モジュール式で再構成可能な多段型マイクロ反応器カートリッジ装置
モジュール式で再構成可能な多段型マイクロ反応器カートリッジ装置は、マイクロ反応器などの複数のマイクロ流体構成要素を取外し可能に取り付けるためのマニホールドを提供する。マイクロ流体構成要素は、2つの入力/出力端子を有したマイクロ流体構成要素ポートに取り付けられており、マイクロ流体構成要素ポートは、マニホールドの内部の接続を介して他のマイクロ流体構成要素ポートに接続され、マイクロ流体回路を提供している。マイクロ流体構成要素は、マイクロ流体回路差込口、または、2つの入力/出力端子および締結開口を有した装着ブロックと、第1および第2の輸送部分ならびに本体部分を有した流体チューブとを有するカートリッジであることが可能であり、これらの3つの部分は、実質的に平行な平面内に配置され、本体部分は、スプールの周囲にコイル状に巻かれている。コイルは、エポキシ製のプロテクタまたはL形ブラケットによって装着ブロックに接続されている。カートリッジは、それぞれ、第1および第2の輸送ラインに接続された第1および第2の遠隔入力/出力端子を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体による化学反応およびその分析の分野に関する。より詳細には、本発明は、モジュール式で再構成可能な多段型マイクロ反応器カートリッジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体工学は、典型的には1ミクロンから500ミクロンの範囲の高さおよび幅を有したチャネル内で流体を操作するために用いられてきた。流体は、ナノリットルまたはマイクロリットルの容積で移動される。「ラボチップ(Lab−on−a−chip)」技術では、少量の出発原料を消費する一方で非常に高速で化学反応および分析を実施するために、マイクロ流体工学が用いられてきた。様々な化学反応で、高圧および高温などの困難な条件が要求される。マイクロ流体システムでは、小型化された反応器、混合器、および化学反応を小規模で実施するための他の処理要素が使用される。そのようなシステムは、非常に少量で正確な量の化学物質が所望の生成物への到達を成功するのに必要な薬学的または実験的反応などの反応には有用である。さらに、マイクロ流体システムを使用すると、拡散時間および過剰な試薬の必要性が減じられることによって効率が増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクロ流体システムの用途は、一般に広範であるが、マイクロ流体装置は、製造するのが困難であり且つコストを要するために、商業的な成功は遅れており、進展は不十分なものとなっている。マイクロ流体工学におけるもう1つの重大な障害は、マクロスケールからミクロスケールへの境界に対処することである。他の重要な問題には、システムの目詰まり、および適切なマイクロ流体システムの動作を妨げる気泡の集積が挙げられる。このように、マイクロ流体システムに対する低コストな解決策が必要とされている。必然的ではないが、好ましくはそのような解決策により、特定の生成物を生成するのに必要な特殊な回路を設けるなど、マイクロ流体システムおよびマイクロ流体回路を特定の用途の要求に適するように構築する目的で、様々な種類のマイクロ流体構成要素を交換することが容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
少なくとも1つのマイクロ流体構成要素を接続するための少なくとも2つの入力/出力端子を有する少なくとも1つのマイクロ流体構成要素ポートを有するマニホールドと、システム入力およびシステム出力を有する接続ブロックとを有したカートリッジ・システムが開示される。カートリッジ・システムに取外し可能に取り付けられることが可能なマイクロ流体構成要素は、カートリッジとしても知られる毛細管差込口であり、この毛細管差込口は、少なくとも第1および第2の構成要素入力/出力端子ならびに締結開口を有した装着領域と、第1および第2の輸送部分を有した流体チューブと、締結具とを有している。第1の輸送部分は、装着ブロックの第1の構成要素入力/出力端子に接続され、第2の輸送部分は、装着領域の第2の構成要素入力/出力端子に接続されている。第1および第2の輸送部分ならびに本体部分は、好適には、実質的に平行な平面に配置されている。これに代えて、第1および第2の輸送部分は、本体部分が、第1および第2の輸送部分に対して実質的に垂直な平面に配置された状態で、実質的に平行な平面内に配置されることも可能である。
【0005】
カートリッジ・システムは、複数のマイクロ流体構成要素が取外し可能に取り付けられた複数のマイクロ流体構成要素ポートを有することが可能である。マイクロ流体構成要素
のうちの一または複数が、マイクロ流体回路差込口であることが可能であり、また、マイクロ流体構成要素のうちの一または複数が、毛細管差込口またはカートリッジであることが可能である。さらに、入力継手および出力継手は、共通のマニホールド中に、または別々の接続ブロック(たとえば、ブロック32)内に組み込まれることができる。
【0006】
毛細管差込口またはカートリッジの流体チューブは、好適には、マイクロ流体チューブであるが、小口径チューブであることも可能であり、また、ガラスまたはプラスチックで構成されることも可能である。第1の輸送部分は、本体部分に接続されており、この本体部分は、第2の輸送部分に接続されている。好適には、本体部分は、スプールの周囲またはスプールの内部でコイル形状に巻かれている。さらに、カートリッジは、カートリッジがカートリッジ・システムにおいて使用されるときに第1の入力/出力端子および第2の入力/出力端子とカートリッジ・システムのマイクロ流体構成要素ポートとの間に密封をもたらすために、1つもしくは2つのOリングまたは他の高圧シールを第1の入力/出力端子または第2の入力/出力端子に配置することも可能である。
【0007】
これから、本発明の好ましい実施形態が図面を参照してより詳細に記述されるが、同様の参照符号は、幾つかの図面全体に亘って同様のまたは類似の要素を指定している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本開示は、カートリッジ・システムと呼ばれる、モジュール式で再構成可能な多段型マイクロ反応器カートリッジ装置を提供する。マイクロ流体工学に伴う難題の一部には、マイクロ流体反応過程の速度を増加させること、および、マイクロ流体システムに伴う死空間の量を減じることが挙げられる。このカートリッジ・システムは、これらのおよび他の問題に対して、マニホールド・カートリッジに取り付けられた個別のマイクロ流体流通反応器の組立体を使用することによって対処し、迅速で死空間の少ない接続、ならびに種々の工程段階および用途を支援するためのシステムの再構成を可能にしている。このことが達成されるのは、複数の反応器が、カートリッジ・システムにおいて緊密に近接しているからである。マイクロ流体工学に伴う他の問題には、高コストな試薬の損失量を最小化する一方で、不必要な廃棄物および残留物をシステムから除去すること、試薬が使用されるときにシステムに試薬を繰り返し入力する低コストの方法を設計すること、または、不要なマイクロ反応装置を、カートリッジ・システムの新たな用途に必要な種々の装置と交換することが挙げられる。もう1つの問題は、多段型マイクロ流体反応器内の中間生成物への接近手段がないことである。これらの問題は、マイクロ流体過程における様々な時点で反応物を投入する、または生成物を分取することを可能にする、カートリッジ・システムのマニホールド接続を利用することによって解決される。
【0009】
ここで、図1を参照して、カートリッジ・システム10が下から示されている。カートリッジ・システム10のマニホールド20は、マイクロ流体構成要素に対するコネクタとしての使用を含んだ複数の作用をなす。1つの実施形態において、マニホールド20は、2つの比較的大きな表面(つまり、下面22および図2に示す上面34)を含んだ矩形である。複数のマイクロ流体構成要素12が、マニホールド20の下面22に取外し可能に取り付けられることができる。マイクロ流体構成要素12は、一種のカートリッジである毛細管差込口24、26、および28、マイクロ流体工学回路差込口30、ならびに/または接続ブロック32であることが可能である。カートリッジ、毛細管差込口24、26、および28、ならびにマイクロ流体工学回路差込口30は、限定はしないが、試薬を供給すること、および一種の反応器として機能することを含めた多様な作用をなすことができ、複数の試薬を化合させ、且つ、実施されている反応のために必要に応じて熱供給するか、または熱除去することを可能にしている。そのような熱の供給または排出は、毛細管差込口24、26、および28、ならびにマイクロ流体回路差込口30に接続される、またはそれらを囲む外部の熱源によってなされることも可能である。
【0010】
接続ブロック32は、カートリッジ・システム10を外部装置に接続するために使用される複数の端子50、52、54、および56を有している。1つの実施形態において、端子50は、流体または試薬を入力するための入力端子であり、端子52は、廃棄物を構成要素12から遠隔でフラッシングするために、または中間生成物を試験または他の目的で分取するために、カートリッジ・システム10内の或る位置に接続される。端子54は、構成要素12に試薬を遠隔で充填するために、カートリッジ・システム10内の或る別の位置に接続され、端子56は、システムの出力に接続される。端子50、52、54、および56のすべては、他の実施形態においては上記の例と異なって利用されることがある。
【0011】
マニホールド20の上面34が、上方からのカートリッジ・システム10の図である図2に示されている。この図から、マニホールド締結開口36を、マニホールド20の上面34の側部に沿って見ることができる。図示のように、2つのマニホールド締結開口36が、上面34に形成されたそれぞれのマイクロ流体工学構成要素24、26、28に対して設けられている。2つのマニホールド締結開口36は、接続ブロック32に対しても設けられている。マニホールド20の上面34からは、トレース面38が僅かに窪んでいる。トレース面38は、マニホールド20内部の流体接続を表わす複数のノード40、42、44、および46と、トレース48とを有している。トレース線48およびノード40は、マニホールド20内部の接続を使用者に示している。
【0012】
カートリッジ・システム内の様々な位置で、廃棄物(または中間生成物)は、遠隔で放出されることができ、また、試薬供給物は、毛細管差込口24およびマイクロ流体工学差込口30に配置された遠隔入力/出力端子66(図4および図5に示す)を経由して遠隔で再充填されることができる。たとえば、毛細管差込口24に収容された試薬供給物が使用を通じて枯渇した場合、ノード40(図2)は、接続ブロック32と毛細管差込口24の入力/出力端子との間のマニホールド20の内部の接続を表わしている。したがって、新たな試薬供給物が、接続ブロック32を通じて入力されることができる。同様に、マイクロ流体工学回路差込口30が清浄化を必要とした場合、ノード42は、接続ブロック32とマイクロ流体工学回路差込口30の入力/出力端子64(図4)との間の内部接続を表わしている。このように、マニホールド20は、マイクロ流体回路差込口30を通じて溶媒をポンプ移送することによって廃棄物を遠隔で除去するように構成されることができる。図2に示すトレース48ならびにノード40、42、44、および46の構成は、例示を目的として含められたものであり、多数の内部接続構成が、特定の用途に対するカートリッジ・システムの効果を最大にする目的で使用されることが可能であることは理解されるべきである。たとえば、マイクロ流体構成要素が頻繁な再充填を必要とすることが既知である場合は、適した接続で遠隔入力/出力端子またはマニホールドを有するマイクロ流体工学構成要素が使用されるべきである。
【0013】
1つの実施形態において、トレース面38の左側のノード44は、トレース線48によって示されるように、ノード42および46に接続されている。ノード44は、マニホールド20の底面22に取り付けられたブロック32の内部接続を表わしている。このように、上で議論し且つ図1に示したポート54などの接続ブロック32上のポートは、トレース線48でノード42および46に接続されたノード44によって表わされることができる。この実施形態において、ノード44、42、および46は、接続ブロック32のポート54への接続を表わしている。ノード42および44は、それぞれ、マイクロ流体回路差込口30および毛細管差込口28に接続されている。したがって、1つの試薬供給物が、ノード42および46によって表わされるような、マニホールド20に固定された複数の流体構成要素12(この例では構成要素30および28)に同時に再充填されることができる。
【0014】
図3は、カートリッジ・システム10の模式図である。この図の目的は、様々な流体構成要素12がマニホールド20に取り付けられるときの、それらの流体構成要素12間の関係を、マニホールド20の内部に形成された流体接続60を示すことによって説明することである。マニホールド20は、図の上部で矩形で表わされている。カートリッジ・システム10の入力51および53は、マニホールド20の左側に矢印で示されている。入力51は、接続ブロックの端子50、52、54、または56(図1)であることが可能である。同様に、入力53は、接続ブロックの端子50、52、54、または56であることが可能である。1つの実施形態において、入力51および53は、同じ接続ブロック端子50、52、54、または56(図1)である。入力51および53は、流体合流部55で交差しており、この流体合流部55は、さらに、マニホールド端子11で毛細管差込口24に接続されている。典型的な使用法において、入力51および53からの流体は、それらの合流部で結合し、毛細管差込口24の中に流れ、この毛細管差込口24で、通常、これらの流体は反応する。
【0015】
毛細管差込口24は、マニホールド端子13で流体合流部57に接続されており、また、流体合流部57は、入力/出力41に、そしてマニホールド端子14で毛細管差込口26に接続されている。1つの実施形態において、流体合流部57は、該流体合流部57に入るかまたは流体合流部57から出る流体流れを通流させるかまたは阻止するスイッチ49を有することが可能である。入力/出力41は、接続ブロック端子50、52、54、または56(図1)であることが可能である。毛細管差込口26は、マニホールド端子15で流体合流部59に接続されており、さらに、流体合流部59は、流体合流部59に入るかまたは流体合流部59から出る流体流れを通流させるかまたは阻止するスイッチ49を有することが可能である。流体合流部59は、入力/出力43に、また、マニホールド端子16でマイクロ流体回路差込口30に接続されている。同様に、マイクロ流体回路差込口30は、マニホールド端子17で流体合流部61に接続されている。該流体合流部61は、流体合流部61に入るかまたは流体合流部61から出る流体流れを通流させるかまたは阻止するスイッチ49を有することが可能であり、流体合流部61は、入力/出力45に、また、マニホールド端子18で毛細管差込口28に接続されている。毛細管差込口28は、マニホールド端子19で出力47に接続されている。出力47は、接続ブロック端子50、52、54、または56(図1)であることが可能である。他の実施形態において、流体構成要素12は、様々な組合せで、且つ、図3に示す順序とは異なる順序で配置されることができる。たとえば、2つの毛細管差込口24および26、ならびに2つのマイクロ流体回路差込口30が使用されることができる。マニホールド端子11、13、14、15、16、17、18、および19は、構成要素12の構成要素入力/出力端子64(図4および図5)がカートリッジ・システム10に接続されると、構成要素12に接続される。マニホールド端子から入力/出力端子への接続により、カートリッジ・システム10から構成要素12への、および/または、構成要素12からカートリッジ・システム10への流体の流れが可能となる。スイッチ49は、所望により除かれてもよく、また、流体流れは、入力に取り付けられた装置のポンプによって制御されることも可能である。たとえば、合流部55を考えることにする。流体が、入力51にポンプ移送され、静圧が入力53において維持される場合、合流部55は、ほぼスイッチのように機能する。入力51からの流体のみが、毛細管差込口24に移り、入力部53は、スイッチを必要とすることなく、機能的に「スイッチ切り」される。
【0016】
入力/出力41、43、および45は、試薬入力として利用されることも可能である。たとえば、入力/出力41、43、および45は、すべて、接続ブロック端子54(図1)で接続されることも可能である。入力51および53は、それぞれ、接続ブロック端子50および52(図1)であることが可能である。さらに、出力47は、接続ブロック端子56(図1)であることが可能である。そのような実施形態においては、2つの別個の
試薬が、それぞれ、接続ブロック端子50および52(図1)を通じて入力51および53に供給されることができ、第3の別個の試薬が、接続ブロック端子54(図1)を通じて入力/出力41、43、および45に供給されることができ、システムの出力56が、接続ブロック端子56(図1)を通じて受けられることができる。
【0017】
他の実施形態において、流体合流部57、59、および61内のスイッチ49は、システムから生成物を、出力47に進む前に遠隔で受ける目的で操作されることも可能である。たとえば、流体合流部61のスイッチ49は、毛細管差込口28との接続が阻害されるように操作されることも可能である。入力/出力45は、接続ブロック端子56(図1)であることが可能であり、この接続ブロック端子56を通じて生成物が受けられることが可能である。多数のスイッチ構成の組合せおよび入力/出力シナリオが、かかるカートリッジ・システム10で可能となることが理解されるべきである。また、流体の流れは、ポンプを使用して、入力および出力に正圧もしくは負圧を生じるか、または入力もしくは出力における一定体積を維持することによって、スイッチなしに合流部57、59、および61を通じて制御されることも可能である。ここで使用されるように、用語「スイッチ」は、小口径弁またはマイクロ流体弁、ならびにその弁を作動させ且つ制御するために利用される機構を参照している。さらに、カートリッジ・システムを通じた流体流れは、いずれの方向に進んでもよく、つまり、出力47は、システム入力用に試薬を受けてもよく、また、入力51および53は、生成物を供給してもよい。
【0018】
また、様々な入力/出力が、洗浄のために特定の構成要素12を溶剤で遠隔でフラッシングするように構成されることも可能である。そのような遠隔での洗浄は、該当する流体合流部57、59、および61内の必要なスイッチ49を操作することでなされることも可能である。模式的に示されているように、差込口24などの毛細管差込口の各々には、冷却源77または加熱源78が設けられることが可能である。差込口24における反応中に、差込口および反応物は、所望により、加熱または冷却されることも可能である。接続ブロック端子50、52、54、56(図1)の数、入力/出力41、43、および45の数、ならびに構成要素12の数および性質は、カートリッジ・システム10の様々な実施形態において、増加、減少、または変更されることが可能である。図3は、カートリッジ・システム10の特定の実施形態のみを表わすものであり、例示の目的を意図したものである。
【0019】
接続ブロック端子50、52、54、または56であることに加えて、入力/出力41、43、および45は、図4のマイクロ流体回路差込口および図5の毛細管差込口上に示されているような遠隔入力/出力であることが可能である。さらに、入力/出力41、43、および45は、マニホールド20のトレース面(図2に示す)38上のノード40、42、44、および/または46によって表わされることも可能である。また、入力/出力41、43、および45は、構成要素12上の遠隔入力/出力66と接続ブロック端子50、52、54、または56との双方であることが可能である。そのような構成、または他の実施形態の構成が、カートリッジ・システムのトレース面38上に、トレース48ならびにノード40、42、44、および46などのトレースおよびノードによって表わされる。或る出力からの流体は、典型的には、次の段への入力(たとえば、次の毛細管差込口)となるように接続されることが理解されるであろう。
【0020】
図4は、マイクロ流体回路差込口30の模式図である。殆どのエッチングされたガラス製のマイクロ流体装置は、図4に示す毛細管差込口30と類似するように構成されている。不都合にも、シリコン薄膜のエッチングと類似した処理が、マイクロ流体回路差込口30のカートリッジ65内に含められるガラス製のマイクロ流体回路を施すために用いられるので、平坦な設計は、非常にコストを要する。この図は、マイクロ流体回路差込口30をカートリッジ・システム10のマニホールド20に取り付けるために使用される2つの
構成要素締結開口62を示している。構成要素締結開口62は、ネジまたは他の種類の締結具に適応するように設計されることも可能である。マニホールド締結開口36は、マニホールド20への複数のマイクロ流体構成要素12の取付けに適応するように離間されている。任意のマイクロ流体構成要素12を全体的に参照して、マニホールド20への取付けは、1つの実施形態において、図1および図2に示すように、構成要素装置12の構成要素締結開口62をマニホールド20のマニホールド締結開口36と位置合わせすることによって達成される。次いで、構成要素12は、マニホールド20に、ネジ、ペグ、または他の締結具に固定されることができる。
【0021】
図3を参照して、マイクロ流体回路差込口30がカートリッジ・システム10のマニホールド20に取り付けられると、構成要素入力/出力端子64は、マニホールド20の下面22のポートと整列し、且つ、それらのポートと密封をなさなければならない。回路入力/出力端子64は、カートリッジ・システム10を通過する流体が、マイクロ流体回路差込口30に入るための、ならびにマイクロ流体回路差込口30から出るための、入力および出力を提供する。遠隔入力/出力66は、マイクロ流体回路差込口30の基部68の構成要素入力/出力端子64および構成要素締結開口62に対して垂直である。構成要素入力/出力端子64は、その端子が存在する構成要素の種類に拘わらず、同じ作用をなす。それらは、カートリッジ・システム10のマニホールド20の下面22上のポートと、マイクロ流体構成要素12内の回路との間の接続をもたらしている。
【0022】
構成要素流体回路は、マイクロ流体回路差込口30の構成要素流体回路など、エッチングされたカートリッジをベースとするガラス製回路からなっていてもよく、また、毛細管差込口24のスプールなど、毛細管チューブのスプールからなっていてもよい。構成要素入力/出力端子64は、基部の表面から窪んでおり、そのため、環状のOリング94(図6および図7)などの密封装置が、構成要素12の基部68とマニホールド20の下側のポートとの間の端子64の内部に配置されることができる。遠隔入力/出力66は、鉛直の円筒開口として示されており、構成要素入力/出力端子64と同じ位置でマイクロ流体回路に接続される。遠隔入力/出力端子66は、流体T形合流部の作用をなし、この流体T形合流部は、流体が複数の供給源から、この場合は構成要素端子64および遠隔端子66から入力され得る流体回路における合流部である。実施形態において、各構成要素端子64および遠隔入力/出力66は、該構成要素端子64および/または遠隔入力/出力66中への、またはそれらの外への流れを通流させるかまたは阻止するための、対応するスイッチ67を有している。遠隔入力/出力66は、洗浄液でフラッシングすることによって、個々のマイクロ流体構成要素12を遠隔で清浄化することができるため、さらなる使用法をもたらしており、この場合、一方の遠隔入力/出力66が溶剤または他の清浄液のための入力として使用され、もう一方の遠隔入力/出力66が出力として使用される。そのような場合、スイッチ49(図3)は、構成要素端子64からの流れは阻止するが、一方の遠隔入力/出力66に入る流れ、およびもう一方の遠隔入力/出力66から出る流れは通すように構成される。
【0023】
ここで図5を参照して、毛細管差込口24、26、または28の図がより詳細に示されている。毛細管差込口は、流体反応器としての作用をなし、高速な化学作用および迅速で且つ低コストの生成を促進することができる。しかしながら、毛細管差込口は、試薬を供給する作用をなすことも可能である。機械加工されたマニホールド・カートリッジ114(図10〜図12に示す)のコイルなどの水平に巻かれたコイルの入力および出力は、流体チューブのコイルまたは本体部分によって占められる実質的に平行な平面に対して垂直な平面内に配置されなければならない。したがって、少なくとも2つの湾曲部が、水平に巻かれたコイル内に存在しなければならず、1つは、コイルの入力の前の前端であり、もう1つは、コイルの出力の前の後端である。
【0024】
図5に示した垂直な毛細管差込口について説明すると、毛細管差込口24の装着ブロック70は、該装着ブロック70の全体を貫く複数の円筒開口を有している。構成要素締結開口62、装着開口72、および構成要素入力/出力端子64は、毛細管差込口24の装着ブロック70の全体を貫く垂直な穴として描かれている。構成要素締結開口62は、マイクロ流体回路差込口30の構成要素締結開口62と類似した作用をなす。つまり、それらは、ネジ、ペグ、または他の締結具などの締結具と結合されるときに、構成要素12をカートリッジ・システム10のマニホールド20に接続する。
【0025】
構成要素入力/出力端子64は、たとえば、環状のOリング94(図6および図7に示す)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはテフロン(登録商標)製の圧縮シール98(図6、図7、および図9に示す)(もしくは他の材料でできたシール)または環状のOリング94と圧縮シール98(図6および図7に示す)との双方の組合せなどの密封装置を、流体チューブの輸送部分74および75とカートリッジ・システム10のマニホールド20のマイクロ流体構成要素ポート134(図11)との接続部の周囲に配置することを可能にする。流体チューブの輸送部分74および75は、流体チューブのコイル82に接続され、好ましくは、構成要素入力/出力端子64から本体部分、好ましくはコイル82に流体を輸送するために使用されるチューブの長さである。流体チューブは、種々の実施形態において、ガラス、プラスチック、または他の材料からなる。さらに、流体チューブは、1つの実施形態において、約1ミクロンから約2500ミクロンの内径を有する小口径チューブであるが、他の形の流体チューブが使用されることも可能である。好ましくは、流体チューブは、マイクロ流体チューブであり、これは、約1ミクロンから約500ミクロンの内径を有する細口径チューブである。
【0026】
好ましい実施形態において、流体チューブの本体部分、好ましくはコイル82は、流通反応器を形成するのに十分な長さのものである。そのような流通反応器は、複数の化学物質を反応させること、および反応熱または外部熱をそのような反応に作用させることを含む様々な作用が可能である。流体チューブに接続された、該流体チューブを実質的に囲むかまたは流体チューブの近傍に配置された外部装置によって、熱が加えられるかまたは除去されることも可能である。たとえば、熱伝達装置が、スプールを通じて流体チューブの本体部分またはコイル78に熱を伝達する目的で、スプール78に(または外部スプールに)接続されることも可能である。本体部分またはコイル82の各端部は、流体チューブの輸送部分74および75に接続され、それらの輸送部分は、毛細管差込口24の装着ブロック70を通過し、構成要素入力/出力端子64に接続されている。コイル82は、好ましくは、ガーデン・ホースがホルダ上に保たれることが可能な方式と同様にスプール78の周囲に巻かれている。しかしながら、他の実施形態において、コイル82は、何かの周囲に巻かれる必要はないが、むしろ、エポキシ製のプロテクタ92またはエポキシ製の充填剤92(図7に示す)によって支持されることも可能である。そのような場合、プロテクタ92は、スプールと見なされる。他の実施形態において、スプールは、コイル82の外部にあっても、さらにはコイル82の側方にあってもよい。スプール78およびコイル82は、スプール78の全体に亘って位置した円筒開口を有している。1つの実施形態においては、L形ブラケット76が、該L形ブラケット76の片側がスプール82の外側の溝84の中にスライドし、ネジ、ペグ、またはスプールの孔80を貫く他の締結具によって取り付けられることが可能なように形成されている。L形ブラケット76の反対側は、L形ブラケット76の孔88が装着ブロック70の装着開口72と対応し、ネジ、ペグ、または他の締結具によって取り付けられることが可能なように、毛細管差込口24の装着ブロック70の下側の溝86の中にスライドする。
【0027】
毛細管差込口24の装着ブロック70の側部に配置された遠隔入力/出力端子66は、構成要素入力/出力端子64に対して垂直に位置している。遠隔入力/出力66は、マイクロ流体回路差込口30上のものと同じ機能をなし、その機能は、流体T形合流部の機能
であり、その流体T形合流部は、上述のように、流体が、複数の供給源または入力から入力され、および/または遠隔での洗浄を目的として出力されることができる流体回路内の合流部である。遠隔入力/出力66が、入力として使用される場合、流体の2つの供給源は、構成要素入力/出力端子64および遠隔入力/出力66からのものであることが可能である。遠隔端子66は、さらに、個々のマイクロ流体構成要素を清浄液で遠隔でフラッシングする方策をもたらし、また、上述のように、構成要素端子64は、構成要素12がカートリッジ・システム10に接続されているとき、カートリッジ・システムへの入力および出力として作用する。
【0028】
図6(つまり、毛細管差込口24の側面図)を参照して、図7の断面図が取られた平面が破線90で示されている。図6および図7は、毛細管差込口24の別の実施形態を示しており、この実施形態は、遠隔入力/出力端子64を、図5の実施形態で示されるような流体T形合流部の一部として利用していない。また、図6および図7の実施形態は、コイル82、スプール78、ならびに流体チューブの輸送部分74および75を毛細管差込口24の装着ブロック70に固定するために、L形ブラケット76とは対照的に、エポキシ製のプロテクタまたは充填剤92を利用している。エポキシ製のプロテクタ92を使用することで、エポキシ製のプロテクタ92が使用されない実施形態においては露出されることがある、場合によっては破損することがある流体チューブが、保護されるという利点がもたらされる。さらに、エポキシ製のプロテクタ92は、流体チューブのコイル82がスプール78の周囲に巻かれない実施形態ではますます有利となる。
【0029】
加えて、図6の実施形態は、毛細管チューブの流体チューブの輸送部分74および75を囲むチューブ・スリーブ96を利用している。チューブ・スリーブ96の目的は、流体チューブの輸送部分74および75を保護すること、ならびに、マニホールド20の下面22上で装着ブロック70とマイクロ流体構成要素ポート134(図11)との間に密封を生じさせるのを支援することである。この密封は、毛細管差込口24が、マイクロ流体構成要素ポート134のマニホールド入力/出力端子136(図11)と嵌合するときになされる。Oリング94は、押し下げられて、フレアレス管継手98を圧縮する。フレアレス管継手98は、Oリング94上に圧力を与え、それによって密封をなす。他の実施形態において、密封は、フレアレス管継手98を用いることなくOリング94によって、または、Oリング94を用いることなくフレアレス管継手98によってなされることも可能である。さらに、この実施形態は、1つの取付機構のみを提供しており、装着開口72を装着ブロック70の中央に配置しているが、他の実施形態は、複数の装着開口および締結具を使用することもできる。
【0030】
図8は、カートリッジ・システム10の別の実施形態を示している。流体連結ブロック102に接続された一群の4つの毛細管差込口24の側面図が示されており、この流体連結ブロック102は、チューブ・コネクタ・ブロック104に接続されている。流体連結ブロック102は、マニホールド20(図1)の1つの実施形態であり、つまり、マニホールド20は、流体連結ブロック102であることが可能である。図8の実施形態は、複数の構成要素装置を有するカートリッジ・システム10であり、それらの構成要素装置は、毛細管差込口24である。断面線9−9は、図9に示す断面を規定している。図9に示すように、流体連結ブロック102は、2つの入力端子108と、1つの遠隔出力端子110とからなる流体交差合流部106を有しており、この流体交差合流部106は、毛細管差込口24の流体チューブの輸送部分74または75の一方に接続される。流体交差合流部106は、入力端子108を通じて2つの入力流体を結合すること、ならびに、遠隔出力端子110を通じて毛細管差込口24を遠隔で清浄化することを可能にしている。流体連結ブロック102は、また、チューブ・コネクタ・ブロック104に接続されており、このチューブ・コネクタ・ブロック104は、流体システムを他の構成要素12、他のカートリッジ・システム10、または図示しない外部システムに接続する状況をもたらし
ている。
【0031】
図10を参照して、図8および図9に示すカートリッジ・システム10の実施形態が、前面から除去した断面9−9(図8)と共に示されている。上で議論したように、毛細管差込口24は、流体連結ブロック102と、その下面22上で係合してる。さらに、複数のチューブ・コネクタ・ブロック104が、流体連結ブロック102と、その上面34上で係合している。毛細管差込口は、流体連結ブロック102およびチューブ・コネクタ・ブロック104に締結具101によって取り付けられている。この実施形態において、チューブは、差込口24が、チューブのコストの外部に且つチューブのコストの側方にあるスプールと見なされることが可能なように、差込口24の内部で巻かれている。
【0032】
図11を参照して、マニホールド20(図1)の1つの実施形態である流体連結ブロック102が示されている。毛細管差込口24およびチューブ・コネクタ・ブロック104は、図10に関連して議論したように、締結具101によって流体連結ブロック102に取り付けられる。締結具101は、締結開口103において流体連結ブロック102を貫通する。コネクタ・ブロック・ポート105が、流体連結ブロック102の上面34上に示されている。これらのポートは、流体コネクタ・ブロック・スルーウェイ136によって、流体連結ブロック102の下面22上のマイクロ流体構成要素ポート134に接続されている。
【0033】
この実施形態において、入力端子108(図9)は存在しないが、むしろ、端子110、111、および113が、流体の入力または出力のいずれかの作用をなすことが可能である。また、端子110は、流体T形合流部128でコネクタ・ブロック・スルーウェイ136の一部に接続されて、遠隔でシステムを充填するかまたはフラッシングする状況をもたらしている。また、流体連結ブロック102の上面34は、下面22と類似しており、したがって、他の実施形態においては、上面34および下面22は、相互置換可能であることを注記しておく。結果として、幾つかの実施形態において、コネクタ・ブロック・ポート105は、マイクロ流体構成要素ポート134と相互置換可能である。
【0034】
ここで、図12を参照して、カートリッジ・システム10の別の実施形態が示されている。幾つかの機械加工されたマニホールド・カートリッジ114は、保持ブロック116に装着されている。図13は、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114の拡大図である。好ましい実施形態において、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114は、プラスチックで構成されており、2つの入力ポート118および120(つまり、1つは試薬用118であり、1つは第2の試薬用120である)と、内蔵型の流体合流部(119で模式的に示す)と、水平に巻かれた毛細管チューブのコイル(破線121で模式的に示す)と、出力122とを含んでいる。図12の保持ブロック116は、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114に対する装着ステーションとして作用する。しかしながら、内部の流体回路などのマニホールドの機能は、好ましい実施形態において、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114内に封じ込められるため、保持ブロック116は、図1および図11に示すマニホールド20と同じ目的を果たすものではない。この実施形態において、保持ブロック116は、流体回路に能動的に寄与するものとしてよりも、むしろ、機械加工されたマニホールド・カートリッジに対するアンカーとして作用する。また、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114は、複数のチューブ貫通孔124を含んでおり、その結果、毛細管チューブおよびより太い入力/出力線が、カートリッジを通じて容易に配線されることができる。
【0035】
上で詳述した幾つかの実施形態は、モジュール式で再構成可能な多段型マイクロ反応器カートリッジ装置およびその多数の使用法を示している。ここで記述されるカートリッジ・システム10およびマイクロ流体構成要素12は、最大で約300℃の高温、および最
大で約5000ポンド毎平方インチ(約34475kPa)の高圧に耐えることが可能である。そのような能力により、マイクロカートリッジ・システム10および構成要素12は、他の反応機構では不可能な極限条件での反応に使用されることができる。さらに、マイクロ流体工学に伴う他の難題には、マイクロ流体反応過程の速度を増加させること、および、マイクロ流体システムに伴う死空間の量を減じることが挙げられる。このカートリッジ・システムの設計は、様々な実施形態を通じてこれらの問題に対処するものであり、それらの実施形態の1つは、マニホールドに取り付けられた個々の流通反応器の組立体を利用して、迅速で死空間の少ない接続を可能にする。また、様々な実施形態が、遠隔での廃棄物の除去および試薬の入力を実現する。さらに、毛細管差込口反応器に見られる、鉛直の巻き付けにより、低コストで故障の少ないカートリッジ・システム用の反応器が提供される。
【0036】
この発明に対する好ましい実施形態についての先の記述は、図示および記述の目的で与えられている。本発明は、開示される正確な形態を包括する、または、開示される正確な形態に限定されることを意図するものではない。明白な修正または変形が上記の教示の観点から可能である。本実施形態は、本発明の原理およびその現実的な用途の最良の例示を提供するように図って選択および記述されており、したがって、当業者が、特定の予期される使用に適した様々な実施形態で且つ様々な修正をもって本発明を利用することが可能である。すべてのそのような修正および変形は、それらが適正に、法的に、および公正に権利を与えられる範囲に応じて解釈される場合には、添付の特許請求の範囲によって判断されるような本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】接続ブロックと、第1のカートリッジと、第2のカートリッジと、マイクロ流体回路差込口と、第3のカートリッジとを有したカートリッジ・システムの構成要素のポート側の図。
【図2】接続ブロックと、3つの毛細管差込口と、マイクロ流体回路差込口とを有するカートリッジ・システムの上面図。
【図3】本システムの内部接続を示すカートリッジ・システムの模式図。
【図4】マイクロ流体回路差込口の図。
【図5】毛細管差込口の図。
【図6】毛細管差込口の側面図。
【図7】毛細管差込口の断面図。
【図8】4つの毛細管差込口を備えたカートリッジ・システムの側面図。
【図9】図8のカートリッジ・システムおよび毛細管差込口の断面図。
【図10】流体干渉ブロックおよび幾つかの毛細管差込口を備えた図8および図9のカートリッジ・システム。
【図11】流体干渉ブロックの図。
【図12】保持ブロックおよび3つの機械加工されたマニホールド・カートリッジを有したカートリッジ・システム。
【図13】機械加工されたマニホールド・カートリッジの拡大図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体による化学反応およびその分析の分野に関する。より詳細には、本発明は、モジュール式で再構成可能な多段型マイクロ反応器カートリッジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体工学は、典型的には1ミクロンから500ミクロンの範囲の高さおよび幅を有したチャネル内で流体を操作するために用いられてきた。流体は、ナノリットルまたはマイクロリットルの容積で移動される。「ラボチップ(Lab−on−a−chip)」技術では、少量の出発原料を消費する一方で非常に高速で化学反応および分析を実施するために、マイクロ流体工学が用いられてきた。様々な化学反応で、高圧および高温などの困難な条件が要求される。マイクロ流体システムでは、小型化された反応器、混合器、および化学反応を小規模で実施するための他の処理要素が使用される。そのようなシステムは、非常に少量で正確な量の化学物質が所望の生成物への到達を成功するのに必要な薬学的または実験的反応などの反応には有用である。さらに、マイクロ流体システムを使用すると、拡散時間および過剰な試薬の必要性が減じられることによって効率が増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクロ流体システムの用途は、一般に広範であるが、マイクロ流体装置は、製造するのが困難であり且つコストを要するために、商業的な成功は遅れており、進展は不十分なものとなっている。マイクロ流体工学におけるもう1つの重大な障害は、マクロスケールからミクロスケールへの境界に対処することである。他の重要な問題には、システムの目詰まり、および適切なマイクロ流体システムの動作を妨げる気泡の集積が挙げられる。このように、マイクロ流体システムに対する低コストな解決策が必要とされている。必然的ではないが、好ましくはそのような解決策により、特定の生成物を生成するのに必要な特殊な回路を設けるなど、マイクロ流体システムおよびマイクロ流体回路を特定の用途の要求に適するように構築する目的で、様々な種類のマイクロ流体構成要素を交換することが容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
少なくとも1つのマイクロ流体構成要素を接続するための少なくとも2つの入力/出力端子を有する少なくとも1つのマイクロ流体構成要素ポートを有するマニホールドと、システム入力およびシステム出力を有する接続ブロックとを有したカートリッジ・システムが開示される。カートリッジ・システムに取外し可能に取り付けられることが可能なマイクロ流体構成要素は、カートリッジとしても知られる毛細管差込口であり、この毛細管差込口は、少なくとも第1および第2の構成要素入力/出力端子ならびに締結開口を有した装着領域と、第1および第2の輸送部分を有した流体チューブと、締結具とを有している。第1の輸送部分は、装着ブロックの第1の構成要素入力/出力端子に接続され、第2の輸送部分は、装着領域の第2の構成要素入力/出力端子に接続されている。第1および第2の輸送部分ならびに本体部分は、好適には、実質的に平行な平面に配置されている。これに代えて、第1および第2の輸送部分は、本体部分が、第1および第2の輸送部分に対して実質的に垂直な平面に配置された状態で、実質的に平行な平面内に配置されることも可能である。
【0005】
カートリッジ・システムは、複数のマイクロ流体構成要素が取外し可能に取り付けられた複数のマイクロ流体構成要素ポートを有することが可能である。マイクロ流体構成要素
のうちの一または複数が、マイクロ流体回路差込口であることが可能であり、また、マイクロ流体構成要素のうちの一または複数が、毛細管差込口またはカートリッジであることが可能である。さらに、入力継手および出力継手は、共通のマニホールド中に、または別々の接続ブロック(たとえば、ブロック32)内に組み込まれることができる。
【0006】
毛細管差込口またはカートリッジの流体チューブは、好適には、マイクロ流体チューブであるが、小口径チューブであることも可能であり、また、ガラスまたはプラスチックで構成されることも可能である。第1の輸送部分は、本体部分に接続されており、この本体部分は、第2の輸送部分に接続されている。好適には、本体部分は、スプールの周囲またはスプールの内部でコイル形状に巻かれている。さらに、カートリッジは、カートリッジがカートリッジ・システムにおいて使用されるときに第1の入力/出力端子および第2の入力/出力端子とカートリッジ・システムのマイクロ流体構成要素ポートとの間に密封をもたらすために、1つもしくは2つのOリングまたは他の高圧シールを第1の入力/出力端子または第2の入力/出力端子に配置することも可能である。
【0007】
これから、本発明の好ましい実施形態が図面を参照してより詳細に記述されるが、同様の参照符号は、幾つかの図面全体に亘って同様のまたは類似の要素を指定している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本開示は、カートリッジ・システムと呼ばれる、モジュール式で再構成可能な多段型マイクロ反応器カートリッジ装置を提供する。マイクロ流体工学に伴う難題の一部には、マイクロ流体反応過程の速度を増加させること、および、マイクロ流体システムに伴う死空間の量を減じることが挙げられる。このカートリッジ・システムは、これらのおよび他の問題に対して、マニホールド・カートリッジに取り付けられた個別のマイクロ流体流通反応器の組立体を使用することによって対処し、迅速で死空間の少ない接続、ならびに種々の工程段階および用途を支援するためのシステムの再構成を可能にしている。このことが達成されるのは、複数の反応器が、カートリッジ・システムにおいて緊密に近接しているからである。マイクロ流体工学に伴う他の問題には、高コストな試薬の損失量を最小化する一方で、不必要な廃棄物および残留物をシステムから除去すること、試薬が使用されるときにシステムに試薬を繰り返し入力する低コストの方法を設計すること、または、不要なマイクロ反応装置を、カートリッジ・システムの新たな用途に必要な種々の装置と交換することが挙げられる。もう1つの問題は、多段型マイクロ流体反応器内の中間生成物への接近手段がないことである。これらの問題は、マイクロ流体過程における様々な時点で反応物を投入する、または生成物を分取することを可能にする、カートリッジ・システムのマニホールド接続を利用することによって解決される。
【0009】
ここで、図1を参照して、カートリッジ・システム10が下から示されている。カートリッジ・システム10のマニホールド20は、マイクロ流体構成要素に対するコネクタとしての使用を含んだ複数の作用をなす。1つの実施形態において、マニホールド20は、2つの比較的大きな表面(つまり、下面22および図2に示す上面34)を含んだ矩形である。複数のマイクロ流体構成要素12が、マニホールド20の下面22に取外し可能に取り付けられることができる。マイクロ流体構成要素12は、一種のカートリッジである毛細管差込口24、26、および28、マイクロ流体工学回路差込口30、ならびに/または接続ブロック32であることが可能である。カートリッジ、毛細管差込口24、26、および28、ならびにマイクロ流体工学回路差込口30は、限定はしないが、試薬を供給すること、および一種の反応器として機能することを含めた多様な作用をなすことができ、複数の試薬を化合させ、且つ、実施されている反応のために必要に応じて熱供給するか、または熱除去することを可能にしている。そのような熱の供給または排出は、毛細管差込口24、26、および28、ならびにマイクロ流体回路差込口30に接続される、またはそれらを囲む外部の熱源によってなされることも可能である。
【0010】
接続ブロック32は、カートリッジ・システム10を外部装置に接続するために使用される複数の端子50、52、54、および56を有している。1つの実施形態において、端子50は、流体または試薬を入力するための入力端子であり、端子52は、廃棄物を構成要素12から遠隔でフラッシングするために、または中間生成物を試験または他の目的で分取するために、カートリッジ・システム10内の或る位置に接続される。端子54は、構成要素12に試薬を遠隔で充填するために、カートリッジ・システム10内の或る別の位置に接続され、端子56は、システムの出力に接続される。端子50、52、54、および56のすべては、他の実施形態においては上記の例と異なって利用されることがある。
【0011】
マニホールド20の上面34が、上方からのカートリッジ・システム10の図である図2に示されている。この図から、マニホールド締結開口36を、マニホールド20の上面34の側部に沿って見ることができる。図示のように、2つのマニホールド締結開口36が、上面34に形成されたそれぞれのマイクロ流体工学構成要素24、26、28に対して設けられている。2つのマニホールド締結開口36は、接続ブロック32に対しても設けられている。マニホールド20の上面34からは、トレース面38が僅かに窪んでいる。トレース面38は、マニホールド20内部の流体接続を表わす複数のノード40、42、44、および46と、トレース48とを有している。トレース線48およびノード40は、マニホールド20内部の接続を使用者に示している。
【0012】
カートリッジ・システム内の様々な位置で、廃棄物(または中間生成物)は、遠隔で放出されることができ、また、試薬供給物は、毛細管差込口24およびマイクロ流体工学差込口30に配置された遠隔入力/出力端子66(図4および図5に示す)を経由して遠隔で再充填されることができる。たとえば、毛細管差込口24に収容された試薬供給物が使用を通じて枯渇した場合、ノード40(図2)は、接続ブロック32と毛細管差込口24の入力/出力端子との間のマニホールド20の内部の接続を表わしている。したがって、新たな試薬供給物が、接続ブロック32を通じて入力されることができる。同様に、マイクロ流体工学回路差込口30が清浄化を必要とした場合、ノード42は、接続ブロック32とマイクロ流体工学回路差込口30の入力/出力端子64(図4)との間の内部接続を表わしている。このように、マニホールド20は、マイクロ流体回路差込口30を通じて溶媒をポンプ移送することによって廃棄物を遠隔で除去するように構成されることができる。図2に示すトレース48ならびにノード40、42、44、および46の構成は、例示を目的として含められたものであり、多数の内部接続構成が、特定の用途に対するカートリッジ・システムの効果を最大にする目的で使用されることが可能であることは理解されるべきである。たとえば、マイクロ流体構成要素が頻繁な再充填を必要とすることが既知である場合は、適した接続で遠隔入力/出力端子またはマニホールドを有するマイクロ流体工学構成要素が使用されるべきである。
【0013】
1つの実施形態において、トレース面38の左側のノード44は、トレース線48によって示されるように、ノード42および46に接続されている。ノード44は、マニホールド20の底面22に取り付けられたブロック32の内部接続を表わしている。このように、上で議論し且つ図1に示したポート54などの接続ブロック32上のポートは、トレース線48でノード42および46に接続されたノード44によって表わされることができる。この実施形態において、ノード44、42、および46は、接続ブロック32のポート54への接続を表わしている。ノード42および44は、それぞれ、マイクロ流体回路差込口30および毛細管差込口28に接続されている。したがって、1つの試薬供給物が、ノード42および46によって表わされるような、マニホールド20に固定された複数の流体構成要素12(この例では構成要素30および28)に同時に再充填されることができる。
【0014】
図3は、カートリッジ・システム10の模式図である。この図の目的は、様々な流体構成要素12がマニホールド20に取り付けられるときの、それらの流体構成要素12間の関係を、マニホールド20の内部に形成された流体接続60を示すことによって説明することである。マニホールド20は、図の上部で矩形で表わされている。カートリッジ・システム10の入力51および53は、マニホールド20の左側に矢印で示されている。入力51は、接続ブロックの端子50、52、54、または56(図1)であることが可能である。同様に、入力53は、接続ブロックの端子50、52、54、または56であることが可能である。1つの実施形態において、入力51および53は、同じ接続ブロック端子50、52、54、または56(図1)である。入力51および53は、流体合流部55で交差しており、この流体合流部55は、さらに、マニホールド端子11で毛細管差込口24に接続されている。典型的な使用法において、入力51および53からの流体は、それらの合流部で結合し、毛細管差込口24の中に流れ、この毛細管差込口24で、通常、これらの流体は反応する。
【0015】
毛細管差込口24は、マニホールド端子13で流体合流部57に接続されており、また、流体合流部57は、入力/出力41に、そしてマニホールド端子14で毛細管差込口26に接続されている。1つの実施形態において、流体合流部57は、該流体合流部57に入るかまたは流体合流部57から出る流体流れを通流させるかまたは阻止するスイッチ49を有することが可能である。入力/出力41は、接続ブロック端子50、52、54、または56(図1)であることが可能である。毛細管差込口26は、マニホールド端子15で流体合流部59に接続されており、さらに、流体合流部59は、流体合流部59に入るかまたは流体合流部59から出る流体流れを通流させるかまたは阻止するスイッチ49を有することが可能である。流体合流部59は、入力/出力43に、また、マニホールド端子16でマイクロ流体回路差込口30に接続されている。同様に、マイクロ流体回路差込口30は、マニホールド端子17で流体合流部61に接続されている。該流体合流部61は、流体合流部61に入るかまたは流体合流部61から出る流体流れを通流させるかまたは阻止するスイッチ49を有することが可能であり、流体合流部61は、入力/出力45に、また、マニホールド端子18で毛細管差込口28に接続されている。毛細管差込口28は、マニホールド端子19で出力47に接続されている。出力47は、接続ブロック端子50、52、54、または56(図1)であることが可能である。他の実施形態において、流体構成要素12は、様々な組合せで、且つ、図3に示す順序とは異なる順序で配置されることができる。たとえば、2つの毛細管差込口24および26、ならびに2つのマイクロ流体回路差込口30が使用されることができる。マニホールド端子11、13、14、15、16、17、18、および19は、構成要素12の構成要素入力/出力端子64(図4および図5)がカートリッジ・システム10に接続されると、構成要素12に接続される。マニホールド端子から入力/出力端子への接続により、カートリッジ・システム10から構成要素12への、および/または、構成要素12からカートリッジ・システム10への流体の流れが可能となる。スイッチ49は、所望により除かれてもよく、また、流体流れは、入力に取り付けられた装置のポンプによって制御されることも可能である。たとえば、合流部55を考えることにする。流体が、入力51にポンプ移送され、静圧が入力53において維持される場合、合流部55は、ほぼスイッチのように機能する。入力51からの流体のみが、毛細管差込口24に移り、入力部53は、スイッチを必要とすることなく、機能的に「スイッチ切り」される。
【0016】
入力/出力41、43、および45は、試薬入力として利用されることも可能である。たとえば、入力/出力41、43、および45は、すべて、接続ブロック端子54(図1)で接続されることも可能である。入力51および53は、それぞれ、接続ブロック端子50および52(図1)であることが可能である。さらに、出力47は、接続ブロック端子56(図1)であることが可能である。そのような実施形態においては、2つの別個の
試薬が、それぞれ、接続ブロック端子50および52(図1)を通じて入力51および53に供給されることができ、第3の別個の試薬が、接続ブロック端子54(図1)を通じて入力/出力41、43、および45に供給されることができ、システムの出力56が、接続ブロック端子56(図1)を通じて受けられることができる。
【0017】
他の実施形態において、流体合流部57、59、および61内のスイッチ49は、システムから生成物を、出力47に進む前に遠隔で受ける目的で操作されることも可能である。たとえば、流体合流部61のスイッチ49は、毛細管差込口28との接続が阻害されるように操作されることも可能である。入力/出力45は、接続ブロック端子56(図1)であることが可能であり、この接続ブロック端子56を通じて生成物が受けられることが可能である。多数のスイッチ構成の組合せおよび入力/出力シナリオが、かかるカートリッジ・システム10で可能となることが理解されるべきである。また、流体の流れは、ポンプを使用して、入力および出力に正圧もしくは負圧を生じるか、または入力もしくは出力における一定体積を維持することによって、スイッチなしに合流部57、59、および61を通じて制御されることも可能である。ここで使用されるように、用語「スイッチ」は、小口径弁またはマイクロ流体弁、ならびにその弁を作動させ且つ制御するために利用される機構を参照している。さらに、カートリッジ・システムを通じた流体流れは、いずれの方向に進んでもよく、つまり、出力47は、システム入力用に試薬を受けてもよく、また、入力51および53は、生成物を供給してもよい。
【0018】
また、様々な入力/出力が、洗浄のために特定の構成要素12を溶剤で遠隔でフラッシングするように構成されることも可能である。そのような遠隔での洗浄は、該当する流体合流部57、59、および61内の必要なスイッチ49を操作することでなされることも可能である。模式的に示されているように、差込口24などの毛細管差込口の各々には、冷却源77または加熱源78が設けられることが可能である。差込口24における反応中に、差込口および反応物は、所望により、加熱または冷却されることも可能である。接続ブロック端子50、52、54、56(図1)の数、入力/出力41、43、および45の数、ならびに構成要素12の数および性質は、カートリッジ・システム10の様々な実施形態において、増加、減少、または変更されることが可能である。図3は、カートリッジ・システム10の特定の実施形態のみを表わすものであり、例示の目的を意図したものである。
【0019】
接続ブロック端子50、52、54、または56であることに加えて、入力/出力41、43、および45は、図4のマイクロ流体回路差込口および図5の毛細管差込口上に示されているような遠隔入力/出力であることが可能である。さらに、入力/出力41、43、および45は、マニホールド20のトレース面(図2に示す)38上のノード40、42、44、および/または46によって表わされることも可能である。また、入力/出力41、43、および45は、構成要素12上の遠隔入力/出力66と接続ブロック端子50、52、54、または56との双方であることが可能である。そのような構成、または他の実施形態の構成が、カートリッジ・システムのトレース面38上に、トレース48ならびにノード40、42、44、および46などのトレースおよびノードによって表わされる。或る出力からの流体は、典型的には、次の段への入力(たとえば、次の毛細管差込口)となるように接続されることが理解されるであろう。
【0020】
図4は、マイクロ流体回路差込口30の模式図である。殆どのエッチングされたガラス製のマイクロ流体装置は、図4に示す毛細管差込口30と類似するように構成されている。不都合にも、シリコン薄膜のエッチングと類似した処理が、マイクロ流体回路差込口30のカートリッジ65内に含められるガラス製のマイクロ流体回路を施すために用いられるので、平坦な設計は、非常にコストを要する。この図は、マイクロ流体回路差込口30をカートリッジ・システム10のマニホールド20に取り付けるために使用される2つの
構成要素締結開口62を示している。構成要素締結開口62は、ネジまたは他の種類の締結具に適応するように設計されることも可能である。マニホールド締結開口36は、マニホールド20への複数のマイクロ流体構成要素12の取付けに適応するように離間されている。任意のマイクロ流体構成要素12を全体的に参照して、マニホールド20への取付けは、1つの実施形態において、図1および図2に示すように、構成要素装置12の構成要素締結開口62をマニホールド20のマニホールド締結開口36と位置合わせすることによって達成される。次いで、構成要素12は、マニホールド20に、ネジ、ペグ、または他の締結具に固定されることができる。
【0021】
図3を参照して、マイクロ流体回路差込口30がカートリッジ・システム10のマニホールド20に取り付けられると、構成要素入力/出力端子64は、マニホールド20の下面22のポートと整列し、且つ、それらのポートと密封をなさなければならない。回路入力/出力端子64は、カートリッジ・システム10を通過する流体が、マイクロ流体回路差込口30に入るための、ならびにマイクロ流体回路差込口30から出るための、入力および出力を提供する。遠隔入力/出力66は、マイクロ流体回路差込口30の基部68の構成要素入力/出力端子64および構成要素締結開口62に対して垂直である。構成要素入力/出力端子64は、その端子が存在する構成要素の種類に拘わらず、同じ作用をなす。それらは、カートリッジ・システム10のマニホールド20の下面22上のポートと、マイクロ流体構成要素12内の回路との間の接続をもたらしている。
【0022】
構成要素流体回路は、マイクロ流体回路差込口30の構成要素流体回路など、エッチングされたカートリッジをベースとするガラス製回路からなっていてもよく、また、毛細管差込口24のスプールなど、毛細管チューブのスプールからなっていてもよい。構成要素入力/出力端子64は、基部の表面から窪んでおり、そのため、環状のOリング94(図6および図7)などの密封装置が、構成要素12の基部68とマニホールド20の下側のポートとの間の端子64の内部に配置されることができる。遠隔入力/出力66は、鉛直の円筒開口として示されており、構成要素入力/出力端子64と同じ位置でマイクロ流体回路に接続される。遠隔入力/出力端子66は、流体T形合流部の作用をなし、この流体T形合流部は、流体が複数の供給源から、この場合は構成要素端子64および遠隔端子66から入力され得る流体回路における合流部である。実施形態において、各構成要素端子64および遠隔入力/出力66は、該構成要素端子64および/または遠隔入力/出力66中への、またはそれらの外への流れを通流させるかまたは阻止するための、対応するスイッチ67を有している。遠隔入力/出力66は、洗浄液でフラッシングすることによって、個々のマイクロ流体構成要素12を遠隔で清浄化することができるため、さらなる使用法をもたらしており、この場合、一方の遠隔入力/出力66が溶剤または他の清浄液のための入力として使用され、もう一方の遠隔入力/出力66が出力として使用される。そのような場合、スイッチ49(図3)は、構成要素端子64からの流れは阻止するが、一方の遠隔入力/出力66に入る流れ、およびもう一方の遠隔入力/出力66から出る流れは通すように構成される。
【0023】
ここで図5を参照して、毛細管差込口24、26、または28の図がより詳細に示されている。毛細管差込口は、流体反応器としての作用をなし、高速な化学作用および迅速で且つ低コストの生成を促進することができる。しかしながら、毛細管差込口は、試薬を供給する作用をなすことも可能である。機械加工されたマニホールド・カートリッジ114(図10〜図12に示す)のコイルなどの水平に巻かれたコイルの入力および出力は、流体チューブのコイルまたは本体部分によって占められる実質的に平行な平面に対して垂直な平面内に配置されなければならない。したがって、少なくとも2つの湾曲部が、水平に巻かれたコイル内に存在しなければならず、1つは、コイルの入力の前の前端であり、もう1つは、コイルの出力の前の後端である。
【0024】
図5に示した垂直な毛細管差込口について説明すると、毛細管差込口24の装着ブロック70は、該装着ブロック70の全体を貫く複数の円筒開口を有している。構成要素締結開口62、装着開口72、および構成要素入力/出力端子64は、毛細管差込口24の装着ブロック70の全体を貫く垂直な穴として描かれている。構成要素締結開口62は、マイクロ流体回路差込口30の構成要素締結開口62と類似した作用をなす。つまり、それらは、ネジ、ペグ、または他の締結具などの締結具と結合されるときに、構成要素12をカートリッジ・システム10のマニホールド20に接続する。
【0025】
構成要素入力/出力端子64は、たとえば、環状のOリング94(図6および図7に示す)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはテフロン(登録商標)製の圧縮シール98(図6、図7、および図9に示す)(もしくは他の材料でできたシール)または環状のOリング94と圧縮シール98(図6および図7に示す)との双方の組合せなどの密封装置を、流体チューブの輸送部分74および75とカートリッジ・システム10のマニホールド20のマイクロ流体構成要素ポート134(図11)との接続部の周囲に配置することを可能にする。流体チューブの輸送部分74および75は、流体チューブのコイル82に接続され、好ましくは、構成要素入力/出力端子64から本体部分、好ましくはコイル82に流体を輸送するために使用されるチューブの長さである。流体チューブは、種々の実施形態において、ガラス、プラスチック、または他の材料からなる。さらに、流体チューブは、1つの実施形態において、約1ミクロンから約2500ミクロンの内径を有する小口径チューブであるが、他の形の流体チューブが使用されることも可能である。好ましくは、流体チューブは、マイクロ流体チューブであり、これは、約1ミクロンから約500ミクロンの内径を有する細口径チューブである。
【0026】
好ましい実施形態において、流体チューブの本体部分、好ましくはコイル82は、流通反応器を形成するのに十分な長さのものである。そのような流通反応器は、複数の化学物質を反応させること、および反応熱または外部熱をそのような反応に作用させることを含む様々な作用が可能である。流体チューブに接続された、該流体チューブを実質的に囲むかまたは流体チューブの近傍に配置された外部装置によって、熱が加えられるかまたは除去されることも可能である。たとえば、熱伝達装置が、スプールを通じて流体チューブの本体部分またはコイル78に熱を伝達する目的で、スプール78に(または外部スプールに)接続されることも可能である。本体部分またはコイル82の各端部は、流体チューブの輸送部分74および75に接続され、それらの輸送部分は、毛細管差込口24の装着ブロック70を通過し、構成要素入力/出力端子64に接続されている。コイル82は、好ましくは、ガーデン・ホースがホルダ上に保たれることが可能な方式と同様にスプール78の周囲に巻かれている。しかしながら、他の実施形態において、コイル82は、何かの周囲に巻かれる必要はないが、むしろ、エポキシ製のプロテクタ92またはエポキシ製の充填剤92(図7に示す)によって支持されることも可能である。そのような場合、プロテクタ92は、スプールと見なされる。他の実施形態において、スプールは、コイル82の外部にあっても、さらにはコイル82の側方にあってもよい。スプール78およびコイル82は、スプール78の全体に亘って位置した円筒開口を有している。1つの実施形態においては、L形ブラケット76が、該L形ブラケット76の片側がスプール82の外側の溝84の中にスライドし、ネジ、ペグ、またはスプールの孔80を貫く他の締結具によって取り付けられることが可能なように形成されている。L形ブラケット76の反対側は、L形ブラケット76の孔88が装着ブロック70の装着開口72と対応し、ネジ、ペグ、または他の締結具によって取り付けられることが可能なように、毛細管差込口24の装着ブロック70の下側の溝86の中にスライドする。
【0027】
毛細管差込口24の装着ブロック70の側部に配置された遠隔入力/出力端子66は、構成要素入力/出力端子64に対して垂直に位置している。遠隔入力/出力66は、マイクロ流体回路差込口30上のものと同じ機能をなし、その機能は、流体T形合流部の機能
であり、その流体T形合流部は、上述のように、流体が、複数の供給源または入力から入力され、および/または遠隔での洗浄を目的として出力されることができる流体回路内の合流部である。遠隔入力/出力66が、入力として使用される場合、流体の2つの供給源は、構成要素入力/出力端子64および遠隔入力/出力66からのものであることが可能である。遠隔端子66は、さらに、個々のマイクロ流体構成要素を清浄液で遠隔でフラッシングする方策をもたらし、また、上述のように、構成要素端子64は、構成要素12がカートリッジ・システム10に接続されているとき、カートリッジ・システムへの入力および出力として作用する。
【0028】
図6(つまり、毛細管差込口24の側面図)を参照して、図7の断面図が取られた平面が破線90で示されている。図6および図7は、毛細管差込口24の別の実施形態を示しており、この実施形態は、遠隔入力/出力端子64を、図5の実施形態で示されるような流体T形合流部の一部として利用していない。また、図6および図7の実施形態は、コイル82、スプール78、ならびに流体チューブの輸送部分74および75を毛細管差込口24の装着ブロック70に固定するために、L形ブラケット76とは対照的に、エポキシ製のプロテクタまたは充填剤92を利用している。エポキシ製のプロテクタ92を使用することで、エポキシ製のプロテクタ92が使用されない実施形態においては露出されることがある、場合によっては破損することがある流体チューブが、保護されるという利点がもたらされる。さらに、エポキシ製のプロテクタ92は、流体チューブのコイル82がスプール78の周囲に巻かれない実施形態ではますます有利となる。
【0029】
加えて、図6の実施形態は、毛細管チューブの流体チューブの輸送部分74および75を囲むチューブ・スリーブ96を利用している。チューブ・スリーブ96の目的は、流体チューブの輸送部分74および75を保護すること、ならびに、マニホールド20の下面22上で装着ブロック70とマイクロ流体構成要素ポート134(図11)との間に密封を生じさせるのを支援することである。この密封は、毛細管差込口24が、マイクロ流体構成要素ポート134のマニホールド入力/出力端子136(図11)と嵌合するときになされる。Oリング94は、押し下げられて、フレアレス管継手98を圧縮する。フレアレス管継手98は、Oリング94上に圧力を与え、それによって密封をなす。他の実施形態において、密封は、フレアレス管継手98を用いることなくOリング94によって、または、Oリング94を用いることなくフレアレス管継手98によってなされることも可能である。さらに、この実施形態は、1つの取付機構のみを提供しており、装着開口72を装着ブロック70の中央に配置しているが、他の実施形態は、複数の装着開口および締結具を使用することもできる。
【0030】
図8は、カートリッジ・システム10の別の実施形態を示している。流体連結ブロック102に接続された一群の4つの毛細管差込口24の側面図が示されており、この流体連結ブロック102は、チューブ・コネクタ・ブロック104に接続されている。流体連結ブロック102は、マニホールド20(図1)の1つの実施形態であり、つまり、マニホールド20は、流体連結ブロック102であることが可能である。図8の実施形態は、複数の構成要素装置を有するカートリッジ・システム10であり、それらの構成要素装置は、毛細管差込口24である。断面線9−9は、図9に示す断面を規定している。図9に示すように、流体連結ブロック102は、2つの入力端子108と、1つの遠隔出力端子110とからなる流体交差合流部106を有しており、この流体交差合流部106は、毛細管差込口24の流体チューブの輸送部分74または75の一方に接続される。流体交差合流部106は、入力端子108を通じて2つの入力流体を結合すること、ならびに、遠隔出力端子110を通じて毛細管差込口24を遠隔で清浄化することを可能にしている。流体連結ブロック102は、また、チューブ・コネクタ・ブロック104に接続されており、このチューブ・コネクタ・ブロック104は、流体システムを他の構成要素12、他のカートリッジ・システム10、または図示しない外部システムに接続する状況をもたらし
ている。
【0031】
図10を参照して、図8および図9に示すカートリッジ・システム10の実施形態が、前面から除去した断面9−9(図8)と共に示されている。上で議論したように、毛細管差込口24は、流体連結ブロック102と、その下面22上で係合してる。さらに、複数のチューブ・コネクタ・ブロック104が、流体連結ブロック102と、その上面34上で係合している。毛細管差込口は、流体連結ブロック102およびチューブ・コネクタ・ブロック104に締結具101によって取り付けられている。この実施形態において、チューブは、差込口24が、チューブのコストの外部に且つチューブのコストの側方にあるスプールと見なされることが可能なように、差込口24の内部で巻かれている。
【0032】
図11を参照して、マニホールド20(図1)の1つの実施形態である流体連結ブロック102が示されている。毛細管差込口24およびチューブ・コネクタ・ブロック104は、図10に関連して議論したように、締結具101によって流体連結ブロック102に取り付けられる。締結具101は、締結開口103において流体連結ブロック102を貫通する。コネクタ・ブロック・ポート105が、流体連結ブロック102の上面34上に示されている。これらのポートは、流体コネクタ・ブロック・スルーウェイ136によって、流体連結ブロック102の下面22上のマイクロ流体構成要素ポート134に接続されている。
【0033】
この実施形態において、入力端子108(図9)は存在しないが、むしろ、端子110、111、および113が、流体の入力または出力のいずれかの作用をなすことが可能である。また、端子110は、流体T形合流部128でコネクタ・ブロック・スルーウェイ136の一部に接続されて、遠隔でシステムを充填するかまたはフラッシングする状況をもたらしている。また、流体連結ブロック102の上面34は、下面22と類似しており、したがって、他の実施形態においては、上面34および下面22は、相互置換可能であることを注記しておく。結果として、幾つかの実施形態において、コネクタ・ブロック・ポート105は、マイクロ流体構成要素ポート134と相互置換可能である。
【0034】
ここで、図12を参照して、カートリッジ・システム10の別の実施形態が示されている。幾つかの機械加工されたマニホールド・カートリッジ114は、保持ブロック116に装着されている。図13は、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114の拡大図である。好ましい実施形態において、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114は、プラスチックで構成されており、2つの入力ポート118および120(つまり、1つは試薬用118であり、1つは第2の試薬用120である)と、内蔵型の流体合流部(119で模式的に示す)と、水平に巻かれた毛細管チューブのコイル(破線121で模式的に示す)と、出力122とを含んでいる。図12の保持ブロック116は、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114に対する装着ステーションとして作用する。しかしながら、内部の流体回路などのマニホールドの機能は、好ましい実施形態において、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114内に封じ込められるため、保持ブロック116は、図1および図11に示すマニホールド20と同じ目的を果たすものではない。この実施形態において、保持ブロック116は、流体回路に能動的に寄与するものとしてよりも、むしろ、機械加工されたマニホールド・カートリッジに対するアンカーとして作用する。また、機械加工されたマニホールド・カートリッジ114は、複数のチューブ貫通孔124を含んでおり、その結果、毛細管チューブおよびより太い入力/出力線が、カートリッジを通じて容易に配線されることができる。
【0035】
上で詳述した幾つかの実施形態は、モジュール式で再構成可能な多段型マイクロ反応器カートリッジ装置およびその多数の使用法を示している。ここで記述されるカートリッジ・システム10およびマイクロ流体構成要素12は、最大で約300℃の高温、および最
大で約5000ポンド毎平方インチ(約34475kPa)の高圧に耐えることが可能である。そのような能力により、マイクロカートリッジ・システム10および構成要素12は、他の反応機構では不可能な極限条件での反応に使用されることができる。さらに、マイクロ流体工学に伴う他の難題には、マイクロ流体反応過程の速度を増加させること、および、マイクロ流体システムに伴う死空間の量を減じることが挙げられる。このカートリッジ・システムの設計は、様々な実施形態を通じてこれらの問題に対処するものであり、それらの実施形態の1つは、マニホールドに取り付けられた個々の流通反応器の組立体を利用して、迅速で死空間の少ない接続を可能にする。また、様々な実施形態が、遠隔での廃棄物の除去および試薬の入力を実現する。さらに、毛細管差込口反応器に見られる、鉛直の巻き付けにより、低コストで故障の少ないカートリッジ・システム用の反応器が提供される。
【0036】
この発明に対する好ましい実施形態についての先の記述は、図示および記述の目的で与えられている。本発明は、開示される正確な形態を包括する、または、開示される正確な形態に限定されることを意図するものではない。明白な修正または変形が上記の教示の観点から可能である。本実施形態は、本発明の原理およびその現実的な用途の最良の例示を提供するように図って選択および記述されており、したがって、当業者が、特定の予期される使用に適した様々な実施形態で且つ様々な修正をもって本発明を利用することが可能である。すべてのそのような修正および変形は、それらが適正に、法的に、および公正に権利を与えられる範囲に応じて解釈される場合には、添付の特許請求の範囲によって判断されるような本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】接続ブロックと、第1のカートリッジと、第2のカートリッジと、マイクロ流体回路差込口と、第3のカートリッジとを有したカートリッジ・システムの構成要素のポート側の図。
【図2】接続ブロックと、3つの毛細管差込口と、マイクロ流体回路差込口とを有するカートリッジ・システムの上面図。
【図3】本システムの内部接続を示すカートリッジ・システムの模式図。
【図4】マイクロ流体回路差込口の図。
【図5】毛細管差込口の図。
【図6】毛細管差込口の側面図。
【図7】毛細管差込口の断面図。
【図8】4つの毛細管差込口を備えたカートリッジ・システムの側面図。
【図9】図8のカートリッジ・システムおよび毛細管差込口の断面図。
【図10】流体干渉ブロックおよび幾つかの毛細管差込口を備えた図8および図9のカートリッジ・システム。
【図11】流体干渉ブロックの図。
【図12】保持ブロックおよび3つの機械加工されたマニホールド・カートリッジを有したカートリッジ・システム。
【図13】機械加工されたマニホールド・カートリッジの拡大図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.マニホールドと、
b.前記マニホールドの中に流体を受け、又は前記マニホールドから流体を供給するために前記マニホールド中に形成された複数の端子と、
c.前記端子間に延び、前記端子間で流体を運ぶ複数の小口径接続通路であって、1つの小口径構成要素から端子を通じて流体を受け、前記流体を別の端子に、そして、別の小口径構成要素の中に移送すべく形成および接続された小口径接続通路と、
d.前記端子に接続し、前記端子に流体を供給し、前記端子から流体を受ける小口径構成要素通路を有した複数の小口径構成要素であって、前記小口径接続通路および前記小口径構成要素通路は、それぞれ、約1から約2500ミクロンの内径を有した小口径構成要素とを備え、
e.前記小口径構成要素は、前記端間で流体を移送するように接続された前記小口径構成要素通路によって前記マニホールドに接続するように構成されているカートリッジ・システム。
【請求項2】
前記複数の小口径接続通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体通路を備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項3】
前記複数の小口径構成要素通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体通路を備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項4】
前記複数の小口径構成要素通路は、小口径チューブを備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項5】
前記複数の小口径構成要素通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体チューブを備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項6】
前記複数の小口径接続通路は、小口径チューブを備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項7】
前記複数の小口径接続通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体チューブを備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項8】
前記小口径接続通路は、前記マニホールド中に形成されている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項9】
前記複数の小口径構成要素のうちの少なくとも1つは、チューブ状通路を有した毛細管差込口であり、該チューブ状通路は、最大5000psi(約34475kPa)の内部の圧力に耐えることが可能である請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項10】
前記複数の小口径構成要素のうちの少なくとも1つは、マイクロ流体回路差込口、および該差込口に加熱または冷却の少なくとも一方を提供する源である請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項11】
前記複数の小口径接続通路のうちの少なくとも1つで係合するように配置された少なくとも1つのスイッチをさらに備え、該スイッチは、前記少なくとも1つの通路を通過する前記流体の流れを阻害する請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項12】
前記複数の小口径接続通路のうちの少なくとも2つは、流体合流部で交差している請求
項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項13】
前記複数の小口径構成要素のうちの少なくとも1つは、カートリッジであり、前記複数の小口径構成要素通路は、
a.前記端子に接続するための第1の輸送部分と、
b.前記端子に接続するための第2の輸送部分と、
c.前記第1の輸送部分を前記第2の輸送部分に接続するための本体部分とを備える請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項14】
前記カートリッジの第1の輸送部分、本体部分、および第2の輸送部分は、実質的に平行な平面内に配置されている請求項13記載のカートリッジ・システム。
【請求項15】
マニホールドおよび該マニホールド中に形成された複数の端子と、
複数の小口径構成要素とを備え、該複数の小口径構成要素のそれぞれは、
a.前記端子に接続するための第1の輸送通路部分と、
b.前記端子に接続するための第2の輸送通路と、
c.前記第1の輸送部分を前記第2の輸送部分に接続する本体通路部分とを備え、該本体通路部分は、少なくとも部分的に小口径チューブによって形成されているカートリッジ・システム。
【請求項16】
前記第1の輸送通路部分、前記本体通路部分、および前記第2の輸送通路部分は、実質的に平行な平面内に配置されている請求項19記載のカートリッジ・システム。
【請求項17】
前記本体通路部分は、実質的にコイル形状である請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項18】
前記複数の小口径構成要素通路は、約1から約2500ミクロンの内径を有した小口径チューブを備えている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項19】
前記複数の小口径通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体チューブを備えている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項20】
前記複数の小口径構成要素通路は、ガラス製チューブを備えている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項21】
前記複数の小口径構成要素通路は、プラスチック製チューブを備えている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項22】
前記複数の小口径構成要素通路は、少なくとも実質的にプロテクタで覆われている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項23】
前記本体通路部分は、スプール、および該スプールによって支持された小口径チューブのコイルである請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項24】
カートリッジ・システムにおいて使用する毛細管差込口であって、
a.前記カートリッジ・システムから流体を受けるかまたは前記カートリッジ・システムに流体を供給するための複数の構成要素端子を有した装着ブロックと、
b.約1から約2500ミクロンの内径を有した小口径チューブであって、該小口径チューブは、
i.前記複数の構成要素端子のうちの1つに接続された第1の輸送部分と、
ii.前記複数の構成要素の端子のうちの1つに接続された第2の輸送部分と、
iii.前記第1の輸送部分を前記第2の輸送部分に接続するための本体部分と、前記本体部分が、実質的にコイル形状に巻かれ、前記第1の輸送部分、前記本体部分、および前記第2の輸送部分が、実質的に平行な面内に配置されていることとを備えていることと、
c.前記マイクロ流体チューブを前記装着ブロックに締結する締結具とを備える毛細管差込口。
【請求項25】
前記カートリッジ・システムは、複数のシステム端子をさらに備え、前記毛細管差込口は、前記構成要素端子に配置された複数のOリングをさらに備え、該複数のOリングは、前記毛細管差込口が前記カートリッジ・システムに接続されたときに、前記構成要素端子と前記カートリッジ・システムのシステム端子との間のシールを提供する請求項24記載の毛細管差込口。
【請求項1】
a.マニホールドと、
b.前記マニホールドの中に流体を受け、又は前記マニホールドから流体を供給するために前記マニホールド中に形成された複数の端子と、
c.前記端子間に延び、前記端子間で流体を運ぶ複数の小口径接続通路であって、1つの小口径構成要素から端子を通じて流体を受け、前記流体を別の端子に、そして、別の小口径構成要素の中に移送すべく形成および接続された小口径接続通路と、
d.前記端子に接続し、前記端子に流体を供給し、前記端子から流体を受ける小口径構成要素通路を有した複数の小口径構成要素であって、前記小口径接続通路および前記小口径構成要素通路は、それぞれ、約1から約2500ミクロンの内径を有した小口径構成要素とを備え、
e.前記小口径構成要素は、前記端間で流体を移送するように接続された前記小口径構成要素通路によって前記マニホールドに接続するように構成されているカートリッジ・システム。
【請求項2】
前記複数の小口径接続通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体通路を備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項3】
前記複数の小口径構成要素通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体通路を備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項4】
前記複数の小口径構成要素通路は、小口径チューブを備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項5】
前記複数の小口径構成要素通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体チューブを備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項6】
前記複数の小口径接続通路は、小口径チューブを備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項7】
前記複数の小口径接続通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体チューブを備えている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項8】
前記小口径接続通路は、前記マニホールド中に形成されている請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項9】
前記複数の小口径構成要素のうちの少なくとも1つは、チューブ状通路を有した毛細管差込口であり、該チューブ状通路は、最大5000psi(約34475kPa)の内部の圧力に耐えることが可能である請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項10】
前記複数の小口径構成要素のうちの少なくとも1つは、マイクロ流体回路差込口、および該差込口に加熱または冷却の少なくとも一方を提供する源である請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項11】
前記複数の小口径接続通路のうちの少なくとも1つで係合するように配置された少なくとも1つのスイッチをさらに備え、該スイッチは、前記少なくとも1つの通路を通過する前記流体の流れを阻害する請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項12】
前記複数の小口径接続通路のうちの少なくとも2つは、流体合流部で交差している請求
項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項13】
前記複数の小口径構成要素のうちの少なくとも1つは、カートリッジであり、前記複数の小口径構成要素通路は、
a.前記端子に接続するための第1の輸送部分と、
b.前記端子に接続するための第2の輸送部分と、
c.前記第1の輸送部分を前記第2の輸送部分に接続するための本体部分とを備える請求項1記載のカートリッジ・システム。
【請求項14】
前記カートリッジの第1の輸送部分、本体部分、および第2の輸送部分は、実質的に平行な平面内に配置されている請求項13記載のカートリッジ・システム。
【請求項15】
マニホールドおよび該マニホールド中に形成された複数の端子と、
複数の小口径構成要素とを備え、該複数の小口径構成要素のそれぞれは、
a.前記端子に接続するための第1の輸送通路部分と、
b.前記端子に接続するための第2の輸送通路と、
c.前記第1の輸送部分を前記第2の輸送部分に接続する本体通路部分とを備え、該本体通路部分は、少なくとも部分的に小口径チューブによって形成されているカートリッジ・システム。
【請求項16】
前記第1の輸送通路部分、前記本体通路部分、および前記第2の輸送通路部分は、実質的に平行な平面内に配置されている請求項19記載のカートリッジ・システム。
【請求項17】
前記本体通路部分は、実質的にコイル形状である請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項18】
前記複数の小口径構成要素通路は、約1から約2500ミクロンの内径を有した小口径チューブを備えている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項19】
前記複数の小口径通路は、約1から約500ミクロンの内径を有したマイクロ流体チューブを備えている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項20】
前記複数の小口径構成要素通路は、ガラス製チューブを備えている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項21】
前記複数の小口径構成要素通路は、プラスチック製チューブを備えている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項22】
前記複数の小口径構成要素通路は、少なくとも実質的にプロテクタで覆われている請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項23】
前記本体通路部分は、スプール、および該スプールによって支持された小口径チューブのコイルである請求項15記載のカートリッジ・システム。
【請求項24】
カートリッジ・システムにおいて使用する毛細管差込口であって、
a.前記カートリッジ・システムから流体を受けるかまたは前記カートリッジ・システムに流体を供給するための複数の構成要素端子を有した装着ブロックと、
b.約1から約2500ミクロンの内径を有した小口径チューブであって、該小口径チューブは、
i.前記複数の構成要素端子のうちの1つに接続された第1の輸送部分と、
ii.前記複数の構成要素の端子のうちの1つに接続された第2の輸送部分と、
iii.前記第1の輸送部分を前記第2の輸送部分に接続するための本体部分と、前記本体部分が、実質的にコイル形状に巻かれ、前記第1の輸送部分、前記本体部分、および前記第2の輸送部分が、実質的に平行な面内に配置されていることとを備えていることと、
c.前記マイクロ流体チューブを前記装着ブロックに締結する締結具とを備える毛細管差込口。
【請求項25】
前記カートリッジ・システムは、複数のシステム端子をさらに備え、前記毛細管差込口は、前記構成要素端子に配置された複数のOリングをさらに備え、該複数のOリングは、前記毛細管差込口が前記カートリッジ・システムに接続されたときに、前記構成要素端子と前記カートリッジ・システムのシステム端子との間のシールを提供する請求項24記載の毛細管差込口。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−538734(P2009−538734A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513471(P2009−513471)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/070218
【国際公開番号】WO2007/143547
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508351336)ナノテク リミテッド ライアビリティー カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOTEK LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/070218
【国際公開番号】WO2007/143547
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508351336)ナノテク リミテッド ライアビリティー カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOTEK LLC
【Fターム(参考)】
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