説明

モジュール式コンベヤベルト用の積層アタッチメント

モジュール式コンベヤベルト用の取り外し可能な積層式型アタッチメント。アタッチメント、例えばバケットは、隣接する並んだ層が整列した積層体で構成された一群の部品を具えている。内側部品が最外層の端部の部品間に挟まれている。積層体の部品の数及び幅は、得られる積層アタッチメントの幅を規定する。このような方式では、選択幅のアタッチメントをコンベヤベルトに取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的に、動力駆動のコンベヤベルトに関し、特に、積み重なった層で部品が形成されるモジュール式のコンベヤベルトアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、平らなコンベヤベルトは、多くの場合、運ぶための特定な適用に合うような装備を有している。フライト(flight)、バケット又はへら(scoop)をコンベヤベルトに付けることで、物品、液体、又は凝集体を上に傾けて運び易くする。これらの装備は、ベルト又はベルトモジュールに一体成形され、又はベルトに取り付けられる別々の部品である。装備を具えたプラスチックのベルト式モジュールの幾何学的形状が、一体部品として成形することを困難にする場合、別々に装備を成形してコンベヤベルトに取り付け得る。しかしながら、ある装備自身が成形を困難にする幾何学的形状を有する可能性がある。例えば、閉鎖端及びアンダーカットした部分を有する部分が成形を困難にする可能性がある。さらに、ベルトモジュールに一体成形されようが又は別々に成形されようが、一定の寸法を有する装備がある適用例に最適に適合しない可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明に係る態様を実施するコンベヤによって、これらの及び他の欠点を克服する。一態様では、コンベヤが、モジュール式コンベヤベルトと、選択幅のアタッチメントと、を具えている。アタッチメントは、隣接する並んだ層が整列した積層体で構成された個別の幅の部品でできている。積層体の少なくとも1の部品が、ベルトの外面の外側のモジュール式コンベヤベルトにアタッチメントを結合するための結合構造を有している。
【0004】
本発明の別の態様では、モジュール式コンベヤ用のアタッチメントが、複数の部品であって、それぞれが個別の幅を有し、隣接する並んだ層が整列した積層体で構成された複数の部品を具えている。結合手段が、層を保持して選択幅の積層体を形成する。積層体の少なくとも1の部品が、モジュール式コンベヤベルトにアタッチメントを結合する結合構造を有している。
【0005】
本発明に係る別の態様が、選択幅のモジュール式コンベヤベルトのアタッチメントを組み立てるための方法が:(a)個別の幅を有する一連のコンベヤベルトのアタッチメント部品を、選択幅の隣り合う並んだ層が整列した積層体に配列するステップと;(b)コンベヤベルトへの取付の前に部品の積層体を結合してアタッチメントを形成するステップと;を具えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面を参照することによって、本発明のこれらの形態及び態様をその利点とともに、より良く理解される。
【0007】
【図1】図1は、本発明の態様を実施する積層型アタッチメントの典型的な種類の等角図である。
【図2】図2は、コンベヤベルトモジュールへの取付を示す図1の積層型アタッチメントの分解図である。
【図3】図3A及び3Bは、図1の積層型アタッチメントの内側部品の各面の斜視図である。
【図4】図4A及び4Bは、図1の積層型アタッチメントの最外部品のうちの一方の両面の斜視図である。
【図5】図5A及び5Bは、図1の積層型アタッチメントの他方の最外部品の両面の斜視図である。
【図6】図6は、図1の積層型アタッチメントを具えたモジュール式ベルトコンベヤの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る態様を実施する積層型アタッチメントを図1及び図2に示す。図示するアタッチメントは、1又はそれ以上のコンベヤベルトモジュール14の外面12に取り付けられるバケット10である。このバケットは、その6つの面のうち5つが閉じた略矩形状の角柱である。その開口する側は、持ち上げられる物品がそれを通してバケットの中に入る口部16を形成する。コンベヤベルトは、バケットの口部がリードする状態で(口部を先頭として)ベルトの移動方向18に前進する。
【0009】
バケットは、内側部品20、右端部品22、及び左端部品23といった部品の集まりで構成されている。各部品は、好適には、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はナイロンといった熱可塑性ポリマーから個別に成形される。その閉じた面を具えたバケット全体の幾何学的形状及びその開口に沿った張り出した舌部が、一体の部品としてバケットを成形することを困難にしている。これは、バケットが積層構成に適しているためである。バケットの各部品は積層体の個別の層を形成し、最外層の間に内側層が並列に挟まれている。各部品は、他の部品の幅と同じか又は異なる個別の幅を有している。本実施例では、内側部品20が全て同じ幅を有しており、最外部品22,23が同じ幅を有している。最外部品の幅は、内側部品の幅よりも小さい。任意の数の個別の幅のこれらの部品を並べて積層して積層体を形成することによって、選択幅のバケットを作製し得る。
【0010】
図2に示すように、各部品は3つの穴24を有している。各穴は積層体の他の部品の同じ穴と整合している。整合した穴の3つのセットが、積層した層を通って延びる横方向の通路26を形成する。ロッド28が通路に受容される。このロッドは、ボルト又はナット29用に両端にネジを切ったものであり、一直線上に層を纏めるよう固定具として機能する。このように、ロッド及びその固定具とともに積層体の揃った穴が、層を結合するための手段を構成する。
【0011】
積層したバケット10は、ピン30で結合することによって1又はそれ以上のベルトモジュール14に取り付けられる。少なくともいくつかの部品が、結合構造34に形成された開口部32を有している。本実施例では、結合構造が、モジュール式ベルトの外面12に取り付けるバケットの側面から延びる台形の歯部を形成する。直立した支持体36がベルトモジュールの幅にわたって間隔を空けて並んでいる。バケットがベルトの所定の位置に位置すると、支持体の開口38がバケットの歯部の開口と揃う。結合ピン30が整合したこれらの開口を通って延びて、バケットアタッチメントをベルトに堅く保持する。アタッチメントは、結合ピンから取り外すことによって交換のために容易に取り外される。ベルトモジュールの外面のレセプタクル39は歯部の端部を受容して、取り付けたバケットを安定化させる。
【0012】
図1に示すように、バケットの選択幅は図示したベルトモジュールの幅を超えているが、モジュールの幅と等しいか又はそれよりも小さい幅のバケットを選んでもよい。図2に示すように、バケットが、並んでいる2のベルトモジュールに取り付けられている。また、図示するように、バケットの層を形成する部品の個別の幅は、部品が取り付けられるベルトモジュールの幅よりも小さい。
【0013】
バケットの内側部品20の態様を図3A及び3Bに示す。この部品は、C形の端部に舌部40,41を具えたC形である。外側舌部40がC形の口の上方に延びている。内側舌部41がこの口から外側に延びており、ベルトの外面に載る脚部として機能してバケットの支持を補助する。また、別の支持脚42が内側部品の内面から延びている。取付開口32を具えた歯部34が、舌部とY形の脚部との間にある。リブ、又はビード(bead)44が、部品の右側エッジ46の全長の大部分に延びている。このビードは、部品の左側エッジ47の中に凹んだ相補的な溝部48と整合する。さらに、このようなビード及び溝部の構成により、積層体の層が揃い易くなり、バケットが防水となる。穴26が補強ボス50を通って延びている。
【0014】
図4A及び4Bに示す最外部品22がバケットの右側の閉鎖端を形成する。右端部品の内側エッジ52は、隣接する内側部品のビードを受容する大きさであるという点で内側部品のエッジの溝部に似た溝部48を有している。エンドプレート54がバケットの閉鎖端を形成する。右端部品にエンドプレートが設けられ及びこれに結合構造がないことを除けば、エンドプレートと平行な面における部品の断面が、図3A及び3Bの内側部品のそれと略同一である。右端部品の外面56は、端部部品の外面の周囲を形成する突出リム60間を延びる補強リブ58を有している。エンドプレートを通る開口部62に結合ピンを通すことが可能である。
【0015】
左側の最外部品64を図5A及び5Bに示す。この部品は、その内側エッジ66に沿った溝部の代わりにビード44を有する点を除いて、反対側の閉鎖端の部品と同じである。さらに、右側部品が有するような円形の開口部を有する代わりに、左側部品は開口スロット68を有しており、結合構造の中に結合ロッドを入れることが可能である。
【0016】
積層したバケットアタッチメント10を有するモジュール式のコンベヤベルト70を、図6の鉛直に向いたコンベヤ72で示す。鉛直に向いたコンベヤを、例えば、鉛直方向に動くウォータスクリーンとして使用してもよい。このような適用例におけるバケットを使用して、危険な冷却水又はタービンの吸入口の正面から魚又は他の水生生物を離すよう持ち上げてもよい。図2に示すようにベルトにバケットが結合され、ベルトの外面73の外側に延びる。コンベヤベルトは、図1及び2のような1又はそれ以上のベルトモジュール14の一連の列74で構成されている。ベルトモジュールは、好適には、ベルトの厚さを通して延びる穿孔76を有しており、水が流れ得る。モジュールは、各列が隣接するモジュール間の継ぎ目78を具えて並んで構成されている。またモジュールは、好適には、強度のためにれんが積みのパターンで並べられている。列の先端及び後端に沿ったヒンジの目(図1の符号80)が、隣接する列の隣接する端部に沿ったヒンジの目に対して交互に配置されている。並んだヒンジの目に挿入されたヒンジロッド82が、列を接合し得るヒンジ結合部で隣接するベルトの列を結合する。バケットの積層構成により特定の要求に合う様々な幅にそれを作製し得る。バケットアタッチメントは1つのモジュールに取り付けてよく、又は隣接するモジュール間の継ぎ目に架けてもよい。
【0017】
好適な種類を参照して本発明を詳細に説明したが、他の種類が可能である。バケットの他に、層状に構成可能な他のアタッチメントは、例えば、真っ直ぐなフライト(flight)、穴の開いたフライト、リブの付いたフライト、及び湾曲又は曲がったフライト又はへら(scoop)を有している。他の実施例では、結合構造を有し又はこれを有しない異なる幅で内側層を成形することができ、様々な幅のアタッチメントを作製し得る。図示する結合構造は一例を表している。他の実施例は、オフセットして並んだ穴を通る2つの結合ピン及びベルト構造に引っ掛かる結合構造を有している。このように、これらの数例が示すように、本発明の範囲及び精神は、詳細に説明された種類に限定されることを意味するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を有するモジュール式コンベヤベルトと;
それぞれが個別の幅を有する複数の部品を含んだ選択幅のアタッチメントであって、隣接する並んだ層が整列した積層体で構成されて前記選択幅のアタッチメントを形成するアタッチメントと;
を具えており、
前記積層体の少なくとも1の前記部品が、前記アタッチメントが前記外面の外側に配置された状態で前記モジュール式コンベヤベルトに前記アタッチメントを結合するための結合構造を有していることを特徴とするコンベヤ。
【請求項2】
前記部品のうちの少なくとも2が異なる幅を有していることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項3】
前記整列した積層体の前記部品が、前記積層体を通る通路を形成する整列した穴部を有しており、前記積層体の整列を保持すべくロッドを収容し得ることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項4】
前記モジュール式コンベヤベルトが、隣接するモジュール間の継ぎ目によって1つの列に分けられた複数のベルトモジュールの一連の列を具えており、
前記アタッチメントが前記継ぎ目のうちの少なくとも1つに架かっていることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項5】
前記部品の個別の幅が、前記ベルトモジュールよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のコンベヤ。
【請求項6】
前記アタッチメントが、前記モジュール式コンベヤベルトの前記外面から外側に延在するバケットを形成することを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項7】
前記部品のうちの少なくともいくつかが、略C形状であることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項8】
前記C形状の部品が、前記C形の各端部から略同一の方向に延在する舌部を有していることを特徴とする請求項7に記載のコンベヤ。
【請求項9】
前記モジュール式コンベヤベルトが、前記コンベヤベルトの前記外面の幅にわたって間隔を空けて直立した支持部であって、それを通る開口部を具える支持部を有しており、
前記結合構造が、前記支持部の前記開口部と並んだ開口部を有しており、さらに、並んだ前記開口部に受容される結合ピンを具えており、前記モジュール式コンベヤベルトに前記アタッチメントを結合することを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項10】
前記結合構造が歯部を有しており、
前記モジュール式コンベヤベルトが、前記歯部を受容するための受容可能な開口部を前記外面に有していることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項11】
前記部品のうちの少なくとも1が、前記アタッチメントを前記ベルトに取り付けた場合に前記コンベヤベルトの前記外面の上に載る脚部を有していることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項12】
内側層を形成している部品が、前記積層体の隣接する部品の第2及び第1のエッジに接触する反対側の第1及び第2のエッジを有し、
前記第1のエッジが、前記第1のエッジの全長に沿って延びるビード(bead)を有しており、
前記第2のエッジが、前記第2のエッジの全長に沿って延びる溝部を有して前記隣接する部品の前記第1のエッジの前記ビードを受容することを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項13】
前記積層体の最外層を形成する前記部品が、前記積層体の前記内側層を形成する前記部品と異なることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ。
【請求項14】
モジュール式コンベヤベルト用のアタッチメントであって、
それぞれが個別の幅を有し、隣接する並んだ層が整列した積層体で構成された複数の部品と;
前記部品の層を結合して選択幅の前記積層体を形成するための手段と;
を具えており、
前記積層体の前記部品の少なくとも1が、モジュール式コンベヤベルトに前記アタッチメントを結合するための結合構造を有していることを特徴とするアタッチメント。
【請求項15】
前記結合手段が、前記積層体を通って延在する通路を形成するそれぞれの前記部品の整列した穴部と、前記通路を通って延在するロッドと、前記部品の層を一緒に保持するための前記ロッドの端部の締結具と、を具えていることを特徴とする請求項14に記載のアタッチメント。
【請求項16】
前記積層体が、1対の外側層の間に挟まれた内側層を有しており、
前記内側層を形成する部品が、最外層を形成する前記部品と断面が異なることを特徴とする請求項14に記載のアタッチメント。
【請求項17】
前記積層体が、1対の外側層の間に挟まれた内側層を有しており、
前記内側層を形成する部品が、前記積層体の隣接する部品の第2及び第1のエッジに接触する反対側の第1及び第2のエッジを有しており、
前記第1のエッジが、前記第1のエッジの全長に沿って延びるビードを有しており、
前記第2のエッジが、前記第2のエッジの全長に沿って延びる溝部を有して前記隣接する部品の前記第1のエッジの前記ビードを受容することを特徴とする請求項14に記載のアタッチメント。
【請求項18】
前記積層体が、1対の外側層間に挟まれた内側層を有しており、
前記内側層を形成する前記部品が略C形状であることを特徴とする請求項14に記載のアタッチメント。
【請求項19】
選択幅のモジュール式コンベヤベルトのアタッチメントを組み立てるための方法であって、
個別の幅を有する一連のコンベヤベルトのアタッチメント部品を、隣接する並んだ層が整列した前記選択幅を有する積層体に配列するステップと;
コンベヤベルトへの取付の前に前記部品の積層体を結合して前記アタッチメントを形成するステップと;
を具えていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−519151(P2010−519151A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550965(P2009−550965)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/053830
【国際公開番号】WO2008/103585
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】