説明

モバイルネットワーク中の動的な移動挙動の推定

【課題】モバイルネットワーク中の移動挙動を推定するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】処理は、モバイル移動挙動サーバが移動性サーバ、ユーザデータサーバ、及び地理データベースサーバから情報/データを収集することで開始する。モバイル移動挙動サーバは、ユーザ機器の位置を示すイベントデータを受信すること、受信したイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成すること、人口のうちの1人又は複数の個人の前処理済みデータに対して直線補間を実施して、1人又は複数の個人それぞれの第1の位置から第2の位置までの軌跡の中間位置を推定すること、並びに、所与の時間及び所与のエリアにおける人口のうちの個人の人数をカウントすることを含む。

【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
[0001]本特許出願は、2010年10月27日に出願された、「Methods and Apparatuses for Dynamic Travel Behavior Estimation in Mobile Network」という名称の、対応する仮特許出願第61/407,422号に対する優先権を主張し、この仮特許出願を参照により組み込む。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明の実施形態は、モバイルネットワーク中で生成されたデータを使用した動的人口動態推定及び移動カウントの分野に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、直線補間(straight line interpolation)を使用してユーザ機器の動きの軌跡を推定することによる動的人口動態推定及び移動カウントの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]社会的支援エコシステムを得るために、地理位置ベースのアプリケーションは今や、ユーザと産業とから一様に、非常に多くの注目を受けている。このようなアプリケーションは、セルラフォンを使用してユーザの位置を追跡することで、ユーザの移動性に関する情報を得る。ユーザの移動性を追跡することにより、ある地理エリア中の人口の変動を、モバイル移動挙動サーバにおいて人口移動をカウントすることに基づいて推定することができる。モバイル移動挙動サーバにおいて人口移動をカウントするために、これらのアプリケーションは、制御データやユーザデータなど、モバイルフォンから生成されるデータを精査及び分析する。モバイルフォンから生成されるこれらの制御データ及びユーザデータを、本明細書ではイベントデータと呼ぶ。
【0004】
[0004]今日、セルラフォンは多くの人々によって携帯され使用されている。セルラフォンは、アクティブに使用されていない間でも、その登録、位置エリア更新、及びキープアライブ動作の一部として、ある種の定期的なイベントデータを、セルラフォンに関連する基地局(BS)に送信する。これらのメッセージは、BS、無線ネットワークコントローラ、又はサービングGPRSサポートノード(SGSN)において受信され、それにより、モバイルフォンを所与の時間にセクタレベルの位置で突き止めることができる。モバイルネットワークのオペレータは、このようなイベントデータを全ての加入者から収集すると、これらのデータを分析し、社会一般の改善の助けとなり企業顧客のための新規ビジネスを加速することになる有用な情報を抽出する。モバイル移動挙動分析が社会の改善の助けとなるであろういくつかの例としては、都市計画、交通計画、及び災害予防が挙げられる。別の例として、これらのイベントデータは、加入者の性別や年齢などいくつかの個人属性と共に、所与の地理エリア及び時間の内における人口分布に関する重要な統計分析に使用することができる。従来、ユーザ統計分布はセンサス調査を通して得られ、センサス調査は通常、数年に1度実施される。
【0005】
[0005]加入者のこれらのイベントデータ及び個人属性を使用して、以下の目的を達成するための前述のアプリケーションが実現されてきた。すなわち、1)所与の時点(毎時、毎日、毎週、毎月など)の加入者の地理分布を得ること、及び、2)異なる地理エリア間の人口の流れを得ることである。第1の目的では、目標は、所与の時刻の自治体(又はメッシュ、六角形セクタなど)中の人口を得ることである。第2の目的は、自治体又はメッシュ又はセクタ又は人々の滞在時間のレベルでの流入と流出などの動的な人口移動、及び人々の移動距離を決定するのに使用される。
【0006】
[0006]動的な人口移動を得るために、加入者の地理分布の理解は、イベントデータに含まれる情報が限られているせいで困難な作業である。モバイルフォンによって送信されるイベントデータは、セクタレベルの位置情報しか提供せず、セクタサイズは数百メートルから数キロメートルの範囲にわたる場合がある。イベントデータはGPS信号と同じではなく、イベントデータを伴う何百もの送信をモバイルフォンが送ったとしても、どんな正確な位置も含まない。加入者の位置を所与のセクタ内で正確にマッピングするには、些細でない信号処理技法が必要であり、例えばこれらの信号処理技法は、関連するBS位置の情報、加入者の軌跡のソース/到達位置、及び推定される軌跡の使用を伴う。第2の重要な困難は、イベントデータが低頻度で収集されることである。定期的メッセージ(例えば定期的な位置更新メッセージ)は、およそ1時間となるであろう時間間隔で、通信機能を備えるユーザ機器(UE)によって送信され、定期的メッセージの厳密な頻度はカスタマイズすることができる。いくつかの文献では、UEはモバイルフォンと考えられる。2つの定期的メッセージ間の時間間隔が長いほど、UEにおいてメッセージングオーバーヘッドが低くなり電池消費が少なくなるが、UEの位置の追跡精度も制限される。
【0007】
[0007]UEがモバイルであり、いくつかのセクタからなる位置エリア(LA)の境界を横断する場合、UEは、「位置更新メッセージ(LAU)」と呼ばれる別のイベントデータを、次の位置エリアに位置することになる関連するBSに送信する。地方地域では、LAは都市地域におけるエリアよりもずっと広いエリアをカバーし、LA内のセクタの数は多いことが予想される。したがって、地方地域では、LA境界の横断がないため、モバイル移動挙動分析は主に定期的メッセージからなる。
【0008】
[0008]UEによって送信されるイベントデータの第3の例は、電源オン及び電源オフメッセージである。これらは、定期的メッセージ及びLAUメッセージと比較すると送信される頻度が低いが、定期的メッセージ及びLAUメッセージと同様にして、UEに関するセクタレベルの位置情報を提供する。UEによって送信されるイベントデータメッセージの他の例は、電話の発信/受信、及びSMSメッセージの送信/受信である。
【0009】
[0009]モバイル移動挙動分析に関係する従来技術は、交通監視システムに関係する。従来技術は、セルラシステム中のUEのイベントデータを使用して、交通渋滞及び混雑をオンライン方式で識別することを開示する。この場合、イベントデータは、交通渋滞情報を知ることで自分の移動時間を最適化したいユーザ間で共有される。交通渋滞を推定するために、開発されたキーコンポーネントは、場合によっては地理情報及びトランスポートネットワーク情報の助けにより、モバイルユーザの速度を正確に推定することである。しかし、従来技術は、個々のユーザの軌跡を追跡せず、全体的な交通混雑を検出することに限られる。
【0010】
[0010]従来技術は、モバイルフォンのデータから軌跡を生成する方法を開示する。特に、モバイルフォンのイベントデータから軌跡を推定するための一般的なフレームワークが存在する。地理情報及びトランスポートネットワーク情報と、ユーザの位置エリアコード(LAC)シーケンスとが与えられれば、ニードルマン−ヴンシュ(Needleman−Wunsch)アルゴリズムと呼ばれるあるアルゴリズムが適用されて、軌跡サンプルに対応する最良の地理情報及びトランスポートネットワーク情報シーケンスが決定される。このフレームワークの基本的な目標は、様々な可能な地理情報及びトランスポートネットワーク情報シーケンスから所与の推定LAC軌跡シーケンスを識別し、最良のシーケンス合致を見つけることである。しかし、このアルゴリズムは、ユーザの軌跡の2次元分布、異なる位置間に伴う実際の物理的距離、移動時間などに関する、どんな情報も考慮しない。さらに、地理メッシュの概念は使用されず、アルゴリズムは、異なるLAC間の軌跡を見つけることを試みる。別の方法では、他の従来技術におけるように基本的なフレームワークを使用して、モバイルフォンの軌跡から起点−到達地行列が生成されることが論じられ、同様の制限を含む。
【0011】
[0011]ソース位置と到達位置との間の最短経路の軌跡を推定する、いくつかの従来技術方法が導入されてきた。この従来技術は、ダイクストラ(Dijkstra)のアルゴリズム、A*アルゴリズム、及びデンプスター−シェファー(Dempster−Shafe)法を含めた、可能な最短経路アルゴリズムの考察を含む。しかし、これらの方法の典型的な適用例は、例えばカーナビゲーションのために最良経路を選択するための、オンライン最短経路ルート推定及びユーザへの推奨である。さらに、これらの作業における利用可能な位置データサンプルは、通常、モバイルフォンのイベントデータではなくGPSデバイスから得られる。GPS情報は、一般的な意味で正確な位置情報を提供する。他方、全てのUEにGPSデバイスが装備されているわけではない。UEにGPSが組み込まれている場合であっても、ユーザは、GPS情報を他のエンティティが使用できるようにすることに不快感を抱くことがある。したがって、GPS情報の使用は、位置情報がUEからBS(例えばネットワーク)に転送されるときにユーザのプライバシーを保護するための追加の複雑さを必要とする。
【発明の概要】
【0012】
[0012]モバイルネットワーク中の移動挙動を推定するための方法及び装置を本明細書に開示する。一実施形態では、この方法は、ユーザ機器の位置を示すイベントデータを受信すること、受信したイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成すること、人口のうちの1人又は複数の個人の前処理済みデータに対して直線補間を実施して、1人又は複数の個人それぞれの第1の位置から第2の位置までの軌跡の中間位置を推定すること、並びに、所与の時間及び所与のエリアにおける人口のうちの個人の人数をカウントすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013]本発明は、本発明の様々な実施形態に関する以下に提供する詳細な記述及び添付の図面から、より十分に理解されるであろう。しかし、詳細な記述及び添付の図面は、本発明を特定の実施形態に限定するものと解釈すべきではなく、説明及び理解のためのものに過ぎない。
【図1】一実施形態によるモバイル移動挙動分析の概観及びアーキテクチャの図である。
【図2】一実施形態によるイベントデータ構造の図である。
【図3】一実施形態による、モバイル移動挙動サーバにおいて実施されるユーザの軌跡推定及び動的人口移動カウントのプロセスを示すデータフロー図である。
【図4】一実施形態による、UE/ユーザの位置を識別するための前処理プロセスを示すデータフロー図である。
【図5】一実施形態による、選択されたUE/ユーザの位置を得るためのフィルタリングプロセスを示すデータフロー図である。
【図6】一実施形態による、ソースから到達地までのUE/ユーザの軌跡を推定するための補間プロセスを示すデータフロー図である。
【図7】一実施形態による動的人口カウントプロセスを示すデータフロー図である。
【図8】コンピュータシステムのブロック図である。
【図9】コンピュータシステムの一実施形態のメモリに記憶される1組のプログラム及びデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0014]モバイル移動挙動分析を実施するための方法及び装置を本明細書に開示する。本発明の実施形態の目標の1つは、前述のようなイベントデータ及び個人属性を使用して、UEの確実且つ正確な位置推定値を高分解能で(例えば所与の日のうちで毎分)得ることである。UEの位置推定値を使用して、所与の期間内における異なる地理エリア間の人口の流入と流出が推定されることになる。
【0015】
[0015]一実施形態では、モバイル移動挙動分析システムは、異なる情報を記憶するいくつかのサーバを含む。加えて、一実施形態では、モバイル移動挙動分析システムは、通信システムを介して、ユーザ機器(UE)によって生成されたイベントデータを使用する。別の実施形態では、システムはまた、UEの位置及びその軌跡を決定する精度を高めるために、例えば個人属性情報、並びに地理情報及びトランスポートネットワーク情報など、他のデータも使用する。
【0016】
[0016]一実施形態では、位置更新メッセージ及び定期的位置更新メッセージが、使用されるイベントデータである。位置更新メッセージは、UEが位置エリア境界を横断するときには常にUEによって生成され、また、UEはその定期的位置更新メッセージを定期的に送信する。加えて、ユーザがUEをオン/オフにするとき、及び、UEが基地局(BS)又はアクセスポイント(AP)を認証してBS又はAPに連携する必要があるときには、他のイベントデータが送信される。BS又はAPは、有線回線又はワイヤレスを介してネットワークに接続されるので、イベントデータはネットワーク中の移動性サーバにおいて記憶される。
【0017】
[0017]一実施形態では、モバイル移動挙動システムは、移動性サーバ、加入者データサーバ、及び地理データベースサーバなど、種々のサーバにおいて記憶された1組のデータを結合及び分析する。UEの軌跡推定を用いてデータを分析した後、所与の時点のUEの地理分布が決定される。
【0018】
[0018]一実施形態では、モバイル移動挙動分析は、UEの軌跡を識別して正確な人口カウントを得るための、いくつかの動作を含む。第1に、UEの地理分布を抽出するために、モバイル移動挙動システムは、種々のサーバからのイベントデータを含めた適切なデータを得て、イベントデータを前処理する。次いで、前処理されたデータは、1つ又は複数の異なる属性に基づいてフィルタリングされる。その後、地理データベースサーバ中に位置する地理情報及びトランスポートネットワーク情報と共に、フィルタリングされた情報に、1つ又は複数の補間アルゴリズムが適用されて、UEの地理分布が得られ、UEの動きの軌跡が推定される。一実施形態では、時間領域中のUEの地理分布が比較され、次いで、異なる地理エリア間の人口の流入と流出が得られる。
【0019】
[0019]後続の記述では、本発明のより完全な説明を提供するために多くの詳細を示す。しかし、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実践できることは、当業者には明らかであろう。他の場合では、周知の構造及びデバイスは、本発明を曖昧にするのを避けるために、詳細にではなくブロック図の形で示す。
【0020】
[0020]後続の詳細な記述のうちのいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する操作のアルゴリズム及び象徴表現で提示する。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理技術の当業者が自分の作業の実質を他の当業者に最も効果的に伝えるのに使用する手段である。アルゴリズムは、ここでは、また一般的には、所望の結果に至る自己矛盾のない一連のステップと考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必ずしもそうとは限らないが通常は、これらの量は、記憶、転送、結合、比較、及び他の方法で操作することのできる、電気的又は磁気的信号の形をとる。主として一般的な使用の理由で、これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数字などとして言及することが好都合なときがあることが証明されている。
【0021】
[0021]しかし、これら及び類似の用語は全て、適切な物理量に関連付けられるものであって、これらの量に適用される好都合なラベルに過ぎないことを、念頭に置くべきである。特段の記載がない限り、後続の考察から明らかになるように、記述全体を通して、「処理」又は「コンピューティング」又は「計算」又は「決定」又は「表示」などの用語を利用した考察は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子的)な量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送、若しくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表される他のデータに操作及び変換する、コンピュータシステム又は類似の電子コンピューティングデバイスのアクション及びプロセスを指すことを理解されたい。
【0022】
[0022]本発明はまた、本明細書の動作を実施するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築されてもよく、或いは、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化されるか又は再構成される汎用コンピュータを含んでもよい。このようなコンピュータプログラムはコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、コンピュータ可読記憶媒体は、以下のものに限定されないが、フロッピーディスクや光ディスクやCD−ROMや光磁気ディスクを含めた任意のタイプのディスク、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気若しくは光学カード、又は、電子的命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体などであり、各媒体はコンピュータシステムバスに結合される。
【0023】
[0023]本明細書に提示するアルゴリズム及び表示は、どんな特定のコンピュータ又は他の装置にも本来的に関係しない。本明細書の教示によるプログラムと共に様々な汎用システムを使用することができ、或いは、必要とされる方法ステップを実施するためのより特化された装置を構築するのが好都合であると判明する場合もある。様々なこれらのシステムに関する必要とされる構造は、以下の記述から明らかになるであろう。加えて、本発明は、どんな特定のプログラミング言語に関して述べるものでもない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に述べるように本発明の教示を実施できることは理解されるであろう。
【0024】
[0024]機械可読媒体は、機械(例えばコンピュータ)によって読取り可能な形で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読取専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0025】
概観
[0025]モバイルネットワーク中で動的な人口移動を推定しカウントする技法について述べる。後続の例(1つ又は複数)は、説明のためのものであって限定ではないことを理解されたい。
【0026】
[0026]図1に、モバイル移動挙動分析のためのモバイルネットワーク構成の概観を示す。図1を参照すると、ユーザ機器(UE)101は、「基地局(BS)」又は「アクセスポイント(AP)」103と呼ばれるワイヤレス基地局とワイヤレス通信するのを可能にするための通信機能を備える。AP103は主に、インターネットに接続するワイヤレスLANアクセスポイントに使用される。この実施形態では、以下、用語「BS」を使用して、ネットワーク接続ポイントを示す。UE101は、種々の通信機能を有する場合があり、2G(第2世代)セルラシステム、3G(第3世代)セルラシステム、ワイヤレスLAN(例えばWiFi)及びブルートゥースなどの、ワイヤレス通信能力に限定されない。UE101は、例えばイーサネットなど、有線通信機能を有する場合もある。UEの例としては、モバイルフォン、スマートフォン、及び通信機能付きスマートタブレットコンピュータが挙げられるが、これらに限定されない。後続の例では、1つのUEを用いてこの方法及び装置を説明するが、複数のUEに使用することもできる。
【0027】
[0027]BS103は、種々のシステムをサポートするための複数の通信機能を有する場合がある。一実施形態では、BS103は、スペクトル効率を高めるために少数のセクタ105を有する。図1では、1つのBSにつき3つのセクタが示されている。BSにおける各セクタは、一意のセクタ識別コードを有する小さい地理エリアをカバーする。一実施形態では、位置エリア(LA)107は、セクタ105を含めていくつかのBS103を含む。別法として、LAは、1つのBSのみ、及び1つのセクタのみを含む場合がある。
【0028】
[0028]UE101がBS103と通信している間、UE101はイベントデータ201を生成する。UE101によって生成されたイベントデータ201を使用して、モバイル移動挙動サーバ151によって、動的な人口(例えばユーザ、UE)移動、及び、流入と流出に関する人口カウントが推定される。一実施形態では、イベントデータ201は、図2に示す制御データ211及びユーザデータ221のサブセットから形成される。
【0029】
[0029]図2を参照すると、制御データ211は、トリガデータ(triggered data)213及び定期的データ215と呼ばれる2つの異なるデータに分類される。トリガデータ213は、位置エリア(LA)境界の横断や電源オン及び電源オフなど、特別なイベントがUE101に起こったときには常に、UE101によって送信される。定期的データ215は、定期的に送信されるように定義される。定期的データの例は、ある時間間隔でUE101によって送信される定期的な位置更新メッセージの送信である。定期的なメッセージ送信の厳密な頻度は、時の経過に伴ってカスタマイズ/修正することができる。他方、データ通信や音声通信など、関連するどんな私的データも、ユーザデータ221として定義される。
【0030】
[0030]イベントデータを生成する位置更新手順の一実施形態では、UE101は、ある位置エリア(例えば図1のLA107)から別の位置(例えば図1のLA109)に移動するときには常に、現在位置エリア情報をセルラネットワークに提供することができる。UE101は、各LAごとの一意の識別である位置エリアコード(LAC)を検出することを担う。UE101は、位置エリアコード(LAC)がその最後の更新LACと異なることに気付いたときは、新しい位置エリアコードを含む別の位置更新メッセージをネットワークサーバに送信する。このイベントデータ(位置更新)は、UEの前の位置エリアコード(例えば位置エリア識別(LAI)及びその一時的モバイル加入者識別(TMSI))を含む。この例では、ネットワークサーバは移動性サーバ121である。例として、移動性サーバ121は、GSMネットワーク中のMSC VLR(mobile switching center visiting location register)と同様の機能を実施することができる。
【0031】
[0031]図1に示すモバイル移動挙動分析アーキテクチャの例では、いくつかのサーバがある。前述のように、移動性サーバ121は、UE101によって生成されたイベントデータ201を収集して、イベントデータ201に基づいてUE101の位置を追跡する機能を備える。イベントデータ201に基づくUE101の位置推定は、後で説明する。一実施形態では、イベントデータ201は、セルラシステム中でUE101によって生成された情報を含むだけでなく、単一のUE101が複数の通信機能を有するときにもワイヤレスLAN中及びいずれか他のシステム中でUE101によって生成された情報をも含む。
【0032】
[0032]加入者ユーザデータサーバ131は、加入者の情報を受け取るためのインタフェースと、加入者の情報を記憶するためのメモリとを有する。加入者の情報は、本明細書ではUEの「個人属性情報」と呼ばれ、例えば性別、住所、年齢などであるがこれらに限定されない。加入者のプライバシー情報であるため、一実施形態では、加入者データサーバ131は、悪意あるアクセスから高度に保護される。地理データベースサーバ141は、地理情報並びにトランスポートネットワーク情報を受け取るためのインタフェースと、地理情報並びにトランスポートネットワーク情報を記憶するためのメモリとを有する。地理情報並びにトランスポートネットワーク情報は、例えば地理マップ情報、並びに、列車時刻表を含めた交通情報や、例えば建設工事、通行止め、交通規制状況情報、料金徴収所情報、災害情報、及びルート変更情報などの交通情報などである。モバイル移動挙動サーバ151は、移動性サーバ121、加入者データサーバ131、及び地理データベースサーバ141において記憶されている情報にリンクするデータを捕捉、記憶、分析、管理、及び提示する1組のツールを実装するための、メモリ及びプロセッサを備える。モバイル移動挙動サーバ151において記憶及び分析される情報へは、第三者ユーザのサーバ161によってアクセス可能である。
【0033】
[0033]本明細書に述べる技法の目標の1つは、所与の時点(例えば毎時、毎日、毎週、毎月など)におけるユーザの地理分布を得ること、及び、異なる地理エリア間の人口移動の流入と流出を推定することである。この目標を達成するために、UE101によって生成されるイベントデータが使用される。これらのデータは、移動性サーバ121に一時的又は永続的に記憶されることになる。2つのイベントデータ間の時間間隔が長いほど、UEにおいてメッセージオーバーヘッドが低くなり電池消費が少なくなるが、受信されるイベントデータはUEの位置を明示的に示さない。ほとんどのイベントデータは、特に含められない限りGPS(全地球測位システム)情報を含まないことになるので、イベントデータに基づいてUEの厳密な位置を推定するのは困難である。これは、ワイヤレス又は有線回線を介してUEと接続されるBSが、UEの最も近い位置と見なされるからである。したがって、イベントデータを受信するBSが、UEの現在位置を暗黙的に示す。
【0034】
[0034]一実施形態では、厳密なUE位置をイベントデータから決定することはできないものの、イベントデータ送信の頻度は、加入者位置の追跡精度に依存する。例えば、位置エリア更新(LAU)は、UEによって生成されるイベントデータの1つである。UE101がモバイルであって、セクタを含む単一又は複数のBSからなる位置エリアの境界を横断する場合、UE101は、異なる位置エリアを識別したときに、最も近いBSを介してイベントデータとしてLAUをネットワークに送信する。図1では、例として、UE101は、ある位置エリア107から別の位置エリア109に移動する。UE101は、前の位置エリア107とは異なる位置エリア109を検出すると、最も近いBS103にLAUを送信する。UE101から何百ものイベントデータを送信するにもかかわらず、セクタにおいて受信されるイベントデータは、UE101の厳密な位置を示さない。イベントデータに基づくUEの位置は、BS中でセクタが実装される場合は、セクタレベルで推定することができる。図1では、BS103は3つのセクタ105を有する。
【0035】
[0035]モバイルネットワーク中の移動挙動を推定するための方法及び装置を開示する。一実施形態では、移動挙動を推定することは、ユーザ機器の位置を示すイベントデータを受信することを含む。受信後、イベントデータは前処理されて、前処理済みデータが生成される。一実施形態では、受信したイベントデータの前処理では、SAIデータを緯度及び経度の値に変換して、緯度及び経度の値に基づいて個人のユーザ機器の位置を推定することにより、前処理済みデータを生成する。一実施形態では、緯度及び経度の値は、セクタ中心と、セクタ縁部と、メッシュ中心と、セクタ内の複数地点とからなるグループから選択された1つに対応する。前処理後、前処理済みデータはフィルタリングされて、前処理済みデータ中のユーザ機器位置情報の一部が選択される。一実施形態では、前処理済みデータをフィルタリングして前処理済みデータ中のユーザ機器位置情報の一部を選択することは、時間及びエリアと、曜日と、1つ又は複数の個人属性とからなるグループから選択された1つ又は複数に基づく。次に、人口のうちの1人又は複数の個人のフィルタリングされた前処理済みイベントデータに対して直線補間が実施されて、1人又は複数の個人それぞれの第1の位置から第2の位置への軌跡の中間位置が推定される。一実施形態では、直線補間は、イベントデータ間の直線に基づく。一実施形態では、直線はセクタ中心間にある。その後、所与の時間及び所与のエリアにおける人口のうちの個人の数がカウントされる。一実施形態では、人口のうちの個人の数をカウントすることは、セクタとメッシュの一方又は両方につき実施される。
【0036】
[0036]図3は、一実施形態による、モバイル移動挙動サーバにおけるユーザの軌跡推定及び動的人口移動カウントのプロセスを示すデータフロー図である。一実施形態では、これらのプロセスは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム上若しくは専用マシン上で実行されるものなど)、又は両方の組合せを含む場合のある、処理ロジックによって実施される。一実施形態では、処理ロジックは、モバイル移動挙動サーバ151の一部である。
【0037】
[0037]図3を参照すると、処理は、モバイル移動挙動サーバ151が移動性サーバ121、ユーザデータサーバ131、及び地理データベースサーバ141から情報/データを収集することで開始する。これらのサーバに加えて、モバイル移動挙動サーバ151は、他のサーバから他の情報/データを得る必要がある場合もある。
【0038】
[0038]収集したデータを使用して、モバイル移動挙動サーバ151は、種々のサーバから得られた情報/データを前処理し(処理ブロック301)、前処理した情報/データをフィルタリングし(処理ブロック311)、ソース(スタート)位置から到達地までのユーザの軌跡を補間し(処理ブロック321)、所与の時間及び所与のエリアにおける人口のうちの個人の数をカウントする(処理ブロック331)ことによって、モバイル移動挙動分析を実施する。後続の例では1つのモバイル移動挙動サーバ151を用いてこの方法及び装置を述べるが、複数のモバイル移動挙動サーバを使用して実現することもできる。
【0039】
[0039]サーバから情報/データを収集する動作は一般に、(a)サーバ間で通信するためのプロトコルを確立すること、(b)サーバを操作するためのプロトコルを確立すること、及び(c)入力を前処理するための必要な情報/データを選択することを伴う。
【0040】
[0040]一実施形態では、イベントデータ201は移動性サーバ121に記憶され、個人属性データはユーザデータサーバ131に記憶される。地理情報及びトランスポートネットワーク情報、並びにセルラカバレッジ情報(例えばBS位置情報や1つのBS当たりのセクタ数など)は、地理データベースサーバ141に記憶される。一実施形態では、イベントデータは、ユーザ識別(例えばUID)、タイムスタンプ、及び更新メッセージタイプ情報(例えば定期的登録メッセージ(PRM)や位置エリア更新メッセージ(LAU))のうちの1つ又は複数を含む。一実施形態では、以下のものに限定されないが年齢、性別、人口統計特性、及び/又は住所など、1つ又は複数の個人属性データもまた、完全な統計分析を行う際に使用される。例えば、統計分析は、25〜44歳のうちの全ての女性の人口移動に限定したい場合がある。セルラカバレッジ情報は、前処理動作(例えば後述する処理ブロック301)で使用され、地理情報及びトランスポートネットワーク情報は、ユーザの軌跡補間動作(例えば後述する処理ブロック321)で使用される。
【0041】
[0041]図4は、モバイル移動挙動サーバ151において実施される前処理プロセスの一実施形態のデータフロー図である。このプロセスは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム上若しくは専用マシン上で実行されるものなど)、又は両方の組合せを含む場合のある、処理ロジックによって実施される。
【0042】
[0042]図4を参照すると、プロセスは、移動性サーバ121及び/又はユーザデータサーバ131からの情報で開始し、一般に、(a)システム情報及び時間(例えばUIDやタイムスタンプ情報)に基づいてイベントデータをソートすること(処理ブロック401)、(b)サービスエリア識別(SAI)情報を、セクタ中心(処理ブロック411)、セクタ縁部(処理ブロック421)、任意選択でメッシュ中心(処理ブロック431)、任意選択で複数地点(処理ブロック441)のうちの少なくとも1つの緯度経度情報に変換すること、及び(c)変換されたSAI情報に基づいてUE/ユーザの位置を推定すること(処理ブロック451)を伴う。SAIを使用して、同じ位置エリアに属する1つ又は複数のセル又はセクタからなるエリアが識別される。このようなエリアは、本明細書ではサービスエリアと呼ばれ、UEの位置をコアネットワークに示すのに使用することができる。
【0043】
[0043]セルラシステム中のUEによって生成されるイベントデータの総数は極めて多いので、イベントデータ201は、多くの異なる移動性サーバ121に記憶されることがある。このような場合、移動性サーバは1つ又は複数のサーバからなる。これらのイベントデータに容易にアクセスするために、モバイル移動挙動サーバ151又は移動性サーバ121は、これらのイベントデータが1群の異なるサーバにおいて記憶されていても、後々の処理のためにこれらのイベントデータをUID及びタイムスタンプに基づいてソートする(処理ブロック401)。データは、プッシュ又はプルモデルを使用してモバイル移動挙動サーバに提供することができる。
【0044】
[0044]一実施形態では、LACやセクタIDなどのSAI情報をセクタ中心、セクタ縁部、メッシュ中心、又は複数地点の緯度経度情報にそれぞれ変換するとき、イベントデータを受信するBSの位置が、推定されるUEの位置451を識別するための基本情報として使用される。
【0045】
[0045]SAIを複数地点の緯度及び経度に変換することは、1人の個人についてセクタ中の複数のソース(例えばスタート位置)が使用されて複数の軌跡が計算されている状況で、有用であることに留意されたい。このような場合、UE/ユーザが別の軌跡を移動した可能性に対する、ある軌跡を移動した可能性の確率を使用して、どの軌跡が人口カウントプロセスの一部として選択されるかが決定される。
【0046】
[0046]図5は、一実施形態による、選択されたUE/ユーザの位置を得るためのフィルタリングプロセスを示すデータフロー図である。一実施形態では、フィルタリングプロセスは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム上若しくは専用マシン上で実行されるものなど)、又は両方の組合せを含む場合のある、処理ロジックによって実施される。一実施形態では、処理ロジックは、モバイル移動挙動サーバ151の一部である。
【0047】
[0047]図5を参照すると、フィルタリングプロセスは、モバイル移動挙動サーバにおいて、UE/ユーザの選択された推定位置情報で開始し、地理データベースサーバ141からのデータ、移動性サーバ121からのデータ、及び/又はユーザデータサーバ131からのデータを含む場合があり、一般に、(a)エリアと時間の一方又は両方に基づいて、イベントデータをフィルタリングして冗長なイベントデータを削減すること(処理ブロック501)、(b)本明細書に述べるような個人属性に基づいてイベントデータをフィルタリングすること(処理ブロック511)、及び(c)曜日に従ってイベントデータをフィルタリングすること(処理ブロック521)のうちの1つ又は複数を伴う。
【0048】
[0048]冗長性、個人属性、及び/又は曜日に基づいてフィルタリングを実施した後、処理ロジックは、UE/ユーザの推定された位置を選択する(処理ブロック531)。イベントデータを選択することにより、モバイル移動挙動サーバは、データセットのサイズが縮小されるのでイベントデータを素早く分析する。例えば、働く人のほとんどは、同じ輸送手段及び同じトランスポートネットワークルートを使用して、朝にオフィスに行き、晩に家に戻る。一実施形態では、平均化及びフィルタリングは、平日の変則的な動態パターンを除去する。
【0049】
[0049]図6は、一実施形態による、ソースから到達地へのUE/ユーザの軌跡を推定するための補間プロセスを示すデータフロー図である。一実施形態では、補間プロセスは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム上若しくは専用マシン上で実行されるものなど)、又は両方の組合せを含む場合のある、処理ロジックによって実施される。一実施形態では、処理ロジックは、モバイル移動挙動サーバ151の一部である。
【0050】
[0050]図6を参照すると、軌跡補間プロセスは、モバイル移動挙動サーバにおいて、UE/ユーザの選択された推定位置情報で開始し、地理データベースサーバ141からのデータ、移動性サーバ121からのデータ、及び/又はユーザデータサーバ131からのデータを含む場合があり、一般に、(a)直線アルゴリズムによってトランスポートネットワークルートを補間すること(処理ブロック611)、(b)最短経路アルゴリズムによってトランスポートネットワークルートを補間すること(処理ブロック621)、及び(c)時間最適化された経路探索アルゴリズムによってトランスポートネットワークルートを補間すること(処理ブロック631)を伴う。これらのアルゴリズムの実施は、当業者に周知である。これらのアルゴリズムは、地理情報及びトランスポートネットワーク情報を使用することがある。全ての補間アルゴリズムは、データを分析する前に、ユーザのソース位置及び到達位置を設定する(処理ブロック601)。
【0051】
[0051]直線補間アルゴリズムは、単純に、ユーザのソース(例えばスタート位置)とユーザの到達地とを直接に接続し、以下に限定されないが例えば1分ごと、5分ごと、10分ごと、又は100メートルごと、250メートルごと、500メートルごとのような、自由裁量の精細度を用いて、推定されるユーザの位置を生成する。最短経路補間は、最短経路アルゴリズム、例えばダイクストラのアルゴリズム、A*アルゴリズム、デンプスター−シェファー法などに基づいて、ユーザのソースとユーザの到達地とを接続する。一実施形態では、セクタ、又はメッシュ、又はセクタ/メッシュ中の、地理情報及びトランスポートネットワーク情報に基づく重みがセットアップされる。これらは、関連する道路ルート及び鉄道ルートに基づく。この情報を使用して、ユーザの推定される軌跡経路を見つけることができる。
【0052】
[0052]一例では、地理エリアは、いくつかのレベルのメッシュに区分化され、これらのメッシュは通常、正方形であり、そのサイズは数十キロメートルから数百メートルの範囲にわたる場合がある。人口カウント/追跡の目的で使用されるメッシュサイズの例は、500メートル×500メートルである。都市地域の場合は、BS中のセクタは少数のメッシュしか含まないことがあるが、地方地域の場合は、多数のメッシュがセクタを構成することがある。全てのメッシュは地理情報及びトランスポートネットワーク情報を考慮し、メッシュベースの軌跡推定は、セクタベースの推定が実施されるのと同様にして実施される。
【0053】
[0053]一実施形態では、時間最適化された経路探索が実施される。時間最適化された経路探索は、ソースから到達地までに必要とされる時間を考慮し、最もよく合致するルートを見つける。
【0054】
[0054]図7は、一実施形態による動的人口カウントプロセスを示すデータフロー図である。一実施形態では、動的人口カウントプロセスは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム上若しくは専用マシン上で実行されるものなど)、又は両方の組合せを含む場合のある、処理ロジックによって実施される。一実施形態では、処理ロジックは、モバイル移動挙動サーバ151の一部である。
【0055】
[0055]図7を参照すると、動的人口カウントプロセスは、モバイル移動挙動サーバにおいて、UE/ユーザの推定された軌跡データで開始し、一般に、(a)セクタに基づいて人口のうちの個人をカウントすること(処理ブロック711)、(b)メッシュに基づいて人口のうちの個人をカウントすること(処理ブロック721)、並びに(c)セクタ及びメッシュのグループに基づいて人口のうちの個人をカウントすること(処理ブロック731)のうちの1つ又は複数を伴う。一実施形態では、モバイル移動挙動サーバは、イベントデータを受信するBSの位置に基づく推定されたUE位置を、セクタ、メッシュ、又はセクタ/メッシュグループエリアなどのターゲットエリアに変換し、各エリア中に重複するUEがもしあれば除去する。次いでモバイル移動挙動サーバは、セクタ、メッシュ、又はセクタ/メッシュごとの、動的人口動態のカウントを得る(処理ブロック741)。
【0056】
[0056]一実施形態では、モバイル移動挙動サーバは、所与の位置に集まったか又は所与の位置から分散したユーザ機器の分布を示す。別の実施形態では、モバイル移動挙動サーバは、所与の2地点間の人口動態の特性を示す。さらに別の実施形態では、モバイル移動挙動サーバは、所与の位置に集まったか又は所与の位置から分散したユーザ機器の分布と、所与の2地点間の人口動態の特性との両方を示すことに留意されたい。このような分布を作成し図解することは、当業者には周知であろう。
【0057】
[0057]動的人口移動がセクタ、メッシュ、又はセクタ及びメッシュのグループのレベルにおいて識別されるとき、所与の地理エリア内の個人属性を用いた「モバイルセンサス」と呼ばれる即席の人口センサスを得ることができる。
【0058】
コンピュータシステムの例
[0058]図8に、図1のモバイル移動挙動サーバ151などのモバイル移動挙動サーバのブロック図を示す。図8を参照すると、モバイル移動挙動サーバ810は、モバイル移動挙動サーバ810のサブシステムを相互接続するためのバス812を備え、サブシステムは、プロセッサ814、システムメモリ817(例えばRAM、ROMなど)、入出力コントローラ818、表示アダプタ826を介した表示スクリーン824などの外部デバイス、シリアルポート828及び830、キーボード832(キーボードコントローラ833とインタフェースする)、記憶装置インタフェース834、フロッピーディスク838を受け取るように動作可能なフロッピーディスクドライブ837、ファイバチャネルネットワーク890と接続するように動作可能なホストバスアダプタ(HBA)インタフェースカード835A、SCSIバス839に接続するように動作可能なホストバスアダプタ(HBA)インタフェースカード835B、及び光ディスクドライブ840などである。また、マウス846(又は他のポイントアンドクリックデバイス。シリアルポート828を介してバス812に結合される)、モデム847(シリアルポート830を介してバス812に結合される)、及びネットワークインタフェース848(バス812に直接に接続される)も備わる。
【0059】
[0059]バス812は、中央プロセッサ814とシステムメモリ817との間のデータ通信を可能にする。システムメモリ817(例えばRAM)は、一般に、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムがロードされるメインメモリとすることができる。ROM又はフラッシュメモリは、コードの中でもとりわけ、周辺コンポーネントとの対話などの基本的なハードウェア動作を制御するBIOS(Basic Input−Output system)を含むことができる。モバイル移動挙動サーバ810と共にあるアプリケーションは、一般に、ハードディスクドライブ(例えば固定ディスク844)、光学ドライブ(例えば光学ドライブ840)、フロッピーディスクユニット837、又は他の記憶媒体などの、コンピュータ可読媒体上に記憶され、コンピュータ可読媒体を介してアクセスされる。
【0060】
[0060]記憶装置インタフェース834は、モバイル移動挙動サーバ810の他の記憶装置インタフェースと同様、固定ディスクドライブ844など、情報の記憶及び/又は取出しのための標準的なコンピュータ可読媒体に接続することができる。固定ディスクドライブ844は、コンピュータシステム810の一部であってもよく、或いは別個であり他のインタフェースシステムを介してアクセスされてもよい。モデム847は、電話リンクを介してリモートサーバへ、又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)を介してインターネットへ、直接接続を提供することができる。ネットワークインタフェース848は、直接ネットワークリンクを介してリモートサーバへ、又はPOP(point of presence)を介してインターネットへ、直接接続を提供することができる。ネットワークインタフェース848はこのような接続を、ディジタルセルラ電話接続、パケット接続、ディジタル衛星データ接続などを含めたワイヤレス技法を使用して提供することができる。
【0061】
[0061]多くの他のデバイス又はサブシステム(図示せず)も、同様にして接続することができる(例えばドキュメントスキャナ、ディジタルカメラなど)。反対に、本明細書に述べる技法を実践するために、図8に示す全てのデバイスが存在する必要はない。デバイス及びサブシステムは、図8に示すのとは異なる方式で相互接続することもできる。図8に示すようなコンピュータシステムの動作は、当技術分野で容易に知られ、本出願では詳細に論じない。
【0062】
[0062]本明細書に述べる技法を実施するためのコードは、システムメモリ817、固定ディスク844、光ディスク842、又はフロッピーディスク838のうちの1つ又は複数など、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。コンピュータシステム810上に備わるオペレーティングシステムは、MS−DOS(登録商標)、MS−WINDOWS(登録商標)、OS/2(登録商標)、UNIX(登録商標)、Linux(登録商標)、又は別の知られているオペレーティングシステムとすることができる。一実施形態では、システムメモリ817は、イベントデータ、前処理済みデータ、フィルタリング済みデータ、補間データ、及び人口カウントデータを記憶する。
【0063】
[0063]図9に、図3に示したモバイル移動挙動サーバ151などのモバイル移動挙動サーバの一実施形態のメモリに記憶される1組のコード(例えばプログラム)及びデータを示す。モバイル移動挙動サーバは、プロセッサと共にコードを使用して、モバイルネットワーク中の移動挙動を推定する処理の実施に必要な動作を行う。
【0064】
[0064]図9を参照すると、メモリ860は、ユーザ機器の位置を示すイベントデータ901を記憶する。前処理モジュール902は、プロセッサによって実行されたとき、受け取ったイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成することを担う。フィルタモジュール903は、プロセッサによって実行されたとき、前処理済みデータをフィルタリングして、前処理済みデータ中のユーザ機器位置情報の一部を選択することを担う。補間モジュール904は、プロセッサによって実行されたとき、人口のうちの1人又は複数の個人の前処理済みデータに対して直線補間を実施して、1人又は複数の個人それぞれの中間位置を推定することを担う。カウントモジュール905は、プロセッサによって実行されたとき、人口動態をカウントすることを担う。メモリはまた、ネットワーク通信及び他のデバイス(例えばサーバ、クライアントなど)との通信を実施するのに使用されるネットワーク通信モジュール906も備える。
【0065】
[0065]以上の記述を読んだ後には、当業者には本発明の多くの改変及び修正がおそらく明らかになるであろうが、例示として図示及び記述したどんな特定の実施形態も、決して限定と考えられるものとはしないことを理解されたい。したがって、様々な実施形態の詳細への参照は、特許請求の範囲を限定する意図はなく、特許請求の範囲はそれ自体で、本発明に必須と見なされる特徴のみを列挙する。
【符号の説明】
【0066】
101 ユーザ機器(UE)
103 基地局(BS)又はアクセスポイント(AP)
105 セクタ
107、109 位置エリア(LA)
121 移動性サーバ
131 加入者ユーザデータサーバ、加入者データサーバ、ユーザデータサーバ
141 地理データベースサーバ
151 モバイル移動挙動サーバ
161 第三者ユーザのサーバ
201 イベントデータ
211 制御データ
213 トリガデータ
215 定期的データ
221 ユーザデータ
810 モバイル移動挙動サーバ
812 バス
814 中央プロセッサ
817 システムメモリ
818 入出力コントローラ
820 スピーカシステム
822 オーディオインタフェース
824 表示スクリーン
826 表示アダプタ
828 シリアルポート
830 シリアルポート
832 キーボード
833 キーボードコントローラ
834 記憶装置インタフェース
835A、835B ホストバスアダプタ(HBA)インタフェースカード
837 フロッピーディスクドライブ
838 フロッピーディスク
839 SCSIバス
840 光ディスクドライブ
844 固定ディスク
846 マウス
847 モデム
848 ネットワークインタフェース
860 メモリ
890 ファイバチャネルネットワーク
902 前処理モジュール
903 フィルタモジュール
904 補間モジュール
905 カウントモジュール
906 ネットワーク通信モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルネットワーク中の移動挙動を推定する方法であって、
ユーザ機器の位置を示すイベントデータを受信するステップと、
受信したイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成するステップと、
人口のうちの1人又は複数の個人の前処理済みデータに対して直線補間(straight line interpolation)を実施して、前記1人又は複数の個人それぞれの第1の位置から第2の位置までの軌跡の中間位置を推定するステップと、
所与の時間及び所与のエリアにおける人口のうちの個人の人数をカウントするステップとを含む方法。
【請求項2】
前記前処理済みデータをフィルタリングして前記前処理済みデータ中のユーザ機器位置情報の一部を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理済みデータをフィルタリングして前記前処理済みデータ中のユーザ機器位置情報の一部を選択するステップが、時間及びエリアと、曜日と、1つ又は複数の個人属性とからなるグループから選択された1つ又は複数に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
受信したイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成するステップが、
SAIデータを緯度及び経度の値に変換するサブステップと、
前記緯度及び経度の値に基づいて個人のユーザ機器の位置を推定するサブステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記緯度及び経度の値が、セクタ中心と、セクタ縁部と、メッシュ中心と、セクタ内の複数地点とからなるグループから選択された1つに対応する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
所与の時間及び所与のエリアにおける人口のうちの個人の人数をカウントするステップが、セクタとメッシュの一方又は両方につき実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記直線補間がイベントデータ間の直線に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記直線がセクタ中心間にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記イベントデータがUID情報及びタイムスタンプ情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
命令を記憶するためのメモリと、
前記メモリに結合された、前記メモリからの命令を実行するためのプロセッサとを備える装置であって、
前記命令を実行するのに応答して、前記プロセッサが、ユーザ機器の位置を示すイベントデータを受け取り、受け取ったイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成し、人口のうちの1人又は複数の個人の前処理済みデータに対して直線補間を実施して前記1人又は複数の個人それぞれの第1の位置から第2の位置までの軌跡の中間位置を推定し、所与の時間及び所与のエリアにおける人口のうちの個人の人数をカウントする、装置。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記前処理済みデータをフィルタリングして前記前処理済みデータ中のユーザ機器位置情報の一部を選択することを前記プロセッサに行わせる命令を実行する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサが、時間及びエリアと、曜日と、1つ又は複数の個人属性とからなるグループから選択された1つ又は複数に基づいて、前記前処理済みデータをフィルタリングして前記前処理済みデータ中のユーザ機器位置情報の一部を選択する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサが、
SAIデータを緯度及び経度の値に変換すること、並びに
前記緯度及び経度の値に基づいて個人のユーザ機器の位置を推定することによって、
受け取ったイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成する、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記緯度及び経度の値が、セクタ中心と、セクタ縁部と、メッシュ中心と、セクタ内の複数地点とからなるグループから選択された1つに対応する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサが、セクタとメッシュの一方又は両方につき、人口のうちの個人の人数をカウントする、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記直線補間がイベントデータ間の直線に基づく、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記直線がセクタ中心間にある、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
実行可能命令を記憶した1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体を有する製品であって、前記実行可能命令が、実行されたとき、モバイルネットワーク中の移動挙動を推定する方法をシステムに実施させ、前記方法が、
ユーザ機器の位置を示すイベントデータを受信するステップと、
受信したイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成するステップと、
人口のうちの1人又は複数の個人の前処理済みデータに対して直線補間を実施して、前記1人又は複数の個人それぞれの第1の位置から第2の位置までの軌跡の中間位置を推定するステップと、
所与の時間及び所与のエリアにおける人口のうちの個人の人数をカウントするステップとを含む、製品。
【請求項19】
前記方法が、時間及びエリアと、曜日と、1つ又は複数の個人属性とからなるグループから選択された1つ又は複数に基づいて、前記前処理済みデータをフィルタリングして前記前処理済みデータ中のユーザ機器位置情報の一部を選択するステップをさらに含む、請求項18に記載の製品。
【請求項20】
受信したイベントデータを前処理して前処理済みデータを生成するステップが、
SAIデータを緯度及び経度の値に変換するサブステップと、
前記緯度及び経度の値に基づいて個人のユーザ機器の位置を推定するサブステップとを含む、請求項18に記載の製品。
【請求項21】
前記緯度及び経度の値が、セクタ中心と、セクタ縁部と、メッシュ中心と、セクタ内の複数地点とからなるグループから選択された1つに対応する、請求項18に記載の製品。
【請求項22】
人口のうちの個人の人数をカウントするステップが、セクタとメッシュの一方又は両方につき実施される、請求項18に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−142916(P2012−142916A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−236344(P2011−236344)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.イーサネット
3.GSM
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】