説明

モバイルプリンティングシステム、画像形成装置、および携帯端末装置用プログラム

【課題】 ユーザーによるログイン時の操作負担を軽減する。
【解決手段】 画像形成装置1は、携帯端末装置11の機体識別子を取得し、取得した機体識別子が予め登録されている機体識別子と同一である場合、ログイン時のユーザー認証に使用されたログイン情報をその携帯端末装置11へ送信する。携帯端末装置11は、画像形成装置1からログイン情報を受信し、受信したログイン情報を保存しておき、保存しているログイン情報を印刷ジョブ実行時のユーザー認証処理に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルプリンティングシステム、画像形成装置、および携帯端末装置用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、スマートフォンなどの、携帯電話機能を有するとともに無線LAN(Local Area Network)に接続可能な携帯端末装置が普及している。
【0003】
また、ユーザーの携帯する電話機を使用してそのユーザーの近くにあるプリンターを特定し、クライアントPCからそのプリンターに印刷ジョブを送信して実行させる印刷システムが存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−21860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スマートフォンなどの無線LAN機能を有する携帯端末装置は、ネットワークを介して、プリンター、複合機などといった画像形成装置にリモートから印刷ジョブを実行させることができる。
【0006】
ユーザー認証機能を有する画像形成装置は、端末装置からネットワークを介してログイン情報を受け付け、そのログイン情報に基づくユーザー認証が成功した場合のみ、印刷ジョブを実行する。
【0007】
このため、スマートフォンなどの無線LAN機能を有する携帯端末装置から、ユーザー認証機能を有する画像形成装置に対して印刷ジョブを実行させる場合には、ユーザーが、スマートフォンなどの携帯端末装置に対して、例えばユーザーIDおよびパスワードといったログイン情報の入力操作を行う必要がある。通常のパーソナルコンピューターなどと比べ、画面や小さかったり、キーボードなどの入力部が小さかったりするため、スマートフォンなどの携帯端末装置のユーザーインターフェイスは、ユーザーが使用しにくいものとなっている。このため、ログイン情報の入力操作は、ユーザーの負担となる。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ユーザーによるログイン時の操作負担を軽減することができるモバイルプリンティングシステム、並びに、そのシステムで使用可能な画像形成装置および携帯端末装置用プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0010】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、ユーザーログイン情報を受け付け、ログイン情報に基づくユーザー認証処理が成功した場合に印刷ジョブを実行する画像形成装置と、画像形成装置に印刷ジョブを実行させる携帯端末装置とを備える。そして、画像形成装置は、携帯端末装置の機体識別子を取得し、取得した機体識別子が予め登録されている機体識別子と同一である場合、ログイン情報をその携帯端末装置へ送信する。携帯端末装置は、画像形成装置からログイン情報を受信し、受信したログイン情報を保存しておき、保存しているログイン情報を印刷ジョブ実行時のユーザー認証処理に使用する。
【0011】
これにより、ユーザーの携帯しているスマートフォンなどの携帯端末装置を使用してログインを自動的に行うことができるため、ユーザーによるログイン時の操作負担を軽減することができる。
【0012】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムに加え、次のようにしてもよい。この場合、携帯端末装置は、保存しているログイン情報を画像形成装置へ送信してログインを行う。
【0013】
これにより、画像形成装置へ直接ログインする場合のユーザーによるログイン時の操作負担を軽減することができる。
【0014】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、このシステムは、ログイン情報に基づくユーザー認証処理を行う認証サーバー装置をさらに備える。そして、画像形成装置は、ログイン情報を受け付けると、そのログイン情報に基づくユーザー認証処理を認証サーバー装置に実行させる。携帯端末装置は、保存しているログイン情報を認証サーバー装置に直接送信し、そのログイン情報に基づく認証処理を認証サーバー装置に実行させる。
【0015】
これにより、認証サービスを使用して画像形成装置へログインする場合のユーザーによるログイン時の操作負担を軽減することができる。
【0016】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、このシステムは、ネットワークを介して画像形成装置と通信可能であり、ユーザーの印刷ジョブを保存し、要求に応じて印刷ジョブを画像形成装置へ送信するジョブ管理サーバー装置を備える。そして、携帯端末装置は、保存しているログイン情報に基づく認証処理が成功した場合、ジョブ管理サーバー装置に対して、ジョブ管理サーバー装置から画像形成装置へ印刷ジョブを送信させ、その印刷ジョブを画像形成装置に実行させる。
【0017】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、予め登録されている機体識別子を記憶する記憶装置を内蔵していることを特徴とする。
【0018】
これにより、システム内に複数の画像形成装置が存在する場合、ログイン情報を送信する携帯端末装置を、各画像形成装置に対してそれぞれ個別的に設定することができる。
【0019】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、受け付けたログイン情報に基づくユーザー認証処理が成功した場合に、ログイン情報を携帯端末装置へ送信し、受け付けたログイン情報に基づくユーザー認証処理が失敗した場合に、ログイン情報を携帯端末装置へ送信しない。
【0020】
これにより、正規ユーザーではない者による、携帯端末装置へのログイン情報の登録を禁止することができる。
【0021】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、このシステムは、ユーザーのIDカードからログイン情報を読み取るカードリーダーを備える。そして、画像形成装置は、カードリーダーを使用して、ユーザーのIDカードからログイン情報を取得する。
【0022】
本発明に係る画像形成装置は、ユーザーのログイン情報を受け付け、ログイン情報に基づくユーザー認証処理が成功した場合に印刷ジョブを実行する画像形成装置である。この画像形成装置は、携帯端末装置を検出し、携帯端末装置の機体識別子を取得するデバイス検出部と、取得した機体識別子が予め登録されている機体識別子と同一である場合、ログイン情報をその携帯端末装置へ送信するログイン情報送信部とを備える。
【0023】
これにより、ユーザーの携帯しているスマートフォンなどの携帯端末装置を使用してログインを自動的に行うことができるようになるため、ユーザーによるログイン時の操作負担を軽減することができる。
【0024】
本発明に係る携帯端末装置用プログラムは、画像形成装置に印刷ジョブを実行させる携帯端末装置内のコンピューターを、画像形成装置からログイン情報を受信し、受信したログイン情報を携帯端末装置内の記憶装置に保存しておくログイン情報保存部、および保存しているログイン情報を印刷ジョブ実行時のユーザー認証処理に使用するログイン処理部として機能させる。
【0025】
これにより、ユーザーの携帯しているスマートフォンなどの携帯端末装置を使用してログインを自動的に行うことができるため、ユーザーによるログイン時の操作負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、モバイルプリンティングシステムにおいて、ユーザーによるログイン時の操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るモバイルプリンティングシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1における画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1における携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図1に示すシステムにおける携帯端末装置へのログイン情報の保存に関する画像形成装置と携帯端末装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、図1に示すシステムにおいて携帯端末装置がログイン情報を保存した後に携帯端末装置から印刷ジョブを画像形成装置に実行させる場合の処理について説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係るモバイルプリンティングシステムの構成を示すブロック図である。
【0030】
図1にシステムでは、プリンター、複合機などといった画像形成装置1がネットワーク2に接続されている。このシステムのユーザーは、パーソナルコンピューターなどといったユーザー端末装置3を使用可能であり、また、携帯端末装置11を携帯しているとともに、必要に応じてIDカード12を携帯している。
【0031】
画像形成装置1は、操作パネルおよびネットワークインターフェイスを有し、操作パネルに対するユーザー操作に従ってジョブ(印刷ジョブ、コピージョブ、ファクシミリ送信ジョブなど)を実行したり、ネットワークインターフェイスにより受信されたジョブを実行したりする。画像形成装置1には、IDカード12からログイン情報(ユーザーIDおよびパスワードの対など)を読み出すカードリーダー1aが接続されている。この画像形成装置1は、ログイン情報に基づくユーザー認証処理が成功した場合に印刷ジョブを実行する。
【0032】
ネットワーク2は、LANでもよいし、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)でもよい。無線LAN基地局2aは、ネットワーク2に接続されており、所定の無線LANプロトコルに従って通信エリア内の端末装置と無線通信を行う。
【0033】
ユーザー端末装置3は、ネットワーク2に接続可能であって、ユーザー操作に従って、ネットワーク2を介して、印刷ジョブをジョブ管理サーバー装置4に登録する。この印刷ジョブは、PDL(Page Description Language)データなど、画像形成装置1により処理可能な形式のデータ、および登録したユーザーの識別情報(ユーザーIDなど)を有する。
【0034】
ジョブ管理サーバー装置4は、ネットワーク2に接続されており、ネットワーク2を介してユーザーの印刷ジョブを受け付けて保存し、ネットワーク2を介してジョブ実行要求を受け付けると、その要求で指定された印刷ジョブを画像形成装置1に送信する。また、ジョブ管理サーバー装置4は、ジョブリスト要求を受け付けると、ジョブリスト要求により指定されたユーザーについてその時点で登録されている印刷ジョブのリストを応答として送信する。
【0035】
認証サーバー装置5は、正規ユーザーのログイン情報(ユーザーIDおよびパスワードの対など)を記憶しており、ネットワーク2に接続されており、ネットワーク2を介して認証要求を受け付けると、その認証要求により指定されたログイン情報に基づくユーザー認証処理を行い、応答として認証結果を送信する。認証サーバー装置5は、ユーザー認証が成功すると、有効期限付きの認証チケットを発行する。認証チケットは、ユーザー認証後に各種要求を行うときに、その要求が認証済みのユーザーによるものであることを示すために添付される。
【0036】
携帯端末装置11は、無線LAN基地局2aや図示せぬ携帯電話網を介してネットワーク2に接続可能であり、ネットワーク2を介して、および/または後述の近距離通信を使用して、画像形成装置1に印刷ジョブを実行させる。携帯端末装置11としては、印刷ジョブなどを実行させるアプリケーションをインストールされたスマートフォンなどの高機能携帯電話機などが使用される。
【0037】
IDカード12は、ログイン情報を予め記憶しており、接触または非接触でカードリーダー1aにより検出されると、カードリーダー1aへログイン情報を送出する。
【0038】
この実施の形態では、画像形成装置1は、カードリーダー1aを使用してIDカード12からログイン情報を読み出し、また、携帯端末装置11の機体識別子を取得し、取得した機体識別子が予め登録されている機体識別子と同一である場合、そのログイン情報をその携帯端末装置11へ送信する。携帯端末装置11は、画像形成装置1からログイン情報を受信すると、受信したログイン情報を保存しておき、保存しているログイン情報を印刷ジョブ実行時のユーザー認証処理に使用する。なお、画像形成装置1は、機体識別子に関連付けて、その機体識別子の携帯端末装置11にログイン情報が保存済みであるか否かを示すフラグを記憶しており、取得した携帯端末装置11の機体識別子についてのフラグの値がログイン情報未保存を示す値である場合に、ログイン情報を送信し、フラグの値がログイン情報保存済みを示す値である場合には、ログイン情報を送信しない。このフラグの初期値は、ログイン情報未保存を示す値とされる。また、携帯端末装置11は、ログイン情報の保存が完了すると、保存完了通知を画像形成装置1に送信し、画像形成装置1は、保存完了通知を受信すると、その携帯端末装置11の機体識別子についてのフラグ値を、ログイン情報未保存を示す値からログイン情報保存済みを示す値へ変更する。
【0039】
機体識別子としては、MAC(Media Access Control)アドレスなどが使用される。携帯端末装置11が携帯電話機である場合には、機体識別子として、携帯電話網におけるその装置11固有の電話番号、携帯電話網を使用したその装置11固有の電子メールアドレスなどを使用してもよい。
【0040】
例えば、IDカード12aによるログインの代わりに、ユーザーは、ログイン情報の保存後に、携帯端末装置11によるログインを行うことができる。その場合、携帯端末装置11は、保存しているログイン情報を画像形成装置1へ送信してログインを行う。画像形成装置1は、携帯端末装置11やカードリーダー1aからログイン情報を受け付けると、そのログイン情報に基づくユーザー認証処理を認証サーバー装置5に実行させる。また、ログイン情報の保存後、携帯端末装置11は、保存しているログイン情報を、ネットワーク2を介して認証サーバー装置5に直接送信し、そのログイン情報に基づくユーザー認証処理を認証サーバー装置5に実行させることもできる。
【0041】
また、携帯端末装置11は、保存しているログイン情報に基づくユーザー認証処理が成功した場合、認証サーバー装置5を介して、ジョブ管理サーバー装置4から画像形成装置1へ印刷ジョブを送信させ、その印刷ジョブを画像形成装置1に実行させることができる。
【0042】
ここで、画像形成装置1および携帯端末装置11の構成について説明する。
【0043】
図2は、図1における画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【0044】
画像形成装置1は、ネットワークインターフェイス21、近距離通信装置22、記憶装置23、操作パネル24、内部デバイス25、演算処理装置26などを有する。
【0045】
ネットワークインターフェイス21は、ネットワーク2に接続し、ネットワーク2に接続されている機器との通信を行う通信装置である。
【0046】
近距離通信装置22は、ブルートゥース、赤外線通信などのピア・ツー・ピアの近距離無線通信プロトコルで周辺に存在する機器との通信を行う通信装置である。
【0047】
記憶装置23は、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリーなどの、不揮発性の記憶装置であって、デバイス登録テーブル31を記憶している。デバイス登録テーブル31は、ログイン情報の送信先として許可されている1または複数の携帯端末装置11の機体識別子を有する。
【0048】
操作パネル24は、ユーザーに対して各種情報を表示する、液晶ディスプレイなどの表示装置と、ユーザー操作を受け付ける、タッチパネルなどの入力装置とを有する。
【0049】
内部デバイス25は、印刷、画像読取、ファクシミリ送受信などの各種機能を実現する装置である。例えば、内部デバイス25には、印刷用紙に画像を印刷する機構、その機構を制御する制御回路などが含まれる。
【0050】
演算処理装置26は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであって、記憶装置23やROMに記憶されているプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することで、各種処理部を実現する。この実施の形態では、演算処理装置26において、通信処理部41、認証処理部42、近距離通信処理部43、および制御部44が実現される。
【0051】
通信処理部41は、ネットワークインターフェイス21を制御して、各種プロトコルで、ネットワーク2に接続されている機器との通信を行う。
【0052】
認証処理部42は、カードリーダー1aによりIDカード12から読み出されたログイン情報、操作パネル24に対して入力されたログイン情報、近距離通信処理部43により近距離通信装置22,52を介して携帯端末装置11から受信されたログイン情報などといったログイン情報を受け付けると、通信処理部41を使用して、そのログイン情報を認証要求とともに認証サーバー装置5へ送信し、ログイン情報に基づくユーザー認証を実行させ、認証結果および/または認証チケットを受信する。
【0053】
近距離通信処理部43は、近距離通信装置22を制御して、近距離通信装置22の通信エリア内に存在する携帯端末装置11を検出し、その携帯端末装置11の機体識別子を取得するとともに、取得した機体識別子がデバイス登録テーブル31内の機体識別子のいずれかと同一である場合、ログイン情報をその携帯端末装置11へ送信する。
【0054】
制御部44は、内部デバイス25を制御して、印刷などの各種動作を行わせる。また、制御部44は、カードリーダー1aを制御し、カードリーダー1aにより読み出されたログイン情報を取得する。
【0055】
図3は、図1における携帯端末装置11の構成を示すブロック図である。
【0056】
携帯端末装置11は、無線ネットワークインターフェイス51、近距離通信装置52、記憶装置53、表示装置54、入力装置55、演算処理装置56などを有する。
【0057】
無線ネットワークインターフェイス51は、無線LAN基地局2aにアクセスし、ネットワーク2に接続されている機器との通信を行う通信装置である。
【0058】
近距離通信装置52は、ブルートゥース、赤外線通信などの近距離無線通信プロトコルで周辺に存在する機器との通信を行う通信装置である。近距離通信装置52は、近距離通信装置22と同一の近距離無線通信プロトコルで通信を行う。
【0059】
記憶装置53は、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリーなどの、不揮発性の記憶装置であって、プログラム61を記憶している。また、記憶装置53には、画像形成装置1から受信されたログイン情報が保存される。
【0060】
表示装置54は、ユーザーに対して各種情報を表示する。表示装置54としては、例えば液晶ディスプレイが使用される。
【0061】
入力装置55は、ユーザー操作を受け付け、そのユーザー操作に応じた電気信号を検出する。入力装置55としては、例えばタッチパネル、キースイッチなどが使用される。
【0062】
演算処理装置56は、CPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターであって、記憶装置53に記憶されているプログラム61やROMに記憶されているプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することで、各種処理部を実現する。この実施の形態では、演算処理装置56において、通信処理部71、ログイン処理部72、ログイン情報保存部73、およびリモート制御部74が実現される。
【0063】
通信処理部71は、無線ネットワークインターフェイス51を制御して、各種プロトコルで、ネットワーク2に接続されている機器との通信を行う。
【0064】
ログイン処理部72は、記憶装置53にログイン情報が保存されている場合には、そのログイン情報を使用して、ログイン画面を表示させずに、印刷ジョブ実行時のユーザー認証処理を実行させる。つまり、ユーザー操作に従ってリモート制御部74が各種要求を送信する場合、その要求の送信の前にログイン処理部72は、自動的にユーザー認証処理を実行させ、認証チケットを取得する。また、この携帯端末装置11ではログイン画面が表示されないため、他のユーザーがそのユーザーのログイン情報をこの携帯端末装置11に入力してログインを行うことはできない。
【0065】
ログイン情報保存部73は、近距離通信装置52を制御して、画像形成装置1からログイン情報を受信し、受信したログイン情報を携帯端末装置11内の記憶装置53に保存しておく。
【0066】
リモート制御部74は、ユーザー認証に成功した後に、画像形成装置1や認証サーバー装置5に対して各種要求を送信し、その要求で指定した処理を実行させる。
【0067】
次に、上記システムにおける各装置の動作について説明する。
【0068】
まず、携帯端末装置11へのログイン情報の保存に関する画像形成装置1と携帯端末装置11の動作について説明する。図4は、図1に示すシステムにおける携帯端末装置11へのログイン情報の保存に関する画像形成装置1と携帯端末装置11の動作を説明するフローチャートである。
【0069】
携帯端末装置11にログイン情報が保存されていないとき、ユーザーは、画像形成装置1を使用する際に、IDカード12をカードリーダー1aに近接させてログインを行う。このとき、カードリーダー1aは、IDカード12を検出すると、IDカード12からログイン情報を読み出し、画像形成装置1の制御部44へ送信する(ステップS1)。
【0070】
認証処理部42は、制御部44によりログイン情報が受信されると、通信処理部41を使用して、そのログイン情報を認証要求とともに、ネットワーク2を介して認証サーバー装置5に送信し、ユーザー認証処理を実行させる。そして、認証処理部42は、認証サーバー装置5からユーザー認証結果を受信すると、ユーザー認証が成功したか否かを判定する(ステップS2)。
【0071】
ユーザー認証が成功した場合、近距離通信処理部43は、近距離通信装置22の通信エリア内に存在する携帯端末装置11を検索する(ステップS3)。そして、近距離通信処理部43は、携帯端末装置11を発見すると、その携帯端末装置11の機体識別子(この実施の形態では、近距離通信装置52のMACアドレス)を取得する(ステップS4)。
【0072】
近距離通信処理部43は、取得した機体識別子が、デバイス登録テーブル31に記憶されている機体識別子のいずれかと同一であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0073】
携帯端末装置11から取得した機体識別子が、デバイス登録テーブル31に記憶されている機体識別子のいずれかと同一である場合には、近距離通信処理部43は、IDカード12から読み出されたログイン情報をその携帯端末装置11に送信する(ステップS6)。なお、確認番号は、正規ユーザーに予め通知されており、正規ユーザーにとっては既知である。
【0074】
このとき、近距離通信処理部43は、確認番号の入力画面を携帯端末装置11に表示させ、その入力画面に対して入力された確認番号が所定の番号と一致した場合に、IDカード12から読み出されたログイン情報をその携帯端末装置11に送信し、その入力画面に対して入力された確認番号が所定の番号と一致しない場合には、IDカード12から読み出されたログイン情報をその携帯端末装置11に送信せずに、処理を終了するようにしてもよい。
【0075】
一方、ステップS2においてユーザー認証が失敗した場合、およびステップS5において携帯端末装置11から取得した機体識別子が、デバイス登録テーブル31に記憶されている機体識別子のいずれとも同一ではない場合、ログイン情報をその携帯端末装置11に送信せずに、この処理は終了する。
【0076】
そして、画像形成装置1からログイン情報が送信されてくると、携帯端末装置1のログイン情報保存部73は、近距離通信装置52を制御して、そのログイン情報を受信する(ステップS11)。
【0077】
ログイン情報保存部73は、通信処理部71を使用して、そのログイン情報を認証要求とともに認証サーバー装置5へ送信し、ユーザー認証処理を実行させる。そして、ログイン情報保存部73は、認証サーバー装置5からユーザー認証結果を受信すると、ユーザー認証が成功したか否かを判定する(ステップS12)。ログイン情報保存部73は、ユーザー認証処理が成功した場合、そのログイン情報を記憶装置53に保存する(ステップS13)。一方、ユーザー認証処理が失敗した場合、そのログイン情報を破棄して、この処理を終了する。
【0078】
このようにして、ログイン情報が携帯端末装置11に保存される。ログイン情報の保存後は、その保存されているログイン情報を使用することにより、認証サーバー装置5への認証要求、および画像形成装置1へのログインが可能となる。画像形成装置1へログインする場合、ログイン処理部72が、そのログイン情報を記憶装置53から読み出し、近距離通信装置52を使用して画像形成装置1へ送信する。画像形成装置1の制御部44は、近距離通信装置22および近距離通信処理部43を使用してそのログイン情報を受信する。これにより、携帯端末装置11をIDカード12の代わりにログインに使用することができる。
【0079】
次に、ログイン情報が保存されている携帯端末装置11が印刷ジョブを画像形成装置1に実行させる場合の処理について説明する。図5は、図1に示すシステムにおいて携帯端末装置11がログイン情報を保存した後に携帯端末装置11から印刷ジョブを画像形成装置1に実行させる場合の処理について説明するシーケンス図である。
【0080】
まず、ユーザーは、ユーザー端末装置3を操作して、印刷ジョブをジョブ管理サーバー装置4に保存させる。このとき、ユーザー端末装置3は、ネットワーク2を介して、印刷ジョブをユーザーIDおよびジョブ保存要求とともにジョブ管理サーバー装置4へ送信する(ステップS21)。ジョブ管理サーバー装置4は、ジョブ保存要求を受信すると、ジョブ保存要求とともに受信した印刷ジョブを、受信したユーザーIDに関連付けて保存する(ステップS22)。ジョブ管理サーバー装置4は、印刷ジョブの保存が完了すると、ジョブ保存要求の応答として保存完了通知をユーザー端末装置3へ送信する。
【0081】
このようにして、ジョブ管理サーバー装置4には、ユーザーの印刷ジョブが保存される。ジョブ管理サーバー装置4には、複数のユーザーのそれぞれが複数の印刷ジョブを保存させることができる。
【0082】
その後、ユーザーは、携帯端末装置11を利用して、ジョブ管理サーバー装置4に保存している印刷ジョブを画像形成装置1に実行させたい場合、まず、保存されている印刷ジョブのリストを表示させ、その後、そのリストから印刷ジョブを選択し、選択した印刷ジョブを実行させる。
【0083】
このとき、ジョブリスト表示のためのユーザー操作が検出されると、まず、携帯端末装置11のログイン処理部72は、保存されているログイン情報を読み出し、通信処理部71を使用して、そのログイン情報を認証要求とともに認証サーバー装置5へ送信する(ステップS31)。このとき、ログイン情報が保存されていれば、携帯端末装置11は、ログイン画面(ログイン情報の入力画面)を表示せず、自動的にログイン情報を送信する。ログイン情報が保存されていない場合、ログイン処理部72は、エラーメッセージを表示装置54に表示させ、この処理を終了する。
【0084】
認証サーバー装置5は、そのログイン情報を認証要求とともに受信すると、ログイン情報に基づいてユーザー認証処理を実行し、ユーザー認証が成功すると(ステップS32)、認証チケットを発行し、携帯端末装置11へ送信する(ステップS33)。携帯端末装置11のログイン処理部72は、その認証チケットを受信すると保存する。
【0085】
次に、リモート制御部74は、通信処理部71を使用して、ジョブリスト要求をその認証チケットとともに認証サーバー装置5に送信する(ステップS34)。ジョブリスト要求は、そのユーザーのユーザーIDを含む。認証サーバー装置5は、ジョブリスト要求と認証チケットを受信すると、その認証チケットの正当性を判定し、その認証チケットが正当なものであれば、そのジョブリスト要求をジョブ管理サーバー装置4へ送信する(ステップS35)。認証チケットが正当なものでなければ、その要求は拒否される。ジョブ管理サーバー装置4は、そのジョブリスト要求を受信すると、そのジョブリスト要求に含まれているユーザーIDに関連付けられている印刷ジョブのリストを生成し、その要求の応答として認証サーバー装置5へ送信し、認証サーバー装置5は、その要求の応答として印刷ジョブのリストを受信すると、携帯端末装置11へ送信する(ステップS36)。
【0086】
携帯端末装置11のリモート制御部74は、そのリストを受信すると、表示装置54に表示させる(ステップS37)。
【0087】
ユーザーは、表示装置54に表示されたリストを確認し、そのリストから、実行させたい1または複数の印刷ジョブを選択する操作を入力装置55に対して行う。
【0088】
携帯端末装置11のリモート制御部74は、入力装置55により受け付けられたその操作により選択された印刷ジョブを特定し(ステップS38)、通信処理部71を使用して、特定した印刷ジョブを指定するジョブ実行要求を上述の認証チケットとともに認証サーバー装置5へ送信する(ステップS39)。
【0089】
認証サーバー装置5は、ジョブ実行要求と認証チケットを受信すると、その認証チケットの正当性を判定し、その認証チケットが正当なものであれば、そのジョブ実行要求をジョブ管理サーバー装置4へ送信する(ステップS40)。認証チケットが正当なものでなければ、その要求は拒否される。ジョブ管理サーバー装置4は、そのジョブ実行要求を受信すると、そのジョブ実行要求により指定されている印刷ジョブを選択し(ステップS41)、選択した印刷ジョブを画像形成装置1へ送信する(ステップS42)。ジョブ管理サーバー装置4は、送信済みの印刷ジョブを、送信直後に、あるいは一定期間経過後に削除する。画像形成装置1の通信処理部41がその印刷ジョブを受信すると、制御部44は、その印刷ジョブに対して必要に応じて画像処理を実行し、内部デバイス25を制御してその印刷ジョブに対応する印刷画像を印刷する(ステップS43)。
【0090】
以上のように、上記実施の形態によれば、画像形成装置1は、携帯端末装置11の機体識別子を取得し、取得した機体識別子が予め登録されている機体識別子と同一である場合、ログイン時のユーザー認証に使用されたログイン情報をその携帯端末装置11へ送信する。携帯端末装置11は、画像形成装置1からログイン情報を受信し、受信したログイン情報を保存しておき、保存しているログイン情報を印刷ジョブ実行時のユーザー認証処理に使用する。
【0091】
これにより、ユーザーの携帯しているスマートフォンなどの携帯端末装置11を使用してログインを自動的に行うことができるため、ユーザーによるログイン時の操作負担を軽減することができる。
【0092】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0093】
例えば、上記実施の形態において、ユーザー端末装置3と同様にして、携帯端末装置11からジョブ管理サーバー装置4へ印刷ジョブを登録するようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態において、複数の携帯端末装置11が検出された場合、最も近い携帯端末装置11を選択し、選択した携帯端末装置11にログイン情報を送信するようにしてもよい。最も近い携帯端末装置11は、例えば、近距離通信装置22の受信電波の電界強度が大きいものとして特定される。
【0095】
また、上記実施の形態において、画像形成装置1は、ログイン情報とともに、付加情報を携帯端末装置11に送信するようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施の形態において、画像形成装置1は、ログイン情報とともに、画像形成装置1固有の識別情報を携帯端末装置11へ送信し、携帯端末装置11は、そのログイン情報とともに、画像形成装置1固有の識別情報を保存し、ジョブ実行要求にその画像形成装置1固有の識別情報を含め、ジョブ管理サーバー装置4は、ジョブ実行要求に含まれている識別情報により指定される画像形成装置1へ印刷ジョブを送信するようにしてもよい。これにより、システム内に複数の画像形成装置1が存在しても、印刷ジョブの送信先となる画像形成装置1を特定することができる。
【0097】
また、上記実施の形態において、携帯端末装置11は、近距離通信装置52の通信エリア内に存在する画像形成装置1を検索し、発見した画像形成装置1の機体識別子(例えば、近距離通信装置22のMACアドレス)を取得し、ジョブ実行要求にその画像形成装置1の機体識別子を含め、ジョブ管理サーバー装置4は、ジョブ実行要求に含まれている機体識別子により指定される画像形成装置1へ印刷ジョブを送信するようにしてもよい。この場合、ジョブ管理サーバー装置4は、システム内の1または複数の画像形成装置1の機体識別子を、ネットワーク2上の画像形成装置1のアドレス情報(IPアドレスなど)と関連付けて予め記憶しておく。これにより、システム内に複数の画像形成装置1が存在しても、印刷ジョブの送信先となる画像形成装置1を特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、例えば、スマートフォンを活用したネットワークプリンティングに適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 画像形成装置
1a カードリーダー
2 ネットワーク
4 ジョブ管理サーバー装置
5 認証サーバー装置
11 携帯端末装置
12 IDカード
43 近距離通信処理部(デバイス検出部の一例,ログイン情報送信部の一例)
56 演算処理装置(コンピューターの一例)
61 プログラム(携帯端末装置用プログラムの一例)
72 ログイン処理部
73 ログイン情報保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーのログイン情報を受け付け、前記ログイン情報に基づくユーザー認証処理が成功した場合に印刷ジョブを実行する画像形成装置と、
前記画像形成装置に印刷ジョブを実行させる携帯端末装置とを備え、
前記画像形成装置は、前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、取得した機体識別子が予め登録されている機体識別子と同一である場合、前記ログイン情報をその携帯端末装置へ送信し、
前記携帯端末装置は、前記画像形成装置から前記ログイン情報を受信し、受信した前記ログイン情報を保存しておき、保存している前記ログイン情報を前記印刷ジョブ実行時のユーザー認証処理に使用すること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項2】
前記携帯端末装置は、保存している前記ログイン情報を前記画像形成装置へ送信してログインを行うことを特徴とする請求項1記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項3】
前記ログイン情報に基づくユーザー認証処理を行う認証サーバー装置を備え、
前記画像形成装置は、前記ログイン情報を受け付けると、そのログイン情報に基づくユーザー認証処理を前記認証サーバー装置に実行させ、
前記携帯端末装置は、保存している前記ログイン情報を前記認証サーバー装置に直接送信し、そのログイン情報に基づく認証処理を前記認証サーバー装置に実行させること、
を特徴とする請求項1記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項4】
ネットワークを介して前記画像形成装置と通信可能であり、前記ユーザーの印刷ジョブを保存し、要求に応じて前記印刷ジョブを前記画像形成装置へ送信するジョブ管理サーバー装置を備え、
前記携帯端末装置は、保存している前記ログイン情報に基づく認証処理が成功した場合、前記ジョブ管理サーバー装置に対して、前記ジョブ管理サーバー装置から前記画像形成装置へ前記印刷ジョブを送信させ、その印刷ジョブを前記画像形成装置に実行させること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記予め登録されている機体識別子を記憶する記憶装置を内蔵していることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項6】
前記画像形成装置は、受け付けた前記ログイン情報に基づくユーザー認証処理が成功した場合に、前記ログイン情報を前記携帯端末装置へ送信し、受け付けた前記ログイン情報に基づくユーザー認証処理が失敗した場合に、前記ログイン情報を前記携帯端末装置へ送信しないことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項7】
前記ユーザーのIDカードから前記ログイン情報を読み取るカードリーダーを備え、
前記画像形成装置は、前記カードリーダーを使用して、前記ユーザーのIDカードから前記ログイン情報を取得すること、
を特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項8】
ユーザーのログイン情報を受け付け、前記ログイン情報に基づくユーザー認証処理が成功した場合に印刷ジョブを実行する画像形成装置であって、
携帯端末装置を検出し、前記携帯端末装置の機体識別子を取得するデバイス検出部と、
取得した前記機体識別子が予め登録されている機体識別子と同一である場合、前記ログイン情報をその携帯端末装置へ送信するログイン情報送信部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置に印刷ジョブを実行させる携帯端末装置内のコンピューターを、
前記画像形成装置から前記ログイン情報を受信し、受信した前記ログイン情報を前記携帯端末装置内の記憶装置に保存しておくログイン情報保存部、および
保存している前記ログイン情報を前記印刷ジョブ実行時のユーザー認証処理に使用するログイン処理部
として機能させる携帯端末装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178083(P2012−178083A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41159(P2011−41159)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】