説明

モジュラカード発行システムおよびその操作方法

モジュラカード発行システムは、各モジュールが隣接したモジュールと電気的に通信するように構成された、一連に順序づけられた複数のモジュールを含む。このシステムはまた、モジュールの各々と電気的に通信するメインコントローラを含む。前記システムの電力投入時に、前記メインコントローラからの援助無しに、各モジュールはそれ自身の識別と、前記複数のモジュールの中でのその相対的位置と、システム内のモジュールの総数とを判定する。この情報はその後前記メインコントローラによって要求されたときに、前記メインコントローラへ伝達される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1.関連出願のクロスリファレンス
本願は、データカード・コーポレイション名義のPCT国際出願として提出され、2005年11月10日に提出された「モジュラカード発行システムおよび操作方法」という名称の米国仮特許出願第60/735,952号に基づく権利主張をする。
2.技術分野
本発明は一般に、モジュラカード発行システムの分野に関する。さらに、本発明は、カード発行システムの機能モジュールのみに、システム構成を判定させ、システムの電源投入時にメインシステムコントローラへその情報を通知させる、モジュラカード発行システムに関する。
3.先行技術の記述
モジュラカード発行システムは、様々な異なる種類の個人認証文書、中でもクレジットカード、免許証、個人識別カード、テレホンカードや、パスポートなどの小冊子など(これらに限らないが)を、大量に製造するために使用されている。一般的に、これらのシステムは、様々な機能を果たすいくつもの異なるモジュールを含んでいる。これら機能には、磁気符号化、エンボシング、スマートカードプログラミング、レーザプリンティング、クリーニング、および個人化文書のラミネートなどがあるが、これらに限定されているわけではない。カード発行システムの例は数多くある。
【0002】
名称が「Automatic Station Identification Where Function Modules Automatically Initialize (機能モジュールが自動的に初期化する自動ステーション識別)」であり、1993年4月20日にDorfe et al.に対して発行され、本発明の譲受人に譲渡された、米国特許第5,204,669号を特に参照すると、システム内の複数のプログラム可能な機能モジュールへ動的にアドレスを割り当てるためのモジュラカード製造システムおよび方法が開示されている。前記'669号特許に開示されたシステムは、各モジュールに一意的なアドレスを割り当てるためにシステム機能モジュールに照会し、各機能モジュールの接続順序を判定する、一次コントローラユニットを使用する。公知のモジュラカード発行システムは、モジュール間の相対的な順序を判定するために、機能モジュール間を仲介する一次コントローラまたはマスタコントローラを必要とする。
【0003】
モジュラカード発行システムは一段と技術的に進歩しつつあるが、システムがモジュラカード発行システム内の機能モジュールに、システム内のモジュールの総数、システムモジュールのシーケンス(sequence)における各機能モジュールの相対的な位置、および各機能モジュールに対応する識別すなわちモジュールタイプを、独立して確定させる(モジュール間のみのピア・トゥ・ピア通信を使用して)ことが依然として必要である。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、カード発行システムのモジュラ構成を判定するためのシステムおよび方法に関する。前記カード発行システムは、最も好適には複数の機能モジュールと、メインコントローラを含み、前記メインコントローラは前記モジュールに、所望の通信プロトコルを介して、前記メインコントローラから独立して前記システムの構成を判定させ、その情報を前記メインコントローラに通知させる。
【0005】
特に、前記カード発行システムは、直列通信プロトコルなど所望の通信プロトコルを介してモジュラカード製造システム内の機能モジュール間のみのピア・トゥ・ピア通信に、前記カード発行システム内のモジュールの総数、システムモジュールのシーケンス内の各機能モジュールの相対的な位置、および各機能モジュールに対応する識別すなわちモジュールタイプを独立して確定させるよう構成されている。
【0006】
各モジュールは、この情報をメインコントローラに通知でき、メインコントローラはこの情報を求めてモジュールに問い合わせに行かなくてもよい。これにより、メインコントローラおよびカード発行システムがより効率的になる。ユーザは電源切断中にモジュールの配列を決め、電源投入時にモジュール自身にシステム構成を判断させることができ、それによって前記コントローラがより効率的にプロジェクトの命令を確定できるようになる。
【0007】
当該技術のひとつの実施形態において、システムは一連に順序づけられた複数のモジュールを含み、各モジュールは上流側および/または下流側に隣接したモジュールと連結されている。このシステムはまた、モジュールの各々と電気的に通信するメインまたは一次コントローラを含む。前記コントローラが、CPU、パーソナルコンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、およびその他数多くの種類のデータ処理制御ユニットなど(これらには限定されないが)、適切な制御ユニットであればよいことは、当業者に容易に理解されるであろう。前記システムの電力投入時に、前記メインコントローラからの援助無しに、所望の通信プロトコルリンクを介して、各モジュールはそれ自身の識別と、前記複数のモジュールの中でのその相対的位置と、システム内のモジュールの総数とを判定する。この情報はその後前記メインコントローラを介して要求されたときに、前記メインコントローラへ通知される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のその他の様態、特徴、および本発明の数多くの付随的な利点は、添付の図面と関連させて以下の詳細な説明が考慮される時、前記詳細な説明によってよりよく理解され、容易に評価されるであろう。全図面を通じて、同様の参照符号は同様の部材を示す。
【0009】
前記図面が選択的な実施形態を記載する一方、本発明のその他の実施形態もまた、記載に示されているように考察される。いずれにしても、この開示は、示された本発明の実施形態を例として表しているものであって、制限的に表しているものではない。本発明の原理の範囲と精神の範囲内に入る数々のその他の変更例や実施形態が、当業者によって考案されるであろう。
【0010】
基本的な発明原理のよりしっかりした理解を提供する図1および2についてまず述べ、その後、本発明のより詳細な実施形態を示す図3〜5を論じる。図1は、モジュラカード発行システムのブロック図を示し、図2はカード発行システムのモジュラ構成を判定するために各システムモジュールが使用する工程の一実施形態を示すフロー図である。
【0011】
図1を参照すると、ブロック図はモジュラカード発行システム10を示す。システム10は、国民IDカード、運転免許証など個人認証カードを作成するために使用できる。システム10は、パスポートなどの個人認証小冊子を作成するためにも使用できる。
【0012】
前記モジュラカード発行システム10は、一連に順序づけられた複数のモジュール20を備え、各モジュールはメインコントローラ30と、上流と下流の隣接したモジュールとに連結されている。システム10の各モジュール20は、大量の個人認証文書を製造するために使用される個別の機能を果たすよう設計されている。システム10に含まれうるモジュール20の例としては、文書上の磁気ストライプへのデータ書き込みおよびデータ読み取り用の磁気ストライプモジュール、文書上にエンボス文字を形成するためのエンボシングモジュール、文書上の集積回路チップをプログラムするためのスマートカードプログラミングモジュール、単色または多色印刷を行うためのプリンタモジュール、文書上にレーザーパーソナライズを行うためのレーザモジュール、文書に単色データおよび画像を適用するためのグラフィクスモジュール、文書をクリーニングするためのクリーニングモジュール、文書にトップコートを施すためのトッピングモジュール、文書に穿孔や穴を開ける、および/または、文書を穿孔して特殊な形状にするための文書穿孔モジュールなどがある。
【0013】
各モジュール20内には、不揮発メモリ記憶領域40と、通信装置50とが存在する。各モジュール20の識別すなわち特定のモジュールタイプがその不揮発メモリ40に記憶されている。通信装置50を使用して、例えば所望の直列通信プロトコルに適応できる通信リンク60を介して、隣接した上流および下流のモジュールに対してデータを送信、受信するよう、各モジュール20が構成されている。通信装置50はまた、各モジュール20が、例えばイーサネットリンクに適応できる通信リンク70を介して、コントローラ30に対して情報を通知したり命令を受け取ったりできるようにする。通信リンク60は、モジュール20間の通信専用である。一方、通信リンク70は、モジュラカード発行システムコントローラ30との通信のみに使用される。通信リンク60と通信リンク70はそれぞれ、直列通信プロトコル、並列通信プロトコル、高速イーサネットなどを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)個別の異なる通信手法に適応できるよう構成されているか、または、必要に応じて、無線通信プロトコルリンクと置き換えられることも可能である。
【0014】
操作中は、システム10はモジュール20自身による自動モジュール構成とその情報のコントローラ30への通知を支援する。システム10の電源投入時、隣接したモジュール20間のピア・トゥ・ピア通信手法により、第1のモジュールがその下流側に隣接したモジュール20へ通信リンク60を介してその相対的位置を通知し、前記下流側の隣接モジュールは同様に、そのさらに下流側に隣接したモジュールにこの情報を送信するようにできる。このプロセスは継続され、最後のモジュールがその上流側に隣接したモジュールから相対的位置データを受信するまで至り、そこで、コントローラ30を介した要求に応じて、この情報が通信リンク70を介してコントローラ30へ通知される。このように、通信リンク60を使用して、各モジュール20はシステム10内のモジュールの総数と各モジュール20の相対的位置を知る。この通信手法は、高速イーサネットプロトコルなどのトポロジに依存しない通信手法をコントローラ30が使用できるようにする一方、依然としてシステム10の電源投入時の自動装置再構成を支援する。この手法はまた、モジュラカード発行システム10の構成を電源切断中に変更できるようにし、電源投入時にすぐにシステム10がその新しい構成を認識できるようになる。
【0015】
図2は、システム10のモジュラ構成を判定するために各モジュール20が行う工程の一実施形態のフロー図である。モジュラ構成の判定は、システム10の電源投入時にブロック100で開始され、ブロック100は各モジュールの電源投入を含む。電源投入時、ブロック105に示されるように、各モジュール20は特定の識別すなわちモジュラータイプを判定するために不揮発性メモリ記憶部40を参照する。そしてブロック110で、所望の通信技術を使用して、各モジュール20は通信リンク60を介して上流側の隣接したモジュールがあるか確認する。
【0016】
条件ブロック115で、モジュール20がそれよりも上流側に隣接したモジュールが無いと判定すると、現行のモジュール20がシステム10の最初のモジュールとなり、ブロック120へ進む。ブロック120で、前記順序が一番目のモジュール20は、コントローラ30と通信する際に番号1のアドレスを確定する。ブロック125で、モジュール20はその相対的な位置を下流側に隣接したモジュールに通知し、ブロック130で、通信リンク60を介した前記下流側の隣接モジュールからの上流への受信確認応答(Acknowledge)を待つ。条件ブロック135に示されるように、モジュール20は下流側の隣接したモジュールからの上流への受信確認応答を受信するまで待機を継続する。前記上流側への受信確認応答が受信されると、ブロック140に見られるように、モジュール20は下流側の隣接したモジュールからのモジュール総数を待つ。前記モジュール総数を受信すると、ブロック146で、モジュール20はモジュール数の受信を確認応答し、メインコントローラ30がブロック148で前記モジュール総数をメインシステムコントローラ30へ通知するよう命令したときに、そのように通知する。
【0017】
条件ブロック115で、モジュール20が上流側の隣接したモジュールと通信リンク60を介して接続していると判定したら、ブロック145でモジュール20は上流側の隣接モジュールからのモジュール数データを待ち始める。条件ブロック150に示されるように、モジュール20がその上流側の隣接モジュールからモジュール数データを受信するまで待機を継続する。ブロック152で、それ以前のモジュール20の相対的位置アドレスを含むモジュール数データの受信が確認されると、ブロック155で、現行のモジュール20がモジュールのシーケンスにおけるその位置アドレスを確定する。そしてブロック160に示されるように、モジュール20は下流側に隣接したモジュールがあるかどうか確認する。
【0018】
条件ブロック165で、まだ下流側に隣接した別のモジュールがあるとモジュール20が判定すると、ブロック125から始まるプロセスを繰り返す。
【0019】
条件ブロック165で、もう下流側に隣接した別のモジュールは無いとモジュール20が判定すると、モジュール20がシステム10の中の最後のモジュールとなり、ブロック170へ進む。ブロック170では、モジュール20は、モジュールの総数をその上流側の隣接したモジュールに通知する。ブロック175で、前記上流側の隣接モジュールからの受信確認応答を受信すると、モジュール20はブロック180でシステム10内のモジュールの総数を設定し、プロセスを終了する。
【0020】
図3は、別の実施形態に係るモジュラカード発行システム200を示すブロック図であり、システムモジュール210を構成するための通信リンク202をさらに示している。前記モジュラカード発行システム200は、4つのモジュール210を含むとわかる。システム200はまた、PCコントローラ220とイーサネットスイッチ230を含む。一般的なモジュラカード発行システムは、カードデリバリー以外に約15個のモジュール210を含んでもよく、約24個のモジュール210まで拡張できる。本発明はそれに限らないが、実施形態によってはその程度の数のモジュール210を使用してもよいと理解される。イーサネット通信スピードは、通常100Mbpsである。イーサネットスイッチ230はもっとも好適には、一般的な構成に適応するのに十分なポートを有し、さらにポートを追加する余裕がある。前記通信リンク202は、電力投入時の処理中、下記のように、システム200を構成するために使用される。電力投入処理完了の際に、前記通信リンク202は制御外となったモジュール210をリセットするための監視役(以下に記載)として使用できる。前記通信リンク202は必須のAC電源を伴って物理的に引き回され、AC電源がいったんONになると、対応する回路ブレーカか、またはe−ストップスイッチ(以下に記載)が開にならない限りAC電源がモジュール210においてONであり続けるようになっている。PCコントローラON−OFFスイッチ(図示せず)はPCコントローラを駆動するためのみに使用される。
【0021】
前記通信リンク202は、例えば、システム200内のモジュール(ノード)210間の同期式半二重二地点間(RS−485)直列リンクであってもよい。各モジュール(以下「ノード」とする)210は、入力側直列リンクと出力側直列リンクとを有する。前記「入力側」直列リンクは、「上流側の」ノードポート216(対応する入力ホッパに近い)に接続される。前記「出力側」直列リンクは「下流側の」ノードポート218(出力スタッカの方向)に接続される。
【0022】
各ノード210は、「始端」ノード、「中間」ノード、または「終端」ノードとして識別される。始端ノード(通常、システムの入力ホッパ)は、その上流側に直列リンクが無く、下流側に直列リンクがあることによって、始端ノードとして識別される。中間ノードには上流側および下流側直列リンクの両方がある。終端ノードには上流側直列リンクのみがある。図3に示されるように、終端ノードには上流側直列リンクのみがある。
【0023】
各ノード210の内部のハードウェアが、各専用通信リンク202の存在または不在を信号で伝える対応ノード論理ボードに信号を提供する。各ノード210は、拡張ボード240を有すると考えられる。各拡張ボード240は以下に記載する、2つの機能を果たす通信ハードウェアを使用する。対応する通信ハードウェアの第1の、または一次的な機能は、図2を参照して前述したように、システム内のノードの物理的な位置に基づいて前記ノード210にイーサネットおよび/またはIPアドレスを割り当てることに関する。第2の機能は、システム200に電源が投入されるたびに、「喪失した(lost)」モジュール210を検索して回復する監視役として作動することに関する。
【0024】
ノードにイーサネット(MAC)およびIPアドレスを割り当てる前記プロセスは、図3〜5を参照して記載された実施形態に対応する2段階起動プロセスの最初のプロセスである。ノードのアドレスが決まると、各ノード210に対応するオンボードフラッシュ装置から埋め込みソフトウェアモジュールをロードし実行して、一次またはメインコントローラ、たとえばPCコントローラ220による制御を確定させる。PCコントローラ220とのリンクが得られると、ノードのブート変数の一部として特定されたノード始動スクリプトファイルがロードされ実行される。前記始動スクリプトファイルは、通常の条件下で、対応するノードのファームウェアアプリケーションのロードおよび実行を導く。
【0025】
システムオペレータがPCコントローラ220を起動させると、前記コントローラ220はシステム200に問い合わせて、システム200内のノードデータの番号、タイプ、および順序、ならびに、ある特定のノード210にロードされたファームウェアとハードウェア(例えば、FPGA)のバージョンにすぐにアクセスする。
【0026】
上記の原則にしたがってモジュラカード発行システムを実施するのに適した通信プロセスのより詳細な説明を、図4を参照して以下に説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る直列通信プロトコル初期化シーケンス300を示す実体図である。始端ノード302、中間ノード304、および終端ノード306の初期化プロセスが、図5に示されている。

始端ノードの初期化
始端ノードであると判定されたノードは、ここに記載された発明的な原理を使用するシステム内では、通常、入力ホッパモジュールであろう。図4を参照すると、始端モジュール302はシステム内で最初のモジュールであるので、上流側には接続された直列チャネルがないが、下流側の次のモジュールに接続する出力側直列通信リンク310がある。
【0027】
始端ノード302は、そのノードの下流側に隣接したモジュールへの出力側直列通信リンク310上にノードID(NID)フレームを発行することにより、ノード初期化シーケンスを開始する。NIDフレームを発行する際に、前記始端ノードは、NIDフレームの受信確認応答を出す下流側モジュールから送信される応答フレームを待ちうける応答タイマをセットする。始端モジュール302が応答フレームを受信しないと、前記NIDは再度送信され、前記応答タイマが再始動する。このプロセスは、下流側モジュールが応答するまで継続する。
【0028】
NIDフレームを受信すると、下流側ノードが受信確認応答(ACK)フレームをモジュールの入力側直列通信リンク316から送信することによって応答し、NIDを送信したノードに前記NIDフレームが受信されたことを通知する。
【0029】
ACKフレーム314を受信すると、前記始端ノード302は総数ノードID(TID)フレーム318を受信するまで待機する。このフレーム318は、終端ノード306によって生成され、始端ノード302へ返される。したがって、前記TIDフレーム318は、カード発行システム200で検出されるノードの総数を含む。この値は、オペレーティングシステムが起動された後の初期化の第二段階でPCコントローラ220へ返されて、イーサネットリンクが動作可能になる。TIDフレーム318を受信すると、始端ノード302がノードのフラッシュメモリ(図1の符号40)内にオペレーティングシステムを捜し出し、ノードメモリにロードし、それに対する制御を移管する。この時点で前記イーサネット接続が初期化され、前記始端ノードに対する初期化の第一段階が完了する。初期化の残りは前記ノード内のオペレーティングシステムの制御下で完了する。

中間ノードの初期化
入力側通信リンクと出力側通信リンクの両方に接続するノードが中間ノード304と定義される。中間ノード304は、そのノードの上流側の最も近い隣接ノードによって送信された、そのノードの入力側通信リンク316で受信されるべきNIDフレームを待ちうける。発信ノードIDがNIDフレーム312から受信される。前記中間ノードはそれから、ACK応答フレーム314を発行し、ノードの入力側通信リンク316を介して前記NIDフレームを送信したノードへ返信する。前記中間ノード304はその後、受信した(そして変更した)NIDフレーム322を取り出し、ノードの出力側通信リンク320を介して送信し、前記フレームをノードの下流側に隣接したノードへ送る。前記中間ノード304はその後、応答タイムアウトをセットして、ノードの出力チャネル320上で受信されるべきACKフレーム323を待ちうける。応答がタイムアウトの場合、中間ノード304は前記NIDフレーム322を出力側直列バックチャネル320を介して送信し、前記応答タイムアウトをリセットする。このシーケンスはACKフレーム323が受信されるまで継続される。
【0030】
ACKフレーム323を受信すると、中間ノード304は、中間ノードの出力側直列バックチャネル320上で受信されるべきTIDフレーム326を待ちうける。前記TIDフレーム326は、終端ノードによって始動され、システム200内のノードの総数を含む。TIDフレーム326を受信すると、中間ノード304は前記TIDフレーム326を送信した下流側の隣接モジュールへ、出力側通信リンク320を介してACKフレーム324を送信することにより、受信確認応答を出す。そして前記ノード総数が中間ノードのメモリに記憶される。前記中間ノードは、中間ノードの入力側通信リンク316を介して上流側の隣接ノードに前記TIDフレーム326を送信することによって、前記TIDフレームを始端ノード302まで伝播させる。中間ノードの入力側通信リンク316からのACKフレーム328を受信すると、中間ノード304はシステム初期化の第一段階を完了する。前記中間ノードは、そのフラッシュメモリからのオペレーティングシステムを、所望のアドレスを起点とするメモリにロードすることによって、システム初期化の第二段階に入る。制御はオペレーティングシステムへ移管される。
【0031】
装置中のモジュールの位置を識別し、それが適切に動作するようにするために、ノード通信リンクが使用される。一実施形態において、ノートボードFPGA,マルチポートRS485インターフェース、およびシステムイーサネット接続と連携して、前記ノード通信リンクが作動する。上流側および下流側ポートを有する各ノードボードには、前記ノード通信リンク用の物理層の接続が存在する。

終端ノードの初期化
モジュラカード発行システム200の終端ノード306には、入力側通信リンク330があるが、出力側通信リンクがない。終端ノード306の初期化は、受信されたNIDフレーム332が前送りされない(出力側直列バックチャネルが無いので)こと以外は、中間ノード304と同様である。前送りのかわりに、終端ノード306は受信したNIDフレーム322中のノードIDをインクリメントする。前記終端ノードはノードの入力側通信リンク330を介してACKフレーム334を発行して前記NIDフレーム332の受信確認応答を出し、前記NIDフレーム332をTIDフレーム336へ変更する。前記TIDフレーム336はノードの入力側直列バックチャネル330を介して送信され、始端ノードへの戻りを開始する。ACKフレーム340を受信すると、前記終端ノード306はシステム初期化の第一段階を完了する。
【0032】
前記終端ノードはオペレーティングシステムへ制御をロードし移管することによって初期化の第二段階に入る。前記システム操作の残りは、オペレーティングシステムの制御下に入る。
【0033】
システム初期化機能を行うことに加えて、モジュール喪失制御を検出してそこから復帰する(監視機能)ために、機能モジュール通信リンク202が使用される。最も好適には、ファームウェアおよび/またはFPGAコード更新によって必要になったときに、または破局故障の場合に、モジュールを再起動するために使用できる機構を、前記一次コントローラ220が有する。前記監視機能は、各ノードのFPGA内で作動するハードウェア監視タイマの使用によって達成できる。監視タイマが使用可能になると、ノードはタイマが終了する前に監視タイマをリセットしなければならない。もし監視タイマが終了すると、監視ハードウェアがモジュールノードボードをリセットして、ボードを再起動させる。
【0034】
前記の発明の原理をより理解可能になるように、図5を参照して、電気的な構造を示す詳細なシステムブロック図について以下に述べる。
【0035】
図5を参照すると、ブロック図が、本発明の一実施形態に係るより詳細なモジュラカード発行システム400を示している。前記システム400は、3つのモジュール402、404、406と、高速イーサネットリンク412を介して前記モジュールと通信する一つのPCコントローラ410とを含む。イーサネットスイッチ420は、前述したように、一般的な構成に適応するのに十分なポートを有し、さらに格納装置中にポートを追加する余裕がある。直列通信リンク(すなわちバックチャネルケーブル)430が、システム400を構成するために使用される。前記接続は、各モジュール402、404、406へ物理的位置情報を提供し、問題の起こりそうなモジュールをリセットする監視機能を提供する。システム電源は、コントローラまたはモジュール内から出ているAC電源バス440を介して分配される。回路ブレーカ442またはe−ストップスイッチ444が開にならない限り、AC電源はモジュール402〜406において常にONである。
【0036】
システム通信リンク430は装置400内のモジュールの位置を識別するために使用され、モジュールが適切に作動することを確実にする。前記通信リンク430はノードボードFPGA、マルチポートRS−485インターフェース450、およびシステムイーサネット接続452と連携して動作する。前述のように、上流側および下流側ポートを有する各ノードボードには、前記通信リンク430用の物理層の接続が存在する。この接続は、AC配線と同じケーブルに存在してもよい。
【0037】
前記通信リンク430は、前述のように、2つの状態のうちの一つで作動する。第1の状態(構成)には、確定されたイーサネット接続412を介してPCコントローラ410によって指令されるノードボードプロセッサ454によって送出される電源投入またはウォームリセットから入ることができる。各ノードボードは好適には、CPLDのようなプログラム可能論理装置(図示せず)を介してリセットでき、リセットが電力供給モニタを介して、またはノードボードプロセッサ454へ取り付けられたリセットポートを介して発生できる。
【0038】
FPGA(図1では符号40が付される)は自己構成し、下流側通信リンク430を静的に検査し始める。この接続は、例えば、別のモジュールに結合されるならばHIGHであり、開であるなら(装置400の出力端であるなら)LOWである。もしモジュール402〜406がLOWを検出すると、上流側コネクタに第1の記号を送信し始める。前記第1の記号を送信した後、モジュールは上流側ポートに対して第2の記号の応答を問い合わせる。もしこの応答が現れないと、モジュールは第1の信号を再度送信する。もしモジュールが返送を受信しなければ、結局、モジュールが装置の始端にあるということになる(入力端の検出)。
【0039】
第2の状態(監視)には、システム400構成が確定され、ノードプロセッサ454が監視を可能にした後に、入ることができる。各ノードボード402〜406はその上流側および下流側のノードボードとその記号を送受信し続ける(当然のことながら、ノードプロセッサ454によって二つのうちの一つのポートのみを介して送受信できるようにプログラムされている例外的なノードボードが装置の両端部にある)。前述のように、前記ノードプロセッサ454が監視機能を可能にし、監視は、いったん可能になると、記号の交換によってリフレッシュされる。もしどちらかの端部が通信を停止すると、監視はノードボードプログラム可能論理装置を使用してボードをリセットする。
【0040】
図1を再度参照すると、各カード発行モジュール20がさらに、電源投入時に作動可能であり、そのタイプを判定するのみならず、モジュール20をモジュラカード発行システム10に挿入したときに機能モジュール20内にあるダウンロード可能なコードのバージョンも判定する。各カード発行システム機能モジュール20は、カード発行システムコントローラ30と通信して、ダウンロード可能な機能モジュールコードのより新しいバージョンがコントローラ30で取得可能かどうかを判定するよう、構成されている。各機能モジュール20はコントローラ30から更新されたコードを受信し、前記更新されたコードを機能モジュール不揮発メモリ記憶領域40にインストールするよう作動する。さらに、最も好適には、各カード発行モジュール20は電源投入時に作動可能であり、そのタイプが判定できない場合にはそれ自身が一般的なモジュールタイプであると宣言し、一般的なモジュールタイプデータをカード発行システムコントローラ30に通信して、コントローラオペレータの要求に応じてカード発行システムコントローラ30を介して前記機能モジュールタイプが再プログラムできるようにする。各カード発行システム機能モジュール20はさらに、機能モジュール20内にある、機能モジュールに特化した構成情報のバージョンを認識かつ更新し、更新の完了時に自動的に再起動するように作動して、システム10の電力投入時にもともと判定されていた複数のモジュールの中でのその相対的な位置を保持しつつ、新たに更新されたコードを呼び出すようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るモジュラカード発行システムを示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に記載されたシステムのモジュラ構成を判定するために各モジュールが行う工程の一実施形態を示すフロー図である。
【図3】図3は、別の実施形態に係るモジュラカード発行システムを示すブロック図であり、前記システムモジュールを構成するための直列通信プロトコルをさらに示している。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る直列通信初期化シーケンスを示す実体図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係るモジュラカード発行システムのより詳細なブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連に順序づけられた複数の機能モジュールであって、各モジュールが隣接したモジュールと通信するように構成されたモジュールと、
各機能モジュールと通信するメインコントローラとを備えたカード発行システムであって、
前記システムの電源投入時に、各機能モジュールが、それ自身の識別と、前記複数の機能モジュールの中でのそれ自身の相対的位置とを判定し、前記識別データと相対位置データとが前記メインコントローラからの要求に応じて前記メインコントローラに提供されるようになっていることを特徴とする、カード発行システム。
【請求項2】
各モジュールが不揮発メモリ記憶領域と通信装置とを備える、請求項1に記載のカード発行システム。
【請求項3】
各モジュール内の前記不揮発メモリ記憶領域が前記モジュールの識別を記憶する、請求項2に記載のカード発行システム。
【請求項4】
前記不揮発メモリ記憶領域が、EEPROM、PLD、バッテリーバックアップ式RAM、フラッシュメモリ、EPROM、PROM、ROM、ジャンパ線、磁気ディスク、バブルメモリ、およびFRAMからなる群から選択される、少なくとも一つの装置を備える、請求項2に記載のカード発行システム。
【請求項5】
前記通信装置が、第1の通信手法を使用して前記隣接モジュールと通信するよう作動し、さらに第2の通信手法を使用して前記メインコントローラと通信するよう作動する、請求項2に記載のカード発行システム。
【請求項6】
前記第1の通信手法が、イーサネット以外の直列通信プロトコルによって定義される、請求項5に記載のカード発行システム。
【請求項7】
前記第2の通信手法が、イーサネットプロトコルによって定義される、請求項5に記載のカード発行システム。
【請求項8】
前記複数のモジュールが、トポロジに依存しない通信手法を使用して前記メインコントローラと通信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記トポロジに依存しない通信手法が、イーサネットである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
各モジュールが、それ自身の識別と、前記複数のモジュールの中でのそれ自身の相対的位置とを、前記メインコントローラの支援無しに判定するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
各モジュールが、前記システム内のモジュールの総数を、前記メインコントローラの支援無しに判定するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
一連に順序づけられた複数の機能モジュールと、メインシステムコントローラとを提供する工程であって、各機能モジュールが、第1の通信プロトコルを使用して隣接の機能モジュールと通信するよう作動し、さらに第2の通信プロトコルを使用して前記メインコントローラと通信するように作動する工程と、
前記第1の通信プロトコルを通じて、各モジュールの識別と相対的位置を判定する工程と、
前記第2の通信プロトコルを通じて、前記メインシステムコントローラからの各機能モジュールへの命令に応答して、前記識別と相対的位置とのデータを前記メインシステムコントローラへ送信する工程とを含む、モジュラカード発行システムの操作方法。
【請求項13】
各モジュールの識別と相対的位置とを判定する前記工程が、
上流側および下流側に隣接したモジュールがあるか確認する工程と、
上流側に隣接したモジュールにその相対的位置データを求めて問い合わせる工程と、
前記上流側に隣接したモジュールから受信した相対的位置データに基づいて、相対的位置アドレスを確定する工程と、
前記下流側に隣接したモジュールへ、前記相対的位置アドレスを送信する工程とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のモジュールのシーケンス内の最初のモジュールが、上流側および下流側に隣接したモジュールがあるかどうかの確認中に上流側に隣接したモジュールが無いとわかった時に、その位置を判定する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のモジュールのシーケンス内の最初のモジュールが、下流側のデータを待たずにすぐに一番目の位置アドレスを確定する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
下流側に隣接したモジュールにモジュール総数のデータを求めて問い合わせる工程と、
前記下流側に隣接したモジュールからの前記モジュール総数のデータを待って受信する工程とをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記モジュール総数のデータを前記上流側に隣接したモジュールへ送信する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のモジュールのシーケンス内の最初のモジュールが、前記モジュール総数のデータを上流側に隣接したモジュールへ送信しない、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のモジュールのシーケンス内の最後のモジュールが、上流側および下流側に隣接したモジュールがあるかどうかの確認中に下流側に隣接したモジュールが無いとわかった時に、その位置を判定する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のモジュールのシーケンス内の最後のモジュールが、下流側に隣接したモジュールへその相対的な位置を通知しない、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
一連に順序づけられた複数の機能モジュールを備えたカード発行システムであって、各モジュールは隣接したモジュールとデータを交換するように作動するが、隣接していない機能モジュールとはデータを交換せず、さらに、前記システムの電源投入時に、各モジュールがそれ自身の識別と、前記システム内の前記複数のモジュールの中でのその相対的位置とを判定して、前記識別データと前記相対的位置データとがシステムコントローラに提供されるようになっていることを特徴とするカード発行システム。
【請求項22】
各機能モジュールが、第1の通信手法を使用して隣接モジュールと通信し、さらに第2の通信手法を使用してシステムコントローラと通信するように構成されている、請求項21に記載のカード発行システム。
【請求項23】
前記第1の通信手法が、イーサネット以外の直列通信プロトコルによって定義される、請求項22に記載のカード発行システム。
【請求項24】
前記第2の通信手法が、トポロジに依存しない通信手法である、請求項22に記載のカード発行システム。
【請求項25】
前記トポロジに依存しない通信手法が、イーサネットである、請求項24に記載のカード発行システム。
【請求項26】
電源投入時に作動可能であるカード発行システム機能モジュールであって、モジュラカード発行システムに挿入されたときに、その識別と、複数のモジュールの中でのその相対的位置とを判定して、前記モジュラカード発行システムへの前記機能モジュールの挿入時に、モジュラカード発行システム機能モジュール間のみに直列通信プロトコル手法を使用して、前記相対的位置データが他のカード発行システム機能モジュールに提供されるようになっている、カード発行システム機能モジュール。
【請求項27】
前記機能モジュールが、第1の通信手法を使用して他のカード発行システム機能モジュールと通信し、さらに、第2の通信手法を使用してカード発行システムコントローラと通信するよう構成されている、請求項26に記載のカード発行モジュール。
【請求項28】
前記第1の通信手法が、イーサネット以外の直列通信プロトコルである、請求項27に記載のカード発行システム機能モジュール。
【請求項29】
前記第2の通信手法が、トポロジに依存しない通信手法である、請求項27に記載のカード発行システム機能モジュール。
【請求項30】
前記トポロジに依存しない通信手法が、イーサネットである、請求項29に記載のカード発行システム機能モジュール。
【請求項31】
前記機能モジュールがさらに、電源投入時に作動可能であり、前記モジュラカード発行システムへの前記モジュールの挿入時に、そのタイプと、前記機能モジュール内のダウンロード可能コードのバージョンとを判定する、請求項26に記載のカード発行モジュール。
【請求項32】
前記機能モジュールが、カード発行システムコントローラと通信して、ダウンロード可能な機能モジュールコードのより新しいバージョンがコントローラ上に取得可能かどうかを判定するように構成されている、請求項31に記載のカード発行モジュール。
【請求項33】
前記機能モジュールがさらに、前記コントローラから更新されたコードを受信し、前記更新されたコードを機能モジュール不揮発メモリ記憶領域にインストールするよう構成されている、請求項32に記載のカード発行モジュール。
【請求項34】
前記機能モジュールがさらに、電源投入時に作動可能であり、そのタイプが判定できない場合にはそれ自身が一般的なモジュールタイプであると宣言し、前記一般的なモジュールタイプのデータをカード発行システムコントローラに通信して、コントローラオペレータの要求に応じてカード発行システムコントローラを介して前記機能モジュールタイプが再プログラムできるようにする、請求項26に記載のカード発行モジュール。
【請求項35】
前記機能モジュールがさらに、前記機能モジュール内にある、機能モジュールに特化した構成情報のバージョンを認識かつ更新するよう作動可能である、請求項26に記載のカード発行モジュール。
【請求項36】
前記機能モジュールが、更新の完了時に自動的に再起動して、前記システムの電力投入時にもともと判定されていた複数のモジュールの中でのその相対的な位置を保持しつつ、前記新たに更新されたコードを呼び出すように構成される、請求項35に記載のカード発行モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−516873(P2009−516873A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540349(P2008−540349)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/060739
【国際公開番号】WO2007/059415
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
2.イーサネット
【出願人】(504012756)データカード・コーポレイシヨン (15)
【Fターム(参考)】