モアレを防止した線画を有する画像形成体
【課題】 本発明は、複数の線画を重ね合わせにより生じるモアレを目立たなくし、線画の色や角度に制約を受けることなく、偽造防止効果の高い貴重印刷物等の画像形成体を提供することを課題とする。【解決手段】 本発明は、複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうち、少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画の画線と重なり合う部分において、破線及び/又は曲線であることを特徴とする画像形成体を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、株券、有価証券、通行券、パスポート、商品券、カードその他線画を有する画像形成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、偽造又は複写の防止を要する画像形成体、例えば、貴重印刷物においては、その図柄を表現する手段として、一般的な印刷物に多く用いられている網点よりは、むしろ、線画が多く用いられている。線画としては、万線状の地紋模様や、彩紋模様、銅版画にみられる凹版線画等がある。線画が貴重印刷物に多く用いられる理由は、線画によって表現された印刷物は、網点によって表現された印刷物と比べて、偽造が困難であり、また、その真正印刷物と偽造印刷物とを比べたときに真偽判別が容易な点にある。
【0003】
より具体的には、まず、網点によって表現された印刷物の場合、普及している高精度の複写機により複製することによって、真正物と誤認されるような複写印刷物が作製されてしまう。また、業務用の製版カメラや近年普及している高解像度のスキャナ等によって生け撮りした後、それを基に一般的な製版設備によって網点を再生成させて刷版を得て、これを用いて印刷を行うことにより、真正物と酷似した偽造印刷物を作製されてしまう。また、このような偽造印刷物の真偽判別は、印刷物に多数存在する微細な網点の形状や配置等によって行うこととなるため、印刷分野の者であっても真偽判別が困難であり、まして、一般人であれば、さらに困難である。
【0004】
一方、高精細な線画によって表現された印刷物の場合、真正印刷物と違和感のない偽造印刷物を得るためには、画線の品質を忠実に再現しなければならず、前述のような手法によって得られる複写印刷物や偽造印刷物においては、画線を走査線若しくは網点によって表現することになるため、高品質な画線を再現することは極めて困難である。また、真正印刷物と偽造印刷物との真偽判別は、画線の品質を確認することによって行うこととなるが、前述のとおり真正印刷物の忠実な画線の再現は困難であることから、印刷分野の者だけでなく、一般人であっても、偽造印刷物の画線の違和感を一見して確認することができる。以上が、貴重印刷物に線画が用いられている所以であり、様々な線画印刷物が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【特許文献1】特開平9−58112号公報
【特許文献2】特開平9−58113号公報
【特許文献3】特開平9−76622号公報
【0005】
さらに、線画によって表現された印刷物の偽造又は複写をより困難なものとし、偽造防止効果を強化する方法としては、複数の線画の一部又は全部を互いに重ね合わせる工夫もなされている。例えば、オフセット印刷によって得られる線画と凹版印刷によって得られる線画の一部又は全部を重ね合わせることも、従来からなされている。
【0006】
ところで、複数の色を重ね合わせる方法は、現在、一般的な印刷物の主流であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の4色の網点によるプロセス印刷においても行われていることである。この印刷では、各色の網点の干渉によるモアレの発生を防止するため、各色の網角度は異なるように設計される。例えば、C、M、Y、Kそれぞれの網角度は、15度、45度、0度、75度と設計され、各色の網点の干渉によるモアレの発生を防止している。
【非特許文献1】「クリエイターのための印刷ガイドブック5」、株式会社玄光社出版、1994年8月1日発行、第92頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
偽造又は複写の防止を要する画像形成体、例えば、貴重印刷物には線画が多く用いられ、さらに、偽造防止効果を高めるために複数の線画の一部又は全部を互いに重ね合わせることが行われていることは、前述のとおりである。しかしながら、複数の線画の一部又は全部を互いに重ね合わせたときに、重なり合った部分において、それぞれの線画が干渉することによってモアレが生じるという問題があった。特に、それぞれの線画が規則性をもったもの、例えば万線状の線画であるときは、より顕著にモアレが生じるという問題があった。
【0008】
このモアレの問題を回避する方法として、複数の線画の一方を黒や褐色等の濃い色で印刷し、他方を黄色や黄緑色等の淡い色で印刷することによって、モアレを目立ちにくくするという方法がある。しかし、この方法では、線画を表現できる色の選択に制約が生じるという別の問題がある。
【0009】
また、モアレの問題を回避する別の方法として、前述の4色の網点によるプロセス印刷において網角度を設計した場合と同様に、複数の線画のうち、一方の線画の画線の角度を他方の線画の角度に対してモアレの生じにくい角度、例えば、45度となるように設計する方法もある。しかし、この方法では、線画の画線の角度に制約を生じるという別の問題がある。
【0010】
線画が単なる地紋模様ではなく、凹版画のような特定のテーマを持った図柄、例えば、風景、建築物、人物像である場合、その図柄及びその図柄を際立たせるための背景を表現する画線は、図柄及び背景を表現するのに望ましい角度で配置される必要がある。この場合、モアレの問題を回避することを優先して、図柄及び背景を表現するのに望ましい角度での画線の配置を犠牲にするか、または、望ましい角度での画線の配置を優先して、モアレの問題の回避を犠牲にするか、いずれかを犠牲にしなければならないという問題がある。
【0011】
本発明は、前述の問題点を解決することを課題とする。具体的には、本発明は、複数の線画を重ね合わせてもモアレの発生を目立たなくすることができ、線画の色や角度に制約を受けることなく、偽造防止効果の高い貴重印刷物等の画像形成体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の発明は、複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、破線であることを特徴とする画像形成体である。
【0013】
本発明の第2の発明は、複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、曲線であることを特徴とする画像形成体である。
【0014】
本発明の第3の発明は、複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、破線かつ曲線であることを特徴とする画像形成体である。
【0015】
本発明の第4の発明は、前記少なくとも一つの線画は、他の線画と重なり合う部分において、万線状の画線によって構成されていることを特徴とする第1乃至3の発明の画像形成体である。
【0016】
本発明の第5の発明は、前記画線における前記破線の線分と線分との間隔の位置及び/又は長さはランダムであることを特徴とする第1、3及び4の発明の画像形成体である。
【0017】
本発明の第6の発明は、前記画線における前記破線の線分と線分との間隔の長さは一定方向に向かうにつれ長くなっていることを特徴とする第1、3及び4の発明の画像形成体である。
【0018】
本発明の第7の発明は、前記画線における前記破線の線分の長さは一定方向に向かうにつれ短くなっていることを特徴とする第1、3及び4の発明の画像形成体である。
【0019】
本発明の第8の発明は、特定の曲線を基本線とし、該基本線上に前記破線の線分と線分との間隔を設けたことを特徴とする第1、3及び4の発明の画像形成体である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、複数の線画の一部又は全部を重ね合わせたとしても、重なりあった部分においてモアレを目立たなくすることができる上に、高精度な複写機による複写印刷物、又は業務用製版カメラ若しくは高解像度スキャナ及び一般的な製版設備を用いた偽造印刷物の作製を許さない、偽造防止効果の高い貴重印刷物等の画像形成体を得ることができる。
【0021】
また、本発明は、複数の線画の色を自由に選択することを可能にし、そのことによって複数の線画が重なりあったとしても、モアレが目立つことはない。例えば、複数の線画の色が濃い色、例えば、双方が褐色や黒であったとしても、モアレが目立つことはない。
【0022】
さらに、本発明は、複数の線画のうち、一方の線画を構成する画線の角度とそれに対する他方の線画を構成する画線の角度とを自由に選択することを可能にし、そのことによって、複数の線画が重なりあったとしても、モアレが目立つことはない。例えば、複数の線画を構成する画線の角度がほぼ同一であったとしても、複数の線画が重なりあったとしても、モアレが目立つことはない。
【0023】
本発明の画像形成体を構成する方法としては、オフセット印刷、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の印刷に限られるものではなく、針やレーザによる彫刻等、線画を描画若しくは再現できるものであれば、どんな方法であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を図面によって説明するが、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される技術的思想の範囲内であれば、他にいろいろな実施の形態が考えられる。
【0025】
本発明は、2つ以上の複数の線画の重ね合
わせによる構成も可能であるが、説明を簡便にするため、以下では、第1の線画(1)と第2の線画(3)の2つの線画を重ね合わせた場合について説明する。
【0026】
図1は、第1の線画(1)を表す図である。第1の線画(1)は、図柄部と背景部で構成される線画であり、それぞれ図柄部画線(2a)と背景部画線(2b)とによって構成される。図2は、第2の線画(2)を表す図である。第2の線画(2)は、地紋模様のような線画であり、画線(4)によって構成される。
【0027】
図3は、第1の線画(1)と第2の線画(3)の一部が互いに重なり合うように配置した図であり、第1の線画(1)の背景部画線(2b)と第2の線画(3)の画線(4)が、重合領域(5)において、重なり合っている。図4は、図3における重合領域(5)の拡大図である。図3に示すように、単に、複数の線画を重なり合うように配置した場合は、互いの画線が干渉して生ずるモアレが目立つようになり、デザイン上不具合が生じる。
【0028】
このモアレによる不具合を解決する本発明の構成は、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)を曲線としたものである。図5は、第2の線画(2)の画線(4)を波線としたときの図である。この構成にすることにより、モアレが目立ちにくいようになり、モアレによる不具合を解決することができる。図5において、曲線の代表として、一つの波線を提示したが、本発明にいう曲線はこれに限定するものではなく、波線は周波数、振幅及び位相が一定の正弦波であってもよいし、周波数、振幅、位相が徐々に変化していく正弦波であってもよい。望ましくは、重合領域(5)の画線(4)を、重合領域(5)以外の領域の画線(4)が主として有する周波数成分とは異なる周波数成分を強調した曲線とすることが好ましい。また、線画を構成する個々の画線(6)は、ほぼ同一の形状の曲線に限定する必要はなく、個々の画線(6)が別々の形状をした曲線であってもよい。
【0029】
また、モアレによる不具合を解決する本発明の別の構成は、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)の全部又は一部を破線としたものである。
【0030】
図6は、重合領域(5)の画線(7)を実線(8)と破線(9)とで構成した図である。破線(9)は、線分(10)と間隔(11)とで構成され、線分(10)の長さ(d1)と間隔(11)の長さ(d2)が一定とした構成である。
【0031】
図7は、重合領域(5)の画線(12)を実線(13)と破線(14)とで構成した図である。破線(14)は、線分(15)と間隔(16)とで構成され、線分(15)の長さ(d3)は一定があるが、間隔(11)の長さ(d4)は一定方向(図面においては右方向)に向かうにつれて徐々に長くなるようにした構成である。
【0032】
図8は、重合領域(5)の画線(17)を実線(18)と破線(19)とで構成した図である。破線(19)は、線分(20)と間隔(21)とで構成され、間隔(21)の長さ(d6)は一定があるが、線分(21)の長さ(d5)は一定方向(図面においては右方向)に向かうにつれて徐々に短くなるようにした構成である。
【0033】
図9は、重合領域(5)の画線(22)を実線(23)と破線(24)とで構成した図である。破線(24)は、線分(25)と間隔(26)とで構成され、線分(25)の長さ及び間隔(26)の位置及び長さはランダムとなるようにした構成である。
【0034】
図10は、重合領域(5)の画線(27)を実線(28)と破線(29)とで構成した図である。破線(29)は、線分(30)と間隔(31)とで構成されるが、間隔(31)は、特定の曲線(32)を基本線とし、該基本線上に存在するようにした構成である。
【0035】
図11〜15は、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)を波線のような曲線とし、さらに、図6〜10までの構成を兼ね備えたものである。
【0036】
前述の図6〜15のように、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)の全部又は一部を破線とすることにより、モアレが目立ちにくくなり、モアレによる不具合を解決することができる。本発明の効果は、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)の全部又は一部を破線とすることにより、得られるものであり、破線の構成を図6〜15に提示したものに限定されたものではない。本発明にいう破線とは、一定の規則に従って配置された複数の線分と複数の間隔とが繰り返されるもの、例えば、一点鎖線、二点鎖線のようなものであってもよい。
【0037】
また、図10及び図15において、曲線の代表として、一つの波線を提示したが、本発明にいう基本線としての曲線とはこれに限定するものではなく、周波数、振幅及び位相が一定の正弦波であってもよいし、周波数、振幅、位相が徐々に変化していく正弦波であってもよい。また、個々の基本線は、ほぼ同一の形状の曲線に限定する必要はなく、個々の基本線が別々の形状をした曲線であってもよい。
【0038】
図16は、第2の線画(3)の画線(4)を、重合領域(5)において、波線となっており、かつ、一部が破線となっており、一本の破線上の線分と線分との間隔は、基本線としての波線上に存在するように構成した、本発明の構成である。図17は、図16のように構成した第2の線画(3)の画線(4)と第1の線画(1)の背景部(2b)と第2の線画(3)の画線(4)が重合領域(5)において重なり合うように配置した図である。このように構成することにより、偽造防止効果のある線画としての要素を持たせたまま、モアレを目立たせることなく、自然な形で第1の線画(1)と第2の線画(3)とを配置することができた。
【0039】
これまでの説明では、第2の線画(3)の画線(4)に本発明の構成を適用した場合について取り上げてきたが、本発明はこれに限るものではなく、第1の線画(1)の画線(2b)に本発明の構成を適用してもよく、また、2以上の複数の線画が重なり合っている場合は、それぞれの線画の画線について本発明の構成を適用してもよい。
【0040】
ところで、モアレは規則正しく配列された点、列、線等を重ねたとき生じるものである。本発明は、このモアレの特徴を考慮して、ある線画の画線について、他の線画の画線と重なり合った領域の画線を、他の線画の画線が重なり合っていない領域における画線が主として有する周波数とは異なる周波数成分を強調した曲線とし、及び/又は実線を破線とすることによって、画線の配列の規則性を低減し、モアレの発生する箇所を少なくする、若しくはモアレを目立ちにくくしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の線画を表す図である。
【図2】第2の線画を表す図である。
【図3】第1の線画と第2の線画とを重ね合わせた図である。
【図4】図3の拡大図である。
【図5】本発明の画線の構成を示す図である。
【図6】本発明の画線の構成を示す図である。
【図7】本発明の画線の構成を示す図である。
【図8】本発明の画線の構成を示す図である。
【図9】本発明の画線の構成を示す図である。
【図10】本発明の画線の構成を示す図である。
【図11】本発明の画線の構成を示す図である。
【図12】本発明の画線の構成を示す図である。
【図13】本発明の画線の構成を示す図である。
【図14】本発明の画線の構成を示す図である。
【図15】本発明の画線の構成を示す図である。
【図16】本発明の画線の構成を示す図である。
【図17】本発明の構成により第1の線画と第2の線画とを重ね合わせた図である。
【符号の説明】
【0042】
1 第1の線画2a 第1の線画の図柄部の画線2b 第1の線画の背景部の画線3 第2の線画4 第2の線画の画線5 重合領域6 線画を構成する画線7、12、17、22、27、33、38、43、48、53 重合領域における画線8、13、18、24、28、34、39、44、49、54 実線9、14、19、24、29、35、40、45、50、55 破線10、15、20、25、30、36、41、46、51、56 破線の線分11、16、21、26、31、37、42、47、52、57 破線の間隔32、58 基本線d1、d3、d5、d7、d9、d11、d13、d15 破線の線分の長さd2、d4、d6、d8、d10、d12、d14、d16 破線の間隔の長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、株券、有価証券、通行券、パスポート、商品券、カードその他線画を有する画像形成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、偽造又は複写の防止を要する画像形成体、例えば、貴重印刷物においては、その図柄を表現する手段として、一般的な印刷物に多く用いられている網点よりは、むしろ、線画が多く用いられている。線画としては、万線状の地紋模様や、彩紋模様、銅版画にみられる凹版線画等がある。線画が貴重印刷物に多く用いられる理由は、線画によって表現された印刷物は、網点によって表現された印刷物と比べて、偽造が困難であり、また、その真正印刷物と偽造印刷物とを比べたときに真偽判別が容易な点にある。
【0003】
より具体的には、まず、網点によって表現された印刷物の場合、普及している高精度の複写機により複製することによって、真正物と誤認されるような複写印刷物が作製されてしまう。また、業務用の製版カメラや近年普及している高解像度のスキャナ等によって生け撮りした後、それを基に一般的な製版設備によって網点を再生成させて刷版を得て、これを用いて印刷を行うことにより、真正物と酷似した偽造印刷物を作製されてしまう。また、このような偽造印刷物の真偽判別は、印刷物に多数存在する微細な網点の形状や配置等によって行うこととなるため、印刷分野の者であっても真偽判別が困難であり、まして、一般人であれば、さらに困難である。
【0004】
一方、高精細な線画によって表現された印刷物の場合、真正印刷物と違和感のない偽造印刷物を得るためには、画線の品質を忠実に再現しなければならず、前述のような手法によって得られる複写印刷物や偽造印刷物においては、画線を走査線若しくは網点によって表現することになるため、高品質な画線を再現することは極めて困難である。また、真正印刷物と偽造印刷物との真偽判別は、画線の品質を確認することによって行うこととなるが、前述のとおり真正印刷物の忠実な画線の再現は困難であることから、印刷分野の者だけでなく、一般人であっても、偽造印刷物の画線の違和感を一見して確認することができる。以上が、貴重印刷物に線画が用いられている所以であり、様々な線画印刷物が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【特許文献1】特開平9−58112号公報
【特許文献2】特開平9−58113号公報
【特許文献3】特開平9−76622号公報
【0005】
さらに、線画によって表現された印刷物の偽造又は複写をより困難なものとし、偽造防止効果を強化する方法としては、複数の線画の一部又は全部を互いに重ね合わせる工夫もなされている。例えば、オフセット印刷によって得られる線画と凹版印刷によって得られる線画の一部又は全部を重ね合わせることも、従来からなされている。
【0006】
ところで、複数の色を重ね合わせる方法は、現在、一般的な印刷物の主流であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の4色の網点によるプロセス印刷においても行われていることである。この印刷では、各色の網点の干渉によるモアレの発生を防止するため、各色の網角度は異なるように設計される。例えば、C、M、Y、Kそれぞれの網角度は、15度、45度、0度、75度と設計され、各色の網点の干渉によるモアレの発生を防止している。
【非特許文献1】「クリエイターのための印刷ガイドブック5」、株式会社玄光社出版、1994年8月1日発行、第92頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
偽造又は複写の防止を要する画像形成体、例えば、貴重印刷物には線画が多く用いられ、さらに、偽造防止効果を高めるために複数の線画の一部又は全部を互いに重ね合わせることが行われていることは、前述のとおりである。しかしながら、複数の線画の一部又は全部を互いに重ね合わせたときに、重なり合った部分において、それぞれの線画が干渉することによってモアレが生じるという問題があった。特に、それぞれの線画が規則性をもったもの、例えば万線状の線画であるときは、より顕著にモアレが生じるという問題があった。
【0008】
このモアレの問題を回避する方法として、複数の線画の一方を黒や褐色等の濃い色で印刷し、他方を黄色や黄緑色等の淡い色で印刷することによって、モアレを目立ちにくくするという方法がある。しかし、この方法では、線画を表現できる色の選択に制約が生じるという別の問題がある。
【0009】
また、モアレの問題を回避する別の方法として、前述の4色の網点によるプロセス印刷において網角度を設計した場合と同様に、複数の線画のうち、一方の線画の画線の角度を他方の線画の角度に対してモアレの生じにくい角度、例えば、45度となるように設計する方法もある。しかし、この方法では、線画の画線の角度に制約を生じるという別の問題がある。
【0010】
線画が単なる地紋模様ではなく、凹版画のような特定のテーマを持った図柄、例えば、風景、建築物、人物像である場合、その図柄及びその図柄を際立たせるための背景を表現する画線は、図柄及び背景を表現するのに望ましい角度で配置される必要がある。この場合、モアレの問題を回避することを優先して、図柄及び背景を表現するのに望ましい角度での画線の配置を犠牲にするか、または、望ましい角度での画線の配置を優先して、モアレの問題の回避を犠牲にするか、いずれかを犠牲にしなければならないという問題がある。
【0011】
本発明は、前述の問題点を解決することを課題とする。具体的には、本発明は、複数の線画を重ね合わせてもモアレの発生を目立たなくすることができ、線画の色や角度に制約を受けることなく、偽造防止効果の高い貴重印刷物等の画像形成体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の発明は、複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、破線であることを特徴とする画像形成体である。
【0013】
本発明の第2の発明は、複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、曲線であることを特徴とする画像形成体である。
【0014】
本発明の第3の発明は、複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、破線かつ曲線であることを特徴とする画像形成体である。
【0015】
本発明の第4の発明は、前記少なくとも一つの線画は、他の線画と重なり合う部分において、万線状の画線によって構成されていることを特徴とする第1乃至3の発明の画像形成体である。
【0016】
本発明の第5の発明は、前記画線における前記破線の線分と線分との間隔の位置及び/又は長さはランダムであることを特徴とする第1、3及び4の発明の画像形成体である。
【0017】
本発明の第6の発明は、前記画線における前記破線の線分と線分との間隔の長さは一定方向に向かうにつれ長くなっていることを特徴とする第1、3及び4の発明の画像形成体である。
【0018】
本発明の第7の発明は、前記画線における前記破線の線分の長さは一定方向に向かうにつれ短くなっていることを特徴とする第1、3及び4の発明の画像形成体である。
【0019】
本発明の第8の発明は、特定の曲線を基本線とし、該基本線上に前記破線の線分と線分との間隔を設けたことを特徴とする第1、3及び4の発明の画像形成体である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、複数の線画の一部又は全部を重ね合わせたとしても、重なりあった部分においてモアレを目立たなくすることができる上に、高精度な複写機による複写印刷物、又は業務用製版カメラ若しくは高解像度スキャナ及び一般的な製版設備を用いた偽造印刷物の作製を許さない、偽造防止効果の高い貴重印刷物等の画像形成体を得ることができる。
【0021】
また、本発明は、複数の線画の色を自由に選択することを可能にし、そのことによって複数の線画が重なりあったとしても、モアレが目立つことはない。例えば、複数の線画の色が濃い色、例えば、双方が褐色や黒であったとしても、モアレが目立つことはない。
【0022】
さらに、本発明は、複数の線画のうち、一方の線画を構成する画線の角度とそれに対する他方の線画を構成する画線の角度とを自由に選択することを可能にし、そのことによって、複数の線画が重なりあったとしても、モアレが目立つことはない。例えば、複数の線画を構成する画線の角度がほぼ同一であったとしても、複数の線画が重なりあったとしても、モアレが目立つことはない。
【0023】
本発明の画像形成体を構成する方法としては、オフセット印刷、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の印刷に限られるものではなく、針やレーザによる彫刻等、線画を描画若しくは再現できるものであれば、どんな方法であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を図面によって説明するが、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される技術的思想の範囲内であれば、他にいろいろな実施の形態が考えられる。
【0025】
本発明は、2つ以上の複数の線画の重ね合
わせによる構成も可能であるが、説明を簡便にするため、以下では、第1の線画(1)と第2の線画(3)の2つの線画を重ね合わせた場合について説明する。
【0026】
図1は、第1の線画(1)を表す図である。第1の線画(1)は、図柄部と背景部で構成される線画であり、それぞれ図柄部画線(2a)と背景部画線(2b)とによって構成される。図2は、第2の線画(2)を表す図である。第2の線画(2)は、地紋模様のような線画であり、画線(4)によって構成される。
【0027】
図3は、第1の線画(1)と第2の線画(3)の一部が互いに重なり合うように配置した図であり、第1の線画(1)の背景部画線(2b)と第2の線画(3)の画線(4)が、重合領域(5)において、重なり合っている。図4は、図3における重合領域(5)の拡大図である。図3に示すように、単に、複数の線画を重なり合うように配置した場合は、互いの画線が干渉して生ずるモアレが目立つようになり、デザイン上不具合が生じる。
【0028】
このモアレによる不具合を解決する本発明の構成は、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)を曲線としたものである。図5は、第2の線画(2)の画線(4)を波線としたときの図である。この構成にすることにより、モアレが目立ちにくいようになり、モアレによる不具合を解決することができる。図5において、曲線の代表として、一つの波線を提示したが、本発明にいう曲線はこれに限定するものではなく、波線は周波数、振幅及び位相が一定の正弦波であってもよいし、周波数、振幅、位相が徐々に変化していく正弦波であってもよい。望ましくは、重合領域(5)の画線(4)を、重合領域(5)以外の領域の画線(4)が主として有する周波数成分とは異なる周波数成分を強調した曲線とすることが好ましい。また、線画を構成する個々の画線(6)は、ほぼ同一の形状の曲線に限定する必要はなく、個々の画線(6)が別々の形状をした曲線であってもよい。
【0029】
また、モアレによる不具合を解決する本発明の別の構成は、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)の全部又は一部を破線としたものである。
【0030】
図6は、重合領域(5)の画線(7)を実線(8)と破線(9)とで構成した図である。破線(9)は、線分(10)と間隔(11)とで構成され、線分(10)の長さ(d1)と間隔(11)の長さ(d2)が一定とした構成である。
【0031】
図7は、重合領域(5)の画線(12)を実線(13)と破線(14)とで構成した図である。破線(14)は、線分(15)と間隔(16)とで構成され、線分(15)の長さ(d3)は一定があるが、間隔(11)の長さ(d4)は一定方向(図面においては右方向)に向かうにつれて徐々に長くなるようにした構成である。
【0032】
図8は、重合領域(5)の画線(17)を実線(18)と破線(19)とで構成した図である。破線(19)は、線分(20)と間隔(21)とで構成され、間隔(21)の長さ(d6)は一定があるが、線分(21)の長さ(d5)は一定方向(図面においては右方向)に向かうにつれて徐々に短くなるようにした構成である。
【0033】
図9は、重合領域(5)の画線(22)を実線(23)と破線(24)とで構成した図である。破線(24)は、線分(25)と間隔(26)とで構成され、線分(25)の長さ及び間隔(26)の位置及び長さはランダムとなるようにした構成である。
【0034】
図10は、重合領域(5)の画線(27)を実線(28)と破線(29)とで構成した図である。破線(29)は、線分(30)と間隔(31)とで構成されるが、間隔(31)は、特定の曲線(32)を基本線とし、該基本線上に存在するようにした構成である。
【0035】
図11〜15は、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)を波線のような曲線とし、さらに、図6〜10までの構成を兼ね備えたものである。
【0036】
前述の図6〜15のように、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)の全部又は一部を破線とすることにより、モアレが目立ちにくくなり、モアレによる不具合を解決することができる。本発明の効果は、重合領域(5)において、第2の線画(3)の画線(4)の全部又は一部を破線とすることにより、得られるものであり、破線の構成を図6〜15に提示したものに限定されたものではない。本発明にいう破線とは、一定の規則に従って配置された複数の線分と複数の間隔とが繰り返されるもの、例えば、一点鎖線、二点鎖線のようなものであってもよい。
【0037】
また、図10及び図15において、曲線の代表として、一つの波線を提示したが、本発明にいう基本線としての曲線とはこれに限定するものではなく、周波数、振幅及び位相が一定の正弦波であってもよいし、周波数、振幅、位相が徐々に変化していく正弦波であってもよい。また、個々の基本線は、ほぼ同一の形状の曲線に限定する必要はなく、個々の基本線が別々の形状をした曲線であってもよい。
【0038】
図16は、第2の線画(3)の画線(4)を、重合領域(5)において、波線となっており、かつ、一部が破線となっており、一本の破線上の線分と線分との間隔は、基本線としての波線上に存在するように構成した、本発明の構成である。図17は、図16のように構成した第2の線画(3)の画線(4)と第1の線画(1)の背景部(2b)と第2の線画(3)の画線(4)が重合領域(5)において重なり合うように配置した図である。このように構成することにより、偽造防止効果のある線画としての要素を持たせたまま、モアレを目立たせることなく、自然な形で第1の線画(1)と第2の線画(3)とを配置することができた。
【0039】
これまでの説明では、第2の線画(3)の画線(4)に本発明の構成を適用した場合について取り上げてきたが、本発明はこれに限るものではなく、第1の線画(1)の画線(2b)に本発明の構成を適用してもよく、また、2以上の複数の線画が重なり合っている場合は、それぞれの線画の画線について本発明の構成を適用してもよい。
【0040】
ところで、モアレは規則正しく配列された点、列、線等を重ねたとき生じるものである。本発明は、このモアレの特徴を考慮して、ある線画の画線について、他の線画の画線と重なり合った領域の画線を、他の線画の画線が重なり合っていない領域における画線が主として有する周波数とは異なる周波数成分を強調した曲線とし、及び/又は実線を破線とすることによって、画線の配列の規則性を低減し、モアレの発生する箇所を少なくする、若しくはモアレを目立ちにくくしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の線画を表す図である。
【図2】第2の線画を表す図である。
【図3】第1の線画と第2の線画とを重ね合わせた図である。
【図4】図3の拡大図である。
【図5】本発明の画線の構成を示す図である。
【図6】本発明の画線の構成を示す図である。
【図7】本発明の画線の構成を示す図である。
【図8】本発明の画線の構成を示す図である。
【図9】本発明の画線の構成を示す図である。
【図10】本発明の画線の構成を示す図である。
【図11】本発明の画線の構成を示す図である。
【図12】本発明の画線の構成を示す図である。
【図13】本発明の画線の構成を示す図である。
【図14】本発明の画線の構成を示す図である。
【図15】本発明の画線の構成を示す図である。
【図16】本発明の画線の構成を示す図である。
【図17】本発明の構成により第1の線画と第2の線画とを重ね合わせた図である。
【符号の説明】
【0042】
1 第1の線画2a 第1の線画の図柄部の画線2b 第1の線画の背景部の画線3 第2の線画4 第2の線画の画線5 重合領域6 線画を構成する画線7、12、17、22、27、33、38、43、48、53 重合領域における画線8、13、18、24、28、34、39、44、49、54 実線9、14、19、24、29、35、40、45、50、55 破線10、15、20、25、30、36、41、46、51、56 破線の線分11、16、21、26、31、37、42、47、52、57 破線の間隔32、58 基本線d1、d3、d5、d7、d9、d11、d13、d15 破線の線分の長さd2、d4、d6、d8、d10、d12、d14、d16 破線の間隔の長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、破線であることを特徴とする画像形成体。
【請求項2】
複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、曲線であることを特徴とする画像形成体。
【請求項3】
複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、破線かつ曲線であることを特徴とする画像形成体。
【請求項4】
前記少なくとも一つの線画は、他の線画と重なり合う部分において、万線状の画線によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の画像形成体。
【請求項5】
前記画線における前記破線の線分と線分との間隔の位置及び/又は長さはランダムであることを特徴とする請求項1、3及び4に記載の画像形成体。
【請求項6】
前記画線における前記破線の線分と線分との間隔の長さは一定方向に向かうにつれ長くなっていることを特徴とする請求項1、3及び4に記載の画像形成体。
【請求項7】
前記画線における前記破線の線分の長さは一定方向に向かうにつれ短くなっていることを特徴とする請求項1、3及び4に記載の画像形成体。
【請求項8】
特定の曲線を基本線とし、該基本線上に前記破線の線分と線分との間隔を設けたことを特徴とする請求項1、3及び4に記載の画像形成体。
【請求項1】
複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、破線であることを特徴とする画像形成体。
【請求項2】
複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、曲線であることを特徴とする画像形成体。
【請求項3】
複数の線画の一部又は全部が互いに重なり合う画像形成体であって、複数の線画のうちの少なくとも一つの線画を構成する画線は、他の線画と重なり合う部分において、破線かつ曲線であることを特徴とする画像形成体。
【請求項4】
前記少なくとも一つの線画は、他の線画と重なり合う部分において、万線状の画線によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の画像形成体。
【請求項5】
前記画線における前記破線の線分と線分との間隔の位置及び/又は長さはランダムであることを特徴とする請求項1、3及び4に記載の画像形成体。
【請求項6】
前記画線における前記破線の線分と線分との間隔の長さは一定方向に向かうにつれ長くなっていることを特徴とする請求項1、3及び4に記載の画像形成体。
【請求項7】
前記画線における前記破線の線分の長さは一定方向に向かうにつれ短くなっていることを特徴とする請求項1、3及び4に記載の画像形成体。
【請求項8】
特定の曲線を基本線とし、該基本線上に前記破線の線分と線分との間隔を設けたことを特徴とする請求項1、3及び4に記載の画像形成体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図4】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−123401(P2006−123401A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315928(P2004−315928)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
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