説明

モジュラガスケット

【課題】ある用途から次の用途に容易に適合できるガスケットアセンブリを提供する。
【解決手段】重なるストランドのメッシュとして形成される、格子状キャリア10を有する静的ガスケットアセンブリ。キャリア10内に開口16−22が形成され、ストランドの切断された端部は内側に突出する片持ちばりステムを形成する。特定的に構成されたシーリング要素24、30、32、36、38のいずれかがそれぞれの開口16−22に押圧され、片持ちばりステムは各シーリング要素の外周溝26と係合してそれぞれのシーリング要素を所定の位置に保持する。次にガスケットアセンブリは被封止面上に配置され、キャリア10は取外される、またはガスケットアセンブリの恒久の固定具として残る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は一般に2つの対向する表面間で気体または液体封止を遂行するタイプの静的ガスケットに関し、より特定的には、製品開発シーケンスにおいて、ある用途の構成から次の構成へ、またはある設計的改訂から次の設計的改訂に容易に適合可能な、モジュラガスケットアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
静的ガスケットアセンブリは、2つの対向する表面が液体シールまたは気体密封シールで結合しなければならない場合に用いられる。内燃機関の例では、このようなガスケットアセンブリはシリンダヘッドおよびシリンダブロック間を含めて、多くの場所に用いられる。シリンダヘッドガスケットの専用のシーリング要素は燃焼室を囲み、他の専用のシーリング要素はオイル流路、冷媒流路などの周りに配置される。エンジン用の他のガスケットの用途、たとえば吸気マニホールド、排気マニホールド、送水ポンプや油だめの用途のガスケットは、意図される用途を満たすように構成された特殊なシーリング要素を要する。
【0003】
典型的なガスケットアセンブリは弾性金属、ゴム繊維または適切な材料からなる、シート状ガスケット本体またはキャリアを含む。キャリアは主に、シーリングされるべき表面構成と位置合わせされた、種々のシーリング要素を正確に保持するための支持エレメントとして機能する。キャリアは留め具や位置決めピンなどのための穴またはノッチを含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来の形のガスケットアセンブリは頑丈で有効であることがわかっている。しかし、その欠点はガスケットアセンブリを形成および組立てるのに必要な製造プロセスにある。機械設定による損失時間および生産性における固有の非能率により、大部分の製造方法では特定の型のガスケットアセンブリの生産性を上げて行なうことを要求している。特定の構成を有するガスケットが十分な数製造されることを確実にするために、特定の形のガスケットアセンブリは時には生産過多となる。
【0005】
機械設定時間を減らしかつ所与のスタイルのガスケットが生産性を上げて行なわれることに伴う負担を減らすことができるよう、ある用途から次の用途に容易に適合できるガスケットアセンブリのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要および利点
本発明のある局面に従い、2つの対向する表面の少なくとも一方に、封止を遂行するために、2つの対向する表面間での圧縮配置用に適合される静的ガスケットアセンブリが提供される。ガスケットアセンブリは少なくとも1つの開口が形成されているシート状キャリアを含む。キャリアとは別に形成される、製造品を含むシーリング要素は、キャリアの開口に動作可能に配置される。キャリアは、シーリング要素の開口がキャリア内のどの場所にも位置付けることができる織物状のウェブ構造を含み、それによりガスケットアセンブリをある用途の構造から次の構造に容易に適合することができる。こうして、単にキャリア内に開口を形成し、シーリング要素を開口に挿入することにより、シーリング要素はキャリアの本体のどの場所にも位置付けられるモジュール品として形成される。その結果、あるタイプのガスケットから次のタイプのガスケットに変更するのに要する設定は、スタンピングプレスの場合では抜き型の場所および/またはサイズの変更だけとなり得る。
【0007】
本発明の別の局面に従い、2つの対向する表面の少なくとも一方に、封止を遂行するために、2つの対向する表面間での圧縮配置用に適合されるタイプの静的ガスケットアセンブリが提供される。本発明の局面に従うガスケットアセンブリは、2つの対向する表面の一方の保持部と位置合わせするために少なくとも1つの開口が形成されているシート状キャリアを含む。キャリアは織物状のウェブ構造を含む。キャリアとは別に形成される、製造品を含むシーリング要素は、キャリアの開口に動作可能に係合される。シーリング要素が対向する表面の一方に位置付けられた後で分離力に応答してシーリング要素を開口から自動的に分離するための解放可能な保持部が設けられ、それによりキャリアを再使用またはリサイクルのために取外しながら、シーリング要素は対向する表面間で封止を遂行するために残すことができる。したがって、キャリアを取外して廃棄することができる。これは対向する表面間の荷重領域を減らす効果があり、圧縮荷重を受けるのはシーリングコンポーネントだけとなる。こうして、必要な封止を得るためにはより少ない荷重で済む。なぜなら、圧縮荷重はシーリング要素によって特定的に集中するからである。
【0008】
本発明のさらなる他の局面に従い、2つの対向する表面間に封止を遂行するタイプの組立てられたガスケットを形成するための方法が提供される。本発明は、規則的または不規則的に繰返される幾何学的パターンでストランドが交差する、格子状キャリアを形成するステップと、繰返される幾何学的パターンのサイズよりも大きいサイズの開口をキャリアに形成するステップと、外周に保持部が支持されるシーリング要素を形成するステップと、キャリアのストランドが保持部と係合するまで、シーリング要素をキャリアの開口に押圧するステップとを含む。この方法において、シーリング要素は簡単な押圧動作により、キャリアの開口と動作可能に係合し、キャリアのストランドはシーリング要素の周りの溝内に係合して、シーリング要素を自動的に所定位置に固定する。キャリアの開口は繰返される幾何学的パターンよりも大きいので、シーリング要素の溝と相互作用するよう、少なくとも複数のキャリアストランドがあることが確実となる。
【0009】
本発明の上記の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】開口が形成される前の、本発明に従ったキャリアの斜視図である。
【図2】図1と同様であるが、キャリアに複数の開口が形成されている図である。
【図3】図2と同様の斜視図であり、キャリアのそれぞれの開口に取付けることができるさまざまなシーリング要素を示す図である。
【図4】被封止面上に位置付けられる、本発明の組立てられたガスケットを示す簡易斜視図であり、各シーリング要素は被封止面のそれぞれの構造上に整合されている図である。
【図5】図4と同様の斜視図であるが、キャリアが外され、シーリング要素は被封止面のそれぞれの構造上に整合されて残り、かつ対向する表面によって圧縮されるのに備えた状態の、プロセスのさらなる進行を示す図である。
【図6】2つの被封止面間で恒久的に固定されたまま残る、ガスケットアセンブリの代替の実施例の斜視図である。
【図7】キャリアの開口に動作可能に位置付けられるシーリング要素の簡易部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施例の詳細な説明
図面において同じ参照符号は同じまたは対応する部分を示し、本発明の静的ガスケットアセンブリのシート状キャリアは図1において総括的に10で示される。キャリア10は織物状ウェブ構造で形成される。このウェブは、熱可塑性もしくは熱硬化性のポリマーのような高分子材料、または別個の金属ストランドから、またはセル状のおよびゴム状のプロダクトを含む他の適切な組成物から形成できる。各ストランドの断面は、図面に示される丸い形の例も含めて、どのような形であってもよい。
【0012】
これらのストランドを結合するためには織込み技術を含む既知の組立て技術を用いることができるが、これには限定されない。組立て技術にかかわらず、好ましくはストランドが規則的または不規則的に繰返される幾何学的パターンで重畳して、メッシュが形成される。直角に交差する2本の平行なストランドの場合、規則的に繰返される幾何学的パターンは正方形または長方形の形を取り、所与の平行ストランドの隣接するストランド間の距離は、ストランドピッチという。しかし、他のストランド配向も可能であり、繰返される幾何学的パターンは直線状である必要はない。さらに、繰返しのパターンは専ら1つの形からなる必要はなく、その場合パターンは不規則的な多様性を有することとなる。キャリア10がたとえば高分子材料から成形された場合、規則的に繰返される幾何学的パターンは有利にどのような形を取ることもできる。ある用途では、ピッチをキャリア10の特定領域において変えることが望ましいかもしれない。たとえば最適な負荷分散を達成するために、各パターンの大きさが異なる不規則的な繰返しパターンとなることもある。
【0013】
図2は図1に示される製造工程のさらなる進行を示し、封止するべき対向する表面の一方または両方にある経路または他の構造と整合するのに効果的な場所に、複数の開口がキャリアの織物に形成されている。開口はどのような寸法のサイズおよび形であってもよいが、各開口は少なくとも1本のストランドを切断し、それにより切断されたストランドによって形成される複数の片持ちばりステム12を残さなければならない(図7参照)。たとえばシリンダヘッドガスケットの場合、大きい開口14は一般に円の形状であり、内燃機関ブロックの燃料室上に位置合わせられるよう適合される。1対の側面の開口16および18は円形ではない形で、大抵は冷媒流路または他の部分上に位置合わせられる。中心から離れた開口20および22はさらなる開口の位置、大きさおよび用途の例を示す。
【0014】
少なくとも1個、好ましくは複数のシーリング要素は、意図されるシーリング用途に適する材料からなる製造品として、別個に形成される。たとえば、再度シリンダヘッドガスケットの場合を想定すると、燃料室用のシーリング要素は非常に高温および高圧を見積る必要があり、高い圧縮荷重に耐えるよう構成されていなければならない。しかし、同じガスケットにある冷却剤通路用のシーリング要素はより低い温度および圧力を見積るが、耐腐食性を考慮しなければならない。したがって、シーリング要素の構造および材料の組成は、意図される用途および環境に対応して変更される。
【0015】
図3を参照して、複数のシーリング要素がキャリア10のそれぞれの開口上に整合されて示される。燃焼シーリング要素24は大きい開口14上に位置付けられ、一般的に円形の構造を有する。燃焼シーリング要素24の所定の厚さはキャリア10の所定の厚さよりも大きく、図示されるようにキャリアの厚さよりも数倍大きい場合もある。
【0016】
燃焼シーリング要素24の外周に保持部が設けられ、キャリア10の開口から突出する片持ちばりステム12と相互作用する。保持部は盛り上がった縁または取手のように多くの形を取り得るが、ここでは簡潔性のためにキャリア10の所定面にあって、シーリング要素24の外周に沿って少なくとも部分的に延在する簡単な溝26が示される。溝26の外径はその底では開口14の内径と非常に近接して対応するような大きさであってもよい。それにより、片持ちばりステム12の先端は押圧したままシーリング要素24を固定した状態で保持する。組立てプロセスを容易にするために、シーリング要素24には面取りされた先端28を設けることができ、これは挿入工程の際にシーリング要素24を開口14の中心に配置し、さらにくさび効果で片持ちばりステム12を均一に変形させる。溝26は図面において一般に谷状の形で形成されているが、非対称的な変形を含んだ他の構成も考えられる。取除く工程を容易にするために、保持部は、シーリング要素をキャリア10から取外すことを可能にする解放面を含む。溝26が開放面として働く場合、その可能にする部分として溝26は丸い底を有し、そこに片持ちばりステムが曲がって円滑に乗ることができる。
【0017】
再度図3を参照して、開口16に挿入するために適合される不規則な形のシーリング要素30を含む、さらなるシーリング要素が示される。不規則なシーリング要素30は冷媒流路、オイル流路、押し棒の周り、または他の構造の周りに流体密封シールを遂行するために位置付けおよび構成され得る。
【0018】
別の不規則的な形のシーリング要素32は特に開口18において係合するために適合されている。シーリング要素32は特定の機能を行なうよう意図された装置を示す。たとえば、装置型シーリング要素32は温度、圧力、応力や他の作動状態を測定するためのモニタを含み得る。検知された状態についての情報を適切なデータ収集装置に転送するために電気リード34が必要かもしれない。代替的に、装置型のシーリング要素32はある機能または状態を制御するためのタイプであってもよい。たとえば、このような装置型シーリング要素32は、封止するべき2つの対向する表面間の液体または気体の流れを選択的に制限または分岐させる弁を含んでもよい。たとえば、冷媒流路における弁はサーモスタットのように機能することができる。別の例では、装置型シーリング要素32は振動に反応して、好ましくない振動を弱めるための可変減衰効果を発揮するかもしれない。他の制御機能も可能である。さらに、装置型シーリング要素32はその主なまたは付帯的機能が封止するべき対向する表面間の負荷を効果的に分散および/または集中させることである負荷分散型のものであってもよい。この場合、装置型シーリング要素32はばね状の特性を有する弾性体であってもよく、または固体の実質的に圧縮できない性質のものであってもよい。どちらの場合でも、このような負荷分散シーリング要素32は封止要件を完成するために、かつノイズ、振動、およびシステムの耳障りな音を制御するために有効である。
【0019】
不規則的なシーリング要素30、装置型シーリング要素32、およびさらなる例示的シーリング装置36および38は、シーリング要素24で説明した溝26と類似した保持部が設けられ、キャリア10との押圧接続を容易にするために、同様に面取りされた端縁28または他の構造を有してもよい。
【0020】
図4は被封止面40上に位置付けられる、本発明の完全に組立てられたガスケットアセンブリを示す。シーリング要素24、30、32、36および38がそれぞれの構造上に位置付けられると、キャリア10は図5に示されるように取除くことができる。これは各シーリング要素24、30、32、36および38を被封止面40上で所定の位置に保持しながら、キャリア10を上昇させる、または引き剥がすことにより行なわれる。シーリング要素はいくつかの方法によって所定の位置に保持できる。たとえば、シーリング要素は上から与えられる圧力によって所定の位置に保持できる、または下からの把持装置によって、または特別に塗布された接着剤または接着性の多目的化合物によって、または被封止面40の構造と噛み合った係合によって、保持できる。キャリア10を取除くステップにより、片持ちばりステム12はそれぞれ溝26との係合が外される。キャリア10は再使用またはリサイクル、さもなければ廃棄することができる。
【0021】
対向する表面(図示されていない)が被封止面40に合わせられると、圧縮荷重は全部シーリング要素によって支えられるので、圧縮荷重は該当する領域のみに集中する。さらに、キャリア10は取外されたので、不必要な重量は取除かれ、さらに対向面間の熱移動および/または冷却が向上する見込みがある。ボルト穴42は被封止面40に形成され、対向面間の固定システムの一部としての一例であり、そこで圧縮荷重を発生および維持することができる。
【0022】
図6では本発明の別の実施例が示され、ここではキャリア10′は被封止面40から取除かれない。キャリア10′は外周に配置されるエラストマー状のエッジバンド44を含み、2つの対向する表面間の封止を確立する。さらにボルト穴42と整合する、トリミングされていない開口46があり、ボルトや他の固定要素のための通路を提供する。エラストマー状のシール44は、隣接する表面間の空間、たとえばシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に異物が出てしまうのを防ぐために必要な場合に特に有効である。しかし、このような外周シール44は内燃機関の排気マニホールドガスケットのような他の用途では必要ないかもしれない。対向する表面の間に固定されたまま残るが、エラストマー状の外周シール44を含まないキャリア10′を定める他のアセンブリの変形もある。しかし、一部の用途では種々のシーリング要素24、30、32、36および38が正確にその場所に留まるよう、キャリア10,10′が所定の位置に残るのが望ましい場合もある。
【0023】
さらに、対向する表面を組立てる前に取除かなければ、キャリア10,10′は圧縮荷重の分散を促進するよう特に設計され得る。キャリア10,10′が織物状のメッシュに形成されているので、そのもたらされる表面領域は従来の太い一体のキャリアよりも小さく、同じ特性を達成するのにより小さなクランプ力で済む場合もある。
【0024】
全体として、図1から図5を再度参照して、2つの対向する表面の少なくとも一方に、封止を遂行するためのタイプの組立てられたガスケットを形成する方法のシーケンスが示される。この方法は、規則的または不規則的に繰返される幾何学的パターンで交差するストランドからなる格子状キャリア10,10′を形成するステップを含む。不規則的な繰返しパターンの場合、すべてのパターンが同じ大きさおよび形で形成される必要はない。なぜなら、用途によってはあるストランドのピッチ間隔が次のものと変化させる必要がある場合もある。次に、開口14−22がキャリア10,10′に形成され、そのサイズは繰返される幾何学的パターンのサイズよりも大きい。シーリング要素24、30、32、36および38は製造品として別個に形成され、その外周に沿って少なくとも部分的に保持部、たとえば溝26を含む。キャリアストランドが保持部と係合するまで、たとえば溝26内に入るまで、シーリング要素はキャリア10,10′内の開口に押込まれる。こうして、ガスケットは別個に製造されたシーリング要素を、キャリア10,10′の本体のどの場所にでも形成することができる開口内に圧入して保持することにより、都合よく組立てられる。
【0025】
開口16−22をキャリア10,10′に形成する場合、個々のストランドは切断されて片持ちばりステム12となり、その先端は開口内に向けられ、シーリング要素が押圧されると弾性的に曲がる。これらの片持ちばりステム12は保持部に留められ、それぞれのシーリング要素を固定的に保持して、これで取付けることができる。取り付け方法は組立てられたガスケットを被封止面40上に位置付けるステップと、シーリング要素24、30、32、36および38を通路または他の構造上に整合させるステップを含む。本発明の一実施例において、キャリア10はシーリング要素から分離され、シーリング要素はそれぞれの構造上に整合されて残る。キャリア10はリサイクル、再使用、または廃棄される。別の実施例では、キャリア10′はシーリング要素が対向面間に固定されて、恒久の固定具として残る。格子状キャリア10,10′を形成するステップはいくつかの方法によって行なうことができ、金属、高分子、もしくはセル状の材料のストランドを織込むことによって、または重なる接合点においてろう付けもしくは接合する他のメッシュ形成技術によって、行なうことができる。
【0026】
シーリング要素32は装置型の構造であってもよく、その方法はさらに動作状態をモニタするステップ、流体の流れを制御するステップ、および/または2つの対向する表面間での圧縮荷重を分散させるステップを含み得る。
【0027】
記載されている方法に従いかつ上記の多様な構造的属性に鑑みて形成されたガスケットアセンブリは、従来のガスケット製造技術における固有の非能率性を持たずに行なうことができるより少量生産を行なう製造環境において特に適合可能である。たとえば、所与のエンジン用のシリンダヘッドガスケットの場合、エンジンの構造に応じて複数のガスケットのタイプ(すなわち、異なる部品数)があるかもしれない。同じ基本的エンジン設計が高出力の任意の構造を有する場合、各シーリング要素の場所は固定したままであるのに対して、大抵はより高い温度または圧力規格の特定のシーリング要素が通常の構造のものと置き換えられることが考えられる。したがって、このガスケットアセンブリのモジュール状の特徴により、シーリング要素は全体の製造操作に影響を与えることなく、交換して置き換えることができる。
【0028】
さらに、本ガスケットアセンブリは、テストおよび再設計のシーケンスが反復的なループで行なわれる場合に、プロダクトのプロトタイプ状況に容易に適用できる。こうして、各設計改訂についての製造時間を減らすことにより、より短い製品開発サイクルをもたらすことができる。
【0029】
本発明のさらなる利点は、シーリング要素が互いに異なる厚さで製造できるその多様性にある。したがって、特定の態様で2つの対向する表面間の荷重を分散または集中させる必要がある場合、幾何学的形状と組合せられるそれぞれのシーリング要素の厚さは、デザインエンジニアにとって可変的な要素として利用できる。
【0030】
格子状キャリア10,10′には、どのような構成のシーリング装置またはシーリング要素にも対応するように開口16−22が切断または他の態様で形成されることができる。メッシュの隣接するストランドのピッチは変えることができ、大きいシーリング要素を保持する場合には大きいメッシュを用い、より小さいコンポーネントに対応するためにはより小さいメッシュのピッチを用いることができる。さらに、より大きいピッチのメッシュキャリア10,10′は、排気マニホールドガスケット用途の場合のように、空気の流路または熱転送を向上させる必要がある用途に適する。織込まれたり、織り合わせられたり、または他の態様で格子状のパターンに固定される特定のストランドは、円形、矩形や他の形を含むどのような断面の構成を有することもできる。キャリア10,10′は特定の用途および具体的な条件の必要に応じて、一時的なものまたは恒久のものであり得る。さらに、従来のガスケットに用いられる太い一体のキャリアと比較して、格子状のキャリア10,10′を用いることにより、製造の際の廃物も著しく減少する。
【0031】
本発明は例示的な態様で記載されており、用語は限定ではなく、記載のために用いられている。上記の教示に照らして、本発明には多くの変形および変更が可能である。したがって、添付の請求の範囲内において、本発明は具体的に記載されたもの以外の態様で実施できる。本発明は請求項によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対向する表面の少なくとも一方に、封止を遂行するために、2つの対向する表面間での圧縮配置用に適合されるタイプの静的ガスケットアセンブリであって、前記ガスケットアセンブリは
2つの対向する表面間に延在する通路と整合するように、少なくとも1つの開口が形成されているシート状キャリアと、
前記キャリアと別に形成された製造品を含むシーリング要素とを備え、前記シーリング要素は前記キャリアの前記開口に動作可能に配置され、さらに
前記キャリアは前記開口および前記シーリング要素が前記キャリア内のどのような場所にも位置付けることができるウェブ構造を含み、それにより前記ガスケットアセンブリはある用途の構造から次の用途の構造に容易に適合可能である、アセンブリ。
【請求項2】
前記ウェブ構造は織込まれたストランドを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ウェブ構造は、繰返される幾何学的パターンで重なるストランドからなるメッシュである、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記メッシュは少なくとも1組の平行ストランドを含み、前記メッシュは前記平行ストランドの組の隣接するストランド間の平均距離によって規定されるピッチを有し、前記ピッチは前記シーリング要素の幅よりも小さく、かつ前記シーリング要素の長さよりも小さい、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記キャリアは所定の厚さを有し、前記シーリング要素は前記キャリアの厚さより大きい所定の厚さを有する、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ストランドは金属ワイヤを含む、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ストランドは高分子材を含む、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ストランドはセル状の材料を含む、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記開口は複数の片持ちばりステムによって囲まれる、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記シーリング要素は前記キャリアの前記片持ちばりステムと相互作用する保持部を含む、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記シーリング要素は外周を有し、前記保持部は前記キャリアの所定面において、かつ前記シーリング要素の外周に沿って、少なくとも部分的に延在する溝を含む、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記保持部は前記シーリング要素を前記キャリアから取外すことを可能にする解放面を含む、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記シーリング要素は
モニタと、
コントローラと、
負荷分散部とからなるグループから選択された装置を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記キャリアは外周を有し、2つの対向する表面間で封止を確立するために、前記外周の周りに配置されるエラストマーを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
2つの対向する表面の少なくとも一方に、封止を遂行するために、2つの対向する表面間での圧縮配置用に適合されるタイプの静的ガスケットアセンブリであって、前記ガスケットアセンブリは
2つの対向する表面間に延在する通路と整合するように、少なくとも1つの開口が形成されているシート状キャリアを備え、前記キャリアはウェブ構造を含み、
前記キャリアと別に形成される製造品を含むシーリング要素を備え、前記シーリング要素は前記キャリアの前記開口に動作可能に係合され、
前記シーリング要素が対向する表面の一方の上に位置付けられた後、分離力に応答して前記シーリング要素を前記開口から自動的に分離する解放可能な保持部を備え、それにより前記シーリング要素を所定位置に残しながら前記キャリアを取外すことを可能にする、アセンブリ。
【請求項16】
前記シーリング要素は外周を有し、前記保持部は前記キャリアの所定面において、かつ前記シーリング要素の外周に沿って少なくとも部分的に延在する溝を含む、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記開口は複数の片持ちばりステムによって囲まれ、前記ステムは前記動作可能に係合した状態で、前記溝および前記シーリング要素と係合する、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記ウェブ構造は織込まれたストランドを含む、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記ウェブ構造は、繰返される幾何学的パターンで重なるストランドからなるメッシュである、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記メッシュは少なくとも1組の平行ストランドを含み、前記メッシュは前記平行ストランドの組の隣接するストランド間の平均距離によって規定されるピッチを有し、前記ピッチは前記シーリング要素の幅よりも小さく、かつ前記シーリング要素の長さよりも小さい、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記ストランドは高分子材を含む、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記ストランドはセル状の材料を含む、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記ストランドは金属ワイヤを含む、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記キャリアは所定の厚さを有し、前記シーリング要素は前記キャリアの厚さより大きい所定の厚さを有する、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記シーリング要素は
モニタと、
コントローラと、
負荷分散部とからなるグループから選択された装置を含む、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項26】
2つの対向する表面間に封止を遂行するタイプの組立てられたガスケットを形成する方法であって、前記方法は
繰返される幾何学的パターンで交差するストランドからなる格子状キャリアを形成するステップと、
繰返される幾何学的パターンのサイズよりも大きいサイズを有する開口をキャリアに形成するステップと、
外周に保持部を有するシーリング要素を形成するステップと、
キャリアストランドが保持部と係合するまで、シーリング要素をキャリアの開口に押圧するステップとを含む、方法。
【請求項27】
組立てられたガスケットを被封止面上に位置付けるステップと、シーリング要素を被封止面の構造上に整合させるステップとをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
シーリング要素が構造上に整合されて残るのに対してキャリアをシーリング要素から分離するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
キャリアをリサイクルするステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記キャリアを形成するステップは、ストランドを織込むステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記シーリング要素を開口に押圧するステップは、キャリアの片持ちばりステムを曲げるステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記シーリング要素で動作状態をモニタするステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記シーリング要素で流体の流れを制御するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
シーリング要素で2つの対向する表面間の圧縮荷重を分散させるステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−47570(P2013−47570A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−233735(P2012−233735)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2008−514708(P2008−514708)の分割
【原出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】