説明

モデル生成装置及び方法

【課題】サンプル数が十分でないキーワードについても、入札額に基づいて広告の表示順位を予測する予測モデルを生成可能なモデル生成装置及び方法を提供すること。
【解決手段】モデル生成装置(1)は、入札ログデータベース(2)に記憶された全キーワードの実績データに基づいて、入札額の変化に対する表示順位の変化を示すパラメータであって、全キーワードに共通した共通パラメータβを算出する第1演算部(3)と、算出した共通パラメータβ及びキーワード毎の最新の実績データに基づいて、キーワード毎に固有の個別パラメータαを算出する第2演算部(4)と、を備え、算出した共通パラメータβと個別パラメータαとを用いて、入札額から広告の表示順位を予測する予測モデルをキーワード毎に生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入札額に基づいて広告の表示順位を予測する予測モデルを、検索サイトにおいて検索クエリとして用いられるキーワード毎に生成するモデル生成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザは、所望の情報やサイトを検索するとき、一般的に検索サイトを利用している。検索サイトでは、ユーザが検索クエリ(以下、「キーワード」とする)を所定のスペースに入力すると、検索結果を表示し、ユーザが所望するサイトを提示する。このとき、検索サイトでは、検索結果を表示するページ内の一部の領域を広告欄として販売することで運営が行われている。
【0003】
広告欄を購入する企業(広告主)は、広告を掲載することで自己のホームページへ多数のユーザが訪問することを望むものであり、そのために広告の露出する確率を高くすることが考えられる。しかしながら、ホームページへの訪問にはクリックという能動的作業を伴う以上、ユーザが積極的な興味や関心を持たなければ自己のホームページへの訪問が適切に行われない。
【0004】
そこで、近年の検索サイトでは、ユーザの興味に適合した広告を掲載すべく、キーワードに対応した広告を検索結果ページに露出させる検索連動型広告や、ユーザが閲覧したり検索したりしたホームページの内容に応じて広告を露出させるコンテンツ連動型広告といった手法が行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−537591号公報
【0006】
ここで、掲載した広告について、広告主が必要とするユーザの訪問数は、広告主の事業規模や対象商品(サービス)あるいは広告の目的によって異なり、少数のユーザに訪問されれば十分な広告もある一方で、多数のユーザから訪問されることを必要とする広告も存在する。そのため、検索サイトの運営者には、広告主のニーズにあった広告を適切に掲載することが要求される。
【0007】
この点について、近年では、広告の掲載される順位(以下、「広告の表示順位」とする)が広告のクリックされる確率と相関することが経験的に知られている。広告の表示順位は、広告の料金(入札額)によって異なるものであるため、入札額に基づいて広告の表示順位を予測する予測モデル(bid−rankモデル)を生成することができれば、広告主のニーズにあった広告を適切に掲載(適切な優先順位で掲載)することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、検索サイトでは、全てのキーワードが同じ頻度で入力されるのではなく、キーワード毎に入力される頻度が異なる。すなわち、キーワードの中には、頻繁に入力されるキーワードもあれば、ほとんど入力されることのないキーワードも含まれる。この点、広告主からすると、頻繁に入力されるキーワードに対応した広告を掲載すれば、自己の広告も頻繁に露出することを期待できる一方で、ほとんど入力されることのないキーワードに対応した広告を掲載すれば、自己の広告の露出を期待できなくなる。そのため、上記検索連動型広告のようにキーワードに対応した広告を掲載する場合、広告主にとって人気のキーワードもあれば、広告主に人気のないキーワードも存在することになる。
【0009】
ここで、信頼性のある予測モデルの生成には一定数のサンプルが求められるが、キーワード毎に人気が異なる現状では、予測モデルの生成に十分なサンプルが得られないキーワードも存在することになる。
【0010】
そこで、本発明は、サンプル数が十分でないキーワードについても、入札額に基づいて広告の表示順位を予測する予測モデルを生成可能なモデル生成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 検索クエリとして用いられるキーワードを指定して行う入札の入札額に応じた順位で検索結果とともに広告を表示する広告システムにおいて、前記入札額に応じて変化する広告の表示順位を予測する予測モデルを、前記キーワード毎に生成するモデル生成装置であって、前記入札額と前記表示順位との関係を示す実績データを、前記キーワード毎に記憶する入札ログデータベースと、前記入札ログデータベースに記憶された全キーワードの実績データに基づいて、前記入札額の変化に対する前記表示順位の変化を示すパラメータであって、全キーワードに共通した共通パラメータβを算出する第1演算部と、前記第1演算部が算出した前記共通パラメータβ、及び前記入札ログデータベースに記憶されたキーワード毎の最新の実績データに基づいて、キーワード毎の入札額の単位を示すパラメータであって、キーワード毎に固有の個別パラメータαを算出するとともに、前記予測モデルを生成する第2演算部と、を備えるモデル生成装置。
【0012】
(2) 前記第1演算部は、前記入札ログデータベースに記憶された実績データのうち、前記入札額に変化のあったタイミングの実績データに基づいて、前記共通パラメータβを算出する、(1)に記載のモデル生成装置。
【0013】
(3) 前記第1演算部は、前記変化のあった前後の実績データの比率を用いて、前記共通パラメータβを算出する、(2)に記載のモデル生成装置。
【0014】
(4) 検索クエリとして用いられるキーワードを指定して行う入札の入札額に応じた順位で検索結果とともに広告を表示する広告システムにおいて、前記入札額に応じて変化する広告の表示順位を予測する予測モデルを、前記キーワード毎に生成する方法であって、コンピュータが実行する、前記入札額と前記表示順位との関係を示す実績データを、前記キーワード毎に記憶する入札ログデータベースを参照して、前記入札額の変化に対する前記表示順位の変化を示すパラメータであって、全キーワードに共通した共通パラメータβを算出する第1演算ステップと、前記第1演算ステップで算出した前記共通パラメータβ、及び前記入札ログデータベースに記憶されたキーワード毎の最新の実績データに基づいて、キーワード毎の入札額の単位を示すパラメータであって、キーワード毎に固有の個別パラメータαを算出するとともに、前記予測モデルを生成する第2演算ステップと、を含む方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サンプル数が十分でないキーワードについても、入札額に基づいて広告の表示順位を予測する予測モデルを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のモデル生成装置が生成する予測モデルの概要を示す図である。
【図2】本発明のモデル生成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】入札ログデータベースの一例を示す図である。
【図4】モデル生成装置の予測モデル生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】予測モデル生成処理における第1演算部の動作例を示す図である。
【図6】予測モデル生成処理における第2演算部の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のモデル生成装置1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
[モデル生成装置1の概要]
本発明のモデル生成装置1は、入札額から広告の表示順位を予測する予測モデルを、検索サイトにおいて検索クエリとして用いられるキーワード毎に生成する。すなわち、本発明のモデル生成装置1は、検索クエリとして用いられるキーワードを指定して行う入札の入札額に応じた順位で検索結果とともに広告を表示する広告システムにおいて、入札額に応じて変化する広告の表示順位を予測する予測モデルを、キーワード毎に生成する。
ここで、広告の表示順位と入札額との関係は、入札額が高くなれば広告の表示順位も併せて高くなることが一般であるが、入札額の変化に対応する表示順位の変化は、一定ではなく、図1(1)に示すような曲線の関係を示す。すなわち、表示順位が高いところでは、入札額に若干の変化があったとしても表示順位はそれほど変化しないが、表示順位が低いところでは、入札額が若干変化しただけで表示順位も大きく変化することになる。このような表示順位と入札額との関係は、広告主の興味が表示順位に帰結することから、キーワードの種別に関わらず共通する。
【0019】
そのため、本発明者は、表示順位(rank)と入札額(bid)との関係として、以下の式(1)で示される関係を特定した。
【数1】

・・・(1)
式(1)において、βは、入札額の変化に対する表示順位の変化を示す全キーワードに共通した共通パラメータであり、αは、キーワード毎に固有の個別パラメータである。
ここで、広告主に人気のあるキーワードであればあるほど、人気のないキーワードに比べて入札額が高くなるため、図1(1)に示すグラフでは、入札額の軸の目盛りの単位は、キーワードの種別によって異なることになる。例えば、人気のあるキーワードは、1目盛り「1000円」であるのに対し、人気のないキーワードは、1目盛り「50円」などのようになる。個別パラメータαは、このようなキーワード毎の入札額の単位(スケール)の違いを示すパラメータである。
【0020】
本実施形態では、全キーワードに共通した共通パラメータβを用いることで、表示順位と入札額との関係を特定する一方で、個別パラメータαを用いることで、キーワードにあった適切なスケールに調整することとしている。
【0021】
なお、本実施形態では、図1(2)に示すように、表示順位及び入札額の自然対数を用いた式(2)により、共通パラメータβ及び個別パラメータαを算出することとしている。
【数2】

・・・(2)
【0022】
[モデル生成装置1の構成]
続いて、図2を参照して、本発明のモデル生成装置1の構成について説明する。
モデル生成装置1は、入札ログデータベース2と、第1演算部3と、第2演算部4と、予測モデルデータベース5と、を含んで構成される。
このとき、モデル生成装置1は、第1演算部3において共通パラメータβ(すなわち、全キーワードに共通する表示順位と入札額との関係)を算出し、第2演算部4において個別パラメータα(すなわち、キーワード毎のスケールの調整)を算出することで、予測モデルを生成する。
【0023】
入札ログデータベース2は、入札額と表示順位との関係を示す実績データを、キーワード毎に記憶する。ここで、入札ログデータベース2の一例を図3(1)に示す。図3(1)に示すように、入札ログデータベース2には、キーワード毎に、所定の広告主の入札額及び表示順位が実績データとして時系列順に記憶されている。
ここで、入札ログデータベース2に記憶された実績データの一部(広告主A、キーワードaの実績データ)を図3(2)に示す。図3(2)に示すように、入札ログデータベース2には、実績データとして入札額の変化と表示順位の変化との関係が記憶されている。図3(2)の実績データ21を参照すると、入札額(bid)は「300円」で一定であるのに、表示順位(rank)は「3位→4位」に変化している。一方、実績データ22を参照すると、入札額は「300円→350円→300円」と変化しているのに、表示順位は「4位」のまま一定である。これは、広告主A以外の広告主がキーワードaに対して入札を行った結果として生じるものである。すなわち、広告主Aの入札額が一定であるといっても、他の広告主との関係で表示順位が変化してしまう場合があり、また、広告主の入札額に変化があったとしても、他の広告主との関係で表示順位が変化しない場合があるためである。
【0024】
図2に戻り、第1演算部3は、共通パラメータβを算出するため、サンプル抽出手段31と、共通パラメータ算出手段32と、を含んで構成される。
【0025】
サンプル抽出手段31は、入札ログデータベース2に記憶された全キーワードの実績データを予測モデル生成のためのサンプルとして抽出する。このとき、サンプル抽出手段31は、入札ログデータベース2に記憶された実績データのうち、入札額に変化のあった日時の実績データをサンプルとして抽出する。
図3(2)を参照して、例えば、実績データ23は入札額に変化のある実績データであり、実績データ24は入札額に変化のない実績データであるため、サンプル抽出手段31は、実績データ23をサンプルとして抽出する。このとき、サンプル抽出手段31は、変化の前後の実績データをサンプルとして抽出する。すなわち、変化前の実績データとして、入札額(古)「350円」、表示順位(古)「2位」、変化後の実績データとして、入札額(新)「300円」、表示順位(新)「3位」をサンプルとして抽出する。
このように、サンプル抽出手段31は、入札額に変化のあった実績データのみをサンプルとして抽出し、入札額に変化のない実績データについては、たとえ表示順位に変化があったとしてもサンプルとして抽出しない。入札額に変化がないにも関わらず、表示順位に変化があった場合には、他の広告主が入札額を変化させているためであり、他の広告主の実績データをサンプルとして抽出すれば足りるためである。これにより、全キーワードの実績データを対象としつつも、入札額に変化のない実績データをサンプルとして抽出することがないため、処理の軽減を図ることができる。
【0026】
共通パラメータ算出手段32は、サンプル抽出手段31が抽出したサンプルに基づいて、共通パラメータβを算出する。このとき、共通パラメータ算出手段32は、サンプル抽出手段31が抽出したサンプルの変化前後のベクトルを考慮することが好ましい。ここで、共通パラメータβの算出方法は、任意の方法により行うことができ、共通パラメータ算出手段32は、例えば、サンプル抽出手段31が抽出したサンプルを入力として、最小二乗法などの公知の数理計算による回帰分析により共通パラメータβを算出する。なお、共通パラメータ算出手段32は、入力としてのサンプルに対して、所定の重み付けをした上で共通パラメータβを算出することとしてもよい。重み付けは、任意の要素に基づいて行うことができ、例えば、入札額の高低に基づいて行う(すなわち、入札額が高いほど重みをおく)こととしてもよく、また、広告の露出度の高低に基づいて行う(すなわち、露出度が高いほど重みをおく)こととしてもよい。
これにより、入札額に基づいて広告の表示順位を予測する予測モデルの共通パラメータβのみを収束計算により算出することができ、予測モデルを表すフィッティング曲線の傾き(形状)が確定する。
【0027】
ところで、サンプル抽出手段31は、サンプルとして全キーワードの実績データを抽出することとしている。ここで、実績データの入札額のスケールは、上述のようにキーワードの人気に応じて異なり、入札額のスケールの相違を考慮した上で共通パラメータβを算出することが好ましい。
そこで、本実施形態の共通パラメータ算出手段32は、サンプルとしてセットされた実績データの変化前後の比率を用いて共通パラメータβを算出することとしている。すなわち、共通パラメータ算出手段32は、「入札額(新)/入札額(古)」を入力として、所定の重み付け回帰分析を行うことで共通パラメータβを算出する。
これにより、キーワード毎の入札額のスケールの相違を解消することができ、より適切な共通パラメータβを算出することができる。
【0028】
続いて、第2演算部4は、個別パラメータαを算出するとともに、共通パラメータβ及び個別パラメータαを用いて上記予測モデルを生成するため、キーワード別サンプル抽出手段41と、個別パラメータ算出手段42と、モデル生成手段43と、を含んで構成される。
【0029】
キーワード別サンプル抽出手段41は、入札ログデータベース2に記憶された実績データのうち、予測モデル生成対象のキーワードの最新の実績データ(入札額、表示順位)をサンプルとして抽出する。ここで、最新のタイミングについては、適宜設定することができるが、予測モデルを毎時生成する必要がないことから、前日の実績データを最新の実績データとして抽出することが好ましい。
【0030】
個別パラメータ算出手段42は、第1演算部3(共通パラメータ算出手段32)が算出した共通パラメータβ、及びキーワード別サンプル抽出手段41がサンプルとして抽出した最新の実績データに基づいて、キーワード毎に個別パラメータαを算出する。すなわち、個別パラメータ算出手段42は、上記式1,2において、rank=実績データ(表示順位)、bid=実績データ(入札額)、共通パラメータβ=第1演算部3の算出結果とし、個別パラメータαを算出する。
【0031】
モデル生成手段43は、算出した共通パラメータβ及び個別パラメータαに基づいて、上記式1の予測モデルをキーワード毎に生成し、予測モデルデータベース5に記憶する。
【0032】
これにより、検索サイトにおいて検索クエリとして用いられるキーワード毎に、入札額に基づいて広告の表示順位を予測する予測モデルを生成することができる。すなわち、共通する表示順位と入札額との関係(共通パラメータβ)を有しつつ、キーワード毎の個別のスケール(個別パラメータα)で調整された予測モデルを、キーワード毎に生成することができる。
このとき、キーワード毎の個別パラメータαについては、最新の実績データのみを用いれば足りるため、サンプル数の少ないキーワードであっても適切な予測モデル(個別パラメータα)を生成することができる。すなわち、第1演算部3において、既に共通パラメータβ(フィッティング曲線の傾き)が算出されているため、最新の実績データとして少なくとも1つの実績データがあれば足り(もちろん、複数の実績データを用いることとしてもよい)、キーワード毎のサンプル数に関わらず適切な予測モデル生成することができる。
【0033】
[モデル生成装置1のハードウェア構成]
以上説明したモデル生成装置1のハードウェアは、1又は複数の一般的なコンピュータによって構成することができる。一般的なコンピュータは、例えば、制御部として、中央処理装置(CPU)を備える他、記憶部として、メモリ(RAM、ROM)、ハードディスク(HDD)及び光ディスク(CD、DVDなど)を、ネットワーク通信装置として、各種有線及び無線LAN装置を、表示装置として、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの各種ディスプレイを、入力装置として、例えば、キーボード及びポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボールなど)を適宜備え、これらは、バスラインにより接続されている。このような一般的なコンピュータにおいて、CPUは、モデル生成装置1を統括的に制御し、各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0034】
[モデル生成装置1の処理]
続いて、図4〜図6を参照して、モデル生成装置1の予測モデル生成処理について説明する。図4は、予測モデル生成処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、予測モデル生成処理における第1演算部3の動作例を示し、図6は、予測モデル生成処理における第2演算部4の動作例を示す。
【0035】
図4に示すように、初めに、第1演算部3のサンプル抽出手段31は、入札ログデータベース2から全キーワードを対象として実績データを抽出する(ステップS1)。
具体的には、図5(1)に示すように、サンプル抽出手段31は、入札額に変化のあったタイミングの実績データ(古・新)を抽出する。このとき、サンプル抽出手段31が実績データを抽出する期間は、任意に設定することができ、例えば、過去の実績データの全てを対象とすることとしてもよく、処理実行時の直近1月間などとすることとしてもよい。また、例えば、夏に人気のあるキーワード「水着」は、冬に人気がなくなってしまうように、キーワード毎の人気は、季節やシーズンなどによって異なるため、キーワード毎の人気の盛り上がり(ブーム)に応じて、実績データを抽出する期間を調整することとしてもよい。すなわち、処理実行時にキーワードの人気が盛り上がっている状況では、同様に人気が盛り上がっていた他の期間における実績データ(直近や1年前など)を抽出し、また、人気の盛り上がりの終了時には、同様の状況の期間における実績データ(すなわち、直近ではなく、1年前など)を抽出することとしてもよい。
【0036】
図4に戻り、続いて、第1演算部3の共通パラメータ算出手段32は、ステップS1で抽出した実績データに基づいて、共通パラメータβを算出する(ステップS2)。
具体的には、先ず、図5(2)に示すように、共通パラメータ算出手段32は、ステップS1で抽出した変化前後の実績データの比率を算出することで、キーワード毎の入札額のスケールの相違を解消する。その後、図5(3)に示すように、共通パラメータ算出手段32は、算出した比率を入力として、所定の重み付け回帰分析を行うことで共通パラメータβを算出する。
【0037】
図4に戻り、続いて、第2演算部4のキーワード別サンプル抽出手段41は、キーワード毎に最新の実績データを抽出する(ステップS3)。
具体的には、図6(1)に示すように、キーワード別サンプル抽出手段41は、予測モデルを生成するキーワード毎に、最新の実績データを入札ログデータベース2から抽出する。
【0038】
図4に戻り、続いて、第2演算部4の個別パラメータ算出手段42は、個別パラメータαを算出する(ステップS4)。
具体的には、図6(2)に示すように、上記式1又は2において、rank=実績データ(表示順位)、bid=実績データ(入札額)、共通パラメータβ=第1演算部3の算出結果(ステップS2)とし、個別パラメータαを算出する。
【0039】
図4に戻り、続いて、第2演算部4のモデル生成手段43は、ステップS2で算出した共通パラメータβ及びステップS4で算出した個別パラメータαに基づいて、キーワード毎の予測モデルを生成し、予測モデルデータベース5に記憶し(ステップS5)、処理を終了する。
これにより、図6(3)に示すように、キーワード毎に予測モデルを生成することができる。このとき、生成した予測モデルの曲線の形状は、キーワードに関わらず共通であるが、入札額の軸の目盛りの単位(スケール)は、キーワード毎に夫々異なることになる。よって、キーワード毎の入札額のスケールに応じた適切な予測モデルを生成することができる。
【0040】
[モデル生成装置1の効果]
以上のようなモデル生成装置1によれば、第1演算部3が全てのキーワードに共通する共通パラメータβ(グラフの形状)を全キーワードの実績データから算出する一方で、第2演算部4が個々のキーワードで異なる個別パラメータα(入札額のスケール)をキーワード毎の実績データから算出する。
これにより、入札額の変化に対する表示順位の変化を示す共通パラメータβについては、全キーワードの実績データから算出することになるため、キーワード毎のサンプル数に関わらず、共通パラメータβを算出することができる。一方、キーワード毎に固有の個別パラメータαについては、入札額の変化に対する表示順位の変化(傾向、傾き)が算出されている以上、多量のサンプル数を必要とせず、サンプル数が少ないキーワードであっても、最新の実績データのみから適切な精度の個別パラメータαを算出することができる。よって、キーワード毎のサンプル数に関わらず、入札額に基づいて広告の表示順位を予測する予測モデルを生成することができる。
【0041】
また、モデル生成装置1では、入札額に変化のない実績データを用いることがないため、全キーワードの実績データを対象とした第1演算部3において、処理の軽減を図ることができる。
また、モデル生成装置1では、全キーワードの実績データを対象とする際に、変化前後の実績データの比率を算出することとしているため、入札額のスケールの相違を解消することができ、適切な予測モデルを生成することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 モデル生成装置
2 入札ログデータベース
3 第1演算部
31 サンプル抽出手段
32 共通パラメータ算出手段
4 第2演算部
41 キーワード別サンプル抽出手段
42 個別パラメータ算出手段
43 モデル生成手段
5 予測モデルデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索クエリとして用いられるキーワードを指定して行う入札の入札額に応じた順位で検索結果とともに広告を表示する広告システムにおいて、前記入札額に応じて変化する広告の表示順位を予測する予測モデルを、前記キーワード毎に生成するモデル生成装置であって、
前記入札額と前記表示順位との関係を示す実績データを、前記キーワード毎に記憶する入札ログデータベースと、
前記入札ログデータベースに記憶された全キーワードの実績データに基づいて、前記入札額の変化に対する前記表示順位の変化を示すパラメータであって、全キーワードに共通した共通パラメータβを算出する第1演算部と、
前記第1演算部が算出した前記共通パラメータβ、及び前記入札ログデータベースに記憶されたキーワード毎の最新の実績データに基づいて、キーワード毎の入札額の単位を示すパラメータであって、キーワード毎に固有の個別パラメータαを算出するとともに、前記予測モデルを生成する第2演算部と、を備えるモデル生成装置。
【請求項2】
前記第1演算部は、前記入札ログデータベースに記憶された実績データのうち、前記入札額に変化のあったタイミングの実績データに基づいて、前記共通パラメータβを算出する、
請求項1に記載のモデル生成装置。
【請求項3】
前記第1演算部は、前記変化のあった前後の実績データの比率を用いて、前記共通パラメータβを算出する、
請求項2に記載のモデル生成装置。
【請求項4】
検索クエリとして用いられるキーワードを指定して行う入札の入札額に応じた順位で検索結果とともに広告を表示する広告システムにおいて、前記入札額に応じて変化する広告の表示順位を予測する予測モデルを、前記キーワード毎に生成する方法であって、コンピュータが実行する、
前記入札額と前記表示順位との関係を示す実績データを、前記キーワード毎に記憶する入札ログデータベースを参照して、前記入札額の変化に対する前記表示順位の変化を示すパラメータであって、全キーワードに共通した共通パラメータβを算出する第1演算ステップと、
前記第1演算ステップで算出した前記共通パラメータβ、及び前記入札ログデータベースに記憶されたキーワード毎の最新の実績データに基づいて、キーワード毎の入札額の単位を示すパラメータであって、キーワード毎に固有の個別パラメータαを算出するとともに、前記予測モデルを生成する第2演算ステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−84197(P2013−84197A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224894(P2011−224894)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)