説明

モアレ縞模様の装飾帯体

【課題】 簡素な工程で製造することができ、意匠性の優れたモアレ縞模様を確実に現出させることができるモアレ縞模様の装飾帯体を提供すること。
【解決手段】 表生地糸11がメッシュ状に編織された表生地1と、前記表生地糸11と異なる色の柄糸21Aを少なくとも含む下地生地糸21によって編織された下地生地2とが積層状態に固定されて構成される長手帯状の布帛であって、
これら表生地1と下地生地2との少なくとも長手方向の端縁部同士を同一の編織組織により一体に接合固定して一重組織領域Sを形成する一方、両生地が非接合かつ近接状態の二重組織領域Dを形成するという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾用の繊維製品の改良、更に詳しくは、簡素な工程で製造することができ、意匠性の優れたモアレ縞模様を確実に現出させることができるモアレ縞模様の装飾帯体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、繊維製品におけるモアレ縞模様は、規則正しい繰り返し模様の生地(織物や編物など)を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する装飾的な干渉縞模様であり、例えば、衣服などにおいては、ストライプ柄や格子柄などの模様の衣服の上からメッシュ地の衣服を重ね着した際に、これらの生地同士が近接することによって生じる。
【0003】
しかしながら、衣服の重ね着の場合には、下に着る衣服とメッシュ生地からなる上着との間には通常大きな隙間があって全面的に密着することは困難であるため、この少ない密着部分にしか装飾的なモアレ縞模様は発生しない。
【0004】
そこで、モアレ縞模様を装飾要素として積極的に活用すべく、近接する筋模様を形成した下側布帛と、同じく筋模様を形成して透視性を有する表側布帛とを重設使用してモアレ縞模様を現出させる衣服素材が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、表生地として、下生地の細線模様と同調するように規則的に並んだ模様を有する透過率65%以上の布帛を用いて、これら2枚の布帛を重ねて構成したものが提案されており(特許文献2参照)、このように二つの布帛を重ねて用いることにより、二つの布帛が近接した状態を維持することによって、ほぼ全面的にモアレ縞模様を現出させるものがある。
【0006】
しかしながら、上下2枚の生地の柄を一致させた状態で縫製するためには、表生地が寸法安定性の悪いメッシュ地であることから、この表生地のメッシュ目と下生地の柄とを正確に合わせる必要があり、かかる作業はかなり慎重にせねばならず、縫製効率が悪く製造コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−176916号公報
【特許文献2】特開平10−237748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の装飾用の繊維製品に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、簡素な工程で製造することができ、意匠性の優れたモアレ縞模様を確実に現出させることができるモアレ縞模様の装飾帯体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、表生地糸11がメッシュ状に編織された表生地1と、前記表生地糸11と異なる色の柄糸21Aを少なくとも含む下地生地糸21によって編織された下地生地2とが積層状態に固定されて構成される長手帯状の布帛であって、
これら表生地1と下地生地2との少なくとも幅方向における端縁部同士を同一の編織組織により一体に接合固定して一重組織領域Sを形成する一方、両生地が非接合かつ近接状態の二重組織領域Dを形成して、
この二重組織領域Dにおいて、前記表生地1および下地生地2が共に平面状であるとき、表生地1の表生地糸11によるメッシュ目が、下地生地2の下地生地糸21の柄糸21Aの配置に合致することによって当該柄糸21Aを表生地1により表面側において被覆遮蔽することができる一方、
前記表生地1または下地生地2の少なくとも一方が波打ち状に変形したとき、これら両生地の相対位置がズレて下地生地2の下地生地糸21の柄糸21Aが表生地1のメッシュ目の隙間から露出することによって、表生地1の表面側に強弱変化するモアレ縞模様を現出可能に構成するという技術的手段を採用したことによって、モアレ縞模様の装飾帯体を完成させた。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、二重組織領域Dにおいて、下地生地2には柄糸21Aによって規則的なストライプ柄、ボーダー柄、または格子柄を形成して、かつ、この柄糸21Aの柄ピッチを表生地1の表生地糸11によるメッシュ目のピッチと同一または整数倍にするという技術的手段を採用することができる。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、二重組織領域Dにおける下地生地2を、柄糸21Aをメッシュ状に編織した生地にして、かつ、この下地生地2と表生地1との各メッシュ目のピッチを同一または整数倍にするという技術的手段を採用することができる。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、表生地1および下地生地2を、ダブルラッセルにより編成された編地にするという技術的手段を採用することができる。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、表生地1および下地生地2を、たて糸とよこ糸とからなる織物組織を形成するという技術的手段を採用することができる。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、表生地1の表生地糸11によるメッシュ目形状を六角形にするとともに、下地生地2を柄糸21Aにより形成した規則的な六角柄を有する生地にして、かつ、下地生地2の柄ピッチを表生地1のメッシュ目のピッチと同一または整数倍にするという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、表生地糸がメッシュ状に編織された表生地と、前記表生地糸と異なる色の柄糸を少なくとも含む下地生地糸によって編織された下地生地とが積層状態に固定されて構成される長手帯状の布帛であって、
これら表生地と下地生地との少なくとも幅方向における端縁部同士を一の編織組織により一体に接合固定された一重組織領域を形成する一方、両生地が非接合かつ近接状態の二重組織領域を形成したことによって、
この二重組織領域において、前記表生地および下地生地が共に平面状であるとき、表生地の表生地糸によるメッシュ目が、下地生地の下地生地糸の柄糸の配置に合致することによって当該柄糸を表生地により表面側において被覆遮蔽することができる一方、
前記表生地または下地生地の少なくとも一方が曲面変形したとき、これら両生地の相対位置がズレて下地生地の下地生地糸の柄糸が表生地のメッシュ目の隙間から露出することによって、表生地の表面側に強弱変化するモアレ縞模様を現出させることができる。
【0017】
したがって、本発明の装飾帯体によれば、同組織の2枚の布帛を一体成形により連結して布帛内の一部にモアレ縞模様を発現する二重組織領域を設けることにより、意匠性に優れた布帛を提供することができる。また、一枚の布帛であるため、表生地と下地生地を合わせて縫合するような面倒な作業をする必要がない。
【0018】
更にまた、本発明の装飾帯体を衣服の表面に配設することによって、人体の動作に合わせて自然にモアレ縞模様を現出させることができ、ファッション性に富んだ衣服の提供が可能となる。
【0019】
そしてまた、製造に際しては、両生地のメッシュ目を機械的に正確に合致させることができ、鮮明なモアレ縞模様を安定して発現させることができるとともに、両方の端縁部に一重組織領域を設けて固定したことによって、静止時と動作時でモアレ縞模様の現出をより際立たせることができることから、産業上の利用価値は頗る大きいと云える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の帯体の構造を表す概略正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の帯体の構造を表す概略断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の帯体の使用時を表す概略正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の帯体の使用時を表す概略正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の帯体の装着状態を表す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態の帯体の変形例を表す概略正面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の帯体の変形例を表す概略正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の帯体の構造を表す概略正面図である。
【図9】本発明の実施例の編成組織図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて、更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0022】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図7に基づいて説明する。図1中、符号1で指示するものは表生地であり、この表生地1は、表生地糸11をメッシュ状に編織したものである。本実施形態では、この表生地1を編物組織構造として、たて方向における鎖編み等のたて方向編み糸11aとこの糸に編絡するよこ挿入糸11bとから構成する。
【0023】
また、符号2で指示するものは下地生地であり、この下地生地2は、前記表生地1の表生地糸11と異なる色の柄糸21Aを少なくとも含む下地生地糸21によって編織する。本実施形態では、前記表生地1と同じ編物組織構造にする。
【0024】
これらの生地を構成する糸種としては、例えば、通常衣料用として用いられている繊維糸で、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、レーヨンのような半合成繊維、綿、毛、絹など天然繊維を用いて、それらの混紡糸や交撚糸などを採用することができる。
【0025】
また、糸繊度においては、製品の風合いを鑑みて適宜決めれば良いが、表生地1のメッシュ地においてはモアレ縞模様を繊細に発現させる目的では50〜350Dtex程度の比較的に細繊度糸を用いることが好ましい。
【0026】
しかして、本実施形態にあっては、前記表生地1と下地生地2とを積層状態で一体に固定することによって、長手帯状の布帛を構成するものである。
【0027】
そして、これら表生地1と下地生地2との少なくとも幅方向における端縁部同士を同一の編織組織により一体に接合固定された一重組織領域Sを形成する一方、両生地が非接合かつ近接状態の二重組織領域Dを形成する。
【0028】
本実施形態では、帯体の幅方向における両端縁部の領域をそれぞれ一重組織領域S・Sにする一方、中央部の領域を二重組織領域Dとして、それぞれ二つの針床を有したダブルラッセル編機によって長さ方向に一体に編成する。
【0029】
この際、一重組織領域Sは、ダブルラッセル編機の両針床を使用して連結糸3で一体化したダブルラッセル地でも良いし、どちらか片方の針床のみで編成された通常の経編地であっても良いが、本実施形態では、両針床を使用して連結糸3で連結したダブルラッセル地にする(図2参照)。
【0030】
また、編物組織しては、鎖編、トリコット編、コード編、アトラス編、あるいはよこ挿入組織などの組み合わせによる組織があり、両針床の連結組織においても鎖編やトリコット編組織などを採用することができる。
【0031】
本実施形態では、両針床を使用して、それぞれ鎖編組織とよこ挿入組織との組み合わせ組織で鎖編の連結組織により一体化したダブルラッセル地のメッシュ生地にすることが好ましく、寸法安定性の優れた編地が得られる。
【0032】
次に、二重組織領域Dは、両針床を使用してそれぞれを連結することなく(即ち連結糸3無しで)表生地1と下地生地2とがそれぞれ独立して編成されている領域である。この際、下地生地2の下地生地糸21は比較的淡色系(白、黄など)の色糸をベース(グランド糸)として用いて、通常の経編組織で編成する。
【0033】
なお、表生地1のメッシュ組織としては、ダブルラッセル地の場合にはマーキゼット組織、チュール組織、ネット組織などを採用することができ、中でもマーキゼット組織は四角形のメッシュ目を形成するので下地生地2のストライプ柄や格子柄と一致させ易いことからモアレ縞模様が鮮明に発現し易い。
【0034】
一方、表生地1はたて方向編み糸11a(鎖編みなど)とよこ挿入糸11bでメッシュ地をなしており、たて方向編み糸11aおよびよこ挿入糸11bは比較的濃色系(黒、紺など)の色糸からなっている。
【0035】
そして、本実施形態では、二重組織領域Dの下地生地2における比較的淡色系の下地生地糸21の中には、濃色系の柄糸21Aを含んでおり、この柄糸21Aが一定のピッチで配列されて長さ方向にストライプ柄を呈している。
【0036】
なお、柄糸21Aによるストライプ柄の線は、柄糸21Aの鎖編のアンダーラップ糸、あるいはたて方向挿入糸によって表すことができる。
【0037】
一方、表生地1はたて方向編み糸11a(鎖編みなど)とよこ挿入糸11bとでメッシュ地をなし、たて方向編み糸11aの配列ピッチは下地生地2のストライプ柄のピッチと同一にすることによって、たて方向編み糸11aと下地生地2の柄糸21Aとが重なって被覆隠蔽する位置関係になっている。
【0038】
以上の構成により得られた帯体の二重組織領域Dの部分は、下地生地2のストライプ柄と表生地1のメッシュ目との僅かなずれによりモアレ縞模様を発現させることができる(図3および4参照)。
【0039】
なお、本実施形態における二重組織領域Dの下地生地2はストライプ柄の例であるが、表生地1のメッシュ目と合わせた規則的なボーダー柄や格子柄であれば、より複雑なモアレ縞模様を発生させることができる。また、下地生地2の柄ピッチとメッシュ目のピッチを整数倍の関係にすることができ、整然と重なり合うことによって、表生地糸11が柄糸21Aを確実に被覆遮蔽することができる。
【0040】
そしてまた、本発明の装飾帯体は、スポーツウエアなどの衣服に固定して装飾テープとして用いることができ、身体の動きに応じて装飾テープのモアレ縞模様が躍動的に変化するというファッション性に富んだ衣服が得られる(図5参照)。
【0041】
なお、本発明の装飾帯体を使用する場合、テープ幅が狭いとテープ自体の変形し難くなってモアレ縞模様の発生が少なくなるので、テープ幅としては10〜50mm程度で、そのうち二重組織領域Dの幅は前記テープ幅全体の50〜95%程度が好ましい。
【0042】
また、表生地1のメッシュ目、および下地生地2のストライプ柄、または格子柄のピッチとしては0.5〜5mmが好ましい。この際、ピッチは小さい方が繊細なモアレ縞模様が期待できるが、ピッチが0.5mmより小さいと表生地1のメッシュ目からの透過光が少なくなりモアレ縞模様が発現し難くなる。一方、ピッチが5mm以上になると、繊細で美的なモアレ縞模様が得られ難くなる。
【0043】
更にまた、ジャカード機構を用いることより、図6に示すように二重組織領域Dの長さ方向に対して幅が変化するデザインや、あるいは図7に示すように二重組織領域Dを窓型の開口部の島状のデザインにして、モアレ縞模様の発現する領域の形状自体も模様にすることによって、より一層ファッション性を高めることもできる。
【0044】
なお、本発明の装飾帯体において、多少広幅のサイズ(数十センチ)になる場合は、少なくとも両耳を一重組織領域Sとし、二重組織領域Dの中の所々に一重組織領域Sを設けて、形態不安定なメッシュ地をある程度固定しておくことにより、モアレ縞模様を安定して発現させることができる。
【0045】
以上のように構成したことにより、二重組織領域Dにおいて、前記表生地1および下地生地2が共に平面状であるときは、表生地1の表生地糸11によるメッシュ目が、下地生地2の下地生地糸21の柄糸21Aの配置に合致することによって当該柄糸21Aを表生地1により表面側において被覆遮蔽することができる。
【0046】
一方、帯体に外力が加わって前記表生地1または下地生地2の少なくとも一方が波打ち状に変形したときは、これら両生地の相対位置がズレて下地生地2の下地生地糸21の柄糸21Aが表生地1のメッシュ目の隙間から露出することによって、表生地1の表面側に強弱変化するモアレ縞模様が現出する。
【0047】
即ち、下地生地2と表生地1とのメッシュ目が接する個所は、下地生地2の柄糸21Aの淡色が目立つ一方、下地生地2とメッシュ目が離れている個所あるいは生地の皺などによってメッシュ地同士の重なりが大きい個所は濃色になってモアレ縞模様として発現するため、身体の動きによりそのモアレ縞模様を変化させることができるのである。
【0048】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図8に基づいて説明する。本実施形態では、装飾帯体の組織構造として、表生地1および下地生地2がそれぞれたて糸11cとよこ糸11dとからなる織物組織を形成する。
【0049】
具体的には、織物内の一部(中央部)に二重組織領域Dを設け、その二重組織領域Dの表生地1を目の粗いメッシュ地とし、下地生地2にストライプ柄や格子柄を施すことにより、モアレ縞模様を得ることができる。
【0050】
本実施形態のように織物組織を採用した場合は、大きなメッシュ目にすると目ずれが生じ易いために平組織であるオーガンジーや摸紗織などのように目の透いた織物であって、たて糸、またはよこ糸単位で干渉させることが出来るので、非常に繊細なモアレ縞模様を得ることができる。
【実施例】
【0051】
本実施形態(編物組織)における具体的な実施例について以下に説明する。本実施例では、カールマイヤー製24ゲージのダブルラッセル機を用いて、幅方向の両端に一重組織領域Sを、そして中央にモアレ縞模様を発生させる二重組織領域Dを設け、以下の表に示す編成条件、および図9に示す組織図で本発明の帯体(経編地)を得た。
【0052】
<編成条件>
使用編機 カールマイヤー製24ゲージダブルラッセル機
編地幅 全幅 36mm
一重組織領域Sの幅 各5mm
二重組織領域Dの幅 26mm
糸使い 表生地(メッシュ地)ポリエステル加工糸 167dtex(黒色先染め)
下地生地(グランド糸) 同上 (白色先染め)
(柄糸) 同上 (青色先染め)
一重組織および二重組織の下地 コース密度 30c/inch
ウェール密度 34.5w/inch
二重組織 下地生地に柄糸ピッチ 1mm
メッシュのピッチ 1mm
【0053】
以上のように得られた帯体表面には、明確にモアレ縞模様が発現しており、また帯体表面を変化させることによってモアレ縞模様が変化し、意匠性に優れていることが確認された。
【0054】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、二重組織領域Dにおける下地生地2を、柄糸21Aのみをメッシュ状に編織したメッシュ生地にすることもできる。こうすることによって、下地生地2の格子柄と同様にモアレ縞模様を得ることができ、同時に通気性も得られるのでスポーツウエアや夏物衣料に好適な帯体になる。この際、この下地生地2と表生地1との各メッシュ目のピッチを同一または整数倍にする。
【0055】
また、表生地1の表生地糸11によるメッシュ目形状を六角形にするとともに、下地生地2を柄糸21Aにより形成された規則的な六角柄を有する生地にして、かつ、下地生地2の柄ピッチを表生地1のメッシュ目のピッチと同一または整数倍にすることによっても、モアレ縞模様を現出させることができ、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0056】
1 表生地
11 表生地糸
11a たて方向編み糸
11b よこ挿入糸
11c たて糸
11d よこ糸
2 下地生地
21 下地生地糸
21A 柄糸
3 連結糸
S 一重組織領域
D 二重組織領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表生地糸(11)がメッシュ状に編織された表生地(1)と、前記表生地糸(11)と異なる色の柄糸(21A)を少なくとも含む下地生地糸(21)によって編織された下地生地(2)とが積層状態に固定されて構成される長手帯状の布帛であって、
これら表生地(1)と下地生地(2)との少なくとも幅方向における端縁部同士が同一の編織組織により一体に接合固定された一重組織領域(S)が形成されている一方、両生地が非接合かつ近接状態の二重組織領域(D)が形成されており、
この二重組織領域(D)において、前記表生地(1)および下地生地(2)が共に平面状であるとき、表生地(1)の表生地糸(11)によるメッシュ目が、下地生地(2)の下地生地糸(21)の柄糸(21A)の配置に合致することによって当該柄糸(21A)を表生地(1)により表面側において被覆遮蔽することができる一方、
前記表生地(1)または下地生地(2)の少なくとも一方が波打ち状に変形したとき、これら両生地の相対位置がズレて下地生地(2)の下地生地糸(21)の柄糸(21A)が表生地(1)のメッシュ目の隙間から露出することによって、表生地(1)の表面側に強弱変化するモアレ縞模様を現出可能に構成したことを特徴とするモアレ縞模様の装飾帯体。
【請求項2】
二重組織領域(D)において、下地生地(2)には柄糸(21A)によって規則的なストライプ柄、ボーダー柄、または格子柄が形成されており、かつ、この柄糸(21A)の柄ピッチが表生地(1)の表生地糸(11)によるメッシュ目のピッチと同一または整数倍であることを特徴とする請求項1記載のモアレ縞模様の装飾帯体。
【請求項3】
二重組織領域(D)における下地生地(2)が、柄糸(21A)がメッシュ状に編織された生地であって、かつ、この下地生地(2)と表生地(1)との各メッシュ目のピッチが同一または整数倍であることを特徴とする請求項1または2記載のモアレ縞模様の装飾帯体。
【請求項4】
表生地(1)および下地生地(2)が、ダブルラッセルにより編成された編地であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のモアレ縞模様の装飾帯体。
【請求項5】
表生地(1)および下地生地(2)が、たて糸とよこ糸とからなる織物組織を形成していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のモアレ縞模様の装飾帯体。
【請求項6】
表生地(1)の表生地糸(11)によるメッシュ目形状が六角形であるとともに、下地生地(2)が柄糸(21A)により形成された規則的な六角柄を有する生地であり、かつ、下地生地(2)の柄ピッチは表生地(1)のメッシュ目のピッチと同一または整数倍であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のモアレ縞模様の装飾帯体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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