説明

メール中継装置、メール中継方法、メール中継プログラム、および該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】送信先の端末において、ドメイン指定受信設定がされている場合、プロバイダなどのメールサーバから該端末へ送信されたメールは、送信先が該メールの受信を希望していても、送信先の端末で受信拒否されてしまう。そこで、メールを送信先の端末まで確実に送信できるようにする。
【解決手段】外部のメール端末3から電子メールを取得する通信部11と、携帯電話キャリア網4と接続し、電子メールを送信するとき送信元を自身のメールアドレスとする通信端末16aとを備える。さらに、通信部11が取得した電子メールを、通信端末16aを用いて、該電子メールの送信先に送信する通信端末制御部13とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話キャリア網を利用した電子メールの送信処理を行うメール中継装置、メール中継方法、メール中継プログラム、および該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、携帯電話機やパソコン等で電子メール(以下、単に「メール」とよぶ)の送受信が行われている。パソコンからメールの送信を行う場合、通常、契約関係にあるプロバイダが管理するメールサーバに一旦メールを送る。メールサーバは、インターネットメールのメッセージフォーマット技術標準、例えばRFC(Request for Comments)822に従って、受取ったメールの形式を変換する。その後、メールサーバは、所定の形式に変換されたメールを、インターネットプロトコル(以下、IPとよぶ)網を介して送信先に送信する。ここで、メールの送信元メールアドレスには、上記プロバイダが設定したドメイン名が使用される。送信先が携帯電話端末の場合であっても、メールサーバは、メールをIP網に送る。その後、該メールは、携帯電話キャリア網とIP網とを接続するゲートウェイを介して携帯電話キャリア網に送られる。これにより、適当な携帯電話端末にメールが送信される。
【0003】
一方、営業目的で勝手に送りつけられるメール(いわゆる迷惑メール)が社会問題となっている。迷惑メールは、ユーザの受信意思とは無関係に不特定多数のユーザ宛に配信される。そのため、該メールの内容を欲していないユーザは、不快に感じ、該迷惑メールの削除等の負担を強いることとなる。特に、迷惑メールを受信しただけでユーザに通信料金等が課金されるシステムの場合、ユーザの支払額がユーザの意思と無関係に増大し問題となる。
【0004】
なお、迷惑メールは、インタネット網に接続されたメールサーバから送信されるメールであることが多い。これは、インタネット網に接続されたメールサーバから送信されるメールの場合、送信元を詐称して送信することができるためである。迷惑メールの送信元は、送信元を匿名としてメールを発信することができ、自身を特定されないようにしている。
【0005】
一方、迷惑メールは、携帯電話端末からほとんど発信されない。これは、携帯電話キャリアのメールアドレスが携帯電話端末ごとに設定されているため、迷惑メールの送信元がすぐに特定されてしまうからである。
【0006】
そこで、例えば特許文献1のように、迷惑メールの受信を拒否するための様々な方法が開示されている。特に、特定のドメイン名を有する電子メールアドレスを送信元とするメールのみを受信し、該ドメイン名以外のドメイン名を有するメールアドレスを送信元とする電子メールの受信を拒否する方法(以下、「ドメイン指定受信」とよぶ)が広く普及している。このドメイン指定受信の場合、特定のドメイン名を有しないメールアドレスを送信元とする迷惑メールを一括して受信を拒否することができる。
【0007】
ここで、携帯電話端末において、ユーザが受信指定のドメイン名として特定するドメイン名は、通常自身のドメイン名である。これにより、携帯電話端末は、自身が属する携帯電話キャリアからの案内メール等の必要なメールを受信することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2003−114851号公報(2003年4月18日公開)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなドメイン指定受信が設定された携帯電話端末を有するユーザが、特定メール(例えば、ある企業の広告メール等)の配信請求を行う場合がある。このとき、配信請求を受けた企業と契約関係にあるプロバイダのメールサーバは、該特定メールを携帯電話端末に送信する。しかしながら、該特定メールの送信元メールアドレスが受信指定のドメイン名を有していないため、携帯電話端末は、該特定メールを受信しないという問題があった。
【0010】
携帯電話端末においてドメイン指定受信の設定が解除されると、携帯電話端末は、該特定メールを受信できる。しかしながら、ユーザが受信を希望しない迷惑メールまで受信することとなる。また、一般に、ドメイン指定受信の解除・再設定の手順は煩雑である。
【0011】
また、ユーザは、ドメイン指定受信の設定により受信が拒否されたメールの有無を知ることができない。そのため、ユーザは、配信請求をしても特定メールを送信してくれない、という感情を抱く。これにより、配信請求を行った企業に対するユーザの信用が低減する。すなわち、該企業に対するイメージが悪化するという問題も生じる。
【0012】
これらの問題点は、従来のメールサーバがIP網を用いてメールを送信するものであり、そのメールの送信元ドメイン名がプロバイダの設定したドメイン名に固定されていることに起因する。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、メールを送信先まで確実に送信することのできるメール中継装置、メール中継方法、メール中継プログラムおよび該プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係るメール中継装置は、外部のメール端末から電子メールを受信する通信手段と、携帯電話キャリア網と接続し、メールアドレスをもつ通信端末手段と、前記通信手段が取得した電子メールを、前記通信端末手段を用いて、該電子メールの送信先に送信する第1のメール送信手段とを備え、電子メールを送信するとき、前記通信端末手段は、電子メールの送信元を前記メールアドレスにするものであることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、通信端末手段は、携帯電話キャリア網と接続することができるので、通信端末手段は該キャリアの設定するドメイン名のメールアドレスを持つことができる。さらに、通信端末手段が電子メールを送信するとき、その電子メールの送信元メールアドレスを前記通信端末手段のメールアドレスとする。そのため、第1のメール送信手段が、通信手段の取得した電子メールを、通信端末手段を用いて該電子メールの送信先に送信すると、本来の送信元であるメール端末とは異なり、キャリアの設定したドメイン名の送信元メールアドレスで電子メールを送信することができる。
【0016】
これにより、メールを送信するときに、送信元のドメイン名が携帯電話キャリア網内で用いられるドメイン名となり、メールを送信先まで確実に送信することのできるメール中継装置を提供することができる。
【0017】
よって、送信先の端末において、該キャリアの設定したドメイン名を指定ドメインとするドメイン指定受信の設定がされていても、該送信先の端末は電子メールを確実に受信することができる。つまり、送信先の端末を所有するユーザが、ドメイン指定受信により拒否されるメールアドレスのメール端末に対して広告メール等の送信要求を行っても、メール端末は、該広告メール等を本発明のメール中継装置を中継させることで送信先の端末に確実に送信できる。これにより、送信先の端末を所有するユーザは、送信要求した広告メール等を見ることができる。つまり、送信先の端末を所有するユーザの満足度が向上する。
【0018】
また、送信先の端末と通信端末手段とが同じ携帯電話キャリア網に接続できる端末であると、通信端末手段と送信先の端末との間での電子メールの送信速度が短縮することができる。なぜなら、インターネット経由で送信するよりも、直接的な配送経路を辿ることができるためである。よって、送信先の端末を所有するユーザにとって送受信に要する待ち時間が短縮されるため、待ち時間から生じる該ユーザの不快感を解消することができる。
【0019】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、上記の構成に加えて、互いに異なる携帯電話キャリアに属する複数の前記通信端末手段を有しており、複数の前記通信端末手段の中から、前記通信手段が取得した電子メールを送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段を備えており、各通信端末手段には、通信端末手段ごとに独自の識別情報が割り当てられており、前記通信手段は、電子メールとともに前記識別情報を前記メール端末から受信するものであり、前記送信端末決定手段は、前記通信手段が受信した識別情報を基に通信端末手段を決定するものであることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、互いに異なる携帯電話キャリアに属する複数の通信端末手段を有しているので、送信先の端末が属するキャリアに合わせて、電子メールを中継して送信する通信端末手段を選択することができる。
【0021】
また、各通信端末手段には通信端末手段ごとに独自の識別情報が割り当てられているので、識別情報により即座に各通信端末手段を特定することができる。すなわち、各通信端末手段に対して、ユニークに識別情報が割り当てられている。
【0022】
さらに、通信手段は上記識別情報をメール端末から取得することができるので、メール端末を所有するユーザは、複数の通信端末手段の中から電子メールを中継して送信する通信端末手段を選択することができる。つまり、メール端末を所有するユーザは、送信先の端末が属するキャリアに合わせて、通信端末手段を選択することができる。
【0023】
そして、識別情報を基に送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段が備えられているので、自動で通信端末手段が決定され、自動的にメール端末を所有するユーザが希望する通信端末手段から電子メールが送信される。
【0024】
これにより、属するキャリアが異なる複数の送信先においてドメイン指定受信の設定がされていても、各送信先に対して電子メールを受信拒否されることなく確実に送信することができる。
【0025】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、上記の構成に加えて、互いに異なる携帯電話キャリアに属する複数の前記通信端末手段を有しており、複数の前記通信端末手段の中から、前記通信手段が取得した電子メールを送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段と、各通信端末手段と通信端末手段が有するドメイン名との対応関係を示すドメイン情報を記憶するドメイン情報記憶手段と、前記送信端末決定手段は、前記通信手段が取得した電子メールの送信先のドメイン名と、前記ドメイン情報を基に通信端末手段を決定するものであることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、さらに、互いに異なる携帯電話キャリアに属する複数の通信端末手段を有しているので、送信先の端末が属するキャリアに合わせて、電子メールを中継して送信する通信端末手段を選択することができる。
【0027】
また、各通信端末手段には識別情報が割り当てられているので、識別情報により即座に各通信端末手段を特定することができる。
【0028】
さらに、上記ドメイン情報を記憶する記憶手段と、通信手段が取得した電子メールの送信先のドメイン名に対応する識別情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した識別情報を基に、複数の通信端末手段の中から、送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段が備えられている。このため、送信先が接続できる携帯電話キャリア網と同じネットワークに接続できる通信端末手段を送信する通信端末手段として決定することができる。
【0029】
これにより、メール端末を所有するユーザが、電子メールを送信する送信端末手段を選択しなくても、送信先の端末が属するキャリアと同じキャリアに属する送信端末手段を自動で送信する送信端末手段として決定する。よって、メール端末を所有するユーザは、電子メールを送信する送信端末手段を選択するという作業と、その選択結果を通知させる作業とを行わなくてすむ。
【0030】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、上記の構成に加えて、送信元を前記メール端末のメールアドレスにして、前記通信手段が取得した電子メールを送信する第2のメール送信手段と、前記第2のメール送信手段から送信される電子メールを受信拒否する送信先が示された受信拒否情報を記憶する受信拒否情報記憶手段と、前記通信手段が取得した電子メールの送信先が前記受信拒否情報に含まれている場合、前記通信手段が取得した電子メールの送信手段として前記第1のメール送信手段を選択し、前記通信手段が取得した電子メールの送信先が前記受信拒否情報に含まれていない場合、前記通信手段が取得した電子メールの送信手段として前記第2のメール送信手段を選択する送信方法選択手段とを備え、前記送信方法選択手段により選択された第1または第2のメール送信手段が、前記通信手段が取得した電子メールを送信することを特徴としている。
【0031】
上記の構成によれば、さらに、受信拒否情報を記憶する受信拒否情報記憶手段および送信手段選択手段を備えているので、過去に第2のメール送信手段で電子メールを送信したときに受信拒否された場合、第2のメール送信手段で再び電子メールを送信することなく、通信端末手段からメールを送信するができる。このように、送信元のメールアドレスが異なる2つの送信手段をもっているため、送信元のメールアドレスにより受信拒否を行う送信先の端末に対して、メール送信の確実性を向上させることができる。
【0032】
特に、送信先が携帯電話端末であり、かつ、同一キャリアのドメイン名を送信元とするメールのみを受信するドメイン指定受信がされている場合には、第1のメール送信手段によりメールを送信することで、該携帯電話端末はメールを受信することができる。これにより、第2のメール送信手段で受信拒否がされても、第1のメール送信手段により確実に電子メールを送信先に送信することができる。
【0033】
また、受信拒否されていない場合には、第2のメール送信手段により、インターネットを介して電子メールを送信することができる。これにより、通信端末手段が、携帯電話キャリア網に接続するためのコストが不要となる。
【0034】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、前記通信手段は、前記第2のメール送信手段により送信した電子メールを送信先が受信拒否をした場合に、送信先から返送された当該電子メールである返送メールを受信するものであり、前記第1のメール送信手段は、前記返送メールを、前記通信端末手段を用いて、送信先へ送信するものであることを特徴としている。
【0035】
上記の構成によれば、さらに、第2のメール送信手段で電子メールを送信したとき、送信先で電子メールの受信拒否がされ、送信先から返送された当該電子メールである返送メールを受信しても、別の送信手段である第1のメール送信手段で当該電子メールを送信することができる。よって、より確実に送信先へと電子メールが送信される。
【0036】
したがって、送信先の端末において受信拒否の設定が変わり、該設定変更の影響で、本来受信を望んでいた電子メールの受信ができなくなることを避けることができる。これにより、送信先の端末を所有するユーザの、メール端末を有するユーザや企業への満足度が向上する。
【0037】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、上記の構成に加えて、前記通信端末手段は、送信したメールに対する返信メールを受信するものであり、前記返信メールを前記メール端末に転送するメール転送手段とを備えていることを特徴としている。
【0038】
上記の構成によれば、さらに、携帯電話キャリア網を介して返信される返信メールを受信することができ、該返信メールをメール端末に転送することができる。これにより、メール端末を所有するユーザは、返信メールの内容を確認することができる。よって、メール端末を所有するユーザと、返信メールを送信したユーザとの間で、情報の交換を確実に行うことができる。特に、メール端末を所有するユーザが企業であり、返信メールを送信したユーザが該企業の顧客である場合、顧客からの返信メールが無視されることがないので、顧客満足度が向上する。
【0039】
上記の課題を解決するために、本発明に係るメール中継方法は、上記通信手段と、上記通信端末手段と、上記第1のメール送信手段とを備えたメール中継装置におけるメール中継方法であって、上記通信手段にて、送信すべき電子メールを受信する受信ステップと、上記通信端末手段にて、前記電子メールの送信元メールアドレスを携帯電話キャリアのドメイン名にする送信元アドレス変換ステップと、上記第1のメール送信手段にて、前記携帯電話キャリア網を介して、前記電子メールを電子メールの送信先へ送信する送信ステップとを含むことを特徴としている。
【0040】
上記の方法によれば、電子メールの送信元メールアドレスを、携帯電話キャリア網を運営するキャリアの設定するドメイン名のメールアドレスにすることができる。そして、送信先へ電子メールを送信することができる。これにより、メールを送信するときに、送信元メールアドレスを、携帯電話キャリア網内で用いられるドメイン名とするメールアドレスにするメール中継方法を提供することができる。
【0041】
よって、送信先の端末において、該キャリアの設定したドメイン名を指定ドメインとするドメイン指定受信の設定がされていても、該送信先の端末は電子メールを確実に受信することができる。つまり、送信先の端末を所有するユーザが、ドメイン指定受信により拒否されるメールアドレスのメール端末に対して広告メール等の送信要求を行っても、該広告メール等を本発明のメール中継装置を中継させることで送信先の端末に確実に送信できる。これにより、送信先の端末を所有するユーザは、送信要求した広告メール等を見ることができる。
【0042】
なお、上記メール中継装置における第1のメール送信手段を、メール中継プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記メール中継プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記メール中継プログラムを実行させることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
本発明のメール中継装置に関する実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0044】
図1は、本実施形態のメール中継装置1の構成を示した機能ブロック図である。図1で示されるように、メール中継装置1には、メール端末3が接続されていている。また、図示しない他のメール端末が複数接続されている。接続方法は、例えば、インターネット回線やLAN(Local Area Network)である。なお、メール端末3が有するメールアドレスは、abcd@zzz.co.jpである。
【0045】
また、メール中継装置1は、各携帯電話キャリアA,B,…により構築されている携帯電話キャリア網(例えば、携帯電話キャリアAによる携帯電話キャリア網4)と無線接続することができ、携帯電話キャリア網4を介して携帯電話端末5やメールサーバ7とメールの送受信を行う。なお、携帯電話端末が有するメールアドレスは、efgh@aaa.ne.jpである。
【0046】
携帯電話キャリア網では、キャリア独自のプロトコルが使用されている。また、携帯電話キャリア網では、メールサーバを有するものと、そうでないものとがある。
【0047】
メールサーバを有する携帯電話キャリア網では、該キャリアに属する携帯電話端末を送信先とするメールを該メールサーバに格納する。その後、携帯電話端末が、メールサーバにアクセスし、メールを取得する。この場合、該キャリアに属する携帯電話端末は、同キャリアに属する他の携帯電話端末に対してメールを送信するとき、メールサーバにメールを送信する。
【0048】
一方、メールサーバを有しない携帯電話キャリア網では、該キャリアに属する携帯電話端末間で直接的にメールの送受信が行われる。なお、携帯電話端末キャリア網4は、これに該当するものとして説明する。
【0049】
また、携帯電話キャリア網4は、ゲートウェイ6を介してIP網2と接続されており、該IP網2には複数のメールサーバやメール端末が接続されている。例えば、図1に示すように、IP網2にはメールサーバ7が接続されている。
【0050】
メール中継装置1は、メール端末3を含む複数のメール端末からメールを送信して欲しい旨の送信依頼を受け、特定の携帯電話キャリア網を利用して、該メールの送信を行うことをその主な機能としている。つまり、メール中継装置1は、送信依頼元(例えば、メール端末3)から送信先(例えば、携帯電話端末5)へのメールを中継するものであり、そのメールの送信元メールアドレスを送信依頼元メールアドレスから携帯電話キャリアのドメイン名のメールアドレスに変更する。
【0051】
これにより、上記のように送信先の携帯電話端末5において、自身が属するキャリアのドメイン名のみのメールを受信するドメイン指定受信の設定がされていても、該携帯電話端末5は、他のドメイン名を有するメール端末3からメールを受信することができる。
【0052】
また、携帯電話端末5は、メール中継装置1から受信したメールに対する返信メールを、メール中継装置1に返信することもできる。このとき、メール中継装置1は、携帯電話キャリア網4を介して、該返信メールを受信し、送信依頼元であるメール端末3へ返信メールの転送を行う。
【0053】
次に、メール中継装置1の詳細な構成とその機能について説明する。メール中継装置1は、通信部(通信手段)11と、メール送信部12と、受信メール読出部(メール転送手段)14と、記憶部(ドメイン情報記憶手段・通信履歴情報記録手段)15と、複数の通信端末(通信端末手段)16a、16b、…とを備えている。
【0054】
通信部11は、メール端末3と接続されており、メール端末3との間で電子メール等の情報の送受信を行う。メール端末3からメールの送信依頼を受けるとき、通信部11は、メール端末3から電子メール本文、送信先メールアドレス、およびメール端末3のメールアドレス(つまり、送信依頼元メールアドレス)を含む所定の情報を受信する。
【0055】
ここで、送信先メールアドレスとは、電子メールを送信する相手先の端末を指定するメールアドレスである。送信依頼元メールアドレスとは、送信依頼を行うメール端末3が有するメールアドレスである。また、上記所定の情報の中に、送信を行う通信端末16a、16b、…を特定するための、各通信端末に対してユニークに割り当てられた識別情報が含まれていることもある。識別情報としては、例えば、各通信端末が有する通信端末メールアドレスである。以下、識別情報は、通信端末メールアドレスとする。
【0056】
また、通信部11は、転送先メールアドレスを示された転送メールを受信メール読出部14から取得し、該転送メールを送信する。
【0057】
通信端末16a、16b、…は、携帯電話キャリア網を介して、携帯電話端末5やメールサーバ7との間で電子メールの送受信を行うための携帯電話端末である。通信端末16a、16b、…は、それぞれ携帯電話キャリア網に接続することのできる送受信部(図示しない)と、受信したメールを一旦記憶するメモリ(図示しない)とを備えている。
【0058】
通信端末16a、16b、…は、それぞれ独自のメールアドレスを有している。該メールアドレスのドメイン名は、通信端末16a、16b、…の属する携帯電話キャリアによって決定される。
【0059】
また、通信端末16a、16b、…は、それぞれ異なる携帯電話キャリアに属している。これにより、メール中継装置1は、複数の携帯電話キャリア網に対して無線接続を行うことができる。よって、送信先の携帯電話端末が属するキャリアに合わせて、メールを中継して送信する通信端末16a、16b、…を選択することができる。
【0060】
例えば、通信端末16aは、キャリアA対応で、server1@aaa.ne.jpというメールアドレスを有し、通信端末16bは、キャリアB対応で、server2@bbb.ne.jpというメールアドレスを有している。なお、キャリアAのドメイン名はaaa.ne.jpであり、キャリアBのドメイン名はbbb.ne.jpである。つまり、通信端末16aは、キャリアA用通信端末であり、通信端末16bは、キャリアB用通信端末である。
【0061】
通信端末16a、16b、…は、メール送信部12と接続されており、メール送信部12から所定のプロトコルに従った形式のメールを取得する。さらに、メール送信部12からメール送信の指示も受ける。
【0062】
通信端末16aがメール送信の指示を受けると、通信端末16aは、携帯電話キャリア網4を介して、送信先に向けてメールを送信する。このとき、通信端末16aは、メールの送信元を、当該通信端末16aが有するメールアドレスとする。すなわち、通信端末16aは、送信元メールアドレスをserver1@aaa.ne.jpとする。
【0063】
このように、通信端末16a、16b、…を備えるメール中継装置1は、送信依頼元(例えば、メール端末3)から送信先(例えば、携帯電話端末5)へのメールを中継して、その送信元メールアドレスを通信端末16a、16b、…のメールアドレスに変更する。これにより、上記のように携帯電話端末5においてドメイン指定受信の設定がされていても、携帯電話端末5は、ドメイン名を自身と同じキャリアAのaaa.ne.jpとする通信端末16aからの電子メールを受信することができる。
【0064】
また、通信端末16a、16b、…は、自身を送信先メールアドレスとするメールを受信する。メールを受信すると、通信端末16a、16b、…は、該メールを各通信端末に備えられたメモリに記憶させる。なお、通信端末16a、16b、…が受信するメールは、通信端末16a、16b、…が送信したメールに対する携帯電話端末5やメールサーバ7からの返信メール、もしくは、送信先アドレスを誤って送信された誤送信メールのいずれかである。
【0065】
記憶部15は、ドメイン情報15aと、通信履歴情報15bと、受信メール情報15cとを記憶している。なお、ドメイン情報15a、通信履歴情報15b、および受信メール情報15cは、それぞれ異なる記憶部に記憶されていてもよい。
【0066】
ドメイン情報15aは、上記複数の通信端末16a、16b、…と、通信端末16a、16b、…のドメイン名との対応関係を示している。
【0067】
通信履歴情報15bは、通信端末16a、16b、…が電子メールを送信した送信先を示す送信先メールアドレスと、該電子メールの送信依頼を行った送信依頼元を示す送信依頼元メールアドレスとの対応関係を示している。これにより、メール中継装置1が送信を行った通信履歴を読み出すことができる。
【0068】
受信メール情報15cは、通信端末16a、16b、…が受信した受信メールに関する情報である。
【0069】
メール送信部12は、送信依頼のあったメールを、通信端末16a、16b、…を用いて送信させるためのものである。メール送信部12は、通信部11、記憶部15、および通信端末16a、16b、…と接続されている。メール送信部12は、通信部11より、送信すべきメール本文、送信先メールアドレス、および送信依頼元メールアドレスからなる所定の情報を取得する。さらに、所定の情報の中に特定の通信端末メールアドレスが含まれる場合もある。メール送信部12は、送信端末決定部(送信端末決定手段)17と、通信端末制御部(第1のメール送信手段)13とを備えている。
【0070】
送信端末決定部17は、複数の通信端末16a、16b、…の中から、メールの送信を行う通信端末を決定するためのものである。
【0071】
メール送信部12が通信部11から通信端末メールアドレスを取得した場合、送信端末決定部17は、取得した通信端末メールアドレスを有する通信端末を送信すべき端末として決定する。
【0072】
また、通信部11から通信端末メールアドレスを取得しない場合、送信端末決定部17は、取得した送信先メールアドレスのドメイン名とドメイン情報15a内に登録されたドメイン名との照合を行う。
【0073】
ドメイン情報15a内に一致するドメイン名がある場合、該ドメイン情報15aを参照して、送信端末決定部17は、該ドメイン名に対応する通信端末16a、16b、…を送信すべき通信端末として決定する。
【0074】
一方、ドメイン情報15a内に一致するドメイン名がない場合、つまり、いずれの携帯電話キャリアにも属さないドメイン名を送信先とする場合、送信端末決定部17は、予め任意に設定された通信端末を送信すべき通信端末として決定する。本実施形態では、例えば、ドメイン情報15a内に一致するドメイン名がない場合、送信端末決定部17は通信端末16aを送信すべき通信端末として決定するように設定されている。
【0075】
通信端末制御部13は、通信端末16a、16b、…を操作して、メールの送信を制御するものである。通信端末制御部13は、送信端末決定部17が決定した通信端末の携帯電話キャリアのプロトコルに対応するように、メールの形式を変換する。このとき、メール本文に、送信依頼元であるメール端末3に関する情報を加えてもよい。これにより、送信先の端末を使用するユーザがメール端末3から送られたメールであることを認識することができる。例えば、メール端末3からの送信依頼を受けている場合、メール本文の冒頭に、「abcd@zzz.co.jpからの以下のメールを送信します。」等の文を挿入する。その後、変換したメール本文および送信先メールアドレスを送信端末決定部17が決定した通信端末に送り、該通信端末に送信開始の指示を与える。
【0076】
また、通信端末制御部13は、取得した送信先メールアドレスと送信依頼元のメールアドレスとの対応関係を示す情報を記憶部15の通信履歴情報15bに書き込む。これにより、通信履歴情報15bは、常に更新されることとなる。
【0077】
受信メール読出部14は、通信端末16a、16b、…が受信したメールを読み出すためのものであり、通信端末16a、16b、…、記憶部15、および通信部11に接続されている。
【0078】
受信メール読出部14は、各通信端末16a、16b、…のメモリ内に受信メールが存在するか否かを確認する。受信メールが存在することを確認した場合、受信メール読出部14は、メモリから該受信メールを読み出して、記憶部15に受信メール情報15cとして書き込み、かつ、通信端末16a、16b、…のメモリから該受信メールを消去する。これにより、通信端末16a、16b、…が新規の受信メールを受信しないかぎり、通信端末16a、16b、…のメモリは空の状態となる。記憶部15への書き込みとメモリからの消去を行うと、再び各通信端末16a、16b、…のメモリ内に受信メールが存在するかを確認する。
【0079】
また、各通信端末16a、16b、…のメモリ内に受信メールが存在しないことを確認した場合、受信メール読出部14は再び各通信端末16a、16b、…のメモリの内部を確認し続ける。
【0080】
また、受信メール読出部14は、読み出した受信メールの送信元メールアドレスと記憶部11の通信履歴情報15bの送信先メールアドレスとを照合する。一致する送信先メールアドレスが通信履歴情報15bにない場合、受信メール読出部14は、読み出した受信メールを誤送信メールであると判断し、再び各通信端末16a、16b、…のメモリの内部を確認し続ける。
【0081】
一方、一致する送信先メールアドレスが通信履歴情報15bにある場合、受信メール読出部14は、読み出した受信メールが返信メールであると判断し、一致する送信先メールアドレスに対応する送信依頼元メールアドレスを通信履歴情報15bから読み出す。そして、読み出した送信依頼元メールアドレスを転送先メールアドレスとして、読み出したメールを通信部11へ送る。このとき、送信元(返信元)に関する情報も追加して送る。追加方法としては、例えば、メール本文の最初に、「efgh@aaa.ne.jpからの以下のメールを転送します」のような文を挿入する。
【0082】
このように、受信メール読出部14は、携帯電話キャリア網4を介して返信される返信メールを受信することができ、該返信メールをメール端末3に転送することができる。これにより、メール端末3を所有するユーザは、返信メールの内容を確認することができる。よって、メール端末3を所有するユーザと、返信メールを送信したユーザとの間で、情報の交換を確実に行うことができる。特に、メール端末3を所有するものが企業であり、返信メールを送信したユーザが該企業の顧客である場合、顧客からの返信メールが無視されることがないので、顧客満足度が向上する。
【0083】
次に、メール中継装置1が携帯電話キャリア網4を利用してメールを送信するときの手順について説明する。図2は、メール中継装置1が携帯電話キャリア網4を利用してメールを送信するときのフローチャートである。
【0084】
まず、メール端末3は、送信先メールアドレス、電子メール本文、および自身のメールアドレス(つまり、送信依頼元メールアドレス)からなる所定の情報をメール中継装置1に送る(ステップS10)。
【0085】
ここで、送信する通信端末16a、16b、…を特定する場合、所定の情報の中に送信すべき通信端末16a、16b、…の通信端末メールアドレスを含めることができる。これにより、メール端末3を所有するユーザは、複数の通信端末の中からメールを中継して送信する通信端末を選択することができる。つまり、送信先の端末が属するキャリアに合わせて、メール端末3を所有するユーザは、通信端末を選択する。例えば、送信先の端末が携帯電話キャリア網4に接続できる携帯電話端末5であれば、携帯電話キャリア網4と接続できる通信端末16a(キャリアA用)の通信端末メールアドレスを所定の情報に含める。
【0086】
次に、メール中継装置1の通信部11は、上記所定の情報を取得する(ステップS20)。次に、通信部11は、取得した所定の情報を送信端末決定部17へ送る。送信端末決定部17は、所定の情報の中に通信端末を特定する識別情報の通信端末メールアドレスがあるか否かを判断する(ステップS21)。
【0087】
識別情報である通信端末メールアドレスが含まれている場合(ステップS21でYES)、送信端末決定部17は、取得した通信端末メールアドレスに対応する通信端末を送信端末として決定する(ステップS22)。このように、自動的にメール端末3を所有するユーザが希望する通信端末を送信端末として決定することができる。以下では、通信端末16aが決定されたとする。
【0088】
一方、識別情報である通信端末メールアドレスが含まれていない場合(ステップS21でNO)、送信端末決定部17は、ドメイン情報15aを参照して、取得した送信先メールアドレスのドメイン名に対応する通信端末16a、16b、…を送信端末として決定する(ステップS23)。以下では、通信端末16aが決定されたとする。
【0089】
このように、メール端末3を所有するユーザが、メールを送信する通信端末16a、16b、…を選択しなくても、送信先の端末が属するキャリアと同じキャリアに属する通信端末16a、16b、…を自動で送信する送信端末として決定する。よって、メール端末3を所有するユーザは、メールを送信する送信端末を選択するという作業と、その選択結果を通知させる作業とを行わなくてすむ。
【0090】
次に、通信端末制御部13は、送信端末決定部17が送信端末として決定した通信端末16aが属する携帯電話キャリアAのプロトコルに従って、メールの形式を変換し、変換後のメールを通信端末16aに送る(ステップS24)。
【0091】
そして、通信端末16aに送信の指示を送る。該指示を受けて、通信端末16aは、携帯電話キャリア網4を介して、携帯電話端末5またはメールサーバ7にメールを送信する(ステップS25)。このとき、通信端末16aは、送信されるメールの送信元メールアドレスを通信端末16aが有するメールアドレスとする。
【0092】
なお、携帯電話キャリア網4は、基地局を有しており、基地局を介して通信端末16aからメールを受信する。受信したメールは、所定の処理に従って、送信先に送られる。これにより、送信先側である携帯電話端末5、メールサーバ7および他の携帯電話端末やメールサーバは、メールを受信する(ステップS60)。ここで、所定の処理とは、以下の通りである。
【0093】
受信したメールの送信先が同じ携帯電話キャリア内の携帯電話端末5である場合、携帯電話キャリア網4から該携帯電話端末5にメールが送られる。
【0094】
また、送信先の端末である携帯電話端末5と通信端末16aとが同じ携帯電話キャリア網4に接続できる端末であるので、携帯電話端末5と通信端末16aとの間でのメールの送信速度が短縮することができる。よって、携帯電話端末5を所有するユーザにとって送受信に要する待ち時間が短縮されるため、待ち時間から生じる該ユーザの不快感が解消される。
【0095】
一方、メールの送信先が同じ携帯電話キャリア内の携帯電話端末5でない場合、メールは、中継装置(ゲートウェイ)を介して、他のネットワークへ送られる。ゲートウェイとは、プロトコルの異なるデータも通信可能にするために仲立ちをする機器である。例えば、送信先がメールサーバ7の管理下にあるメール端末の場合、メールは、ゲートウェイ6およびIP網2を介してメールサーバ7に送られる。
【0096】
以上のように、メール中継装置1は、送信元を携帯電話キャリアのドメイン名として、送信先である携帯電話端末5もしくはメールサーバ7へ送信することができる。
【0097】
通常、迷惑メールは、インタネット網に接続されたメールサーバより送信される。これは、迷惑メールを送信する送信元が、自身の身元が特定されないように、送信元を詐称しやすいためである。
【0098】
一方、携帯電話キャリアのメールアドレスは、携帯電話端末ごとに定められている。そのため、携帯電話端末を用いてメールを送信する場合、送信元は、送信元メールアドレスを詐称することができず、自身が特定されてしまう。
【0099】
上記の理由から、迷惑メールの送信元のほとんどは、携帯電話端末ではなく、インタネット網に接続されたメールサーバである。よって、迷惑メール対策として、携帯電話端末5を含む多数の端末では、携帯電話キャリアのドメインをドメイン受信指定の設定がされている。
【0100】
本実施形態のメール中継装置1は、上記したように送信元を携帯電話キャリアのドメイン名として、携帯電話端末5に送信するため、携帯電話端末5において、上記のようなドメイン指定受信の設定がなされていても、該メールを受信することができる。
【0101】
次に、メール中継装置1がメールを受信するときの手順について説明する。図3は、通信端末16a、16b、…がメールを受信するときのフローチャートを示している。
【0102】
メール中継装置1において、受信メール読出部14は、通信端末16a、16b、…のメモリ内に受信メールが格納されているか否かを判断する(ステップS26)。
【0103】
ここで、メモリ内が空である場合、再度、通信端末16a、16b、…のメモリ内に受信メールが格納されているか否かを確認するステップに戻る(ステップS26においてNO)。
【0104】
メモリ内に受信メールがあることを確認した場合(ステップS26においてYES)、つまり、通信端末16a、16b、…がメールを受信し、受信メールをメモリに格納した場合、受信メール読出部14は、該メモリから受信メールを読み出し、読み出した受信メールを記憶部15に受信メール情報15cとして記憶する(ステップS27)。
【0105】
次に、受信メール読出部14は、受信メール情報15cから送信元メールアドレスを読み出す。さらに、受信メール読出部14は、読み出した送信元メールアドレスが、記憶部15の通信履歴情報15bの送信先メールアドレスに存在するかを判断する(ステップS28)。
【0106】
通信履歴情報15bの中に一致する送信先メールアドレスがある場合(ステップS28においてYES)、受信メール読出部14は、受信メールが返信メールと判断する。そして、受信メール読出部14は、該送信先メールアドレスに対応する送信依頼元メールアドレスを通信履歴情報15bから読み出し、読み出した送信依頼元メールアドレスを、返信メールの転送先メールアドレスとして特定する(ステップS29)。
【0107】
次に、受信メール読出部14は、特定した転送先メールアドレスと返信メール本文とを通信部11に送る。このとき、返信メール本文に、受信メールの送信元に関する情報を追加する。例えば、「efgh@aaa.ne.jpからのメールを転送します」というような文を返信メール本文の最初に追加する。その後、通信部11は転送先メールアドレスを有するメール端末3に、該メールを転送する(ステップS30)。
【0108】
なお、ステップS30が終了すると、メール中継装置1は、上記の処理(ステップS26〜S30)を繰り返し行う。
【0109】
転送先のメール端末3は、通信部11から転送メールを受信する(ステップS11)。これにより、メール端末3は、メール中継装置1に送信依頼をおこなったメールに対する返信メールを取得することができる。
【0110】
一方、通信履歴情報15bの中に一致する送信先メールアドレスがない場合(ステップS28においてNO)、受信メールは誤送信メールであると判断し、再びステップS26に戻る。
【0111】
次に、図4に、ドメイン情報15aの具体的な登録例を示す。図4に示されるように、ドメイン情報15aでは、通信端末16a、16b、…を特定する情報に対応づけて、通信端末16a、16b、…のドメイン名が登録されている。ここでは、通信端末16aを特定する情報である「キャリアA用通信端末」に対応して、通信端末16aのドメイン名aaa.ne.jpが記載されている。これにより、通信端末16aは、そのドメイン名がaaa.ne.jpであることが示される。同様に、通信端末16bは、そのドメイン名がbbb.ne.jpであることを示している。このようにして、各通信端末のメールアドレスおよびドメイン名の対応関係が示されている。このドメイン情報15aにより、送信先のドメイン名がaaa.ne.jpであるメールを送信するとき、送信端末決定部17は、送信すべき通信端末として通信端末16aを即座に決定することができる。
【0112】
図5は、通信履歴情報15bの具体的な登録例を示している。ここでは、abcd@zzz.co.jpというメールアドレスを持つメール端末3からメール送信の依頼を受けたメール中継装置1が、通信端末16aを送信端末として、efgh@aaa.ne.jpというメールアドレスを持つ携帯電話端末5にメールを送信した場合を例にとって説明する。
【0113】
図5で示されるように、通信履歴情報15bでは、送信依頼元メールアドレスに対応づけて、送信先メールアドレスが登録されている。例えば、abcd@zzz.co.jpという送信依頼元メールアドレスに対応づけて、efgh@aaa.ne.jpという送信先メールアドレスが登録されている。これにより、複数ある送信依頼元のうち送信依頼元メールアドレスabcd@zzz.co.jpから、送信先メールアドレスefgh@aaa.ne.jpに対して電子メールの送信を行ったという通信履歴がわかる。よって、携帯電話端末5から返信メールを通信端末16aが受信した場合、その返信メールの送信元メールアドレスがefgh@aaa.ne.jpであるため、転送先を複数あるメール端末の中から送信依頼元メールアドレスabcd@zzz.co.jpを有するメール端末3に即座に決定することができる。
【0114】
なお、上記実施形態では、メール中継装置1に、メール端末3を含む複数のメール端末が接続されている構成とした。しかし、これに限らず、メール中継装置1に一つのメール端末3が接続される構成であるとしてもよい。この場合、受信メール読出部14は、通信端末16a、16b、…が受信した受信メールを読み出すときに、読み出したメールの送信元メールアドレスと通信履歴情報15bとの照合を行わずに、転送先メールアドレスをメール端末3のメールアドレスであるとする。なぜなら、転送先は、メール端末3に限られるからである。
【0115】
また、上記実施形態では、メール端末3は、通信端末16a、16b、…のいずれの通信端末を用いてメールを送信してもよい構成であるとした。しかし、これに限らず、送信依頼元であるメール端末3の利用することのできる通信端末が固定されていてもよい。この場合、記憶部15は、送信依頼元メールアドレスと該送信依頼元の利用できる通信端末の通信端末メールアドレスとの対応関係を示す情報を記憶している。さらに、送信端末決定部17は、取得した所定の情報中の送信依頼元メールアドレスに対応する通信端末メールアドレスを上記情報から読み出して、該通信端末を送信端末として決定する。
【0116】
また、上記の実施形態では、サーバ側端末はメール中継装置の内部に含まれる構成であるとしたが、これに限られない。サーバ側端末以外の部材を含むメール中継装置本体部と、メール中継装置本体部にシリアル接続されているサーバ側端末とからなるメール中継装置であってもよい。
【0117】
〔実施形態2〕
本発明のメール中継装置に関する他の実施形態について、図6〜図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0118】
本実施形態のメール中継装置101は、メールの送信元を送信依頼元であるメール端末3とするメールの送信方法と、携帯電話キャリアのドメイン名をメールの送信元とするメールの送信方法との両方を行うことができる。さらに、メールの送信元を送信依頼元とする前者の送信方法によりメールを送信したときのメール受信拒否に関する情報をもとに、自動で送信方法を決定することを特徴としている。
【0119】
図6は、本実施形態のメール中継装置101の構成を示す機能ブロック図である。図6に示されるように、本実施形態のメール中継装置101は、通信部(通信手段)111と、メール送信部12と、記憶部(ドメイン情報記憶手段・受信拒否情報記憶手段)15と、通信端末16a、16b、…と、IP用メール送信部(第2のメール送信手段)18と、送信方法選択部(送信方法選択手段)19とを備えている。また、受信メール読出部14を備えていてもよい。
【0120】
記憶部15は、受信拒否情報15dをさらに記憶している。受信拒否情報15dは、過去にIP用メール送信部18からメールを送信したときに受信拒否通知を受けた送信先を示す情報である。送信先を示す情報としては、例えば、送信先メールアドレスが使用される。以下では、受信拒否を受けた送信先を示す情報を送信先メールアドレスとして説明する。
【0121】
通信部111は、メール端末3およびIP網2と通信可能に接続されている。これにより、通信部111は、メール端末3、メールサーバ7、および携帯電話端末5との間でメール等の情報の送受信を行うことができる。
【0122】
また、通信部111は、携帯電話端末5から、受信拒否通知と返送メールとを取得する。受信拒否通知とは、IP用メール送信部18により送られたメールに対する携帯電話端末5からの受信を拒否する旨の通知である。返送メールとは、受信拒否された当該メールであり、携帯電話端末5から送り返されるメールのことである。
【0123】
また、通信部111は、送信方法選択部19およびIP用メール送信部18にも接続されており、メール中継装置1の外部から受けた情報を送信方法選択部19に送り、IP用メール送信部18から送信するメールを受取る。
【0124】
送信方法選択部19は、メールの送信方法を選択するためのものである。送信方法としては、上記したように、メールの送信元を送信依頼元であるメール端末3とするメールの送信方法と、携帯電話キャリアのドメイン名をメールの送信元とするメールの送信方法とがある。送信方法選択部19は、通信部111、記憶部15、メール送信部12、およびIP用メール送信部18に接続されている。送信方法選択部19は、通信部111から送信すべきメール本文、送信先メールアドレス、および送信依頼元メールアドレスからなる所定の情報を取得する。所定の情報の中に、特定の通信端末16a、16b、…を示す通信端末メールアドレス(識別情報)が含まれていることもある。
【0125】
通信端末メールアドレスを取得した場合、送信方法選択部19は、携帯電話キャリアのドメイン名をメールの送信元とするメールの送信方法を選び、取得した所定の情報をメール送信部12へ送る。
【0126】
通信端末メールアドレスを取得しない場合は以下の通りである。送信方法選択部19は、取得した送信先メールアドレスが、上記受信拒否情報15dの中に存在するかどうかを判断する。受信拒否情報15dの中に送信先メールアドレスが存在すると、携帯電話キャリアのドメイン名を送信元とするメールの送信方法を選択し、取得した所定の情報をメール送信部12へ送る。これにより、IP用メール送信部18から再び電子メールを送信することなく、受信拒否の影響をうけない通信端末16a、16b、…からメールを送信するができる。
【0127】
一方、受信拒否情報15dの中に送信先メールアドレスが存在しないと、送信方法選択部19は、送信元を送信依頼元とする送信方法を選択し、取得した所定の情報をIP用メール送信部18へ送る。
【0128】
メール送信部12は、所定の情報を取得すると、上記実施形態と同じ作用をするが、これについては、上記の通りなので説明を省略する。ただし、通信端末メールアドレスが所定の情報に含まれるか否かの判断は、送信方法選択部19においても行われているため、メール送信部12は、該判断の機能を有していなくてもよい。
【0129】
また、送信方法選択部19は、通信部111から受信拒否通知および返送メールを取得する。受信拒否通知を取得すると、送信方法選択部19は、受信拒否されたメールの送信先メールアドレスを上記受信拒否情報15dに追加して書き込む。これにより、受信拒否情報15dが更新されていく。
【0130】
さらに、送信方法選択部19は、受信拒否されて返送されてきた電子メールである返送メールから、メール本文、送信先メールアドレス、および送信元メールアドレス(送信依頼元メールアドレスにあたる)からなる所定の情報を読み出し、該所定の情報をメール送信部12へ送る。これにより、メール送信部12は、上記実施形態と同様に、携帯電話キャリア網4を利用したメールの送信を行う。
【0131】
よって、IP用メール送信部18からメールを送信したとき、送信先でメールの受信拒否がされても、メール送信部12により再度メールを送信することができる。
【0132】
したがって、送信先の携帯電話端末5において受信拒否の設定が変わり、該設定変更の影響で、本来受信を望んでいたメールの受信ができなくなることを避けることができる。これにより、送信先の携帯電話端末5を所有するユーザの満足度が向上する。
【0133】
IP用メール送信部18は、送信元メールアドレスを送信依頼元であるメール端末3のメールアドレスにして、通信部111およびIP網2を介して送信先にメールを送信するためのものである。IP用メール送信部18は、送信方法選択部19および通信部111に接続されている。IP用メール送信部18は、送信方法選択部19から取得した所定の情報に基づいて、インターネットメールのメッセージフォーマット標準、例えばRFC822の規定に従ったメッセージフォーマットのメールを作成する。このとき、メールの送信元メールアドレスを送信依頼元のメールアドレスとして作成する。IP用メール送信部18は、通信部111およびIP網2を介して、作成したメールを送信先へ送信する。このとき、通信端末16a、16b、…と携帯電話キャリア網とは接続されないため、該接続に要するコストが不要となる。
【0134】
次に、メールの送信依頼を受けてメールを送信するときのメール中継装置の動作について図7を参照しながら説明する。図7は、メール中継装置101の動作のフローチャートである。なお、図7において、図2と同じ符号を示したステップは、上記実施形態と同じステップであり、説明を省略する。
【0135】
まず、メール端末3は、メールの送信依頼を行うために、メール中継装置101に所定の情報を送る(ステップS10)。通信部111は、該所定の情報を取得する(ステップS20)。
【0136】
次に、送信方法選択部19は、通信端末を特定する識別情報である通信端末メールアドレスが所定の情報の中にあるかどうかを判断する(ステップS31)。
【0137】
通信端末メールアドレスが所定の情報の中にある場合(ステップS31においてYES)、送信方法選択部19は、携帯電話キャリアのドメイン名をメールの送信元とするメールの送信方法、つまり、携帯電話キャリア網を利用したメールの送信方法を選択する(ステップS37)。その後、送信方法選択部19は、所定の情報をメール送信部12へ送る。次に、送信端末決定部17は、上記実施形態に記載したステップS22を実施する。その後のステップは、上記実施形態と同じである。
【0138】
通信端末メールアドレスが所定の情報の中にない場合(ステップS31においてNO)、送信端末選択部19は、取得した送信先メールアドレスが受信拒否情報15dの中にあるかどうかを判断する(ステップS32)。
【0139】
取得した送信先メールアドレスが受信拒否情報15dの中にある場合(ステップS32でYES)、送信端末選択部19は、携帯電話キャリア網を利用したメールの送信方法を選択する(ステップS37)。その後、送信方法選択部19は、所定の情報をメール送信部12へ送る。次に、送信端末決定部17は、上記実施形態に記載したステップS23を実施する。その後、上記実施形態と同じステップS24、S25を経て、送信先である携帯電話端末5はメールを受信する(ステップS60)。
【0140】
取得した送信先メールアドレスが受信拒否情報15dの中にない場合(ステップS32でNO)、送信端末選択部19は、メールの送信元を送信依頼元であるメール端末3とするメールの送信方法、つまり、IP網2を利用したメールの送信方法を選択する(ステップS33)。その後、送信方法選択部19は、所定の情報をIP用メール送信部18へ送る。
【0141】
次に、IP用メール送信部18は、インターネットメールのメッセージフォーマット標準であるRFC822に従って、メールを作成する。つまり、IPに従った形式に変換する(ステップS34)。IP用メール送信部18は、通信部111およびIP網2を介して、作成したメールを送信する(ステップS35)。
【0142】
IP網2では、送信先メールアドレスに従ってメールの処理がなされる。例えば、送信先が携帯電話端末5である場合、メールは、ゲートウェイ6を介して携帯電話キャリア網4に送られる。また、送信先が、メールサーバ7が管理するメール端末の場合、メールはメールサーバ7に送られる。
【0143】
その後、送信先側であるメールサーバ7および携帯電話端末5はメールを受信する(ステップS60)。
【0144】
以上のように、過去にIP用メール送信部18によりIP網2を介してメールを送信したときに受信拒否された場合、IP用メール送信部18で再びメールを送信することなく、別の送信経路である通信端末16a,16b,…からメールを送信するができる。このように、2つの送信経路をもっているため、メール送信の確実性を向上させることができる。
【0145】
特に、通信端末16a,16b,…からメールを送信する場合、送信先が携帯電話端末5であり、かつ、同一キャリアのドメイン名を送信元とするメールのみを受信するドメイン指定受信がされていたとしても、該携帯電話端末5はメールを受信することができる。
【0146】
また、受信拒否されていない場合には、IP用メール送信部18によりIP網2を介してメールを送信することができる。これにより、通信端末16a,16b,…が、携帯電話キャリア網4に接続するためのコストが不要となる。
【0147】
次に、メールの送信元を送信依頼元であるメール端末3とし、IP網2を介してメールを送信したが、送信先において受信拒否され、受信拒否通知を受けたときの動作について、図8を用いて説明する。図8は、受信拒否通知を受けたときのメール中継装置101の動作を示すフローチャートである。
【0148】
メールの送信先である携帯電話端末5やメールサーバ7において、メールの受信拒否がされると、該送信先は、受信を拒否する旨の受信拒否通知をメール中継装置101に対して送り返す(ステップS66)。このとき、該送信先は、受信拒否通知とともに受信拒否したメールである返送メールも送り返す。
【0149】
メール中継装置101の通信部111は、受信拒否通知と返送メールとを受信する(ステップS38)。通信部111は、受信した受信拒否通知と返送メールとを送信方法選択部19へ送る。
【0150】
次に、送信方法選択部19は、返送メールから、メール本文、送信先メールアドレス(つまり、受信拒否した端末のメールアドレスにあたる)、および送信元メールアドレス(つまり、送信依頼元メールアドレスにあたる)からなる所定の情報を読み出す(ステップS39)。
【0151】
次に、送信方法選択部19は、読み出した送信先メールアドレスを受信拒否情報15dに格納する(ステップS40)。
【0152】
次に、送信方法選択部19は、読み出した所定の情報をメール送信部12に送る(ステップS41)。所定の情報を受けたメール送信部12は、上記実施形態において説明したステップS23を行う。その後、上記実施形態において説明したステップS24、S25を経て、送信先側がメールを受信する(ステップS60)。
【0153】
なお、本実施形態では、メール中継装置101がIP用メール送信部18を内部に備える構成であるとした。しかし、これに限らず、IP用メール送信部18と同一の機能を有する外部のメールサーバとして、メール中継装置101に接続されていてもよい。接続方法は、インターネット回線やLAN等である。
【0154】
〔実施形態3〕
本発明のメール中継装置に関する他の実施形態について、図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0155】
本実施形態のメール中継装置201は、IP網2を利用した従来のメールサーバがメンテナンス等で停止状態のときの代替経路として用いられるものである。
【0156】
図9は、本実施形態のメール中継装置201の構成を示した機能ブロック図である。図9で示されるように、本実施形態のメール中継装置201は、インターネット回線またはLANを介して、メール端末3およびメールサーバ21に接続されている。メールサーバ21は、IP網2に接続されており、送信依頼を受けたメールを、IP網2を介して送信する従来のメールサーバである。
【0157】
メール中継装置201は、送信方法切換部20、通信部11、記憶部15、メール送信部12、および通信端末16a、16b、…を備えている。また、上記実施形態と同様に、受信メール読出部14を備えていてもよい。
【0158】
送信依頼先切換部20は、送信依頼先を切換えるものである。送信依頼先には、メールサーバ21と、メール中継装置201とがある。送信依頼先切換部20は、メール端末3を、通信部11またはメールサーバ21のどちらかに接続させるスイッチを有している。メール端末が通信部11と接続されると、メール端末から送られる所定の情報は、送信依頼先切換部20を通って、通信部11へ送られる。また、メール端末がメールサーバ21と接続されると、メール端末から送られる所定の情報は、送信依頼先切換部20を通って、メールサーバ21へと送られる。
【0159】
送信依頼先切換部20の切換えは、図示しない入力部からの切換え指示を受けて行われる。なお、図示しない入力部はメールサーバ21に接続されていてもよい。このとき、メールサーバ21が停止するときに、メールサーバ21が停止信号を入力部に送る。入力部が該停止信号を受けると、入力部は、メール端末3と通信部211とを接続するように切換える切換え指示を送信依頼先切換部20に送るようにしてもよい。これによれば、メールサーバ21が停止中にメール中継装置を用いてメールの送信を行うことができる。つまり、メール中継装置201は、メールサーバ21の停止時の代替配送経路として使用することができる。
【0160】
通信部11は、送信依頼先切換部20を介してメール端末から所定の情報を得る。所定の情報を得た後は、上記実施形態と同じ機能でもって動作する。
【0161】
なお、本実施形態では、メール中継装置201が送信依頼先切換部20を内部に備える構成であるとした。しかし、これに限らず、送信依頼先切換部20と同一の機能を有する部材がメール中継装置101の外部に接続されていてもよい。接続方法は、インターネット回線やLAN等である。
【0162】
最後に、上記メール中継装置1,101,201の各ブロック、特にメール送信部12、受信メール読出部14、および送信方法選択部19は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0163】
すなわち、メール中継装置1,101,201は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit )、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるメール中継装置1,101,201の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記メール中継装置1,101,201に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0164】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0165】
また、メール中継装置1,101,201を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された搬送波あるいはデータ信号列の形態でも実現され得る。
【0166】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0167】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るメール中継装置は、外部のメール端末から電子メールを受信する通信手段と、携帯電話キャリア網と接続し、メールアドレスをもつ通信端末手段と、前記通信手段が取得した電子メールを、前記通信端末手段を用いて、該電子メールの送信先に送信する第1のメール送信手段とを備え、電子メールを送信するとき、前記通信端末手段は、電子メールの送信元を前記メールアドレスにする構成である。
【0168】
それゆえ、メールを送信するときに、送信元のドメイン名を、携帯電話キャリア網内で用いられるドメイン名とすることができる。よって、送信先の端末において、該キャリアの設定したドメイン名を指定ドメインとするドメイン指定受信の設定がされていても、該送信先の端末は電子メールを確実に受信することができる。つまり、送信先の端末を所有するユーザが、ドメイン指定受信により拒否されるメールアドレスのメール端末に対して広告メール等の送信要求を行っても、メール端末は、該広告メール等を本発明のメール中継装置を中継させることで送信先の端末に確実に送信できる。これにより、送信先の端末を所有するユーザは、送信要求した広告メール等を見ることができる。つまり、送信先の端末を所有するユーザの満足度が向上するという効果を奏する。
【0169】
また、送信先の端末と通信端末手段とが同じ携帯電話キャリア網に接続できる端末であると、通信端末手段と送信先の端末との間での電子メールの送信速度が短縮することができる。なぜなら、インターネット経由で送信するよりも、直接的な配送経路を辿ることができるためである。よって、送信先の端末を所有するユーザにとって送受信に要する待ち時間が短縮されるため、待ち時間から生じる該ユーザの不快感を解消することができる。
【0170】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、上記の構成に加えて、互いに異なる携帯電話キャリアに属する複数の前記通信端末手段を有しており、複数の前記通信端末手段の中から、前記通信手段が取得した電子メールを送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段を備えており、各通信端末手段には、通信端末手段ごとに独自の識別情報が割り当てられており、前記通信手段は、電子メールとともに前記識別情報を前記メール端末から受信するものであり、前記送信端末決定手段は、前記通信手段が受信した識別情報を基に通信端末手段を決定するものである構成である。
【0171】
それゆえ、メール端末を所有するユーザは、送信先の端末が属するキャリアに合わせて、通信端末手段を選択することができる。そして、識別情報を基に送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段が備えられているので、自動で通信端末手段が決定され、自動的にメール端末を所有するユーザが希望する通信端末手段から電子メールが送信される。これにより、属するキャリアが異なる複数の送信先においてドメイン指定受信の設定がされていても、各送信先に対して電子メールを受信拒否されることなく確実に送信することができるという効果を奏する。
【0172】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、上記の構成に加えて、互いに異なる携帯電話キャリアに属する複数の前記通信端末手段を有しており、複数の前記通信端末手段の中から、前記通信手段が取得した電子メールを送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段と、各通信端末手段と通信端末手段が有するドメイン名との対応関係を示すドメイン情報を記憶するドメイン情報記憶手段と、前記送信端末決定手段は、前記通信手段が取得した電子メールの送信先のドメイン名と、前記ドメイン情報を基に通信端末手段を決定するものである構成である。
【0173】
それゆえ、送信先が接続できる携帯電話キャリア網と同じネットワークに接続できる通信端末手段を送信する通信端末手段として決定することができる。これにより、メール端末を所有するユーザが、電子メールを送信する送信端末手段を選択しなくても、送信先の端末が属するキャリアと同じキャリアに属する送信端末手段を自動で送信する送信端末手段として決定する。よって、メール端末を所有するユーザは、電子メールを送信する送信端末手段を選択するという作業と、その選択結果を通知させる作業とを行わなくてすむという効果を奏する。
【0174】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、上記の構成に加えて、送信元を前記メール端末のメールアドレスにして、前記通信手段が取得した電子メールを送信する第2のメール送信手段と、前記第2のメール送信手段から送信される電子メールを受信拒否する送信先が示された受信拒否情報を記憶する受信拒否情報記憶手段と、前記通信手段が取得した電子メールの送信先が前記受信拒否情報に含まれている場合、前記通信手段が取得した電子メールの送信手段として前記第1のメール送信手段を選択し、前記通信手段が取得した電子メールの送信先が前記受信拒否情報に含まれていない場合、前記通信手段が取得した電子メールの送信手段として前記第2のメール送信手段を選択する送信方法選択手段とを備え、前記送信方法選択手段により選択された第1または第2のメール送信手段が、電子メールを送信する構成である。
【0175】
それゆえ、受信拒否情報を記憶する受信拒否情報記憶手段および送信手段選択手段を備えているので、過去に第2のメール送信手段で電子メールを送信したときに受信拒否された場合、第2のメール送信手段で再び電子メールを送信することなく、通信端末手段からメールを送信するができる。このように、送信元のメールアドレスが異なる2つの送信手段をもっているため、送信元のメールアドレスにより受信拒否を行う送信先の端末に対して、メール送信の確実性を向上させることができるという効果を奏する。
【0176】
また、受信拒否されていない場合には、第2のメール送信手段により、インターネットを介して電子メールを送信することができる。これにより、通信端末手段が、携帯電話キャリア網に接続するためのコストが不要となるという効果も奏する。
【0177】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、前記通信手段は、前記第2のメール送信手段により送信した電子メールを送信先が受信拒否をした場合に、送信先から返送された当該電子メールである返送メールを受信するものであり、、前記第1のメール送信手段は、前記返送メールを、前記通信端末手段を用いて、送信先へ送信するものである構成である。
【0178】
それゆえ、送信先の端末において受信拒否の設定が変わり、該設定変更の影響で、本来受信を望んでいた電子メールの受信ができなくなることを避けることができる。これにより、送信先の端末を所有するユーザの、メール端末を有するユーザや企業への満足度が向上するという効果を奏する。
【0179】
さらに、本発明に係るメール中継装置は、上記の構成に加えて、前記通信端末手段は、送信したメールに対する返信メールを受信するものであり、前記返信メールを前記メール端末に転送するメール転送手段とを備えている構成である。
【0180】
それゆえ、携帯電話キャリア網を介して返信される返信メールを受信することができ、該返信メールをメール端末に転送することができる。これにより、メール端末を所有するユーザは、返信メールの内容を確認することができる。よって、メール端末を所有するユーザと、返信メールを送信したユーザとの間で、情報の交換を確実に行うことができる。特に、メール端末を所有するユーザが企業であり、返信メールを送信したユーザが該企業の顧客である場合、顧客からの返信メールが無視されることがないので、顧客満足度が向上するという効果を奏する。
【0181】
また、本発明に係るメール中継方法は、上記通信手段と、上記通信端末手段と、上記第1のメール送信手段とを備えたメール中継装置におけるメール中継方法であって、上記通信手段にて、送信すべき電子メールを受信する受信ステップと、上記通信端末手段にて、前記電子メールの送信元メールアドレスを携帯電話キャリアのドメイン名にする送信元アドレス変換ステップと、上記第1のメール送信手段にて、前記携帯電話キャリア網を介して、前記電子メールを電子メールの送信先へ送信する送信ステップとを含む方法である。
【0182】
それゆえ、メールを送信するときに、送信元メールアドレスを、携帯電話キャリア網内で用いられるドメイン名とするメールアドレスにすることができる。よって、送信先の端末において、該キャリアの設定したドメイン名を指定ドメインとするドメイン指定受信の設定がされていても、該送信先の端末は電子メールを確実に受信することができるという効果を奏する。
【0183】
なお、上記メール中継装置における第1のメール送信手段を、メール中継プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記メール中継プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記メール中継プログラムを実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメール中継装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】上記メール中継装置において、メールを送信するときの処理動作例を示すフローチャートである。
【図3】上記メール中継装置において、メールを受信するときの処理動作例を示すフローチャートである。
【図4】上記メール中継装置が備えているドメイン情報の一登録例を示す図である。
【図5】上記メール中継装置が備えている通信履歴情報の一登録例を示す図である。
【図6】本発明に係るメール中継装置の他の構成例を示す機能ブロック図である。
【図7】上記メール中継装置において、メールを送信するときの処理動作例を示すフローチャートである。
【図8】上記メール中継装置において、受信拒否通知を受けるときの処理動作例を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係るメール中継装置のさらに他の構成例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
1・101・201 メール中継装置
2 インターネットプロトコル網
3 メール端末
4 携帯電話キャリア網
11・111 通信部(通信手段)
13 通信端末制御部(第1のメール送信手段)
14 受信メール読出部(メール転送手段)
15 記憶部(ドメイン情報記憶手段・受信拒否情報記憶手段)
15a ドメイン情報
15b 通信履歴情報
15c 受信メール情報
15d 受信拒否情報
16a・16b 通信端末(通信端末手段)
17 送信端末決定部(送信端末決定手段)
18 IP用メール送信部(第2のメール送信手段)
19 送信方法選択部(送信方法選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のメール端末から電子メールを受信する通信手段と、
携帯電話キャリア網と接続し、メールアドレスをもつ通信端末手段と、
前記通信手段が取得した電子メールを、前記通信端末手段を用いて、該電子メールの送信先に送信する第1のメール送信手段とを備え、
電子メールを送信するとき、前記通信端末手段は、電子メールの送信元を前記メールアドレスにするものであることを特徴とするメール中継装置。
【請求項2】
互いに異なる携帯電話キャリアに属する複数の前記通信端末手段を有しており、
複数の前記通信端末手段の中から、前記通信手段が取得した電子メールを送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段を備えており、
各通信端末手段には、通信端末手段ごとに独自の識別情報が割り当てられており、
前記通信手段は、前記電子メールとともに前記識別情報を前記メール端末から受信するものであり、
前記送信端末決定手段は、前記通信手段が受信した識別情報を基に通信端末手段を決定するものであることを特徴とする請求項1に記載のメール中継装置。
【請求項3】
互いに異なる携帯電話キャリアに属する複数の前記通信端末手段を有しており、
複数の前記通信端末手段の中から、前記通信手段が取得した電子メールを送信する通信端末手段を決定する送信端末決定手段と、
各通信端末手段と通信端末手段が有するドメイン名との対応関係を示すドメイン情報を記憶するドメイン情報記憶手段とを備えており、
前記送信端末決定手段は、前記通信手段が取得した電子メールの送信先のドメイン名および前記ドメイン情報を基に通信端末手段を決定するものであることを特徴とする請求項1に記載のメール中継装置。
【請求項4】
送信元を前記メール端末のメールアドレスにして、前記通信手段が取得した電子メールを送信する第2のメール送信手段と、
前記第2のメール送信手段から送信される電子メールを受信拒否する送信先が示された受信拒否情報を記憶する受信拒否情報記憶手段と、
前記通信手段が取得した電子メールの送信先が前記受信拒否情報に含まれている場合、前記通信手段が取得した電子メールの送信手段として前記第1のメール送信手段を選択し、前記通信手段が取得した電子メールの送信先が前記受信拒否情報に含まれていない場合、前記通信手段が取得した電子メールの送信手段として前記第2のメール送信手段を選択する送信方法選択手段とを備え、
前記送信方法選択手段により選択された第1または第2のメール送信手段が、前記通信手段が取得した電子メールを送信することを特徴とする請求項1に記載のメール中継装置。
【請求項5】
前記通信手段は、前記第2のメール送信手段により送信した電子メールを送信先が受信拒否をした場合に、送信先から返送された当該電子メールである返送メールを受信するものであり、
前記第1のメール送信手段は、前記返送メールを、前記通信端末手段を用いて、送信先へ送信するものであることを特徴とする請求項4に記載のメール中継装置。
【請求項6】
前記通信端末手段は、自身が送信した電子メールに対する返信メールを受信するものであり、
前記返信メールを前記メール端末に転送するメール転送手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のメール中継装置。
【請求項7】
通信手段と、通信端末手段と、第1のメール送信手段とを備えたメール中継装置におけるメール中継方法であって、
上記通信手段にて、送信すべき電子メールを受信する受信ステップと、
上記通信端末手段にて、前記電子メールの送信元メールアドレスを携帯電話キャリアのドメイン名にする送信元アドレス変換ステップと、
上記第1のメール送信手段にて、前記携帯電話キャリア網を介して、前記電子メールを電子メールの送信先へ送信する送信ステップとを含むことを特徴とするメール中継方法。
【請求項8】
請求項1から6の何れか1項に記載のメール中継装置を動作させるためのメール中継プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるためのメール中継プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のメール中継プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2005−62925(P2005−62925A)
【公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−206930(P2003−206930)
【出願日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
Bluetooth
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)