説明

モダフィニルの医薬製剤

モダフィニルの組成物およびモダフィニルの投与を用いる神経学的に関連する状態を処置する方法。さらに、モダフィニルおよび1種またはそれ以上の賦形剤、例えば希釈剤、崩壊剤、結合剤および滑沢剤を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モダフィニル(modafinil)の組成物およびモダフィニルの投与を用いる神経学に関連する状態を処置する方法に関する。本発明は、モダフィニルよび1種またはそれ以上の賦形剤、例えば希釈剤、崩壊剤、結合剤および滑沢剤を含む組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
モダフィニルC1515NOSは、2−(ベンズヒドリルスルフィニル)アセトアミド、または2−〔(ジフェニルメチル)スルフィニル〕アセトアミドとしても知られ、覚醒促進活性を有する合成アセトアミド誘導体であり、その構造は特許文献1および特許文献2に記載されており、そしてそれは睡眠発作と関連する過剰な昼間の眠気の処置に使用するために、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)により認可されている。モダフィニルは、引用する特許内に記載のように、アポモルヒネ(apomorphine)、アンフェタミン(amphetamine)、レセルピン(reserpine)、オキソトレモリン(oxotremorine)、催眠薬(hypnotics)、ヨヒンビン(yohimbine),5−ヒドロキシトリプトファン、およびモノアミンオキシダーゼ阻害薬を含む種々の薬剤と組み合わせて数種の行動状態の処置のために試験されている。ラセミ混合物の調製方法は特許文献2中に記載されておりそして左旋性異性体の調製方法は特許文献3に記載されている(両者ともに引用することにより本明細書中に編入される)。左旋性異性体は、睡眠過剰症、鬱病、アルツハイマー病の処置に有用でありそして特に高年齢者の痴呆および記憶喪失の症状に対する活性を有すると報告されている。モダフィニルは、疲労、そして殊には多発性硬化症と関連する疲労の処置、ならびに眠気、パーキンソン病、脳虚血、卒中、睡眠時無呼吸、摂食障害、注意欠陥多動障害(以下にさらに詳細に説明する)の処置において、食欲または体重増加の促進のため、覚醒性の促進のため、または認知不良の改善のために適用されることも発見されている。
【0003】
モダフィニルの主要医薬活性は、覚醒を促進することである。モダフィニルは、ラット(非特許文献1、非特許文献2)、ネコ(非特許文献3)、イヌ(非特許文献4)およびヒト以外の霊長類(非特許文献5)ならびに臨床状態を模擬するモデル、例えば睡眠時無呼吸(イングリシュブルドッグ睡眠障害呼吸モデル)(非特許文献6)および睡眠発作(睡眠発作イヌ)(非特許文献4)で覚醒を促進する。
【0004】
モダフィニルは、中枢神経系内に活性を有する薬品として、およびパーキンソン病の処置(特許文献4)、虚血からの脳組織の保護(特許文献5)、尿および大便失禁の処置(特許文献6)、および中枢由来の睡眠時無呼吸および睡眠障害の処置(特許文献7)に有用な薬剤としても記載されている。特許文献8は、約200μm以下の一定粒径のモダフィニル製剤を記載している。さらに、モダフィニルは、ヒトまたは動物内の摂食障害の処置、または体重増加を促進または食欲を増進するため(特許文献9、引用することにより本明細書中に編入される)、または特許文献10に記載のような注意欠陥多動障害(ADHD)、または疲労、特には多発性硬化症に関連する疲労(特許文献11、引用することにより本明細書中に編入される)の処置に使用してもよい。ADHDは、発育的に不適切な多動性、衝動性、および不注意を特徴とする小児における慢性神経精神医学的障害である。ADHDは、学齢小児の約3%〜5%が罹患していると推定される。成人における中心的なADHD症状は、不注意/転導性および/または多動性−衝動性の頻繁かつ持続的なパターンを含む。ADHD成人で示される最も一般的な症状は、著しい不注意、低い集中力、容易な転導、白昼夢、忘却、および頻繁な活動の移動である。ADHD成人は、著しい衝動性、でしゃばり、低い欲求不満/ストレスの我慢、かんしゃく、興奮性、および極端な短気も報告されている。一般性は低いが成人で報告されている症状には、落ちつきなさに限定されてもよい多動性、または神経過敏または落ちつかない内向性が含まれる。中心的ADHD症状に加えて、ADHDを患う成人は、関連の臨床特性、例えば退屈、社会不適合、および社交の機会に慢性的な衝突をしばしば示す。
【0005】
モダフィニルは、プロビジル(Provigil)(R)の名称で市販されている治療パッケージの形で当該技術分野では知られている。プロビジル(R)は、セファロン社(Cephalon,Inc,West Chester,PA)により製造される医薬製品である。プロビジル(R)は、モダフィニル100mgまたは200mgとケイ酸マグネシウムおよびタルクを含む数種の賦形剤とを含む錠剤として供給されている。商業的使用では、従来技術のモダフィニル含有治療薬パッケージは、睡眠発作と関連する過剰な昼間眠気の処置に使用するためのラベルを貼付されている。
【特許文献1】フランス特許第78 05 510号
【特許文献2】米国特許第4,177,290号(’290)
【特許文献3】米国特許第4,927,855号
【特許文献4】米国特許第5,180,745号
【特許文献5】米国特許第5,391,576号
【特許文献6】米国特許第5,401,776号
【特許文献7】米国特許第5,612,379号
【特許文献8】米国特許第5,618,845号
【特許文献9】米国仮特許出願60/150,071号
【特許文献10】米国特許第6,346,548号
【特許文献11】米国仮特許出願60/149,612号
【非特許文献1】Touret et al.,1995
【非特許文献2】Edgar and Seidel,1997
【非特許文献3】Lin et al.,1992
【非特許文献4】Shelton et al.,1995
【非特許文献5】Hernant et al.,1991
【非特許文献6】Panckeri et al.,1996
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、約250〜約350mgのモダフィニルを含む薬剤組成物に関する。
【0007】
本発明は、約250〜約450mgのモダフィニルを含む薬剤組成物にも関する。
【0008】
本発明は、患者に約250〜約350mgのモダフィニルを投与することによる注意欠陥多動障害および注意欠陥障害を処置する方法にも関する。
【0009】
本発明は、患者に約250〜約450mgのモダフィニルを投与することによる注意欠陥多動障害および注意欠陥障害を処置する方法にも関する。
【0010】
本発明は、小さい全単位投薬物サイズおよび/または全容積を有し、一方同時にモダフィニルの高い重量%を有するモダフィニルの単位投薬物にも関する。単位投薬物は、ケイ酸マグネシウムまたはタルクを含まなくてもよく、そして約250〜約350mgのモダフィニルを含むことができ、ここで単位投薬物の全重量の約70〜90%がモダフィニルである。
【0011】
本発明は、小さい全単位投薬物サイズおよび/または全容積を有し、一方同時にモダフィニルの高い重量%を有するモダフィニルの単位投薬物にも関する。単位投薬物は、ケイ酸マグネシウムまたはタルクを含まなくてもよく、そして約250〜約450mgのモダフィニルを含むことができ、ここで単位投薬物の全重量の約70〜90%がモダフィニルである。
【発明の詳細な記述】
【0012】
本明細書中に使用される場合に、「約」とは、指定の値の±10%の値の範囲を指す。例えば、「約20%」は、20の±10%、すなわち18〜22を含む。
【0013】
本明細書中に使用される場合に、「モダフィニル」とは、モダフィニル、そのラセミ混合物、個々の異性体(例えば、モダフィニルの(−)異性体または”R”異性体)、酸付加塩、例えばモダフィニルの代謝酸、ベンズヒドリルスルフィニル酢酸、およびそのスルホン形、ヒドロキシル化形、多型形、類似体、誘導体、同種物およびそれらのプロドラッグを指す。プロドラッグは、患者の身体内で活性薬剤(モダフィニル)に変換される化合物として当該技術分野では公知である。
【0014】
本明細書中に使用される場合に、「製薬学的に許容できる」の用語とは、健全な医学的判断の範囲内で、例えば合理的な利益/リスク比率で判断して、受容できない毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題または合併症を伴わないでヒトへの投与に適する化合物、物質、組成物、および/または単位投薬物を指す。
【0015】
本明細書中に使用される場合に、「薬剤組成物」とは、哺乳類、例えばヒトの処置に使用されるモダフィニルを含んでなる薬剤を意味する。本発明による薬剤組成物は、1種またはそれ以上の無毒性の製薬学的に許容できるキャリヤを含んでもよいが、必要ということではない。
【0016】
本明細書中に使用される場合に、「治療有効量」とは、本明細書中に記載の疾患および状態の症状の軽減、排除、処置、防止または制御に有効な量を指す。
【0017】
同様に「処置の方法」とは、本明細書内に記載の疾患および状態の症状を軽減、排除、処置、防止または制御する方法である。薬剤の効果は、患者の大きい集団の間で変化するであろうと理解される。
【0018】
本明細書中に使用される場合に、「薬剤単位投薬物(Pharmaceutical unit dose)」、「単位投薬物」または「単位投薬物剤型」とは、患者に投与でき、そしてそれは容易に取り扱いおよび包装が可能であり、モダフィニルか、またはモダフィニルを含んでなる製薬学的に許容できる組成物のいずれかを含んでなり物理的および化学的に安全な単位投薬物として存続することができる単一投薬物を意味する。
【0019】
本明細書中に使用される場合に、薬剤活性剤の特定量から「本質的になる」とは、該当薬剤の追加量がないことを意味する。他の成分、例えば賦形剤および/または滑沢剤などの存在は除外されない。追加の他の薬剤活性剤の存在も除外されない。
【0020】
本明細書中に使用される場合に、「本質的に」とは、大きい範囲または程度に近いことを意味する。
1.本発明のモダフィニルの量
一つの態様では、本発明の組成物はモダフィニルの薬剤組成物を含む。薬剤組成物は、さらに、モダフィニルの少なくとも1つの薬剤単位投薬物(以後「単位投薬物」とする)、典型的には固体単位投薬物剤型、例えば錠剤またはカプセルを含むことができる。以下に記載する理由により、本発明の組成物は、約250〜約350mgの間のモダフィニルまたは約250〜約450mgの間のモダフィニルを含むことができる。別の態様では、組成物は、約275〜約325mgの間のモダフィニルまたは約325〜約425mgの間のモダフィニルを含むことができる。別の態様では、組成物は、約255mgのモダフィニル、約300mgのモダフィニル、約340mgのモダフィニルまたは約425mgのモダフィニルを含むことができる。さらに別の態様では、本発明の組成物は約250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、または350mg、または約355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、または450mgのモダフィニルを含むことができる。好ましくは、単位投薬物は約255、300、340または425mgのモダフィニルを含むことができる。最も好ましくは、単位投薬物は355、300、340または425mgのモダフィニルを含むことができる。
【0021】
さらに別の態様では、本発明の組成物は約250〜約350mgのモダフィニルまたは約250〜約450mgのモダフィニルから本質的になる。別の態様では、本発明の薬剤組成物は、約275〜約325mgのモダフィニルまたは約325〜約425mgのモダフィニルから本質的になる。さらに別の態様では、本発明の組成物は、約255mgのモダフィニル、約300mgのモダフィニル、約340mgのモダフィニルまたは約425mgのモダフィニルから本質的になり、すなわちそれはそれを越えるかまたはこれに達しないモダフィニルを含まないが、しかし他の成分、例えば賦形剤またはその他の活性薬剤を含むことができる。さらに別の態様では、本発明の組成物は約250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、または350mg、またはモダフィニルの約355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、または450mgのモダフィニルから本質的になる。好ましくは、単位投薬物は約255、300、340または425mgのモダフィニルから本質的になる。最も好ましくは、単位投薬物は約255、300、340または425mgのモダフィニルから本質的になる。
【0022】
本発明の薬剤組成物は、本明細書に記載のように、それからモダフィニルの所要量を送達するように分配できる液体、ソフトゲル、懸濁液、エマルション、ミクロエマルション、錯体、ならびに固溶液であることもできる。本発明の薬剤組成物は、変更された放出剤型、例えば、これらに限定はされないが、二モード型または徐放剤型であることもできる。
【0023】
モダフィニルの慣用の投与は、モダフィニルの別々の有効量、典型的には、単回の100mgまたは200mg単位投薬物のいずれかを含む。臨床試験でそれらの慣用の単位投薬物を用いてADHDを処置するために、モダフィニルは、100mg投薬に続く4〜6時間後の200mg投薬として、あるいは200mg投薬に続く4〜6時間後の100mg投薬として投与された。かかる投薬方式は「スプリット投薬」と呼ばれ、ADHDの処置のために特に有効でありそしてモダフィニルの血中レベルが望ましくないレベルへの到達を防ぐために必要と考えられた。
【0024】
図4に一般的に要約した以前の100mg試験から、単回の300mg投薬からのADHD処置は、300mg投薬が望ましくないモダフィニルの血中レベルを発生するために、副作用の望ましくない発生を生むことも予測された。従って、上記の様式で投与される100mgおよび200mgのモダフィニルの投薬のスプリット投薬の使用は、最も望ましい結果を、特に午後にもたらすと期待された。
【0025】
しかし、約250〜約350mgの間または約250〜約450mgの間のモダフィニル、そして特には約255、300、340または425mgのモダフィニルを含むモダフィニルの単回単位投薬物は、ADHDの処置に関して有利な神経学的反応を誘発することが意外にも発見された。特には、約250〜約350mgの間または約250〜約450mgの間のモダフィニル、または約275〜約325mgの間、または約325〜約425mgの間、または約255、300、340または425mgを含む単回単位投薬物は、2回の投薬が上記のスプリット投薬方式に従って投与される200mg投薬に続く100mg投薬もしくは200mg投薬、または100mg投薬に続く200mg投薬と同様に有効であり得て、以前に予測された望ましくない副作用を発生しない。
【0026】
本発明のモダフィニルの組成物が、著しく改善された注意および著しく改善されたADHD症状をもたらすことが意外にも発見された。注意およびADHD症状の改善は、a)モダフィニル100mgに続く4〜6時間後の200mgのモダフィニル、およびb)モダフィニル200mgに続く4〜6時間後の100mgのモダフィニルの両者と同様の期間にわたって本質的に同様でかつ連続した。従って、本発明の単回投薬は、上記の2回投薬方式と同程度の改善された注意およびADHD症状を意外にも達成する。
【0027】
図1および2に示すように、モダフィニルの血漿濃度は、モダフィニルの投与の約2時間後から低下を開始する。殊に、図1および2は、上記の方式および上記の図1および2の簡単な説明のようにして200mg投薬の投与の前(図1)または後(図2)に100mg投薬が投与された場合のモダフィニルの血漿濃度を示す。図1および2は、モダフィニルの血中濃度が低下を始めた後に、モダフィニルの第二の投薬が、第一の投薬で到達したよりも高い最高血中レベルであり得る濃度までモダフィニル血中レベルを増加することを示す。
【0028】
図3は、本発明による単回投薬、すなわち300mgのモダフィニルの投与の後のモダフィニルの血漿濃度を示す。図3は、モダフィニルの血中レベルが投薬の投与の約2時間後には同様に低下を始めることを示す。図3から、改善された注意および改善されたADHD症状が、100mg単位投薬物データの外挿に基づいて予測されるよりも約20〜30%低いモダフィニルの血中濃度でもたらされ、従って、望ましくない副作用の予測された発生を避けることができることが意外にも発見された。さらに、図3に示す血中プロフィールが、モダフィニルにより処置が可能でそして本明細書中に記載されたある種の神経学的状態、例えば、ADHDの処置のためにモダフィニル血中濃度の望ましい血中プロフィールを与えることが結論された。従って、本発明は、ヒトへの単位投薬物の経口投与が図3に本質的に示すようなモダフィニルの血中プロフィールをもたらすような単位投薬物も含む。
【0029】
図5に示すように、顕著でそして意外なADHDの改善が340mgおよび425mgのモダフィニルの単回投薬でも得られた。
【0030】
従って、本発明の組成物および単位投薬物は、100mgおよび200mgのモダフィニルを含む慣用の単位投薬物と比較してモダフィニルを必要とする患者に有利であり得る。殊に、本発明は、患者が必要とする投薬の間の時間を延長でき、そして/または与えられた期間(例えば24時間内または一日あたり)に患者により必要とされるモダフィニルの投薬の全回数を低下でき、すなわちスプリット投薬方式の必要が低下する。
2.本発明のモダフィニルの組成物
上記のように、本発明は約250〜約350mgの間のモダフィニルまたは約250〜約450mgの間のモダフィニルを含む薬剤組成物ならびに約275〜約325mgの間のモダフィニル、約325〜425mgの間のモダフィニルまたは約255、300、340または425mgのモダフィニルを含む組成物を提供する。本発明の薬剤組成物はモダフィニルの単位投薬物、そして本発明の好ましい態様では、250〜350mgのモダフィニル、250〜450mgのモダフィニル、275〜325mgのモダフィニル、325〜425mgのモダフィニル、255mgのモダフィニル、300mgのモダフィニル、340mgのモダフィニルまたは425mgのモダフィニルを含む錠剤またはカプセル剤型であるモダフィニルの単位投薬物であることができる。
【0031】
ある態様では、本発明の単位投薬物は、慣用の100mgおよび200mgのモダフィニルの単位投薬物と比較してモダフィニルおよびその他の薬剤組成物成分(例えば滑沢剤および充填剤)の相対比率を維持するようにして、慣用の様式で調製できる。それらの態様は、典型的には、慣用の100mgおよび200mg単位投薬物よりも大きい(寸法および/または容積)。本発明のかかる単位投薬物は、1種またはそれ以上のケイ酸マグネシウムまたはタルクを用いるかまたは用いないでも調製できる。
【0032】
本発明の別の態様では、単位投薬物中のモダフィニルの比率は、慣用の100mgおよび200mgモダフィニル単位投薬物のものよりも著しく高くできる。他の成分の重量百分率を同時に低下しながらモダフィニルの重量百分率を増加することは、より小さい(寸法および/または容積)単位投薬物の製造を容易とするが、それでもまだ同量のモダフィニルすなわち250mg〜450mgを患者に供給する。本発明のかかる単位投薬物は、1種またはそれ以上のケイ酸マグネシウムまたはタルクを用いるかまたは用いないでも調製できる。
【0033】
典型的な態様では、希釈剤、崩壊剤、結合剤および滑沢剤を含みそれらに限定はされない1種またはそれ以上の製薬学的に許容できる賦形剤を含むモダフィニルの組成物を含む。好ましくは、賦形剤は、国民医薬品集(National Formulary)(”NF”)または米国薬局方(United States Pharmacopoeia)(”USP”)の標準に合致する。特定の態様では、1種またはそれ以上の希釈剤、崩壊剤、結合剤および滑沢剤を含むモダフィニルよりなる組成物が提供される。
【0034】
ある好ましい態様では、組成物は、モダフィニル;デンプン、ラクトース一水和物または微晶質セルロースからそれぞれ独立して選択される1種またはそれ以上の希釈剤;アルファ化デンプンまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムからそれぞれ独立して選択される1種またはそれ以上の崩壊剤;結合剤;および滑沢剤を含んでなる。別の好ましい態様では、結合剤はポリビニルピロリドンであり、そして滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。あるさらに好ましい態様では、希釈剤がファストフロー(Fast Flo)(R)#316であり、第二の希釈剤がアビセル(Avicel)(R)PH102であり、崩壊剤がスターチ(Starch)1500(R)であり、第二の崩壊剤がアクディソル(Ac−Di−Sol)(R)であり、そして結合剤がポビドン(Povidone)K−29/32である。別の好ましい態様では、希釈剤がラクトース一水和物、NFであり、崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム(Croscarmellose Sodium)、NFまたはアクディソル(R)であり、そして結合剤がポビドンK90D、USPである。別の態様では、単位投薬物は、1種またはそれ以上の微晶質セルロースおよびアルファ化デンプンを含まないことができる。
【0035】
あるさらに好ましい態様では、ラクトース一水和物がファストフロー(R)#316であり、微晶質セルロースがアビセル(R)PH102であり、アルファ化デンプンがスターチ1500(R)であり、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムがアクディソル(R)であり,そしてポリビニルピロリドンがポビドンK−29/32である。
【0036】
一つの態様では、モダフィルが重量基準で組成物の主要部分である。別の態様では、ファストフロー(R)#316が約28.7%であることができ、アビセル(R)PH102が約10.4%であることができ、スターチ1500(R)が約10.9%であることができ、アクディソル(R)が約4.0%であることができ,ポビドンK−29/32が約5.2%であることができ、そしてステアリン酸マグネシウムが約が約0.8%であることができる。
【0037】
ある態様では、単位投薬物内に存在するモダフィニルの全量は全単位投薬物重量の約45〜約90%であることができる。好ましくは、単位投薬物内に存在するモダフィニルの全量は全単位投薬物重量の約60%〜80%、85%〜90%、好ましくは70%〜90%、70〜75%、最も好ましくは70%〜80%であることができる。
【0038】
他の態様では、モダフィニルは組成物の約80〜90重量%を構成する。組成物は、好ましくは組成物の約3〜15重量%の希釈剤、例えばラクトース一水和物、好ましくは組成物の約2〜10重量%の崩壊剤、例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、好ましくは組成物の約2〜10重量%の結合剤、例えばポリビニルピロリドン、および好ましくは組成物の約0.2〜2.0%の滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムをさらに含むことができる。あるさらに好ましい態様では、希釈剤がラクトース一水和物、NFであり、崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム、NFであり、結合剤がポビドンK90D、USPであり、そして滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、NFである。
【0039】
一つの態様では、モダフィニルが組成物の約70重量%である。組成物中で、ラクトース一水和物が約20%、クロスカルメロースナトリウム、NFが約4%、ポビドン、USPが約5.2%、そしてステアリン酸マグネシウム、NFが約0.8%である。
【0040】
一つの態様では、モダフィニルが組成物の約75重量%である。組成物中で、ラクトース一水和物、NFが約15%であり、クロスカルメロースナトリウム、NFが約4%であり、ポビドン、USPが約5.2%であり、そしてステアリン酸マグネシウム、NFが約0.8%である。
【0041】
別の態様では、本発明の組成物中にモダフィニルが組成物の約80重量%で含まれ、ラクトース一水和物、NFが約10%であり、クロスカルメロースナトリウム、NFが約4%であり、ポビドンK90D、USPが約5.2%であり、そしてステアリン酸マグネシウム、NFが約0.8%である。さらなる態様では、ステアリン酸マグネシウム、NFが約1%である。
【0042】
さらに別の態様では、本発明の組成物は組成物の約90重量%のモダフィニルを含み、ラクトース一水和物、NFが約3.5%であり、クロスカルメロースナトリウム、NFが約3%であり、ポビドンK90D、USPが約3%であり、そしてステアリン酸マグネシウム、NFが約1%である。
【0043】
モダフィニルが単位投薬物例えば錠剤中に含まれる態様では、錠剤は、375mg錠剤中に300mgのモダフィニルを含むことができる(全錠剤重量の約80%がモダフィニルに帰属する)。別の態様では、錠剤は、336mg錠剤中に300mgのモダフィニルを含むことができる(全錠剤重量の約90%がモダフィニルに帰属する)。同様の計算が約250mg〜450mgの間のモダフィニルを含む錠剤について行える。
【0044】
同様に、カプセルは、375mgカプセル中に300mgのモダフィニルを含むことができる。カプセルは336mgカプセル中に300mgのモダフィニルを含むことができる。同様の計算が約250mg〜450mgの間のモダフィニルを含むカプセルについて行える。
【0045】
約250〜450mgのモダフィニルを含む本発明のさらに大きいくそしてさらに小さい(モダフィニルのより高い重量%)寸法の単位投薬物の双方は、上記の慣用の単位投薬物に対して、例えばADHDの増強された処置および患者により一日あたりに必要なモダフィニルの投薬の全数の低下において利益を示すことができ、これにより患者の適応性を上昇できる。しかし、モダフィニルのさらに高い重量割合を含む単位投薬物は、下記のような追加の利益も示すことができる。
【0046】
第一に、本発明の単位投薬物、特に固体単位投薬物剤型、例えば錠剤が患者により容易に嚥下できるので、患者の適応性が上昇できる。さらに、本発明の単位投薬物のあるものは、単位投薬物がモダフィニルのさらに高い重量割合を含むことができ、従って250〜450mgのモダフィニルを含む慣用の方法で調製された単位投薬物と比較して全体寸法および/または容積をさらに小さくできるので、小児科患者へのモダフィニルの投与を容易にできる。
【0047】
固体剤型でモダフィニルが投与される場合には、モダフィニルの粒径は、好ましくは、粒子の少なくとも約95%が直径約200μm以下である。U.S.RE 37,516参照。その内容は、引用することにより全体を記載したと同様に本明細書に編入される。
【0048】
本発明に従って、モダフィニルは液体剤型にも製剤できそして多数の方法、例えばスプーン、食品または飲料との混合、カプセルなどにより投与される。モダフィニルの液体単位投薬物はU.S.RE 37,516に記載され、そして他の代替投薬剤型は、米国特許公開番号02−0099097号および02−0098240号およびPCT公開番号02/056915号に記載されており、その内容は、引用することにより全体を記載したと同様に本明細書に編入される。
3.実施例
【実施例1】
【0049】
小児248人の群(平均年齢:9才、平均体重:35.5kg)をADHDへのモダフィニルの効果を決定するために試験した。
【0050】
1週間のウオッシュアウト期間の後に、中等ないし重症のADHDを患う小児が、100/200mg、200/100mgのスプリット朝/正午投薬、単回300mg投薬および200/200mg(全量400mg)で偽薬またはモダフィニルを用いる処置を4週間受けた。ランダム化のために体重による小児の均等な分布が要求され、しかし200/200mg投薬群を除き、それは30kgまたはそれ以上の体重を有する小児にのみを含んでいた。一次効力測定は教師が評価した(teacher rated)ADHD評価スケールIVであった。
【0051】
結果は、200/100mgおよび300mgの一日一回投薬に対する一次結果測定において、モダフィニルがADHD症状を著しく改善することを示した。研究の結果は、モダフィニルが安全でそして一般に良く耐えられていることも示したが、しかし400mgのモダフィニルは他の投薬よりもさらに高い有害な事象プロファイルを有することも研究は明らかにした。
【実施例2】
【0052】
340mgおよび425mgの固定投薬の安全性および効力を2週間の投薬期間の後に評価した(1週間の滴下そして1週間の不変状態)。340mg投薬を体重30kg未満の小児に投与し、そして425mg投薬を体重30kg以上の小児に投与した。
【0053】
本試験に参加した小児24人は主として男性であり(男17人:女7人)そして主として白人(白人13人:黒人9人:その他2人)であった。平均年齢(9.0才)、体重(32.9kg)および身長(133.7cm)は、小児における従来のADHD試験に見られるものと同様であった。30kg未満および30kg以上の小児をほぼ均等に分割した。基線における平均注意欠陥多動障害評価スケール(ADHD−RS)全評価点は46.3であった。
【0054】
340mgまたは425mgモダフィニルのいずれかで一日一回投薬での2週間の処置の後、基線ADHD−RS全評価点(46.3)は著しく低下し、基線から約70%の改善を示した。このデータを図5に示す。
【実施例3】
【0055】
【表1】

【0056】
本発明をかなりの詳しさで記載したが、当該技術分野の専門家は、本発明の態様および好ましい態様に多数の変化および変更を加えることができそしてかかる変化および変更は本発明の範囲内であることを認めるであろう。さらに本明細書中に引用されたそれぞれの引用文献は、引用することにより本明細書に編入される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】100mgのモダフィニルの初回投薬に続く4時間後の200mgのモダフィニルの投薬後のモダフィニルのヒト血漿濃度曲線を示す。
【図2】200mgのモダフィニルの初回投薬に続く4時間後のモダフィニルの100mg投薬の後のモダフィニルのヒト血漿濃度曲線を示す。
【図3】300mgのモダフィニルの単回投薬の後のモダフィニルのヒト血漿濃度曲線を示す。
【図4】100mgのモダフィニルの単回投薬の後のモダフィニルのヒト血漿濃度曲線を示す。
【図5】ADHD患者における340mgおよび425mgのモダフィニル投薬の効力を示す臨床試験の結果を描いたグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約250〜約450mgのモダフィニルから本質的になる薬剤単位投薬物。
【請求項2】
約250〜約350mgのモダフィニルから本質的になる薬剤単位投薬物。
【請求項3】
約275〜約325mgのモダフィニルから本質的になる、請求項1の単位投薬物。
【請求項4】
約325〜約450mgのモダフィニルから本質的になる、請求項1の単位投薬物。
【請求項5】
275〜325mgのモダフィニルから本質的になる、請求項1の単位投薬物。
【請求項6】
325〜450mgのモダフィニルから本質的になる、請求項1の単位投薬物。
【請求項7】
255mgのモダフィニルから本質的になる、請求項1の単位投薬物。
【請求項8】
300mgのモダフィニルから本質的になる、請求項1の単位投薬物。
【請求項9】
340mgのモダフィニルから本質的になる、請求項1の単位投薬物。
【請求項10】
425mgのモダフィニルから本質的になる、請求項1の単位投薬物。
【請求項11】
ヒト患者に24時間以内に約250〜約450mgのモダフィニルの単回投薬を投与する段階を含んでなる、ヒト患者のADHDを処置する方法。
【請求項12】
ヒト患者に24時間以内に約250〜約350mgのモダフィニルの単回投薬を投与する段階を含んでなる、ヒト患者のADHDを処置する方法。
【請求項13】
患者が小児科患者である、請求項11の方法。
【請求項14】
約425mgのモダフィニルを患者に投与する、請求項11の方法。
【請求項15】
約340mgのモダフィニルを患者に投与する、請求項11の方法。
【請求項16】
約300mgのモダフィニルを患者に投与する、請求項11の方法。
【請求項17】
約255mgのモダフィニルを患者に投与する、請求項11の方法。
【請求項18】
ヒトへの経口投与の後、本質的に図3に示されるようなモダフィニルの血中プロフィールがもたらされる、モダフィニルの薬剤単位投薬物。
【請求項19】
本質的に図3に示されるようなモダフィニルの血中プロフィールを誘導するために十分なモダフィニルの単回投薬を24時間の期間内に患者に投与する段階を含んでなる、モダフィニルを用いるヒト患者内のADHDを処置する方法。
【請求項20】
単位投薬物中のモダフィニルの量が、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345および350mgのモダフィニルから本質的になる群から選択される、請求項1の単位投薬物。
【請求項21】
単位投薬物中のモダフィニルの量が、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、および450mgのモダフィニルから本質的になる群から選択される、請求項1の単位投薬物。
【請求項22】
薬剤単位投薬物中のモダフィニルの量が、255、300、340、および425mgのモダフィニルからなる群から選択される、請求項1の単位投薬物。
【請求項23】
全錠剤重量の約70〜75%がモダフィニルである、請求項1の単位投薬物。
【請求項24】
全錠剤重量の約80%がモダフィニルである、請求項1の単位投薬物。
【請求項25】
約250〜約450mgのモダフィニルを含んでなる、薬剤組成物。
【請求項26】
約250〜約350mgのモダフィニルを含んでなる、薬剤組成物。
【請求項27】
約275〜約325mgのモダフィニルを含んでなる、請求項25の組成物。
【請求項28】
約325〜約450mgのモダフィニルを含んでなる、請求項25の組成物。
【請求項29】
275〜325mgのモダフィニルを含んでなる、請求項25の組成物。
【請求項30】
325〜450mgのモダフィニルを含んでなる、請求項25の組成物。
【請求項31】
255mgのモダフィニルを含んでなる、請求項25の組成物。
【請求項32】
300mgのモダフィニルを含んでなる、請求項25の組成物。
【請求項33】
340mgのモダフィニルを含んでなる、請求項25の組成物。
【請求項34】
450mgのモダフィニルを含んでなる、請求項25の組成物。
【請求項35】
ケイ酸マグネシウムまたはタルクを含まず、約250〜約450mgのモダフィニルを含んでなる、薬剤組成物。
【請求項36】
デンプン、ラクトース一水和物または微晶質セルロースからそれぞれ独立して選択された1種またはそれ以上の希釈剤、アルファ化デンプンまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムからそれぞれ独立して選択された1種またはそれ以上の崩壊剤、結合剤、および滑沢剤を含んでなる、請求項35の組成物。
【請求項37】
結合剤がポリビニルピロリドンであり、そして滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項36の組成物。
【請求項38】
組成物が錠剤である。請求項35の組成物。
【請求項39】
錠剤重量の約90%がモダフィニルである、請求項35の組成物。
【請求項40】
錠剤重量の約80%がモダフィニルである、請求項35の組成物。
【請求項41】
モダフィニルがR−(−)2−〔(ジフェニルメチル)スルフィニル〕アセトアミドである、請求項1の単位投薬物。
【請求項42】
モダフィニルがR−(−)2−〔(ジフェニルメチル)スルフィニル〕アセトアミドである、請求項25の組成物。
【請求項43】
モダフィニルがR−(−)2−〔(ジフェニルメチル)スルフィニル〕アセトアミドである、請求項1の単位投薬物。
【請求項44】
モダフィニルがR−(−)2−〔(ジフェニルメチル)スルフィニル〕アセトアミドである、請求項25の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−522006(P2006−522006A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536184(P2004−536184)
【出願日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/028651
【国際公開番号】WO2004/024134
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(599133646)セフアロン・インコーポレーテツド (10)
【Fターム(参考)】