モバイル・ナビゲーション・ユニットのための高度3D視覚化システム及び方法
モバイル・ユニットのための三次元の視覚的ナビゲーションを提供するシステムは、モバイル・ユニットの現在位置を計算する位置計算ユニットと、現在位置から視錐台を決定する視点制御ユニットと、少なくとも1つの地理データベースと通信して、視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを入手し、地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成する風景図管理部と、風景図をリアルタイムに描写する風景図描写部とを備える。描画の質を高めるために風景図において異なる解像度の画像を混合する方法は、モバイル・ユニットが描かれた地理的な対象物について移動する際の突然の変化を軽減する。地理的な対象物のデータに関する情報の格納及び実行時アクセスのためのデータ構造は、データを視錐台に基づいてオンデマンドにロードすることを可能とし、ナビゲーション・システムがユーザに見える対象物のみをオンデマンドで動的にロードすることを可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、視覚的ナビゲーション・システムに関するものであり、より詳細には、モバイル・ナビゲーションのために地理的に参照されるデータを視覚表示するシステム及び方法に関する。本発明は、目標対象物の図形をオンデマンドでロードする階層的な方法と、局所の地理的な環境を一層効率的且つ正確に描くために複数の解像度の画像を合成する方法とを含む。
【0002】
背景情報
コンピュータ・グラフィック・ソフトウェアを用いて、固定された観察者の視野内にある(観察者により選択された特定の地点からの)局所の地理的な環境の外観を視覚的に正確に描写することは、それ自体が難しい課題である。なぜなら、観察者の視点に従って風景を再構成することの問題に加えて、風景の様々な質感や描画上の細部を正確にシミュレートすることが難しいからである。しかし、昨今の開発において、現代の視覚的ナビゲーション・システムは、グラフィック・ソフトウェアに対し、移動する観察者の視覚環境を、ナビゲーションの補助となるよう正確にシミュレートせよという遥かに大きな要求を行う。車両内の運転者のような移動する観察者の局所の地理的な環境を、描画ソフトウェアを用いてリアルタイムに描くことは、固定された観察者の環境を描写するよりも明らかに難しい。なぜなら、観察者の位置が変わるにつれて、観察者の視野内の地理的な対象物と対象物の外観とが変化するため、ナビゲーションされる局所の環境に関する情報を正確に描写及び提供するために、新しい描画の対象物(局所的な「目的点」)、質感、特徴及び眺望、並びに他の参照データが容易にダウンロード可能となるような継続的な更新の仕組みが必要とされるからである。
【0003】
現在利用されている幾つかの視覚的ナビゲーション・システムは、ユーザ入力に基づいて、実際の環境の三次元による視覚化を提供する。しかし、これらのシステムは、いずれもモバイル・ナビゲーションをサポートしないために、ナビゲーション補助のための経路案内アプリケーションを提供しないか、又は、描写可能な視点或いは表示可能な描画上の特徴の面で制限されている。
【0004】
そのため、移動する観察者の環境を任意の視点に従って高レベルの詳細さで写実的に描写し、経路案内や表示された対象物に関する参考情報のようなナビゲーション支援を提供する、自動車ナビゲーション・システム又は個人情報端末(PDA)のようなモバイル・ユニットのための視覚化システムが必要とされている。
【0005】
発明の概要
上記の必要を満たすため、本発明は、モバイル・ユニットに三次元の視覚的ナビゲーションを提供するシステムであって、モバイル・ユニットの現在位置を計算する位置計算ユニットと、モバイル・ユニットの現在位置に基づいて視錐台を決定する視点制御ユニットと、少なくとも1つの地理データベースと通信して、少なくとも1つの地理データベースから視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを入手し、得られた地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成する風景図管理部と、風景図を三次元の描画としてリアルタイムで描写する風景図描写部とを備えるシステムを提供する。
【0006】
描画の写実性を高めるため、本発明は、モバイル・ユニットが描かれた地理的な領域に近づく又は遠ざかる際に発生し得る結果としての描画における不均一や突然の変化を低減するために、視錐台に関する異なる解像度の画像を混合する方法を提供する。
【0007】
更に、ナビゲーションの視覚化の効率を高めるため、本発明は、地理的な目標対象物又はPOI(目的点)に関する情報の蓄積及び実行時アクセスのためのデータ構造を記述する。データ構造は、対象物を視錐台及び/又はユーザ要求に基づいてオンデマンドでロードできるようにする。データ構造は、モバイル・ユニットのユーザが見ることができる及び/又は関心のある対象物のみをシステムがオンデマンドで動的にロードできるようにすることにより、ローディング時間、メモリ使用、処理要件及びディスプレイ描写資源を最小化することができる。
【0008】
詳細な説明
本発明に係るシステムは、モバイル・ナビゲーション、位置把握及び参照のための、任意の視点からの地理的な領域の一連の3次元描画による視覚化を生成する。描画による視覚化即ち描写は、局所的な地理情報が入手可能である任意の種別の対象物のデータの描写を含み得る。そのようなデータには、衛星、航空又は地上からの画像、デジタル道路地図、建物の幾何学的モデル、景観の質感的な描写、及び描かれた環境内のガソリン・スタンド及びホテル等の特徴物又は建物を説明する任意の種別の識別情報、或いは、交通情報、気候条件及び日時(明暗)のような動的なデータが(制限なしに)含まれ得る。
【0009】
図1a及び図1bは、観察者の視点(位置)とともに変化する局所的な環境を描写するために、情報パラメータがいかに利用されるかを示す。図1aにおいて、「北」を向いている観察者5は、対象物7、8及び9を含むほぼ円錐状の領域である二次元の視野Aを有する。視野Aは、観察者が知覚可能な三次元空間全体を含む三次元の「視錐台」15を画定する。視錐台15内の対象物は、既知の遠近法、人間の視覚及び図形描写に従って、(平面A’−A’’として概略的に示される)二次元の図に投影される。観察者5がわずかな角度だけ「西」を向いた場合、観察者の視野は、視野Aの一部と重なる新しい視野Bを含み、変化した視錐台16を画定する。新しい視錐台16は、新しい対象物10を含み、対象物7は新しい視錐台から外れて見えなくなる。
【0010】
次に、観察者の位置が変わった際に観察者の環境を正しく描写するために、描写システムは、以前は描写されていなかった(対象物10に関する)新しいデータを検索して描写し、以前に検索されて描写された(対象物7に関する)データを取り除けなければならない。このように、システムは、新しい情報をダウンロードし、「古い」データを取り除くことにより連続的に変化する。地理的な描画データの量は、典型的に、たいていの視覚的ナビゲーション・システムのオンボード・メモリ資源の容量を大幅に越えるため、システムにとって、観察者が見るものと最大限に一致する連続したシーケンスをリアルタイムに描写するための新しいデータをすぐにダウンロードできるよう、オフボードのデータベース資源への迅速且つ効果的なアクセスを有することが不可欠である。高度な写実性を達成するため、視覚化システムは毎秒60回の割合で視覚化を更新するが、この割合は、人間の目に対して変化を継ぎ目無く迅速に見せるために十分な速さである。
【0011】
図2a、2b及び2cは、観察者が図示された経路に沿って移動する際の大都市環境の3つの連続した三次元描写を示しており、本発明に係る視覚的ナビゲーション・システムが観察者の動きを考慮し、それに従って視覚化を更新することを示す。図2aは、緑色の三角形で示されるモバイル・ユニット200の位置に基づいて大都市領域の景色を描写する「ヘリコプター」ビューを示す。図示されている通り、自動車に組み込まれ得るモバイル・ユニットは、前景の(左側に示される)建物203、204と(右側に示される)205との間の道路201に沿って移動し、橋215に近づいている。図は、また、橋が「ジェームズ・モンロー」橋であることを示す参照テキストを含む。幾つかの建物を含む背景部207が、橋215の向こう側にある。地理上の北を指す黄色い三角形のコンパス208が、モバイル・ユニット200の真上の最上部に示される。更に、予め選択された目的地への提案された経路が、青い曲線210として示される。
【0012】
モバイル・ユニット200が提案された経路210に沿って橋215へに向かって移動すると、局所環境の描画による描写は、図2bに示す通り、わずかに変化する。識別される通り、モバイル・ユニット200の表示は前方に移動し、背景部207はわずかに拡大され、遠近法により建物203−205は比例して拡大する。図2cに示すようにモバイル・ユニットが橋215に向かって更に移動すると、前景の建物203−205及び背景207は更に拡大する。更に、観察者が経路210に沿って前進する際に観察者が見るものをシミュレートして、以前は視界から隠れていた建物205の部分が現れ、建物203が消える。
【0013】
図3は、本発明の例としての実施の形態に係る高度な三次元視覚化のためのナビゲーション・システムのブロック図である。ナビゲーション・システム25は、モバイル・ユニットと一緒に設置されるオンボードの要素30と、例えば地理的なデータベース(「地理データベース」)61、62のような遠隔に置かれるオフボードの要素とを備える。地理データベース61、62は2つの別個のユニットとして図示されるが、それらはシステムのオンボードの要素30によりアクセスされ得る任意の数のデータベースを示すことを意図しており、それらデータベースは一緒に設置されても遠隔に設置されても良い。地理データベース61、62は、地図情報、幾何学的及び質感的な描画情報、及び識別情報を含む、様々な地理上の領域に関する大量のデータを含む。しかし、個々の地理データベースは、代わりに、物理的には他のデータベースに格納される描画情報に関する参照即ちメタデータのみを含んでもよい。このようにして、特定のデータベースは、例えば特定の地理上の領域内にあるレストランのような特定の種別の対象物等の情報を提供するよう効果的に問合せられる更なるデータベースにアクセスするためのディレクトリ・サーバとして機能し得る。データへのアクセスを効率化するための地理データベースのメタデータの利用について、以下に更に詳細に説明する。
【0014】
視覚的ナビゲーション・システム25は、局所メモリに蓄積されて(観察者の位置とみなされる)モバイル・ユニットのマイクロプロセッサで実行され得るプログラムとして実現され得る、位置計算ユニット35を含む。位置計算ユニット35は、位置センサ40からの入力を受信し、入力情報に基づいてモバイル・ユニットのデカルト(x、y、z)空間における現在位置(座標)を計算する。1つの実施の形態によれば、位置センサ40は、「絶対」位置情報を提供するGPS受信機と、積分により「相対」位置情報が計算され得る直線加速度情報及び角速度情報を提供する慣性センサとを含む。代わりに又は加えて、位置センサ40は、車輪速度センサのような走行距離センサを含み得る。回転運動に応答する適切な慣性センサが備えられる場合、位置計算ユニットは、モバイル・ユニットの現在の方向をも計算し得る。
【0015】
位置計算ユニット35は、計算されたモバイル・ユニットの位置(及び、場合によっては方向)を視点制御ユニット45に渡し、視点制御ユニット45は、位置情報及び方向情報を用いて、描写されるべき視錐台の境界を決定する。視点制御ユニット45は、また、ユーザ入力モジュール50及び経路計算モジュール52と相互作用し、それらからの入力を受取って、強化された機能を提供する。例えば、視覚化システムのユーザは、キーパッド又はボタン制御部のようなユーザ入力モジュール50を介して、ズームアウト/インしたり、観察のピッチ角を変えたりするようにビュー・モードを変更することができる。更に、ユーザは、視覚化のための異なる位置や方向のパラメータを特定するために、ユーザ入力50を用いて位置計算ユニット35を無効にすることが可能である。
【0016】
ユーザは、また、ユーザ入力50を介して観察視点モードを選択可能である。1つのモードにおいて、描写される視点は、ヘリコプターが車を追跡するのと似た方法で、モバイル・ユニットの位置に従って特定の所定の距離及び角度における「ヘリコプター」ビューを表し得る。もう1つのモードにおいて、視点は、架空の景色が観察者の見る景色と合致するよう、モバイル・ユニットの位置及び方向を直接に反映し得る。いずれの場合でも、選択されたモードは、視点制御ユニット45により算出される視錐台に影響する。
【0017】
システムに経路計算モジュール52が(図示された通りに)組み込まれる場合、該モジュールは、選択された経路上の判断地点(例えば、交差点)などの経路情報を提供し得る。ユーザ入力50によりプレビュー・モードを選択することにより、経路計算モジュール52から視点制御ユニット45に判断地点情報が送信されると、モバイル・ユニットが交差点に到達する前に、経路の近づきつつある部分の視覚化がユーザにプレビューで示されるよう、近づきつつある判断地点に対する視点を始動することができる。
【0018】
視点制御ユニット45は、現在選択されている視界モードに応じて視錐台を決定した後、データ蓄積オブジェクトを組織しアクセスする風景図管理モジュール55に対し、視錐台の座標を提供する。風景図管理モジュール55は、「風景図」と呼ばれる現在の風景に描かれるべき全ての対象物の構造化された詳細を保持する。風景図管理モジュール55は、視点制御ユニット45から受取った視錐台に基づいて目的となる地理的な領域を決定し、この地理的な領域内にある対象物を、地理データベース61、62に問い合わせる。新しい対象物が風景図に組み込まれ、既に目的の地理的な領域内にはない対象物が風景図から取り除かれる。ユーザ入力モジュール50を介して入力されたユーザ入力は、風景図管理部55が風景図に含める対象物の種別をフィルタリングし選択するために利用され得る。例えば、ユーザは、レストランのみが図示されるよう特定することができる。風景図管理部は、これらの条件に合致する対象物を検索して、風景図に追加する。加えて、風景図は常に、モバイル・ユニット自体を表すオブジェクトを含む。
【0019】
ローディング時間、メモリ使用、処理要求及びディスプレイ描写資源を最小化するため、風景図管理部55は、ユーザに見える及び/又はユーザが関心を持ち且つ特定の詳細レベルと関連づけられたデータ蓄積オブジェクトのみを、地理データベース61、62からオンデマンドで動的にロードし得る。地理データベース61、62を検索してこの情報を得るために、風景図管理部55は、効率的にアクセスできるよう対象物データを組織するために特に定義されたデータ構造を用いる対象物データをオンデマンドでロードするための階層的な方法を利用する。
【0020】
本発明の例としての実施の形態において、目標対象物をオンデマンドでロードするためのガイドとして、2つのデータ構造が利用され得る。資源インデックス・ファイル又は単に「RIFファイル」と呼ばれる第1のデータ構造は、目標対象物の「メタデータ」を蓄積し得る。詳細レベル・ファイル又は単に「LODファイル」と呼ばれる第2のデータ構造は、目標対象物に関する複数の詳細レベルの「実データ」を蓄積し得る。RIFファイル及び/又はLODファイルは、例えば記憶媒体及び/又はコンピュータのメモリに蓄積され得る。
【0021】
RIFファイルに蓄積されたメタデータは、特定の視点から見える対象物とその詳細レベルとを決定するにあたり、風景図管理部を支援する。メタデータは実データと比べて小さなサイズであり得る。そのため、メタデータを実データから分離することにより、メモリ使用、処理要求及びアプリケーションの初期起動時間が大幅に低減され得る。実データは、要求されるまでロードされる必要がないからである。例えば、ナビゲーション・システムの初期化段階において、どの資源がシステム・メモリにロードされるべきかを実データをロードすることなく決定するために、RIFファイルが読み取られ得る。実行時において、風景図管理部は、RIFファイルに蓄積された情報に基づいて、LODファイルを介して実データにアクセスし得る(即ち、RIFファイルに蓄積されたメタデータは、実データのどの部分がシステム・メモリにロードされるべきかを決定するためのディレクトリとして機能し得る)。
【0022】
LODファイルに蓄積された実データは、システム資源に関する情報を複数の解像度において表現し得る。典型的には実データを階層的なツリー状の構造の非中間レベルのみにリーフ・ノードとして蓄積する従来のシステムと異なり、LODファイルは、中間ノードにもデータを蓄積し得る。これにより、階層的なツリー状の構造は、所与の視点構成において、特定の解像度について要求されたデータを一層選択的にロードできるようにすることにより、複数解像度の情報にアクセスするための一層適切な構成を提供し得る。例えば10000フィートの視点における解像度100mの質感は、解像度1mのものよりも迅速に選択され得る。データ配置が、不必要な交差を避け得るためである。従って、階層的なツリー状の構造の全レベルに分配されるようデータを配置することにより、所望の解像度に対するデータの一層便利且つ効果的なアクセスが達成され得る。
【0023】
図4aは、点線110により境界が示された二次元領域に地理的に分散された目標対象物101−105の抽象的な表現を示す。座標X、Y、X’及びY’は、境界のある領域110を更に線引きする。より詳細には、座標X及びYは互いに交差して、境界のある領域110を、第1象限I、第2象限II、第3象限III及び第4象限IVの4つの象限に分割する。座標X’及びY’は座標X及びYと交差して、4つの象限のうちの2つを更にサブ象限に再分割する。特に、座標Y’は座標Xと交差して、象限IIIをサブ象限III1及びサブ象限III2に再分割する。座標X’は座標Yと交差して、象限IVをサブ象限IV1及びサブ象限IV2に再分割する。
【0024】
境界のある領域110の象限I−IV及びサブ象限III1、III2、IV1及びIV2への再分割は、目標対象物101−105の位置の一層正確な表示を可能とする。図4aに示されるように、目標(地理的な)対象物101は第1象限Iに置かれ、目標対象物102はサブ象限III2に置かれ、目標対象物103はサブ象限III1に置かれ、目標対象物104はサブ象限IV2に置かれ、目標対象物105はサブ象限IV1に置かれる。
【0025】
目標対象物101−105の位置の表示は、また、「ルート・ノード」と複数の「ブランチ・ノード」及び「リーフ」を有する「ツリー状」の構造として表され得る。ブランチ・ノードは、境界のある領域110の空間の仕切り方を表し、リーフは目標対象物101−105を表し得る。ブランチ・ノード及びリーフは、境界のある領域110の空間の仕切り方と目標対象物101−105の位置との関係を形成するよう特別に配置され得る。具体的に、ブランチ・ノード及びリーフは、階層的な方法で配置され得る。即ち、ブランチ・ノードは、ルート・ノード又は他のブランチ・ノードの「子」となるよう構成され、リーフはブランチ・ノードの「子」となるよう構成され得る。
【0026】
図4bは、境界のある領域110の空間の仕切り方と、境界のある領域110内の目標対象物101−105の位置とを表現するツリー状の構造150の例としての実施の形態を示す。ツリー状の構造150は、ルート・ノード140、4つのブランチ・ノード141〜144、及び5つの目標対象物101〜105を含む。ルート・ノード140、4つのブランチ・ノード141〜144、及び5つの目標対象物101〜105は、階層的な方法で配置される。具体的に、ルート・ノード140は、ツリー状の構造150の「基礎」又は「ルート」となるよう配置され、ブランチ・ノード141〜144はルート・ノード140の「子」となるよう配置され、5つの目標対象物101〜105は「リーフ」となるよう配置される。5つの目標対象物101〜105は、更に、ブランチ・ノード141〜144の「子」となるよう配置される。具体的に、目標対象物101はブランチ・ノード142の子となるよう配置され、目標対象物103及び102はブランチ・ノード144の子となるよう配置され、目標対象物104及び105はブランチ・ノード141の子となるよう配置される。
【0027】
ツリー状の構造150のそのような階層的な配置は、例えばナビゲーション・システムにおいて有用であり得るデータ構造を構成する適切な枠組みを提供し得る。具体的に、ツリー状の構造150の階層的な配置は、作成、解析及びナビゲートが容易である。更に、ツリー状の構造150の階層的な配置は、「迅速な拒絶」テストが実行されることを可能とし、該テストにおいてツリーのブランチ・ノードは、そのノードにおける目標対象物がナビゲーションの視錐台から外れた場合に「取り除かれ」る。例えば、ナビゲーション・システムのユーザが第1象限にあるとみなされる場合、目標対象物101はユーザの視錐台内にあると想定され、目標対象物102−105がユーザの視錐台の外にあると想定され得る。そのため、第1象限Iと関連付けられたブランチ・ノード即ちブランチ・ノード142が「ロード」され、他のブランチ・ノード即ちブランチ・ノード141、143及び144は「取り除かれ」て、それ以降は訪問される必要がなくなる。従って、ツリー状の構造150の階層的な配置は、現在のビュー又はユーザ要求と相関するオンデマンドにより、実データ(目標対象物又は目的点POI)をロード可能とする。
【0028】
本発明の例としての実施の形態において、ツリー状の構造150の各ノードは、システムの地理上の領域に関する情報を提供し得る。具体的に、ツリー状の構造150の各ノードは「境界ボックス」(即ち、境界のある領域、象限、サブ象限等)と関連付けられ、該境界ボックスは、1つ又はそれ以上の「タイル」により再分割され得る。タイルは、境界ボックス内の特定の位置に対する特徴物及び関連データのセットを含む論理的なユニットである。特徴物には、例えば、道路標識、建物又は航空写真が含まれ得る。関連データには、タイル内の特徴物の説明が含まれ得る(例えば、建物のポリゴンが幾つあるか、各ポリゴンの側面は幾つか、及びそれらの座標(x、y、z)など)。
【0029】
図5aは、境界ボックスとタイルとの「入れ子」の関係を示す。図5aは、ナビゲーション・システムの二次元の地理上の境界のある領域の例としての抽象的な表現250を示し、境界ボックスとタイルとの入れ子の関係を示す。境界ボックス1は、システム全体の北、南、東及び西の境界を画定する。境界ボックス1は、それぞれが1つ又はそれ以上のタイル境界ボックスを含む境界ボックス2〜6を含むよう再分割される。具体的に、境界ボックス2はタイル境界ボックス2を含み、境界ボックス3はタイル境界ボックス3を含み、境界ボックス4はタイル境界ボックス4を含み、境界ボックス5はタイル境界ボックス5及びタイル境界ボックス6を含み、境界ボックス6はタイル境界ボックス7を含む。
【0030】
図5bは、図5aの入れ子になった境界ボックスの関係を表す階層的なツリー状の構造260を示す。ツリー状の構造260は、それぞれが特定の境界ボックス1〜6と関連付けられたノードN1〜N6を含む。具体的に、ノードN1は境界ボックス1と関連付けられ、ノードN2は境界ボックス2と関連付けられ、ノードN3は境界ボックス3と関連付けられ、ノードN4は境界ボックス4と関連付けられ、ノードN5は境界ボックス5と関連付けられ、ノードN6は境界ボックス6と関連付けられる。ノードN1〜N6は、境界ボックス1〜6との入れ子の関係を表す階層的な方法で配置される。具体的に、ノードN1は、ツリー状の構造260の基礎又はルートとして配置され、関連付けられた境界ボックス1がナビゲーション・システムの地理上の領域全体を取り囲むことを表す。加えて、ノードN2、N4、N5及びN6は、ルート・ノードN1の「子」となるよう配置され、関連付けられた境界ボックス2、4、5及び6が境界ボックス1の内側にあることを表す。更に、ノードN3はノードN2の子となるよう構成され、関連付けられた境界ボックス3が境界ボックス2の内側にあることを表す。
【0031】
ノードN1〜N6は、それぞれ、関連付けられたタイル境界ボックス1〜タイル境界ボックス7との入れ子の関係を表す1つ又はそれ以上の取り付けられたタイル1〜タイル7を有する。具体的に、タイル1はノードN1に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス1が境界ボックス1の内側にあることを表し、タイル2はノードN2に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス2が境界ボックス2の内側にあることを表し、タイル3はN3に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス3が境界ボックス3の内側にあることを表し、タイル4はノードN4に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス4が境界ボックス4の内側にあることを表し、タイル5及びタイル6はノードN5に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス5及びタイル境界ボックス6が境界ボックス5の内側にあることを表し、タイル7はN6に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス7が境界ボックス6の内側にあることを表す。
【0032】
タイルに対する特徴物及び関連データのセット、即ちタイル・データは、タイルの次元及び/又はツリー状の構造の親子関係を示すデータとは別個に保持され得る。階層的なデータ(メタデータ)から特徴物に関するデータ(実データ)をそのように分離することにより、性能の全体的な改良がなされ得る。具体的には、分離により、ユーザに見える空間への迅速な拒絶/受容が可能になる。例えば、タイルに関連付けられたメタデータが、北、南、東、西の境界を画定する4つの番号で特定される境界ボックスを含む場合、交差又は重複が容易に決定され得る。そのため、タイルは、タイルが含み得る個々の特徴物を調べることなしに、受容又は拒絶され得る。従って、特徴物がナビゲーションの視野内にあるか否かを決定するために、タイルの特徴物を調べる必要はない。更に、実際の特徴物のデータはメタデータから独立しているため、実データの変更はメタデータによる索引付けには影響を与えない。
【0033】
本発明の例としての実施の形態において、メタデータと実データとの分離は、資源インデックス・ファイル(RIF)及び詳細レベル(LOD)ファイルと呼ばれる2つのデータ構造を用いて実現され得る。
【0034】
以下の表1は、RIFファイルの例としてのフォーマットを示す。
【0035】
【表1】
表1に示すように、RIFファイルは「URL」フィールド、「次元」フィールド、「境界ボックス」フィールド、「タイル」フィールド、及び「子数」フィールドを含み得る。URLフィールドは、RIFファイルの位置を定義する文字列であり、RIFファイルは局所ファイルでも遠隔のオブジェクトでもよい。次元フィールドは、二次元の道路地図を示す「2」、又は三次元の道路地図を示す「3」のいずれかであり得る。境界ボックス・フィールドは、関連するノードについて、境界ボックスの各次元における上下の境界を画定する浮動小数点数のリストを含む。タイル・フィールドでは、関連するノードに対するタイルの数量を示す数字の後に、各タイルの「タイルID」と境界ボックスとを含む一連の組が続く(即ち、境界ボックスは、このようにタイルごとに定義される)。子数フィールドでは、関連するノードに関連付けられた子の数を示す数字の後に、個々の子の境界ボックス、関連するタイル、および子の数を再帰的に定義する境界ボックス・フィールド、タイル・フィールド及び子数フィールドを含む一連の組が続く。
【0036】
図6aは、記憶媒体又はメモリ内におけるRIFファイルの物理的レイアウトの例としての表現を示す。RIFファイル300は、表1に定義された構造に従って解釈され得る一連の連続したバイトとして格納され得る。例えば、URLフィールド301はメモリの最初の部分を占め、次元フィールド302はメモリの次の部分を占め、境界ボックス・フィールド303、タイル数フィールド304、一連のタイルID/境界ボックスの組305、及び、再帰的な子の数、境界ボックス及びタイルの組306が続く。
【0037】
図6bは、図5bの階層的なツリー状の構造260に対応するRIFファイルの例としての内容350を示す。より詳細には、内容350は、RIFファイルが/bosch/resouces/tiles以下にあり、ナビゲーション・システムの境界ボックスが地理上の領域を二次元(2)で表し、ルート・ノードが、タイル境界ボックス1と関連付けられたタイルID1を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス1と関連付けられ、ルート・ノードが4つの子を含み(子数=4)、ルート・ノードの第1の子が、タイル境界ボックス2と関連付けられたタイルID2を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス2と関連付けられ、ルート・ノードの第1の子が、タイル境界ボックス3と関連付けられたタイルID3を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス3と関連付けられた1つの子(子数=1)を含み、ルート・ノードの第1の子の子が子を持たず(子数=0)、ルート・ノードの第2の子が、タイル境界ボックス4と関連付けられたタイルID4を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス4と関連付けられ、ルート・ノードの第2の子が子を持たず(子数=0)、ルート・ノードの第3の子が、タイル境界ボックス5及びタイル境界ボックス6とそれぞれ関連付けられたタイルID5及びタイルID6を有する2つのタイル(タイル数=2)を含む境界ボックス5と関連付けられ、ルート・ノードの第3の子が子を持たず(子数=0)、ルート・ノードの第4の子が、タイル境界ボックス7と関連付けられたタイルID7を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス6と関連付けられ、ルート・ノードの第4の子が子を持たない(子数=0)ことを特定する。
【0038】
詳細レベル(LOD)ファイルは、レベル総数、タイル総数、及びRIFファイルに参照される実データを定義し得る他のデータに関する情報を格納する。以下の表2は、LODファイルの例としてのフォーマットを示す。
【0039】
【表2】
表2に示されるように、LODファイルは、「レベル数」フィールド、「タイル数」フィールド、「タイル・データ」フィールド及び「特徴物データ」フィールドを含み得る。レベル数フィールドは、階層内のレベルの総数を表す整数である。タイル数フィールドは、階層内のタイルの総数を表す整数である。タイル・データ・フィールドは、タイルごとのデータの位置を格納する一連の組であって、個々の組は、特徴物データ・フィールド内の格納位置を指すファイル・ポインタ・フィールドと、関連付けられたタイルに対する詳細レベルを示す詳細レベル・フィールドと、関連付けられたタイルのタイル識別子とを含む。特徴物データ・フィールドは、特徴物の数、特徴物IDを含む特徴物ごとのデータ、浮動小数点数で表される特徴物サイズ、及び実データを定義する配列である。
【0040】
図7aは、記憶媒体又はメモリ内におけるLODファイルの物理的レイアウトの例としての表現を示す。LODファイル400は、一連の連続したバイトとして格納され、表2に定義される構造に従って解釈され得る。例えば、レベル数フィールド401はメモリの最初の部分を占め、タイル数フィールド402はメモリの次の部分を占め、タイル・データTD及び特徴物データFDが続く。タイル・データTDは、特徴物データFDを指し示すファイル・ポインタ・フィールド(例えば、ファイル・ポインタ・フィールド403及びファイル・ポインタ・フィールド430)を含み、それにより、特定のタイルと関連付けられた特定の特徴物に対する一層速いアクセスを可能とする。
【0041】
図7bは、図5bの階層的なツリー状の構造260のタイル1〜タイル7に対応するLODファイルの例としての内容450を示す。より詳細には、内容450は、ツリー状のデータ構造が3つのレベル(レベル数=3)を有し、ツリー状の構造が全部で7つのタイル(タイル数=7)を含み、タイルID1を有する第1のタイルがレベル0にあってファイル・ポインタ1を介して第1の特徴物リストF1を指し、タイルID2を有する第2のタイルがレベル1にあってファイル・ポインタ2を介して特徴物リストF2を指し、タイルID3を有する第3のタイルがレベル2にあってファイル・ポインタ3を介して特徴物リストF3を指し、タイルID4を有する第4のタイルがレベル1にあってファイル・ポインタ4を介して特徴物リストF4を指し、タイルID5を有する第5のタイルがレベル1にあってファイル・ポインタ5を介して特徴物リストF5を指し、タイルID6を有する第6のタイルがレベル1にあってファイル・ポインタ7を介して特徴物リストF7を指すことを特定する。
【0042】
RIFファイル及びLODファイルの枠組は、性能を改善し得る。地理データベース又は記憶媒体から例えばグラフィック・メモリのようなモバイル・ユニットの局所メモリ資源へのデータのスワップイン/スワップアウトを実行するための、効率的なページングの仕組みがサポートされ得る。それにより、ナビゲーション・システムに必要とされる計算の複雑さが最小限にされ得る。例えば、RIFファイルのツリー状のデータ構造をたどるにはO(logN)(Nはノード数)の計算ステップのみが必要とされ、実データの取得にはO(1)のみが必要とされ得る。なぜなら、データ構造と関連付けられたタイル・データは、実際の目標対象物の情報の位置を即座に特定するためのファイル・ポインタを格納しているからである。例えば、典型的な都市の表現は6つの詳細レベルを有するものとして格納され、個々のレベルはそれぞれ4つのタイルと4つの子とを有し、個々のタイルは平均50の特徴物(例えばビルの構造)を有する。従って、そのような表現は1365個のタイル(40+41+42+43+44+45=1365)及び68250個の特徴物(50*1365=68250)を必要とし得る。しかし、実データ(即ち特徴物データ)を取得するには、6つのレベルを移動し、その後で幾つかのポインタを向け直すだけでよい。
【0043】
RIFファイル及びLODファイルの枠組は、また、高速な初期化時間を提供し得る。なぜなら、アプリケーションが開始する際に全データをメモリにダウンロードする必要が無く、それによりユーザへの応答時間が低減されるからである。RIFファイル及びLODファイルの枠組は、また、メモリの使用を低減し得る。なぜなら、ユーザに見える地域のみがロードされればよいからである。従って、実際のメモリ使用は、システム資源に負担をかけることなく、ユーザに見える地域に必要とされる特徴物のみの格納を受容するよう低減され得る。RIFファイル及びLODファイルの使用は、また、前処理の要求をも低減し得る。タイル内の資源のみが処理されればよいために、描写のための他の装置に送る前にデータを前処理する必要性が削減されるからである。データ使用の低減により、一層速い処理時間が提供され得る。更に、ナビゲーション・システムの埋め込み型画像プロセッサの計算/描写能力が制限されているために、RIFファイル及びLODファイルの利用は、ナビゲーション・システムの表示性能をも改善し得る。RIFファイル及びLODファイルの枠組は、また、他の種別のデータ及びシステムにも適用され得る。例えば、RIFファイル及びLODファイルの枠組は他のストリーミング・プロトコルにも適用され、ナビゲーション・システムの目標対象物のような資源が、実際に必要とされる場合にのみダウンロード/転送され得る。
【0044】
1つの例としての方法によれば、ナビゲーション・システムの実行時動作期間にメタデータにアクセスするために、ツリー状の階層的なフォーマットで実行時のデータ構造を作成するよう、システムの初期化時に、風景図管理部によりRIFファイルが読み取られる。RIFファイルは全体が読まれるのではなく、システムの次元(2又は3)と、RIFのツリー状のデータ構造のレベル数により示されるシステムの詳細レベルとを示すフィールドのみが読み取られる。実行時のツリー状のデータ構造のノードは、関連する境界ボックス又は取り付けられたタイルを持たないものとして構築及び初期化され得る。
【0045】
ユーザがシステムをナビゲートする際、実行時のツリー状のデータ構造内のノードは、RIFファイルから適切な情報を検索することにより、必要に応じて動的に追加及び削除され得る。ノードが追加されると、任意の取り付けられたタイルに対応する実データが、LODファイルから取り出され得る。具体的に、タイルIDはタイル・データへの索引を提供し、対応するファイル・ポインタは特徴物データへのアクセスを提供する。更に、ユーザが別の見える領域に移動して視錐台が変化した後、不要となったタイル及び特徴物データが廃棄されてシステム資源を解放し得る。
【0046】
特徴物データへのアクセスが為されると、ナビゲーション・システム(図3)の更なる要素である風景図描写モジュール60が、全ての対象物を、それらの地理的な及び外観的な情報に基づいて、風景図の中に繰返し表示する。特定の実現形態によれば、対象物の形状は、三角形又は多角形のような一連の「原始的な」要素に分解され得る。これらの要素は、本技術分野において周知の通り、三次元描画アルゴリズムのライブラリを備えるグラフィック・エンジンを用いて描写され得る。グラフィック・エンジンは、マイクロソフト社のWindows(登録商標)2000、NT、MacOS(登録商標)9及びLinux(登録商標)のようなオペレーティング・システムに含まれるOpenGL(Open Graphics Library)のようなソフトウェア・ライブラリを用いて実現され得る。代わりに、グラフィック描写モジュール60のグラフィック・エンジンは、様々なメーカからグラフィック・カードの形で入手可能な3D加速ハードウェアを用いて実現され得る。
【0047】
風景図描写モジュールは、また、本発明のもう1つの態様であって、局所メモリにおける画像の常駐と画像描写に利用される演算資源の量との最小化を助ける複数解像度の画像の合成の使用を実現し得る。更に、複数解像度の合成は、観察者が視野の一部に向かって前進し又はズームする際の解像度の粗い画像から解像度の細かい画像への移行において知覚される解像度のジャンプを最小化することにより、視覚化を改良する。
【0048】
図8a、8b、8c及び8dは、様々な空間解像度における湾岸地域のグレイスケール画像による航空図を用いて、複数の解像度の混合された画像を図示する。図8aは、2桁のマーク(‘01)で識別される解像度の粗い画像と4桁のマーク(‘0131)で識別される解像度の細かい画像との混合を示す。図示される通り、解像度の高い画像の識別(‘0131)は、粗い画像の対応する識別(‘01)よりはるかに小さく現れ、解像度の細かい画像が粗い画像よりも小さな領域に適しており、粗い画像の領域のごく一部のみを占めることを示している。
【0049】
観察者が(図8bに示すように)ズームして、海岸線のより小さな領域を観察する場合、粗い画像が次第に消えて、より高レベルの画像が、より大きく、はっきりと焦点のあったマーク‘0131で視野全体を覆う。図8cに示される通りに更にズームすると、マーク‘0131が次第に消えて、次に高い解像度レベルのマーク(‘013131)が、道路601a、601bのような領域の詳細な特徴物に沿って次第に現れる。図8dは、マーク‘013131が視野を占める最高の解像度の(最も詳細な)質感を示す。この方法において、粗い画像が消えるにつれて、解像度のより高い画像が次第にはっきり見えるようになり、リアルに見える滑らかな遷移が達成される。
【0050】
図9は、本発明のナビゲーション・システムにより実行される複数解像度の画像の合成方法の実施の形態のフロー図である。まず、システムは、上記の視点制御モジュール及び位置計算モジュールを用いて、観察者の位置、注視方向、及び、結果としての表示に影響する潜在的な他の計算上の制約を含む観察者のビューのパラメータを決定する(701)。次いで、観察者に見える空間を決定する観察者の方向及び位置に基づいて、観察者の視野に対応する視錐台が決定される(702)。上記の通り、視錐台に基づいて、風景図管理部が、どの画像タイルが見えるかを識別し(703)、風景図を生成して、視錐台の外にタイルを廃棄する。
【0051】
個々のタイルが蓄積されるデータ・セットは階層的な性質を持つため、視錐台又は地理上の領域(二次元の境界ボックス)の内部にある可視タイルは、粗いレベルから細かいレベルまでの様々な解像度における複数バージョンの画像を含み得る。境界ボックスと関連付けられたタイルのグループを画像データベースから予めロードすることにより、風景図管理部は、混合する目的のために、様々な解像度の画像を用意し得る。アクセスの準備のために、この限られた画像のグループをローカルのメモリに保持することは、ローカルのメモリ資源を拡張しない。なぜなら、格納された画像のうちの境界ボックスと関連づけられていないより大きな組はダウンロードされず、メモリ又はコンピュータの資源を消費しないからである。
【0052】
解像度レベルと各画像タイルへの距離とに基づいて伝達関数を適用することにより、混合された結果画像への、境界ボックス内の各画像タイルの貢献度を確立する混合係数が決定される(704)。個々の解像度レベルに対する混合係数の決定の例を、以下に示す。地理上の目的点に対する階層的な対象物のデータ構造は、特定の対象物(又は特定の地理上の領域)に対する3つの解像度レベルを含み、レベル0は最も粗いレベルを表し、レベル1は中間の解像度レベルを表し、レベル2は最高の解像度レベルを表す。
【0053】
3つの解像度レベルのそれぞれについて距離の関数として用いられる混合係数のグラフが、図10に示される。被観察対象物(z0)からの距離が大きい場合、解像度レベル0に対する混合係数は最大になり、レベル1及び2に対する混合係数はゼロになって、レベル0の質感のみが被観察画像を描写するために利用されることを示す。観察者が距離z0から距離z1へと対象物/領域に更に近づくと、解像度レベル0に対する混合係数が減少し、解像度レベル1に対する混合係数が次第に増大して、被観察画像に混合される。観察者が更に距離z2に近づくと、解像度レベル2に対する混合係数が次第に増大して最大値に近づき、解像度レベル1に対する混合係数は、z1とz2との間の或る距離において最大レベルに達した後で次第に減少し、解像度レベル0に対する混合係数はゼロへと減少する。図示される通り、3つの異なる解像度レベルに対する各混合係数の徐々の変化は、全ての解像度レベルを通じて全ての距離における解像度の連続性を提供する。
【0054】
各レベルに対する混合係数を用いて質感及び画像を描写するために、個々の地理上の領域は、各解像度レベルで一度、それぞれの混合係数を用いて、マルチパスで描写される。各位置(i)において、解像度レベル(x)における位置(i)に対するピクセルp(x,y)に当該解像度レベルに対する混合係数b(x)を乗じたものの合計p(i)として、結果としての混合が計算される(705)。解像度がnレベルの場合、以下の計算がなされる。即ち、
p(i)=b(0)*p(i,0)+b(1)*p(i,1)+・・・・+b(n)*p(i,n)
である。
【0055】
複数の解像度の混合された画像の生成は、写真、道路地図及び衛星画像から得られる写実的な質感を持つ三次元のシミュレーションを提供し、従来の視覚的ナビゲーション・システムにおいて提示された人工的なポリゴンによる近似に依存しない。更に、複数のパスによる描写は、粗いレベルから細かいレベルへ移る際に一層高度な詳細が突然出現することに起因する邪魔な視覚的効果を最小化する。更に、この方法は、上記の質感の画像を格納するための階層的フォーマットと組み合せることにより、効率的に実行され得る。具体的には、オリジナルの衛星画像/道路地図画像をタイルに分割し、質感のタイルが視錐台においてユーザに見えるか否かに従ってオンデマンドでタイルをロードすることにより、コンピュータ資源に負担をかけることなく詳細画像の動的な合成を提供可能である。
【0056】
以上の記述において、本発明に係る方法及びシステムを、限定的に考えられるべきではない幾つかの例により説明した。しかし、本明細書に開示された方法及び装置の原理の変形が当業者により為され得ることが理解され、期待されるべきである。また、そのような修正、変更及び/又は置換は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1a】第1の方位に従った観察者の視錐台の概略図である。
【図1b】aに示された図からわずかに変化した方位に従った視錐台の概略図である。
【図2a】本発明により提供される、モバイル・ユニットの現在位置に従ったヘリコプター・ビューにおける大都市環境の例としての三次元表現である。
【図2b】モバイル・ユニットが図示された経路に沿って移動した後の、aの環境の三次元のヘリコプター・ビューによる表現である。
【図2c】モバイル・ユニットが図示された経路に沿って更に移動した後の、a及びbの環境の三次元のヘリコプター・ビューによる表現である。
【図3】本発明の例としての実施の形態に係る視覚的ナビゲーション・システムを示す。
【図4a】二次元の領域に地理的に分散させられた目標対象物の抽象的な表現である。
【図4b】aの境界のある領域の空間の仕切り方と、境界のある領域内の目標対象物の位置とを表すツリー状の構造である。
【図5a】境界ボックスとタイルとの間の入れ子の関係を示す、ナビゲーション・システムの二次元の地理的な境界のある領域の例としての抽象的な表現である。
【図5b】aの境界ボックスの入れ子の関係を表す階層的なツリー状の構造である。
【図6a】本発明の実施の形態に係る、記憶媒体又はメモリ内の資源インデックス・ファイル(RIF)の物理的レイアウトの例としての表現である。
【図6b】図5bの階層的なツリー状の構造に対応するRIFファイルの例としての内容を示す。
【図7a】本発明の実施の形態に係る、記憶媒体又はメモリ内の詳細レベル(LOD)ファイルの物理的レイアウトの例としての表現である。
【図7b】図5bの階層的なツリー状の構造のタイル1〜タイル7に対応する詳細レベル(LOD)ファイルの例としての内容である。
【図8a】最も遠くから見た場合に提示される、本発明に係る第1の複数解像度の混合された画像を示す。
【図8b】aよりも近い距離から見た場合の、本発明に係る第2の複数解像度の混合された画像を示す。
【図8c】bよりも近い距離から見た場合の、本発明に係る第3の複数解像度の混合された画像を示す。
【図8d】最も近い距離から見た場合の、本発明に係る第4の複数解像度の混合された画像を示す。
【図9】本発明に係るナビゲーション・システムにより実行される複数解像度の画像の合成方法の実施の形態のフロー図である。
【図10】3つの解像度レベルのそれぞれについて距離の関数として利用される混合係数のグラフを示す。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、視覚的ナビゲーション・システムに関するものであり、より詳細には、モバイル・ナビゲーションのために地理的に参照されるデータを視覚表示するシステム及び方法に関する。本発明は、目標対象物の図形をオンデマンドでロードする階層的な方法と、局所の地理的な環境を一層効率的且つ正確に描くために複数の解像度の画像を合成する方法とを含む。
【0002】
背景情報
コンピュータ・グラフィック・ソフトウェアを用いて、固定された観察者の視野内にある(観察者により選択された特定の地点からの)局所の地理的な環境の外観を視覚的に正確に描写することは、それ自体が難しい課題である。なぜなら、観察者の視点に従って風景を再構成することの問題に加えて、風景の様々な質感や描画上の細部を正確にシミュレートすることが難しいからである。しかし、昨今の開発において、現代の視覚的ナビゲーション・システムは、グラフィック・ソフトウェアに対し、移動する観察者の視覚環境を、ナビゲーションの補助となるよう正確にシミュレートせよという遥かに大きな要求を行う。車両内の運転者のような移動する観察者の局所の地理的な環境を、描画ソフトウェアを用いてリアルタイムに描くことは、固定された観察者の環境を描写するよりも明らかに難しい。なぜなら、観察者の位置が変わるにつれて、観察者の視野内の地理的な対象物と対象物の外観とが変化するため、ナビゲーションされる局所の環境に関する情報を正確に描写及び提供するために、新しい描画の対象物(局所的な「目的点」)、質感、特徴及び眺望、並びに他の参照データが容易にダウンロード可能となるような継続的な更新の仕組みが必要とされるからである。
【0003】
現在利用されている幾つかの視覚的ナビゲーション・システムは、ユーザ入力に基づいて、実際の環境の三次元による視覚化を提供する。しかし、これらのシステムは、いずれもモバイル・ナビゲーションをサポートしないために、ナビゲーション補助のための経路案内アプリケーションを提供しないか、又は、描写可能な視点或いは表示可能な描画上の特徴の面で制限されている。
【0004】
そのため、移動する観察者の環境を任意の視点に従って高レベルの詳細さで写実的に描写し、経路案内や表示された対象物に関する参考情報のようなナビゲーション支援を提供する、自動車ナビゲーション・システム又は個人情報端末(PDA)のようなモバイル・ユニットのための視覚化システムが必要とされている。
【0005】
発明の概要
上記の必要を満たすため、本発明は、モバイル・ユニットに三次元の視覚的ナビゲーションを提供するシステムであって、モバイル・ユニットの現在位置を計算する位置計算ユニットと、モバイル・ユニットの現在位置に基づいて視錐台を決定する視点制御ユニットと、少なくとも1つの地理データベースと通信して、少なくとも1つの地理データベースから視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを入手し、得られた地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成する風景図管理部と、風景図を三次元の描画としてリアルタイムで描写する風景図描写部とを備えるシステムを提供する。
【0006】
描画の写実性を高めるため、本発明は、モバイル・ユニットが描かれた地理的な領域に近づく又は遠ざかる際に発生し得る結果としての描画における不均一や突然の変化を低減するために、視錐台に関する異なる解像度の画像を混合する方法を提供する。
【0007】
更に、ナビゲーションの視覚化の効率を高めるため、本発明は、地理的な目標対象物又はPOI(目的点)に関する情報の蓄積及び実行時アクセスのためのデータ構造を記述する。データ構造は、対象物を視錐台及び/又はユーザ要求に基づいてオンデマンドでロードできるようにする。データ構造は、モバイル・ユニットのユーザが見ることができる及び/又は関心のある対象物のみをシステムがオンデマンドで動的にロードできるようにすることにより、ローディング時間、メモリ使用、処理要件及びディスプレイ描写資源を最小化することができる。
【0008】
詳細な説明
本発明に係るシステムは、モバイル・ナビゲーション、位置把握及び参照のための、任意の視点からの地理的な領域の一連の3次元描画による視覚化を生成する。描画による視覚化即ち描写は、局所的な地理情報が入手可能である任意の種別の対象物のデータの描写を含み得る。そのようなデータには、衛星、航空又は地上からの画像、デジタル道路地図、建物の幾何学的モデル、景観の質感的な描写、及び描かれた環境内のガソリン・スタンド及びホテル等の特徴物又は建物を説明する任意の種別の識別情報、或いは、交通情報、気候条件及び日時(明暗)のような動的なデータが(制限なしに)含まれ得る。
【0009】
図1a及び図1bは、観察者の視点(位置)とともに変化する局所的な環境を描写するために、情報パラメータがいかに利用されるかを示す。図1aにおいて、「北」を向いている観察者5は、対象物7、8及び9を含むほぼ円錐状の領域である二次元の視野Aを有する。視野Aは、観察者が知覚可能な三次元空間全体を含む三次元の「視錐台」15を画定する。視錐台15内の対象物は、既知の遠近法、人間の視覚及び図形描写に従って、(平面A’−A’’として概略的に示される)二次元の図に投影される。観察者5がわずかな角度だけ「西」を向いた場合、観察者の視野は、視野Aの一部と重なる新しい視野Bを含み、変化した視錐台16を画定する。新しい視錐台16は、新しい対象物10を含み、対象物7は新しい視錐台から外れて見えなくなる。
【0010】
次に、観察者の位置が変わった際に観察者の環境を正しく描写するために、描写システムは、以前は描写されていなかった(対象物10に関する)新しいデータを検索して描写し、以前に検索されて描写された(対象物7に関する)データを取り除けなければならない。このように、システムは、新しい情報をダウンロードし、「古い」データを取り除くことにより連続的に変化する。地理的な描画データの量は、典型的に、たいていの視覚的ナビゲーション・システムのオンボード・メモリ資源の容量を大幅に越えるため、システムにとって、観察者が見るものと最大限に一致する連続したシーケンスをリアルタイムに描写するための新しいデータをすぐにダウンロードできるよう、オフボードのデータベース資源への迅速且つ効果的なアクセスを有することが不可欠である。高度な写実性を達成するため、視覚化システムは毎秒60回の割合で視覚化を更新するが、この割合は、人間の目に対して変化を継ぎ目無く迅速に見せるために十分な速さである。
【0011】
図2a、2b及び2cは、観察者が図示された経路に沿って移動する際の大都市環境の3つの連続した三次元描写を示しており、本発明に係る視覚的ナビゲーション・システムが観察者の動きを考慮し、それに従って視覚化を更新することを示す。図2aは、緑色の三角形で示されるモバイル・ユニット200の位置に基づいて大都市領域の景色を描写する「ヘリコプター」ビューを示す。図示されている通り、自動車に組み込まれ得るモバイル・ユニットは、前景の(左側に示される)建物203、204と(右側に示される)205との間の道路201に沿って移動し、橋215に近づいている。図は、また、橋が「ジェームズ・モンロー」橋であることを示す参照テキストを含む。幾つかの建物を含む背景部207が、橋215の向こう側にある。地理上の北を指す黄色い三角形のコンパス208が、モバイル・ユニット200の真上の最上部に示される。更に、予め選択された目的地への提案された経路が、青い曲線210として示される。
【0012】
モバイル・ユニット200が提案された経路210に沿って橋215へに向かって移動すると、局所環境の描画による描写は、図2bに示す通り、わずかに変化する。識別される通り、モバイル・ユニット200の表示は前方に移動し、背景部207はわずかに拡大され、遠近法により建物203−205は比例して拡大する。図2cに示すようにモバイル・ユニットが橋215に向かって更に移動すると、前景の建物203−205及び背景207は更に拡大する。更に、観察者が経路210に沿って前進する際に観察者が見るものをシミュレートして、以前は視界から隠れていた建物205の部分が現れ、建物203が消える。
【0013】
図3は、本発明の例としての実施の形態に係る高度な三次元視覚化のためのナビゲーション・システムのブロック図である。ナビゲーション・システム25は、モバイル・ユニットと一緒に設置されるオンボードの要素30と、例えば地理的なデータベース(「地理データベース」)61、62のような遠隔に置かれるオフボードの要素とを備える。地理データベース61、62は2つの別個のユニットとして図示されるが、それらはシステムのオンボードの要素30によりアクセスされ得る任意の数のデータベースを示すことを意図しており、それらデータベースは一緒に設置されても遠隔に設置されても良い。地理データベース61、62は、地図情報、幾何学的及び質感的な描画情報、及び識別情報を含む、様々な地理上の領域に関する大量のデータを含む。しかし、個々の地理データベースは、代わりに、物理的には他のデータベースに格納される描画情報に関する参照即ちメタデータのみを含んでもよい。このようにして、特定のデータベースは、例えば特定の地理上の領域内にあるレストランのような特定の種別の対象物等の情報を提供するよう効果的に問合せられる更なるデータベースにアクセスするためのディレクトリ・サーバとして機能し得る。データへのアクセスを効率化するための地理データベースのメタデータの利用について、以下に更に詳細に説明する。
【0014】
視覚的ナビゲーション・システム25は、局所メモリに蓄積されて(観察者の位置とみなされる)モバイル・ユニットのマイクロプロセッサで実行され得るプログラムとして実現され得る、位置計算ユニット35を含む。位置計算ユニット35は、位置センサ40からの入力を受信し、入力情報に基づいてモバイル・ユニットのデカルト(x、y、z)空間における現在位置(座標)を計算する。1つの実施の形態によれば、位置センサ40は、「絶対」位置情報を提供するGPS受信機と、積分により「相対」位置情報が計算され得る直線加速度情報及び角速度情報を提供する慣性センサとを含む。代わりに又は加えて、位置センサ40は、車輪速度センサのような走行距離センサを含み得る。回転運動に応答する適切な慣性センサが備えられる場合、位置計算ユニットは、モバイル・ユニットの現在の方向をも計算し得る。
【0015】
位置計算ユニット35は、計算されたモバイル・ユニットの位置(及び、場合によっては方向)を視点制御ユニット45に渡し、視点制御ユニット45は、位置情報及び方向情報を用いて、描写されるべき視錐台の境界を決定する。視点制御ユニット45は、また、ユーザ入力モジュール50及び経路計算モジュール52と相互作用し、それらからの入力を受取って、強化された機能を提供する。例えば、視覚化システムのユーザは、キーパッド又はボタン制御部のようなユーザ入力モジュール50を介して、ズームアウト/インしたり、観察のピッチ角を変えたりするようにビュー・モードを変更することができる。更に、ユーザは、視覚化のための異なる位置や方向のパラメータを特定するために、ユーザ入力50を用いて位置計算ユニット35を無効にすることが可能である。
【0016】
ユーザは、また、ユーザ入力50を介して観察視点モードを選択可能である。1つのモードにおいて、描写される視点は、ヘリコプターが車を追跡するのと似た方法で、モバイル・ユニットの位置に従って特定の所定の距離及び角度における「ヘリコプター」ビューを表し得る。もう1つのモードにおいて、視点は、架空の景色が観察者の見る景色と合致するよう、モバイル・ユニットの位置及び方向を直接に反映し得る。いずれの場合でも、選択されたモードは、視点制御ユニット45により算出される視錐台に影響する。
【0017】
システムに経路計算モジュール52が(図示された通りに)組み込まれる場合、該モジュールは、選択された経路上の判断地点(例えば、交差点)などの経路情報を提供し得る。ユーザ入力50によりプレビュー・モードを選択することにより、経路計算モジュール52から視点制御ユニット45に判断地点情報が送信されると、モバイル・ユニットが交差点に到達する前に、経路の近づきつつある部分の視覚化がユーザにプレビューで示されるよう、近づきつつある判断地点に対する視点を始動することができる。
【0018】
視点制御ユニット45は、現在選択されている視界モードに応じて視錐台を決定した後、データ蓄積オブジェクトを組織しアクセスする風景図管理モジュール55に対し、視錐台の座標を提供する。風景図管理モジュール55は、「風景図」と呼ばれる現在の風景に描かれるべき全ての対象物の構造化された詳細を保持する。風景図管理モジュール55は、視点制御ユニット45から受取った視錐台に基づいて目的となる地理的な領域を決定し、この地理的な領域内にある対象物を、地理データベース61、62に問い合わせる。新しい対象物が風景図に組み込まれ、既に目的の地理的な領域内にはない対象物が風景図から取り除かれる。ユーザ入力モジュール50を介して入力されたユーザ入力は、風景図管理部55が風景図に含める対象物の種別をフィルタリングし選択するために利用され得る。例えば、ユーザは、レストランのみが図示されるよう特定することができる。風景図管理部は、これらの条件に合致する対象物を検索して、風景図に追加する。加えて、風景図は常に、モバイル・ユニット自体を表すオブジェクトを含む。
【0019】
ローディング時間、メモリ使用、処理要求及びディスプレイ描写資源を最小化するため、風景図管理部55は、ユーザに見える及び/又はユーザが関心を持ち且つ特定の詳細レベルと関連づけられたデータ蓄積オブジェクトのみを、地理データベース61、62からオンデマンドで動的にロードし得る。地理データベース61、62を検索してこの情報を得るために、風景図管理部55は、効率的にアクセスできるよう対象物データを組織するために特に定義されたデータ構造を用いる対象物データをオンデマンドでロードするための階層的な方法を利用する。
【0020】
本発明の例としての実施の形態において、目標対象物をオンデマンドでロードするためのガイドとして、2つのデータ構造が利用され得る。資源インデックス・ファイル又は単に「RIFファイル」と呼ばれる第1のデータ構造は、目標対象物の「メタデータ」を蓄積し得る。詳細レベル・ファイル又は単に「LODファイル」と呼ばれる第2のデータ構造は、目標対象物に関する複数の詳細レベルの「実データ」を蓄積し得る。RIFファイル及び/又はLODファイルは、例えば記憶媒体及び/又はコンピュータのメモリに蓄積され得る。
【0021】
RIFファイルに蓄積されたメタデータは、特定の視点から見える対象物とその詳細レベルとを決定するにあたり、風景図管理部を支援する。メタデータは実データと比べて小さなサイズであり得る。そのため、メタデータを実データから分離することにより、メモリ使用、処理要求及びアプリケーションの初期起動時間が大幅に低減され得る。実データは、要求されるまでロードされる必要がないからである。例えば、ナビゲーション・システムの初期化段階において、どの資源がシステム・メモリにロードされるべきかを実データをロードすることなく決定するために、RIFファイルが読み取られ得る。実行時において、風景図管理部は、RIFファイルに蓄積された情報に基づいて、LODファイルを介して実データにアクセスし得る(即ち、RIFファイルに蓄積されたメタデータは、実データのどの部分がシステム・メモリにロードされるべきかを決定するためのディレクトリとして機能し得る)。
【0022】
LODファイルに蓄積された実データは、システム資源に関する情報を複数の解像度において表現し得る。典型的には実データを階層的なツリー状の構造の非中間レベルのみにリーフ・ノードとして蓄積する従来のシステムと異なり、LODファイルは、中間ノードにもデータを蓄積し得る。これにより、階層的なツリー状の構造は、所与の視点構成において、特定の解像度について要求されたデータを一層選択的にロードできるようにすることにより、複数解像度の情報にアクセスするための一層適切な構成を提供し得る。例えば10000フィートの視点における解像度100mの質感は、解像度1mのものよりも迅速に選択され得る。データ配置が、不必要な交差を避け得るためである。従って、階層的なツリー状の構造の全レベルに分配されるようデータを配置することにより、所望の解像度に対するデータの一層便利且つ効果的なアクセスが達成され得る。
【0023】
図4aは、点線110により境界が示された二次元領域に地理的に分散された目標対象物101−105の抽象的な表現を示す。座標X、Y、X’及びY’は、境界のある領域110を更に線引きする。より詳細には、座標X及びYは互いに交差して、境界のある領域110を、第1象限I、第2象限II、第3象限III及び第4象限IVの4つの象限に分割する。座標X’及びY’は座標X及びYと交差して、4つの象限のうちの2つを更にサブ象限に再分割する。特に、座標Y’は座標Xと交差して、象限IIIをサブ象限III1及びサブ象限III2に再分割する。座標X’は座標Yと交差して、象限IVをサブ象限IV1及びサブ象限IV2に再分割する。
【0024】
境界のある領域110の象限I−IV及びサブ象限III1、III2、IV1及びIV2への再分割は、目標対象物101−105の位置の一層正確な表示を可能とする。図4aに示されるように、目標(地理的な)対象物101は第1象限Iに置かれ、目標対象物102はサブ象限III2に置かれ、目標対象物103はサブ象限III1に置かれ、目標対象物104はサブ象限IV2に置かれ、目標対象物105はサブ象限IV1に置かれる。
【0025】
目標対象物101−105の位置の表示は、また、「ルート・ノード」と複数の「ブランチ・ノード」及び「リーフ」を有する「ツリー状」の構造として表され得る。ブランチ・ノードは、境界のある領域110の空間の仕切り方を表し、リーフは目標対象物101−105を表し得る。ブランチ・ノード及びリーフは、境界のある領域110の空間の仕切り方と目標対象物101−105の位置との関係を形成するよう特別に配置され得る。具体的に、ブランチ・ノード及びリーフは、階層的な方法で配置され得る。即ち、ブランチ・ノードは、ルート・ノード又は他のブランチ・ノードの「子」となるよう構成され、リーフはブランチ・ノードの「子」となるよう構成され得る。
【0026】
図4bは、境界のある領域110の空間の仕切り方と、境界のある領域110内の目標対象物101−105の位置とを表現するツリー状の構造150の例としての実施の形態を示す。ツリー状の構造150は、ルート・ノード140、4つのブランチ・ノード141〜144、及び5つの目標対象物101〜105を含む。ルート・ノード140、4つのブランチ・ノード141〜144、及び5つの目標対象物101〜105は、階層的な方法で配置される。具体的に、ルート・ノード140は、ツリー状の構造150の「基礎」又は「ルート」となるよう配置され、ブランチ・ノード141〜144はルート・ノード140の「子」となるよう配置され、5つの目標対象物101〜105は「リーフ」となるよう配置される。5つの目標対象物101〜105は、更に、ブランチ・ノード141〜144の「子」となるよう配置される。具体的に、目標対象物101はブランチ・ノード142の子となるよう配置され、目標対象物103及び102はブランチ・ノード144の子となるよう配置され、目標対象物104及び105はブランチ・ノード141の子となるよう配置される。
【0027】
ツリー状の構造150のそのような階層的な配置は、例えばナビゲーション・システムにおいて有用であり得るデータ構造を構成する適切な枠組みを提供し得る。具体的に、ツリー状の構造150の階層的な配置は、作成、解析及びナビゲートが容易である。更に、ツリー状の構造150の階層的な配置は、「迅速な拒絶」テストが実行されることを可能とし、該テストにおいてツリーのブランチ・ノードは、そのノードにおける目標対象物がナビゲーションの視錐台から外れた場合に「取り除かれ」る。例えば、ナビゲーション・システムのユーザが第1象限にあるとみなされる場合、目標対象物101はユーザの視錐台内にあると想定され、目標対象物102−105がユーザの視錐台の外にあると想定され得る。そのため、第1象限Iと関連付けられたブランチ・ノード即ちブランチ・ノード142が「ロード」され、他のブランチ・ノード即ちブランチ・ノード141、143及び144は「取り除かれ」て、それ以降は訪問される必要がなくなる。従って、ツリー状の構造150の階層的な配置は、現在のビュー又はユーザ要求と相関するオンデマンドにより、実データ(目標対象物又は目的点POI)をロード可能とする。
【0028】
本発明の例としての実施の形態において、ツリー状の構造150の各ノードは、システムの地理上の領域に関する情報を提供し得る。具体的に、ツリー状の構造150の各ノードは「境界ボックス」(即ち、境界のある領域、象限、サブ象限等)と関連付けられ、該境界ボックスは、1つ又はそれ以上の「タイル」により再分割され得る。タイルは、境界ボックス内の特定の位置に対する特徴物及び関連データのセットを含む論理的なユニットである。特徴物には、例えば、道路標識、建物又は航空写真が含まれ得る。関連データには、タイル内の特徴物の説明が含まれ得る(例えば、建物のポリゴンが幾つあるか、各ポリゴンの側面は幾つか、及びそれらの座標(x、y、z)など)。
【0029】
図5aは、境界ボックスとタイルとの「入れ子」の関係を示す。図5aは、ナビゲーション・システムの二次元の地理上の境界のある領域の例としての抽象的な表現250を示し、境界ボックスとタイルとの入れ子の関係を示す。境界ボックス1は、システム全体の北、南、東及び西の境界を画定する。境界ボックス1は、それぞれが1つ又はそれ以上のタイル境界ボックスを含む境界ボックス2〜6を含むよう再分割される。具体的に、境界ボックス2はタイル境界ボックス2を含み、境界ボックス3はタイル境界ボックス3を含み、境界ボックス4はタイル境界ボックス4を含み、境界ボックス5はタイル境界ボックス5及びタイル境界ボックス6を含み、境界ボックス6はタイル境界ボックス7を含む。
【0030】
図5bは、図5aの入れ子になった境界ボックスの関係を表す階層的なツリー状の構造260を示す。ツリー状の構造260は、それぞれが特定の境界ボックス1〜6と関連付けられたノードN1〜N6を含む。具体的に、ノードN1は境界ボックス1と関連付けられ、ノードN2は境界ボックス2と関連付けられ、ノードN3は境界ボックス3と関連付けられ、ノードN4は境界ボックス4と関連付けられ、ノードN5は境界ボックス5と関連付けられ、ノードN6は境界ボックス6と関連付けられる。ノードN1〜N6は、境界ボックス1〜6との入れ子の関係を表す階層的な方法で配置される。具体的に、ノードN1は、ツリー状の構造260の基礎又はルートとして配置され、関連付けられた境界ボックス1がナビゲーション・システムの地理上の領域全体を取り囲むことを表す。加えて、ノードN2、N4、N5及びN6は、ルート・ノードN1の「子」となるよう配置され、関連付けられた境界ボックス2、4、5及び6が境界ボックス1の内側にあることを表す。更に、ノードN3はノードN2の子となるよう構成され、関連付けられた境界ボックス3が境界ボックス2の内側にあることを表す。
【0031】
ノードN1〜N6は、それぞれ、関連付けられたタイル境界ボックス1〜タイル境界ボックス7との入れ子の関係を表す1つ又はそれ以上の取り付けられたタイル1〜タイル7を有する。具体的に、タイル1はノードN1に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス1が境界ボックス1の内側にあることを表し、タイル2はノードN2に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス2が境界ボックス2の内側にあることを表し、タイル3はN3に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス3が境界ボックス3の内側にあることを表し、タイル4はノードN4に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス4が境界ボックス4の内側にあることを表し、タイル5及びタイル6はノードN5に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス5及びタイル境界ボックス6が境界ボックス5の内側にあることを表し、タイル7はN6に取り付けられて、関連付けられたタイル境界ボックス7が境界ボックス6の内側にあることを表す。
【0032】
タイルに対する特徴物及び関連データのセット、即ちタイル・データは、タイルの次元及び/又はツリー状の構造の親子関係を示すデータとは別個に保持され得る。階層的なデータ(メタデータ)から特徴物に関するデータ(実データ)をそのように分離することにより、性能の全体的な改良がなされ得る。具体的には、分離により、ユーザに見える空間への迅速な拒絶/受容が可能になる。例えば、タイルに関連付けられたメタデータが、北、南、東、西の境界を画定する4つの番号で特定される境界ボックスを含む場合、交差又は重複が容易に決定され得る。そのため、タイルは、タイルが含み得る個々の特徴物を調べることなしに、受容又は拒絶され得る。従って、特徴物がナビゲーションの視野内にあるか否かを決定するために、タイルの特徴物を調べる必要はない。更に、実際の特徴物のデータはメタデータから独立しているため、実データの変更はメタデータによる索引付けには影響を与えない。
【0033】
本発明の例としての実施の形態において、メタデータと実データとの分離は、資源インデックス・ファイル(RIF)及び詳細レベル(LOD)ファイルと呼ばれる2つのデータ構造を用いて実現され得る。
【0034】
以下の表1は、RIFファイルの例としてのフォーマットを示す。
【0035】
【表1】
表1に示すように、RIFファイルは「URL」フィールド、「次元」フィールド、「境界ボックス」フィールド、「タイル」フィールド、及び「子数」フィールドを含み得る。URLフィールドは、RIFファイルの位置を定義する文字列であり、RIFファイルは局所ファイルでも遠隔のオブジェクトでもよい。次元フィールドは、二次元の道路地図を示す「2」、又は三次元の道路地図を示す「3」のいずれかであり得る。境界ボックス・フィールドは、関連するノードについて、境界ボックスの各次元における上下の境界を画定する浮動小数点数のリストを含む。タイル・フィールドでは、関連するノードに対するタイルの数量を示す数字の後に、各タイルの「タイルID」と境界ボックスとを含む一連の組が続く(即ち、境界ボックスは、このようにタイルごとに定義される)。子数フィールドでは、関連するノードに関連付けられた子の数を示す数字の後に、個々の子の境界ボックス、関連するタイル、および子の数を再帰的に定義する境界ボックス・フィールド、タイル・フィールド及び子数フィールドを含む一連の組が続く。
【0036】
図6aは、記憶媒体又はメモリ内におけるRIFファイルの物理的レイアウトの例としての表現を示す。RIFファイル300は、表1に定義された構造に従って解釈され得る一連の連続したバイトとして格納され得る。例えば、URLフィールド301はメモリの最初の部分を占め、次元フィールド302はメモリの次の部分を占め、境界ボックス・フィールド303、タイル数フィールド304、一連のタイルID/境界ボックスの組305、及び、再帰的な子の数、境界ボックス及びタイルの組306が続く。
【0037】
図6bは、図5bの階層的なツリー状の構造260に対応するRIFファイルの例としての内容350を示す。より詳細には、内容350は、RIFファイルが/bosch/resouces/tiles以下にあり、ナビゲーション・システムの境界ボックスが地理上の領域を二次元(2)で表し、ルート・ノードが、タイル境界ボックス1と関連付けられたタイルID1を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス1と関連付けられ、ルート・ノードが4つの子を含み(子数=4)、ルート・ノードの第1の子が、タイル境界ボックス2と関連付けられたタイルID2を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス2と関連付けられ、ルート・ノードの第1の子が、タイル境界ボックス3と関連付けられたタイルID3を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス3と関連付けられた1つの子(子数=1)を含み、ルート・ノードの第1の子の子が子を持たず(子数=0)、ルート・ノードの第2の子が、タイル境界ボックス4と関連付けられたタイルID4を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス4と関連付けられ、ルート・ノードの第2の子が子を持たず(子数=0)、ルート・ノードの第3の子が、タイル境界ボックス5及びタイル境界ボックス6とそれぞれ関連付けられたタイルID5及びタイルID6を有する2つのタイル(タイル数=2)を含む境界ボックス5と関連付けられ、ルート・ノードの第3の子が子を持たず(子数=0)、ルート・ノードの第4の子が、タイル境界ボックス7と関連付けられたタイルID7を有する1つのタイル(タイル数=1)を含む境界ボックス6と関連付けられ、ルート・ノードの第4の子が子を持たない(子数=0)ことを特定する。
【0038】
詳細レベル(LOD)ファイルは、レベル総数、タイル総数、及びRIFファイルに参照される実データを定義し得る他のデータに関する情報を格納する。以下の表2は、LODファイルの例としてのフォーマットを示す。
【0039】
【表2】
表2に示されるように、LODファイルは、「レベル数」フィールド、「タイル数」フィールド、「タイル・データ」フィールド及び「特徴物データ」フィールドを含み得る。レベル数フィールドは、階層内のレベルの総数を表す整数である。タイル数フィールドは、階層内のタイルの総数を表す整数である。タイル・データ・フィールドは、タイルごとのデータの位置を格納する一連の組であって、個々の組は、特徴物データ・フィールド内の格納位置を指すファイル・ポインタ・フィールドと、関連付けられたタイルに対する詳細レベルを示す詳細レベル・フィールドと、関連付けられたタイルのタイル識別子とを含む。特徴物データ・フィールドは、特徴物の数、特徴物IDを含む特徴物ごとのデータ、浮動小数点数で表される特徴物サイズ、及び実データを定義する配列である。
【0040】
図7aは、記憶媒体又はメモリ内におけるLODファイルの物理的レイアウトの例としての表現を示す。LODファイル400は、一連の連続したバイトとして格納され、表2に定義される構造に従って解釈され得る。例えば、レベル数フィールド401はメモリの最初の部分を占め、タイル数フィールド402はメモリの次の部分を占め、タイル・データTD及び特徴物データFDが続く。タイル・データTDは、特徴物データFDを指し示すファイル・ポインタ・フィールド(例えば、ファイル・ポインタ・フィールド403及びファイル・ポインタ・フィールド430)を含み、それにより、特定のタイルと関連付けられた特定の特徴物に対する一層速いアクセスを可能とする。
【0041】
図7bは、図5bの階層的なツリー状の構造260のタイル1〜タイル7に対応するLODファイルの例としての内容450を示す。より詳細には、内容450は、ツリー状のデータ構造が3つのレベル(レベル数=3)を有し、ツリー状の構造が全部で7つのタイル(タイル数=7)を含み、タイルID1を有する第1のタイルがレベル0にあってファイル・ポインタ1を介して第1の特徴物リストF1を指し、タイルID2を有する第2のタイルがレベル1にあってファイル・ポインタ2を介して特徴物リストF2を指し、タイルID3を有する第3のタイルがレベル2にあってファイル・ポインタ3を介して特徴物リストF3を指し、タイルID4を有する第4のタイルがレベル1にあってファイル・ポインタ4を介して特徴物リストF4を指し、タイルID5を有する第5のタイルがレベル1にあってファイル・ポインタ5を介して特徴物リストF5を指し、タイルID6を有する第6のタイルがレベル1にあってファイル・ポインタ7を介して特徴物リストF7を指すことを特定する。
【0042】
RIFファイル及びLODファイルの枠組は、性能を改善し得る。地理データベース又は記憶媒体から例えばグラフィック・メモリのようなモバイル・ユニットの局所メモリ資源へのデータのスワップイン/スワップアウトを実行するための、効率的なページングの仕組みがサポートされ得る。それにより、ナビゲーション・システムに必要とされる計算の複雑さが最小限にされ得る。例えば、RIFファイルのツリー状のデータ構造をたどるにはO(logN)(Nはノード数)の計算ステップのみが必要とされ、実データの取得にはO(1)のみが必要とされ得る。なぜなら、データ構造と関連付けられたタイル・データは、実際の目標対象物の情報の位置を即座に特定するためのファイル・ポインタを格納しているからである。例えば、典型的な都市の表現は6つの詳細レベルを有するものとして格納され、個々のレベルはそれぞれ4つのタイルと4つの子とを有し、個々のタイルは平均50の特徴物(例えばビルの構造)を有する。従って、そのような表現は1365個のタイル(40+41+42+43+44+45=1365)及び68250個の特徴物(50*1365=68250)を必要とし得る。しかし、実データ(即ち特徴物データ)を取得するには、6つのレベルを移動し、その後で幾つかのポインタを向け直すだけでよい。
【0043】
RIFファイル及びLODファイルの枠組は、また、高速な初期化時間を提供し得る。なぜなら、アプリケーションが開始する際に全データをメモリにダウンロードする必要が無く、それによりユーザへの応答時間が低減されるからである。RIFファイル及びLODファイルの枠組は、また、メモリの使用を低減し得る。なぜなら、ユーザに見える地域のみがロードされればよいからである。従って、実際のメモリ使用は、システム資源に負担をかけることなく、ユーザに見える地域に必要とされる特徴物のみの格納を受容するよう低減され得る。RIFファイル及びLODファイルの使用は、また、前処理の要求をも低減し得る。タイル内の資源のみが処理されればよいために、描写のための他の装置に送る前にデータを前処理する必要性が削減されるからである。データ使用の低減により、一層速い処理時間が提供され得る。更に、ナビゲーション・システムの埋め込み型画像プロセッサの計算/描写能力が制限されているために、RIFファイル及びLODファイルの利用は、ナビゲーション・システムの表示性能をも改善し得る。RIFファイル及びLODファイルの枠組は、また、他の種別のデータ及びシステムにも適用され得る。例えば、RIFファイル及びLODファイルの枠組は他のストリーミング・プロトコルにも適用され、ナビゲーション・システムの目標対象物のような資源が、実際に必要とされる場合にのみダウンロード/転送され得る。
【0044】
1つの例としての方法によれば、ナビゲーション・システムの実行時動作期間にメタデータにアクセスするために、ツリー状の階層的なフォーマットで実行時のデータ構造を作成するよう、システムの初期化時に、風景図管理部によりRIFファイルが読み取られる。RIFファイルは全体が読まれるのではなく、システムの次元(2又は3)と、RIFのツリー状のデータ構造のレベル数により示されるシステムの詳細レベルとを示すフィールドのみが読み取られる。実行時のツリー状のデータ構造のノードは、関連する境界ボックス又は取り付けられたタイルを持たないものとして構築及び初期化され得る。
【0045】
ユーザがシステムをナビゲートする際、実行時のツリー状のデータ構造内のノードは、RIFファイルから適切な情報を検索することにより、必要に応じて動的に追加及び削除され得る。ノードが追加されると、任意の取り付けられたタイルに対応する実データが、LODファイルから取り出され得る。具体的に、タイルIDはタイル・データへの索引を提供し、対応するファイル・ポインタは特徴物データへのアクセスを提供する。更に、ユーザが別の見える領域に移動して視錐台が変化した後、不要となったタイル及び特徴物データが廃棄されてシステム資源を解放し得る。
【0046】
特徴物データへのアクセスが為されると、ナビゲーション・システム(図3)の更なる要素である風景図描写モジュール60が、全ての対象物を、それらの地理的な及び外観的な情報に基づいて、風景図の中に繰返し表示する。特定の実現形態によれば、対象物の形状は、三角形又は多角形のような一連の「原始的な」要素に分解され得る。これらの要素は、本技術分野において周知の通り、三次元描画アルゴリズムのライブラリを備えるグラフィック・エンジンを用いて描写され得る。グラフィック・エンジンは、マイクロソフト社のWindows(登録商標)2000、NT、MacOS(登録商標)9及びLinux(登録商標)のようなオペレーティング・システムに含まれるOpenGL(Open Graphics Library)のようなソフトウェア・ライブラリを用いて実現され得る。代わりに、グラフィック描写モジュール60のグラフィック・エンジンは、様々なメーカからグラフィック・カードの形で入手可能な3D加速ハードウェアを用いて実現され得る。
【0047】
風景図描写モジュールは、また、本発明のもう1つの態様であって、局所メモリにおける画像の常駐と画像描写に利用される演算資源の量との最小化を助ける複数解像度の画像の合成の使用を実現し得る。更に、複数解像度の合成は、観察者が視野の一部に向かって前進し又はズームする際の解像度の粗い画像から解像度の細かい画像への移行において知覚される解像度のジャンプを最小化することにより、視覚化を改良する。
【0048】
図8a、8b、8c及び8dは、様々な空間解像度における湾岸地域のグレイスケール画像による航空図を用いて、複数の解像度の混合された画像を図示する。図8aは、2桁のマーク(‘01)で識別される解像度の粗い画像と4桁のマーク(‘0131)で識別される解像度の細かい画像との混合を示す。図示される通り、解像度の高い画像の識別(‘0131)は、粗い画像の対応する識別(‘01)よりはるかに小さく現れ、解像度の細かい画像が粗い画像よりも小さな領域に適しており、粗い画像の領域のごく一部のみを占めることを示している。
【0049】
観察者が(図8bに示すように)ズームして、海岸線のより小さな領域を観察する場合、粗い画像が次第に消えて、より高レベルの画像が、より大きく、はっきりと焦点のあったマーク‘0131で視野全体を覆う。図8cに示される通りに更にズームすると、マーク‘0131が次第に消えて、次に高い解像度レベルのマーク(‘013131)が、道路601a、601bのような領域の詳細な特徴物に沿って次第に現れる。図8dは、マーク‘013131が視野を占める最高の解像度の(最も詳細な)質感を示す。この方法において、粗い画像が消えるにつれて、解像度のより高い画像が次第にはっきり見えるようになり、リアルに見える滑らかな遷移が達成される。
【0050】
図9は、本発明のナビゲーション・システムにより実行される複数解像度の画像の合成方法の実施の形態のフロー図である。まず、システムは、上記の視点制御モジュール及び位置計算モジュールを用いて、観察者の位置、注視方向、及び、結果としての表示に影響する潜在的な他の計算上の制約を含む観察者のビューのパラメータを決定する(701)。次いで、観察者に見える空間を決定する観察者の方向及び位置に基づいて、観察者の視野に対応する視錐台が決定される(702)。上記の通り、視錐台に基づいて、風景図管理部が、どの画像タイルが見えるかを識別し(703)、風景図を生成して、視錐台の外にタイルを廃棄する。
【0051】
個々のタイルが蓄積されるデータ・セットは階層的な性質を持つため、視錐台又は地理上の領域(二次元の境界ボックス)の内部にある可視タイルは、粗いレベルから細かいレベルまでの様々な解像度における複数バージョンの画像を含み得る。境界ボックスと関連付けられたタイルのグループを画像データベースから予めロードすることにより、風景図管理部は、混合する目的のために、様々な解像度の画像を用意し得る。アクセスの準備のために、この限られた画像のグループをローカルのメモリに保持することは、ローカルのメモリ資源を拡張しない。なぜなら、格納された画像のうちの境界ボックスと関連づけられていないより大きな組はダウンロードされず、メモリ又はコンピュータの資源を消費しないからである。
【0052】
解像度レベルと各画像タイルへの距離とに基づいて伝達関数を適用することにより、混合された結果画像への、境界ボックス内の各画像タイルの貢献度を確立する混合係数が決定される(704)。個々の解像度レベルに対する混合係数の決定の例を、以下に示す。地理上の目的点に対する階層的な対象物のデータ構造は、特定の対象物(又は特定の地理上の領域)に対する3つの解像度レベルを含み、レベル0は最も粗いレベルを表し、レベル1は中間の解像度レベルを表し、レベル2は最高の解像度レベルを表す。
【0053】
3つの解像度レベルのそれぞれについて距離の関数として用いられる混合係数のグラフが、図10に示される。被観察対象物(z0)からの距離が大きい場合、解像度レベル0に対する混合係数は最大になり、レベル1及び2に対する混合係数はゼロになって、レベル0の質感のみが被観察画像を描写するために利用されることを示す。観察者が距離z0から距離z1へと対象物/領域に更に近づくと、解像度レベル0に対する混合係数が減少し、解像度レベル1に対する混合係数が次第に増大して、被観察画像に混合される。観察者が更に距離z2に近づくと、解像度レベル2に対する混合係数が次第に増大して最大値に近づき、解像度レベル1に対する混合係数は、z1とz2との間の或る距離において最大レベルに達した後で次第に減少し、解像度レベル0に対する混合係数はゼロへと減少する。図示される通り、3つの異なる解像度レベルに対する各混合係数の徐々の変化は、全ての解像度レベルを通じて全ての距離における解像度の連続性を提供する。
【0054】
各レベルに対する混合係数を用いて質感及び画像を描写するために、個々の地理上の領域は、各解像度レベルで一度、それぞれの混合係数を用いて、マルチパスで描写される。各位置(i)において、解像度レベル(x)における位置(i)に対するピクセルp(x,y)に当該解像度レベルに対する混合係数b(x)を乗じたものの合計p(i)として、結果としての混合が計算される(705)。解像度がnレベルの場合、以下の計算がなされる。即ち、
p(i)=b(0)*p(i,0)+b(1)*p(i,1)+・・・・+b(n)*p(i,n)
である。
【0055】
複数の解像度の混合された画像の生成は、写真、道路地図及び衛星画像から得られる写実的な質感を持つ三次元のシミュレーションを提供し、従来の視覚的ナビゲーション・システムにおいて提示された人工的なポリゴンによる近似に依存しない。更に、複数のパスによる描写は、粗いレベルから細かいレベルへ移る際に一層高度な詳細が突然出現することに起因する邪魔な視覚的効果を最小化する。更に、この方法は、上記の質感の画像を格納するための階層的フォーマットと組み合せることにより、効率的に実行され得る。具体的には、オリジナルの衛星画像/道路地図画像をタイルに分割し、質感のタイルが視錐台においてユーザに見えるか否かに従ってオンデマンドでタイルをロードすることにより、コンピュータ資源に負担をかけることなく詳細画像の動的な合成を提供可能である。
【0056】
以上の記述において、本発明に係る方法及びシステムを、限定的に考えられるべきではない幾つかの例により説明した。しかし、本明細書に開示された方法及び装置の原理の変形が当業者により為され得ることが理解され、期待されるべきである。また、そのような修正、変更及び/又は置換は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1a】第1の方位に従った観察者の視錐台の概略図である。
【図1b】aに示された図からわずかに変化した方位に従った視錐台の概略図である。
【図2a】本発明により提供される、モバイル・ユニットの現在位置に従ったヘリコプター・ビューにおける大都市環境の例としての三次元表現である。
【図2b】モバイル・ユニットが図示された経路に沿って移動した後の、aの環境の三次元のヘリコプター・ビューによる表現である。
【図2c】モバイル・ユニットが図示された経路に沿って更に移動した後の、a及びbの環境の三次元のヘリコプター・ビューによる表現である。
【図3】本発明の例としての実施の形態に係る視覚的ナビゲーション・システムを示す。
【図4a】二次元の領域に地理的に分散させられた目標対象物の抽象的な表現である。
【図4b】aの境界のある領域の空間の仕切り方と、境界のある領域内の目標対象物の位置とを表すツリー状の構造である。
【図5a】境界ボックスとタイルとの間の入れ子の関係を示す、ナビゲーション・システムの二次元の地理的な境界のある領域の例としての抽象的な表現である。
【図5b】aの境界ボックスの入れ子の関係を表す階層的なツリー状の構造である。
【図6a】本発明の実施の形態に係る、記憶媒体又はメモリ内の資源インデックス・ファイル(RIF)の物理的レイアウトの例としての表現である。
【図6b】図5bの階層的なツリー状の構造に対応するRIFファイルの例としての内容を示す。
【図7a】本発明の実施の形態に係る、記憶媒体又はメモリ内の詳細レベル(LOD)ファイルの物理的レイアウトの例としての表現である。
【図7b】図5bの階層的なツリー状の構造のタイル1〜タイル7に対応する詳細レベル(LOD)ファイルの例としての内容である。
【図8a】最も遠くから見た場合に提示される、本発明に係る第1の複数解像度の混合された画像を示す。
【図8b】aよりも近い距離から見た場合の、本発明に係る第2の複数解像度の混合された画像を示す。
【図8c】bよりも近い距離から見た場合の、本発明に係る第3の複数解像度の混合された画像を示す。
【図8d】最も近い距離から見た場合の、本発明に係る第4の複数解像度の混合された画像を示す。
【図9】本発明に係るナビゲーション・システムにより実行される複数解像度の画像の合成方法の実施の形態のフロー図である。
【図10】3つの解像度レベルのそれぞれについて距離の関数として利用される混合係数のグラフを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル・ユニットのための三次元の視覚的ナビゲーションを提供するシステムであって、
前記モバイル・ユニットの現在位置を計算する位置計算ユニットと、
前記モバイル・ユニットの前記位置に基づいて視錐台を決定する視点制御ユニットと、
少なくとも1つの地理データベースと結合された風景図管理部であって、前記少なくとも1つの地理データベースから前記視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを得て、該得られた地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成する風景図管理部と、
前記風景図を三次元の描画としてリアルタイムに描写する風景図描写部と
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記位置計算ユニットが、更に、前記モバイル・ユニットの現在の方向を計算するシステム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、更に、
選択された経路と関連付けられた情報を含む経路計算モジュールであって、前記視点制御ユニットがプレビュー動作モードにおいて経路情報に基づいて前記視錐台を編集できるよう、前記視点制御ユニットに経路情報を提供する経路計算モジュール
を備えるシステム。
【請求項4】
請求項2記載のシステムであって、更に、
位置センサと、
方向センサと
を備え、
前記位置計算ユニットが、前記位置センサ及び前記方向センサにおいて生成された信号に基づいて前記モバイル・ユニットの前記位置及び方向を計算するシステム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムであって、前記位置センサがGPS受信機を含むシステム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムであって、前記位置センサが慣性センサ装置を含むシステム。
【請求項7】
請求項2記載のシステムであって、更に、
前記視点制御ユニットの動作を変更するために、前記視点制御ユニットにユーザによる選択を提供するユーザ入力モジュール
を備えるシステム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムであって、前記視点制御ユニットが、
(a)ヘリコプター・ビュー
(b)前記モバイル・ユニットの前記位置と合致する視点の位置
(c)前記モバイル・ユニットの前記位置及び方向と合致する視点の位置及び方向
という選択可能なビュー・モードのうちのいずれか1つに基づいて前記視錐台を決定するシステム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムであって、前記風景図がデジタル道路地図、航空画像及び数値地図のうちの少なくとも1つを含むシステム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムであって、前記風景図が複数の解像度の航空画像を含むシステム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムであって、前記風景図管理部が、地理的な対象物のデータをオンデマンドでロードするための階層的な方法を使用し、該階層的な方法が、前記決定された視錐台に関する前記地理的な対象物のデータに効果的にアクセスするために定義されたデータ構造を利用するシステム。
【請求項12】
モバイル・ユニットの視覚的ナビゲーション・システムに地理的な対象物のデータを提供するシステムであって、
地理的な領域のリアルタイムな視覚的ナビゲーションを可能とする地理的な対象物のデータを格納する少なくとも1つの専門化された地理データベースと、
前記モバイル・ユニットと通信して、前記少なくとも1つの地理データベース内に格納されたデータへのアクセスを提供する通信モジュールと
を備えるシステム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムであって、前記少なくとも1つの専門化された地理データベースが、航空画像、建物の質感、数値地図及び道路地図データベースのうちの少なくとも1つを含むシステム。
【請求項14】
モバイル・ユニットに三次元の視覚的ナビゲーションを提供するシステムであって、
前記モバイル・ユニットの現在位置を計算する位置計算ユニットと、
前記モバイル・ユニットの前記位置に基づいて視錐台を決定する視点制御ユニットと、
少なくとも1つの地理データベースと、
前記少なくとも1つの地理データベースと通信する風景図管理部であって、前記少なくとも1つの地理データベースから前記視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを得て、該得られた地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成する風景図管理部と、
前記風景図を三次元の描画としてリアルタイムに描写する風景図描写部と
を備えるシステム。
【請求項15】
請求項14記載のシステムであって、前記風景図管理部が、前記少なくとも1つの地理データベースから地理的な対象物のデータをオンデマンドでロードするために階層的な方法を使用し、該階層的な方法が、前記決定された視錐台に関する前記地理的な対象物のデータに効率的にアクセスするために定義されたデータ構造を利用するシステム。
【請求項16】
請求項14記載のシステムであって、更に、
選択された経路と関連付けられた情報を含む経路計算モジュールであって、前記視点制御ユニットがプレビュー動作モードにおいて経路情報に基づいて前記視錐台を修正できるよう、前記視点制御ユニットに経路情報を提供する経路計算モジュール
を備えるシステム。
【請求項17】
モバイル・ユニットにおける三次元の視覚的ナビゲーション方法であって、
前記モバイル・ユニットの現在位置を計算するステップと、
前記モバイル・ユニットの前記位置に基づいて視錐台を決定するステップと、
少なくとも1つの地理データベースから、前記視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを得るステップと、
前記得られた地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成するステップと、
前記風景図を三次元の描画としてリアルタイムに描写するステップと、
を備える方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、更に、
移動経路を選択するステップと、
前記移動経路に対応する経路情報を用いて前記視錐台を修正するステップと、
を備える方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法であって、更に、
前記モバイル・ユニットの現在位置を計算するステップ
を備える方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、更に、
ユーザ入力に基づいて前記視錐台を修正するステップ
を備える方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法であって、更に、
前記決定された視錐台に関する前記地理的な対象物のデータに効率的にアクセスするためのデータ構造を決定するステップ
を備える方法。
【請求項22】
請求項19記載の方法であって、前記風景図が、デジタル道路地図、衛星画像及び数値地図のうちの少なくとも1つを含む方法。
【請求項1】
モバイル・ユニットのための三次元の視覚的ナビゲーションを提供するシステムであって、
前記モバイル・ユニットの現在位置を計算する位置計算ユニットと、
前記モバイル・ユニットの前記位置に基づいて視錐台を決定する視点制御ユニットと、
少なくとも1つの地理データベースと結合された風景図管理部であって、前記少なくとも1つの地理データベースから前記視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを得て、該得られた地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成する風景図管理部と、
前記風景図を三次元の描画としてリアルタイムに描写する風景図描写部と
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記位置計算ユニットが、更に、前記モバイル・ユニットの現在の方向を計算するシステム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、更に、
選択された経路と関連付けられた情報を含む経路計算モジュールであって、前記視点制御ユニットがプレビュー動作モードにおいて経路情報に基づいて前記視錐台を編集できるよう、前記視点制御ユニットに経路情報を提供する経路計算モジュール
を備えるシステム。
【請求項4】
請求項2記載のシステムであって、更に、
位置センサと、
方向センサと
を備え、
前記位置計算ユニットが、前記位置センサ及び前記方向センサにおいて生成された信号に基づいて前記モバイル・ユニットの前記位置及び方向を計算するシステム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムであって、前記位置センサがGPS受信機を含むシステム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムであって、前記位置センサが慣性センサ装置を含むシステム。
【請求項7】
請求項2記載のシステムであって、更に、
前記視点制御ユニットの動作を変更するために、前記視点制御ユニットにユーザによる選択を提供するユーザ入力モジュール
を備えるシステム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムであって、前記視点制御ユニットが、
(a)ヘリコプター・ビュー
(b)前記モバイル・ユニットの前記位置と合致する視点の位置
(c)前記モバイル・ユニットの前記位置及び方向と合致する視点の位置及び方向
という選択可能なビュー・モードのうちのいずれか1つに基づいて前記視錐台を決定するシステム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムであって、前記風景図がデジタル道路地図、航空画像及び数値地図のうちの少なくとも1つを含むシステム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムであって、前記風景図が複数の解像度の航空画像を含むシステム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムであって、前記風景図管理部が、地理的な対象物のデータをオンデマンドでロードするための階層的な方法を使用し、該階層的な方法が、前記決定された視錐台に関する前記地理的な対象物のデータに効果的にアクセスするために定義されたデータ構造を利用するシステム。
【請求項12】
モバイル・ユニットの視覚的ナビゲーション・システムに地理的な対象物のデータを提供するシステムであって、
地理的な領域のリアルタイムな視覚的ナビゲーションを可能とする地理的な対象物のデータを格納する少なくとも1つの専門化された地理データベースと、
前記モバイル・ユニットと通信して、前記少なくとも1つの地理データベース内に格納されたデータへのアクセスを提供する通信モジュールと
を備えるシステム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムであって、前記少なくとも1つの専門化された地理データベースが、航空画像、建物の質感、数値地図及び道路地図データベースのうちの少なくとも1つを含むシステム。
【請求項14】
モバイル・ユニットに三次元の視覚的ナビゲーションを提供するシステムであって、
前記モバイル・ユニットの現在位置を計算する位置計算ユニットと、
前記モバイル・ユニットの前記位置に基づいて視錐台を決定する視点制御ユニットと、
少なくとも1つの地理データベースと、
前記少なくとも1つの地理データベースと通信する風景図管理部であって、前記少なくとも1つの地理データベースから前記視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを得て、該得られた地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成する風景図管理部と、
前記風景図を三次元の描画としてリアルタイムに描写する風景図描写部と
を備えるシステム。
【請求項15】
請求項14記載のシステムであって、前記風景図管理部が、前記少なくとも1つの地理データベースから地理的な対象物のデータをオンデマンドでロードするために階層的な方法を使用し、該階層的な方法が、前記決定された視錐台に関する前記地理的な対象物のデータに効率的にアクセスするために定義されたデータ構造を利用するシステム。
【請求項16】
請求項14記載のシステムであって、更に、
選択された経路と関連付けられた情報を含む経路計算モジュールであって、前記視点制御ユニットがプレビュー動作モードにおいて経路情報に基づいて前記視錐台を修正できるよう、前記視点制御ユニットに経路情報を提供する経路計算モジュール
を備えるシステム。
【請求項17】
モバイル・ユニットにおける三次元の視覚的ナビゲーション方法であって、
前記モバイル・ユニットの現在位置を計算するステップと、
前記モバイル・ユニットの前記位置に基づいて視錐台を決定するステップと、
少なくとも1つの地理データベースから、前記視錐台と関連付けられた地理的な対象物のデータを得るステップと、
前記得られた地理的な対象物のデータを編成する風景図を生成するステップと、
前記風景図を三次元の描画としてリアルタイムに描写するステップと、
を備える方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、更に、
移動経路を選択するステップと、
前記移動経路に対応する経路情報を用いて前記視錐台を修正するステップと、
を備える方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法であって、更に、
前記モバイル・ユニットの現在位置を計算するステップ
を備える方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、更に、
ユーザ入力に基づいて前記視錐台を修正するステップ
を備える方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法であって、更に、
前記決定された視錐台に関する前記地理的な対象物のデータに効率的にアクセスするためのデータ構造を決定するステップ
を備える方法。
【請求項22】
請求項19記載の方法であって、前記風景図が、デジタル道路地図、衛星画像及び数値地図のうちの少なくとも1つを含む方法。
【図3】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図9】
【図10】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2006−513407(P2006−513407A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562644(P2004−562644)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012992
【国際公開番号】WO2004/059256
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012992
【国際公開番号】WO2004/059256
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】
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