説明

モジュール式換気システム

対象は、モジュール式換気システムによって機械的に酸素を供給される。システムのモジュール方式は、改善された利便性、快適性及び/又はフォームファクタを有してシステムが治療環境に組み入れられることを可能にする。システムは、異なるモジュールと着脱自在に結合される別個のドッキングステーションを有してよい。これは、別個のモジュールが、複数の異なる治療環境の間で患者の有無によらずに動かされることを可能にする。ガスは、システムによって1又はそれ以上のガス源から対象へ供給され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象に機械的に酸素を供給するよう構成されるモジュール式換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者に機械的に酸素を供給するシステムが知られている。従来の換気システムは、通常は、人工呼吸器を付けている患者による吸気及び呼気を起こさせるよう構成された単一ユニットを有する。呼気は、肺が膨らんでいる間対象の気道からガスを排出することによって、起こる。このユニットは、カート、電源、ガス源、又はユーザインターフェースに着脱自在に取り付けられてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ユニット自体は、使用中、単一の一体モジュールとして残る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、対象に機械的に酸素を供給するよう構成される人工呼吸器に関する。一実施形態において、人工呼吸器は、対象インターフェース回路、吸気供給モジュール、及び呼気モジュールを有する。前記対象インターフェース回路は、前記対象の気道及び対象インターフェース回路の内部が流体連通状態において配置され且つ雰囲気から実質的に密閉されるように前記対象の気道に係合するよう構成される対象インターフェース器具を有する。前記吸気供給モジュールは、第1の筐体に収容される。前記吸気供給モジュールは、前記対象インターフェース回路へ結合され、該対象インターフェース回路内に呼吸に適したガスのフローを供給して、前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路内の1又はそれ以上のパラメータを制御するよう構成される。前記呼気モジュールは、第2の筐体に収容され、該第2の筐体が前記第1の筐体から分離されるように前記吸気供給モジュールから分離されて別個である。前記呼気モジュールは、前記対象インターフェース回路へ結合され、該対象インターフェース回路から選択的にガスを排出して、前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路内の1又はそれ以上のパラメータをさらに制御するよう構成される。
【0005】
本発明の他の態様は、対象に機械的に酸素を供給する方法に関する。一実施形態において、方法は、第1の筐体から、前記対象の気道と密閉連通状態にある対象インターフェース回路へ呼吸に適したガスのフローを供給する供給ステップであって、前記呼吸に適したガスのフローが、前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路における1又はそれ以上のパラメータを制御するよう前記対象インターフェース回路及び前記対象の気道を通って前記対象の肺へ供給されるように、前記呼吸に適したガスのフローの1又はそれ以上のパラメータを制御することを含む前記供給ステップ;及び前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路における1又はそれ以上のパラメータを制御するよう、前記第1の筐体から物理的に分離されて別個である第2の筐体を介して前記対象インターフェース回路からガスを選択的に排出する排出ステップを有する。
【0006】
本発明の更なる他の態様は、対象に機械的に酸素を供給するよう構成されるシステムに関する。一実施形態において、システムは、
前記対象の気道を雰囲気から実質的に密閉するよう前記対象の気道に係合する係合手段;第1の筐体から前記係合手段へ呼吸に適したガスのフローを供給する供給手段であって、前記対象の機械的な換気の間前記係合手段における1又はそれ以上のパラメータを制御するよう前記呼吸に適したガスのフローの1又はそれ以上のパラメータを制御する制御手段を有する前記供給手段;及び前記対象の機械的な換気の間前記係合手段における1又はそれ以上のパラメータを制御するよう、前記第1の筐体から物理的に分離されて別個である第2の筐体を介して前記係合手段からガスを選択的に排出する排出手段を有する。
【0007】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴及び特性と、関連する構成要素の動作方法及び機能並びに製品の効率的使用及び部品の組み合わせとは、添付の図面を参照して本明細書の一部を形成する以下の説明及び添付の特許請求の範囲を検討することで、より明らかになるであろう。なお、同じ参照符号は、様々な図において、対応する部分を表す。本発明の一実施形態において、本願で説明される構成部品は、誇張することなく図示される。しかし、当然のことながら、図面は、単に例示及び説明のためであり、本発明の限定ではない。さらに、当然のことながら、本願におけるいずれか1つの実施形態において図示及び記載される構造上の特徴は、他の実施形態においても使用され得る。しかし、当然のことながら、図面は、単に例示及び説明のためであり、本発明の限定の定義として意図されない。明細書及び特許請求の範囲において使用されるように、特に個数が限定されていない要素又は「前記」を付された要素は、特に言及されない限りは、複数個を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の1又はそれ以上の実施形態に従う、対象に機械的に酸素を供給するよう構成されるシステムを表す。
【図2】本発明の1又はそれ以上の実施形態に従う、対象に機械的に酸素を供給するよう構成されるシステムを表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、対象12に機械的に酸素を供給するよう構成されるシステム10を表す。システム10は、別個の物理モジュールに分けられてよい。システム10のモジュール方式は、改善された利便性、快適性及び/又はフォームファクタを有してシステム10が治療環境に組み入れられることを可能にすることができる。システム10は、異なるモジュールと着脱自在に結合される別個のドッキングステーションを有してよい。これは、別個のモジュールが複数の異なる治療環境の間で患者の有無によらずに動かされることを可能にすることができる。ガスは、システム10によって1又はそれ以上のガス源14から対象12へ供給されてよい。一実施形態において、システム10は、対象インターフェース回路16、ユーザインターフェースモジュール18、吸気供給モジュール20、呼気モジュール22、及び/又は他のコンポーネントを有してよい。
【0010】
ガス源14は、加圧ガスの源を有する。ガスは、典型的な雰囲気ガス、特定の組成(例えば、洗浄された酸素、医療用空気、ヘリウム及び酸素の混合、及び/又は他の特定の組成)を有するガス、及び/又は加圧ガスの他の源を有してよい。ガスを加圧するよう、ガス源14は、加圧下で蓄えられ、ガス源14内で機械的に加圧され、且つ/あるいは、別なふうに加圧されてよい。限定されない例として、ガス源14は、ブロワー、送風機、キャニスタ、ウォールガス、及び/又は他の加圧ガス源を有してよい。
【0011】
対象インターフェース回路16は、導管24、対象インターフェース器具26、及び/又は他のコンポーネントを有する。導管24は、雰囲気から実質的に密閉されたガスのためのフロー経路を形成する中空部材である。導管24は、例えば、可塑性の管類、及び/又はフロー経路を形成するのに適した他の部材から、形成されてよい。導管24は、吸気供給ブランチ30、呼気ブランチ28、及び対象インターフェースブランチ32を有する。導管24は単一部品として表されているが、導管24が互いから選択的に着脱自在である別個の部分を有して構成されてよいことは明らかである。例えば、吸気供給ブランチ30、呼気ブランチ28及び/又は対象インターフェースブランチ32は、互いから着脱自在であってよい。
【0012】
対象インターフェース器具26は、対象12が快適に酸素を供給されることを可能にするように対象12の気道に係合するよう構成された装置である。これは、対象12の気道及び対象インターフェースブランチ32の内部が流体連通状態において配置され且つ雰囲気から実質的に密閉されるように、対象12の気道と係合することを含んでよい。限定されない例として、対象インターフェース器具26は、気管内チューブ、完全なフェイスマスク、部分的なフェイスマスク、及び/又は他の対象インターフェース器具を有してよい。
【0013】
ユーザインターフェースモジュール18は、システム10と1又はそれ以上のユーザ(例えば、対象12、介護者、治療決定記録者、等)との間のインターフェースを提供するよう構成され、それを介して、ユーザは、システム10との間で情報をやり取りしてよい。これは、データ、結果、並びに/又は命令及びその他の通信事項(集合的に、「情報」と呼ばれる。)が、吸気供給モジュール20、呼気モジュール22、及び/又はシステム10の他のコンポーネントのうち1又はそれ以上とユーザとの間でやり取りされることを可能にする。ユーザインターフェースモジュール18に包含されるのに適したインターフェース装置の例には、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロフォン、インジケータ灯、警報器、及びプリンタがある。その機能が以下で更に論じられる一実施形態において、ユーザインターフェースモジュール18は、実際には、複数の別個のインターフェースを有する。
【0014】
当然のことながら、ハードワイヤード又は無線のいずれかによる他の通信技術も、ユーザインターフェースモジュール18内で本発明によって考えられている。例えば、本発明は、ユーザインターフェースモジュール18がリムーバブル記憶インターフェースと一体化されてよいと考える。この例において、情報は、ユーザがシステム10の実施をカスタマイズし又はシステム10から結果を受け取ることを可能にするリムーバブル記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュデバイス、リムーバブルディスク、等)からユーザインターフェースモジュール18にロードされてよい。ユーザインターフェースモジュール18内でシステム10とともに使用されるよう適応された他の例となる入力装置及び技術は、RS−232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル又は他)を含むが、それらに限定されない。要約すれば、システム10と情報をやり取りするためのあらゆる技術が、ユーザインターフェースモジュール18内で本発明によって考えられている。
【0015】
一実施形態において、ユーザインターフェースモジュール18は、第1の筐体34に収容されている。第1の筐体34は、ユーザインターフェースモジュール18を囲んでよく、視覚的にユーザと情報をやり取りするユーザインターフェースモジュール18のあらゆるコンポーネント(例えば、電子ディスプレイ、信号灯、等)を内蔵してよい。ある場合に、第1の筐体34は、人工呼吸器カート及び/又は換気治療環境において共通な他の構造に着脱自在に取付可能及び/又はドッキング可能であってよい。
【0016】
一実施形態において、ユーザインターフェースモジュール18は、第1のインターフェース及び別個の第2のインターフェースを有してよい。第1のインターフェースは、介護者及び/又は治療決定記録者によって使用されるよう構成される。このインターフェースは、ユーザがシステム10によって対象12に提供される換気治療のパラメータを具体的に設定することを可能にすべく、比較的複雑でありうる。第2のインターフェースは、対象12によって使用されるよう構成される。対象12は換気治療において同程度の習熟度を有していない可能性があるので、及び/又は対象12は少なくとも幾つかの局面の換気に対して自由な制御を有するべきではないので、第2のインターフェースはいくらか複雑であってよく、且つ/あるいは、第1のインターフェースよりも広範囲でない制御を提供してよい。例えば、第2のインターフェースは携帯型のリモコンであってよい。ユーザインターフェースモジュール18が第1のインターフェース及び第2のインターフェースを有する実施形態において、第1のインターフェースは第1の筐体34内に収容されてよく、一方、患者によって使用される第2のインターフェースは第1のインターフェースから物理的に分離されてよい。
【0017】
吸気供給モジュール20は、対象インターフェース回路16へ呼吸に適したガスのフローを供給するよう構成される。吸気供給モジュール20は、呼吸に適したガスのフローが、対象12の機械的な換気を達成するよう及び/又は他の治療的有用性を提供するよう、対象インターフェース回路16及び対象12の気道を通って対象12の肺へ供給されるように、呼吸に適したガスのフローの1又はそれ以上のパラメータを制御するよう構成される。1又はそれ以上のパラメータは、例えば、圧力、フローレート、呼吸速度、最大流量、体積、湿度、組成、及び/又は呼吸に適したガスのフローの他のパラメータを含んでよい。吸気供給モジュール20は、1又はそれ以上のガス注入口36、ガス出口38、補助出口40、1又はそれ以上の一次バルブ42、補助バルブ44、電子記憶装置46、プロセッサ48、吸気供給モジュール20及び/又は対象インターフェース回路16内のガスの1又はそれ以上のパラメータ(例えば、フロー、圧力、湿度、組成、等)をモニタする1又はそれ以上のセンサ49のうち1又はそれ以上を有してよく、且つ/あるいは、他のコンポーネントを有してよい。当然のことながら、図1におけるセンサ49の位置は、限定するよう意図されない。1又はそれ以上のセンサは、センサ49が吸気供給モジュール20及び/又は対象インターフェース器具26内のガスの1又はそれ以上のパラメータを検出することを可能にするそれらの内部の如何なる位置にも配置されてよい。
【0018】
吸気供給モジュール20は、第2の筐体50によって収容されている。第2の筐体50は、ユーザインターフェースモジュール18が吸気供給モジュール20から物理的に分離されるように、第1の筐体34から物理的に分離されて別個である。物理的に分離されていることに関わらず、吸気供給モジュール20及びユーザインターフェースモジュール18は、使用の間、動作上連通状態にあってよい。この動作上の連通状態は、ハードワイヤードリンク、無線リンク、及び/又は他の電子通信媒体を介して達成されてよい。ユーザインターフェースモジュール18を介して、ユーザは、吸気供給モジュール20が対象インターフェース回路16へ供給される呼吸に適したガスのフローを調整する方法を、制御することができる。呼吸に適したガスのフローに関する情報(例えば、動作パラメータ、測定されるガスパラメータ、及び/又は他の情報)は、吸気供給モジュール20からユーザインターフェースモジュール18へ伝えられてよい。
【0019】
吸気供給モジュール20は、ガスのための1又はそれ以上のフロー経路を形成する。それらの1又はそれ以上のフロー経路は、1又はそれ以上の一次フロー経路と、補助フロー経路とを含む。一次フロー経路は、ガス注入口36とガス出口38との間に形成される。一次バルブ42は、一次フロー経路において配置される。使用の間、個々のガス注入口36は、対応するガス源14と結合される。次いで、個々のガス源14からガス出口38へのガスのフローは、一次バルブ42の操作によって制御される。個々のガス源14からのフローを別々に制御することによって、吸気供給モジュール20は、ガス出口38を通って対象インターフェース回路16へ供給される呼吸に適したガスのフローの組成を制御することができる。呼吸に適したガスのフローの他のパラメータ(例えば、圧力、フロー、体積、等)は、さらに、一次バルブ42の適切な制御を介して制御される。
【0020】
補助フロー経路は、ガス出口38の上流で一次フロー経路から枝分かれし、補助出口40に達する。補助バルブ44は、一次フロー経路を補助出口40へ選択的に開くことによって、一次フロー経路内の圧力を解放するよう構成される。補助バルブ44は、一次フロー経路内のガスの1又はそれ以上のパラメータの検出に基づき電子的に制御されてよく、且つ/あるいは、所定の圧力で逆作動する機械バルブであってよい。
【0021】
一実施形態において、電子記憶装置46は、電子的に情報を記憶する電子記憶媒体を有する。電子記憶装置46の電子記憶媒体は、吸気供給モジュール20と一体化して設けられる(実質的に非リムーバブルである)システム記憶媒体及び/又は例えばポート(例えば、USBポート、ファイヤワイヤ・ポート、等)又はドライブ(例えば、ディスクドライブ、等)を介して吸気供給モジュール20へ着脱自在に接続されるリムーバブル媒体の一方又は両方を含んでよい。電子記憶装置46は、光学的に読取可能な記憶媒体(例えば、光ディスク、等)、磁気的に読取可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ドライブ、等)、電荷に基づく記憶媒体(例えば、EEPROM、RAM、等)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ、等)、及び/又は他の電子的に読取可能な記憶媒体のうち1又はそれ以上を含んでよい。電子記憶装置46は、ソフトウェア・アルゴリズム、プロセッサ48によって決定される情報、ユーザインターフェースモジュール18を介して受信される情報、対象12に現在適用されている治療法に関する情報、及び/又は吸気供給モジュール20が適切に機能することを可能にする他の情報を記憶してよい。一実施形態において、電子記憶装置46は、この特定の吸気供給モジュール20を記述する較正テーブルを記憶する。これは、以下で論じられるように、換気システム間での吸気供給モジュール20の互換性を助けることができる。
【0022】
プロセッサ48は、吸気供給モジュール20において情報処理能力を提供するよう構成される。そのようなものとして、プロセッサ48は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するよう設計されたデジタル回路、情報を処理するよう設計されたアナログ回路、状態機械、及び/又は電子的に情報を処理する他のメカニズムのうち1又はそれ以上を有してよい。限定されない例として、プロセッサ48は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、浮動小数点コプロセッサ、及び/又は他のプロセッシングユニットを有してよい。プロセッサ48は単一エンティティとして図1においては示されているが、これは単なる例示のためである。幾つかの実施において、プロセッサ48は複数のプロセッシングユニットを有してよい。本願においてプロセッサ48に帰属する機能の幾つか又は全ては、(例えば、第2の筐体50内の)吸気供給モジュール20と一体的でないプロセッシング・コンポーネントによって提供されてよい。例えば、プロセッサ48を参照して論じられる機能の幾つか又は全ては、ユーザインターフェースモジュール18内に含まれてよく、単一の制御及び/又はフィードバック信号が、この代替のコンポーネント配置を可能にするよう、ユーザインターフェースモジュール18及び/又は吸気供給モジュール20の間でやり取りされる。
【0023】
プロセッサ48は、1又はそれ以上のコンピュータプログラム及び/又はプロセッシングモジュールを実行するよう構成されてよい。プロセッサ48は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアの組み合わせ、且つ/あるいはプロセッサ48におけるプロセッシング機能を設定する他のメカニズムによって、そのようなモジュールを実行するよう構成されてよい。
【0024】
プロセッサ48は、対象インターフェース回路16へ供給される呼吸に適したガスのフローの1又はそれ以上のパラメータを調整するように一次バルブ42を制御するよう構成される。それらのパラメータは、組成、流速、体積、圧力、パラメータが変更されるタイミング、パラメータが変更されるレート、及び/又は他のパラメータを含んでよい。それらのパラメータは、対象12の呼吸の1又はそれ以上の呼吸特性を調整するよう制御されてよい。1又はそれ以上の呼吸特性は、呼吸速度、最大流量、呼吸終末陽圧、1回換気量、及び/又は他の呼吸特性を含んでよい。プロセッサ48は、ユーザインターフェースモジュール18で入力設定及び/又は選択される治療法に基づき、一次バルブ42が設定されるべき方法を決定する。治療法は、対象12の適切な呼吸特性を指示する。
【0025】
吸気供給モジュール20によって対象インターフェース回路16へ選択的に供給される呼吸に適したガスのフローのために、ガスは、機械的な換気における吸気の間、対象12の肺へ供給される。呼気モジュール22は、対象インターフェース回路16から選択的にガスを排出するよう構成される。対象インターフェース回路16から選択的にガスを排出することによって、呼気モジュール22は、対象12の肺からガスを排出して、対象12の機械的な換気の間の対象12による息の吐き出しを達成し、且つ/あるいは、他の治療的有用性を提供する。呼気モジュール22は、ガス注入口52、ガス出口54、一次バルブ56、電子記憶装置58、プロセッサ60、呼気モジュール22及び/又は対象インターフェース回路16内のガスの1又はそれ以上のパラメータをモニタする1又はそれ以上のセンサ(図示せず。)のうち1又はそれ以上を有してよく、且つ/あるいは、他のコンポーネントを有してよい。
【0026】
呼気モジュール22は、第3の筐体62によって収容されている。第3の筐体62は、ユーザインターフェースモジュール18及び吸気供給モジュール20が呼気モジュール22から物理的に分離されるように、第1の筐体34及び第2の筐体50から物理的に分離されて別個である。物理的に分離されていることに関わらず、呼気モジュール22、吸気供給モジュール20、及び/又はユーザインターフェースモジュール18は、使用の間、動作上連通状態にあってよい。この動作上の連通状態は、ハードワイヤードリンク、無線リンク、及び/又は他の電子通信媒体を介して達成されてよい。ユーザインターフェースモジュール18を介して、ユーザは、ガスが呼気モジュール22によって対象インターフェース回路16から排出される方法を制御することができる。呼気モジュール22の動作及び/又は排出されるガスに関する情報は、呼気モジュール22からユーザインターフェースモジュール18及び/又は吸気供給モジュール20へ伝えられてよい。
【0027】
呼気モジュール22は、ガスが対象インターフェース回路16から排出される一次フロー経路を形成するよう構成される。一次フロー経路は、ガス注入口52からガス出口54へ通ずる。ガスは、雰囲気へ直接排出されてよく、あるいは、ガスは、ガスから汚染物質を除去するよう構成されたフィルタリング装置(図示せず。)を介して排出されてよい。対象インターフェース器具26と対象12の気道との密閉された係合のために、呼気モジュール22によるガスの排出は、対象12の肺内のガスが対象インターフェース回路16及び呼気モジュール22の一次フロー経路を通って排出されることを可能にし、それにより、対象12の機械的な換気の間の対象12の息の吐き出しを達成する。
【0028】
一次バルブ56は、一次フロー経路を通るガスのフローを制御するよう構成される。動作中に、一次バルブ56は、吸気を達成するように、吸気供給モジュール20による対象インターフェース回路16への呼吸に適したガスのフローの供給の間、一次フロー経路を通るフローを適切に制御するよう操作される。次いで、機械的な換気の間の息の吐き出しを達成するよう、一次バルブ56は、対象12の肺からシステム10の外にガスが排出されることを可能にするよう開く。当然のことながら、吸気供給モジュール20による対象インターフェース回路16への呼吸に適したガスのフローの供給の間、一次バルブ56は、少なくとも部分的に開いたままであるよう制御されてよい。
【0029】
一実施形態において、電子記憶装置58は、電子的に情報を記憶する電子記憶媒体を有する。電子記憶装置58の電子記憶媒体は、呼気モジュール22と一体化して設けられる(実質的に非リムーバブルである)システム記憶媒体及び/又は例えばポート(例えば、USBポート、ファイヤワイヤ・ポート、等)又はドライブ(例えば、ディスクドライブ、等)を介して呼気モジュール22へ着脱自在に接続されるリムーバブル媒体の一方又は両方を含んでよい。電子記憶装置58は、光学的に読取可能な記憶媒体(例えば、光ディスク、等)、磁気的に読取可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ドライブ、等)、電荷に基づく記憶媒体(例えば、EEPROM、RAM、等)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ、等)、及び/又は他の電子的に読取可能な記憶媒体のうち1又はそれ以上を含んでよい。電子記憶装置58は、ソフトウェア・アルゴリズム、プロセッサ60によって決定される情報、ユーザインターフェースモジュール18を介して受信される情報、対象12に現在適用されている治療法に関する情報、及び/又は呼気モジュール22が適切に機能することを可能にする他の情報を記憶してよい。
【0030】
電子記憶装置58は、図1において、第3の筐体62内に収容されている呼気モジュール22の一部であるように表されているが、一実施形態においては、電子記憶装置58は、呼気モジュール22内に含まれていなくてもよい。代わりに、本願において電子記憶装置58に帰属する機能の幾つか又は全ては、使用の間(例えば、通信リンクを介して)呼気モジュール22にアクセス可能であるシステム10内の他の電子記憶装置によって提供されてよい。限定されない例として、電子記憶装置58に帰属する機能の幾つか又は全ては、電子記憶装置46、ユーザインターフェースモジュール18の一部である電子記憶装置、及び/又はシステム10内の他の電子記憶装置によって提供されてよい。
【0031】
プロセッサ60は、呼気モジュール22において情報処理能力を提供するよう構成される。そのようなものとして、プロセッサ60は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するよう設計されたデジタル回路、情報を処理するよう設計されたアナログ回路、状態機械、及び/又は電子的に情報を処理する他のメカニズムのうち1又はそれ以上を有してよい。例えば、プロセッサ60は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、浮動小数点コプロセッサ、及び/又は他のプロセッシングユニットを有してよい。プロセッサ60は単一エンティティとして図1においては示されているが、これは単なる例示のためである。幾つかの実施において、プロセッサ60は複数のプロセッシングユニットを有してよい。本願においてプロセッサ60に帰属する機能の幾つか又は全ては、(例えば、第3の筐体62内の)呼気モジュール22と一体的でないプロセッシング・コンポーネントによって提供されてよい。例えば、プロセッサ60を参照して論じられる機能の幾つか又は全ては、ユーザインターフェースモジュール18及び/又は吸気供給モジュール20内に含まれてよく、単一の制御及び/又はフィードバック信号が、この代替のコンポーネント配置を可能にするよう、ユーザインターフェースモジュール18、吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22の間でやり取りされる。
【0032】
プロセッサ60は、1又はそれ以上のコンピュータプログラム及び/又はプロセッシングモジュールを実行するよう構成されてよい。プロセッサ60は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアの組み合わせ、且つ/あるいはプロセッサ60におけるプロセッシング機能を設定する他のメカニズムによって、そのようなモジュールを実行するよう構成されてよい。
【0033】
プロセッサ60は、対象インターフェース回路16、対象12の気道、及び対象12の肺の中のガスを呼気モジュール22の一次フロー経路を通じて選択的に排出するように一次バルブ56を制御するよう構成される。プロセッサ60が一次フロー経路を通じてガスを排出するよう一次バルブ56を制御するタイミングは、吸気供給モジュール20による対象12の気道への呼吸に適したガスのフローの供給に基づき、決定及び/又はトリガされてよい。例えば、ガスは、通常は、機械的な換気の間に対象12の気道へ吸気供給モジュール20によって供給されるガスの呼気を可能にするレート及びタイミングで、及び/又は他の治療的有用性を提供するよう、排出される。呼気モジュール22によるガスの排出のレート及び/又はタイミングを調整するよう一次バルブ56を制御することに加えて、プロセッサ60は、排出されるガスの流速、一次バルブ56の所与の開口において排出されるガスの体積、ガスの排出中の対象インターフェース回路16内のガスの圧力、及び/又は他のパラメータを制御するよう一次バルブ56を制御してよい。これらのパラメータは、対象12に関して適切な呼吸特性を指示する現在使用されている治療法に基づき、プロセッサ60によって決定されてよい。
【0034】
動作中に、吸気供給モジュール20及び呼気モジュール22の一方又は両方は、動作するのに電力を必要としうる。この電力は、電源64から吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22へ供給されてよい。電源64は、吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22が接続され得る固定電源(例えば、壁面ソケット)を有してよい。一実施形態において、電源64は、第1の筐体34、第2の筐体50及び第3の筐体62から分離された筐体において収容された1又はそれ以上の電力モジュールを有する。電力モジュールは、バッテリ、キャパシタ、スーパーキャパシタ、燃料電池、及び/又は他の電源のような電源を含んでよい。所与の電力モジュールの筐体は、第2の筐体50及び/又は第3の筐体62のうち1又はそれ以上と着脱自在に係合又はドッキングするよう構成されてよい。そのような所与の電力モジュールは、第2の筐体50と結合されている間、自身に蓄えられている電力が吸気供給モジュール20へ供給されるように、構成されてよい。同様に、所与の電力モジュールは、第3の筐体62と結合されている間、自身に蓄えられている電力が呼気モジュール22へ供給されるように、構成されてよい。
【0035】
図2は、対象12が寝台66において治療を受ける治療環境における使用のために構成されたシステム10を表す。当然のことながら、この治療環境に係る議論は、限定であるよう意図されず、システム10のモジュール方式によって達成される改善の1又はそれ以上は、他の治療環境において実施されてよい。従来の人工呼吸器システムは、一般的に、カート68のようなカートを介して運ばれる。従来の人工呼吸器は、対象12に機械的に酸素を供給するようガスが対象12へ供給され且つ対象12から受け取られる単一ユニットを有する。このユニットのフォームファクタにより、人工呼吸器は、通常は、使用の間カート68上に保持される。システムは、例えば、別個のユニットとして形成されるユーザインターフェース、ユニットに着脱自在にドッキング可能な電力モジュール、及び/又はユニットへ着脱自在にドッキング可能なガス源を含むことによって、いくらかモジュール式である一方、呼吸に適したガスのフローを生成する機能及び吐き出された息を受け取る機能は別個のモジュールに分けられない。
【0036】
一実施形態において、カート68は、ユーザインターフェースモジュール18、吸気供給モジュール20、及び/又は呼気モジュール22の別個のもの着脱自在に結合するドッキングステーションの組を有して構成される。ドッキングステーションの組は、例えば、第1のドッキングステーション70、第2のドッキングステーション72、及び第3のドッキングステーション74を有してよい。
【0037】
第1のドッキングステーション70は、ユーザインターフェースモジュール18を着脱自在にドッキングさせるよう構成される。ユーザインターフェースモジュール18をカート68上で保持するようユーザインターフェースモジュール18と物理的に係合することに加えて、ユーザインターフェースモジュール18を第1のドッキングステーション70にドッキングさせることは、第1のドッキングステーション70を介したユーザインターフェースモジュール18への電力の供給をもたらしうる。電力は、カート68によって坦持される電源から、及び/又はカート68によって坦持される電力システムが接続される電源(例えば、壁面ソケット)から、供給されてよい。一実施形態において、カート68は、ユーザインターフェースモジュール18と吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22の一方又は両方との間で情報をやり取りするよう構成された有線通信リンクを有する。ユーザインターフェースモジュール18を第1のドッキングステーション70とドッキングさせることは、ユーザインターフェースモジュール18による通信を可能にするよう有線通信リンクと接触してユーザインターフェースモジュール18を配置してよい。
【0038】
第2のドッキングステーション72は、吸気供給モジュール20を着脱自在にドッキングさせるよう構成される。第2のドッキングステーション72は、吸気供給モジュール20が第2のドッキングステーション72に物理的にドッキングする場合に、第2のドッキングステーション72が電力を吸気供給モジュール20へ供給し且つ/あるいは吸気供給モジュール20をガス源14のうち1又はそれ以上と流体連通状態に置くように、構成されてよい。電力は、カート68によって坦持される電源から、及び/又はカート68によって坦持される電力システムが接続される電源から、供給されてよい。1又はそれ以上のガス源14は、カート68によって坦持されるガス源(例えば、ガスのキャニスタ、ブロワー、送風機及び/又は他の加圧ガス源)、及び/又はカート68が接続されているガス源(例えば、ウォールガス及び/又は他の加圧ガス源)を有してよい。吸気供給モジュール20を第2のドッキングステーション72とドッキングさせることは、吸気供給モジュール20とユーザインターフェースモジュール18及び/又は呼気モジュール22との間の通信を可能にするよう、カート68によって坦持される有線通信リンクと吸気供給モジュール20を連結してよい。
【0039】
第3のドッキングステーション74は、呼気モジュール22を着脱自在にドッキングさせるよう構成される。第3のドッキングステーション74は、呼気モジュール22が第3のドッキングステーション74に物理的にドッキングする場合に、第3のドッキングステーション74が電力を呼気モジュール22へ供給するように、構成されてよい。電力は、カート68によって坦持される電源から、及び/又はカート68によって坦持される電力システムが接続される電源から、供給されてよい。呼気モジュール22を第3のドッキングステーション74とドッキングさせることは、呼気モジュール22とユーザインターフェースモジュール18及び/又は吸気供給モジュール20との間の通信を可能にするよう、カート68によって坦持される有線通信リンクと呼気モジュール22を連結してよい。
【0040】
モジュール18、20及び/又は22をドッキングステーション70、72及び/又は74とドッキングさせることは、システム10の運搬を容易にすることができ、且つ/あるいは、システム10が協調して治療環境内で位置付けられ及び/又は操作されることを可能にすることができる。しかし、一般的に、モジュール20及び22がドッキングステーション72及び74にドッキングしている間にシステム10から対象12へ呼吸に適したがガスのフローを供給し且つ肺からシステム10へ排出されたガスを受け取ることは、対象インターフェース回路16が寝台66からカート68の位置まで延在することを要する。これは、治療環境を雑然としてものとすることがあり、且つ/あるいは、治療環境における使用において介護者及び/又は他の設備による不測の衝突をもたらすことがある。さらに、カート68にまで延在する対象インターフェース回路16を形成するよう実施される導管は、対象12の快適さを妨げうる。
【0041】
一実施形態において、システム10は、寝台60に又はその近くに配置される1又はそれ以上のドッキングステーションの組を有する。それらのドッキングステーションは、第4のドッキングステーション76及び/又は第5のドッキングステーション78を有してよい。ドッキングステーション76及び/又は78は、寝台66と一体的に形成されてよく、寝台66に永久的に(又は略永久的に)取り付けられてよく、且つ/あるいは、寝台66に着脱自在に取り付けられてよい。図2において表される構成では、ドッキングステーション76及び78は、寝台66の反対側に配置されている。図2において表される位置付けは、限定であるよう意図されない。第4のドッキングステーション76及び第5のドッキングステーション78は、互いから隔てられているように示されているが、一実施形態においては、第4のドッキングステーション76及び第5のドッキングステーション78は電子的に連結される。例えば、第4のドッキングステーション76及び第5のドッキングステーション78は、電力が一方のドッキングステーションから他方のドッキングステーションへ供給されることを可能にするよう連結されてよく、あるいは、第4のドッキングステーション76及び第5のドッキングステーション78は、共通の電源へ連結されてよい。他の例として、有線通信リンクは、情報が第4のドッキングステーション76と第5のドッキングステーション78との間で電子的にやり取りされることを可能にするよう、寝台66によって坦持されてよい。
【0042】
第4のドッキングステーション76は、吸気供給モジュール20と着脱自在にドッキングするよう構成される。第4のドッキングステーション76は、上記の第2のドッキングステーション72の特徴の幾つか又は全てを提供してよい。第5のドッキングステーション78は、呼気モジュール22と着脱自在にドッキングするよう構成される。第5のドッキングステーション78は、上記の第3のドッキングステーション74の特徴の幾つか又は全てを提供してよい。
【0043】
吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22が第4のドッキングステーション76及び/又は第5のドッキングステーション78でドッキングする場合に、カート68からの換気を管理することに関連して論じられた欠点の幾つか又は全ては解消され得る。例えば、寝台66上の吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22によって、治療環境の乱雑さは軽減され得る。吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22を寝台66へ移動することは、対象インターフェース回路16を形成するのに必要とされる導管の量を減らすことができ、これにより患者の快適さを高めることができる。寝台66における吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22の位置付けは、対象インターフェース回路16を形成するために使用される導管と干渉する介護者及び/又は他の設備の発生を減らすことができる。
【0044】
一実施形態において、ユーザインターフェースモジュール18、吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22のうち1又はそれ以上は、システム10に特有でない。言い換えると、モジュール18、20及び22のうち1又はそれ以上は、他のユニットと置換可能である。これは、ユーザインターフェースモジュール18、吸気供給モジュール20及び/又は呼気モジュール22のうち1又はそれ以上が交換されることを可能にすることができる。幾つかの場合において、そのような交換は、他のモジュールの動作に実質的に影響を及ぼすことなく実行され得る。
【0045】
一般的に、患者が機械的に酸素を供給された後、治療環境の変化は、使用される換気システムが変更されることを要することがある。例えば、救急医療隊よって挿管されて人工呼吸器を付けられた患者は、通常は、病院に到着すると院内移動用の人工呼吸器に切り替えられ、次いで、様々な診断過程を経た後に再びICUの人工呼吸器へ切り替えられる。たいてい、換気システムの交換は新しい対象インターフェース回路を必要とし、換気治療の呼吸特性が新しいシステムにおいて介護者によって再確立されることを要する。
【0046】
システム10のモジュール方式は、換気システム全体が変更される必要なしに対象12が異なった治療環境を進むことを可能にすることができる。例えば、一実施形態において、吸気供給モジュール20及び対象インターフェース器具26の少なくとも一部は、異なった治療環境の間で対象12とともに移動されてよい。異なった治療環境の間で吸気供給モジュール20を移動することは、吸気供給モジュール20を異なった治療環境内の別個のドッキングステーションへドッキングさせることを含んでよい。ドッキングステーションは、上記の第2のドッキングステーション72及び/又は第4のドッキングステーション76と類似又は同じであってよい。個々の治療環境の夫々で、吸気供給モジュール20は、対象12に機械的に酸素を供給することができる換気システムを再確立するよう、異なるユーザインターフェース及び/又は呼気モジュールと対にされてよい。異なった治療環境及び/又は換気システムの間で患者とともに吸気供給モジュール20を移送することは、異なった治療環境の間で対象インターフェース器具26を(全体的に又は部分的に)交換する必要性を低減又は除去することができる。吸気供給モジュール20の移送は、換気の呼吸特性を再設定することなく換気が治療環境間で連続的であることを可能にすることができ、換気の呼吸特性は、吸気供給モジュール20の電子記憶装置46に記憶されてよい。
【0047】
一実施形態において、呼気モジュール22は、治療環境間で対象12とともに移送されてよい。これは、異なった治療環境内のドッキングステーションの間で対象12を動かすことを含んでよい。ドッキングステーションは、上記の第3のドッキングステーション74及び/又は第5のドッキングステーション78と同じ又は類似であってよい。
【0048】
本発明は、最も実際的且つ望ましい実施形態であると現在考えられるものに基づき例示のために詳細に記載されてきたが、当然のことながら、かかる詳細はもっぱらその目的のためであり、本発明は開示される実施形態に限定されず、対照的に、添付の特許請求の範囲の主旨及び適用範囲内にある改良及び等価な配置をカバーするよう意図される。例えば、本発明は、可能な範囲内で、いずれかの実施形態の1又はそれ以上の特徴がいずれかの他の実施形態の1又はそれ以上の特徴特見合わされ得ると考えると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に機械的に酸素を供給するよう構成される人工呼吸器であって:
前記対象の気道及び対象インターフェース回路の内部が流体連通状態において配置され且つ雰囲気から実質的に密閉されるように前記対象の気道に係合するよう構成される対象インターフェース器具を有する前記対象インターフェース回路;
第1の筐体に収容され、前記対象インターフェース回路へ結合され、該対象インターフェース回路内に呼吸に適したガスのフローを供給して、前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路内の1又はそれ以上のパラメータを制御するよう構成される吸気供給モジュール;及び
第2の筐体に収容され、該第2の筐体が前記第1の筐体から分離されるように前記吸気供給モジュールから分離されて別個であり、前記対象インターフェース回路へ結合され、該対象インターフェース回路から選択的にガスを排出して、前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路内の1又はそれ以上のパラメータをさらに制御するよう構成される呼気モジュール
を有する人工呼吸器。
【請求項2】
第3の筐体に収容され、該第3の筐体が前記第1の筐体及び前記第2の筐体から分離されるように前記吸気供給モジュール及び前記呼気モジュールから分離されて別個であり、当該人工呼吸器と当該人工呼吸器によって提供される治療に関わる1又はそれ以上のユーザとの間で情報をやり取りするよう構成されるユーザインターフェースモジュール
をさらに有する請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項3】
前記吸気供給モジュールをドッキングさせるよう構成される第1のドッキングステーションをさらに有し、
前記第1のドッキングステーションは、さらに、前記吸気供給モジュールが前記第1のドッキングステーションにドッキングする場合に、該吸気供給モジュールへ給電し且つ該吸気供給モジュールを1又はそれ以上の加圧ガス源との流体連通状態に置くよう構成される、
請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項4】
前記呼気モジュールをドッキングさせるよう構成される第2のドッキングステーションをさらに有し、
前記第2のドッキングステーションは、さらに、前記呼気モジュールが前記第2のドッキングステーションにドッキングする場合に、該呼気モジュールへ給電するよう構成される、
請求項3に記載の人工呼吸器。
【請求項5】
前記第1のドッキングステーション及び前記第2のドッキングステーションは、互いから離して配置される、
請求項4に記載の人工呼吸器。
【請求項6】
第3の筐体に収容され、該第3の筐体が前記第1の筐体及び前記第2の筐体から分離されるように前記吸気供給モジュール及び前記呼気モジュールから分離されて別個であり、当該人工呼吸器と当該人工呼吸器によって提供される治療に関わる1又はそれ以上のユーザとの間で情報をやり取りするよう構成されるユーザインターフェースモジュール;及び
前記ユーザインターフェースモジュールをドッキングさせるよう構成され、さらに該ユーザインターフェースモジュールに給電するよう構成される第3のドッキングステーション
を有し、
前記第1のドッキングステーション、前記第2のドッキングステーション及び前記第3のドッキングステーションは、共通のカートによって坦持される、
請求項4に記載の人工呼吸器。
【請求項7】
第3の筐体に収容され、該第3の筐体が前記第1の筐体及び前記第2の筐体から分離されるように前記吸気供給モジュール及び前記呼気モジュールから分離されて別個であり、当該人工呼吸器と当該人工呼吸器によって提供される治療に関わる1又はそれ以上のユーザとの間で情報をやり取りするよう構成されるユーザインターフェースモジュール;及び
前記ユーザインターフェースモジュールをドッキングさせるよう構成され、さらに該ユーザインターフェースモジュールに給電するよう構成される第3のドッキングステーション
を有し、
前記第1のドッキングステーション、前記第2のドッキングステーション及び前記第3のドッキングステーションは、全て互いから離して配置される、
請求項4に記載の人工呼吸器。
【請求項8】
対象に機械的に酸素を供給する方法であって:
第1の筐体から、前記対象の気道と密閉連通状態にある対象インターフェース回路へ呼吸に適したガスのフローを供給し、該呼吸に適したガスのフローは、前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路内の1又はそれ以上のパラメータを制御するよう供給されるステップ;及び
前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路内の1又はそれ以上のパラメータを制御するよう、前記第1の筐体から物理的に分離されて別個である第2の筐体を介して前記対象インターフェース回路からガスを選択的に排出するステップ
を有する方法。
【請求項9】
前記第1の筐体及び前記第2の筐体の両方から物理的に分離されて別個である第3の筐体に収容されるユーザインターフェースモジュールを介して、提供される治療に関する情報を1又はそれ以上のユーザとやり取りするステップ
をさらに有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の筐体を着脱自在にドッキングさせるステップをさらに有し、
前記第1の筐体のドッキングは、該第1の筐体へ電力を供給し且つ該第1の筐体を1又はそれ以上の加圧ガス源との流体連通状態に置く、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の筐体を着脱自在にドッキングさせるステップをさらに有し、
前記第2の筐体のドッキングは、該第2の筐体へ電力を供給する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の筐体及び前記第2の筐体は、互いから物理的に離れた位置でドッキングされる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対象に機械的に酸素を供給するよう構成されるシステムであって:
前記対象の気道を雰囲気から実質的に密閉するよう前記対象の気道に係合する係合手段;
第1の筐体から前記係合手段へ呼吸に適したガスのフローを供給し、該呼吸に適したガスのフローは、前記対象の機械的な換気の間対象インターフェース回路内の1又はそれ以上のパラメータを制御するよう供給される供給手段;及び
前記対象の機械的な換気の間前記対象インターフェース回路内の1又はそれ以上のパラメータを制御するよう、前記第1の筐体から物理的に分離されて別個である第2の筐体を介して前記係合手段からガスを選択的に排出する排出手段
を有するシステム。
【請求項14】
提供される治療に関する情報を1又はそれ以上のユーザとやり取りする通信手段をさらに有し、
前記通信手段は、前記第1の筐体及び前記第2の筐体の両方から物理的に分離されて別個である第3の筐体に収容される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の筐体を着脱自在にドッキングさせる手段をさらに有し、
前記第1の筐体のドッキングは、物理的に前記第1の筐体を嵌め込み、該第1の筐体へ給電し、該第1の筐体を1又はそれ以上の加圧ガス源との流体連通状態に置くことを含む、
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の筐体を着脱自在にドッキングさせる手段をさらに有し、
前記第2の筐体のドッキングは、物理的に前記第2の筐体を嵌め込み、該第2の筐体へ給電することを含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の筐体を着脱自在にドッキングさせる手段及び前記第2の筐体を着脱自在にドッキングさせる手段は、互いから物理的に離れた位置でドッキングされる、
請求項16に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−512716(P2013−512716A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541605(P2012−541605)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055382
【国際公開番号】WO2011/070471
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)