説明

モジュール式試料貯蔵装置

貯蔵領域(2)と、サービス領域(5)と、移送領域(6)と、持ち上げデバイス及び少なくとも1つのプラットフォーム(9)を備える電動ロボット(7)と、コントローラ(10)と、を有するモジュール式試料貯蔵装置(1)である。前記試料貯蔵装置(1)のサービス領域(5)は1つの一体的に形成された立体バット(vat)モジュール(11)を備え、前記試料貯蔵装置(1)の貯蔵領域(2)は少なくとも1つの一体的に形成された立体バットモジュール(11)を備える。前記バットモジュール(11)の各々は、本質的に水平なバット床面(14)と、前記バット床面(14)に接続され、かつ空いたバット空間(16)が残っている4つの接合バット壁(15)とを備える。前記モジュール式試料貯蔵装置(1)はまた、前記試料貯蔵装置を閉鎖するために、上部側壁(12)と、カバープレート(13)とを有する。各バット床面(14)およびバット壁(15)は、外側裏打ち(17)と内側裏打ち(18)を備え、いずれの場合においても、外側および内側裏打ち(17、18)は隙間によって分離される。この隙間は外側および内側裏打ち(17、18)の互いに対する固定、ならびに、前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)のサンドイッチ構造の断熱および補強を提供するポリマー発泡材料(20)で実質的に充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、生物学的、化学的、および/または生化学的試料のためのモジュール式試料貯蔵装置に関する。より具体的には、この出願は、制御された温度条件(好ましくは、+25℃〜−20℃の範囲)でそのような試料を貯蔵するための、温度制御されたモジュール式試料貯蔵装置に関する。より具体的には、この出願は、制御された温度条件(好ましくは、−25℃〜−90℃の範囲)でそのような試料を貯蔵するための、温度制御されたモジュール式低温試料貯蔵装置に関する。
【0002】
独立請求項1の前文によれば、そのような試料貯蔵装置は、
(a)本質的に垂直方向に挿入されて、その中に試料容器を貯蔵するために達成される多数の貯蔵スタックを取り込むための、貯蔵領域と、
(b)貯蔵領域に隣接して位置する、サービス領域と、
(c)貯蔵領域およびサービス領域の上側に位置する、移送領域と、
(d)移送領域の中に位置し、かつ少なくとも1つの本質的に水平方向に移動可能である、電動ロボットと、
(e)電動ロボット(7)の全ての動作および移動を制御するためのコントローラ(10)と、を備える。
【0003】
一般的に、ロボットは、貯蔵スタックを、貯蔵領域から、および移送領域の中に少なくとも部分的に持ち上げるための、および貯蔵スタックを貯蔵領域の中に降ろすための、持ち上げデバイスと、移送領域内で少なくとも1つの試料容器を輸送するための少なくとも1つのプラットフォームとを備える。
【既知の先行技術および関連する問題】
【0004】
体液(例えば、血液、尿、痰、または精子)、細胞(例えば、細菌細胞培養物)、または組織試料(例えば、人間、動物、または植物から採取される)等の生物学的試料は、極めて温度に敏感であり、それらの破壊を防止するために、試料の採取後直ちに冷却または冷凍しなければならない。したがって、生物学的試料および温度に敏感な試料の調査中の重要な側面は、一般に、冷凍された状態、すなわち低温でこれらの試料を貯蔵および提供することである。貯蔵および提供は、市販の冷凍庫(すなわち、低くても−18℃の温度)で、ドライアイスによって−78.5℃に冷却されるガス雰囲気(すなわち、固体CO)で、または液体窒素(−196℃)で行うことができる。加えて、−35℃(1段式)、−85℃(2段式)、または−135℃(3段式)の貯蔵温度を提供する、圧縮器によって動作する冷凍庫が知られている。
【0005】
全てのこれらの貯蔵手順および装置は、既知であるが、ある欠点も提供する。−18℃で保存された試料は、氷晶の成長のため、短い貯蔵期間の後に早くも破壊的な作用を呈する可能性がある。そのような氷晶の成長は、ドライアイスの温度で大幅に低減され、液体窒素では本質的に起こらない。しかしながら、一方で、ドライアイスで冷却した容器は、全てのCOが昇華するとすぐ比較的に速く温まる。一方で、液体窒素の貯蔵は、煩雑であり、専用の安全対策および適正に教育された人員によってのみ可能である。特に、ロボットによるまたは自動化された多数の試料の貯蔵および引き出し/提供について、極少数の既知のシステムしか存在しない。常に提供を行い、かつアクセス可能であるというタスクを伴う大規模な研究所については、化学的試料(例えば、規定濃度の調製された試薬アリコート)および生化学的試料(例えば、濃縮および精製された酵素)は、ますます自動貯蔵システムで貯蔵されることが知られている。いわゆる「大規模貯蔵装置」または「バイオバンク」では、化学的試料には約−20℃、また、生物学的および生物化学的試料には約−80℃の貯蔵温度が適当であることが証明されている。
【0006】
米国特許第US6,357,983 B1号から、自動貯蔵システムが知られている。その温度が−20℃〜+20℃の範囲で選択可能である、調整されたチャンバには、2つの環状で入れ子状の棚があり、この棚は、共通の中心軸の周囲を回転可能であり、多数の水平に配向させて、重ね合わせた棚板位置を備える。これらの棚板位置は、垂直および棚の外側に移動する、ロボットによってアクセスすることができる。このロボットは、外側棚板位置を貫通することによって内側棚板位置に届かせるために、多関節化されたグリッパ機構を備える。このシステムは、ロボットおよびそれによって試料が、試料を選択するプロセス全体を通じて、低温雰囲気内に位置すること、およびロックを介して試料を貯蔵装置から移動させることができる、という利点を有する。しかしながら、このシステムは、棚板の数をかなり制限し、比較的に大容積を冷却するが、極めて少数の試料だけしか取り込めないという結果をもたらす。さらに、かなり複雑なロボット機構を利用しなければならない。
【0007】
欧州特許出願第EP1 939 561 A2号から、冷凍された試料を貯蔵および提供するための別の貯蔵システムが知られている。この文書は、小型貯蔵システム、および冷凍された試料をそのような小型貯蔵システムに貯蔵するための関連する方法を開示しており、このシステムは、貯蔵領域を少なくとも−15℃に冷却するための冷却デバイスを備える、断熱筐体内の貯蔵領域を備える。この小型貯蔵システムは、冷却された貯蔵領域内に全体が配設される、昇降装置の形態の回転式貯蔵棚を備える。この小型貯蔵システムはまた、該貯蔵領域の上側に位置する移送領域を備え、ロボットは、この移送領域内を本質的に水平方向に移動可能である。ロボットはまた、単一の物体を、昇降装置のこの頂点位置に位置する貯蔵棚から取り出す、または貯蔵棚に挿入することができる。ロボットはまた、単一の物体を、昇降装置のこの頂点位置に位置する貯蔵棚から取り出す、または貯蔵棚に挿入することができる。このシステムの貯蔵領域は、非常に小さいと思われる。しかしながら、昇降装置の機構は、−80℃に至る温度で移動しなければならない。結霜およびそれによる昇降装置の機構の妨害といった危険性のため、精巧かつ高価な方法が必須であると考えられる。
【0008】
REMP AG社(Oberdiessbach、Switzerland)の他の貯蔵システムが知られており、試料は、+4℃または−20℃で貯蔵される(REMP Small−Size Store(商標))か、または試料は、−80℃で貯蔵される(REMP Bio−Sample Store)。後者では、ロボットは、−20℃で完全に動作可能であるように実装される。
【0009】
また、米国特許第US6,694,767 B2号から、別の貯蔵システムが知られている。作業場を伴うロボットが配設される、制御された雰囲気を伴う作業領域より下側は、−85℃〜−80℃の貯蔵温度を達成する、完全に断熱された貯蔵空間に位置する。比較的に小さい水平寸法を伴う貯蔵棚、および互いに重ね合わせられる多数の棚は、断熱天井の開口部の中に垂直に懸架される。貯蔵棚は、貯蔵棚を担持し、また、貯蔵棚が完全に挿入される断熱天井の開口部を閉鎖する、上部カバーを備える。ロボットは、その棚板から試料容器を取り出して、試料容器をその棚板に置くための適切な用具によって、特定の棚板にアクセスすることを可能にするために、そのような貯蔵棚を貯蔵領域の中から持ち上げる。冷却された貯蔵領域から棚を引き出している間、試料容器の冷表面上でのHOの凝結を低減するために、作業領域のCO雰囲気が除湿されるが、試料容器の中の試料を暖める、またはさらには解凍するといった危険性がある。加えて、試料容器を試料貯蔵装置の中に置く、またはこの試料貯蔵装置から試料容器を取り出すために必要とされる時間が、特に多数の試料を短時間で提供しなければならない時には、長くなり過ぎると考えられる。
【発明の目的および概要】
【0010】
本発明の1つの目的は、冒頭で導入された、および先行技術から知られている欠点を取り除くまたは少なくとも最小限に抑える、代替の貯蔵システムを提供することである。
【0011】
本発明の付加的な1つの目的は、先行技術から知られている欠点を取り除く、または少なくとも最小限に抑える、代替の低温貯蔵システムを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる1つの目的は、顧客の現場でより容易に組み立てることができる、貯蔵システムを提供することである。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、顧客の現場でより大きいまたはより小さい貯蔵システムに容易に改良することができる、貯蔵システムを提供することである。
【0014】
冒頭で導入された代替の貯蔵システムに関する、全ての目的に達する根拠は、一体的に形成された立体バット(vat)モジュールである。小規模の機能的実施形態では、試料貯蔵領域および試料貯蔵サービス領域は、それぞれ、水平バット床面、およびバット床面に接続され、かつ空いたバット空間が残っている4つの接合バット壁を伴う、そのようなバットモジュールを備える。試料貯蔵装置はまた、試料貯蔵装置を閉鎖するために、上部側壁と、カバープレートとを備える。各バット床面およびバット壁は、外側裏打ちと、内側裏打ちとを備え、いずれの場合においても、外側および内側裏打ちは、本質的にポリマー発泡材料で充填される隙間によって分離される。その硬化した状態のこのポリマー発泡材料は、外側および内側裏打ちの互いに対する固定、ならびに、したがって一体的に形成された立体バットモジュールのサンドイッチ構造の断熱および補強を提供する。
【0015】
本発明による付加的な、および好ましい特徴は、従属する装置から、および方法の請求項から生じる。
【0016】
本発明による貯蔵スタックの利点は、以下を含む。
【0017】
1.バットモジュール、上部側壁、およびカバープレート等の試料貯蔵装置の要素は、製造業者の現場で予備加工し、組み立てて、試験を行うことができ、分解して標準的な輸送用車両によって、および研究室のドアを通して輸送することができ、そして、顧客の現場で容易に組み立てることができる。
【0018】
2.貯蔵バットモジュールは、好ましくは、試料貯蔵領域の全機能に必要な全ての機器を備える。したがって、通気装置および深冷デバイスのような必要なアクセサリを伴う、貯蔵バットモジュール、上部側壁、およびカバープレートのような一組の要素を加えることは、最小の作業用試料貯蔵装置の貯蔵能力を2倍にする。
【0019】
3.全ての必要なアクセサリを伴う各貯蔵バットモジュールを備えているので、各貯蔵バットモジュールは、+25℃〜−90℃の温度範囲の個々の温度で動作させることができる。
【0020】
4.全ての必要なアクセサリを伴う各貯蔵バットモジュールを備えているので、既存の低温貯蔵装置が連続運転中である間に、付加的な貯蔵バットモジュールを加えることによって既存の低温貯蔵装置を拡張することができる。
【0021】
5.貯蔵バットモジュールから、通気装置および深冷デバイスのようなアクセサリを機能的に分離することは、貯蔵バットモジュールを解凍して空にすることを強いることなく、これらのアクセサリの完全なサービスを可能にする。
【0022】
6.モジュール式試料貯蔵装置は、非常に小さい設置面積のコンパクトな筐体の高い貯蔵密度を提供する。
【0023】
7.モジュール式試料貯蔵装置を拡大する時、ならびに縮小する時に、電動ロボットの全機能が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで、本発明の範囲を制限することなく1つの好ましい例示的実施形態を提示する図面を用いて、本発明による試料貯蔵装置を詳細に説明する。
【図1】本発明による低温試料貯蔵装置の最小の作業実施形態の3次元の図である。
【図2】図1の低温試料貯蔵装置の貯蔵領域、サービス領域、および移送領域を通してのX方向の垂直断面図である。
【図3】図1の低温試料貯蔵装置の貯蔵領域および移送領域を通してのY方向の垂直断面図である。
【図4】図1の低温試料貯蔵装置の貯蔵領域、サービス領域、および移送領域の平面図である。
【図5】一体的に形成された立体バットモジュールの3次元の図であり、図5Aは、外部からの空気入口および空気出口開口部を伴うバット側壁を示す図であり、図5Bは、内部からの空気入口および空気出口開口部を伴うバット側壁を示す図である。
【図6】貯蔵バットモジュールのバット空間の内部の3次元の図であり、図6Aは、案内ポストに取り付けられる案内グリッドの配置を示す図であり、図6Bは、案内グリッドおよび案内ポストと、挿入された貯蔵スタックとの組み合わせの配置を示す図である。
【図7】図3に従うY方向の3次元の断面図であるが、X方向の反対側から見た図である。
【図8】図1の低温試料貯蔵装置の移送領域内部のロボットの図であり、図8Aは、ロボットを示す図であり、図8Bは、微小管用のマイクロプレートサイズのラックの形態の試料容器を示す図であり、図8Cは、微小管の打ち抜き中に、供給源プレートおよび宛先プレートとして重ね合わされる図8Bの2つのラックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による低温試料貯蔵装置の最小の作業用実施形態の3次元の図を示す。これは、一般に、本質的に垂直方向に挿入されて、試料容器4をその中に貯蔵するために達成される、多数の貯蔵スタック3を取り込むための貯蔵領域2を備える、試料貯蔵装置1である。この試料貯蔵装置は、貯蔵領域2に隣接して位置する、サービス領域5と、貯蔵領域2およびサービス領域5の上側に位置する、移送領域6とをさらに備える。加えて、試料貯蔵装置は、移送領域6の中に位置し、かつ少なくとも1つの本質的に水平方向に移動可能である、電動ロボット7を備える。しかしながら、好ましくは、ロボット7は、図1の右側に示されるX方向およびY方向に水平に移動可能である。ロボット7は、貯蔵スタック3を、貯蔵領域2から、本質的に垂直な、すなわちZ方向に、したがって、移送領域6の中に少なくとも部分的に持ち上げるための持ち上げデバイス8を備える。ロボット7の持ち上げデバイス8はまた、貯蔵スタック3を貯蔵領域2の中に降ろす機能を果たす。ロボットは、移送領域6内で少なくとも1つの試料容器4を輸送するための少なくとも1つのプラットフォーム9をさらに備える。
【0026】
本発明に関する状況において、「試料容器」という用語は、ANSI/SBS規格1−2004および2−2004に従う標準マルチウェルマイクロプレート、または相当する寸法を伴うマルチウェルマイクロプレートとして理解されたい。「試料容器」という用語はまた、例えばEP0 904 841 B1で公開されているような、微小管を挿入するためのラックとして理解されたい。そのようなラックは、好ましくは、標準マイクロプレートと類似した、または同一の寸法を有する。さらに、「試料容器」という用語は、好ましくは標準マイクロプレートと類似した寸法を有し、本質的に水平位置に貯蔵することができる、細胞培養フラスコとして理解されたい。血液バッグは、本発明に関する状況では、別の「試料容器」である。そのような血液バッグは、標準マイクロプレートとほぼ同じ設置面積を有するトレイによって支持することができる。
【0027】
この試料貯蔵装置1はまた、電動ロボット7の全ての動作および移動を制御するためのコントローラ10を備える。このコントローラは、試料貯蔵装置1に組み込まれる、中央コンピュータであってもよい。コントローラはまた、試料貯蔵装置が動作可能に接続される、外部プロセッサであってもよい。
【0028】
試料貯蔵装置1のサービス領域5は、1つの一体的に形成された立体バットモジュール11を備え、試料貯蔵装置1の貯蔵領域2は、少なくとも1つの一体的に形成された立体バットモジュール11を備える。該バットモジュール11のそれぞれは、本質的に水平なバット床面14と、バット床面14に接続され、かつ空いたバット空間16が残っている4つの接合バット壁15とを備える。各バット床面14およびバット壁15は、外側裏打ち17と、内側裏打ち18とを備え、いずれの場合においても、外側および内側裏打ち17、18は、本質的にポリマー発泡材料20で充填される隙間19によって分離される。このポリマー発泡材料20は、外側および内側裏打ち17、18の互いに対する固定、ならびに、したがって一体的に形成された立体バットモジュール11のサンドイッチ構造の断熱および補強を提供する。
【0029】
一体的に形成された立体バットモジュール11を形成するための、そのようなサンドイッチ構造の異なる実行可能な実施形態がある。
−第1のおよび好ましい実施形態では、該外側裏打ち17は、好ましくは、粉末被覆された鋼板であり、該ポリマー発泡材料20は、ポリウレタンフォームであり、該内側裏打ち18は、ステンレス鋼板22で覆われる、複合プレート21である。細孔が全くない面を提供し、かつ完全な清浄を支援するので、そのような一体的に形成された立体バットモジュール11の最内面には、ステンレス鋼板22の利用が好ましい。
−第2の好ましい実施形態では、他のサンドイッチ要素が、一体的に形成された立体バットモジュール11に組み合わせられる。ここでは、外側裏打ち17は、好ましくは、粉末被覆された硬質プラスチックシートであり、ポリマー発泡材料20は、ここでもポリウレタンフォームであり、内側裏打ち18は、安定ステンレス鋼板22である。
【0030】
本発明の状況において、「複合プレート」という用語は、一般的にブナノキ、カバ、トウヒまたはカエデによる、少なくとも5つの中間層(ベニヤ層)から組み立てられ、各中間層は、0.8〜2.5mmの厚さを有する、「ベニヤ合板」として理解されたい。中間層の数は、5〜55以上の所望の総合板厚さに応じて変動する。複合プレートの目に見える外層も大幅に変動し、塗装された面、他の種類の木のベニヤ、または金属クラッディングがある。プレートは、接着剤または耐水樹脂とともに圧縮されて、交互に縞模様に(すなわち、直交積層)され、単一の中間層のテクスチャは、一般的に、約90°ずらされる。
【0031】
そのような一体的に形成された立体バットモジュール11の要素(バット床面14およびバット壁15)は、内側裏打ち18を溶接することによって、および外側裏打ち17を互いに溶接または接着することによって、互いに固定される。これらを固定する前または後に、中間の空間19は、ポリマー発泡材料20で充填される。代替として、これらの要素は、木製部品またはサンドイッチプレートの接続から知られているような、あり継ぎ(好ましくは、被覆)接続によって、互いに固定される。そのような場合、溶接は、好ましくは、例えば隣接する要素からのポリマー発泡材料20の部分的な接着によって、要素を接続した後に行われる。
【0032】
図1に示されるように(図2も参照されたい)、試料貯蔵装置1はまた、その頂部で試料貯蔵装置を閉鎖するために、上部側壁12と、カバープレート13とを備える。上部側壁プレート12、カバープレート13、前面壁プレート24、および背面壁プレート25は、好ましくは、バット床面14およびバット壁15よりも単純なサンドイッチ構造である。外側裏打ち17は、好ましくは、粉末被覆された硬質プラスチックシートであり、ポリマー発泡材料20は、好ましくは、ポリウレタンフォームであり、内側裏打ち18は、ステンレス鋼シート22である。代替として、上部側壁プレート12、カバープレート13、前面壁プレート24、および背面壁プレート25は、一体的に形成された立体バットモジュール11の床面14および壁15と同じサンドイッチ構造である。
【0033】
貯蔵領域2およびサービス領域5の一体的に形成された立体バットモジュール11は、同じサイズを有することが好ましい。これは、より多数の、したがってより経済的な、一体的に形成された立体バットモジュールの生成といった利点を提供する。各一体的に形成された立体バットモジュール11は、バットモジュール11のうちの1つと同じ長さを有する、2つの上部側壁プレート12と、1つのカバープレート13とを備えることがさらに好ましい。結論的に、試料貯蔵装置1の機能部分23は、1つの一体的に形成された立体バットモジュール11、2つの上部側壁プレート12、および1つのカバープレート13といった要素によって形成される。試料貯蔵装置1はまた、好ましくは、試料貯蔵装置1を閉鎖するために、前面壁プレート24と、背面壁プレート25とを備える。
【0034】
したがって、最小の試料貯蔵装置1は、以下を備える(図1を参照されたい)。
−2つの一体的に形成された立体バットモジュール11、
−4つの上部側壁プレート12、
−2つのカバープレート13、
−前面壁プレート24、および
−背面壁プレート25。
【0035】
第2の機能要素(1つの一体的に形成された立体バットモジュール11、2つの上部側壁プレート12、および1つのカバープレート13を伴う)を加えることは、試料貯蔵装置(1)の貯蔵能力を2倍にする。第3のそのような機能要素を加えることは、試料貯蔵装置(1)の貯蔵能力を3倍にする。したがって、あらゆる当業者には、機能部分23またはモジュールを加える、または除去することが、予め存在する試料貯蔵装置1の機能部分23またはモジュールを変更しないことは明らかである。そのような(拡大ならびに縮小のための)拡張性に完全に対応するために、およびロボット7が、(機能部分23を加える、または引き出す前および後に)試料貯蔵装置1の貯蔵領域6の上を事実上移動することを常時可能にするために、貯蔵領域2およびサービス領域5の各一体的に形成された立体バットモジュール11は、バット側壁35およびバット縦壁41上に同じ高さの担持構造体49を備える(図2〜5および図7を参照されたい)。これらの同じ高さの担持構造体49は、ロボット7をX方向に移動させるための水平レール50を支持する(図1〜3および図8を参照されたい)。好ましくは、各々機能部分23のこれらの水平レール50は、それらが隣接する機能部分23の隣り合う水平レール50と相互に組み合うような構造である。代替として、好ましくはないが、モジュール式試料貯蔵装置1の拡大または縮小を完成するために、水平レールの一部または全体を置換することができる。
【0036】
好ましくは、試料貯蔵装置1はまた、貯蔵領域2の中のバットモジュール11のうちの1つの空いたバット空間16の中に本質的に垂直方向に挿入され、かつ試料容器4をその中に本質的に水平位置に貯蔵するために達成される、多数の貯蔵スタック3を備える。
【0037】
全ての試料貯蔵装置は、好ましくは、サービス領域5の上にある移送領域6の一部に位置する、インターフェースユニット26を備える。インターフェースユニット26は、サービス領域5と、ロック27とを備える。ロック27は、試料容器4を試料貯蔵装置1の中にロックするために、および試料容器4を試料貯蔵装置1からロック解除するために達成される。好ましくは、ロック27は、ロックがあるバット壁15全体にわたって移動可能である、引き出しとして達成される。この引き出しは、手動または電動とするができる。好ましくは、ロック27の適切な閉鎖は、コントローラ10によって監視される。試料貯蔵装置1のロボット7は、少なくとも1つの試料容器4をインターフェースユニット26に、およびそこから輸送するために実装されることが特に好ましい。第1の実施形態によるそのような単純な試料貯蔵装置は、気候制御された、または空調された部屋の中に配置することができ、よって、試料貯蔵装置1自体が、内部の空気を調整するための自身の手段を備える必要がない。
【0038】
第2の好ましい実施形態の試料貯蔵装置1は、温度制御された試料貯蔵装置として達成され、少なくとも1つの温度制御デバイス28を備える。この温度制御デバイス28は、試料貯蔵装置1のサービス領域5および移送領域6の中で空気を循環させるため、および空気温度を高くても+25℃に制御するために達成される。温度制御デバイス28の能力に応じて、好ましくは高くても+4℃、より好ましくは高くても−20℃等の、温度制御された試料貯蔵装置の内部をより低い温度に制御することができる。該少なくとも1つの温度制御デバイス28(必要であれば、2つの温度制御デバイス28)は、インターフェースユニット26と作業接続して位置することが好ましい。温度制御デバイス28は、ドア72も位置する前面壁プレートの開口部と接続していることが特に好ましい(図1を参照されたい)。そのようなドア72は、試料貯蔵装置の内部のサービス作業が必要である時に、サービス活動に使用することができる。
【0039】
好ましくは、コントローラ10に動作可能に接続されるユーザインターフェース(タッチスクリーン等)は、ロック27の位置の近くに提供される(図示せず)。
【0040】
図1から、インターフェースユニット26は、試料を試料貯蔵所から、およびその中に移動させるための(例えば、ロック27を参照されたい)、試料貯蔵所の全ての設備を制御するための(コントローラ10を参照されたい)、空気温度を−20℃から高くても+25℃の範囲で制御するための(温度制御デバイス28を参照されたい)、および十分な貯蔵装置に入るための(ドア72を参照されたい)全ての設備を、試料貯蔵装置に提供していることは明らかである。しかしながら、試料貯蔵装置の貯蔵領域2の各一体的に形成された立体バットモジュール11は、好ましくは、バット側壁35に位置する、第1の空気出口開口部32と、第1の空気入口開口部39とを備える(図3を参照されたい)。第1の空気出口開口部32には、貯蔵領域2の一体的に形成された立体バットモジュール11の中の温度制御された空気を循環させるための通気装置29が接続される。
【0041】
液体処理能力を伴うワークステーション73(例えば、Tecan Trading(CH−8708、Mannedorf、Switzerland)のFreedom EVO(登録商標)Assay Workstation等)を、モジュール式試料貯蔵装置1に隣接して設置して、試料貯蔵装置1のロック27を使用して、試料貯蔵所1で試料容器4を交換することができる(図1を参照されたい)。代替として、ワークステーション73は、インターフェースユニット26の中に位置する単一プレートインターフェース78に至るコンベアベルト79によって、試料貯蔵装置に接続することができる(図4を参照されたい)。この場合においても、ロック27は、モジュール式試料貯蔵装置1の出入り口を開閉するために使用することができる。電動ロボット7は、Zモジュール53の補助によって、ロックされた試料容器4を単一プレートインターフェース78から取り出すことが可能である(図8Aを参照されたい)。このZモジュール53は、例えばマイクロプレートサイズの微小管ラック(図8Bを参照されたい)の形態の試料容器4を垂直Z方向に持ち上げるために、および該試料容器4をロボット7の第1の搬送装置54の上に、または第2の搬送装置55の上にセットするために達成される。試料容器4を単一プレートインターフェース78から取り上げた後に、ロボットは、試料容器4を、入/出スタック77、事前入/出スタック、または貯蔵スタック3の中に置く。
【0042】
そのような温度制御された試料貯蔵装置1では、温度制御された空気が、そのような温度制御された試料貯蔵装置1の内部全体を自由に循環できることが必須であるので、図1〜4および図6〜8に示されるように、貯蔵スタック3は、個々の断熱カバー69を備えていない。
【0043】
第3の特に好ましい実施形態の試料貯蔵装置1は、温度制御された低温試料貯蔵装置として達成され、空気温度を高くても−20℃に冷却および制御するための少なくとも1つ冷却デバイス30を備える。この冷却デバイス30は、空気温度を高くても−20℃に冷却および制御するために、および試料貯蔵装置1のサービス領域5および移送領域6の中の冷却された空気を循環させるために達成される。この少なくとも1つの冷却デバイス30は、好ましくは、インターフェースユニット26と作業接続して位置する。該少なくとも1つの冷却デバイス30(必要であれば、2つの冷却デバイス30)は、インターフェースユニット26と作業接続して位置することが好ましい。冷却デバイス30は、ドア72も位置する前面壁プレートの開口部と接続していることが特に好ましい(図1を参照されたい)。
【0044】
好ましくは、温度制御された低温試料貯蔵装置1はまた、冷却デバイス30と組み合わせられる、温度制御デバイス28を備える。それぞれが温度制御デバイス28および冷却デバイス30の組み合わせとして達成される、2つの温度制御ユニットを設置することが特に好ましい。そのような2つの温度制御ユニットの設置は、これらの温度制御ユニットのうちの一方が故障した場合に、他方の温度制御ユニットがその温度制御の責任を引き継ぐように、温度調節計器の二重化を提供する。
【0045】
図1から、インターフェースユニット26は、試料を試料貯蔵所から、およびその中に移動させるための(例えば、ロック27を参照されたい)、試料貯蔵所の全ての設備を制御するための(コントローラ10を参照されたい)、空気温度を−20℃の範囲で霊薬および制御するための(温度制御デバイス28および冷却デバイス30を参照されたい)、および十分な貯蔵装置に入るための(ドア72を参照されたい)全ての設備を、試料貯蔵装置に提供していることは明らかである。加えて、温度制御された低温試料貯蔵装置の貯蔵領域2の各一体的に形成された立体バットモジュール11は、空気を少なくとも−80℃の温度に深冷するための少なくとも1つの深冷デバイス31と、試料貯蔵装置1の貯蔵領域2の一体的に形成された立体バットモジュール11の中の深冷された空気を循環させるための、バット側壁35に位置する1つの第1の空気出口開口部32および1つの第1の空気入口開口部39に接続される、少なくとも1つの通気装置29とを備える。
【0046】
そのような温度制御された低温試料貯蔵装置1では、試料貯蔵装置1の貯蔵領域2の一体的に形成された立体バットモジュール11の中の深冷された空気が、貯蔵領域2を脱出できないこと、およびそのような温度制御された低温試料貯蔵装置1の内部全体を自由に循環できないことが必須であるので、貯蔵スタック3は、図1〜4および図6〜8に示されるように、個々の断熱カバー69を常時備えている。
【0047】
第1の変形例によれば、少なくとも1つの深冷デバイス31および1つの通気装置29が、バットモジュール11の外側に位置する1つの単一の共通の筐体36の中に収容されることが好ましい(図示せず)。単一の共通の筐体36は、温度制御された低温試料貯蔵装置1に対してある距離で位置させることができ(図示せず)、また、低温に冷却されるバットモジュール11のバット側壁35のそれぞれに位置する該第1の空気出口および入口開口部32、39に接続される冷却ライン(図示せず)を介して、バットモジュール11のそれぞれと作業接続できる。
【0048】
第2の変形例によれば、試料貯蔵装置1の貯蔵領域2の一体的に形成された立体バットモジュール11のそれぞれは、1つの共通の筐体36の中に収容される、少なくとも1つの個々の第1の深冷デバイス31と、少なくとも1つの個々の通気装置29とを備えることが特に好ましい(図3を参照されたい)。この共通の筐体36は、バットモジュール11の外側でバット側壁35に位置する。この共通の筐体36は、該第1の空気出口および入口開口部32、39を介して、それぞれのバットモジュール11と直接作業接続している。第2の変形例によれば、貯蔵領域2の各一体的に形成された立体バットモジュール11は、バット側壁35の中にある第2の空気出口および入口開口部34、40を備え(図5および7を参照されたい)、第2の空気出口および入口開口部34、40には、バットモジュール11の外側のバット側壁35の別々の筐体37の中に位置する個々の第2の深冷デバイス33が接続される(図1および4を参照されたい)ことが特に好ましい。好ましくは、深冷デバイス31、33は、深冷凝集体80および蒸発器81を備える(図3を参照されたい)。代替として、通気装置29が蒸発器81の頂部に位置するように(図示せず)、個々の深冷デバイス31、33の通気装置29および蒸発器81の位置は交換することができる。
【0049】
個々の第1および第2の深冷デバイス31、33の冷却能力は、日常の作業において、第1および第2の深冷デバイス31、33が、それらの冷却能力の少なくとも50%で機能するようにだけ選択することが特に好ましい。これらの深冷デバイス31、33(どちらも、単一のバットモジュール11専用)のうちの1つが故障した場合、依然機能しているデバイスは、不具合のあるデバイスの冷却能力の少なくともかなりの部分を引き継ぐことができる。そのような責任の引継ぎは、日常の冷却能力の約80%をもたらすことができ、それぞれの貯蔵スタック3の中に貯蔵される試料容器4のより限定された取り扱いを可能にする。しかしながら、依然機能している深冷デバイス31または33によって全冷却能力を提供することが好ましい。結論的に、全深冷能力は、これらの深冷デバイス31、33のうちの1つが故障した場合でも保証される。結果として、全試料完全性が保証される。
【0050】
代替の配設では、事前設定された発明の趣旨から逸脱しないが、共通の筐体36のための一方の部品を、他方の頂部に位置させることができる(図3の破線を参照されたい)。したがって、凝集体80は、蒸発器81の頂部に位置する。
【0051】
第1または第2の変形例の温度制御された低温試料貯蔵装置1は、好ましくは、1つのバット空間16または複数のバット空間16からの個々の深冷構成要素の機能分離を可能にする、空気遮断手段を備える。これは、該第1および第2の空気出口開口部32、34、ならびに該第1および第2の空気入口開口部39、40のそれぞれが、シャッター38を備えることで達成される。これらのシャッター38は、それぞれの開口部32、34、39、40を閉鎖し、したがって、該開口部32、34、39、40を案内する試料貯蔵装置1の貯蔵領域2の一体的に形成された立体バットモジュール11から、通気装置29、第1の深冷デバイス31および通気装置29の組み合わせ、ならびに第2の深冷デバイス33および通気装置29の組み合わせのうちの1つを分離するために達成される。これらのシャッター38は、好ましくは、電動式であり、コントローラ10によってそれらの位置で制御される。コントローラ10はまた、好ましくは、凝集体80および蒸発器81の状態に関する情報を受信した時に、第1および第2の深冷デバイス31、33の個々の自動的な除氷が可能である。そのような除氷手順中は、試料の完全性を提供するために、すなわち、試料容器4の中の試料が高すぎる温度に加熱されることを防止するために、他の深冷デバイスは運転を続ける。
【0052】
各貯蔵バットモジュール11がシャッター38を備えているので、貯蔵バットモジュールからの、通気装置および深冷デバイスのような機能遮断アクセサリは、貯蔵バットモジュールを解凍して空にすることを強いられずに、これらのアクセサリの完全なサービスを可能にする。単一貯蔵バットモジュールの解凍はまた、全ての他の貯蔵バットモジュールを動作させて、−90℃まで下げた温度に保持しながら行うことができる。
【0053】
好ましくは、また貯蔵バットモジュール11の内部のより均一な分配を達成するために、貯蔵領域2の各バットモジュール11はまた、排気チャネル42と、吸気チャネル43とを備える(図5Aを参照されたい)。これらの2つのチャネル42、43は、バット側壁35の内側にあり(図7を参照されたい)、これらの2つのチャネル42、43は、内側開口部44に対して開口する。内側開口部44は、貯蔵領域2の各バットモジュール11のバット空間16に至る。排気チャネル42は、空気出口開口部32、34に接続され、吸気チャネル43は、空気入口開口部39、40に接続される(図3および5を参照されたい)。該内側開口部44のそれぞれは、該バット側壁35を接合する縦バット壁41の近くに位置し(図5Bを参照されたい)、通気孔46を伴う2つの空気案内ブレード45は、深冷された空気をバット空間16に分配する、または深冷された空気をそこから回収するために、縦バット壁41の一方または他方に対してある距離47で位置付けられる(図5Bを参照されたい)。
【0054】
一体的に形成された立体バットモジュール11、上部側壁12、およびカバープレート13を備える群より選択される、各構成部品は、これらの構成部品のうちの2つを相互に可逆的に接続するための、機械的接続要素48を有することが特に好ましい。好都合に、そのような機械的接続要素は、一方の構造部分およびの中の張力受け金具、および他方の構造部分の中のそれぞれのロックプレートとして達成される。一方では、2つの構造部を密接に接続することが達成され、一方では、後に比較的に簡単な分離が可能である。より大きい力を及ぼすために、特殊用具を使用してかぎ状の張力受け金具を移動させることが好ましい。これらの張力受け金具およびロックプレートをポリマー発泡材料の中に埋め込むことは、これらの張力受け金具およびロックプレートをそれらのシートから解放せずに、そのような力を及ぼすことを可能にする。図1〜5、図7、および図8から分かるように、試料貯蔵装置1、温度制御された試料貯蔵装置1、または温度制御された低温試料貯蔵装置1の構成部品間の全ての接続面上には、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の、最も好ましくは一連の、これらの構成部品を可逆的な様式で相互に接続するために与えられる、機械的接続要素48がある。
【0055】
前述のように、ロボット7が試料貯蔵装置1の移送領域6の事実上全体にわたって移動することを可能にするために、貯蔵領域2およびサービス領域5の各一体的に形成された立体バットモジュール11は、バット側壁35およびバット縦壁41上に担持構造体49を備える(図2〜5、および図7を参照されたい)。これらの担持構造体49は、X方向のロボット7を移動させるための水平レール50を支持する(図1〜3および図8を参照されたい)。
【0056】
電動ロボット7は、好ましくは、移送領域6の中に位置する、断熱フード51を備える(図8Aを参照されたい)。ロボット7は、持ち上げデバイス8を使用した時に、貯蔵スタック3全体をその元のバット空間16から、および該断熱フード51の中に持ち上げることが可能である。ロボット7は、したがって、貯蔵スタック3を、移送領域6内の断熱フード51の内部に輸送すること、および貯蔵スタック3を、試料貯蔵装置の貯蔵領域2の別の一体的に形成された立体バットモジュール11の深冷されたバット空間16の中に降ろすことが可能である。代替として、ロボットは、移送領域6内の該断熱フード51の内部の貯蔵スタック3を運搬すること、および貯蔵スタック3をインターフェースユニット22のバット空間16の中に降ろすことができる。そのようなスタック3は、次いで、(例えば、−20℃まで加熱された後に)ロック27を介して試料貯蔵装置1から引き出すことができる、いわゆる入/出スタック77(図4を参照されたい)に提供される。
【0057】
入/出スタック77はまた、インターフェースユニット26の中に恒久的に位置させることもできる(図4を参照されたい)。そのような場合、電動ロボット7は、単に、貯蔵領域2の中の貯蔵スタック3で行うのと同じ方法でこれらの入/出スタック77を持ち上げて降ろす。これらの入/出スタックは、したがって、試料容器4をインターフェースユニットの温度(好ましくは、−20℃)に適合させるための中間貯蔵場所として使用することができる。この温度適合は、試料容器4を試料貯蔵装置1の中に装填する時、および試料容器4を試料貯蔵装置1から取り出す時に有利であり得る。
【0058】
電動ロボット7は、好ましくは、移送領域6の中に位置する、断熱フード51を備える(図8Aを参照されたい)。ロボット7は、持ち上げデバイス8を使用した時に、貯蔵スタック3を該断熱フード51の中に部分的に持ち上げることが可能である。実際に、図8Aは、初期におけるスタック3の持ち上げを示し、スタック3は、まだバット空間16の中にほぼ完全に挿入されている。スタック3は、次いで、ロボット7のスパチュラ52がアクセス可能であるレベルまで持ち上げられる(図8Aを参照されたい)。このスパチュラ52は、断熱フード51の中に、および特定の試料容器4の下に移動させるように達成される。スパチュラが断熱フード51の中に挿入された時には、持ち上げデバイス8がスタック3を漸増的に降ろし(例えば、数mm)、したがって、選択された試料容器4を、以前に試料容器4を担持した相互貯蔵のウェブ68(図6Bを参照されたい)に接触させずに、スパチュラ52上に置くことを可能にする。ロボット7は、該特定の試料容器4を貯蔵スタック3から水平方向に移動させるように達成される。ロボット7は、別の試料容器4を貯蔵スタック3の中に水平方向に移動させるようにさらに達成される。
【0059】
+25℃〜−20℃の間の温度においては、貯蔵領域2、移送領域5、およびインターフェースユニット26の間に事実上いかなる温度差もないので、モジュール式試料貯蔵装置1を単に約−20℃の温度に下げた時に、電動ロボット7は、断熱フード51を空の状態にし得る。したがって、断熱フード51の利用は、不要である。結論的に、電動ロボット7は、持ち上げデバイス8を使用した時に、貯蔵スタック3を、スパチュラ52がアクセス可能であるレベルまで部分的に持ち上げることが可能である(図8Aを参照されたい)。スパチュラ52は、持ち上げられた貯蔵スタック3の中に、および特定の試料容器4の下に移動させるように達成される。スパチュラが貯蔵スタック3の中に挿入された時には、持ち上げデバイス8がスタック3を漸増的に降ろし(例えば、数mm)、したがって、担持した選択された試料容器4を、以前に試料容器4を相互貯蔵のウェブ68(図6Bを参照されたい)を接触させずに、スパチュラ52上に置くことを可能にする。ロボット7は、(スパチュラ52の引き出しによって)該試料容器4を貯蔵スタック3から水平方向に移動させ、このまたは別の試料容器4を貯蔵スタック3の中に水平方向に移動させるように達成される。
【0060】
1つの試料容器4を一時的に保持して輸送することを可能にするために、ロボット7は、プラットフォーム9を備える(図1、2および図8を参照されたい)。このプラットフォーム9は、好ましくは、2つの搬送装置54、55を備える。前述のように、ロボット7は、スパチュラ52から、例えばマイクロプレートサイズの微小管ラックの形態(図8Bを参照されたい)の試料容器4を持ち上げるための、および該試料容器4を第1の搬送装置54または第2の搬送装置55上にセットするためのZモジュール53をさらに備える(図8Aを参照されたい)。搬送装置54、55は、好ましくは、どちらも水平X方向、およびX方向に垂直である水平Y方向に個々に移動可能である。
【0061】
ロボット7は、第1のマイクロプレートサイズの微小管ラックまたは供給源プレート58の区画57から、第2のマイクロプレートサイズの微小管ラックまたは宛先プレート59の区画の中に微小管を押し込むためのパンチングデバイス56を備えることが特に好ましい(図8Cを参照されたい)。いわゆるパンチングプロセスを行うために、供給源プレート58は、宛先プレート59の上側に位置し、パンチングデバイス56は、微小管を垂直Z方向に押し下げるように達成される。類似した打ち抜きデバイスは、例えば、EP 0 904 841 B1から知られている。
【0062】
試料容器4を伴う試料スタック3を貯蔵領域バットモジュール11のバット空間16の中により安全に貯蔵するために、試料貯蔵装置の貯蔵領域2の各一体的に形成された立体バットモジュール11は、バット空間16の中に位置する案内グリット60を備える(図6Aを参照されたい)。この案内グリッド60は、バット床面14上に立っている案内ポスト61によって支持される(図6Aおよび6Bを参照されたい)。この案内グリッド60は、貯蔵スタック3のサイズに適合する、一連の開口62を画定している(図6Bを参照されたい)。貯蔵スタック3のそれぞれは、これらの開口62のうちの1つの中で垂直に移動可能であるように達成される。案内ポスト61は、貯蔵スタック3の2つの垂直対向側部に位置する摺動溝63に係合し(図6Bを参照されたい)、貯蔵スタックの垂直移動を案内する。
【0063】
一実施形態では、貯蔵スタック3は、バット空間16の中でその最低位置まで降ろした時に、貯蔵スタック3の重量を担持する担持ウェブを伴う、側方支持フランジ64を備え(図6Bを参照されたい)、側方支持フランジ64の担持ウェブは、案内グリッド60によって支持される。
【0064】
別の好ましい実施形態では、貯蔵スタック3は、個々のトラニオン65をそれらの下端部に備える(図6Bを参照されたい)。該トラニオン65は、バット空間16の中でその最低位置まで降ろした時に、バット床面14に当接することによって貯蔵スタック3の重量を担持する。
【0065】
配向ピン74は、案内ポスト61の下端部を配向させて位置付ける機能を果たす。そのような配向ピン74は、好ましくは、裏打ち18の内部のバット床面14のステンレス鋼板22上に固定される、溶接されたボルトとして提供される(図6Aを参照されたい)。代替として、配向ピン74は、裏打ち18の内部のバット床面14のステンレス鋼板22上に位置付けられる(その中に多数の付加的な孔を伴う、または伴わない)別個のステンレス鋼板(図示せず)上に固定される、溶接されたボルトとして提供される。
【0066】
ロボット7の持ち上げデバイス8によって持ち上げられるために、各貯蔵スタック3は、持ち上げデバイス8によって係合可能であり、かつ一方の試料容器4を他方の頂部の上で、水平位置で支持するための相互貯蔵ウェブ68を備える側方支持フランジ64を伴う担持構造体67に取り付けられる(図6Bを参照されたい)、担持要素66をその上端部に備える(図6Bを参照されたい)。好ましくは、少なくとも担持要素66の一部は、誘導的または容量的な原理で動作する、配向センサ(図示せず)によって検出できる金属で作製される。そのような配向センサを用いることで、電動ロボット7は、担持要素66の実際の位置を検出することが可能であり、これは、貯蔵スタック3の担持要素66を係合するために使用される持ち上げデバイスの担持ヘッド(図示せず)の必要な移動(下、水平、および上)を制御することを非常に容易にする。
【0067】
電動ロボット7は、好ましくは、図1に示されるように、3次元デカルト座標系で移動および作用する。例えば、試料容器4を試料貯蔵装置の中に装填する時、または試料容器4を試料貯蔵装置1から取り出す時には、コントローラ10が、ロボット7を特定の貯蔵スタック4または入/出スタック77の平均位置に方向付けることが好ましい。この平均位置に到達した時に、そのような配向センサを備えるロボット7は、自己学習動作の結果として、特定の貯蔵スタック3の担持要素66を係合するため最良の位置をより容易かつより正確に見つけることができる。その後に、コントローラ10は、好ましくは、これらの正確な位置を記録し、次いで、ロボット7の学習により、この正確な位置にロボット7を即座に再度送ることが可能になる。
【0068】
前述のように、温度制御された低温試料貯蔵装置1の各貯蔵スタック3は、個々の断熱カバー69をその上端部に備える(図7を参照されたい)。この貯蔵スタック3の担持要素66は、好ましくは、個々の断熱カバー69の上側の陥凹70の中に位置する(図6Bを参照されたい)。
【0069】
低温の貯蔵は、ガス雰囲気の中に含有される水蒸気の凝結を引き起こし得ることが知られている。そのような着霜を最小限に抑える、または回避するために、各貯蔵スタック3は、霜防止被覆71が適用された表面を備える。そのような霜防止被覆の適用についての特別な関心は、貯蔵される試料容器4と直接接触する相互貯蔵ウェブ68の表面である。そのような霜防止被覆の適用についての他の特別な関心は、案内ポスト61およびこれらの案内ポストと相互作用する摺動溝63である(図6Bを参照されたい)。着霜を回避または低減することができる被覆は、例えばEP 0 925 333 B1およびEP 0 352 180 B1から知られおり、非タンパク質を源とする霜防止被覆が好ましい(EP 0 352 180 B1を参照されたい)。
【0070】
本発明による試料貯蔵装置1、温度制御された試料貯蔵装置1、および温度制御された低温試料貯蔵装置1はまた、試料を貯蔵および提供するための方法も可能にする。試料貯蔵装置1の試料を貯蔵および提供するための1つの例示的な貯蔵方法は、
(a)本質的に垂直方向に挿入されて、試料容器4をその中に貯蔵するために達成される、多数の貯蔵スタック3を取り込むための貯蔵領域2の中に、試料を貯蔵するステップと、
(b)貯蔵領域2に隣接して位置する、サービス領域5を提供するステップと、
(c)貯蔵領域2およびサービス領域5の上側に位置する、移送領域6を提供するステップと、
(d)移送領域6の中に位置し、かつ少なくとも1つの本質的に水平方向に移動可能である、電動ロボット7を提供するステップであって、ロボット7は、
i)貯蔵スタック3を、貯蔵領域2から、および移送領域6の中に少なくとも部分的に持ち上げるための、および貯蔵スタック3を貯蔵領域2の中に降ろすための、持ち上げデバイス8と、
ii)移送領域6内で少なくとも1つの試料容器4を輸送するための少なくとも1つのプラットフォーム9と、を備える、提供するステップと、
(e)電動ロボット7の全ての動作および移動をコントローラ10で制御するステップと、を含む。
【0071】
試料を貯蔵および提供するための例示的な貯蔵方法は、試料貯蔵装置1のサービス領域5には、1つの一体的に形成された立体バットモジュール11が提供され、試料貯蔵装置1の貯蔵領域2には、少なくとも1つの一体的に形成された立体バットモジュール11が提供されることを特徴とする。バットモジュール11のそれぞれは、本質的に水平なバット床面14と、バット床面14に接続される、4つの接合バット壁15とを備える。該バットモジュール11のそれぞれには、空いたバット空間16が残っている。加えて、試料貯蔵装置1はまた、上部側壁12およびカバープレート13を提供することによって閉鎖される。さらに、各バット床面14およびバット壁15は、外側裏打ち17と、内側裏打ち18とを備える。外部および内側裏打ち17、18は、いずれの場合においても、本質的にポリマー発泡材料20で充填される隙間19によって分離される。このポリマー発泡材料20は、外側および内側裏打ち17、18の互いに対する固定、ならびに、したがって一体的に形成された立体バットモジュール11のサンドイッチ構造の断熱および補強を提供する。
【0072】
好ましくは、試料を貯蔵するステップは、
(a)試料容器4を識別して、ロック27を介して試料貯蔵装置1のインターフェースユニット26の中に挿入するステップと、
(b)試料容器4をロボット7で空の貯蔵位置を伴う選択された貯蔵スタック3に移動させて、試料容器4をスパチュラ52上に位置付けるステップと、
(c)選択された貯蔵スタック3を、貯蔵スタック3の空の貯蔵位置が、スパチュラ52上に位置付けられる試料容器4によって到達可能であるレベルまで、ロボット7の持ち上げデバイス8によって持ち上げるステップと、
(d)試料容器4がその上に位置付けられるスパチュラ52を、貯蔵スタック3の空の貯蔵位置の中に挿入するステップと、
(e)試料容器4を、貯蔵スタック3の側方支持フランジ64上に配置するために、漸増的距離にわたって貯蔵スタック3を降ろすステップと、
(f)スパチュラ52を、貯蔵スタック3から引き出すステップと、
(g)貯蔵スタックを、試料貯蔵装置の貯蔵領域2の一体的に形成された立体バットモジュール11のバット空間16の中のその最低位置まで下ろすステップと、を含む。
【0073】
スパチュラ52は、試料容器4を配置するための少なくとも1つのパーキング位置を備えることが好ましい。しかしながら、2つの試料容器4をスパチュラ上に配置するための2つのパーキング位置を伴うスパチュラを備えることが特に好ましい(図8Aを参照されたい)。
【0074】
好ましくは、試料容器4を識別するステップは、
−試料容器4の機械で読み取り可能な識別子を読み取るステップ、
−機械で読み取り可能な識別子によって提供される付加的な情報を読み取るステップ、および
−試料容器の平均温度を測定するステップ、のうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
当業者に知られているように、機械で読み取り可能な識別子は、バーコード(1次元、2次元、または3次元)、RFIDタグ(無線周波識別タグ)、RuBeeタグ、およびそれらの組み合わせで構成される。好ましくは、空の貯蔵位置を伴う選択された貯蔵スタック3は、コントローラ10によって、
−試料容器4の識別子、
−提供される付加的な情報、および、
−試料容器の平均温度、のうちの少なくとも1つに従って選択される。
【0076】
そのような機械で読み取り可能な識別子を読み込むために、試料貯蔵装置1は、好ましくは、バーコードリーダーおよびRFIDトランスポンダー等の、適切な読み取り装置を備える。読み取り装置は、好ましくは、ロック27の次に、および/またはロック27内に位置する。
【0077】
空の貯蔵位置を伴う選択された貯蔵スタック3は、事前入/出貯蔵スタックまたは永久貯蔵スタックであることがさらに好ましい。好ましい識別子は、名前、英文字の組み合わせ、数の組み合わせ、ロゴ、およびそれらの組み合わせで構成される。付加的な情報は、好ましくは、試料容器4の内容物に関する情報、取り出された個々の資料に関する情報、試料の意図する処理に関する情報、回避すべき処理に関する情報、最高貯蔵温度に関する情報、最長貯蔵時間に関する情報、および生物学的災害の可能性に関する情報を含む。試料容器の平均温度を測定するための手段は、好ましくは、赤外線温度センサを備える。
【0078】
試料の貯蔵については、試料貯蔵装置1の貯蔵、サービス、および移送領域2、5、6の中の空気を、+25℃〜−20℃の範囲の温度に保持することが好ましい。生物学的試料の貯蔵については、貯蔵領域2の中の空気を、−20℃〜−90℃の範囲の温度に保持すること、およびサービスおよび移送領域5、6の中の空気を−20℃の温度に保持することが特に好ましい。
【0079】
1つの特に好ましい貯蔵方法は、試料貯蔵装置1の内部の転送距離の短縮を可能にし、貯蔵領域2の一体的に形成された立体バットモジュール11内に提供され、サービス領域5の一体的に形成された立体バットモジュール11に隣接して位置する、1つ以上の事前入/出スタックを備える。この目的のために、ロック27を備える試料貯蔵装置1のインターフェースユニット26は、サービス領域5の上側に位置し、かつこれを備える、試料貯蔵装置1の移送領域6のその一部に位置する。事前入/出スタックを含む一体的に形成された立体バットモジュール11のバット空間16内の冷却された空気の温度を、別の特に好ましい貯蔵方法は、ロック27から到着する試料容器4によって入力される熱を相殺するために、−80℃よりも低い温度、好ましくは−90℃に保持するステップを含む。
【0080】
コントローラ10によって制御される電動ロボット7が、特定の仕事要求に従って、試料容器4を貯蔵スタック3の中に挿入する、または試料容器4を貯蔵スタック3から引き出す貯蔵方法が好ましい。コントローラ10は、試料容器4またはその試料容器4の中の微小管のうちの1つの最長許容存在期間が、特定の試料容器4または微小管を試料貯蔵装置1の中にロックした時に機械で読み取り可能な識別子によって提供された付加的な情報に従って設定される限度に到達した場合に、要求された仕事を中断するように電動ロボット7に強制することが特に好ましい。
【0081】
全ての場合においてこれらの特徴が明細書の開示文書で詳細に割り当てられていない時であっても、同じ参照番号は、添付是面1〜8の中の同じ特徴に関連する。ここで、一例として、いくつかの寸法は、モジュール式試料貯蔵装置1の好ましい例示的実施形態に与えられる。これらの寸法は、モジュール式試料貯蔵装置が配置される研究室または建造物の特別な要件に従って変化し得る。
【0082】
この例示的実施形態では、以下の通りである。
バットモジュール11の長さ(Y方向) 2.35m
バットモジュール11の幅(X方向) 1.30m
前面および背面壁プレート24、25の厚さ 0.40m
【0083】
したがって、これらの例示的なバットモジュール11を伴う、最小のモジュール式試料貯蔵装置1(インターフェースユニット26、および貯蔵領域2を伴う1つの単一機能部分23から成る)の寸法は、3.40m×2.35mである。
【0084】
−80℃の貯蔵温度および−20℃の貯蔵領域温度を提供する、例示的な温度制御された低温試料貯蔵装置1については、以下の外側および内側裏打ち17、18間の隙間19(本質的に、ポリマー発泡材料20で充填される)の寸法が好ましい。
バット床面14(図2、3を参照されたい): 150mm
バット縦壁41(図2を参照されたい): 75mm
バット壁15(図3、5Aを参照された): 125mm
バット側壁35(図3、5Bを参照されたい): 125mm
バット上部側壁12(図3を参照されたい): 150mm
カバープレート13(図3を参照されたい): 100mm
【0085】
単一の貯蔵スタック3は、好ましくは、以下の寸法を有する。
Z方向の全高: 795mm
断熱カバー69のY方向長さ: 155mm
断熱カバー69のY方向幅: 98mm
【0086】
モジュール式試料貯蔵装置1の上記の寸法および貯蔵スタック4の好ましい寸法を考慮すると、この例示的なモジュール式試料貯蔵装置1の最大スタック数は110である(図2および3を参照されたい)。結論的に、この例示的なモジュール式試料貯蔵装置1の最大貯蔵能力は、以下の通りである。
標準96ディープウェルマイクロプレート: 1320
標準96ハーフディープウェルマイクロプレート:2310
標準384ウェルマイクロプレート: 2860
【0087】
移送領域6から貯蔵領域2を熱的に絶縁するために、断熱カバー69を使用する時に、好ましくは、隣接する個々の断熱カバー69の間に約1mmの間隙がある、という事実に特に留意されたい。
【0088】
貯蔵バットモジュール11のモジュール式試料貯蔵装置1への各追加は、上記の数を既存の試料貯蔵装置1に加えればよい。よって、5つの貯蔵バットモジュール11が、インターフェースユニット26で組み合わせられた場合、例えば11’550の標準96ハーフディープウェルマイクロプレート、または14’300の標準384ウェルマイクロプレートを、8.60m×2.35mの設置面積を伴う試料貯蔵装置の中に貯蔵することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 試料貯蔵装置
2 貯蔵領域
3 貯蔵スタック
4 試料容器
5 サービス領域
6 移送領域
7 電動ロボット
8 持ち上げデバイス
9 プラットフォーム
10 コントローラ
11 バットモジュール
12 上部側壁、側壁プレート
13 カバー、カバープレート
14 バット床面
15 バット壁
16 バット空間
17 外側裏打ち
18 内側裏打ち
19 隙間
20 ポリマー発泡材料
21 複合プレート
22 ステンレス鋼シート
23 機能部分
24 前面壁プレート
25 背面壁プレート
26 インターフェースユニット
27 ロック
28 温度制御デバイス
29 通気装置
30 冷却デバイス
31 第1の深冷デバイス
32 第1の空気出口開口部
33 第2の深冷デバイス
34 第2の空気出口開口部
35 バット側壁
36 共通の筐体
37 別個の筐体
38 シャッター
39 第1の空気入口開口部
40 第2の空気入口開口部
41 縦バット壁
42 空気出口チャネル
43 空気入口チャネル
44 内側開口部
45 空気案内ブレード
46 通気孔
47 距離
48 機械的接続要素
49 担持構造体
50 水平レール
51 断熱フード
52 スパチュラ
53 Zモジュール
54 第1の搬送装置
55 第2の搬送装置
56 打ち抜きデバイス
57 区画
58 供給源プレート
59 宛先プレート
60 案内グリッド
61 案内ポスト
62 開口
63 摺動溝
64 側方支持フランジ
65 個々のトラニオン
66 担持要素
67 搬送手段
68 相互貯蔵ウェブ
69 個々の断熱カバー
70 陥凹
71 霜防止被覆
72 ドア
73 ワークステーション
74 配向ピン
75 打ち抜き要素
76 微小管
77 入/出スタック
78 単一プレートインターフェース
79 コンベアベルト
80 深冷凝集体
81 蒸発器









【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)本質的に垂直方向に挿入されて、試料容器(4)をその中に貯蔵するために達成される、多数の貯蔵スタック(3)を取り込むための貯蔵領域(2)と、
(b)前記貯蔵領域(2)に隣接して位置する、サービス領域(5)と、
(c)前記貯蔵領域(2)および前記サービス領域(5)の上側に位置する、移送領域(6)と、
(d)前記移送領域(6)の中に位置し、かつ少なくとも1つの本質的に水平方向に移動可能である、電動ロボット(7)であって、
i)貯蔵スタック(3)を、前記貯蔵領域(2)から、および前記移送領域(6)の中に少なくとも部分的に持ち上げるための、および貯蔵スタック(3)を前記貯蔵領域(2)の中に降ろすための持ち上げデバイス(8)と、
ii)前記移送領域(6)内で少なくとも1つの試料容器(4)を輸送するための少なくとも1つのプラットフォーム(9)と、を備える、
電動ロボット(7)と、
(e)前記電動ロボット(7)の全ての動作および移動を制御するためのコントローラ(10)と、
を備える、モジュール式試料貯蔵装置(1)であって、
前記試料貯蔵装置(1)のサービス領域(5)は、1つの一体的に形成された立体バット(vat)モジュール(11)を備え、前記試料貯蔵装置(1)の貯蔵領域(2)は、少なくとも1つの一体的に形成された立体バットモジュール(11)を備え、前記バットモジュール(11)のそれぞれは、本質的に水平なバット床面(14)と、前記バット床面(14)に接続され、かつ空いたバット空間(16)が残っている4つの接合バット壁(15)とを備え、
前記モジュール式試料貯蔵装置(1)はまた、前記試料貯蔵装置を閉鎖するために、上部側壁(12)と、カバープレート(13)とを備え、
各バット床面(14)およびバット壁(15)は、外側裏打ち(17)と、内側裏打ち(18)とを備え、いずれの場合においても、外側および内側裏打ち(17、18)は、外側および内側裏打ち(17、18)の互いに対する固定、ならびに、前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)のサンドイッチ構造の断熱および補強を提供する、本質的にポリマー発泡材料(20)で充填される隙間(19)によって分離される、
モジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項2】
前記貯蔵領域(2)および前記サービス領域(5)の前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)は、同じサイズを有する、請求項1に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項3】
各一体的に形成された立体バットモジュール(11)は、前記モジュール式試料貯蔵装置(1)の機能部分(23)を形成するように、前記バットモジュール(11)のうちの1つと同じ長さを有する、2つの上部側壁プレート(12)と、1つのカバープレート(13)とを備え、
前記試料貯蔵装置(1)はまた、前記試料貯蔵装置(1)を閉鎖するために、前面壁プレート(24)と、背面壁プレート(25)とを備える、
前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項4】
前記モジュール式試料貯蔵装置(1)はまた、前記貯蔵領域(2)の中の前記バットモジュール(11)のうちの1つの前記空いたバット空間(16)の中に本質的に垂直方向に挿入され、かつ試料容器(4)をその中に本質的に水平位置に貯蔵するために達成される、多数の貯蔵スタック(3)を備える、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項5】
前記試料貯蔵装置(1)はまた、前記サービス領域(5)の上にある前記移送領域(6)の一部に位置し、かつサービス領域(5)と、試料容器(4)を前記試料貯蔵装置(1)の中にロックするために、および試料容器(4)を前記試料貯蔵装置(1)からロック解除するために達成される、ロック(27)とを備える、インターフェースユニット(26)を備え、前記ロボット(7)は、少なくとも1つの試料容器(4)を前記インターフェースユニット(26)に、およびそこから輸送するために実装される、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項6】
前記試料貯蔵装置(1)は、温度制御されたモジュール式試料貯蔵装置として達成され、前記試料貯蔵装置(1)の前記サービス領域(5)および前記移送領域(6)の中で空気を循環させるための、および空気温度を高くても+25℃、好ましくは高くても+4℃、より好ましくは高くても−20℃に制御するための、少なくとも1つの温度制御デバイス(28)を備え、前記少なくとも1つの温度制御デバイス(28)は、好ましくは、インターフェースユニット(26)と作業接続して位置する、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項7】
前記試料貯蔵装置の前記貯蔵領域(2)の各一体的に形成された立体バットモジュール(11)は、バット側壁(35)に位置する、第1の空気出口開口部(32)と、第1の空気入口開口部(39)とを備え、第1の空気出口開口部(32)には、前記貯蔵領域(2)の前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)の中の前記温度制御された空気を循環させるための通気装置(29)が接続される、請求項6に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項8】
前記試料貯蔵装置(1)は、温度制御された低温モジュール式試料貯蔵装置として達成され、前記試料貯蔵装置(1)の前記サービス領域(5)および前記移送領域(6)の中の空気温度を高くても−20℃に冷却および制御し、かつ前記冷却された空気を循環させるための、少なくとも1つの冷却デバイス(30)を備え、前記少なくとも1つの冷却デバイス(30)は、インターフェースユニット(26)と作業接続して位置する、請求項1〜5のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項9】
前記試料貯蔵装置の前記貯蔵領域(2)の各一体的に形成された立体バットモジュール(11)は、空気を少なくとも−80℃の温度に深冷するための少なくとも1つの深冷デバイス(31)と、前記試料貯蔵装置(1)の前記貯蔵領域(2)の前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)の中の前記深冷された空気を循環させるための、バット側壁(35)に位置する1つの第1の空気出口開口部(32)および1つの第1の空気入口開口部(39)に接続される、少なくとも1つの通気装置(29)とを備える、請求項8に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの深冷デバイス(31)および1つの通気装置(29)は、前記バットモジュール(11)の外側に位置し、かつ前記バット側壁(35)のそれぞれに位置する前記空気出口および入口開口部(32、39)を介して、前記バットモジュール(11)のそれぞれと作業接続している、1つの共通の筐体(36)の中に収容される、請求項9に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項11】
前記試料貯蔵装置(1)の前記貯蔵領域(2)の前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)のそれぞれは、前記バットモジュール(11)の外側で前記バット側壁(35)に位置し、かつ前記第1の空気出口および入口開口部(32、39)を介して、前記バットモジュール(11)と作業接続している、1つの共通の筐体(36)の中に収容される、少なくとも1つの個々の第1の深冷デバイス(31)と、少なくとも1つの個々の通気装置(29)とを備える、請求項9に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項12】
前記貯蔵領域(2)の各一体的に形成された立体バットモジュール(11)は、前記バッド側壁(35)の中にある第2の空気出口および入口開口部(34、40)を備え、第2の空気出口および入口開口部(34、40)には、前記バットモジュール(11)の外側の前記バット側壁(35)の別個の筐体(37)の中に位置する個々の第2の深冷デバイス(33)が接続される、請求項11に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項13】
前記第1および第2の空気出口開口部(32、34)のそれぞれ、ならびに前記第1および第2の空気入口開口部(39、40)のそれぞれは、それぞれの開口部(32、34、39、40)を閉鎖し、したがって、前記開口部(32、34、39、40)を案内する前記試料貯蔵装置(1)の前記貯蔵領域(2)の前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)から、通気装置(29)、第1の深冷デバイス(31)および通気装置(29)の組み合わせ、ならびに第2の深冷デバイス(33)および通気装置(29)の組み合わせのうちの1つを分離するための、シャッター(38)を備える、請求項7〜12のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項14】
前記貯蔵領域(2)の各バットモジュール(11)はまた、前記バット側壁(35)の内部にあり、かつ前記貯蔵領域(2)の各バットモジュール(11)の前記バット空間(16)に至る内側開口部(44)に対して開口する、排気チャネル(42)と、吸気チャネル(43)とを備え、前記排気チャネル(42)は、前記空気出口開口部(32、34)に接続され、前記吸気チャネル(43)は、前記空気入口開口部(39、40)に接続される、請求項7〜13のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項15】
前記内側開口部(44)のそれぞれは、前記バット側壁(35)を接合する縦バット壁(41)の近くに位置し、
通気孔(46)を伴う2つの空気案内ブレード(45)は、深冷された空気を前記バット空間(16)に分配する、または深冷された空気をそこから回収するために、前記縦バット壁(41)の一方または他方に対してある距離(47)で位置付けられる、
請求項12に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項16】
前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)、前記上部側壁(12)、および前記カバープレート(13)を備える群より選択される、各構成部品は、これらの構成部品のうちの2つを相互に可逆的に接続するための、機械的接続要素(48)を有する、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項17】
前記貯蔵領域(2)および前記サービス領域(5)の各一体的に形成された立体バットモジュール(11)は、前記バット側壁(35)およびバット縦壁(41)上に担持構造体(49)を備え、担持構造体(49)は、前記ロボット(7)をX方向に移動させるための水平レール(50)を支持する、請求項7〜16のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項18】
前記電動ロボット(7)は、前記移送領域(6)の中に位置する、断熱フード(51)を備え、前記ロボット(7)は、前記持ち上げデバイス(8)を使用した時に、貯蔵スタック(3)全体をその元のバット空間(16)から、および前記断熱フード(51)の中に持ち上げること、前記貯蔵スタック(3)を、前記移送領域(6)内の前記断熱フード(51)の内部に輸送すること、および前記貯蔵スタック(3)を、前記試料貯蔵装置の貯蔵領域(2)の別の一体的に形成された立体バットモジュール(11)の深冷されたバット空間(16)の中に降ろすことが可能である、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項19】
前記電動ロボット(7)は、前記移送領域(6)の中に位置する、断熱フード(51)を備え、前記ロボット(7)は、前記持ち上げデバイス(8)を使用した時に、貯蔵スタック(3)を前記断熱フード(51)の中に、および前記ロボット(7)のスパチュラ(52)がアクセス可能であるレベルまで部分的に持ち上げることが可能であり、前記スパチュラ(52)は、前記断熱フード(51)の中に、および特定の試料容器(4)の下に移動させるように達成され、前記ロボット(7)は、前記特定の試料容器(4)を前記貯蔵スタック(3)から水平方向に移動させ、このまたは別の試料容器(4)を前記貯蔵スタック(3)の中に水平方向に移動させるように達成される、請求項1〜17のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項20】
前記電動ロボット(7)は、断熱フード(51)がなく、前記持ち上げデバイス(8)を使用した時に、貯蔵スタック(3)を、前記ロボット(7)のスパチュラ(52)がアクセス可能であるレベルまで部分的に持ち上げることが可能であり、前記スパチュラ(52)は、前記貯蔵スタック(3)の中に、および特定の試料容器(4)の下に移動させるように達成され、前記ロボット(7)は、前記特定の試料容器(4)を前記貯蔵スタック(3)から水平方向に移動させ、このまたは別の試料容器(4)を前記貯蔵スタック(3)の中に水平方向に移動させるように達成される、請求項1〜17のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項21】
前記試料容器(4)は、マルチウェルマイクロプレート、血液バッグ、細胞培養フラスコ、およびマイクロプレートサイズの微小管ラックのうちの1つである、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項22】
前記ロボット(7)は、前記スパチュラ(52)から、マイクロプレートサイズの微小管ラックの形態の試料容器(4)を垂直Z方向に持ち上げるための、および前記試料容器(4)を、前記ロボット(7)の前記プラットフォーム(9)の第1の搬送装置(54)または第2の搬送装置(55)の上にセットするためのZモジュール(53)をさらに備え、搬送装置(54、55)は、どちらも水平X方向、および前記X方向に垂直な水平Y方向に個々に移動可能である、請求項19および21、または請求項20および21に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項23】
前記ロボット(7)は、第1のマイクロプレートサイズの微小管ラックまたは供給源プレート(58)の区画(57)から、第2のマイクロプレートサイズの微小管ラックまたは宛先プレート(59)の区画の中に微小管を押し込むためのパンチングデバイス(56)を備える、請求項22に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項24】
前記供給源プレート(58)は、前記宛先プレート(59)の上側に位置し、前記パンチングデバイス(56)は、微小管を垂直Z方向に押し下げる、請求項23に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項25】
前記試料貯蔵装置の貯蔵領域(2)の各一体的に形成された立体バットモジュール(11)は、前記バット空間(16)の中に位置し、前記バット床面(14)上に立っている案内ポスト(61)によって支持され、かつ貯蔵スタック(3)のサイズに適合した開口(62)の配列を確定する、案内グリッド(60)を備え、貯蔵スタック(3)のそれぞれは、これらの開口(62)のうちの1つの中で垂直に移動可能であり、前記案内ポスト(61)は、前記貯蔵スタック(3)の2つの垂直対向側部に位置する摺動溝(63)に係合し、前記貯蔵スタックの垂直移動を案内する、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項26】
前記貯蔵スタック(3)は、前記バット空間(16)の中でその最低位置まで降ろした時に、貯蔵スタック(3)の重量を担持する担持ウェブを伴う、側方支持フランジ(64)を備え、前記側方支持フランジ(64)の前記担持ウェブは、前記案内グリッド(60)によって支持される、請求項25に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項27】
前記貯蔵スタック(3)は、個々のトラニオン(65)をそれらの下端部に備え、前記トラニオン(65)は、前記バット空間(16)の中でその最低位置まで降ろした時に、前記バット床面(14)に当接することによって貯蔵スタック(3)の重量を担持する、請求項25に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項28】
各貯蔵スタック(3)は、前記持ち上げデバイス(8)によって係合可能であり、かつ一方の試料容器(4)を他方の頂部の上で、水平位置で支持するための相互の貯蔵ウェブ(68)を備える側方支持フランジ(64)を伴う、担持構造体(67)に取り付けられる、担持要素(66)をその上端部に備える、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項29】
各貯蔵スタック(3)は、個々の断熱カバー(69)をその上端部に備え、前記担持要素(66)は、前記個々の断熱カバー(69)の上側の陥凹(70)の中に位置する、請求項28に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項30】
各貯蔵スタック(3)は、霜防止被覆(71)が適用された表面を備える、前記請求項のうちの1項に記載のモジュール式試料貯蔵装置(1)。
【請求項31】
モジュール式試料貯蔵装置(1)で試料を貯蔵および提供するための貯蔵方法であって、
(a)本質的に垂直方向に挿入されて、試料容器(4)をその中に貯蔵するために達成される、多数の貯蔵スタック(3)を取り込むための貯蔵領域(2)の中に、試料を貯蔵するステップと、
(b)前記貯蔵領域(2)に隣接して位置する、サービス領域(5)を提供するステップと、
(c)前記貯蔵領域(2)および前記サービス領域(5)の上側に位置する、移送領域(6)を提供するステップと、
(d)前記移送領域(6)の中に位置し、かつ少なくとも1つの本質的に水平方向に移動可能である、電動ロボット(7)を提供するステップであって、前記ロボット(7)は、
i)貯蔵スタック(3)を、前記貯蔵領域(2)から、および前記移送領域(6)の中に少なくとも部分的に持ち上げるための、および貯蔵スタック(3)を前記貯蔵領域(2)の中に降ろすための、持ち上げデバイス(8)と、
ii)前記移送領域(6)内で少なくとも1つの試料容器(4)を輸送するための少なくとも1つのプラットフォーム(9)と、を備える、
ステップと、
(e)前記電動ロボット(7)の全ての動作および移動をコントローラ(10)で制御するステップと、
を含み、前記試料貯蔵装置(1)のサービス領域(5)には、1つの一体的に形成された立体バットモジュール(11)が提供され、前記試料貯蔵装置(1)の貯蔵領域(2)には、少なくとも1つの一体的に形成された立体バットモジュール(11)が提供され、前記バットモジュール(11)のそれぞれは、本質的に水平なバット床面(14)と、前記バット床面(14)に接続され、かつ空いたバット空間(16)が残っている4つの接合バット壁(15)とを備え、
前記モジュール式試料貯蔵装置(1)はまた、上部側壁(12)およびカバープレート(13)を提供することによって閉鎖され、
外側裏打ち(17)と、内側裏打ち(18)とを備え、いずれの場合においても、外側および内側裏打ち(17、18)が隙間(19)によって分離される、各バット床面(14)およびバット壁(15)は、外側および内側裏打ち(17、18)の互いに対する固定、ならびに、したがって前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)のサンドイッチ構造の断熱および補強が提供されるように、本質的にポリマー発泡材料(20)で充填される、
貯蔵方法。
【請求項32】
試料を貯蔵するステップは、
(a)試料容器(4)を識別して、ロック(27)を介して前記試料貯蔵装置(1)のインターフェースユニット(26)の中に挿入するステップと、
(b)前記試料容器(4)を前記ロボット(7)で空の貯蔵位置を伴う選択された貯蔵スタック(3)に移動させて、前記試料容器(4)をスパチュラ(52)上に位置付けるステップと、
(c)前記選択された貯蔵スタック(3)を、前記貯蔵スタック(3)の前記空の貯蔵位置が、前記スパチュラ(52)上に位置付けられる前記試料容器(4)によって到達可能であるレベルまで、前記ロボット(7)の前記持ち上げデバイス(8)によって持ち上げるステップと、
(d)前記試料容器(4)がその上に位置付けられる前記スパチュラ(52)を、前記貯蔵スタック(3)の前記空の貯蔵位置の中に挿入するステップと、
(e)前記試料容器(4)を、前記貯蔵スタック(3)の側方支持フランジ(64)の相互貯蔵ウェブ(68)上に配置するために、漸増的距離にわたって前記貯蔵スタック(3)を降ろすステップと、
(f)前記スパチュラ(52)を、前記貯蔵スタック(3)から引き出すステップと、
(g)前記貯蔵スタックを、前記試料貯蔵装置の貯蔵領域(2)の前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)の前記バット空間(16)の中のその最低位置まで下ろすステップと、
を含む、請求項31に記載の貯蔵方法。
【請求項33】
試料容器(4)を識別するステップは、
−前記試料容器(4)の機械で読み取り可能な識別子を読み取るステップ、
−前記機械で読み取り可能な識別子によって提供される付加的な情報を読み取るステップ、および
−前記試料容器の平均温度を測定するステップ、のうちの少なくとも1つのステップを含む、
請求項32に記載の貯蔵方法。
【請求項34】
空の貯蔵位置を伴う前記選択された貯蔵スタック(3)は、前記コントローラ(10)によって、
−前記試料容器(4)の識別子、
−提供される前記付加的な情報、および
−前記試料容器の平均温度、
のうちの少なくとも1つに従って選択され、
空の貯蔵位置を伴う前記選択された貯蔵スタック(3)は、事前入/出貯蔵スタックまたは永久貯蔵スタックである、
請求項33に記載の貯蔵方法。
【請求項35】
試料の貯蔵は、前記試料貯蔵装置(1)の貯蔵、サービス、および移送領域(2、5、6)の中の空気を、+25℃〜−20℃の範囲の温度に保持するステップを含む、請求項31〜34のうちの1項に記載の貯蔵方法。
【請求項36】
試料の貯蔵は、前記貯蔵領域(2)の中の空気を、−20℃〜−90℃の範囲の温度に保持するステップと、前記サービスおよび移送領域(5、6)の中の空気を−20℃の温度に保持するステップとを含む、請求項33〜35のうちの1項に記載の貯蔵方法。
【請求項37】
1つ以上の事前入/出スタックは、前記貯蔵領域(2)の前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)内に提供され、前記サービス領域(5)の前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)に隣接して位置し、前記ロック(27)を備える前記試料貯蔵装置(1)の前記インターフェースユニット(26)は、前記サービス領域(5)の上側に位置し、かつこれを備える、前記試料貯蔵装置(1)の前記移送領域(6)のその一部に位置する、請求項34〜37のうちの1項に記載の貯蔵方法。
【請求項38】
前記事前入/出スタックを含む前記一体的に形成された立体バットモジュール(11)の前記バット空間(16)内の冷却された空気の温度は、前記ロック(27)から到着する試料容器(4)によって入力される熱を相殺するために、−80℃よりも低い温度、好ましくは−90℃に保持される、請求項37に記載の貯蔵方法。
【請求項39】
前記コントローラ(10)によって制御される前記電動ロボット(7)は、特定の仕事要求に従って、試料容器(4)を貯蔵スタック(3)の中に挿入する、または試料容器(4)を貯蔵スタック(3)から引き出す、請求項31〜38のうちの1項に記載の貯蔵方法。
【請求項40】
前記コントローラ(10)は、前記試料容器(4)またはその試料容器の中の微小管のうちの1つの最長許容存在期間が、前記特定の試料容器(4)または微小管を前記モジュール式試料貯蔵装置(1)の中にロックした時に前記機械で読み取り可能な識別子によって提供された付加的な情報に従って設定される限度に到達した場合に、要求された仕事を中断するように前記電動ロボット(7)に強制する、請求項39に記載の貯蔵方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2013−508673(P2013−508673A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533488(P2012−533488)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063684
【国際公開番号】WO2011/047710
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511049635)ネクサス バイオシステムズ,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Nexus Biosystems,Inc.
【Fターム(参考)】