説明

メール編集プログラムおよびメール編集方法

【課題】 メール編集画面から別画面に遷移することなくメール本文中に挿入したアニメーション動作の効果を確認して、メール編集を続けることの可能なメール編集プログラムおよび方法を提供すること。
【解決手段】 アニメーション付きのメッセージを作成するメール編集方法において、入力中のメッセージを編集画面に表示する際に、ユーザからの入力が一定時間無い場合にはメッセージをアニメーションさせながら表示し、ユーザからの入力を検出するとアニメーションを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メール編集プログラムおよびメール編集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータネットワーク上でテキストメッセージを互いに送受信することにより情報を伝達する電子メール技術は、コンピュータネットワークを相互接続するインターネット技術の発展とともに、コンピュータユーザの間における情報伝達手段として広く普及するに至っている。
【0003】
電子メール技術は携帯電話のようなモバイル端末においても利用されており、これにより例えば携帯電話と別の携帯電話またはコンピュータとの間でメッセージを交換することが可能となっている。
【0004】
さらに、日本市場における携帯電話では、単にテキストデータのみからなるメッセージの送受信だけでなく、デコメール(株式会社NTTドコモ)、デコレーションメール(KDDI株式会社)、デコレメール(ソフトバンクモバイル株式会社)のようにHTMLで作成されたメッセージの編集表示および送受信が可能である。
【0005】
このような技術分野において、特開2009−26089では「デコレーションメール用のテンプレート作成装置、方法、プログラム及び携帯電話機」が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2009−26089公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
HTMLでメッセージを作成する場合に特徴的なのは、メッセージに含まれる文字をタグで囲むことにより、例えばインデント(左、右、中央)、文字サイズ指定(大、小、標準)、背景色指定、イメージ挿入、スクロール表示、点滅表示、フラッシュ等のオブジェクト挿入等の修飾を施すことが可能なことである。このような文字修飾によりHTMLメールではテキストメールよりも表現力の高いメッセージを作成することができ、HTMLメールサービスは携帯電話ユーザの間で非常に人気の高いものとなっている。
【0008】
しかし、既存の携帯電話では、スクロールや点滅のようなアニメーション動作を伴う文字修飾を施したHTMLメールを作成した場合、アニメーション動作の効果を確認するには編集画面を一旦終了してプレビュー画面で表示する必要があった。すなわち、メール編集画面から別画面に遷移することなくメール本文中に挿入したアニメーション動作の効果を確認し、そのままメール編集を続けることはできなかった。
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、メール編集画面から別画面に遷移することなくメール本文中に挿入したアニメーション動作の効果を確認して、メール編集を続けることの可能なメール編集プログラムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、アニメーション付きのメッセージを作成するメール編集方法において、
入力中のメッセージを編集画面に表示する際に、ユーザからの入力が一定時間無い場合にはメッセージをアニメーションさせながら表示し、ユーザからの入力を検出するとアニメーションを停止することを特徴とするメール編集方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、処理部で実行することにより、アニメーション付きのメッセージを作成する機能を実現するメール編集プログラムにおいて、
入力中のメッセージを編集画面に表示する際に、ユーザからの入力が一定時間無い場合にはメッセージをアニメーションさせながら表示し、ユーザからの入力を検出するとアニメーションを停止することを特徴とするメール編集プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の文字列にスクロールや点滅のようなアニメーション表示を行う文字修飾を施したメッセージを作成する際に、ユーザからの入力が一定時間無い場合にはメッセージをアニメーションさせながら表示するので、編集画面から画面を遷移させることなくメッセージをアニメーションさせて、その効果を確認することができる。
【0013】
一方、メッセージを編集したい場合には、文字列をアニメーションさせたままだと文字列を編集し難いという事情がある。これに対して本発明では、ユーザからの入力を検出するとアニメーションを停止する構成としたので、ユーザが入力操作を行うだけでアニメーションは停止され、文字列の編集を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明の一実施形態にかかるメール編集方法を実現する携帯端末10の機能ブロック図である。
【図2】 携帯端末10の外観を示す図面である。
【図3】 (a)は通信端末10の表示部11に表示されるメール作成画面100の一例を示す図面である。(b)は同じくメッセージ編集画面101の一例を示す図面である。
【図4】 (a)はアニメーションさせながらメッセージを表示しているメッセージ編集画面101の態様を示す図である。(b)はアニメーションを停止させた状態でメッセージを表示しているメッセージ編集画面101の態様を示す図である。
【図5】 スクロールさせる修飾を施した文字の表示態様を示す図である。
【図6】 本発明の一実施形態にかかるメール編集方法の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかるメール編集方法の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明にかかるメール編集方法を実施する携帯端末10の概略的な機能ブロック図である。図1に示すように、携帯端末10は、主として液晶ディスプレイ等の表示部11、キーパッド、ボタンスイッチ等の入力部12、CPU等の制御部13、移動体通信網またはWiFi網に接続する通信部14およびデータおよびプログラムコードを記憶する記憶部15から構成されている。このような携帯端末10の代表的な外観を図2に示す。図2に示すように、この携帯端末10は大型の表示装置11を筐体18に格納した構成となっており、タッチパネル機能を備えた液晶ディスプレイを表示部11に使用しているため、表示部11をタッチ操作することによる操作が可能なため入力部12に設けられたキーの数は少なくなっている。以下、各機能ブロックについて説明する。
【0017】
表示部11は、記憶部15に格納されたプログラムコードを制御部13で実行することにより携帯端末10のGUI画面を表示し、記憶部15に格納されたデータまたは通信部14がネットワークから取得したデータよりユーザに対して所望の情報を表示する。
【0018】
入力部12は、ユーザから携帯端末10を操作する入力を受け付けるための部であり、図2示したように構成された携帯端末10ではタッチパネル機能を備えた表示部11も入力部12の一部である。携帯端末10の大部分の機能はユーザが入力部12から入力した内容に応じて制御される。
【0019】
制御部13は、記憶部15に格納されたプログラムコードを実行することにより、表示部11、入力部12、通信部14、記憶部15等の動作を制御して、携帯端末10で所定の機能を実現する。
【0020】
通信部14は、移動体通信網またはWiFi網に接続し、これらを介して別の通信端末またはサーバシステムと通信を行うための部である。本実施例において後述するメール編集方法により作成されたメールは、通信部14を介して所定のメールサーバに転送され、このメールサーバから相手先に送信される。
【0021】
記憶部15は、ROM、RAMおよび/またはフラッシュメモリ等から構成されるが、補助記憶装置としてメモリーカード、HDDまたはSSD等を併用した構成としてもよい。
【0022】
以上のように構成された制御部13が記憶部15に格納されたプログラムコードを実行することにより、移動体通信網を介した発呼および着信、メール作成および送受信、Webサイト閲覧およびWebサービスの利用、着信および発信通話の履歴確認等の各種機能を利用することが可能である。以下では、本発明にかかるメール編集方法を説明するため、制御部13がメーラーアプリケーションを実行することにより表示部11に表示されるメール作成画面およびメール編集画面について、それらの画面構成および動作を図面を参照しながら説明する。
【0023】
図3(a)は、メールアプリケーション実行中にメールを作成するために携帯端末10の表示部11に表示されたメール作成画面100である。メール作成画面100には、送信先(TO、CC)、タイトル(Title)および本文を入力するための入力欄がそれぞれ設けられている。本実施形態では、それぞれの入力欄が表示されている位置についてユーザが表示装置11の表面をタップすることで、当該入力欄に文字入力するための入力画面に画面は遷移する。携帯端末10がポインティングデバイス、カーソルキーまたはソフトウェアカーソルキーを搭載している場合には、それらを用いて入力欄を選択するようにしても構わない。
【0024】
図3(b)は、図3(a)に示したメール作成画面100から本文の入力欄を選択した場合に表示されるメッセージ編集画面101の一例を示す図面である。メッセージ編集画面101は、入力されたメッセージをスクリーン表示するメッセージ表示部102と、メッセージ中の文字列に修飾を加えるアイコン等が配置されたコマンド表示部103と、表示部11のタッチパネル機能を利用して文字入力を行うソフトウェアキーボード部104とから構成されている。
【0025】
メッセージ表示部102は、ユーザがソフトウェアキーボード部104を利用して入力し、必要に応じて変換確定した文字列を蓄積して表示し、蓄積された文字列(メッセージ)をユーザが確認および編集するための画面を提供する。後述するように、本実施形態におけるメーラーアプリケーションはHTML形式のメールに対応しており、メッセージ表示部102はHTMLデータをレンダリングして表示する機能を有している。HTMLデータのレンダリングには、例えば携帯端末10に別途搭載されているWebブラウザプログラムの機能を利用してもよい。また、メッセージ表示部102は後述する「Blink」、「Telop」および「Swing」のような修飾の施された文字列や、アニメーションGIFのようなデータをアニメーションさせながら表示する機能を有し、さらにアニメーションを停止させた状態で表示する機能を有している。
【0026】
コマンド表示部103は、メッセージ中の文字列に修飾を加えるアイコンが配置されており、これらのアイコンをタッチして選択することにより文字列に修飾を加えることができる。文字列に加える修飾としては、例えば、文字列を斜体として表示する「Italic」、文字列を左から右へ水平移動させるアニメーションを施す「Telop」、文字列を水平移動させつつ画面両端で折り返す「Swing」、文字列を点滅させる「Blink」、文字列の色を変える「Color」、文字列のサイズを変える「Size」、画像を挿入する「Image」等を挙げることができる。このような修飾をメッセージ本文に加えたメールは、修飾情報がタグとしてメッセージ本文に挿入されたHTMLメールとして取り扱われる。コマンド表示部103には一画面に表示できるアイコン数よりも多くのアイコンが含まれていてもよく、その場合にはコマンド表示部103全体をドラッグしてスライドさせたり、ドロップダウンキーをタッチすることにより、別のアイコングループが表示される構成としてもよい。
【0027】
ソフトウェアキーボード部104は、ユーザが操作して文字入力を行うためのソフトウェアキーを複数有しており、これによりユーザは文字を入力し、必要に応じてかな漢字変換等を施して所望の文字列をメッセージに追加する。なお、図3(b)に示した画面およびソフトウェアキーボードのデザインは一例であり、これに限られるものではない。また、このようなソフトウェアキーボード部104は、携帯端末10に搭載された文字入力プログラム、FEPプログラムを用いて表示することができる。
【0028】
図4(a)および(b)は、入力中のメッセージが表示される態様を示す図面である。図4(a)に示すように、入力されたメッセージは111a〜111dの各行からなっており、このうち111a行にかかる文字列「ありがとう」には、文字列を左から右へ水平移動させるアニメーションを施す「Telop」の文字修飾が施されている。これにより111a行の文字列は、メッセージを受信した端末の表示画面上で図5(a)〜(c)に示すようにアニメーションしながら表示される。一方、図4(b)は111a行に「ございました」を追加する入力をユーザが行っている状態を示しており、この場合には111a行のアニメーションは停止されている。
【0029】
本実施形態においては、メッセージ編集画面101においてユーザからの入力が一定時間無い場合には図4(a)に示すようにメッセージをアニメーションさせながら表示し、ユーザからの入力を検出すると図4(b)に示すようにアニメーションを停止した状態で画面表示を行う点が特徴的である。
【0030】
このようにすることで、メッセージ編集画面101からプレビュー画面に遷移することなく編集中のメッセージに加えられたアニメーション修飾の効果を確認することができ、さらに、ユーザが入力を開始すればアニメーションは停止されるのでアニメーション修飾を施した文字列の修飾も容易に行うことができる。
【0031】
以下、上記メッセージ編集画面101において本発明にかかるメール編集方法を実施する動作について、図6を参照しながら説明する。図6は上記メッセージ編集画面101においてメッセージを入力および表示する動作のフローチャートである。
【0032】
まず、ユーザの操作に応じて携帯端末10の制御部13がMUA(Mail User Agent)のプログラムコードを記憶部15から読み出して実行することによりメーラーアプリケーションを起動し、メール作成するためのメール作成画面100を経由してメール本文であるメッセージを編集するメッセージ編集画面101が表示部11に表示される(ST101)。
【0033】
続いて、編集中のメッセージをアニメーションさせながら表示する(ST102)。ここでアニメーションさせるのは「Telop」、「Swing」、「Blink」といったタグの付された文字列だけでなく、「Image」タグで挿入されたアニメーションGIF等も含む。次いでユーザからの入力があったかが判断され(ST103)、入力があったと判断された場合にはアニメーションを停止して、入力に応じたメッセージの編集を行う(ST104)。一方、ST103で入力があったと判断されなかった場合にはST102に戻って同様の動作を繰り返す。
【0034】
ST104以降、一定時間以上(例えば1秒または2秒)ユーザ入力がなかったかが判断される(ST105)。ここで一定時間以上入力が無いと判断された場合には編集終了の指示があったかが確認され(ST106)、指示があった場合には一連の動作を終了し、指示がなかった場合にはST102に戻ってメッセージのアニメーション表示が再開される。一方、一定時間以上入力が無いと判断されなかった場合には、ST104に戻ってアニメーションを停止した状態でメッセージの編集を続行する。
【0035】
以上のような動作により、本発明では、所定の文字列にスクロールや点滅のようなアニメーション表示を行う文字修飾を施したメッセージを作成する際に、ユーザからの入力が一定時間無い場合にはメッセージをアニメーションさせながら表示するので、編集画面から画面を遷移させることなくメッセージをアニメーションさせて、その効果を確認することができる。
【0036】
さらに、本発明においてメッセージを編集したい場合には、文字列をアニメーションさせたままだと文字列を編集し難いという事情がある。これに対して本発明では、ユーザからの入力を検出するとアニメーションを停止する構成としたので、ユーザが入力操作を行うだけでアニメーションは停止され、文字列の編集を容易に行うことが可能である。
【0037】
なお、図6に示したフローチャートは本発明を実施する動作の一例であり、本発明は図6に限定されるものではない。例えば、本発明は図6のようなシーケンシャルな動作ではなく、イベントドリブンな設計としたり、マルチプロセス、マルチスレッド化による並行プログラミングを利用した動作とすることも可能である。
【0038】
また、本発明のメール編集プログラムは、携帯端末10の制御部13で実行することにより、以上のような動作を実現するプログラムである。このようなプログラムは、処理部で実行することにより、アニメーション付きのメッセージを作成する機能を実現するメール編集プログラムにおいて、入力中のメッセージを編集画面に表示する際に、ユーザからの入力が一定時間無い場合にはメッセージをアニメーションさせながら表示し、ユーザからの入力を検出するとアニメーションを停止する。本発明にかかるプログラムは、MUAであるメーラーアプリケーションの一部として、Webブラウザプログラム、文字入力プログラムを利用する態様で実装することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。例えば、上記実施形態ではユーザの入力に応じてアニメーション表示を行う場合を示したが、例えば、画面上のカーソル位置がアニメーションさせる文字列と重なっているかを判断し、重なっていなければアニメーションを継続してアニメーションの効果をユーザに確認させ、重なっていればアニメーションを停止することでユーザによる編集の利便を確保する構成とすることも考えられる。
【符号の説明】
【0040】
10;携帯端末、11;表示部、12;入力部、13;制御部、14通信部、15;記憶部、100;メール作成画面、101;メッセージ編集画面、102;メッセージ表示部、103;コマンド表示部、104;ソフトウェアキーボード部、111a〜111d;メッセージ、112;カーソル(挿入カーソル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニメーション付きのメッセージを作成するメール編集方法において、
入力中のメッセージを編集画面に表示する際に、ユーザからの入力が一定時間無い場合にはメッセージをアニメーションさせながら表示し、ユーザからの入力を検出するとアニメーションを停止することを特徴とするメール編集方法。
【請求項2】
処理部で実行することにより、アニメーション付きのメッセージを作成する機能を実現するメール編集プログラムにおいて、
入力中のメッセージを編集画面に表示する際に、ユーザからの入力が一定時間無い場合にはメッセージをアニメーションさせながら表示し、ユーザからの入力を検出するとアニメーションを停止することを特徴とするメール編集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53859(P2012−53859A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208504(P2010−208504)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(394020376)ガイアホールディングス株式会社 (51)
【Fターム(参考)】