説明

モニター付きミラーアッセンブリ

【課題】
低温環境下や静電気に対しても、信頼性の高い液晶モニター付きミラーアッセンブリが望まれる。
【解決手段】
ガラス基板上に半透光性領域を含む金属薄膜が形成されたミラー板と、前記ミラー板の前記半透光性領域裏面に配置され、液晶セルと偏光板とバックライトを含む液晶モニターとを含む液晶モニター付きミラーアッセンブリであって、前記半透光性領域は、複数の金属ワイヤーが一方向に等ピッチで配列されたワイヤーグリッド偏光板部と、前記金属ワイヤー延在方向の両端部各々で各金属ワイヤーを電気的に導通する接続部とを含み、a)それぞれの前記接続部が外部回路に接続されている、か、b)どちらか一方の前記接続部がアースに接続されている、ことを特徴とする液晶モニター付きミラーアッセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニター付きミラーアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用ルームミラーないしサイドミラーであって、通常のミラーとしての機能と、運転者の死角となる車両周辺情報などの映像情報や交通渋滞情報などのテキスト情報を表示する機能を兼ね備えたミラーアッセンブリが考案されている。
【0003】
特開2002−067806号は、光透過可能なミラー板の裏面に光透過窓を除いて黒色塗装膜が形成され、前記ミラー板の裏面側に配設した液晶表示装置の表示面が前記光透過窓に対向して配設されて、前記液晶表示装置の表示が前記光透過窓を介して視認可能な車両用表示機能付ミラーにおいて、前記ミラー板は、透明なガラス板と、前記ガラス板の表面に形成されたハーフミラー用の金属薄膜を有することを特徴とする車両用モニター付ミラーを提案する。
【0004】
特開2002−200936号は、車両に、カメラや距離測定センサ、衝撃センサを設け、それらから読み取られた映像や情報をサイドミラー、バックミラーまたは車両の内部に表示させる表示装置を提案する。加えて、音声装置、表示装置およびコントロール回路を有するアラーム装置を前記車両に設けることで、衝撃センサが信号を検出した場合、表示装置は危険の表示を行い、音声装置は危険の警告を発することで、車両の運転手と同乗者に危険を警告することができると記述する。
【0005】
特開2005−145151号は、ミラー装置に備えられた表示部と、運転席から前記ミラー装置方向を見たときに視認可能の領域と異なる方向を撮像するよう設置されたカメラと、運転者によって操作される操作スイッチと、該操作スイッチが操作されたときに、前記カメラで撮影された映像を前記表示部に表示させる処理部とを有することを特徴とする車両周辺確認補助装置を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−067806号公報
【特許文献2】特開2002−200936号公報
【特許文献3】特開2005−145151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低温環境下や静電気に対しても、信頼性の高い液晶モニター付きミラーアッセンブリが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1観点によれば、
ガラス基板上に半透光性領域を含む金属薄膜が形成されたミラー板と、
前記ミラー板の前記半透光性領域裏面に配置され、液晶セルと偏光板とバックライトを含む液晶モニターと、
を含む、液晶モニター付きミラーアッセンブリであって、
前記半透光性領域は、複数の金属ワイヤーが一方向に等ピッチで配列されたワイヤーグリッド偏光板部と、前記金属ワイヤー延在方向の両端部各々で各金属ワイヤーを電気的に導通する接続部とを含み、
a)それぞれの前記接続部が外部回路に接続されている、か
b)どちらか一方の前記接続部がアースに接続されている、
ことを特徴とする液晶モニター付きミラーアッセンブリ、が提供される。
【発明の効果】
【0009】
視認性の低下がなく、信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1A〜1Cは、液晶モニター付きミラーアッセンブリの構造と液晶モニター付きミラーアッセンブリを構成するミラー板の構造を示す断面図および正面図である。
【図2】図2A〜2Gは、ワイヤーグリッド領域を有するミラー板の製造方法を示すダイアグラムである。
【図3】図3Aは、作製したミラー板から構成される液晶ミラーアッセンブリの正面図であり、図3Bおよび3Cは、作製したミラー板のワイヤーグリッド領域における反射率と透過率の波長依存性を示すグラフである。
【図4−1】および
【図4−2】図4Aおよび4Bはワイヤーグリッド領域を外部回路に接続した様子を示すダイアグラムであり、図4Cは液晶モニターの構造を示す概略図であり、図4Dおよび4Eはワイヤーグリッド領域を有するミラー板の変形例を示すダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
車両用後写鏡(ルームミラーやサイドミラー)をハーフミラーで構成し、そのハーフミラーの裏面側に、モニターの表示面を配置し、ハーフミラーの表面側からモニターが表示する映像ないしテキストを視認できるとともに、通常の後写鏡としても機能するモニター付きミラーアッセンブリが考案されている。
【0012】
図1Aおよび1Bは、一般的な車両用液晶モニター付きミラーアッセンブリの構造を概略的に示す断面図および正面図である。片側に開放する凹部11aを有する容器形状のミラーハウジング11と、ミラーハウジング11の開口端を塞ぐように取り付けられた半透光性領域12aを有するミラー板12と、ミラー板12と凹部11aに囲まれた中に表示面13aが半透光性領域12aに対向して配置される液晶モニター13を設けた車両用液晶モニター付きミラーアッセンブリである。この構成によれば、運転者はミラー板12により後方を視認できるとともに、半透光性領域12aを通して液晶モニター13の表示面13aに表示される種々の情報を視認することができる。
【0013】
ここで、ミラー板12における半透光性領域12a付近の断面は、図1Cに示すように、ガラス板14の一面側にハーフミラー用の金属薄膜層15が形成され、このガラス板14の他面側には光透過窓17を除いて黒色塗装膜16が形成され、光透過窓17には液晶モニター13の表示面13aを配置した構成となる。液晶モニター13からの表示光19aがガラス板14および金属薄膜層15を透過するため、液晶モニター13の表示情報を視認することができる。それと同時に、ミラー板12に入射する入射光19bが金属薄膜層15により反射するため反射光19cとして車両後方を視認することができる。
【0014】
このような液晶モニター付きミラーアッセンブリは、車両用としてその使用状況を顧みると、液晶モニターの表示品質を損なういくつかの状況を想定することができる。例えば、季節や地域によっては、気温がマイナス20〜30℃となるような低温環境で使用される可能性がある。液晶物質の特性として、低温環境では粘度が増加し,応答速度が遅くなることが知られている。液晶物質の応答速度が極端に遅くなると、液晶モニターの表示がぼけて視認が困難になる可能性があり問題となる。また、例えば長期間の使用による塵埃の蓄積や一時的な結露などを除去するため、ナイロン布などでミラー板表面が摩擦されれば、静電気により金属薄膜層15に電荷がたまり、液晶モニター表面に電位が生じることによる誤表示が懸念される。このような帯電による表示品質の低下も視認を困難にさせるため、改善の余地がある。
【0015】
これらの対策としては、ITOなどの透明電極によってヒーターを外付けする構造や金属薄膜表面に帯電防止材料を塗布するなどの対策が考えられる。しかし、ITOなどの透明電極や帯電防止材料はいずれも高価であり、当該ミラーアッセンブリのコスト高を招来する。
【0016】
本発明者らは、液晶モニター付きミラーアッセンブリのミラー板をワイヤーグリッド偏光板に代替することを検討した。ワイヤーグリッド偏光板とは、金属ワイヤーを一定方向に等幅および等間隔に配列した構造であり、金属ワイヤーの幅、間隔が入射される光の波長よりも短いときに金属ワイヤーに平行な偏波成分を遮光する性質を有する。以下では、ワイヤーグリッド偏光板として機能するワイヤーグリッド領域を含むミラー板をエッチング法により作製する方法を示す。
【0017】
図2Aを参照する。たとえば厚さ0.7mmtの洗浄したガラス板14の一面側に、厚さ1500Åのモリブデン(Mo)膜(金属薄膜層15)をスパッタにて形成する。金属薄膜層15の厚さは300Å以上であればよいが、薄いと光抜けが生じ、厚いとパターニング性が低下するため、500Å〜2000Åが好ましい。なお、ガラス板14上の導電性膜は、Moに限らず、クロム(Cr)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などの金属で形成することもできる。
【0018】
金属薄膜層15上に、ポジ型の高解像度フォトレジスト材料を1μmの厚さに、スピンコートでコーティングし、レジスト膜25を形成する。スピンコートに限らず、スリットコート、ロールコート、スピンコートとスリットコートの併用等により行ってもよい。レジスト膜25の厚さは、0.8〜1.5μmが適当である。
【0019】
図2Bを参照する。続いて、レジスト膜25上に、マスク(レチクル)30を配置して紫外線露光を行う。露光はレジストの感度に合わせて、たとえば80mJ/cmのフルエンスで行う。
【0020】
図2Cは、マスク30のパターンを示す概略的な平面図である。マスク30には、線状パターンが一定方向に等幅および等間隔に形成されたワイヤーグリッドを含む領域32aが、所定位置およびサイズで形成され、領域32aと周辺の領域32bはギャップGで分離されている。
【0021】
図2Dは、マスク30の領域32aの拡大図である。線状のパターン30a延在方向の両端では、パターン30aをわたすようにそれぞれパターン30b、30cが形成されている。線状パターン30aの、ピッチD(線状パターンの間隔)は0.16μm、スリット幅W(開口部分の幅)は0.02μm程度である。またギャップGは、幅20μm程度である。なお、エッチング後に領域32aに対応する金属薄膜が可視光領域で偏光板として機能するためには、ピッチDは0.1〜0.5μmが好ましく、スリットの幅WはピッチDの1/4〜1/10の間が好ましい。ギャップGは、エッチング後に領域32aと32bの対応する金属薄膜の境界が視認できない程度が好ましく、100μm以下であればよい。マスク(レチクル)30は、例えば電子線マスク描画装置を用いて作製する。
【0022】
図2Eを参照する。露光後、プリベークを行い、現像を実施する。現像液として、KOHの無機アルカリ系水溶液を用いた。市販の現像液を使用することもできる。市販の現像液として、たとえばリソグラフィ用ポジ型レジストの現像に一般的に用いられる、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)が利用可能である。金属薄膜層15上に、マスク30のマスクパターンとほぼ同じパターンのレジスト膜25がパターニングされる。
【0023】
図2Fを参照する。金属薄膜層15のエッチングを、ドライエッチで行う。エッチングは、反応性イオンエッチングによりSF6を反応ガスとして、ガス流量100SCCM、高周波出力200W、圧力30mTorrで、およそ3分20秒間行った。
【0024】
金属薄膜層15がMoやTiなどで形成されている場合、エッチングガスとしてCF、C、C、C、C、C、C10、C、C14、CFCFOCF、CCFCFCF、CFBr、CFI、CI、SF、NF、WF、CCl、CCl、CFCl、CFCl、CFCl、CHF、CH、CHFCF、CHFCF、CHCHF、C、CHF、CFCHCF、CCHCH等を用いることができる。また、金属薄膜層15がCrやAlなどで形成されている場合、エッチングガスとしてCl、CCl、SiCl、BCl、PCl、CBrF、BBr、CClF、CCl、CClF、CCl、CClF、HCl、CHCl、CHCl、HBr等を用いることができる。
【0025】
図2Gを参照する。Oアッシングによりレジスト膜25を除去する。反応性イオンエッチングによりOを反応ガスとして、ガス流量100SCCM、高周波出力300W、圧力100mTorrで、およそ1分30秒間行った。
【0026】
このように本実施例においては、ガラス板14の一面側に、マスク30とほぼ合同なパターンを有するワイヤーグリッド領域22aを含むミラー板22が作製される。
【0027】
作製したミラー板22を用いて、液晶モニター付きミラーアッセンブリを作製する。
【0028】
図3Aは、作製したミラー板22から構成される液晶モニター付きミラーアッセンブリを概略的に示す正面図である。ミラー板22裏面においてワイヤーグリッド領域22aに対応した部分に、液晶モニター13を配置する。液晶モニター13は、液晶セルと液晶セルの裏面側の偏光板とワイヤーグリッド領域が構成する偏光板で構成される。液晶モニター13には垂直配向タイプを用いた。垂直配向タイプの液晶モニターは黒レベルが極めて低いため光抜けが少なく、反射率も比較的高い。そのため、ワイヤーグリッド領域をミラーとして利用する際、金属薄膜領域との視認上の違和感が低減される。なお、液晶モニター13は、水平配向タイプでも良い。
【0029】
本願発明者らは、ワイヤーグリッドのピッチを0.16μmとし、スリット幅Wを変化させたサンプルS1(スリット幅W:0.02μm)、サンプルS2(スリット幅W:0.06μm)、サンプルS3(スリット幅W:0.08μm)のミラー板を作製し、それらの透過率と反射率を測定した。各サンプルのワイヤーグリッド領域の面積は80mm×20mmとした。
【0030】
図3Bは、作製したミラー板の各ワイヤーグリッド領域において、入射光の波長に対する反射率変化を示すグラフである。全反射ミラーを反射する光量を100%とし、ワイヤーグリッド領域の裏面に垂直配向型液晶モニターを配置したときのミラー板のワイヤーグリッド領域における反射率を測定した。このグラフから、ワイヤーグリッド領域のスリット幅Wが狭くなるとともに反射率が増加していることがわかる。サンプルS1の反射率が相対的に高いことから、ミラーとして適していると言える。
【0031】
図3Cは、作製したミラー板の各ワイヤーグリッド領域において、入射光の波長に対する透過率変化を示すグラフである。ミラー板とほぼ同厚(0.7mmt)のガラス基板を透過する光量を100%としたときのミラー板のワイヤーグリッド領域における透過率を測定した。このグラフから、ワイヤーグリッド領域のスリット幅Wが狭くなるとともに透過率が低下していることがわかる。サンプルS1は、反射率が高い反面、相対的に透過率が低くなっているが、可視光域において、波長依存性が小さいことがわかる。ワイヤーグリッド領域の裏面に液晶モニターを配置し、実際に映像を確認したところ、波長依存性が小さいため違和感が少なく相対的に明瞭な映像を確認することができた。
【0032】
以上の測定から、作製したミラー板のワイヤーグリッド領域は、ハーフミラーとして利用できることがわかった。特に、サンプルS1の条件のワイヤーグリッド領域は、反射率が相対的に高く、透過率の波長依存性が小さく液晶モニターからの表示が明瞭に視認できることを確認できた。ワイヤーグリッドのピッチが0.16μmの場合、スリット幅は0.04μm以下(ピッチの1/4以下)が好ましいであろう。
【0033】
ハーフミラーとして機能するワイヤーグリッド領域は電気抵抗として機能させることもでき、電圧を印加することによってヒーターとしても利用可能である。
【0034】
図4Aは、作製したワイヤーグリッド領域を模式的に示す。ワイヤーグリッド領域22aは、ガラス板14上に複数の金属ワイヤー20aが等ピッチに配列された構造になっている。さらに、複数の金属ワイヤー20aの延在方向の両端で金属ライン20b、20cにより電気的に接続されている。複数の金属ワイヤー20aは抵抗としても機能し、金属ライン20bと20cの間に電圧を印加することにより、ワイヤーグリッド領域22aをヒーターとして利用することが可能である。複数の金属ワイヤー20aの抵抗値をrとすると、その抵抗値rは(金属の抵抗率[Ωm]×金属ワイヤーの長さ[m])/金属ワイヤーの断面積[m]となる。複数の金属ワイヤー20aの並列合成抵抗をRとすると、例えば金属ライン20bと20cの間に電圧Vを印加することによってV/Rのジュール熱が発する。さらに、通常の電圧源がそうであるように、金属ライン20bと20cのどちらかをアースに接続すれば、電圧を印加していない状態でもワイヤーグリッド領域22aの電位を安定に保つことができる。この場合、ワイヤーグリッドは導電体として機能する。
【0035】
図4Bは、作製した液晶モニター付きミラーアッセンブリのワイヤーグリッド領域に外部回路を接続した様子を概略的に示す斜視図である。ワイヤーグリッド領域22aにおける金属ライン20bと20cは外部回路(例えば直流電源回路)の出力端子とコモン端子に電気的に接続され、金属ライン20bと20cのどちらか一方はアースにも電気的に接続されている。液晶モニター13は、ワイヤーグリッド領域22aにガラス板14を介して近接しているため、ワイヤーグリッド領域への電圧印加によって生じる発熱は、効率的に液晶モニター13へ伝導し、液晶物質を昇温するため、低温環境における液晶モニターの応答速度改善に寄与する。また、ワイヤーグリッド領域22aがアースに接続され電位が安定しているため、ミラー板22表面の帯電による誤表示の懸念も解消されるであろう。
【0036】
ワイヤーグリッド領域22aのヒーターとしての効果と帯電に対する保護回路としての効果を確認した。作製した液晶モニター付きミラーアッセンブリをマイナス5℃環境に放置し、液晶モニターの表示面13aが約マイナス5℃になっていることを確認した後、ワイヤーグリッド領域22aから引き出した導線を介して12Vの直流電圧を印加した。電圧を印加してから1分後には、表示面13aが約10℃まで加熱されることを確認できた。この結果は、低温環境における液晶モニターの応答速度低下改善を示唆している。なお、印加電圧は交流電圧でもかまわない。ミラー板22表面が帯電した場合の効果についても、確認を行った。ワイヤーグリッド領域22aがアースに接続していない状況でミラー板22表面をナイロン布で摩擦した場合、1分程度誤表示が解消されないのに対し、アースに接続された状況では全く誤表示が起きないことを確認できた。以上より、当初の課題であった低温環境や静電気による表示品質の低下は、ハーフミラーをワイヤーグリッド偏光板で構成することにより、対策部材を追加することなく改善できることが示唆される。
【0037】
さらに、ワイヤーグリッド領域は偏光板として機能するため、液晶モニターの表示面に配置される樹脂フィルム偏光板の代替として利用可能である。液晶モニター13は、一般には図4Cに示すように、液晶セル41の外側にヨウ素または染料を分散した樹脂をフィルム化し一軸方向に延伸して作製される樹脂フィルム偏光板40a、40bが配置され、表示面13aの反対面にバックライト42が配置される構成となる。ワイヤーグリッド領域22aは、偏光板として機能するため、樹脂フィルム偏光板40aの代替としても兼用可能である。このことは、液晶モニター13の構成部品を削減し、当該ミラーアッセンブリ全体としてのコスト削減に貢献する。
【0038】
以上、実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0039】
例えば、実施例によるミラー板の製造方法においては、マスク(レチクル)を使用する場合について述べたが、高精度のスタンパを用いてパターンを転写する技術(ナノインプリント技術)を利用してもよい。いずれの場合も、マスターパターンを一度作れば、繰り返し用いることができる。
【0040】
さらに、金属薄膜層におけるワイヤーグリッド領域の位置や形状は、配置する液晶モニターの形状や表示する情報、用途によって変更することが可能である。例えば、ミラー板全面にワイヤーグリッド領域を形成してもよい。図4Dに示すように、ワイヤーグリッド偏光板となるミラー板22の透過軸は水平面43と平行に設定することが好ましい。通常、水面等からの反射光は、水平偏光をより多く含む。水平偏光に沿うようミラー板22の透過軸を設定すれば、入射光19bの水平偏光成分は透過するため、反射光19cの水平偏光成分は低減される。つまり、図4Dに示すミラー板22は、防眩機能付きミラーとして利用することが可能である。また、図4Eに示す液晶モニター付きミラーアッセンブリの断面図のように、ガラス板14上に形成されたワイヤーグリッド領域22aに、透光性の表面保護層45を配置し、表面保護層45を挟んで液晶モニター13を配置してもよい。
【0041】
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【符号の説明】
【0042】
12 ミラー板
13 液晶モニター
14 ガラス板
15 金属薄膜層
16 黒色塗装膜
19 映像光
22 ワイヤーグリッド偏光板付きミラー板
25 レジスト膜
29 外部回路
30 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上に半透光性領域を含む金属薄膜が形成されたミラー板と、
前記ミラー板の前記半透光性領域裏面に配置され、液晶セルと偏光板とバックライトを含む液晶モニターと、
を含む、液晶モニター付きミラーアッセンブリであって、
前記半透光性領域は、複数の金属ワイヤーが一方向に等ピッチで配列されたワイヤーグリッド偏光板部と、前記金属ワイヤー延在方向の両端部各々で各金属ワイヤーを電気的に導通する接続部とを含み、
a)それぞれの前記接続部が外部回路に接続されている、か
b)どちらか一方の前記接続部がアースに接続されている、
ことを特徴とする液晶モニター付きミラーアッセンブリ。
【請求項2】
前記偏光板と前記半透光性領域のワイヤーグリッド偏光板部とがクロスニコル偏光板を構成し、前記液晶セルが垂直配向液晶セルであることを特徴とする請求項1記載の液晶モニター付きミラーアッセンブリ。
【請求項3】
前記金属ワイヤーのピッチが0.5μm以下であり、間隔が前記金属ワイヤーのピッチの4分の1以下であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶モニター付きミラーアッセンブリ。
【請求項4】
前記金属薄膜の膜厚が、500〜2000Åであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の液晶モニター付きミラーアッセンブリ。
【請求項5】
前記金属薄膜がモリブデン、クロム、アルミニウムないしチタンから構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の液晶モニター付きミラーアッセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate


【公開番号】特開2011−145331(P2011−145331A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3859(P2010−3859)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】