説明

モジュールの締結構造

【課題】モジュールの相手部材への取り付け及び取り外しをワンタッチで行うと共にモジュールの取り付けと同時にコネクタの電気的接続を行うことにより、組み付けの作業性を向上させ、自動組み付けへの対応を可能とする。
【解決手段】相手部材10から延びた軸部材8に対してモジュール1内の締結装置5を締結させ、モジュール1が相手部材10に取り付けられると同時にコネクタ4,14が相互の接続状態となる。締結装置5は、軸部材8が挿入されるケース51と、軸部材8に係合するロック駒52と、ケース51への軸部材8の挿入に伴って軸部材8から退避するようにロック駒52が摺動する摺動面51dと、摺動面51dと対面するように形成されて軸部材8の受け面51eと、軸部材8から退避するようにロック駒52を摺動面51dに沿って移動させて係合解除を行う解除部材53と、ロック駒52を軸部材8との係合方向に付勢するロックばね54とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールを相手部材に締結させて取り付ける操作及び相手部材から取り外す操作の双方をワンタッチで行うことが可能なモジュールの締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションやカーステレオ等のセンタークラスタモジュール(モジュール)は、特許文献1に記載されるように、自動車のインストルメントパネルに取り付けられて使用される。これらのモジュールの車体への取り付けは、車体側のインストルメントパネル等の相手部材にボルトを固定する一方、モジュール側に取付穴を形成し、取付穴内にボルトを挿通した後、ボルトにナットを螺合することにより行われている。
【0003】
この取り付けに際し、モジュールに設けたコネクタと、相手部材に設けたコネクタとの接続は、作業者の手作業によって行われている。例えば、相手部材側のコネクタをコードと共に引き出してモジュール側のコネクタに嵌合して電気的な接続状態とし、その後、上述したボルトへのモジュールの固定を行っている。
【特許文献1】特開2003−205766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモジュールの装着では、コネクタ周りの接続作業を行った後、相手部材へのモジュールの取り付け作業、その後のナットの螺合作業を行っているため、作業工程数が多く、作業効率の悪いものとなっている。また、作業者によるコネクタの接続作業を必要とすると共に、ボルトに対してナットを螺合させる必要があるため、ロボット等による自動組み付けへの対応もできない問題を有している。また、このことは、モジュールを相手部材から取り外す場合も同様であって、取り外しの作業効率が悪いものとなっている。また、ロボット等による自動組み付けへの対応もできないものとなっている。
【0005】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたものであり、インストルメントパネル等の相手部材へのモジュールの取り付け及び取り外しをワンタッチで行うことが可能であると共に、モジュールの取り付けと同時にコネクタの電気的接続も行うことができ、これにより組み付けの作業性を向上させることができ、ロボット等による自動組み付けに対しても良好に対応することが可能なモジュールの締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、相手部材から延びた軸部材に対してモジュールの締結装置を締結させることにより、モジュールが相手部材に取り付けられると同時にモジュールと相手部材とに配置されたコネクタが相互の接続状態となるモジュールの締結構造であって、前記締結装置は、軸部材が挿入されるケースと、ケースの内部に設けられ、ケース内に挿入された軸部材に係合するロック駒と、ケースの内部に設けられ、ケースへの軸部材の挿入に伴って軸部材から退避するようにロック駒が摺動する傾斜面に形成された摺動面と、この摺動面と対面するようにケースの内部に形成されて軸部材を受け止める受け面と、前記ロック駒と連結された状態でケースに設けられており、軸部材から退避するようにロック駒を摺動面に沿って移動させて係合解除を行う解除部材と、ロック駒を軸部材との係合方向に付勢するロックばねとを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のモジュールの締結構造であって、前記軸部材及びケースは、ケースへの軸部材の挿入によってモジュール及び相手部材に配置されたコネクタの調芯を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のモジュールの締結構造であって、前記軸部材の挿入を誘導する漏斗形状の誘導部がケースにおける軸部材の挿入側の端部に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のモジュールの締結構造であって、相手部材へのモジュールの取り付け時にケースに対して反力を作用させる固定用ばねが軸部材とケースとの間に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載のモジュールの締結構造であって、前記解除部材への操作力をロック駒に伝達してロック駒を係合解除方向に移動させるピンを有し、このピンによってロック駒と解除部材とが連結されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載のモジュールの締結構造であって、前記ロック駒は、ケースの内部に1個が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、相手部材の軸部材をケース内に挿入することにより、ロック駒が摺動面上を摺動して軸部材から退避するため、軸部材を円滑にケース内に挿入することができると共に、軸部材の挿入後においては、ロックばねの付勢力によってロック駒が摺動面上を移動して軸部材に係合してロック状態となるため、ワンタッチでモジュールを相手部材に取り付けることができる。しかも、モジュールの取り付けと同時にモジュールのコネクタと相手部材のコネクタとが電気的接続状態となる。これにより、モジュールの取り付け作業性を格段に向上させることができ、ロボット等による自動組み付けにも良好に対応することができる。
【0013】
一方、解除部材への操作によって、軸部材から退避するようにロック駒が摺動面上を移動して係合が解除するため、軸部材からケースを抜き取ってモジュールを相手部材から取り外すことができる。このため、モジュールの取り外しもワンタッチで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図10は、本発明の一実施の形態であり、図1は相手部材とモジュールとの関係を示す断面図、図2及び図3は締結装置を示す説明図、図4及び図5は締結装置のケースを示す説明図、図6及び図7はロック駒の平面図及び断面図、図8は解除部材の説明図、図9は締結作動を説明する断面図、図10はロック解除操作を説明する断面図である。
【0015】
モジュール1は、例えば、カーナビゲーションやカーステレオ等のセンタークラスタモジュールであって、図1に示すように、自動車のインストルメントパネル等の相手部材10に装着されて使用される。
【0016】
図1に示すように、モジュール1は前面部分に操作パネル2が設けられ、後面部分が開口されている樹脂等からなるハウジング3と、ハウジング3内の後側に配置された複数のコネクタ4と、ハウジング3内に取り付けられた締結装置5と、ハウジング内に固定されたフレーム6に取り付けられた樹脂からなる複数のクリップ7とを有している。
【0017】
一方、モジュール1が取り付けられる相手部材10は、モジュール1のハウジング3が前面部分に固定される樹脂からなるパネル11と、パネル11の内部に配置された複数のコネクタ14と、パネル11の内部から外方に突出する軸部材8とを有している。また、クリップ7が嵌め込まれるクリップ穴17がパネル11の対応箇所に形成されている。
【0018】
軸部材8はパネル11を支持する車体シャーシ15に溶接等によって固定された状態でパネル11を貫通している。この軸部材8は、図9に示すように、直線状に延びる本体部8aと、本体部8aの先端部分に同軸的に連設された雄ねじ部8bとによって構成されている。雄ねじ部8bは本体部8aよりも小径となるように形成されるものであり、このように小径とすることにより、後述する締結部材5の挿通穴51cへの軸部材8の挿入を円滑に行うことが可能となっている。
【0019】
相手部材10の複数のコネクタ14及びモジュール1の複数のコネクタ4は、相互に対応するように配置されており、相互に嵌合することによりモジュール1内の回路基板と車体側の回路基板(いずれも図示省略)とが電気的に接続される。この実施の形態では、相手部材10側のコネクタ14が雄コネクタ、モジュール1側のコネクタ4が雌コネクタとなっているが、この逆であっても良く、双方に雄コネクタ及び雌コネクタが混在していても良い。
【0020】
モジュール1に設けられた締結部材5は、図2及び図3に示すように、ケース51と、ケース51側に設けられたロック駒52、解除部材53、ロックばね54と、図1の軸部材8側に設けられた固定用ばね9とを備えている。
【0021】
ケース51は図4及び図5に示すように、パイプ状となっているケース本体51aを有しており、このケース本体51aを直線状の挿通穴51cが軸方向に貫通している。ケース本体51aは、固定用穴51mを有した平板状のブラケット部51bが外面に連設されており、このブラケット部51bをモジュール1のハウジング3にねじ止め等によって固定することにより、締結部材5がモジュール1に取り付けられる。
【0022】
モジュール1への締結部材5の取り付け状態では、挿通穴51cが軸部材8に対応するように位置決めされるものであり、これにより挿通穴51cへの軸部材8の挿入が可能となっている。この場合、挿通穴51cの内径は、軸部材8の本体部8aの外径と略同等か或いは幾分大径となるように作成されており、挿通穴51cへの軸部材8の挿入によって軸部材8に対するモジュール1の位置決めが行われるようになっている。
【0023】
このような軸部材8に対する位置決めにより、モジュール1は相手部材10との位置決め状態で相手部材10に取り付けられる。これにより、相手部材10側のコネクタ14とモジュール1側のコネクタ4との調芯が行われて、これらのコネクタ4,14が円滑に嵌合して電気的な接続状態となることができる。なお、かかる位置決めを高精度且つ確実に行うため、締結部材5はモジュール1の両サイドに少なくとも1個ずつ配置することが好ましい。
【0024】
ケース本体51aにおける軸部材8挿入側の端部には、誘導部51iが形成されている。誘導部51iは、挿通穴51cから軸部材8側に向かって径が漸増する漏斗形状に成形されており、軸部材8を挿通穴51cに挿入する際のガイドとなる。これにより、軸部材8の挿通穴51cへの挿入を円滑に行うことができる。
【0025】
挿通穴51cにおける誘導部51iと反対側の端部は、軸部材8の雄ねじ部8bが挿入されるものであり、このため、雄ねじ部8bと略同径か幾分大径の穴径となっている。かかる端部には、摺動面51dと、受け面51eとが形成される。
【0026】
摺動面51dは、軸部材8の挿入方向(図5における矢印L方向)に沿うと共に、軸部材8の挿入方向に沿って軸部材8から遠ざかる傾斜面に成形されている。この摺動面51dには、後述するロック駒52が摺動するものであり、摺動面51dをこのような傾斜面とすることにより、摺動面51dを摺動するロック駒52が軸部材8から退避する方向及び軸部材8に接近する方向に移動することができる。そして、退避する方向への移動によってロック駒52が軸部材8の雄ねじ部8bと非干渉状態或いは非係合状態となる一方、接近する方向への移動によってロック駒52が軸部材8の雄ねじ部8bと係合するようになっている。
【0027】
受け面51eは摺動面51dと対面するように形成されており、ロック駒52が軸部材8の雄ねじ部8bに係合したとき、雄ねじ部8bにおけるロック駒52の係合側と反対側を受け止めて支承する。この支承によってロック駒52と雄ねじ部8bとが強固に係合することができ、締結装置5と軸部材8とを強固に結合することができる。この場合、受け面51eは雄ねじ部8bの外形と同様な円形面に成形されるものである。
【0028】
図4及び図5において、符号51fはケース本体51aにおける摺動面51dに対応した端部の外面に形成されたガイド溝、符号51gはガイド溝51f形成部分におけるケース本体51aを肉厚方向に貫通するピン摺動穴、符号51hはガイド溝51f形成部分に対応してケース本体51aに形成されたばね受け穴である。ガイド溝51fは、後述する解除部材53を取り付けるための溝であり、ケース本体51aの軸方向と略直交するように形成されている。ピン摺動穴51gは後述するスプリングピン55がスライド可能に挿通するための穴である。このピン摺動穴51gはケース本体51aの摺動面51dの傾斜と平行となるように形成されるものであり、これにより、後述するロック駒52の摺動面51dに沿った摺動が可能となっている。ばね受け穴51hは後述するロックばね54を受け入れるためのものであり、有底穴となっている。
【0029】
ロック駒52は、図6及び図7に示すように、摺動部52aと、雌ねじ部52bと、ピン穴52cとを有した駒形状に成形されている。この実施の形態において、ロック駒52はケース51に対して1個が使用されるものであり、これにより、締結装置5の部品点数が少なくなって簡単な構造となり、軽量化及び小型化することができるばかりでなく、ロック駒52と軸部材8との係合を確実に行うことが可能となっている。
【0030】
ロック駒8の摺動部52aはケース本体51aの摺動面51dと対応するものであり、摺動面51dと同じ傾斜で形成されて摺動面51d上を摺動する。雌ねじ部52bは軸部材8の雄ねじ部8bに噛み込んで係合するものであり、この係合によって軸部材8へのモジュール1の固定が行われる。ピン穴52cは、スプリングピン55が挿通するものであり、ケース本体51aのピン摺動穴51gと連通するように形成されている。
【0031】
解除部材53は、図8に示すように、両側のアーム部53aと、アーム部53aを連設する架橋部53dとを有するコ字形に成形されている。アーム部53aはケース本体51aのガイド溝51f内に嵌め込まれ、嵌め込み状態でガイド溝51fをスライドする。それぞれのアーム部53aには、スプリングピン55が挿通することにより、スプリングピン55の動きを規制する横長の長穴状のピン穴53cが貫通している。架橋部53dの下面には、ロックばね54を受け止めるばね受け突起53bが形成されている。
【0032】
スプリングピン55は、ケース本体51a、解除部材53及びロック駒52に挿通されることにより、これらを組み付けると共にロック駒52と解除部材53とを連結するものである。すなわち、スプリングピン55を解除部材53のピン穴53b→ケース本体51aのピン摺動穴51g→ロック駒52のピン穴52c→ケース本体51aの反対側のピン摺動穴51g→解除部材53の反対側のピン穴53bの順で挿通することにより、これらが組み付けられて一体化する。この組み付け状態において、スプリングピン55は、ロック駒52のピン穴52cによって固定されるものであり、解除部材53のピン穴53b及びケース本体51aのピン摺動穴51gに対してはスライド可能となっている。
【0033】
ロックばね54は、図2及び図3に示すように、解除部材53のばね受け突起53cが挿入された状態でケース本体51aのばね受け穴51hに受け入れることにより組み付けられる。この組み付け状態では、ロックばね54は解除部材53をケース本体51aから離れる方向(矢印M方向)に付勢しており、ロック駒52は解除部材53を介して矢印M方向に移動するように付勢されている。この付勢により、ロック駒52は摺動面51d上を軸部材8の接近方向である矢印N方向に摺動することができる。
【0034】
固定用ばね9は、図9に示すように、軸部材8が挿通されるコイルばねからなっている。固定用ばね9は軸部材8の根元部分に位置しており、ケース51に軸部材8を挿入することによりケース51に押されて撓んで反力を発生する。
【0035】
次に、以上の構造によるモジュール1の相手部材10への取り付け及び取り外しを説明する。
【0036】
図9は、モジュール1の取り付け操作を示すものであり、同図(a)に示すように、ケース51の誘導部51iを軸部材8の先端部分に合わせた状態で、モジュール1を矢印P方向に一気に押し込む。このとき、軸部材8は誘導部51iに誘導されるため、同図(b)に示すように、軸部材8をケース51の挿通穴51cに簡単に挿入することができる。
【0037】
軸部材8の挿通穴51cへの挿入によって雄ねじ部8bがロック駒52に達すると、同図(c)に示すように、ロック駒52が雄ねじ部8bによって押されるため、摺動面51dに沿って雄ねじ部8bから退避する方向(矢印Q方向)に摺動して雄ねじ部8bと係合することがない。このため、軸部材8を挿通穴51cに簡単に挿入することができる。このとき、ケース51は同図(d)に示すように、固定用ばね9を押しながら軸方向(矢印P方向)に移動する。
【0038】
同図(e)は、ケース51を押し込んで軸部材8を完全にケース51に挿入した状態を示す。この状態では、ロック駒52がロックばね54の付勢力によって軸部材8の雄ねじ部8bに噛み込んで係合するため、ケース51軸部材8から外れることがなくなり、モジュール1が相手部材10から外れることがない。このとき、ケース51は固定用ばね9の反力を受けるが、ケース51は軸部材8からの抜け止め状態となっているため、押し込んだ位置から僅かに(最大でも、ねじピッチ分)戻った位置で保持される。これにより、軸部材8に対してモジュール1を確実に締結させることができる。
【0039】
以上のようにして、モジュール1の取り付けをワンタッチで簡単に行うことができる。なお、このようにしてモジュール1を相手部材10に取り付ける際には、クリップ7が相手部材10のクリップ穴17に嵌り込む。このため、モジュール1の固定を安定した状態とすることができる。
【0040】
かかるモジュール1の相手部材10への固定と同時に、モジュール1側のコネクタ4と相手部材10側のコネクタ14との調芯が行われる。このため、これらのコネクタ4,14が円滑に嵌合して電気的な接続状態となる。しかも、この電気的な接続状態は、ケース51と軸部材8との係合を解除しない限り継続するため、安定した接続状態とすることができる。
【0041】
図10は、モジュール1を相手部材10から取り外す操作を示す。モジュール1の固定状態に対し、同図(a)に示すように、解除部材53を矢印R方向に押し込む。この押し込みによってロック駒52がロック駒54の付勢力に抗して摺動面51d上を矢印Q方向に摺動し軸部材8から退避するため、ロック駒52の雌ねじ部52bと軸部材8の雄ねじ部8bとが係合状態から外れる。
【0042】
従って、解除部材53への押し込み状態を維持したままで、同図(b)で示すように、モジュール1を相手部材10から離れる方向(矢印S方向)に移動させて軸部材8からケース51を抜き取ることにより、モジュール1の取り外しを行うことができる。これにより、モジュール1の取り外しをワンタッチで簡単に行うことができる。また、モジュール1の取り外しと同時にコネクタ4,14が嵌合状態から外れるため、コネクタ4,14が電気的接続から解除される。
【0043】
以上の実施の形態では、モジュール1の相手部材10への取り付け及び取り外しをワンタッチで行うことができるばかりでなく、モジュール1の取り付けと同時にモジュール1及び相手部材10のコネクタ4,14が電気的な接続状態となるため、相手部材10へのモジュール1の取り付け作業性を格段に向上させることができ、ロボット等による自動組み付けにも良好に対応することができる。
【0044】
また、モジュール1の固定をロック駒54と軸部材8との係合によって行うため、安定した固定状態とすることができ、不用意にモジュール1が脱落することがなくなる。このため、コネクタ4,14を相互にロックするロック機構を設ける必要がなくなり、コネクタ4,14がセルフフィットコネクタであっても簡単な構造とすることができる。これにより、コネクタ4,14を小型化することができ、余裕スペースを広くすることができ、スペースを利用した多極化も可能となる。
【0045】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々変形が可能である。例えば、軸部材8とロック駒54との係合をねじによる噛み込み以外の構造とすることができ、鋸歯等の円環状の溝を一方に形成し、他方に円環状の溝に係合する係合歯を形成した構造であっても良い。また、ロックばね54や固定用ばね9としては、皿ばね、その他のばねを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態における組み付け状態の断面図である。
【図2】締結装置を示し、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図である。
【図3】図2(a)におけるA−A線断面図である。
【図4】ケースを示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(c)は正面図である。
【図5】図4(a)におけるB−B線断面図である。
【図6】ロック駒の平面図である。
【図7】図6のC−C線断面図である。
【図8】解除部材を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】(a)〜(e)はモジュールの取り付け操作を示す断面図である。
【図10】(a)及び(b)はモジュールの取り外し操作を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 モジュール
3 ハウジング
4 コネクタ
5 締結装置
8 軸部材
8b 雄ねじ部
9 固定用ばね
10 相手部材
11 パネル
14 コネクタ
51 ケース
51c 挿通穴
51d 摺動面
51e 受け面
52 ロック駒
52b 雌ねじ部
53 解除部材
54 ロックばね
55 スプリングピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材から延びた軸部材に対してモジュールの締結装置を締結させることにより、モジュールが相手部材に取り付けられると同時にモジュールと相手部材とに配置されたコネクタが相互の接続状態となるモジュールの締結構造であって、
前記締結装置は、軸部材が挿入されるケースと、ケースの内部に設けられ、ケース内に挿入された軸部材に係合するロック駒と、ケースの内部に設けられ、ケースへの軸部材の挿入に伴って軸部材から退避するようにロック駒が摺動する傾斜面に形成された摺動面と、この摺動面と対面するようにケースの内部に形成されて軸部材を受け止める受け面と、前記ロック駒と連結された状態でケースに設けられており、軸部材から退避するようにロック駒を摺動面に沿って移動させて係合解除を行う解除部材と、ロック駒を軸部材との係合方向に付勢するロックばねとを備えていることを特徴とするモジュールの締結構造。
【請求項2】
前記軸部材及びケースは、ケースへの軸部材の挿入によってモジュール及び相手部材に配置されたコネクタの調芯を行うことを特徴とする請求項1記載のモジュールの締結構造。
【請求項3】
前記軸部材の挿入を誘導する漏斗形状の誘導部がケースにおける軸部材の挿入側の端部に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のモジュールの締結構造。
【請求項4】
相手部材へのモジュールの取り付け時にケースに対して反力を作用させる固定用ばねが軸部材とケースとの間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のモジュールの締結構造。
【請求項5】
前記解除部材への操作力をロック駒に伝達してロック駒を係合解除方向に移動させるピンを有し、このピンによってロック駒と解除部材とが連結されていることを特徴とする請求項1または2記載のモジュールの締結構造。
【請求項6】
前記ロック駒は、ケースの内部に1個が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のモジュールの締結構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−117021(P2006−117021A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304754(P2004−304754)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004640)日本発条株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】