説明

モバイルタグを用いた評価発言送信システム。

【課題】評価対象の特定が容易でかつ評価者および評価受領者双方に負担の無いシステムを提供する。
【解決手段】来場者にモバイルタグMTGを所持させて、該タグMTGを各ブースに配置したブース端末BOTのタグセンサTGS2に接触させることでブースの評価をソーシャルメディア上に評価発言として発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグを用いて特定の場所または商品に関する評価発言を発信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
新製品や新サービス等のプロモーションとしては、展示会場の自社ブースの来場者へのアンケート等が一般的だった。
【0003】
このアンケートに際しては、来場者(評価者)に対してアンケート用紙を手渡しして、筆記具でチェックマーク等に記載してもらい、それをアンケート実施者(評価受領者)が後日集計するものが一般的だった。この点について、アンケートを効率的に低コストで実施するための先行技術として、特開2002−279121(特許文献1)等が提案されている。ここでは予めアンケートに利用可能なアンケート資源を登録した資源データベースと、依頼者からアンケート条件を受付けるアンケート依頼受付サーバと、アンケート条件に応じたアンケート資源を資源データベースから選定して具体的なアンケート手順を設定するアンケート設定サーバと、設定されたアンケート手順に基づくアンケート処理を実施するアンケート実施サーバとを含むアンケートシステム。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−279121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のようなシステムでは、自動化されているとはいえ、来場者およびアンケート実施側の双方に過度な負担を強いるものだった。すなわち、来場者は会場のブース毎(アンケート毎)に自身の個人情報、あるいは個人の属性情報(性別、年齢、職業等)を登録させなければならず、アンケート回答に煩わしさを感じさせるものとなっており、そのため回収効率も芳しくなかった。一方、アンケート実施者側としても集計作業が必要であり、リアルタイムで来場者の評価を受けることができるものではなかった。
【0006】
一方、twitter(twitter社の商標)やfacebook(facebook社の商標)等のソーシャルメディアが注目されており、位置情報と関連付けた「つぶやき」等のネットワーク上の発言によって情報を共有する文化が生まれている。しかし、このソーシャルメディアによる情報共有においても、GPS等から取得した位置情報を発言に関連付けることはされていても、その測定精度から多少の誤差があり、場所の詳細な特定はできないばかりか、屋内での特定の部屋や物に対する関連付け(評価対象の特定)は発言者の発言で特定するほかなかった。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、評価対象の特定が容易でかつ評価者および評価受領者双方に負担の無いシステムを実現することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明の請求項1は、評価者が所持しタグ識別情報を登録したモバイルタグと、前記モバイルタグと近距離通信可能なタグセンサと、このタグセンサと接続され前記モバイルタグからのタグ識別情報をネットワークに送信可能なブース端末と、前記ブース端末とネットワークを介して接続され、前記ブース端末の端末識別情報と、前記端末識別情報に関連付けられた発言情報とがそれぞれ関連付けられた評価発言テーブルを備えた管理サーバとからなり、前記管理サーバの中央処理装置は、前記ブース端末からタグ識別情報と端末識別情報とを受信したときに、前記発言テーブルを参照して評価発言情報を読み出して当該評価発言情報をネットワーク上のソーシャルネットワークシステムに送信する評価発言送信システムである。
【0009】
本発明の請求項2は、前記に加えて受付端末を備えており、モバイルタグ識別情報と評価者の個人特定情報または個人属性情報を関係付ける個人情報テーブルを受付端末上または前記管理サーバ上に生成する請求項1記載の評価発言送信システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、評価対象の特定が容易でかつ評価者および評価受領者双方に負担の無い評価情報収集システムが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明の実施形態を示すネットワーク構成図
【図2】 実施形態の管理サーバにおける評価発言テーブルの内容を示す説明図
【図3】 本実施形態に用いられるモバイルタグとタグセンサとの実例を示す外観図
【図4】 本実施形態に用いられる個人情報テーブルの内容を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の一つであるネットワーク構成を示している。
同図に示すように、本システムでは、管理サーバと、ブース端末と、受付端末とで構成されている。
【0013】
管理サーバ(SV)は、汎用のネットワークサーバであり、中央処理装置およびメインメモリを中心に、バスで接続されたハードディスク装置等の大規模記憶装置を有しており、この大規模記憶装置にはオペレーティングシステムとともに、管理サーバ(SV)として機能させる管理プログラム、評価発言テーブル(EVTBL)等が設けられている。
【0014】
図3に示すように受付端末(RET)は、汎用のネットワーク接続可能なパーソナルコンピュータ等の情報端末であり、タグセンサ(TGS1)が接続されている。なお、展示会場の各ブースに設置されるブース端末(BOT)も同様の構成を有しており、タグセンサ(TGS2)が接続されている。
【0015】
受付端末(RET)は展示会場の受付に設置されている。受付担当者は来場者(評価者)の一人ずつにモバイルタグ(MTG)を手渡す。そして、来場者(評価者)は手渡されたモバイルタグ(MTG)を受付端末(RET)に接続されたタグセンサ(TGS1)に近接させる。モバイルタグ(MTG)にはRFIDチップが内蔵されており、当該RFIDチップが内蔵されており、該チップにはEPCglobalやT−Engineフォーラムに準拠した固有のタグ識別コード(タグ識別情報、TID=01)が登録されている。
【0016】
前記タグセンサ(TGS1)で読み取られたタグ識別コード(TID=01)は、受付端末(RET)に送られ個人情報テーブル(PSTBL)が生成される。
【0017】
次に、受付端末(RET)では、来場者(評価者)の個人情報を入力させる。入力された個人情報は、前記で配布されるモバイルタグ(MTG)のタグ識別コード(TID=01)と関連付けられて個人情報テーブル(PSTBL)が生成される。このとき、個人情報とは個人を特定する氏名、性別、年齢、職業等の個人特定情報に限らず、氏名を除外した性別や年齢等の個人属性情報のみを入力させてもよい。また、来場者(評価者)がtwitterやfacebook等のアカウント(たとえばtwitterID)を有している場合はこれらを個人属性情報として入力させてもよい。
なお、個人情報の入力に際しては、あらかじめ自宅のパーソナルコンピュータあるいはスマートホン等から管理サーバにアクセスして、事前登録の際に住所、氏名等を入力しておき、その受付コードを含むQRコードを発行した画面を前記パーソナルコンピュータまたはスマートホンに表示させて、受付端末に接続されたバーコードリーダでそれを読み込ませることによってモバイルタグ(MTG)との関連付けを行ってもよいし、あるいは自宅のパーソナルコンピュータまたはスマートホンから印刷されたQRコードを持参して、受付端末に接続されたバーコードリーダでそれを読み込ませることによってモバイルタグ(MTG)との関連付けを行ってもよい。
【0018】
次に、上記モバイルタグ(MTG)を手渡された来場者(評価者)が展示会場の各ブースを巡回して、気に入ったブースがあった場合には、当該ブースに設置されているブース端末(BOT)に接続されているタグセンサ(TGS2)に対して、所持しているモバイルタグ(MTG)を近接(接触)させる。
【0019】
このような近接(接触)操作によって、モバイルタグ(MTG)に内蔵されたRFIDチップとタグセンサ(TGS2)が通信を行い、タグ識別情報(TID=01)がタグセンサ(TGS2)を介してブース端末(BOT)に読み取られる。
【0020】
ブース端末(BOT)に読み取られたタグ識別情報(TID=01)は、当該ブース端末の端末識別情報(T001)とともにネットワーク(NW)を介して管理サーバ(SV)に送信される。
【0021】
前記タグ識別情報(TID=01)と端末識別情報(T001)とを受信した管理サーバ(SV)の中央処理装置は、管理サーバ(SV)が有する評価発言テーブル(EVTBL)を生成する。この評価発言テーブル(EVTBL)には、端末識別情報(T001)と、発言情報1と、発言識別情報とが関連付けられて生成される。この発言情報1とはテキスト情報であり、「T001ブース、イイネ!!」というような評価発言情報が生成されるようになっている。そして、この評価発言情報に付随した当該展示会毎に設定された発言識別情報(#ORF)が付加される。このような発言識別情報はソーシャルメディアの「twitter」におけるハッシュタグであり、「ORF」という展示会に関連した発言であることが閲覧者によって認識できるようになっている。
【0022】
管理サーバ(SV)は、受付端末(RET)から受信した加入者識別情報(twitterID)を用いて当該ブース端末(BOT)が設置されたブースの評価発言情報「T001ブース、イイネ!! #ORF」をソーシャルメディア上の発言としてネットワークの図示しないソーシャルメディアサーバに送出する。
【0023】
このようにソーシャルメディアサーバに送信された評価発言情報は、ネットワーク(NW)を介して当該ソーシャルメディアの加入者端末(パソコンや携帯端末)に送信されるようになっている。
【0024】
このような評価発言情報によって、展示会への来場希望者を増加を促進したり、当該評価発言情報を集計することでアンケートに較べて遙かに容易に当該展示会の各ブース毎の評価を容易に得ることができるようになる。
【0025】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
たとえば、モバイルタグ(MTG)とタグセンサ(TGS1,TGS2)の形状としては、一例として図3に示したがこれに限定されない。モバイルタグ(MTG)としては、カード形状の汎用のEdyカード(ビットワレット株式会社の商標)やSuicaカード(JR東日本株式会社の商標)を用いてもよいし、タグセンサ(TGS1,TGS2)としては、パソリ(PaSoRi:ソニー株式会社の商標)のようなカード載置式の装置を用いてもよい。
【0027】
また、ブース端末(BOT)には評価の異なる複数のタグセンサを接続しておき、いずれのタグセンサがモバイルタグ(MTG)で選択されたかによって異なる評価情報を送信できるようにしてもよい。たとえば、タグセンサの一つは「良評価」であり、別のタグセンサ(TGS)は「NG評価」として、それぞれ異なる評価フラグ(「1」か「0」)を付加して前記端末識別情報(T001)とタグ識別情報(TID=01)とともに管理サーバ(SV)に送信してもよい。このような評価フラグを受信した管理サーバ(SV)の中央処理装置は、評価フラグに対応してそれぞれ異なるテキストからなる評価発言情報を前記ソーシャルメディアに送信してもよい。
【0028】
また、ブース端末(BOT)に接続されるタグセンサ(TGS)は単一の装置として、モバイルタグ(MTG)のタグセンサ(TGS)に対する動作の種類で評価フラグを付与してもよい。たとえば、タグセンサ(TGS)に対してモバイルタグ(MTG)を連打するような動作を検出した場合には、ブース端末(BOT)は評価の高いフラグ値を付加してもよい。
さらに、ブース端末(BOT)は実施形態で説明したものに限られない。たとえばタグセンサ(TGS)の内部にRFIDチップを登録しておき、このタグセンサ(TGS)におサイフ携帯等(ユーザの携帯端末)を近接させて、その評価情報を直接おサイフ携帯から管理サーバに送信するようにしてもよい。
また、実施形態としては評価発言をアンケートに対する発言例で説明したがこれに限らず、たとえば美容室等にブース端末(BOT)を設置しておき、ユーザが当該美容室の評価発言を発信したり、当該美容室の販促情報、たとえばクーポン情報等を評価発言としてソーシャルメディアに対して発信するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、展示会の各ブースでの評価発言の発信・収集に利用可能であるほか、特定の場所や陳列された商品等の評価にも利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
SV 管理サーバ
NW ネットワーク
MTG モバイルタグ
TGS1,TGS2 タグセンサ
RET 受付端末
BOT ブース端末
EVTBL 評価発言テーブル
PSTBL 個人情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価者が所持しタグ識別情報を登録したモバイルタグと、
前記モバイルタグと近距離通信可能なタグセンサと、このタグセンサと接続され前記モバイルタグからのタグ識別情報をネットワークに送信可能なブース端末と、
前記ブース端末とネットワークを介して接続され、前記ブース端末の端末識別情報と、前記端末識別情報に関連付けられた発言情報とがそれぞれ関連付けられた評価発言テーブルを備えた管理サーバとからなり、
前記管理サーバの中央処理装置は、前記ブース端末からタグ識別情報と端末識別情報とを受信したときに、前記発言テーブルを参照して評価発言情報を読み出して当該評価発言情報をネットワーク上のソーシャルネットワークシステムに送信する評価発言送信システム。
【請求項2】
前記に加えて受付端末を備えており、モバイルタグ識別情報と評価者の個人特定情報または個人属性情報を関係付ける個人情報テーブルを受付端末上または前記管理サーバ上に生成する請求項1記載の評価発言送信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−97774(P2013−97774A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249104(P2011−249104)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(511276943)
【Fターム(参考)】