説明

モチライド化合物

、R、R、R、R、およびRが、本明細書で定義されている通りである式(I)による構造を有する化合物は、運動促進剤として有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃腸運動障害を治療するための薬剤ならびにそれらを調製および使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(「GI」)運動は、腸を通る摂取した物質の秩序ある運動を調節し、栄養素、電解質、および液体の十分な吸収を確保する。食道、胃、小腸、および大腸を通るGI内容物の適切な輸送は、それらの前進運動を調節し、逆流を防ぐ管腔内圧およびいくつかの括約筋の局所制御に依存している。正常なGI運動パターンは、疾患および手術を含む様々な環境によって損なわれることがある。
【0003】
GI運動障害には、胃不全麻痺および胃食道逆流疾患(「GERD」)が含まれる。その症状に胃不調、胸やけ、悪心、および嘔吐が含まれる胃不全麻痺は、胃内容物の排出遅延である。GERDは、胃および十二指腸内容物の食道への逆流の様々な臨床症状を指す。最も一般的な症状は、胸やけおよび不全失語症であり、食道糜爛からの失血が起きることも知られている。損なわれたGI運動が関係するGI障害の他の例には、食欲不振症、胆嚢うっ滞(gall bladder stasis)、術後麻痺性イレウス、強皮症、腸偽閉塞、過敏性腸症候群、胃炎、嘔吐、および慢性便秘(結腸無力症)が含まれる。
【0004】
モチリンは、腸粘膜において内分泌細胞によって分泌される22アミノ酸ペプチドホルモンである。モチリンのGI管におけるモチリン受容体との結合は、GI運動を刺激する。モチリン作動薬として作用する治療薬(「運動促進剤」)の投与は、GI障害に対する治療として提案されてきた。
【0005】
エリスロマイシンは、放線菌類であるサッカロポリスポラエリトラエ(Saccharopolyspora erythraea)の発酵によって作られるマクロライド抗生物質の1ファミリーである。一般的に使用される抗生物質であるエリスロマイシンAは、このファミリーのうちの最も多く存在しかつ重要なメンバーである。(エリスロマイシンにおいて、16員ラクトン環は、マクロラクトンまたは分子のアグリコン部分と呼ばれ、3および5位において炭素から吊り下がっているグリコシド残基はそれぞれ、クラジノースおよびデソサミン残基と呼ばれる。)
【0006】
【化1】

【0007】
エリスロマイシンAの副作用には、悪心、嘔吐、および腹部不快感が含まれる。これらの作用をたどっていくと、エリスロマイシンA(1)、さらにはその初期酸触媒分解生成物(5)におけるモチリン作動薬活性にたどりついた。(二次分解生成物であるスピロケタール(6)は不活性である。)
【0008】
【化2】

【0009】
エリスロマイシンAおよび分解生成物5におけるモチリン作動薬活性の発見に駆り立てられて、研究者は、運動促進活性のあるマクロライドと呼ばれるような新たなモチライドを発見することに努力してきた。研究の多くは、天然に産生されるエリスロマイシンの発酵後化学変換を介するか、または発酵プロセスの改変(遺伝子工学を含む)を介して新たなエリスロマイシン類似体を作り出すことに重点を置いてきた。モチライドに関する例示的な開示には、Omura他、US5,008,249(1991)およびUS5,175,150(1992);Harada他、US5,470,961(1995);Freiberg他、US5,523,401(1996);US5,523,418(1996);US5,538,961(1996);およびUS5,554,605(1996);Lartey他、US5,578,579(1996);US5,654,411(1997);US5,712,253(1998);およびUS5,834,438(1998);Koga他、US5,658,888(1997);Miura他、US5,959,088(1998);Premchandran他、US5,922,849(1999);Keyes他、US6,084,079(2000);Ashley他、US2002/0025936A1(2002);Ashley他、US2002/0094962A1(2002);Carreras他、US2002/0192709A1(2002);Ito他、JP60−218321(1985)(Chemical Abstracts要約番号104:82047に対応する);Santi他、US2004/138150A1(2004);Carreras他、US2005/0113319A1(2005);Carreras他、US2005/0119195A1(2005);Liu他、US2005/0256064A1(2005);Omura他、J.Antibiotics 1985、38、1631〜2;Faghih他、Biorg.& Med.Chem.Lett.、1998、8、805〜810;Faghih他、J.Med.Chem.、1998、41、3402〜3408;Faghih他、Synlett.、Jul.1998、751;ならびにLartey他、J.Med.Chem.、1995、38、1793〜1798が含まれる。
【0010】
9位に誘導体化されたエーテル酸素または窒素を有するエリスロマイシン骨格の化合物も、そのような化合物がモチリン作動薬ではない場合でも、本発明と関係がある可能性があり、例示的な開示は、Krowicki他、US3,855,200(1974);Radobolja他、US3,939,144(1976);Kobrehel他、US3,983,103(1976);Toscano、US4,588,712(1986);Agouridas他、US5,444,051(1995);Agouridas他、US5,561,118(1996);Agouridas他、US5,770,579(1998);Asaka他、US6,169,168B1(2001);Kobrehel他、DE2,402,200(1974);Pliva Pharmaceuticals、GB1,416,281(1975);Pliva Pharmaceuticals、GB1,461,032(1977);Asaga他、JP2002/241391(2002);Ryden他、J.Med.Chemistry、1973、16(9)、1059〜1060;Naperty他、Roczniki Chemii、1977、51(6)、1207〜10;Kobrehel他、Eur.J.Med.Chemistry、1978、13(1)、83〜7;Egan他、J.Antibiotics、1978、31(1)、55〜62;Matijasevic他、Croatica Chemica Acta、1980、53(3)、519〜24;Radobolja他、Croatica Chemica Acta、1985、58(2)、219〜25;Hunt他、J.Antibiotics、1989、42(2)、293〜298;Myles他、J.Org.Chem.、1990、55、1636〜1648である。
【0011】
上記の文書すべての開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、本発明は、式(I)によって表される構造を有する運動促進剤として有用な化合物、ならびに薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、および水和物を提供し、
【0013】
【化3】

式中、
(A)Rは、
(i)OR
(ii)O(CHC(=O)R
(iii)OC(=O)R
(iv)OS(O)N(R3A)、
(v)O(CHNHR
(vi)N(H)S(O)R
(vii)OCHCHOCHCHC(=O)R、または
(viii)OCHCHOCHCHNHRであり、
(B)Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル、3もしくは4員脂環式、および3もしくは4員ヘテロ脂環式からなる群から選択され、群の各メンバーは、OH、CN、およびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
(C)Rは、HまたはOHであり、
(D)Rは、HまたはMeであり、
(E)Rは、HまたはOHであり、
(F)Rは、HまたはMeであり、
式中、
は、C〜Cアルキルであり、C〜Cアルキルは、OH、CN、O(C〜Cアルキル)、ハロゲン、アリール、脂環式、ヘテロアリール、またはヘテロ脂環式で置換されていてもよく、前記アリール、脂環式、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式部分は、C〜Cアルキルで置換されていてもよく、
は、OR、N(R3A)、C〜Cアルキル、(CHOH、またはC〜Cハロアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキル、または(CHOHであり、
3Aは、H、C〜Cアルキル、(CHOH、(CHO(C〜Cアルキル)、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルキル(アリール)、C〜Cアルキル(ヘテロアリール)、O(C〜Cアルキル)、ヘテロアリール、または
【0014】
【化4】

であり、
式中、
Xは、NまたはCHであり、
Yは、O、S、NH、N(C〜Cアルキル)、CH、または結合であり、
各pは、(i)XがCHである場合、独立して1または2であり、(ii)XがNであり、YがCHおよび結合以外である場合、2であり、(iii)XがNであり、YがCHまたは結合である場合、独立して1または2であり、
qは、(i)XがCHである場合、0、1、2、または3であり、(ii)XがNである場合、2または3であり、
は、N(R3A)またはC〜Cアルキルであり、
は、S(O)(C〜Cアルキル)、C(=O)(C〜Cアルキル)、C(=O)アリール、C(=O)(ヘテロアリール)、C(=O)H、またはC(=W)NH(C〜Cアルキル)であり、Wは、OまたはSであり、
は、C〜Cアルキル、シクロブチル、シクロプロピル、CF、またはN(R3A)であり、
mは、1、2、3、4、5、または6であり、
nは、その出現ごとに独立して、2、3または4である。
【0015】
本発明の別の態様において、胃運動の損なわれた疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要としている対象に、治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様において、本発明の化合物および賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0017】
本発明のさらに別の態様において、モチリンに対して収縮性に反応する組織の収縮を誘発する方法であって、そのような組織を、そのような収縮を誘発するのに有効な量の、本発明による化合物と接触させることを含む方法が提供される。
【0018】
本発明のさらに別の態様において、胃運動の損なわれた疾患を治療するための医薬品を調製するための本発明の化合物の使用が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
定義
「脂肪族」は、指定された数の炭素原子(例えば、「C脂肪族」、「C〜C脂肪族」、または「CからC脂肪族」におけるように、後者の2つの語句は、1〜5個の炭素原子を有する脂肪族部分について同義である)、または炭素原子数が指定されていない場合、1〜4個の炭素原子(不飽和脂肪族部分の場合には2〜4個の炭素)を有する直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和の非芳香族炭化水素部分を意味する。
【0020】
「アルキル」は、飽和脂肪族部分を意味し、炭素原子数を指定するための同じ慣例が適用可能である。実例として、C〜Cアルキル部分には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、1−ブチル、2−ブチルなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する脂肪族部分を意味し、炭素原子数を指定するための同じ慣例が適用可能である。実例として、C〜Cアルケニル部分には、エテニル(ビニル)、2−プロペニル(アリルまたはプロパ−2−エニル)、cis−1−プロペニル、trans−1−プロペニル、E−(またはZ−)−2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタジエニル(ブタ−1,3−ジエニル)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する脂肪族部分を意味し、炭素原子数を指定するための同じ慣例が適用可能である。実例として、C〜Cアルキニル基には、エチニル(アセチレニル)、プロパルギル(プロパ−2−イニル)、1−プロピニル、ブタ−2−イニルなどが含まれる。
【0023】
「脂環式」は、1〜3個の環を有する飽和または不飽和の非芳香族炭化水素部分を意味し、各環は、3〜8個(好ましくは3〜6個)の炭素原子を有する。「シクロアルキル」は、各環が飽和されている脂環式部分を意味する。「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の環が、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する脂環式部分を意味する。「シクロアルキニル」は、少なくとも1個の環が、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する脂環式部分を意味する。実例として、脂環式部分には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、およびアダマンチルが含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい脂環式部分は、シクロアルキル脂環式部分、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。
【0024】
「ヘテロ脂環式」は、その少なくとも1個の環において、3個まで(好ましくは1〜2個の)炭素が、N、O、またはSから独立して選択されるヘテロ原子で置き換えられている脂環式部分を意味し、NおよびSは、酸化されていてもよく、Nは、四級化されていてもよい。同様に、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」、および「ヘテロシクロアルキニル」はそれぞれ、その少なくとも1個の環がそのように改変されているシクロアルキル、シクロアルケニル、またはシクロアルキニル部分を意味する。例示的なヘテロ脂環式部分には、アジリジニル、アゼチジニル、1,3−ジオキサニル、オキセタニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、1,4−ジオキサニル、チエタニルなどが含まれる。
【0025】
「アルコキシ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、および「アリールチオ」はそれぞれ、−O(アルキル)、−O(アリール)、−S(アルキル)、および−S(アリール)を意味する。例はそれぞれ、メトキシ、フェノキシ、メチルチオ、およびフェニルチオである。
【0026】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0027】
「アリール」は、各環が3〜7個の炭素原子を有し、少なくとも1個の環が芳香族である単環式、二環式、または三環式環系を有する炭化水素部分を意味する。環系における環は、お互いと縮合するか(ナフチルにおけるように)、またはお互いと結合する(ビフェニルにおけるように)ことができ、非芳香族環と縮合もしくは結合することができる(インダニルまたはシクロヘキシル−フェニルにおけるように)。他の実例として、アリール部分には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントラセニル、およびアセナフチルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
「ヘテロアリール」は、各環が3〜7個の炭素原子を有し、少なくとも1個の環がN、O、またはSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する芳香族環である単環式、二環式、または三環式環系を有する部分を意味し、NおよびSは、酸化されていてもよく、Nは、四級化されていてもよい。そのような少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族環は、他のタイプの環と縮合するか(ベンゾフラニルまたはテトラヒドロイソキノリルにおけるように)、または他のタイプの環と直接結合する(フェニルピリジルまたは2−シクロペンチルピリジルにおけるように)ことができる。他の実例として、ヘテロアリール部分には、ピロリル、フラニル、チオフェニル(チエニル)、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、N−オキソピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、キノザリニル(quinozalinyl)、ナフチリジニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フェノチアゾリル(phenothiazolyl)、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、ジベンゾチオフェニル、アクリジニルなどが含まれる。
【0029】
ある部分が、「置換または非置換のC〜Cアルキル」または「置換されていてもよいヘテロアリール」におけるように「置換または非置換の」または「置換されていてもよい」というフレージングの使用などによって置換されていてよいことが示されている場合、そのような部分は、1個または複数、好ましくは1〜5個、より好ましくは1または2個の、独立して選択される置換基を有することができる。置換基および置換パターンは、置換基が結合する部分に考慮して当業者が選択し、化学的に安定であり、当技術分野において知られている技法ならびに本明細書に示す方法によって合成することができる化合物を提供することができる。
【0030】
「アリールアルキル」、「(ヘテロ脂環式)アルキル」、「アリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ビアリールアルキル」などは、例えばベンジル、フェネチル、N−イミダゾイルエチル、N−モルホリノエチルなどにおけるように、場合によって、アリール、ヘテロ脂環式、ビアリールなどの部分で置換され、場合によって、アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分において原子価が開放されている(満たされていない)アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分を意味する。逆に、「アルキルアリール」、「アルケニルシクロアルキル」などは、場合によって、例えば、メチルフェニル(トリル)またはアリルシクロヘキシルにおけるように、場合によって、アルキル、アルケニルなどの部分で置換されているアリール、シクロアルキルなどの部分を意味する。「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルキルアリール」、「シアノアリール」などは、場合によって、特定された置換基(場合によってヒドロキシル、ハロなど)のうちの1個または複数で置換されているアルキル、アリールなどの部分を意味する。
【0031】
実例として、許容できる置換基には、アルキル(特にメチルまたはエチル)、アルケニル(特にアリル)、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、脂環式、ヘテロ脂環式、ハロ(特にフルオロ)、ハロアルキル(特にトリフルオロメチル)、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル(特にヒドロキシエチル)、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)(特に−OCF)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、−O(アリール)、アルキルチオ、アリールチオ、=O、=NH、=N(アルキル)、=NOH、=NO(アルキル)、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−COH、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、アジド、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、−NHC(=NH)NH、−OSO(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(シクロアルキル)、−S(=O)アルキル、−SO(アルキル)、−SONH、−SONH(アルキル)、−SON(アルキル)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
置換されている部分が脂肪族部分である場合、好ましい置換基は、アリール、ヘテロアリール、脂環式、ヘテロ脂環式、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、−O(アリール)、アルキルチオ、アリールチオ、=O、=NH、=N(アルキル)、=NOH、=NO(アルキル)、−COH、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、アジド、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、−NHC(=NH)NH、−OSO(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(シクロアルキル)、−S(=O)アルキル、−SO(アルキル)、−SONH、−SONH(アルキル)、および−SON(アルキル)である。より好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(アリール)、=O、=NOH、=NO(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、アジド、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、および−NHC(=NH)NHである。
【0033】
置換されている部分が、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、またはヘテロアリール部分である場合、好ましい置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、−O(アリール)、アルキルチオ、アリールチオ、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−COH、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、アジド、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、−NHC(=NH)NH、−OSO(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(シクロアルキル)、−S(=O)アルキル、−SO(アルキル)、−SONH、−SONH(アルキル)、および−SON(アルキル)である。より好ましい置換基は、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−COH、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、および−NHC(=NH)NHである。
【0034】
「C〜Cアルキル」または「5〜10%」におけるように範囲が述べられている場合、そのような範囲には、その範囲の終点または境界が含まれる。
【0035】
特定の立体異性体が具体的に指示されていない限り(例えば、構造式中の関連立体中心における肉太または破線の結合により、構造式中のEまたはZ立体配置を有するような二重結合の描写により、または立体化学を指定する命名法の使用により)、すべての立体異性体は、純粋な化合物ならびにそれらの混合物として本発明の範囲内に含まれる。他に指示がない限り、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、ならびにそれらの組合せおよび混合物はすべて、本発明によって包含される。
【0036】
「薬学的に許容できる塩」は、医薬製剤に適している化合物の塩を意味する。ある化合物が、1つまたは複数の塩基性官能基を有している場合、塩は、硫酸塩、臭化水素塩、酒石酸塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、ヨウ化水素塩、硝酸塩、塩酸塩、乳酸塩、メチル硫酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、メシル酸塩、ラクトビオン酸塩、スベリン酸塩、トシル酸塩などの酸付加塩であってよい。ある化合物が、1つまたは複数の酸性部分を有している場合、塩は、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、アンモニウム塩、亜鉛塩、ピペラジン塩、トロメタミン塩、リチウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、4−フェニル−シクロヘキシルアミン塩、ベンザチン塩、ナトリウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などの塩であってよい。多形性の結晶性形態および溶媒和物も、本発明の範囲内に包含される。
【0037】
組成物および方法
本発明の好ましい実施形態において、Rは、OHであり、Rは、Meであり、Rは、OHであり、Rは、Hであり、式Iaによって表される構造を有する化合物に対応している。そのような化合物は、本明細書で以下に記載するように、容易に入手できる材料であるエリスロマイシンAから製造することができる。
【0038】
【化5】

【0039】
好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Ibによって表される構造を有する。
【0040】
【化6】

【0041】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Icによる構造を有する。
【0042】
【化7】

【0043】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Ic’による構造を有する。
【0044】
【化8】

【0045】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Ic’’による構造を有する。
【0046】
【化9】

【0047】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Ic’’’による構造を有する。
【0048】
【化10】

【0049】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Idによって表される構造を有する。
【0050】
【化11】

【0051】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Id’によって表される構造を有する。
【0052】
【化12】

【0053】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Ieによって表される構造を有する。
【0054】
【化13】

【0055】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Ifによって表される構造を有する。
【0056】
【化14】

【0057】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Igによって表される構造を有する。
【0058】
【化15】

【0059】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Ihによって表される構造を有する。
【0060】
【化16】

【0061】
別の好ましい実施形態において、式Iaによる化合物は、式Iiによって表される構造を有する。
【0062】
【化17】

【0063】
上記の式Ia〜Iiにおいて、様々な基R、R、R、Rなどは、存在する場合、他に記述されている場合を除いて、本明細書で上記の本発明の要約の項において式Iに関して定義したような意味を有する。
【0064】
9位のエーテル酸素を有する基Rは、
【0065】
【化18】


からなる群から選択することができる。
【0066】
そのような基Rは、
【0067】
【化19】

からなる群から選択されることが好ましい。
【0068】
そのような好ましい基Rは、Rが、
【0069】
【化20】

であり、Rが、HまたはOHであり、Rが、Meであり、Rが、HまたはOHであり、Rが、HまたはMeである選択と組み合わせることが特に好ましい。
【0070】
9位の窒素を有する好ましい基Rは、
【0071】
【化21】

からなる群から選択される。
【0072】
好ましい基Rは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、
【0073】
【化22】

からなる群から選択される。
【0074】
基Rは、
【0075】
【化23】

からなる群から選択されることがより好ましい。
【0076】
好ましい実施形態において、Rは、ORにおいてHまたはMeであり、Rは、R3AにおいてHである。
【0077】
天然に存在するメチル基のうちの1つを異なる基Rで置き換えるための、エリスロマイシン化合物におけるデソサミンジメチルアミノ基の改変技法は、例えば、Ashley他、US6,750,205B2(2004);Ashley他、US2002/0094962A1(2002);Santi他、US2004/0138150A1(2004);Carreras他、US2005/0113319A1(2005);Carreras他、US2005/0119195A1(2005);およびLiu他、US2005/0256064A1(2005)に教示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0078】
アルキル基が置換されている場合、α炭素ではなく、β、γ、またはδ炭素で置換されていることが好ましい。
【0079】
式Iによる本発明の化合物の具体例を表Aに示す。(「その他」の欄内に他に記述していない限り、Rは、OHであり、Rは、Meであり、Rは、OHであり、Rは、Hである。)
【0080】
【表1−1】

【0081】
【表1−2】

【0082】
【表1−3】

【0083】
【表1−4】

【0084】
【表1−5】

【0085】
【表1−6】

【0086】
式I、Ia、Ib、Ic、Ic’、Ic’’、Ic’’’、Id、Id’、Ie、If、Ig、Ih、およびIiによる本発明の化合物は、マクロラクトン環内の2、3、4、5、6、8、10、11、および13位の立体化学中心において、デソサミン残基内の1’、2’、3’、および5’位の立体化学中心において、ならびにクラジノース残基内の1’’、3’’、4’’、および5’’位の立体化学中心においてエリスロマイシンA立体化学を有することが好ましい。
【0087】
本発明の特に好ましい化合物は、化合物A−12、A−13、A−15、A−21、A−71、A−74、A−77、およびA−78であり、それらの完全に書かれた構造は、
【0088】
【化24】

である。
【0089】
当業者は、多くのパラメーターが、モチライドの開発と関係していることを理解しているであろう。第1に、天然の生産菌におけるエリスロマイシン骨格の進化は、運動促進効力によってではなく抗菌効果によって推進されてきた。したがって、モチリン作動薬活性についての構造活性相関の最適化にはかなりの余地が残っている。第2に、モチライドが抗菌活性を有することは現実に望ましくない。GI管は、大集団の細菌にとっての宿主であり、抗菌活性を有するモチライドへのそれらの暴露は、エリスロマイシン抗生物質への耐性発現をそれらに引き起こすことがある。または、抗菌活性を有するモチライドは、有益な腸内細菌を殺すことがある。したがって、モチライドは、操作によって導入される増強された運動促進活性を有し、抗菌活性は、操作によって排除されることが望ましい。第3に、今までに評価されたモチライドの中で一般的に見出される欠点は、それらがモチライド受容体を脱感作する傾向であり、初回投与後に、その後のモチライドの投与が、より弱い反応を誘発するか、または反応を誘発しない(タキフィラキシー)ことを意味する。第4に、安定性および生物学的利用能が関心事であり、胃におけるエリスロマイシンAの分解しやすさおよびその二次分解生成物の活性欠如に直面する。第5に、エリスロマイシンファミリー中の一部の化合物は、QT間隔の延長および心室性不整脈の誘発を含む望ましくない催不整脈作用を有すると報告されている。これらの作用を許容できるレベルに制限することが望ましい。したがって、新たなモチライドを開発し、様々な異なる性能要件のバランスを取る必要性が継続的に存在している。
【0090】
上記の要素の他に、生物学的利用能は、考慮すべき要素である。運動促進剤は、迅速な生物学的利用能を有し、食事の数時間前ではなく、食事の直前に患者が服用できること、すなわち、患者コンプライアンスを誘導する利点を有することが望ましい。さらに、運動促進剤は、持続せずに、むしろ、一旦その意図された機能を果たしたら、速やかに系から一掃される、すなわち短い半減期を有していなければならない。
【0091】
本発明の別の態様は、損なわれた胃運動の治療において本発明の化合物を使用するための方法を提供する。一般に、本発明の化合物を使用する方法は、それを必要としている対象に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む。本発明の化合物で治療することができる障害の実例には、胃不全麻痺、胃食道逆流疾患、食欲不振症、胆嚢うっ滞、術後麻痺性イレウス、強皮症、腸偽閉塞、胃炎、嘔吐、および慢性便秘(結腸無力症)、特に胃不全麻痺および胃食道逆流疾患が含まれるが、これらに限定されるものではない。対象は、ヒトまたは他の哺乳動物であってよい。
【0092】
治療有効量は、本発明の1つまたは複数の化合物の1日総投与量として表すことができ、1回量または分割量として対象に投与することができる。1日総投与量は、例えば、体重1kg当たり約0.01〜約10mg、またはより一般的には体重1kg当たり約0.1〜約2mgの量であってよい。1回量組成物は、そのような量または1日量を構成するためのそれらの約数を含有することができる。一般に、本発明による治療計画は、そのような治療を必要としている対象への単回投与または複数回投与での1日当たり本発明の1種または複数の化合物約10mg〜約1000mgの投与を含む。
【0093】
通常、本発明の化合物は、固体、半固体、または液体形態などの任意の適当な形態であってよい医薬組成物または医薬製剤の一部であろう。一般に医薬製剤は、活性成分としての本発明の化合物のうちの1つまたは複数および薬学的に許容できる担体または賦形剤を含有するであろう。通常、活性成分は、外用、経腸、または非経口適用に適している有機もしくは無機の担体または賦形剤と混合されている。活性成分は、例えば、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、坐剤、膣坐剤、液剤、乳剤、懸濁剤、および使用に適しているその他の形態のための一般的な無毒性の薬学的に許容できる担体と混ぜ合わせることができる。
【0094】
使用することができる賦形剤には、担体、界面活性剤、粘稠剤または乳化剤、固体結合剤、分散または懸濁補助剤、可溶化剤、着色料、矯味剤、被覆剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味料、保存剤、等張剤、およびそれらの組合せが含まれる。適当な賦形剤の選択および使用は、Gennaro編、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(Lippincott Williams & Wilkins 2003)に教示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0095】
本発明の実施は、限定ではなく実例として提供される以下の実施例を参照することによりさらに理解することができる。
【実施例】
【0096】
(実施例1)
中間体9の合成
本発明のいくつかの化合物の合成において使用される中間体9(N−デスメチル−N−イソプロピル−(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA)は、以下の通り合成した。中間体9は、Santi他、US2004/0138150A1(2004)にも記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0097】
【化25】

【0098】
(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA(7)。エリスロマイシンA(1)(20.0g、27.3mmol)を2−プロパノール−エーテル(1:1V/V、400mL)に溶かし、0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(2.1g、54.5mmol)を2回に分けて加えた。次いで、混合物を室温(「RT」)まで温め、室温にて3時間攪拌した。過剰の水素化ホウ素を、pH6.0のリン酸塩緩衝液の添加によって壊し、次いで、トリエタノールアミン(80mL)を加えた。2時間攪拌した後、混合物をEtOAc(300mL×4)で抽出し、MgSOで乾燥した。粗製物を、1%トリエチルアミンを含む2:1ヘキサン−アセトンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、純粋な生成物7(17.2g、収率86%)が得られた。
【0099】
あるいは、以下の手順を使用することができる。メカニカルスターラーおよび内部熱電対プローブを備えた10リットルの三ツ口丸底フラスコに、メチルt−ブチルエーテル(2,400mL)およびエリスロマイシンA(400g、545mmol、1.0当量)を充填した。この懸濁液にMeOH(800mL)を加えた。溶液を、透明になるまで攪拌した(約5〜15分)。溶液を、2℃の内部温度まで氷浴で冷却した。次いで、固体NaBH(30.9g、816mmol、1.5当量)を一度に加えた。得られた懸濁液を0℃にて1時間攪拌すると、その間、溶液は透明のままであった。0℃にて1時間後、氷浴を取り去った。混合物を22℃まで温め、さらに3時間攪拌した。混合物は徐々に不透明になった。TLC(CHCl中10%MeOH、アンモニアで前処理してシリカゲル中の酸性度をすべて中和したSilica Gel 60Fプレート)によってモニターすると、反応は完了していた。過剰のNaBHを、アセトン(120mL;発熱反応:アセトンは、30℃未満の内部温度を維持する速度で加えた)およびリン酸塩緩衝液(5%、pH6.0、120mL)の注意深い添加によって壊した。反応物は透明溶液に変わり、多少の白色沈殿があった。トリエタノールアミン(400mL)を加え、エリスロマイシン−ホウ素錯体の分解を助け、溶液を1時間攪拌した。飽和NaHCO溶液(3,200mL)を加えた後、混合物をEtOAc(3×2,000mL)で抽出した。合わせた抽出液を水および食塩水(各2,000mL)でそれぞれ1回ずつ洗浄し、固体NaSOで乾燥した。溶媒の除去後、粗生成物を真空オーブンで乾燥した(16時間、50℃)。白色の固体(416g、融点182〜185℃)が得られ、それは、さらに精製することなく次のステップで使用するのに適していた。
【0100】
N−デスメチル−(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA(8)。メタノール−水(8:2V/V、400mL)中の(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA7(17.2g、23.4mmol)と酢酸ナトリウム(9.75g、119mmol)の混合物を50℃にて攪拌した。次いで、ヨウ素(7.25g、28.6mmol)を30分間隔で2回に分けて加えた。反応の間に、3N NaOH(7.9mL)を少量ずつ加えた。完全な反応は、薄層クロマトグラフ分析によって判定した。溶媒の大部分を除去した後、混合物をEtOAcで3回抽出し、NaSOで乾燥した。粗生成物8(15.6g)が黄色の固体として得られ、それを、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0101】
以下の代替手順を使用することができる。メカニカルスターラーおよび内部熱電対プローブを備えた6リットルの三ツ口丸底フラスコに、MeOH(2,000mL)、前の実施例からの化合物7(150g、理論的に197mmol、1.0当量)およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(119g、5当量)を充填した。混合物を55℃の内部温度まで温めると、その間にすべての材料が溶けた。ヨウ素(75g、1.5当量)を、わずかな発熱反応を防いで内部温度を60℃以上に上昇させることのない速度で注意深く加えた。混合物を55℃にて5時間攪拌した。TLC(CHCl中15%MeOH、上記に記載したようなシリカゲルプレート)は、反応の完了を示した。反応混合物を室温まで冷却した。飽和チオ硫酸ナトリウムを用い、ヨウ素の色がすべて消失するまで過剰のヨウ素を壊した。あまり除去しすぎないように注意しながら、混合物を、MeOHの約半分を除去することにより濃縮したが、これは、続いて水溶液を加えた場合に生成物の沈殿を引き起こし、以下の抽出で沈殿を溶かすのが困難なためである。濃縮物を水性NaHCO(1,500mL)で希釈し、CHCl(3×1,000mL)で抽出した。合わせた有機層を水(1,500mL)で1回洗浄した後、NaSOで乾燥した。溶媒の除去および真空オーブン中の乾燥(16時間、50℃)後、粗生成物8(113g、融点118〜123℃)が得られた。この材料は、さらに精製することなく続く合成手順で使用するのに適していた。
【0102】
中間体9。CHCN(50mL)中の上記粗生成物8(2.50g、3.41mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(6.1mL、10当量)、2−ヨードプロパン(10.2mL、30当量)の混合物を、70℃の浴中で24時間加熱した。HOおよび飽和NaHCOを加え、溶液をEtOAcで3回抽出し、MgSOで乾燥した。粗生成物を、SiOカラム(3:1ヘキサン−アセトン、1%TEA)で精製すると、純粋な生成物9(1.80g、2ステップで収率75%)が得られた。m/z:765.0([M+H])。
【0103】
中間体9を調製するための以下の代替手順を使用することができる。1リットルの三ツ口丸底フラスコ中で、MeOH(150mL)およびアセトン(30mL)中の生成物8(30g、41.5mmol、1.0当量)の溶液をマグネチックスターラーで攪拌した。酢酸(3.5mL、62.2mmol、1.5当量)と、続いてNACNBH(5.25g、83.3mmol、2当量)を加えた。溶液を油浴で加熱し、50℃の浴温にて4時間攪拌した。TLC(1:1ヘキサン−アセトン)によってモニターすると、完全な反応が観察された。混合物を室温まで冷却した後、リン酸塩緩衝液(5%、pH6.0、60mL)を注意深く加え(急速なH発生)、過剰の水素化ホウ素をクエンチした。次いで、トリエタノールアミン(100mL)を加えた。混合物を室温にて1時間攪拌した。溶液を飽和NaHCO溶液(500mL)に注加し、得られた混合物をEtOAc(2×800mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(600mL)で1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過して濃縮した。高真空下で16時間乾燥した後、粗生成物(31.8g)が白色の固体として得られた。前駆体生成物8の純度に応じて、続く使用に先立つ精製が必要であったか、または必要でなかった。精製が必要とされる場合、粗中間体9を、加熱しながらアセトニトリル(100mL)に溶かし、続いて、濁るまで、加熱を続けながら水(100mL)を滴加した。濁った混合物を室温まで冷却し、濾過し、50℃にて16時間真空乾燥した。これにより、白色固体として純粋な中間体9(19g、24.9mmol、エリスロマイシンAからの収率47%、融点127〜130℃)が得られた。
【0104】
(実施例2)
中間体9からの化合物の合成
化合物A−1。水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液、12.5mg)を乾燥フラスコに入れ、ペンタン(5mL)で1回洗浄し、ジメトキシエタン(2mL)に懸濁した。この懸濁液に、ジメトキシエタン(2mL)中の中間体9(200mg、0.262mmol)の溶液を加えた。室温にて10分間攪拌した後、ジメトキシエタン(1mL)中のヨウ化メチル(t−ブチルメチルエーテル中2M、0.16mL)を加えた。混合物を室温にて一夜攪拌した。反応を、飽和NaHCO水溶液を加えることによってクエンチし、CHClで3回抽出し、MgSOで乾燥した。粗生成物を、シリカゲルカラム(4:1ヘキサン−アセトン、1%トリエチルアミン)で精製すると、白色の固体として化合物A−1(130mg)が得られた。m/z:779.0([M+H]);ESI TOF MS m/z778.5311、C4076NO13としての計算値([M+H])778.5340。
【0105】
化合物A−3。テトラヒドロフラン(「THF」、4mL)中の中間体9(80mg、0.105mmol)とKOtBu(17.6mg、1.5当量)の混合物を室温にて30分間攪拌した。THF(1mL)中のエチレンオキシドの飽和溶液を加え、反応混合物を2時間攪拌した。LC−MSは、出発材料と生成物の混合物を示した。純粋な化合物A−3(17.5mg)は、上記に記載したのと同様の後処理および精製後に得られた。m/z:808.6([M+H])。
【0106】
化合物A−5。化合物A−5は、化合物A−3と同様の方法によって調製したが、2−ブロモエチルメチルエーテルをアルキル化剤とした。m/z:823.0([M+H]);ESI TOF MS m/z822.5533、C4280NO14としての計算値([M+H])822.5573。
【0107】
化合物A−7。化合物A−3についての方法と同様の方法を用いたが、2−クロロアセトニトリルをアルキル化剤とした。m/z:804.0([M+H]);ESI TOF MS m/z803.5278、C417513としての計算値([M+H])803.5264。
【0108】
化合物A−8。化合物A−3についてと同様の方法を用いたが、ブロモ酢酸エチルをアルキル化剤とした。m/z:851.0([M+H]);ESI TOF MS m/z850.5499、C4380NO15としての計算値([M+H])850.5523。
【0109】
化合物A−12。1,2−ジメトキシエタン(4mL)中の中間体9(276mg、0.362mmol)およびブロモアセトアミド(60mg、0.435mmol、1.2当量)の溶液に、KOtBu(THF中1.0M、0.54mL、1.5当量)を加えた。得られた濁った混合物を室温にて3時間攪拌し、次いで、EtOAc(50mL)およびNaHCO溶液(10mL)で希釈した。有機相を食塩水(10mL)で洗浄し、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過して濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10%〜95%アセトン、1%トリエチルアミンを含む)により精製すると、白色の固体として化合物A−12(220mg、73%)が得られた。m/z:822.0([M+H]);ESI TOF MS m/z821.5385、C417714としての計算値([M+H])821.5369。
【0110】
化合物A−15。ブロモアセトアミドを2−クロロ−N,N−ジメチルアセトアミドで置き換えたことを除いて、化合物A−12についての方法と同様の方法を用いた。m/z:850.0([M+H]);ESI TOF MS m/z849.5673、C438114としての計算値([M+H])849.5682。
【0111】
化合物A−17。化合物A−12を調製するための方法の改変バージョンを用いた。1,2−ジメトキシエタン(2mL)中の中間体9(256mg、0.335mmol)の溶液に、KOtBu(THF中1.0M、1.06mL、3.0当量)を加えた。得られた混合物を室温にて10分間攪拌した後、−78℃まで冷却した。イソシアン酸トリクロロアセチル(0.096mL、2.4当量)を加えた。反応混合物を3時間で室温までゆっくりと温めた。トリクロロアセチル基は、化合物A−12について報告したのと同じ水性処理中に加水分解され、化合物A−17が得られた。m/z:808.0([M+H]);ESI TOF MS m/z807.5212、C407514としての計算値([M+H])807.5213。
【0112】
化合物A−18。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、ブロモアセトアミドを塩化ジメチルカルバモイルに置き換えた。m/z:836.0([M+H]);ESI TOF MS m/z835.5533、C427914としての計算値([M+H])835.5526。
【0113】
化合物A−19。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、ブロモアセトアミドの代わりに塩化ジメチルスルファモイルとした。m/z:872.0([M+H]);ESI TOF MS m/z871.5218、C417815Sとしての計算値([M+H])871.5196。
【0114】
化合物A−21。化合物A−12についてと同様の方法を用いたが、ブロモアセトアミドの代わりに2−ブロモ−N−メチルアセトアミドとした。m/z:836([M+H])、678;ESI TOF MS m/z835.5498、C427814としての計算値([M+H])835.5526。13C NMR(CDCl)δ 177.3、170.3、101.8、94.4、94.2、83.7、77.6、77.4、77.1、75.5、74.2、72.7、72.6、69.9、69.7、69.3、65.6、61.8、52.5、49.2、44.0、43.6、38.1、34.3、32.7、32.6、32.2、30.9、25.5、22.1、22.0、21.5、21.1、21.0、20.2、19.1、17.4、16.6、14.3、12.9、11.2、9.0ppm。
【0115】
以下の代替手順を使用することができる。メカニカルスターラーおよび内部熱電対温度プローブを備えた5リットルの三ツ口丸底フラスコ中で、無水THF(1800mL)中の中間体9(156.7g、205mmol)、N−メチルブロモアセトアミド(37.4g、246mmol、1.2当量)の溶液を氷浴で冷却した。窒素下で0℃の内部温度にて攪拌しながら、固体のカリウムtert−ブトキシド(25.3g、226mmol、1.1当量)を1つのバッチとして加えた。混合物を0℃にて1時間攪拌した。反応の完了は、TLC(1:2ヘキサン−アセトン、シリカゲル60F、アンモニア前処理)によってモニターした。反応混合物を、飽和NaHCO溶液(300mL)を添加することによりクエンチした。混合物を希NaHCO溶液(2,500mL)とEtOAc(1,500mL)の間で分配した。水層を酢酸エチル(2×1500mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥した。粗生成物(178.1g)が、わずかに黄色の固体として得られ、次いで、それをシリカゲルカラム(2,800g Silica Gel 60F、ヘキサン中20〜40%アセトン、1%トリエチルアミン)で精製すると、化合物A−21(135g、収率79%)が得られた。微量の溶媒およびトリエチルアミンを除去するため、生成物を繰り返しジクロロメタンに溶かしてロータリーエバポレーター中で乾燥し(4サイクル)、真空オーブン中で乾燥すると(16時間、50℃)、最終生成物(融点106〜108℃)が得られた。
【0116】
場合により、知られている反応剤N−メチルブロモアセトアミドは、以下の通り調製することができる。メカニカルスターラーおよび内部熱電対温度プローブを備えた10リットルの三ツ口丸底フラスコに、THF(3,200mL)、メチルアミン(THF中2M溶液、692mL、1.38mol、1.5当量)、NaHCO(155g、1.845mol、2当量)およびトリエチルアミン(128.2mL、922mmol、1.0当量)を充填した。懸濁液を、ドライアイス−アセトン浴で内部温度−70℃まで冷却した。臭化2−ブロモアセチル(79.8mL、922mmol、1.0当量)を攪拌しながら滴加した。添加後、ドライアイス浴を取り去った。混合物を室温まで温めた。得られた黄色の懸濁液を飽和NaHCO(3200mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×3,200mL)で抽出した。合わせた有機物を飽和塩化アンモニウム(2,000mL)、および食塩水(2,000mL)で洗浄し、NaSOで乾燥した。真空下で濃縮後、赤色の粗生成物(82g)をCHCl(100mL)に溶かし、シリカ(1,600g)のパッドに通し、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出した。生成物を含有する画分(30%酢酸エチル/ヘキサンによるTLC、ヨウ素で可視化した)を合わせ、真空下で濃縮すると(注1)、低融点の固体として純粋な生成物(77.5g、収率55%)が得られた。
【0117】
化合物A−22。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、ブロモ酢酸メチルをアルキル化剤とした。m/z:836.5([M+H]);ESI TOF MS m/z836.5343、C3350NOとしての計算値([M+H])836.5366。
【0118】
化合物A−26。化合物A−12についてと同様の方法を用いたが、4−(ヨードメチル)−2−メチルチアゾールをアルキル化剤とした。m/z:876.0([M+H])、ESI TOF MS m/z875.5310、C447913Sとしての計算値([M+H])875.5297。
【0119】
化合物A−27。化合物A−12についてと同様の方法を用いたが、3−(ブロモメチル)−5−メチルイソオキサゾールをアルキル化剤とした。m/z:860.0([M+H])、ESI TOF MS m/z859.5494、C447914としての計算値([M+H])859.5526。
【0120】
化合物A−28。化合物A−12についてと同様の方法を用いたが、4−(ブロモメチル)ピリジンをアルキル化剤とした。m/z:856.0([M+H])、ESI TOF MS m/z855.5613、C457913としての計算値([M+H])855.5577。
【0121】
化合物A−29。化合物A−12についてと同様の方法を用いたが、2−(ヨードメチル)チアゾールをアルキル化剤とした。m/z:862.0([M+H])、ESI TOF MS m/z861.5181、C437713Sとしての計算値([M+H])861.5141。
【0122】
化合物A−31。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、2−ブロモ−N−エチルアセトアミドを代わりのアルキル化剤とした。m/z:850([M+H])。
【0123】
化合物A−33。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、2−ブロモ−N−(4−テトラヒドロピラニル)アセトアミドをアルキル化剤とした。m/z:906([M+H]);ESI TOF MS m/z905.5957、C468415としての計算値([M+H])905.5946。
【0124】
化合物A−34。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、2−ブロモ−N−[2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]アセトアミドをアルキル化剤とした。9−アルキル化生成物(0.101g、0.104mmol)をTHF(1.0mL)に溶かし、0℃まで冷却した。フッ化テトラブチルアンモニウム(0.020g、0.114mmol、1.1当量)を加え、溶液を0℃にて2.5時間攪拌した後、NaHCO(15mL)を加えた。有機相をEtOAc(3×15mL)で抽出し、混ぜ合わせ、食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、55%アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)により、白色の固体として化合物A−34(0.063g)が得られた;m/z:866([M+H]);ESI TOF MS m/z865.5655、C438015としての計算値([M+H])865.5632。
【0125】
化合物A−45。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、2−ブロモ−N−シクロブチルアセトアミドをアルキル化剤とした。m/z:876([M+H])、718;ESI TOF MS m/z874.5833、C458314としての計算値([M+H])874.5839。
【0126】
化合物A−46。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、2−ブロモ−N−シクロプロピルアセトアミドをアルキル化剤とした。m/z:862([M+H])、703;ESI TOF MS m/z861.5695、C448114としての計算値([M+H])861.5682。
【0127】
化合物A−48。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、2−ブロモ−N−(2−モルホリノ)エチルアセトアミドをアルキル化剤とした。m/z:934.6([M+H])。
【0128】
化合物A−49。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、1−ヨード−2−フルオロエタンをアルキル化剤とした。m/z:811.0([M+H]);ESI TOF MS m/z810.5374、C3974NO14としての計算値([M+H])810.5385。
【0129】
化合物A−50。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、6−ブロモヘキサンアミドをアルキル化剤とした。m/z:877.6([M+H]);ESI TOF MS m/z877.5995、C4480NO15としての計算値([M+H])877.5999。
【0130】
化合物A−52。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、2−ブロモ−N−(トリフルオロエチル)アセトアミドをアルキル化剤とした。m/z:904([M+H])、ESI TOF MS m/z903.5385、C437714としての計算値([M+H])903.5400。
【0131】
化合物A−53。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、2−ブロモ−N−イソプロピルアセトアミドをアルキル化剤とした。m/z:864([M+H])、ESI TOF MS m/z863.5818、C448214としての計算値([M+H])863.5839。
【0132】
化合物A−55。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、3−クロロメチル−2−トリチル−1,2,4−トリアゾールをアルキル化剤とした。最初のアルキル化生成物(170mg)、ピリジン塩酸塩(7mg)、およびpara−トルエンスルホン酸ピリジニウム(10mg)を含有するメタノール(6mL)溶液を、攪拌しながら50℃にて一夜保った。反応を飽和NaHCO水溶液(20mL)でクエンチし、クロロホルム/メタノール(5/1)(20mL、3×)で抽出した。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(100:10:0.5CHCCl:MeOH:NHOH)により、白色の固体として化合物A−55(35mg)が得られた、m/z:846.0([M+H])。
【0133】
化合物A−59。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、N−ベンジルブロモアセトアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:912([M+H])、754;ESI TOF MS m/z911.5813、C488214としての計算値([M+H])911.5839。
【0134】
化合物A−62。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、2−クロロメチルイミダゾール塩酸塩をブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:845.0([M+H])。
【0135】
化合物A−63。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、N−(2−メトキシ)エチルブロモアセトアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:879.6([M+H])。
【0136】
化合物A−69。化合物A−12について報告した方法と同様の手順を用い、ブロモ酢酸2−(トリメチルシリル)エチルエーテルとの0.085mmolスケールの反応により9−O−酢酸−2−(トリメチルシリル)エーテルエステル(0.045g、57%)が得られ、それを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、1.0mL)に溶かして0℃まで冷却した後、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.015g、0.059mmol、1.2当量)を加えた。溶液を0℃にて5時間攪拌した後、エチル−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド(0.014g、0.074mmol、1.5当量)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.013g、0.098mmol、2.0当量)およびメトキシルアミン塩酸塩(0.008g、0.098mmol、2.0当量)を加えた。溶液を室温にて18時間攪拌した後、EtOAc(15mL)で希釈し、NaHCO(15mL)および食塩水(15mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、30→50%アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)により、白色の固体として化合物A−69(0.009g、22%)が得られた。m/z:852([M+H])、754;ESI TOF MS m/z851.5490、C427815としての計算値([M+H])851.5475。
【0137】
化合物A−70。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、N−ピラジルブロモアセトアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:900([M+H])、742;ESI TOF MS m/z899.5563、C457814としての計算値([M+H])899.5587。
【0138】
化合物A−73。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、N−メチル3−ブロモプロピオンアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:864([M+H])、706;ESI TOF MS m/z863.5814、C448214としての計算値([M+H])863.5839。
【0139】
化合物A−74。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、N−メチル5−ブロモバレリルアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:878([M+H])、720;ESI TOF MS m/z877.5978、C458414としての計算値([M+H])877.5995。
【0140】
化合物A−76。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、N−メチル6−ブロモヘキサノイルアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:892([M+H])、734;ESI TOF MS m/z891.6127、C468614としての計算値([M+H])891.6152。
【0141】
化合物A−77。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、N−ピラミジニルブロモアセトアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:922([M+Na])、900([M+H])、742;ESI TOF MS m/z899.5552、C457814としての計算値([M+H])899.5587。
【0142】
化合物A−79。カリウムtert−ブトキシド(THF中の1M溶液0.17mL、0.167mmol、1.5当量)を、ジメトキシエタン(1.0mL)中の中間体9(0.085g、0.111mmol、1.0当量)の溶液に加えた。溶液を室温にて10分間攪拌した後、カルボニルジイミダゾール(0.022g、0.134mmol、1.2当量)を加えた。溶液を室温にて1時間攪拌した後、メチルアミン(EtOH中の33%溶液0.024mL、0.134mmol、1.2当量)を加えた。得られた溶液を室温にて1.5時間攪拌した後、NaHCO(25mL)に注加し、EtOAc(4×20mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、30%アセトン−ヘキサン、0.5%EtN)により、白色の固体として化合物A−79(0.010g、11%)が得られた。m/z:822([M+H])、664;ESI TOF MS m/z821.5339、C417614としての計算値([M+H])821.5369。
【0143】
(実施例3)
化合物A−2
化合物A−2。9S−ジヒドロエリスロマイシンA7を、2−ヨードエタノールを用い、化合物A−1に関連して上記に記載したようにメチル化した。得られた9−メトキシ生成物のデソサミン部分を脱メチル化およびアルキル化すると、化合物A−2が得られた。m/z:780.5([M+H]);ESI TOF MS m/z780.5104、C3974NO14としての計算値([M+H])780.5113。
【0144】
(実施例4)
中間体10
中間体10(N−デスメチル−N−シクロブチル−(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA)を、本発明の化合物の合成において使用した。
【0145】
【化26】

【0146】
メタノール(40mL)中のN−デスメチル−(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA8(4.96g、6.87mmol)、シクロブタノン(1.03mL、2当量)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(863mg、2当量)およびHOAc(1.57mL、4当量)の混合物を50℃にて4時間攪拌した。水と、続いてトリエタノールアミン(20mL)を加えた。2時間攪拌した後、混合物をEtOAcで3回抽出し、MgSOで乾燥した。粗生成物を、SiOカラム(3:1〜2:1ヘキサン−アセトン、1%TEA)を用いて精製すると、純粋な中間体10(3.70g)が得られた。m/z:777.0([M+H])。
【0147】
(実施例5)
中間体10からの化合物の合成
化合物A−4。化合物A−3の調製についての方法と同様の方法を用い、中間体10を出発材料とした。m/z:820.6([M+H])。
【0148】
化合物A−10。化合物A−3についての方法と同様の方法を用い、中間体10を出発材料としブロモ酢酸エチルをアルキル化剤とした。m/z:863.0([M+H]);ESI TOF MS m/z862.5523、C4480NO15としての計算値([M+H])862.5515。
【0149】
化合物A−13。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、中間体10を出発材料とした。m/z:834.0([M+H]);ESI TOF MS m/z833.5348、C427714としての計算値([M+H])833.5369。
【0150】
化合物A−23。化合物A−22についての方法と同様の方法を用い、中間体10を出発材料とした。m/z:849.0([M+H]);ESI TOF MS m/z848.5366、C4378NO15としての計算値([M+H])848.5367。
【0151】
化合物A−24。酢酸エチル(10mL)中の中間体10(100mg、0.127mmol)の溶液に、無水酢酸(61μL、0.65mmol、5当量)およびKCOを加えた。混合物を室温にて一夜攪拌した。反応物をEtOAc(100mL)で希釈し、次いで、飽和水性NaHCO(3×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%〜35%アセトン、1%トリエチルアミン)後に生成物(95mg)が得られた。次いで、この生成物をメタノール(3mL)に溶かし、50℃にて一夜加熱した。溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%〜35%アセトン、1%トリエチルアミン)後に化合物A−24(80mg)が得られた。m/z:819.0([M+H])。
【0152】
化合物A−25。無水酢酸を無水プロピオン酸に置き換えたことを除いて、化合物A−24についての方法と同様のプロトコルを用いた。m/z:833.0([M+H])。
【0153】
化合物A−47。化合物A−1についての方法と同様の方法を用いたが、中間体10を中間体9の代わりとした。m/z:791.0([M+H]);ESI TOF MS m/z790.5311、C4176NO13としての計算値([M+H])790.5301
【0154】
化合物A−51。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、中間体10を出発材料とし2−ブロモ−N−メチルアセトアミドをアルキル化剤とした。m/z:848.0([M+H]);ESI TOF MS m/z847.5529、C437914としての計算値([M+H])847.5526。
【0155】
(実施例6)
中間体11
中間体11(N−デスメチル−N−(ヒドロキシプロピル)−(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA)を、本発明の化合物の合成において使用した。
【0156】
【化27】

【0157】
メタノール(10mL)中のN−デスメチル−(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA8(実施例1を参照、357mg、0.494mmol)および(S)−プロピレンオキシド(0.35mL、10当量)の溶液を室温にて24時間攪拌した。反応の完了は、TLCによって判定した。溶媒の蒸発後、粗生成物を、シリカゲルカラム(ヘキサン中5%〜45%アセトン、1%トリエチルアミン)で精製すると、純粋な中間体11(271mg、70%)が得られた。m/z:781.0([M+H]);ESI TOF MS m/z780.5099、C3974NO14としての計算値([M+H])780.5104。
【0158】
(実施例7)
中間体11からの化合物の合成
化合物A−6。化合物A−3についてと同様の方法を用い、中間体11を出発材料とし2−ブロモエチルメチルエーテルをアルキル化剤とした。m/z:839.0([M+H]);ESI TOF MS m/z838.5489、C4280NO15としての計算値([M+H])838.5522。
【0159】
化合物A−9。化合物A−3についての方法と同様の方法を用い、中間体9を出発材料としブロモ酢酸エチルをアルキル化剤とした。m/z:867.0([M+H]);ESI TOF MS m/z866.5433、C4380NO16としての計算値([M+H])866.5472。
【0160】
化合物A−14。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、中間体11を出発材料とした。m/z:838.0([M+H]);ESI TOF MS m/z875.4834、C417615Kとしての計算値([M+K])875.4877。
【0161】
化合物A−16。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、中間体11を出発材料とし2−クロロ−N,N−ジメチルアセトアミドをアルキル化剤とした。m/z:866.0([M+H]);ESI TOF MS m/z865.5630、C438115としての計算値([M+H])865.5632。
【0162】
化合物A−20。化合物A−12についての方法と同様の方法を用い、中間体11を出発材料とし、ブロモアセトアミドの代わりに塩化ジメチルスルファモイルとした。m/z:888.0([M+H]);ESI TOF MS m/z887.5151、C417916Sとしての計算値([M+H])887.5145。
【0163】
(実施例8)
化合物A−11
化合物A−11。MeOH(3.0mL)中の化合物A−9(80mg、0.0923mmol)の溶液にNaOH(HO中1.0M、0.1mL)を加えた。反応混合物を室温にて一夜、次いで50℃にて4時間攪拌した。LC/MSは、出発材料がすべて消費され、望ましい生成物が唯一の検出可能な生成物であることを示した。溶媒を減圧下で除去し、得られた固体を凍結乾燥すると、ナトリウム塩として化合物A−11(79mg、0.092mmol、99%)が得られた。m/z:839.0([M+H]);ESI TOF MS m/z838.5176、C4176NO16としての計算値([M+H])838.5159。
【0164】
(実施例9)
中間体12
中間体12(9−ジヒドロ−9−O−(2−アミノエチル)−N−デスメチル−N−イソプロピル−エリスロマイシンA)を、本発明のいくつかの化合物の合成において使用した。
【0165】
【化28】

【0166】
THF(2.4mL)中の中間体9(55mg、0.072mmol)の溶液に、ブロモエチルアミン臭化水素塩(43mg、0.209mmol、2.9当量)と、続いて水酸化カリウム(38mg、0.684mmol、9.5当量)を加えた。溶液を室温にて20時間攪拌した後、EtOAc(15mL)で希釈し、NaHCO(15mL)で洗浄した。水相をEtOAc(3×15mL)で抽出し、合わせた有機相を乾燥した後(MgSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、35%アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)により、白色の固体として中間体12(23mg、40%)が得られた;m/z:808([M+H])、649。
【0167】
(実施例10)
中間体12からの化合物の合成
化合物A−30。CHCl(1.0mL)中の中間体12(50mg、0.062mmol)の溶液に、室温にてピリジン(0.010mL、0.124mmol、2.0当量)と、続いて無水酢酸(0.007mL、0.074mmol、1.2当量)を加えた。溶液を室温にて2.5時間攪拌した後、水性NaHCO(15mL)を加えた。CHCl(3×15mL)で抽出した後、有機相を合わせ、食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、50%アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)により、望ましいN−アセチルと2’,N−ジアセチル化合物の混合物が得られ、それをメタノール(2mL)に溶かし、50℃にて3時間攪拌した。冷却した後、溶媒を濃縮すると、白色の固体として化合物A−30(0.030g、57%)が得られた;m/z:850([M+H])、ESI TOF MS m/z849.5682、C438114としての計算値([M+H])849.5682。
【0168】
化合物A−32。CHCl(1.0mL)中の中間体12(75mg、0.093mmol)の溶液に、室温にてピリジン(0.015mL、0.186mmol、2.0当量)と、続いて塩化メタンスルホニル(0.009mL、0.112mmol、1.2当量)を加えた。溶液を室温にて2時間攪拌した後、水性NaHCO(20mL)を加えた。CHCl(3×20mL)で抽出した後、有機相を合わせ、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、30%アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)により、白色の固体として化合物A−32(0.045mg、55%)が得られた;m/z:886([M+H])、728;ESI TOF MS m/z885.5321、C428115Sとしての計算値([M+H])885.5352。
【0169】
化合物A−54。CHCl(1.0mL)中の中間体12(0.080g、0.099mmol、1.0当量)の溶液に、室温にてイソシアン酸エチル(0.014g、0.016mL、0.198mmol、2.0当量)を加えた。溶液を室温にて16時間攪拌した後、さらにイソシアン酸エチル(0.022g、0.025mL、0.316mmol、3.2当量)を加え、室温にて4時間攪拌した。溶液を水性NaHCO(15mL)に注加した。CHCl(3×15mL)で抽出した後、合わせた有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、35〜50%アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)により、白色の固体として化合物A−54(0.019g)が得られた;m/z:879([M+H]);ESI TOF MS m/z878.5954、C448314としての計算値([M+H])878.5948。
【0170】
化合物A−57。CHCl(1.0mL)中の中間体12(0.075g、0.094mmol、1.0当量)の溶液に、イソチオシアン酸プロピル(0.014g、0.015mL、0.141mmol、1.5当量)を加え、溶液を室温にて18時間攪拌した。溶液をNaHCO(15mL)に注加し、有機相をCHCl(3×15mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、50%アセトン−ヘキサン、0→1%トリエチルアミン)により、白色の固体として化合物A−57(0.032g、38%)が得られた。m/z:909([M+H])、751;ESI TOF MS m/z908.5905、C458513Sとしての計算値([M+H])908.5889。
【0171】
化合物A−58。THF(1.0当量)中のエチル−(3−ジメチル)プロピルカルボジイミド(0.023g、0.121mmol、1.3当量)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(0.025g、0.186mmol、2.0当量)の溶液に、0℃にて5−ベンゾイミダゾールカルボン酸(0.018g、0.112mmol、1.2当量)を加えた。溶液を0℃にて15分間攪拌した後、中間体12(0.075g、0.093mmol、1.0当量)を加えた。0℃にて1時間後、溶液を室温まで温め、1時間攪拌した。DMF(0.5mL)を加え、得られた混合物を室温にて3時間攪拌した。EtOAc(40mL)で希釈した後、溶液をNaHCO(2×30mL)および食塩水(30mL)で洗浄した後、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、70→90%アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)により、白色の固体として化合物A−58(0.042g、48%)が得られた。m/z:952([M+H])、794;ESI TOF MS m/z951.5898、C498214としての計算値([M+H])951.5900。
【0172】
化合物A−64。CHCl(1.0mL)中の中間体12(0.080g、0.099mmol、1.0当量)の溶液に、ピリジン(0.016g、0.016mL、0.198mmol、2.0当量)と、続いてクロロギ酸エチル(0.013g、0.011mL、0.119mmol、1.2当量)を加えた。溶液を室温にて3時間攪拌した後、さらにクロロギ酸エチル(0.013g、0.011mL、0.119mmol、1.2当量)を加え、1時間攪拌した。溶液をNaHCO(15mL)に注加し、有機相をCHCl(3×15mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、50%アセトン−ヘキサン、1%EtN)により、白色の固体として化合物A−64(0.030g、34%)が得られた;m/z:880([M+H]);ESI TOF MS m/z879.5796、C448215としての計算値([M+H])879.5788。
【0173】
化合物A−65。化合物A−64についての方法と同様の方法を用い、クロロギ酸エチルをクロロギ酸メチルに置き換えた。m/z:866([M+H]);ESI TOF MS m/z865.5630、C438015としての計算値([M+H])856.5632。
【0174】
化合物A−67。化合物A−57についての方法と同様の方法を用い、イソチオシアン酸プロピルをイソチオシアン酸エチルに置き換えた。m/z:895([M+H]);ESI TOF MS m/z894.5724、C448313Sとしての計算値([M+H])894.5719。
【0175】
化合物A−78。DMF(2.0mL)中の中間体12(0.150g、0.186mmol、1.0当量)の溶液に、0℃にてジメチルアミノプロピルエチルカルボジイミド(0.079g、0.409mmol、2.2当量)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(0.050g、0.372mmol、2.0当量)と、続いてギ酸(0.017g、0.014mL、0.372mmol、2.0当量)を加えた。溶液を0℃にて30分間、室温にて3時間攪拌した後、EtOAc(25mL)とNaHCO(25mL)の間で分配した。水相をEtOAc(25mL)で抽出し、合わせた有機物を水(35mL)、NaHCO(35mL)および食塩水(40mL)で洗浄した後、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、40%アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)により、白色の固体として化合物A−78(0.072g、46%)が得られた。m/z:836([M+H])、678;ESI TOF MS m/z835.5501、C427814としての計算値([M+H])835.5526。
【0176】
(実施例11)
中間体15
中間体15を、本発明のいくつかの化合物の合成において使用した。
【0177】
【化29】

【0178】
CHCl(60mL)中の9(S)−エリスロマイシルアミン13(15.8g、21.5mmol;例えば、Massey他、J.Med.Chem.、1974、17(1)、105〜107を参照)の溶液に、1時間で−10℃にてジイソプロピルエチルアミン(14.8mL、85.0mmol)と、続いてCHCl(35mL)中の無水メタンスルホン酸(6.45g、37.0mmol)を加え、攪拌をその温度にてさらに1.5時間続けた。反応混合物を、飽和NaHCO(100mL)およびNaCO(HO中10%、20mL)を加えることによりクエンチした。得られた混合物を室温にて10分間攪拌した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO/KCOで乾燥し、KCOの薄いパッドに通して濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%〜70%アセトン、1%トリエチルアミン)により精製すると、白色の固体として9.9g(12.2mmol、56%)の純粋な化合物14が得られた。ESI TOF MS m/z813.4770、C387314Sとしての計算値([M+H])813.4740。
【0179】
MeOH/HO(4:1、2mL)中の化合物14(86.8mg、0.107mmol)および酢酸ナトリウム(43.9mg、0.535mmol、5.0当量)の攪拌した溶液に、50℃にてヨウ素(29.8mg、0.117mmol、1.1当量)を加えた。次いで、0.1N NaOH溶液(1.17mL、0.117mmol、1.1当量)を1時間かけて滴加した。攪拌を同じ温度にて2時間続けた。NaOH(0.1mL、0.1N)およびI(3mg)を加え、反応混合物を1時間攪拌した。反応混合物を約200μLまで濃縮し、CHCl(10mL)および飽和NaHCO(5mL)で希釈した。水層をCHCl(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相を、希釈したNa(5mL)、HO(5mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。カラムクロマトグラフィー(CHCl中の0%〜5%MeOH、2%トリエチルアミン)により精製すると、白色の固体として中間体15(70mg、84%)が得られた。
【0180】
(実施例12)
中間体15からの化合物の合成
化合物A−35。CHCN(400μL)中の中間体15(35mg、0.044mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(76.3μL、0.44mmol、10.0当量)および2−ヨードプロパン(65.7μL、0.66mmol、15.0当量)を加えた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%〜70%アセトン、1%トリエチルアミン)で精製すると、化合物A−35(24mg、65%)が得られた。m/z:842.0([M+H]);ESI TOF MS m/z841.5093、C407714Sとしての計算値([M+H])841.5090。
【0181】
化合物A−36。化合物A−35についての方法と同様の方法を用いたが、2−ヨードエタノールをアルキル化剤とした。m/z:844.0([M+H]);ESI TOF MS m/z843.4894、C407515Sとしての計算値([M+H])843.3883。
【0182】
化合物A−37。CHOH(1.2mL)中の中間体15(120mg、0.15mmol)の溶液に、2,2−ジメチルオキシラン(133μL、1.5mmol、10当量)を加えた。反応混合物を50℃にて一夜攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%〜50%アセトン、1%トリエチルアミン)で精製すると、白色の固体として化合物A−37(73mg、54%)が得られた。m/z:872.0([M+H]);ESI TOF MS m/z871.5171、C417915Sとしての計算値([M+H])871.5196。
【0183】
化合物A−38。化合物A−35についての方法と同様の方法を用いたが、1−ヨード−2−メチルプロパンをアルキル化剤とした。m/z:856.0([M+H]);ESI TOF MS m/z855.5186、C417914Sとしての計算値([M+H])855.5247。
【0184】
化合物A−39。MeOH(2.0mL)中の中間体13(240mg、0.30mmol)、NaCNBH(43.4mg、0.69mmol、2.3当量)および酢酸(69μL、1.2mmol、4.0当量)の溶液にシクロブタノン(45μL、0.6mmol、2.0当量)を加えた。反応混合物を室温にて一夜攪拌し、EtOAc(30mL)、NaCO(10%、5mL)および飽和NaHCO(10mL)、食塩水(10mL)で希釈した。水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、濾過して濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%〜50%アセトン、1%トリエチルアミン)により精製すると、白色の固体として化合物A−39(106mg、42%)が得られた。m/z:854.0([M+H]);ESI TOF MS m/z853.5090、C417714Sとしての計算値([M+H])853.5090。
【0185】
(実施例13)
中間体19の合成
中間体9の4’’−デオキシ対応物である中間体19は、中間体9の調製のために使用した手順に類似した手順を用い、4’’−デオキシエリスロマイシンA(16)から合成した:m/z:779([M+H])、621;ESI TOF MS m/z778.5345、C4076NO13としての計算値([M+H])778.5311。
【0186】
【化30】

【0187】
(実施例14)
中間体19からの化合物の合成
化合物A−60。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、中間体19を出発材料とし、N,N−ジメチルブロモアセトアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:833.6([M+H])。
【0188】
化合物A−61。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、中間体19を出発材料とし、N−メチルブロモアセトアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:819.6([M+H])。
【0189】
化合物A−68。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、中間体19を出発材料とした。m/z:806.0([M+H])、ESI TOF MS m/z805.5410、C417713としての計算値([M+H])805.5420。
【0190】
(実施例15)
中間体23の合成
中間体9のエリスロマイシンBの対応物である中間体23は、中間体9の調製のために使用した手順に類似した手順を用い、エリスロマイシンB(20)から合成した:m/z:748.5([M+H])。ESI TOF MS m/z748.5225、C3974NO12としての計算値([M+H])748.5206。
【0191】
【化31】

【0192】
(実施例16)
中間体23からの化合物の合成
化合物A−71。カリウムtert−ブトキシド(THF中1M、0.98mL、0.98mmol)の溶液を、不活性雰囲気下で無水ジメトキシエタン(6mL)中の中間体23(490mg、0.66mmol)の溶液に加え、室温にて10分間攪拌した。N−メチルブロモアセトアミド(120mg、0.79mmol)を加え、反応混合物を30分間攪拌した。TLC分析は、出発材料の完全な消費を示し、過剰の試薬を、飽和NaHCO溶液の添加によりクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。2%EtNのヘキサンおよびアセトンを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、望ましい生成物が得られた。ESI TOF MS m/z819.5572、C427913としての計算値([M+H])819.5577。13C NMR(CDCl)。177.6、170.7、102.2、94.8、93.4、84.8、77.7、77.4、75.7、74.6、72.8(2)、70.7、70.0、69.4、65.6、62.2、52.6、49.3、43.7、43.1、38.8、34.7、32.8(2)、31.0、25.5、24.4、21.5、21.2、21.1、20.4、19.9、17.6、12.7、11.7、9.8、9.7、9.2。
【0193】
化合物A−72。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、中間体23を出発材料とし、N,N−ジメチルブロモアセトアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。ESI TOF MS m/z833.5699、C438113としての計算値([M+H])833.5733。
【0194】
化合物A−75。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、中間体23を出発材料とし、塩化N,N−ジメチルカルバモイルをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。ESI TOF MS m/z819.5548、C427913としての計算値([M+H])819.5577。
【0195】
(実施例17)
がメチルである化合物
中間体9の6−O−メチル類似体である中間体27は、中間体9を製造するための手順に類似した手順を用い、化合物24(6−O−メチルエリスロマイシンA、クラリスロマイシンとしても知られている)から調製した:m/z:779([M+H])、621;ESI TOF MS m/z778.5345、C4076NO13としての計算値([M+H])778.5311。
【0196】
【化32】

【0197】
化合物A−66。化合物A−12についての方法と同様の方法を用いたが、中間体27を出発材料とし、N−メチルブロモアセトアミドをブロモアセトアミドに代わるアルキル化剤とした。m/z:850.0([M+H])、]);ESI TOF MS m/z849.5710、C438114としての計算値([M+H])849.5682。
【0198】
(実施例18)
他の化合物の合成
化合物A−40。中間体15を製造するための方法と同様の方法を用いてエタンスルホンアミドを製造し、次いで、化合物A−38に関連して上記に記載したように脱メチル化しヨウ化イソプロピルで再アルキル化すると、化合物A−40が得られた。m/z:856.0([M+H])。
【0199】
化合物A−41。中間体15についての方法と同様の方法を用いてシクロプロパンスルホンアミドを製造し、次いで、上記に記載したように脱メチル化しヨウ化イソプロピルで再アルキル化すると、化合物A−41が得られた。m/z:868.0([M+H])。
【0200】
化合物A−42。化合物41についての方法と同じ方法を用いたが、デスメチル中間体を、上記に記載したように還元アミノ化条件下でシクロブタノンと反応させると、化合物A−42が得られた。m/z:880.0([M+H])。
【0201】
化合物A−43。化合物A−39についての方法と同様の方法を用いてトリフルオロメタンスルホンアミドを製造し、次いで、上記に記載したように脱メチル化しヨウ化イソプロピルで再アルキル化すると、化合物A−43が得られた。m/z:896.0([M+H]
【0202】
化合物A−44。化合物A−40についての方法と同様の方法を用いたが、塩化ジメチルスルファモイルを用いた。m/z:872.0([M+H]);ESI TOF MS m/z871.5218、C417915Sとしての計算値([M+H])871.5196。
【0203】
化合物A−56。CHOH(1mL)中の化合物A−22(62mg、0.074mmol、1.0当量)の溶液にNaOH(1.0N、0.078mL、1.05当量)を加えた。反応混合物を室温にて2日間攪拌し、次いで濃縮し、残渣をtBuOH/HO(93:7)と共に凍結乾燥すると、ナトリウム塩として化合物A−56(60mg、0.071mmol、96%)が得られた。m/z:823.0([M+H]);ESI TOF MS m/z822.5214、C4175NO15としての計算値([M+H])822.5223。
【0204】
当業者は、上記の合成技法に必要な変更を加えて応用し、代替の知られているおよび/または市販されている前駆体材料を用いてR、R、R、およびRがそれぞれ、OH、Me、OH、およびH以外である化合物を含む本発明の他の化合物を製造することができることを理解しているであろう。RがMeである化合物は、クラリスロマイシン(6−O−メチルエリスロマイシンA、Biaxin(商標);Watanabe他、US4,331,803(1982))から製造することができる。RおよびRがそれぞれ、OHおよびMe以外である化合物は、前駆体としてエリスロマイシンB、C、またはDを用いて製造することができる。RがHである化合物は、例えば、Lartey他、US5,578,579(1996)に教示されているようにエリスロマイシンから4’’−OH基を除去することにより製造することができる。
【0205】
(実施例19)
モチリン作動薬効力についての組織をベースにしたアッセイ
本発明の化合物のモチリン作動薬効力は、一般的にDepoortere他、J.Gastrointestinal Motility、1、150〜159(1989)の手順に従い、ウサギ十二指腸組織をベースにした収縮性アッセイを用い、組織をベースにしたアッセイを用いて評価した。その開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。手短に言うと、この方法は、ある化合物が、モチリンに対して収縮性に反応するモチリン受容体を有する組織であるウサギ十二指腸組織において収縮を誘発する能力を測定する。
【0206】
ウサギ十二指腸の切片を、以下の通り、アッセイにおける使用について試験し認定した。幽門より20〜30cm遠位のウサギ十二指腸の断片を縦方向に割った。粘膜を除去し、2×2×15mmの縦走平滑筋の切片を断片からスライスした。切片を、1.5gの張力で37℃にて、酸素化したクレブス液に浸し、負荷を増やしながら収縮を測定した。強く、規則的な相動性活性(振幅0.3g、0.3〜0.4HzにおけるFFTピーク、他のピークより3倍超強い)および1uMカルバコール(「CCH」)に対する迅速で再現性のある反応(30秒未満内のピーク収縮、3倍超の相動性振幅)を示す切片をアッセイにおける使用に適格とし、上記の基準を満たしていない切片は廃棄した。
【0207】
次いで、カルバコールを、オルガンバス緩衝液を2度変えることにより洗い流した。カルバコール収縮の20±5分後、切片を再び洗浄した。この最後の洗浄後、10±5分以内に用量反応試験を開始した。試験する各化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かし、最終濃度を10mMとした。水による一連の7回の10倍段階希釈液を調製し、7回目の段階希釈液の濃度を1.0×10−6mMとした。化合物の1回目から5回目までの段階希釈液を適用し、最高希釈溶液200μLから始めた。各適用後、次の用量(次の高濃度段階希釈液)の適用前に、反応が安定するまで2±0.5分間待った。小さな反応が観察されるまで用量を10倍ずつ増加させた。その後の用量は、最大反応が得られるまで、2〜5倍ずつ増加させた。最後の薬物添加の2±0.5分後、切片に1μMカルバコールを投与した。
【0208】
EC50(最大効果の1/2を生じる濃度)を以下の通り算出した。各読み取り値について、基礎張力を、化合物誘発性張力から引いた。データポイントを、実験の終わりに1μMカルバコールから得られた反応に対して正規化した。化合物の濃度を反応に対してプロットし、以下の式にあてはめた。
R=(Rmax・C)/(EC50+C)
ここで、Rは、収縮反応であり、Rmaxは、最大収縮反応であり、Cは、化合物の濃度である。RとRmaxは共に、1μMカルバコール収縮の一部分として表され、0から1までの幅がある。結果を以下の表Bに報告する。
【0209】
場合により、EC90(最大効果の90%を生じる濃度)を以下の通り推定し検証できる可能性がある。初めに、EC90を、EC50の10倍に近似した。次いで、この近似の正確性を用量反応曲線により検証した。適格な十二指腸切片に0.25×EC90にて投与した。最大反応が得られた(2±0.5分)後、用量を4倍増加させた。2±0.5分後、切片に1μMカルバコールを投与した。2つの用量間の差は、10〜20%の範囲でなければならない。2組目の適格な十二指腸切片にEC90にて投与した。最大反応が得られた(2±0.5分)後、用量を2倍増加させた。2±0.5分後、切片に1μMカルバコールを投与した。2つの用量間には10%未満の差がなければならない。
【0210】
したがって、本発明の化合物を用い、モチリンに対して収縮性に反応するモチリン受容体を有する組織の収縮を誘発することができる。そのような収縮の誘発は、GI運動を刺激する際に有益な効果を有することがある。組織は、ウサギまたはヒト組織などの哺乳類の組織、特にGI組織であってよい。
【0211】
(実施例20)
抗菌活性の評価
本発明の化合物の抗菌活性は、96ウエルのマイクロタイタープレート上で段階希釈液を用い、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ATCC6301(エリスロマイシンA感受性株)に対するそれらの最小阻止濃度(MIC)を測定することにより評価した。化合物は、低い抗菌活性を有することが望ましい。結果を以下の表Bで報告する。
【0212】
以下の表Bは、本発明の化合物についてのデータを要約している。エリスロマイシンA、ABT−229、GM−611、およびKC−11458についての比較データも示す。最後の3つの化合物はそれぞれ、Abbott Laboratories、Chugai、およびSolvayからの開発中のモチライドである。
【0213】
【化33】

【0214】
【表2−1】

【0215】
【表2−2】

【0216】
【表2−3】

【0217】
【表2−4】

【0218】
(実施例21)
タキフィラキシーを評価するための長期間投与モデル
この実施例は、本発明の化合物のタキフィラキシー(初回投与後の反応の減少;実際には、化合物の作動薬効果に対する脱感作)を評価することができる方法について記載している。
【0219】
ウサギ十二指腸切片を上記に記載したように認定し、そのEC90濃度にて試験化合物を投与する。収縮を記録する。最高収縮力に達したら、カルバコール(1μM)を添加し、これ以上の収縮があったら記録する。得られる収縮を、1μMカルバコール収縮の一部分として表す。試験化合物およびカルバコールを、浴液を2度変えることにより洗い流す。この手順を、初回投与の30、60、および90分後に繰り返す。タキフィラキシーは、試験されている化合物の4回目の投与後に保持される初回の収縮に対する割合として定量される。低いタキフィラキシーを示す化合物は、高い価値を有するであろう。
タキフィラキシー=100%×(4回目の投与後の収縮)/(初回投与後の収縮)
【0220】
(実施例22)
hERGチャネル阻害
エリスロマイシンおよび関連化合物の催不整脈作用は、それらによるhERG(ヒトエーテル−ア−ゴー−ゴー関連遺伝子)カリウムチャネルの阻害に起因するとされている。本発明の化合物のhERGチャネル阻害効果は、Stanat他、Mol.Cellular Biochem.、2003、254、1〜7、「Characterization of the Inhibitory Effects of Erythromycin and Clarithromycin on the HERG Potassium Channel」に報告されている技法を用いて評価することができる。阻害は、試験されている化合物の30μM濃度における%阻害として表すことができる。化合物は、低い%阻害を有することが好ましい。
【0221】
上記の本発明の詳細な説明には、本発明の特定の部分または態様に主にまたは排他的に関係する一節が含まれる。これは、明瞭さおよび便宜のためであり、特定の特徴は、ただ単にそれが開示されている一節に関連しており、本明細書における開示には、異なる一節において見出される情報の適切な組合せすべてが含まれることが理解されるべきである。同様に、本明細書における様々な説明は、本発明の具体的な実施形態に関するが、特定の実施形態の文脈において具体的特徴が開示されている場合、そのような特徴は、適切な程度まで、別の実施形態の文脈において、別の特徴と組み合わせて、または一般に本発明においても使用することができることが理解されるべきである。
【0222】
さらに、本発明を、特定の好ましい実施形態の観点から特に説明してきたが、本発明は、そのような好ましい実施形態に限定されない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)によって表される構造を有する化合物、ならびに薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、および水和物
【化1】

[式中、
(A)Rは、
(i)OR
(ii)O(CHC(=O)R
(iii)OC(=O)R
(iv)OS(O)N(R3A)、
(v)O(CHNHR
(vi)N(H)S(O)R
(vii)OCHCHOCHCHC(=O)R、または
(viii)OCHCHOCHCHNHRであり、
(B)Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル、3もしくは4員脂環式、および3もしくは4員ヘテロ脂環式からなる群から選択され、群の各メンバーは、OH、CN、およびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
(C)Rは、HまたはOHであり、
(D)Rは、HまたはMeであり、
(E)Rは、HまたはOHであり、
(F)Rは、HまたはMeであり、
式中、
は、C〜Cアルキルであり、C〜Cアルキルは、OH、CN、O(C〜Cアルキル)、ハロゲン、アリール、脂環式、ヘテロアリール、またはヘテロ脂環式で置換されていてもよく、前記アリール、脂環式、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式部分は、C〜Cアルキルで置換されていてもよく、
は、OR、N(R3A)、C〜Cアルキル、(CHOH、またはC〜Cハロアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキル、または(CHOHであり、
3Aは、H、C〜Cアルキル、(CHOH、(CHO(C〜Cアルキル)、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルキル(アリール)、C〜Cアルキル(ヘテロアリール)、O(C〜Cアルキル)、ヘテロアリール、または
【化2】

であり、
式中、
Xは、NまたはCHであり、
Yは、O、S、NH、N(C〜Cアルキル)、CH、または結合であり、
各pは、(i)XがCHの場合、独立して、1または2であり、(ii)XがNであり、YがCHおよび結合以外である場合、2であり、(iii)XがNであり、YがCHまたは結合である場合、独立して、1または2であり、
qは、(i)XがCHである場合、0、1、2、または3であり、(ii)XがNである場合、2または3であり、
は、N(R3A)またはC〜Cアルキルであり、
は、S(O)(C〜Cアルキル)、C(=O)(C〜Cアルキル)、C(=O)アリール、C(=O)(ヘテロアリール)、C(=O)H、またはC(=W)NH(C〜Cアルキル)であり、Wは、OまたはSであり、
は、C〜Cアルキル、シクロブチル、シクロプロピル、CF、またはN(R3A)であり、
mは、1、2、3、4、5、または6であり、
nは、その出現ごとに独立して、2、3または4である]。
【請求項2】
式(Ia)によって表される構造を有する請求項1に記載の化合物。
【化3】

【請求項3】
が、
【化4】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、
【化5】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、
【化6】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、
【化7】

であり、Rが、HまたはOHであり、Rが、Meであり、Rが、HまたはOHであり、Rが、HまたはMeである請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式Ib、Ic、Ic’、Ic’’、Ic’’’、Id、Id’、Ie、If、Ig、IhまたはIiによって表される構造を有する請求項2に記載の化合物。
【化8】

【請求項8】
が、エチル、n−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、
【化9】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、
【化10】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式A−12、A−13、A−15、A−21、A−71、A−74、A−77、またはA−78によって表される構造を有する請求項1に記載の化合物。
【化11】

【請求項11】
胃運動の損なわれた疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要としている対象に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項12】
疾患が、胃不全麻痺、胃食道逆流疾患、食欲不振症、胆嚢うっ滞、術後麻痺性イレウス、強皮症、腸偽閉塞、胃炎、嘔吐、および慢性便秘(結腸無力症)からなる群から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物および賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
モチリンに対して収縮性に反応する組織の収縮を誘発する方法であって、そのような組織を、そのような収縮を誘発するのに有効な量の、請求項1に記載の化合物と接触させることを含む方法。
【請求項15】
組織がヒト組織である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
胃運動の損なわれた疾患を治療するための医薬品を調製するための請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−542268(P2008−542268A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513515(P2008−513515)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/017672
【国際公開番号】WO2006/127252
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】