説明

メーソンリー処理剤

(A)式:


で示される,α位がX基で置換されている含フッ素単量体、および(B)活性水素と反応可能な官能基を有する単量体からなるメーソンリー処理用含フッ素重合体は、優れた撥水撥油性および防汚性をメーソンリーに付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、メーソンリー処理用含フッ素重合体、およびメーソンリー処理用組成物に関する。
【背景技術】
フルオロアルキル基(Rf基)を持った化合物で石材等のメーソンリーの表面を処理し、撥水撥油性および防汚性を付与することが、検討されている。
例えば、特開昭57−23662号公報は、Rf基を持ったアクリレートをコンクリートや石に塗布して保護皮膜を形成することを開示している。特開平7−109317号公報は、Rf基を含む単量体、および重合体に対してシリコーン系ビニル単量体からなる含フッ素共重合体からなる処理剤を開示している。特表平11−507687号公報は、Rf基,カルボキシル基,オキシアルキレン基,およびシリル基を含む水溶性重合体によるメーソンリー処理剤を開示している。EP1225187号公報は、Rf基含有単量体,非フッ素系単量体,シリル基含有単量体から成りシリル基を含む連鎖移動末端を持つ重合体によるセラミックの処理を開示している。さらに、特開平11−077677号公報では、Rf基を持ったリン酸エステルで石材を処理することが提案されている。
しかし、これらの処理または処理剤では、十分な撥水性と撥油性の両立がなされておらず、メーソンリー用の処理剤として十分な防汚性を付与できていないのが現状である。
また一方、α位がフッ素,塩素等で置換されているRf基含有アクリレート系重合体による撥水撥油剤および防汚加工剤が、例えば特開昭63−90588号公報,特開昭63−99285号公報および特開平1−315471号公報に記載されているが、メーソンリー処理剤として実用化には至っていないのが現状である。
以下にPFOAの環境問題について説明する。最近の研究結果[EPAレポート″PRELIMINARY RISK ASSESSMENT OF THE DEVELOPMENTAL TOXICITY ASSOCIATED WITH EXPOSURE TO PERFLUOROOCTANOIC ACID AND ITS SALTS″(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoara.pdf)]などから、長鎖フルオロアルキル化合物の一種であるPFOA(perfluorooctanoic acid)に対する環境への負荷の懸念が明らかとなってきており、2003年4月14日にEPA(米国環境保護庁)がPFOAに対する科学的調査を強化すると発表した。
一方、Federal Register(FR Vol.68,No.73/April 16,2003[FRL−2303−8],http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafr.pdf)やEPA Environmental News FOR RELEASE:MONDAY APRIL 14,2003 EPA INTENSIFIES SCIENTIFIC INVESTIGATION OF A CHEMICAL PROCESSING AID(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoaprs.pdf)やEPA OPPT FACT SHEET April 14,2003(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafacts.pdf)は、テロマーが分解または代謝によりPFOAを生成する可能性があると公表している(テロマーとは長鎖フルオロアルキル基のことを意味する)。また、テロマーが、撥水撥油性、防汚性を付与された泡消火剤、ケア製品、洗浄製品、カーペット、テキスタイル、紙、皮革などの多くの製品に使用されていることをも公表している。
【発明の開示】
本発明の目的は、メーソンリーに優れた撥水撥油性および防汚性を付与する処理剤を提供することにある。
本発明は、
(A)式:

[式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、XおよびXは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、−CHCHN(R)SO−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)または−CHCH(OY)CH−基(但し、Yは水素原子またはアセチル基である。)、
Rfは、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基、あるいは−CO−、−CO−および−CFO−からなる群から選択された少なくとも一種の繰り返し単位を合計数1〜200で有するフルオロエーテル基である。]
で示される含フッ素単量体から誘導された構成単位、ならびに
(B)活性水素と反応可能な官能基を有する単量体から誘導された構成単位を有して成るメーソンリー処理用含フッ素重合体を提供する。
すなわち、本発明は、
(A)α位がX基で置換されている式(I)の含フッ素単量体、および
(B)活性水素と反応可能な官能基を有する単量体
を含んでなるメーソンリー処理用含フッ素重合体を提供する。
本発明は、(A)式(I)の含フッ素単量体、および(B)活性水素と反応可能な官能基を有する単量体からなる含フッ素重合体、ならびに溶媒からなるメーソンリー処理用組成物をも提供する。
さらに、本発明は、上記組成物をメーソンリー表面に適用した後、溶媒を除去することからなる、処理されたメーソンリーの製造方法をも提供する。
構成単位(A)は、式(I)の含フッ素単量体によって誘導される。
式(I)において、Rf基が、フルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基である場合に、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基であることが好ましい。フルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基の炭素数は、1〜21、特に1〜6、例えば1〜4である。フルオロアルキル基の例は、−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−(CFCF(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−(CFCF(CF、−(CFCF等である。
Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、−CHCHN(R)SO−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)または−CHCH(OY)CH−基(但し、Yは水素原子またはアセチル基である。)である。脂肪族基はアルキレン基(特に炭素数1〜4、例えば、1または2)であることが好ましい。芳香族基および環状脂肪族基は、置換されていてもあるいは置換されていなくてもどちらでもよい。
フルオロエーテル基は、−CO−、−CO−および−CFO−からなる群から選択された少なくとも一種の繰り返し単位(オキシパーフルオロアルキレン基)を有する。−CO−は−CFCFCFO−または−CFC(CF)FO−である。−CO−は一般に−CFCFO−である。オキシパーフルオロアルキレン繰り返し単位の合計数は、1〜200、例えば1〜100、特に5〜50である。フルオロエーテル基は、オキシパーフルオロアルキレン繰り返し単位に直接に結合する末端基を有する。末端基の例は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、アルコール基(例えば、HOCH−)、エポキシ基(例えば、

)、
アミン基(例えば、HN−)、カルボン酸基(例えば、HOOC−)、酸ハライド基(例えば、F(O=)C−)、クロロメチル基(ClHC−)である。フルオロエーテル基は、オキシパーフルオロアルキレン繰り返し単位および末端基に加えて、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、特にパーフルオロアルキレン基を有していてもよい。炭素数1〜10のフルオロアルキレン基の例は、−CF−および−CFCF−である。
Rf基の例であるフルオロエーテル基(特に、パーフルオロエーテル基)の例は、次のとおりである。
F−(CFCFCFO)−CFCF− (nは1〜200)
F−(CFC(CF)FO)−CFCF− (nは1〜200)
F−(CFC(CF)FO)−(CFO)−CFCF− (nとmの合計は1〜200)
F−(CFCFO)−(CFO)−CFCF− (nとmの合計は1〜200)
含フッ素単量体の例は、次のとおりである。



[式中、Rfは、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基、あるいは−CO−、−CO−および−CFO−からなる群から選択された少なくとも一種の繰り返し単位を合計数1〜200で有するフルオロエーテル基である。]
活性水素と反応可能な官能基を有する単量体(B)において、活性水素と反応可能な官能基としては、例えば、シラン基,リン酸基,カルボン酸基,スルホン酸基,およびグリシジル基などが挙げられる。
単量体(B)は、活性水素と反応可能な官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物であることが好ましい。
シラン基を有する単量体は、シラン基(特に、末端シラン基)および炭素−炭素二重結合を有する化合物であることが好ましい。シラン基を有する単量体は、末端シランカップリング剤であってよい。
シラン基を有する単量体の具体例は、次のとおりである。
CH=CHCO(CHSi(OCH
CH=CHCO(CHSi(OC
CH=C(CH)CO(CHSi(OCH
(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、
CH=C(CH)CO(CHSi(OC
CH=CHCO(CHSiCH(OC
CH=C(CH)CO(CHSiC(OCH
CH=C(CH)CO(CHSi(CH(OC)、
CH=C(CH)CO(CHSi(CHOH、
CH=CHCO(CHSiCH〔ON(CH)C
CH=C(CH)CO(CHSiC〔ON(CH)C
CH=CHSi(OCH
CH=CHSi(OC
CH=CHSiCH(OCH
CH=CHSi(CH(OC)、
CH=CHSi(CHSiCH(OCH
CH=CHSiCH〔ON(CH)C
ビニルトリクロロシラン、
ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン。
リン酸基を有する単量体の具体例としては、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート,2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート,アシッドホスフォキシプロピルメタクリレート,3−クロロ−2−アシッドホスフォキシプロピルメタクリレート,2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエタノールアミンハーフ塩などが挙げられる。
カルボン酸基を有する単量体の具体例としては、メタクリル酸,アクリル酸,2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸,2−アクリロイルオキシエチルコハク酸,2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸,2−アクリロイルオキシエチルフタル酸,2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸,2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸,2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸,2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸,2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、無水マレイン酸,無水シトラコン酸などが挙げられる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アクリルアミド−tert.ブチルスルホン酸,2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
グリシジル基を有する単量体の具体例としては、グリシジルメタクリレート,グリシジルアクリレートなどが挙げられる。
活性水素と反応可能な官能基を有する単量体(B)の量は、含フッ素単量体(A)100重量部に対して、0.01〜50重量部、例えば0.1〜20重量部であってよい。
含フッ素重合体は、含フッ素単量体(A)および官能基を有する単量体(B)に加えて、他の単量体(C)を含有してよい。他の単量体(C)は非フッ素単量体であってよい。非フッ素単量体は、アルキル基含有単量体であってよい。
非フッ素単量体は、例えば、非フッ素アルキル(メタ)アクリレートであってよい。
非フッ素アルキル(メタ)アクリレートは、一般に、式:
−CX=CH (i)
[式中、Xは、アルキルカルボキシレート基(アルキル基の炭素数1〜18)、Xは水素原子またはメチル基である。]
で示される単量体である。含フッ素重合体は、非フッ素アルキル(メタ)アクリレートを含まなくてもよい。
含フッ素重合体は、非フッ素アルキル(メタ)アクリレート以外の、他の単量体を含有してもよく、たとえば、エチレン、ハロゲン化ビニル(例えば、塩化ビニル)、ハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニリデン)、スチレン、ビニルアルキルケトン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,グリセロールモノ(メタ)アクリレート,メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート,テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート,ジメチルアミノ(メタ)アクリレート,トリメチル−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド,3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなRf基を含まない単量体である。
他の単量体(C)の量は、含フッ素単量体(A)100重量部に対して、0〜100重量部、例えば0〜90重量部、特に1〜70重量部であってよい。
含フッ素重合体は通常の重合方法の何れでも製造でき、また重合反応の条件も任意に選択できる。重合方法として、塊状重合、溶液重合、乳化重合が挙げられる。一般に溶液重合が好ましい。
含フッ素重合体の分子量は、一般に、5,000〜1,000,000であってよい(例えば、GPCで測定してポリスチレン換算)。
処理剤は、一般に、含フッ素重合体を有機溶媒に溶解した溶液の形態である。有機溶媒は、アルコール,エステル,ケトン,ハロゲン化炭化水素,あるいは石油系有機溶媒であってよい。
含フッ素重合体および有機溶媒からなる処理剤において、含フッ素重合体の濃度は、例えば0.1〜50重量%であってよい。
処理剤は、必要に応じて、凍結防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、難燃剤等を含有しても良い。
本発明において、処理剤を基材(メーソンリー)に適用して、基材に撥水撥油性および防汚性を付与する。
基材は、石材などのメーソンリーである。メーソンリーの例は、石、レンガ、コンクリート、タイルである。石の例は、天然石(例えば、大理石、御影石)、人造石である。
基材の処理方法は次の通りである。基材に処理剤を適用する。適用は、塗布、ディッピング、はけ塗りなどによって行える。次いで、有機溶媒を除去する。有機溶媒の除去は、例えば、乾燥によって行える。乾燥は、例えば、0℃〜200℃の温度で行える。
含フッ素重合体の適用量は、メーソンリーの表面積1m当たり、0.05〜50g、0.1〜20g、特に1〜10gであってよい。
処理剤が含フッ素重合体を含むことによって、撥水撥油性能をメーソンリー表面に与えることができる。水系汚れであっても、油系汚れであっても、メーソンリーに対する汚れの付着を防止することができる。
発明を実施するための好ましい形態
以下に、本発明の実施例を記述するが、これは本発明の具体例に過ぎず、本発明はそれに限定されない。以下において、%は、特記しない限り、重量%である。
以下の実施例および比較例において、耐汚れ試験は次のようにして行った。
汚染物質を処理済み基材にのせ、液滴を24時間放置し、紙タオルで除去した。以下の基準に従って目視評価を行った。
1=濃い染み、汚れの広がりが広い
2=濃い染み、広がりがわずか、またはない
3=中程度の染み、広がりはない
4=かすかな染み
5=染みがない
【実施例1】
攪拌装置、不活性ガス導入口、還流冷却器および温度計を取りつけた200cc4ツ口フラスコにCFCFCFCFCHCHOCOCCl=CH 13.0g、ステアリルアクリレート6.5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニングシリコーン社製SZ6030)0.5g、テトラクロロヘキサフルオロブタン(ダイキン工業社製S−316)113.3gを入れ、60℃に昇温後、トリクロロエタン7.3gに溶かしたt−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製パーブチルPV)1.5gを入れ、60℃で12時間以上攪拌しながら重合反応を行った。ガスクロマトグラフィーにより重合反応の転化率が97%以上であることが示された。得た重合溶液を酢酸ブチルで希釈して固形分濃度3%の処理液を調製した。
ポリッシュ済みの天然御影石(中国産、ニッタイ工業株式会社より購入)、ライムストーン(イナックス社より購入)の各表面に処理液を塗布し(5cm×10cmの面積に対し1mLの処理液)、室温で10分放置後過剰な処理液をふき取った。更に室温で24時間放置後、耐汚れ試験を行った。結果を表1(御影石)および表2(ライムストーン)に示す。
比較例1
実施例1において、CFCFCFCFCHCHOCOCCl=CHをCFCFCFCFCHCHOCOCH=CHに変更しほかは同様にして重合反応を行い、重合体の溶液を得た。実施例1と同様に重合溶液を酢酸ブチルで3%に濃度調整して処理し、耐汚れ試験を行った。評価結果を表1および表2に示す。
比較例2
攪拌装置、不活性ガス導入口、還流冷却器および温度計を取りつけた200cc4ツ口フラスコにCFCFCFCFCHCHOCOCCl=CH 13.0g、ステアリルアクリレート7.0g、テトラクロロヘキサフルオロブタン(ダイキン工業社製S−316)113.3gを入れ、60℃に昇温後、トリクロロエタン7.3gに溶かしたt−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製パーブチルPV)1.5gを入れ、60℃で12時間以上攪拌しながら重合反応を行った。ガスクロマトグラフィーにより重合反応の転化率が97%以上であることが示された。実施例1と同様に重合溶液を酢酸ブチルで3%に濃度調整して処理し、耐汚れ試験を行った。
評価結果を表1および表2に示す。
【実施例2】
攪拌装置、不活性ガス導入口、還流冷却器および温度計を取りつけた200cc4ツ口フラスコにCFCFCFCFCHCHOCOCCl=CH 16.8g、ステアリルアクリレート2.7g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニングシリコーン社製SZ6030)0.5g、酢酸ブチル60gを入れ、70℃に昇温後、アゾビスイソブチロニトリル0.15gを入れ、70℃で12時間以上攪拌しながら重合反応を行った。ガスクロマトグラフィーにより重合反応の転化率が97%以上であることが示された。実施例1と同様に重合溶液を酢酸ブチルで3%に濃度調整して処理し、耐汚れ試験を行った。評価結果を表1および表2に示す。
【実施例3】
実施例1において、CFCFCFCFCHCHOCOCCl=CHをCFCFCFCFCHCHOCOCF=CHに変更しほかは同様にして重合反応を行い、重合体の溶液を得た。実施例1と同様に重合溶液を酢酸ブチルで3%に濃度調整して処理し、耐汚れ試験を行った。評価結果を表1および表2に示す。


【発明の効果】
本発明によれば、優れた撥水撥油性および防汚性がメーソンリーに付与される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式:

[式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、XおよびXは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、−CHCHN(R)SO−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)または−CHCH(OY)CH−基(但し、Yは水素原子またはアセチル基である。)、
Rfは、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基、あるいは−CO−、−CO−および−CFO−からなる群から選択された少なくとも一種の繰り返し単位を合計数1〜200で有するフルオロエーテル基である。]
で示される含フッ素単量体から誘導された構成単位、ならびに
(B)活性水素と反応可能な官能基を有する単量体から誘導された構成単位を有して成るメーソンリー処理用含フッ素重合体。
【請求項2】
活性水素と反応可能な官能基を有する単量体(B)における官能基が、シラン基,リン酸基,カルボン酸基,スルホン酸基およびグリシジル基からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載の含フッ素重合体。
【請求項3】
活性水素と反応可能な官能基を有する単量体(B)が、炭素−炭素二重結合を有するシラン化合物である請求項1に記載の含フッ素重合体。
【請求項4】
含フッ素単量体(A)のRf基が炭素数1〜6のフルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【請求項5】
含フッ素単量体(A)、活性水素と反応可能な官能基を有する単量体(B)ならびに非フッ素アルキル基含有単量体(C)からなる請求項1〜4記載のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の含フッ素重合体ならびに有機溶剤からなるメーソンリー処理用組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物をメーソンリー表面に適用した後、有機溶剤を除去することからなる処理されたメーソンリーの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法で製造されたメーソンリー。

【国際公開番号】WO2004/108779
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506847(P2005−506847)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008243
【国際出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】