説明

モジュール式コンベアベルト用のモジュール

モジュール式コンベアベルト用のモジュールは、モジュールのボアにヒンジロッドを保持するための可撓性のリテーナを具える。ストッパはリテーナの曲げ運動を制限し、リテーナの中間部を支持して、リテーナに発生する応力が設計応力を超えるのを妨げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール内にヒンジロッドを保持するリテーナを有し、リテーナを破損することなくモジュールからヒンジロッドを取り出すことができるモジュール式コンベアベルト用のモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
モジュール式コンベアベルトは、連続して互いの端と端とを回動するように連結された複数のユニット(モジュールと称される)から形成されるコンベアベルトである。コンベアベルトを構成するモジュール数を変更することにより、このようなコンベアベルトの長さは簡単に調整できるため、モジュール式コンベアベルトは製品を取り扱う業界で普及している。さらに、摩耗または破損した場合、コンベアベルト全体を交換する必要がなく、単に摩耗または破損したモジュールを交換することによってモジュール式コンベアベルトは簡単に修理できる。
【0003】
モジュール式コンベアベルトを形成しているモジュールは、モジュールに形成された整列しているボアを貫通する細長いヒンジロッドによって、連続して回動するように連結される。モジュール式コンベアベルトの操作または取り扱い中にヒンジロッドがモジュールから不注意で外れることがないよう、様々な手段が用いられている。ヒンジロッドを保持するために広く用いられているシステムの1つは、モジュールの一部に固定された固定端と自由端とを有する指状のリテーナを利用するものである。このリテーナは、自由端がモジュールに配置されたヒンジロッドの軸の移動経路を横切って延在してモジュールからヒンジロッドが取り出されるのを妨げる状態と、リテーナの自由端がヒンジロッドの軸の移動経路外に配置されてモジュールからヒンジロッドが取り出せるようにする状態との間で、固定端の周りで撓曲可能である。
【0004】
このようなリテーナを具えるモジュール式コンベアベルトを点検している時に技術者がコンベアベルトからヒンジロッドを取り外したい場合、技術者は通常、ねじ回しのような剛性部材を用いてリテーナ上にてこの力を作用させることによって、2つの位置の間でリテーナを動かす。このリテーナの撓曲方法は、てこの力がリテーナの自由端の近くにかかる場合はおそらく問題ないが、てこの力がリテーナの固定端または中央部の近くにかかると、リテーナは設計応力を超える応力を簡単に受けてしまう。結果として、ヒンジロッドが引き抜かれるのを妨げる位置まで戻れないような程度の塑性変形がリテーナに起こることがあり、構造破壊が起きうる、すなわち破損しうる。どちらの場合も、リテーナはコンベアベルトにヒンジロッドをそれ以上保持することはできない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、モジュールからヒンジロッドを取り外す作業中にヒンジロッドのリテーナが破損するのを防止できる、モジュール式コンベアベルト用のモジュールを提供する。
【0006】
本発明はさらに、このようなモジュールを用いるモジュール式コンベアベルトを提供する。本発明は、コンベアベルトのモジュールからヒンジロッドを取り外す方法をさらに提供する。
【0007】
本発明の一形態によると、モジュール式コンベアベルト用のモジュールはリテーナを具えており、当該リテーナは、リテーナがボアからヒンジロッドが取り出されるのを妨げる第1の状態と、ヒンジロッドがリテーナの上を通り抜けてボアから取り外すことができる第2の状態との間で撓曲可能である。このモジュールはさらに、リテーナが第2の状態にある時に固定端と自由端との間のリテーナの少なくとも一部を支持しうるストッパを具える。
【0008】
リテーナの曲げ応力の実質的な増加を引き起こすことなく、ストッパに対向するリテーナにてこの力をかけられるように、ストッパはリテーナを支持しうる。ストッパの寸法は、ストッパによってリテーナが支持されている時のリテーナの応力が、リテーナの設計応力の範囲内となるように選択される。リテーナの設計応力は、リテーナに構造破壊、すなわち破損が起こらず、かつ、ストッパに向かってリテーナを押圧している力が開放された時のリテーナの塑性変形が、リテーナの自由端がモジュールのボアからヒンジロッドが取り出されるのを妨げる状態にリテーナが戻ることができる程度の応力となる。このように、ストッパは、モジュールからヒンジロッドを取り外す作業中に技術者によってリテーナが破損されるのを防ぐことができ、これにより交換する必要なくモジュールを長い期間使うことができる。
【0009】
本発明の他の形態によると、モジュール式コンベアベルト用のモジュールはリテーナを具えており、当該リテーナは、リテーナがボアからヒンジロッドが取り出されるのを妨げることができる第1の状態と、ヒンジロッドがリテーナの上を通り抜けてボアから取り出すことができ、リテーナが設計応力を超えることなく、リテーナの長さの50%の中間部でストッパがリテーナの底面と接触する第2の状態との間で、固定端の周りで撓曲可能である。
【0010】
本発明のさらに他の形態によると、モジュール式コンベアベルト用のモジュールは、固定端の周りで撓曲してボアの半径方向においてモジュールのボアと重なるか重ならないように自由端を動かすことができるリテーナと、リテーナの底面と対向するストッパとを具える。リテーナが設計応力を超えることなく、リテーナの長さの50%の中間部でリテーナはストッパと接触することができる。
【0011】
本発明の他の形態によると、モジュール式コンベアベルト用のモジュールは、リテーナがボアからヒンジロッドが取り出されるのを妨げることができる第1の状態と、ヒンジロッドがリテーナの上を通り抜けてボアから取り出すことができる第2の状態との間で、固定端の周りで撓曲可能なリテーナを具える。このモジュールは、第1および第2の状態の間でリテーナが撓曲する時にリテーナと共に移動する第1の面と、第1の面と対向し、リテーナが第2の状態にある時にリテーナが設計応力を超えることなくリテーナの長さの50%の中間で第1の面と接触する第2の面とを具える。
【0012】
本発明のさらに他の形態によると、コンベアベルトのモジュールからヒンジロッドを取り外す方法において、モジュールのリテーナに力をかけて、リテーナがヒンジロッドの軸の移動経路を横切って位置する第1の状態から、リテーナがヒンジロッドの軸の移動経路外に位置して、リテーナが設計応力を超えることなく、リテーナの長さの50%の中間部でリテーナの底面がリテーナの底面と対向するストッパの上面と接触する第2の状態までリテーナを撓曲させるステップと、リテーナの上をヒンジロッドが通り抜けるようにヒンジロッドを軸方向に移動させるステップと、を具える。
【0013】
本発明のさらに他の形態によると、モジュール式コンベアベルトは複数のモジュールが連続的に連結されており、モジュールの少なくとも1つは本発明によるモジュールである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明によるモジュール式コンベアベルト用のモジュールの実施形態の平面図である。
【図2】図2は、図1のモジュールの底面図である。
【図3】図3は、図1のモジュールの一方の横方向端部の正面図である。
【図4】図4は、リテーナの自由端がヒンジロッドの通過を遮ることができる位置にある図2のモジュールの左横方向端部の拡大底面図である。
【図5】図5は、モジュールから取り外された図4に示されるリテーナユニットの拡大斜視図である。
【図6】図6は、リテーナユニットがモジュールから取り外された状態における図2のモジュールの左横方向端部の拡大斜視図である。
【図7】図7は、リテーナがストッパと接触する位置まで変形している場合における図2のモジュールの左横方向端部の拡大底面図である。
【図8】図8は、ヒンジロッドがモジュールに挿入されている場合における、図2のモジュールの底面図である。
【図9】図9は、ヒンジロッドがモジュールから取り外されている場合における、図2のモジュールの底面図である。
【図10】図10は、図2のモジュールと同様のモジュールを具える、モジュール式コンベアベルトの複数列の底面斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2は、本発明によるモジュール式コンベアベルト用のモジュール10の実施形態の、それぞれ平面図と底面図である。モジュール10が、モジュールからヒンジロッドが取り出されるのを妨ぐことができる位置と、モジュールからヒンジロッドを取り出せるようにする位置との間で撓曲可能であるリテーナを有する限り、モジュールの形状に特別な制限はない。例えば、幅広い種類の現行のモジュール式コンベアベルト用のモジュールと同一の全体形状を有していてもよい。このように、図1および図2に示されているモジュール10の形状は、多くの考えられる形状のうちの単なる一例に過ぎない。図示されているモジュール10は、ルイジアナ州HarahanのIntralox,L.L.C.社から販売されているシリーズ800の有孔フラットトップ295のモジュールの形状と同一の全体形状を有している。このモジュール10は、図面で見られるようにほぼ長方形の外周を有しており、第1および第2の縦方向端部と第1および第2の横方向端部とを具えている。本明細書では、モジュール10の縦方向(図1の矢印11で示される)は、モジュール10がコンベアベルトの一部をなす時の移動方向と平行であり、モジュール10の横方向(図1の矢印12で示される)は縦方向11に対して垂直である。
【0016】
モジュール10の各縦方向端部はヒンジロッドを収容する少なくとも1のボア14を具備しており、このヒンジロッドによってモジュール10が同様のモジュールに回動するように連結される。モジュールを他のモジュールに回動するように連結するためには単一のボアで十分だが、モジュールは通常、縦方向端部のそれぞれにモジュールの横方向に間隔をおいて配置された複数の整列したボアを有する。この実施形態では、ボア14は複数の指状の突出部13に形成されており(以下では、このような突出部に広く用いられる用語である「ヒンジアイ」と称する)、モジュール10の縦方向のエッジに沿って形成されている。モジュール式コンベアベルトの一部を形成するために2つのモジュールが端と端で連結される時、近接するヒンジアイ13は隣接するモジュールのヒンジアイを挿入できる空間15によって互いに隔てられている。
【0017】
図1に示されるように、モジュール10は、モジュール10の縦方向端部の間に延在し、モジュール10の上の物体を支持するのに用いられる上面16を有している。運搬される物体および使用環境によって、上面16は、液体または気体がモジュール10の上側と底側の間を通過することができる排水口部17を具えていてもよい。図示されているモジュール10の上面16は実質的には平坦だが、多くの従来のモジュールのように、物体を支持するための円錐部、ローラ、ナブ、またはリブといった上方に延在する部材を代わりに有していてもよく、そのため、例えばモジュールの上面に物体が付着するのを防ぐため、摩擦を減少または増加させるため、あるいは通気を提供するために上面が完全に平坦ではない。
【0018】
図示されているモジュール10は、ヒンジアイ13がモジュール10の縦方向に外側へ延在しているブロックとほぼ同様の形状を有しており、隣接するヒンジアイ13の間の隙間15はモジュール10の長さの比較的短い部分に延在している。しかしながら、隣接するヒンジアイの間の隙間がモジュールの縦方向中心の近くにまで延在するグリッド状の構造(例えば、Intralox,L.L.C.社から販売されているシリーズ900のオープングリッドまたはフラッシュグリッドの構造)もまた、用いることができる。
【0019】
モジュール式コンベアベルトは通常、コンベアベルトの各モジュールの下面と駆動的に係合する複数の駆動スプロケットによる経路に沿って駆動される。本発明によるコンベアベルトのモジュール10は、特定の種類の駆動スプロケットとの使用に制限されず、用いられる駆動スプロケットの種類に応じて、様々な形状がモジュール10の下面に利用できる。図示されているモジュール10は、モジュールの縦方向端部の間の地点で駆動スプロケットがモジュール10に駆動力を伝達する中央駆動型と呼ばれるものである。代替的には、隣接するモジュール同士を連結しているヒンジロッド付近でモジュールに駆動力が伝達されるヒンジ駆動型、あるいは第1の方向に移動する時はヒンジ駆動であって反対方向に移動する時は中央駆動である中央およびヒンジ駆動型でもよい。図1のモジュール10と共に用いられる駆動スプロケットは通常、空間によって隔てられた複数の歯を有しており、各歯は自身に形成されたノッチを有している。図1のモジュール10の横方向端部の正面図である図3に示されているように、このモジュール10の下面は、モジュール10の縦に沿ったほぼ中央でモジュール10の横方向に延在している下方への突出部18を有している。この突出部18は、駆動スプロケットの歯のノッチと係合することができる。通常、複数の駆動スプロケットは共通の駆動シャフトに取り付けられており、駆動シャフトの長さ、すなわちコンベアベルトの横方向に沿って、互いに間隔をおいて配置される。この駆動シャフトは適切な駆動機構によって回転させられており、その実施例は当業者にとって周知である。
【0020】
モジュールの寸法に対する制限はない。一例として、図示されている実施例の一般的なシリーズ800の有孔フラットトップ295のモジュールは、長さ(モジュールの縦方向端部におけるボア14の軸と、モジュールの他の縦方向端部におけるボア14の軸との間の距離と定義する)2インチ、高さ5/8インチのベース部を有する。モジュールの幅はモジュールのそれぞれの使用法によるが、通常の幅の実施例では5乃至12インチである。
【0021】
図2に示されているように、モジュール10は、横方向端部の一方にヒンジアイ13のボア14にヒンジロッドを保持するための可撓性の指状のリテーナ31を具える。単一のモジュールがコンベアベルトの幅全体にわたって延在することが想定される場合、モジュール10が縦方向端部のそれぞれにリテーナ31を有することもまた可能である。いくつかのモジュールでは、参照により組み込まれる開示である米国特許第6,499,587号によって記載されているモジュールのように、射出成形によってリテーナがモジュールの近接部と一体的に形成される。他のモジュールでは、参照により組み込まれる開示である米国特許第7,255,227号に記載されているモジュールのように、リテーナはモジュールの近接部から別個に形成されて、ボンド接着、リベット、ねじ、または嵌合部品といった適切な手段によってモジュールに取り付けられてもよい。これらの構成の一方が、本発明によるモジュールのリテーナ31に用いられてもよい。本実施形態では、リテーナ31はリテーナユニット30の一部であり、モジュール10の残部とは別個に形成される。モジュール10の他の部分から別個にリテーナユニット30を形成することにより、リテーナ31をモジュール10の残部とは異なる材料から作ることが可能になり、リテーナ31の製造を簡単にすることができる。
【0022】
リテーナユニット30の構造が図4および図5で最適に示されている。図4は、リテーナユニット30のリテーナ31がヒンジロッドの軸の移動経路を横切って延在する位置にあり、かつ、ヒンジロッドがモジュール10から取り出されるのを妨げられる時における図2のモジュール10の一部の拡大底面図であり、図5はモジュール10から取り外したリテーナユニット30の拡大斜視図である。リテーナユニット30は、ベース部34とリテーナ31とを具える。リテーナ31は、ベース部34に固定される固定端32と、固定端32よりもモジュール10の横方向中心に近い自由端33とを具える。リテーナ31は、リテーナ31の自由端33が、ボア14の半径方向においてヒンジアイ13のボア14と重なって、自由端33がボア14に配置されたヒンジロッドの移動経路を横切って、ヒンジロッドがボア14から取り出されるのを十分に防ぐことができるまで延在する状態と、リテーナ31の上部を通り抜けることにより、ヒンジロッドがヒンジアイ13のボア14に挿入されるか、あるいは取り出せる状態との間で固定端32の周りで撓曲する。リテ−ナ31に外力が作用しない時、本来の形状は図4に示されている位置のような形状であり、モジュール10からヒンジロッドが取り出されるのを妨げる。モジュール10の他の部分のように、リテーナユニット30は、液体用の排水口部36を具えてもよい。
【0023】
リテーナユニット30は、モジュール10の横方向端部でヒンジアイ13の1つに形成されているキャビティ19内に収容される。キャビティ19はモジュール10の底面の方を向いて開口しており、モジュール10の厚さの少なくとも途中まで達している。この実施形態におけるキャビティ19の形状は、3面でリテーナユニット30のベース部34を近接して取り囲み、リテーナ31がボア14からヒンジロッドが取り出されるのを妨げる状態の時にキャビティ19の上端部でリテーナ31の上面と平行に延在して非常に近接するように選択される。キャビティ19の下壁から上壁20(リテーナ31の上面と平行に延在する)までモジュール10の縦方向を測定したキャビティ19の高さは、固定端32からリテーナ31の自由端33に向かって増加する。キャビティ19がこの形状を有している必要はないが、自由端33からリテーナ31の固定端32に向かってキャビティ19の高さを減少させると、リテーナ31の固定端32の近くのキャビティ19に(ねじ回しのような)物体を挿入するのがさらに難しくなり、従って、この位置でリテーナ31にせん断荷重をかけるのがさらに難しくなる。図4に示されている状態では、リテーナ31の上面は、互いに対向するキャビティ19の上壁20と実質的に平行である。
【0024】
キャビティ19は、モジュール10の上部または底部の一方からリテーナ31にアクセス可能なように、モジュール10の厚みを完全に貫通して延在していてもよい。図示されている実施例では、キャビティ19がモジュール10の厚さの途中まで延在しており、モジュール10の上部に平らな面を提供し、モジュール10によって運搬されている物体がリテーナ31に引っ掛ったり、キャビティ19に落ちたり集まったりするのを防止している。
【0025】
リテーナ31の自由端33は、図4の右側からヒンジロッドが自由端33に押しつけられた場合に、ヒンジロッドの力がリテーナユニット30のベース部34に向かって下方にではなく、キャビティ19の上壁20にリテーナ31を押しつけるように、好適には形成されている。リテーナ31がキャビティ19の上壁20に押しつけられると、リテーナ31の自由端33はヒンジロッドの経路を妨げ続ける。
【0026】
リテーナユニット30のベース部34はリテーナ31の支持具として機能しており、リテーナ31よりも握りやすい部分を設けることによって、リテーナ31を簡単に取り扱ってモジュール10に設置できるようにする。さらに、リテーナユニット30をモジュール10のキャビティ19に連結する大きな表面部を提供する。本実施形態では、図面に見られるように、ベース部34は単純な四角形を有している。このような形状は製造するのが簡単であり、リテーナユニット30を収容するキャビティ19が、製造するのが簡単な単純形状をさらに有することができるようになる。しかしながら、ベース部34は特定の形状に制限されない。図面に見られるようなベース部34の他に想定される形状のいくつかの実施例として、円形、楕円形、または非直角の多角形がある。
【0027】
前述のように、技術者がモジュール式コンベアベルトを点検する時にリテーナを具備する従来のコンベアベルトのモジュールからヒンジロッドを取り外す場合、技術者は通常、リテーナと近接するモジュールの面との間にねじ回しまたは同様の物体を挿入して、ヒンジロッドの移動経路外にリテーナの自由端を移動させるためにリテーナにてこの力を作用させる。固定端と自由端との間のリテーナの中央部に力が適用され、下方から何らかの方法でこの中央部が支持されない場合、リテーナに適用されて生じる応力がリテーナの設計応力を超えることがあり、リテーナがヒンジロッドの移動経路を横切って延在する位置まで戻らなくなる。このため、図示されているモジュール10はストッパ35を具備しており、変形時にリテーナ31の応力が設計応力の範囲内となるように、リテーナ31が受ける曲げ変形量を制限する。リテーナ31が所定の量まで固定端32の周りで撓曲している時、ストッパ35はリテーナ31の中央部、すなわちリテーナ31の長さの50%の中間部の少なくとも一点でリテーナ31を支持し、リテーナ31がさらに曲がり変形するのを防いでいる。
【0028】
ここで定義されるようなリテーナ31の長さは、リテーナ31の底面に沿って測定された、自由端33と固定端32に最も近い地点との間の距離であり、下面に垂直な線はモジュール10の遠位の縦方向端部に向かってモジュールの縦方向(図4における垂直方向)に延在する成分を有する。図4を参照すると、図示されているリテーナ31の長さは、固定端32の近くの地点P1とリテーナ31の自由端33のP2との間の距離である。長さの50%の中間部は地点P1とP2との内側領域であり、リテーナの長さの1/2の長さを有している。
【0029】
リテーナ31の長さの50%の中間部は、てこの力が最もリテーナ31に適用されそうな部位であるため、長さの50%の中間部の少なくとも1点でストッパ35がリテーナ31を支持できることが望ましい。しかしながら、ストッパ35はリテーナ31の長さの50%の中間部に配置されることに限定されず、リテーナ31の長さ全体またはさらに長く延在するようにしてもよい。
【0030】
ストッパ35は、リテーナ31の曲げ変形の量が所定の量に制限されるように、ストッパ35がリテーナ31、特にリテーナ31の中央部をしっかりと支持することができる形状を有してもよい。長さに沿って異なる位置でリテーナ31を支持するために、単一のストッパ、または複数のストッパを組み合わせて用いてもよい。この実施例では、単一のストッパ35がリテーナ31の反対側の底面に設けられており、リテーナ31の底面はストッパ35の上面と接触する範囲内および範囲外に移動することができる。代替的には、1以上のストッパがリテーナユニット30のベース部34に対向するリテーナ31の底面に固定されており、ベース部34の上面と接触および非接触となるようにリテーナ31と共に移動することができる。
【0031】
ストッパ35は、リテーナユニット30の一部か、あるいは別個に形成されてもよい。リテーナユニット30を取り外した状態の図2のモジュール10の横方向端部の一方を拡大斜視図である図6に示されるように、この実施形態では、ストッパ35はリテーナユニット30とは別個に形成され、リテーナユニット30を収容するキャビティ19の床部から上方に延在している。ストッパ35はキャビティ19の床部と、例えば鋳型によって一体的に形成されるか、あるいはキャビティ19とは別個に形成され、次いで、例えば超音波溶接といった便利な方法でキャビティ19の床部に固定されてもよい。リテーナユニット30は、ストッパ35の底面とキャビティ19の下壁との間のキャビティ19の空間に挿入され、例えば超音波溶接、圧着、スナップフィット等によってキャビティ19の内部に固定することができる。リテーナユニット30がキャビティ19に挿入される時、キャビティ19の床部は、リテーナユニット30のベース部34に形成される排水口部36と流体接続する排水口部17を有していてもよい。リテーナユニット30のベース部34とリテーナ31の底面との間、特にリテーナ31の固定端32の近くには、ストッパ35がベース部35またはリテーナ31と一体的に形成されるよりも広い空間があり、この付加的な空間によってリテーナユニット30の射出成型が容易になるため、この実施形態のようにストッパ35をリテーナユニット30と別個に形成することによってリテーナユニット30を形成するのが簡単になる。
【0032】
ストッパ35をキャビティ19の床部に固定する代わりに、リテーナユニット30上に装着することもできる。例えば、ストッパ35がリテーナユニット30とは別個に形成されて、キャビティ19に挿入される前後の何れかでリテーナユニット30をリテーナユニット30のベース部34の上面に固定してもよい。しかしながら、ストッパ35をキャビティ19の床部と一体的に形成すると、ストッパ35をリテーナユニット30に固定する追加のステップを実施する必要がなくなる。
【0033】
リテーナ31の長さの少なくとも50%の中間部で支持を提供できる限り、ストッパ35は様々な方法でリテーナ31を支持してもよい。例えば、リテーナ31の長さの50%の中間部の単一の地点、リテーナ31の長さに沿った1以上の連続的な部位における、リテーナ31の長さの50%の中間の少なくとも一点を含む、リテーナ31の長さに沿って互いに間隔を置いた複数の別個の地点、あるいは1以上の連続的な部位における1以上の別個の地点を組み合わせた地点で、リテーナ31を支持してもよい。ストッパ35とリテーナ31との間の連続的な接触部位は、非連続的に接触する部位よりも均一に、ストッパ35によってリテーナ31を支持する。好適には、リテーナ31の固定端32と自由端33との間のリテーナ31の底面の長さの少なくとも10%以上で、ストッパ35はリテーナ31と連続的に接触できる。リテーナ31の固定端と自由端との間のリテーナ31の底面の長さの少なくとも50%以上にわたって、ストッパ35がリテーナ31と連続的に接触できる場合、ストッパ35はさらに均一に支持されうる。本実施形態では、ストッパ35は、ストッパ35の長さ全体にわたってリテーナ31と連続的に接触することができ、これはリテーナ31の長さの約75%に相当する。
【0034】
ストッパ35の上面とリテーナ31の底面とが、長さの一部について連続的に接触するように意図される場合、連続的に接触するように意図される対向する部位は、好適に相補的な外形を有している。例えば、一方の面が凸状の場合、対向する面は凸状面と同一の外形を有する凹状とすることができるか、あるいはリテーナ31とストッパ35とが互いに接触する時に対向する面が互いに並行に延在する直線的な外形を有していてもよい。本実施形態では、長さの一部について曲がっていない状態(図5に示されるような状態)では、リテーナ31の底面は直線的な外形を有しており、ストッパ35の上面と同様に、図4の左端部で始まる部位にわたってリテーナ31の底面を相補する直線的な形状を有している。自由端33の近くでは、リテーナ31の底面は凹状の外形を有している。右端部では、ストッパ35の上面は、リテーナ31の凹状の外形を相補する凸状の外形を有している。
【0035】
ストッパ35の長さ全体についての制限はない。ストッパ35はリテーナ31の固定端32全体にわたって延在していてもよいが、本実施形態のように、例えばリテーナユニット30の挿入が簡単になるように固定端とストッパ35の左端部との間に隙間が残るようにしてもよい。同様にストッパ35の右端部とリテーナ31の自由端33との間に隙間があってもよい。代替的には、さらに、ストッパ35が自由端33まで、あるいはそれ以上に延在して、自由端33を収容する凹部を有していてもよい。
【0036】
リテーナユニット30のベース部34からモジュール10の縦方向に測定されるストッパ35の高さは、モジュール10の横方向に測定されるストッパ35の長さ全体にわたって一定、あるいは異なっていてもよい。図示されている実施形態では、ストッパ35の上面はわずかな線形テーパを有しており、リテーナ31の固定端32に最も近いストッパ35の端部からストッパ35の反対側の端部に向かって、ストッパ35の高さが直線的にわずかに減少している。
【0037】
ヒンジロッドの軸の移動経路の範囲内および範囲外で繰り返して撓曲可能である限り、リテーナ31が作られる材料についての制限はない。例えば、プラスチック、金属、およびその組み合わせを用いることができ、本発明では、先のコンベアベルトのモジュールのリテーナに提案されているものと同一の材料が適切である。リテーナユニット30のリテーナ31およびベース部34は互いに一体的に形成することができ、あるいは別個に形成されて、次いで適切な方法によって互いに取り付けられてもよい。同一の材料から形成される場合、射出成型によって単一のボディとしてリテーナユニット30全体を一体的に形成することが多くの場合は望ましい。
【0038】
図7は図4と同様の図であり、ねじ回しのような図示されていない部材によって、リテーナ31が固定端32の周りでストッパ35の上面と接触するほど十分に撓曲している状態を示している。リテーナ31がストッパ35と接触する時、リテーナ31は図4に示される状態から十分に撓曲しており、ヒンジロッドがリテーナ31の上を通り抜けてモジュール10に挿入したり取り出したりすることができるが、リテーナ31の応力は設計応力の範囲内となる。ストッパ35と接触する時のリテーナ31の曲げ量が、ヒンジロッドがリテーナ31を通り抜けるのに必要なリテーナ31の最小曲げ量よりも大きくすることも可能である。換言すると、ヒンジロッドがリテーナ31を通り抜けるのに十分なほどリテーナ31が撓曲している時、リテーナ31とストッパ35との間にはまだ隙間があることがある。しかしながら、モジュール10からヒンジロッドを取り出すために、ヒンジロッドの経路外にリテーナ31を動かすように技術者がリテーナ31上にてこの力を作用させる時、技術者にとって適用する力を正確に制御するのが難しいため、技術者は多くの場合ストッパ35に接触するまでリテーナ31を撓曲させてしまう。
【0039】
図7に示されるように、ストッパ35と接触するまで押しつけられている時のリテーナ31の変形は完全に弾性変形とすることができ、あるいは、この変形を生成している応力がリテーナ31の設計応力の範囲内にある限り、すなわち、ストッパ35に向かってリテーナ31を押圧している力を開放するとリテーナ31の自由端33が半径方向にボア14と重なって自由端33がヒンジロッドの運動経路を横切って延在している位置までリテーナ31が自動的に戻ることができる限り、リテーナ31の一部は塑性変形を含んでもよい。換言すると、リテーナ31が効果的に機能してヒンジロッドが引き抜かれるのを妨げるために、リテーナ31が図4に示されるような位置に完全に戻る必要はない。
【0040】
リテーナ31がてこの力によって押しつけられる時にリテーナ31がさらに曲げ変形しないように、ストッパ35は、自身に作用する力に抵抗するのに十分に硬質に作られてもよい。代替的には、ストッパ35がリテーナユニット30のベース部34に押しつけられてベース部34と共に機能して、ストッパ35に押しつけられるリテーナ31に作用する力に抵抗してもよい。リテーナ31が押圧される時にリテーナ31によって適用される力の下で、実質的に知覚できる程の曲げまたは圧縮が起こらないようにストッパ35は硬質であってもよく、リテーナ31の一部がストッパ35の上面と接触する時に、ストッパ35によってリテーナ31の一部に実質的にさらに変形が起こるのを妨げる。しかしながら、リテーナ31が最初に接触する時にストッパ35にある程度の変形が初めに起こり、ストッパ35の変形に対する抵抗が、ストッパ35が変形するにつれて増加して最終的にストッパ35がリテーナ31によってさらに曲げ変形するのを防ぐ点まで達することもある。
【0041】
ストッパ35は、リテーナユニット30と同一、または異なる材料から形成されてもよい。ストッパ35は通常、リテーナ31よりも撓曲が起こらないため、リテーナ31よりも幅広い範囲の材料がストッパ35に適合できる。
【0042】
モジュール10の他の部分が作られる材料についての制限はないが、最も一般には、モジュール10の他の部分はプラスチックの射出成型によって単一ボディとして形成される。コンベアベルトのモジュールの射出成型に通常用いられるプラスチックの例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびアセタールを含む。ガラス強化ポリプロピレンは特に、モジュール10の主要構造部が悪条件の環境に対して優れた強度を必要とする場合、モジュール10の他の部位(ストッパ35を含む)に適している。ガラス強化しない射出成形型のポリプロピレンは優れた曲げ特性を有しており、しばしばリテーナユニット30に好適である。
【0043】
図8は図2と同様の底面図であり、モジュール10にヒンジロッド25を装着する工程を図示している。モジュールの1つの後部の縦方向端部のボア14を他のモジュールの前部の縦方向端部のボア14と位置を合わせて、2つのモジュールが端と端で連続的に配置される時、通常この工程が行われる。しかしながら、理解を簡単にするために、図8は単一のモジュール10のみを示している。リテーナ31上に外力が作用していない時にリテーナ31の自由端33がボア14の半径方向においてヒンジアイ13のボア14と重なる状態を、図4に示されるような状態とみなす。ヒンジロッド25を装着するため、ヒンジロッド25は最初に、リテーナユニット30を収容しているキャビティ19の左側に向かって開放しているボア14の左側に挿入され、ヒンジロッド25が右側に動かされてリテーナ31の上面を押圧する。軸力が手動でヒンジロッド25に適用される時、リテーナ31は一般に十分に可撓性であり、リテーナ31の自由端33がヒンジアイ13のボア14を遮らないように、リテーナ31が下方に十分な量だけ撓曲して、ヒンジロッド25がリテーナ31の上をスライドしてボア14に挿入できる。ヒンジロッド25が挿入されている時にリテーナ31の底面がストッパ35の上面に接触することもあり得るが、ヒンジロッド25を挿入する時のリテーナ31の曲げ変形量はボア14およびヒンジロッド25の寸法によって十分に制御されるため、この時にリテーナ31とストッパ35との間にクリアランスを設けることも可能である。リテーナ31を完全に通り抜けて左端部がリテーナ31の自由端33の右側に移動するまで、ヒンジロッド25はボア14に挿入され続ける。ヒンジロッド25の左端部がリテーナ31を通り抜けると、リテーナ31が図4に示されるような位置にはね返って戻り、リテーナ31の自由端33がボア14の半径方向においてヒンジアイ13のボア14と重なってヒンジロッド25の軸移動を妨げ、これによりモジュール10の内部にヒンジロッド25が保持される。
【0044】
図2のモジュールの底面図である図9に示されるように、モジュール10からヒンジロッド25を取り外したい場合、技術者は通常、キャビティ19の上壁20とリテーナの上面との間にねじ回し26のような道具を挿入し、リテーナ31上にてこの力を作用させて、リテーナユニット30のベース部34に向かってリテーナ31がヒンジロッド25の経路を遮らなくなる位置まで撓曲させる。ねじ回し26によってリテーナ31がこの位置に保持された状態で、ヒンジロッド25の右側に軸力がかけられ、ヒンジロッド25の左端部がリテーナ31の自由端33の上に配置されるまで、図中の左にヒンジロッド25をスライドさせる。次いで、キャビティ19からねじ回し26を取り外すことができ、リテーナ31の自由端33の上を通り超えてボア14から完全に取り出されるまで、図9の左にヒンジロッド25が押される。ヒンジロッド25の右端部がリテーナ31の自由端33を通り過ぎると、リテーナ31の自由端33が半径方向においてモジュール10のボア14と重なる状態(図4に示されるような位置)までリテーナ31が自動的に戻る。
【0045】
技術者がねじ回しまたは他の部材でリテーナ31上にてこの力を作用させている場合、リテーナ31にかけている力の量、または力をかけているリテーナ31の正確な位置を慎重に制御することは技術者にとって難しい。いくつかの支持がない状態では、リテーナ31はてこの力によって簡単に破損しうる。従って、ボア14からヒンジロッド25を取り出すことができる程度に少なくとも十分にリテーナ31が撓曲している時、リテーナ31の長さの50%の中間部の1以上の地点でリテーナ31の底面がストッパ35の上面と接触し、ストッパ35によってリテーナ31にさらに曲げ変形が起こるのを防いでいる。上述のように、ストッパ35の位置および寸法は、リテーナ31がストッパ35によって支持される時にリテーナ31に生じる曲げ応力がリテーナ31の設計応力の範囲内となるようにする。ストッパ35によってリテーナ31が支持されている時に技術者がリテーナ31にかけるてこの力を増加させる場合、ストッパ35によってリテーナ31にさらなる曲げ変形が起こるのを防いでいるため、増加したてこの力はリテーナ31の曲げ応力を増加させず、リテーナ31が破損することなく簡単に耐えることが可能なリテーナ31の厚さ方向に作用する圧縮力を増加させる結果を主にもたらす。
【0046】
最初にリテーナ31を下方およびヒンジロッド25の経路外に撓曲させずにモジュール10からヒンジロッドを取り外そうとするために、技術者がヒンジロッド25の右端部に強い軸力を作用させた場合、ヒンジロッド25の左端部とリテーナ31の自由端33の間が接触することによって、リテーナ31はキャビティ19の上壁20へ上方に押しつけられる。この状態では、キャビティ19の上壁20はリテーナ31の上面を支持し、リテーナ31がさらに撓曲するのを妨げる。リテーナ31とキャビティ19の上壁20との間のこの接触によって、リテーナ31がヒンジロッド25により適用される力の下で撓曲によって破損するのを防いでいる。
【0047】
本発明によるモジュール式コンベアベルトは、モジュールの少なくとも1つが本発明によるモジュールである、端と端を連続的に連結した複数のモジュールを具える。コンベアベルトは本発明によるモジュールから全部が構成されるか、あるいは本発明による1以上のモジュールと連続している他の種類のモジュールまたは他の部材を具えてもよい。本発明によるモジュールは、リテーナ31を有する従来のモジュールと同一の方法でコンベアベルトに組み込むことができる。一例として、図10は、本発明によるモジュールをコンベアベルトに組み込むことができる方法の1つを図示している。図10は、コンベアベルトの一部を形成するために連続して連結された、本発明による複数のモジュールの底部の斜視図である。図10は、ヒンジロッド25によって互いに回動するように連結されているモジュールの2つの列40を示している。この実施例では、各列40は、コンベアベルトの横方向に平行して配置される2つのモジュール(第1または長いモジュール10Aおよび第2または短いモジュール10B)を具える。各列40の2つのモジュール10A、10Bは図1のモジュール10と同一の構造を有しており、長さに関しては互いに本質的に異なる。それぞれの列40の第1のモジュール10Aは、同一の列40の第2のモジュール10Bに対してモジュールの列40の面で180度回転し、対応している近接する列40のモジュールに対して、各モジュールがモジュールの列40の面で180度回転する。すなわち、第1のモジュール10Aの回転方向は連続する列40の間で180度異なり、第2のモジュール10Bの回転方向も同様に、連続する列40の間で180度異なる。モジュールが射出成型によって形成される時、第1および第2のモジュール10Aおよび10Bは、別個の成形作業の別個の金型から別個に形成されてもよい。しかしながら、複数の第1のモジュール10Aを成形するのに、第1のモジュール10Aに対応する単一の金型を使い、次いで第1のモジュール10Aのいくつかを適切な長さに切断することによって第2のモジュール10Bを得るほうが、経済的であろう。図10に示されるのと同様の方法で任意の数の同様の列40を連結して、所望の長さを有するコンベアベルトを得ることができる。列40の幅が、並列して配置される2つのモジュールによって提供できるよりも広い必要がある場合、列40の横方向端部のモジュールの間の列40の中央に1以上の追加のモジュールを挿入して、所望の幅を有する列を得ることができる。列40の中央のモジュールは、通常はリテーナを具備していない。
【0048】
図10に示される装置では、1つの第1のモジュール10Aのリテーナ31A(図4に示されるリテーナ31と同一の構造を有する)によって、各ヒンジロッド25の一端が保持され、近接する列40の1つの第2のモジュール10Bのリテーナ31B(リテーナ31Aと同一の構造を有する)によって、ヒンジロッド25の他端が保持される。この装置では、コンベアベルトの横方向端部の一方から、モジュールからヒンジロッド25が挿入または取り外しできる。しかしながら、ヒンジロッドが列の端部から横方向に不注意で取り出されるのを防ぐために反対側の横方向端部にいくつかの他の手段が提供されている限り、モジュールの列の横方向端部の一方のみに本発明によるリテーナ31を設けることも可能である。図10では、単一のヒンジロッド25によってモジュールの各列が隣接するモジュールの列に連結されているが、互いに連結されることなく複数のヒンジロッド25が端と端に配置されて、隣接するモジュールの列を連結してもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式コンベアベルト用のモジュールにおいて、第1および第2の縦方向端部と、前記第1および第2の縦方向端部の間に配置される積荷を支持する上面と、前記第1および第2の縦方向端部の一方に形成されたヒンジロッドを受けるためのボアと、固定端と自由端とを有するリテーナであって、前記リテーナが前記ボアからヒンジロッドが取り出されるのを妨げる第1の状態と、ヒンジロッドが前記リテーナの上を通り抜けて前記ボアから取り出すことができる第2の状態との間で撓曲可能であるリテーナと、前記リテーナが第2の位置にある時に前記リテーナの長さの50%の中間の位置で前記リテーナを支持するストッパとを具えること特徴とするモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュールにおいて、前記リテーナが、前記ストッパに対し、当該ストッパと接触および非接触となるように可動すること特徴とするモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のモジュールにおいて、前記リテーナが前記ストッパと離れた位置にある時、前記リテーナの上を通り抜けることによってヒンジロッドを前記ボアから取り出すことができることを特徴とするモジュール。
【請求項4】
請求項2に記載のモジュールにおいて、前記リテーナおよび前記ストッパが、相補的な形状を有し対向する面を有することを特徴とするモジュール。
【請求項5】
請求項2に記載のモジュールにおいて、前記リテーナが第2の状態にある時、前記ストッパが、前記リテーナの長さの少なくとも10%にわたって前記リテーナと連続的に接触することを特徴とするモジュール。
【請求項6】
請求項2に記載のモジュールにおいて、前記リテーナが第2の状態にある時、前記ストッパが、前記リテーナの長さの少なくとも50%にわたって前記リテーナと連続的に接触することを特徴とするモジュール。
【請求項7】
請求項1に記載のモジュールにおいて、前記リテーナおよび前記ストッパが、異なる材料から形成されることを特徴とするモジュール。
【請求項8】
請求項2に記載のモジュールにおいて、前記ボアと接続しているキャビティを具えており、前記ストッパが前記キャビティの床部に固定されることを特徴とするモジュール。
【請求項9】
請求項8に記載のモジュールにおいて、前記ストッパが、鋳造によって前記キャビティの前記床部と一体的に形成されることを特徴とするモジュール。
【請求項10】
請求項8に記載のモジュールにおいて、前記リテーナと前記リテーナの固定端に固定されるベース部とを具えるリテーナユニットを具えており、前記リテーナユニットが、前記ベース部と前記リテーナとの間に配置される前記ストッパで前記キャビティ内に装着されることを特徴とするモジュール。
【請求項11】
請求項8に記載のモジュールにおいて、前記キャビティが、前記固定端から前記リテーナの前記自由端に向かって増加する高さと、前記リテーナが第1の状態にある時に前記リテーナの上面とほぼ並行の上壁とを有することを特徴とするモジュール。
【請求項12】
モジュール式コンベアベルト用モジュールにおいて、第1および第2の縦方向端部と、前記第1および第2の縦方向端部の間に配置される積荷を支持する上面と、前記第1および第2縦方向端部の一方に形成されたヒンジロッドを受けるためのボアと、固定端と自由端とを有するリテーナと、前記リテーナの底面と対向するストッパとを具えており、前記リテーナが前記ボアからヒンジロッドが取り出されるのを妨げる第1の状態と、ヒンジロッドが前記リテーナの上を通り抜けて前記ボアから取り出すことができ、前記リテーナが設計応力を超えることなく前記リテーナの長さの50%の中間部で前記ストッパが前記リテーナの底面と接触する第2の状態との間で、前記固定端の周りを前記リテーナが撓曲可能であることを特徴とするモジュール。
【請求項13】
請求項12に記載のモジュールにおいて、前記リテーナが塑性変形することなく、前記ストッパが、前記リテーナの長さの50%の中間部で前記リテーナの底面と接触できることを特徴とするモジュール。
【請求項14】
モジュール式コンベアベルト用モジュールにおいて、第1および第2の縦方向端部と、前記第1および第2の縦方向端部の間に配置される積荷を支持する上面と、前記第1および第2の縦方向端部の一方に形成されたヒンジロッドを受けるためのボアと、前記ボアと関連付けられ、固定端と自由端とを有しており、前記固定端の周りで撓曲して前記ボアの半径方向に前記ボアと重なるか重ならないよう前記自由端を動かすことができるリテーナと、前記リテーナの底面と対向するストッパとを具えており、前記リテーナが設計応力を越えることなく、前記リテーナの長さの50%の中間部で前記リテーナが前記ストッパと接触できることを特徴とするモジュール。
【請求項15】
モジュール式コンベアベルト用モジュールにおいて、第1および第2の縦方向端部と、前記第1および第2の縦方向端部の間に配置される積荷を支持する上面と、前記第1および第2の縦方向端部の一方に形成されたヒンジロッドを受けるためのボアと、リテーナが前記ボアからヒンジロッドが取り出されるのを妨げることができる第1の状態と、固定端と自由端とを有し、ヒンジロッドが前記リテーナの上を通り抜けて前記ボアから取り出すことができる第2の状態との間に前記固定端の周りで撓曲可能なリテーナとを具えており、第1および第2の状態の間で前記リテーナが撓曲する時に前記リテーナと共に移動する第1の面と、前記第1の面と対向し、前記リテーナが第2の状態にある時に前記リテーナが設計応力を超えることなく、前記リテーナの長さの50%の中間で前記第1の面と接触する第2の面とを具えることを特徴とするモジュール。
【請求項16】
モジュール式コンベアベルトにおいて、ヒンジロッドによって回動するように連続して連結される複数のモジュールを具えており、請求項1、11、14、および15の何れか1項に記載のモジュールを具えることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項17】
ヒンジロッドを受けるためのボアを有するコンベアベルトのモジュールからヒンジロッドを取り外す方法において、前記モジュールのリテーナに力をかけて、前記リテーナが前記ボアの前記ヒンジロッドの軸の移動経路を横切って位置する第1の状態から、前記リテーナが前記ヒンジロッドの軸の移動経路外に位置しており、前記リテーナが設計応力を超えることなく、前記リテーナの長さの50%の中間部で前記リテーナの底面が前記リテーナの底面と対向するストッパの上面と接触する第2の状態まで前記リテーナを撓曲させるステップと、前記リテーナの上を前記ヒンジロッドが通り抜けるように前記ヒンジロッドを軸方向に移動させるステップと、を具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記リテーナを塑性変形させることなく、前記リテーナの長さの少なくとも10%に延在している連続的な部位にわたって、前記リテーナの前記底面を前記ストッパの上面に接触させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、前記リテーナを塑性変形させることなく、前記リテーナの長さの少なくとも50%に延在している連続的な部位にわたって、前記リテーナの底面を前記ストッパの上面に接触させるステップを具えることを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−508710(P2011−508710A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540869(P2010−540869)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/088192
【国際公開番号】WO2009/086395
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】