説明

モノアミン再取り込み阻害剤

本発明は、1種以上のモノアミンの再取り込みを阻害することができるブプロピオン類似化合物を提供する。この化合物は、ドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニン用のトランスポーターを含む1種以上のモノアミントランスポーターに選択的に結合することができる。このような化合物は、依存症、鬱病および肥満を含む、モノアミンの再取り込みの阻害に応答性のある症状を治療するために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
連邦政府支援による研究または開発
本発明は、国立衛生研究所により認められたDA18815および国立薬物乱用研究所により認められたDA12970の下、米国政府の支持により行われた。米国政府は、本発明において確実な権利を有する。
【0002】
本出願は、モノアミン再取り込み阻害剤として機能することができる種々の化合物および化合物の調製方法に関する。本出願は、1種以上のモノアミン再取り込み阻害剤を含むと共に1種以上のさらなる治療薬も含んでよい医薬組成物にも関する。本出願は、依存症や鬱病のような、モノアミン再取り込みの阻害に反応に得る種々の症状を治療する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
薬物の乱用および依存症は、米国における重大な医療の問題である。2007 National Survey on Drug Use and Healthによれば、12歳以上の1990万人の米国人がこの時点で違法薬物を使用していたことが報告されており、これは調査以前の月において彼らが違法薬物を使用していたことを意味している。この推定は、12歳以上の人口の0.8%を示す。320万人がアルコールと違法薬物との両方の乱用または依存に分類され、370万人がアルコールは除いて違法薬物を乱用または依存していることが推定された。
【0004】
コカインは、乱用率が高いものの1つであり、新規コカイン使用者の毎年の人数は着実に増え続けている。2007年には、12歳以上のコカイン使用者がこの時点で210万人いた。コカインは中毒性の強い薬物であり、心臓鼓動の乱れや心臓発作のような心臓血管系作用;胸痛や呼吸不全のような呼吸器作用;脳卒中、発作および頭痛を含む神経学的作用;および、腹痛および吐き気のような胃腸合併症を含む重度の医学的合併症に至ることが多い。この直接的作用に加えて、コカイン乱用は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染および薬物耐性結核の蔓延の増加に寄与してきた。結果として、コカイン中毒になっている患者を治療するための薬物療法の開発に相当な努力が払われてきたが、臨床で利用するための効果的薬物は未だ入手されていない。
【0005】
間接的ドーパミン作動薬が、コカイン中毒症の治療への見込みを示し得るクラスの化合物であると仮定されてきた。間接的ドーパミン作動薬の開発に向けられた研究は、3−フェニルトロパンの類似体、1,4−ジアルキルピペラジン、フェニルピペリジン、ベンズトロピン、メチルフェニデートおよびマジンドールを含む構造的にさまざまなクラスの化合物を扱ってきた。
【0006】
ブプロピオン((±),2−tert−ブチルアミノ−3’−クロロプロピオフェノン,Wellbutrin(登録商標))は、過去30年間広く用いられてきたよく知られている抗鬱薬である。この作用の根底となる神経化学的機構は未だよく定義されていないが、ブプロピオンは、少なくとも部分的に、間接的ドーパミン作動薬として機能すると考えられている。ブプロピオンは、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の再取り込みを阻害することが知られているが、他の多くの抗鬱薬とは異なり、セロトニン(5HT)再取り込みにはほとんど作用がない。この抗鬱作用は、ノルアドレナリン作動系への作用が原因であるとされていたが、一部の報告では、ブプロピオンが、NE再取り込み阻害剤よりも、DA再取り込み阻害剤として、より効き目があることが示唆されている。微小透析研究は、ブプロピオンの急性投与が、細胞外DAを増加させることを示した。行動薬理学的研究において、ブプロピオンは、自発運動活性を誘発し、薬物弁別(DS)研究においてコカインとアンフェタミンとに汎化され、条件付け場所嗜好性(CPP)を呈し、ラットと非ヒト霊長類との両方において自己投与されることが示された。さらに、ブプロピオンは、リスザル類における固定間隔(FI)スケジュール刺激−ショック終了研究において反応を増すことが報告された。これらの研究は、ブプロピオン作用をDA再取り込み阻害剤として示すようである、即ち、ブプロピオンが、間接的ドーパミン作動薬の特性を有することを示している。
【0007】
ブプロピオンは、中毒症において効果を示した。ブプロピオンは、ニコチン中毒症のための徐放性製剤中に処方されてきており、最近では、この目的でZyban(登録商標)として販売されている。コカイン乱用に対するブプロピオンの臨床試験において、診査分析は、鬱病の患者が好転し得ることを示した。別の臨床研究は、メタドン維持患者におけるコカイン中毒症に対するブプロピオン−増強随伴性マネジメントを評価し、随伴性マネジメントにブプロピオン処理を組み合わせると、コカイン使用量をうまく減少させ得ることを発見したが、ブプロピオン単独での効果についての証拠はなかった。ブプロピオンは、メタンフェタミン依存性のための治療薬としても研究された。1つの研究において、ブプロピオンは、メタンフェタミン−誘発自覚効果および手がかり誘発渇望を低下させた。もう1つの研究において、ブプロピオンでの処理が、比較的軽度の利用者においてメタンフェタミン使用量を減少させた。
【0008】
ブプロピオンは、鬱病およびニコチン中毒症の両方に対して優れた治療薬であるが、調製され評価されたこの化学的類似体は比較的少ない。同じ作用機構により機能するブプロピオンの構造類似体は、鬱病およびニコチン中毒症の治療において効果的であり、他のタイプの中毒症および肥満を含む他の関連疾患においても効果的であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、モノアミン再取り込み阻害剤として有用な化合物、および、このような化合物を合成する方法を提供する。細胞によるモノアミン再取り込みの阻害に反応性があり得る種々の症状または障害の治療において有用であり得る、このような化合物を含む医薬組成物も提供する。本発明は、さらに、限定はされないが鬱病および依存症を含むこのような症状および障害を治療する方法を提供する。例えば、1つの態様において、本発明は、症状を治療する方法であって、この症状の治療を必要としている被験者に、本発明の化合物または医薬的に許容されるこのエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグまたは異性体を含む医薬組成物を治療有効量投与することを含んでなる方法に関する。
【0010】
従って、1つの態様において、本発明は、1種以上のモノアミンの再取り込みを阻害する化合物を提供する。一部の実施態様において、本発明は、下記構造の化合物:
【0011】
【化1】

(式中、
−Rは各々独立して、H、OH、置換されていてもよいC1−4アルキル、置換されていてもよいC1−3アルコキシ、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、ハロゲン、アミノ、アシルアミド、CN、CF、NO、N、CONH、CO12、CHOR12、NR1213、NHCOR12、NHCO12、CONR1213;C1−3アルキルチオ、R12SO、R12SO、CFSおよびCFSOから選択され;
およびRは各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択される、またはRとRとは一緒になって=Oまたは=CHを構成し;
およびRは各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;
10、R11、R12およびR13は各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;および
ここで、RとRは結合して環式環を形成してよい;
ただし、RおよびRの一方がCHである場合、R10およびR11の少なくとも一方は置換されていてもよいC3−C10シクロアルキルである。)
または、医薬的に許容されるこのエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグまたはそれらの異性体を提供する。
【0012】
一部の態様において、本発明は、式Iで示される化合物(式中、R10およびR11の一方はHであり、および、R10およびR11の他方は置換されていてもよいC3−10シクロアルキルである。)を提供する。特定の態様において、C3−10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルから選択される。一部の態様において、本発明は、式Iで示される化合物(式中、R10およびR11の一方はHであり、および、R10およびR11の他方は置換されていてもよいtert−ブチルである。)を提供する。
【0013】
一部の態様において、本発明は、式Iで示される化合物(式中、RおよびRの一方または両方がC2−C7アルキルである。)を提供する。特定の態様において、RおよびRの一方がC2−C7アルキルであり、およびRおよびRの他方がHである。例えば、一部の態様において、C2−C7アルキルは、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはイソブチルからなる群より選択される。
【0014】
一部の態様において、本発明は、式Iで示される化合物(式中、R、R、R、RまたはRの1つまたは2つ以上が、H以外の置換基である。)を提供する。例えば、特定の態様において、置換基はハロを含み、特別の実施態様において、クロロを含む。さらに、特定の態様において、RとRとは一緒になって=Oを構成する。
【0015】
特定の態様において、本発明は、2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン、2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロブチロフェノン、2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロペンタノフェノン、2−(N−シクロブチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン、2−(N−シクロペンチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロブチロフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロブチロフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロペンタノフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロペンタノフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘキサノフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘプタノフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロオクタノフェノンおよび2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロフェニル−4−メチルペンタノフェノンから選択される化合物を提供する。
【0016】
本発明のもう1つの態様において、患者におけるモノアミン再取り込みを阻害することにより軽減される疾患の進行を治療または遅延させるための方法であって、式Iで示される少なくとも一種の化合物を治療有効量投与することを含んでなる方法が提供される。この治療薬が投与される疾患は、依存症、鬱病、肥満、双極性障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、性的欲求低下障害、抗鬱薬−誘発性的機能不全、オルガズム機能不全、季節性情動障害/冬季鬱病、躁病、過食および他の摂食障害、パニック障害、強迫障害、統合失調症、分裂情動性障害、パーキンソン病、ナルコレプシー、不安障害、不眠症、慢性疼痛、片頭痛およびむずむず脚症候群からなる群であってよいが、これらに限定されない。特に、この方法は、コカイン、メタンフェタミンまたはニコチンへの依存症のための治療に関することがある。
【0017】
本発明のさらなる態様において、式Iで示される化合物および医薬的に許容されるキャリアを含む医薬組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を、ここで、添付の図面を参照して、以下により詳細に説明し、本発明の一部の実施形態を示すが、全ての実施形態を示すのではない。実際、これらの発明を多くの異なる形で具現化してよく、ここで前述した実施形態に限定されると解すべきでなく;むしろ、これらの実施形態は、適用可能な法律的要求をこの開示が満たすように提供される。明細書および添付の請求の範囲に記載のように、単一型「a」、「an」および「the」は、特記されない限り複数型を含む。
【0019】
本発明は、モノアミン再取り込み阻害剤として機能し得る化合物、ならびに、この調製方法および医薬組成物を提供する。モノアミン再取り込みの阻害に反応し得る種々の疾患を治療するために、このような化合物を用いる方法も提供する。特に、これらの組成物および方法を、種々の薬物依存症、鬱病および肥満の治療において用いることができる。この治療は、本発明の化合物を単一の活性薬剤として用いることを含み得る。他の実施形態において、この治療は、1種以上のさらなる活性薬剤と組み合わせて本発明の化合物を用いることを含み得る。本発明で用いられる特性の医薬組成物(または組成物)、および本発明により提供される治療方法を、以下にさらに説明する。
【0020】
定義
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、飽和した直鎖、分岐または環式の炭化水素基(即ち、シクロアルキル)を意味する。特定の実施形態において、アルキルは、1から10個の炭素原子を含む基(C1−10アルキル)を意味する。さらなる実施形態において、アルキルは、1から8個の炭素原子を含む基(C1−8アルキル)、1から6個の炭素原子を含む基(C1−6アルキル)または1から4個の炭素原子を含む基(C1−4アルキル)を意味する。他の実施形態において、アルキルは、3から10個の炭素原子を含む基(C3−10アルキル)、3から8個の炭素原子を含む基(C3−8アルキル)または3から6個の炭素原子を含む基(C3−6アルキル)を意味する。特定の実施形態において、アルキルは、メチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチルおよび2,3−ジメチルブチルを意味する。
【0021】
「置換されていてもよい」という用語は、以下の置換基の1種以上のような、1種以上の異なる置換基をこの中に含んでいてよい基を意味する:ハロ(例えば、Cl、F、BrおよびI);ハロゲン化アルキル(例えば、CF、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCFまたはCFCF);ヒドロキシル;アミノ;カルボキシレート;カルボキサミド;アルキルアミノ;アリールアミノ;アルコキシ;アリールオキシ;ニトロ;アジド;シアノ;チオ;スルホン酸;スルフェート;ホスホン酸;ホスフェート;およびホスホナート。
【0022】
本明細書で用いられる「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの飽和したC−C結合が二重結合により置換されたアルキルを意味する。特定の実施形態において、アルケニルは、2から10個の炭素原子を含む基(「C2−10アルケニル」)を意味する。さらなる実施形態において、アルケニルは、2から8個の炭素原子を含む基(「C2−8アルケニル」)、2から6個の炭素原子を含む基(「C2−6アルケニル」)または2から4個の炭素原子を含む基(「C2−4アルケニル」)を意味する。特定の実施形態において、アルケニルは、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニルまたは5−ヘキセニルであり得る。
【0023】
本明細書で用いられる「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの飽和したC−C結合が三重結合により置換されたアルキル基を意味する。特定の実施形態において、アルキニルは、2から10個の炭素原子を含む基(「C2−10アルキニル」)を意味する。さらなる実施形態において、アルキニルは、2から8個の炭素原子を含む基(「C2−8アルキニル」)、2から6個の炭素原子を含む基(「C2−6アルキニル」)または2から4個の炭素原子を含む基(「C2−4アルキニル」)を意味する。特定の実施形態において、アルキニルは、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニルまたは5−ヘキシニルであり得る。
【0024】
本明細書で用いられる「アルコキシ」という用語は、酸素原子により結合された直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する(即ち、−O−アルキル)(ここで、アルキルが前述の通りである。)を意味する。特定の実施形態において、アルコキシは、1から10個の炭素原子を含む酸素結合基(「C1−10アルコキシ」)を意味する。さらなる実施形態において、アルコキシは、1から8個の炭素原子を含む酸素結合基(「C1−8アルコキシ」)、1から6個の炭素原子を含む酸素結合基(「C1−6アルコキシ」)、1から4個の炭素原子を含む酸素結合基(「C1−4アルコキシ」)または1から3個の炭素原子を含む酸素結合基(「C1−3アルコキシ」)を意味する。
【0025】
本明細書で用いられる「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0026】
本明細書で用いられる「アルキルチオ」という用語は、1種以上のアルキル置換基(ここで、アルキルは前述のように定義される。)を有するチオ基を意味する。
【0027】
「アシルアミド」という用語は、1種以上のアシル置換基(ここで、アシルは以下のように定義される。)を有するアミド基を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる「アシル」という用語は、C(=O)Rにより表すことができる基を意味する(ここで、Rは、H、アルキル;アルコキシ;メトキシメチルを含むアルコキシアルキル;置換されていてもよいベンジルを含むアラルキル;フェノキシメチルのようなアリールオキシアルキル;ハロゲン、C1−C6アルキルまたはC1−C6アルコキシにより置換されていてもよいフェニルを含むアリール;メタンスルホニルを含むアルキルまたはアラルキルスルホニルのようなスルホナートエステル;アミノ、モノ、ジまたはトリホスフェートエステル;トリチルまたはモノメトキシトリチル;ジメチル−t−ブチルシリルまたはジフェニルメチルシリルのようなトリアルキルシリル、から選択される。)。
【0029】
本明細書で用いられる「アラルキル」および「アリールアルキル」という用語は、前述のように定義されたアルキル基を介して分子に結合している前述のように定義されたアリール基を意味する。
【0030】
本明細書で用いられる「アルカリール」および「アルキルアリール」という用語は、前述のように定義されたアリール基を介して分子に結合している前述のように定義されたアルキル基を意味する。
【0031】
本明細書で用いられる「アミノ」という用語は、構造NRにより表される基を意味し、第一アミン、アルキルにより置換されている第二および第三アミン(即ち、アルキルアミノ)を含む。即ち、Rは二個の水素原子、2つのアルキル基、または1つの水素と1つのアルキル基を表す。
【0032】
「シクロアルキル」という用語は、炭素および水素原子を含む非芳香族の単環式または多環式環を意味する。
【0033】
本明細書で用いられる「アリール」という用語は、各環に8までの構成要素を含む安定な単環式、二環式または三環式炭素環を意味し、少なくとも1つの環は、ヒュッケル4n+2則により定義される芳香族である。本発明によるアリール基の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルおよびビフェニルがある。
【0034】
本明細書で用いられる「類似体」という用語は、1種以上の個々の原子または官能基が、異なる原子または異なる官能基により置換されている化合物を意味し、通常、性質の類似した化合物が得られる。
【0035】
本明細書で用いられる「誘導体」という用語は、類似の出発化合物から、別の分子または原子をこの出発化合物に結合させることにより形成される化合物を意味する。さらに、本発明による誘導体は、一種の前駆体化合物から1個以上の原子または分子の付加により形成される、または二種以上の前駆体化合物の組み合わせにより形成される1種以上の化合物を包含する。
【0036】
本明細書で用いられる「プロドラッグ」という用語は、哺乳動物に投与されたときに、全体がまたは部分的に、本発明の化合物に転化される化合物を意味する。
【0037】
本明細書で用いられる「活性代謝産物」という用語は、本発明の化合物またはこのプロドラッグを哺乳動物に投与したときに、このような化合物またはプロドラッグの代謝により生じる生理学的活性化合物を意味する。
【0038】
本明細書で用いられる「治療有効量」または「治療有効投与量」という用語は互いに代替可能であり、本明細書に記載の治療方法に従う所望の治療効果を誘発するのに充分な、本発明の化合物または生物学的に活性なこの変異体の濃度を意味する。
【0039】
本明細書で用いられる「医薬的に許容されるキャリア」という用語は、生物学的活性薬剤の貯蔵、投与および/または治癒効果を手助けするために当分野で従来から用いられているキャリアを意味する。
【0040】
本明細書で用いられる「間欠投与」という用語は、本発明の組成物の治療有効投与量を投与し、続いて、中断の期間を設け、次に、治療有効投与量をもう一度投与する、等を意味する。
【0041】
本明細書で用いられる「モノアミン」という用語は、モノアミン神経伝達物質および神経修飾物質を包含する。特に、この用語は、ドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニンを意味するために用いられる。モノアミントランスポーターは、個体のシナプス前へのこれらのモノアミンの再取り込みまたは再吸収を手助けする。
【0042】
活性薬剤
本発明は、以下の構造:
【0043】
【化2】

(式中、
−Rは各々独立して、H、OH、置換されていてもよいC1−4アルキル、置換されていてもよいC1−3アルコキシ、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、ハロゲン、アミノ、アシルアミド、CN、CF、NO、N、CONH、CO12、CHOR12、NR1213、NHCOR12、NHCO12、CONR1213、C1−3アルキルチオ、R12SO、R12SO、CFSおよびCFSOから選択され;
およびRは各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択される、またはRとRとは一緒になって=Oまたは=CHを構成し;
およびRは各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;
10、R11、R12およびR13は各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;および
ここで、RとRは結合して環式環を形成してよい;
ただし、RおよびRの一方がCHである場合、R10およびR11の少なくとも一方は置換されていてもよいC3−C10シクロアルキルである。)
を有するブプロピオン類似化合物、または、医薬的に許容されるこのエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグまたは異性体を提供する。
【0044】
本発明のこのような化合物は、モノアミン再取り込み効果に影響を与えることができる。特に、一部の実施形態において、本発明の化合物は、ドーパミンおよび/またはノルエピネフリンの再取り込みを阻害することができる。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、ドーパミンの再取り込みを選択的に阻害することができる。
【0045】
式Iの好ましい実施形態において、R−Rは独立してHまたはハロゲンである。一部の実施形態において、RおよびRはHであり、およびR−Rは水素またはハロゲンであってよい。一部の好ましい実施形態において、RおよびRの一方はHであり、および他方は置換されていてもよいC1−C10アルキルである。さらなる好ましい実施形態において、RとRとは一緒になって=Oを構成する。一部の好ましい実施形態において、R10およびR11の一方はHであり、およびR10およびR11の他方は置換されていてもよいシクロアルキルである。一部のさらなる好ましい実施形態において、R10およびR11の一方はHであり、およびR10およびR11の他方は置換されていてもよいシクロプロピルである。1つの実施形態によれば、RまたはRの少なくとも一方はC2−C10アルキルである、および/または、R10およびR11の少なくとも一方はC3−C10シクロアルキルである。
【0046】
特定の実施形態において、以下の構造:
【0047】
【化3】

(式中、
−Rは各々独立して、H、OH、置換されていてもよいC1−4アルキル、置換されていてもよいC1−3アルコキシ、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、ハロゲン、アミノ、アシルアミド、CN、CF、NO、N、CONH、CO12、CHOR12、NR1213、NHCOR12、NHCO12、CONR1213、C1−3アルキルチオ、R12SO、R12SO、CFSおよびCFSOから選択され;
およびRは各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;
10、R11、R12およびR13は各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;および
ここで、RとRとは結合して環式環を形成してよい;
ただし、RおよびRの一方がCHである場合、R10およびR11の少なくとも一方は置換されていてもよいC3−C10シクロアルキルである。)
を有する化合物、または、医薬的に許容されるこのエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグまたは異性体が提供される。
【0048】
式Iaの好ましい実施形態において、R−Rは独立してHまたはハロゲンである。一部の実施形態において、RおよびRはHであり、およびR−RはHまたはハロゲンであってよい。一部の好ましい実施形態において、RおよびRの一方はHであり、および他方は置換されていてもよいC1−C10アルキルである。さらなる好ましい実施形態において、R10およびR11の一方はHであり、およびR10およびR11の他方は置換されていてもよいシクロアルキルである。一部のさらなる好ましい実施形態において、R10およびR11の一方はHであり、およびR10およびR11の他方は置換されていてもよいシクロプロピルである。
【0049】
さらなる特定の実施形態において、以下の構造:
【0050】
【化4】

(式中、
−Rは各々独立して、H、OH、置換されていてもよいC1−4アルキル、置換されていてもよいC1−3アルコキシ、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、ハロゲン、アミノ、アシルアミド、CN、CF、NO、N、CONH、CO12、CHOR12、NR1213、NHCOR12、NHCO12、CONR1113、C1−3アルキルチオ、R12SO、R12SO、CFSおよびCFSOから選択され;
およびRは各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;
12およびR13は各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;および
ここで、RとRとは結合して環式環を形成してよい。)
を有する化合物、または、医薬的に許容されるこのエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグまたは異性体が提供される。
【0051】
式Ibの好ましい実施形態において、R−Rは独立してHまたはハロゲンである。一部の実施形態において、RおよびRはHであり、およびR−RはHまたはハロゲンであってよい。一部の好ましい実施形態において、RおよびRの一方はHであり、および他方は置換されていてもよいC1−C10アルキルである。
【0052】
一部の実施形態において、1つ以上のキラル中心を有する化合物が提供される。本発明の化合物のラセミ混合物は活性であり、選択的であり、および生物学的に利用可能であり得るが、単離された異性体も有用であり得る。
【0053】
活性薬剤としてここに開示された化合物はキラル中心を含んでよく、(R)または(S)立体配置のいずれかである、または、これらの混合物を含んでよい。従って、本発明は、適用可能な場合、本明細書に記載の化合物の立体異性体も含み、個々に用いても任意の割合で混合されていてもよい。立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物およびこれらの組み合わせであってよいが、これらに限定されない。このような立体異性体は、従来技術を用いて、鏡像異性出発材料を反応させることにより、または本発明の化合物の異性体を分離することにより、調製および分離することができる。異性体は、幾何異性体を含み得る。幾何異性体としては、例えば、二重結合を交差するトランス異性体またはシス異性体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物のうちの、他の異性体が考えられる。これらの異性体は、純粋な状態で、または、本明細書に記載の化合物の他の異性体との混合して用いてよい。
【0054】
光学活性形を調製し、および活性を決めるために、当分野で種々の方法が知られている。このような方法としては、本明細書に記載の標準的試験、および当分野で知られる他の類似の試験がある。本発明の化合物の光学異性体を得るために用いることができる方法としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0055】
i)個々のエナンチオマーの巨視的結晶を手作業で分離する、結晶の物理的分離。別々のエナンチオマーの結晶が存在し(即ち、材料が集合体であり)、および結晶が視覚的に異なる場合、この技術を特に用いることができる;
ii)ラセミ化合物の溶液から個々のエナンチオマーを別々に結晶化させる、同時結晶化。ラセミ化合物が固体状態において集合体である場合にのみ可能である;
iii)エナンチオマーと酵素との異なる反応速度に基づいて、ラセミ化合物を部分的または完全に分離する、酵素的光学分割;
iv)合成の少なくとも1つのステップが、所望のエナンチオマーの鏡像異性的に純粋または濃縮された合成前駆体を得るために酵素的反応を利用する合成技術である、酵素的不斉合成;
v)キラル触媒またはキラル助剤を用いて達成され得る、生成物における非対称性(即ち、対掌性)を生じさせる条件下においてアキラル前駆体から所望のエナンチオマーが合成される、化学的不斉合成;
vi)ラセミ化合物を、個々のエナンチオマーをジアステレオマーに転化させる鏡像異性的に純粋な試薬(キラル助剤)と反応させる、ジアステレオマー分離。得られるジアステレオマーを、次に、ここでより明確である構造的相違に基づいてクロマトグラフィーまたは結晶化により分離し、この後、キラル助剤を除去して所望のエナンチオマーを得る;
vii)ラセミ化合物からのジアステレオマーが平衡して、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの溶液が優勢になる、または、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの選択的結晶化により平衡が混乱して、このために、最終的に原理的には全ての材料が、所望のエナンチオマーからの結晶性ジアステレオマーに転化される、一次および二次不斉転換。次に、所望のエナンチオマーは、このジアステレオマーから離される;
viii)速度論的条件下におけるエナンチオマーとキラル非ラセミ試薬または触媒との不均一反応速度に基づく、ラセミ化合物の部分的または完全光学分割を含む(または、部分的に光学分割された化合物のさらなる光学分割による。)、速度論的光学分割;
ix)非キラル出発材料から所望のエナンチオマーが得られ、および、立体化学的完全性が、合成中に低下しないまたは最小限のみ低下する、非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成;
x)ラセミ化合物のエナンチオマーが、固定相との異なる相互作用故に、液体移動相において分離される、キラル液体クロマトグラフィー。固定相をキラル材料から構成するかまたは移動相がさらなるキラル材料を含んで異なる相互作用を引き起こすことができる;
xi)固定非ラセミキラル吸着相を含むカラムを用いて、ラセミ化合物を揮発させ、エナンチオマーを気体移動相におけるこの異なる相互作用に基づいて分離する、キラルガスクロマトグラフィー;
xii)特定のキラル溶媒中への1つのエナンチオマーの選択的溶解に基づいてエナンチオマーを分離する、キラル溶媒を用いる抽出;および
xiii)ラセミ化合物を薄膜障壁に接触させて配する、キラル膜通過輸送。障壁は典型的には2つの混和性流体を分離し、一方がラセミ化合物を含んでおり、濃度または圧力差のような駆動力が、膜障壁を通過する選択的輸送を引き起こす。分離は、ラセミ化合物の一方のエナンチオマーのみを通過させる、膜の非ラセミキラル特性の結果として生じる。
【0056】
一方のエナンチオマーが過剰に存在する、特に、95%以上、または100%を含む98%以上の程度に存在するエナンチオマー混合物のような、エナンチオマー濃縮された組成物中に、本発明の化合物が場合により提供される。
【0057】
一部の実施形態において、式Iで示される化合物(式中、RとRとは同じ置換基ではなく、RおよびRが結合している炭素においてキラル中心を形成している。)が提供される。この化合物はRまたはSエナンチオマーであってよい。一部の実施形態において、式Iで示される化合物(式中、RとRとは同じ置換基ではなく、RおよびRが結合している炭素においてキラル中心を形成している。)が提供される。この化合物はRまたはSエナンチオマーであってよい。一部の実施形態において、RとRとは同じ置換基ではなく、RおよびRが結合している炭素においてキラル中心を形成している、および、RとRとは同じ置換基ではなく、RおよびRが結合している炭素においてキラル中心を形成している。これらの化合物は、(R,R)、(S,S)、(R,S)または(S,R)異性体であってよい。
【0058】
本明細書で用いられる(R)、(S)、(R,R)、(S,S)、(R,S)および(S,R)という用語は、組成物が、列挙異性体を、他の異性体と比べて多くの割合で含んでいることを意味する。好ましい実施形態において、これらの用語は、組成物が、列挙異性体を少なくとも90重量%および1種以上の他の異性体を10重量%以下含む、または、より好ましくは、列挙異性体を約95重量%および1種以上の他の異性体を5重量%以下含むことを意味する。これらの割合は、組成物中に存在する本発明の化合物の合計量に基づく。
【0059】
本発明の化合物は、これ自体利用してよい、または、医薬的に許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグまたは異性体として利用してよい。例えば、化合物は医薬的に許容される塩として提供されてよい。使用する場合、薬物化合物の塩は薬理学的におよび医薬的に許容されなくてはならないが、医薬的に許容されない塩が、遊離活性化合物または医薬的に許容されるこの塩を調製するために都合よく用いられる場合があり、本発明の特許請求の範囲から排除されない。このような薬理学的におよび医薬的に許容される塩は、文献に詳述されている標準的方法を用いて、薬物を有機または無機酸と反応させることにより調製することができる。本発明による有用な化合物の医薬的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩が挙げられる。しかしながら、医薬的に許容されない酸の塩が、例えば、化合物の調製および精製において有用である場合がある。本発明による適切な酸付加塩としては、有機および無機酸が挙げられる。好ましい塩としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびイセチオン酸から形成される塩が挙げられる。他の有用な酸付加塩としては、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデリン酸、サリチル酸等が挙げられる。医薬的に許容される塩の特別の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−l,4−ジオアート、ヘキシン−l,6−ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ乳酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩およびマンデル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
酸付加塩を、適切な塩基での処理により、遊離塩基に再転化してよい。本発明により有用な化合物上に存在してよい酸部分の塩基性塩は、同様の方法により、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリエチルアミン等のような医薬的に許容される塩基を用いて調製してよい。
【0061】
本発明による活性薬剤化合物のエステルは、化合物の分子構造中に存在し得るヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基の官能化により調製することができる。アミドおよびプロドラッグも、当業者に知られている技術を用いて調製することができる。例えば、アミドは、適切なアミン反応体を用いてエステルから調製、または、アンモニアもしくは低級アルキルアミンとの反応により無水物もしくは酸塩化物から調製することができる。さらに、本発明の化合物のエステルおよびアミドは、適切な有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド)中にて0℃−60℃の温度で、カルボニル化剤(例えば、蟻酸エチル、無水酢酸、塩化メトキシアセチル、塩化ベンゾイル、イソシアン酸メチル、クロロ蟻酸エチル、塩化メタンスルホニル)および適切な塩基(例えば、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム)と反応させることにより生成することができる。プロドラッグは、典型的には、成分の共有結合により調製され、個体の代謝系により修飾されるまでは治療不活性である化合物が得られる。医薬的に許容される溶媒の例としては、限定はされないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミンと組み合わせた本発明による化合物が挙げられる。
【0062】
固体組成物の場合、本発明の方法で用いられる化合物は異なる形態で存在し得ると解される。例えば、化合物は、安定および準安定結晶形ならびに等方性形および無定形で存在してよく、これらの全てが本発明の特許請求の範囲内であるとされる。
【0063】
本発明による活性薬剤として有用である化合物が塩基である場合、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸で、または、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデリン酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(グルクロン酸およびガラクツロン酸)、アルファ−ヒドロキシ酸(クエン酸および酒石酸)、アミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸)、芳香族酸(安息香酸および桂皮酸)、スルホン酸(p−トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸)等のような有機酸で遊離塩基を処理することを含む、当分野で知られている任意の適切な方法により所望の塩を調製することができる。
【0064】
活性薬剤として本明細書に記載の化合物が酸である場合、アミン(第一、第二または第三)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物等のような無機または有機塩基で遊離酸を処理することを含む、当分野で知られている任意の適切な方法により所望の塩を調製することができる。適切な塩の例としては、アミノ酸(グリシンおよびアルギニン)、アンモニア、第一、第二および第三アミン、および環式アミン(ピペリジン、モルホリンおよびピペラジン)から誘導される有機塩、および、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩が挙げられる。
【0065】
本発明は、さらに、本明細書に記載の活性薬剤化合物のプロドラッグおよび活性代謝産物を含む。本明細書に記載の任意の化合物を、化合物の活性、生物学的利用能または安定性を増すための、または、化合物の特性を変えるためのプロドラッグとして投与することができる。プロドラッグの典型例は、活性化合物の官能基の上に生物学的に不安定な保護基を有する化合物を含む。プロドラッグとしては、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化および/または脱リン酸化して活性化合物を生成することができる化合物が挙げられる。
【0066】
多くのプロドラッグリガンドが知られている。通常、遊離アミンまたはカルボン酸残基のような化合物の1個以上のヘテロ原子のアルキル化、アシル化または他の親油性修飾により、極性が低下し、および細胞内への移動が成される。遊離アミンおよび/またはカルボン酸部分の上の1個以上の水素原子に取って代わることができる置換基の例としては、限定はされないが、以下のものが挙げられる:
アリール;ステロイド;炭水化物(糖類を含む。)、1,2−ジアシルグリセロール;アルコール類;アシル(低級アシルを含む。);アルキル(低級アルキルを含む。);スルホン酸エステル(メタンスルホニルおよびベンジルのようなアルキルまたはアリールアルキルスルホニルを含み、ここで、フェニル基は、本明細書に記載のアリールの定義において提供されたような1つ以上の置換基で場合により置換される。);置換されていてもよいアリールスルホニル;脂質(リン脂質を含む。);ホスホチジルコリン;ホスホコリン;アミノ酸残基または誘導体;アミノ酸アシル残基または誘導体;ペプチド;コレステロール;または、生体内に投与された場合に遊離アミンおよび/またはカルボン酸部分を提供する他の医薬的に許容される脱離基。これらの任意のものを、開示された活性薬剤と組み合わせて用いて、所望の効果を達成することができる。
【0067】
特定の実施形態において、本発明は化合物(RとRとが一緒になって=Oを構成している。)を提供する。特定の実施形態において、本発明は化合物(RおよびRは独立してHおよび置換されていてもよいC1−10アルキルから選択される。)を提供する。一部の実施形態において、RおよびRは独立してHおよび置換されていてもよいC1−7アルキル、好ましくはC1−6アルキルから選択される。一部の実施形態において、RおよびRは独立してHおよび置換されていてもよいC2−7アルキル、好ましくはC2−6アルキルから選択される。一部の実施形態において、RおよびRの一方はHであり、およびRおよびRの他方は置換されていてもよいC1−10アルキルである。一部の実施形態において、RおよびRの一方はHであり、およびRおよびRの他方は置換されていてもよいC1−7アルキル、好ましくは置換されていてもよいC1−6アルキルである。一部の実施形態において、RおよびRの一方はHであり、およびRおよびRの他方は置換されていてもよいC2−7アルキル、好ましくは置換されていてもよいC2−6アルキルである。一部の実施形態において、C2−C7アルキルは、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはイソブチルからなる群より選択される。一部の実施形態において、RおよびRの一方はHであり、およびRおよびRの他方は置換されていてもよいC1−4アルキル、好ましくはC2−4アルキルである。特定の実施形態において、R10およびR11の一方はHであり、およびR10およびR11の他方は置換されていてもよいC1−10アルキルである。一部の実施形態において、R10およびR11の一方はHであり、およびR10およびR11の他方はtert−ブチルである。一部の実施形態において、R10およびR11の一方はHであり、およびR10およびR11の他方は置換されていてもよいC3−10シクロアルキルである。一部の実施形態において、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルからなる群より選択される。特定の実施形態において、本発明は化合物(R−Rの一以上がH以外の置換基である。)を提供する。例えば、一部の実施形態において、R−Rの1つ以上がハロゲン(例えば、Cl、BrまたはI)である。
【0068】
本発明の特に好ましい化合物としては、以下のものが挙げられる:
【0069】
【化5】

2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン;
【0070】
【化6】

2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロブチロフェノン;
【0071】
【化7】

2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロペンタノフェノン;
【0072】
【化8】

2−(N−シクロブチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン;
【0073】
【化9】

2−(N−シクロペンチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン;
【0074】
【化10】

2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロブチロフェノン;
【0075】
【化11】

2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロブチロフェノン;
【0076】
【化12】

2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロペンタノフェノン;
【0077】
【化13】

2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロペンタノフェノン;
【0078】
【化14】

2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘキサノフェノン;
【0079】
【化15】

2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘプタノフェノン;
【0080】
【化16】

2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロオクタノフェノン;および
【0081】
【化17】

2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロフェニル−4−メチルペンタノフェノン。
【0082】
本発明の式Iで示されるさらなる代表的非限定的化合物(R11はシクロアルキル)を、以下の表1に示す。
【0083】
【化18】

表1 式Iで示される代表的化合物
【0084】
【表1】






【0085】
式Iaで示される本発明のさらなる代表的非限定的化合物(Rはエチルまたはプロピル)を、以下の表2に示す。
【0086】
【化19】

表2 式Iaで示される代表的化合物
【0087】
【表2】






【0088】
本発明の式Ibで示される代表的非限定的化合物を、以下の表3に示す。
【0089】
【化20】

表3 式Ibで示される代表的化合物
【0090】
【表3】




【0091】
特定の実施形態において、本発明の化合物は式Iaで示される化合物であり、以下のものの1つまたは2つ以上を含む:ケトンに対してα位であるアルキル基、フェニル環上の1種以上の置換基、および/または、アミン上の1種以上のアルキル置換基。このような化合物は、モノアミントランスポーター結合特性において向上した活性を示し、モノアミン取り込みを効果的に阻害し得る。
【0092】
調製方法
本発明は、式I、式Iaおよび/または式Ibで表される構造を有する化合物を調製する方法も含む。スキーム1は、本発明の式Iaで示される化合物のために用いられる一般的合成を示す。一般的に、ブプロピオンを調製するために用いられおよびチェナード(Chenard)および共同研究者による修正された初期手順に従った。以下を参照されたい:Mehta,N.B.,The Chemistry of Bupropion,J Clin.Psychiat,1983,45(5(sec.2)),56−59およびChenard,B.L.et al.,(1S,2S)−1−(4−Hydroxyphenyl)−2−(4−hydroxy−4−phenylpiperidino)−1−propanol:A Potent New Neuroprotectant Which Blocks N−methyl−D−aspartate Responses,J.Med.Chem.1995,38,3138−3145。これらの両方を、ここで参照により援用する。簡単に説明すると、ベンゾニトリルを置換フェノンに転化し、これをカルボニルに対してα位の炭素において臭素化してブロモ中間体を形成し、これを次に、求核置換によりアミンと反応させてアミンを形成することができる。当業者は、必要に応じ、この方法を、合成の化学に影響を与え得る種々の官能基を含むように適合させることができる。
【0093】
【化21】

スキーム1
【0094】
組成物
本発明の化合物を、原料のままの化学的形態で投与することができるが、本発明の化合物を、医薬製剤として送達することが好ましい。従って、本発明により、1種以上のモノアミンの再取り込みを阻害することができる少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物が提供される。このようなものとして、本発明の組成物は、前述のような式Iで示される化合物または医薬的に許容されるこのエステル、アミド、塩または溶媒和物を、1種以上の医薬的に許容されるキャリアと共に含み、場合により、他の治療成分を含む。
【0095】
「医薬的に許容されるキャリア」とは、薬剤の貯蔵、投与および/または治癒効果を手助けするために当分野で従来から用いられているキャリアを意図する。キャリアは、組成物の他の成分と適合性であるという意味で医薬的に許容されなくてはならず、受容者に不当に有害であってはならない。キャリアは、薬剤の望ましくない副作用を低減させることもある。このようなキャリアが当分野で知られている。Wanget al.,(1980)J Parent.Drug Assn.34(6),452−462を参照されたい。この全体を参照によりここで援用する。
【0096】
本発明の組成物中に用いるためのアジュバントまたは副成分としては、バインダー、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、希釈剤、界面活性剤、安定剤、防腐剤、香味剤および着色剤などのような当分野で一般的に許容されると見なされる任意の医薬成分を含むことができる。組成物は、さらに、希釈剤、緩衝剤、バインダー、崩壊剤、増粘剤、潤滑剤、防腐剤(酸化防止剤を含む。)、風味剤、味マスキング剤、無機塩(例えば、塩化ナトリウム)、抗菌剤(例えば、塩化ベンズアルコニウム)、甘味料、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」および「TWEEN 80」のようなポリソルベート、およびF68およびF88のようなプロロニック、BASF製)、ソルビタンエステル、脂質(例えば、レシチンおよび他のホスファチジルコリンのようなリン脂質、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸および脂肪エステル、ステロイド(例えば、コテステロール))、およびキレート化剤(例えば、EDTA、亜鉛および他のこのような適切なカチオン)を含んでよい。本発明による組成物中に用いるのに適した他の医薬賦形剤および/または添加剤が、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy」,19th ed.,Williams & Williams,(1995)、「Physician’s Desk Reference」,52nd ed.,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)および「Handbook of Pharmaceutical Excipients」,Third Ed.,Ed.A.H.Kibbe,Pharmaceutical Press,2000に列挙されている。
【0097】
バインダーは、通常、錠剤の密着性を手助けし、錠剤が圧縮後に無傷であることを確保するために用いられる。適切なバインダーとしては、デンプン、多糖類、ゼラチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ロウならびに天然および合成ガムが挙げられるが、これらに限定されない。許容される充填剤としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロースおよび微結晶セルロース、ならびに可溶性材料、例えばマンニトール、尿素、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウムおよびソルビトールが挙げられる。潤滑剤は、錠剤製造を容易にするのに有用であり、植物油、グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸が挙げられる。崩壊剤は、錠剤の崩壊を容易にするのに有用であり、通常、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ガムおよび架橋ポリマーが挙げられる。希釈剤は、錠剤に嵩を与えるために通常含まれ、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプンおよび粉砂糖を挙げることができる。本発明の組成物中に用いるのに適した界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性界面活性剤であってよい。安定剤は、酸化反応のような、活性薬剤の分解につながる反応を阻害または減少させるために組成物中に含まれてよい。
【0098】
本発明の組成物としては、組成物が本明細書に記載の化合物の投与を達成することを条件に、短期、急速発現、急速消失、制御放出、徐放、遅延放出およびパルス放出製剤が挙げられる。Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.;Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania,1990)を参照されたい。ここで、この全体を参照により援用する。
【0099】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口(静脈内、筋肉内、皮下、皮内および経皮を含む。)、局所(皮膚、口腔内および舌下を含む。)、および直腸投与を含む種々の送達方式に適切である。最も有用および/または有益な投与方式は、特に、受容者の症状および治療される疾患に依存して変わり得る。
【0100】
医薬組成物は、単一剤型で入手できるようにすることが都合よく、このような組成物は、医薬分野で一般的に知られている任意の方法により調製することができる。一般的に、このような調製方法は、本発明の式Iで示される化合物(または、医薬的に許容されるこのエステル、アミド、塩または溶媒和物)のような活性薬剤を、1種以上の成分からなっていてよい適切なキャリアまたは他のアジュバントと(種々の方法により)組み合わせることを含む。有効成分と1種以上のアジュバントとの組み合わせを、次に、物理的に処理して、送達のための適切な形態の組成物を得る(例えば、錠剤に賦形する、または水性懸濁液を形成する。)。
【0101】
経口投与に適切な本発明の医薬組成物は、各々が所定量の活性薬剤を含む錠剤、カプセル、カプレットおよびウエハー(速溶性または泡立ち剤を含む。)のような種々の形態をとってよい。組成物は、粉末または顆粒、水性または非水性液中の溶液または懸濁液、および液体エマルジョン(水中油および油中水)の状態であってもよい。活性薬剤は、ボーラス、舐剤またはペーストとして送達してもよい。前記剤型を調製する方法は当分野で通常知られており、このような方法は、本発明の化合物の送達において用いるためのそれぞれの剤型の調製に適している、と一般に解される。
【0102】
本発明の化合物を含む錠剤は、圧縮または成形のような当業者によく知られた標準的方法により、場合により、1種以上のアジュバントまたは副成分を用いて製造することができる。錠剤は場合により被覆するかまたは切り込み線を付けてよく、および、活性薬剤の徐放または制御放出を提供するように調製してよい。
【0103】
固体剤型は、被覆の適用のように、活性薬剤の遅延放出を提供するように調製してよい。遅延放出被覆は当分野で知られており、これを含む剤型を任意の既知の適切な方法により調製することができる。このような方法は、通常、固体剤型(例えば、錠剤またはカプレット)の調製後に、遅延放出被覆組成物を塗布することを含む。塗布は、エアレススプレー、流動床被覆、被覆パンの使用等のような方法により行うことができる。遅延放出被覆として用いるための材料は、分子量の大きなもの、例えば、セルロース材料(例えば、セルロースブチレートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびカルボキシメチルエチルセルロース)、ならびに、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらのエステルのポリマーおよびコポリマーであり得る。
【0104】
本発明の固体剤型は、徐放性(即ち、活性薬剤を長期間にわたって放出する。)であってもよく、および遅延放出性であってもなくてもよい。徐放性製剤は、当分野で知られており、および通常、不溶性プラスチック、親水性ポリマーまたは脂肪化合物のような徐々に分解または加水分解し得る材料からなるマトリクス中に薬物を分散させることにより調製される。または、固体剤型はこのような材料で被覆されてよい。
【0105】
非経口投与用の組成物としては水性および非水性滅菌注射溶液が挙げられ、これらは、さらに、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および、組成物を意図する受容者の血液と等張にする溶質のようなさらなる薬剤を含んでいてよい。これら組成物としては、懸濁剤および増粘剤を含んでいる水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。このような非経口投与用の組成物は、例えば密封アンプルおよびバイアルのような単回投与または複数回投与容器内に提供されてよく、使用直前に滅菌液体キャリア、例えば、(注射用)水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件下に貯蔵されてよい。即時調合注射溶液および懸濁液は、先に記載した種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0106】
本発明の化合物は経皮投与することもでき、この場合、受容者の表皮との親密な接触を長期間維持するように適合された積層構造(通常、「パッチ」と呼ばれる。)に活性薬剤が混入される。典型的には、このようなパッチは、単層「接着剤中薬物」パッチとして、または活性薬剤が接着層と離れた層中に含まれている多層パッチとして得られる。いずれのタイプのパッチも、通常、裏当て層および、受容者の皮膚に付着する前に取り除かれるライナーを含む。経皮薬物送達パッチは、半透過性膜および接着層により受容者の皮膚から離れている裏当て層の下側にある貯留層も含んでよい。経皮薬物送達は、受動拡散により生じる、または、電気輸送またはイオン泳動を用いて手助けすることができる。
【0107】
本発明の化合物の直腸送達用の組成物としては、直腸坐剤、クリーム、軟膏および液剤が挙げられる。坐剤は、ポリエチレングリコールのような当分野で通常知られているキャリアと組み合わされた活性薬剤として提供されてよい。このような剤型は、迅速にまたは長時間かかって崩壊するように設計することができ、崩壊を完成する時間は、約10分のような短時間から約6時間のような長時間に及び得る。
【0108】
式Iで示される化合物は、経口、口腔内、直腸、局所、鼻腔内、眼内または非経口(腹腔内、静脈内、皮下または筋肉内注射を含む。)投与に適したものを含む組成物中に処方することができる。組成物は単位剤型として提供されるのが都合よく、薬学の分野でよく知られているいかなる方法によって調製してもよい。全ての方法が、式Iで示される化合物を、1種以上の副成分からなるキャリアに接触させる工程を含む。通常、組成物を調製するために、本発明の化合物を液体キャリアと接触させて溶液または懸濁液を形成する、または、本発明の化合物を、固形物を形成する、場合により微粒子状産物を形成するのに適した製剤成分と接触させ、次に、理由がある場合、所望の送達形状に造形する。本発明の固体組成物は、微粒子状の場合、典型的には、約1ナノメーターから約500ミクロンの範囲の寸法を有する粒子を含む。通常、静脈内投与を意図した固体組成物において、粒子は、典型的には、直径が約1nmから約10ミクロンの範囲である。
【0109】
組成物中の式Iで示される化合物の量は、選択される特定の化合物、剤型、標的患者集団および他の考慮事項によって変わり、当業者により容易に決められる。組成物中の式Iで示される化合物の量は、本発明の化合物に関わる治療効果の少なくとも1つを達成するために、治療有効量の化合物を必要としている患者に送達するために必要な量である。実際面では、これは、特定の化合物、この活性、治療すべき症状の重傷度、患者集団、組成物の安定性等に依存して広範囲に変化する。組成物は、通常、約1重量%から約99重量%、典型的には約5重量%から約70重量%、およびより典型的には約10重量%から約50重量%の本発明の化合物を含み、組成物中に含まれる賦形剤/添加剤の相対的量にも依存するであろう。
【0110】
組み合わせ
特定の実施形態において、本発明の化合物と組み合わされて用いられる活性薬剤は、本明細書に記載の症状を治療するのに有用であると一般的に認められている1種以上の化合物を含む。例えば、特定の実施形態において、本発明は、本発明の化合物と1種以上の既知の抗鬱薬とを組み合わせて投与することを含む、鬱病の治療方法を提供する。本発明で有用な抗鬱薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗鬱薬、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(5−HT−NE二重再取り込み阻害剤)、およびノルエピネフリンおよびドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)を含む。
【0111】
1つの実施形態において、式Iで示される化合物は、セロトニン再取り込み阻害剤である1種以上の化合物と組み合わせてよい。セロトニン再取り込み阻害剤は、シナプス前細胞へのこの再取り込みを阻害することによりセロトニンの細胞外濃度を増し、これにより、シナプス後受容体に結合およびシナプス後受容体を刺激するために利用できるセロトニンの濃度を上昇させる。最近では、ブプロピオンを1種以上の抗鬱薬と組み合わせて用いる、最も一般的には、プロピオンを1種以上のSSRIと組み合わせることが多い。SSRIとしては、例えば、フルオキセチン(PROZAC(登録商標))、パロキセチン(PAXIL(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、シタロプラム(CELEXA(登録商標))、エスシタロプラム(LEXAPRO(登録商標))、ネファゾドン(SERZONE(登録商標))およびフルボキサミン(LUVOX(登録商標))が挙げられる。
【0112】
もう1つの実施形態において、式Iで示される化合物を、モノアミンオキシダーゼの機能を少なくとも部分的に阻害する1種以上の化合物と組み合わせてよい。モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)は、モノアミンオキシダーゼの活性を阻害することにより作用すると理解されている化合物、即ち、典型的には脱アミノ化によりモノアミン化合物を破壊するように機能する人体の脳および肝臓において通常見られる酵素を含む。モノアミンオキシダーゼ阻害剤の2種類のアイソフォーム、即ちMAO−AおよびMAO−Bが存在する。MAO−Aアイソフォームは、典型的に神経伝達物質として発生するモノアミン(例えば、セロトニン、メラトニン、エピネフリン、ノルエピネフリンおよびドーパミン)を選択的に脱アミノ化する。即ち、MAOIは、歴史的に、抗鬱薬として、および、広場恐怖および社会不安のような他の社会的障害の治療のために処方されてきた。MAO−Bアイソフォームは、フェニルエチルアミンおよび微量アミンを選択的に脱アミノ化する。ドーパミンは、両方のアイソフォームにより同等に脱アミノ化される。MAOIは、可逆的または不可逆的であり得、特定のアイソフォームに対して選択的であり得る。例えば、MAOIであるモクロベミド(ManerixまたはAurorixとしても知られている。)は、MAO−BよりもMAO−Aに対して約3倍、より選択的であることが知られている。
【0113】
一般的にMAOIであると理解されているどの化合物も、本発明により有用であり得る。本発明の組成物を調製するために本発明の化合物と組み合わせることが有用であるMAOIの非限定的例としては、以下のものが挙げられる:イソカルボキサジド(MARPLAN(登録商標));モクロベミド(Aurorix、ManerixまたはMoclodura);フェネルジン(NARDIL(登録商標));トラニルシプロミン(PARNATE(登録商標));セレギリン(ELDEPRYL(登録商標)、EMSAM(登録商標)または1−デプレニル);ラザベミド;ニアラミド;イプロニアジド(マルシリド、イプロジド、イプロニド、リビボルまたはプロピルニアジダ);イプロクロジド;トロキサトン;ハルマラ;ブロファロミン(Consonar);ベンモキシン(Neuralex);および特定のトリプタミン、例えば、5−MeO−DMT(5−メトキシ−N,N−ジメチルトリプラミン)または5−MeO−AMT(5−メトキシ−α−メチルトリプタミン)。
【0114】
さらにもう1つの本発明の実施形態によれば、式Iで示される化合物を、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)である1種以上の化合物と組み合わせることができる。NRIは、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(NARI)としても知られており、通常、シナプス間隙からシナプス前神経終末へのノルエピネフリンの再取り込みを阻害することにより、中枢神経系(CNS)におけるノルエピネフリンの濃度を上昇させるように機能する。ノルエピネフリンはカテコールアミンであり神経伝達物質として機能するフェニルエチルアミンであり、多くの症状に影響を与えることが知られている。CNSにおけるノルエピネフリンの再取り込みを阻害すると一般的に利用されている化合物を、本発明により用いることができる。本発明により有用であるNRIの非限定的例としては、アトモキセチン(STRATTERA(登録商標))、レボキセチン(EDRONAX(登録商標)、VESTRA(登録商標)またはNOREBOX(登録商標))、ビロキサジン(EMOVIT(登録商標)、VIVALAN(登録商標)、VIVARINT(登録商標)またはVIVILAN(登録商標))、マプロチリン(DEPRILEPT(登録商標)、LUDIOMIL(登録商標)またはPSYMION(登録商標))、ブプロピオン(WELLBUTRIN(登録商標)またはZYBAN(登録商標))、およびラダファキシンが挙げられる。
【0115】
本発明により有用である特定の抗鬱薬のさらなる非限定的例としては、アミトリプチリン、ノルトリプチリンおよびデシプラミンのような三環系抗鬱薬;ベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))、ズロキセチン(CYMBALTA(登録商標))およびミルナシプランのようなセロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤;マプロチリンおよびミルタザピンのような四環系抗鬱薬;および、トラゾドンのようなトリアゾロピリジンを含む他のクラスの化合物が挙げられる。
【0116】
前記化合物および前記クラスの化合物は、気分障害、睡眠障害または注意欠陥障害の治療のために本発明の化合物と組み合わせて用いることができるタイプの活性薬剤の単なる例であり、本発明を制限することを意図するものではない。むしろ、種々のさらなる活性薬剤を、本発明による1種以上の化合物と組み合わせることができる。例えば、抗鬱薬、麻薬拮抗薬またはADHD治療薬として通常認識されている薬剤を、本発明の1種以上の化合物と組み合わせて用いることができる。さらに、本発明により、前述の症状の治療のために二種以上のさらなる活性薬剤を本発明の化合物と組み合わせることができる。
【0117】
本発明の化合物と組み合わせることができるさらなる活性薬剤の非限定的例としては、気分安定剤(例えば、リチウム、オランザピン、ベラパミル、クエチアピン、ラモトリジン、カルバマゼピン、バルプロエート、オキシカプバゼピン、リスペリドン、アリピプラゾールおよびジプラシドン);抗精神病薬(例えば、ハロペリドールおよび他のブチロフェノン類、クロロプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジンおよび他のフェノチアジン類、およびクロザピン);セロトニン受容体拮抗薬(5−HT2および5−HT3拮抗薬)(例えば、オンダンセトロン、トロピセトロン、カテンセリン、メチセルジド、シプロヘプタジンおよびピゾチフェン);セロトニン受容体作動薬(5−HT1A受容体作動薬)(例えば、ブスピロン);覚醒剤[例えば、カフェイン、ADDERALL(登録商標)、メチルフェニデート(METADATE(登録商標)、RITALIN(登録商標)またはCONCERTA(登録商標))、ペモリン(CYLERT(登録商標))、またはモダフィニル(PROVIGIL(登録商標))];およびガンマヒドロキシ酪酸(GHB)(XYREM(登録商標))が挙げられる。前記化合物は、所定のクラスの化合物および特定の化合物として記載したが、特定のクラスの化合物の間(例えば、気分安定剤、抗精神病薬、抗鬱薬およびセロトニン受容体拮抗薬の間)には実質的重複があると解される。即ち、特定のクラスの化合物を例示している特定の化合物が、1種以上のさらなるクラスの化合物と同一とされても適切である。従って、前記分類は、本明細書に記載の症状を治療するために本発明の化合物と組み合わせることが有用であるタイプの化合物の範囲を限定すると見なすべきでない。
【0118】
ブプロピオンも、一般に、ニコチン中毒症の治療のために他の治療薬と組み合わされる。即ち、1つの実施形態において、本発明の化合物は、ニコチン中毒症の治療のために、1種以上のニコチン代用物と組み合わされる。本発明の化合物と組み合わされてよいニコチン置換療法としては、経皮ニコチンパッチ(例えば、Habitrol(登録商標)、Nicoderm CQ(登録商標)およびNicotrol(登録商標))、ニコチンガム(例えば、Nicorette(登録商標))、ニコチンロゼンジ(例えば、Commit(登録商標))、ニコチン含有舌下錠剤(例えば、Nicorette(登録商標)Microtabs)、およびニコチン鼻内噴霧器または吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物は、1種以上のニコチン様薬剤と組み合わされてもよい。本発明の化合物と共に用いてよいニコチン様薬剤の1つの特定のクラスとして、バレニクリン(Chantix(登録商標))を含むα4−β2ニコチン性受容体部分作動薬が挙げられる。治療すべき症状が、ドーパミンおよび/またはノルエピネフリン再取り込みの阻害に反応を示す場合、本発明の化合物と他の治療薬との組み合わせも本発明に含まれる。
【0119】
式Iで示される化合物および1種以上の他の治療薬は、単一の組成物中に含まれてよい、または、一緒に、または任意の順番で連続して(引き続いて)投与してよい。連続投与の場合、式Iで示される化合物および1種以上の他の治療薬の各々をこれ自体の医薬組成物として製剤化することができ、各々を任意の順番で連続して投与する。または、式Iで示される化合物および1種以上の他の治療薬を一緒に製剤化することができる。組成物を、経口、全身、局所、静脈内、腹腔内、膣内、眼内、経頬、経粘膜または経皮投与用に製剤化することができる。
【0120】
(使用法)
さらなる実施形態において、本発明は、患者においてモノアミン再取り込みを阻害することにより軽減される疾患を治療するかまたはこの進行を遅延させるための方法であって、式Iで示される少なくとも1つの化合物を治療有効量患者に投与することを含む方法を提供する。特に、本発明は、動物、特にヒトおよび他の哺乳動物における中毒症および抑鬱症状、およびこれらの症状の関連影響を治療する分野に関する。本発明は、モノアミン再取り込みの阻害により改善され得る他の症状の治療にも関する。本発明は、特に、ドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニン再取り込みの阻害の1つまたは2つ以上により改善され得る症状の治療に関する。一部の実施形態において、本発明の化合物は、1種以上のモノアミントランスポーターに選択的である。一部の実施形態において、化合物は、セロトニントランスポーターよりも、ドーパミンおよびノルエピネフリントランスポーターに、より強力に結合する。好ましい実施形態において、化合物は、ノルエピネフリンまたはセロトニントランスポーターよりも、ドーパミントランスポーターに、より強力に結合する。
【0121】
中毒症は、この一般的意味を有する、例えば、個人が、物質の使用に関する機能障害または苦痛にも関わらずこの物質の使用に固執するときに存在する症状である。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、活性の遅延発現および長期持続を示す。これらの特徴により、本発明の化合物は、普通は活性の迅速発現および/または短期持続を示す乱用物質への中毒症の治療に特に適しているようになる。1種以上の物質への中毒症を有する被験者に本発明の化合物を投与することは、コカイン、メタンフェタミンおよびニコチン中毒症の治療に特に適している。
【0122】
本発明の化合物は、鬱病および抑鬱症状を治療するために適用することもできる。鬱病はこの一般的意味を有する、例えば、憂鬱気分、興味または喜びの喪失、罪悪感または低い自尊心、睡眠または食欲の障害、低エネルギーおよび集中力不足と共に現れる一般的精神障害、または、力量不足であるという悲観的感情と非活動的な意気消沈が特徴の精神状態である。不眠症、食欲不振、体重減少および低下したエネルギーおよび性的衝動のような肉体的変化も、鬱病の結果として生じ得る。鬱病としては、慢性軽度鬱と定義される気分変調性障害または気分変調、および大鬱、および鬱の他のステージまたは水準が挙げられる。産後鬱も含まれる。
【0123】
本発明の化合物は、1種以上のモノアミンの再取り込みの阻害に反応し得る他の症状のために用いることもできる。一部の実施形態において、本発明の化合物は、ドーパミン、ノルエピネフリンおよび/またはセロトニンの阻害に反応性のある症状の患者を治療するために用いることができる。例えば、一部の実施形態において、式Iで示される化合物を、双極性障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、性的欲求低下障害、抗鬱薬−誘発性的機能不全、オルガズム機能不全、季節性情動障害/冬季鬱病、肥満および食事依存症、躁病、過食および他の摂食障害、パニック障害、強迫障害、統合失調症、分裂情動性障害、パーキンソン病、ナルコレプシー、不安障害、不眠症、慢性疼痛、片頭痛およびむずむず脚症候群の患者を治療するために用いることができる。
【0124】
治療方法は、通常、式Iで示される化合物を治療有効量投与すること、場合により、1種以上の医薬的に許容されるキャリアを含む医薬組成物中に含ませて投与することを含む。治療有効量は、1種以上のモノアミンの再取り込みを阻害するのに充分であることが好ましい。治療有効量は、患者が治療を受ける疾患の症状から患者を救済するのに充分であることがさらに好ましい。
【0125】
例えば、1つの実施形態において、コカイン中毒症を治療する方法が提供される。このような方法において、コカイン中毒症の患者を治療するための本発明の化合物の治療有効量は、ドーパミン作動性効果を発現することができる量であってよい。過剰のドーパミンをシナプス前細胞に戻すように運ぶドーパミントランスポーターを遮断することによりドーパミンの再取り込みを阻害することにより、コカインは機能する。コカインは活性の発現が迅速で、持続が短い。慢性的コカインの使用は、ドーパミンの枯渇およびドーパミン作動性信号伝達の欠如に関係する離脱症候群を生じさせる。本発明の化合物に活性の遅延発現および長期持続を提供することにより、本発明の化合物は、慢性コカイン使用者におけるドーパミン作動性の欠如を逆転させることができる。
【0126】
鬱病患者を治療するための本発明の化合物の治療有効量は、気分の変化、強度の悲しみおよび絶望の感覚、精神機能低下、集中力の消失、悲観的悩み、動揺および卑下のような症状からの、および/または、不眠症、食欲不振および体重減少、および減少したエネルギーおよび性的衝動のような身体的変化からの救済を提供することができる量であってよい。ドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニンの1つまたは2つ以上の濃度は鬱病患者において低く、従って、適切なトランスポーターによるこれらモノアミンのいずれかの再取り込みの阻害は、モノアミン濃度を調節し、鬱病の症状を治療するために効果的であり得る。
【0127】
特定の組成物の治療有効投与量は、薬物間でおよび患者間で少し異なり、患者の症状および送達経路のような因子に依存する。他の医薬的活性薬剤と一緒に投与した場合、本発明の化合物の量が少なくても治療的に有効である。さらに、治療有効量は、治療すべき特定の症状に依存して変わり得る。
【0128】
本発明の化合物は、一日一回または複数回投与することができる。日用量は、単一の投与単位または複数の小さな投与単位の状態での単回投与により、または、細分された投与分の特定の間隔での複数回投与により投与することができる。可能な送達経路としては、口腔内、皮下、経皮、筋肉内、静脈内、経口または吸入が挙げられる。
【0129】
本発明の化合物は、非薬剤系の療法を含む他のタイプの療法と共に用いてよい。例えば、依存症は、通常、行動療法と組み合わせて1種以上の治療手段を用いて治療される。即ち、一部の実施形態において、本発明の方法は、1種以上の他のタイプの非薬剤系治療と組み合わせて、モノアミン再取り込み阻害剤として機能することができる化合物を被験者に投与することを含む。
【実施例1】
【0130】
合成
核磁気共鳴(H NMRおよび13C NMR)スペクトルを、300MHz(Bruker AVANCE 300)または500MHz(Varian Unity ANOVA)スペクトロメーターにおいて記録した。プロトン共鳴についての化学シフトデータを、内部(CHSi(δ 0.0)に対するppm(δ)で報告した。元素分析を、Atlantic Microlab,Norcross,GAにより行った。シリカゲルGHLF(250μM厚)を予め被覆したプレート上で、分析的薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。TLC視覚化を、UVランプを用いてまたはヨウ素チャンバー内で行った。全ての感湿反応は、窒素供給源からの直通により維持された窒素陽圧下に行った。無水溶媒は、Aldrich Chemical Co.またはVWRから購入した。本明細書に記載される化合物は、実施例2に提示されるデータと相互参照され得る数字−文字の組み合わせを用いて表される。
【0131】
a)本発明の化合物の合成
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3−クロロブタノフェノン(2o)の合成
工程1.3’−クロロブタノフェノン(9o)
3−クロロベンゾニトリル8d(3.0g、0.022mol)およびTHF(75mL)を、磁気攪拌子を備える250mLフラスコ中に配した。フラスコを氷水浴を用いて0℃に冷却した。塩化プロピルマグネシウム(26.2mL、EtO中2M)をシリンジで10分間かけて注入した。反応液を窒素下に室温で攪拌した。96時間後、フラスコを0℃に冷却した.反応液を、0.1M塩酸(75mL)を加えることにより急冷した。室温で1時間攪拌した後、溶液を分液漏斗に移した。水(50mL)および水酸化アンモニウム(2mL)を加えて反応液を塩基性化し、および水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、9o 3.51g(88%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.95(s,1H)、7.81−7.87(d,1H)、7.50−7.56(d,1H)、7.38−7.40(t,1H)、2.90−2.95(t,2H)、1.72−1.81(m,2H)、0.99−1.05(t,3H)。
【0132】
工程2.2−ブロモ−3’−クロロブタノフェノン(10o)。
【0133】
ケトン9o(3.51g、0.01mol)および塩化メチレン(75mL)を、磁気攪拌子を備える500mLフラスコ中に配した。溶液を窒素下に攪拌し、および臭素(0.98mL、0.019mol)をシリンジでフラスコに注入した。少量の臭素を最初に加えて反応を触媒した。反応開始後、残りの臭素を10分間かけて加えた。14時間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化した。水層を1Mチオ硫酸ナトリウム溶液で洗い、塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物5.20gを得た。オレンジ色油状物を、5:1 ヘキサン/塩化メチレンを溶離剤として用いて、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、10o 4.04g(80%)を無色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.00(s,1H)、7.86−7.91(d,1H)、7.54−7.59(d,1H)、7.41−7.48(t,1H)、4.99−5.05(t,1H)、2.07−2.30(m,2H)、1.07−1.12(t,3H)。
【0134】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロブタノフェノン(2o)フマレート
中間体10o(3.90g、0.015mol)およびtert−ブチルアミン(7.84mL、0.075mol)を、磁気攪拌子を備える密封管中に配した。管を密封し、油浴を用いて75℃で加熱した。2時間後、反応混合物を室温まで冷却し、分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化し、水層を塩化メチレンで抽出した(3×)。有機層を脱水(NaSO)し、溶媒を減圧下に除去した。油状物をメタノールに溶解し、溶媒を減圧下に除去して、2o 3.51g(93%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.95(s,1H)、7.84−7.89(d,1H)、7.53−7.58(d,1H)、7.40−7.48(t,1H)、4.04−4.10(m,1H)、2.04−2.24(m,2H)、1.02(s,9H)、0.92−0.99(t,3H)。
【0135】
1当量のフマル酸を2oのEtO溶液に添加することにより、アミン2oをフマル酸塩に転化した。メタノールおよびEtOから再結晶することにより、2oフマル酸塩2.64gを白色固形物として得た。融点:155−156℃。HNMR(CDOD)δ8.20(s,1H)、8.10−8.15(d,1H)、7.76−7.81(d,1H)、7.60−7.68(t,1H)、6.70(s,2H)、5.20−5.25(t,1H)、2.01−2.11(m,2H)、1.37(s,9H)、1.15−1.22(t,3H)。分析値(C1824NO)C,H,N。
【0136】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロペンタノフェノン(2p)の合成
工程1.3’−クロロペンタノフェノン(9p)
3−クロロベンゾニトリル8d(3.0g、0.022mol)およびTHF(75mL)を、磁気攪拌子を備える250mLフラスコ中に配した。フラスコを氷水浴を用いて0℃に冷却した。塩化ブチルマグネシウム(26.2mL、THF中2M)をシリンジで10分間かけて注入した。反応混合物を室温で窒素下に攪拌した。96時間後、フラスコを0℃に冷却し、0.1M塩酸(75mL)を加えることにより急冷した。室温で1時間攪拌した後、溶液を分液漏斗に移し、水(50mL)および水酸化アンモニウム(2mL)を加えて反応液を塩基性化し、水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、9p 4.04g(94%)を淡黄色固形物として得た。HNMR(CDCl)δ7.95(s,1H)、7.85−7.80(d,1H)、7.56−7.51(d,1H)、7.45−7.38(t,1H)、2.98−2.91(t,2H)、1.80−1.68(m,2H)、1.49−1.38(m,2H)、1.01−0.92(t,3H)。
【0137】
工程2.2−ブロモ−3’−クロロペンタノフェノン(10p)
ケトン10p(4.04g、0.021mol)および塩化メチレン(75mL)を、磁気攪拌子を備える500mLフラスコ中に配した。溶液を窒素下に攪拌し、臭素(0.98mL、19.2mmol)をシリンジでフラスコに注入した。少量の臭素を最初に加えて反応を触媒した。反応開始後、残りの臭素を10分間かけて加えた。14時間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化した。混合物を塩化メチレンで抽出した(3×)。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物6.02gを得た。オレンジ色油状物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製(5:1 ヘキサン−塩化メチレン)して、10p 3.69g(65%)を無色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.97(s,1H)、7.90−7.85(d,1H)、7.59−7.54(d,1H)、7.47−7.40(t,1H)、5.09−5.02(t,1H)、2.22−2.07(m,2H)、1.65−1.39(m,2H)、1.05−0.95(t,3H)。
【0138】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロペンタノフェノン(2p)フマレート
中間体10p(3.60g、0.013mol)およびtert−ブチルアミン(6.86mL、65.3mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、油浴を用いて75℃で加熱した。9時間後、反応混合物を室温まで冷却し、分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化し、水層を塩化メチレンで抽出した(3x)。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去した。得られた油状物をメタノールに溶解し、溶媒を減圧下に除去して、2p 3.25g(93%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.99(s,1H)、7.90−7.85(d,1H)、7.60−7.55(d,1H)、7.50−7.42(t,1H)、4.15−4.09(m,1H)、1.60−1.43(m,2H)、1.43−1.25(m,2H)、1.02(s,9H)、0.94−0.88(t,3H)。
【0139】
2bについて記載した手順を用いて、アミン2pをフマル酸塩に転化した。メタノールおよびEtOから再結晶することにより、2pフマル酸塩2.64gを白色固形物として得た。融点:159−160℃。HNMR(CDCl/CDOD)δ8.05(s,1H)、7.98−7.93(d,1H)、7.71−7.66(d,1H)、7.60−7.52(t,1H)、6.77(s,2H)、4.74−4.69(t,1H)、1.91−1.69(m,2H)、1.39−1.17(m,2H)、1.25(s,9H)、0.91−0.85(t,3H)
分析値(C1926NO)C,H,N。
【0140】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘキサノフェノン(2q)の合成
工程1.3’−クロロヘキサノフェノン(9q)
3−クロロベンゾニトリル8d(5g、0.036mol)および無水THF(110mL)を、磁気攪拌子を備えるフラスコ中に配した。フラスコを氷水浴を用いて0℃に冷却し、窒素下に攪拌した。臭化ペンチルマグネシウム(22mL、EtO中2M)をシリンジで10分間かけて注入した。1時間後、反応混合物を室温まで温めた。6日後、フラスコを0℃に冷却し、冷たい1M塩酸(75mL)をゆっくり加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌させた。溶液を分液漏斗に移し、水酸化アンモニウムで塩基性化した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、9q 7.55g(99%)を淡黄色固形物として得た。HNMR(CDCl)δ7.93(s,1H)、7.85−7.81(d,1H)、7.55−7.51(d,1H)、7.43−7.37(t,1H)、2.97−2.91(t,2H)、1.76−1.68(m,2H)、1.40−1.33(m,4H)、0.94−0.89(m,3H)。
【0141】
工程2.2−ブロモ−3’−クロロヘキサノフェノン(10q)
ケトン9q(7.55g、0.036mol)をクロロホルム(200mL)に溶解し、窒素下に攪拌した。臭素(1.9mL、36mmol)をシリンジでフラスコに注入した。フラスコをヒートガンで短時間加熱して反応を開始した(約1分間)。発生したHBrを、ゴム隔壁中に配されたシリンジ針を通して逃がした。5時間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウムで塩基性化し、水層をクロロホルムで抽出した(3x)。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、10q 10.66g(100%)を黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.99(s,1H)、7.91−7.86(d,1H)、7.60−7.55(d,1H)、7.47−7.40(t,1H)、5.08−5.02(t,1H)、2.21−2.09(m,2H)、1.55−1.34(m,4H)、0.96−0.90(t,3H)。
【0142】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘキサノフェノン(2q)フマレート
中間体10q(10.66g、0.037mol)およびtert−ブチルアミン(20mL)を、磁気攪拌子および還流冷却器を備えるフラスコ中に配した。反応混合物を60℃で窒素下に還流させた。26時間後、反応混合物を室温まで冷却し、飽和重炭酸ナトリウムで塩基性化し、塩化メチレンで抽出した(3x)。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物約10gを得た。オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー[CMA 80(80%CHCl,18%CHOH,2%濃NHOH)]で精製して、2q 2.75g(27%)を淡黄色油状物として得た。
HNMR(CDCl)δ7.96(s,1H)、7.88−7.84(d,1H)、7.58−7.54(d,1H)、7.47−7.41(t,1H)、4.12−4.08(m,1H)、1.60−1.45(m,2H)、1.39−1.25(m,4H)、1.02(s,9H)、0.92−0.87(t,3H)。
【0143】
アミン2qを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールおよび酢酸エチルから再結晶することにより、2qフマル酸塩3.06gを白色結晶性固形物として得た。融点:172−173℃。HNMR(CDOD)δ8.19(s,1H)、8.14−8.11(d,1H)、7.80−7.77(d,1H)、7.67−7.60(t,1H)、6.70(s,2H)、5.23−5.19(t,1H)、2.01−1.95(m,2H)、1.36(s,9H)、1.39−1.19(m,4H)、0.86−0.81(t,3H)。分析値(C2028ClNO)C,H,N。
【0144】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘプタノフェノン(2r)の合成
工程1.3’−クロロヘプタノフェノン(9r)
3−クロロベンゾニトリル8d(5g、0.036mol)および無水THF(100mL)を、磁気攪拌子を備えるフラスコ中に配した。フラスコを氷水浴を用いて0℃に冷却し、窒素下に攪拌した。臭化ヘキシルマグネシウム(22mL、EtO中2M)をシリンジで10分間かけて注入した。1時間後、反応混合物を室温まで温めた。6日後、フラスコを0℃に冷却し、冷たい1M塩酸(75mL)をゆっくり加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌させた。溶液を分液漏斗に移し、水酸化アンモニウムで塩基性化した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、9r 7.74g(95%)を淡黄色固形物として得た。HNMR(CDCl)δ7.93(s,1H)、7.85−7.81(d,1H)、7.55−7.51(d,1H)、7.43−7.37(t,1H)、2.97−2.91(t,2H)、1.78−1.67(m,2H)、1.43−1.23(m,6H)、0.92−0.87(t,3H)。
【0145】
工程2.2−ブロモ−3’−クロロヘプタノフェノン(10r)
ケトン9r(7.74g、0.034mol)をクロロホルム(200mL)に溶解し、窒素下に攪拌した。臭素(1.8mL、34mmol)をシリンジでフラスコに注入した。フラスコをヒートガンで短時間加熱して反応を開始した(約1分間)。発生したHBrを、ゴム隔壁中に配されたシリンジ針を通して逃がした。5時間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウムで塩基性化し、得られた水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、10b 10.42g(100%)を黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.99(s,1H)、7.90−7.87(d,1H)、7.59−7.55(d,1H)、7.47−7.40(t,1H)、5.08−5.02(t,1H)、2.22−2.09(m,2H)、1.56−1.33(m,6H)、0.92−0.87(m,3H)。
【0146】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘプタノフェノン(2r)フマレート
中間体10r(10.42g、0.034mol)およびtert−ブチルアミン(18mL)を、磁気攪拌子および還流冷却器を備えるフラスコ中に配した。反応混合物を60℃で窒素下に還流させた。16時間後、反応混合物を室温まで冷却し、飽和重炭酸ナトリウムで塩基性化し、塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物約10gを得た。オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー[CMA 80(80%CHCl,18%CHOH,2%濃NHOH)]で精製して、2r 3.08g(30%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.96(s,1H)、7.87−7.84(d,1H)、7.58−7.54(d,1H)、7.47−7.41(t,1H)、4.12−4.09(m,1H)、1.57−1.45(m,2H)、1.34−1.24(m,6H)、1.02(s,9H)、0.89−0.84(t,3H)。
【0147】
アミン2rを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。酢酸エチルから再結晶させることにより、2rフマル酸塩3.02gを白色結晶性固形物として得た。融点:162−163℃。HNMR(CDOD)δ8.19(s,1H)、8.13−8.09(d,1H)、7.80−7.76(d,1H)、7.66−7.60(t,1H)、6.69(s,2H)、5.19−5.15(t,1H)、2.01−1.91(m,2H)、1.34(s,9H)、1.25−1.15(m,6H)、0.86−0.81(m,3H)。分析値(C2130ClNO)C,H,N。
【0148】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロオクタノフェノン(2s)の合成
工程1.3’−クロロオクタノフェノン(9s)
磁気攪拌子を備える火炎乾燥フラスコに、1−ヨードヘプタン(14.46g、0.064mol)を溶媒系100mL中で加えた。溶媒は、3:2体積比の無水n−ペンタン−無水EtO(60mL:40mL)であった。溶液を−78℃に冷却し、窒素雰囲気下に攪拌し、tert−ブチルリチウム(2.2当量、75mL、ペンタン中1.7M)を、シリンジポンプを用いて2回、30分間で滴下して加えた。反応液が淡黄色に変化し、白色沈殿が形成された。添加完了後、溶液を室温まで温めた。30分間温めた後、反応混合物を−78℃に冷却し、3’−クロロベンゾニトリル8b(10g、0.073mol)を加えた。10分間攪拌後、反応混合物を室温まで温めた。反応液が黄色がかったオレンジ色に変化した。3時間後、窒素下に溶媒を除去し、1M塩酸(50mL)を加えた。30分間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物17gを得た。オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(6:1 ヘキサン−塩化メチレン)で精製して、9s 15.8g(91%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.93(s,1H)、7.85−7.81(d,1H)、7.55−7.50(d,1H)、7.43−7.37(t,1H)、2.97−2.91(t,2H)、1.76−1.70(m,2H)、1.41−1.29(m,8H)、0.86−0.91(t,3H)。
【0149】
工程2.2−ブロモ−3’−クロロオクタノフェノン(10s)
磁気攪拌子を備えるフラスコ中で、ケトン9s(15g、0.063mol)をクロロホルム(200mL)に溶解し、窒素下に攪拌した。臭素(3.23mL、63mmol)をシリンジで短時間で注入した。反応混合物は最初に暗いオレンジ色に変化したが、この色は時間とともに消えた。反応混合物を窒素下に攪拌し、反応混合物中に発生した臭化水素ガスを、ゴム隔壁中に配されたシリンジ針を通してフード中に逃がした。2時間後、反応混合物を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウムで塩基性化し、クロロホルムで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、10s 19.95g(100%)をオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.99(s,1H)、7.90−7.87(d,1H)、7.58−7.54(d,1H)、7.43−7.36(t,1H)、5.08−5.02(t,1H)、2.19−2.14(m,2H)、1.55−1.30(m,8H)、0.91−0.86(m,3H)。
【0150】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロオクタノフェノン(2s)フマレート
中間体10s(19g、0.060mol)およびtert−ブチルアミン(63mL)を、磁気攪拌子および還流冷却器を備えるフラスコ中に配した。反応混合物を60℃で窒素下に還流させた。24時間後、反応混合物を室温まで冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化し、塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、2s 17.2g(93%)を暗いオレンジ色油状物として得た。オレンジ色油状物を、さらに精製することなく用いた。HNMR(CDCl)δ7.96(s,1H)、7.87−7.82(d,1H)、7.58−7.54(d,1H)、7.37−7.31(t,1H)、4.13−4.08(m,1H)、1.54−1.17(m,10H)、1.02(s,9H)、0.89−0.83(t,3H)。
【0151】
アミン2sを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールおよびEtOから再結晶することにより、2sフマル酸塩9.61gを白色結晶性固形物として得た。融点:139−140℃。HNMR(CDOD)δ8.18(s,1H)、8.13−8.09(d,1H)、7.79−7.75(d,1H)、7.65−7.59(t,1H)、6.69(s,2H)、5.23−5.19(m,1H)、2.00−1.97(m,2H)、1.35(s,9H)、1.19−1.10(m,8H)、0.82−0.79(m,3H)。分析値(C2232ClNO・0.5HO)C,H,N。
【0152】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロフェニル−4−メチルペンタノフェノン(2t)の合成
工程1.3’−クロロフェニル−4−メチルペンタノフェノン(9t)
3’−クロロベンゾニトリル8a(4.5g、0.033mol)およびテトラヒドロフラン(無水、150mL)を、磁気攪拌子を備えるフラスコ中に配した。グリニャール試薬(CHCHCHMgBr(5.8g、0.033mol)を加え、反応混合物を窒素下に72時間攪拌した。反応混合物はオレンジ色になった。1M塩酸の溶液(20mL)を加え、反応混合物を一晩攪拌した。黄色溶液を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化し、水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物4.5gを得た。オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(7:1 ヘキサン−塩化メチレン)で精製して、9t 2.20g(32%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.92(s,1H)、7.85−7.81(d,1H)、7.55−7.51(d,1H)、7.46−7.38(t,1H)、2.97−2.91(t,2H)、1.71−1.59(m,3H)、0.96−0.94(d,6H)。(注釈:グリニャール試薬は、テトラヒドロフラン中で、臭化アルキルとマグネシウムとを一緒に添加することにより得た。)
【0153】
工程2.2−ブロモ−3’−クロロフェニル−4−メチルペンタノフェノン(10t)
ケトン9t(2.2g、0.01mol)および塩化メチレン(150mL)を、磁気攪拌子を備える500mLフラスコ中に配した。臭素(0.53mL、10.4mmol)をシリンジで短時間で注入した。反応混合物は最初に暗いオレンジ色に変化したが、この色は時間とともに消えた。反応液を窒素下に攪拌し、反応中に発生した臭化水素ガスを逃がした。4時間後、反応混合物を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化した。水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物2.92gを得た。オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(7:1 ヘキサン−塩化メチレン)で精製して、10t 2.42g(81%)を無色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.99(s,1H)、7.91−7.87(d,1H)、7.59−7.55(d,1H)、7.47−7.41(t,1H)、5.16−5.10(t,1H)、2.15−1.76(m,3H)、1.00−0.97(d,6H)。
【0154】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロフェニル−4−メチルペンタノフェノン(2t)フマレート
中間体10t(2.42g、0.084mol)およびtert−ブチルアミン(8.82mL、84mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、反応混合物を80℃で12時間攪拌した。白色沈殿が形成された。反応混合物を冷却し、分液漏斗に移した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化し、水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物2.30gを得た。黄色を帯びた油状物を、フラッシュクロマトグラフィー[7:1 ヘキサン−(9:l EtO−EtN)]で精製して、2q 800mg(34%)を無色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.95(s,1H)、7.88−7.84(d,1H)、7.58−7.54(d,1H)、7.47−7.41(t,1H)、4.20−4.14(m,1H)、1.26−1.19(m,3H)、1.02(s,9H)、0.82−0.79(d,6H。)
【0155】
アミン2tを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。EtOから再結晶することにより、2tフマル酸塩728mgを白色固形物として得た。融点:172−174℃。HNMR(CDOD)δ8.04(s,1H)、7.99−7.95(d,1H)、7.73−7.69(d,1H)、7.62−7.54(t,1H)、6.76(s,2H)、1.66−1.57(m,3H)、1.29(s,9H)、1.10−1.07(d,3H)、0.94−0.91(d,3H)。分析値(C2028ClNO・0.25HO)C,H,N。
【0156】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロフェニル−4−シクロヘキシルブタノフェノン(2u)の合成
工程1.1−ヨード−3−シクロヘキシルプロパン
1−クロロ−3−シクロヘキシルプロパン(6mL、37mmol)およびヨウ化ナトリウム(5.6g、0.037mol)を、磁気攪拌子を備える500mLフラスコ中で、アセトン(200mL)に溶解した。反応混合物を72時間還流させ、冷却した。白色沈殿を濾過し、溶媒を減圧下に除去した。黄色溶液を分液漏斗に移し、1Mチオ硫酸ナトリウムを加えた。水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、生成物8.20g(85%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ3.20−3.14(t,2H)、1.89−1.65(m,7H)、1.34−1.24(m,6)、0.95−0.86(m,2H)。
【0157】
工程2.3’−クロロフェニル−4−シクロヘキシルブタノフェノン(9u)
火炎乾燥フラスコにて、1−ヨード−3−シクロヘキシルプロパン(8.20g、0.033mol)を、3:2体積比の無水n−ペンタン−無水EtO(100mL)に溶解した。溶液を−78℃に冷却し、磁気攪拌子で攪拌した。tert−ブチルリチウム(2.1当量、41mL、ペンタン中1.7M)を、シリンジポンプを用いて30分間かけて滴下して加えた。反応混合物は淡黄色に変化し、白色沈殿が形成された。添加完了後、反応混合物を5分間攪拌した。溶液を室温まで温め、45分間攪拌した。反応混合物を−78℃に冷却し、3’−クロロベンゾニトリル8a(4.5g、0.033mol)を加えた。10分間攪拌後、反応混合物を室温まで温めた。反応液はオレンジ色に変化した。16時間後、窒素下に溶媒を除去した。飽和塩化アンモニウム(20mL)を加えた。10分後、1M塩酸(35mL)を加えた。溶液を分液漏斗に移した。水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物10.78gを得た。オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(11:1 ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、9u 4.1g(47%)を無色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.92(s,1H)、7.84−7.81(d,1H)、7.54−7.51(d,1H)、7.43−7.37(t,1H)、2.95−2.88(t,2H)、1.81−1.68(m,7H)、1.29−1.16(m,6H)、0.95−0.86(m,2H)。
【0158】
工程3.2−ブロモ−3’−クロロフェニル−4−シクロヘキシルブタノフェノン(10u)
ケトン9u(3.97g、0.015mol)および塩化メチレン(100mL)を、磁気攪拌子を備える500mLフラスコ中に配した。臭素(0.77mL、15mmol)をシリンジで短時間で注入した。反応混合物は最初に暗いオレンジ色に変化したが、この色は時間とともに消えた。反応混合物を窒素下に攪拌し、反応中に発生した臭化水素ガスをフード中に逃がした。4時間後、反応混合物を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化した。1Mチオ硫酸ナトリウム溶液の添加後、水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物4.79gを得た。オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(5:1 ヘキサン−塩化メチレン)で精製して、10u 3.79g(74%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.98(s,1H)、7.91−7.86(d,1H)、7.59−7.54(d,1H)、7.47−7.40(t,1H)、5.04−4.98(t,1H)、2.23−2.10(m,2H)、1.74−1.68(m,5H)、1.34−1.18(m,6H)、0.93−0.89(m,2H)。
【0159】
工程4.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロフェニル−4−シクロヘキシルブタノフェノン(2u)
中間体10u(2.56g、0.0075mol)およびtert−ブチルアミン(7.83mL、75mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、反応混合物を75℃で5時間攪拌した。白色沈殿が形成された。反応液を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化した。水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、2u 2.10g(84%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.95(s,1H)、7.87−7.83(d,1H)、7.58−7.54(d,1H)、7.47−7.40(t,1H)、4.09−4.06(m,1H)、1.67−1.63(m,7H)、1.33−1.16(m,6H)、1.01(s,9H)、0.88−0.83(m,2H)。
【0160】
アミン2uを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。イソプロパノールおよびヘキサンから再結晶させることにより、2uフマル酸塩1.16gを白色固形物として得た。融点:150−152℃。HNMR(CDOD)δ8.17(s,1H)、8.14−8.09(d,1H)、7.81−7.76(d,1H)、7.67−7.60(t,1H)、6.68(s,2H)、5.22−5.17(m,1H)、2.04−1.95(m,2H)、1.62−1.52(m,5H)、1.34(s,9H)、1.20−1.05(m,6H)、0.85−0.70(m,2H)。分析値(C2434ClNO)C,H,N。
【0161】
2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2x)の合成
2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2x)塩酸塩
2−ブロモ−l−(3−クロロフェニル)プロパノール(14.7g、59.3mmol)およびシクロプロピルアミン(5.2mL、75.0mmol)をTHF(300mL)中に含む溶液を、テフロン(登録商標)キャップを用いてガラス反応器中に密封し、50℃に18時間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り入れ、飽和NaHCO水溶液、水およびブラインで洗い、脱水(MgSO)し濃縮した。粗生成物を、自動フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、4/1 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、オレンジ色油状物2.77g(21%)を得た。この材料をジエチルエーテル(250mL)に溶解し、ジオキサン中4N HCl(16mL、64mmol)で処理し、混合物を室温で一晩攪拌した。得られた固形物を濾過し、再結晶(メタノール/エーテル)して、純2x塩酸塩1.40g(43%)を得た。融点(分解):181−183℃;HNMR(CDOD,300MHz)δ8.10(s,1H)、8.03(d,1H,J=9Hz)、7.76(d,1H,J−3Hz)、7.62(t,1H,J=6Hz,9Hz)、5.30−5.27(m,1H)、2.85−2.77(m,1H)、1.62(d,3H,J=6Hz)、0.97−0.93(m,3H);13CNMR(CDCl,75MHz)δ135.1,133.2,130.0,128.4,126.4,98.4,58.1,28.7,19.6,8.6,6.6,6.3;ESI−MS 計算値:C1214ClNO(M+H) 224.7;実測値224.1。分析値(C1215ClNO・0.25HO)C,H,N。
【0162】
2−(N−シクロブチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2y)の合成
2−(N−シクロブチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2y)塩酸塩
2−ブロモ−l−(3−クロロフェニル)プロパン−1−オン(250mg、1.01mmol)を、無水エーテル(1mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。次にシクロブチルアミン(0.19mL、2.22mmol)を一度に添加し、反応混合物を室温まで温め、一晩攪拌した。反応混合物を、10%HCl水溶液およびEtOAcを含むエルレンマイアーフラスコに注ぎ込み、10分間攪拌した。2相混合物を、分液漏斗において分けた。水層をEtOAcで2回抽出し、次に、飽和NaCO水溶液でpH8−9に塩基性化した。塩基性化された水溶液をエーテルで2回抽出し、併せた有機抽出物をブラインで洗い、NaSOで脱水し、濾過し、最初の体積の約半分まで濃縮した(注:乾燥するまで濃縮しないこと、さもなければ化合物が分解する。)。攪拌下のエーテル溶液に、溶液からの固形物の析出が止まるまで、1M HCl/EtOをゆっくり加えた(典型的には、0.5−1mLが必要であった。)。3時間攪拌後、固形物を濾過し、エーテルで洗い、乾燥した。未反応シクロブチルアミン塩酸塩を除去するために、粗固形物を次にMeOH/エーテルから再結晶させ、冷凍庫内に一晩放置した。次に固形物を濾過し、エーテルで洗い、乾燥して、2y塩酸塩60.1mg(収率22%)を白色フレーク状固形物として得た(融点:186−187℃)。HNMR(CDOD,300MHz)δ8.09(s,1H)、8.02(d,J=9.0Hz,1H)、7.77−7.74(m,1H)、7.60(t,J=15.0,9.0Hz,1H)、5.08(q,J=21.0,15.0,6.0Hz,1H)、3.94−3.82(m,1H)、2.38−2.20(m,4H)、1.97−1.85(m,2H)、1.55(d,J=6.0Hz,3H);13CNMR(CDOD,75MHz)ppm 196.1,136.7,135.9,132.1,129.7,128.4,57.7,51.7,28.1,27.8,16.5,15.8;分析値(C1317ClNO・0.5HO)C,H,N。
【0163】
2−(N−シクロペンチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2z)の合成
重炭酸ナトリウム(6.0g、0.071mol)を、アセトニトリル(30mL)中に2−ブロモ−1−(3−クロロフェニル)プロパノン(6.0g、0.024mol)を含む溶液中に懸濁させた。シクロペンチルアミン(3.88g、0.012mol)を加え、混合物を周囲温度で6時間攪拌した。混合物を注意深く10%塩酸(50mL)および酢酸エチル(50mL)に注ぎ込んだ。混合後、水層を分離し、酢酸エチル(25mL)で洗い、濃NHOH−水(1:1)混合物でアルカリ性にした。混合物をEtOで抽出し(2x100mL)、併せたエーテル抽出物を脱水(KCO)し濾過した。溶媒を除去して、黄色油状物6.4gを得た。フマル酸塩である2zフマル酸塩が形成され、メタノール−EtOから再結晶して白色固形物を得た。融点:171−173℃(分解)。HNMR(DMSO)δ9.76(bs,1H)、8.10(s,1H)、8.03(d,1H,J=6Hz)、7.77(d,1H,J=6Hz)、7.61(t,1H,J=6Hz)、6.54(s,2H)、4.82(q,1H,J=Hz)、3.27(m,1H)、1.80−1.46(m,8H)、1.32(d,3H,J=9Hz)分析値(C1822ClNO)C,H,N。
【0164】
2−(tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロブチロフェノン(2aa)の合成
工程1.3’,4’−ジクロロブチロフェノン(9aa)
0℃に冷却された無水テトラヒドロフラン40mL中に8e 3.00g(0.017mol)を含む溶液に、塩化プロピルマグネシウム21mL(EtO中2.0M)を滴下して加えた。反応溶液を室温まで温め、室温で窒素下に144時間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却し、5%塩酸水溶液150mLを滴下して加えた。室温で一晩攪拌後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で急冷し、生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、褐色油状物3.87gを得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、5:1 ヘキサン−塩化メチレン)により精製して、9aa 3.15g(83%)を黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.03(s,1H)、7.80−7.76(dd,1H)、7.54(d,1H)、2.91(t,2H)、1.84−1.69(m,2H)、1.00(t,3H)。
【0165】
工程2.2−ブロモ−3’,4’−ジクロロブチロフェノン(10aa)
塩化メチレン70mL中に9aa 3.91g(0.018mol)を含む溶液に、臭素10滴を加えた。窒素下に室温で数分間攪拌後、臭素の特徴的赤色が消え、反応の開始が示唆された。臭素1mL(18.30mmol)の残りを滴下して加え、反応溶液を窒素下に室温で9.5時間攪拌した。反応溶液を急冷し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および固体重炭酸ナトリウムを用いてpHを9にした。生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、10aa 5.62g(>100%)をオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.10(s,1H)、7.86−7.82(dd,1H)、7.57(d,1H)、4.95(t,1H)、2.30−2.07(m,2H)、1.09(t,3H)。
【0166】
工程3.2−(tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロブチロフェノン(2aa)フマレート
圧力管に、最少量の塩化メチレンと共に10aa 5.49g(0.019mol)を入れた。塩化メチレンの大部分が陽圧窒素フローにより除去され、tert−ブチルアミン29mL(278.21mmol)を一度に加え、管を密封し、55℃に加熱された油浴中に配した。55℃で15時間攪拌後、反応混合物を室温まで冷却させた。反応混合物を急冷し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpHを10にし、生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、褐色油状物5.55gを得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、9:1:50 EtO−EtN−ヘキサン)により精製して、2aa 3.88g(73%)をオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.08(s,1H)、7.85−7.80(dd,1H)、7.58(d,1H)、4.04−3.99(m,1H)、1.70−1.61(m,1H)、1.40−1.35(m,1H)、1.02(s,9H)、0.96(t,3H)。
【0167】
2aa 3.30g(0.013mol)を塩化メチレン−メタノール中に含む溶液に、フマル酸1.48g(0.013mol)を加えた。反応溶液を15分間攪拌し、溶媒を真空下に除去して、白色固形物を得た。メタノール−EtOから再結晶することにより、2aフマル酸塩2.65gを白色固形物として得た。融点:185−186℃。HNMR(CDOD)δ8.36(s,1H)、8.13−8.09(dd,1H)、7.81(d,1H)、5.20(t,1H)、2.13−2.01(m,2H)、1.35(s,9H)、0.90(t,3H)。分析値(C1823ClNO)C,H,N。
【0168】
2−(tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロペンタノフェノン(2bb)の合成
工程1.3’,4’−ジクロロペンタノフェノン(9bb)
8e 4.0g(0.023mol)を0℃に冷却された無水テトラヒドロフラン75mL中に含む溶液に、塩化ブチルマグネシウム28mL(テトラヒドロフラン中2.0M)を滴下して加えた。反応溶液を室温まで温め、窒素下に144時間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却し、5%塩酸水溶液200mLを滴下して加えた。室温で一晩攪拌後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で急冷し、生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、褐色固形物5.71gを得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、3:1 ヘキサン−塩化メチレン)により精製して、9bb 4.30g(80%)を淡褐色固形物として得た。HNMR(CDCl)δ8.02(s,1H)、7.80−7.76(dd,1H)、7.54(d,1H)、2.92(t,2H)、1.77−1.63(m,2H)、1.48−1.33(m,2H)、0.95(t,3H)。
【0169】
工程2.2−ブロモ−3’,4’−ジクロロペンタノフェノン(10bb)
9bb 4.23g(0.018mol)を塩化メチレン70mL中に含む溶液に、臭素10滴を加えた。窒素下に室温で数分間攪拌後、臭素の特徴的赤色が消え、反応の開始が示唆された。臭素1mL(18.30mmol)の残りを滴下して加え、反応溶液を窒素下に室温で9.5時間攪拌した。反応溶液を急冷し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および濃水酸化アンモニウムを用いてpHを9にした。生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、10bb 5.70g(100%)をオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.09(s,1H)、7.86−7.82(dd,1H)、7.55(d,1H)、5.02(t,1H)、2.19−2.10(m,2H)、1.60−1.42(m,2H)、0.99(t,3H)。
【0170】
工程3.2−(tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロペンタノフェノン(2bb)フマレート
圧力管に、最少量の塩化メチレンと共に、10bb 5.56g(0.018mol)を入れた。塩化メチレンの大部分が陽圧窒素フローにより除去され、tert−ブチルアミン28mL(269.01mmol)を一度に加え、管を密封し、70℃に加熱された油浴中に配した。70℃で3時間攪拌後、tert−ブチルアミンが反応管から逃げ出し始め、反応混合物を室温まで冷却させた。反応混合物を急冷し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpHを10にし、生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、オレンジ色油状物5.0gを得た。このTLC(9:1:20 EtO−EtN−ヘキサン)は、出発材料/生成物の80/20混合物を示した。混合物を、tert−ブチルアミン19mL(179.30mmolを用いる24時間の最初の反応条件、および最初の処理条件に付して、オレンジ色油状物5.61gを得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、9:1:60 EtO−EtN−ヘキサン)により精製して、2bb 2.44g(45%)をオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.08(s,1H)、7.85−7.80(dd,1H)、7.58(d,1H)、4.10− 4.05(m,1H)、1.54−1.26(m,4H)、1.01(s,9H)、0.94−0.88(m,3H)。2bb 2.27g(0.0075mol)を塩化メチレン−メタノール中に含む溶液に、フマル酸0.87g(0.0075mol)を加えた。反応溶液を15分間攪拌し、溶媒を真空下に除去して、白色固形物を得る。メタノール−EtOから再結晶することにより、2bbフマル酸塩1.86gを白色固形物として得た。融点:177−179℃。HNMR(CDOD)δ8.35(s,1H)、8.12−8.08(dd,1H)、7.81(d,1H)、5.17(t,1H)、1.96−1.90(m,2H)、1.34(bs,10H)、0.89(t,3H)。分析値(C1925ClNO)C,H,N。
【0171】
a)比較用化合物の合成
2−(N−tert−ブチルアミノ)プロピオフェノン(2b)の合成
工程1.2−ブロモプロピオフェノン(10b)
プロピオフェノン9b 5g(0.037mol)をCHCl50mL中に含む溶液に、Br 1.92mL(37.3mmol)を15分間かけて加えた。溶液を15分間攪拌した。反応混合物を、飽和NaHCO 40mL、1N Na 40mLおよびブライン40mLで洗い、乾燥(NaSO)し、濃縮して、10b 7.9g(90%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.08−8.02(d,2H)、7.63−7.58(t,1H)、7.56−7.47(t,2H)、5.40−5.24(q,1H)、1.97−1.90(d,3H)。
【0172】
工程2.2−(N−tert−ブチルアミノ)プロピオフェノン(2b)フマレート
100mL丸底フラスコにおいて、10b 6.27g(0.027mol)をtert−ブチルアミン42.2mL(402mmol)に溶解した。フラスコをゴム隔壁で密封し、2時間攪拌した。反応混合物を真空下に濃縮し、残渣を2N HCl 50mLに取り入れ、EtO 50mLを加えた。酸性層を集め、5N NaOHでpH11まで塩基性化し、CHClの3×25mLで抽出した。併せた有機層をブライン50mLで洗い、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去して、2b 3.32g(43%)を淡黄色油状物として得た。フマル酸1当量を、2bのEtO溶液に加えることによりフマル酸塩を調製した。塩をCHOH−EtOから再結晶することにより、白色結晶性固形物を得た。融点:183−185℃。HNMR(CDCl)δ8.07−8.02(d,2H)、7.61−7.57(t,2H)、7.55−7.48(t,2H)、4.45−4.34(q,1H)、1.32−1.30(d,3H)、1.16−1.04(s,9H)。分析値(C1723NO)C,H,N。
【0173】
2−(tert−ブチルアミノ)−3’−フルオロプロピオフェノン(2c)の合成
工程1.2−ブロモ−3’−フルオロプロピオフェノン(10c)
3−フルオロプロピオフェノン9c 2.28g(0.015mol)をCHCl 60mL中に含む溶液に、臭素10滴を加えた。窒素下に室温で数分間攪拌後、臭素の特徴的赤色が消え、反応の開始が示唆された。臭素0.7mL(15mmol)の残りを滴下して加え、反応溶液を窒素下に室温で11時間攪拌した。反応溶液を急冷し、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを9にした。生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、透明油状物3.39gを得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、5:1 ヘキサン−塩化メチレン)により精製して、10c 2.87g(83%)を透明油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.82−7.73(dd,1H)、7.69(d,1H)、7.52−7.43(m,1H)、7.33−7.29(m,1H)、5.30−5.18(q,1H)、1.91(d,3H)。
【0174】
工程2.2−(tert−ブチルアミノ)−3’−フルオロプロピオフェノン(2c)フマレート
密封可能反応管に、最少量の塩化メチレンと共に10c 2.87g(0.019mol)を加えた。塩化メチレンの大部分が陽圧窒素フローにより除去され、tert−ブチルアミン13mL(124.20mmol)を一度に加え、管を密封し、55℃に加熱された油浴中に配した。55℃で17時間攪拌後、反応混合物を室温まで冷却させ、急冷し、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを10にした。生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、淡黄色油状物2.74gを得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、9:1:50 EtO−EtN−ヘキサン)により精製して、2c 1.94g(70%)を透明油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.80−7.77(dd,1H)、7.69(d,1H)、7.53−7.44(m,1H)、7.32−7.29(m,1H)、4.35−4.26(q,1H)、1.27(d,3H)、1.05(s,9H)。
【0175】
2c 1.94g(0.0087mol)をメタノール中に含む溶液に、フマル酸1.00g(0.0087mol)を加えた。反応溶液を15分間攪拌し、溶媒を真空下に除去して白色固形物を得た。メタノール/EtOから再結晶することにより、2cフマル酸塩2.52gを白色固形物として得た。融点:173−175℃。HNMR(CDOD)δ8.04−8.00(dd,1H)、7.94−7.89(dd,1H)、7.69−7.62(m,1H)、7.56−7.52(m,1H)、5.27−5.18(q,1H)、1.59(d,3H)、1.36(s,9H)。分析値(C1722FNO)C,H,N。
【0176】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−ブロモプロピオフェノン(2d)の合成
工程1.2−ブロモ−3’−ブロモプロピオフェノン(10d)
磁気攪拌子を備える250mLフラスコ中、3’−ブロモプロピオフェノン9d(8.0g、0.038mol)を室温でメタノール30mLに溶解した。臭素(9.05g、0.057mol)を10分間かけて加えた。48%臭化水素酸20滴を加え、反応混合物をN下に攪拌した。72時間後、溶媒および過剰の試薬を減圧下に除去して、油状物11.66gを得た。暗いオレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン−塩化メチレン)で精製して、10d 6.99g(64%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDOD)δ8.16(s,1H)、8.05−7.98(d,1H)、7.80−7.75(d,1H)、7.47−7.40(t,1H)、5.60−5.50(q,1H)、1.87−1.83(d,3H)。
【0177】
工程2.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−ブロモプロピオフェノン(2d)フマレート
中間体10d(6.99g、0.0024mol)およびtert−ブチルアミン(25.2mL、240mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、油浴を用いて80℃に加熱した。2時間後、混合物を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去した。得られた油状物をメタノールに溶解し、溶媒を減圧下に除去して、2d 6.42g(94%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDOD)δ8.20(s,1H)、8.10−8.05(d,1H)、7.83−7.78(d,1H)、7.50−7.45(t,1H)、4.55−4.45(q,1H)、1.28−1.23(d,3H)、1.06(s,9H)。
【0178】
アミン2dを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールおよびEtOから塩を再結晶することにより、2dフマル酸塩1.75gを白色結晶として得た。融点(分解):174℃。HNMR(CDOD)δ8.32(s,1H)、8.18−8.14(d,1H)、7.95−7.90(d,1H)、7.59−7.51(t,1H)、6.69(s,2H)、5.28−5.19(q,1H)、1.60−1.56(d,3H)、1.36(s,9H)。分析値(C1722BrNO)C,H,N。
【0179】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−メチルプロピオフェノンの合成
工程1.3’−メチルプロピオフェノン(9e)
3−メチルベンゾニトリル8a(3.25g、0.028mol)および無水THF(75mL)を、磁気攪拌子を備える250mLフラスコ中に配した。フラスコを氷水浴を用いて0℃に冷却した。臭化エチルマグネシウム(33.3mL、THF中1M)を10分間かけて滴下して加えた。溶液を30分間攪拌し、室温まで温めた。N下に72時間攪拌後、破砕氷30mLを加えた。混合物を分液漏斗に移し、水層をEtOで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、9e 3.86g(94%)を透明油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.78−7.71(m,2H)、7.50−7.32(m,2H)、2.40(s,3H)、3.05−2.95(q,2H)、1.25−1.19(t,3H)。
【0180】
工程2.2−ブロモ−3’−メチルプロピオフェノン(10e)
ケトン9e(3.5g、0.024mol)および塩化メチレン(200mL)を、磁気攪拌子を備える500mLフラスコ中に配した。溶液をN下に攪拌し、臭素(1.21mL、23.6mmol)をシリンジでフラスコに注入した。(注:反応を開始するために少量の臭素を加えた;反応が生じると色が消えた;反応混合物の開始後、残りの臭素を10分間かけて加えた。)。針を隔壁内に配して、反応混合物中に形成された臭化水素ガスをフラスコから逃がした。10時間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化した。混合物を濾過し、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物5.38gを得た。暗いオレンジ色油状物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン−塩化メチレン)により精製して、10e 3.14g(59%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.86−7.79(m,2H)、7.42−7.32(m,2H)、5.35−5.25(q,1H)、2.42(s,3H)、1.93−1.89(d,3H)。
【0181】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−メチルプロピオフェノン(2e)フマレート
化合物10e(3.0g、0.013mol)およびtert−ブチルアミン(13.88mL、130mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、油浴を用いて70℃に加熱した。2時間後、混合物を分液漏斗に移した。水(50mL)および水酸化アンモニウム(5滴)を加え、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去した。油状物をメタノールに溶解し、メタノールを減圧下に除去して、12e 2.83g(98%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.81−7.76(m,2H)、7.41−7.35(m,2H)、4.40−4.30(q,1H)、2.44(s,3H)、1.29−1.23(d,3H)、1.05(s,9H)。
【0182】
アミン2eを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールおよびEtOから塩を再結晶することにより、2eフマル酸塩3.43gを白色結晶として得た。融点(分解):172−174℃。HNMR(CDOD)δ8.00−7.93(m,2H)、7.61−7.57(d,1H)、7.53−7.46(t,1H)、6.68(s,2H)、5.29−5.19(q,1H)、2.46(s,3H)、1.60−1.55(d,3H)、1.36(s,9H)分析値(C1825NO・0.25HO)C,H,N。
【0183】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−4’−クロロプロピオフェノンの合成
工程1.2−ブロモ−4’−クロロプロピオフェノン(10f)
4’−クロロプロピオフェノン9f(4.58g、0.027mol)を、磁気攪拌子を備える250mLフラスコにおいて室温でメタノール30mLに溶解した。臭素(1.67mL、32.6mmol)を10分間かけて加えた。48%臭化水素酸7滴を加え、反応混合物をN下に攪拌した。110時間後、溶液を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、10f 6.60g(98%)をオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.00−7.94(d,2H)、7.50−7.44(d,2H)、5.27−5.19(q,1H)、1.92−1.89(d,3H)。
【0184】
工程2.2−(N−tert−ブチルアミノ)−4’−クロロプロピオフェノン(2f)フマレート
中間体10f(6.60g、0.027mol)およびtert−ブチルアミン(28.02mL、267mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、油浴を用いて75℃で加熱した。1.5時間後、混合物を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去した。油状物をメタノールに溶解し、溶媒を減圧下に除去して、2f 6.21g(97%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDOD)δ8.10−8.04(d,2H)、7.59−7.53(d,2H)、4.55−4.46(q,1H)、1.27−1.25(d,3H)、1.06(s,9H)。
【0185】
アミン2fを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールから塩を再結晶することにより、2fフマル酸塩3.92gを白色結晶として得た。融点(分解):197℃。HNMR(CDOD)δ8.18−8.13(d,2H)、7.67−7.62(d,2H)、5.25−5.16(q,1H)、1.60−1.56(d,3H)、1.36(s,9H)分析値(C1722ClNO)C,H,N。
【0186】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−4’−ブロモプロピオフェノン(2g)の合成
工程1.2−ブロモ−4’−ブロモプロピオフェノン(10g)
フラスコに、4’−ブロモプロピオフェノン(5.0g、0.023mol)およびジクロロメタン25mLおよび1M HClエーテル溶液(0.25mL、0.00025mol)を仕込んだ。臭素(7.6mL、0.148mol、先に滴下したものを含む合計)およびジクロロメタン(25mL)の溶液を加えた。少量の臭素を最初に加えて反応を触媒した。反応開始後、残りの臭素を30分間かけて加えた。18時間攪拌後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(50mL)に注ぎ込み、固体重炭酸ナトリウムを僅かにアルカリ性になるまで加えた。層を分離し、有機層をブライン(50mL)で洗い、硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮して、10g 35.1g(96%)を黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.91−7.86(d,2H)、7.65−7.60(d,2H)、5.26−5.19(q,1H)、1.92−1.89(d,3H)。
【0187】
工程2.2−(N−tert−ブチルアミノ)−4’−ブロモプロピオフェノン(2g)フマレート
中間体10g(8.04g、0.028mol)およびtert−ブチルアミン(28.9mL、275mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、油浴を用いて80℃に加熱した、2時間後、混合物を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去した。油状物をメタノールに溶解し、溶媒を減圧下に除去して、2g 7.53g(96%)を黄色油状物として得た。
HNMR(CDOD)δ8.01−7.96(d,2H)、7.75−7.70(d,2H)、4.54−4.45(q,1H)、1.25−1.21(d,3H)、1.06(s,9H)。
【0188】
アミン2gを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールから塩を再結晶することにより、2gフマル酸塩6.05gを白色結晶として得た。融点(分解):206℃。HNMR(CDOD)δ8.10−8.05(d,2H)、7.84−7.78(d,2H)、6.69(s,2H)、5.24−5.15(q,1H)、1.59−1.56(d,3H)、1.35(s,9H)。分析値(C1722BrNO)C,H,N。
【0189】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−4’−メチルプロピオフェノン(2h)の合成
工程1.2−ブロモ−4’−メチルプロピオフェノン(10h)
4’−メチルプロピオフェノン9h(4.0g、0.027mol)および塩化メチレン(100mL)を、磁気攪拌子を備える250mLフラスコ中に配した。溶液をN下に攪拌し、臭素(1.38mL、27.0mmol)をシリンジでフラスコに注入した。(注:反応を開始するために少量の臭素を加えた;反応が生じると色が消えた;反応の開始後、残りの臭素を10分間かけて加えた。)。針を隔壁内に配して、反応中に発生した臭化水素ガスをフラスコから逃がした。10時間攪拌後、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化した。pHが9になると、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、10h 6.33gを白色固形物として得た。HNMR(CDCl)δ7.94−7.89(d,2H)、7.30−7.25(d,2H)、5.33−5.23 (q,1H)、2.42(s,3H)、1.91−1.87(d,3H)。
【0190】
工程2.2−(N−tert−ブチルアミノ)−4’−メチルプロピオフェノン(2h)フマレート
化合物10h(6.0g、0.026mol)およびtert−ブチルアミン(27.76mL、260mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、油浴を用いて80℃に加熱した。2時間後、混合物を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去した。油状物をメタノールに溶解し、溶媒を減圧下に除去して、2h 5.60g(97%)を淡いオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.94−7.89(d,2H)、7.32−7.28(d,2H)、4.40−4.30(q,1H)、2.42(s,3H)、1.29−1.25(d,3H)、1.05(s,9H)。
【0191】
アミン2hを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールおよびEtOから塩を再結晶することにより、2hフマル酸塩4.50gを白色結晶として得た。融点(分解):193−195℃。HNMR(CDOD)δ8.08−8.04(d,2H)、7.45−7.41(d,2H)、6.68(s,2H)、5.24−5.16(q,1H)、2.46(s,3H)、1.58−1.55(d,3H)、1.35(s,9H)。分析値(C1825NO)C,H,N。
【0192】
2−tert−ブチルアミノ−3’,4’−ジフルオロプロピオフェノン(2i)の合成
工程1.2−ブロモ−3’,4’−ジフルオロプロピオフェノン(10i)
3,4−ジフルオロプロピオフェノン9i 2g(0.012mol)をメタノール20mL中に含む溶液に、N下に、臭素0.73mL(14.2mmol)を滴下して加えた。48%臭化水素酸数滴を加えて反応を開始し、反応混合物を室温で117時間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液を用いて急冷した。生成物を酢酸エチルで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空ポンプで短時間乾燥して、10i 2.97g(101%)を透明油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.92−7.79(m,2H)、7.38−7.13(m,1H)、5.22−5.14(q,1H)、1.90(d,3H)。
【0193】
工程2.2−tert−ブチルアミノ−3’,4’−ジフルオロプロピオフェノン(2i)フマレート
密封可能反応管に、最少量の塩化メチレンと共に10i 2.31g(0.0093mol)を入れた。溶液に、tert−ブチルアミン9.7mL(92.70mmol)を加え、管を密封し、油浴にて75℃に加熱した。3時間攪拌後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液を用いて急冷し、生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空ポンプで短時間乾燥して、2i 2.25g(100%)を黄色油状物として得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、9:1:20 EtO−EtN−ヘキサン)により精製して、2i 1.42g(52%)を黄色固形物として得た。HNMR(CDCl)δ7.90−7.79(m,2H)、7.31−7.30(m,1H)、4.28−4.26(q,1H)、1.27(d,3H)、1.04(s,9H)。
【0194】
2i 1.35g(0.006mol)をメタノール中に含む溶液に、フマル酸649mg(5.59mmol)を加えた。反応溶液を室温で30分間攪拌し、溶媒を真空下に除去してオフホワイト固形物を得、これをメタノールおよびEtOから再結晶することにより、2iフマル酸塩1.29gを白色結晶として得た。融点:185℃。HNMR(CDOD)δ8.18−8.05(m,2H)、7.60−7.49(m,1H)、5.24−5.15(q,1H)、1.58(d,3H)、1.35(s,9H)。分析値(C1721NO)C,H,N。
【0195】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロプロピオフェノン(2j)の合成
工程2.2−ブロモ−3’,4’−ジクロロプロピオフェノン(10j)
磁気攪拌子を備える250mLフラスコ中で、室温で、3’,4’−ジクロロプロピオフェノン9j(3.94g、0.019mol)をメタノール30mLに溶解した。臭素(1.19mL、23.0mmol)を10分間かけて加えた。48%臭化水素酸7滴を加え、反応混合物をN下に攪拌した。110時間後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、10j 5.47g(100%)をオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.10(s,1H)、7.87−7.83(d,1H)、7.56−7.52(d,1H)、5.22−5.14(q,1H)、1.92−1.89(d,3H)。
【0196】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロプロピオフェノン(2j)フマレート
中間体10i(5.47g、0.019mol)およびtert−ブチルアミン(20.39mL、19mmol)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。管を密封し、油浴を用いて75℃に加熱した。1.5時間後、混合物を分液漏斗に移し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去した。油状物をメタノールに溶解し、溶媒を減圧下に除去して、2j 5.10g(96%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDOD)δ8.21(s,1H)、8.04−8.00(d,1H)、7.74−7.70(d,1H)、4.54−4.45(m,1H)、1.24−1.21(d,3H)、1.06(s,9H)。
【0197】
アミン2jを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールから塩を再結晶することにより、2jフマル酸塩1.99gを白色結晶として得た。融点(分解):196−197℃。HNMR(CDOD)δ8.35(s,1H)、8.11−8.07(d,1H)、7.82−7.78(d,1H)、6.68(s,2H)、5.24−5.15(q,1H)、1.58−1.55(d,3H)、1.35(s,9H)。分析値(C1722ClNO)C,H,N。
【0198】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロ−4’−メチルプロピオフェノン(2k)の合成
工程1.3’−クロロ−4’−メチルプロピオフェノン(9k)
3−クロロ−4−メチルベンゾニトリル8b 2.5g(0.017mol)を0℃に冷却された無水THF100mL中に含む溶液に、N下に、1M EtMgBr/THFの33.0mL(33.0mmol)をシリンジを介して5分間かけて加えた。反応混合物を室温まで温め、72時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、1N HCl 75mLをゆっくり加えた。混合物を0℃で1.5時間攪拌し、HO 100mLで希釈し、3×75mLのEtOで抽出した。併せた有機層を、飽和NaHCO溶液50mL、ブライン50mLで洗い、脱水(MgSO)し濾過した。溶媒を除去して、9k 2.96g(98%)を淡黄色固形物として得た。HNMR(CDCl)δ8.21(s,1H)、7.87−7.3(d,1H)、7.39−7.20(d,1H)、3.00−2.91(q,2H)、2.43(s,3H)、1.28−1.13(t,3H)。
【0199】
工程2.2−ブロモ−3’−クロロ−4’−メチルプロピオフェノン(10k)
9k 1.5g(0.008mol)をCHCl 40mL中に含む溶液に、Br 1.31g(0.008mol)を15分かけて加えた。溶液を16時間攪拌し、飽和NaHCO溶液60mLで希釈し、有機層を分離した。水層を2×50mLのCHClで抽出した。併せた有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去してオレンジ色油状物を得た。クロマトグラフィー(SiO 200g;石油EtO、1:1 石油エーテル−EtO)により、10k 1.4g(65%)を僅かにオフホワイトの固形物として得た。HNMR(CDCl)δ8.06−8.00(s,1H)、7.88−7.79(d,1H)、7.43−7.30(d,1H)、5.29−5.18(q,2H)、2.45(s,3H)、1.97−1.88(d,3H)。
【0200】
工程3.2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロ−4’−メチルプロピオフェノン(2k)フマレート
攪拌子を備える25mL圧力管において、10k 1.25g(0.0048mol)をtert−ブチルアミン7.53mL(71.7mmol)に溶解した。管を密封し、油浴で80℃に加熱した。2.5時間後、反応混合物を冷却し、EtO 20mLおよび飽和NaHCO溶液20mLに取り込んだ。有機層を分離し、水層を2x10mLのEtOで抽出した。併せた有機層を、飽和NaHCO溶液20mL、ブライン20mLで洗い、脱水(MgSO)し濾過した。溶媒を除去して、僅かに不純な2k 1.2g(99%)を黄色油状物として得た。フマル酸塩を、2bについて記載したように調製した。MeOH−EtOAcから再結晶することにより、2kフマル酸塩1.24gを白色結晶性固形物として得た。融点:196−198℃。HNMR(d−DMSO)δ8.13(s,1H)、8.06−8.00(d,1H)、7.65−7.55(d,1H)、6.58(s,2H)、4.69−4.58(q,2H)、2.51(s,2H)、2.42(s,3H)、1.20−1.17(d,3H)、1.04(s,9H)。分析値(C1824ClNO)C,H,N。
【0201】
2−(N−tert−ブチルアミノ)−4’−ブロモ−5’−メチルプロピオフェノン(2l)の合成
工程1.2−ブロモ−4’−ブロモ−5’−メチルプロピオフェノン(10l)
4−ブロモ−5−メチルプロピオフェノン9l 1.5g(0.0082mol)をCHCl 40mL中に含む溶液に、Br 0.32mL(6.27mmol)を15分かけて添加した。溶液を15分間攪拌した。反応混合物を3×40mLの飽和NaHCO溶液、ブライン40mLで洗い、脱水(NaSO)し、濃縮して、10l 1.9g(99%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.88(s,1H)、7.70−7.61(m,2H)、5.31−5.20(q,2H)、2.47(s,3H)、1.97−1.82(d,3H)。
【0202】
工程2.2−(N−tert−ブチルアミノ)−4’−ブロモ−5’−メチルプロピオフェノン(2l)フマレート
攪拌子を備える25mL圧力管において、10l 1.90g(0.062mol)をtert−ブチルアミン9.79mL(93.2mmol)に溶解した。管を密封し、油浴で60℃に加熱した。2.5時間後、冷却された反応混合物をEtO 50mL中に注ぎ込み、3×50mLの飽和NaHCO溶液、ブライン50mLで洗い、脱水(MgSO)し濾過した。溶媒を除去して、僅かに不純な2l 1.8g(97%)をオレンジ色油状物として得た。フマル酸塩を、2bについて記載したように調製し、MeOHから2回再結晶して、2lフマル酸塩1.05gを白色結晶性固形物として得た。融点:198−200℃。HNMR(d−DMSO)δ8.09(s,1H)、7.88−7.85(d,1H)、7.80−7.73(d,1H)、6.58(s,2H)、4.70−4.53(q,2H)、2.50−2.45(s,1H)、2.38−2.36(s,3H)、1.25−1.20(d,3H)、1.04(2,9H)。分析値(C1824BrNO)C,H,N。
【0203】
2−(tert−ブチルアミノ)−3’,5’−ジフルオロプロピオフェノン(2m)の合成
工程1.2−ブロモ−3’,5’−ジフルオロプロピオフェノン(10m)
3,5−ジフルオロプロピオフェノン9m 3.00g(0.018mol)を塩化メチレン70mL中に含む溶液に、臭素10滴を加えた。窒素下に室温で数分間攪拌後、臭素の特徴的赤色が消え、反応の開始が示唆された。臭素0.9mL(17.63mmol)の残りを滴下して加え、反応溶液を窒素下に室温で一晩攪拌した。反応溶液を急冷し、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを9にした。生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、10m 4.36g(99%)を透明油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.57−7.49(bdd,2H)、7.09−7.01(m,1H)、5.30−5.10(q,1H)、1.91(d,3H)。
【0204】
工程2.2−(tert−ブチルアミノ)−3’,5’−ジフルオロプロピオフェノン(2m)フマレート
密封可能反応管に、最少量の塩化メチレンと共に10m 4.36g(0.018mol)を入れた。塩化メチレンの大部分が陽圧窒素フローにより除去され、tert−ブチルアミン19mL(175.05mmol)を一度に加え、管を密封し、80℃に加熱された油浴中に配した。80℃で2時間攪拌後、反応混合物を室温まで冷却させ、急冷し、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを10にした。生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、オレンジ色油状物4.09gを得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、9:1:50 EtO−EtN−ヘキサン)により精製して、2m 3.29g(78%)を黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.54−7.50(dd,2H)、7.08−7.01(m,1H)、4.27−4.22(q,1H)、1.27(d,3H)、1.05(s,9H)。
【0205】
2m 3.22g(0.013mmol)をメタノール中に含む溶液に、フマル酸1.54g(0.013mol)を加えた。反応溶液を15分間攪拌し、溶媒を真空下に除去して白色固形物を得た。メタノール−EtOから再結晶することにより、2mフマル酸塩4.00gを白色固形物として得た。融点:170−172℃。HNMR(CDOD)δ7.84−7.81(dd,2H)、7.46−7.39(m,1H)、5.21−5.15(q,1H)、1.58(d,3H)、1.35(s,9H)。分析値(C1721NO)C,H,N。
【0206】
2−(tert−ブチルアミノ)−3’,5’−ジクロロプロピオフェノン(2n)の合成
工程1.3’,5’−ジクロロプロピオフェノン(9n)
3,5−ジクロロベンゾニトリル8c 5.24g(0.031mol)を0℃に冷却された無水テトラヒドロフラン100mL中に含む溶液に、塩化エチルマグネシウム35mL(EtO中2.0M)を滴下して加えた。反応溶液を室温まで温め、窒素下に室温で74時間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却し、5%塩酸水溶液250mLを滴下して加えた。室温で一晩攪拌後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で急冷し、濃水酸化アンモニウムでpHを11にした。生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、褐色固形物6.21gを得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、5:1 ヘキサン−塩化メチレン)により精製して、9n 4.94g(80%)を白色非結晶性固形物として得た。HNMR(CDCl)δ7.81(s,2H)、7.54(s,1H)、3.00−2.92(q,2H)、1.23(t,3H)。
【0207】
工程2.2−ブロモ−3’,5’−ジクロロプロピオフェノン(10n)
9n 5.59g(0.028mol)を塩化メチレン90mL中に含む溶液に、臭素10滴を加えた。窒素下に室温で数分間攪拌後、臭素の特徴的赤色が消え、反応の開始が示唆された。臭素1.40mL(27.53mmol)の残りを滴下して加え、反応溶液を窒素下に室温で9.75時間攪拌した。反応溶液を急冷し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液によりpHを8にした。生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、10b 8.73g(>100%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.86(s,2H)、7.56(s,1H)、5.19−5.11(q,1H)、1.90(d,3H)。
【0208】
工程3.2−(tert−ブチルアミノ)−3’,5’−ジクロロプロピオフェノン(2n)フマレート
密封可能反応管に、最少量の塩化メチレンと共に10n 4.00g(0.014mol)を入れた。塩化メチレンの大部分が陽圧窒素フローにより除去され、tert−ブチルアミン15mL(141.86mmol)を一度に加え、管を密封し、65℃に加熱された油浴中に配した。65℃で2時間攪拌後、反応混合物を室温まで冷却させた。反応混合物を急冷し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpHを10にし、生成物を塩化メチレンで抽出し、脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を除去し、得られた残渣を高真空下に短時間乾燥して、2n 4.20gをオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.86(s,2H)、7.58(s,1H)、4.27−4.19(q,1H)、1.25(d,3H)、1.05(s,9H)。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、9:1:40 EtO−EtN−ヘキサン)により精製して、2n 2.67g(69%)を黄色油状物として得た。
【0209】
2n 2.50g(0.009mol)をメタノール中に含む溶液に、フマル酸1.05g(0.009mol)を加えた。反応混合物を15分間攪拌し、白色固形物が溶液から沈殿し、これを真空濾過により集めて、2nフマル酸塩1.69gを白色固形物として得た。融点:178−180℃。HNMR(CDOD)δ8.14(s,2H)、7.96(s,1H)、4.67−4.59(q,1H)、1.21(d,3H)、1.05(s,9H)。分析値(C1721ClNO)C,H,N。
【0210】
2−(N−プロピルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2v)の合成
2−(N−プロピルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2v)フマレート
2−ブロモ−1−(3−クロロフェニル)プロパン−1−オン(250mg、1.01mmol)を無水エーテル(1mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。次にn−プロピルアミン(0.18mL、2.22mmol)を一度に加え、反応混合物を室温まで温め、一晩攪拌した。反応混合物を水およびエーテルで希釈し、5分間攪拌した。2相混合物を分液漏斗に分けて入れた。水層をエーテルで2回抽出し、併せた有機抽出物を1M HCl水溶液で2回洗った。併せた酸性水層を、次に、飽和NaCO水溶液でpH8−9に塩基性化した。塩基性化された水層をエーテルで2回抽出し、併せた有機抽出物をブラインで洗い、NaSOで脱水し、濾過し、最初の体積の約半分まで濃縮した。(注:以下の全ての濃縮工程において、乾燥するまで濃縮してはならない。さもなければ、化合物が分解する。)。未反応プロピルアミンを除去するために、MeOH(〜20mL)を加え、溶液を〜5−10mLまで濃縮した。この方法を2回以上繰り返し、エーテル30mLを加え、続いて、1M HCl/エーテルを、溶液からの固形物の析出が停止するまで滴下して加えた(典型的には、0.5−1mLが必要であった。)。1時間攪拌後、固形物を濾過し、エーテルで洗い、乾燥して、2vの塩酸塩67.1mg(収率25%)を白色フレーク状固形物として得た。融点:188−189℃。HNMR(CDOD,300MHz)δ8.07(s,1H)、8.01(d,J=9.0Hz,1H)、7.76(d,J=12.0Hz,1H)、7.61(t,J=12.0,6.0Hz,1H)、5.17(q,J=21.0,15.0,6.0Hz,1H)、3.13−3.04(m,1H)、3.02−2.92(m,1H)、1.86−1.73(m,2H)、1.58(d,J=9.0Hz,3H)、1.05(t,J=15.0,9.0Hz,3H);13CNMR(CDOD,75MHz)ppm 196.1,136.0,135.9,132.1,129.7,128.4,59.6,49.0,20.9,16.3,11.2。分析値(CI2I7ClNO・0.25HO)C,H,N。
【0211】
2vの初期製剤は、HCl/エーテルの代わりにフマル酸を用いるフマル酸塩であるが、繰り返しが困難であり、収率が<5%であった。次に、塩酸塩は、単離の信頼性が高いことがわかった。生物学的試験に用いられたものであるので、フマル酸塩を報告する。フマル酸塩は、塩酸塩から、重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、続いてエーテルで抽出することにより得た。次に、フマル酸を、メタノール中の溶液として加え、溶液を固形物が現れるまで濃縮して、これを濾過し、エーテルで洗い、乾燥して2vフマル酸塩を得た。融点:190−192℃(分解)。分析値(C1620ClNO・0.25HO)C,H,N。
【0212】
2−(N−イソプロピルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2w)フマレートの合成
重炭酸ナトリウム(4g、0.048mol)を、10g(6.00,0.024mol)をアセトニトリル(30mL)中に含む溶液中に懸濁させた。懸濁液を、氷−ブライン浴において冷却し、イソプロピルアミン(0.69g、0.012mol)をアセトニトリル(10mL)中に含む溶液を10分間かけて滴下して加えた。添加完了後、混合物を冷たい状態で4時間攪拌し、塩酸(10%、50mL)と酢酸エチル(50mL)との混合物中に注ぎ込んだ。水層を分離し、酢酸エチル(25mL)で洗い、水酸化アンモニア:水(1:1)でアルカリ性にした。混合物をEtO(2×100mL)で抽出し、併せたエーテル抽出物を脱水(KCO)し、濾過し、濃縮して、黄色油状物1.26gを得た。フマル酸塩を、2bについて記載したように形成し、メタノール/EtOから再結晶した。融点:174−178℃(分解)。HNMR(CDCl)δ7.88(t,1H,J=1.6Hz)、7.78(dd,1H,J=2.1Hz,J=1.2Hz)、7.48(d,J=2.1Hz)、7.37(t,J=7.8Hz)、4.30(q,1H,J=7.2Hz)、2.67(p.1H,J=6.3Hz)、1.23(d,2H,J=15Hz)、1.00(t,6H,J=6.3Hz)。分析値(C1620ClNO・0.25HO)C,H,N。
【0213】
2−(N−メチル−N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2cc)の合成
工程1.2−ブロモ−3’−クロロプロピオフェノン(10cc)
3’−クロロプロピオフェノン(10.0g、0.059mol)および塩化メチレン(100mL)を、磁気攪拌子を備える500mLフラスコ中に配した。溶液を窒素下に攪拌し、臭素(3.04mL、59mmol)をシリンジでフラスコに注入した。少量の臭素を最初に加えて反応を触媒した。反応開始後、残りの臭素を10分間かけて加えた。発生した臭化水素ガスを0.1N水酸化ナトリウム溶液に吹き込んだ。16時間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化し、水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物14.06gを得た。暗いオレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン−塩化メチレン)で精製して、10cc 13.90g(95%)を淡いオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ7.99(s,1H)、7.93−7.88(d,1H)、7.61−7.56(d,1H)、7.49−7.40(t,1H)、5.29−5.19(q,1H)、1.94−1.89(d,3H)。
【0214】
工程2.2−(N−メチル−N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2cc)塩酸塩
化合物10cc(5.0g、0.02mol)および塩化メチレン(50mL)を、磁気攪拌子を備える圧力管中に配した。N−メチル−N−tert−ブチルアミン(4.97mL、41mmol)を管に加えた。管を密封し、攪拌し、75℃で6時間還流した。管を室温まで冷却し、開封した。8日間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化し、水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し、アルミナを充填したフリット漏斗を通して濾過した。溶媒を減圧下に除去して、2cc 3.65g(71%)を緑色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.09(s,1H)、7.94−7.89(d,1H)、7.50−7.45(d,1H)、7.40−7.32(t,1H)、4.66− 4.56(q,1H)、2.16(s,3H)、1.30−1.25(d,3H)、1.19(s,9H)。
【0215】
アミン2ccを、2bについて記載した手順を用いて塩酸塩に転化した。イソプロパノールおよびEtOから再結晶することにより、2cc・HCl 2.22gを白色結晶性固形物として得た。融点:181−182℃。HNMR(CDOD)δ8.19(s,1H)、8.19−8.12(d,1H)、7.80−7.75(d,1H)、7.67− 7.60(t,1H)、5.59−5.50(q,1H)、2.97(s,3H)、1.63−1.58(d,3H)、1.50(s,9H)。分析値(C1421ClNO)C,H,N。
【0216】
2−(N,N−ジメチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2dd)の合成
化合物10cc(2.7g、0.011mol)および塩化メチレン(40mL)を磁気攪拌子を備える密封管中に配した。管をアセトン/ドライアイス浴を用いて−78℃に冷却した。ジメチルアミン(約5mL、沸点−7℃)を凝縮して管に入れた。管を密封し、氷水浴中に配し、攪拌した。12時間攪拌後、管を再びアセトン−ドライアイス浴を用いて−78℃に冷却し、開封した。管を室温まで温めさせた。室温で4時間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。水(75mL)および水酸化アンモニウム(10滴)を加えて反応液を塩基性化し、水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し濾過した。溶媒を減圧下に除去して、油状物3.14g(99%)を得た。HNMR(CDCl)δ8.05(s,1H)、7.99−7.93(d,1H)、7.56−7.50(d,1H)、7.44−7.36(t,1H)、4.05−3.95(q,1H)、2.30(s,6H)、1.22−1.28(d,3H)。
【0217】
アミン2ddを濾過し、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。メタノールおよびEtOから再結晶することにより、2ddフマル酸塩1.80gを白色固形物として得た。融点:144−145℃。HNMR(CDOD)δ8.04(s,1H)、8.00−7.95(d,1H)、7.76−7.71(d,1H)、7.62−7.55(t,1H)、6.69(s,2H)、2.92(s,6H)、1.58(s,3H)。(注:αプロトンを重溶媒と交換した;従って、H NMRスペクトルは僅かに変化する。)。分析値(C1518ClNO)C,H,N。
【0218】
2−(N,N−ジエチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン(2ee)フマレートの合成
化合物10cc(4.3g、0.017mol)を、磁気攪拌子を備える250mLフラスコ中に配した。フラスコを氷水浴を用いて0℃に冷却した。ジエチルアミン(3.77mL、36mmol)を加え、反応液を窒素下に攪拌した。12時間後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化し、水層をEtOを用いて3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し、アルミナを充填したフリット漏斗を通して濾過した。溶媒を減圧下に除去して、2ee 3.98g(95%)を淡緑色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.10(s,1H)、8.03−7.98(d,1H)、7.51−7.46(d,1H)、7.40−7.32(t,1H)、4.42−4.32(q,1H)、2.69−2.42(m,4H)、1.24−1.19(d,3H)、1.07−0.99(t,6H)。
【0219】
アミン2eeを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。イソプロパノールおよびヘキサンから再結晶させることにより、2eeフマル酸塩2.46gを白色結晶性固形物として得た。融点:119−120℃。HNMR(CDOD)δ8.11(s,1H)、8.06−8.01(d,1H)、7.76−7.71(d,1H)、7.63−7.56(t,1H)、6.68(s,2H)、5.30−5.20(q,1H)、3.43−3.28(m,2H)、3.24−3.09(m,2H)、1.50−1.46(d,3H)、1.38−1.30(t,6H)。分析値(C1722ClNO)C,H,N。
【0220】
2−ピペリジノ−3’−クロロプロピオフェノン(2ff)フマレートの合成
化合物10cc(4.5g、0.018mol)を、磁気攪拌子を備える100mLフラスコ中に配した。フラスコを氷水浴を用いて0℃に冷却した。ピペリジン(3.78mL、38mmol)を加え、反応液を窒素下に攪拌した。12時間後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化し、水層をEtOを用いて3回抽出した。続いて、さらなるピペリジン(4mL)を加えた。24時間攪拌後、溶液を分液漏斗に移した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて反応液を塩基性化し、水層を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を脱水(NaSO)し、アルミナを充填したフリット漏斗を通して濾過した。パックをヘキサンで洗った。溶媒を減圧下に除去した。過剰ピペリジンの全てが除去されたことを確保するために、メタノールおよびトルエンを加え、減圧下に除去して、2ff 3.32g(72%)を淡いオレンジ色油状物として得た。HNMR(CDCl)δ8.11(s,1H)、8.05−8.00(d,1H)、7.52−7.47(d,1H)、7.42−7.32(t,1H)、4.02−3.92(q,1H)、2.56−2.42(m,4H)、1.58−1.47(m,4H)、1.47−1.39(m,2H)、1.25−1.20(d,3H)。
【0221】
アミン2ffを、2bについて記載した手順を用いてフマル酸塩に転化した。イソプロパノールおよびヘキサンから再結晶させることにより、2ffフマル酸塩2.84gを白色結晶性固形物として得た。融点:157−158℃。HNMR(CDOD)δ8.09(s,1H)、8.01−7.96(d,1H)、7.77−7.71(d,1H)、7.63−7.53(t,1H)、6.70(s,3H)、5.22−5.12(q,1H)、3.50−3.20(m,4H)、1.99−1.89(m,4H)、1.75−1.65(m,2H)、1.60−1.55(d,3H)。(注:フマル酸塩ピーク、6.70,3個のプロトンについて積分。これは元素分析により支持される。)。分析値(C2024ClNO)C,H,N。
【0222】
(1RS,2RS)−2−(N−tert−ブチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノール(7)ヘミフマレートの合成
表記化合物は、以前に報告(Musso,D.L.et al.,Synthesis and Evaluation of the Anticonvulsant Activity of a Series of 2−amino−1−phenyl−1−propanols Derived from the Metabolites of the Antidepressant Bupropion Bioorg.Med.Chem.Lett.1997,7,1−6)されているように調製し、ヘミフマル酸塩であると特性評価された。融点:178−180℃。分析値(C1523NO)C,H,N。
【実施例2】
【0223】
生物学的研究
a)モノアミントランスポーター結合および取り込み研究
HEK293細胞において安定的に発現されている(h)DAT、(h)SERTおよび(h)NET、ならびに類似体2a−2ffおよび7のための非選択的放射性リガンド[125I]RTI−55を用いて、競合的結合アッセイを決めた(以下の表4を参照)。[H]ドーパミン([H]DA)、[H]セロトニン([H]5HT)および[H]ノルエピネフリン([H]NE)の再取り込みを遮断する化合物の性能を評価するために、HEK−(h)DAT、−(h)SERTおよび−(h)NET細胞も用いた(表4)。
【0224】
優れたDAT結合(低いK値)および[H]DA取り込み(低いIC50値)を示すブプロピオン類似体を、(a)ケトン基に対してα位にあるメチル基を、中位寸法アルキル基に置き換え、(b)3−クロロフェニル環上の置換基の種類および数を変え、および(c)N−tert−ブチル基を他のN−アルキル基に置き換える、ことにより得た。大部分の場合、結合アッセイの順位有効性は、取り込み値の有効性を反映するので、モノアミン取り込み値のみを検討する。
【0225】
ブプロピオンは、DAおよびNE取り込み阻害に対して、IC50値がそれぞれ945および443nMである。SERTへの結合に対するK値は10μMより大きいので、5HT取り込みIC50は決めなかった。即ち、ブプロピオンは、DA取り込みを阻害する性能が、コカインよりも3.5倍少ない。ブプロピオンおよびコカインは、NE取り込みに対する性能がほとんど同等であるが、5HT取り込みに対してIC50値が318nMであるコカインは、ブプロピオンよりも性能が高い。ブプロピオン中のαメチル基をエチル、プロピルまたはブチル基に置き換えることにより得られる類似体2o−2qは、IC50値が、ブプロピオンの945nMに対して、それぞれ31、33および69nMであり、最もDA効果的な類似体であった。より大きなヘキシルおよびイソブチルα置換基を有する類似体2s−2tは、IC50値が135および440nMであり、従って、やはり、ブプロピオンよりも優れたDA取り込み阻害剤であった。ブプロピオン中のαメチル基を、かなり大きな2−(シクロヘキシル)エチルα置換基に置き換えて2uを得ると、DA性能が完全に失われた(IC50値>10μM)。
【0226】
ブプロピオンの芳香族置換基パターンを変えることによっても、DA取り込み阻害に対する優れたIC5O値を示す類似体が得られる。例えば、IC50値が271および650nMである3,4−ジクロロフェニル類似体2jおよび3−クロロ,4−メチルフェニル類似体2kは、ブプロピオンよりも性能がそれぞれ3.5倍および2倍高かった。IC50値が950nMである3−ブロモフェニルおよび4−ブロモ,3−メチルフェニル類似体2dおよび21は、ブプロピオンと性能が同等であった。2jのαメチル基をエチルまたはプロピル基に置き換えて類似体2aaおよび2bbを得たところ、2jよりもIC5O値が僅かに低かった。3−クロロフェニル環をチオフェン環に置き換えて化合物3を得たところ、DA取り込み阻害に対して効果がなかった。
【0227】
N−tert−ブチル基を、N−シクロプロピルまたはN−シクロブチル基に置き換えて、IC50値が265および258nMである2xおよび2yを得たところ、ブプロピオンよりも性能が3.6倍および3.7倍高かった。N−シクロペンチル類似体2zはIC50が980nMであり、ブプロピオンの値とほとんど同じであった。IC50値が2000nMであるN−イソプロピル類似体2wは、ブプロピオンよりも性能が2倍低かった。驚くべきことに、N−プロピル類似体2vは、不活性であった。N,N−二置換類似体2cc−2ffは、DA取り込み阻害に対して高い効果を有するものはなかった。最良の化合物は、IC50値が1033nMであるN−ピペリジノ類似体2ffであった。
【0228】
ブプロピオンと同様に、大部分のブプロピオン類似体が、5HT取り込み阻害に対してはほとんど効果を示さなかった。5HT取り込み阻害に対してIC50値がそれぞれ400、473および185nMである、3−クロロ−4−メチルフェニル、3−メチル−4−ブロモフェニルおよびN−シクロペンチル類似体2k、2lおよび2yが、最も有効であった。
【0229】
大部分の類似体が、ブプロピオンよりも5倍を超えるNE取り込み阻害は示さなかった。しかしながら、IC50値がそれぞれ43、86および135である類似体2bb、2yおよび2aaは、NE取り込み阻害が、ブプロピオンよりも34、17および10倍優れていた。
【0230】
2z中のシクロペンチル基を、シクロブチルまたはシクロプロピル基に置き換えて2yおよび2xをそれぞれ得たところ、モノアミン取り込み特性が著しく変化した。化合物2zは、DA取り込みに対してIC50値が980nMであったが、2yおよび2xについてはそれぞれ258および265nMであった。驚くべきことに、NE取り込みに対する2zのIC50の値221nMは、シクロブチル類似体2yについて86nMに改良されたが、シクロプロピル類似体2xについては2150nMに増した。シクロペンチル類似体2zは全体として5HT取り込み阻害剤として不活性であるが、シクロブチル類似体2yはこのトランスポーターについてIC50が185nMであり、研究した他のブプロピオン類似体よりも優れている(表4)。2z中のシクロペンチルを2x中のシクロプロピルに変えることによっても、5HT取り込み阻害が向上するが、IC50値が3180nMであるにすぎない。2xの開環類似体であると見なすことができる2vが、3つのトランスポーター全てに不活性であることを発見した。ブプロピオン類似体2bのカルボニルを還元して化合物7を得ると、DATおよびNETへの親和性が損なわれるが、5HT取り込みに対する性能は著しく増加し、ブプロピオンにおける>10000nMから化合物7における1240nMになることを発見した。
【0231】
表4.ブプロピオン類似体についてのC6hDAT、HEK−hSERTおよびHEK−hNET細胞におけるドーパミン、セロトニンおよびノルエピネフリントランスポーターの結合および取り込みの研究の比較
【0232】
【表4】



a:
各々が3回繰り返し測定した3種類の独立した試験の平均値±標準誤差値
b:
Mussoet al.,Synthesis and Evaluation of the Anticonvulsant Activity of a Series of 2−amino−1−phenyl−1−propanols Derived from the Metabolites of the Antidepressant Bupropion.Bioorg.Med.Chem.Lett.1997,7,(1),1−6から得られたデータ
c:
未検
【0233】
さらに、2xは、EC50が283nMであるセロトニントランスポーターのための基質であり、5HTにおける効果を向上させることができる(以下の表5を参照)。NEにおける弱い効果と組み合わされたDAおよび5HTにおける向上した効果は、2xが、ブプロピオンよりも、コカイン、メタンフェタミンおよびニコチン中毒症を治療するための優れた薬物療法を提供することを示している。実際、2xは、以下に示す全ての試験動物アッセイにおいて、ブプロピオンよりも優れていることがわかった。
【0234】
表5.ラット脳シナプトソームを用いる一連のN−シクロプロピルブプロピオン類似体の5−HT放出/基質活性の比較
【0235】
【表5】

【0236】
b)自発運動活性研究
既に報告されている方法により、マウスを用いて、まず1時間の研究、続いて8時間の研究において、ブプロピオン類似体の自発運動活性を評価した。この結果を、両研究においてコカインについて得られた自発運動活性と、および8時間の研究におけるブプロピオンについて得られた活性と比較した。コカインは、1時間の研究における複数の別々の実験において決められるように、IC50値が8.5−11mg/kgであった。ブプロピオンについてのED50値は6.5mg/kgであった。コカインの自発運動効果を100%とし、全ての類似体をコカインの最大効果と比較した。ED50値(mg/kg)、(1時間研究における)最初の30分間におけるコカインの最大効果に対する%としての化合物の最大効果、(8時間研究における)最大刺激が生じる30分の期間を基準に計算されたコカインの最大効果に対する%としての化合物の最大効果、および最大効果の期間、を以下の表6に示す。
【0237】
1時間観察プロトコールにおいて、7種類の類似体はコカインに近いIC50値を有していた(IC50=5.2−12.1mg/kg)。14種類の化合物のIC50値は13.5−54.6mg/kgであり、13種類の類似体は自発運動活性を示さなかった。7種類の類似体は、コカインに似た刺激を示した(ピーク>84%)。自発運動活性を有する残りの20種類の化合物は、コカインのピーク効果の41−81%のピーク効果を有していた。8時間自発運動観察プロトコールにおいて、列挙した7種類の化合物およびブプロピオンは、コカインに類似の自発運動効果を有していた(ピーク>84%)。残りの列挙された16種類の類似体は、31−78%の効果を有していた。ED50値は、2hについての4.4mg/kgから2kについての60.8mg/kgの範囲であった。5種類の類似体2b、2c、2m、2xおよび2zは、1時間試験および8時間試験の両方において自発運動活性を有しており、7種類の類似体2d、2h、2r、2s、2t、2aaおよび2ccは、両方の試験において弱い刺激剤であった。4種類の類似体2o、2p、2wおよび2ddは、1時間プロトコールにおいてコカインに類似の活性を示したが、8時間経時研究において著しく弱くなった。5種類の類似体2b、2c、2m、2xおよび2zは、両方の研究において強力な刺激剤であった。4種類の化合物2k、2aa、2bbおよび2eeは、1時間試験において穏やかな活性を示し、経時研究において活性が増加した。化合物2g、2u、2ffおよび6は、1時間試験において不活性であったが、8時間プロトコールにおいて弱い刺激活性を示した。複数の化合物2g、2j、2p、2s、2t、2dd、2ffおよび6は、1時間以上の時間において、最大刺激効果の期間を有していた。ブプロピオンの最大刺激効果の期間は0−30分であり、コカインおよび類似体2b−d、2m、2o、2qおよび2x−2bbの期間と同じくらいであった。化合物2j、2tおよび2ffは、最大効果の期間が260−350分であり、刺激活性の発現が遅かった。化合物2j、2p、2t、2ffおよび6も、自発運動活性の持続が3時間超であった。ブプロピオンは、自発運動活性の持続が約2−4.5時間であった。ブプロピオンよりもDA取り込み阻害剤として31、29および14倍効果が高い類似体2o−qは、自発運動活性の持続がそれぞれ360、210−480および40−460分と非常に長かった。さらに、ブプロピオンよりもDA取り込み阻害剤として3.6倍効果が高く5HT取り込み阻害剤として効果が高い類似体2xは、自発運動活性の持続が350分であり、ブプロピオンよりも長い。類似体2oも、自発運動活性の発現がかなり遅い。シクロペンチルブプロピオン類似体2zは、ED50値が10.6であり、作用が長く持続する。
【0238】
表6.1時間および8時間観察プロトコールにおけるブプロピオン類似体についての自発運動活性の比較
【0239】
【表6】


a:
化合物の最大効果の50%を発生させる投与量
b:
最初の30分間におけるコカインの最大効果に対する%としての化合物の最大効果
c:
最大刺激が生じる30分の期間に基づいて計算されるコカインの最大効果に対する%としての化合物の最大効果
d:
最大効果の期間
e:
幾つかの実験についてのED50の範囲
f:
自発運動活性がない、または抑鬱効果
【0240】
c)コカイン弁別
腹腔内投与を用いるラットにおける薬物弁別タスクにおいて標準的2レバーオペラントチャンバーを用いるレバー選択によるコカインキューとの汎化について、化合物を評価した。表7は、レバー選択が75%になるED50値と共に、化合物の種々の投与量におけるコカインレバーを選択するラットの%を示す。既に報告されている経口投与による経時的研究を用いるコカインの汎化(以下の表8)についても類似体を評価した(Carroll,F.I.et al.,Effects of Dopamine Transporter Selective 3−Phenyltropane Analogs on Locomotor Activity,Drug Discrimination,and Cocaine Self−administration after Oral Administration.Eur.J.Pharmacol.2006,553,(1−3),149−156)。実験の45、90、180または360分前に1mL/kgの体積で化合物を経口投与した。化合物についての結果を、コカインレバーを選択する被験体の%として表に示した。
【0241】
一部のブプロピオン類似体は、最初のコカイン弁別研究において、ED50値4.84−36.7mg/kgでのコカインキューの完全汎化を示した。ブプロピオンは、コカインの弁別刺激効果を部分的にのみ代用した。最大代用を呈する最少投与量(10mg/kg)により、67%コカイン適切応答が得られた。しかしながら、5−25mg/kg後のビヒクル制御に対して応答率が増加した。5および10mg/kgにおいて67%の部分的汎化を示すN−シクロプロピル類似体2xも、ブプロピオンと同様に25−100mg/kgにおいて応答率に影響を与えた。自発運動活性試験において活性の長い持続を示した、より効果的なDA取り込み阻害剤2o−2qは、全て、25mg/kgにおいて完全汎化を示した。
【0242】
経時的研究で試験した全ての類似体は、少なくとも1つの時点において完全汎化を示した(以下の表8参照)。ED50値は、5.36−52.4mg/kgの範囲であった。ブプロピオンは、50mg/kg投与の45分後に完全汎化を示し、50mg/kg投与の90分後に部分的汎化を示した。ブプロピオン投与の45分後の薬物適切応答についてのED50は、23.2mg/kgであった。
【0243】
類似体2pは、50mg/kg投与の45分後に部分的汎化を示し、45および90分後に完全汎化を示し、100mg/kg投与の180分後に部分的汎化を示した。化合物2xは、10mg/kgおよび25mg/kg投与の45分後に部分的汎化を示し、25mg/kg投与の90および180分後に完全汎化を示した。
【0244】
DA取り込みに対するIC50値とコカイン汎化に対するED50値との間に一般的相関があったとしても、幾つかの例外がある。例えば、コカイン弁別研究における最も有効な類似体は2ddであり、ED50値が4.84mg/kgであった。しかしながら、DA取り込み阻害についての2ddのIC50値は1534nMであり、ブプロピオンについては943nMであった。ED50値が271nMである類似体2jは、DA取り込み阻害剤としてブプロピオンよりも3.5倍効果が高かったが、部分的汎化さえ示さなかった。
【0245】
経時的研究において、ブプロピオンは、50mg/kg投与の45分後に完全汎化を示し、50mg/kg投与の90分後に部分的汎化を示した。ブプロピオン投与の45分後の薬物適切応答についてのED50は23.2mg/kgであった。化合物2xは、10mg/kgおよび25mg/kg投与の45分後には部分的汎化しか示さず(遅延発現)、25mg/kg投与の90および180分後には完全汎化を示した(長期持続)。
【0246】
表7.腹腔内投与後にコカインを識別できるように訓練されたラットにおけるブプロピオン類似体の効果
【0247】
【表7】


応答率コメント
A=平均応答率は、5−25mg/kg投与後のビヒクル制御に対して増加し、5mg/kgにおいて最大効果を示した(ビヒクル制御127%)。平均応答率は、ブプロピオン50mg/kg投与後のビヒクル制御の30%に減少した。
B=応答率は著しい変化を示すことができなかった。
C=応答率は、100mg/kg投与後に低下した。
D=応答率は、25mg/kg投与後に増加した。
E=応答率は、5mg/kg投与後に増加した。
F=応答率は、25−100mg/kg投与後に低下した。
G=応答率は、50−100mg/kg投与後に低下した。
H=応答率は、25mg/kg投与後に低下した。
I=応答率は、10−25mg/kg投与後に低下した。
b:
50mg/kg投与において悪影響が見られた。
【0248】
表8.経時研究におけるラット(経口投与)におけるブプロピオンおよびブプロピオン類似体の薬物弁別効果
【0249】
【表8】


応答率コメント
A=応答率において著しい変化がない。
B=応答率は50および100mg/kg投与において低下した。
C=応答率は200mg/kg投与において低下した。
D=ラット6匹のうちの4匹は、200mg/kg投与の180分後に第一固定比率を達成することができなかった。
E=応答率は、50mg/kg投与の90分後に低下した。
F=応答率は、2.5および5mg/kg投与の45分後に低下した。
G=応答率は、2s 10mg/kg投与の45分後のビヒクル制御に対して増加した。
H=応答率は、90分の予備処理間隔で2xに応じて著しい変化を示すことができなかった。2x 25mg/kg投与後に2/24匹のラットにおいて唾液分泌が観察された。
I=25mg/kg投与後に(1/24)匹のラットにおいて、および50mg/kg投与後に(1/24)匹のラットにおいて、摂餌量の低下が観察された。
投与量=20mg/kg。
投与量=40mg/kg。
投与量=80mg/kg。
【0250】
d)生物学的研究の概観
要約すれば、優れたDAT結合(低いK値)および[H]DA取り込み(低いIC50値)を示すブプロピオン類似体を、(a)ケトン基に対してα位にあるメチル基を、中位寸法アルキル基に置き換え、(b)3−クロロフェニル環上の置換基の種類および数を変え、および(c)N−tert−ブチル基を他のN−アルキル基に置き換える、ことにより得た。多くのブプロピオン類似体が、ブプロピオンよりも優れた間接的ドーパミン作動薬であることを示すモノアミン効果および動物挙動プロフィールを示した。類似体2o−2qおよび2xは、最適な全体的プロフィールを有しており、2xが最も興味深い。化合物2xは、DA取り込み阻害においてブプロピオンよりも効果的であり、NE取り込みと比較したDA取り込みの選択性が、ブプロピオンよりも高かった。ブプロピオンと異なり、2xは、5HT取り込み阻害剤としての効果も有する。本発明者らの研究所および他の研究所の研究は、コカイン自己投与の減少を、5HT取り込み阻害により高め得ることを示す動物挙動研究を報告した。最初の薬物弁別研究における2xの活性は、ブプロピオンの活性に非常に類似している。より重要なことに、2xは、経時的弁別研究においてブプロピオンよりも効果的であり、作用の発現が遅く、持続が長かった。コカイン、メタンフェタミンおよびニコチンの乱用を治療するための間接的ドーパミン作動薬薬物療法に必要であると考えられる試験管内効果および動物挙動特性は、いずれも、ブプロピオンよりも2xにおいて優れている。
【0251】
ここに提示された本発明の多くの変更および他の実施形態を、本発明が関する技術分野の当業者は理解することができ、前記記載および添付の図面に示された教示の利益を得ることができる。従って、本発明が開示された特定の実施形態に限定されないこと、および変更および他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれると意図されることを理解すべきである。特定の用語がここで用いられているが、これらは一般的意味および説明的意味でのみ用いられ、限定の意図はない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造の化合物:
【化1】

(式中、
−Rは各々独立して、H、OH、置換されていてもよいC1−4アルキル、置換されていてもよいC1−3アルコキシ、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、ハロ、アミノ、アシルアミド、CN、CF、NO、N、CONH、CO12、CHOR12、NR1213、NHCOR12、NHCO12、CONR1213、C1−3アルキルチオ、R12SO、R12SO、CFSおよびCFSOから選択され;
およびRは各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択される、またはRとRは一緒になって=Oまたは=CHを構成し;
およびRは各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;
10、R11、R12およびR13は各々独立して、Hまたは置換されていてもよいC1−10アルキルから選択され;および
ここで、RとRは結合して環式環を形成してよい;
ただし、RおよびRの一方がCHである場合、R10およびR11の少なくとも一方は置換されていてもよいC3−C10シクロアルキルである。)
または、医薬的に許容されるこのエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグまたは異性体。
【請求項2】
10およびR11の一方はHであり、R10およびR11の他方は置換されていてもよいC3−10シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
C3−10シクロアルキルが、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルからなる群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
10およびR11の一方はHであり、R10およびR11の他方は置換されていてもよいtert−ブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびRの一方または両方がC2−C7アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびRの一方はC2−C7アルキルであり、RおよびRの他方はHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
C2−C7アルキルが、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはイソブチルからなる群より選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、RまたはRの1つ以上がH以外の置換基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
置換基がハロを含む、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
ハロがクロロである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン、2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロブチロフェノン、2−(N−シクロプロピルアミノ)−3’−クロロペンタノフェノン、2−(N−シクロブチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン、2−(N−シクロペンチルアミノ)−3’−クロロプロピオフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロブチロフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロブチロフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロペンタノフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’,4’−ジクロロペンタノフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘキサノフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロヘプタノフェノン、2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロオクタノフェノンおよび2−(N−tert−ブチルアミノ)−3’−クロロフェニル−4−メチルペンタノフェノンからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
化合物が以下の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項13】
10およびR11の一方はHであり、R10およびR11の他方は置換されていてもよいC3−10シクロアルキルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
C3−10シクロアルキルが、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルからなる群より選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
およびRの一方または両方がC2−C7アルキルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
およびRの一方はC2−C7アルキルであり、RおよびRの他方はHである、請求項12に記載の化合物。
【請求項17】
C2−C7アルキルが、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはイソブチルからなる群より選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
化合物が以下の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【化3】

【請求項19】
およびRの一方または両方がC2−C7アルキルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
およびRの一方はC2−C7アルキルであり、RおよびRの他方はHである、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
C2−C7アルキルが、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはイソブチルからなる群より選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物および医薬的に許容されるキャリアを含む医薬組成物。
【請求項23】
患者におけるモノアミン再取り込みの阻害に応答性のある疾患の進行を治療または遅延させるための方法であって、請求項1から21のいずれか一項に記載の少なくとも一種の化合物の治療有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項24】
疾患が、依存症、鬱病、肥満、双極性障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、性的欲求低下障害、抗鬱薬−誘発性的機能不全、オルガズム機能不全、季節性情動障害/冬季鬱病、躁病、過食および他の摂食障害、パニック障害、強迫障害、統合失調症、分裂情動性障害、パーキンソン病、ナルコレプシー、不安障害、不眠症、慢性疼痛、片頭痛およびむずむず脚症候群からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
依存症が、コカイン、メタンフェタミンまたはニコチンへの依存症である、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2012−524108(P2012−524108A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506220(P2012−506220)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031230
【国際公開番号】WO2010/121022
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(500240896)リサーチ・トライアングル・インスティチュート (36)
【Fターム(参考)】