説明

モバイル情報機器における地図表示システム

【課題】画面サイズが小さなモバイル情報機器に全体地図と見やすい大きさの部分地図を表示し、利用者が、周辺の建物や道路の配置関係を現在地から認識した目的地の方位と関連付けて、すみやかに理解できるようにする。
【解決手段】地図情報管理システム100、無線ネットワーク200、モバイル情報機器300等を要素として地図表示システムを構成し、一覧性のある全体地図と見やすい大きさの部分地図を用いて相互に切り替えて表示する機能、周辺の建物や道路の配置関係を目的地の方位と関連付けて情報提供する機能、利用者がダウンロードした地図の範囲外に出た時に地図情報管理センタから地図情報を再ダウンロードする機能を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報管理システムに蓄積した地図情報をモバイル情報機器にダウンロードし、ダウンロードした地図情報を元にして地図を作成してモバイル情報機器の画面に表示する地図表示システムに関し、特に、全体地図と部分地図を切り替えるための画面遷移方式、地図上で目的地の方向を示す矢印の表示と移動方式、利用者の現在地から認識した目的地の方位を表示する矢印の表示と移動方式、利用者の現在位置を示す付近地表示枠の表示と移動方式、及び利用者がダウンロードした地図の範囲外に出た場合における地図情報の再ダウンロードに関する。
【背景技術】
【0002】
GPSから取得した位置情報と地図を組み合わせて使用するシステムの代表的なものとして、カーナビゲーションシステムがある。カーナビゲーションシステムの特徴は、GPSから取得した現在地の位置情報とカーナビに入力した目的地管理情報(住所、マップコードなど)を用いて、目的地に達する道筋を算出するルーティング機能にある。
【0003】
カーナビゲーションシステムは、このルーティング機能を用いて、GPSから取得した現在地の位置情報とカーナビゲーション装置の内部に格納した地図情報を元に、当該車両の現在位置に対応する付近の道路地図を作成するとともに、作成した地図の上で現在位置から目的地に向かう道筋を画面に表示している。
【0004】
カーナビゲーションシステム以外にも、位置情報と地図を組み合わせて使用するシステムの代表的な事例としては、インターネットを利用した地図システムがある。
【0005】
インターネットを利用した一般的な地図表示システムでは、端末であるパソコンから住所や駅名等を地図の基点として入力した後、地図情報管理システムに送信し、地図情報管理システムに格納されている地図情報を読み出して、パソコンの画面に地図として表示する。
【0006】
ただし、この利用においては、利用者が、地図をパソコンに表示した後、その基点を中心として上下左右を指定して次の地図を表示させているため、キーボードやマウスの操作が必要となり、例えば、歩行中の使用を前提とするモバイル機器には適していない。
【0007】
また、従来は、画面サイズが限定されている携帯電話に関して、クライアントが要求するエリア情報を受信し、そのエリアを複数の部分エリアに分割してクライアントに送信する地図情報提供サービス方法はあった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2002-73621。
【0008】
また、従来は、携帯電話のGPS機能を利用して方位案内及び移動情報案内を行うプログラムはあった。
【0009】
このプログラムの特徴は、方位に関しては、北固定モードと方位測定モードを有し、地図に関しては、日本地図上に、現在地、目的地、近隣市、走行経路を表示して、どこまで走行したのか感覚的にわかる点にある。
【0010】
また、北固定モードでは、携帯電話の表示上で北を上、南を北、東を右、西を左として方位線を固定し、その固定させた方位線に対し、現在地から見た目的地の方向を示す矢印線を正しい方向に変化させる機能があり、方位測定モードでは、自らの進行方向を携帯電話の表示上の下から上への垂直方向とし、その進行方向に対し、方位線及び目的地の方向を示す矢印線を正しい方向に変化させる機能があった。 (例えば、特許文献2参照)
【特許文献2】特開2005-3654。
【0011】
また、従来、米国では、現在地を基点として、計器上で、目的地の方向、東西南北、目的地までの距離を示す製品は存在していた。(例えば、非特許文献1参照)
【非特許文献1】GARMIN社のeTrex。
【0012】
ホームページはhttp://www.garmin.com/products/etrex/。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
まず、一番目として、機器の操作に関する課題について説明する。
【0014】
上述の従来技術のうち、特許文献1では、携帯電話の画面サイズを考慮して画面分割はなされているものの、「(2)携帯電話などの地図提供サービスにおいては、複数の分割された地図の最初のページを送った後は、利用者の簡単かつ一定のボタン操作で次の地図ページを送るようにし」と記述されていることから、次の部分地図を表示させるためには利用者による機器操作を前提としていると考えられ、機器操作の点で煩わしさが伴っていると解釈できる。
【0015】
また、分かりやすい地図を表示するためには、出発地と目的地を一枚に含む全体地図、及び利用者の指定する縮尺倍率に基づき作成された部分地図を表示し、交互に切り替えて使用できるようにする必要があるが、これに関する言及はない。
【0016】
また、部分地図から全体地図に切り替えた場合、現在地表示枠を用いて、全体道程における進捗を全体地図上で表示した方が利用者にとっては使い勝手がよいが、このことに関しても言及はない。
【0017】
二番目の課題は、出発地から目的地へと向かう道が大きく迂回しているため、出発地と目的地を含む全体地図の範囲外に道路の一部がはみ出ている場合の対策である。
【0018】
出発地と目的地を一枚の全体地図に含めた場合、多くの場合は出発地から目的地へと向かう道路は全体地図に含まれることになるが、道路が大きく迂回している時には、必要な地図がダウンロードされないことになり不都合が生じる。
【0019】
次に、三番目として、部分画面の遷移に関する課題について説明する。
前述のように、特許文献1では、次の部分地図を表示させるためには利用者によるボタン操作を前提としている。
【0020】
また、「各分割地図ページ間の重なりをもうけ、分割された地図のつなぎめでの理解度を深める」工夫をしているが、表示する分割画面が一度に次画面に遷移する方式では、利用者にとって使い勝手があまりよいとはいえない。
【0021】
むしろ、利用者が、部分地図を見る場合においては、現在地を中心として周辺地図がスクロール表示できる部分地図の方が見やすいといえる。
【0022】
その他、モバイル情報機器と地図情報管理システムを常時ネットワーク接続し、現在地を中心として周辺地図をスクロール表示する方法も考えられるが、この方法では、通信コストが増大するという問題が発生する。
【0023】
次に、四番目として、進む方向を分かりやすく示す矢印の表示に関する課題について説明する。
【0024】
一般論とはなるが、手元に地図を持っていた場合であっても、出発地から目的地に向かって歩きはじめる時に、利用者が最初の一歩を歩き出す時に的確な方向感をすみやかに取得することは、以外に難しい。
【0025】
例えば、その一例として、利用者が地下鉄の駅の階段を登って地上に出てきた時に地図を見る場合があげられる。
【0026】
このような場合、通常、歩行者は、まず、地図を見ながら、付近で目印となる建物や道路を探しながら、大体の方向感を形成し、その後は目的地に向かって歩きながら、付近の建物や少し遠くの目印となるランドマークを確認しつつ、進んでいる方向が正しいことを検証することになる。
【0027】
しかし、本来的には、付近に目印となる建物がない場合であっても、地図をすみやかに理解して、目的地に向かうための方向感を形成できることが望ましい。
【0028】
特許文献2では、方位に関しては、北固定モードと方位測定モードの二つのモードで対処しようとしている。
【0029】
具体的には、請求項2において、「北固定モードでは、北を上方向とする携帯電話の表示上で北を上、南を下、東を右、西を左として方位線を固定し、その固定された方位線に対して、現在地から認識した目的地の方向を示す矢印線を正しい方向に変化させる機能を有し」と記述しているが、目的地の方向を示す矢印線をこのように表示した場合には、北を上方向として表現した場合における目的地の方位がどの方向にあるかを分かりやすく明示するに過ぎない。
【0030】
このような場合において、地図と矢印を重ね合わせて表示することに言及すれば、目的地の方向を地図上で明示することにつながるが、これに関する記述はない。
【0031】
しかし、例え、北モードで使用する矢印を地図と関連づけたとしても、それは、北を上方向とする地図の上で、単に、目的地がどちらの方向にあるかを示しているにすぎない。
【0032】
そして、地図との関連で明瞭に記述しているのは、請求項3において、日本地図上に走行経路を表示する機能のみである。
【0033】
また、請求項2において、「方位測定モードでは、自らの進行方向を携帯電話の表示上の下から上への垂直方向とし、その進行方向に対し、方位線及び目的地の方向を示す矢印線を正しい方向に変化させる機能を有し」と記述しているが、この部分に関しても、地図との関連を示す記述はない。
【0034】
さらに言及すれば、特許文献2では、非特許文献1とは異なり、GPSの最大の特徴である現在地から認識した目的地を示す矢印に従って前に進んでいけば、必ず目的地に到達するという最も特徴的な機能を活用してはいない。
【0035】
次に、五番目の課題について説明する。
【0036】
歩行中の利用者が、地図情報管理システムからダウンロードした全ての部分地図の境界外にでた場合、利用者は新しい地図をダウンロードすることになるが、この場合においても、利用者の安全を考慮すれば、利用者が行う機器操作をできるだけ少なくすることが望ましい。
【0037】
例えば、利用者が、散歩のために遠回りしながら目的地へと向かう場合において、新しい地図をモバイル情報機器に表示するために、頻繁に機器操作をすることは、煩わしいのみならず、歩行中の利用者の安全にも影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0038】
そこで、本発明では、画面サイズが小さなモバイル情報機器を使用する場合において、出発地と目的地を一枚の地図に含む全体地図を作成することで一覧性のある地図を提供し、地図縮尺倍率を指示することで見やすい大きさの部分地図を作成し、かつ、利用者が全体地図と部分地図を交互に切り替えることで、用途に応じた地図利用ができるようにした。
【0039】
以下では、一番目の課題を解決するための手段について説明する。
【0040】
利用者が、地図情報管理システムに蓄積してある地図情報を無線ネットワーク経由でモバイル情報機器にダウンロードし、ダウンロードした地図情報を元に作成した地図を画面に表示する地図表示システムにおいて、
前記地図情報管理システムでは、管理プログラムが、基礎地図情報及び基礎地図管理情報を、事前に、記録装置に蓄積管理する手段と、
前記モバイル情報機器では、地図の利用に際して、前記利用者が、目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報を記録装置に登録した後、登録した全ての情報を前記地図情報管理システムに送信する手段と、
前記地図情報管理システムでは、
前記管理プログラムが、前記モバイル情報機器から受信した目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報を用いて、目的地と出発地を含む全体地図を前記モバイル情報機器の画面上で一枚の地図として表示できる縮尺倍率を算出し、算出した縮尺倍率を使用して基礎地図情報と基礎地図管理情報から全体地図情報と全体地図管理情報を抽出作成し、抽出作成した全体地図情報と全体地図管理情報を前記モバイル情報機器に送信する手段と、
前記管理プログラムが、目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報、全体地図管理情報を選定条件として、蓄積管理している基礎地図情報と基礎地図管理情報の中から対象となる基礎地図情報と基礎地図管理情報を抽出し、抽出した基礎地図情報と基礎地図管理情報から部分地図情報と部分地図管理情報を作成し、作成した部分地図情報と部分地図管理情報を前記モバイル情報機器に送信する手段と、
前記管理プログラムが、全体地図管理情報及び部分地図管理情報から、必要な付加情報を作成し、作成した付加情報を用いて目的地管理情報と出発地管理情報を更新し、更新した目的地管理情報と出発地管理情報を前記モバイル情報機器に送信する手段と、
前記モバイル情報機器では、
表示プログラムが、前記地図情報管理システムから部分地図情報、部分地図管理情報、目的地管理情報、出発地管理情報、全体地図情報、及び全体地図管理情報をダウンロードし、ダウンロードした全ての情報を記録装置に格納する手段と、
前記表示プログラムが、前記利用者の操作に基づいて全体地図を表示する場合には、まず、付近地表示枠を作成し、作成した付近地表示枠をGPSから取得した現在地位置情報を用いて全体地図上に重ね合わせ、次に、利用者の移動に対応して、付近地表示枠の位置を地図上で、順次、移動させながら画面に表示する手段と、
前記表示プログラムが、前記利用者の操作に基づいて部分地図を表示する場合には、まず、付近地表示枠を作成し、作成した付近地表示枠を、GPSから取得した現在地位置情報を用いて部分地図上に重ね合わせ、次に、前記利用者の移動に対応して、付近地表示枠の位置を地図上で、順次、移動させながら画面に表示する手段と、
付近地表示枠が表示している部分地図の境界に達した場合には、前記表示プログラムが、表示している部分地図を次の部分地図へと切り替え、切り替えた部分地図の上に作成した付近地表示枠を重ね合わせ、重ね合わせた部分地図を画面に表示する手段と、
前記利用者が全体地図から部分地図への切り替え操作を行った場合には、前記表示プログラムが、GPSから取得した現在地位置情報を使用して全体地図と部分地図の対応づけを行った後、対象となる部分地図を選定して画面に表示する手段と、
前記利用者が部分地図から全体地図への切り替え操作を行った場合には、前記表示プログラムが、GPSから取得した現在地位置情報を使用して全体地図と部分地図の対応づけを行った後、付近地表示枠を作成して全体地図の上に重ね合わせ、重ね合わせた全体地図を画面に表示する手段を備えていることにより、
前記利用者が、前記地図情報管理システムからダウンロードした部分地図情報、部分地図管理情報、全体地図情報、全体地図管理情報等の地図情報を元に、一覧性のある全体地図と見やすい大きさの部分地図を作成し、作成した全体地図と部分地図を交互に切り替えて表示することで、分かりやすさと見易さを両立させた地図利用ができる。
【0041】
次に、出発地から目的地へと向かう道路が大きく迂回しているために、出発地と目的地を含む全体地図の範囲から途中の道路がはみ出し、利用者が必要とする地図が入手できない場合の対応について説明する。
【0042】
本発明では、途中の道路におけるノードの位置を全体地図管理情報と比較し、全てのノードが全体地図管理情報の範囲内に含まれるまで縮尺倍率を上げていく仕組みを構築した。
【0043】
以下では、二番の課題を解決するための手段について説明する。
【0044】
請求項1記載の地図表示システムにおいて、
前記管理プログラムが、前記モバイル情報機器から受信した目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報を選定条件として、目的地と出発地を含む全体地図を前記モバイル情報機器の画面上で一枚の地図として表示できる縮尺倍率を算出し、算出した縮尺倍率に合致する全体地図情報と全体地図管理情報を作成するに際して、出発地を基点とし、目的地を終点とするルート設定に利用した全てのノードの位置が全体地図の中に含まれていることを確認する手段と、
確認した結果、ルード設定に利用したノードの一部が全体地図の範囲外に位置する場合には、当該ノードを全体地図の範囲内に包含するために全体地図情報の縮尺倍率を算出し直し、算出し直した縮尺倍率に合致する全体地図情報、全体地図管理情報、部分地図情報、部分地図管理情報、目的地管理情報、及び出発地管理を作成し、作成した全ての情報を前記モバイル情報機器に送信する手段を備えていることにより、
出発地から目的地へと向かう道が大きく迂回している場合であっても、前記利用者は、必要とする全体地図と部分地図を前記モバイル情報機器に表示できる。
【0045】
次に、部分地図が、一斉に画面遷移するために生じる不都合を解決する手段について説明する。
【0046】
本発明では、使い勝手を向上するために、部分画面を表示するに際しては、画面の中央部に付近地表示枠を配置し、付近地表示枠の周囲で部分地図をスクロール表示する仕組みを構築した。
【0047】
以下では、三番目の課題を解決するための手段について説明する。
【0048】
請求項1記載の地図表示システムにおいて、
前記モバイル情報機器では、前記表示プログラムが、
前記地図情報管理システムから受信した複数の部分地図情報を連結して、統合地図情報を合成する手段と、
前記地図情報管理システムから受信した複数の部分地図管理情報を連結して、統合地図管理情報を合成する手段と、
合成した統合地図情報と統合地図管理情報を編集して部分地図を画像抽出するに際しては、GPSから取得した現在地位置情報及び画面サイズ情報を用いて、前記利用者の現在地を中心とする部分地図として画像抽出する手段と、
画像抽出して作成した部分地図を、GPSから取得した現在地位置情報に基づき、前記利用者の移動にあわせて、画面上で、付近地表示枠の周囲で、順次、スクロールさせながら表示する手段と、
全体地図を表示するに際しては、前記利用者が行った部分地図から全体地図への切り替え操作に基づき、まず、付近地表示枠を作成し、次に、作成した付近地表示枠を、GPSから取得した現在地位置情報に基づき、前記利用者の移動に対応して、地図上で、順次、その位置を変えながら表示する手段と、
部分地図を表示するに際しては、前記利用者が行った全体地図から部分地図への切り替え操作に基づき、GPSから取得した現在地位置情報を用いて全体地図と部分地図の対応づけを行った後、対象となる部分地図の特定領域を画像抽出して画面に表示する手段を備えていることにより、
前記利用者が、簡単なモバイル情報機器操作を行うことで、現在地を中心とする部分地図を作成し、前記利用者の移動にあわせて、作成した部分地図をスクロール表示できる。
【0049】
次に、特許文献2に記載された、北モードの矢印と方位測定モードの矢印では解決できなかった、地図と進路を分かりやすく理解できる矢印について説明する。
【0050】
そこで、本発明では、地図をすみやかに理解し、適切な進路制御が行えるようにするため、付近地表示枠の中心を基点として、現在地から認識した目的地の方位を示す矢印と地図上の現在地から目的地を示す矢印を組み合わせて表示する仕組みを構築した。
【0051】
また、現在地から認識した目的地の方位を示す矢印の長さと地図上の現在地から目的地を示す矢印の長さは、それぞれに異なっているので、二つの矢印が重なっても見えやすく工夫してある。
【0052】
以下では、四番目の課題を解決するための手段に関し、請求項4と請求項5を合わせて説明する。
【0053】
利用者が、地図情報管理システムに蓄積してある地図情報を無線ネットワーク経由でモバイル情報機器にダウンロードし、ダウンロードした地図情報を元に作成した地図を画面に表示する地図表示システムにおいて、
前記モバイル情報機器では、
前記表示プログラムが、GPSから取得している現在地の位置情報と北極点の位置情報を使用して、利用者の現在位置から見た北の方位を示す矢印を作成する手段と、
前記表示プログラムが、作成した北の方位を示す矢印を囲む円を作成し、作成した円の真上に北という文字を表記して、画面に表示する手段と、
前記利用者が、一般的な地図では上方向が北を示しているという表示規則を利用して、まず、現在位置から見た北の方位を示す矢印が前記円内で上を指すように、前記モバイル情報機器の位置取りをおおまかに行う手段と、
表示プログラムが、GPSから取得した現在地位置情報及び目的地位置情報を使用して、地図上で目的地の方向を示す矢印と現在地から認識した目的地の方位を示す矢印を作成する手段と、
前記表示プログラムが、全体地図情報、全体地図管理情報、部分地図情報、部分地図管理情報、目的地位置情報、及び現在地位置情報を使用して、地図上で目的地の方向を示す矢印と利用者の現在地から認識した目的地の方位を示す矢印を、地図上で付近地表示枠の中心を基点として表示する手段と、
前記表示プログラムが、付近地表示枠、目的地の方向を示す矢印、及び利用者の現在地から認識した目的地の方位を示す矢印を、GPSから取得した現在地位置情報に基づき、利用者の移動に対応して、地図上で、順次、その位置を変えながら表示する手段と、
前記利用者が、地図上で目的地の方向を示す矢印と利用者の現在地から認識した目的地の方位を示す矢印が正確に重なるように、モバイル情報機器の向きを微調整する手段を備えていることにより、
前記利用者が、地図上で目的地の方向を示す矢印と現在地から認識した目的地の方位を示す矢印が重なっていることを確認することで、地図をすみやかに理解し、適切に進路を制御できる。
【0054】
以下、図5の「モバイル情報機器における地図画面」を使用して、具体的に説明する。
図5の(1)「モバイル情報機器が西を向いている時の地図画面」は、モバイル情報機器が西を向いている場合の事例であり、地図上では、目的地の方向を示す矢印は目的地を指しており、現在地から認識した目的地の方位を示す矢印は東南を示している。
【0055】
この場合において、利用者は、まず、画面の右上にある円内部で北を示している矢印が、おおむね、上を向くように、モバイル情報機器を位置取りする。
【0056】
次に、利用者は、モバイル情報機器の画面上に表示されている、現在地から認識した目的地の方位を表す矢印と、地図上で現在地から目的地の方向示す矢印の二つの矢印が正確に重なるようにモバイル情報機器の向きを微調整する。
【0057】
二つの矢印が正確に重なり合った場合が、図5の(2)「モバイル情報機器が北を向いている時の地図画面」である。
【0058】
この場合、利用者は、二つの矢印が重なった状態を維持しつつ、目的地に向かって進むことで、付近地表示枠のまわりにある地図上の表記と目の前に存在する道路や建物との相関関係をすみやかに理解することができる。
【0059】
詳細に説明すれば、現在地から認識した目的地の方位を示す矢印と地図上の現在地から目的地を示す矢印は、ともに、付近地表示枠を基点として方向を示しているため、この二つの矢印が正確に重なっている限り、利用者は、地図上の道路やビルの表記と目の前に存在する道路やビルの対応関係をすみやかに理解できる。
【0060】
さらに具体的に説明すれば、地図上で付近地表示枠の右に位置するビルは利用者の右に見え、地図上で付近地表示枠の左に位置する道路は利用者の左に見え、利用者の現在位置から認識した目的地の方位は地図上における目的地の方向と一致する。
【0061】
次に、五番目の課題について、説明する。
【0062】
歩行中の利用者が、例えば、散歩のために遠回りして目的地へと向かう場合において、地図情報管理システムからダウンロードした全ての部分地図の境界外にでた時には、利用者は新しい地図をダウンロードするためにモバイル情報機器を操作する必要があるが、この操作は利用者にとってわずらわしい。
【0063】
そこで、本発明では、利用者の機器操作を少なくするために、モバイル情報機器において、受信済みの地図情報と現在地位置情報を変換した座標を常時比較し、表示プログラムが、受信済みの地図情報だけでは次に表示する地図が作成できないことを検知した場合には、現在地位置情報と目的地管理情報を地図情報管理システムに送信し、必要となる全体地図や部分地図などを新たにダウンロードする仕組みを構築した。
【0064】
以下では、五番目の課題を解決するための手段について説明する。
【0065】
請求項1記載の地図表示システムにおいて、
前記モバイル情報機器では、
前記表示プログラムが、GPSから取得した現在地位置情報を変換した座標と記録装置に格納してある受信している全ての部分地図管理情報を常時比較し、位置監視対象である前記モバイル情報機器が受信している全ての部分地図の境界外に出た場合には、すみやかに検知する手段と、
前記表示プログラムが、前記モバイル情報機器が受信している全ての部分地図の境界外に出たことを検知した場合には、当初設定した目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報のうち、出発地管理情報の出発地位置情報を現在地位置情報で置き換え、置き換えた出発地管理情報、目的地管理情報、画面表示基礎情報を前記地図情報管理システムに送信する手段と、
前記表示プログラムが、前記地図情報管理システムから部分地図情報、部分地図管理情報、全体地図情報、全体地図管理情報、目的地管理情報、及び出発地管理情報を受信し、受信した全ての情報を記録装置に格納した後、地図情報管理システムから受信した情報及び現在地位置情報を使用して、全体地図と部分地図を作成し、作成した地図を画面に表示する手段を備えていることにより、
前記モバイル情報機器を所持している前記利用者が、受信している全ての部分地図の境界外に出た場合でも、特別な機器操作を行う必要はなく、表示プログラムによって次の地図情報の受信と画面表示がなされる。
【発明の効果】
【0066】
本発明によらば、画面サイズが小さなモバイル情報機器に見やすい大きさの部分地図を表示し、利用者が、目的地の方位を正確に認識した上で、地図上の表記と実在する周辺の道路や建物との対応関係をすみやかに理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下、本発明の一実施形態である地図表示システムについて、図面に基づいて説明する。
【0068】
図1は本発明の一実施形態における地図表示システムを示した構成図である。
【0069】
図において、地図表示システムは地図情報管理システム100とモバイル情報機器300から構成され、地図情報管理システム100とモバイル情報機器300は無線ネットワーク200により接続されている。
【0070】
まず、地図情報管理システム100について説明する。
【0071】
地図情報管理システム100は、記録装置101とサーバ108から構成されている。
【0072】
また、記録装置101には、基礎地図情報102、全体地図情報103、部分地図情報104、基礎地図管理情報105、全体地図管理情報106、部分地図管理情報107、目的地管理情報305、出発地管理情報306、画面表示基礎情報307が格納されるようになっている。
【0073】
また、サーバ108では、管理プログラム109が動作するようになっている。
【0074】
また、モバイル情報機器300は、プロセッサ301、画面303、記録装置304から構成されている。
【0075】
また、プロセッサ301では、表示プログラム302が動作する。
【0076】
また、記録装置304には全体地図情報103、部分地図情報104、全体地図管理情報106、部分地図管理情報107、目的地管理情報305、出発地管理情報306、画面表示基礎情報307、統合地図情報308、統合地図管理情報309が格納されるようになっている。
【0077】
また、図2は地図表示システムで使用されるデータの設定項目の一例を示した図である。
【0078】
図において、基礎地図情報 102は記録装置101に格納されている地図画像であり、基礎地図管理情報 105は記録装置101に格納されている地図管理情報である。
【0079】
また、全体地図情報 103は出発地と目的地を含む地図画像であり、その画像フォーマットは、地図データを表現するために採用したデータ形式の規格に準拠する。
【0080】
また、ファィル名の一桁目には'Z'を、ファイル名の二桁目以降には、利用者番号、全体地図管理番号、部分地図管理番号(但し、設定内容はスペース)をセットして使用する。
【0081】
また、図において、部分地図情報 104はモバイル情報機器300の小さな画面303でも見やすい大きさの分割した一連の部分地図画像であり、その画像フォーマットは、地図データを表現するために採用したデータ形式の規格に準拠する。
【0082】
また、ファィル名の一桁目には'B'を、ファイル名の二桁目以降には利用者番号、全体地図管理番号及び部分地図管理番号をセットして使用する。
【0083】
また、図において、基礎地図管理情報105は対応する基礎地図情報102を管理するためのデータであり、全体地図管理番号、部分地図管理番号、座標系フラグ、座標系番号、図郭左下角(X座標、Y座標)、図郭右上角(X座標、Y座標)、図郭左上角(X座標、Y座標)、図郭右下角(X座標、Y座標)、作成年月日が項目として設定されている。
【0084】
また、ファィル名の一桁目には'C'を、ファイル名の二桁目以降には、全体地図管理番号及び部分地図管理番号をセットして使用する。
【0085】
また、図3は地図表示システムで使用されるデータの設定項目の一例を示した図である。
【0086】
図において、全体地図管理情報106は、対応する全体地図情報103を管理するためのデータであり、利用者番号、全体地図管理番号、縮尺倍率、部分地図管理番号(但し、内容はスペース)、座標系フラグ、座標系番号、図郭左下角(X座標、Y座標)、図郭右上角(X座標、Y座標)、図郭左上角(X座標、Y座標)、図郭右下角(X座標、Y座標)、作成年月日が項目として設定されている。
【0087】
また、図において、部分地図管理情報107は、対応する部分地図情報104を管理するためのデータであり、利用者番号、全体地図管理番号、部分地図管理番号、座標系フラグ、座標系番号、図郭左下角(X座標、Y座標)、図郭右上角(X座標、Y座標)、図郭左上角(X座標、Y座標)、図郭右下角(X座標、Y座標)、作成年月日が項目として設定されている。
【0088】
また、図において、目的地管理情報305は、目的地に関するデータであり、利用者番号、目的地位置情報(緯度、経度)、全体地図管理番号、部分地図管理番号、座標系フラグ、座標系番号、目標地座標(X座標、Y座標)、作成年月日が項目として設定されている。
【0089】
また、図4は地図表示システムで使用されるデータの設定項目の一例を示した図である。
【0090】
図において、出発地管理情報306は、出発地に関するデータであり、利用者番号、出発地位置情報(緯度、経度)、全体地図管理番号、部分地図管理番号、座標系フラグ、座標系番号、出発地座標(X座標、Y座標)、作成年月日が項目として設定されている。
【0091】
また、図において、画面表示基礎情報307は、モバイル情報機器300の画面表示に関する基礎情報であり、利用者番号、地図縮尺倍率、画面サイズ、作成年月日が項目として設定されている。
【0092】
また、図において、統合地図情報308は、受信した複数の部分地図情報104を一つの画像として連結したものであり、ファィル名の一桁目には'T'を、ファイル名の二桁目以降には、利用者番号、全体地図管理番号をセットして使用し、部分地図管理番号にはスペースが格納されている。
【0093】
また、図において、統合地図管理情報309は、受信した複数の部分地図管理情報105を情報連結したものであり、ファィル名の一桁目には'U'を、ファイル名の二桁目以降には、利用者番号、全体地図管理番号をセットして使用し、部分地図管理番号にはスペースが格納されている。
【0094】
また、図5はモバイル情報機器300の画面303に表示される画面様式であり、上段には四角と真上に北という文字を表記した円形の枠が設定されており、下段には地図を表示する枠が設定されている。
【0095】
図において、上段の四角の枠内には目的地までの距離が表示されている。
【0096】
また、上段の円形の枠内にはGPS位置情報を元に作成された常に北を示す矢印が表示されており、この矢印が上を指し示した時、モバイル情報機器は北に向いている。
【0097】
図5の(1)は、「モバイル情報機器が西を向いている時の地図画面」であり、利用者は出発地である山手通りにおり、利用者の現在位置である付近地表示枠の中心から伸びている短い矢印は「地図上で目的地の方向を示す矢印」であり、長い矢印は「現在地から見た目的地の方位を示す矢印」である。
【0098】
「モバイル情報機器が西を向いている時の地図画面」において、上段の円の中では、矢印が示している北は右方向にあり、そのことから、モバイル情報機器が西の方向に向いていることが分かり、「現在から見た目的地の方位を示す矢印」である長い矢印は左下となっている東南を示し、「地図上で目的地の方向を示す矢印」である短い矢印は右下を示している。
【0099】
この場合において、上段の円の中にある矢印がおおむね上を指すように、利用者がモバイル情報機器の向きを変えることで、図5の(2)「モバイル情報機器が北を向いている時の地図画面」が表示される。
【0100】
「モバイル情報機器が北を向いている時の地図画面」で、利用者の現在位置である付近地表示枠の中心から伸びている「現在地から見た目的地の方位を示す矢印」と「地図上で目的地の方向を示す矢印」が重なって表示されるように利用者がモバイル情報機器の向きを微調整し、この重なりを維持して進むことで、利用者は周囲にある道路や建物と地図上の表示記号との関係を的確に理解でき、着実に、目的地に向かって進むことができる。
【0101】
図6は、全体地図と部分地図の関係を示す図であり、個々の枠はモバイル情報機器300の画面303に表示する一枚の地図を示している。
【0102】
図において、全体地図は出発地と目的地を一枚の地図に示した地図であり、部分地図は出発地から目的地に至る詳細地図である。
【0103】
また、本地図表示システムでは、管理プログラムが、道路の交差点をノードとする地図を元に出発地から目的地までのルート設定を行った後、当該ルートを包含する一連の部分地図を画像抽出して、作成する。
【0104】
この場合、A2、B2、B3、C3が一連の部分地図となる。
【0105】
また、ノードを持たない詳細地図を利用した場合は、A1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3までの全ての部分地図をダウンロードし、利用者が「現在地から見た目的地の方位を示す矢印」、「地図上で目的地の方向を示す矢印」、及び地図上の道路の関係を総合的に判断しながら目的地に向かって進むことになる。
【0106】
以下では、まず、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項6に関連して、本発明の一実施形態である地図表示システムにおける処理手順を説明し、次に、説明した処理手順をベースに請求項3に関連する処理手順を部分的に取り上げて説明する。
【0107】
図7及び図8は地図表示プログラムフローチャートである。
【0108】
図において、利用者はモバイル情報機器300を操作し、目的地管理情報305には利用者番号と目的地位置情報を、出発地管理情報306には利用者番号と出発地位置情報を、画面表示基礎情報307には利用者番号、地図縮尺倍率、画面サイズをそれぞれセットし、セットした全ての情報をモバイル情報機器300の記録装置304に登録する(S100)。
【0109】
利用者の登録処理が終了した後、表示プログラム302は、無線ネットワーク200経由で、モバイル情報機器300の記録装置304に登録された、目的地管理情報305、出発地管理情報306、画面表示基礎情報307を地図情報管理システム100に送信する(S101)。
【0110】
次に、地図情報管理システム100では、管理プログラム109が、目的地管理情報305の目的地位置情報を変換した座標、出発地管理情報306の出発地位置情報を変換した座標、及び画面表示基礎情報307の画面サイズを元に全体地図管理情報106の縮尺倍率を算出し、算出した縮尺倍率を使用して、基礎地図情報102及び基礎情報管理情報105から、全体地図情報103と全体地図管理情報106を抽出作成する (S102)。
【0111】
次に、出発地から目的地へと向かうルートを算出するために使用した全てのノードの位置情報が全体地図管理情報106の範囲内に含まれているかを確認(S103)し、含まれていない場合には、全てのノードの位置情報が全体地図管理情報106の範囲内に含まれるようになるまで、全体地図管理情報106の縮尺倍率に1.1乗じて新たな縮尺倍率を算出し直し(S104)、算出し直した縮尺倍率を用いて、基礎地図情報102及び基礎情報管理情報105から、全体地図情報103と全体地図管理情報106を抽出作成する処理(S102)を繰り返す。
【0112】
出発地から目的地へと向かうルートを算出するために使用した全てのノードの位置情報が全体地図管理情報の範囲内に含まれていることを確認した場合(S103)には、算出した縮尺倍率を全体地図管理情報106の縮尺倍率にセットした後、全体地図情報103と全体地図管理情報106をモバイル情報機器300に送信する(S105)。
【0113】
次に、地図情報管理システム100では、管理プログラム109が、画面表示基礎情報307の画面サイズと全体地図管理情報106の縮尺倍率を選定条件として、基礎地図情報102及び基礎地図管理情報105の中から、部分地図情報104と部分地図管理情報107を抽出作成し、抽出作成した部分地図情報104と部分地図管理情報107をモバイル情報機器300に送信する(S106)。
【0114】
次に、地図情報管理システム100では、管理プログラム109が、目的地管理情報305の目的地位置情報を変換した座標、画面表示基礎情報307の画面サイズ、及び全体地図管理情報106の縮尺倍率を用いて、基礎地図情報102及び基礎地図管理情報105から対象データを抽出し、目的地管理情報305の全体地図番号、部分地図管理番号、座標系フラグ、座標系番号、目的地座標の各項目を設定し、項目設定して更新した目的地管理情報305をモバイル情報機器300に送信する(S107)。
【0115】
次に、地図情報管理システム100では、管理プログラム109が、出発地管理情報306の出発地位置情報を変換した座標、画面表示基礎情報307の画面サイズ、全体地図管理情報106の縮尺倍率を用いて、基礎地図情報102及び基礎地図管理情報105から対象データを抽出し、出発地管理情報305の全体地図番号、部分地図管理番号、座標系フラグ、座標系番号、出発地座標の各項目を設定し、項目設定して更新した出発地管理情報306をモバイル情報機器300に送信する (S108)。
【0116】
次に、モバイル情報機器300では、表示プログラム302が、地図情報管理システムから全体地図情報103、部分地図情報104、全体地図管理情報106、部分地図管理情報107、目的地管理情報305、出発地管理情報306を受信し、受信した全ての情報を記録装置304に格納する(S109)。
【0117】
次に、初期値として、1(全体地図')を切り替えスイッチに格納し、S112から処理を続行する(S110)。
【0118】
次に、表示プログラム302が、利用者の入力する指示(全体地図'の時には1、部分地図'の時には2、終了'の時には9)を受領し、受領した指示内容を示す数字を切り替えスイッチに格納する(S111)。
【0119】
なお、切り替えスウィッチとは、プログラムの処理の流れを制御するためのスウィッチであり、利用者がモバイル情報機器に入力した指示内容が数字でセットされている。
【0120】
次に、表示プログラム302は、切り替えスイッチに格納されている数字が9(終了')となるまでS112以降の一連の処理を実行し、切り替えスイッチに格納されている数字が9(終了')となった時、処理を終了する(S112)。
【0121】
次に、現在地位置情報を変換して作成した座標が全ての部分地図管理情報107の境界を越えた場合には(S113)、表示プログラム302が、記録装置304に格納してある目的地管理情報305、出発地管理情報306、画面表示基礎情報307のうち、出発地管理情報306の出発地位置情報を現在地位置情報で更新し、更新した出発地管理情報306、目的地管理情報305、画面表示基礎情報307を記録装置304に登録した後、S101以降の処理を続行し(S114)、現在地位置情報を変換して作成した座標が全ての受信済み部分地図104の境界を越えていない場合にはS115から処理を続行する(S113)。
【0122】
次に、切り替えスイッチに格納されている数字が1(全体地図')となっている場合には(S115)、まず、付記地表示枠を作成し、作成した付近地表示枠を全体地図情報103上に重ね合わせて表示するために、現在地位置情報を変換して作成した座標と全体地図管理情報106の図郭の四隅座標を用いて表示位置を計算し、次に、計算した表示位置を用いて付近地表示枠を全体地図情報103上に重ね合わせ、重ね合わせた全体地図情報103を画面303に表示した後、S111からの処理を続行し(S116)、切り替えスイッチに格納されている数字が1('全体地図')でない場合には、S117からの処理を続行する(S115)。
【0123】
次に、切り替えスイッチに格納されている数字が2(部分地図')となっている場合には(S117)、まず、付記地表示枠を作成し、作成した付近地表示枠を部分地図情報104上に重ね合わせて表示するために、現在地位置情報を変換して作成した座標と部分地図管理情報107の図郭の四隅座標を用いて表示位置を計算し、次に、計算した表示位置を用いて付記地表示枠を部分地図情報104上に重ね合わせ、重ね合わせた部分地図情報104を画面303に表示した後、S111からの処理を続行し (S118)、切り替えスイッチに格納されている内容が2('部分地図')でない場合には、S111からの処理を続行する(S117)。
【0124】
以下では、前述の地図表示システムにおける処理手順をベースとし、請求項3に関連して変更が加わる処理手順であるS109及びS118を、部分的に抽出して、説明する。
【0125】
まず、処理手順S109について説明する。
【0126】
モバイル情報機器300では、表示プログラム302が、地図情報管理システム100から全体地図情報103、部分地図情報104、全体地図管理情報106、部分地図管理情報107を受信し、受信した複数の部分地図情報104を画像連結して一枚の統合地図情報308を合成し、複数の部分地図管理情報105を連結して統合地図管理情報309を合成した後、地図情報管理システムから受信した全ての情報、合成した統合地図情報308、及び合成した統合地図管理情報309を記録装置304に格納する(S109)。
【0127】
次に、処理手順S118について説明する。
【0128】
切り替えスイッチに格納されている数字が2(部分地図')となっている場合(S117)、まず、 現在地におけるGPS位置情報を変換して現在地点座標を算出し、算出した現在地点座標と画面サイズを用いて統合地図情報308から部分地図104を画像抽出し、次に、現在地点座標を使用して付近地表示枠を画像抽出した部分地図104上に重ね合わせ、重ね合わせた部分地図104を画面303にスクロール表示した後、S111からの処理を続行し(S118)、切り替えスイッチに格納されている内容が2(部分地図')でない場合はS111からの処理を続行する(S117)。
【0129】
以上で、「発明を実施するための最良の形態」に関する説明を終了し、以下では、本発明の一実施形態における特徴を補足説明する。
【0130】
(1) 一覧性のある全体地図と見やすい大きさの部分地図の表示
【0131】
本発明の一実施形態では、モバイル情報機器の小さな画面サイズに、出発地と目的地を一枚の地図に表示した一覧性のある全体地図と見やすい大きさに分割した部分地図を表示している。
【0132】
また、全体地図上及び部分地図上で、利用者の現在位置を示す付近地表示枠を表示することにより、利用者が、今、どこを歩いているのかが簡単に分かるようになっている。
【0133】
また、現在地位置情報を座標系に変換した現在地点座標を利用して、全体地図と部分地図の対応づけを行うことにより、表示している画面を、全体地図から部分地図へ、あるいは部分地図から全体地図へと、簡単なキー操作で切り替えることができる。
【0134】
このため、部分地図から全体地図に戻って、全体行程のおける進み具合も簡単に確認できる。
【0135】
また、付近地表示枠の中心から、地図上で目的地の方向を示す矢印が目的地に向かって伸びているため、利用者は地図を一覧するだけで、現在の所在地と進むべき方向をすみやかに理解できる。
【0136】
(2) 目的地を示す二つの矢印を重ねて方向感をすみやかに取得
【0137】
本発明の一実施形態では、モバイル情報機器の画面上に、現在地から見た目的地の方位を表す矢印と地図上で現在地から目的地の方向示す矢印を重ね合わせて表示しているため、利用者は、現在立っている場所から見た目的地の方向と地図上における目的地の方向を、すみやかに理解することができる。
【0138】
また、最初の出発地点において的確な方向感を取得できるだけでなく、歩き始めた後においても、現在地から見た目的地の方位を表す矢印と地図上で現在地から目的地を表す矢印が重なり合っていることを確認しながら進んでいる限り、地図を的確に理解しながら、目的地に向かうことが可能となる。
【0139】
なお、本発明の一実施形態によらば、例えば、周囲に目印となる建物がない地下鉄出口から地上に出た場合であっても、地図を頭の中で方向調整しながら理解する必要はなく、目的地の方位と地図上の表記の関係を見たままで理解することができる。
【0140】
(3) 簡単な機器操作
【0141】
本発明の一実施形態では、歩行中の利用者の安全性に配慮し、簡単な機器操作で利用できるようにしてある。
【0142】
例えば、利用者がモバイル情報機器の画面に表示されている部分地図の境界を越えた場合には、表示プログラムが次の部分地図への画面遷移処理を行うため、利用者が特別な機器操作を行う必要はない。
【0143】
また、付近地表示枠を常に画面の中心に設置する表示形式を使用して部分地図を表示している場合には、付近地表示枠の周囲で部分地図が自動的にスクロールするため、利用者が機器操作する必要はない。
【0144】
また、利用者が、既にダウンロードしてある全ての部分地図の境界を越えて場合には、登録してある目的地とGPSから取得した現在地の位置情報などを、モバイル情報機器から地図情報管理システムに送信し、地図情報管理システムから地図を含む全体地図と複数の部分地図を再ダウンロードする仕組みとなっている。
【0145】
このため、利用者が、散歩のために遠回りしながら目的地に向かって進む場合であっても、特別な機器操作を行う必要はない。
【0146】
(4) 本発明の一実施形態が提供する機能は、ノード設定されてない詳細地図でも利用可能
【0147】
カーナビゲーションシステムで表示するルートは、地図情報上のノードをつないで設定しており、そのためノードは自動車の通る道を前提に設定されている。
【0148】
一方、本発明の一実施形態が提供する矢印表示機能は、ルートを算出するためのノードを設定していない小道や山道においても使用することができ、利用者が、全体地図と部分地図を事前にダウンロードしておけば、地図情報管理システムと通信できない山中でも適切な道を選定することができる。
【0149】
すなわち、地図上に道が記載されている限り、利用者は、山中においても、GPSを利用して、本地図表示システムを利用できる。
【0150】
以下では、本発明で使用している用語について、補足説明する。
【0151】
地図情報管理システムにおける管理プログラムとは、基礎地図情報及び基礎情報管理情報を管理し、モバイル情報機器からの要求に基づいて、部分地図情報、部分地図管理情報、全体地図情報、全体地図管理情報等を作成して、モバイル情報機器に送信するプログラムである。
【0152】
また、本発明におけるモバイル情報機器とは、無線通信能力を有し、無線ネットワークを経由して他の情報機器とデータ交換できる携帯型の情報機器であり、例えば、携帯電話、パーソナル・デジタル・アシスタンス、モバイルパソコンなどをさすが、これに限定されるものではない。
【0153】
また、GPSはGlobal Positioning Systemを省略したものである。
【0154】
また、GPSとは、アメリカ合衆国によって開発された汎地球測位システムであり、航空機・船舶等は、4個以上のGPS衛星からの距離を同時に知ることで、自分の位置を決定することができるシステムである。
【0155】
また、位置情報とは、GPSが使用している緯度、経度、標高、測地系及び座標系などから構成されている情報であり、地球上において、対象が存在する場所を特定するための情報である。
【0156】
また、座標系情報とは、座標系フラグ、座標系番号、X 座標、Y座標などから構成されている情報であり、地球上において、対象が存在する場所を特定するための情報である。
【0157】
また、参照キーとはテーブルなどの形で登録された位置情報を探し出すため鍵となる項目情報である。
【0158】
また、地図情報とは、全体地図情報、部分地図情報などの地図画像情報、全体地図管理情報、部分地図管理情報などの地図管理情報から構成される情報である。
【0159】
また、地図は、人間の目で判別できる地図画像を含む。
【0160】
また、全体地図とは、目的地と出発地を含む一枚の地図であり、モバイル情報機器の画面サイズを考慮し、一画面に収まるように編集した地図である。
【0161】
また、部分地図とはモバイル情報機器の一画面に収まる大きさに分割した地図である。
【0162】
また、全体地図情報とは、全体地図画像を作成するための情報であり、地図情報管理システムに格納してある基礎地図情報を加工して作成する。
【0163】
また、部分地図情報とは、部分地図画像を作成するための情報であり、地図情報管理システムに格納してある基礎地図情報を加工して作成する。
【0164】
また、全体地図管理情報とは、全体地図が表示している座標を管理するための情報であり、座標系フラグ、座標系番号、図郭左下角(X座標とY座標)、図郭右上角(X座標とY座標)、図郭左上角(X座標とY座標)、図郭右下角(X座標とY座標)等から構成されている。
【0165】
また、部分地図管理情報とは、部分地図が表示している座標を管理するための情報であり、座標系フラグ、座標系番号、図郭左下角(X座標とY座標)、図郭右上角(X座標とY座標)、図郭左上角(X座標とY座標)、図郭右下角(X座標とY座標)等から構成されている。
【0166】
また、画面表示基礎情報とは、利用者番号、地図縮尺倍率、画面サイズ等、地図を検索して画面表示するために必要となる情報である。
【0167】
また、統合地図情報とは、モバイル情報機器で動作する表示プログラムが、地図情報管理システムから受信した複数の部分地図情報を一枚に画像連結した地図情報である。
【0168】
また、統合地図管理情報とは、モバイル情報機器で動作する表示プログラムが、地図情報管理システムから受信した複数の部分地図管理情報を結合した地図管理情報である。
【0169】
また、地図縮尺倍率とは、地図情報管理システムに登録されている地図情報の中から抽出して、モバイル情報機器にダウンロードする地図情報の縮尺倍率である。
【0170】
また、付近地表示枠とは、地図上で、利用者の現在の所在地を中心とする一定の地域を示すための枠である。
【0171】
また、現在地から見た方角とは、例えば、利用者の現在位置を基準点とする東西南北等の方向である。
【0172】
また、方位とは、ある地点から別の地点を示す方向である。
【0173】
また、方向とは、ある座標から別の座標を示す相対的な向き、利用者の現在位置から見た方位、あるいは地図上においてある地点から認識した別の地点を示す向きをいう。
【0174】
また、現在位置から見て目的地を示す矢印とは、本来的には三次元のGPS位置情報を、例えば二次元の平面上で切り取って、目的地の方向を示した矢印である。
【0175】
また、地図上の目的地を示す矢印とは、地図上における現在地において、目的地の方向を示した矢印である。
【0176】
また、ダウンロードとは、モバイル情報機器において、地図情報管理システムから地図情報を受信する処理を言う。
【0177】
また、座標系フラグとは、平面直角座標系(日本測地系)なら1、平面直角座標系(世界測地系における全座標変換)なら2、平面直角座標系(世界測地系における代表点変換)なら3等のように、各座標系に割り当てた分類フラグである。
【0178】
また、日本国内での座標系番号は、平成14年国土交通省告示第九号に従う。
【0179】
また、出発地管理情報における出発地位置情報の代わりに、住所、マップコード、駅名、電話番号など、出発地位置情報を検索するための参照キーを入力し、地図情報管理システムにおいてGPS位置情報への変換処理を行ってもよい。
【0180】
また、目的地管理情報における目的地位置情報の代わりに、住所、マップコード、駅名、電話番号など、目的地位置情報を検索するための参照キーを入力し、地図情報管理システムにおいてGPS位置情報への変換処理を行ってもよい。
【0181】
また、マップコードとは、日本国内の位置を6〜10桁の数字で指定したコードであり、あらかじめ地図や住所テーブル等に登録されたコードを検索して利用する。
【0182】
また、記録装置とは、データ保持機能を有する装置であればよく、例えば、磁気ディスク、半導体メモリーなどを含む。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明は、地図情報管理システムから地図情報をダウンロードして使用するモバイル情報機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】本発明の一実施形態における地図表示システムを示した構成図である。
【図2】(1)〜(4)は本発明の一実施の形態における地図表示システムの記録装置に格納されるデータの設定項目の一例を示した図である。
【図3】(1)〜(3)は本発明の一実施の形態における地図表示システムの記録装置に格納されるデータの設定項目の一例を示した図である。
【図4】(1)〜(4)は本発明の一実施の形態における地図表示システムの記録装置に格納されるデータの設定項目の一例を示した図である。
【図5】本発明の一実施の形態における地図表示システムにおいて、モバイル情報機器に表示される地図画面の一例を示した図である。
【図6】本発明の一実施の形態における地図表示システムにおいて、モバイル情報機器に表示される全体地図と部分地図の関係を示した図である。
【図7】本発明の一実施の形態における地図表示プログラムの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態における地図表示プログラムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0185】
100:地図情報管理システム、101:記録装置、102:基礎地図情報、103:全体地図情報、104:部分地図情報、105:基礎地図管理情報、106:全体地図管理情報、107: 部分地図管理情報、108:サーバ、109:管理プログラム、200:無線ネットワーク、300:モバイル情報機器、301:プロセッサ、302:表示プログラム、303:画面、304:記録装置、305:目的地管理情報、306:出発地管理情報、307:画面表示基礎情報、308:統合地図情報、309:統合地図管理情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が、地図情報管理システムに蓄積してある地図情報を無線ネットワーク経由でモバイル情報機器にダウンロードし、ダウンロードした地図情報を元に作成した地図を画面に表示する地図表示システムにおいて、
前記地図情報管理システムでは、管理プログラムが、基礎地図情報及び基礎地図管理情報を、事前に、記録装置に蓄積管理する手段と、
前記モバイル情報機器では、地図の利用に際して、前記利用者が、目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報を記録装置に登録した後、登録した全ての情報を前記地図情報管理システムに送信する手段と、
前記地図情報管理システムでは、
前記管理プログラムが、前記モバイル情報機器から受信した目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報を用いて、目的地と出発地を含む全体地図を前記モバイル情報機器の画面上で一枚の地図として表示できる縮尺倍率を算出し、算出した縮尺倍率を使用して基礎地図情報と基礎地図管理情報から全体地図情報と全体地図管理情報を抽出作成し、抽出作成した全体地図情報と全体地図管理情報を前記モバイル情報機器に送信する手段と、
前記管理プログラムが、目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報、全体地図管理情報を選定条件として、蓄積管理している基礎地図情報と基礎地図管理情報の中から対象となる基礎地図情報と基礎地図管理情報を抽出し、抽出した基礎地図情報と基礎地図管理情報から部分地図情報と部分地図管理情報を作成し、作成した部分地図情報と部分地図管理情報を前記モバイル情報機器に送信する手段と、
前記管理プログラムが、全体地図管理情報及び部分地図管理情報から、必要な付加情報を作成し、作成した付加情報を用いて目的地管理情報と出発地管理情報を更新し、更新した目的地管理情報と出発地管理情報を前記モバイル情報機器に送信する手段と、
前記モバイル情報機器では、
表示プログラムが、前記地図情報管理システムから部分地図情報、部分地図管理情報、目的地管理情報、出発地管理情報、全体地図情報、及び全体地図管理情報をダウンロードし、ダウンロードした全ての情報を記録装置に格納する手段と、
前記表示プログラムが、前記利用者の操作に基づいて全体地図を表示する場合には、まず、付近地表示枠を作成し、作成した付近地表示枠をGPSから取得した現在地位置情報を用いて全体地図上に重ね合わせ、次に、利用者の移動に対応して、付近地表示枠の位置を地図上で、順次、移動させながら画面に表示する手段と、
前記表示プログラムが、前記利用者の操作に基づいて部分地図を表示する場合には、まず、付近地表示枠を作成し、作成した付近地表示枠を、GPSから取得した現在地位置情報を用いて部分地図上に重ね合わせ、次に、前記利用者の移動に対応して、付近地表示枠の位置を地図上で、順次、移動させながら画面に表示する手段と、
付近地表示枠が表示している部分地図の境界に達した場合には、前記表示プログラムが、表示している部分地図を次の部分地図へと切り替え、切り替えた部分地図の上に作成した付近地表示枠を重ね合わせ、重ね合わせた部分地図を画面に表示する手段と、
前記利用者が全体地図から部分地図への切り替え操作を行った場合には、前記表示プログラムが、GPSから取得した現在地位置情報を使用して全体地図と部分地図の対応づけを行った後、対象となる部分地図を選定して画面に表示する手段と、
前記利用者が部分地図から全体地図への切り替え操作を行った場合には、前記表示プログラムが、GPSから取得した現在地位置情報を使用して全体地図と部分地図の対応づけを行った後、付近地表示枠を作成して全体地図の上に重ね合わせ、重ね合わせた全体地図を画面に表示する手段を備えていることにより、
前記利用者が、前記地図情報管理システムからダウンロードした部分地図情報、部分地図管理情報、全体地図情報、全体地図管理情報等の地図情報を元に、一覧性のある全体地図と見やすい大きさの部分地図を作成し、作成した全体地図と部分地図を交互に切り替えて表示することで、分かりやすさと見易さを両立させた地図利用ができることを特徴とする地図表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の地図表示システムにおいて、
前記管理プログラムが、前記モバイル情報機器から受信した目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報を選定条件として、目的地と出発地を含む全体地図を前記モバイル情報機器の画面上で一枚の地図として表示できる縮尺倍率を算出し、算出した縮尺倍率に合致する全体地図情報と全体地図管理情報を作成するに際して、出発地を基点とし、目的地を終点とするルート設定に利用した全てのノードの位置が全体地図の中に含まれていることを確認する手段と、
確認した結果、ルード設定に利用したノードの一部が全体地図の範囲外に位置する場合には、当該ノードを全体地図の範囲内に包含するために全体地図情報の縮尺倍率を算出し直し、算出し直した縮尺倍率に合致する全体地図情報、全体地図管理情報、部分地図情報、部分地図管理情報、目的地管理情報、及び出発地管理を作成し、作成した全ての情報を 前記モバイル情報機器に送信する手段を備えていることにより、
出発地から目的地へと向かう道が大きく迂回している場合であっても、前記利用者が、必要とする全体地図と部分地図を前記モバイル情報機器に表示できることを特徴とする地図表示システム。
【請求項3】
請求項1記載の地図表示システムにおいて、
前記モバイル情報機器では、前記表示プログラムが、
前記地図情報管理システムから受信した複数の部分地図情報を連結して、統合地図情報を合成する手段と、
前記地図情報管理システムから受信した複数の部分地図管理情報を連結して、統合地図管理情報を合成する手段と、
合成した統合地図情報と統合地図管理情報を編集して部分地図を画像抽出するに際しては、GPSから取得した現在地位置情報及び画面サイズ情報を用いて、前記利用者の現在地を中心とする部分地図として画像抽出する手段と、
画像抽出して作成した部分地図を、GPSから取得した現在地位置情報に基づき、前記利用者の移動にあわせて、画面上で、付近地表示枠の周囲で、順次、スクロールさせながら表示する手段と、
全体地図を表示するに際しては、前記利用者が行った部分地図から全体地図への切り替え操作に基づき、まず、付近地表示枠を作成し、次に、作成した付近地表示枠を、GPSから取得した現在地位置情報に基づき、前記利用者の移動に対応して、地図上で、順次、その位置を変えながら表示する手段と、
部分地図を表示するに際しては、前記利用者が行った全体地図から部分地図への切り替え操作に基づき、GPSから取得した現在地位置情報を用いて全体地図と部分地図の対応づけを行った後、対象となる部分地図の特定領域を画像抽出して画面に表示する手段を備えていることにより、
前記利用者が、簡単なモバイル情報機器操作を行うことで、現在地を中心とする部分地図を作成し、前記利用者の移動にあわせて、作成した部分地図をスクロール表示できることを特徴とする地図表示システム。
【請求項4】
利用者が、地図情報管理システムに蓄積してある地図情報を無線ネットワーク経由でモバイル情報機器にダウンロードし、ダウンロードした地図情報を元に作成した地図を画面に表示する地図表示システムにおいて、
前記モバイル情報機器では、
表示プログラムが、GPSから取得した現在地位置情報及び目的地位置情報を使用して、地図上で目的地の方向を示す矢印と現在地から認識した目的地の方位を示す矢印を作成する手段と、
前記表示プログラムが、全体地図情報、全体地図管理情報、部分地図情報、部分地図管理情報、目的地位置情報、及び現在地位置情報を使用して、地図上で目的地の方向を示す矢印と利用者の現在地から認識した目的地の方位を示す矢印を、地図上で付近地表示枠の中心を基点として表示する手段と、
前記表示プログラムが、付近地表示枠、目的地の方向を示す矢印、及び利用者の現在地から認識した目的地の方位を示す矢印を、GPSから取得した現在地位置情報に基づき、利用者の移動に対応して、地図上で、順次、その位置を変えながら表示する手段と、
前記利用者が、地図上で目的地の方向を示す矢印と利用者の現在地から認識した目的地の方位を示す矢印が正確に重なるように、モバイル情報機器の向きを調整する手段を備えていることにより、
前記利用者が、地図上で目的地の方向を示す矢印と現在地から認識した目的地の方位を示す矢印が重なっていることを確認することで、地図と周囲の建物や道路との配置関係をすみやかに理解し、適切に進路制御できることを特徴とする地図表示システム。
【請求項5】
請求項4記載の地図表示システムにおいて、
前記モバイル情報機器では、
前記表示プログラムが、GPSから取得している現在地の位置情報と北極点の位置情報を使用して、利用者の現在位置から見た北の方位を示す矢印を作成する手段と、
前記表示プログラムが、作成した北の方位を示す矢印を囲む円を作成し、作成した円の真上に北という文字を表記して、画面に表示する手段と、
前記利用者が、一般的な地図では上方向が北を示しているという表示規則を利用して、まず、現在位置から見た北の方位を示す矢印が前記円内で上を指すように、前記モバイル情報機器の位置取りをおおまかに行う手段と、
前記利用者が、次に、付近地表示枠の中心を起点とする地図上で目的地の方向を示す矢印と利用者の現在位置から見た目的地の方位を示す矢印の二つが、正確に重なり合うように、モバイル情報機器の向きを微調整する手段を備えていることにより、
前記利用者が、地図上で目的地の方向を示す矢印と利用者の現在地から認識した目的地の方位を示す矢印の二つをスムーズに重ね合わせできることを特徴とする地図表示システム。
【請求項6】
請求項1記載の地図表示システムにおいて、
前記モバイル情報機器では、
前記表示プログラムが、GPSから取得した現在地位置情報を変換した座標と記録装置に格納してある受信している全ての部分地図管理情報を常時比較し、位置監視対象である前記モバイル情報機器が受信している全ての部分地図の境界外に出た場合には、すみやかに検知する手段と、
前記表示プログラムが、前記モバイル情報機器が受信している全ての部分地図の境界外に出たことを検知した場合には、当初設定した目的地管理情報、出発地管理情報、画面表示基礎情報のうち、出発地管理情報の出発地位置情報を現在地位置情報で置き換え、置き換えた出発地管理情報、目的地管理情報、画面表示基礎情報を前記地図情報管理システムに送信する手段と、
前記表示プログラムが、前記地図情報管理システムから部分地図情報、部分地図管理情報、全体地図情報、全体地図管理情報、目的地管理情報、及び出発地管理情報を受信し、受信した全ての情報を記録装置に格納した後、地図情報管理システムから受信した情報及び現在地位置情報を使用して、全体地図と部分地図を作成し、作成した地図を画面に表示する手段を備えていることにより、
前記モバイル情報機器を所持している前記利用者が、受信している全ての部分地図の境界外に出た場合でも、特別な機器操作を行う必要はなく、表示プログラムによって次の地図情報の受信と画面表示がなされることを特徴とする地図表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−212803(P2007−212803A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33201(P2006−33201)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(305010849)
【Fターム(参考)】