説明

モノアシル化ベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体、その製造および使用

本発明のベツリンおよびジヒドロベツリンアシル誘導体は強力な抗HIV活性を有することが言い出された。本発明の化合物は、本明細書に記載された式Iを有する化合物、またはその製薬的に許容し得る塩[ここに、R1は、C2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルであり、R2は、水素、クロロ、ブロモまたはヒドロキシであり、R4は、水素、またはC(C653であり、ここで、破線は、C20とC29との間の任意の二重結合を表する]である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベツリンおよびジヒドロベツリンの新規合成誘導体、およびそのような誘導体の医薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レトロウイルスは、小さく一本鎖のプラス鎖RNAウイルスである。レトロウイルス粒子は、2つの同一の一本鎖プラス鎖RNA分子を含む。それらのゲノムは、とりわけ、逆転写酵素としても知られるRNA依存性DNAポリメラーゼの配列を含む。逆転写酵素の多くの分子は、成熟ウイルス粒子においてゲノムRNAと密接な関連にあることが見い出されている。細胞への進入において、この逆転写酵素は、二本鎖のDNAのウイルスゲノムのコピーを生成し、次いで、これは、宿主細胞のクロマチンへと挿入される。一旦挿入されると、このウイルスの配列は、プロウイルスと呼ばれる。レトロウイルス組込みは、ウイルスタンパク質に直接依存する。線状のウイルスDNA末端(LTR)は、組み込まれたプロウイルスDNAの直接の前駆体である。組込み部位では宿主のDNAの短い範囲の特徴的な重複が存在する。
【0003】
子孫ウイルスゲノムおよびmRNAは、プロウイルス配列の末端領域における転写調節シグナルである長末端反復すなわちLTRに応答して宿主細胞RNAポリメラーゼによって挿入されたプロウイルス配列から転写される。宿主細胞のタンパク質産生機構を使用して、ウイルスタンパク質が生成され、その多くは、ウイルスのコードするプロテアーゼによってプロセシングを受けるまでは不活性である。代表的に、子孫ウイルス粒子は、非溶解性の様式で細胞表面から出芽する。レトロウイルス感染は、感染した細胞または生物の正常な生活環に必ずしも干渉緩衝するわけではない。しかし、宿主生物に対して常に良性であるわけでもない。殆どのクラスのDNAウイルスが腫瘍形成と関連付けられ得るが、レトロウイルスは、RNAウイルスの中で腫瘍原性である唯一の分類学上の群である。種々のレトロウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、これは、ヒトにおける後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因である病因因子である)もまた、高等動物の免疫系のいくつかの非常に異常な疾患の原因である。
【0004】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、レトロウイルスの亜科であるレンチウイルスのメンバーである。多くのレトロウイルスは、周知の発ガン因子である。HIV自体は、ヒトまたは他の動物においてガンを発生させることは知られていないが、それは、宿主に対して激しい攻撃を提示する。ウイルスゲノムは、多くの調節エレメントを含み、これは、そのウイルスが静止細胞および分裂細胞の両方において複製速度を制御することを可能とする。最も重要なことに、HIVは、免疫系の細胞に感染し、そして侵入し;これは、身体の免疫系を破壊し、そしてその患者を日和見感染および新生物に対して感受性にさせる。免疫欠損は、進行性でありそして不可逆性であるようであり、数年間にわたって100%に近づく高死亡率を伴う。
【0005】
HIV−1は、栄養性であり、そして細胞表面識別抗原CD4(OKT4、T4およびleu3としても知られる)を発現する免疫系の細胞であるT4リンパ球に対して細胞変性性である。ウイルス栄養性は、ウイルスエンベロープ糖タンパク質であるgp120と、細胞表面CD4分子との間の相互作用に起因する(Dalgeishら、Nature、312:763−767(1984))。これらの相互作用は、HIVによる感受性細胞の感染を媒介するのみならず、感染したT細胞と感染していないT細胞とのウイルス誘発性の融合の原因ともなっている。この細胞融合は、HIV感染患者におけるCD4細胞の巨大な多核合胞体の形成、細胞死、および進行性涸渇をもたらす。これらの事象は、HIV誘発性免疫抑制およびその後続の続発症、日和見感染および新生物をもたらす。
【0006】
CD4+T細胞に加え、HIVの宿主の範囲は、単核食作用系統の細胞を含み(Dalgleishら、前出)、これには、血液単球、組織マクロファージ、皮膚のランゲルハンス細胞およびリンパ節内の細網細胞が含まれる。HIVはまた、神経栄養性であり、中枢神経系における単球およびマクロファージに感染し得、重篤な神経障害を生じる。マクロファージ/単球は、主要なHIVのリザーバである。それらは、CD4保有T細胞と相互作用し、そして融合して、T細胞の涸渇を生じ、従って、AIDSの病因に寄与し得る。
【0007】
かなりの進展が、過去数年間の間にHIV−1治療のための薬物開発においてなされてきた。現在では、米国において12の薬物が使用承認を受けており、これには5つのヌクレオシドアナログ逆転写酵素インヒビター(AZT、3TC、ddI、ddCおよびD4T)、3つの非ヌクレオシドRTインヒビター(ネビラピン、デラビルジンおよびエファビレンツ)、および4つのプロテアーゼインヒビター(サキナビル、リトナビル、インジナビルおよびネルフィナビル)が含まれる。これらの薬物の組合せは特に有効であり、そして血漿中のウイルスRNAのレベルを検出不能レベルにまで減少させ得、そしてウイルスの耐性の発生を遅延化させ得、患者の健康および寿命において改善をもたらす。
【0008】
これらの利点にもかかわらず、現在利用可能な薬物療法には、なお問題が存在する。これらの薬物の多くは、重篤な毒性を示し、他の副作用(例えば、脂肪再分布)を有し、または複雑な投与スケジュールを要求し、これは、コンプライアンスを低減させ、それゆえ効力を制限する。HIVの耐性株はしばしば、組合せ治療でさえも長期間におよぶと発生する。これらの薬物の高いコストもまた、特に、先進国以外で、その広汎な使用についての制限となっている。
【0009】
これらの問題を回避するさらなる薬物の開発に対するかなりの必要性がなお存在する。理想的には、これらは、ウイルスの生活環において異なる段階を標的化しており、組合せ治療について武器を追加し、そして最小限の毒性を示し、なお、より安い製造コストを有する。
【0010】
これまで、ベツリン酸およびプラタン酸(platanic acid)は、Syzigium claviflorum由来の抗HIV素因として単離された。ベツリン酸およびプラタン酸は、H9リンパ球におけるHIV−1複製に対して、阻害活性を示しており、EC50値は、それぞれ、1.4μMおよび6.5μMであり、そしてT.I.値は、それぞれ9.3および14であった。ベツリン酸の水素化によって、ジヒドロベツリン酸が得られ、これは、若干より強力な抗HIV活性を示し、EC50値は0.9であり、そしてT.I.値は、14であった(Fujioka,T.ら、J.Nat.Prod.57:243−247(1994))。
【0011】
ベツリン酸(1)の特定の置換アシル基(例えば、3',3'−ジメチルグルタリル基および3’,3’−ジメチルスクシニル基)でのエステル化によって、活性が増強された誘導体が生成した(Kashiwada,Y.ら、J.Med.Chem.39:1016−1017(1996))。強力な抗HIV薬剤であるアシル化ベツリン酸およびジヒドロベツリン酸の誘導体はまた、米国特許第5,679,828号に記載される。
【化1】

【0012】
米国特許第5,468,888号は、ルパン(lupane)の28−アミド誘導体を開示しており、これは、HIV感染細胞に対して細胞保護効果を有すると記載されている。
【0013】
特願2001−143,832号は、抗ガン分野において有用である、ベツリン(3)およびその3,28−ジエステルを開示する。
【化2】

【0014】
米国特許第6,172,110号は、強力な抗HIV活性を有することが見出されたベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体を開示する。
【化3】

【0015】
ベツリンの3'炭素のコハク酸によるエステル化により、HIV−1活性を阻害することが可能な化合物が生じる(Pokrovskii, A.G. et al., Gos. Nauchnyi Tsentr Virusol. Biotekhnol. "Vector", 9:485−491 (2001))。
【0016】
公開された国際出願WO 02/26761は、真菌感染症を処置するためのベツリンおよび類縁体の使用を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
改善された生体内分布(biodistribution)特性および異なる作用様式を有する、強力な抗レトロウイルス活性、特に抗HIV活性、を有する化合物の必要性が依然として存在する。そのような化合物は、現存の抗HIV治療に追加することが緊急に必要とされる。また、膣またはその他の粘膜に局所的に投与して個人間のHIV感染を予防できる安全で有効な化合物に対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】

本発明の第一の態様は、以下の式Iの新規化合物:
【0019】
【化4】

[式中、
1は、C2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルであり、
2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは−OR3であり;
3は、水素、C2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルであり;
4は、水素、またはC(C653であり、
ここで、破線は、C20とC29との間の任意の二重結合を表す]
で示される化合物または、その製薬的に許容し得る塩に関する。
【0020】
本発明の第二の態様は、医薬組成物に関し、これは、1以上の式Iの化合物、および製薬的に許容し得るキャリアまたは希釈剤を含有する。1以上のさらなる薬学的に活性な化合物もまた、これらの組成物に含有され得る。
【0021】
本化合物は、抗レトロウイルス剤として有用である。従って、本発明の第三の態様は、動物の細胞または組織におけるレトロウイルス感染を阻害するための方法に関し、これは、式Iの化合物のレトロウイルス阻害有効量を投与する工程を包含する。好ましい態様は、レトロウイルス関連病理に罹患する患者を処置するための方法に関し、これは、被験体に、式Iの化合物を含む医薬組成物のレトロウイルス阻害有効量を投与する工程を包含する。
【0022】
式Iの3−O-アシルベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体は、1以上の抗ウイルス剤と共に組み合わせ治療に用いることができる。従って、本発明は、レトロウイルス関連の病状に冒されている患者を処置する方法であって、その患者にレトロウイルス阻害効果量の式Iで示される化合物を、1以上の抗ウイルス剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。好ましくは、この抗ウイルス剤は、米国においてHIV治療での使用が承認されているものである。
【0023】
本発明はさらに、個人間のHIV感染の伝搬を阻止する方法を提供する。特に、本発明は、HIVに感染した妊婦から胎児へのHIV感染の伝搬を阻止する方法であって、該妊婦および/または該胎児にレトロウイルス阻害に有効な量の1以上の式Iで示される化合物を妊娠中または出産直前、出産時または出産後に投与することを含む方法を提供する。
【0024】
さらに本発明は、性交渉中のHIV感染の伝搬を予防する方法であって、性交渉の前に、レトロウイルス阻害に有効な量の1以上の式Iで示される化合物を含有する局所用組成物を膣または粘膜に適用することを含む方法を提供する。
【0025】
さらに、本発明は式Iの化合物の製造方法に関する。
【0026】
本発明のさらなる態様および利点は、以下のとおり明細書中に記載し、また、明細書の記載から自明であり、または本発明の実践によって取得し得る。本発明の態様および利点は、添付の請求の範囲において特に示された指摘された要素および組み合わせによって理解され達成される。
【0027】
上記の一般的記載および以下の詳細な説明は、例示および単なる説明であって特許請求の範囲のように、本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の化合物は、以下の一般式Iを有する化合物である:
【化5】

[式中、
1は、C2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルであり、
2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは−OR3であり;
3は、水素、C2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルであり;
4は、水素、またはC(C653であり、
ここで、破線は、C20とC29との間の任意の二重結合を表し、
但し、R1はスクシニル、即ち
【化6】

ではない]
を有する化合物または、その製薬的に許容し得る塩である。
【0029】
本発明の好ましい化合物は、R2が水素である化合物である。1つの態様において、C20とC29との間の結合は二重結合である。別の態様において、C20とC29との間の結合は単結合である。
【0030】
別の群の好ましい化合物は、R2がハロゲンまたは−OR3であり、ここでR3はC2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルである化合物である。1つの態様において、C20とC29との間の結合は二重結合である。別の態様において、C20とC29との間の結合は単結合である。
【0031】
さらにより好ましいのは、R1が3’炭素原子にてモノ置換またはジ置換されているC4−C16のカルボキシアルカノイル基である化合物である。そのような側鎖は、以下の式:
−C(O)CH2R’R”(CH2)bCOOH
を有し、ここで、R’およびR”は、それぞれ、C1-4アルキルであり、好ましくはメチルもしくはエチルであるか、またはR’は水素であり、かつ、R”はC1-4アルキルであるか、またはR’およびR”は一緒になってジメチレン結合、トリメチレン結合、テトラメチレン結合またはペンタメチレン結合を形成し、そしてbは0〜12であり、好ましくは、bは0〜4であり、最も好ましくは、bは0または1である。いくつかの態様では、R1は1以上の二重結合を含んでいてもよい。
【0032】
さらに好ましいのは、以下の化合物であって、ここで、前記R1が、以下の式のC4−C16カルボキシアルコキシアセチル基である:
−C(O)CH2O(CH2aCOOH
を有し、ここで、aは、1〜10であり、好ましくは1〜4であり、最も好ましくは1または2である。
【0033】
2の好ましい値は以下を含む:水素、ハロゲン、または−OR5(ここで、R5は、好ましくは水素である);−C(O)CH2R’R”(CH2)bCOOH(ここで、R’、R”およびbは前記と同意義である);あるいは−C(O)CH2O(CH2)aCOOH(ここで、aは前記と同意義である)。
【0034】
式Iの有用な化合物としては、R1が、それぞれ以下:
【化7】

のうちの一つであり;そしてR2が、好ましくは、水素、クロロ、ブロモもしくはヒロドキシである化合物が挙げられる。
【0035】
本発明において、本発明の側鎖R1およびR3は置換されていてもいなくてもよい。いくつかの態様では、R1およびR3は1〜3のヒドロキシまたはハロで置換されていてもよい。いくつかの態様では、アルキル基およびR1およびR3のアルキルを含有する基は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基であってよい。
【0036】
また、本発明の範囲には、本発明化合物の非毒性の医薬上許容される塩が含まれる。これらの塩は、化合物の最終の単離および精製の間に in situ で、またはその遊離塩基の形態の精製された化合物を適当な有機または無機の酸と別々に反応させ、形成した塩を単離することによって製造することができる。医薬上許容される塩の例としては、有機および無機の酸付加塩が挙げられる。これらには、アルカリおよびアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、リチウムカリウム、カルシウム、マグネシウムなど、並びに非毒性のアンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンカチオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、N−メチルグルカミンなどが含まれるがこれに限定されない)が挙げられる。
【0037】
本発明のベツリンおよびジヒドロベツリンは、抗レトロウイルス活性、特に抗HIV活性を有することが見出された。本発明の誘導体は、改善された水溶性および増強された経口バイオアベイラビリティーを有すると予想される。また、改善された水溶性によって本発明の類縁体を医薬調製物に容易にできる。さらに、本発明のベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体は、改善された生体内分布特性を有すると予想される。
【0038】
最も活性な化合物のC3アシル基は、C3’位にジメチル基または酸素を有する。この観察は、この型のアシル基が抗HIV活性を増強するに重要であり得ることを示唆する。
【0039】
本発明はまた、上記のベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体の少なくとも1つを、必要に応じて、1つの以上の公知の抗AIDS治療薬または免疫賦活剤のいずれかと組み合せて、投与することによって、HIV−1に感染した被験体を処置する方法に関する。
【0040】
本発明の他の特徴、利点、態様、態様および目的は、本明細書において提示される記載、教示および指針に基づけば、関連分野の当業者には明白である。
【0041】
本発明の類縁体は、抗レトロウイルス活性を有することが発見され、従って、必要に応じて、抗レトロウイルス化合物、抗HIV化合物および/または免疫賦活性化合物あるいは抗ウイルス抗体またはそのフラグメントのようなさらなる薬学的活性成分とともに、レトロウイルス感染を処置するための適切な化合物および組成物を提供する。
【0042】
用語「抗レトロウイルス活性」または「抗HIV活性」とは、以下の少なくとも1つを阻害する能力を意図する:
(1)ウイルスの宿主細胞ゲノムへのプロDNA組込み;
(2)細胞へのレトロウイルスの接着;
(3)細胞へのウイルスの侵入;
(4)ウイルス複製を可能にする細胞代謝;
(5)そのウイルスの細胞内拡散の阻害;
(6)ウイルス抗原の合成および/または細胞性発現;
(7)ウイルスの出芽および成熟;
(8)ウイルスがコードする酵素の活性(例えば、逆転写酵素、インテグラーゼおよびプロテアーゼ);および/または
(9)任意の公知のレトロウイルス作用またはHIV病原性作用(例えば、免疫抑制)。従って、これらの機構のいずれかを阻害する傾向のある任意の活性は、「抗レトロウイルス活性」または「抗HIV活性」である。
【0043】
本発明のベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体は、単独で、または当該分野で公知の他の様式の治療と組み合せて、レトロウイルス(例えば、HIV)感染の処置のために使用され得る。このような治療の態様としては、薬物(例えば、AZT、ddC、ddA、d4T、ddIまたは他の任意の抗レトロウイルス薬物の少なくとも1つあるいは抗体を互いに組み合せたもの、あるいは例えば、可溶性CD4、CD4に対する抗体、およびCD4もしくは抗CD4の結合体、または本明細書においてさらに提示するもののような生物学に基づいた治療剤との組合せであるが、それらに限定されない)を用いた化学療法が挙げられる。
【0044】
本発明のベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体が正常細胞に対して比較的ほとんどまたは実質的に全く毒性がないことから、その有用性は、確立されたレトロウイルス感染の処置に限定されない。例えば、本発明に従うベツリン誘導体は、血液銀行において維持されているもののような血液製剤を処置するに使用され得る。国の血液供給は、現在HIVに対する抗体について試験されている。しかし、この試験は、まだ不完全なもので、そして陰性の試験結果であったサンプルでもなお、HIVウイルスを含み得る。血液および血液製剤を、本発明のベツリン誘導体で処置することは、検出されなかったかもしれない任意のレトロウイルスを殺傷することによってさらなる程度の安全性を付加し得る。
【0045】
さらに、本発明のベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体は個人間のHIVの伝搬を阻止するための予防約として用いることができる。例えば、この誘導体を、HIVに感染した妊婦および/または胎児に、妊娠中、出産の直前、出産時または出産後に、経口または注射により投与して、新生児が感染する可能性を低減することができる。また、この誘導体を分娩直前に膣に投与して、新生児が産道を通る間の感染を予防することができる。さらに、本発明の誘導体は、1以上の式IまたはIIで示される化合物を含有する局所用組成物のレトロウイルス阻害に有効な量を、性交渉前に膣またはその他の粘膜に適用することにより、性交渉中のHIVの伝搬を予防することができる。例えば、本発明の本発明を用いて、感染した男性から感染していない女性へのまたはその逆のHIVの伝搬を予防することができる。
【0046】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つのベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体を含み得る。本発明に従う医薬組成物はまた、例えば、以下を含むがそれらに限定されない他の抗ウイルス薬剤をさらに含む:AZT(ジドブジン、RETROVIR、Glaxo Wellcome)、3TC(ラミブジン、COMBIVIR、Glaxo Wellcome)、ddI(ジダノシン、VIDEX、Bristol−Myers Squibb)、ddC(ザルシタビン、HIVID、Hoffmann−La Roche)、D4T(スタブジン、ZERIT、Bristol−Myers Squibb)、アバカビル(ZIAGEN、Glaxo Wellcome)、ネビラピン(VIRAMUNE,Boehringer Ingelheim)、デラビルジン(Pharmacia and Upjohn)、エントリシタビン(EMTRIVA、Gilead Science)、エファビレンツ(SUSTIVA,DuPont Pharmaceuticals)、テノフォビル(VIREAD、Gilead Science)、サキナビル(INVIRASE、FORTOVASE,Hoffmann−La Roche)、リトナビル(NORVIR、Abbott Laboratories)、インジナビル(CRIXIVAN、Merck and Company)、ネルフィナビル(VIRACEPT、Agouron Pharmaceuticals)、アンプレナビル(AGENERASE、Glaxo Wellcome)、アデフォビル(PREVEON,HEPSERA、Gilead Sciences)、アタザナビル(REYATAZ、Bristol−Myers Squibb)、ロピナビルおよびリトナビル(KALETRA、Abbot Laboratories)、およびヒドロキシ尿素(HYDREA、Bristol−Meyers Squibb)または任意の他の抗レトロウイルス薬または抗体を互いに組み合わせて、または例えば、gp41由来ペプチドエンフビルチド(FUSEON、Roche and Trimeris)やT−1249または可溶性CD4、CD4に対する抗体およびCD4または抗CD4のコンジュゲート、または本明細書にさらに示すような、生物学的ベースの治療剤と共に含有することができる。
【0047】
本発明のベツリン誘導体との最適な使用について適切なさらなる抗ウイルス薬剤としては、以下を含み得るがそれらに限定されない:Ethigen Corporation and Matrix Research Laboratoriesによって製造されるAL−721(脂質混合物);アムホテリシンBメチルエステル;DuPont/HEM Researchによって開発されたAmpligen(ミスマッチRNA);抗AIDS抗体(Nisshon Food);1 AS−101(重金属ベースの免疫賦活剤);Triton Biosciences(Shell Oil)によって製造されるBetaseron(βインターフェロン);ブチル化ヒドロキシトルエン;Carrosyn(ポリマンノアセテート);Castanosperimine;Contracan(ステアリン酸誘導体);Pharmalecによって製造されるCreme Pharmatex(塩化ベンザルコニウムを含有する);CS−87(ジドブジンの5−非置換誘導体)、Syntex Corporationによって製造されたCytovene(ガンシクロビル);硫酸デキストラン;Carter−Wallace and Degussa Pharmaceuticalによって製造されるD−ペニシリラミン(3−メルカプト−D−バリン);Astra ABによって製造されるFoscarnet(ホスホノ蟻酸ナトリウム);Leo Lovensによって製造されるフシジン酸;グリチルリチン(甘草根の構成成分);Rhone−Poulenc Sant’eによって製造されるHPA−23(アンモニウム−21−タングスト−9−アンチモネート);Porton Products Internationalによって開発されたヒト免疫不全ウイルス抗ウイルス剤;Merrell−Dowによって製造されるOrnidyl(エフロルニチン);ノノキシノール;Lypho Medによって製造されるペントアミジンイセチオナート(PENTAM−300);Peninsula Laboratoriesによって製造されるペプチドT(オクタペプチド配列);フェニトイン(Warner Lambert);Ribavirin;Adria Laboratoriesによって製造されるRifabutin(アンサマイシン);CD4−IgG2(Progenics Pharmaceuticals)または他のCD4含有分子もしくはCD4ベースの分子;T−20(Trimeris);Warner−Lambert Companyによって製造されるTrimetrexate:Sanwa Kagakuによって製造されるSK−818(ゲルマニウム由来の抗ウイルス剤);Miles Pharmaceuticalsによって製造されるスラミンおよびそのアナログ;Ueno Fine Chemicals Industryによって製造されるUA001;ならびにGlaxo Wellcomeによって製造されるWellferon(αインターフェロン)。
【0048】
本発明の医薬組成物はまた、免疫調節剤をさらに含み得る。本発明に従って、本発明のベツリンの誘導体とともに必要に応じて使用するための適切な免疫調節剤は、以下を含むがそれらに限定されない:ABPP(Bropririmine);DuPonr/HEM ResearchのAmpligen(ミスマッチRNA);抗ヒトインターフェロンα抗体(Advance Biotherapy and Concepts);抗AIDS抗体(Nisshon Food);AS−101(重金属ベースの免疫賦活剤;アスコルビン酸およびその誘導体インターフェロンβ;Carrosyn(ポリマンノアセテート);Ciamexon(Boehringer−Mannheim);シクロスポリン;シメチジン;CL−246,738(American Cyanamid);コロニー刺激因子(GM−CSF(Sandoz,Genetics Institute)を含む);ジニトロクロロベンゼン;HE2000(Hollis−Eden Pharmaceuticals);インターフェロン−α;インターフェロン−γ;グルカン;超免疫γグロブリン(Bayer);IMREG−1(白血球透析物)およびIMREG−2(IMREG Corp.);イムチオール(ジエチルチオカルバミン酸ナトリウム)(Institut Merieux);インターロイキン1(Cetus Corporation;Hoffmann−LaRoche;Immunex);インターロイキン2(IL−2)(Chiron Corporation);イソプリノシン(イノシンプラノベクス);Krestin(三共);LC−9018(ヤクルト);レンチナン(味の素/山之内製薬);LF−1695(Fournier);メチオニン−エンケファリン(TNI Pharmaceuticals;Sigma Chemicals):Minophagen C;ムラミルトリペプチド、MTP−PE(Ciba−Geigy);ナルトレキソン(「Trexan」DuPont);Neutropin(RNA免疫調節剤)(Nippon Shingaku);Remune(Immune Response Corporation);Reticulose(Advanced Viral Research Corporation);小柴胡湯およびニンジン;胸腺体液性因子;TP−05(Thymopentin、Ortho Pharmaceuticals);サイモシン第五因子およびサイモシン1;Thymostimulin;Genentechによって製造されるTNF(腫瘍壊死因子);ならびにビタミンB調製物。
【0049】
本発明の好ましい動物被験体は、哺乳動物である。用語「哺乳動物(の)」とは、哺乳綱に属する個体を意味する。本発明は、ヒト患者の処置において特に有用である。
【0050】
用語「処置」とは、レトロウイルス関連病理の予防、改善または治癒を含み得る目的のために、ベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体を被験体に投与することを意味する。
【0051】
医薬は、それらがその患者に同時に投与される場合または各医薬の投与の間の時間が生物学的活性の重複を許容するような場合に、互いに「組み合せて」提供されることが考慮される。
【0052】
1つの好ましい態様において、少なくとも1つのベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体は、単一の医薬組成物を含み得る。
【0053】
本発明に従う投与のための医薬組成物は、本発明に従う少なくとも1つのベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体を、製薬的に許容し得る形態において、必要に応じて製薬的に許容し得るキャリアと組み合せて含み得る。これらの組成物は、その意図する目的を達成する任意の手段によって投与され得る。本発明に従うベツリン誘導体の投与のための量および養生法は、レトロウイルス病理を処置する臨床分野の当業者によって用意に決定され得る。
【0054】
例えば、投与は非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮または経頬粘膜の経路)によるものであり得る。あるいは、または同時に、投与は、経口経路によるものであり得る。投与される投薬量は、そのレシピエントの年齢、健康および体重、既に受けた処置または同時に受けている処置の型(あれば)、処置の頻度および所望される効果の性質に依存する。
【0055】
本発明の範囲内の組成物は、本発明に従う少なくとも1つのベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体を、その意図する目的を達成するに有効な量において、含有する全ての組成物を含む。個体の必要量は変動するが、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当業者の範囲内である。代表的な投薬量は、約0.1mg/kg体重〜約100mg/kg体重を包含する。好ましい投薬量は、約1mg/kg体重〜約100mg/kg体重の活性成分を包含する。最も好ましい投薬量は、約10mg/kg体重〜約100mg/kg体重を包含する。
【0056】
治療的投与はまた、本発明の少なくとも1つのさらなるベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体または他の治療薬剤(例えば、抗ウイルス剤または免疫賦活剤)の、事前の、同時の、事後のまたは付属の投与を包含し得る。そのようなアプローチにおいて、第二の薬物の投薬量は、好ましくは、第一の治療剤の投薬量と同一であり得るか、または異なり得る。好ましくは、その薬物は、各薬物の推奨される量において別の日に投与される。
【0057】
本発明の化合物の投与はまた、必要に応じて、免疫系の追加免疫剤または免疫調節剤を使用する、事前の、同時の、事後のまたは付属的な治療を包含し得る。薬理学的に活性な化合物に加えて、本発明の医薬組成物はまた、薬学的に使用され得る調製物へその活性化合物の処理を用意にする賦形剤および補助剤を含む適切な製薬的に許容し得るキャリアを含み得る。好ましくは、調製物、特に、経口投与され得る調製物、ならびに錠剤、糖衣錠、およびカプセルのような投与の好ましい型について使用され得る調製物、ならびにまた直腸投与され得る調製物(例えば、坐剤)、ならびに注射または経口による投与に適切な溶液は、約0.01%〜99%の、好ましくは、約20〜75%の、活性化合物を、賦形剤とともに含む。
【0058】
本発明の医薬組成物は、それ自身が公知である様式(例えば、慣用的な混合、造粒、糖衣製造、溶解または凍結乾燥のプロセス)によって製造される。従って、経口使用のための医薬組成物は、その活性化合物を、固体賦形剤とともに混合すること、必要に応じて、得られた混合物を粉砕すること、および所望される場合または必要である場合に、適切な補助剤を添加した後に、顆粒混合物を処理して錠剤または糖衣錠のコアを得ることによって得られ得る。
【0059】
適切な賦形剤は、例えば、糖(例えば、ラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール);セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム;ならびに結合剤(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、イモデンプンを使用したデンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン)のような賦形剤である。所望される場合、崩壊剤(例えば、上記に言及したデンプン類、およびさらにカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、あるいは、それらの塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))が添加され得る。補助剤には、とりわけ、流動性調節剤および滑沢剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはそれらの塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム)および/またはポリエチレングリコール)がある。糖衣のコアは、所望される場合、胃液に抵抗性である適切なコーティングとともに提供される。この目的のために、濃縮された糖溶液が使用され得、これは、必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールならびに/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含み得る。胃液に抵抗性のコーティングを生産するために、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような適切なセルロース調製物の溶液が使用される。染色物質または色素が、例えば、有効な化合物の用量の同定のため、またはその組合せを特徴付けるために、この錠剤または糖衣コーティングに添加され得る。
【0060】
経口で使用され得る他の薬学的調製物は、ゼラチンで作製された押し出し成型(push−fit)カプセル、およびゼラチンおよびグリセロールもしくはソルビトールのような可塑剤で作製された封入軟カプセルを含み得る。押し出し成型カプセルは、その有効な化合物を、賦形剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または滑沢剤(例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウム)、ならびに必要に応じて安定剤とともに混合され得る顆粒剤の形態で含み得る。軟カプセルにおいて、有効な化合物は、好ましくは、適切な液体(例えば、脂肪油または流動パラフィン)に溶解または懸濁される。さらに、安定剤が添加され得る。
【0061】
直腸で使用され得る可能な薬学的調製物は、例えば、有効な化合物と坐剤の基剤との組合せからなる坐剤を含む。適切な坐剤の基剤は、例えば、天然または合成のトリグリセリドまたはパラフィン炭水化物である。さらに、基剤と有効な化合物との組合せからなる直腸ゼラチンカプセルを使用することもまた可能である。可能な基剤材料としては、例えば、液体のトリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭水化物が挙げられる。
【0062】
非経口投与のための適切な処方物としては、水溶性形態の有効な化合物(例えば、水溶性の塩)の水溶液を含む。さらに、適切な油状注射懸濁液として有効な化合物の懸濁物が投与され得る。適切な親油性の溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油、または合成の脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド))が挙げられる。その懸濁物の粘性を上昇させる物質を含み得る水性注射用懸濁物は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む。必要に応じて、その懸濁物はまた、安定剤を含み得る。
【0063】
本発明に従う全身投与のための薬学的処方物は、経腸投与、非経口投与または局所投与のために処方され得る。実際、すべての3つの型の処方物を同時に使用して、その有効成分の全身投与を達成し得る。
【0064】
経口投与のための適切な処方物は、硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセル、糖衣錠、丸剤、錠剤(コーティング錠剤を含む)、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、または吸入剤およびそれらの徐放形態を包含する。
【0065】
経口投与のために処方されたものに加えて、固体投与形態は、直腸坐剤を含む。
【0066】
分娩中または性交渉中の個人間のHIV感染を予防するための予防用局所組成物は、1以上の式IまたはIIの化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る局所用担体または希釈剤を含有する。局所用組成物は、例えば、軟膏、クリーム、ジェル、スプレー、泡、またはスポンジの形態である。予防用局所用製剤における式IまたはIIの化合物の投与量は、一般に、約1000mgグラム未満、好ましくは、約0.01〜約100ミリグラムである。局所用製剤は他の予防用成分も含有し得る。担体および希釈剤は、他の製剤成分に適合し、患者に有害でない意味において許容される。
【0067】
局所用予防製剤としては、膣内、直腸または局所投与に適した製剤が挙げられる。この製剤は、適切な場合、分割された単位投与形態で便利に提供され、薬学分野の任意の既知の方法によって製造することができる。そのような方法は全て、活性成分を液体の担体、ジェルまたは微細な固形担体またはその両方と混合した後、必要ならば、生成物を所望の製剤に形成する工程を含む。
【0068】
膣内投与に適当な予防用製剤は、活性成分に加え当分野で公知の適当な担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペーストゼリー、泡またはスプレー、あるいは水溶性もしくは油性の懸濁液、溶液もしくはエマルジョン(液体製剤)として提供することができる。液体製剤は、慣用の添加剤、例えば、懸濁剤、乳化剤、食用油を含む非水溶性ビークル、または保存剤を含有することができる。これらの製剤は、HIVの性的伝搬および産道を通過する際の新生児の感染の両方を阻止するのに有用である。一例では、膣内投与は、性交渉の前または分娩の直前に行うことができる。
【0069】
固形担体を有する直腸または膣内投与に適当な予防用製剤は、好ましくは単位投与形態で提供される。適当な担体としては、ココアバターや当分野で一般に用いられる他の物質が挙げられる。坐剤は、例えば1以上の式IまたはIIの化合物を1以上の柔らかくしたまたは融解させた担体と混合した後、型に入れて冷却、成型することにより形成させることができる。
【0070】
本発明の予防用製剤はさらに、1以上の分散剤、溶解剤、または懸濁剤を含む水性または非水性の基剤と共に製剤化した液摘剤の形態であってよい。液体スプレーは加圧された包装材から送達することができる。
【0071】
本発明の予防用製剤は持続的送達に適合させることができる。または、予防用製剤は他の活性成分、例えば、殺精子剤、抗菌剤および抗ウイルス剤を含有することもできる。
【0072】
本発明の3−O−アシルベツリン誘導体はまた、生分解性の徐放キャリアと配合された移植片の形態で投与され得る。あるいは、本発明のベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体は、その有効成分の連続的な放出のための経皮パッチとして処方され得る。
【0073】
局所投与のために適切な処方物は、クリーム、ゲル、ゼリー、漿剤、ペーストおよび軟膏を含む。適切な注射可能な溶液には、静脈内に注射可能な溶液、皮下に注射可能な溶液、および筋肉内に注射可能な溶液が含まれる。あるいは、このベツリンまたはジヒドロベツリン誘導体は、注入溶液または経鼻吸入もしくはスプレーとしての形態で投与され得る。
【0074】
本発明の化合物は、当分野で既知の方法を用いて製造することができる。本発明の3−O−ベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体を、反応式1に示す通りに製造した。ベツリン(1)の28−ヒドロキシル基をトリフェニルメチルエーテル基で保護してベツリン28−O−トリフェニルメチルエーテル(2)を得、ピリジン中この溶液をさらにジメチルアミノピリジンの存在下で還流温度にて適当なジカルボン酸で処理した。最後に、28−保護基を、CH2Cl2−EtOH中、ピリジウムp−トルエンスルホン酸とともに還流することにより脱離し、所望の3−O−アシルベツリン誘導体を得た。
【化8】

【0075】
HIV−1阻害の生物学的評価を、確立されたプロトコルに従って実施した(Kashiawada、Y.ら、J.Med.Chem.39:1016−1017(1996);Hashimoto、F.ら、Bioorg&Med.Chem.5:2133−2143(1997))。T細胞株H9を、完全培地(5%CO2および37℃でのL−グルタミンとともに10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI1640)中での連続培養にて維持した。この細胞株のアリコートを、対数増殖期にあるときにのみ実験に使用した。試験サンプルをまず、ジメチルスルホキシド中に溶解した。以下の薬物の最終濃度を、スクリーニングについて慣用的に使用した:100μg/ml、20μg/ml、4μg/mlおよび0.8μg/ml。活性薬剤について、さらなる希釈物を、続く試験のために調製し、その結果、正確なEC50値(以下に規定)を達成し得た。試験サンプルが調製している最中に、H9細胞株のアリコートを、HIV−1(IIIB単離物)に感染させ、他方で、別のアリコートを、完全培地を用いて偽感染させた。これらの研究について使用したストックウイルスは、代表的には、104感染単位/mlのTCID50値を有した。0.1と0.01との間の感染単位/細胞の感染多重度(moi)に対するウイルスの適切な量を、H9細胞の最初のアリコートに添加した。他のアリコートは培養培地のみを受け、そしてこれらの儀感染細胞を、毒性決定(IC50、以下に規定)について使用した。37℃および5%CO2での4時間のインキュベーション後、両方の細胞集団を、3回新鮮な培地で洗浄し、次いで、種々の濃度の試験薬物または培養培地(陽性感染コントロール/陰性薬物コントロール)を含む24ウェルのプレートの適切なウェルへと添加した。さらに、AZTもまた、陽性薬物コントロールとして各実験の間にアッセイした。このプレートを、37℃および5%CO2で4日間インキュベートした。
無細胞上清を、p24抗原ELISAアッセイにおける使用のために4日目に収集した。p24抗原は、HIVのコアタンパク質であり、それゆえ、これは、上清に存在するウイルスの間接的な尺度である。毒性を、培養培地(毒性なし)、試験サンプルまたはAZTのいずれかを受けた偽感染H9細胞においてCoulter Counterによって細胞計数を行うことにより決定した。試験サンプルが抑制能力を有し、そして毒性でなかった場合は、その効果は以下の用語で報告された:IC50、偽感染H9細胞の50%に対して毒性であった試験サンプルの濃度;EC50、HIV複製を50%抑制し得た試験サンプルの濃度;および治療指数(TI)、EC50に対するIC50の比率。
【0076】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の例示であるが、限定ではない。当業者が通常遭遇しそして自明である種々の条件およびパラメータの他の適切な改変および適用は、本発明の精神および範囲内にある。
【0077】
実施例1
ベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体の一般的合成
ベツリン28−O-トリフェニルメチルエーテル(2)を、ベツリン(1)(10g、22.6mmol)、トリフェニルメチルクロリド(12.6g、45.2mmol)、およびジメチルアミノピリジン(3.3g、27.0mmol)のDMF(75mL)溶液を攪拌しながら5時間還流することにより製造した。反応混合物を水で希釈し、CHCl3で抽出した。有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。EtOHから結晶化して、ベツリン28−O-トリフェニルメチルエーテル(2)無色の針状晶(11.4 g, 73.5%収率)として得た。融点149−152℃; [α]18D 2.5°(c 0.8, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3): 0.51 (3H,S, CH3-26), 0.74 (3H,S, CH3-24), 0.75 (3H,S, CH3-25), 0.89 (3H,S, CH3-27), 0.95 (3H,S, CH3-23), 1.63 (3H,S, CH3-29), 2.90, 3.13 (each 1H, d, J=9.0 Hz, H2-28), 4.47 (1H, dd, J=5.0, 10.5 Hz, H-3), 4.51, 4.57 (each 1H,S, H2-30), 7.20-7.50 (15H in total, m, 芳香族-H).
【0078】
3−O−アシルベツリン28−O−トリフェニルメチルエーテルを、ベツリン28−O−トリフェニルメチルエーテル(1当量mol)、ジメチルアミノピリジン(1当量mol)、および適当なジカルボン酸(2.54当量mol)の無水ピリジン(525mL)溶液を一晩還流することにより製造した。反応混合物を氷水で希釈し、CHCl3で抽出した。有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。
【0079】
化合物5を、ベツリン28−O−トリフェニルメチルエーテル、ジメチルアミノピリジン、およびジエチルコハク酸の無水ピリジン溶液を用いて上記のとおり製造した。収率は64%であった。白色のアモルファス粉末; [α]18D +2.3°(c 0.44, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3) : 0.50 (3H,S, CH3-26), 0.76 (3H,S, CH3-25), 0.79 (3H,S, CH3-24), 0.81 (3H,S, CH3-23), 0.88 (3H,S, CH3-27), 1.28, 1.29 (each 3H,S, ジエチルスクシニル CH3), 1.63 (3H,S, CH3-29), 2.55, 2.66 (each 1H, d, J=15.9 Hz, ジエチルスクシニル H2-2'), 2.90, 3.12 (each 1H, d, J=9.0 Hz, H2-28), 3.16 (1H, dd, J=4.6, 11.0 Hz, H-3), 4.51, 4.56 (each 1H,S, H2-30), 7.20-7.50 (15H in total, m, 芳香族-H).
【0080】
化合物7:収率82%(400mgの2を出発物質とする):白色のアモルファス粉末; [α]18D +2.4°(c 0.84, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3) : 0.51 (3H,S, CH3-26), 0.78 (3H,S, CH3-25), 0.82 (3H,S, CH3-24), 0.84 (3H,S, CH3-23), 0.89 (3H,S, CH3-27), 1.13 (6H,S, ジエチルグルタリル CH3’2), 1.63 (3H,S, CH3-29), 2.38, 2.45 (each 1H, d, J=14.0 Hz, ジエチルグルタリル H2-2'), 2.45 (2H,S, ジエチルグルタリル H2-4'), 2.90, 3.13 (each 1H, d, J=9.0 Hz, H2-28), 4.47 (1H, dd, J=5.0, 10.5 Hz, H-3), 4.51, 4.57 (each 1H,S, H2-30), 7.20-7.50 (15H in total, m, 芳香族-H).
【0081】
化合物9:収率65%(285mgの2を出発物質とする);白色のアモルファス粉末;[α]18D +3.0°(c 0.80, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3) : 0.51 (3H,S, CH3-26), 0.78 (3H,S, CH3-25), 0.82 (6H,S, CH3-24および-23), 0.89 (3H,S, CH3-27), 1.63 (3H,S, CH3-29), 1.95 (2H, quintet, J=7.3 Hz, グルタリルH2-3'), 2.38, 2.41 (wach 2H, t, J=7.3 Hz, グルタリル H2-2'および-4'), 2.90, 3.13 (each 1H, d, J=9.0 Hz, H2-28), 4.46 (1H, dd, J=5.0, 10.0 Hz, H-3), 4.51, 4.57 (each 1H,S, H2-30), 7.20-7.50 (15H in total, m, 芳香族-H).
【0082】
化合物11:収率72%(278mgの2を出発物質とする);白色のアモルファス粉末; [α]18D +2.7°(c 0.74, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3) : 0.50 (3H,S, CH3-26), 0.73 (3H,S, CH3-25), 0.76(3H,S, CH3-24), 0.78 (3H,S, CH3-23), 0.86 (3H,S, CH3-27), 1.60 (3H,S, CH3-29), 2.89, 3.12 (each 1H, d, J=9.0 Hz, H2-28), 4.00, 4.16 (each 2H, brS, ジグリコシル H2-2'および4'), 4.41 (1H, dd, J=5.0, 10.0 Hz, H-3), 4.47, 4.56 (each 1H,S, H2-30), 7.20-7.50 (15H in total, m, 芳香族-H).
【0083】
3−O−アシルベツリンを、3−O−アシルベツリン28−O−トリフェニルメチルエーテル(1当量mol)およびピリジウムp−トルエンスルホン酸(3−5当量mol)のEtOH−CH2Cl2溶液を一晩還流することにより製造した。反応混合物を氷水で希釈し、CHCl3で抽出した。有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、またはHPLCにより精製した。
【0084】
化合物6:収率70%(300mgの5を出発物質とする);無色のプリズム晶(EtOHから);融点269−271℃; [α]18D +21.0°(c 0.5, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3) : 0.81 (3H,S, CH3-24), 0.84 (6H,S, CH3-25および-23), 0.94 (3H,S, CH3-27), 1.08 (3H,S, CH3-26), 1.28, 1.30 (each 3H,S, ジエチルスクシニル CH3), 1.68 (3H,S, CH3-29), 2.56, 2.67 (each 1H, d, J=15.9 Hz, ジエチルスクシニル H2-2'), 3.34, 3.80 (each 1H, d, J=10.7 Hz, H2-28), 4.49 (1H, dd, J=5.5, 11.0 Hz, H-3), 4.58, 4.68 (each 1H, brS, H2-30)
【0085】
化合物8:収率51%(275mgの7を出発物質とする);無色の針状晶(EtOHから);融点224−226℃; [α]18D +28.3°(c 0.46, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3) : 0.84 (3H,S, CH3-24), 0.85 (3H,S, CH3-25), 0.86 (3H,S, CH3-23), 0.98 (3H,S, CH3-27), 1.02 (3H,S, CH3-26), 1.14 (6H,S、 ジエチルグルタリル CH3), 1.68 (3H,S, CH3-29), 2.40, 2.47 (each 1H, d, J=12.0 Hz, ジエチルグルタリル H2−2’), 2.46 (2H,S、 ジエチルグルタリル H2−4’), 3.34, 3.80 (each 1H, d, J=10.5 Hz, H2-28), 4.50 (1H, dd, J=5.0, 10.5 Hz, H-3), 4.58, 4.68 (each 1H, brS, H2-30)
【0086】
化合物10:収率73%(152mgの9を出発物質とする);無色の針状晶(EtOHから);融点217−218℃; [α]18D +18.5°(c 0.38, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3) : 0.83 (3H,S, CH3-24), 0.84 (3H,S, CH3-23), 0.85 (3H,S, CH3-25), 0.98 (3H,S, CH3-27), 1.02 (3H,S, CH3-26), 1.68 (3H,S, CH3-29), 1.96 (2H, m, グルタリル H2-3'), 2.39, 2.43 (each 2H, t, J=7.3 Hz, グルタリル H2-2'および4'), 3.34, 3.80 (each 1H, d, J=10.5 Hz, H2-28), 4.49 (1H, dd, J=5.5, 10.5 Hz, H-3), 4.58, 4.68 (each 1H, brS, H2-30)
【0087】
化合物12:収率47%(150mgの11を出発物質とする));白色のアモルファス粉末;[α]18D +22.2°(c 0.72, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3+CD3OD): 0.84 (3H,S, CH3-24), 0.85 (3H,S, CH3-23), 0.86 (3H,S, CH3-25), 0.98 (3H,S, CH3-27), 1.03 (3H,S, CH3-26), 1.68 (3H,S, CH3-29), 3.31, 3.76 (each 1H, d, J=11.0 Hz, H2-28), 4.04, 4.23 (each 2H, brS, ジグリコシル H2-2'および4'), 4.56 (1H, dd, J=5.5, 10.5 Hz, H-3), 4.58, 4.68 (each 1H, brS, H2-30)
【0088】
実施例2
薬理学的活性
本発明の化合物を、抗HIV活性について、以下のアッセイ手順に従って、アッセイした。T細胞株H9および前単球細胞株U937を、完全培地(10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI1640)を5%CO2および37℃で用いて連続培養にて別々に維持した。この細胞株を、対数増殖期におけるときのみ実験に使用し、他方、感染させていない末梢血単核細胞(PBMC)を、まずPHA(1μg/ml)を用いて3日間刺激した。全ての細胞標的を、HIV−1(IIIB単離物,TCID50104IU/ml、感染多重度0.01〜0.01IU/細胞)とともに37℃および5%CO2で1時間インキュベートした。この細胞株およびPBMCを、完全に洗浄して吸着していないビリオンを除去し、そしてそれぞれ、完全培地または10%v/vインターロイキン2(IL−2)を有する完全培地中に4×105細胞/mlで再懸濁した。1mlのアリコートを等容量の試験化合物(適切な培養培地中に希釈した)を含む24ウェル培養プレートのウェルに入れた。各化合物の毒性を、37℃および5%CO2で4日間の後に残留した化合物に曝露した感染していない細胞の数を決定することによって評価した。p24抗原ELISAアッセイを使用して、HIV感染した培養物の培地において放出されたウイルスのレベルを決定した。p24抗原アッセイは、HIV−1抗p24特異的モノクローナル抗体を96ウェルプレートにコーティングされた捕捉抗体として用いた。サンプルインキュベーション期間の後、HIV−1 p24についての抗体を含むウサギ血清を用いて、マイクロタイターウェル表面に捕捉された任意のp24をタグ化した。次いで、ペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗ウサギ血清を使用して、捕捉されたp24と複合体化したHIV−1 p24特異的ウサギ抗体をタグ化した。次いで、試験サンプルにおけるp24の存在を、基質の添加によって明らかにした。p24 ELISAアッセイについてのカットオフは12.5pg/mlであった。培養培地中のp24を、p24の既知量を含む標準曲線に対して定量した。抗HIV活性および細胞傷害性について、それぞれ、有効濃度(EC50)および阻害濃度(IC50)を決定した。
【表1】

【0089】
当業者は、具体的な態様が説明、記載されている一方、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な修飾と変更ができることを理解する。
【0090】
本発明の他の態様は、本明細書を考慮し、本明細書に開示した発明の実践することから当業者には明らかであろう。明細書および実施例は、以下のクレームによって示される本発明の真の範囲および精神でもって、単なる例示であると解釈されることを意図するものである。本明細書において引用した刊行物、特許出願および特許はすべて、参考として本明細書の一部を構成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
1は、C2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルであり、
2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは−OR3であり;
3は、水素、C2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルであり;
4は、水素、またはC(C653であり、
ここで、破線は、C20とC29との間の任意の二重結合を表し、
但し、R1はスクシニルではない]
で示される化合物。
【請求項2】
2が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
2がハロゲンまたは−OR3であり、R3がC2−C20の置換されているかまたは置換されていないカルボキシアシルである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
1が3’炭素原子にてジェミナルに置換されているC4−C16のカルボキシアルカノイル基である化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
1が、式:−C(O)CH2CR’R”(CH2COOH
[式中、R’およびR”は、それぞれ、C1-4アルキルであるか、またはR’は水素であり、かつ、R”はC1-4アルキルであるか、またはR’およびR”は一緒になってジメチレン結合、トリメチレン結合、テトラメチレン結合またはペンタメチレン結合を形成し、そしてbは0〜12である]を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
bが0〜4である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R'およびR"がそれぞれメチルであり、bが0または1である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
1が、式:−C(O)CH2O(CH2COOH
[式中、aは0〜12である]を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
2が以下:
i.水素、
ii.−C(O)CH2R’R”(CH2)bCOOH[式中、R’およびR”は、それぞれ、C1-4アルキルであるか、またはR’は水素であり、かつ、R”はC1-4アルキルであるか、またはR’およびR”は一緒になってジメチレン結合、トリメチレン結合、テトラメチレン結合またはペンタメチレン結合を形成し、そしてbは0〜12である]
iii.−C(O)CH2O(CH2aCOOH(ここでaは0〜12である)、または
iv.−OH
のうちの1つである請求項1記載の化合物。
【請求項10】
2が−O−C(O)CH2CR’R”(CH2COOH[式中、R’およびR”がそれぞれメチルであり、bが0または1である]である請求項1記載の化合物。
【請求項11】
式中、R1が、
【化2】

のいずれかであり、R2が水素またはヒドロキシである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
式中、R1が、
【化3】

であり、R2が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
1およびR3が1〜3個のヒドロキシまたはハロで置換されていることもある、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
1以上の請求項1記載の化合物またはその製薬的に許容し得る塩、エステル、またはプロドラッグ、およびそのエステル、塩、エーテル、硫酸塩、またはグルクロニドおよび製薬的に許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項15】
抗ウイルス剤または免疫賦活剤から選択される1以上の薬物をさらに含有する請求項13の医薬組成物。
【請求項16】
前記抗ウイルス剤が、1以上の、ネビラピン、デラビジン、エファビレンツ、サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、エンフビルチド、テノフォビル、ロピナビル、ヒドロキシ尿素,インターロイキン−2,ガンマグロブリン、アマンタジン、グアニジンヒドロキシベンゾイミダゾール,インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、チオセミカルバゾン、メチサゾン、リファンピン、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、ホスカネット、ホスホノ酢酸、シクロビル、ジデオキシヌクレオシドおよびガンシクロビルからなる群から選択される、請求項15の医薬組成物。
【請求項17】
前記抗ウイルス剤が、ヌクレオシドアナログである請求項14の医薬組成物。
【請求項18】
前記ヌクレオシドアナログが、1以上のAZT、3TC、ddI、ddC、D4T、アバカビルおよびアデフォビルからなる群から選択される請求項16の医薬組成物。
【請求項19】
1以上の請求項5の化合物またはその医薬上許容される塩、エステル、またはプロドラッグ、そのエステル、塩、エーテル、硫酸塩、またはグルクロニドおよび製薬的に許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項20】
抗ウイルス剤または免疫賦活剤から選択される1以上の薬物をさらに含有する請求項17の医薬組成物。
【請求項21】
前記抗ウイルス剤が、1以上の、ネビラピン、デラビジン、、エファビレンツ、サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、エンフビルチド、テノフォビル、ロピナビル、ヒドロキシ尿素,インターロイキン−2,ガンマグロブリン、アマンタジン、グアニジンヒドロキシベンゾイミダゾール,インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、チオセミカルバゾン、メチサゾン、リファンピン、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、ホスカネット、ホスホノ酢酸、シクロビル、ジデオキシヌクレオシドおよびガンシクロビルからなる群から選択される、請求項18の医薬組成物。
【請求項22】
動物の細胞または組織におけるレトロウイルス感染を阻害する方法であって、有効量の請求項14の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項23】
前記組成物を約0.1〜約100mg/体重の量で投与する、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記組成物を約5〜約25mg/体重の量で投与する、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記動物がヒトである請求項25記載の方法。
【請求項26】
レトロウイルス関連の病状に冒されている患者を処置する方法であって、レトロウイルス阻害の有効量の1以上の請求項1記載の式Iで示される化合物を1以上の抗ウイルス剤と組み合わせて該患者に投与することを含む方法。
【請求項27】
前記抗ウイルス剤が、AZT、3TC、ddI、ddC、D4T、ジドブジン、ラミブジン、ザルシタビン、スタブジン、ジダノシン、テノファオビル、アバカビル、ネビラピン、デラビルジン、エントリシタビン、エファビレンツ、サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アタザナビル、エンフビルチド、およびアンプレナビルからなる群から選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
HIV感染した妊婦から胎児へのHIV感染の伝搬を予防する方法であって、レトロウイルス阻害に有効な量の請求項1の式Iで示される化合物を、妊娠中または出産の直前、出産中もしくは出産後に、該妊婦および/または胎児に投与することを含む方法。
【請求項29】
性交渉中のHIV感染の伝搬を予防する方法であって、1以上の請求項1の式Iで示される化合物を含有する局所用組成物のレトロウイルス阻害に有効な量を、性交渉の前に膣またはその他の粘膜に適用することを含む方法。

【公表番号】特表2006−504704(P2006−504704A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539897(P2004−539897)
【出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/030225
【国際公開番号】WO2004/028455
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(500407787)パナコス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (3)
【出願人】(505111982)学校法人 新潟科学技術学園 新潟薬科大学 (7)
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【Fターム(参考)】