説明

モダリティ遠隔シミュレータシステムおよびモダリティ遠隔シミュレーション方法

【課題】所有するモダリティのみならず、所有していないモダリティの撮影画像とその撮影画像の処理も遠隔地の端末において行うことができるモダリティ遠隔シミュレータシステムおよびモダリティ遠隔シミュレーション方法を提供する。
【解決手段】モダリティ遠隔シミュレータシステム10は、クライアント端末11とネットワーク12を介して接続されたサーバ13を備え、サーバ13は、あらかじめモダリティおよびそれによる撮影条件に対応する撮影画像を保持している画像ストレージ14と、クライアント端末11からモダリティおよび撮影条件のユーザ指定を受けて、指定された該モダリティおよび該撮影条件に合致する撮影画像を画像ストレージから取得する擬似撮影モジュール19と、擬似撮影モジュール19によって取得された撮影画像に対して解析を行い、条件を基に処理し、その処理過程の画像をクライアント端末へ出力する画像処理・解析モジュール20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モダリティ遠隔シミュレータシステムおよびモダリティ遠隔シミュレーション方法に関し、特に、例えば、教育等に遠隔で擬似的にモダリティを利用できるシミュレーション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モダリティの操作方法の教育や、モダリティによる撮影画像を用いた診断などの教育を遠隔地で行うためには、その教育に参加する参加者は、遠隔地でのモダリティと同種の実機としてのモダリティを用いて、操作を行い、操作方法の教育とそのモダリティの撮影画像を用いてシミュレートすることによって教育が行われていた。つまり、モダリティの教育等においては、従来、モダリティによって撮影された画像は、その撮影されたモダリティと同種のモダリティの表示画面と操作画面の操作によって処理され表示されていた。それゆえ、遠隔地にあるモダリティで撮影された画像や遠隔地にある画像記憶手段に記憶されたモダリティによって撮影された画像を処理したり表示したりするためには、その撮影に用いられたモダリティそのものか、同種のモダリティが必要であった。
【0003】
上記のような遠隔地におけるモダリティの操作方法や診断方法の教育の従来システムとして、特許文献1に開示される手術支援システムがあげられる。この特許文献1では、手術室の術者が過去に経験が少ない手術を行うことが必要となる場合には、その手術に詳しい遠隔地にいる術者と公衆回線で接続して、手術中に遠隔支援術者による切除する部分の指示等を受けられるような遠隔支援のもとに手術室の術者が手術を行うようにすることにより、手術室の患者に対して適切な手術を行うことができるように支援するシステムが考えられている。そのシステムは、画像記憶手段により外科手術の様子を記録しており、手術の段階に応じて、術者が手術画像を見ることができるようになっている。また、上記のようなモダリティによって撮影された画像を遠隔地に送るというような従来技術としては、遠隔地と中央ステーションとの間でビデオ通信をするためのシステムが、特許文献2に開示されている。さらに、特許文献3には、診断画像を遠隔地からアクセスし表示するシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−131044号公報
【特許文献2】特開2001−339704号公報
【特許文献3】特開2003−244174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔地にあるモダリティで撮影された画像や遠隔地にある画像記憶手段に記憶されたモダリティによって撮影された画像を処理したり表示したりするためには、その撮影に用いられたモダリティそのものか、同種のモダリティが必要であった。そのため、モダリティの操作方法の教育や、モダリティによる撮影画像を用いた診断などの教育を遠隔地で行うためには、その教育に参加する参加者は、遠隔地でのモダリティと同種のモダリティがなければ、そのモダリティの操作方法や撮影画像を用いての教育訓練を受けることができないという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、実機としてのモダリティの存在に関係なく、所望のモダリティの撮影とその撮影画像の処理を端末においてシミュレートすることができるモダリティ遠隔シミュレータシステムおよびモダリティ遠隔シミュレーション方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、モダリティ遠隔シミュレータシステムであって、クライアント端末と、クライアント端末とネットワークを介して接続されたサーバとを備えたシミュレータシステムにおいて、サーバは、あらかじめモダリティおよびそれによる撮影条件に対応する撮影画像を保持している画像記憶手段と、クライアント端末からモダリティおよび撮影条件のユーザ指定を受けて、指定された該モダリティおよび該撮影条件に合致する撮影画像を画像記憶手段から取得する擬似撮影手段と、クライアント端末へ擬似撮影手段で取得された撮影画像を送るとともに、クライアント端末から指定されたモダリティで処理可能な条件の指定を受けて擬似撮影手段によって取得された撮影画像に対して解析を行い、条件を基に処理し、その処理過程の画像をクライアント端末へ出力する処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項5に記載の発明は、モダリティ遠隔シミュレーション方法であって、クライアント端末にユーザがシミュレート対象とするモダリティを指定可能に複数モダリティを案内する第1の表示を行わせるステップと、クライアント端末によって所望のモダリティが指定されるステップと、クライアント端末に指定されたモダリティについての撮影条件を指定可能に案内する第2の表示を行わせるステップと、サーバへ指定されたモダリティ及び撮影条件を送るステップと、モダリティおよび撮影条件に合致する撮影画像を画像記憶手段から取得してクライアント端末に送り、撮影画像をクライアント端末に表示させるステップと、クライアント端末にサーバへ画像記憶手段から取得された画像を処理する条件を指定可能に案内する第3の表示を行うステップと、クライアント端末によって所望の処理する条件が指定されるステップと、サーバへ指定された所望の処理する条件を送るステップと、サーバによって画像記憶手段から取得された撮影画像を処理条件を基に処理するステップと、サーバから条件を基に処理された画像をクライアント端末に送り、クライアント端末に表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実機としてのモダリティの存在に関係なく、所望のモダリティの撮影とその撮影画像の処理を端末においてシミュレートすることができる。それによって、種々のモダリティの操作方法や画像診断等の教育を行うことができる。また、画像を得るための条件として画像記憶手段から画像を取得するための条件である撮影条件と画像を処理する条件を設け、画像記憶手段には、撮影条件に対応した画像だけを記憶させるようにしたので、記憶させる画像がそれほど多くなくてすみ、また、画像記憶手段からの画像の取得も迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムの構成図である。この発明でのモダリティ遠隔シミュレータシステム10は、ネットワーク12を介して接続するクライアント端末(仮想モダリティ・クライアント)11とサーバ(仮想モダリティ・サーバ)13とから成るシステムである。また、サーバ13には、画像ストレージ(画像記憶手段)14が接続されている。
【0011】
このモダリティ遠隔シミュレータシステム10は、クライアント端末11を用いて利用される。例えば、モダリティの操作方法等の遠隔教育を行う場合、各参加者は、各自が勤務する病院に備えられたモダリティまたはパーソナルコンピュータを用いる。このとき、遠隔教育で指定されたモダリティと異なる場合や、指定されたモダリティが使用中であるために利用できない場合、各自が使用するモダリティまたはパーソナルコンピュータ上にクライアント端末11としての機能を持たせるために、上述のクライアント端末11としての機能を有するソフトウェアをインストールする。
【0012】
サーバ13が存在するモダリティ遠隔シミュレータシステム10の中枢部をモダリティ・シミュレータ・エリア15といい、このモダリティ・シミュレータ・エリア15は、サーバ13と画像ストレージ14を含んでいる。このモダリティ・シミュレータ・エリア15は、モダリティの操作方法や撮影画像の診断などを教育するための教育センタに設置される。クライアント端末11とサーバ13の間の通信は、SSL(Secure Socket Layer)等を用いて行われる。SSLでは、サーバ13とクライアント端末11の間で行われる通信を暗号化することによって、たとえその通信が盗聴されたとしても第三者に内容が知られることがないよう防御する。
【0013】
なお、クライアント端末11とサーバ13および画像ストレージ14はインターネットで接続されるようにしてもよい。また、サーバ13とクライアント端末11は同一のローカルエリアネットワークで接続されたシステムでもよいし、別々のローカルエリアネットワークで接続されており、それらのローカルエリアネットワークが相互に接続されたシステムでもよい。
【0014】
クライアント端末11は、X線撮像装置、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置、超音波診断装置等のモダリティまたはパーソナルコンピュータである。クライアント端末11は、一台のクライアント端末11で複数のモダリティと等価な仮想的な機能を提供することができる。例えば、一台のクライアント端末11を用いて、X線撮像装置、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置、超音波診断装置のいずれかと等価の仮想的な機能を選択することができる。
【0015】
クライアント端末11は、入力デバイス(操作手段)16と、表示用モニタ(表示手段)17と、を含むユーザインタフェースと、画面制御モジュール(シミュレート表示制御手段)18を備えている。画面制御モジュール18は、ユーザがシミュレート対象とするモダリティを指定可能に複数モダリティを案内する第1の表示を表示用モニタ17に行わせる。例えば、表示用モニタ17に、X線撮像装置、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置、超音波診断装置、それぞれに対応した選択ボタンが表示される。
【0016】
また、画面制御モジュール18は、第1の表示かつ操作手段16により、所望のモダリティが指定されたとき、指定されたモダリティについての撮影条件を指定可能に案内する第2の表示を表示用モニタ17に行わせ、サーバ13へ指定されたモダリティおよび撮影条件を送る。例えば、操作手段16によりモダリティとしてX線CT装置が選択ボタンにより指定されたとき、撮影部位を指定するための選択ボタン、放射線量を指定するための選択ボタンが第2の表示として表示される。ユーザにより、選択ボタンにより撮影部位、放射線量等の撮影条件が指定され、それらの指定された撮影条件がサーバ13に送られる。
【0017】
さらに、画面制御モジュール18は、サーバ13へ後述の擬似撮影モジュール19で取得された画像を処理する条件を指定可能に案内する第3の表示を表示用モニタ17に行わせるとともに、サーバ13から送られてくる処理過程の画像を表示用モニタ17に表示させる。例えば、処理する条件として断層画像、血管画像、構造体画像等を指定するボタンが表示用モニタ17に表示され、それらのボタンのうち、いずれかが指定されると、それに応じて、サーバ13で画像処理され、その処理過程の画像が表示用モニタ17に表示される。
【0018】
サーバ13は、ネットワーク12で少なくとも1つのクライアント端末11と接続されており、実際の撮影を行わずに既に撮影されている画像を提供する擬似撮影モジュール(擬似撮影手段)19と、画像処理および解析を行う画像処理・解析モジュール(処理手段)20を有している。サーバ13は、各クライアント端末11からの入力に応じて、画像ストレージ14からの画像の取得、および画像処理と画像の解析を行い、その結果をクライアント端末11に出力する。
【0019】
擬似撮影モジュール19は、クライアント端末11からのモダリティおよび撮影条件のユーザによる指定を受けて、指定されたモダリティおよび撮影条件に合致する撮影画像を画像ストレージ14から取得する。このとき、クライアント端末11から指定する撮影条件を主撮影条件ということにする。この主撮影条件は、請求項1〜5に記載された「撮影条件」に対応する。
【0020】
画像処理・解析モジュール20は、クライアント端末11から指定されたモダリティで処理可能な条件の指定を受けて擬似撮影モジュール19によって取得された撮影画像に対して解析を行い、条件を基に処理し、その処理過程の画像をクライアント端末11へ出力する。このとき、クライアント端末11から指定する条件を副撮影条件ということにする。副撮影条件とは、例えば、断層画像、血管画像、構造体画像等の画像を生成するための解析・処理条件のことである。この副撮影条件は、請求項1〜5に記載された「指定されたモダリティで処理可能な条件」または「画像を処理する条件」に対応する。
【0021】
画像ストレージ14はモダリティ・シミュレータ・エリア15内に存在し、あらかじめモダリティおよびそれによる撮影条件(主撮影条件)に対応する撮影画像を保持している。主撮影条件は、X線照射部や超音波送受信部等の撮影部を制御する条件であって、例えば、撮影部位、放射線量、磁場強度等の個々の条件または、それらを組み合わせた条件である。この画像ストレージ14は、各モダリティに対する主撮影条件で撮影した画像を保存している。
【0022】
サーバ13は、クライアント端末11からモダリティおよび撮影条件のユーザによる指定を受ける。擬似撮影モジュール19は、指定されたモダリティおよび撮影条件に合致する撮影画像を画像ストレージ14から取得する。画像処理・解析モジュール20は、クライアント端末11へ擬似撮影モジュール19で取得された撮影画像を送る。画像処理・解析モジュール20は、クライアント端末11から指定されたモダリティで処理可能な条件の指定を受けて擬似撮影モジュール19によって取得された撮影画像に対して解析を行い、条件を基に処理し、その処理過程の画像をクライアント端末11へ出力する。
【0023】
次に、図2と図3のフローチャートを用いて、一連の操作フローを説明する。
利用者は、まず、クライアント端末11によってモダリティ遠隔シミュレータシステム10の起動を行う(図2のステップS11)。それにより、画面制御モジュール18は、表示用モニタ17にユーザがシミュレート対象とするモダリティを指定可能に複数モダリティを案内する第1の表示を行う(図2のステップS12)。次に、利用者は、クライアント端末11によって所望のモダリティを指定する(図2のステップS13)。クライアント端末11は、サーバ13との通信を開始し、サーバ13の擬似撮影モジュール19と画像処理・解析モジュール20を起動する(図2のステップS14)。サーバ13は擬似撮影モジュール15と画像処理・解析モジュール20の起動を確認後、クライアント端末11に起動完了を通知する(図2のステップS15)。クライアント端末11の画面制御モジュール18はこの通知を受け、クライアント端末11に指定されたモダリティについての撮影条件を指定可能に案内する第2の表示をし(図2のステップS16)、利用者からの次の入力に対し待機する。
【0024】
利用者は、クライアント端末11の表示用モニタ17の画面上で入力デバイス16を介して撮影条件を入力し撮影の開始を要求する(図2のステップS17)。クライアント端末11の画面制御モジュール18は、サーバ13の擬似撮影モジュール19に撮影条件を送る(図2のステップS18)。
【0025】
サーバ13の擬似撮影モジュール19は、モダリティおよび撮影条件に合致する撮影画像を画像ストレージ14から取得して(図2のステップS19、クライアント端末11の画面制御モジュール18に送信する(図2のステップS20)。クライアント端末11の画面制御モジュール18は取得した画像およびデータを表示用モニタ17の画面上の適切な場所に配置・表示する(図2のステップS21)。
【0026】
次に、利用者が画像処理を行うことをクライアント端末11の入力デバイス16により入力する(図3のステップS22)。クライアント端末11の画面制御モジュール18は、クライアント端末11にサーバ13へ画像ストレージ14から取得された画像を処理する条件を指定可能に案内する第3の表示を行う(図3のステップS23)。
【0027】
利用者がクライアント端末11によって所望の処理条件を指定すると(図3のステップS24)、クライアント端末11の画面制御モジュール18は、入力された処理条件をサーバ13の画像処理・解析モジュール20に送る(図3のステップS25)。
【0028】
サーバ13の画像処理・解析モジュール20は、画像ストレージ14から取得された撮影画像を送られた処理条件を基に処理する(図3のステップS26)。画像処理・解析モジュール20は、クライアント端末11の画面制御モジュール18に処理された画像を送信する(図3のステップS27)。クライアント端末11の画面制御モジュール18は処理された画像およびデータを画面上の適切な場所に配置・表示する(図3のステップS28)。
【0029】
利用者がこのシステムの終了をクライアント端末11から入力すると、クライアント端末11により起動されたモジュールの終了を要求する。サーバ13は必要なモジュールの停止を確認後、クライアント端末11に終了完了を通知する。クライアント端末11は、サーバ13との通信を終了し、画面制御モジュール18を停止する。
【0030】
以上のように、本発明に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムを使用することによって、いかにも実機を操作し動作させたかのような経験を得ることができる。
【0031】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムの構成図である。モダリティ遠隔シミュレータシステム30は、少なくとも1つのクライアント端末31とクライアント端末31とネットワーク12を介して接続されたサーバ32とからなる。また、サーバ32は、画像ストレージ14と接続している。
【0032】
この第2の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステム30は、第1の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステム10でのクライアント端末11に備えられた画面制御モジュール18の機能を、サーバ32の画面制御モジュール33に持たせている。それに伴い、クライアント端末31に入力デバイス情報送信モジュール34と、受信画面表示モジュール35が設けられ、サーバ32に入力デバイス情報受信モジュール36と、画面情報送信モジュール37が設けられている。
【0033】
その他の構成要件の有する機能、すなわち、サーバ32の擬似撮影モジュール19の機能、画像処理・解析モジュール20の機能、画像ストレージ14の機能、表示用モニタ17の機能、入力デバイス16の機能は、第1の実施形態でのものと同様であるので、図1で付した符号と同一の符号を付し、説明を省略し、第2実施形態で新たに設けられたクライアント端末31での入力デバイス情報送信モジュール34と受信画面表示モジュール35と、サーバ32での入力デバイス情報受信モジュール36と画面情報送信モジュール37と画面制御モジュール33についての説明を行う。
【0034】
入力デバイス情報送信モジュール34は、利用者(ユーザ)が入力デバイス16を介して行った入力操作をサーバ32にある入力デバイス情報受信モジュール36に送信する。受信画面表示モジュール35は、サーバ32の画面情報送信モジュール37から受信した画面を表示用モニタ17に表示する。
【0035】
入力デバイス情報受信モジュール36は、クライアント端末31にある入力デバイス情報送信モジュール34からの利用者の入力デバイス情報を取得し、その情報をサーバ32にある画面制御モジュール33に送る。画面情報送信モジュール37は、画面制御モジュール33から送られる画面情報をクライアント端末31の受信画面表示モジュール35に送る。
【0036】
画面制御モジュール33は、入力デバイス情報受信モジュール36からの利用者が入力デバイス16から入力された情報を取得し、その入力情報を擬似撮影モジュール19と画像処理・解析モジュール20に送る。また、画面制御モジュール33は、擬似撮影モジュール19から送られた画面情報や、画像処理・解析モジュール20から送られた画面情報を、画面情報送信モジュール37に送る。
【0037】
次に、図5〜図8のフローチャートを用いて一連の操作フローを説明する。利用者は、まず、クライアント端末31によってモダリティ遠隔シミュレータシステム30の起動を行う(図5のステップS31)。それにより、クライアント端末31は、サーバ32との通信を開始し、サーバ32の画面制御モジュール33、入力デバイス情報受信モジュール36、画面情報送信モジュール37、擬似撮影モジュール19、画像処理・解析モジュール20を起動する(図5のステップS32)。
【0038】
画面制御モジュール33は、クライアント端末31の表示用モニタ17にユーザがシミュレート対象とするモダリティを指定可能に複数モダリティを案内する第1の表示をさせるための情報を画面情報送信モジュール37に送る(図5のステップS33)。画面情報送信モジュール34は、画面制御モジュール33から送られた上記の情報をクライアント端末31の受信画面表示モジュール35に送る(図5のステップS34)。受信画面表示モジュール35は、画面情報送信モジュール37から送られた上記の情報を表示用モニタ17に表示する(図5のステップS35)。
【0039】
次に、利用者は、クライアント端末31の入力デバイス16によって所望のモダリティを指定する(図5のステップS36)。入力デバイス16から入力された指定されたモダリティの情報は、入力デバイス情報送信モジュール34により、サーバ32の入力デバイス情報受信モジュール36に送られる(図5のステップS37)。入力デバイス情報受信モジュール36は、送られたモダリティの指定に関する情報を画面制御モジュール33に送る(図5のステップS38)。
【0040】
画面制御モジュール33は、この通知を受け、画面情報送信モジュール37に、クライアント端末31に指定されたモダリティについての撮影条件を指定可能に案内する第2の表示の情報を送る(図5のステップS39)。画面情報送信モジュール37は、その第2の表示の情報を受信画面表示モジュール35に送る(図6のステップS40)。受信画面表示モジュール35は、その第2の表示を表示用モニタに行う(図6のステップS41)。
【0041】
利用者は、クライアント端末31の表示用モニタ17の画面上で入力デバイス16を介して撮影条件を入力し撮影の開始を要求する(図6のステップS42)。入力デバイス情報送信モジュール34は、その撮影条件を入力デバイス情報受信モジュール36に送る(図6のステップS43)。入力デバイス情報受信モジュール36は、送られた撮影条件を画面制御モジュール33に送る(図6のステップS44)。画面制御モジュール33は、擬似撮影モジュール19に撮影条件を送る(図6のステップS45)。
【0042】
擬似撮影モジュール19は、モダリティおよび撮影条件に合致する撮影画像を画像ストレージ14から取得して(図6のステップS46)、画面制御モジュール33に送る(図6のステップS47)。画面制御モジュール33は、取得した画像およびデータを画面情報送信モジュール43に送る(図6のステップS48)。画面情報送信モジュール43は、送られた画像およびデータをクライアント端末31の受信画面表示モジュール35に送る(図7のステップS49)。受信画面表示モジュール35は、送られた画像およびデータを表示用モニタ17に表示する(図7のステップS50)。
【0043】
次に、利用者が画像処理を行うことをクライアント端末31の入力デバイス16により入力する(図7のステップS51)。入力された画像処理を行う情報は、入力デバイス情報送信モジュール34に送られる(図7のステップS52)。入力デバイス情報送信モジュール34は、その画像処理を行う情報をサーバ32の入力デバイス情報受信モジュール36に送られる(図7のステップS53)。入力デバイス情報受信モジュール36は、送られた画像処理を行う情報を画面制御モジュール33に送る(図7のステップS54)。画面制御モジュール33は、画面情報送信モジュール37にサーバ32へ画像ストレージ14から取得された画像を処理する条件を指定可能に案内する第3の表示の情報を送る(図7のステップS55)。画面情報送信モジュール37は、送られた第3の表示の情報を受信画面表示モジュール35に送る(図7のステップS56)。受信画面表示モジュール35は、送られた第3の表示の情報を表示用モニタ17に表示する(図7のステップS57)。
【0044】
利用者がクライアント端末31によって所望の処理条件を指定すると(図8のステップS58)、入力デバイス情報送信モジュール34は、その処理条件をサーバ32の入力デバイス情報受信モジュール36に送る(図8のステップS59)。入力デバイス情報受信モジュール36は、送られた処理条件を画像処理・解析モジュール20に送る(図8のステップS60)。
【0045】
サーバ32の画像処理・解析モジュール20は、画像ストレージ14から取得された撮影画像を送られた処理条件を基に処理する(図8のステップS61)。画像処理・解析モジュール20は、画面制御モジュール33に処理された画像を送信する(図8のステップS62)。画面制御モジュール33は、画面情報送信モジュール37に処理された画像を送る(図8のステップS63)。画面情報送信モジュール37は、処理された画像をクライアント端末31の受信画面表示モジュール35に送る(図8のステップS64)。受信画面表示モジュール35は、送られた処理画像を表示用モニタ17に表示する(図8のステップS65)。
【0046】
利用者がこのシステムの終了をクライアント端末31から入力すると、クライアント端末31により起動されたモジュールの終了を要求する。サーバ32は必要なモジュールの停止を確認後、クライアント端末31に終了完了を通知する。クライアント端末は、サーバとの通信を終了し、画面制御モジュール41を停止する。
【0047】
上記のように、本発明に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムでは、利用者は、実機としてのモダリティの存在に関係なく所望のモダリティの撮影とその撮影画像の処理を端末においてシミュレートすることができる。それによって、種々のモダリティの遠隔教育を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムでの一連の操作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムでの一連の操作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムの構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムでの一連の操作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムでの一連の操作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムでの一連の操作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るモダリティ遠隔シミュレータシステムでの一連の操作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
10 モダリティ遠隔シミュレータシステム
11 クライアント端末
12 ネットワーク
13 サーバ
14 画像ストレージ(画像記憶手段)
15 モダリティ・シミュレータ・エリア
16 入力デバイス(操作手段)
17 表示用モニタ(表示手段)
18 画面制御モジュール(シミュレート表示制御手段)
19 擬似撮影モジュール(擬似撮影手段)
20 画像処理・解析モジュール(処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と、前記クライアント端末とネットワークを介して接続されたサーバとを備えたシミュレータシステムにおいて、
前記サーバは、
あらかじめモダリティおよびそれによる撮影条件に対応する撮影画像を保持している画像記憶手段と、
前記クライアント端末からモダリティおよび撮影条件のユーザ指定を受けて、
指定された該モダリティおよび該撮影条件に合致する撮影画像を画像記憶手段から取得する擬似撮影手段と、
前記クライアント端末へ前記擬似撮影手段で取得された撮影画像を送るとともに、
前記クライアント端末から指定されたモダリティで処理可能な条件の指定を受けて前記擬似撮影手段によって取得された前記撮影画像に対して解析を行い、前記条件を基に処理し、その処理過程の画像を前記クライアント端末へ出力する処理手段と、を備えることを特徴とするモダリティ遠隔シミュレータシステム。
【請求項2】
前記クライアント端末は、操作手段と、表示手段と、を含むユーザインタフェースと、 前記表示手段に、ユーザがシミュレート対象とするモダリティを指定可能に複数モダリティを案内する第1の表示を行わせ、操作手段により、所望のモダリティが指定されたとき、指定されたモダリティについての撮影条件を指定可能に案内する第2の表示を行わせ、前記サーバへ指定された前記モダリティ及び前記撮影条件を送り、さらに、サーバへ前記擬似撮影手段で取得された画像を処理する条件を指定可能に案内する第3の表示を行うとともに、サーバから送られてくる処理過程の画像を表示させるシミュレート表示制御手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のモダリティ遠隔シミュレータシステム。
【請求項3】
前記クライアント端末は、操作手段と、表示手段と、を含むユーザインタフェースを備え、
前記サーバは、前記クライアント端末のユーザインタフェースに対して、ユーザがシミュレート対象とするモダリティを指定可能に複数モダリティを案内する第1の表示を行わせ、操作手段により、前記第1の表示に基づき所望のモダリティが指定されたとき、指定されたモダリティについての撮影条件を指定可能に案内する第2の表示を行わせ、さらに、前記擬似撮影手段で取得された画像を処理する条件を指定可能に案内する第3の表示を行うとともに、処理過程の画像を表示させるシミュレート表示制御手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のモダリティ遠隔シミュレータシステム。
【請求項4】
前記モダリティは、X線撮像装置、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置、超音波診断装置のいずれかであり、
前記画像記憶手段は、前記モダリティのいずれかないしは全てのそれぞれの装置での撮影画像を保持していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のモダリティ遠隔シミュレータシステム。
【請求項5】
クライアント端末にユーザがシミュレート対象とするモダリティを指定可能に複数モダリティを案内する第1の表示を行わせるステップと、
前記クライアント端末によって所望のモダリティが指定されるステップと、
前記クライアント端末に指定されたモダリティについての撮影条件を指定可能に案内する第2の表示を行わせるステップと、
サーバへ指定された前記モダリティ及び前記撮影条件を送るステップと、
前記モダリティおよび前記撮影条件に合致する撮影画像を画像記憶手段から取得して前記クライアント端末に送り、前記撮影画像を前記クライアント端末に表示させるステップと、
前記クライアント端末に前記サーバへ前記画像記憶手段から取得された画像を処理する条件を指定可能に案内する第3の表示を行うステップと、
前記クライアント端末によって所望の処理する条件が指定されるステップと、
前記サーバへ指定された前記所望の処理する条件を送るステップと、
前記サーバによって前記画像記憶手段から取得された撮影画像を前記処理条件を基に処理するステップと、
前記サーバから前記条件を基に処理された画像を前記クライアント端末に送り、前記クライアント端末に表示させるステップと、
を含むことを特徴とするモダリティ遠隔シミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−220654(P2008−220654A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63453(P2007−63453)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】