記拭き取り効果の評価方法における各工程を実施することを可能とする拭き取り効果の評価システム(10)である。
【実施例】
【0052】
本発明の拭き取り効果の評価方法による試験例を以下に示す。
【0053】
4種類のマスカラ(製品A〜D)を上睫毛に30回塗布し乾燥させた後、マスカラリムーバーを1ml含浸させた化粧用コットン(図2(ア))を10秒間押し当て、下方に滑らせるようにしてマスカラを拭き取った(図2(イ))。
【0054】
拭き取った化粧用コットンの表面は、スキャニングにより画像の濃淡や色の情報を数値化したデジタル画像データとしてコンピュータに取り入れた(図3(ア)(イ))。本実施例では、サンプル間での比較を行うために、スケール(1ピクセルあたりの長さ)を一定とし、7.87ピクセル/mmのスケールにて、591×352ピクセルの画像を取得した。
【0055】
画像データは、画素ごとのR、G、B情報を含む形式であるが、これらの色情報形式はコンピューター処理することで新たに定義される、明度、色相、彩度の色の三要素に変換することができる。
【0056】
RGB値から明度(V)への変換は、V=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式により行うことができる。この明度(V)により、画像データをグレースケール画像データに変換した(図3(ウ))。
【0057】
マスカラとコットンの表面とを識別するための閾値をV=175としてグレースケール画像を二値化処理すると、175以下の領域はメーキャップ化粧料が付着している領域として識別され抽出することができる(図3(エ))。
【0058】
図4に示すように、二値化処理する前の画像(グレースケール画像)では、4種類のマスカラの拭き取り効果を客観的に評価することは困難であるが、二値化処理し、更にマスカラが付着した領域を画素数で表すと4種類のマスカラについて的確に付着量を評価することができる。本実施例では、グラフに示すように製品Dが最も落とし易く、製品Cが最も落ちにくいことが確認された。また、マスカラが付着した領域は、画素数として数値化するだけでなく、実面積として数値化して表示することもできる。例えば、図4中の製品Dのマスカラが付着した領域は、約36000画素であるが、これを換算し実面積約581.2mm2として表示することもできる。
【0059】
また、二値化処理は行わず、グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理し、積算処理した明度の数値からメーキャップ化粧料の付着量を数値化して表すことにより、メーキャップ化粧料の拭き取り効果を評価してもよい(図6)。
【0060】
本実施例は、4種類のマスカラに対して同一のマスカラリムーバーを使用し、マスカラの落ちやすさについて評価した結果であるが、マスカラを同一にして、数種類のマスカラリムーバーを使用して拭き取った際の化粧用コットンの表面を画像解析すれば、マスカラリムーバーによる化粧落とし効果の評価法として利用することができる。
【0061】
また、図5は、マスカラリムーバーを含浸した化粧用コットンを押し当てる時間(保持時間)を変化させた場合の拭き取り効果を表したものである。二値化処理する前の画像(元画像)では、保持時間によるマスカラの拭き取り効果を判断することは困難であるが、二値化処理した後、マスカラが付着した領域を画素数で表すと保持時間の変化による拭き取り効果の変化を見ることができ、グラフからは、保持時間を40秒以上とすれば十分な拭き取り効果が得られることを確認することができた。
【符号の説明】
【0062】
10 メーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム
11 拭き取り手段(A)
12 画像データ取得手段(B)
13 画像変換手段(C)
14 数値化手段(D)
15 出力手段
16 二値化処理手段(E)
17 付着領域数値化手段(F)
18 積算処理手段(G)
19 付着量数値化手段(H)
20 二値化処理手段(I)
21 粒子数計測手段(J)
22 付着量数値化手段(K)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価する方法であって、前記拭き取り用具で前記メーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り工程(a)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得工程(b)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換工程(c)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化してして表す数値化工程(d)と、を有し、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項2】
前記数値化工程(d)が、前記メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(e)と、前記二値化処理工程(e)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化工程(f)と、からなることを特徴とする請求項1記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項3】
前記付着領域数値化工程(f)において、前記二値化処理工程(e)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を算出して数値化することを特徴とする請求項2記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項4】
前記付着領域数値化工程(f)において、前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数から前記メーキャップ化粧料が付着した実面積を算出して数値化することを特徴とする請求項3記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項5】
前記数値化工程(d)が、前記グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理工程(g)と、前記積算処理工程(g)により得られた明度の積算値から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(h)と、からなることを特徴とする請求項1記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項6】
前記数値化工程(d)が、前記メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(i)と、前記二値化処理工程(i)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測工程(j)と、前記粒子数計測工程(j)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(k)と、からなることを特徴とする請求項1記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項7】
前記拭き取り工程(a)において、前記メーキャップ化粧料をメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具で拭き取ることにより、前記メーキャップリムーバーによる前記メーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価することを特徴とする請求項1乃至6記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項8】
メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価するシステムであって、前記拭き取り用具で前記メーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り手段(A)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得手段(B)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換手段(C)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化してして表す数値化手段(D)と、を備え、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項9】
前記数値化手段(D)が、前記メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理手段(E)と、前記二値化処理工程(E)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化手段(F)と、からなることを特徴とする請求項8記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項10】
前記付着領域数値化手段(F)において、前記二値化処理工程(E)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を算出して数値化することを特徴とする請求項9記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項11】
前記付着領域数値化手段(F)において、前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数から前記メーキャップ化粧料が付着した実面積を算出して数値化することを特徴とする請求項10記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項12】
前記数値化手段(D)が、前記グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理手段(G)と、前記積算処理手段(G)により得られた明度の積算値から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化手段(H)と、からなることを特徴とする請求項8記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項13】
前記数値化手段(D)が、前記メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理手段(I)と、前記二値化処理手段(I)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測手段(J)と、前記粒子数計測手段(J)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化手段(K)と、からなることを特徴とする請求項8記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項14】
前記拭き取り手段(A)において、前記メーキャップ化粧料をメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具で拭き取ることにより、前記メーキャップリムーバーによる前記メーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価することを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項1】
メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価する方法であって、前記拭き取り用具で前記メーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り工程(a)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得工程(b)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換工程(c)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化してして表す数値化工程(d)と、を有し、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項2】
前記数値化工程(d)が、前記メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(e)と、前記二値化処理工程(e)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化工程(f)と、からなることを特徴とする請求項1記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項3】
前記付着領域数値化工程(f)において、前記二値化処理工程(e)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を算出して数値化することを特徴とする請求項2記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項4】
前記付着領域数値化工程(f)において、前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数から前記メーキャップ化粧料が付着した実面積を算出して数値化することを特徴とする請求項3記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項5】
前記数値化工程(d)が、前記グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理工程(g)と、前記積算処理工程(g)により得られた明度の積算値から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(h)と、からなることを特徴とする請求項1記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項6】
前記数値化工程(d)が、前記メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理工程(i)と、前記二値化処理工程(i)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測工程(j)と、前記粒子数計測工程(j)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化工程(k)と、からなることを特徴とする請求項1記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項7】
前記拭き取り工程(a)において、前記メーキャップ化粧料をメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具で拭き取ることにより、前記メーキャップリムーバーによる前記メーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価することを特徴とする請求項1乃至6記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項8】
メーキャップ化粧料を拭き取った後の拭き取り用具の表面を画像解析することによりメーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価するシステムであって、前記拭き取り用具で前記メーキャップ化粧料を拭き取る拭き取り手段(A)と、前記メーキャップ化粧料が付着した前記拭き取り用具の表面から画像データを取得する画像データ取得手段(B)と、取得した前記画像データを該画像データから得られる色情報に基づいてグレースケール画像データに変換する画像変換手段(C)と、前記グレースケール画像データの各画素の明度から、前記メーキャップ化粧料が付着した領域又は量を数値化してして表す数値化手段(D)と、を備え、付着した前記メーキャップ化粧料の領域又は量を数値で表すことにより拭き取り効果を評価することを特徴とするメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項9】
前記数値化手段(D)が、前記メーキャップ化粧料を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理手段(E)と、前記二値化処理工程(E)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域を数値化して表す付着領域数値化手段(F)と、からなることを特徴とする請求項8記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項10】
前記付着領域数値化手段(F)において、前記二値化処理工程(E)により得られた画像データから前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数を算出して数値化することを特徴とする請求項9記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項11】
前記付着領域数値化手段(F)において、前記メーキャップ化粧料が付着した領域の画素数から前記メーキャップ化粧料が付着した実面積を算出して数値化することを特徴とする請求項10記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項12】
前記数値化手段(D)が、前記グレースケール画像データの各画素の明度を積算処理する積算処理手段(G)と、前記積算処理手段(G)により得られた明度の積算値から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化手段(H)と、からなることを特徴とする請求項8記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【請求項13】
前記数値化手段(D)が、前記メーキャップ化粧料に含有される粒子を判別するために設定した明度の閾値に基づいてグレースケール画像データを二値化処理する二値化処理手段(I)と、前記二値化処理手段(I)により得られた画像データから粒子の数を計測するための粒子数計測手段(J)と、前記粒子数計測手段(J)により得られた粒子数から前記メーキャップ化粧料の付着量を数値化して表す付着量数値化手段(K)と、からなることを特徴とする請求項8記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価方法。
【請求項14】
前記拭き取り手段(A)において、前記メーキャップ化粧料をメーキャップリムーバーを塗布した拭き取り用具で拭き取ることにより、前記メーキャップリムーバーによる前記メーキャップ化粧料を拭き取る効果を評価することを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載のメーキャップ化粧料の拭き取り効果の評価システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−99448(P2013−99448A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245170(P2011−245170)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
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