説明

メールアクセスシステム

【課題】 外出中等に到着した電子メールやボイスメールに対して、電話機、ポケットベル、ファクシミリ等の端末から何時でも何処でもアクセスできるようにすること。
【解決手段】 WWWサーバ105を用いてユーザ登録を行う。また、音声認識装置106、話者認識装置107及び音声合成装置103を用いて、音声によりシステム100にアクセスし、システム100は音声でメールを出力する。更に、音声認識により、メール出力方法(電話機2、ポケットベル3、ファクシミリ装置4等)の音声による指定を受け付け、指定された出力方法で到着メールを出力する。更にまた、音声認識により、返信メッセージの送信方法(ボイスメール、電話への転送、ポケットベル等ディスプレイ付端末への転送、音声を書面文字に変換した書面の電子メールによる送信、及び、音声を書面文字に変換した書面のファクシミリによる送信等)の音声による指定を受け付け、指定された送信方法で返信メッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子メールやボイスメール等のメールを対象としたアクセスシステムに関する。例えば、本発明は、ユーザメールサーバに到着した電子メールやボイスメールを外出先等から書面文字(テキスト)で見て、あるいは、音声で聞いて、確認することができるようにしたり、更には、書面文字や音声を電子メールやボイスメールに変換してユーザメールサーバに送信することができるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術に係るメールアクセスシステムとして、電子メールを対象とした読み上げシステムを図3に基づいて説明する。
【0003】図3に示す電子メール読み上げシステム200(以下、単にシステム200と呼ぶ)は、MPU(小型演算装置)を用いた中央処理装置201と、電話インターフェース202と、音声合成装置203と、ハードディスク等の記憶装置204を備えている。
【0004】電話インターフェース202は、中央処理装置201及び音声合成装置203とユーザ1側の電話機(TEL)2との間の接続に使用される。音声合成装置203は、電子メールの読み上げの他、システム200からユーザ1への電話機2を介したアナウンス等に用いられる。
【0005】従来のシステム200では、ユーザ1がシステム200の管理者に対して下記のように、電子メールや電話によりユーザ登録を行って予め利用許可を得ておくことにより、システム200の利用が可能になるようにされている。
(1) 電子メールによるユーザ登録:ユーザ1はパーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション(WS)等のデータ処理端末5を用いてユーザ登録用の電子メールをシステム200に送る。この電子メールは記憶装置204に格納される。システム管理者は記憶装置204に格納された電子メールを読み、ユーザ1固有の識別符号(以下、IDと呼ぶ)を発行すると共に、ユーザ1の情報(以下、ユーザ情報と呼ぶ)をIDに対応させて記憶装置204に格納する。
(2) 電話によるユーザ登録:ユーザ1は電話機2を用いてシステム管理者に電話をかけ、ユーザ登録を申し込む。システム管理者はユーザ1からの電話を聞いて、ユーザ1にIDを発行し、ユーザ情報をIDに対応させて記憶装置204に格納する。
【0006】ユーザ登録後、ユーザ1が自分宛の電子メールが到着しているか否かを外出先等から確認したい場合には、まず、電話機2のプッシュボタン(以下、PBと呼ぶ)操作により自分のIDをシステム200に入力する。
【0007】PB操作によるID入力に対し、中央処理装置201がPOPプロトコル(ポスト・オフイス・プロトコル)によりユーザメールサーバ300との間で通信を行い、入力されたIDに対応する電子メールがユーザメールサーバ300に到着していた場合は、その電子メールをユーザメールサーバ300から転送して記憶装置204に格納する。
【0008】また、入力されたIDに対応する電子メールがユーザメールサーバ300に到着していた場合は、中央処理装置201は音声合成装置203、電話インターフェース202及び電話機2を通して、ユーザ1に対し電子メールの到着件数と、電子メール読み上げ方法のPB入力メニューをアナウンスする。
【0009】電子メール読み上げ方法のPB入力メニューとは、電子メールを音声合成により読み上げる際に複数の方法のうちどの方法で読み上げて欲しいかを、ユーザ1が電話機2のPB操作で指定できるようにするためのメニューである。
【0010】このPB入力メニューに対し、ユーザ1は所望の読み上げ方法をPB入力により選択し、システム200へ送る。
【0011】中央処理装置201は、ユーザ1からのPB入力に応じて音声合成装置203に指示を与えて、指定された方法で記憶装置204から電子メールを読み上げさせ、その音声信号を電話インターフェース202を通してユーザ1の電話機2へ送る。
【0012】その他、特定の電子メールに対して読み上げ方法を確認する場合にも、その都度中央処理装置201がユーザ1に対してPB入力メニューをアナウンスし、ユーザ1が所望の方法をPB入力により指定する。
【0013】しかし、従来のシステム200には下記に示す問題点がある。
(1) システム管理者が電子メールを読んで、あるいは、電話を聞いて人手でユーザ登録を行うので、ユーザ登録の作業及び管理に手間がかかり、煩わしい。
(2) ユーザ1からシステム200への電子メール読み上げのアクセスは、電話機2に限られている。
(3) しかも、電子メール読み上げのアクセスがPB入力に限られるため、プッシュボタン回線以外の電話機からは利用できない。
(4) 電子メール読み上げ方法をユーザ1がPB入力により指定する場合、複数存在するPB入力メニューに対応するアクセス番号をシステム200がアナウンスするか、あるいは、その番号をユーザ1が覚えていなくてはならない。あるいは、ユーザ1はPBメニュを手元に用意しておく必要がある。
(5) 電子メールに対してユーザ1の返信(レスポンス)が必要な場合でも、その場で返信することができない。
(6) ユーザ1からシステム200へPB入力によりアクセスを行わない限り、電子メール到着の確認を行うことができない。従って、緊急を要する電子メールがユーザメールサーバ300に到着しても、ユーザ1が即時に確認したり、ユーザ1に知らせることができない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以下に、本発明が解決しようとする課題を示す。
第1の課題:システム管理者によるユーザ登録及び管理の作業を軽減できるように、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)を用いたユーザ登録を可能とする。
第2の課題:PB(プッシュボタン)回線以外の電話機によりシステムを利用できるように、音声によるアクセスを可能とする。
第3の課題:PB操作以外の方法により電子メール読み上げ方法を指定できるように、ユーザの音声によるメニュー選択を可能にする。
第4の課題:システム利用毎の電子メール読み上げ方法の指定が不要となるように、WWWを用いて予めメニュー選択ができるようにする。
第5の課題:メールの出力形式を書面文字と音声のうちからユーザがニーズに応じて選択できるように、システムとのアクセスをポケットベルやファクシミリ装置等、電話機以外でも可能にする。
第6の課題:メールの受信後、直ちに返信可能にする。
第7の課題:電子メールの他、電話、ポケットベル、ファクシミリ装置による返信を可能にする。
第8の課題:緊急時等、ユーザからシステムへのアクセスが無い場合でも、新しいメールがサーバに到着した場合には、携帯端末等に、メール転送あるいはメール到着の通知を行うことを可能にする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るメールアクセスシステムはユーザメールサーバに到着したメールをユーザ側の端末に転送するメールアクセスシステムにおいて、ユーザ登録に関する記入項目を提供するWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)サーバと、前記WWWサーバの記入項目にユーザが入力した情報から自動的に識別コードの発行を含むユーザ登録を行う手段を具備することを特徴とする。
【0016】あるいは、本発明に係るメールアクセスシステムは、電話回線に接続された電話インタフェースと、電話インタフェースを通して入力される音声を認識する音声認識装置と、ユーザ登録済みの人の音声に対する認識結果から識別コードに関する音声を登録音声データとして登録する手段と、登録音声データとユーザの音声から本人照合を行う話者認識装置と、本人照合が成功した場合にユーザのアクセスを許可する手段を具備することを特徴とし、あるいは、音声合成装置と、ユーザ宛の到着メールに関する情報を音声合成装置により音声信号に変換して出力する手段を具備することを特徴とし、あるいは、メール出力方法を指定するユーザの音声に対する認識結果から、指定されたメール出力方法でユーザ宛の到着メールを出力する手段を具備することを特徴し、あるいは、メール出力方法として、電話への転送、ポケットベル等ディスプレイ付端末への転送、及び、ファクシミリ装置への転送の何れかが指定可能であることを特徴とし、あるいは、返信メッセージを送信する手段を具備することを特徴とする。
【0017】あるいは、本発明に係るメールアクセスシステムは、メールに対する返信メッセージの送信方法を指定するユーザの音声に対する認識結果から、指定された送信方法で返信メッセージを送信する手段を具備することを特徴とし、あるいは、メールに対する返信メッセージの送信方法として、ボイスメール、電話への転送、ポケットベル等ディスプレイ付端末への転送、音声を書面文字に変換した書面の電子メールによる送信、及び、音声を書面文字に変換した書面のファクシミリによる送信の何れかが指定可能であることを特徴とし、あるいは、返信のボイスメールを、電話又はWWW上に転送することを特徴とし、あるいは、返信のボイスメールを蓄積する手段と、返信先にボイスメールの到着を電子メール等で通知する手段とを具備し、返信先からの電話によるアクセスに応じてボイスメールを転送することを特徴とする。
【0018】あるいは、本発明に係るメールアクセスシステムは、前記WWWサーバが更にメールの出力方法に関するメニューを提供するものであり、前記WWWサーバのメニューにユーザが入力した情報に基づいて、メールを自動的に出力する手段を具備することを特徴とし、あるいは、前記WWWサーバは返信メッセージの送信方法に関するメニューを提供するものであり、前記WWWサーバのメニューにユーザが入力した情報に基づいて、返信メッセージを自動的に送信する手段を具備することを特徴とする。
【0019】あるいは、本発明に係るメールアクセスシステムは、到着したメールを、メール送信元で設定されたり、メール送信者名で設定されたり、メールに含まれる特定キーワードで設定される緊急度に従って、ユーザからのアクセス無しにユーザの端末に転送する手段を具備することを特徴とし、あるいは、電話機またはFAX(ファクシミリ)装置を用いたプッシュボタン操作により送信されてきたメッセージを書面文字に変換したり、送信されてきた音声を音声認識で書面文字に変換したり、送信されてきたファクシミリの書面を文字認識で書面文字に変換することにより、電子メールを相手に送信する手段を具備することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態例に係るメールアクセスシステムの構成を示す図、図2はその動作のフローを示す図である。
【0021】図1に示すメールアクセスシステム100(以下、単にシステム100と呼ぶ)は、MPUを用いた中央処理装置101と、電話インターフェース102と、音声合成装置103と、ハードディスク等の記憶装置104と、WWWサーバ(ワールド・ワイド・ウェブ・サーバ)105と、音声認識装置106と、話者認識装置107と、メッセージ変換装置108を備えている。
【0022】中央処理装置101は電話インターフェース102、音声合成装置103、記憶装置104、音声認識装置106、話者認識装置107及びメッセージ変換装置108に接続されており、これら全体の制御を行い、また、ユーザ登録及びメール転送に必要な処理を行う。
【0023】中央処理装置101はユーザメールサーバ300に接続されており、ユーザメールサーバ300との間でメール転送を行う。
【0024】電話インターフェース102は、システム100(特に、中央処理装置101及び音声合成装置103)と、ユーザ1側の電話機(TEL)2またはポケットベル(Beeper:ビーパー)3またはファクシミリ装置(FAX)4との間の接続に使用される。電話機2はPB回線のもの、DP(ダイヤルパルス)回線のもの、いずれでも構わない。
【0025】記憶装置104は中央処理装置101の制御下で、電子メール、ユーザ情報、ボイスメール等を格納する。
【0026】WWWサーバ105には、パーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション(WS)等、ユーザ1側のデータ処理端末5が接続される。WWWサーバ105とデータ処理端末5は、中央処理装置101の制御下で、ユーザ登録に使用され、また、電子メールやボイスメールのアクセスに使用される。
【0027】音声合成装置103は中央処理装置101の制御下で、記憶装置104に格納されている電子メールを読み上げて電話インターフェース102、あるいは、WWWサーバ105に送る。また、音声合成装置103は中央処理装置101の制御下で、システム100からユーザ1への電話機2を介したアナウンス等にも用いられる。
【0028】音声認識装置106は中央処理装置101の制御下で、電話機2から入力された音声を認識する。
【0029】話者認識装置107は中央処理装置101の制御下で、電話機2から入力された音声から、発話者が予め登録したユーザ本人かどうかという照合(照合本人)を行う。
【0030】メッセージ変換装置108は中央処理装置101の制御下で、メッセージ形式の変換、例えば、書面文字と音声間の相互変換、PB信号から書面文字への変換、ファクシミリ(FAX)信号に対する文字認識を行う。
【0031】次に、システム100の動作・機能を説明する。
【0032】(ユーザ登録)ユーザ1はシステム100を利用するため、事前に、電話や電子メールによるユーザ登録に代えて、データ処理端末5を用いてWWWサーバ105が提供するWWW上でユーザ登録を行う。
【0033】具体的には、システム100では、WWWサーバ105がWWW上にユーザ登録に必要な各種情報の記入項目を提供するようにしてある。これに対し、ユーザ1はデータ処理端末5を用いてシステム100のWWWサーバ105にアクセスし、WWWサーバ105が提供するWWW上の各記入項目に必要事項を入力する。この入力に基づいて、中央処理装置101がWWWサーバ105を介してユーザ固有の識別コード、この例ではID及びパスワードを発行し、ユーザ情報をID及びパスワードに対応させて記憶装置204に格納する。即ち、システム100では、WWWを用いることにより、ユーザ1の各記入項目を自動的にチェックし、データベース化して、ユーザ登録及び管理を行う。これにより、システム管理者によるユーザ登録と管理の作業が不要となる。
【0034】(音声登録)ユーザ登録後、ユーザ1は電話機2によりシステム100にアクセスしてユーザ固有のID及びパスワードを発声してシステム100に入力する。システム100では、この時の入力音声を音声認識装置106により認識し、IDの音声及びパスワードの音声を登録する。
【0035】具体的には、ユーザ1が発声したID及びパスワードを中央処理装置101の指示で音声認識装置106が認識し、この認識結果が先に発行したユーザ固有のID及びパスワードに一致した場合、IDの音声及びパスワードの音声をユーザ1の登録音声データとして記憶装置204に中央処理装置101が格納する。
【0036】(メールアクセス)次に、図2を参照して、ユーザ1がメール確認のためにシステム100にアクセスする場合の動作を説明する。
【0037】まず、ユーザ1は電話機2により、自分のIDを発声してシステム100に入力する(ステップS1参照)。システム100では、中央処理装置101の指示で話者認識装置107がIDによる本人照合を行う。即ち、話者認識装置107は入力したIDの音声とIDの登録音声データとを用いて話者認識し、IDによる本人照合を行う。
【0038】IDによる本人照合が成功した場合は、続いて、中央処理装置101の指示で話者認識装置107がパスワードによる本人照合を行う(ステップS2)。即ち、ユーザ1 が引き続いて、電話機2により、登録済のパスワードを発声してシステム100に入力するので、入力したパスワードの音声とパスワードの登録音声データとを用いて話者認識装置107が話者認識し、パスワードによる本人照合を行う。
【0039】上述したID及びパスワードの発声に対する本人照合が成功した場合は、中央処理装置101がユーザメールサーバ300との間で通信を行い、ユーザ1(本人)宛の電子メールやボイスメールがユーザメールサーバ300に到着しているか否か調べる(ステップS3)。メールが到着していない場合は、処理を終了する。メールが到着している場合は、中央処理装置101はユーザメールサーバ300から電子メールやボイスメールを転送して記憶装置104に格納する。メールの転送は、ユーザの自動転送やPOPプロトコルを用いた転送により行われる。なお、本人照合が失敗した場合は、再度の発声を促したり、所定回数の失敗に対してアクセスを拒否する等、適宜な処理が行われる。
【0040】メールが到着している場合は更に、中央処理装置101は音声合成装置103、電話インターフェース102及び電話機2を通して、ユーザ1に対してメールの到着件数、各メールの発送者名、各メールのタイトル等をアナウンスし、メール出力方法の音声による指定を促す(ステップS4)。
【0041】ここで、メール出力方法にはメディア、メール検索、メール出力順番等がある。メディアには、電話機2による出力の他に、ポケットベル3等ディスプレイ付端末に対する出力、ファクシミリ装置4に対する出力、及び、データ処理端末5に対する出力等が含まれる。つまり、電話への転送、ディスプレイ付端末への転送、及び、ファクシミリ装置への転送の何れかが指定可能である。メール検索とは、到着したメールのうち出力して欲しいメールを指定することである。
【0042】ユーザ1はシステム100に対し電話機2により、メール出力方法を発声して指定する。システム100側では、中央処理装置101の指示で音声認識装置106がユーザ1の発声を音声認識し、どのメール出力方法が指定されたかを中央処理装置101に伝える。
【0043】システム100は、ユーザ1が指定したメール出力方法に従って、メールを1つずつ出力する(ステップS5)。なお、ユーザ1からメール出力不要の旨が入力されれば、メール出力はしない。また、所定時間待ってもメール出力方法の指定がない場合や、指定内容が不明確な場合等は、再度の発声を促したり、メール出力をしない旨のアナウンスをしたり、あるいは、全てのメールを音声で電話機3に出力する等、適宜な処理が行われる。
【0044】各メールの出力に際して、ユーザ1が指定したメディア(文字あるいは音声など)が到着しているメールと異なる場合は、中央処理装置101の指示でメッセージ変換装置108がメッセージ形式の変換を行い、その結果を出力する。例えば、電子メールに対して音声での出力が指定された場合は、電子メールの書面文字を音声に変換し、電話インタフェース102を通して電話機2へ出力し、あるいは、ボイスメールに対して書面文字での出力が指定された場合は、ボイスメールの音声を書面文字に変換し、電話インタフェース102を通してポケットベル3に出力し、あるいは,ボイスメールに対してファクシミリでの出力が指定された場合は、ボイスメールの音声をFAX(ファクシミリ)文字に変換し、電話インタフェース102を通してファクシミリ装置4に出力するという如く、元のメールを指定されたメディアのメッセージ形式に変換して出力する。
【0045】更に、各メールの出力毎に、システム100はそのメールに対するユーザ1の返信を待つ(ステップS6)。ユーザ1は、出力されたメールに対して返信したい場合は、返信メッセージの送信方法(メディア)の指定を電話機2により発声してシステム100に入力する。システム100では中央処理装置101の指示で、その発声を音声認識装置106が音声認識し、どのメディア(返信メッセージの送信方法)が指定されたかを中央処理装置101に伝える。なお、ユーザ1から返信不要の旨が入力されれば、返信しない。また、所定時間待っても返信メッセージ送信方法の指定がない場合や、指定内容が不明確な場合等は、再度の発声を促したり、あるいは、返信しない旨のアナウンスをする等、適宜な処理が行われる。
【0046】返信を行う場合、システム100では、指定された返信メッセージ送信方法に従って、ユーザ1からの返信メッセージの入力及び相手への返信メッセージの送信を行う(ステップS7)。
【0047】但し、入力された返信メッセージと指定された返信メッセージ送信方法(メディア)との間でメッセージ形式(文字あるいは音声、ファクシミリ信号、ポケットベル信号など)が異なる場合は、メッセージ変換装置108により、入力された返信メッセージを指定されたメッセージ送信方法に変換してから送信する。例えば、書面文字から音声、ファクシミリ信号又はポケットベル信号へ、あるいは、音声から書面文字、ファクシミリ信号又はポケットベル信号へ、あるいは、ファクシミリ信号から音声、書面文字又はポケットベル信号へ、あるいは、ポケットベル信号から音声、書面文字又はファクシミリ信号へ、変換して送信する。つまり、メールに対する返信メッセージの送信方法としては、ボイスメール、電話への転送、ポケットベル3やデータ処理端末5等のディスプレイ付端末への転送、音声を書面文字に変換した書面の電子メールによる送信、及び、音声を書面文字に変換した書面のファクシミリ装置4への送信の何れかが指定可能である。
【0048】システム100は返信の相手先に、返信メッセージを送った旨を電子メール等により通知する。例えば、返信メールがボイスメールである場合は、システム100では、中央処理装置101の制御下で、ボイスメールを記憶装置104に格納して蓄積しておき、返信先にはボイスメールが到着している旨を電子メール等で通知し、返信先からシステム100に電話でアクセスすることにより当該ボイスメールを聞くことができるようにしている。または、中央処理装置101の制御下で、返信先の電話機に直接ボイスメールを転送して聞かせるようにしたり、WWWサーバ105によりWWW上に転送しておき、返信先からWWWサーバ105にアクセスすることにより当該ボイスメールを聞くことができるようにしても良い。更に、返信メールがファクシミリ文書やポケットベル文書である場合は、システム100では、中央処理装置101の制御下で、返信先のポケットベル3やファクシミリ装置4に直接ポケットベル信号やファクシミリ信号を送信するようにしている。
【0049】返信が不要な場合、あるいは、返信メッセージの入力が済んだ場合は、中央処理装置101は次に出力すべきメールがあるか否か調べる(ステップS8)。次のメールが存在しない場合は処理を終了し、存在する場合はそのメールをユーザ1が指定した出力方法に従って出力する(ステップS8からステップS5へ)。出力すべきメールがなくなるまで、以上の処理が続けられる。
【0050】更に、本実施例では、メール出力方法の指定、及び、返信メッセージ送信方法の指定について、上記の音声認識を用いたユーザ1の発声による指定の他に、予めWWW上でそれらの方法を指定できるようにしてある。
【0051】具体的には、システム100では、WWWサーバ105がWWW上にメール出力方法に関する指定情報の記入項目と、返信メッセージ送信方法に関する情報の記入項目の少なくとも一方を提供するようにしてある。これに対し、ユーザ1はデータ処理端末5を用いてシステム100のWWWサーバ105にアクセスし、WWWサーバ105が提供するWWW上の各記入項目に、メール出力方法に関する必要事項(メディア、メール検索、メール出力順番等)及び返信メッセージ送信方法に関する必要事項(メディア)の一方又は両方を入力する。この入力情報に基づいて、中央処理装置101がメール出力方法、あるいは、返信メッセージ送信方法、あるいは、メール出力方法及び返信メッセージ送信方法をユーザ情報として、ID及びパスワードに対応させて記憶装置204に格納しておく。
【0052】このようにWWW上でメール出力方法及び返信メッセージ送信方法の少なくとも一方が指定されている場合は、ユーザ1がシステム100へのアクセスの都度メール出力方法を発声して確認したり、メール出力の都度返信メッセージ送信方法を発声して確認したりする必要がなくなり、ユーザ1の手間が省ける。
【0053】ところで,緊急時等のために、ユーザ1自身からシステム100へのアクセスが無くても、携帯電話機やポケットベルといった携帯端末等に対し、到着メールを自動転送して欲しいと要求される場合が考えられる。
【0054】そこで本実施例では、ユーザ1からシステム100へアクセスを行うことなく、予めWWW上で自動転送先の端末を指定しておけば、到着しているメールの緊急度に応じて、システム100から指定された端末に直ちに、到着メールを自動的に転送できるようにしている。
【0055】具体的には、システム100では、WWWサーバ105がWWW上にメールの発送者名やメールのタイトル、あるいは、メール中の特定キーワードを用いた緊急度指定用の記入項目と、個人専用携帯端末等の転送先端末番号指定用の記入項目を提供するようにしてある。一方、ユーザ1はデータ処理端末5を用いてシステム100にアクセスし、WWWサーバ105が提供するWWW上の緊急度指定用の各記入項目に、メールの発送者名やメールのタイトル、あるいは、メール中の特定キーワードを用いて緊急度指定を入力すると共に、個人専用携帯端末等の転送先端末番号指定用の記入項目に、転送先端末番号を入力する。この入力情報に基づいて、中央処理装置101がメールの緊急度及び転送先端末番号をユーザ情報として、ID及びパスワードに対応させて記憶装置204に格納しておく。そしてシステム100は、メールの到着直後に、あるいは電子メールを一定時間間隔でPOPプロトコルにより転送した直後に、そのメールを指定された緊急度により分類し、或る一定以上の高さの緊急度を持つメールの場合は、ユーザ1からのアクセスがない場合でも、ユーザ1が予め指定した携帯電話機、ポケットベル等の個人専用端末に自動的に転送し、ユーザ1にメールの到着を通知すると共に、メールの受信を行させる。但し、到着したメールに、これが緊急なメールであることを送信元が設定してその旨を明記してある場合は、直ちに、予め指定した携帯電話機、ポケットベル等の個人専用端末に自動的に転送するようにしてある。
【0056】これにより、ユーザ1からシステムへ100へアクセスを行う必要なく、指定した個人専用端末等にメールが自動的に転送され、便利である。
【0057】また、本実施例では、電話機2から音声でシステム100にアクセスする他に、ポケットベル3やファクシミリ装置4等の端末からでも、システム100にアクセスして電子メールやボイスメール等のメール出力方法の指定、あるいは、返信メッセージ送信方法の指定、あるいは、メール出力方法の指定及び返信メッセージ送信方法の指定を行うことができるようにしてある。
【0058】具体的には、(1) ポケットベル3からシステム100にアクセスする場合は、中央処理装置101の指示で、メッセージ変換装置108がPB信号を書面文字に変換し、また、電子メールやボイスメールをPB信号に変換することにより、本人照合を行ったり、メール到着件数、発送者名及びタイトルを通知したり、メール出力方法を指定したり、返信メッセージ送信方法を指定する。(2) ファクシミリ装置4からシステム100にアクセスする場合は、中央処理装置101の指示でメッセージ変換装置108がファクシミリ(FAX)信号を書面文字に変換し、また、電子メールやボイスメールをファクシミリ(FAX)信号に変換することにより、本人照合を行ったり、メール到着件数、発送者名及びタイトルを通知したり、メール出力方法を指定したり、メッセージ送信方法を指定する。
【0059】上述した例では、WWWサーバ105が提供するWWW上でデータ処理端末5を用いてユーザ1が事前にユーザ登録を行うことを前提にしているが、これはシステム管理者のユーザ登録に関する作業及び管理を軽減することを第1に考えたシステムであり、場合によってはユーザ登録の作業及び管理の軽減は二の次とし、例えば、PB回線以外の電話機でもシステムを利用できるように音声によるアクセスが可能であれば良いメールアクセスシステム、あるいは、システム利用毎のメール出力方法の指定が不要となるようにWWWを用いて予めメニュー選択ができれば良いメールアクセスシステム、あるいは、メール出力毎の返信メッセージ送信方法の指定が不要となるようにWWWを用いて予めメニュー選択ができれば良いメールアクセスシステムが要求されることが考えられる。そのようなメールアクセスシステムの構成例を以下に示す。
(1)ユーザメールサーバに到着したメールをユーザ側の端末に転送するメールアクセスシステムにおいて、電話回線に接続された電話インタフェースと、電話インタフェースを通して入力される音声を認識する音声認識装置と、ユーザ登録済みの人の音声に対する認識結果から予め発行された識別コードに関する音声を登録音声データとして登録する手段と、登録音声データとユーザの音声から本人照合を行う話者認識装置と、本人照合が成功した場合にユーザのアクセスを許可する手段を具備することを特徴とするメールアクセスシステム。
(2)ユーザメールサーバに到着したメールをユーザ側の端末に転送するメールアクセスシステムにおいて、メールの出力方法に関するメニューを提供するWWWサーバと、前記WWWサーバのメニューにユーザが入力した情報に基づいてメールを自動的に出力する手段を具備することを特徴とするメールアクセスシステム。
(3)ユーザメールサーバに到着したメールをユーザ側の端末に転送するメールアクセスシステムにおいて、返信メッセージの送信方法に関するメニューを提供するWWWサーバと、前記WWWサーバのメニューにユーザが入力した情報に基づいて返信メッセージを自動的に送信するする手段を具備することを特徴とするメールアクセスシステム。
【0060】更に、上述したシステム100に、図3に示した従来システム200における、電話機のPB操作によるID入力、メール読み上げ方法のPB入力メニューのアナウンス、及び、PB操作によるメニュー選択指定等の機能を併せ持たせることは何ら差し支えない。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果がある。
(1) 電子メールや電話によりユーザ登録する代わりに、WWWを用いてユーザ登録を行い、ユーザの各記入項目を自動的にチェックし、データベース化できるため、システム管理者による登録管理が不要となる。
(2) PB入力以外に、ユーザの発声をシステムが音声認識することにより、プッシュ回線以外の電話機からの利用が可能である。
(3) また、到着メールの出力方法、返信メッセージの送信方法等について複数メニューから選択する場合も、音声認識により柔軟に対応可能である。
(4) 更に、このメニューからの選択をWWWで予め指定しておくことにより、システム使用時に生じるメニュー選択の手間や時間を省くことができる。
(5) システムとのアクセスを電話機以外に、ポケットベルやファクシミリ装置でも可能であり、これらのメディアによりメールを受信することにより、書面文字、音声のいずれかをユーザのニーズに合わせて選択できる。
(6) 出力された各メールに対して返信するか否かを確認し、返信する場合は、相手先に対し電子メールの他に、電話、ポケットベル、ファクシミリ等で自動転送することが可能であり、返信の際の相手連絡先を確認する必要がない上、その場で即時返信することができる。
(7) システムに対しユーザからのアクセスがなくても、ユーザが予め指定した携帯電話、ポケットベル等の端末に転送し、ユーザにメールの到着を通知すると共に、メールの受信を行わせることができる。
【0062】要するに、外出中等に到着した電子メールやボイスメールに対して、電話機、ポケットベル、ファクシミリ等の端末から何時でも何処でもアクセスできると共に、メールに対する返信も複数のメディアにより送信可能であるため、送信者、受信者双方の連絡を行う場合に利便性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係るメールアクセスシステムの構成を示す図。
【図2】図2に示すメールアクセスシステムの動作フローを示す図。
【図3】従来の電子メール読み上げシステムの構成を示す図。
【符号の説明】
1 ユーザ
2 電話機
3 ポケットベル
4 ファクシミリ装置
5 データ処理端末
100 メールアクセスシステム
101 中央処理装置
102 電話インタフェース
103 音声合成装置
104 記憶装置
105 WWWサーバ
106 音声認識装置
107 話者認識装置
108 メッセージ変換装置
300 ユーザメールサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ユーザメールサーバに到着したメールをユーザ側の端末に転送するメールアクセスシステムにおいて、ユーザ登録に関する記入項目を提供するワールド・ワイド・ウェブ(以下、WWWと呼ぶ)サーバと、前記WWWサーバの記入項目にユーザが入力した情報から自動的に識別コードの発行を含むユーザ登録を行う手段を具備することを特徴とするメールアクセスシステム。
【請求項2】 電話回線に接続された電話インタフェースと、電話インタフェースを通して入力される音声を認識する音声認識装置と、ユーザ登録済みの人の音声に対する認識結果から識別コードに関する音声を登録音声データとして登録する手段と、登録音声データとユーザの音声から本人照合を行う話者認識装置と、本人照合が成功した場合にユーザのアクセスを許可する手段を具備することを特徴とする請求項1に記載のメールアクセスシステム。
【請求項3】 音声合成装置と、ユーザ宛の到着メールに関する情報を音声合成装置により音声信号に変換して出力する手段を具備することを特徴とする請求項2に記載のメールアクセスシステム。
【請求項4】 メール出力方法を指定するユーザの音声に対する認識結果から、指定されたメール出力方法でユーザ宛の到着メールを出力する手段を具備することを特徴とする請求項3に記載のメールアクセスシステム。
【請求項5】 メール出力方法として、電話への転送、ポケットベル等ディスプレイ付端末への転送、及び、ファクシミリ装置への転送の何れかが指定可能であることを特徴とする請求項4に記載のメールアクセスシステム。
【請求項6】 メールに対する返信メッセージの送信方法を指定するユーザの音声に対する認識結果から、指定された送信方法で返信メッセージを送信する手段を具備することを特徴とする請求項3に記載のメールアクセスシステム。
【請求項7】 メールに対する返信メッセージの送信方法として、ボイスメール、電話への転送、ポケットベル等ディスプレイ付端末への転送、音声を書面文字に変換した書面の電子メールによる送信、及び、音声を書面文字に変換した書面のファクシミリによる送信の何れかが指定可能であることを特徴とする請求項6に記載のメールアクセスシステム。
【請求項8】 返信のボイスメールは、電話又はWWW上に転送することを特徴とする請求項7に記載のメールアクセスシステム。
【請求項9】 返信のボイスメールを蓄積する手段と、返信先にボイスメールの到着を電子メール等で通知する手段とを具備し、返信先からの電話によるアクセスに応じてボイスメールを転送することを特徴とする請求項6に記載のメールアクセスシステム。
【請求項10】 前記WWWサーバは更にメールの出力方法に関するメニューを提供するものであり、前記WWWサーバのメニューにユーザが入力した情報に基づいて、メールを自動的に出力する手段を具備することを特徴とする請求項1から9いずれかに記載のメールアクセスシステム。
【請求項11】 前記WWWサーバは返信メッセージの送信方法に関するメニューを提供するものであり、前記WWWサーバのメニューにユーザが入力した情報に基づいて、返信メッセージを自動的に送信する手段を具備することを特徴とする請求項1から10いずれかに記載のメールアクセスシステム。
【請求項12】 到着したメールをその緊急度に従って、ユーザからのアクセスなしにユーザの端末に転送する手段を具備することを特徴とする請求項1から11いずれかに記載のメールアクセスシステム。
【請求項13】 緊急度はメールの送信元で設定されることを特徴とする請求項12に記載のメールアクセスシステム。
【請求項14】 緊急度はメールの送信者名で設定されることを特徴とする請求項12に記載のメールアクセスシステム。
【請求項15】 緊急度はメールに含まれる特定のキーワードで設定されることを特徴とする請求項12に記載のメールアクセスシステム。
【請求項16】 電話機またはファクシミリ(FAX)装置を用いたプッシュボタン操作により送信されてきたメッセージを書面文字に変換することにより、電子メールを相手に送信する手段を具備することを特徴とする請求項1から15いずれかに記載のメールアクセスシステム。
【請求項17】 送信されてきた音声を音声認識で書面文字に変換することにより、電子メールを相手に送信する手段を具備することを特徴とする請求項115いずれかに記載のメールアクセスシステム。
【請求項18】 送信されてきたファクシミリの書面を文字認識で書面文字に変換することにより、電子メールを相手に送信する手段を具備することを特徴とする請求項1から15いずれかに記載のメールアクセスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−20422(P2000−20422A)
【公開日】平成12年1月21日(2000.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−190141
【出願日】平成10年7月6日(1998.7.6)
【出願人】(000001214)ケイディディ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】