説明

モノビニル芳香族ポリマーと再生可能資源から作られたポリマーとから成る組成物の製造方法

【課題】モノビニル芳香族ポリマーと、再生可能資源から作られるポリマーの分散相とから成る組成物の製造方法。
【解決手段】下記(a)〜(d)の工程から成る、:(a)モノビニル芳香族モノマー(a2)中に分散した、ヒドロキシカルボン酸、このヒドロキシカルボン酸の先駆体、開環重合(ROP)によって重合可能な環式成分およびエポキシドと二酸化炭素の混合物の中から選択されるモノマーまたは二量体(a1)とを含む重合可能な混合物を形成し、(b)モノビニル芳香族モノマー(a2)中に分散した反復単位(a1)から成るポリマーA1を製造するのに有効な条件で、重合の重合可能な溶液を適当な触媒と接触させ、(c)段階(b)で得た溶液をラジカル経路で重合してポリマーA1の分散相を有するモノビニル芳香族ポリマーA2を作り、(d)段階(c)の生成物を脱気し、A1/(A2+A1)の重量比が50%までのモノビニル芳香族ポリマー(A2)と少なくとも(A1)とから成る組成物を回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、モノビニル芳香族ポリマーと再生可能資源から作られたポリマーとから成る組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化石燃料、従って再生不可能な資源から得られる汎用方法材料の生産は基本的にその埋蔵量を減すことになり、人類に対する資源の量は次第に枯渇する。使用済みの方法材料をリサイクルしたり、プラスチック廃棄物を熱や電気の供給用に焼却炉で燃料として価値化することの他に、化石燃料から得られる従来のプラスチックに再生可能資源から得たポリマーを部分的に組み入れることは望ましいことである。
【0003】
PLA(ポリ乳酸)は物理的および機械的特性、さらには加工性の点でポリスチレンに近い最も可能性の高いいわゆるバイオポリマーの一つであろう。その他のバイオ資源ポリマーも考えられ、特に生分解性ポリエステル、例えばポリヒドロキシアルカノアート(PHA)やシクロカーボネートから作られるポリカーボネートが挙げられる。
【0004】
2005年9月29日付けの特許文献1にはPLAを主成分とするポリスチレン(PS)とPLAとの混合物が記載されている。
【0005】
2000年1月18日付けの特許文献2には生物分解性を有する発泡性樹脂が記載されている。この組成物は基本的にPLAから作られ、PSは25重量%以下である。
【0006】
特許文献3の実施例1には下記組成物が記載されている:26.3重量%のポリ乳酸、26.3重量%のポリメタクリル酸メチル、11.6重量%のポリオレフィン、35.8重量%のメタクリル酸メチルとスチレンとのブロック共重合体(PSは30重量%)。これはポリスチレンが組成物の主成分でないことを意味している。
【0007】
2005年12月8日付けの特許文献4には3〜15重量%のシンジオタクチックポリスチレンを含む乳酸繊維が記載されている。
【0008】
特許文献5にはPLAとPLAの10〜25重量%の汎用ポリスチレンとの混合物が記載されている。この混合物はPLAとPSとをコンパウンディングして製造される。
【0009】
特許文献6には地球環境に対する負荷が減少した、強度、衝撃抵抗性、耐熱性および成形性に優れ、CO2排出量が低下した樹脂組成が記載されている。この樹脂組成物は(A)スチレン樹脂と、(B)脂肪族ポリエステルと、さらに、(C)相溶化試剤および(D)無水ジカルボン酸の中から選択される少なくとも一種の構成要素とから成る。相溶化試剤(C)は下記の少なくとも一つから成るのが好ましい:(C−1)ポリメタクリル酸メチル、(C−2)エポキシまたは酸無水物との共重合によって得られるビニル重合体、(C−3)メタクリル酸メチルにゴム状ポリマーをグラフトして得られるグラフト重合体、(C−4)乳酸セグメントとそれに結合したビニル重合体セグメントとから成るブロック共重合体。この組成物はコンパウンディングで製造する。
【0010】
特許文献7にはポリ乳酸、熱可塑性樹脂および相溶化試剤から成る植物の樹脂組成物が記載されている。相溶化試剤は少なくとも一つのアルキルメタクリレートから成るモノマー成分からなり、重量平均分子量が4,100,000〜950,000のポリマー物質である。上記アルキルメタクリレートはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、プロピルメタクリレートおよびメタクリル酸ブチルの中から選択される少なくとも一種である。この植物樹脂組成物は耐衝撃性と耐熱性とが改良される。この組成物はコンパウンディングで製造される。
【0011】
特許文献8(2006年12月7日)には押出し特性、剛性、モジュラス、断熱性、耐寒性、緩衝特性に優れた各種容器に二次加工される熱可塑性樹脂の発泡シートと、その製造方法とが記載されている。この発泡シートは(A)20〜90重量%のポリ乳酸と、(B)5〜65重量%のポリスチレンベース樹脂と、(C)5〜40重量%のポリプロピレンとから成る3成分の合計100重量ptsと(D)1〜20重量ptsの相溶化剤とをコンパウンディングで製造され、1.1〜5.0の膨張比と0.5〜3.0mmの厚さを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】日本特許公開第2005−264086号公報
【特許文献2】日本特許公開第2000−017038号公報
【特許文献3】米国特許第7160948号明細書
【特許文献4】日本特許公開第JP2005−336666号公報
【特許文献5】国際特許第WO92−04413号公報
【特許文献6】国際特許第WO2007015448号公報
【特許文献7】国際特許第WO2006097979号公報
【特許文献8】日本特許公開JP2006−32831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者は、モノビニル芳香族ポリマーと、一種または複数のバイオ資源を起源とするポリマー、例えばポリ(ヒドロキシカルボン酸)および/または環状カーボネート(必要に応じてさらにエポキシドおよび二酸化炭素を含むことができる)とから成る組成物を製造する極めて簡単な方法を発見した。
モノビニル芳香族モノマーはスチレンであるのが好ましく、バイオ資源を起源とするポリマーは乳酸またはラクチド、その環式二量体(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)であるのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、下記(a)〜(d)の工程から成る、少なくとも一種のモノビニル芳香族ポリマーと、少なくとも再生可能資源から作られる一種または複数のポリマーの分散相とから成る組成物の製造方法にある:
(a)少なくとも一種のモノビニル芳香族モノマー(a2)中に分散した、ヒドロキシカルボン酸、このヒドロキシカルボン酸の先駆体、開環重合(ROP)によって重合可能な環式成分およびエポキシドと二酸化炭素の混合物の中から選択される少なくとも一種のモノマーまたは二量体(a1)とを含む重合可能な混合物を形成し、必要に応じてモノビニル芳香族モノマー(a2)中にゴムを溶解し、
(b)モノビニル芳香族モノマー(a2)中に分散した反復単位(a1)から成るポリマーA1を製造するのに有効な条件で、重合の重合可能な溶液を適当な触媒と接触させ、
(c)段階(b)で得た溶液を、必要に応じてフリーラジカル開始剤および連鎖移動剤の存在下で、ラジカル経路で重合してポリマーA1の分散相を有するモノビニル芳香族ポリマーA2を作り、
(d)段階(c)の生成物を脱気し、必要に応じて未重合のモノマーおよびコモノマーを分離して、A1/(A2+A1)の重量比が50%までの少なくともモノビニル芳香族ポリマー(A2)と少なくとも(A1)とから成る組成物を回収する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第2の実施例は、下記(a)〜(c)の工程から成る、少なくとも一種のモノビニル芳香族ポリマーと、少なくとも再生可能資源から作られる一種または複数のポリマーの分散相とから成る組成物の製造方法にある:
(a)少なくとも一種のモノビニル芳香族モノマー(a2)中に分散した、ヒドロキシカルボン酸、このヒドロキシカルボン酸の先駆体、開環重合(ROP)によって重合可能な環式成分およびエポキシドと二酸化炭素の混合物の中から選択される少なくとも一種のモノマーまたは二量体(a1)とを含む重合可能な混合物を形成し、必要に応じてモノビニル芳香族モノマー(a2)中にゴムを溶解し、
(b)反復単位(a1)とから成るポリマーA1とモノビニル芳香族ポリマーA2とを同時に製造するのに有効な条件で、重合の重合可能な溶液を適当な触媒と接触させ、
(c)段階(b)で得た溶液を脱気して未重合モノマーおよびコモノマーを分離し、A1/(A2+A1)の重量比が50%までの少なくともモノビニル芳香族ポリマー(A2)と少なくとも(A1)とから成る組成物を回収する。
【0016】
上記の両方の実施例で、モノビニル芳香族モノマーと共重合可能な一種または複数のコモノマーが存在できる。本明細書および請求項ではポリ(モノビニル芳香族モノマーおよび一種または複数のコモノマー)はモノビニル芳香族ポリマーともよばれる。
【0017】
上記の両方の実施例で、ヒドロキシ・カルボキシレートの全体または一部をヒドロキシカルボン酸で置換することもできる。
【0018】
分散相A1の粒子はモノビニル芳香族ポリマー包括物を含むことができ、A1の粒子自体がモノビニル芳香族ポリマーの少なくとも一つの副粒子を含むことができる。
【0019】
任意成分として初期配合中にゴムを含む場合、ゴムとポリマーA1相はほぼ球面で、PS連続相中に分散していることを特徴とする独立粒子として存在している。ゴムおよびポリマーA1粒子はよく混合されたビニル芳香族ポリマーの少なくとも一つの副粒子を含むことができる。単一のエンキャプスレートされた副粒子を含む(「包括物(occlusion))」と呼ばれる)ゴムおよびビニル芳香族ポリマーのポリマーA1粒子は一般にカプセルまたは「コアシェル」粒子とよばれ、少なくとも2つのよく混合されたビニル−芳香族粒子を含むものはいわゆる「サラミ」形態タイプである。これらの2つのタイプの分散相は本発明によって得られる生成物のいずれの形態にもみられる。ポリマーA1およびオプションのゴムのグラフトのレベルに従って、コアシェル、サラミ、その他の形態、例えば迷路、タマネギ、ロッド、溶滴等になる。
【0020】
ヒドロキシカルボン酸モノマーはとうもろこしや砂糖大根またはその他の糖−澱粉−生産植物のような再生可能な資源から得られるのが好ましい。「ポリ(ヒドロキシカルボン酸)」という用語はホモポリマーおよびコポリマーおよびこの種のポリマーの一種または複数の混合物を含む。
【0021】
ヒドロキシカルボン酸は下記の式(I)で表される:

【0022】
(ここで、R9は水素または1〜12の炭素原子を有する直鎖または分岐したアルキルであり、R10は任意で、1〜12の炭素原子を有する直鎖または分岐したまたは環式のアルキレン鎖である)
【0023】
モノマーの反復単位は脂肪族である限り、特に制限されず、ヒドロキシル残基とカルボキシル残基とを有する。可能なモノマーの例は乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシブチル酸、4−ヒドロキシブチル酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸および6−ヒドロキシカプロン酸である。
【0024】
モノマーの反復単位は環式モノマーまたは環式二量体に由来する脂肪族ヒドロキシカルボキシル酸にすることができる。これらの例はラクチド、グリコリド、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−アプロラクトン等である。環式モノマーおよび環式二量体はヒドロキシカルボン酸の「先駆体」でもよい。
【0025】
ヒドロキシカルボン酸単位中に不斉炭素原子がある場合、各D体およびL体および両方の混合物のいずれも使用できる。ラセミ混合物も使用できる。例えば、D,D−ラクチドは2つのD−乳酸から作られる環式二量体であり、L,L−ラクチドは2つのL−乳酸から作られる環式二量体であり、メゾ・ラクチドは1つのD−乳酸と一つのL−乳酸からなる二量体である。L,D−ラクチドはL,L−ラクチドおよびD,D−ラクチドのラセミ混合物を示す。
【0026】
ポリ(ヒドロキシカルボン酸)は必要に応じて一種または複数のコモノマーを含むことができる。コモノマーは第2の別の上記一般式(I)に定義のヒドロキシカルボキシル酸にすることができる。各ヒドロキシカルボキシル酸の重量百分率は特に制限されない。コモノマーは二塩基カルボキシル酸および二価アルコールから成ることができる。これらは一緒に反応してヒドロキシカルボン酸、例えば乳酸およびそのポリマーと反応可能なフリーなヒドロキシル末端基およびフリーなカルボキシル酸末端基を有する式(II)に示す脂肪族エステル、オリゴエステルまたはポリエステルを形成する。
【0027】

【0028】
(ここで、R11およびR12は1〜12の炭素原子を有する直鎖または分岐したアルキレンで、互いに同じでも異なっていてもよく、「t」は反復単位の数を表し、少なくとも1の任意整数である)
【0029】
各モノマーすなわちヒドロキシカルボキシル酸モノマー、脂肪族エステル、式(II)のオリゴエステルまたはポリエステルコモノマーの重量百分率は特に制限されない。ポリ(ヒドロキシカルボン酸)は少なくとも50重量%のヒドロキシカルボキシル酸モノマーと、多くても50重量%の肪族エステル、オリゴエステルまたはポリエステル・コモノマーから成る。
【0030】
式(II)に示すように脂肪族ポリエステル単位で使用する二価アルコールおよび二塩基酸は特に制限されない。可能な二価アルコールの例はエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、イソソルビド、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびこれらの混合物である。
【0031】
脂肪族二塩基酸は琥珀酸、蓚酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、3,3−ジメチルペンタ二酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような環式ジカルボン酸およびこれらの混合物である。ヒドロキシカルボン酸コポリマーの二塩基酸残分は脂肪族二塩基酸の対応ジアシルクロライドまたはジエステルに由来できる。
【0032】
二価アルコールまたは二塩基酸中の不斉炭素原子はD体およびL体および両者の混合物が使用でき、ラセミ混合物を使用することもできる。
【0033】
開環重合(ROP)によって重合可能な環式成分は上記ヒドロキシカルボン酸の先駆体と式基のラクトンおよびラクチドを挙げることができる。
【0034】
開環重合によって重合可能な他の環式成分は環状カーボネート、好ましくは環状カーボネート5−〜7−員環の環状カーボネートであるのが好ましい。この重合方法は5−および6−員の環状カーボネートが好ましい。非制限的な例はトリメチレンカーボネート(TMC)、2−ベンジルオキシ−トリメチレンカーボネート(BTMC)、2−ヒドロキシ−トリメチレンカーボネート(TMCOH)、4−(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン(BDMC)、4−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン(DMCOH)である。特に、環状カーボネート、例えば2−オキシ−トリメチレンカーボネート(OTMC)、デヒドロトリメチレンカーボネート(DHTMC)そして、2,2−ジメトキシ・トリメチレン・カーボネート(TMC(OMe)2)が挙げられる。
【0035】

【0036】
トリメチレン・カーボネートの開環重合は下記で表される:
【0037】

【0038】
エポキシドと二酸化炭素の混合物としては下記文献に記載のエポキシドと二酸化炭素の混合物が挙げられる。この文献のないようは本明細書の一部を成す。
【非特許文献1】Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 6618 - 6639 /www.angewandte.org/ _ 2004 Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim
【0039】
モノビニル芳香族モノマーはビニル官能基を有する任意の芳香族化合物で、例としてはスチレン、ビニル・トルエン、αメチルスチレン、αエチルスチレン、メチル−4−スチレン、メチル−3−スチレン、メトオキシ−4−スチレン、ヒドロキシメチル−2−スチレン、エチル−4−スチレン、エトオキシ−4−スチレン、ジメチル3,4−スチレン、クロル−2−スチレン、クロル−3−スチレン、クロル−4−メチル−3−スチレン、tert−ブチル−3−スチレン、ジクロル−2,4−スチレン、ジクロル(2,6−)スチレン、ビニル−1−ナフタレンおよびビニルアントラセンを挙げることができる。複数のモノビニル芳香族モノマーを使用しても本発明の範囲を逸脱するものではない。モノビニル芳香族モノマーの一部をスチレンと共重合可能な不飽和モノマーに代えることができる。
【0040】
例としてはアクリル酸またはメタアクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが挙げられる。コモノマーの配合比率は100〜50重量%のモノビニル芳香族モノマーに対して0〜50重量%である。
【0041】
実施例のモノビニル芳香族ポリマーは下記から成る:
i)60〜100重量%の一種または複数のC−8−12モノビニル芳香族モノマー、
ii)0〜40重量%のアクリル酸またはメタアクリル酸のC1〜4アルキルエステルおよびアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから成る群の中から選択される一種または複数のモノマー。
【0042】
ゴムとしてはEPR(エチレン‐プロピレンゴムまたはエラレン−プロピレン・エラストマー)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン・ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエン・エラストマー)、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン・コポリマー、ポリイソプレン、イソプレン−アクリロニトリル共重合体、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、水素化された中間ブロックを有するスチレン−エチレン/ブチレンスチレン−スチレンブロックコポリマー、SEBSまたはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレンブロックを含む任意のコポリマーが挙げられる。特に、スチレン・ブロックを有するコポリマーはスチレン・ブロックとブタジエンまたはイソプレンまたはブタジエン/イソプレン混合物のブロックを有するコポリマーである。これらのブロック共重合体は直鎖ブロック共重合体または水素化および/または官能化された星型ブロック共重合体でもよい。これらのコポリマーは下記文献に記載されている。
【0043】
【非特許文献2】ULLMANN1S ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY, fifth edition (1995) VoI A26, pages 655-659
【0044】
これはトタル社(Total Petrochemicalsunder)から「Finaclear、登録商標」の商標で市販のもの、BASF社から「Styrolux、登録商標」の商標で市販のもの、Kraton社から「KratonD、登録商標」の商品名で市販のもの、シェブロン・フィリップス社から「K-Resin、登録商標」で市販のものがある。
【0045】
ゴムの例としては下記の群の中から選択できる:
(a)C4−6共役ジエンのコポリマーおよびホモポリマー、
(b)60〜85重量%の一種または複数のC4−6共役ジエンのコポリマーと15〜40重量%のアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから成る群の中から選択されるモノマー
(c)20〜60重量%、好ましくは40〜50重量%の好ましくは未置換またはC1−4アルキル基で置換された一種または複数のC8−12ビニル芳香族モノマー、60〜40重量等、好ましくは50〜60重量%のC4−6共役ジオレフィンから成る群の中から選択される一種または複数のモノマーから成るコポリマー。
ゴムは多数の方法、好ましくは乳化重合または溶液重合で製造できる。これらの方法は当業者に周知である。複数のゴムを使用しても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0046】
本発明の第1実施例の段階(b)では(a2)モノビニル芳香族モノマー中に分散した反復単位(a1)を有するポリマーA1を生産するのに有効な条件で重合可能な溶液と適当な触媒を接触させる。
【0047】
モノビニル芳香族モノマーの重合を防ぐために中程度の温度で重合を実行するのが勧められる。この温度は100℃以下、好ましくは60℃以下、最も好ましくは2℃である。使用可能な触媒は例えば有機触媒または金属触媒である。
【0048】
有機触媒としては下記が挙げられる:リパーゼ酵素、4−アミノピリジン、例えば4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジンピリジン、トリフルオロメタンスルホン酸または下記文献に記載のチオ尿素−アミン触媒。
【非特許文献3】D. Bourissou et al., C. R. Chimie 10 (2007), p.775-794"Organocatalytic Ring-Opening Polymerization", Kamber et al., Chemical Reviews, March 2007
【0049】
金属触媒としては下記が挙げられる:特許文献9およびに記載のランタニド(第II族、例えばY、La、Nd)ベースの触媒、非特許文献5に記載のジアミノフェノレートリガントを有する亜鉛系触媒。
【特許文献9】国際特許第WO2007/057422号公報
【非特許文献4】Feijin et al., Macromolecules, (1996) 29, p.6132, Carpentier et al., Chem. Comm. (2004), p.330 and Chem. Eur. J. (2006) 12, p.169
【非特許文献5】Tolman et al., JACS, (2003) 125, p.11350
【0050】
本発明の第1実施例の段階(c)では、段階(b)で得られた溶液を、必要に応じてフリーラジカル開始剤の存在下で、必要に応じて連鎖移動剤の存在下で重合させる。
【0051】
重合は従来方法のバルク重合、溶液重合または水性分散重合で実行できる。発明の方法は希釈したバルク重合法として実行するのが好ましい。希釈したバルク重合法を使用する場合、重合体積粘性係数を下げるために使用するモノビニル芳香族モノマーをベースにして初期溶液に約20重量%の不活性溶媒を混合し、重合熱を下げ、熱交換を改良し、バルク中の熱を均一化する。適した希釈剤はエチルベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンおよび脂肪族炭化水素溶剤、例えばドデカンおよびその混合物等の芳香族溶剤である。本発明の目的ではビニル芳香族モノマーとこれらの溶剤との混合物で希釈剤を構成することもできる。この場合、希釈剤はリサイクル溶剤(「リサイクル」とよばれる)、未反応芳香族モノマーとで作られる。本発明方法ではモノビニル芳香族モノマーの重合後、除去したバルク重合中の熱均一性を改良するのに有効で、モノビニル芳香族モノマーおよび任意成分のコモノマーの重合を妨げない任意の溶剤を使用できる。
【0052】
適切な連鎖移動剤、例えばメルカプタンまたはα−メチルスチレン二量体を加えて、ポリ(ヒドロキシカルボン酸)およびオプションのゴムのポリマー分子量および粒子サイズを制御することかできる。
【0053】
ポリマーA1(またはポリマーA1とゴム)はモノビニル芳香族モノマー中に分散または「溶解」される。モノビニル芳香族モノマーから最初に作られるモノビニル芳香族ポリマーは溶液または分散中のモノビニル芳香族モノマーの均一なポリマーA1(またはポリマーA1とゴム)である。重合の初めに、反応する溶液が反応溶液がポリマーA1のモノビニル芳香族ポリマー粒子から逆ポイントの前のポイントすなわちポリマーA1(またはポリマーA1とゴム)/モノビニル芳香族モノマーがポリマーA1(またはポリマーA1とゴム)粒子中に行くポイントからモノビニル芳香族ポリマー・マトリックス中にポリマーA1(またはポリマーA1とゴム)粒子があるようになる。換言すれば、モノビニル芳香族ポリマー相の体積分率がポリマーA1相(またはポリマーA1とゴム)の体積分率に等しくなった時に相反転が起こり、モノビニル芳香族モノマー/モノビニル芳香族ポリマー相が連続相になり、ポリマーA1(またはポリマーA1とゴム)相が不連続相になる。
【0054】
ゴムがない場合には、モノビニル芳香族モノマーがポリマーA1粒子の周りとその内部に重合し、ポリマーA1粒子中にモノビニル芳香族ポリマー内包物となる。活性ラジカルの存在下で巨大分子(おそらく開始剤から来る)によって容易に抜き出し可能な不安定な水素原子がポリマーA1中に存在することによってモノビニル芳香族モノマーの一部はポリマーA1(またはポリマーA1とゴム)上にグラフトする。ポリマーA1高分子から水素原子を抜き出すことでポリマーA1−in−モノビニル芳香族コポリマーができ、モノビニル芳香族ポリマー−in−モノビニル芳香族ポリマー連続相中に分散したポリマーA1−in−モノビニル芳香族モノマー相の乳化剤の役目をする。
【0055】
このプロセスで一般にHiPS(高衝撃ポリスチレン)で得られるゴム相モルホロジと同様なポリマーA1分散相モルホロジになり、ポリマーA1グラフトレベルに応じてポリマーA1モルホロジーはサラミ状またはカプセル(コア−シェル)粒で構成される。ポリマーA1のグラフトレベルは重合バルク調節開始剤またはグラフト促進剤、例えば有機過酸化物、例えば一つの,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ−(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン)、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、OO−t−アミル−O−(2−エチルヘキシルモノペルオキシ−カーボネート)、OO−t−ブチル−O−イソプロピルモノペルオキシ−カーボネート、OO−t−ブチル−O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシ−カーボネート、ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)吉草酸エステル、エチル3,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ブチラート、およびその混合物、ヒドロペルオキシド、一重項酸素(12)または上記過酸化水素と一緒に用いるアミン−錯体ボラン誘導体を導入することで容易に調整できる。グラフト促進剤の量は0〜1000ppmの範囲にある。
【0056】
ゴムが存在する場合、大部分のポリマーA1は分散粒子の二次個体群を発生させる。この分散ポリマーA1粒子は少なくとも一つの良く混合されたモノビニル芳香族ポリマーサブ粒子を捕捉し、従来のHiPSプロセス法でみられる粒子内モルホロジ、例えばサラミ、カプセル、迷路、ロッドまたは溶滴モルホロジを示す。
【0057】
この特殊方法では、本発明組成物はバッチで作るか、連続した一連の攪拌型(CSTR)および/または押出流反応装置で連続に作るか、「逆相反応装置」とよばれる相反転反応装置で作ることができる。本発明反応装置の下流の逆相反応装置でのモノビニル芳香族モノマーの重合をさらに進めることができる。
【0058】
本発明の第1実施例の段階(d)では前段階(c)の生成物の脱気して、必要に応じて未重合のモノマーおよびコモノマーを分離し、少なくとも(A2)モノビニル芳香族ポリマーおよび少なくとも(A1)から成る組成物を回収する。
【0059】
段階(c)の逆相反応装置の下流の反応装置でビニル芳香族モノマーの重合をさらに進め、通常のフラッシュ−脱揮発法または減圧−押出法を使用している本発明組成物から脱ガスして固形分を十分に高く(60〜90重量%)することができる。ポリマーA1を含むモノビニル芳香族ポリマー材料が得られる。
【0060】
本発明の第2実施例の段階(b)では反復単位(a1)とモノビニル芳香族ポリマーとから成るポリマーA1を同時に製造する条件で適当な触媒を段階(a)の重合可能な溶液と接触させる。この同時重合は本発明の第1実施例の段階(c)で使ったのと同じ反応装置で実施できる。反応装置(複数の反応装置の場合には最初の反応装置)(例えば押出流またはCSTR)は少なくとも120℃の温度にする。(a1)の重合はエステル化に適した任意の触媒で行うことができる。
【0061】
錫−2−エチル−ヘキサノエートまたはSn(Oct)2を(a1)の重合に用いることができる。モノビニル芳香族モノマーは温度で重合する。アルコール、例えば(a1)の重合の活性化剤および連鎖移動剤として1−ブタノールを使うことができる。初期の触媒/(a1)またはその先駆体モル比は0.001〜0.01にし、触媒/アルコールの初期モル比は0.01〜2にするのが好ましい。
【0062】
エステル化触媒はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムから成る群の中から選択される金属(M)の誘導体にすることができる。この誘導体の例は一般式:M(OR)4に対応するテトラアルコキシドある。ここで、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、基Rは1〜24の炭素原子含む直鎖または分枝アルキル基を表し、互いに同一でも異なってもよい。
【0063】
本発明方法の触媒として使用される上記テトラアルコキシドのRのC1〜C24アルキル基はアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、エチルヘキシル、デシル、ドデシルまたはヘキサドデシルの中から選択できる。好適な触媒はRがC1〜C8アルキル基(同一でも異なってもよい)であるテトラアルコキシドラジカルである。この触媒の例はZr(OC25M、Zr(O−isoC374、Zr(OC494、1Zr(OC5114、Zn(OC6134、Hf(OC254、Hf(OC494およびHf(O−isoC374である。
【0064】
触媒は上記定義の式:M(OR)4のテトラアルコキシド単独にするか、その少なくとも一つと一種または複数のアルカリ金属アルコキシドまたは一種または複数のアルカリ土類金属アルコキシド(R1O)pYとの組合せにすることができる。ここで、R1は炭化水素ベースの基、好ましくはC1〜C24、より好ましくはC1〜C8アルキルであり、Yはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、pはYの原子価である。混合触媒を構成するために組み合わせるアルカリ金属またはアルカリ土類金属アルコキシドおよびジルコニウムまたはハフニウムのテトラアルコキシドの量は広範囲に変えることができるが、テトラアルコキシドのモル比がアルコキシドのモル比と等しくなるようなアルコキシドの量を使用するのが好ましい。
【0065】
触媒がアルカリ金属アルコキシドを含まない場合または触媒がこれらの2つのタイプの化合物の組合せまたは全てがテトラアルコキシドとアルカリ金属またはアルカリ土類金属から成る場合の触媒すなわちテトラアルコキシドの量はヒドロキシカルボン酸またはその先駆体の重量の0.01〜5重量%である。
【0066】
他の誘導体の例は金属(M)の塩、特に(M)および有機酸の塩および(M)の酸化物の複合塩および/または(M)の水酸化物および有機酸である。有機酸は蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サリチル酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、マイレン酸、フマル酸、フタル酸およびクロトン酸を挙げることができる。酢酸およびプロピオン酸が特に好ましい。Mはジルコニウムが好ましい。その塩はジルコニル塩と言われる。理論に縛られるものではないが、ジルコニウムおよび有機酸の塩または上記の錯塩はZrO++を出すと思われる。ジルコニルアセタート特許呼ばれる化合物が市販されている。使用量は誘導体M(OR)4と同じである。
【0067】
(a1)がラクチドの場合、錫−2−エチル−ヘキサノエートまたはSn(Oct)2をラクチドROP(開環重合)触媒として使用し、モノビニル芳香族モノマーを温度で重合する。アルコール(例えば1−ブタノール)をラクチドROPの活性化剤および連鎖移動剤として使用する。(Sn(Oct)2)/(ラクチド)の初期モル比は0.01〜0.001、(アルコール)/(Sn(Oct)2)の初期モル比は0.01〜2であるのが好ましい。
【0068】
モノビニル芳香族モノマーの重合は必要に応じてフリーラジカル開始剤、例えば過酸化水素の存在下、必要に応じて連鎖移動剤の存在下で行うことができる。段階(b)の重合は本発明の第1実施例の段階(c)と同様に従来のバルク重合法、溶液重合法、水性分散重合で実行できる。本発明方法は希釈バルク重合法で実行するのが好ましい。希釈バルク重合法を使用する場合、初期溶液はモノビニル芳香族モノマーに対して約20重量%以下まで混合して、不活性溶媒の重合体積粘性係数を下げ、重合熱を減し、熱交換性を改良し、バルク中で均一に加熱することができるようにする。
【0069】
ゴムを含まない場合には、モノビニル芳香族モノマーがポリマーA1粒子の周りおよびその内部に重合し、モノビニル芳香族ポリマー介在物がポリマーA1粒子中に含まれる。
【0070】
活性ラジカルの存在下で巨大分子(おそらく開始剤から来る)によって容易に抜き出し可能な不安定な水素原子がポリマーA1中に存在することによってモノビニル芳香族モノマーの一部はポリマーA1(またはポリマーA1とゴム)上にグラフトする。ポリマーA1高分子から水素原子を抜き出すことでポリマーA1−in−モノビニル芳香族コポリマーができ、モノビニル芳香族ポリマー−in−モノビニル芳香族ポリマー連続相中に分散したポリマーA1−in−モノビニル芳香族モノマー相の乳化剤の役目をする。
【0071】
このプロセスで一般にHiPS(高衝撃ポリスチレン)で得られるゴム相モルホロジと同様なポリマーA1分散相モルホロジになり、ポリマーA1グラフトレベルに応じてポリマーA1モルホロジーはサラミ状またはカプセル(コア−シェル)粒で構成される。ポリマーA1のグラフト・レベルは第1実施例の段階(c)に記載の有機過酸化物を導入することで容易に調整できる。
【0072】
ゴムが存在する場合には、大部分のポリマーA1は分散粒子の二次個体群を作る。この分散ポリマーA1粒子は少なくとも一つの良く混合されたモノビニル芳香族ポリマーサブ粒子をトラップし、従来のHiPSプロセスでみられる粒子内側のモルホロジ、例えばサラミ、カプセル、迷路、ロッドまたは溶滴モルホロジを示す。この方法の本発明組成物はバッチまたは一連の連続攪拌型(CSTR)および/または押出流型反応装置で連続的に製造できる。
【0073】
本発明の第2実施例の段階(c)では段階(b)の生成物を脱気して未重合モノマーおよびコモノマーを分離して、少なくとも(A2)モノビニル芳香族ポリマーと少なくともポリマーA1(A1)から成っている組成物を回収する。
【0074】
段階(c)の重合は本発明組成物から脱気する通常のフラッシュ−脱揮発装置または減圧−押出機を使用して固形分を十分に高くする(60〜90重量%)。ポリマーA1を含むモノビニル芳香族ポリマー材料が得られる。A1/(A2+A1)重量比は20%〜30%が好ましい。
【0075】
モノビニル芳香族ポリマー重量比は下記であるのが好ましい:
ポリマーA1+ゴムが1〜50%で、モノビニル芳香族ポリマーが99〜50%の場合には、
50〜99%のモノビニル芳香族ポリマー
1〜50%のポリマーA1、
0〜35%のゴム、
ポリマーA1+ゴムが1〜30%で、モノビニル芳香族ポリマーが99〜70%の場合には、
70〜99%のモノビニル芳香族ポリマー
1〜30%のポリマーA1
0〜25%のゴム
ポリマーA1+ゴムが1〜20%で、モノビニル芳香族ポリマーが99〜80%の場合には、
80〜99%のモノビニル芳香族ポリマー
1〜20%のポリマーA1
0〜15%のゴム
ポリマーA1+ゴムが5〜20%で、モノビニル芳香族ポリマーが95〜80%の場合には、
80〜95%のモノビニル芳香族ポリマー
5〜20%のポリマーA1
0〜15%のゴム
【0076】
本発明のモノビニル芳香族ポリマー組成物はモノビニル芳香族ポリマー、ポリマーA1およびゴムに加えて添加剤をさらに含むことができる。典型的な添加剤は連鎖移動剤、充填剤、例えばタルク、鉱物充填剤、有機クレー、有機相溶化剤、抗酸化剤、紫外線安定剤、滑剤、鉱油、シリコン油、植物油、PE、PPまたはPTFEワックス、可塑剤、顔料、カーボンブラック、難燃剤等である。モノビニル芳香族ポリマーにおいて、も、本発明内に使うことができる。この種のポリマーの通常の当業者に公知の任意の添加剤が使用できる。
【0077】
本発明のモノビニル芳香族ポリマー組成物は再生可能な資源からの原料成分を組み入れる限り、環境にやさしい汎用モノビニル芳香族ポリマー(例GPPSを用いた)または耐衝撃モノビニル芳香族ポリマー(例HiPSを用いた)として有効である。また、GPPS、HiPSまたはABSから成る成形品と同様に発泡、押出、熱成形、射出成形できる。特に、食品包装またはディスポーザブル物品を作るため使用でき、焼却して熱または電気を生産することができる。この場合、従来のスチレンポリマーと比較して、植物起源の物質から栽培中に空気中のCO2を捕捉するので、温室効果ガス効果が減り有利である。得られたポリマーは各種用途、例えば冷蔵庫ライナー、TVフロントおよび後部蓋、家庭用品、電子電気器具、酪農カップ、食品包装、断熱材料、その他で使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(d)の工程から成る、少なくとも一種のモノビニル芳香族ポリマーと、少なくとも再生可能資源から作られる一種または複数のポリマーの分散相とから成る組成物の製造方法:
(a)少なくとも一種のモノビニル芳香族モノマー(a2)中に分散した、ヒドロキシカルボン酸、このヒドロキシカルボン酸の先駆体、開環重合(ROP)によって重合可能な環式成分およびエポキシドと二酸化炭素の混合物の中から選択される少なくとも一種のモノマーまたは二量体(a1)とを含む重合可能な混合物を形成し、必要に応じてモノビニル芳香族モノマー(a2)中にゴムを溶解し、
(b)モノビニル芳香族モノマー(a2)中に分散した反復単位(a1)から成るポリマーA1を製造するのに有効な条件で、重合の重合可能な溶液を適当な触媒と接触させ、
(c)段階(b)で得た溶液を、必要に応じてフリーラジカル開始剤および連鎖移動剤の存在下で、ラジカル経路で重合してポリマーA1の分散相を有するモノビニル芳香族ポリマーA2を作り、
(d)段階(c)の生成物を脱気し、必要に応じて未重合のモノマーおよびコモノマーを分離して、A1/(A2+A1)の重量比が50%までの少なくともモノビニル芳香族ポリマー(A2)と少なくとも(A1)とから成る組成物を回収する。
【請求項2】
段階(b)で(a1)の重合を100℃で行う請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階(b)で(a1)の重合を60℃で行う請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階(b)で(a1)の重合を20〜40℃で行う請求項3に記載の方法
【請求項5】
段階(b)で使用可能な触媒例えば有機触媒または金属触媒である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
下記(a)〜(c)の工程から成る、少なくとも一種のモノビニル芳香族ポリマーと、少なくとも再生可能資源から作られる一種または複数のポリマーの分散相とから成る組成物の製造方法:
(a)少なくとも一種のモノビニル芳香族モノマー(a2)中に分散した、ヒドロキシカルボン酸、このヒドロキシカルボン酸の先駆体、開環重合(ROP)によって重合可能な環式成分およびエポキシドと二酸化炭素の混合物の中から選択される少なくとも一種のモノマーまたは二量体(a1)とを含む重合可能な混合物を形成し、必要に応じてモノビニル芳香族モノマー(a2)中にゴムを溶解し、
(b)反復単位(a1)とから成るポリマーA1とモノビニル芳香族ポリマーA2とを同時に製造するのに有効な条件で、重合の重合可能な溶液を適当な触媒と接触させ、
(c)段階(b)で得た溶液を脱気して未重合モノマーおよびコモノマーを分離し、A1/(A2+A1)の重量比が50%までの少なくともモノビニル芳香族ポリマー(A2)と少なくとも(A1)とから成る組成物を回収する。
【請求項7】
段階(b)の触媒がエステル化触媒である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
段階(b)の触媒が錫−2−エチル−ヘキサノエートまたはSn(Oct)2である請求項6に記載の方法。
【請求項9】
(a1)の重合のための活性化剤および連鎖移動剤としてアルコールを使用する請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(a1)がラクチドである請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
A1/(A2+A1)の重量比が30%以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
A1/(A2+A1)の重量比が20%以下である請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529109(P2011−529109A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519169(P2011−519169)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059471
【国際公開番号】WO2010/010139
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】