説明

メーターボックスユニット

【課題】建物内において自由な配置を可能としたメーターボックスユニットを提供する。
【解決手段】天井面31と床面32を備えた建物躯体30に対して下地材2を固定し、下地材に対してボックス本体3を取付け、ボックス本体は前面に開閉自在な開き扉4を有し、下部下地材15は床面と平行なパネル固定部16と、上方に延出される内周面部17と、内周面部の上端から延出される当接面部18とからなり、ボックス本体3は側面を構成するパネル体20と、前面を構成する枠形状の前面フレーム体21とを有し、パネル体20は下部下地材のパネル固定部16に載置固定され、内側面が当接面部18に当接し、前面フレーム体21は上フレーム材22と下フレーム材23及びこれらの背面側に固定される左右の縦フレーム材24とからなり、縦フレーム材24は下端部が下部下地材の当接面部18の切欠部19に配置され固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RC造またはSRC造の建物躯体に取付けられるメーターボックスユニットに関し、特に建物躯体に対して下地材を固定し該下地材にボックス本体を取付けることで自由な配置を可能としたメーターボックスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の建物躯体において、メーターボックスが設置されていた。メーターボックスは、建物の廊下に面するように配置され、前面側には開き扉が設けられると共に、その内側にメーター類が配設される。従来のメーターボックスは、建物躯体を構成するコンクリートによって予め側壁を形成しておき、この側壁に対して金属製の開き扉を開閉自在に取付けるようにしていた。従来のメーターボックスとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平8−13770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のメーターボックスは、建物躯体に予め側壁をコンクリートにより形成しておく必要があり、配置の自由度が乏しかった。すなわち、建物設計の早い段階でメーターボックスの配置が決定されてしまい、後で変更することが困難であった。また、従来のメーターボックスは構造が複雑であり、さらに外壁との一体感にも乏しいものであった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、建物内において自由な配置を可能とし、また簡易な構造で外壁と一体感を持たせることのできるメーターボックスユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るメーターボックスユニットは、天井面と床面を備えたRC造またはSRC造からなる建物躯体に対して下地材を固定し、該下地材に対してボックス本体を取付けてなり、該ボックス本体は前面に開閉自在な開き扉を有してなるメーターボックスユニットであって、
前記下地材は、前記天井面に対し奥行き方向に沿ってそれぞれ左右両端に設けられる上部下地材と、前記床面に対し奥行き方向に沿ってそれぞれ左右両端に設けられる下部下地材とからなり、該下部下地材は前記床面と平行な載置面を有するパネル固定部と、該パネル固定部の内側端部から上方に延出される内周面部と、該内周面部の上端から外方に向かって略L字状に延出される当接面部とからなり、該当接面部は前端部分が切欠かれた切欠部を有し、
前記ボックス本体は側面を構成するパネル体と、前面を構成し前記開き扉を開閉自在に保持する枠形状の前面フレーム体とを有し、前記パネル体は前記下部下地材のパネル固定部に載置固定されると共に、内側面が前記当接面部に当接し、前記前面フレーム体は上フレーム材と下フレーム材及び該上フレーム材及び下フレーム材の背面側に固定される左右の縦フレーム材とからなり、該縦フレーム材は下端部が前記下部下地材の切欠部に配置され固定されることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係るメーターボックスユニットは、前記上部下地材は前記天井面と平行な上面部と、該上面部の内側端部から下方に延出される上内周面部と、該上内周面部の下端から外方に向かって略L字状に延出される上当接面部とからなり、該上当接面部は前端部分が切欠かれた上切欠部を有し、
前記パネル体は内側面が前記上部下地材の上当接面部に当接し、前記前面フレーム体を構成する縦フレーム材は上端部が前記上部下地材の上切欠部に配置され固定されることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係るメーターボックスユニットは、前記前面フレーム体を構成する上フレーム材と下フレーム材は前面が平面状に形成されると共に、前記開き扉の前面と略面一状とされることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係るメーターボックスユニットは、前記下部下地材の切欠部に配置された前記縦フレーム材は前記内周面部の内周面側から挿通される締結具により固定されることを特徴として構成されている。
【0009】
そして、本発明に係るメーターボックスユニットは、前記下地材及び前面フレーム体は金属材からなり、前記パネル体は軽量気泡コンクリート板からなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るメーターボックスユニットによれば、天井面と床面を備えた建物躯体に対して下地材を固定し、下地材に対してボックス本体を取付け、ボックス本体は前面に開閉自在な開き扉を有し、下部下地材はパネル固定部と内周面部と当接面部とからなり、当接面部は前端部分が切欠かれた切欠部を有し、ボックス本体は側面を構成するパネル体と、前面を構成する枠形状の前面フレーム体とを有し、パネル体は下部下地材のパネル固定部に載置固定され、前面フレーム体の縦フレーム材は下端部が下部下地材の切欠部に配置され固定されることにより、予め建物躯体に対しメーターボックスユニットの形状を形成しておく必要がなく、メーターボックスユニットを建物躯体の任意の位置に配置することができる。また、切欠部によって縦フレーム材が下部下地材から前方に飛び出さないようにすることができ、前面フレーム体の納まりをよくして、パネル体と前面フレーム体及び開き扉によるすっきりした外観とすることができる。
【0011】
また、本発明に係るメーターボックスユニットによれば、上部下地材は上面部と上内周面部と上当接面部とからなり、上当接面部は前端部分が切欠かれた上切欠部を有し、前面フレーム体を構成する縦フレーム材は上端部が上部下地材の上切欠部に配置され固定されることにより、上部においても前面フレーム体の納まりをよくすることができる。
【0012】
さらに、本発明に係るメーターボックスユニットによれば、前面フレーム体を構成する上フレーム材と下フレーム材は前面が平面状に形成されると共に、開き扉の前面と略面一状とされることにより、意匠性を向上させることができる。
【0013】
さらにまた、本発明に係るメーターボックスユニットによれば、下部下地材の切欠部に配置された縦フレーム材は内周面部の内周面側から挿通される締結具により固定されることにより、縦フレーム材を下部下地材に対して容易に固定することができる。
【0014】
そして、本発明に係るメーターボックスユニットによれば、下地材及び前面フレーム体は金属材からなり、パネル体は軽量気泡コンクリート板からなることにより、メーターボックスユニットを簡易に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態におけるメーターボックスユニット1が取付けられた建物躯体30の正面図を示している。この図に示すように、本実施形態において建物躯体30は、互いに平行な天井面31と床面32を有し、これら天井面31と床面32の間の領域の任意の位置に、メーターボックスユニット1が設けられる。建物躯体30は、鉄筋コンクリート(RC)造または鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造によって形成される。
【0016】
本実施形態のメーターボックスユニット1は、正面視においてボックス本体3が露出するように構成されており、ボックス本体3は上下に前面フレーム体21が露出すると共に、前面フレーム体21には観音開き状に2枚の開き扉4が開閉自在に保持されている。開き扉4を手前側に開くと、内部には電気やガス等のメーター類(図示しない)が配設されている。
【0017】
図2には、開き扉4を省略したメーターボックスユニット1の正面図を示している。この図に示すように、前面フレーム体21は、上フレーム材22と下フレーム材23及び左右の縦フレーム材24、24を方形状に組んだ枠形状に形成されている。各フレーム材は、いずれも金属材によって形成されている。また、縦フレーム材24の外側には、ボックス本体3の側面を構成するパネル体20が配置されている。
【0018】
上フレーム材22と下フレーム材23は、いずれも上下方向に幅広状となるように形成されており、一方で縦フレーム材24は、上下フレーム材22、23よりも幅狭に形成されると共に、上下端部が上下フレーム材22、23の後方に配置され、連結固定されている。これら各フレーム材により構成された前面フレーム体21は、建物躯体30の天井面31及び床面32にそれぞれ固定された下地材2に対して固定される。
【0019】
図3には、メーターボックスユニット1の縦断面図を示している。この図は、図1の左側であって開き扉4の背面より奥側を、開き扉4と平行な面で切った縦断面図である。図3に示すように、建物躯体30の天井面31と床面32には、それぞれ下地材2として上部下地材10と下部下地材15が固定される。上部下地材10は、天井面31に対し奥行き方向に沿ってボックス本体3の左右両端にそれぞれ設けられ、また天井面31に対して直接当接し、アンカー5で固定される。下部下地材15は、床面32に対して奥行き方向に沿ってボックス本体3の左右両端にそれぞれ設けられ、下部下地材15の下部にはモルタル6が設けられると共に、床面32に対してアンカー5で固定される。
【0020】
前述のように、前面フレーム体21を構成する縦フレーム材24は、下地材2に対して連結固定される。具体的には図3に示すように、上端部において上部下地材10に対し締結具25により連結固定され、下端部において下部下地材15に対して締結具25により連結固定される。また、縦フレーム材24の外側位置には、ボックス本体3の側面を構成するパネル体20が配置される。パネル体20は、軽量気泡コンクリート板からなり、上部下地材10及び下部下地材15に沿うように配置される。
【0021】
上部下地材10は、天井面31と平行でかつ当接する上面部11と、上面部11の内側端部から下方に延出される上内周面部12と、上内周面部12の下端から外方、すなわちパネル体20側に向かって延出される上当接面部13とが一体的に形成された金属製の型材からなっている。
【0022】
上当接面部13は、断面略L字状に形成されて、パネル体20の内側面に当接するパネル当接面13aを有している。また、前面フレーム体21を構成する縦フレーム材24は、上端位置において上部下地材10の上内周面部12に対してスペーサ35を介して当接し、上内周面部12にボックス本体3の内側から挿通される締結具25により連結固定される。
【0023】
下部下地材15は、床面32と平行なパネル固定部16と、パネル固定部16の内側端部から上方に延出される内周面部17と、内周面部17の上端から外方、すなわちパネル体20側に向かって延出される当接面部18とが一体的に形成された金属製の型材からなっている。パネル固定部16と床面32の間には、前述のようにモルタル6が設けられている。パネル固定部16の上面は、パネル体20の下面が載置される載置面16aとされている。
【0024】
当接面部18は、断面略L字状に形成されて、パネル体20の内側面に当接するパネル当接面18aを有している。また、縦フレーム材24は、下端位置において下部下地材15の内周面部17に対してスペーサ35を介して当接し、内周面部17にボックス本体3の内側から挿通される締結具25により連結固定される。
【0025】
図4には、メーターボックスユニット1の横断面図を示している。この図は、メーターボックスユニット1の前面側でかつ左右方向一方側のみを示している。この図に示すように、下部下地材15の前端部分は、当接面部18が切欠かれて切欠部19を構成している。この切欠部19に縦フレーム材24の下端部分が配置される。そして、縦フレーム材24の前面と下部下地材15の前端とが面一状となるようにされている。
【0026】
縦フレーム材24の前面及び下部下地材15の前端のさらに前面側には、開き扉4が配置される。開き扉4は、外側面がパネル体20の外側面よりも外方に位置するように配置されており、前面側から見た時に縦フレーム材24及びパネル体20が隠れるようにすることができ、すっきりした外観をなすようにしている。
【0027】
なお、開き扉4は上下フレーム材22、23にヒンジを介して開閉自在に取付けられる。図示しないが具体的には以下のように取付けられる。上下フレーム材22、23と開き扉4のコーナー部に、それぞれ支持部品を取付ける。支持部品として上フレーム材22には、ツボ型の受け金具を取付け、下フレーム材23には上向きの上下動可能な軸部材を取付ける。また、支持部材として開き扉4の上端には軸部材を取付け、開き扉4の下端にはツボ型の受け金具を取付ける。
【0028】
また、上部下地材10も同様の構成を有しており、すなわち前端部分において上当接面部13が切欠かれて上切欠部が形成され、この上切欠部に縦フレーム材24の上端部分が配置され、縦フレーム材24の前面と上部下地材10の前端とが面一状となるようにされている。
【0029】
図5には、メーターボックスユニット1の縦断面図を示している。この図は、メーターボックスユニット1の前面側について、開き扉4と垂直な面で切った断面図である。この図に示すように開き扉4は、前面が上フレーム材22と下フレーム材23の前面よりやや奥まった位置であるものの、略面一状となるように配置されている。縦フレーム材24は、前述のように前面側から見た時に開き扉4によって隠されているため、前面側に露出する上フレーム材22と下フレーム材23及び開き扉4が略面一状の平面を構成するようにすることで、意匠性を高めることができる。
【0030】
このように、建物躯体30の天井面31と床面32にそれぞれ下地材2を設け、この下地材2に対してパネル体20及び前面フレーム体21を取付固定し、前面フレーム体21で開き扉4を保持してメーターボックスユニット1を形成するようにしたので、予めメーターボックスユニット1の形状を建物躯体30と一体的にコンクリートで形成しておく必要がなく、メーターボックスユニット1を建物躯体30の任意の位置に配置することができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこれら実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では開き扉4を2枚設けて観音開き状に開閉するように構成したが、開き扉4は片開き状であってもよく、また1枚が開閉自在となるように構成してもよい。
【0032】
また、開き扉4は本実施形態においては縦フレーム材24を覆うように形成されているが、左右の縦フレーム材24の前面側にはそれぞれ鋼製パネルを取付け、この鋼製パネル間の領域に開き扉4を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態におけるメーターボックスユニットが取付けられた建物躯体の正面図である。
【図2】開き扉を省略したメーターボックスユニットの正面図である。
【図3】メーターボックスユニットの縦断面図である。
【図4】メーターボックスユニットの横断面図である。
【図5】メーターボックスユニットの縦断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 メーターボックスユニット
2 下地材
3 ボックス本体
4 開き扉
5 アンカー
6 モルタル
10 上部下地材
11 上面部
12 上内周面部
13 上当接面部
13a パネル当接面
15 下部下地材
16 パネル固定部
16a 載置面
17 内周面部
18 当接面部
18a パネル当接面
19 切欠部
20 パネル体
21 前面フレーム体
22 上フレーム材
23 下フレーム材
24 縦フレーム材
25 締結具
30 建物躯体
31 天井面
32 床面
35 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面と床面を備えたRC造またはSRC造からなる建物躯体に対して下地材を固定し、該下地材に対してボックス本体を取付けてなり、該ボックス本体は前面に開閉自在な開き扉を有してなるメーターボックスユニットであって、
前記下地材は、前記天井面に対し奥行き方向に沿ってそれぞれ左右両端に設けられる上部下地材と、前記床面に対し奥行き方向に沿ってそれぞれ左右両端に設けられる下部下地材とからなり、該下部下地材は前記床面と平行な載置面を有するパネル固定部と、該パネル固定部の内側端部から上方に延出される内周面部と、該内周面部の上端から外方に向かって略L字状に延出される当接面部とからなり、該当接面部は前端部分が切欠かれた切欠部を有し、
前記ボックス本体は側面を構成するパネル体と、前面を構成し前記開き扉を開閉自在に保持する枠形状の前面フレーム体とを有し、前記パネル体は前記下部下地材のパネル固定部に載置固定されると共に、内側面が前記当接面部に当接し、前記前面フレーム体は上フレーム材と下フレーム材及び該上フレーム材及び下フレーム材の背面側に固定される左右の縦フレーム材とからなり、該縦フレーム材は下端部が前記下部下地材の切欠部に配置され固定されることを特徴とするメーターボックスユニット。
【請求項2】
前記上部下地材は前記天井面と平行な上面部と、該上面部の内側端部から下方に延出される上内周面部と、該上内周面部の下端から外方に向かって略L字状に延出される上当接面部とからなり、該上当接面部は前端部分が切欠かれた上切欠部を有し、
前記パネル体は内側面が前記上部下地材の上当接面部に当接し、前記前面フレーム体を構成する縦フレーム材は上端部が前記上部下地材の上切欠部に配置され固定されることを特徴とする請求項1記載のメーターボックスユニット。
【請求項3】
前記前面フレーム体を構成する上フレーム材と下フレーム材は前面が平面状に形成されると共に、前記開き扉の前面と略面一状とされることを特徴とする請求項1または2記載のメーターボックスユニット。
【請求項4】
前記下部下地材の切欠部に配置された前記縦フレーム材は前記内周面部の内周面側から挿通される締結具により固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のメーターボックスユニット。
【請求項5】
前記下地材及び前面フレーム体は金属材からなり、前記パネル体は軽量気泡コンクリート板からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のメーターボックスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−95933(P2010−95933A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268550(P2008−268550)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)