説明

モノビニル芳香族ポリマーブロックを有するジブロックコポリマーの製造方法

【課題】ブロック共重合体A-Bと任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを含む組成物の製造方法。
【解決手段】(a)モノビニル芳香族モノマー中に分散させた開環重合(ROP)可能な環式成分と任意成分のゴムを含む混合物を形成し、(b)混合物を(b1)と(b2)の混合物と接触させ、(b1)は下記のいずれかであり:M[N(SiR83)2]x(Mは金属、R8は炭化水素基、xは金属Mの結合価)または金属アルコキシドM(OR9)x(Mは金属、R9は炭化水素基、xは金属Mの結合価)または式(I)のプロ−リガンドまたはトリアザビシクロデセン(TBD)または式(II)のβ−ジイミネートリガンド(BDI)ベースシングルサイト金属触媒成分:(b2)官能性Yを含む官能性アルコール、(C)官能性Yを介してブロックポリマーAに結合したモノビニル芳香族ブロックポリマーBを製造するのに有効な条件下で、段階(b)で得られた溶液を重合させ、(d)少なくともブロック共重合体A-Bを含む組成物を回収する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノビニル芳香族ポリマーブロックとエステルまたはカルボメートモノマー単位、例えば乳酸、グリコール酸、ラクトンおよび/またはトリメチレンカルボメートを有するブロックとを有するジブロック・コポリマーの製造方法に関するものである。
上記ジブロックとモノビニル芳香族ポリマーとの混合物はモノビニル芳香族ポリマー単独のものと同様な高い透明性を有する。上記ジブロックはブロックの少なくとも1つと基本的に同じモノマー単位から成る少なくとも一つのポリマーと、他のブロックと基本的に同じモノマー単位から成るポリマーとの混合物の相溶化剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
化石(すなわち再生不可能な)からの通常のプラスチック材料の製造は人類のための埋蔵鉱物の資源を減少させ、枯渇させることになる。使用済みプラスチック材料やプラスチック廃棄物を有価物にしてリサイクルするか、焼却炉で燃料として供給し、焼却して熱や電気とすることの他に、石油化学から来る従来のプラスチックの一部に再生可能資源から作られたポリマーを取り入れることが望ましい。PLA (ポリ(乳酸))は加工性以外の物理的および機械的特性に関して最も高いポテンシャルを有するバイオポリマーの1つであり、ポリスチレンに極めて似た特性を有する。
【0003】
非特許文献1には原子−移送ラジカル重合(ATRP)および開環重合(ROP)に適したモノマーを重合させることができる二官能性開始剤を製造するために開発されたワンステップ方法が記載されている。この二官能性開始剤はポリ(スチレン)高分子開始剤の分散を狭くするために使用され、その後は種々のラクチドROPしてポリ(スチレン-ブロック・ラクチド)コポリマーにするのに使用される。これらのブロック共重合体のThermogravimetric anal(TGA)は2段階劣化曲線を示し、その第1段階はポリ(ラクチド)セグメントの劣化に対応し、第2段階はブロック共重合体のポリ(スチレン)セグメントに関連する。この二官能性開始剤は3-ヒドロキシ、4-ヒドロキシおよび3,5-ジヒドロキシベンジルアルコールを臭化ブロムイソブチリルおよび臭化2-ブロムブチリルでエステル化して調製される。エステル化されたベンジルアルコールは銅(Cu)で触媒とするATRP条件下でスチレンの重合で使用され、多分散性が低い高分子開始剤となる。この高分子開始剤はL-、DL-およびラクチド混合物のROPでも使用された。ブロック共重合体が形成されることはゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)、分光分析および熱性特徴によって確認された。
【0004】
非特許文献2には系内で作ったルテニウム触媒を用いて連続したROPおよびATRP条件で製造したポリ(ε−カプロラクトン)−ブロック−ポリスチレンのメタロポリマーが記載されている。Sn(Oct)2を触媒とする官能化したヒドロキシビピリジン開始剤を用いた(ε−カプロラクトン)の開環重合(ROP)でマクロリガンド(1)を製造する。このマクロリガンド(1)は1つのポリマー鎖当たり2つの別の末端官能基を有し、これがATRPの最適性能のための第3ブロモエステルポリマー開始剤(2)に転換される。
【0005】
【化1】

【0006】
この官能性開始剤(2)を用いて系内で作ったルテニウム触媒[RuCI2(p-cymene)(PR3)]でスチレンの溶液原子移送ラジカル重合(ATRP)を行って1つのポリマー鎖末端にベーカントなビピリジン結合部を有するジブロックポリ(ε−カプロラクトン)-b-ポリスチレン(4)を作る。
【0007】
非特許文献3には二重官能性開始剤を使用してフリーラジカル重合と開環重合とを同時に起してブロック共重合体をワンステップで合成する新しい方法が記載されている。この文献には従来のフリーラジカル重合または逆ATRPと開環重合とを組み合わせて使用してブロック共重合体をワンステップで合成する戦略が記載されている。この戦略では異なる重合化学によって2つのコモノマーを同時に重合させる左右対称な二官能性開始剤を使用する。このアプローチでは開始剤は各成長鎖に付けたままである。2つの重合機構はコンパチブルで且つモノマーに関しても互いに影響しないものでなければならず、反応温度は一定を維持しなければならず、反応速度もほぼ同じでなければならない。この種の単一分子の二重の開始剤は2つの異なる重合系を組み合わせることができる。二重官能性(dualfunctionalized)開始剤は環式ラクトンまたはラクチドのリビングROP開始センターとなる第一のヒドロキシル官能性と、熱分解によってビニルモノマーのラジカル重合を開始させるアゾ基とを有している。ROP触媒としてのSn(oct)2の存在下での二重官能性開始剤によって開始されるスチレン(S)とε−カプロラクトン(CL)とのモノマー混合物からジブロック・コポリマーPS-b-PCLが作られる。この反応ルートは下記で例示される:
【0008】
【化2】

【0009】
非特許文献4には進呈なニトロキサイドラジカルを用いたポリ(ε−カプロラクトン)の合成方法が記載されている。この論文では1つの連鎖末端に2,2,6,6-テトラメチルピペリジル-オキシl(TEMPOとして知られている)を用いたポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)の定量的合成をトリエチルアルミニウムと4-ヒドロキシ-TEMPOの反応によって調製したアルミニウムトリ(4-オキシ-TEMPO)を用いたt-CLのアニオン重合によって達成している。この方法は下記で表される。
【0010】
【化3】

【0011】
次いで、ε−カプロラクトンは下記に示す連鎖末端に2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−オキシルで重合されてポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)が製造される。
【0012】
【化4】

【0013】
ε−CLの重合はスチレンではなくTHF中で実行される。次いで、過酸化ベンゾイル(BPO)の存在下に上記の一端にTEMPOを有するポリ(ε−カプロラクトン)をスチレン中に入れる。重合を下記に示す:
【0014】
【化5】

【0015】
TEMPO-支持されたPCLはスチレンのラジカル重合に対する重合中心ラジカルの役目をしてポリ(CL-ブロック-スチレン)が定量的に効率的に得られる。スチレンの変換が時間的に直線状に増加し、分子量はPCLの初期濃度に反比例するので、このラジカル重合はリビング機構で進むことが分かっている。
得られたコポリマーはPCLとポリスチレンブロックのための2つのガラス遷移温度とPCLの結晶相に基づく1つの融解吸熱を有する。
【0016】
非特許文献5にはε−カプロラクトンとスチレンのジブロック・ポリマーの合成方法が記載されている。官能化アルコキシアミン開始剤を含むこのプロセスの基礎は下記で示される:
【0017】
【化6】

【0018】
二重またはダブル開始剤1はラクトンのリビング開環重合の開始センターとして使用される一つの第一アルコールと、ニトロオキシドを介したビニルモノマーの「リビング」フリーラジカル重合の有効開始剤である第二ベンジル基とを含む。開始剤としての1によるε−カプロラクトンのリビングいる開環重合2をプロモータとしてアルミニウムトリス(イソプロポキサイド)を触媒量使用して研究している。
【0019】
2008年5月23日発行の非特許文献6には「ポリ(ラクチド)官能化TEMPO マクロメディエータ(Macromediators)を用いたニトロキシドを介したスチレンベースのセグメント・テーパーブロックコポリマーの合成方法」が記載されている。この(PLA)開環重合とその後のニトロキシドを介した重合によるポリ(ラクチド)(PLA)を用いたスチレンベースのセグメント・テーパーブロックコポリマーの製造方法は下記の通りである。
【0020】
(a) ラクチドの開環重合
【化7】

【0021】
(b) PLA−TEMPOメディエータを用いたスチレンのニトロオキシドを介した重合
【化8】

【0022】
最初にラクチドの開環重合のための開始剤としてがヒドロキシル官能化TEMPO(TEMPO−OH)をAlEt3と一緒に使いて(a)に示すよにポリ(ラクチド) 官能化TEMPO mediator(PLAT)を作る。次に、このPLATメディエータと過酸化ベンゾイル(BPO)のような従来の開始剤を用いてスチレンまたはtert-ブチルスチレンを重合して所望のスチレンベースのブロック共重合体を製造する。ラクチドの開環重合は溶剤としてのトルエンの存在下で行い、段階(b)でスチレンを導入する。Al前駆体に対してTEMPO−OHをほぼ化学量論量用いて重合開始剤を作る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Asawin Likhitsup et al in Journal of polymer Science, Part A: polymer Chemistry (2008), Volume 46(1), 102-116
【非特許文献2】Abdiaziz A. Farah et al in polumer, 47, (2006), 4282-4291
【非特許文献3】Chih-Feng Huang et al in polymer, 46 (2005) 1561−1565
【非特許文献4】Eri Yoshida and Yusuke Osagawa:Macromolecules, 1998, Vol 31 pages 1446-1453 "Synthesis of PoIy(t-caprolactone) with a Stable Nitroxyl Radical as an end-functional Group and Its application to a Counter Radical for Living Radical polymerization"
【非特許文献5】Craig .J. Hawker has described in Macromolecules 1998, vol 31, pages 213-219
【非特許文献6】Rifat Jabbar et al in Journal of Applied polumer Science, Vol. 109, 3185-3195 (2008), Wiley InterScience
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明者は、モノビニル芳香族ポリマーとエステルまたはカルボメート・モノマー単位、例えば乳酸、グリコール酸、ラクトンおよび/またはトリメチレン・カルボメートを有するブロックとを有するジブロックコポリマーのより効率的な製造方法を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、下記の(a)〜(d)の段階から成る、ブロック共重合体A−Bと任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを含む組成物の製造方法である:
(a) 少なくとも一種のモノビニル芳香族モノマー中に分散させた開環重合(ROP)によって重合可能な一種または複数の環式成分と、モノビニル芳香族モノマー中に溶解させた任意節分のゴムとを含む混合物を形成し、
(b)段階(a)の混合物を下記(b1)と(b2)の混合物と接触させ、
(b1)は下記のいずれかであり:
M[N(SiR832x(Mは金属であり、R8は炭化水素基であり、xは金属Mの結合価である)または
金属アルコキシドM(OR9)x(Mは金属、R9は炭化水素基、xは金属Mの結合価)または
下記式のフェノール−ベースプロ−リガンド:
【化9】

【0026】
(ここで、R1
【化10】

【0027】
であり(ここで、mが、1、2または3で、n≧1である)、
2は1〜10の炭素原子を有するヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチルまたはネオペンチルから選択され、
3はR1と同じものであるか1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ネオペンチル、クミル、トリチルから選択されるアルキルまたはフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニルから選択されるアリール、
またはその混合物
またはトリアザビシクロデセン(TBD)
または下記一般式で表されるバルキーなβ−ジイミネート(diiminate)リガンド(BDI)をベースにしたシングルサイト金属触媒成分:
【化11】

【0028】
(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水素、未置換または置換されたヒドロカルビルまたは不活発な官能基の中から各々独立して選択され、前記基の少なくとも2つが一緒になって一つまたは複数の環を形成してもよく、Xは1〜12の炭素原子を有するヒドロカルビル基、アルコキシド基OR*、アミド基NR**2またはボロハイドライド基(BH4)であり、Mは金属である)
(b2)官能性アルコールであって、環式成分のROPによってモノビニル芳香族モノマー中に分散した−OH末端と他の官能基Yとを有するブロックポリマーAを作るのに有効な条件下で、−OH基の他にポリビニル芳香族の成長またはグラフトを可能にする他の官能性Yを含み、b1に対するb2中のアルコールのOH/blのモル比が2〜50である官能性アルコール、
(C)上記官能性Y、例えばH−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Y(両者を単純化してA−Bで表す)(Rは結鎖基)を介してブロックポリマーAに結合したモノビニル芳香族ブロックポリマーBと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを製造するのに有効な条件下で、段階(b)で得られた溶液を任意成分のフリーラジカル開始剤および任意成分の連鎖移動剤の存在下で重合させ、
(d)段階(c)の生成物を必要に応じて脱気して未重合のモノマーおよびコモノマーを分離し、少なくともブロック共重合体A−Bと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーおよび任意成分のゴムとを含む組成物を回収する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明ポリマーの分子量。
【図2】THF中で記録したフリーニトロキシルラジカルTEMPO−OHのUVスペクトル。
【図3】THF中で記録したフリーニトロキシルラジカルTEMPO−OHのUVスペクトル。
【図4】CDCl3中で測定したPLA-TEMPOの1H NMRスペクトル。
【図5】フェニルヒドラジン(PhNHNH2)存在下でのPLA-TEMPOの1H NMRスペクトル。
【図6】PLA-TEMPOのEPRスペクトル。
【図7】TEMPO−OHのEPRスペクトル。
【図8】出発材料PLA-15の分子量分布。
【図9】PLA-TEMPOのGPCクロマトグラフ。
【図10】PLA-PSおよびPLA-TEMPOのGPCクロマトグラフ。
【図11】PLA-PSのGPCクロマトグラフ
【図12】PLA-PSおよびPLA-TEMPOのGPCクロマトグラフ。
【図13】CDCl3中で室温で記録した1HNMRスペクトル。
【図14】分子量と温度の関係を示す図
【図15】PLA−PS−1のTEM像。
【図16】PLA−PS−2のTEM像。
【図17】PLA−PS−3のTEM像。
【図18】PLA−PS−4のTEM像。
【発明を実施するための形態】
【0030】
段階(b2)ではOH基がROP触媒プロセスでの連鎖移動剤の役目をするのが好ましい。
(b2)でのb1に対するb2のアルコール基のOH/blモル比は3〜40、好ましくは5〜20にするのが好ましい。特定実施例ではこの比は8〜12、好ましくは約10である
【0031】
段階(C)での連結基Rは炭化水素基にすることができる。段階(C)のH−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Yの「Y」は官能基または官能基の前駆体を示す。特定実施例では「Y」はYまたはY*を表すことができる。
【0032】
段階(b2)のYの例としてはニトロオキシド基=N-O*、(メタ)アクリレート基、アルケン基、チオール基、アルコキシアミン基を挙げることができる。
【0033】
官能性アルコール(b2)はヘテロ原子を含まないのが好ましく、官能性アルコール(b2)はBr、Cl、IまたはSを含まないのが好ましい。
【0034】
段階(b1)のM[N(SiR832]x、MアルコキシドおよびM(BDI)の金属Mは同じでも異なっていてもよい。
【0035】
本発明ではモノビニル芳香族モノマーに共重合可能な一種または複数のコモノマーが存在できる。
【0036】
本明細書および特許請求の範囲で上記のポリ(モノビニル芳香族モノマーおよび一種または複数のコモノマー)をモノビニル芳香族ポリマーとも言う。
【0037】
段階(b1)のM[N(SiR832]x中の金属Mはランタナイド(Ln)、Y、Zn、Feおよびアルカリ土類金属、例えばMgまたはCaの中から選択される。R8は、Cl〜C6アルキル、シクロアルキル中から選択され、好ましくはメチルまたはイソプロピル基である。
【0038】
段階(b1)の金属アルコキシドはアルミニウム・アルコキシド、好ましくはアルミニウムトリス(イソプロポキシド)であるのが好ましい。
【0039】
段階(b1)のシングルサイト金属触媒はβ-ジイミネート-Zn-アミドまたはβ-ジイミネート-亜鉛アルコキシド錯体であるのが好ましい。その例は下記文献に記載されている。
【非特許文献7】Coates et al. (B.M. Chamberlain, M. Cheng, D.R. Moore, T.M. Ovitt, E.B: Lobkovsky, and G.W. Coates, in J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 3229
【0040】
段階(b2)の官能性アルコールは安定ラジカル、例えば下記に示すような4-ヒドロキシ-2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO−OHまたは4-ヒドロキシ-TEMPOともよばれる):
【0041】
【化12】

【0042】
または、2−ヒドロキシエタノールメタアクリレート(HENA)、不飽和アルコール、例えば、シトロネオールまたはゲラニオールまたは下記に示すようなヒドロキシアルコキシアミンであるのが好ましい:
【0043】
【化13】

【0044】
段階(b2)では段階(b1)の金属触媒に対して官能性アルコールを過剰に使用する。官能性アルコールはアクチベータとして作用し、場合によっては触媒前躯体を系内で活性な金属−アルコキシド種に変換する。
【0045】
従って、転移剤としての過剰なアルコールは過剰な官能性アルコール分子を導入したときに多くのポリマー鎖H−A−O−R−Yを作る。
【0046】
第2実施例の本発明は、下記の(a)〜(d)の段階から成る、ブロック共重合体A−Bと任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを含む組成物の製造方法である:
(a)少なくとも一種のモノビニル芳香族モノマー中に分散させた開環重合(ROP)によって重合可能な一種または複数の環式成分と、モノビニル芳香族モノマー中に溶解させた任意節分のゴムとを含む混合物を形成し、
(b)段階(a)の混合物を下記(b1)と(b2)の混合物と接触させ、
(b1)は下記のいずれかであり:
M[N(SiR832x(Mは金属であり、R8は炭化水素基であり、xは金属Mの結合価である)または
金属アルコキシドM(OR9)x(Mは金属、R9は炭化水素基、xは金属Mの結合価)または
下記式のフェノール−ベースプロ−リガンド:
【0047】
【化14】

(ここで、R1
【0048】
【化15】

【0049】
であり(ここで、mが、1、2または3で、n≧1である)、
2は1〜10の炭素原子を有するヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチルまたはネオペンチルから選択され、
3はR1と同じものであるか1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ネオペンチル、クミル、トリチルから選択されるアルキルまたはフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニルから選択されるアリールまたはその混合物またはトリアザビシクロデセン(TBD)または下記一般式で表されるバルキーなβ−ジイミネート(diiminate)リガンド(BDI)をベースにしたシングルサイト金属触媒成分:
【0050】
【化16】

【0051】
(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水素、未置換または置換されたヒドロカルビルまたは不活発な官能基の中から各々独立して選択され、前記基の少なくとも2つが一緒になって一つまたは複数の環を形成してもよく、Xは1〜12の炭素原子を有するヒドロカルビル基、アルコキシド基OR*、アミド基NR**2またはボロハイドライド基(BH4)であり、Mは金属である)
(b2)官能性アルコールであって、環式成分のROPによってモノビニル芳香族モノマー中に分散した−OH末端と他の官能基Yとを有するブロックポリマーAを作るのに有効な条件下で、−OH基の他にポリビニル芳香族の成長またはグラフトを可能にする他の官能性Yを含む官能性アルコール、
(C)上記官能性Y、例えばH−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Y(両者を単純化してA−Bで表す)(Rは結鎖基)を介してブロックポリマーAに結合したモノビニル芳香族ブロックポリマーBと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを製造するのに有効な条件下で、段階(b)で得られた溶液を任意成分のフリーラジカル開始剤および任意成分の連鎖移動剤の存在下で重合させ、
(d)段階(c)の生成物を必要に応じて脱気して未重合のモノマーおよびコモノマーを分離し、少なくともブロック共重合体A−Bと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーおよび任意成分のゴムとを含む組成物を回収する。
【0052】
b1に対するb2のアルコールのモル比OH/b1は1〜200、好ましくは2〜50、より好ましくは3〜40、より好ましくは5〜20である。特定実施例ではこの比は8〜12、好ましくは約10である。
【0053】
第1実施例の有利な好ましい条件は第2実施例にも適用できる。
【0054】
段階(c)の操作条件に従って、モノビニル芳香族モノマーの一部はジブロックA−Bとは独立してホモポリマー(または少なくとも2つのモノビニル芳香族モノマーが存在する場合にはコポリマー)として重合できる。上記プロセスで製造される上記ジブロックA−Bとモノビニル芳香族ポリマーとの混合物はナノ構造化(nanostructured)されている。基本的にゴムを含まない場合には、単独でモノビニル芳香族ポリマーの透明性と同様な高い透明性を有する。上記混合物でのモノビニル芳香族ポリマーはブロックBとして同じモノマー単位から作られる。
【0055】
上記のプロセスで、ジブロックA−Bと独立した基本的にモノビニル芳香族ホモポリマーを含まない、ジブロックA−Bを製造した場合には、段階(d)で回収されるジブロックA−Bを相溶化剤として使用できる。
【0056】
ジブロックA−Bは、基本的にブロックAとしての同じモノマー単位でできたポリマーまたはブロックAと相溶なポリマーと基本的にブロックBとしての同じモノマー単位でできたポリマーまたはブロックBと相溶なポリマーとからなる混合物の相溶化剤として有用である。本発明はこの混合物にも関するものである。この混合物はナノ構造化(nanostructured)されていることが多い。
【0057】
本発明は上記ジブロックA−Bと、任意成分のブロックAと相溶なポリマーA1と、任意成分のブロックBと相溶なポリマーB1とを含み、A1またはB1の少なくとも一つが存在する混合物に関するものである。
【0058】
ポリマーA1は基本的にブロックAとして同じモノマー単位から作られのが好ましく、ポリマーB1は基本的にブロックBとして同じモノマー単位から作られるのが好ましい。この混合物はナノ構造化(nanostructured)されていることが多い。
【0059】
本発明はさらに、ブロック共重合体H−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Y(以下、単にA−Bという)(ここで、ブロックAの反復単位は一種または複数の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基および一種または複数の環状カーボネート残基の中から選択され、ブロックBの反復単位は、モノビニル芳香族モノマー残基であり、ブロックAおよびブロックBはH−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Yとして連結され、RおよびYはその−OH官能基とポリビニル芳香族の成長またはグラフトを可能にする他の官能性Yとを含む官能性アルコールに由来し、Rはが連結基である)と、任意成分のブロックAと相溶なポリマーA1と、任意成分のブロックBと相溶なポリマーB1とを含み、A1またはB1の少なくとも一つは存在する組成物に関するものである。
【0060】
ポリマーA1は基本的にブロックAとして同じモノマー単位から作られのが好ましく、ポリマーB1は基本的にブロックBとして同じモノマー単位から作られるのが好ましい。官能性アルコール上記定義のものである。
【0061】
開環重合により重合可能な環式成分としては環式モノマーまたは脂肪族ヒドロキシカルボン酸のダイマーが挙げられる。その例はラクチド、グリコリド、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0062】
ヒドロキシカルボン酸単位の各不斉炭素原子は、D体およびL体および両者の混合物を使用できる。また、ラセミ混合物も使用できる。例としては2つのD−乳酸でできた環式ダイマーであるD,D−ラクチド、2つのL−乳酸でできた環式ダイマーであるL,L−ラクチド、1つのD−乳酸と1つのL−乳酸とでできたダイマーであるメゾ・ラクチドがある。L,D−ラクチドは、L,LラクチドおよびD,D−ラクチドのラセミ混合物を示す。
【0063】
開環重合により重合可能な他の環式成分は環式カルボメート、好ましくは5〜7員環の環状カーボネートである。重合プロセスは5-および6−員環から成る環状カーボネートで行うのが好ましい。非限定的な例としては下記が挙げられる:トリメチレンカルボメート(TMC)、2-ベンジルオキシ−トリメチレンカルボメート(BTMC)、2-ヒドロキシ−トリメチレンカルボメート(TMCOH)、4-(ベンジルオキシメチル)-1,3-オキソラン-2-オン(BDMC)、4-(ヒドロキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン(DMCOH)。特に、例えば2-オキシ−トリメチレンカルボメート(OTMC)、デヒドロトリメチレンカルボメート(DHTMC)および2,2 ジメトキシ・トリメチレン・カルボメート(TMC(OMe)2)の環状カーボネートを挙げることができる。
【0064】
【化17】

【0065】
トリメチレン・カルボメートの開環重合は下記で表される:
【化18】

【0066】
モノビニル芳香族なモノマーはビニル官能基を有する任意の芳香族を意味する。例としてはスチレン、ビニル・トルエン、α-メルスチレン、α-エチルスチレン、メチル-4- スチレン、メチル-3- スチレン、メトオキシ-4- スチレン、ヒドロキシメチル-2- スチレン、エチル-4- スチレン、エトオキシ-4- スチレン、ジメチル-3,4- スチレン、クロル-2- スチレン、クロル-3- スチレン、クロル-4- メチル-3- スチレン、tert-ブチル-3-スチレン、ジクロロ-2,4-スチレン、ジクロロ-2,6-スチレン、ビニル-1-ナフタレンおよびビニルアンスラセンが挙げられる。複数のモノビニル芳香族モノマーを使用しても本発明の範囲を逸脱するものではない。モノビニル芳香族モノマーの一部をスチレンと共重合可能な不飽和モノマーと置換できる。例としてはアクリル酸またはメタアクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを挙げることができる。コモノマーの比率はモノビニル芳香族モノマー100〜50重量%に対して0〜50重量%にすることができる。特定実施例ではモノビニル芳香族ポリマーは以下から成る:
【0067】
(i) 60〜100重量%の一種または複数のC8〜12モノビニル芳香族モノマー、
(ii) O〜40重量%のアクリル酸またはメタアクリル酸のアルキルエステルおよびアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから成る群の中から選択されるC1〜4の一種または複数のモノマー。
【0068】
ゴムとしてはEPR(エチレン‐プロピレンゴムまたはエチレン-プロピレン・エラストマの略号)、EPDM(エチレン-プロピレン・ジエン・ゴムまたはエチレン-プロピレン・ジエン・エラストマの略号)、ポリブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエン・コポリマー、ポリイソプレン、イソプレン-アクリロニトリル共重合体、SBR (スチレン・ブタジエンゴム)、水素化され中間ブロックスチレン-エチレン/ ブチレンスチレンを有するスチレンブロック共重合体(SEBS)またはスチレン−エチレン/ プロピレン−スチレン(SEPS)およびスチレン・ブロックを有する任意のコポリマーが挙げられる。特に、スチレン・ブロックとブタジエンまたはイソプレンのブロックを有するスチレン・ブロックコポリマーまたは混合物ブタジエン/イソプレンのコポリマーが有利である。これらのブロック共重合体は直鎖のブロック共重合体または水素化されておよび/または官能化されていてもよく、星型ブロック共重合体でもよい。これらのコポリマーは下記文献に記載されている。
【非特許文献8】ULLMANNS ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY, fifth edition (1995) Vol A26, pages 655-659
【0069】
また、Total Petrochemicals社からFinaclear(登録商標)の名称、BASF社からStyrolux(登録商標)の名称で、Kraton社からKraton(登録商標)Dの名称で、また、Chevron Phillips Chemical社からK-Resin(登録商標)の名称で市販されている。
【0070】
ゴムは例えば下記から成る群の中から選択できる:
(a) C4−6共役ジエンのホモポリマーおよびコポリマー、
(b) コポリマー成っている一種または複数ののC4.6活用させられたジエンの、そして、15からアクリロニトリルから成っている基およびメタクリロニトリルから選択されるモノマーの40の重量%まで85の重量%への60から、そして、
(c) コポリマー成っている、好ましくは40から未置換のであるかまたはC1~アルキル基の略号によって置換した一種または複数ののCs.12ビニル芳香族モノマーの50の重量%まで、60への20からそして、60から40まで、好ましくは60から50の重量まで、C~6から成っている基から選択される一種または複数ののモノマーの%は、ジエンを活用させた。
好ましくはエマルションまたは溶液重合によって、ゴムはたくさんの方法によって調製されることができる。
これらのプロセスが、当業者にとって周知である。ltが、使用複数のゴムに本発明の範囲から出発しない。
【0071】
段階(b)の成分(b1)の比率は、Mまたはアルコキシド(中心金属)またはシングルサイト金属触媒中の金属に対する開環重合により重合可能な環式成分の比が100〜100 000となるようにする。
【0072】
プロのリガンドは公知の任意の方法で製造できる。本発明では下記文献に記載の方法の変形例を使用する。
【非特許文献9】Schanmuga et al. S. Shanmuga Sundara Raj, M. N. Ponnuswarny, G. Shanmugam, M. Kandaswamy, J. Crystallogr. Spectrosc. Res., 1993, 23, 607−610)
【非特許文献10】Teipel et al. S. Teipel, K. Griesar, W. Haase, B. Krebs, Inorg. Chem., 1994, 33, 456−464
【0073】
リガンドの完全な合成方法および金属錯体の合成方法は48時間以下で実施でき分析的に純粋な化合物を数ミリ得ることができる。得られたプロリガンドを使用して周期律表の第2、12族の二価金属の錯体を調製する。好ましい金属はマグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウムおよびバリウムであり、好ましくはマグネシウム、カルシウムおよび亜鉛である。錯体はプロリガンドを前駆体M(X)2と反応させて得られる。ここで、Xは1〜6の炭素原子を有するアルキル、例えばメチル、エチル、n-ブチル、フェニルまたはアミド基、例えばN(SiMe3)2、NMe2、NEt2、NiPr2またはアルコキシド基、例えばOEt、OiPr、OtBu、OCH2Ph、OSiPh3にすることができる。
好ましい前駆体はZnEt2、Mg(nBu)2、Mg(N(SiMe3)2)2、Ca(N(SiMe3)2)2(THF)2である。
【0074】
(b1)は式[LO]−M−Xの金属錯体にすることができる。ここで、MはZn、Mg、Ca、SrまたはBaであり、Xはヒドロカルビルまたはアルコキシド基OR''であり、R''はヒドロカルビル、アリール、シリルまたはアミノ基NR*2であり、R*はSiMe3、イソプロピル、メチルまたはエチルであり、好ましいヒドロカルビルはエチルであり、[LO]は2−R1、4−R2、6−R3−C62Oである。ここで、R1、R2およびR3は上記のものである。
【0075】
(b2)で使用する官能性アルコールは開環重合前または開環重合中に−OH官能基およびY官能基を有する分子を製造可能な成分またはその成分の前駆体にすることができる。
【0076】
Y官能基は−OH基とニトロオキシド=N−O*を有する安定なラジカルにすることができ、例えば下記文献に記載されている。
【特許文献1】国際特許第WO 94-11412号公報
【特許文献2】米国特許第US 6,734,269号明細書
【特許文献3】米国特許第US 7,196,144号明細書
【特許文献4】米国特許第US 6,911,511号明細書
【0077】
例えば、ラクチドROPは下記のようになる:
【0078】
【化19】

【0079】
Mまたはアルコキシド(中心金属)またはシングルサイト金属触媒中の金属に対する官能性アルコールの当量の数比は1〜200にする。
【0080】
得られたポリエステルおよびポリカーボネートブロックは1.1〜5.0、大抵は1.5〜2.5の単峰形の分子量分布を示す。
【0081】
数平均分子量Mnはモノマー-to-官能性アルコール比で表され、それは1000〜1 000 000 g/モル、一般には10000〜250000 g/モルの範囲にすることができる。
【0082】
段階(b)の開環重合はモノビニル芳香族モノマーの重合を防ぐためにおだやかな温度で実行するのが好ましく、この温度は100℃以下、好ましくは80℃以下にするのが好ましい。
【0083】
段階(c)では段階(b)で得られた溶液を、必要に応じてフリーラジカル開始剤および/または連鎖移動剤の存在下で、上記官能性Y、例えばH−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Y(両者を単純化してA−Bで表す)(Rは結鎖基)を介してブロックポリマーAに結合したモノビニル芳香族ブロックポリマーBと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを製造するのに有効な条件下で、段階(b)で得られた溶液を任意成分のフリーラジカル開始剤および任意成分の連鎖移動剤の存在下で重合させる。
【0084】
モノビニル芳香族モノマーがスチレンで、官能性アルコールがTEMPO−OHの場合のシェーマは以下である。
【0085】
【化20】

【0086】
フリーラジカル開始剤の例は有機過酸化物(例えば1,1−ジ-(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1−ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン);1,1−ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル−シクロヘキサン;O,O-tert- アミル-O-(2- エチルbexyl モノペルオキシ−カルボメート);OO-tert-ブチルO-イソプロピルモノペルオキシカルボメート;OO-tert-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシ−カルボメート;ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)吉草酸エステル;エチル3,3-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ブチラートとこれらの混合物、ヒドロペルオキシドおよび一重項酸素(1O2)である。
【0087】
モノビニル芳香族モノマーの一部は上記機構とは独立に、通常のラジカル機構でモノビニル芳香族ポリマーとして重合できる。段階(c)に連鎖移動剤が存在するとモノビニル芳香族ポリマーの比率が増加する。
【0088】
モノビニル芳香族モノマーの量が十分に高く且つ温度が十分に高いと、モノビニル芳香族モノマーの相当量がジブロックA−Bとは別にホモポリマー(複数のモノビニル芳香族モノマーが存在する場合にはコポリマー)として重合される。
【0089】
段階(d)では段階(c)の生成物の脱気して未重合のモノマーおよびコモノマーを分離し、少なくとも一つのブロック共重合体A−Bと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーおよびゴムとを含む組成物を回収する。
【実施例】
【0090】
操作条件
材料
開始剤Y[N(SiMe323は下記文献に記載の方法で調製した。
【非特許文献11】T. J. Woodman, Y. Sarazin, G. Fink, K. Hauschild, M. Bachmann, Macromolecules, 2005, 38, 3060−3067 開始剤Zn[N(SiMe3)2]2はは下記文献に記載の方法で調製した。
【非特許文献12】M. Bochmann, G. Bwembya, K. J. Webb, Inorg. Synth., 1997, 31, 19−24 (BDI)ZnN(SiMe3)2は下記文献に記載の方法で合成した。
【非特許文献13】B. M. Chamberlain, M. Cheng, D. R. Moore, T. M. Ovitt, E. B. Lobkovsky, G. W. Coates, J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 3229−3238
【0091】
Al(OiPr)3(99.99+%)、l,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(鉱油中80重量%)および2-プロパノール(99.5%)はAldrichから購入し、精製せずに使用した。スチレン(99+%)はAldrichから購入し、最低48時間CaH2を通じて乾燥した、動的減圧下に加熱蒸留し、活性モレキュラーシーブ上で4℃で保存した。ポリスチレンの汚染を避けるために2週間以内に使用した。
【0092】
トルエンは使用の前にナトリウム上で乾燥し、アルゴン下にナトリウムミラーから組織的に蒸留した。4-ヒドロキシ-2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ(TEMPO−OH)フリーラジカル(98%、Acros)は濃縮トルエン溶液から再結晶し、4℃で暗闇に保存した。D,L-3,6-ジメチル-1,4−ジオキサン-2,5−ジオン(rac-LA;99%、Acros)モノマーの精製は熱い2-プロパノール溶液(80℃)から再結晶し、次いで、熱いトルエンで2回再結晶した(l05℃)。モノマーは室温でグローブボックスの不活性雰囲気下に保存した。
【0093】
典型的なrac-LAの重合手順
全ての操作は不活性雰囲気下で実行した。グローブボックスに金属開始剤と共開始剤(2-プロパノールまたはTEMPO−OH)をシュレンク(Schlenk)チューブに同時に入れ、モノマーrac-LAを湾曲ガラスフィンダーに入れる。シュレンクチューブおよびベントフィンガーを封止し、グローブボックスから出す。以下の全て操作は標準シュレンク法を使用してシュレンクラインで実行した。必要量の溶剤(トルエンまたはスチレン)を注射器で開始剤と共開始剤とを収容したシュレンクチューブに加え、固形物が完全に溶解するまで、得られた混合物を撹拌する。ベントフィンガーを介してモノマーを加える。この時から重合時間を測定する。反応は酸性MeOH(HCl、1重量%)を添加して終了し、ポリマーをヘキサンで沈澱させ、THFを溶剤とし、ヘキサンを非溶媒として複数の再沈澱で精製した。得られたポリマーを60℃で動的減圧(<10-2 mbar)下に恒量加熱で乾燥した。
【0094】
PLA−b−PSブロック共重合体の製法
典型的な反応ではPLA-TEMPO no15(PLA-15;100mg、14.1mmol)と1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン(17.3mmol、4.5mg)とをスチレン(0.8mL)に溶かし、得られた無色の溶液を収容した容器を所定温度にセットしたオイルバス中に浸した。重合時間はこの時点から測定した。反応時間後にオイルバスから反応装置を取り出し、ヘキサンを加えて溶液からポリマーを沈殿させた。溶剤としてヘキサン、非溶媒としてTHFを使用してポリマーを数回再沈殿で精製し、60℃で恒量加熱し、動的減圧(<10-2 mbar)下で乾燥した。
【0095】
ポリマーの特長付け
ゲル透過ガスクロマトグラフ(GPC)計測は屈折率検出器を備えたPLgel 5A MIXED-Cカラムを用いてPolymer Laboratories PL-GPC 50機器で行った。GPCカラムは室温でTHFを1ml/分で溶出した。較正は5つの単分散ポリスチレン標準を使用して580〜380000 g.mol-1で行った。文献[19]の推薦により全てのポリ(ラクチド)対ポリスチレン標準の分子量はMark-Houwinkファクタ0.58で修正した。
【0096】
実施例1
(結果は[表1]に示す)
第1シリーズの実験は、Y[N(SiMe323によって促進される3,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2,5−ジオン(rac-LA)のスチレン中での開環重合(ROP)に対する共同開始剤としてのフリーラジカル4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル−ピペリジノオキシ(TEMPO−OH)の効率を調べ、この重合反応に有害な作用をせずにスチレンが溶剤として使用できるか否かを確認するために行った([表1])。こここでは2-プロパノールおよびTEMPO−OHと、溶剤のトルエンおよびスチレンとを使用して比較した。
【0097】
トルエン中でY[N(SiMe323/2−プロパノール系で開始したLAの100当量(eq.)のrac−LAの重合(金属中央当たりのアルコール3eq([Y]/[OH]=1:3))は迅速かつ制御下(エントリ1および2)進み、変換は5分後に79%に達し、10分以内に完了する。対応するポリマーは非常に狭い多分散性(Mw/Mn = 1.1-1.2)を示し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(ポリスチレン標準)で求めた数平均分子量(Mn)は5800および6500g.mo1-1である。これは理論値(7600および4800g.mol-1)に近い。これらの2つの反応はY[N(SiMe323/3-プロパノールの系がrac-LAの重合に極めて効果的なことを示している。比較のために、同じ条件でY[N(SiMe323だけでは痕跡量のポリラクチド(PLA)しか生じないことをこのテスト反応は示している。
【0098】
トルエンをスチレンに代えても触媒系の種類は少なくとも変わらない。重合をトルエン(エントリー2)またはスチレン(エントリー3)で行った場合で同じPLAが得られる(変換率100%;Mn=6400-6500g.mol-1、Mw/Mn=1.2)。従って、rac-LA重合用溶剤として室温でトルエンの代わりにスチレンを使用しても少なくとも有害作用はないということを証明した。最後に2-プロパノールの代わりに3 eq.のTEMPO−OHを用いた2つの反応を実行してrac-LA重合の触媒系Y{N(SiMe323/TEMPO−OHの適用性を確認した。最初に、Y[N(SiMe323/TEMPO−OHは室温でスチレン自体を重合させない(エントリー4)。すなわち、raG−LA無しで反応した場合、ポリマーが単離されなかった(すなわちスチレンは溶剤だけでなく利用可能なモノマーである)。次に、Y[N(SiMe323/TEMPO−OH=1:3で、100eq.のrac-LAの重合を行った(エントリー5)。同じ実験条件下での2-プロパノールの場合と比較すると(エントリー3対5)、制御性はわずかに劣るが、反応は迅速(10分以内に完了)し、相対的に制御性がよい(Mn=7400g.mol-1、Mw/Mn=1.5)。rac-LAの濃縮溶液をスチレン中で上記触媒系を用いて重合反応で使用することができることを示したことは重要である(この実施例ではrac-LA]0 =2.0mol.L-1を使用した)。
【0099】
上記実験から下記のまとめが得られる:
(1)Y[N(SiMe323/2−プロパノール系はトルエンのrac−LAの重合の非常に効率的な開始剤である。
(2)溶剤としてトルエンの代わりにスチレンを使用しても全く問題ない。
(3)Y[N(SiMe323/TEMPO−OH系はスチレン中でのrac-LAの重合の非常に効率的な開始剤である。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例2
開始剤の種類、[表2]
環状エステルのROPで最も広く使用されている金属はイットリウム、亜鉛およびアルミニウムの3つである。アルミニウム-ベースの開始剤は亜鉛およびイットリウムより入手し易く、使用が容易であるが、基本的に活性が劣り、より厳しい反応条件が必要である。我々は入手可能な下記の3つの前駆体を選んだ:Y[N(SiMe323、Zn[N(SiMe322およびAI(OiPr)3。以下の一連の実験はこれらの開始剤の存在下で実施した
(i) M[N(SiMe32]n/TEMPO−OH系の効率(M=Zn、n=2);M=Y、n=3)およびAl(OiPr)3/EMPO−OH、および
(ii) スチレン中でのroc−LAのROPによるTEMPO−エンド−キャップトポリラクチド(PLA−TEMPO)製造が可能な範囲([表2])。
【0102】
200eq.のY[N(SiMe323と10eq.のTEMPO−OHはrac−LA重合を極めて急速に促進し、制御性もよい(エントリー6)。完全な変換が5分以内に完了する。実験で得られたPLA−TEMPOの数平均分子量は理論値(Mn = 2900g.mor1-1)とほとんど同一である。また、2つの独立の実験(エントリー6および7)で得られた結果は非常に類似し、再現性が優秀であることが証明された。
【0103】
rac−LA/Zn[N(S1Me322/TEMPO−OH=200:1:10で、Zn[N(SiMe322(エントリー8)の存在下で実行した類似重合も迅速(5分で49%変換)であり、制御性も非常によい(Mn=2500g.mol-1、Mw/Mn=1.1)。これは(BDI)ZnN(SiMe32でも同じであるが、この系は少し遅いMn=900g.mol-1、Mw/Mn=1.3、30分後に76%変換)。逆に、AI(OiPr)3は同じ条件下で5分以後にほとんどゼーのポリマー量した生じない(エントリー9);また、同じ反応時間で同じ量で80・2℃で実行した時にも痕跡量のポリマーした回収されない(エントリー10)。系Al(OiPr)3/TEMPO−OH(共同開始剤10eq.)は高温度かつ長い反応時間(180分、80・2℃:エントリー11)後に、かなりの量のポリマー(変換率41%、raG-LA200eq.)を優れた制御性(Mn=750g.mol-1、Mw/Mn=1.1)で作る。
【0104】
上記の実験をまとめると下記になる:
(1)スチレン中でのrac−LA重合用金属ベースの開始剤に対してTEMPO−OHの共開始剤の使用範囲を拡大できる。
(2)スチレン中でのrac−LA重合に対するTEMPO−OHにと下記の組合せの活性の違いが見られる:AI(OiPr)3<<(BDI)ZnN(SiMe32<Zn[N(SiMe322<Y[N(SiMe323
【0105】
【表2】

【0106】
実施例3
共開始剤TEMPO−OHの量の影響(表3)
室温で、Y[N(SiMe323を使用してスチレン中で200eq.のrac−LAを重合する際の1〜10eq.の開始剤の中心金属当たりのTEMPO−OHの当量数を変えて金属開始剤の量に対する共同開始剤の量の重要性を評価した。([表3])。Y[N(SiMe323/TEMPO−OH=1:1の場合(エントリー12)、重合は遅く、正しく制御できず(5分後の変換4%、Mn=9300 g.mol-1、Mw/Mn=1.9)。金属当たり3eq.のTEMPO−OHを使用する(エントリー13)と、実質的に重合速度が良くなり(5分後の変換78%)、制御性もよくなる(Mn=11600g.mol-1、Mw/Mn=1.6)。
【0107】
最高の結果はY[N(SiMe323/TEMPO−OH=1:10で得られる(エントリー6)。200eq.のモノマーの変換が5分後に完了し、実験分子量(Mn=3200g.mol-1、Mw/Mn=1.3)とその理論値(Mn=2900g.mol-1)に近く、制御性も優れている。これらの結果は室温での重合速度および制御性は中心金属当たりのTEMPO−OHの当量数とともに増加することを示している。最高の結果は中心金属当たり10個のPLA−TEMPO鎖が形成されたY[N(SiMe323/TEMPO−OHで得られる。すなわち、この条件下では成長種とTEMPO−OHとの間の連鎖移動が非常に効率的になり、ほぼ全てのTEMPO−OHがPLA-TEMPO鎖を形成する。中心金属当たりのポリマー鎖の生成をより多くするためにTEMPO−OH/Y[N(SiMe323比を高くしてもよいことは理解できよう。
【0108】
【表3】

【0109】
実施例4
モノマーの量の影響([表4]および[表4‘])
Y[N(SiMe323/TEMPO−OH比を一定1:10にした時の重合媒体中に導入したracLAの量を中心金属当たり200〜2000 eq.に変化させて、多量のモノマーが本発明の実験的条件で重合できるか否かを確認した(室温、スチレン中、[LA]0=2.0mol.L−1、[表4])。
【0110】
200のeq.のモノマーの重合では3分後に63%(エントリー14)、5分後に完了する(エントリー6)。この時間の経過後の変換対反応時間は線形で増加する。200eq.のrac−LAでは全く同じであり、500eq.のモノマー(エントリー15)の重合では極めて速く、5分以内に完了し、実験値の分子量(Mn=7100g.mol-1、Mw/Mn=1.2)と理論値(7200 g.mol-1)との間は良く一致している。それぞれ10分後(エントリー16:Mn =7 100 g.mol-1、Mw/Mn=12)および30分後(エントリー17;Mn=7 600 g.mol-1、Mw/Mn=1.3)にPLATEMPOの分子量分布に大きな変化がないので、より長い反応時間後に望ましくないエステル転移反応(モノマー変換率が高くなる等の有害な現象)が起こる証拠はない。1000 eq.のrac−LAの重合は30分以内に完了するが(エントリー20)、10分後には既に83%の変換率に達している(エントリー19)。この場合でも制御性は優秀であり(特に完全な変換前でも)(エントリー18-19)、実験値と理論値で分子量は非常に一致する。
【0111】
分子量分布は最初は非常に狭く(Mw/Mn=1.1〜1.2)、モノマー完全な消費量後(エントリー20)は広がる(Mw/Mn=1.6)。モノマー量を多くする(2 000 eq.のrac−LA]/[Y[N(SiMe3)2]3]/[TEMPO−OH] = 2000:1:10)と、60分後に変換率は83%に達し、対応するPLA-TEMPOは狭い多分散性(Mw/Mn=1.5)を表し、実験での数平均分子量(Mn=23900 g.mol-1(エントリー21)はその理論値(24700 g.mol-1)に近くなる。しかし、モノマー−to-開始剤比を高くする場合には、プレ重合触媒失活を避け、現性を良くするために、反応の規模を大きくする必要があり、使用する触媒の量を増やす必要があるということを強調しなければならない。
【0112】
上記の結果は触媒系Y[N(SiMe32]/TEMPO−OHは室温でのスチレン中で多量のrac−LAの重合を極めて迅速にできるだけではなく、対応するPLA−TEMPOの分子量の制御を非常に良く管理できるということを示している。制御重合でアルコール(ここでTEMPO−OH)への効率的な連鎖移送が予想できるように、本発明ポリマーの分子量はモノマー-to-アルコール比とともに線形に増加することを示し([図1])、数平均分子量は理論値と実験値が一致する。
【0113】
多量のラクチドの重合では(Y[N(SiMe323の代わりに(BDI)ZnN(SiMe32を使用すると優れた結果が得られる。すなわち、室温で(BDI)ZnN(SiMe32および20eq.のTEMPO−OHを用いると90分後および150分後に2000 eqのラクチドがそれぞれ44%および83%変換され、重合パラメータも非常によく、制御性にも余裕がある(Mn=6700 g.mol-1、Mw/Mn=1.1およびMn=1900g.mol-1、Mw/Mn=1.1)。50℃での2000 eq.のラクチドの変換は90分で完了し、制御性も優れている(Mn=12200 g.mol-1、Mw/Mn=1.1)。分子量の実験値と計算値も良く一致する。さらに、(BDl)ZnN(SiMe32/20TEMPOOH系は50℃で5000 eq.のラクチドを使用した場合に極めて活性で、90分以内に46%のモノマーが容易に変換され、しかも、重合パラメータおよび制御性も維持される(Mn=13500 g.mol-1、Mw/Mn=1.1)。
【0114】
【表4】

【0115】

【0116】
実施例5
PLA−TEMPOポリマーの特長付け
上記で得られたTEMPO−エンドキャップされたPLAの種類をUV、NMRおよびEPR分光分析で調べた。対応するポリマーの数平均分子量の実験値と理論値は一般に非常に良く一致する。低分子量PLA−TEMPOサンプル(Mn=2300 g.mol-1、Mw/Mn=1.2)を詳細な特長付けで用いた。
【0117】
THF中で記録したフリーニトロキシルラジカルTEMPO−OHのUVスペクトル([図2]および[図3])はImax=470ナノメートルに吸収バンドを表す。同じ溶剤中でPLA-TEMPO(再沈殿サンプル)はより小さな吸収をImax =465ナノメートルに示す。このバンドはポリマー鎖中にTEMPO単位が存在することで説明できる。このバンドの強度が小さいことから鎖末端に単一のTEMPO単位が位置し、各ポリマー鎖中にあることが分かる。CDCl3中で測定したPLA-TEMPOの1H NMRスペクトルのSN比および解像力([図4])は基本的に弱い。これは、ポリマー鎖の終わりに明らかにTEMPO自由なニトロキシルラジカルの存在による。この問題はフリーラジカルを消すためにスペクトル収集前に少量のフェニルヒドラジン(PhNHNH2)を溶液中に添加したことによる累積と思われる。
【0118】
得られたスペクトル(図5)では1.22および1.27ppmの2つの一重項(軸方向よび赤道上のメチル基のプロトン)および1.91および1.98ppmの2つの信号(軸方向および赤道上のメチレンプロトン)によって連鎖末端に1つのTEMPO単位が存在することが確認される。5.05ppmに期待されるTEMPO単位中のメチンプロトンの信号はPLA骨格のメチンプロトンと識別できない。さらに、4.37ppmの小さい四重線はポリマー鎖の他端で−CH(CH3)OHのヒドロキシル基に結合したメチンプロトンを示す。ポリマーのアタクチック性は5.18ppmの多重項で確認される。
【0119】
最後にEPR分析でTEMPOフリーラジカルの存在を立証した。ポリマーは室温でTHF中で分析した。3つの鮮明な信号が観測され([図6])、g-値(2.0066)は出発材料TEMPO−OH([図7])のそれと同一である。本発明ポリマーのg-値および超微細カップリング定数(AN =14.6 G)はTEMPO基を末端に有するポリ(ε-カプロラクトン)サンプル(g= 2.007、AN=15.9G)によく対応する。PLA-TEMPOポリマーの特長付けをMALDI−TOF質量分析およびDSC解析でも行った。溶解性に関しては全てのPLA-TEMPOがTHF、塩素溶剤、ここではスチレンに可溶である。これはこのポリマーのアタクチック特性から予期されたものであり、我々の重合研究でエナンチオマーで純粋な異性体の代わりにラセミモノマーを選択したことが正当であったことを示している。すなわち、アイソタクチックPLAは結晶性が極めて高く、普通の有機溶媒にはアタクチックPLAより溶けない。従って、重合中にスチレン溶液からのPLAの沈殿を避けるために、特定の立体調節をする比のないラセミモノマーを重合させるのが有利である。
【0120】
実施例6
PLA-PSブロック共重合体の製造([表5])
PLA-TEMPOサンプルno15([表4]のエントリー15)(PLA-15とよばれる)を、過酸化物1,1- ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンの存在下でのスチレンのフリーラジカル重合によってPLA-ポリスチレン(PLA-PS)ブロック共重合体を製造するためのマクロ(共開始剤)として使用した([表5])。出発材料PLA-15(Mn = 8500 g.mol-1、Mw/Mn=1.2)の分子量分布は、[図8]に示した。スチレン(0.8mL)を110℃に180分間加熱してポリスチレンとした(エントリー22;127mg、スチレン変換率18%、Mn = 493 000 g.mol-1、Mw/Mn=2.4)。これに対して1,1- ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(12.6mmol)の存在下でPLA-TEMPO(70mg、フリーラジカル9.8mmol)のスチレン溶液を110℃で、180分間加熱熱すると無色の材料(660mg、エントリー23)が生ずる。スチレンの変換率80%に対応する。このポリマーのCDCl3中の1H NMR特徴付けによってPLAおよびPSセグメントの存在が確認された。GPCで求めたこの材料の重量平均分子量(Mw)は196000 g.mo1-1で(PLA-PS-23と分類した)、分子量分布([図9])は相対的に広く(Mw/Mn=2.6)、モノモダル(単峰)であり、PLA-PSブロック共重合体から成ることを示している[ホモポリマーの混合物(すなわちPLA-15とエントリー22に記載の熱重合したスチレン)では、高分子量(PS)に1つの画分を有し、低分子量(PLA-15)に1つの画分を有する二頂分布になる]。このことはブロック共重合体(PLA-PS-23)と出発材料(PLA-15)の9:1の混合物のGPC解析でも確認されている。その二つの組成物の分子量分布([図10])はPLA-PS−23に対してかなり広くなり、双峰になる(Mn = 179700 g.mol-1、Mw/Mn=2.9)ことで明らかである。
【0121】
他の実験(エントリー25)では、PLA-15(14.1mmol、100mg)と1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(17.5mmol)とをスチレン(0.8mL)中に溶かし、この溶液を95℃で30分間加熱した後、125℃でさらに30分間加熱し、THEおよびヘキサンで続け、無色のポリマー(PLA-PS-25)を単離し(330mg、スチレン変換率32%)、GPCおよびNMR分析した。分子量分布はPLA-PS-23で観測されたものより狭い(Mn = 62600 g.mol-1、Mw/Mn=1.8)。このよりよい制御性は下記の理由によると考える:(i) 95℃で30分の賦活時間とそれに続く125℃で30分の重合とを分離し、(ii) モノマーロスと質量物質移動速度を律速する反応時間を短くしたこと。その分子量分布の単峰性([図11])からPLA-PS-25中に単一成分が存在することを表す。
これとは反対に、PLA-PS-25とPLA-15との7:3の混合物の分子量分布はり大きく、明らかに双峰である([図12];Mn =56 000 g.mor1-1、Mw/Mn=2.0)。PLA-15の代わりにフリーラジカルTEMPO−OH(エントリー24)で実行した関連反応は重合速度がかなり遅いが(TEMPO−OH、エントリー24ではスチレン変換率15%、PLA-1 5、エントリー25では32%)が、分子量の制御性は良い(Mn = 48300 g.mol-1、Mw/Mn=1.6)ことを強調する価値がある。
【0122】
室温でCDCl3中で記録した1HNMRスペクトル([図13])からブロック共重合体PLA-PS-25の下記組成物が演繹できる:ca. 23モル-% PLAおよび77モル-%PS、これは29重量%PLAおよび71重量%PSに対応する。これは単離されたポリマー収率に基づいた計算とよく一致する:30重量% PLAおよび70重量%PS(出発材料のPLA15の100mgを含む回収されたポリマー330mgを基に計算)。
【0123】
【表5】

【0124】
実施例6
1-(ベンジルオキシ)-2-フェニル-2-(2', 2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−エタン(AA−OH)の合成
既存の文献[1]の方法を改善してAA−OHを44%の全体収率で合成した。蒸留されたスチレン中のTEMPO溶液に過酸化ベンゾイル(水中に75%)をゆっくり加える。80℃で30分間加熱すると反応液は赤、黄色、最後にグリーンになる。揮発分は減圧除去し、ペンタンを加えて得られたグリーンの油性材料から白色粉末を沈殿させる。粉末を濾過分離した後、溶剤を蒸発させ、グリーン油とし、それをメタノールに溶かす。−4℃で再結晶し、純粋なベンジル化生成物Aを55%の収率で得た。
この化合物Aと15mLの2N−NaOH水溶液との混合物をエチルアルコールで3時間還流する。揮発分を減圧蒸発させて、油性材料を得る。ジクロロメタン/水で抽出後、合せた有機層をMgSO4を通じて乾燥し、溶剤を減圧除去し、恒量乾燥してオレンジ油を得る(収率:80%)。この材料をNMRおよび元素分析で特徴付け(1H、13C{1H}、1H−1H、COSY実験)し、AA−OHの予想組成および純度を確認した
【0125】

【0126】
PLAブロック製造の典型的手順
全て操作は不活性雰囲気下に実行した。グローブボックス中で金属開始剤(BDI)ZnN(TMS)2、転移剤(ROH:TEMPO−OH、AA−OHまたはHEMA)およびモノマー(raG−LAまたはLLA)をシュレンクフラスコに入れ、封止し、グローブボックスから移動した。次の操作は全て標準のシュレンク法を使用してシュレンクラインで実行した。封止されたシュレンクフラスコに必要量の溶剤(スチレン)を注射器で加えた。シュレンクフラスコは100℃に加熱し、磁気撹拌器で所定時間撹拌した。反応は酸性メタノーク(HCI、1重量%)を添加して終了させ、メタノールからポリマーを沈殿させた。溶剤としてメタノール、非溶媒としてジクロロメタンを使用して複数回再沈殿して精製した。それからポリマーを動的減圧(<10.2 mbar)下に恒量乾燥した。典型的な結果を[表6]に要約した。得られた官能化ポリマーの構造はシェーマ1に示してある。
【0127】
【表6】

シェーマ1
【0128】
PLA−TEMPO−OH−PSおよびPLA−HEMA−PS製造の典型的手順
典型的な実験では、PLA−TEMPO(PLA−1またはPLA−3)またはPLA−HEMAと、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン(1当量)とをスチレンに溶かし、得られた無色溶液をオイルバス中に浸した管中125℃で磁気撹拌器で撹拌する。反応を所定時間し後、オイルバスから反応装置を取り出し、メタノールからポリマーを沈殿させた。ポリマーは溶剤としてのジクロロメタンおよび非溶媒としてメタノールを使用した複数回の再沈殿で精製し、50℃で動的減圧(<10-2 mbar)下に恒量加熱して乾燥した。典型的な結果を[表7]に要約した。得られたジブロック・コポリマーの構造はシェーマ2に示す:
【0129】
【表7】

シェーマ2
【0130】
PLA−PS−AA製造の典型的手順
典型的な反応ではPLA−AA(PLA−2またはPLA−4)をスチレンに溶かし、得られた無色の溶液を収容した管を135℃のオイルバスに浸し、所定時間反応させた後に反応装置をオイルバスから取り出し、メタノールでポリマーを沈殿させる。溶剤としてメタノールとして非溶媒としてジクロロメタンを使用してポリマーを複数回再沈殿で精製し、50℃で動的減圧(<102 mbar)下に恒量加熱し乾燥する。典型的な結果は[表8]に要約し、得られたジブロック・コポリマーの構造はシェーマ3に示した。
【0131】
【表8】

シェーマ3
【0132】
PLA−PSジブロックの特徴付け
得られたPLA−PSジブロック材料を各種の方法で特徴付けた:
【0133】
【表9】

【0134】
機械的分析
サンプルは60℃で48時間窒素流下で予備調整した。抗酸化剤のIrganox 1076(1000ppm、Ciba)を乾燥化合物の添加でポリマー材料に射出前の各サンプルに加えた。射出温度は210〜230℃の間にセットし、金型温度は30℃にした。引張りテスト用の標準ISO 1-B/Aテストピース(バー)を射出成形した。衝撃強度はテストピースの中心部分で実行した。代表的な結果を[表10]に要約した。
【0135】
【表10】

【0136】
TEM写真
透過電子顕微鏡(Electronic Microscopy、TEM)写真はポリスチレン鎖を表すために予めOsO4で処理した薄いフィルムで撮像した。代表的なTEM像を[図15]〜[図18]に示す。
PLA−PS−1は[図15]に示す。
PLA−PS−2は[図16]に示す。
PLA−PS−3は[図17]に示す。
PLA−PS−4は[図18]に示す。
【0137】
実施例7
触媒系としてLn1OZnEt/TEMPO−OHを使用したPLAブロック製造の典型的な手順

【0138】
全ての操作は不活性雰囲気下に実行した。グローブ・ボックス中で金属開始剤Ln1OZnEt、転移TEMPO−OH、モノマーLLAをシュレンクフラスコに入れ、封止し、グローブ・ボックスから移動した。以下の全ての操作は標準シュレンクテクニックを使用してシュレンクラインで実行した。封止されたシュレンクフラスコに溶剤(スチレン)の必要量を注射器で加えた。この時点からシュレンクフラスコを100℃で所定時間撹拌下に加熱した。反応は酸性メタノール(HCI、1重量%;0.5mL ca)を添加して終了させ、ポリマーをメタノール中で沈殿させた。溶剤としてメタノール、非溶媒としてジクロロメタンを使用した複数回の再沈殿で精製した。それから恒量動的減圧(<10.2 mbar)下でポリマーを乾燥した。結果は[表11]に示した。
【0139】
【表11】

【0140】
実施例8
触媒系としてTBD/ROHを使用したPLAブロック製造の典型的手順

【0141】
全ての操作は不活性雰囲気下に実行した。グローブ・ボックス中で金属開始剤Ln1OZnEt、転移(ROH=TEMPO−OHまたはAA−OH)およびモノマー(L−LA)をシュレンクフラスコに入れ、封止し、グローブ・ボックスから移動した。以下の全ての操作は標準シュレンクテクニックを使用してシュレンクラインで実行した。封止されたシュレンクフラスコに溶剤(スチレン)の必要量を注射器で加え、さらにTBDのスチレンlOmg/mL溶液を加えた。この時点からシュレンクフラスコを100℃で所定時間撹拌下に加熱した。反応は酸性メタノール(HCI、1重量%;0.5mL ca)を添加して終了させ、ポリマーをメタノール中で沈殿させた。溶剤としてメタノール、非溶媒としてジクロロメタンを使用した複数回の再沈殿で精製した。それから恒量動的減圧(<10.2 mbar)下でポリマーを乾燥した。結果は[表12]に示した。
【0142】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)〜(d)の段階から成る、ブロック共重合体A−Bと任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを含む組成物の製造方法:
(a) 少なくとも一種のモノビニル芳香族モノマー中に分散させた開環重合(ROP)によって重合可能な一種または複数の環式成分と、モノビニル芳香族モノマー中に溶解させた任意節分のゴムとを含む混合物を形成し、
(b)段階(a)の混合物を下記(b1)と(b2)の混合物と接触させ、
(b1)は下記のいずれかであり:
M[N(SiR832x(Mは金属であり、R8は炭化水素基であり、xは金属Mの結合価である)または
金属アルコキシドM(OR9)x(Mは金属、R9は炭化水素基、xは金属Mの結合価)または
下記式のフェノール−ベースプロ−リガンド:

(ここで、R1

であり(ここで、mが、1、2または3で、n≧1である)、
2は1〜10の炭素原子を有するヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチルまたはネオペンチルから選択され、
3はR1と同じものであるか1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ネオペンチル、クミル、トリチルから選択されるアルキルまたはフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニルから選択されるアリールまたはその混合物またはトリアザビシクロデセン(TBD)または下記一般式で表されるバルキーなβ−ジイミネート(diiminate)リガンド(BDI)をベースにしたシングルサイト金属触媒成分:

(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水素、未置換または置換されたヒドロカルビルまたは不活発な官能基の中から各々独立して選択され、前記基の少なくとも2つが一緒になって一つまたは複数の環を形成してもよく、Xは1〜12の炭素原子を有するヒドロカルビル基、アルコキシド基OR*、アミド基NR**2またはボロハイドライド基(BH4)であり、Mは金属である)
(b2)官能性アルコールであって、環式成分のROPによってモノビニル芳香族モノマー中に分散した−OH末端と他の官能基Yとを有するブロックポリマーAを作るのに有効な条件下で、−OH基の他にポリビニル芳香族の成長またはグラフトを可能にする他の官能性Yを含み、b1に対するb2中のアルコールのOH/blのモル比が2〜50である官能性アルコール、
(C)上記官能性Y、例えばH−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Y(両者を単純化してA−Bで表す)(Rは結鎖基)を介してブロックポリマーAに結合したモノビニル芳香族ブロックポリマーBと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを製造するのに有効な条件下で、段階(b)で得られた溶液を任意成分のフリーラジカル開始剤および任意成分の連鎖移動剤の存在下で重合させ、
(d)段階(c)の生成物を必要に応じて脱気して未重合のモノマーおよびコモノマーを分離し、少なくともブロック共重合体A−Bと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーおよび任意成分のゴムとを含む組成物を回収する。
【請求項2】
blに対するb2中のアルコールのOH/blのモル比が3〜40である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
blに対するb2中のアルコールのOH/blのモル比が5〜20である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
下記の(a)〜(d)の段階から成る、ブロック共重合体A−Bと任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを含む組成物の製造方法:
(a)少なくとも一種のモノビニル芳香族モノマー中に分散させた開環重合(ROP)によって重合可能な一種または複数の環式成分と、モノビニル芳香族モノマー中に溶解させた任意節分のゴムとを含む混合物を形成し、
(b)段階(a)の混合物を下記(b1)と(b2)の混合物と接触させ、
(b1)は下記のいずれかであり:
M[N(SiR832x(Mは金属であり、R8は炭化水素基であり、xは金属Mの結合価である)または
金属アルコキシドM(OR9)x(Mは金属、R9は炭化水素基、xは金属Mの結合価)または
下記式のフェノール−ベースプロ−リガンド:

(ここで、R1

であり(ここで、mが、1、2または3で、n?1である)、
2は1〜10の炭素原子を有するヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチルまたはネオペンチルから選択され、
3はR1と同じものであるか1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ネオペンチル、クミル、トリチルから選択されるアルキルまたはフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニルから選択されるアリールまたはその混合物またはトリアザビシクロデセン(TBD)または下記一般式で表されるバルキーなβ−ジイミネート(diiminate)リガンド(BDI)をベースにしたシングルサイト金属触媒成分:

(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水素、未置換または置換されたヒドロカルビルまたは不活発な官能基の中から各々独立して選択され、前記基の少なくとも2つが一緒になって一つまたは複数の環を形成してもよく、Xは1〜12の炭素原子を有するヒドロカルビル基、アルコキシド基OR*、アミド基NR**2またはボロハイドライド基(BH4)であり、Mは金属である)
(b2)官能性アルコールであって、環式成分のROPによってモノビニル芳香族モノマー中に分散した−OH末端と他の官能基Yとを有するブロックポリマーAを作るのに有効な条件下で、−OH基の他にポリビニル芳香族の成長またはグラフトを可能にする他の官能性Yを含む官能性アルコール、
(C)上記官能性Y、例えばH−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Y(両者を単純化してA−Bで表す)(Rは結鎖基)を介してブロックポリマーAに結合したモノビニル芳香族ブロックポリマーBと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーとを製造するのに有効な条件下で、段階(b)で得られた溶液を任意成分のフリーラジカル開始剤および任意成分の連鎖移動剤の存在下で重合させ、
(d)段階(c)の生成物を必要に応じて脱気して未重合のモノマーおよびコモノマーを分離し、少なくともブロック共重合体A−Bと、任意成分のモノビニル芳香族ポリマーおよび任意成分のゴムとを含む組成物を回収する。
【請求項5】
blに対するb2中のアルコールのOH/blのモル比が2〜50である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
blに対するb2中のアルコールのOH/blのモル比が3〜40である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
blに対するb2中のアルコールのOH/blのモル比が5〜20である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
段階(c)の連接基Rが炭化水素基である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
段階(b2)のYがニトロオキシド基=N−O*、(メタ)アクリレート官基、アルケン基、チオール基、アルコキシアミン基の中で選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
段階(b1)のM[N(SiR832]中の金属Mがランタナイド(Ln)、Y、Zn、Feおよびアルカリ土類金属の中から選択される金属である請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
段階の(b1)のM[N(SiR832]中のR8がC1〜C6アルキル、シクロアルキルの中から選択される請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
段階の(b1)のシングルサイト金属触媒がβ−ジイミネート−Zn−アミドまたはβ−ジイミネート−亜鉛アルコキシド錯体である請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
段階(b2)の官能性アルコールが4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO−OHまたは4−ヒドロキシ−TEMPOとして公知)である請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
段階(b2)の官能性アルコールがヒドロキシ−アルコキシアミンである請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
開環重合により重合可能な環式成分がラクチドまたは環状カーボネートである請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法で作られたジブロックA−Bの相溶化剤としての使用。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の根で作られたジブロックA−Bの、基本的にブロックAとしての同じ少なくとも一つのモノマー単位からなる少なくとも一つのポリマーまたはブロックAと相溶なポリマーと、基本的にブロックBと同じモノマー単位からなる少なくとも一つのポリマーまたはブロックBと相溶なポリマーとから成る混合物の相溶化剤として使用。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法で作られたジブロックA−Bと、任意成分のブロックAと相溶なポリマーA1、任意成分のブロックBと相溶なポリマーB1とから成り、A1とB1の少なくとも一つが存在する混合物。
【請求項19】
ポリマーA1が基本的にブロックAと同じモノマー単位から作られる請求項18に記載の混合物。
【請求項20】
ポリマーB1が基本的にブロックBと同じモノマー単位から作られる請求項18または19に記載の混合物。
【請求項21】
ブロック共重合体H−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Y(以下、単にA−Bという)(ここで、ブロックAの反復単位は一種または複数の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基および一種または複数の環状カーボネート残基の中から選択され、ブロックBの反復単位は、モノビニル芳香族モノマー残基であり、ブロックAおよびブロックBはH−A−O−R−Y−BまたはH−A−O−R−B−Yとして連結され、RおよびYはその−OH官能基とポリビニル芳香族の成長またはグラフトを可能にする他の官能性Yとを含む官能性アルコールに由来し、Rはが連結基である)と、任意成分のブロックAと相溶なポリマーA1と、任意成分のブロックBと相溶なポリマーB1とを含み、A1またはB1の少なくとも一つは存在する組成物。
【請求項22】
ポリマーA1が基本的にブロックAと同じモノマー単位から作られる請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
ポリマーB1が基本的にブロックBと同じモノマー単位から作られる請求項21または22に記載の組成物
【請求項24】
Yがニトロオキシド基=N−O*、(メタ)アクリレート基、アルケン基、アルコキシアミン基の中から選択される請求項21〜23のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2011−529131(P2011−529131A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520464(P2011−520464)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059713
【国際公開番号】WO2010/012712
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(305041979)トタル ペトロケミカルス フランス (6)
【氏名又は名称原語表記】TOTAL PETROCHEMICALS FRANCE
【出願人】(505252333)サントル・ナシヨナル・ド・ラ・ルシエルシユ・シヤンテイフイク (24)
【Fターム(参考)】