説明

モノアミン再取込み阻害剤としてのN−(3S)−ピロリジン−3−イル−ベンズアミド誘導体

式(I)
【化1】


の化合物、およびその製薬的におよび/または獣医学的に受容できる誘導体であって、式中:R1、R2、R3およびR20は、それぞれ独立して、H、Cl、Br、F、I、CF3、OCF3、MeまたはEtであり; R4は、場合によりC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、2〜4個の炭素原子を含有するアルコキシアルキルもしくはS−(C1-4アルキル)で置換されたhetまたはC3-7シクロアルキルであり;aは、0または1であり;そして、hetは、少なくとも1個のN、OもしくはSヘテロ原子を含有する非芳香族の4、5もしくは6員ヘテロ環であり、この環は場合により、5もしくは6員炭素環式基にまたは少なくとも1個のN、OもしくはSヘテロ原子を含有する第二の4、5もしくは6員ヘテロ環に縮合しており、ここで、het基は場合により、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、OH、ハロ、CF3、OCF3、SCF3、ヒドロキシ−C1-6アルキル、C1-4アルコキシ−C1-6アルキルおよびC1-4アルキル−S−C1-4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており; 但し、R1、R2およびR3の少なくとも1個はH以外である。本発明の化合物は、セロトニンおよび/またはノルアドレナリン再取込み阻害剤としての活性を示し、従って種々の治療分野、例えば尿失禁において有用性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアミン再取り込みを阻害する新規なアミド化合物、それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物および医薬品におけるそれらの使用に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の化合物は、セロトニンおよび/またはノルアドレナリン再取込み阻害剤としての活性を示し、従って種々の治療分野において有用性を有する。例えば、本発明の化合物は、モノアミン輸送体機能の調節が関与する障害、より具体的にはセロトニンまたはノルアドレナリンの再取り込みの阻害が関与する障害の治療に使用される。更に、本発明の化合物は、セロトニンおよびノルアドレナリンの両者の再取り込みの阻害が関与する障害、例えば尿失禁に使用される。加えて、本発明の化合物は、セロトニンまたはノルアドレナリンの一方の再取り込みを他方と比較して優先的に阻害することが望ましいことがある障害、例えば、疼痛、線維筋痛、ADHDおよびうつ病に使用される。
【0003】
本発明の第一の態様によれば、本発明は、式(I)の化合物:
【化1】

およびその製薬的におよび/または獣医学的に受容できる誘導体を提供する:式中、
1、R2、R3およびR20は、それぞれ独立して、H、Cl、Br、F、I、CF3、OCF3、MeまたはEtであり;
4は、場合によりC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、2〜4個の炭素原子を含有するアルコキシアルキルもしくはS−(C1-4アルキル)で置換されたhetまたはC3-7シクロアルキルであり;
aは、0または1であり;そして
hetは、少なくとも1個のN、OもしくはSヘテロ原子を含有する非芳香族の4、5もしくは6員ヘテロ環であり、この環は場合により、5もしくは6員炭素環式基にまたは少なくとも1個のN、OもしくはSヘテロ原子を含有する第二の4、5もしくは6員ヘテロ環に縮合しており、ここで、het基は場合により、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、OH、ハロ、CF3、OCF3、SCF3、ヒドロキシ−C1-6アルキル、C1-4アルコキシ−C1-6アルキルおよびC1-4アルキル−S−C1-4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
但し、R1、R2およびR3の少なくとも1個はH以外である。
【0004】
本発明の実施形態において、R1はCl、Br、F、I、CF3、MeまたはEtであり;そしてR2およびR3はそれぞれ独立して、H、Cl、Br、F、I、CF3、MeまたはEtである。もう一つの実施形態において、R1およびR2はそれぞれ独立して、Cl、Br、F、I、CF3、MeまたはEtであり;そしてR3はH、Cl、Br、F、I、CF3、MeまたはEtである。更にもう一つの実施形態において、R1はCl、MeまたはCF3であり;R2はH、ClまたはFであり;そしてR3はH、ClまたはFである。
【0005】
本発明のもう一つの実施形態によれば、R2およびR20はH以外である。このような実施形態において、R2およびR20はそれぞれ独立して、Cl、F、CF3、MeまたはEtであってよい。
【0006】
本発明の更にもう一つの実施形態によれば、R1、R2およびR20はH以外である。このような実施形態において、R1、R2およびR20はそれぞれ独立して、Cl、F、CF3
MeまたはEtであってよい。
【0007】
本発明の更にもう一つの実施形態によれば、R1、R3およびR20はH以外である。このような実施形態において、R1、R3およびR20はそれぞれ独立して、Cl、F、CF3、MeまたはEtであってよい。
【0008】
本発明の上記の任意の実施形態によれば、R4は、場合によりC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、2〜4個の炭素原子を含有するアルコキシアルキルもしくはS−(C1-4アルキル)で置換されたC37シクロアルキルであってよい。もう一つの実施形態によれば、R4は、場合によりMeまたはEtで置換されたC3-7シクロアルキルであってよい。
【0009】
本発明の上記の任意の実施形態によれば、aは0であってよい。
【0010】
本発明の上記の任意の実施形態によれば、het基は、ハロ、OH、C1-4アルキルおよびCF3から独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよい。もう一つの実施形態において、本発明の第一の態様に関して、上記で定義した化合物および何れの特定の実施形態のhet基も、非置換であってよい。
【0011】
もう一つの実施形態において、本発明は下記:
2,3−ジクロロ−N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−シクロペンチル−4−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
3−クロロ−N−シクロペンチル−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−シクロペンチル−3−フルオロ−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロペンチル−3−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロヘキシル−3−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−シクロヘキシル−3−フルオロ−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−シクロブチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−シクロブチルメチル−2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−(シクロプロピルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロヘプチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−シクロヘプチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
3−クロロ−2−メチル−N−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−(シクロブチルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(triフルオロメチル)ベンズアミドから選択される化合物、
またはその製薬的におよび/または獣医学的に受容できる誘導体を提供する。
【0012】
製薬的におよび/または獣医学的に受容できる誘導体とは、式(I)の化合物の任意の製薬的にまたは獣医学的に受容できる塩、溶媒和物、エステルもしくはアミド、またはこのようなエステルもしくはアミドの塩もしくは溶媒和物、またはレシピエントに投与したときに式(I)の化合物またはその活性代謝物もしくは残基を(直接にまたは間接的に)与えることのできる任意の他の化合物を意味する。
【0013】
製薬的または獣医学的な使用のために、上記の塩は製薬的にまたは獣医学的に受容できる塩であろうが、他の塩は、例えば式(I)の化合物およびその製薬的にまたは獣医学的に受容できる塩の製造に使用することができる。
【0014】
上記の製薬的にまたは獣医学的に受容できる塩は、その酸付加塩およびその塩基塩を包含する。
【0015】
適切な酸付加塩は、無毒性塩を形成する酸から形成される。その例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンフルスルホン酸塩、クエン酸塩、ヘミクエン酸塩、エジシレート、ヘミエジシレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンゼート、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩を包含する。
【0016】
適切な塩基塩は、無毒性塩を形成する塩基から形成される。その例は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛の塩を包含する。
【0017】
適切な塩の概説については、StahlおよびWermuthによる“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use”(Wiley−VCH, Weinheim, Germany, 2002) を参照されたい。
【0018】
式(I)の化合物の製薬的に許容される塩は、適切には本化合物と所望の酸または塩基の溶液とを、混合して一緒にすることにより製造することができる。塩は溶液から析出し、濾過により集めることができるか、または溶剤の蒸発により回収することができる。塩におけるイオン化度は、完全イオン化からほとんど非イオン化まで変動し得る。
【0019】
本発明に係る製薬的に許容される溶媒和物は、式(I)の化合物の水和物および溶媒和物を包含する。
【0020】
同様に本発明の範囲内にあるものは、複合体、例えばクラスレート、薬剤−ホスト包接複合体であり、ここで、上記の溶媒和物とは異なり、薬剤およびホストは化学量論的または非化学量論的な量で存在する。同様に本発明の範囲内にあるものは、化学量論的または非化学量論的な量であってよい、2種またはそれ以上の有機および/または無機化合物を含有する薬剤の複合体である。生成した複合体は、イオン化、部分イオン化または非イオン化されていてよい。このような複合体の概説については、Haleblianによる J Pharm Sci, 64 (8), 1269−1288 (August 1975) を参照されたい。
【0021】
式(I)の化合物は、その製薬的にまたは獣医学的に受容できる誘導体を与えるために化合物の官能基のいずれにおいても改変することができる。このような誘導体の例は、Drugs of Today, Volume 19, Number 9, 1983, pp 499−538; Topics in Chemistry, Chapter 31, pp 306−316;および、H. Bundgaard による“Design of Prodrugs”, Elsevier, 1985, Chapter 1 に記載されており(これらの文献の開示は、参照により本願に組み入れられる)、そしてエステル、炭酸エステル、ヘミエステル、リン酸エステル、硝酸エステル、硫酸エステル、スルホキシド、アミド、スルホンアミド、カルバメート、アゾ化合物、ホスファミド、グリコシド、エーテル、アセタールおよびケタールを包含する。
【0022】
更に、例えば H. Bundgaard により“Design of Prodrugs”(上述)に記載されたような、当技術分野で「プロ部分」として知られている特定の部分は、適切な官能基が本発明の化合物内に存在する場合に、このような官能基上に存在し得ることを当業者は理解するだろう。
【0023】
式(I)の化合物は、ピロリジン−3−イル部分の不斉炭素原子、およびR4の特定の意味で定義し得るような更なる不斉炭素原子によって、1個またはそれ以上のキラル中心を含有する。この3位における立体化学的配置は確定されるものであるけれども、更なるキラル中心が任意の可能な立体異性体の形態で存在し得る。
【0024】
本発明は、本発明の化合物の全ての異性体を包含すると理解すべきであり、これらは全ての幾何的、互変的および光学的形態(ピロリジニル部分の 3−位のキラル中心を除く)、並びにその混合物(例えば互変異性体またはラセミ体混合物)を含む。
【0025】
本発明の化合物は、1個またはそれ以上の互変異性体として存在できる。全ての互変異性体およびその混合物は、本発明の範囲内に包含される。例えば、2−ヒドロキシピリジニルに対するクレームはその互変異性形のα−ピリドニルをもまた含むことができる。
【0026】
本発明は、放射標識された式(I)の化合物を包含すると理解すべきである。
【0027】
式(I)の化合物並びにそれらの製薬的にまたは獣医学的に受容できる誘導体はまた、多形として知られた特徴である二つ以上の結晶形態で存在することもできる。このような全ての多形形態(「多形体」)は、本発明の範囲内に包含される。多形は、温度もしくは圧力または両者の変化への反応として生じることがあり、そしてまた、結晶化過程における変動に起因することもある。多形体は種々の物理的特性により区別することができ、典型的には、化合物のX線回折図、溶解挙動および融点が多形体を識別するために用いられる。
【0028】
別に指摘しない限り、アルキル基は直鎖状または分枝鎖状であってよく、そして1〜8個、例えば1〜6個または1〜4個の炭素原子を有し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチルまたはt−ブチル基、である。アルキル基が2個以上の炭素原子を含有する場合には、それは不飽和であってよい。従って、C1-6アルキルという用語は、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルを包含する。同様に、C1-8アルキルという用語は、C2-8アルケニルおよびC2-8アルキニルを包含し、そしてC1-4アルキルという用語は、C2-4アルケニルおよびC2-4アルキニルを包含する。
【0029】
ハロゲンという用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示すために用いられる。
【0030】
別に指摘しない限り、hetという用語は、N、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する任意の非芳香族の飽和または不飽和の4、5または6員ヘテロ環を包含する。このようなヘテロ環式基の例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、ジオキソラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピリジル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリノ、ジチアニル、チオモルホリノ、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、スルホラニル、テトラゾリル、トリアジニル、アゼピニル、オキサザピニル、チアゼピニル、ジアゼピニルおよびチアゾリニルを包含する。加えて、ヘテロ環という用語は、縮合したヘテロ環式基、例えばベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、オキサゾロピリジニル、ベンゾフラニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ジヒドロキナジニル、ベンゾチアゾリル、フタルイミド、ベンゾジアゼピニル、インドリルおよびイソインドリルを包含する。het、ヘテロシクリルおよびヘテロ環式という用語は、同様に解釈すべきである。
【0031】
疑義を避けるために、別に指摘しない限り、置換されという用語は、1個またはそれ以上の定義した基で置換されていることを意味する。基が多数の択一的な基から選択される場合には、選択された基は同一でも異なってもよい。更に、独立してという用語は、2個以上の基が多数の可能な置換基から選択される場合、これらの置換基は同一でも異なってもよいことを意味する。
【0032】
以下で、式(I)の化合物、並びにそれらの製薬的にまたは獣医学的に受容できる誘導体、上記のものの放射性標識された類似体、上記のものの異性体、および上記のものの多形体は、「本発明の化合物」と呼ばれる。
【0033】
本発明の一つの実施形態において、本発明の化合物は、式(I)の化合物の製薬的にまたは獣医学的に受容できる誘導体、例えば、式(I)の化合物の製薬的にまたは獣医学的に受容できる塩または溶媒和物(例えば、式(I)の化合物の製薬的にまたは獣医学的に受容できる塩)である。
【0034】
本発明のもう一つの実施形態において、200nMまたはそれ以下のSRI またはNRI Ki値を有するセロトニンおよび/またはノルアドレナリンモノアミン再取込みの阻害剤である本発明の化合物が提供される。もう一つの実施形態において、本化合物は100nMまたはそれ以下のSRIおよび/またはNRI Ki値を有する。更にもう一つの実施形態において、本化合物は50nMまたはそれ以下のSRIおよび/またはNRI Ki値を有する。更にもう一つの実施形態において、本化合物は50nMまたはそれ以下のSRIおよび/またはNRI Ki値を有する。更にもう一つの実施形態において、本化合物は25nMまたはそれ以下のSRIおよび/またはNRI Ki値を有する。
【0035】
スキーム1によれば、式(V)の化合物(すなわち、aが1である式(I)の化合物)は、式(VI)の化合物から、アルデヒドR4CHOとの反応、次いで示すように酸または酸ハライド(すなわち、XはOHまたはハロである)との反応、および脱保護によって製造することができる。
【0036】
【化2】

上記スキームにおいて、R1、R2、R3、R4およびR20は上記定義の通りであり、aは1であり、そしてPGは適切な保護基である。
【0037】
(a) 還元的アミノ化
2°アミン(VII)を形成するための1°アミン(VI)とアルデヒドとの反応は、還元的アミノ化反応であり、この反応において、アミンおよびアルデヒドの脱水反応に続いて、形成されたイミンは、適切な溶剤中で、室温で、適切な金属水素化物試薬または水素化により還元される。
【0038】
この反応において、等モル量のアミンおよびアルデヒドは、典型的にはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB)、NaCN(BH)3 またはNaBH4の何れかを用いて適切な溶剤(例えば DCM、THF)中で室温で、1〜24時間処理される。別法として、アミンおよびアルデヒドを混合した後、1〜18時間にわたって適切な溶剤(例えば、THF、MeOH、EtOH)中の過剰の還元剤(例えば、NaBH4、LiAlH4、STAB)が、場合により乾燥剤(例えば、モレキュラーシーブ)の存在下に、またはディーン−スターク装置を用いての適切な溶剤(例えば、トルエン、キシレン)による水を除去しながらこれに加えられる。もう一つの別法には、パラジウムまたはニッケル触媒(例えばPd/C、ラネー(R)Ni)の存在下でH2雰囲気下に、場合により高められた温度および圧で、適切な溶剤(例えばEtOH)中で行われる接触水素化が含まれる。
【0039】
還元的アミノ化のより特定的な例は、場合によりトリエチルアミンを存在させた、エタノール中の10% Pd/Cで約415kPa(約60psi)の水素下18時間、またはメタノール中の過剰の水素化ホウ素ナトリウの存在下に室温で6時間、のいずれかでの、アミンによるアルデヒドの処理が含まれる。
【0040】
当業者には、アルデヒドの代わりにケトン、または他の適切なカルボニル含有試薬を還元的アミノ化の適切な条件下で使用できることが明らかであろう。
【0041】
(b) アミドの形成
酸または酸ハライドとアミン(VII)とのペプチド結合の形成は、下記のいずれかを用いて行うことができる:
(i) アシルハライドおよびアミン(VII)を、過剰の酸受容体により適切な溶剤中で処理するか、または
(ii) 場合により慣用のカップリング剤の存在下、酸およびアミン(VII)を、場合により触媒の存在下に、過剰の酸受容体により適切な溶剤中で処理する。
【0042】
このような反応の例は下記の通りである:
(i) 酸クロリド(場合によりその場で生成した)を過剰のアミン(VII)と、場合により過剰の3°アミン、例えばEt3N、Huenig塩基または NMM の存在下に、DCM、トルエンまたはジオキサン中で、場合により高められた温度で1〜24時間反応させる;
(ii) 酸、WSCDI/DCCI/TBTUおよびHOBT/HOATを過剰のアミン(VII) および過剰のNMM、Et3N、Huenig塩基と、THF、DCM またはEtOAc中で、室温で4〜48時間反応させる;または
(iii) 酸およびPYBOP(R)/PyBrOP(R)/向山試薬を、過剰のアミン(VII)および過剰のNMM、Et3N、Huenig塩基と、THF、トルエン、DCMまたはEtOAc 中で、室温で4〜24時間反応させる。
【0043】
酸ハライドが酸塩化物(すなわち、X=Cl)である場合には、それを標準的な方法でその場で生成させ、次いでアミン(VII)およびトリエチルアミンと、ジクロロメタン中で70℃で90分間反応させることができる。
【0044】
(c) 脱保護
PGが適切なアミン保護基、好ましくはBOC、トリフルオロ酢酸塩またはベンジルである場合には、アミン(VII)からPGを除去して保護されていないアミン(V)を形成することは、TW GreeneおよびPGM Wutsによる“Protective Groups in Organic Synthesis”、第3版、John Wiley and Sons, Inc., 1999(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたように、保護基に選択的な方法で行われる。
【0045】
このような脱保護反応の例は下記の通りである:
PGがBOCである場合には、脱保護は、(VIII)を過剰の強酸(例えば、HCl、TFA)により、適切な溶剤(例えば DCM、EtOAc、ジオキサン)中で、室温で処理することを含む。
【0046】
PGがトリフルオロ酢酸塩である場合には、脱保護は、(VIII)を塩基(例えば、K2CO3、Na2CO3、NH3、Ba(OH)2)により、アルコール性溶剤(例えばMeOH、EtOH)中で、場合により水と共に、そして場合により高められた温度で処理することを含む。
【0047】
PGがBzである場合には、脱保護は、水素供与体(例えば、NH4+HCO2)の存在下、遷移金属または遷移金属塩水素化触媒(例えば、Pd/C、Pd(OH)2)により、極性溶剤(例えば、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール)中で、場合により高められた温度および/または圧力で、トランスファー水素化するか、または、パラジウムまたはニッケル触媒(例えば Pd/C、ラネー(R)Ni)の存在下のH2雰囲気下に、適切な溶剤中で、場合により高められた温度および圧力で接触水素化することを含む。
【0048】
より特定的には :
PGが BOC である場合には、脱保護は、過剰の4M HClによりジオキサン中で、室温で18時間、またはTFAによりDCM中で室温で4.5時間のいずれかで処理することを含む。
【0049】
PGがトリフルオロ酢酸塩である場合には、脱保護は、K2CO3によりメタノール:水混合物(5:1〜10:1)中で、室温で18時間処理することを含む。
【0050】
PGがBzである場合には、脱保護は、NH4+HCO2-および10% Pd/Cによりエタノール中で還流下に6〜20時間処理することを含む。
【0051】
第一級アミン化合物(VI)から第二級アミン化合物(VII)を製造するための別法を、下記のスキーム1aおよび1bに記載する。
【0052】
【化3】

式中、PGは適切な保護基であり、そしてR4は上記定義の通りである。
【0053】
スキーム1aに従って、式VIIの化合物は、式VIの化合物から、塩化スルホニルとの反応の後に生成したスルホニルアミドのアルキル化、次いでスルホニル部分の除去により製造することができる。
【0054】
(aa) スルホニルアミドの製造:等モル量の第一級アミン(VI)および塩化スルホニル、例えば、 2,4−ジニトロベンゼンスルホニルクロリドを、適切な溶剤(例えばDCM、THF もしくはトルエン)中で有機塩基(例えばピリジンもしくは2,6−ルチジン)または無機塩基(例えば炭酸塩)の存在下に 24時間まで反応させて、スルホニルアミド(XAA)を与える。
【0055】
(bb) スルホニルアミドXAAのアルキル化:式XAAのスルホニルアミドを、活性アルキル化剤XBB(式中のXは脱離基、例えばハロゲン(例えばヨード、ブロモもしくはクロロ)またはスルホニルエステル(例えばメシレート)である)を用いて有機もしくは無機塩基の存在下に、適切な溶剤(例えば DCM または THF)中でアルキル化する。別法として、式XAAのスルホニルアミドのアルキル化は、アルコールXBB(式中のXはOHである)、ホスファン(例えば、トリフェニルホスファン)およびアゾジカルボキシレート化合物(例えば、DIAD)を用いて、適切な溶剤、例えば THF 中で24時間まで−20〜45℃の温度で行うことができる。
【0056】
(cc) スルホニル基の除去:式XCCの化合物を、有機塩基(例えばトリエチルアミン)または無機塩基(例えばカルボン酸塩もしくは水酸化物)により、適切な溶剤(例えば DCM、THF もしくは低級アルコール)中でチオール(例えばメルカプト酢酸)と共に24時間まで、場合により高められた温度で処理する。
【0057】
【化4】

式中、R4は上記定義の通りであり、そしてPGは保護基である。
【0058】
アシル化−還元
スキーム1bに従って、式(VII)の化合物は、式(VI)の1°アミンから、カルボン酸または酸ハライドAAA(場合により、その場で調製された)R4COX(式中、XはOHまたはハロ)と反応させ、次いでボランのような還元剤で反応させて製造することができる。
【0059】
(X)アミド形成
酸または酸ハライドと1°アミン(VI)とのペプチド結合の形成は、下記のいずれかを用いて行うことができる:
(i) アシルハライドおよびアミン(VI)を、過剰の酸受容体により適切な溶剤中で処理するか、または
(ii) 場合により慣用のカップリング剤の存在下で、酸およびアミン(VII)を、場合により触媒の存在下に、過剰の酸受容体により適切な溶剤中で処理する。
【0060】
このような反応の例は下記の通りである:
(iv) 酸塩化物(場合によりその場で生成)を、過剰のアミン(VI)と、場合により過剰の3°アミン、例えば Et3N、Huenig塩基またはNMMの存在下に、DCMまたはジオキサン中で、場合により高められた温度で1〜24時間反応させる;
(v) 酸、WSCDI/DCCI/TBTUおよびHOBT/HOATを、過剰のアミン(VI) および過剰のNMM、Et3N、Huenig 塩基と、THF、DCMまたはEtOAc中で、室温で4〜48時間反応させる;または
(vi) 酸および 1−プロピルホスホン酸エステル環状無水物/PYBOP(R)/PyBrOP(R)/向山試薬を、過剰のアミン(VI)および過剰のNMM、Et3N、Huenig塩と、THF、DCMまたはEtOAc中で、室温で4〜24時間反応させる。
【0061】
アミド形成のより具体的な例は、酸をアミンにより、1−プロピルホスホン酸エステル環状無水物の存在下におよびトリエチルアミンの存在下に、DCM中で、室温で1時間処理することを含む。
【0062】
酸ハライドが酸塩化物(すなわち、X=Cl)である場合には、それを標準的な方法で、その場で生成させ、次いでアミン(VI)およびトリエチルアミンと、ジクロロメタン中で70℃で90分間反応させることができる。
【0063】
(y)−還元
反応(y)は、例えば適切な条件下での水素化物還元剤によるアミドの還元である。
アミドの還元は、ボランの存在下に、THF 中で還流下に2時間行われ、次いでメタノールおよび塩化アンモニウム水溶液を還流下に4時間加えるのが好都合である。
【0064】
スキーム2に従って、式(IX)の化合物は、式(VI)の化合物から、R4(CH2)a−L(式中、aは上記定義の通りであり、そしてLは脱離基である)と、適切な条件下で反応させることによって製造することができる。次いで生成した式(IX)の化合物を、スキーム1に関して先に記載したのと同様の方法で、アミド形成および脱保護により式(I)の化合物に変換することができる。
【0065】
【化5】

【0066】
上記スキームにおいて、R1、R2、R3、R4、R20およびaは上記定義の通りであり、PGは適切な保護基であり、そしてLは脱離基であるが、それらの意味は、特に、採用する反応の性質および特定の反応条件に依存するであろう。適切な脱離基は当業者に容易に理解され、そして多くの文献、例えば“Advanced Organic Chemistry”, Jerry March, 第3版、Wiley (1985), page 587(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されており;それらはハロゲン(例えば Br)およびスルホン酸エステル(例えばメタンスルホン酸エステルまたはトリフルオロスルホン酸エステル)を包含する。
【0067】
スキーム3に従って、式(IX)の化合物は、式(XII)のケトンから、第一級アミンR4−(CH2)a−NH2と適切な条件下で反応させることによって製造することができる。次いで生成した式(IX)の化合物を、スキーム1に関して先に記載したのと同様の方法で、アミド形成および脱保護により式(I)の化合物に変換することができる。
【0068】
【化6】

上記スキームにおいて、R1、R2、R3、R4、R20およびaは上記定義の通りであり、PGは適切な保護基である。
【0069】
第一級アミンR4−(CH2)a−NH2とケトン(XII)との反応(e)は、還元的アミノ化反応が好都合であり、この反応において、アミンおよびアルデヒドの脱水反応に続いて、形成されたイミンを適切な溶剤中で、室温で、適切な金属水素化物試薬または水素化により還元する。
【0070】
アミンおよびケトンの反応を、THF 中のチタン(IV)テトライソプロポキシドの存在下に室温で 18時間行い、次いでメタノール中の過剰の水素化ホウ素ナトリウムにより室温で5時間還元するのが、好都合である。
【0071】
当業者は式(I)の目的化合物への最適な合成経路を選択できるだろう。上記スキームは、当然のことながら、当業者の普通の一般的知識により適切に変更できる。
【0072】
当業者は、1個またはそれ以上の感受性官能基を、式(I)の化合物の合成中に保護および脱保護する必要がありうることを理解するだろう。これは、例えばTW GreeneおよびPGM Wutsによる“Protective Groups in Organic Synthesis”, 第3版、John Wiley and Sons, Inc., 1999(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたような慣用技術により行うことができ、この文献はこのような基の除去についても記載している。
【0073】
最終的脱保護段階の前に生成する可能性のある、本発明の化合物の特定の保護化誘導体は、それ自体では薬理学的活性を有しないことがあるが、特定の場合には経口的または非経口的に投与でき、その後に体内で代謝されて薬理学的活性を有する本発明の化合物を生成する可能性があることは、当業者に明らかだろう。従って、このような誘導体は、プロドラッグと記述することができる。更に、特定の本発明の化合物は、他の本発明の化合物のプロドラッグとして作用する場合がある。
【0074】
従って、本発明のもう一つの実施形態において、式(IX)の化合物:
【化7】

(式中、R4およびaは上記定義の通りであり、そしてPGは保護基である)を、式(II)の酸またはアシルハライド:
【化8】

(式中、XはOHまたはハロである)と反応させ、
そして脱保護することを含む、式(I)の化合物の製造方法が提供される。
【0075】
aが1である場合には、式(XI)の化合物は、式(VI)の化合物とアルデヒドR4CHOとの反応により製造することができる。
【化9】

【0076】
別法として、式(IX)の化合物は、式(VI)の化合物と、化合物R4−(CH2)a−Lとの反応により製造することができ、式中、Lは脱離基であり、場合により、ハライド、メタンスルホネートおよびトリフルオロメタンスルホネートから選択される。
【0077】
さらに、式(IX)の化合物は、式(XII)の化合物と化合物R4−(CH2)a−NH2との反応により製造することができる。
【化10】

【0078】
上記の特定の中間体は新規化合物であり、全ての新規中間体は本発明の他の態様であると理解すべきである。
【0079】
ラセミ化合物は、当業者に公知の方法を利用して分取用HPLCおよびキラル固定相を含むカラムを用いて分離でき、または分割して、個々のエナンチオマーを得ることができる。加えて、キラル中間体化合物は、本発明のキラル化合物を製造するために分割して使用することができる。
【0080】
本発明のもう一つの実施形態によれば、インビボで形成される本発明の化合物の1種またはそれ以上の代謝物が提供される。
【0081】
本発明の化合物は、それらがより強い効力を有し、より長い作用時間を有し、より広範囲の活性を有し、より安定であり、副作用がより少なく、より選択的であり、より良好な製錠特性を有し、または先行技術の化合物より有用な他の特性を有する、という利点を有しうる。
【0082】
本発明の化合物は、それらがヒトを包含する哺乳動物において薬理学的活性を有するので有用である。従って、それらは、モノアミン輸送体機能の調節が関与する障害、より詳細にはセロトニンまたはノルアドレナリンの再取り込みの阻害が関与する障害、特にセロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込みの阻害が関与する障害の治療または予防に有用である。
【0083】
従って、本発明の化合物は、高齢者における真性緊張性尿失禁(GSI)、腹圧性尿失禁(SUI)または尿失禁;過活動膀胱(OAB)、これは特発性排尿筋不安定症、神経性疾患(例えば、パーキンソン病、多発性硬化症、脊髄傷害および卒中)から派生する排尿筋過活動、および膀胱流出障害(例えば、良性前立腺過形成(BPH)、尿道狭窄)から派生する排尿筋過活動を包含する;夜尿症;前記症状が組み合わされた尿失禁(例えば、過活動膀胱を伴う腹圧性尿失禁);並びに、頻発性および切迫性のような下部尿路症状、の治療に有用である。OABという表現は、湿性OABおよび乾性OABの両者を包含することを意図している。
【0084】
それらの上記の薬理学的活性を考慮して、本発明の化合物はまた、うつ病、例えば大うつ病、反復性うつ病、単一エピソードうつ病、亜症候群性うつ病、癌患者のうつ病、パーキンソン病患者のうつ病、心筋梗塞後うつ病、小児うつ病、うつ病誘発の児童虐待、不妊女性のうつ病、分娩後うつ病、月経前不快、および不機嫌老人症候群、の治療に有用である。
【0085】
それらの上記の薬理学的活性を考慮して、本発明の化合物はまた、認識障害、例えば認知症、特に変性認知症(老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、クロイツフェルト−ヤコブ病を包含する)、および血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を包含する)、並びに頭蓋内占拠性病変、外傷、感染および関連症状(HIV 感染を包含する)、代謝、毒素、低酸素症およびビタミン欠乏、に関連する認知症;加齢に伴う軽度認識障害、特に加齢関連記憶障害(AAMI)、健忘性障害、および加齢関連認識低下(ARCD);精神障害、例えば統合失調症、および躁病;不安障害、例えば、全般性不安障害、恐怖症(例えば広場恐怖、社会恐怖および単純恐怖)、パニック障害、強迫神経症、外傷後ストレス障害、混合不安およびうつ病;人格障害、例えば、回避性人格障害、および注意欠陥多動性障害(ADHD);性機能障害、例えば早漏、男性の勃起障害(MED)および女性の性機能障害(FSD)(例えば女性の性的喚起障害(FSAD));月経前症候群;季節性情動障害(SAD);摂食障害、例えば神経性拒食症および神経性過食症;肥満症;食欲不振;薬物依存症、または物質の乱用に起因する化学物質依存症、例えば、ニコチン、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタールおよびベンゾジアゼピンへの依存症;離脱症候群、例えば上記の化学物質依存症から生じ得る離脱症候群;頭部の疼痛、例えば片頭痛、群発頭痛、慢性発作性片頭痛、血管障害に関連する頭痛、化学物質依存症または化学物質依存症に起因する離脱症候群に関連する頭痛、および緊張性頭痛;疼痛;パーキンソン病、例えばパーキンソン病における認知症、神経遮断剤誘発パーキンソニズム、および遅発性ジスキネジー);内分泌障害、例えば高プロラクチン血症;血管痙攣、例えば脳血管系におけるもの;小脳性運動失調;トゥーレット症候群;抜毛癖;窃盗癖;情動不安定;病的号泣;睡眠障害(脱力発作);並びに、ショックの治療にも有用である。
【0086】
上記の症状のうち、ADHDが殊に興味深い。ADHDの診断は臨床的評価に基づく (M. Dulcan, et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry, Oct. 1997, 36(10 Suppl), 85S−121S; National Institutes of Health, 1998)。「ADHDの本質的様相は、不注意および/または多動性・衝動性の持続するパターンであり、これは同レベルの発達ステージの個人で典型的に見られるものより頻度が高くそして重篤である。」(「精神疾患の診断・統計マニュアル」、第4版(DSM−IV)、アメリカ精神医学会、ワシントンD.C.、1994)。ADHDと診断されるためには、患者は年齢7歳未満で障害が生じたことを示さねばならず、そして症状が少なくとも2つの背景(例えば、学校[または仕事]および家庭)において6ヶ月より長期間継続していなければならない (DSM−IV 参照)。
【0087】
それらの上記の薬理学的活性を考慮して、本発明の化合物はまた、多数の他の症状または障害の治療に有用であり、これらは低血圧;胃腸管障害(運動性および分泌の変化を伴う)、例えば過敏性腸症候群(IBS)、イレウス(例えば術後イレウスおよび敗血症中のイレウス)、胃不全麻痺(例えば糖尿病性胃不全麻痺)、消化性潰瘍、胃食道逆流疾患(GORD、またはその同義語 GERD)、鼓腸および他の機能的腸障害、例えば、消化不良(例えば、非潰瘍性消化不良(NUD))および非心臓性胸痛(NCCP);並びに、線維筋肉痛症候群を包含する。
【0088】
セロトニンおよび/またはノルアドレナリン再取込み阻害剤である本発明の化合物は、ある範囲の障害(疼痛を包含する)の治療に潜在的に有用である。
【0089】
生理学的疼痛は、外部環境からの有害であり得る刺激の危険性を警告するように設計された、重要な保護機構である。このシステムは、特定セットの一次知覚性ニューロンを介して作用し、そして末梢変換機構を介した有害な刺激により活性化される(概説については Millan, 1999, Prog. Neurobiol., 57, 1−164 を参照)。これらの知覚線維は侵害受容器(nociceptor)として知られており、そして直径が特徴的に小さく、伝導速度が遅い。侵害受容器は、有害刺激の強度、持続時間および質をコード化し、並びにそれらの空間的に組織化された脊髄への突出により、刺激の位置をコード化する。侵害受容器は、侵害受容神経線維上に見出され、二つの主要な型、すなわちA−デルタ線維(有髄)およびC線維(非有髄)がある。侵害受容器の入力により生じる活性は、後角における複雑な処理の後に、直接に、または脳幹中継核を介して、底部複側視床に、次いで皮質に転送され、そこで疼痛が生じる。
【0090】
疼痛は一般に、急性または慢性に分類することができる。急性疼痛は突然に始まり、そして長続きしない(普通は 12週間またはそれ以内)。それは、普通は、特定の原因、例えば特定の傷害に関連しており、そしてしばしば鋭くかつ激しい。それは外科、歯科的作業、捻挫または筋違いに起因する、特定の傷害の後に生じ得る、疼痛の種類である。急性疼痛は持続的で心理的な反応は、通常もたらさない。これに対して、慢性疼痛は長期にわたる疼痛であり、典型的には3ヶ月より長期間持続し、そして重大な心理的および情動的問題をもたらす。慢性疼痛の一般的例は神経障害性疼痛(例えば、疼痛性の糖尿病的神経障害、ヘルペス後神経痛)、手根管症候群、背痛、頭痛、癌痛、関節痛および慢性術後疼痛である。
【0091】
疾患または外傷により体組織に実質的傷害が生じると、侵害受容器の活性化特性が変化し、そして傷害の付近で局所的に、および侵害受容器が終結する中枢的に、末梢において増感される。これらの効果は強められた疼痛感覚に導く。急性疼痛において、これらの機構は、修復過程がより良く行われるのを可能にし得る保護的挙動の促進に有用であり得る。普通は、傷害が治癒すると感受性は正常に戻ると期待されるだろう。しかしながら、多くの慢性疼痛状態において、過敏性は治癒過程よりも遥かに持続し、そして多くの場合神経系傷害によるものである。この傷害は、不適応および異常活性に結びつく感覚神経線維の異常を導く (Woolf & Salter, 2000, Science, 288, 1765−1768)。
【0092】
臨床的疼痛は、患者の症状の中に不快および異常な感受性がある場合に存在する。患者は極めて多様性を示す傾向があり、そして種々の疼痛症状を提示することがある。このような症状は:1)鈍痛、灼熱痛または刺痛のような自然発生的な疼痛;2)有害刺激に対する誇張性疼痛反応(痛覚過敏);および3)正常では無害な刺激により生じる疼痛(痛覚異常 − Meyer et al., 1994, Textbook of Pain, 13−44)。種々の型の急性および慢性疼痛を患う患者は類似の症状を有し得るが、基礎となる機構は異なることがあり、従って異なる治療方針を必要とするだろう。従って、疼痛はまた、侵害受容性、炎症性および神経障害性疼痛を包含する、異なる病理生態学に従って、種々の異なるサブタイプに分類することができる。
【0093】
侵害受容性疼痛は、組織傷害により、または傷害を生じる可能性のある強い刺激により誘発される。疼痛求心性神経は、傷害部位の侵害受容器による刺激の伝達によって活性化され、そして脊髄中のニューロンをそれらの終末端レベルで活性化する。次いでこれは脊髄路を脳まで中継され、そこで疼痛が感知される (Meyer et al., 1994, Textbook of Pain, 13−44)。侵害受容器の活性化は2種の求心性神経線維を活性化する。有髄A−デルタ線維は急速に伝達し、そして鋭くかつ刺すような疼痛感覚の原因であり、その一方、無髄C線維はより低速で伝達し、そして鈍痛またはうずく痛みを伝える。中等度から重度の侵害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、捻挫/筋違い、火傷、心筋梗塞、並びに急性膵臓炎、術後疼痛(あらゆる型の外科的処置の後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌痛および背痛に由来する疼痛の顕著な特徴である。癌痛は、慢性疼痛、例えば腫瘍関連疼痛(例えば骨痛、頭痛、顔面痛もしくは内臓痛)または癌療法に関連する疼痛(例えば化学療法症候群、慢性術後疼痛症候群もしくは放射線照射後症候群)であり得る。癌痛はまた、化学療法、免疫療法、ホルモン療法または放射線療法に反応して生じることがある。背痛は、椎間板の脱出もしくは破裂、またはランバー面関節、仙腸関節、傍脊柱筋群もしくは後縦靭帯の異常によるものであり得る。背痛は自然に解消することがあるが、12週間を超えて持続する若干の患者では慢性症状になり、これは特に消耗性であり得る。
【0094】
神経障害性疼痛は、現在、神経系における原発性病変または機能不全により始まるかまたは引き起こされる疼痛と定義される。神経損傷は、外傷および疾患により生じることがあり、従って「神経障害性疼痛」という表現は、多様な病因を有する多くの障害を包含する。これらは、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、背痛、癌神経障害、HIV神経障害、幻肢痛、手根管症候群、中枢性卒中後疼痛、並びに、慢性アルコール依存症、甲状腺機能低下、尿毒症、多発性硬化症、脊髄傷害、パーキンソン病、てんかんおよびビタミン欠乏症に伴う疼痛、を包含するが、これらに限定されない。神経障害性疼痛は、それが保護的役割を有しないので病理的である。これはしばしば最初の原因が消失したかなり後でも存在し、一般に数年間にわたって、患者の生活の質を大きく損なう(Woolf and Mannion, 1999, Lancet, 353, 1959−1964)。神経障害性疼痛の症状は、同一の疾患に罹患した患者の間でもしばしば多様性を有するために、治療が困難である(Woolf & Decosterd, 1999, Pain Supp., 6, S141−S147; Woolf and Mannion, 1999, Lancet, 353, 1959−1964)。これらには、継続的であり得る自然発生的な疼痛、および発作的にまたは異常に引き起こされた疼痛、例えば痛覚過敏(有害な刺激に対する増大した感受性)および異痛症(正常では無害な刺激に対する感受性)が含まれる。
【0095】
炎症の過程は、組織傷害または外因性物質の存在に応答して活性化した、生化学的および細胞性事象の複雑な連続的過程であり、その結果として腫脹および疼痛をもたらす(Levine and Taiwo, 1994, Textbook of Pain, 45−56)。関節炎の疼痛は、最も一般的に見られる炎症性疼痛である。リウマチ性疾患は、先進国でみられる最も一般的な慢性炎症状態であり、そして慢性関節リウマチは身体障害の一般的な原因である。慢性関節リウマチの正確な病因は知られていないが、最近の仮説では遺伝性および微生物因子の両方が重要であろうと示唆されている(Grennan & Jayson, 1994, Textbook of Pain, 397−407)。約1600万人のアメリカ人が症状のある変形関節症(OA)または変性関節疾患に罹患し、その大部分は年齢が60歳を超えており、そしてヒト集団の年齢が増加するにつれて4000万人まで増加すると予想され、この疾患を非常に規模の大きい公共の健康問題としている(Houge & Mersfelder, 2002, Ann Pharmacother., 36, 679−686; McCarthy et al., 1994, Textbook of Pain, 387−395)。変形関節症に罹患した大部分の患者は、伴う疼痛のために、医療的配慮を求めている。関節炎は、心理社会的および身体的機能に著しい影響を与え、そして人生の後半での身体障害をもたらす大きな原因であることが知られている。強直性脊椎炎もまた、脊椎および仙腸関節の関節炎を引き起こすリウマチ性疾患である。これは、生涯をとおして発生する背痛の間欠的な症状発現から、脊椎、末梢性関節および他の身体器官を侵襲する重篤な慢性疾患まで、様々である。
【0096】
炎症性疼痛の他の型は、炎症性腸疾患(IBD)に付随する疼痛を含む、内臓痛である。内臓痛は、腹腔内の器官を包含する、内臓に関連した疼痛である。これらの器官には、生殖器官、脾臓および消化系の部分を含む。内臓に関連した疼痛は、消化器系内臓痛および非消化器系内臓痛に分類できる。疼痛を引き起こす、普通に見られる胃腸管系(GI)障害には、機能的腸障害(FBD)および炎症性腸障害(IBD)が含まれる。これらのGI障害には、FBDに関しては、胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)および機能性腹痛症候群(FAPS)、並びに、IBDに関しては、クローン病、回腸炎および潰瘍性大腸炎、を含む、最近ではごく中程度にしか制御できない、広範な疾患状態を含んでおり、それらの全てが定期的に内臓痛を生み出す。内臓痛の他の型には、月経困難症、膀胱炎および膵炎と関連した疼痛、ならびに骨盤痛が含まれる。
【0097】
いくつかの型の疼痛は複数の病因を有し、したがって1以上の領域に分類でき、例えば、背痛および癌性疼痛は両方ともに、侵害性および神経障害性の構成要素を有している。
【0098】
疼痛の他の型には以下のものが含まれる:
・筋肉痛、線維筋肉痛、脊椎炎、血清反応陰性(非リウマチ性)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィー病(dystrophinopathy)、グリコーゲン分解、多発性筋炎、および化膿性筋炎を含む、筋骨格障害に起因する疼痛;
・狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症、および骨格筋虚血を含む、心血管疼痛;
・片頭痛(オーラを伴う片頭痛およびオーラを伴わない片頭痛を含む)、群発性頭痛、緊張型頭痛、混合型頭痛、および血管障害に関連した頭痛のような、頭痛;並びに
・歯痛、耳痛、灼熱性口症候群、および、側頭下顎骨の筋筋膜疼痛を含む、口腔顔面疼痛。
【0099】
特に関心のある障害は、尿失禁、例えば、混合型尿失禁、GSIおよびUSI;疼痛;うつ病;不安障害、例えば、強迫神経性障害および心的外傷後ストレス障害;人格障害、例えば、ADHD;性機能障害;並びに、化学物質依存症および化学物質依存症に起因する引きこもり症候群、である。
【0100】
したがって、さらなる局面によれば、本発明は以下を提供する:
i) ヒトおよび獣医分野の医薬において使用するための、本発明の化合物;
ii) モノアミン輸送体機能の調節が関与する障害、例えば、尿失禁の治療において使用するための、本発明の化合物;
iii) モノアミン輸送体機能の調節が関与する障害の治療のための医薬品の製造における、本発明の化合物の使用;
iv) セロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関与する障害の治療において使用するための、本発明の化合物;
v) セロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関与する障害の治療のための医薬品の製造における、本発明の化合物の使用;
vi) セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関与する障害の治療において使用するための、本発明の化合物;
vii) セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関与する障害の治療のための医薬品の製造における、本発明の化合物の使用;
viii) 尿失禁、例えばGSIまたはUSIの治療において使用するための、本発明の化合物;
ix) 尿失禁、例えばGSIまたはUSIの治療のための医薬品の製造における、本発明の化合物の使用;
x) 本発明の化合物の治療有効量を、そうした治療を必要とする患者に投与することを含む、モノアミン輸送体機能の調節が関与する障害の、治療のための方法;
xi) 本発明の化合物の治療有効量を、そうした治療を必要とする患者に投与することを含む、セロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関与する障害の、治療のための方法;
xii) 本発明の化合物の治療有効量を、そうした治療を必要とする患者に投与することを含む、セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関与する障害の、治療のための方法; 並びに
xiii) 本発明の化合物の治療有効量を、そうした治療を必要とする患者に投与することを含む、尿失禁、例えばGSIまたはUSIの、治療のための方法。
【0101】
本願における治療への言及は、他に特に明示しない限り、治癒的、緩和的および予防的処置を包含することを理解するべきである。
【0102】
本発明の化合物は、単独でまたは組合せ治療の一部として投与することができる。治療剤の配合剤が投与された場合は、活性成分は、連続してまたは同時のいずれかで、別々のまたは配合製剤で投与できる。
【0103】
付加的治療のために適切薬剤の例には以下を含む:
・オピオイド鎮痛薬、例えば、モルフィン、ヘロイン、ヒドロモルフィン、オキシモルフィン、レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコデイン、ヒドロコデイン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、またはペンタゾシン;
・非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナール、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサール、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、またはゾメピラク;
・バルビツール系鎮静剤、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メホバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラールまたはチオペンタール;
・鎮静作用を有するベンゾジアゼピン、例えば、クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサザパム、テマゼパム、またはトリアゾラム;
・鎮静作用を有するH1アンタゴニスト、例えば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、またはクロルシクリジン;
・鎮静剤、例えば、グルテチミド、メプロバメート、メタカロン、またはジクロルアルフェナゾン;
・骨格筋弛緩剤、例えば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールまたはオルフレナジン;
・NMDA受容体アンタゴニスト、例えば、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン) もしくはその代謝物、デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリン・キニン、シス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN−3231 (モルフデックス(R)、モルフィンとデキストロメトルファンの配合製剤)、トピラメート、ネラメキサンもしくはペリジンフォテル(NR2Bアンタゴニスト、例えば、イフェンプロジルを含む)、トラキソプラジル、または(−)−(R)−6−{2−[4−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−ヒドロキシエチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン;
・αアドレナリン作用薬、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、ガンファシン、デキシメタトミジン、モダフィニル、フェントラミン、テラザシン、プラザシン、または4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタン−スルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル−5−(2−ピリジル) キナゾリン;
・三環系抗うつ剤、例えば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンまたはノルトリプチリン;
・抗けいれん剤、例えば、カルバマゼピン、ラモトリジン、トピラトメート、またはバルプロエート;
【0104】
・タキキニン(NK)アンタゴニスト、特にNK−3、NK−2またはNK−1アンタゴニスト、例えば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]−ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホニリル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタント、または3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S);
・ムスカリン性アンタゴニスト、例えば、オキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロピシウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリンおよびイプラトロピウム;
・COX−2選択的インヒビター、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブまたはルミラコキシブ;
・コールタール鎮痛剤、特にパラセタモール;
・神経抑制剤、例えば、ドロペリドール、クロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、セルチンドール、アリピラゾール、ソネピラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプリド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルプリド、バラペリドン、パリンドール、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバント、メクリネルタント、ミラキシオン(R) またはサリゾタン;
・バニロイド受容体アゴニスト(例えば、レシンフェラトキシン)またはアンタゴニスト(例えば、カプサゼピン);
・β−アドレナリン作用薬、例えば、プロプラノロール;
・局所麻酔剤、例えばメキシレチン;
・コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン;
・5−HT受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1B/1Dアゴニスト、例えば、エレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンまたはリザトリプタン;
・5−HT2A受容体アンタゴニスト、例えば、R(+)−α−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−1−[2−(4−フルオロフェニルエチル)]−4−ピペリジンメタノール(MDL−100907);
・コリン作用性(ニコチン作用性)鎮痛剤、例えば、イスプロニクリン(TC−1734)、 (E)−N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブテン−1−アミン(RJR−2403)、(R)−5−(2−アゼチジニルメトキシ)−2−クロロピリジン(ABT−594)またはニコイン;
・トラマドール(R)
【0105】
・PDEVインヒビター、例えば、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニル−スルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、 (6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2',1':6,1]−ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351またはタダラフィル)、 2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトイシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド、3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド;
・α−2−δリガンド、例えば、ガバペンチン、プレガバリン、3−メチルガバペンチン、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、 (2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)−プロリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)− 3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−ヘプタン酸、および (3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−オクタン酸;
【0106】
・カンナビノイド;
・代謝型グルタミン酸サブタイプ1受容体(mGluR1)アンタゴニスト;
・セロトニン再取込インヒビター、例えば、セルトラリン、セルトラリン代謝物のデメチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチン、デスメチル代謝物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝物のデスメチルシタロプラム、エスシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェノキセチン、イフォキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミン、およびトラゾドン;
・ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取込インヒビター、例えば、マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロピリオン代謝物のヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシン、およびビロキサジン(ビバラン(R))、特に選択的ノルアドレナリン再取込インヒビター、例えば、レボキセチン、特に(S,S)−レボキセチン;
・デュアルセロトニン・ノルアドレナリン再取込インヒビター、例えば、ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝物のO−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝物のデスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、およびイミプラミン;
・誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)インヒビター、例えば、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−L−ホモシステイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−4,4−ジオキソ−L−システイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システイン、(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル; 2−[[(1R,3S)− 3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−4−クロロベンゾニトリル、(2S,4R)−2−アミノ−4−[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−5−チアゾールブタノール、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)− 3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロベンゾニトリル、N−[4−[2−(3−クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボニトリル、またはグアニジノエチルジスルフィド;
・アセチルコリンエステラーゼインヒビター、例えば、ドネペジル;
・プロスタグランジンE2 サブタイプ4(EP4)アンタゴニスト、例えば、N−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)−カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、または4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
【0107】
・ロイコトリエンB4アンタゴニスト、例えば、1−(3−ビフェニル−4−イルメチル−4−ヒドロキシ−クロマン−7−イル)−シクロペンタンカルボン酸(CP−105696)、5−[2−(2−カルボキシエチル)−3−[6−(4−メトキシフェニル)−5E−ヘキセニル]オキシフェノキシ]−吉草酸(ONO−4057)またはDPC−11870;
・5−リポキシゲナーゼインヒビター、例えば、ジレウトン、6−[(3−フルオロ−5−[4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル])フェノキシ−メチル]−1−メチル−2−キノロン(ZD−2138)、または2,3,5−トリメチル−6−(3−ピリジルメチル),1,4−ベンゾキノン(CV−6504);
・ナトリウムチャネルブロッカー、例えば、リドカイン;
・5−HT3アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、アザセトロン、ドラセトロン、またはアロセトロン;
・エストロゲンアゴニストまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター(例えば、HRT療法またはラソフォキシフェン);
・α−アドレナリン作用性受容体アゴニスト、例えば、フェニルプロパノールアミンまたはR−450;
・ドパミン受容体アゴニスト(例えば、アポモルフィン、医薬としてのその使用に関してはUS−A−5945117で教唆される)、ドパミンD2受容体アゴニスト(例えば、プレミプリキサール、ファルマシア−アプジョン化合物番号PNU95666;またはロピニロール);
・PGE1アゴニスト(例えば、アルプロスタジル);
ならびに、それらの製薬上受容可能な塩および溶媒和物。
【0108】
したがって、本発明は、さらなる局面において、本発明の化合物とさらなる治療剤を含有する配合物を提供する。
【0109】
本発明の化合物のヒトでの使用は、単独でも投与できるが、ヒトの治療では、一般に、意図する投与経路および標準な製薬手法により選択された、適切な製薬用賦形剤、希釈剤、または担体と混合して投与されるだろう。
【0110】
例えば、本発明の化合物は、経口的に、経頬的に、または舌下的に、錠剤、カプセル(軟質ゲルカプセルも含む)、オブール(ovules)、エリキシール、溶液または懸濁剤の形態で、投与でき、それには、矯味矯臭剤または発色剤を含有してもよく、そして即時型、遅延型、修飾型、持続型、二相型(dual)、制御型放出または脈動型放出適用を目的とすることができる。本発明の化合物はまた、海綿体内注射を介しても投与できる。本発明の化合物はまた、迅速分散型または迅速溶解型の投与剤形で投与することもできる。
【0111】
そうした錠剤には、賦形剤、例えば、微結晶セルロース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二塩基性カルシウム、グリシン、およびデンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモもしくはタピオカデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、および、ある種のケイ酸錯体、ならびに、造粒用結合剤(ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチンおよびアカシア)、を含むことができる。さらに、滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセロール、およびタルクを含むことができる。
【0112】
同様のタイプの固形組成物もまた、ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることができる。これに関して好ましい賦形剤は、乳糖、デンプン、セルロース、ミルクシュガー(milk sugar)、または高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁剤および/またはエリキシールに関しては、本発明の化合物、およびその製薬的に受容できる塩を、各種の甘味剤または矯味矯臭剤、発色剤もしくは色素と配合することができ、それには乳化剤および/または懸濁剤、ならびに、希釈剤、例えば、水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリン、ならびにそれらの混合物を加えることもできる。
【0113】
修飾放出型および脈動放出型の投与剤形は、即時放出型の投与剤形で詳述したもののような賦形剤と、さらに、放出速度調節剤として作用する追加の賦形剤を、含むことができ、そしてそれらは被覆されているかおよび/または器具の容器中に含まれている。放出速度調節剤には、それに排他的に限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタンゴム、カルボマー、アンモニオ・メタクリル酸共重合体、水素化ヒマシ油、カルナウバ蝋、パラフィン蝋、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸共重合体、およびそれらの混合物を含む。修飾放出型および脈動放出型の投与剤形は、1個または組み合わせの放出速度調節用賦形剤を含むことができる。放出速度調節用賦形剤は、投与剤形の内部、すなわちマトリクス、および/または、投与剤形上、すなわち表面上または被覆のいずれでも存在できる。
【0114】
迅速分散または溶解型の投与剤形(FDDF)は、以下の成分:アスパルテーム、アセスルファムカリウム、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジアスコルビン酸、アクリル酸エチル、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メタクリル酸メチル、ミント矯味矯臭剤、ポリエチレングリコール、ヒュームド・シリカ、二酸化ケイ素、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸フマル酸ナトリウム、ソルビトール、キシリトール、を含有してもいい。本願で用いられる、分散型または可溶型という表現は、FDDFが、用いた医薬物質の可溶性に依存し、すなわち、医薬物質が不溶性の場合は、迅速分散型投与剤形を調製することができ、そして、医薬物質が可能性の場合は、迅速可溶型投与剤形が調製できる。
【0115】
本発明の化合物はまた、非経口的、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、鞘内、心室内、尿道口内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内もしくは皮下的に投与でき、または輸液方法により投与できる。そうした非経口的投与のために、他の物質、例えば、溶液を血液と等張とするために十分な塩類またはグルコースを含んでもよい、無菌的水溶液の形態で、用いられるのが最適である。水溶液は、必要な場合は、適切に緩衝化(好ましくは、pH3〜9に)するべきである。適切な非経口的製剤の無菌下での製造は、当業者に周知の標準的な製薬技術を用いて、容易に達成することができる。
【0116】
ヒト患者に対する経口的および非経口的投与のために、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の一日投与量は、通常、10から500mg(単回または分割投与で)であるだろう。
【0117】
したがって、例えば、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の錠剤またはカプセルは、必要に応じて、単独でまたは2もしくはそれ以上を同時に投与するために、5mgから250mgの活性化合物を含むことができる。いかなる場合でも、医師は、個別の患者の誰に対しても、最も適切になるような実際の投与量を決定でき、そしてそれは年齢、体重および特定の患者の応答性により変更されるだろう。上記の投与量は平均的な場合の例示である。当然に、より高いまたはより低い範囲が利点を有する個別の症例があってもよく、そしてそれらは本発明の範囲に含まれるだろう。当業者はまた、特定の症状(PEを含む)の治療において、本発明の化合物が、「必要に応じて」(すなわち、必要または所望により)、単回投与量として摂取してもよいことを理解するであろう。
【0118】
錠剤製剤の例
一般に、錠剤製剤は典型的に本発明の化合物の約0.01mgから500mgを含むことができ、一方、錠剤充填質量は、50mgから1000mgの範囲であってよい。10mg錠剤製剤の例を記載する:
成分 %w/w
化合物の遊離塩基または塩 10.000*
乳糖 64.125
デンプン 21.375
クロスカルメロースナトリウム 3.000
ステアリン酸マグネシウム 1.500
* この用量は、典型的には、薬物活性に応じて調整し、そして遊離塩基の質量を基にしている。
【0119】
本発明の化合物はまた経鼻的または吸入により投与でき、そして、乾燥粉末吸入器、または、適切な推進剤を用いた、加圧容器、ポンプ、噴霧器もしくはネブライザーからのエアロゾル噴霧送達の形態で送達することが便利であり、適切な推進剤の例には、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン(例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134ATM)もしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EATM))、二酸化炭素または適切なガスが挙げられる。加圧エアロゾルの場合は、投与単位は、計量した量を送達するバルブを提供することによって決めることができる。加圧容器、ポンプ、噴霧器またはネブライザーは、例えば、エタノール、ならびに、追加で滑剤(例えば、トリオレイン酸ソルビタン)を含むことができる、エタノールおよび推進剤の混合物を溶媒として用いて、活性化合物の溶液または懸濁液を含むことができる。吸入器またはインサフレーターで用いるためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンから作成された)は、本発明の化合物と適切な粉末基剤(例えば、乳糖もしくはデンプン)の粉末混合物を含むように、製剤化できる。
【0120】
エアロゾルまたは乾燥粉末製剤は、好ましくは、各計量投与量または「パフ(puff)」が、患者に送達するために、本発明の化合物を1から50mg含むように、設定できる。エアロゾルによる総一日用量は、単回投与量、またはより普通には、一日をとおして分割した投与量で投与される、1から50mgの範囲である。
【0121】
本発明の化合物はまた、噴霧器(atomiser)を用いて送達するために製剤化される。噴霧器の器具のための製剤は、以下の成分:水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、フッ化炭素、ポリエチレングリコールエーテル、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸を、可溶化剤、乳化剤または分散剤として、含むことができる。
【0122】
その代わりに、本発明の化合物は、坐薬もしくはペッサリーの形態で投与することができ、または、ゲル、ハイドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏もしくは散布粉剤の形態で、局所的に適用することができる。本発明の化合物はまた、例えば、皮膚パッチを用いて、皮膚または経皮的に投与もできる。本化合物はまた、眼内、経肺、または直腸経路により投与することもできる。
【0123】
眼科での使用のためには、本化合物は、等張でpH調整した無菌生理食塩水中の微細化懸濁液、または、好ましくは、等張でpH調整した無菌生理食塩水中の微細化溶液で、場合により、塩化ベンジルアルコニウムのような保存剤を配合して、製剤化できる。代わりに、本化合物は、ワセリンのような軟膏中で製剤化してもよい。
【0124】
皮膚への局所的適用のために、本発明の化合物は、例えば、鉱質油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水の1またはそれ以上の混合物中にこの活性化合物を懸濁または溶解させて含む、適切な軟膏として製剤化できる。別法として、本化合物は、例えば、鉱質油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステル、蝋、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水の1またはそれ以上の混合物中にこの活性化合物を懸濁または溶解させて含む、適切なローションまたはクリームとして製剤化できる。
【0125】
本発明の化合物はまた、シクロデキストリンとの配合物として用いることができる。シクロデキストリンは、薬物分子と、包含および非包含複合体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン複合体の生成は、薬物分子の溶解性、溶解速度、生物学的利用性および/または安定性を改良できる。薬物−シクロデキストリン複合体は、ほとんどの投与剤形および投与経路について広く使用できる。薬物との直接の複合体化の代わりに、シクロデキストリンは、補助的な添付剤、例えば、担体、希釈剤または可溶化剤として使用してもよい。α−、β−およびγ−シクロデキストリンが最も普通に使用され、そして適切な例は、WO−A−91/11172、WO−A−94/02518およびWO−A−98/55148に記載されている。
【0126】
ヒト患者への経口的または非経口的に投与するための、式(I)の化合物、およびその製薬的に受容できる塩の、一日投与量のレベルは、0.01から30mg/kg(単回または分割投与量で)になり、そして好ましくは0.01から5mg/kgの範囲だろう。したがって、錠剤は、必要に応じて、単独でまたは2もしくはそれ以上を同時に投与するための、1mgから0.4gの化合物を含むだろう。いかなる場合でも、医師は、個別の患者の誰に対しても、最も適切になるような実際の投与量を決定でき、そしてそれは年齢、体重および特定の患者の応答性により変更されるだろう。上記の投与量は、当然に平均的な場合の例示にすぎず、そして、より高いまたはより低い範囲が利点を有する個別の症例があってもよく、そしてそれらは本発明の範囲に含まれるだろう。
【0127】
経口投与が好ましい。
【0128】
獣医分野での使用のためには、本発明の化合物は、標準的な獣医の方法に従って、適切に受容可能な製剤として投与でき、そして獣医は、特定の動物に最も適切であろう投与計画および投与経路を決めることができるだろう。
【0129】
したがって、さらなる局面により、本発明は、本発明の化合物および製薬的に受容できる補助剤、希釈剤または担体を含む、医薬製剤を提供する。
【0130】
上記の配合物はまた、医薬製剤の形態での使用を提示することが好都合であり、したがって、製薬的に受容できる補助剤、希釈剤または担体と共に上で定義された配合物を含む、医薬製剤は、本発明のさらなる局面を包含する。そうした配合物の個々の成分は、連続的にまたは同時に、別々のまたは配合された医薬製剤中で、投与してもよい。
【0131】
本発明の化合物を第二の治療剤と組み合わせて用いた場合、各化合物の投与量は、化合物を単独で用いる場合とは異なってもよい。適切な投与量は、当業者には容易に理解できるだろう。
【0132】
本発明は、以下の非限定的な実施例で説明され、そこでは以下の略語および定義が使用されるだろう:
APCI 大気圧化学イオン化
アルバセル(R) 濾過剤
br ブロード
BOC tert−ブトキシカルボニル
CDI カルボニルジイミダゾール
δ 化学シフト
d 二重項
Δ 加熱
DCCI ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
ES+ エレクトロスプレイイオン化ポジティブスキャン
ES- エレクトロスプレイイオン化ネガティブスキャン
h 時間
HOAT 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
m/z 質量分析ピーク
min 分
MS 質量スペクトル
NMM N−メチルモルホリン
NMR 核磁気共鳴
q 四重項
s 一重項
t 三重項
TBTU 2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
Tf トリフルオロメタンスルホニル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TS+ 熱スプレーイオン化ポジティブスキャン
WSCDI 塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
【0133】
以下の製造例および実施例は本発明を説明するが、いかなる意味でも本発明を限定するものではない。全ての温度は、℃で示される。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、メルクのシリカゲル60 (9385)を用いて行った。固相抽出(SPE)クロマトグラフィーは、バリアン・メガ・ボンド・エリュット(Si)カートリッジ(アナケム)を、15mmHgの減圧下で行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、メルクのシリカゲル60 (5729)上で行った。融点は、ガレンカンプMPD350装置を用いて測定し、そして補正はしなかった。NMRはバリアン−ユニテイ・イノバ400MHz nmr分光計またはバリアン・マーキュリー400MHz nmr分光計を用いて行った。質量分析は、フィニガン・ナビゲーター・単一4極エレクトロスプレイ質量分析装置またはフィニガンaQa APCI質量分析装置で行った。
【0134】
好都合には、本発明の化合物は以下の後処理(work−up)で遊離塩基の形態で分離されるが、慣用方法を用いて、本発明の化合物の製薬的に受容できる酸付加塩も調製できるだろう。本発明の化合物の溶媒和物(例えば、水和物)は、上記の工程段階の1つの後処理方法の間に生成してもよい。
【0135】
先の実施例で記載された方法で化合物が製造された場合は、当業者は、反応時間、試薬の当量数および反応温度を、各特定の反応で修正すること、そしてそれにもかかわらず、異なった後処理または精製条件を用いることが、必要であるかまたは望ましいことを、理解するだろう。
【0136】
〔製造例1〕
(3S)−3−(シクロペンチルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化11】

シクロペンタノン(12.7ml, 143mmol)を、メタノール:トルエン3:1 (600ml:200ml)混合物中で、(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル (26.6g, 143mmol)
に加え、そして反応混合物を、窒素下、1.5時間室温で攪拌した。次に、混合物を蒸発させて50mlにし、メタノール:トルエン3:1 (600ml:200ml)で3回共沸させ、そして減圧濃縮した。反応混合物をメタノール(250ml)に回収し、0℃まで冷却し、そしてホウ化水素ナトリウム(7.5g, 200.2mmol)を少しずつ加えた。反応が完了した後、水(50ml)を加え、そして溶媒を蒸発させた。残留物をさらなる水(150ml)で希釈し、そしてジクロロメタン(250ml)で3回抽出した。有機相を合わせて、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧濃縮し、表記の化合物をガム状で36.1g (99.4%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz)δ: 1.18(brs, 1H), 1.28(m, 2H), 1.44(s, 9H), 1.52(m, 2H), 1.67(m, 3H), 1.83(m, 2H), 2.05(m, 1H), 2.98(m, 1H), 3.08(m, 1H), 3.30(m, 2H), 3.45(m, 1H), 3.58(m, 1H)
MS APCI+ m/z 255 [MH]+
【0137】
〔製造例2〕
(3S)−3−[シクロペンチル(2,3−ジクロロベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化12】

トリエチルアミン(24ml, 170mmol)を、窒素下、ジクロロメタン(350ml)中で、製造例1のアミン(36.1g, 142mmol)の溶液に加えた。反応混合液を、0℃まで冷却し、そしてジクロロメタン中の塩化2,3−ジクロロ−ベンゾイル (29.8g, 142mmol)を、温度を5℃以下に維持しながら、滴下して加えた。次に、反応混合物を6時間攪拌した。水(200ml)を加え、そして有機相を回収した。水相をジクロロメタン(250ml)で抽出した。合わせた有機相を2M水酸化ナトリウム水溶液および10%クエン酸溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧下濃縮した。粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで、酢酸エチル:シクロヘキサン(体積で1:6から1:4から1:2から1:1)で溶出し、表記の生成物を、50g (82.4%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz, 回転異性体) δ: 1.43−1.47(d, 9H), 1.56−1.66(m, 5H), 1.79(m, 0.5H), 1.98(m, 3H), 2.37(m, 1H), 2.92(m, 0.5H), 3.15(m, 0.5H), 3.40(m, 1H), 3.58(m, 1.5H), 3.74(m, 2H), 3.97(m, 1H), 7.10(m, 1H), 7.24(m, 1H), 7.46(d, 1H)
MS APCI+ m/z 427 [MH]+および m/z 327[MH−Boc]+
【0138】
〔製造例3〕
(3S)−3−[シクロペンチル(2,3−ジクロロ−4−フルオロ−ベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化13】

塩化オキサリル(2.13ml, 24.4mmol)を、乾燥ジクロロメタン(41ml)中の2,3−ジクロロ−4−フルオロ安息香酸(4.25g, 20.33mmol)(EP0600317の実施例15を参照する)の懸濁液に、室温、窒素下で加えた。N,N−ジメチルホルムアミド(80μl, 1mmol)を加え、そして反応混合物を1時間攪拌した。溶媒を減圧下蒸発により除去し、黄色固形物を得、これをジクロロメタン(20ml)に溶解し、そして、ジクロロメタン(36ml)中のトリエチルアミン(4.72ml, 33.9mmol)および製造例1のアミン(4.31g, 16.95mmol)の溶液に、窒素下、滴下して加えた。室温で18時間攪拌後、得られた混合物をジクロロメタン(100ml)および1M炭酸カリウム水溶液(90ml)により希釈した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を減圧下蒸発により除去した。残留物を最小量のジクロロメタンに溶解し、そして、シリカゲル上のクロマトグラフィーで、ペンタンを酢酸エチル:ペンタン(体積で20:80)へ変える溶媒勾配により溶出し、表記の化合物を、白色泡状物として、6.6g (73%)得た。
1HNMR(CD3OD, 400MHz,回転異性体) δ: 1.43−1.47(d, 9H), 1.62(m, 1.5H), 1.72(m, 3H), 1.88(m, 1.5H), 1.97(m, 0.5H), 2.13(m, 1.5H), 2.32(m, 0.5H), 2.74(m, 1H), 3.40(m, 1H), 3.51−3.59(m, 1.5H), 3.76(m, 2H), 3.88(m, 1H), 4.05(m, 1H), 7.33(m, 2H)
【0139】
〔製造例4〕
(3S)−3−(シクロヘキシルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化14】

(3S)−3−(シクロヘキシルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例1に記載されたものに類似の方法で、(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルおよびシクロヘキサノンを用いて製造し、所望の生成物を、5.9g (82%)得た。1HNMR(CDCl3, 400MHz) δ: 1.09(m, 2H), 1.24(m, 3H), 1.45(s, 9H), 1.62(m, 2H), 1.72(m, 2H), 1.88(m, 2H), 2.06(m, 1H), 2.48(m, 1H), 3.01(m, 1H), 3.30(m, 1H), 3.45(m, 2H), 3.55−3.62(m, 1H)
MS APCI+ m/z 269 [MH]+
【0140】
〔製造例5〕
(3S)−3−[シクロヘキシル(2,3−ジクロロ−ベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化15】

(3S)−3−[シクロヘキシル(2,3−ジクロロ−ベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で、製造例4のアミンおよび塩化2,3−ジクロロベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、5.14g (83%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz, 回転異性体) δ: 1.00−1.09(m, 2H), 1.26(m, 1H), 1.43−1.47(d, 9H), 1.58(m, 3H), 1.73(m, 2H), 1.89(m, 2H), 2.68(m, 1H), 2.89(m, 1H), 3.10(m, 1H), 3.39(m, 1H), 3.52(m, 1H), 3.69(m, 1H), 3.92(m, 2H), 7.10(m, 1H), 7.23(m, 1H), 7.47(d, 1H)
LCMS ELSD/APCI+ m/z 441 [MH]+
【0141】
〔製造例6〕
(3S)−3−[シクロヘキシル(2−クロロ−3−フルオロベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化16】

(3S)−3−[シクロヘキシル(2−クロロ−3−フルオロベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例3に記載されたものに類似の方法で、製造例4のアミンおよび2−クロロ−3−フルオロ安息香酸を用いて製造し、所望の生成物を、158mg (29%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz,回転異性体) δ: 0.98−1.06(m, 2.5H), 1.29(m, 1.5H), 1.47(d, 9H), 1.57(m, 3H), 1.73(m, 2H), 1.87(m, 2H), 2.66(m, 0.5H), 2.89(m, 1H), 3.11(m, 1H), 3.38(m, 1H), 3.53(m, 1H), 3.69(m, 0.5H), 3.91(m, 2H), 6.99(m, 1H), 7.15(t, 1H), 7.28(m, 1H)
MS APCI+ m/z 425 [MH]+ および m/z 325[MH−Boc]+
【0142】
〔製造例7〕
(3S)−3−[シクロヘキシル(3−フルオロ−2−メチルベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化17】

(3S)−3−[シクロヘキシル(2−クロロ−3−フルオロ−2−メチルベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例3に記載されたものに類似の方法で、製造例4のアミンおよび3−フルオロ−2−メチル安息香酸を用いて製造し、所望の生成物を、63mg (12%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz, 回転異性体) δ: 1.02(m, 2.5H), 1.30(m, 2.5H), 1.47(d, 9H), 1.57(m, 1H), 1.62(m, 4H), 1.73(m, 1H), 1.91(m, 1H), 2.20(s, 3H), 2.71(m, 0.5H), 2.91(m, 1H), 3.18(m, 1H), 3.39(m, 1H), 3.49(m, 0.5H), 3.68(m, 0.5H), 3.85−3.93(m, 1.5H), 6.87(d, 1H), 7.01(t, 1H), 7.17(q, 1H)
MS APCI+ m/z 405 [MH]+および m/z 305[MH−Boc]+
【0143】
〔製造例8〕
(3S)−3−(シクロブチルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化18】

(3S)−3−(シクロブチルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例1に記載されたものに類似の方法で、(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルおよびシクロブタノン(15当量:最初に10当量を加え、第二の水の共沸除去の前に5当量を加えた)を用いて製造したが、ただし粗生成物はシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物を、542mg (28%)得た。
1HNMR(CD3OD, 400MHz) δ: 1.45(s, 9H), 1.70(m, 3H), 1.81(m, 3H), 2.05(m, 1H), 2.21(m, 2H), 3.03(m, 1H), 3.26(m, 2H), 3.47(m, 2H)
MS APCI+ m/z 241 [MH]+
【0144】
〔製造例9〕
(3S)−3−[シクロブチル(2,3−ジクロロ−ベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化19】

(3S)−3−[シクロブチル(2,3−ジクロロベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル、製造例2に記載されたものに類似の方法で、製造例8のアミンおよび塩化2,3−ジクロロベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、370mg (79%)得た。
1HNMR(CD3OD, 400MHz) δ: 1.43(m, 1H), 1.48(s, 9H), 1.66(m, 1H), 1.95(m, 1H), 2.12−2.27(m, 4H), 2.72(m, 1H), 3.42(m, 1H), 3.61(m, 1H), 3.69(m, 1H), 3.86(m, 1H), 3.98(m, 1H), 4.45(m, 1H), 7.24(dd, 1H), 7.40(t, 1H), 7.62(d, 1H)
MS APCI+ m/z 313 [MH−Boc]+
【0145】
〔製造例10〕
(3S)−3−{[(2,4−ジニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化20】

(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル(5g, 27mmol)を、ジクロロメタン(150ml)中の2,6−ルチジン(6.2mL, 54mmol)溶液中に、窒素下、加えた。反応混合物を0℃まで冷却し、そしてジクロロメタン(100ml)中の塩化2,4−ジニトロベンゼンスルホニル(7.15g, 27mmol)の溶液に0℃で15分かけてゆっくりと加えた。次に反応混合物を窒素下、室温で48時間撹拌した。水(100ml)を加え、続いて2N塩化水素
水溶液を水相がpH2になるまで加えた。次に、相を分離し、そして水相をさらなるジクロロメタン(100ml)で抽出した。有機相を合わせて、水(100ml)で2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧下濃縮し、表記の化合物を、ゴム状物として、10g (89%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz) δ: 1.42(s, 9H), 1.88(m, 1H), 2.15(m, 1H), 3.18(m, 1H), 3.37−3.44(m, 2H), 4.07(m, 1H), 5.58(d, 1H), 8.40(d, 1H), 8.57(d, 1H), 8.68(s, 1H)。
【0146】
〔製造例11〕
(3S)−3−(シクロブチルメチルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化21】

テトラヒドロフラン(40ml)中の製造例10の化合物(0.8g, 1.92mmol)の溶液に、シクロブタンメタノール(0.2ml, 2.11mmol)と続けてトリフェニルホスフィン(465mg, 2.3mmol)を、窒素下、加えた。反応混合物を0℃まで冷却し、次にテトラヒドロフラン(15ml)中のアゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.45ml, 2.3mmol)の溶液を、3℃未満の温度を維持しながら、滴下して加えた。反応混合物を0℃で0.5時間、次いで室温で18時間撹拌した。テトラヒドロフランを蒸発させ、そして残留物をジクロロメタン(20ml)中に回収した。トリエチルアミン(0.53ml, 3.84mmol)およびメルカプト酢酸(0.16ml, 2.3mmol)を加え、そして反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを次に2N塩化水素水溶液で洗浄した。水相を2M水酸化ナトリウムによりpH11まで塩基化し、次に酢酸エチルで3回逆抽出した。次に有機相を減圧下で濃縮し、表記の化合物を得た(151mg, 31%)。
1HNMR(CDCl3, 400MHz) δ: 1.44(s, 9H), 1.65(m, 3H), 1.87(m, 2H), 2.05(m, 3H), 2.45(m, 1H), 2.62(d, 1H), 3.05(m, 1H), 3.28−3.51(m, 5H)
【0147】
別方法
ボラン・テトラヒドロフラン錯体(テトラヒドロフラン中1M、100ml, 100mmol)を、無水テトラヒドロフラン(100ml)中の製造例27の化合物(9g, 33.54mmol)の溶液に、窒素下、加えた。反応混合物を2時間還流させた。反応混合物を室温まで冷却し、メタノールでクエンチし、そして減圧下濃縮した。残留物をメタノールと共沸させ、次いでメタノール(200ml)に再溶解し、還流下18時間加熱し、次に減圧下濃縮した。残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(体積で、95:5:0.5)で溶出し、表記の化合物を、ゴム状物として得た(7.67g, 90%)。
1HNMR(400MHz, CD3OD) δ: 1.44 (s, 9H), 1.70 (m, 3H), 1.90 (m, 2H), 2.08 (m, 3H), 2.47 (m, 1H), 2.62 (m, 2H), 3.06 (m, 1H), 3.27 (m, 2H), 3.45 (m, 1H), 3.54 (m, 1H)
MS APCI m/z 255 [MH]+
【0148】
〔製造例12〕
(3S)−3−[シクロブチルメチル(2,3−ジクロロ−ベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化22】

(3S)−3−[シクロブチルメチル(2,3−ジクロロ−ベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルを、製造例2に記載したものと類似の方法により、製造例11のアミンおよび塩化2,3−ジクロロベンゾイルを用いて、製造し、所望の生成物を、94mg (37%)得た。
LCMS ELSD/APCI+ m/z 427 [MH]+
【0149】
〔製造例13〕
(3S)−3−(シクロプロピルメチルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化23】

(3S)−3−(シクロプロピルメチルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルを、製造例1と類似の方法により、(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルおよびシクロプロパンカルボキシアルデヒドを用いて、ただし粗生成物はシリカゲル上のクロマトグラフィーで、ジクロロメタンをジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(体積で、90:10:1)の溶媒勾配に変えて溶出し、表記の化合物を、5.2g (81%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz) δ: 0.15(m, 2H), 0.48(m, 2H), 0.97(m, 1H), 1.43(s, 9H), 1.75(m, 1H), 2.05(m, 1H), 2.50(d, 2H), 3.10(m, 1H), 3.47(m, 2H), 3.50(m, 2H)
MS APCI+ m/z 241 [MH]+
【0150】
〔製造例14〕
(3S)−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化24】

(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルを、エタノール中のテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンおよび10% Pd/C (300mg)の溶液に加え、次に、反応混合物を、約415 kPa(約60psi)の水素ガス下に18時間放置した。反応混合物を、アルボセル(R)を介して濾過し、酢酸エチルで完全に洗浄した。濾過液を減圧下濾過し、次いで粗生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を、6.7g (61%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz) δ: 1.39(m, 2H), 1.46(s, 9H), 1.67(m, 1H), 1.82(m, 2H), 2.07(m, 1H), 2.72(m, 1H), 3.02(brm, 1H), 3.31−3.39(m, 5H), 3.59(brm, 1H), 3.96(m, 2H)
MS ES+ m/z 271 [MH]+
【0151】
〔製造例15〕
(3S)−3−[(2,3−ジクロロベンゾイル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化25】

(3S)−3−[(2,3−ジクロロベンゾイル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で(N−メチルモルホリンを塩基として用いて)、製造例14からのアミンおよび塩化2,3−ジクロロベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、200mg (31%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.43−1.47(d, 9H), 1.58(m, 1.5H), 1.76(m, 0.5H), 1.94(m, 2H), 2.11(m, 1H), 2.76(m, 0.5H), 2.98(m, 0.5H), 3.13(m, 2H), 3.4−3.58(m, 4H), 3.69(m, 0.5H), 3.9(m, 2.5H), 4.04(m, 0.5H), 4.2(m, 0.5H), 7.29(d, 1H), 7.43(t, 1H), 7.62(d, 1H) 回転異性体
MS APCI+ m/z 443 [MH]+ および 343 [MH−Boc]+
【0152】
〔製造例16〕
(3S)−3−[(2−クロロベンゾイル)(シクロペンチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化26】

(3S)−3−[(2−クロロベンゾイル)(シクロペンチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で(トルエンを溶媒として、N−メチルモルホリンを塩基として用いて、反応混合物を60℃で18時間加熱して)、製造例1からのアミン、および塩化2−クロロベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、1.16g (75%)得た。
1HNMR(CD3OD, 400MHz, 回転異性体) δ: 1.42−1.47(d, 11H), 1.62(m, 1H), 1.71(m, 3H), 1.89(m, 1H), 1.99(m, 1H), 2.13(m, 1H), 2.33(m, 0.5H), 2.77(m, 1H), 3.07(m, 0.5H), 3.46(m, 1H), 3.60(m, 0.5H), 3.70(m, 1H), 3.78(m, 1H), 3.90(m, 0.5H), 4.04(m, 1H), 7.30(m, 1H), 7.41(m, 2H), 7.48(m, 1H)
MS APCI+ m/z 393 [MH]+ および m/z 293 [MH−Boc]+
【0153】
〔製造例17〕
(3S)−3−[(2−クロロベンゾイル)(シクロヘキシル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化27】

(3S)−3−[(2−クロロベンゾイル)(シクロヘキシル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で(トルエンを溶媒として、N−メチルモルホリンを塩基として用いて、反応混合物を60℃で18時間加熱して)、製造例4からのアミン、および塩化2−クロロベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、1.09g (72%)得た。
1HNMR(CD3OD, 400MHz, 回転異性体) δ: 0.97(m, 1H), 1.09(m, 1H), 1.43−1.47(d, 9H), 1.55−1.87(m, 8H), 2.07(m, 1H), 2.76(m, 1H), 3.16(m, 1H), 3.39(m, 1H), 3.54(m, 1H), 3.68(m, 1H), 3.88(m, 1H), 4.146(m, 1H), 7.30(d, 1H), 7.41(m, 2H), 7.48(m, 1H)
LCMS APCI+ m/z 407 [MH]+ および m/z 307 [MH−Boc]+
【0154】
〔製造例18〕
(3S)−3−(シクロヘプチルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化28】

(3S)−3−(シクロヘヘプチルアミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例14に記載されたものに類似の方法で、(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルおよびシクロヘプタノンを用いて製造し、所望の生成物を、4.54g (100%)得た。
1HNMR(CD3OD, 400MHz) δ: 1.45(s, 12H), 1.57(m, 5H), 1.69(m, 3H), 1.89(m, 2H), 2.12(m, 1H), 2.71(m, 1H), 3.02(m, 1H), 3.26(m, 1H), 3.45(m, 2H), 3.59(m, 1H)
MS APCI+ m/z 283 [MH]+
【0155】
〔製造例19〕
(3S)−3−[(2−クロロベンゾイル)(シクロヘプチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化29】

(3S)−3−[(2−クロロベンゾイル)(シクロヘプチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で(トルエンを溶媒として、N−メチルモルホリンを塩基として用いて、反応混合物を60℃で18時間加熱して)、製造例18のアミン、および塩化2−クロロベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、1.27g (90%)得た。
MS APCI+ m/z 421 [MH]+ および m/z 321 [MH−Boc]+
【0156】
〔製造例20〕
(3S)−3−{シクロヘプチル[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化30】

(3S)−3−{シクロヘプチル[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で(トルエンを溶媒として、N−メチルモルホリンを塩基として用いて、反応混合物を60℃で18時間加熱して)、製造例18のアミン、および塩化2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、910mg (57%)得た。
MS APCI+ m/z 455 [MH]+ および m/z 355 [MH−Boc]+
【0157】
〔製造例21〕
(3S)−3−{シクロヘキシル[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化31】

(3S)−3−{シクロヘキシル[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で(トルエンを溶媒として、N−メチルモルホリンを塩基として用いて、反応混合物を60℃で18時間加熱して)、製造例4のアミン、および塩化2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、860mg (52%)得た。
MS APCI+ m/z 441 [MH]+ および m/z 341 [MH−Boc]+
【0158】
〔製造例22〕
(3S)−3−{シクロペンチル[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化32】

(3S)−3−{シクロペンチル[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で(トルエンを溶媒として、N−メチルモルホリンを塩基として用いて、反応混合物を60℃で18時間加熱して)、製造例1のアミン、および塩化2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を、910mg (54%)得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz、回転異性体) δ: 1.43−1.47(brd, 11H), 1.55(m, 2H), 1.65(m, 1H), 1.76(m, 2H), 1.99(m, 2H), 2.35(m, 0.5H), 2.89(m, 0.5H), 3.05(m, 0.5H), 3.19(m, 0.5H), 3.39(m, 1H), 3.57(m, 1H), 3.69(m, 2H), 3.96(m, 1H), 7.24(m, 1H), 7.50(m, 1H), 7.57(m, 1H), 7.69(d, 1H)
MS APCI+ m/z 427 [MH]+ および m/z 327 [MH−Boc]+
【0159】
〔製造例23〕
(3S)−3−{[(1−メチルシクロプロピル)カルボニル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化33】

1−メチルシクロプロパンカルボン酸(2.96g, 29.54mmol)を、ジクロロメタン(135ml)中の(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル(5g, 26.85mmol)の溶液に室温で加えた。次にトリエチルアミン(9.4ml, 67.13mmol)を加えた。反応を0℃まで冷却し、そして2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(酢酸エチル中50%、17.4ml, 29.54mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次に減圧下濃縮した。残留物をジクロロメタン(100ml)中で希釈し、そして、20%炭酸カリウム水溶液(80ml)を加えた。混合物を室温で18時間撹拌し、そして相を分離した。有機相を、20%炭酸カリウム溶液(50ml)、ブライン(80ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下濃縮し、次に、ジエチルエーテルで共沸して、表記の化合物を白色固形物として得た(6.815g, 95%)。
1HNMR (CDCl3, 400MHz) δ: 0.52−0.54(m, 2H), 1.16−1.19(m, 2H), 1.29(s, 3H), 1.4
5(s, 9H), 1.81(brs, 1H), 2.14(m, 1H), 3.14(brs, 1H), 3.42(brs, 2H), 3.64(m, 1H),
4.44(m, 1H), 5.73(brs, 1H)。
MS APCI+ m/z 269 [MH]+
【0160】
〔製造例24〕
(3S)−3−{[(1−メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化34】

ボラン(テトラヒドロフラン中1M、75ml, 75mmol)を、テトラヒドロフラン(75ml)中の製造例23の化合物(6.815g, 25.39mmol)の溶液に、窒素下、ゆっくりと加えた。混合物を2時間還流で加熱し、次に室温で18時間撹拌した。メタノールを注意深く加えて反応混合物をクエンチし、次いで混合物を減圧下濃縮した。残留物をメタノール(120ml)中に回収し、そして還流で3時間加熱した。次に、水性塩化アンモニウムを加え、そして反応混合物を還流で4時間加熱した。次に、反応を減圧下濃縮し、残留物を酢酸エチルと1N水性NaOHとの間で分配し、水相を酢酸エチルで1回抽出し、そして集めた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで、酢酸エチル:ペンタン(20:80から30:70)で溶出し、表記の生成物を白色固形物として得た(3.85g, 60%)。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 0.55−0.58(m, 2H), 0.62−0.64(m, 2H), 1.22(s, 3H), 1.46(s, 9H), 2.08(m, 1H), 2.36(m, 1H), 2.94(q, 2H), 3.36−3.41(m, 2H), 3.56(m, 1H), 3.74−3.86(m, 2H)。
MS APCI+ m/z 255 [MH]+
【0161】
〔製造例25〕
(3S)−3−{(2,3−ジクロロベンゾイル)[(1−メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化35】

(3S)−3−{(2,3−ジクロロベンゾイル)[(1−メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例2に記載されたものに類似の方法で、製造例24のアミン、および塩化2,3−ジクロロベンゾイルを用いて製造し、所望の生成物を得た(448mg, 85%)。
1HNMR (DMSO−D6, 400MHz、回転異性体) δ: 0.15−0.18(m, 1.5H), 0.26−0.31(m, 1.5H), 0.42(m, 0.5H), 0.53(m, 1H), 0.88(d, 2H), 1.07(s, 1.5H), 1.33(s, 4H), 1.39(s, 5H), 2.05(m, 1H), 2.55(m, 0.5H), 2.82(m, 0.5H), 2.96 (m, 0.5H), 3.10−3.22(m, 2H), 3.31(m, 1H), 3.49−3.56(m, 1.5H), 3.65(m, 0.5H), 4.23(m, 0.5H), 7.35(m, 1H), 7.42(m, 1H), 7.66(m, 1H)。
MS APCI+ m/z 427 [MH]+
【0162】
〔製造例26〕
(3S)−3−{(3−クロロ−2−メチルベンゾイル)[(1−メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化36】

(3S)−3−{(3−クロロ−2−メチルベンゾイル)[(1−メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例3に記載されたものに類似の方法で、製造例24のアミン、および3−クロロ−2−メチル安息香酸を用いて製造し、所望の生成物を得た(300mg, 60%)。
1HNMR (DMSO−D6, 400MHz、回転異性体) δ: 0.18(m, 1H), 0.24−0.32(m, 2H), 0.51(m, 1H), 0.83(s, 2H), 1.06(s, 1H), 1.32(s, 4H), 1.39(s, 5H), 1.85(m, 0.5H), 2.04(m, 1H), 2.18(s, 2H), 2.22(s, 1H), 2.56 (m, 1H), 2.95(m, 1H), 3.09(m, 1H), 3.18−3.22(m, 2H), 3.48−3.55(m, 1.5H), 3.66(m, 0.5H), 4.22(m, 0.5H), 7.15(m, 1H), 7.26(t, 1H), 7.45(d, 1H)。
MS APCI+ m/z 407 [MH]+
【0163】
〔製造例27〕
(3S)−3−[(シクロブチルカルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化37】

塩化シクロブテンカルボニル(9g, 76mmol)を、ジクロロメタン(385ml)中の、トリエチルアミン(12.5ml, 89.7 mmol)および(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル(12.87g, 69mmol)に、窒素下、室温で加えた。室温で18時間攪拌した後、反応混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧下濃縮し、表記の生成物を淡褐色のガラス状物質として得た(17.4g, 94%)。
1HNMR(400MHz, CDCl3) δ: 1.45 (s, 9H), 1.75−2.00 (m, 3H), 2.07−2.30 (m, 5H), 2.95 (m, 1H), 3.15 (m, 1H), 3.40 (m, 2H), 3.60 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 5.40 (brs,
1H)
【0164】
〔製造例28〕
(3S)−3−{(シクロブチルメチル)[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル
【化38】

トルエン(10ml)中の(3S)−3−[(シクロブチルカルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチル(0.80g, 3.15 mmol)を、塩化2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル(0.55ml, 3.78 mmol)およびトリエチルアミン(0.88ml, 6.3mmol)と処理した。溶液を室温で18時間攪拌し、そして減圧下溶媒を除去した。粗精製物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで、ペンタン:酢酸エチル(体積で4:1)からペンタン:酢酸エチル(体積で1:1)へ変える勾配により精製し、表記の化合物を無色の油状物(1.40g、粗精製物)として得、これを直接次の工程に用いる。
MS APCI+ m/z 427 [MH]+ , 371[MH−isobutylene]+, 327[MH−BOC]+
【0165】
〔実施例1〕
2,3−ジクロロ−N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・ヘミエジシレート
【化39】

製造例2のBoc保護化生成物(46g, 107mmol)を、窒素下、ジクロロメタン(85ml)に溶解し、そして反応混合液に、トリフルオロ酢酸(85ml, 1mol)を、0℃で滴下して加えて処理した。次に、反応混合物を室温で4時間攪拌し、減圧下蒸発させ、トルエンと二回共沸させ、そして減圧下濃縮した。残留物をジクロロメタン(400ml)中に回収し、1M水性水酸化ナトリウム(200ml)で洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧下濃縮した。残留物を酢酸エチル(10×)と共沸させ、次に減圧下乾燥させ、表記の生成物をゴム状物の遊離塩基として、34g (97%)得た。イソプロパノール(400ml)中のこの生成物の一部(24g, 70mmol)を、イソプロパノール(70ml)中のエタン−ジスルホン酸水和物(6.65g, 35mmol)で処理した。溶媒を減圧下除去し、そして残留物を酢酸エチルと共沸させて、ベージュ色の泡状物が得られ、これをイソプロパノール/ジイソプロピルエーテルから再結晶化し、オフホワイトの固形物を得た(23.3g)。固形物をイソプロパノール/メタノール(イソプロパノールを700mlおよび溶解性を獲得するための最小量のメタノール)から再結晶し、高真空下で乾燥させ、表記の化合物を白色固形物として得た(13.94g)。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.40−1.74(m, 7H), 1.92(m, 1H), 2.52(m, 2H), 3.24(s, 2H), 3.30(m, 1H), 3.56(m, 1H), 3.78(m, 3H), 4.33(m, 1H), 7.35(dd, 1H), 7.42(t, 1H), 7.63(d, 1H)
MS APCI+ m/z 327 [MH+] LC−MS ELSD m/z 327 100%
微量分析: 観測値: C, 47.37; H, 5.59; N, 6.47。C16H20Cl2N2O. 0.5C2H6O6S2. 0.5H2OはC, 47.34; H, 5.61; N, 6.49%を要する。
【0166】
〔実施例2〕
2,3−ジクロロ−N−シクロペンチル−4−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化40】

塩酸(1,4−ジオキサン中の4M、37ml, 148mmol)を、ジクロロメタン(40ml)中の製造例3の生成物(6.65g, 14.93mmol)の溶液に加えた。室温で18時間撹拌した後、溶媒を減圧下蒸発により除去し、固形物を得、これをエーテルで磨砕して表記の生成物を白色固形物(5.5g)として得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.54 (m, 4H), 1.73 (m, 3H), 1.92(m, 1H), 2.52 (m, 2H), 3.25 (m, 1H), 3.52 (m, 1H), 3.78 (m, 3H), 4.32 (m, 1H), 7.37 (m, 2H)
MS APCI+ m/z 345 [M]+
【0167】
〔実施例3〕
3−クロロ−N−シクロペンチル−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化41】

(3S)−3−[シクロペンチル(3−クロロ−2−メチルベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルを、製造例3で記載したものと類似の方法で、製造例1のアミンおよび3−クロロ−2−メチル安息香酸を用いて、所望の生成物606mg(粗生成物)として得た。
MS APCI+ m/z 407 [MH]+
【0168】
3−クロロ−N−シクロペンチル−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、前記の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として199mg (47%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.44−1.60(m, 4H), 1.79(m, 4H), 2.33(d, 3H), 2.44−2.54(m, 2H), 3.24(m, 1H), 3.54(m, 1H), 3.72(m, 1H), 3.80(m, 2H), 4.31(m, 1H), 7.16(dd, 1H), 7.28(t, 1H), 7.47(d, 1H)
LCMS ELSD/APCI+ m/z 307 [MH]+ 100%。
微量分析:観測値:C, 58.25; H, 7.20; N, 7.92%。計算値C17H23ClN2O.HCl.0.4H2O: C, 58.26; H, 7.13; N, 7.99%。
【0169】
〔実施例4〕
N−シクロペンチル−3−フルオロ−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化42】

(3S)−3−[(3−フルオロ−2−メチルベンゾイル)(シクロペンチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルを、製造例3で記載したものと類似の方法で、製造例1のアミンおよび3−フルオロ−2−メチル安息香酸を用いて、所望の生成物639mg(粗生成物)として得た。
MS APCI+ m/z 391 [MH]+
【0170】
N−シクロペンチル−3−フルオロ−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、前記の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として182mg (46%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.49−1.63(m, 4H), 1.78(m, 4H), 2.22(d, 3H), 2.49(m, 2H), 3.25(m, 1H), 3.55(m, 1H), 3.74(m, 1H), 3.87(m, 2H), 4.31(m, 1H), 7.03(dd, 1H), 7.14(t, 1H), 7.31(q, 1H)
MS APCI+ m/z 291 [MH]+
LCMS ELSD/APCI+ m/z 291 [MH]+ 100%.
微量分析:観測値:C, 61.18; H, 7.51; N, 8.25%。計算値C17H23FN2O.HCl.0.39H2O: C, 61.16; H, 7.48; N, 8.39%。
【0171】
〔実施例5〕
2−クロロ−N−シクロペンチル−2−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化43】

(3S)−3−[(2−クロロ−3−フルオロベンゾイル)(シクロペンチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルは、製造例3で記載したものと類似の方法で、製造例1のアミンおよび2−クロロ−3−フルオロ安息香酸を用いて、所望の生成物として得た。
【0172】
2−クロロ−N−シクロペンチル−3−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、前記の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として62mg (15%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.44−1.63(m, 4H), 1.73(m, 3H), 1.92(m, 1H), 2.52(m, 2H), 3.24(m, 1H), 3.58(m, 1H), 3.80(m, 3H), 4.32(m, 1H), 7.19(dd, 1H), 7.35(t, 1H), 7.45(m, 1H)。
LCMS ELSD/APCI+ m/z 311 [MH]+ 100%
微量分析:観測値:C, 53.68; H, 6.30; N, 7.71%。計算値C16H20ClFN2O.HCl.0.6H2O: C, 53.67; H, 6.25; N, 7.82%。
【0173】
〔実施例6〕
2,3−ジクロロ−N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化44】

2,3−ジクロロ−N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、製造例5の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として3.95g (89%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.02−1.10(m, 3H), 1.56−1.81(m, 7H), 2.46(m, 2H), 3.13(m, 1H), 3.25(m, 1H), 3.48(m, 1H), 3.73(m, 1H), 3.81(m, 1H), 4.45(m, 1H), 7.32(dd, 1H), 7.43(t, 1H), 7.66(d, 1H)。
MS APCI+ m/z 341 [MH]+
【0174】
〔実施例7〕
2−クロロ−N−シクロヘキシル−3−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化45】

2−クロロ−N−シクロヘキシル−3−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、製造例6の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として118mg (88%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 0.99−1.12(m, 3H), 1.56−1.91(m, 7H), 2.47(m, 2H), 3.16−3.22(m, 2H), 3.50(m, 1H), 3.71(m, 1H), 3.81(m, 1H), 4.45(m, 1H), 7.21(dd, 1H), 7.37(t, 1H), 7.46(m, 1H)。
MS APCI+ m/z 325 [MH]+
微量分析:観測値:C, 54.87; H, 6.55; N, 7.30%。計算値C17H22ClFN2O.HCl.0.6H2O: C, 54.88; H, 6.56; N, 7.53%。
【0175】
〔実施例8〕
N−シクロヘキシル−3−フルオロ−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化46】

N−シクロヘキシル−3−フルオロ−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、製造例7の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として45mg (85%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 0.99−1.17(m, 3H), 1.54−1.77(m, 7H), 2.20(d, 3H), 2.47(m, 2H), 3.23(m, 2H), 3.48(m, 1H), 3.70(m, 1H), 3.81(m, 1H), 4.43(m, 1H), 7.03(dd, 1H), 7.16(t, 1H), 7.31(q, 1H)。
MS APCI+ m/z 305 [MH]+
LCMS ELSD m/z 305 [MH]+ 100%。
微量分析:観測値:C, 60.87; H, 7.80; N, 7.59%。計算値C18H25FN2O.HCl.0.79H2O: C,
60.88; H, 7.83; N, 7.89%。
【0176】
〔実施例9〕
2,3−ジクロロ−N−シクロブチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化47】

2,3−ジクロロ−N−シクロブチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、製造例9の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として311mg (99%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.56(m, 1H), 1.70(m, 1H), 2.00(m, 1H), 2.13(m, 1H), 2.23−2.30(m, 2H), 2.46(m, 1H), 2.54(m, 1H), 3.26(m, 1H), 3.54(m, 1H), 3.73−3.81(m, 2H), 4.00(m, 1H), 4.71(m, 1H), 7.31(m, 1H), 7.43(t, 1H), 7.66(d, 1H)。
MS APCI+ m/z 313 [MH]+
【0177】
〔実施例10〕
N−シクロブチルメチル−2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化48】

N−シクロブチルメチル−2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、製造例12の化合物から、実施例1に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物はゴム状物として55mg (68%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.55−1.70(m, 3H), 1.85−2.03(m, 3H), 2.54(m, 3H), 3.15(m, 1H), 3.26(m, 2H), 3.50(m, 1H), 3.76(m, 2H), 4.30(m, 1H), 7.38(m, 1H), 7.43(t, 1H), 7.66(d, 1H)。
LCMS UV/ESI+ m/z 327 [MH]+
微量分析:観測値:C, 50.83; H, 5.90; N, 7.42%。計算値C16H20Cl2N2O.HCl.0.75H2O: C, 50.94; H, 6.01; N, 7.43%。
【0178】
〔実施例11〕
2,3−ジクロロ−N−(シクロプロピルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化49】

(3S)−3−[シクロプロピルメチル(2,3−ジクロロベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸・tert−ブチルを、製造例1で記載したものと類似の方法で、製造例13のアミンおよび塩化2,3−ジクロロベンゾイルを用いて、所望の生成物(粗生成物)として得た。
MS APCI+ m/z 413 [MH]+ および m/z 313 [MH−Boc]+
【0179】
2,3−ジクロロ−N−(シクロプロピルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、前記の化合物から、実施例1に記載したものと同様の方法、クロマトグラフィーによる精製および塩酸塩の生成により製造した。表記の生成物はゴム状物として393mg (77%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 0.09(m, 2H), 0.502(m, 2H), 0.88(m, 1H), 2.47−2.54(m, 2H), 3.01(m, 2H), 3.21(m, 1H), 3.50(m, 1H), 3.76(m, 2H), 4.42(m, 1H), 7.36(m, 2H), 7.59(d, 1H)。
LCMS ELSD/APCI+ m/z 313 [MH]+ 100%。
微量分析:観測値:C, 49.52; H, 5.65; N, 7.45%。計算値C15H18Cl2N2O.HCl.0.78H2O: C, 49.53; H, 5.70; N, 7.70%。
【0180】
〔実施例12〕
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルベンズアミド
【化50】

2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルベンズアミドを、製造例15の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により(遊離塩基は、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレン:メタノール:アンモニア水(体積で100:0:0)から塩化メチレン:メタノール:アンモニア水(体積で100:10:1)まで変える勾配を用いて、得た)、製造した。表記の生成物は無色油状物として得られ、それを用いて表記の生成物をゴム状物として120mg (77%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.58(m, 1H), 1.74(m, 1H), 1.89−1.97(m, 2H), 2.28(m, 2H), 2.96(m, 1.5H), 3.11−3.20(m, 3H), 3.45−3.53(m, 3H), 3.92(m, 1.5H), 4.03(m, 0.5H), 4.20(m, 0.5H), 7.32(dd, 1H), 7.42(t, 1H), 7.64(d, 1H)
MS APCI+ m/z 343 [MH]+
【0181】
〔実施例13〕
2−クロロ−N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【化51】

2−クロロ−N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミドを、製造例16の化合物から、実施例1に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物として640mg (74%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.43(m, 2H), 1.61(m, 2H), 1.72(m, 3H), 1.92(m, 2H), 2.38(m, 2H), 3.09(q, 1H), 3.57−3.65(m, 2H), 3.79(m, 1H), 4.15(m, 1H), 7.33(m, 1H), 7.43(m, 2H), 7.49(m, 1H)
MS APCI+ m/z 293 [MH+]
【0182】
〔実施例14〕
2−クロロ−N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【化52】

2−クロロ−N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミドを、製造例17の化合物から、実施例1に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物として685mg (83%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 0.98−1.13(brm, 3H), 1.54−1.88(brm, 7H), 2.44(m, 2H),
3.19(m, 2H), 3.44(q, 1H), 3.66(m, 1H), 3.78(m, 1H), 4.41(m, 1H), 7.34−7.52(brm, 4H)。
MS APCI+ m/z 307 [MH]+
【0183】
〔実施例15〕
2−クロロ−N−シクロヘプチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【化53】

2−クロロ−N−シクロヘプチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミドを、製造例19の化合物から、実施例1に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物として785mg (81%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.27(m, 3H), 1.44(m, 3H), 1.62(m, 1H), 1.75−1.92(m, 5H), 2.49(m, 2H), 3.22(m, 2H), 3.49(q, 1H), 3.70(m, 1H), 3.81(m, 1H), 4.36(m, 1H), 7.35−7.52(brm, 4H)。
MS APCI+ m/z 321 [MH]+
【0184】
〔実施例16〕
N−シクロヘプチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化54】

N−シクロヘプチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミドを、製造例20の化合物から、実施例1に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物として502mg (72%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.19(m, 2H), 1.32(m, 1H), 1.42(m, 3H), 1.65−1.81(m, 6H), 2.45(m, 2H), 3.24(m, 2H), 3.48(t, 1H), 3.56(m, 0.5H), 3.76(m, 1.5H), 4.35(m, 1H), 7.49(dd, 1H), 7.69(m, 1H), 7.75(m, 1H), 7.81(m, 1H)。
MS APCI+ m/z 355 [MH]+
【0185】
〔実施例17〕
N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化55】

N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミドを、製造例21の化合物から、実施例1に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物として460mg (69%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 0.95−1.08(m, 3H), 1.52−1.73(m, 7H), 2.08(m, 1H), 2.20(m, 1H), 2.79(m, 1H), 2.96(m, 1H), 3.06(m, 1H), 3.21(dd, 0.5H), 3.37(m, 1.5H), 4.06(m, 1H), 7.42(dd, 1H), 7.65(m, 1H), 7.72(m, 1H), 7.79(m, 1H)。
MS APCI+ m/z 341 [MH]+
【0186】
〔実施例18〕
N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化56】

N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミドを、製造例22の化合物から、実施例1に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物として690mg (99%)得た。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 1.44(m, 2H), 1.59(m, 2H), 1.73(m, 4H), 2.47(m, 2H), 3.24(m, 1H), 3.53(m, 1.5H), 3.76(m, 2.5H), 4.29(m, 1H), 7.46(dd, 1H), 7.66(m, 1H), 7.74(m, 1H), 7.80(m, 1H)。
MS APCI+ m/z 327 [MH]+
【0187】
〔実施例19〕
2,3−ジクロロ−N−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化57】

2,3−ジクロロ−N−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、製造例25の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として得た(269mg, 100%)。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 0.25−0.32(m, 2H), 0.44(m, 1H), 0.50(m, 0.5H), 0.60(m, 0.5H), 0.98(s, 3H), 2.50−2.61(m, 2H), 2.95(dd, 1H), 3.24−3.36(m, 2H), 3.57(m, 1H), 3.75−3.87(m, 2H), 4.52(m, 1H), 7.36−7.45(m, 2H), 7.63(d, 1H)。
MS APCI+ m/z 327 [MH]+
【0188】
〔実施例20〕
3−クロロ−2−メチル−N−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩
【化58】

3−クロロ−2−メチル−N−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド・塩酸塩を、製造例26の化合物から、実施例2に記載したものと同様の方法により製造した。表記の生成物は固形物として得た(310mg, 90%)。
1HNMR (CD3OD, 400MHz) δ: 0.29−0.42(m, 3.5H), 0.51(m, 0.5H), 0.96(s, 3H), 2.31 (d, 3H), 2.50(m, 1H), 2.59(m, 1H), 3.02(d, 0.5H), 3.15(q, 1H), 3.25−3.32(m, 1.5H), 3.59(m, 1H), 3.78−3.83(m, 2H), 4.51(brs, 1H), 7.21(m, 1H), 7.29(t, 1H), 7.47(d, 1H)。
MS APCI+ m/z 307 [MH]+
【0189】
〔実施例21〕
N−(シクロブチルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル] −2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド・塩酸塩
【化59】

製造例28からの (3S)−3−{(シクロブチルメチル) [2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ} ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.40g, 3.3mmol)を、ジオキサン中の4N塩化水素に溶解した。この溶液を1時間撹拌し、次に減圧下溶媒を除去した。残留物を水に溶解し、そして溶液をエーテルで洗浄した。水相を水性NaOHを加えて塩基性化し、次にエーテルで抽出した。このエーテル相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を減圧下除去してゴム状物を得、これをエーテル中の2N塩化水素で処理し、表記の化合物を、白色泡状物として0.99g (86%)得た。
1HNMR(400MHz, CD3OD) δ: 1.61−1.72 (m, 3H), 1.92−2.03 (m, 3H), 2.45 (m, 1H), 2.59 (m, 2H), 3.14 (m, 1H), 3.26 (m, 2H), 3.55 (m, 1H), 3.68−3.82 (m, 2H), 4.34 (m, 1H), 7.54 (m, 1H), 7.72 (m, 1H), 7.80 (m, 1H), 7.85 (m, 1H)。
LCMS APCI+ m/z 327[MH]+
【0190】
〔実施例22〕
実施例1〜21の化合物の NRI KiおよびSRI Kiは、以下のように測定した。結果の選択は以下の表1に記載する。全ての実施例の化合物は、100nM 未満のNRI KiおよびSRI Ki を示した。
【0191】
生物学的活性
これら化合物の、ヒトセロトニンおよび/またはノルアドレナリン輸送体(それぞれ、SERTおよびNET)における、選択的放射性リガンドの結合を阻害するその能力による、生物学的活性を、シンチレーション近傍アッセイ(SPA)技術を用いて、試験した。SPA結合は、SERTまたはNET(hSERT、hNET)のいずれかをコードするヒトcDNAを発現する細胞株から調製した細胞膜調製物、ならびに、放射性リガンドの3H−シタロプラムおよび3H−ニソキセチンを用いて行った。
【0192】
i)細胞培養法
各輸送体を発現するヒト胎児腎細胞(HEK−293)を、標準的な培養技術を用いて、225cm2フラスコ中の増殖用培地(組成は培地および緩衝液を参照する)の50mL中で、37℃、5% CO2が存在する湿潤雰囲気下で、連続式培養として維持した。細胞は、90%コンフルエント単層から、1:3〜1:4の比で継代した。
細胞を採取するために、増殖用培地を単層から除去し、そして細胞を、細胞分離用溶液(シグマ社)を用いて、分離の兆候が示されるまでインキュベートした。細胞は続いてフラスコの底部からたたき出し、そして、さらなる使用の前に保存の(−80℃で凍結)ために、遠心分離によりペレット化した。
【0193】
ii)細胞膜の調製
細胞のペレットを氷上で融解し、1mLのパックした細胞体積当り3mLの細胞膜調製用緩衝液(組成は「培地および緩衝液」を参照する)の中で、細胞ペレットを分散させるためのボルテックスミキサーを用いて、再懸濁した。氷上で10分間インキュベーションした後、懸濁液を4回の別々の10秒間隔で、手動式ホモジナーザーを用いて、ホモジナイズした。次にホモジネートを、1075xgで 20分間、4℃で、遠心分離した。
【0194】
次に上清を回収し、保持した。最初の細胞および核ペレット(P1)を続いて再ホモジナイズし、そして上記の条件を用いて遠心分離し、次に上清を回収し、最初の遠心分離で保持していたものと共にプールした。
【0195】
プールした上清を、35000xgで30分間、4℃Cで遠心分離し、そして上清を捨てた。次にこのペレット(P2)を、1mLの最初のパックした細胞体積当り1mLの膜調製用緩衝液中で再懸濁した。次に、タンパク質濃度を測定し、そして膜懸濁液を、最後に設定した体積のアリコットで凍結させ、そしてアッセイで使用するまで、−80℃で保存した。
【0196】
iii) アッセイ方法
A. 個々の膜のバッチのための最適アッセイ条件の決定
各輸送体に関して異なる特異的なSPAビーズタイプの、小麦胚芽凝集素で被覆したケイ酸イットリウム(YSi WGA)SPAビーズをhSERTアッセイのために使用し、そしてWGA被覆ポリビニルトルエン(PVT WGA)SPAビーズをhNETアッセイのために使用した。使用した膜の各バッチに関して、ビーズと膜の最適の濃度を決定した。
【0197】
各輸送体に特異的なトリチウム化した放射性リガンド(3H−シタロプラムをhSERTのために、そして3H−ニソキセチンをhNETのために)を使用した。放射性リガンドの消耗の見積もりを得るために、アッセイの遊離放射性リガンドの濃度を総遊離放射性リガンドの濃度のパーセントで表した。両方の輸送体に関するアッセイ中の放射性リガンドの消耗は、30%未満であって、これは結合に利用できる十分な放射性リガンドが存在したことを保証する。リガンド消耗値はまた、新しい膜のバッチを使用するときの、最適アッセイ条件を選択するためにも用いられた。
【0198】
それぞれの輸送体に関する特異的な放射性リガンドの親和性を、選択されたタンパク質およびビーズ濃度で、各膜バッチについて測定した。これは、輸送体の結合部位の50%が占拠されるときの遊離放射性リガンドの濃度、KDを決定することによって行われる。
膜のバッチでの放射性リガンドの平均KDは、最小で3回の別個のアッセイのデータから決定できる。平均KDは、次に、ChengおよびPrussoff(Cheng YCおよびPrusoff WH、 Relationship between the inhibition constant (Ki) and the concentration of inhibitor which causes 50% inhibition of an enzymatic reaction. Biochem Pharmacol 1973; 22:2099−3108)により決められた方法により、試験された化合物のKi値の決定を可能にするような特徴を有する、膜のバッチを用いる、全てのアッセイで使用された。
【0199】
B. アッセイ手順書
ビーズ/膜複合体の調製
必要な量の膜を氷上で融解し、所定の体積のアッセイ緩衝液中のビーズ懸濁液に加えた。次に、ビーズのmg当り所定の量のタンパク質を、振盪機上で、4℃で2時間インキュベートすることで予備共役させた。
続いて、ビーズ/膜複合体を865xgで5分間遠心分離した。得られたペレットをアッセイ緩衝液中に再懸濁し、次いでこの遠心分離/洗浄工程を繰り返した。次に、最終的なペレットを、最終的なアッセイで必要な特定の濃度で、アッセイ緩衝液中で再懸濁した。
【0200】
リガンドの調製
[3H]−放射性リガンドの保存液をアッセイ緩衝液中で希釈し、平衡解離定数(KD)値未満の所定の最終アッセイ濃度とした。
【0201】
化合物プレートの調製
全ての試験化合物は、乾燥試料から、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で4mMの濃度に調製した。化合物をddH2O中の0.75% DMSOで適切な試験濃度に希釈し、384穴プレート上で最終体積を20μLとなるようにした。
同体積のアッセイ緩衝液をプレートの特定のウエルに加えて、続く総放射性リガンド結合の測定を可能にした。さらに、各輸送体アッセイに特異的な高濃度の化合物を20μL、続いて、非特異的結合(NSB)を測定するために所定のウエルに加えた。フルオキセチン(10μMの最終アッセイ濃度)をhSERTのために用い、そしてデシプラミン(40μMの最終アッセイ濃度)をhNETのために用いた。
【0202】
各個別の輸送体アッセイのために、調製した特異的放射性リガンドの20μLを、最終アッセイプレート(化合物溶液を含んでいる)の各ウエルに加えた。続いて、対応するビーズ/膜複合体の20μLを最終アッセイプレートの各ウエルに加えて、懸濁液が十分に混合していることを確かめた。次いで、プレートを密閉しそして、振盪しながら、室温で1時間インキュベートした。続いて、プレートをさらに読み取りの前に6時間、暗順応しながら、インキュベートした。
【0203】
C.データ解析
プレート当りのアッセイ用枠(特異的結合)を、総結合読取値から平均NSB読取値(分当りの計数、またはcpm)を差し引くことにより計算した。続いて、輸送体に結合した放射性リガンド量を測定するために、ウエル当りのcpm(差し引いた平均NSBを用いて)を、プレート枠のパーセントとして表現した。
これらの値を、試験化合物の濃度に対してプロットし、そしてシグモイド状阻害濃度効果曲線を、4つのパラメーターのロジステック方程式および自由適合化(free−fitting)パラメーターを用いて、データに適合させ、IC50値(神経伝達物質輸送体において特異的な結合を50%阻害するために必要な化合物の濃度)を得た。
次に、阻害解離定数(Ki)値を、チェン・プルソッフ方程式を用いて、IC50値から計算した。
【0204】
個々の試験化合物のKi値の測定に続いて、全体の幾何平均を、95%信頼区間およびn値と共に計算した(ここでnは個々のKi値の総数である)。実施例1〜18の化合物の得られたKiデータは、表1で知ることができる。
【0205】
iv) 培地および緩衝液
hSERT細胞増殖用培地
DMEM、10% (w/v) の透析したFCSを含む;
2mM L−グルタミン(200mM 保存液から希釈する);
25mM HEPES(1M 保存液から希釈する);
250μg/mL ゲネテシン
hNET細胞増殖用培地
DMEM、10% (w/v) のFCSを含む;
2mM L−グルタミン(200mM 保存液から希釈する);
25mM HEPES(1M 保存液から希釈する);
250μg/mL ゲネテシン
【0206】
膜調製用緩衝液
20mM HEPES (1M 保存液からddH2Oで希釈する)、室温でpH 7.4、4℃で保存する。使用前に、完全プロテアーゼ阻害剤の錠剤を、緩衝液50mL当り1つ溶解する。
【0207】
アッセイ用緩衝液(1.5×最終アッセイ濃度)
30mM HEPES (1M 保存液からddH2Oで希釈する)および180mM NaCl(5M 保存液からddH2Oで希釈する)、室温でpH 7.4、4℃で保存する。
【0208】
【表1】

【0209】
化合物はまた、以下の疼痛モデルのような、特定の疾患モデルで試験することもできる:
【0210】
神経病理的疼痛
化合物の神経病理的疼痛の治療における活性を、以下の試験手順書に従って測定することができる。
動物:雄性スピローグ・ドーリー・ラットを、適切な大きさの群で飼育した。全ての動物は12時間の明暗サイクル(07時00分に点灯)下で、餌と水を自由に摂取させて飼った。全ての実験は、観察者が治療に対してブラインドになるように、そして1986年の家庭オフイス動物(科学的操作)法に従って、実施した。
【0211】
神経病理的疼痛の慢性結紮傷害(CCI)ラットモデル
坐骨神経のCCIを、先にBennettおよびXie(Bennett GJ, Xie YK. A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man. Pain:33:87−107, 1988)により記載された方法で行う。動物を2%イソフルオレン/O2 混合物で麻酔する。右後大腿部を剃って1%ヨウ素を塗った。次に、動物を、定温毛布に操作の間移し、そして手術の間、鼻円錐部を介して麻酔を維持する。皮膚を大腿骨の線に沿って切開する。大腿二頭筋を通した単純切開により、大腿中央で、共通坐骨神経を露出させた。鉗子を神経の下に挿入し神経を緩和に大腿から浮き上がらせて、約7mmの神経を坐骨三叉に近接して遊離させる。縫合糸を、鉗子を用いて神経の下から引き出し、わずかに抵抗を感じるまで一重結びで結紮し、次いで二重に結ぶ。この操作を、4つの連結(4−0絹)を、約1mmの間隔で神経の周囲を緩く結ぶまで繰り返す。切開部をレイヤーで閉じ、そして傷を局所用抗生物質で処置する。
【0212】
ラットでのストレプトゾシン(STZ)誘導型糖尿病性の神経病理的疼痛
糖尿病を、0.9%滅菌水に用時調製したストレプトゾトシン(50mg/kg)を腹腔内に単回注射し、誘発させた。ストレプトゾトシ注射は、3週間以内に再現性のある機械的異痛症を誘発し、これは少なくとも7週間持続した(Chen and Pan, Hypersensitivity of Spinothalamic Tract Neurons Associated With Diabetic Neuropathic Pain in Rats. J Neurophysiol 87: 2726−2733, 2002)。
【0213】
静的および動的異痛症の評価
静的異痛症
動物を網底試験用ケージで、異痛症の評価の前に飼い馴らす。静的異痛症はフォン・フライ・ヘアー(von Frey hairs)(ストールテング、ウッド・ドール、イリノイ州、米国)を用いて、後肢の足底面に順次力を増加させて(0.6、1、1.4、2、4、6、8、10、15および26グラム)、評価する。各フォン・フライ・ヘアーは足に最大で6秒間、または引戻し反応が起こるまで適用した。一旦フォン・フライ・ヘアーへの引戻し反応が確立されると、足を再試験し、引戻しを生じる力以下のフィラメントで開始し、そして続いて残りのフィラメントで引戻しが生じなくなるまで順次力を弱めていく。最大の26gの力は足を持ち上げ、同時に反応を導き出し、そのために中止時点を表す。各動物の両方の後肢をこのように調べる。反応を引き起こすために要する最低の力の量を、足引戻し閾値(PWT)としてグラムで記録する。静的異痛症は、無処置のラットに対しては無害な、4g、またはそれ未満の刺激に動物が反応する場合に存在していると定義される(Field MJ, Bramwell S, Hughes J, Singh L. Detection of static and dynamic components of mechanical allodynia in rat models of neuropathic pain: are they signalled by distinct primary sensory neurones? Pain,1999;83:303−11)。
【0214】
動的異痛症
動的異痛症は、後肢の足裏面を綿棒で軽く叩いて評価する。通常の自発運動を記録することを避けるために、活動的ではない十分に飼い馴らされたラットでこの操作を行うように注意する。各時点で少なくとも2回の測定を行い、その平均が足引戻し潜伏時間(PWL)を表す。反応が15秒以内に示されなければ、操作は終了しそして動物をこの引戻し時間に割り当てる。疼痛引戻し反応は、多くの場合、反復する尻込みまたは足を舐める行為を伴う。動的異痛症は、叩き始めてから8秒以内に綿刺激に動物が反応した場合に存在するものと考えられる(Field et al, 1999)。
【0215】
損傷性疼痛
化合物の、損傷性疼痛(nociceptive pain)の治療における活性を、以下の試験手順書にしたがって測定できる。
【0216】
ホットプレート
実験方法:雄性スピローグ・ドーリー・ラットを、55±5℃に保持されたホットプレート(ウゴ、バジーレ、イタリア)上に載せる。ホットプレート上に動物を載せた時点と、前もしくは後肢を舐めるか、振るえるか、または表面から飛び上がるかのいずれかの発生の時点の間の時間を測定する。ベースラインの測定を行い、そして薬物投与後の動物を再評価する。ホットプレート待ちのための遮断時間は、組織損傷を防止するために20秒に設定する。
【0217】
卵巣子宮切除術(OVX)
実験方法:雌性スピローグ・ドーリー・ラットを麻酔室に置き、そして2%イソフルオランO2混合物で麻酔する。手術の間、麻酔は鼻円錐部を介して維持する。OVXは、動物を発熱毛布上に置きながら、白線(linea alba)を正中切開(2cmの長さ)して行う。卵巣靭帯および頸部を、単純鉗子手法を用いて、5−0絹で結紮する。次いで卵巣および子宮を切除する。腹壁を4つの単純結節縫合で閉じ、次いで皮膚を4つの傷クリップを用いて閉じる。手術直後に動物を、個別のプレキシガラス製チャンバーに移す。一旦動物が麻酔から醒めたら、30分の間様々の時点で、腹部の姿勢を記録する。記録される姿勢は、猫背様姿勢、後肢の内向きの動作を伴った腹筋の収縮、体の引き伸ばし、および下腹部を床に押し付ける姿勢、である。それぞれの動作ごとに一つの姿勢として記録される。
【0218】
ブレナン
実験方法:雄性スピローグ・ドーリー・ラットを麻酔室に置き、そして2%イソフルオランO2混合物で麻酔する。手術の間、麻酔は鼻円錐部を介して維持する。右後肢の足裏面を50%エタノールで清浄する。11番ブレードで、足裏面の皮膚および筋膜を介して、かかとの近位端から0.5cmの位置から始まってつま先方向に伸びる、1cm長の縦方向の切開を作成する。足裏筋肉を鉗子により引き上げ、縦に切開し、筋肉の基点および付着部はそのままにしておく。緩く圧をかけて止血した後、2つの網目状絹の単純縫合により閉じる。
【0219】
モノヨード酢酸(MIA)誘発性OAモデル
6週齢の雄性スピローグ・ドーリー・ラット(SDラット、日本SLCまたはチャールズ・リバー。ジャパン)をペントバルビタールで麻酔する。注射部位を剃毛し、70%エタノールで清浄する。MIAまたは生理食塩水の25μlを、29G針を用いて、右膝関節に注射する。MIA注射の7、14、19および20日後に、それらのストレスなしに質量負荷(WB)を測定するために、ラットを馴らす。MIA注射の21日後に、2つの各後肢の上でWBを測定し、WB欠損を算出する。WB欠損値は「前値」として定義する。前値および前前値を考慮して、実験群を均等に設定する。試験化合物またはビークルを投与した後、2つの各後肢の上でWBを測定する。
【0220】
癌性疼痛モデル
この実験は成獣の雄性C3H/HeNマウス(日本SLC、静岡、日本)を用いた。マウスは国立衛生研究所のガイドラインに従って、22℃で12時間交替の明暗サイクルを有する動物施設で飼育され、そして餌と水は自由に摂取させる。使用された肉腫注入のプロトコールは記載されている。イソフルラン(2%)の吸入による全身麻酔の誘導の後、膝頭を覆う皮膚を、モラ(Mora)剪刀を用いて表面切開する。膝蓋靱帯を次に切開し、腿部末端の関節丘を露出させる。30ゲージの針を顆間の切れ目のレベルまで挿入し、次に髄溝まで差込み最初の核の経路を形成した。最初の核を作成した後、29ゲージの針を、骨中に最終的な経路を作成するために用いる。次に、歯科用樹脂プラグを機械的に保持するために、0.5−mmの窪みを、圧縮型歯科用高速ハンドピース中の半球ドリルを用いて作成する。次に、α最小必須培地(シグマ;擬注入)の20μl、または1×105個の2472骨溶解性肉腫細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コクション、ロックビル、メリーランド州;肉腫注入)の20μlを29ゲージ針および0.25cc注射筒を用いて注入する。細胞が骨の外側に漏出するのを防止するために、注入部位は歯科用樹脂に近接させ、次に濾過水で大量の洗浄を行う。傷の閉鎖は、自動式傷クリップ(ベクトン・デキンソン、サンホセ、カリフォルニア州)を用いて行う。傷クリップは5日目に取り除き、行動試験への干渉を防止する。
【0221】
静的および動的異痛症の評価
静的異痛症
動物を網底試験用ケージで、異痛症の評価の前に飼い馴らす。静的異痛症はフォン・フライ・ヘアー(von Frey hairs)(ストールテング、ウッド・ドール、イリノイ州、米国)を用いて、後肢の足底面に順次力を増加させて(0.6、1、1.4、2、4、6、8、10、15および26グラム)、評価する。各フォン・フライ・ヘアーは足に最大で6秒間、または引戻し反応が起こるまで適用した。一旦フォン・フライ・ヘアーへの引戻し反応が確立されると、足を再試験し、引戻しを生じる力以下のフィラメントで開始し、そして続いて残りのフィラメントで引戻しが生じなくなるまで順次力を弱めていく。最大の26gの力は足を持ち上げ、同時に反応を導き出し、そのために中止時点を表す。各動物の両方の後肢をこのように調べる。反応を引き起こすために要する最低の力の量を、足引戻し閾値(PWT)としてグラムで記録する。静的異痛症は、無処置のラットに対しては無害な、4g、またはそれ未満の刺激に動物が反応する場合に存在していると定義される(Field MJ, Bramwell S, Hughes J, Singh L. Detection of static and dynamic components of mechanical allodynia in rat models of neuropathic pain: are they signalled by distinct primary sensory neurones? Pain,1999;83:303−11)。
【0222】
動的異痛症
動的異痛症は、後肢の足裏面を綿棒で軽く叩いて評価する。通常の自発運動を記録することを避けるために、活動的ではない十分に飼い馴らされたラットでこの操作を行うように注意する。各時点で少なくとも2回の測定を行い、その平均が足引戻し潜伏時間(PWL)を表す。反応が15秒以内に示されなければ、操作は終了しそして動物をこの引戻し時間に割り当てる。疼痛引戻し反応は、多くの場合、反復する尻込みまたは足を舐める行為を伴う。動的異痛症は、叩き始めてから8秒以内に綿刺激に動物が反応した場合に存在するものと考えられる(Field et al, 1999)。
【0223】
輻射熱肢引戻し
実験方法:熱性肢引戻しは、Hargreaves等、1988の改良方法に従って、ラット足裏試験(ウゴ・バジル、イタリア)を用いて評価する。ラットを、上昇するガラステーブル上で、3個の個別風防ガラス箱から成る装置に飼い馴らした。移動式輻射熱源をテーブルの下に設置し、後肢上に焦点を合わせ、肢引戻し潜伏時間(PWL)を記録する。組織損傷を防止するために、自動的に22.5秒の中止時点を置く。PWLは、各動物の両方の後肢に2〜3回行い、その平均が右および左後肢のベースラインを表す。装置は約10秒のPWLが得られるように較正される。
【0224】
質量負荷
実験方法:
動物の過敏症は、質量負荷試験により、「活動不能化試験機」(リントン・インストールメント、ジス、ノーフォーク州、英国)を用いて調べた。ラットに、風防ガラスの斜面上にその前肢を上にした姿勢をとらせ、そして後肢の質量分布を、各後肢の下の力変換機を介して測定した。各動物は装置の上に置かれ、そして後肢からもたらされる質量負荷を記録する。質量負荷の差異を、反対側(正常側)の肢から同側(傷害側)の肢のものを差し引くことにより計算し、これを生データとする。
【0225】
炎症性疼痛
炎症性疼痛の治療での化合物の活性は、以下の試験手順書にしたがって測定できる。
【0226】
ラットでのCFA−誘発性質量負荷欠損
雄性7週令のSDラットを終夜絶食させる。CFA(液体パラフィンの100μL(和光)中にヒト型結核菌H37 RA(デフコ・ラボラトリー)の300μgを含む)をラットの右後足裏に注射した。CFAの投与2日後、後肢で左(同側)肢と右(反対側)肢の間の質量分布の変化を、疼痛の指標として、リントン活動不能化試験機(リントン・インストールメション、英国)を用いて、測定する。0.1% MC(和光)に懸濁した試験化合物を、体重100g当り1mLの体積で、経口的に投与する。各動物を装置に置き、そして後肢からもたらされる質量負荷を、薬物投与前、投与後1、2および4時間に測定する。
【0227】
ラットでのカラゲーニン誘発性の機械的な痛覚過敏
雄性4週令のSDラットを終夜絶食させる。痛覚過敏はラムダ・カラゲーニン(生理食塩水中の1% w/v溶液を0.1ml、ズシ・カガク)の足底内注射により誘発する。カラゲーニン注射後5.5時間に経口的に試験化合物(0.1%メチルセルロース1ml/100g体重)を与える。肢引戻し閾値(グラム)を、鎮痛測定機(analgesimeter)(ウゴ・バジル)により、カラゲーニン注射後3.5、4.5、6.5および7.5時間に測定する。(Randall L.O. & Selitto I.J., Arch. Int. Pharmacodyn. 111, 409−419, 1957)
【0228】
ラットでのカラゲーニン誘発性の熱性痛覚過敏(CITH)
熱性痛覚過敏は、ラット足裏試験(ウゴ・バジル、カメリオ、イタリア)を用いて、Hargreaves等(1988)により改良された方法にしたがって、評価する。簡単に述べれば、ラットを、ガラステーブル上の3個の個別風防ガラス箱から成る装置に馴らす。移動式輻射熱源をテーブルの下に設置し、所望の肢上に焦点を合わる。肢引戻し潜伏時間(PWL)を
、各動物の両方の後肢について3回ずつ記録し、その平均が右および左後肢のベースラインを表す。装置は無処置のラットで約10秒のPWLが得られるように較正される。足裏領域の組織損傷を防止するために、22.5秒の中止時点を守る。PWLは、各動物の両方の後肢に2〜3回行い、その平均が右および左後肢のベースラインを表す。ラムダ・カラゲーニンは右後肢の足底内に注射され(100μl, 20mg/ml)、そして投与後2時間にPWTのベースラインの記録をとる。
【0229】
内臓痛
内臓痛の治療での化合物の活性は、以下の試験手順書にしたがって測定できる。
【0230】
化合物が内臓の障害の治療で有効かどうか計測するために、各種のモデルが利用できる。これらのモデルには、LPSモデル(Eutamene H et al, J Pharmacol Exp Ther 2000 295 (1):162−7)、TNBSモデル(Diop L. et al, Gastroenterology 1999, 116, 4(2): A986)、IBDモデル(Clemett D, Markham A, Drugs 2000 Apr;59(4):929−56)、膵臓痛モデル(Isla AM, Hosp Med 2000 Jun;61(6):386−9)および非消化器系内臓痛モデル(Boucher M et al, J Urol 2000 Jul;164(1):203−8)が含まれる。
【0231】
ラットでのTNBS誘発性慢性内臓異痛症
覚醒ラットでの結腸の膨張のこの実験モデルにおいて、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の近位結腸中への予注射は、内臓痛の閾値を下げた。
【0232】
実験材料および方法:雄性スピローグ・ドーリー・ラットを用いる。動物を、ケージ当り3匹ずつ、制御された環境下(20±1℃、湿度50±5%、8:00amから8:00pmまで点灯)で飼育する。0日目に、麻酔下で(ケタミンを80mg/kg、i.p.;アセプロマジンを12mg/kg i.p.)、TNBS(30%エタノール中50mg/kg)、またはコントロールのラットには生理食塩水(1.5ml/kg)を、近位結腸壁(盲腸から1cm)に注射する。手術後、動物を個別にポリプロピレン製ケージ中で、制御された環境下(20±1℃、湿度50±5%、8:00amから8:00pmまで点灯)で、7日間飼育する。TNBS投与後7日目に、バルーン(5−6cm長)を肛門から挿入し、カテーテルを尻尾基部に貼り付けて体位を保つ(肛門からバルーンの先端は5cm)。試験化合物の経口投与を結腸膨張サイクルの1時間前に行い:バルーンを5mm Hg (0.667 kPa)の工程増分で0から75mm Hgまで徐々に膨らませ、各膨張工程は30秒間続く。結腸膨張の各サイクルは、標準的な圧調整機で制御する。閾値(mm Hg)は、最初の腹部収縮を発生させる圧力に対応し、そして次に膨張のサイクルを終了させる。結腸閾値は、同一の動物で4回の膨張サイクルを行った後、測定する。
【0233】
ラットでのLPS誘発性直腸過敏症
細菌性リポ多糖(LPS)の腹腔注射は覚醒ラットで直腸過敏症を誘発することが知られている。
【0234】
実験材料および方法:動物を筋電図検査のために外科的に処置する:ラットを、アセプロマジン(0.6mg/kg)およびケタミン(120mg/kg)の腹腔内注射により麻酔する。3群の3つの電極を、腹斜腹部外筋組織中、鼡径靱帯の直ぐ上に埋め込む。電極は、頚部の後ろから体外に出し、皮膚に接着するガラスチューブで保護される。動物を個別にポリプロピレン製ケージ中で、温度制御された環境下(21℃)で飼育する。餌(UARペレット、エピネー、フランス)および水は自由に摂取させる。
【0235】
筋電図検査の記録は、手術後5日目から開始する。腹部横紋筋の電気的活性を、脳波計測機器(ミニVIIIアルバー、パリ、フランス)により、低周波数シグナル(<3Hz)を除去するために短時間定数(0.03秒)を用いて、3.6cm/分の紙速度で記録する。スパイクバーストを腹部収縮の指標として記録される。
【0236】
膨張処置:ラットをプラスチック製トンネル(直径6cm×長さ25cm)に置き、そこではバルーンの損傷を防ぐために、動物は動くことも、逃亡することも回転することもできない。動物は、実験中のストレス反応を最小化するために、直腸膨張の前4日間、この処置に慣らされる。膨張に用いるバルーンは、動脈塞栓摘出術用カテーテル(フォーガティ、エドワード・ラボラトリー・インク)である。直腸膨張は、直腸内の肛門から1cmの部位に、バルーン(直径2mm×長さ2cm)を挿入することで行い、ついでカテーテルは尻尾基部に固定する。バルーンを、徐々に、微温水で0.4mlの工程増分で0から1.2mlまで膨らませ、各工程は5分間続く。可能性のある漏出を検出するために、バルーンに注入する水の体積を、膨張期間の完了時にシリンジで完全に取り除くことによって検査する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物およびその製薬的におよび/または獣医学的に受容できる誘導体。
式中、
1、R2、R3およびR20は、それぞれ独立して、H、Cl、Br、F、I、CF3、OCF3、MeまたはEtであり;
4は、場合によりC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、2〜4個の炭素原子を含有するアルコキシアルキルもしくはS−(C1-4アルキル)で置換されたhetまたはC3-7シクロアルキルであり;
aは、0または1であり;そして
hetは、少なくとも1個のN、OもしくはSヘテロ原子を含有する非芳香族の4、5もしくは6員ヘテロ環であり、この環は場合により、5もしくは6員炭素環式基にまたは少なくとも1個のN、OもしくはSヘテロ原子を含有する第二の4、5もしくは6員ヘテロ環に縮合しており、ここで、het基は場合により、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、OH、ハロ、CF3、OCF3、SCF3、ヒドロキシ−C1-6アルキル、C1-4アルコキシ−C1-6アルキルおよびC1-4アルキル−S−C1-4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
但し、R1、R2およびR3の少なくとも1個はH以外である。
【請求項2】
1がCl、Br、F、I、CF3、MeまたはEtであり;そして
2およびR3がそれぞれ独立して、H、Cl、Br、F、I、CF3、MeまたはEtである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1およびR2がそれぞれ独立して、Cl、Br、F、I、MeまたはEtであり;そして
3がH、Cl、Br、F、I、MeまたはEtである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1がCl、MeまたはCF3であり;
2がH、ClまたはFであり;そして
3がH、ClまたはFである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
4がC3-7シクロアルキルである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
aが0である、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
下記の化合物:
2,3−ジクロロ−N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]、
2,3−ジクロロ−N−シクロペンチル−4−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
3−クロロ−N−シクロペンチル−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−シクロペンチル−3−フルオロ−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロペンチル−3−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロヘキシル−3−フルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−シクロヘキシル−3−フルオロ−2−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−シクロブチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−シクロブチルメチル−2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−(シクロプロピルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−シクロヘプチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−シクロヘプチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
N−シクロヘキシル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
3−クロロ−2−メチル−N−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−(シクロブチルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、または
その製薬的におよび/または獣医学的に受容できる誘導体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
2,3−ジクロロ−N−シクロペンチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]、またはその製薬的におよび/または獣医学的に受容できる誘導体である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物、および製薬的に許容される助剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
医薬として使用するための請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
哺乳動物におけるモノアミン輸送体機能の調節が関与する障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
哺乳動物におけるセロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関与する障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関与する、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
哺乳動物における泌尿器障害、うつ病、疼痛、早漏、ADHDまたは線維筋痛を治療するための医薬の製造における、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項15】
哺乳動物における尿失禁、例えばGSIまたはUSIを治療するための、請求項14に記載の化合物の使用。
【請求項16】
治療が必要な患者に、治療上有効量の請求項1〜8のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、モノアミン輸送体機能の調節が関与する障害の治療方法。
【請求項17】
治療が必要な患者に、治療上有効量の請求項1〜8のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、セロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関与する障害の治療方法。
【請求項18】
セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
治療が必要な患者に、治療上有効量の請求項1〜8のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、泌尿器障害、うつ病、疼痛、早漏、ADHDまたは線維筋痛の治療方法。
【請求項20】
泌尿器障害が尿失禁、例えばGSIまたはUSIである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式(IX):
【化2】

(式中、R4およびaは請求項1〜8のいずれかで定義した通りであり、そしてPGは保護基である)の化合物を、式(II):
【化3】

(式中、XはOHまたはハロである)の酸またはアシルハライドと反応させ、
そして脱保護することを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2008−520646(P2008−520646A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542360(P2007−542360)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003643
【国際公開番号】WO2006/056884
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】