説明

モバイル通信端末及びモバイル通信システム

【課題】ユーザの利便性を向上させるモバイル通信システム及びモバイル通信端末を提供する。
【解決手段】モバイル通信端末100、200は、通信エリア内に存在する他のモバイル通信端末と直接無線通信を行う近接無線通信部を備えている。モバイル通信端末100は、近接無線通信部によりモバイル通信端末200と通信可能である場合に、モバイル通信端末100の内部状態に応じた制御コマンド603を生成し、近接無線通信部を介してモバイル通信端末200に送信する(ステップS411)。モバイル通信端末200は、近接無線通信部により受信された制御コマンド603に従って動作する(ステップS513)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル通信端末及びモバイル通信システムに係り、さらに詳細には、近距離の端末間で直接通信を行う近接無線通信機能を有するモバイル通信端末及び該モバイル通信端末を備えるモバイル通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触型ICカード機能が搭載された携帯電話が実用化されている。さらに、このような携帯電話と改札機や自動販売機等との間で非接触通信を行うことにより、購入商品の決済を行うことができるシステムが実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近距離通信や非接触通信機能を用いて、携帯電話同士でアドレス帳情報等を交換する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらには、通信距離が3cm程度の近距離で高速通信を行う近接無線転送技術も開発されている(例えば、非特許文献1参照)。この近接無線転送技術を利用すると、大容量コンテンツの短時間でのデータ交換が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−151750号公報
【特許文献2】特開2008−154004号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「ソニーの「TransferJet」15社がコンソーシアム設立」(日経エレクトロニクス2008年8月11日号,日経BP社、P.12−13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1、2等に開示された非接触通信機能又は近接無線通信機能を利用する際には、ユーザが、モバイル通信端末のキー操作を行って、送信したいデータや、利用するアプリケーションを選択する必要がある。このようなキー操作は、ユーザにとって非常に煩わしいものとなる。
【0008】
一方、例えば、他の人がモバイル通信端末を用いて受信、再生している地上デジタル放送番組を自分の端末でも見たい場合には、ユーザは、見ている番組のチャンネルをその人から教えてもらい、自らのキー操作により、チャンネルを合わせる必要がある。このような一連の作業は、ユーザにとって非常に煩わしいものとなる。
【0009】
同様に、他の人が閲覧しているサイトを自分の端末でも閲覧したい場合には、ユーザは、閲覧しているサイトのURLを教えてもらい、自らのキー操作により、そのサイトにアクセスする必要がある。このような一連の作業も、ユーザにとって非常に煩わしいものとなる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性を向上させることができるモバイル通信端末及びモバイル通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るモバイル通信端末は、
通信エリア内に存在する他のモバイル通信端末と直接無線通信を行う近接無線通信手段と、
前記近接無線通信手段により、前記他のモバイル通信端末と通信可能である場合に、内部状態に応じて前記他のモバイル通信端末を制御するための制御コマンドを生成し、前記近接無線通信手段を介して前記他のモバイル通信端末に送信する制御コマンド生成手段と、
を備える。
【0012】
この場合、アプリケーションを実行するアプリケーション実行手段をさらに備え、
前記内部状態は、前記アプリケーション実行手段の動作状態によって遷移する、
ようにしても良い。
【0013】
前記制御コマンド生成手段は、
特定のアプリケーション実行手段の起動指示を含む前記制御コマンドに、前記アプリケーション実行手段によるアプリケーションの実行に関する付属情報を付加して送信する、
ようにしても良い。
【0014】
前記制御コマンド生成手段は、
前記アプリケーション実行手段により用いられるデータの送信元を特定するための情報を前記付属情報として生成する、
ようにしても良い。
【0015】
前記アプリケーション実行手段が、
放送電波を受信して再生する放送受信再生手段である場合には、
前記付属情報には、
前記放送受信再生手段により受信再生されている番組の放送元を特定するための情報が含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、
サイトにアクセスしてそのサイトを表示するブラウザ実行手段である場合には、
前記付属情報には、
前記ブラウザ実行手段によって表示されるサイトを特定するための情報が含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、
音楽を再生する音楽再生手段と、ゲームを実行するゲーム実行手段とのいずれかである場合には、
前記付属情報には、
楽曲データ又はゲームデータのダウンロード元のサイトを特定するための情報が含まれる、
ようにしても良い。
【0016】
前記制御コマンド生成手段は、
前記アプリケーション実行手段により用いられるデータを前記付属情報として生成する、
ようにしても良い。
【0017】
前記アプリケーション実行手段が、静止画又は動画を撮像する撮像手段と、静止画又は動画を表示する表示手段とのいずれかである場合には、
前記付属情報に、静止画又は動画の画像データが含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、音楽を再生する音楽再生手段である場合には、
前記付属情報に、楽曲データが含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、ゲームを実行するゲーム実行手段である場合には、
前記付属情報に、ゲームデータが含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、内部パラメータを設定する設定手段である場合には、
前記付属情報に、前記内部パラメータが含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、電話通信を行う電話通信手段である場合には、
通話中の相手の電話番号が含まれる、
ようにしても良い。
【0018】
前記制御コマンド生成手段によって送信された前記制御コマンドに対する応答の内容に基づいて、前記アプリケーション実行手段の動作を制御する動作制御手段をさらに備える、
ようにしても良い。
【0019】
前記アプリケーション実行手段が、電話通信を行う電話通信手段であり、
前記制御コマンド生成手段は、
前記内部状態が、前記電話通信手段を用いた通話中又は前記電話通信手段への着信中である場合、電話番号の通知要求を含む前記制御コマンドを送信し、
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに対する応答の内容に含まれる前記他のモバイル通信端末の電話番号に対して発呼するように、前記電話通信手段を制御する、
ようにしても良い。
【0020】
前記アプリケーション実行手段が、電子メールを送受信する電子メール実行手段であり、
前記制御コマンド生成手段は、
前記内部状態が、前記アプリケーション実行手段を用いた電子メールのオープン中である場合、メールアドレスの通知要求を含む前記制御コマンドを送信し、
前記動作制御手段は、
前記応答の内容に含まれる前記他のモバイル通信端末のメールアドレスに対してオープン中の電子メールを送信する、
ようにしても良い。
【0021】
前記制御コマンド生成手段は、
前記内部状態が、アイドリング状態である場合に、
前記近接無線通信手段を介して、すでに前記制御コマンドを送信した前記他のモバイル通信端末、前回送信された前記制御コマンドをキャンセルするための制御コマンドを生成して、送信する、
ようにしても良い。
【0022】
前記制御コマンド生成手段は、
前記制御コマンドを送信した前記他のモバイル通信端末に対して、前記近接無線通信手段を介した通信が切断されてから再び通信可能になると、前回送信された前記制御コマンドをキャンセルするための制御コマンドを生成して、送信する、
ようにしても良い。
【0023】
前記近接無線通信手段を介して、前記他のモバイル通信端末を検索し、
検索された他のモバイル通信端末が登録リストに登録されているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記制御コマンド生成手段は、
前記判定手段により、前記登録リストに登録されていると判定された他のモバイル通信端末にのみ、前記制御コマンドを送信する、
ようにしても良い。
【0024】
また、本発明の第2の観点に係るモバイル通信端末は、
通信エリア内に存在する本発明の第1の観点に係る他のモバイル通信端末と直接無線通信を行う近接無線通信手段と、
前記近接無線通信手段により、前記他のモバイル通信端末と通信可能である場合に、前記近接無線通信手段を介して受信された制御コマンドに従った動作制御を行う動作制御手段と、
を備える。
【0025】
この場合、アプリケーションを実行するアプリケーション実行手段をさらに備え、
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、特定のアプリケーション実行手段の起動指示が含まれ、前記アプリケーション実行手段に実行に関する付属情報が付加されている場合、
前記起動指示に従って、そのアプリケーション実行手段を起動するとともに、前記付属情報に基づいて、前記アプリケーション実行手段を動作させる、
ようにしても良い。
【0026】
前記動作制御手段は、
前記付属情報に、データの送信元を特定するための情報が含まれる場合、
前記送信元にアクセスするように、前記アプリケーション実行手段を制御する、
ようにしても良い。
【0027】
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、前記アプリケーション実行手段としての放送受信再生手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、番組の放送元を特定するための情報が含まれている場合には、
前記放送受信再生手段を起動し、前記放送受信再生手段に、前記付属情報により特定される放送元の番組を受信再生させ、
前記制御コマンドに、前記アプリケーション実行手段としてのブラウザ実行手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、サイトを特定するための情報が含まれている場合には、
前記ブラウザ実行手段を起動し、前記ブラウザ実行手段に、前記付属情報により特定されるサイトにアクセスして、そのサイトを表示させる、
ようにしても良い。
【0028】
前記付属情報に、前記アプリケーション実行手段で用いられるデータが含まれる場合には、
前記動作制御手段は、
前記データに基づいて、前記アプリケーション実行手段を制御する、
ようにしても良い。
【0029】
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、表示手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、静止画又は動画の画像データが含まれる場合、前記表示手段に、前記付属情報に含まれる画像データを表示させ、
前記制御コマンドに、音楽再生手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、楽曲データが含まれている場合、前記音楽再生手段に、前記付属情報に含まれる楽曲データに基づく音楽を再生させ、
前記制御コマンドに、ゲーム実行手段が含まれ、前記付属情報に、ゲームデータが含まれる場合、前記付属情報に含まれるゲームデータに基づいて、前記ゲーム実行手段にゲームを実行させ、
前記制御コマンドに、内部パラメータを設定する設定手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に前記内部パラメータが含まれる場合、前記付属情報に含まれる内部パラメータを、前記設定手段に設定させ、
前記制御コマンドに、電話通信を行う電話通信手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、通話中の相手の電話番号が含まれる場合、前記電話通信手段に、前記付属情報に含まれる電話番号に発呼させる、
ようにしても良い。
【0030】
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、自端末を特定するための情報の送信要求が含まれている場合には、
前記自端末を特定するための情報を返信する、
ようにしても良い。
【0031】
前記アプリケーション実行手段は、電話通信手段又は電子メール実行手段であり、
前記自端末を特定するための情報は、
電話番号又はメールアドレスであることとしても良い。
【0032】
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、前回送信された前記制御コマンドのキャンセル指示が含まれている場合には、
その制御コマンドに従って実行中の動作をキャンセルする、
ようにしても良い。
【0033】
前記近接無線通信手段を介して、前記他のモバイル通信端末を検索し、
検索された他のモバイル通信端末が登録リストに登録されているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記動作制御手段は、
前記判定手段により、前記登録リストに登録されていると判定された他のモバイル通信端末から送信された制御コマンドのみに従って、動作制御を行う、
ようにしても良い。
【0034】
また、本発明の第3の観点に係るモバイル通信システムは、
本発明の第1の観点に係る第1のモバイル携帯端末と、
本発明の第2の観点に係る第2のモバイル携帯端末と、
を備える。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、端末同士を通信可能な距離に近づけるだけといった簡単な手順で、一方の端末から他の端末の動作を制御することができる。これにより、ユーザの利便性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るモバイル通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るモバイル通信端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】図2のモバイル通信端末に設けられたコマンドテーブルのデータ構造の一例である。
【図4】本発明の一実施形態に係るモバイル通信端末(送信側)の処理フローである。
【図5】本発明の一実施形態に係るモバイル通信端末(受信側)の処理フローである。
【図6】本発明の一実施形態に係るモバイル通信端末(送信側)及びモバイル通信端末(受信側)の処理フローである。
【図7】本発明の一実施形態に係るモバイル通信端末(送信側)及びモバイル通信端末(受信側)の処理フロー(その2)である。
【図8】地上波デジタル放送視聴中の場合の動作を説明するための図である。
【図9】Web閲覧中の場合の動作を説明するための図である。
【図10】写真撮影後、写真表示中の場合の動作を説明するための図である。
【図11】動画撮影後、動画再生中の場合の動作を説明するための図である。
【図12】音楽再生中、ゲーム中の場合の動作(その1)を説明するための図である。
【図13】音楽再生中、ゲーム中の場合の動作(その2)を説明するための図である。
【図14】基本設定中の場合の動作を説明するための図である。
【図15】通話中の場合の動作(その1)を説明するための図である。
【図16】着信中の場合の動作を説明するための図である。
【図17】メール読み中の場合の動作を説明するための図である。
【図18】通話中の場合の動作(その2)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図18を参照して詳細に説明する。
【0038】
(システム全体構成)
図1に示すように、モバイル通信システム10は、モバイル通信端末100と、モバイル通信端末200とを備えている。モバイル通信端末100、200がそれぞれ第1、第2のモバイル通信端末に対応する。
【0039】
モバイル通信端末100、200は、それぞれ近接無線通信を行うための近接無線通信機能を有している。モバイル通信端末100、200は、互いの位置が通信エリア内にあるときには、この近接無線通信機能を用いて、互いにデータ送受信が可能となっている。近接無線通信機能の通信方式としては、例えば、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、ICタグ機能、赤外線通信、TransferJET(登録商標)を採用することができる。なお、通信方式として、TransferJETを採用した場合には、上記所定距離は、約3cmとなる。
【0040】
近接無線通信機能の通信エリアの大きさに特に制限はないが、ごく狭い範囲であるのが望ましい。モバイル通信端末100の所有者と、モバイル通信端末200の所有者とが、明確な意思をもって、両端末100、200を接近させたときに、両端末100、200が通信を行えるようになっているのが望ましい。
【0041】
この近接無線通信機能を用いて、例えば、モバイル通信端末100とモバイル通信端末200との間で、モバイル通信端末200の動作を制御するための制御コマンドやその応答等が送受信される。図1では、制御コマンドを送信するモバイル通信端末100が、送信側として示されており、制御コマンドを受信するモバイル通信端末200が、受信側として示されている。
【0042】
(モバイル通信端末100の基本構成)
図2に示すように、モバイル通信端末100は、携帯電話通信部101、操作部102、表示部103、音声出力部104、音声入力部105、記憶部106、地上波デジタル放送(以下、「地デジ」と略述する)処理部107、カメラ処理部108、音声デコード部109、映像デコード部110、近接無線通信部111、制御部112、バス113を備える。
【0043】
携帯電話通信部101は、制御部112の制御の下、不図示の無線通信基地局を介して、通話音声や各種のデータ等を送受信する。携帯電話通信部101は、例えば、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、EV−DO(Evolution Data Only)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)などの広域無線通信方式に基づいて他の携帯電話と通信する。携帯電話通信部101は、制御部112の制御の下、相手の通話の保留や、保留中における新たな相手への発呼も可能である。また、携帯電話通信部101は、三者間での通話(いわゆる三者通話)も可能である。
【0044】
操作部102は、キーボード、カーソルキー、テンキー等の各種操作キーを備えている。操作部102は、ユーザの操作入力を受け付け、その操作入力に対応する操作信号を制御部112に出力する。
【0045】
表示部103は、ドットマトリクスタイプの液晶表示(LCD)パネル等の表示パネルや、その表示パネルを駆動するドライバ回路等を備えている。表示部103は、制御部112の制御の下、任意の画像(例えば、文字、静止画、動画等)を表示する。
【0046】
音声出力部104は、スピーカ、DAC(Digital Analog Converter)等を備えている。また、音声出力部104は、携帯電話通信部101から入力される音声信号に、DA変換を施し、DA変換された音声信号に対応する音声をスピーカから放音する。また、音声出力部104は、例えば、音声デコード部109によってデコードされたコンテンツの音声信号にDA変換を施し、DA変換された音声信号に対応する音声をスピーカから放音する。
【0047】
音声入力部105は、マイク等を備えている。音声入力部105は、例えば、携帯電話通信部101による通話中において、ユーザの音声を、マイクで収集して音声信号に変換し、その音声信号を携帯電話通信部101に供給する。
【0048】
記憶部106は、各種データを記憶する。記憶部106は、モバイル通信端末100に内蔵されるメモリであっても良いし、取り外し可能な外部メモリであっても良い。記憶部106に記憶される各種データには、例えば、制御部112の動作制御用プログラムがある。この他、記憶部106は、コマンドテーブル300を記憶する。コマンドテーブル300の詳細については後述する。さらに、記憶部106は、登録機器リスト700を記憶する。登録機器リスト700の詳細についても後述する。
【0049】
地デジ処理部107は、制御部112の制御の下、不図示のアンテナを介してワンセグ等の放送電波の受信、復調、デスクランブル、デマックスを行う。地デジ処理部107は、それらの処理後に得られるエンコードされたコンテンツデータを、音声デコード部109や映像デコード部110に受け渡す。
【0050】
カメラ処理部108は、撮像デバイスと画像処理デバイス等を備えている。カメラ処理部108は、制御部112の制御の下、撮像を行い、静止画や動画の画像データを取得する。
【0051】
音声デコード部109は、エンコードされた音声データをデコードする。
映像デコード部110は、エンコードされた映像データをデコードする。
【0052】
近接無線通信部111は、上述のように、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、ICタグ機能、TransferJET(登録商標)等の通信方式に基づいて、通信エリア内に存在する他のモバイル通信端末200と通信する。近接無線通信部111は、制御部112の制御の下、基地局やアクセスポイントを介さずに、端末同士で直接通信を行う。
【0053】
制御部112は、CPU、メモリ、タイマ等から成るマイクロプロセッサユニット等を備えている。記憶部106に記憶された動作制御用プログラムは、このメモリに読み込まれ、CPUがその動作制御用プログラムを実行することにより、制御部112が、モバイル通信端末100全体の動作を制御する。
【0054】
制御部112によって制御される動作としては、基本的なものとして、例えば、携帯電話通信部101、音声出力部104、音声入力部105を用いた発呼、着呼、音声通話動作(電話通信動作)がある。この他、地デジ処理部107、音声デコード部109、映像デコード部110を用いた地上波デジタル放送の受信再生動作や、携帯電話通信部101及び表示部103等を用いたブラウザ実行動作などもある。さらには、カメラ処理部108を用いた撮像動作、表示部103を用いた画像表示動作、音声デコード部109、音声出力部104を用いた音楽再生動作、音声デコード部109、映像デコード部110、表示部103、音声出力部104を用いたゲーム実行動作もある。
【0055】
制御部112によって実行される動作制御用プログラムは、これらの動作をそれぞれ独立して実行する複数のアプリケーションソフトウエア(以下、「アプリケーション」と略述する)の集まりとして生成されている。例えば、電話をしようとして、ユーザが、操作部102を操作すると、その旨の信号が制御部112に出力される。制御部112は、音声通話動作のアプリケーションを起動し、実行する。このようにして、携帯電話通信部101を用いた発呼、着呼、音声通話動作が実現される。すなわち、制御部112は、操作部102から入力される操作信号に従って、動作させるべきアプリケーションを起動して、そのアプリケーションを実行することにより、モバイル通信端末100全体の動作を制御する。これにより、モバイル通信端末100の各種機能が実現される。
【0056】
なお、制御部112は、モバイル通信端末100の内部状態を管理している。モバイル通信端末100の内部状態は、モバイル通信端末100の状態を示す内部パラメータである。例えば、音声通話動作のアプリケーションが起動され、音声通話中である場合には、モバイル通信端末100の内部状態は「通話中」となる。
【0057】
モバイル通信端末100の内部状態は、どのアプリケーションが起動し、そのアプリケーションがどのような実行状態であるか等、アプリケーションの動作状態に応じて遷移する。例えば、地上波デジタル放送の視聴を終了し、地上波デジタル放送のアプリケーションを終了した後、ブラウザ機能のアプリケーションを起動し、そのアプリケーションを用いて所定のサイトにアクセスした場合には、モバイル通信端末100の内部状態は、「地デジ視聴中」から「Web閲覧中」に遷移する。
【0058】
このように、ここでいうアプリケーションは、近接無線通信部111を用いない動作制御用プログラムも含む。例えば、受信再生動作、静止画や動画の撮像動作、音声通話動作の動作制御プログラム等である。
【0059】
バス113は、上述した各部間で相互にデータを伝送する。このバス113を介して、各部の協調動作、制御部112による各部の制御等が実現される。
【0060】
(コマンドテーブル)
図3に示すように、コマンドテーブル300の項目には、内部状態301、コマンド種別302、自端末動作303、パラメータ304がある。コマンドテーブル300では、内部状態301、制御コマンド302、自端末動作303、パラメータ304の組が、index毎にまとめられて(それぞれ対応付けられて)登録されている。
【0061】
内部状態301には、モバイル通信端末100の内部状態が登録されている。例えば、index1の内部状態301には、「地デジ視聴中」が登録されている。以下、index2〜index14の内部状態301には、「Web閲覧中」、「写真撮影後」、「動画撮影後」、「写真表示中」、「動画再生中」、「音楽再生中(DL)」、「音楽再生中(フリー)」、「ゲーム中(DL)」、「ゲーム中(フリー)」、「基本設定中」、「通話中」、「着信中」、「メール読み中」がそれぞれ登録されている。なお、「写真撮影後」、「動画撮影後」とは、「写真撮影後所定時間以内」、「動画撮影後所定時間以内」という意味である。このように、過去に実行されたアプリケーションやその実行状態の種別と、他の情報との組み合わせを、モバイル通信端末100の内部状態として設定することも可能である。
【0062】
コマンド種別302には、モバイル通信端末100の内部状態に応じて、近接無線通信部111を介して送信すべき制御コマンドの種別が登録されている。例えば、内部状態301が、「地デジ視聴中」であるindex1のコマンド種別302には、「TVアプリ起動」が登録されている。また、内部状態301が「Web閲覧中」であるindex2のコマンド種別302には、「ブラウザ起動」が登録されている。
【0063】
制御コマンドは、モバイル通信端末200に対する指令であり、主として、アプリケーションを起動させるための指令である。起動されるモバイル通信端末200のアプリケーションとしては、前述のように、放送の受信再生動作の動作制御プログラム(TVアプリ)、サイトの閲覧プログラム(ブラウザ)、写真や動画の表示動作の動作制御プログラム(写真ビューワ、動画プレイヤ)、音楽再生動作の動作制御プログラム(音楽プレイヤ)、ゲームの動作制御プログラム、音声通話動作の動作制御プログラム等がある。この他、「着信音量を変更する」、「表示画面の壁紙を変更する」というようなモバイル通信端末100の基本機能を設定するような動作制御プログラム(基本設定処理)を、制御コマンドにより起動し、実行するようにしても良い。それぞれのプログラムは、独立したタスクとして同時に実行可能となっている。
【0064】
自端末動作303には、モバイル通信端末100が、制御コマンドの送信以外に行うべき動作が登録されている。例えば、内部状態301が「着信中」であるindex13の自端末動作303には、「着信転送」が登録されている。また、内部状態301が「メール読み中」であるindex14の自端末動作303には、「メール転送」が登録されている。
【0065】
パラメータ304には、モバイル通信端末100が制御コマンドを送信する際に、その制御コマンドに付加して送信すべき付属情報や、モバイル通信端末200からの応答に含まれる情報が登録される。例えば、内部状態301が、「Web閲覧中」であるindex2のパラメータ304には、「URL」が登録されている。内部状態301が「写真撮影後」であるindex3のパラメータ304には、「写真サイズ、写真データ、写真属性情報」等が登録されている。
【0066】
(登録機器リスト)
登録機器リスト700は、モバイル通信端末100が、近接無線通信部111を介して通信可能な(通信することを許可された)機器のリストである。登録機器リスト700では、IPアドレス、MACアドレス、製造番号等の、端末を識別するための情報がリスト構造にして登録されている。このように、近接無線通信部111を介して通信可能な端末を予め登録しておけば、意図しない端末と、近接無線通信により誤ってデータ交換が行われるのを防ぐことができる。
【0067】
登録機器リスト700では、ユーザ操作により、新規登録、登録内容の変更(機器の追加や削除)ができるようになっているのが望ましい。ユーザ操作は、操作部102、音声入力部105を介して行うようにすることができるようにすれば良い。この他、近接無線通信部111を用いて、機器識別情報を送受信し、その受信内容を登録機器リスト700に登録可能としても良い。さらに、携帯電話通信部101を介して相手の機器識別情報を電子メールで送信してもらい、その機器識別情報を登録機器リスト700に登録するようにしても良い。いずれの場合も、簡単な操作で登録できるため、使い勝手がさらに向上する。
【0068】
(受信側端末の基本構成)
なお、本発明の一実施形態に係るモバイル通信端末200の機能構成は、図2に示すモバイル通信端末100の機能構成とほぼ同じである。ただし、モバイル通信端末200は、記憶部106にコマンドテーブル300を持っておく必要はない。
【0069】
次に、モバイル通信システム10の動作について図4乃至図7の処理フローを参照して詳細に説明する。なお、図4乃至図7において、同一の動作については同じ符号が付されている。
【0070】
(モバイル通信端末100の処理)
まず、モバイル通信端末100の動作について図4、図6、図7を参照して説明する。図4に示すモバイル通信端末100の制御部112によって実行されるアプリケーション(動作制御用プログラム)の1つである送信側処理において、モバイル通信端末100の電源が投入されると(ステップS401でYes)、モバイル通信端末100の制御部112は、端末内各部の初期化を行う。このとき、図4の送信側処理では、モバイル通信端末100の制御部112は、近接無線通信部111の初期化処理を行う(ステップS402)。
【0071】
この初期化処理では、近接無線通信部111の送信回路、受信回路等への必要な電圧の供給や、レジスタへの適切な値の設定、制御ソフトウェアの内部変数への適切な値の設定が行われる。その後、近接無線通信部111は、プローブ送信可能、かつ、プローブの受信待ち状態となり、近接無線通信部111による相手機器(モバイル通信端末200)の検出処理が開始される。
【0072】
その後、モバイル通信端末100は、例えば、ユーザ操作によりアプリケーションを起動し、そのアプリケーションを実行することにより、様々な機能を実現する。ここでいう様々な機能は、発呼、メール作成、Web閲覧等の一般的なモバイル通信端末100で実行可能な機能であればよく、特に限定されるものではない。モバイル通信端末100がどのような状態であるかに関わらず、モバイル通信端末100の制御部112は、相手機器の検出処理を継続的に行う。
【0073】
相手機器の検出処理は、例えば、次のような手順で行われる。
モバイル通信端末100の制御部112は、検索要求601(図6参照)を、近接無線通信部110に送信させる(ステップS403)。これを受けて、検索要求601が、モバイル通信端末100の近接無線通信部111から、モバイル通信端末200の近接無線通信部111に向けて送信される。
【0074】
その後、モバイル通信端末100の制御部112は、検索要求601に対する検索応答602(図6参照)を受信して、モバイル通信端末200(相手機器)を発見したか否かを判定する(ステップS404)。モバイル通信端末200が近接無線通信部111の通信エリアに存在しない場合には、検索応答602は返って来ないので、この判定は否定される(ステップS404;No)。この場合、モバイル通信端末100の制御部112は、所定時間(例えば1秒)経過し、タイムアウトとなったか否かを判定する(ステップS405)。
【0075】
この判定が否定されるか(ステップS405;No)、相手機器が発見されない間(ステップS404;No)、ステップS404→ステップS405が繰り返される。この状態で、所定期間経過すると(ステップS405;Yes)、モバイル通信端末100の制御部112は、再び、検索要求601(図6参照)を、近接無線通信部110に送信させる(ステップS403)。その後、再び、モバイル通信端末100の制御部112は、それに対する検索応答602(図6参照)を受信し、モバイル通信端末200(相手機器)を発見したか否かを判定する(ステップS404)。
【0076】
このようにして、モバイル通信端末100の制御部112は、検索要求601(図6参照)を、近接無線通信部110に送信させ(ステップS404)、その応答である検索応答602が返信されるのを、所定時間経過するまで待つ(ステップS405、ステップS404の繰り返し)。
【0077】
モバイル通信端末200(相手機器)が通信可能エリアに存在する場合は、検索要求601を受信したモバイル通信端末200の制御部112は、特に問題がなければ後述するように、検索応答602を返す。モバイル通信端末100の制御部112は、この検索応答602を受信することで、相手機器を発見できたものと判定する(ステップS404;Yes)。
【0078】
通信可能な相手機器を発見できたら(ステップS404;Yes)、モバイル通信端末100の制御部112は、相手端末情報の確認を行う(ステップS406)。検索要求601及び検索応答602には、ともに、その送信元の端末に関する相手端末情報が含まれている。相手端末情報の確認は、検索応答602に含まれる相手端末情報の内容をチェックすることにより行われる。これにより、相手機器が、モバイル通信端末200であることが確認される。
【0079】
続いて、モバイル通信端末100の制御部112は、相手端末情報により特定されるモバイル通信端末200が、記憶部106にあらかじめ記憶された登録機器リスト700に含まれているか否か(すなわち登録済みであるか否か)を判定する(ステップS407)。含まれていなければ(ステップS407;No)、モバイル通信端末100の制御部112は、再び、相手機器発見待ちとなり(ステップS403、及びステップS404→S405の繰り返し)、含まれていれば、検索応答602を返したモバイル通信端末200を登録済みと判定し(ステップS407;Yes)、モバイル通信端末100(自端末)の内部状態を取得する(ステップS408)。
【0080】
内部状態は、コマンドテーブル300の内部状態301として登録されているような起動されたアプリケーションの実行状態等を示す情報である。モバイル通信端末100の制御部112は、内部状態を管理しており、内部状態を示す種々の変数を保持している。したがって、ここでは、モバイル通信端末100の制御部112が、内部状態を示すそれらの変数を読み出すことにより、モバイル通信端末100の現在の内部状態が取得される。
【0081】
続いて、モバイル通信端末100の制御部112は、記憶部106に格納されたコマンドテーブル300を読み出す(ステップS409)。続いて、モバイル通信端末100の制御部112は、ステップS408で取得された内部状態を用いて、ステップS408で読み出されたコマンドテーブル300を参照して、送信すべき制御コマンドを決定する(ステップS410)。例えば、ステップS408で取得された内部状態が、index1の「地デジ視聴中」であった場合、モバイル通信端末100の制御部112は、制御コマンドを、同じindex1の「TVアプリ起動」に決定する。その際、モバイル通信端末100の制御部112は、コマンドテーブル300の制御コマンドに付属する付属情報として、index1のパラメータ304のTV種別(地上波デジタルフルセグメント放送、地上波デジタルワンセグメント放送、BS放送、CS放送、IP放送等)、チャンネル(Ch)番号、番組名等が必要であることも認識し、それらのパラメータも取得する。
【0082】
送信すべき制御コマンドを決定したら、モバイル通信端末100の制御部112は、近接無線通信部111を介して、モバイル通信端末200に、付属情報としてのパラメータを付加した制御コマンド603を送信する(ステップS411)。
【0083】
この際、誤動作により、ユーザの望まない制御コマンド送信が行われたか否かを確認することができるように、モバイル通信端末100の制御部112は、「コマンド送信中」の表示や、コマンド種別等を表示部103に表示させたり、送信するコマンド名を、音声出力部104により音声出力したりするようにしても良い。これにより、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0084】
その後、モバイル通信端末100の制御部112は、モバイル通信端末200からコマンドを正常に受信できたことを示すコマンド応答(正常応答)604(図7参照)を受信したか否かを判定する(ステップS412)。
【0085】
正常応答604を受信していないと判定した場合(ステップS412;No)、モバイル通信端末100の制御部112は、タイムアウト又はコマンド応答(異常応答)604を受信したか否かを判定する(ステップS413)。この判定が否定された場合(ステップS413;No)、モバイル通信端末100の制御部112は、再び、コマンド応答604を受信したか否かを判定する(ステップS412)。また、タイムアウトとなるか、コマンド応答(異常応答)604を受信して、判定が肯定された場合(ステップS413;Yes)、モバイル通信端末100の制御部112は、制御コマンド603を再送する(ステップS411)。このようにすることで、制御コマンド603の通信の成功率を高めることができる。なお、ここでは、処理を簡易化するために、モバイル通信端末100の制御部112は、コマンド応答604を待たずに、次の動作(ステップS414)に移るようにしても良い。
【0086】
正常応答604を受信したと判定された場合(ステップS412;Yes)、モバイル通信端末100の制御部112は、コマンドテーブル300の自端末動作303に従って、所定の動作を実行する(ステップS414)。自端末動作303が規定されていない場合は、モバイル通信端末100の制御部112は、ここでは、特に何もしない。ステップS414終了後は、ステップS403に戻る。
【0087】
なお、本実施形態では、モバイル通信端末100が、検索要求601を送信することで、相手機器(モバイル通信端末200)を検出したが、モバイル通信端末100は、モバイル通信端末200からの検索要求を受信することで、相手機器の検出を行うようにしてもよい。
【0088】
(受信側の処理詳細)
続いて、制御コマンドの受信側のモバイル通信端末200の動作について、図5、図6、図7を参照して説明する。
【0089】
図5に示すモバイル通信端末200の制御部112によって実行されるアプリケーション(動作制御用プログラム)の1つである受信側処理において、モバイル通信端末200の電源が投入されると(ステップS501でYes)、モバイル通信端末200の制御部112は、装置内各部の初期化を行う。このとき、図5の受信側処理では、モバイル通信端末200の制御部112は、近接無線通信部111の初期化処理を行う(ステップS502)。
【0090】
初期化処理後、モバイル通信端末200の制御部112は、モバイル通信端末200の近接無線通信部111によって相手機器(モバイル通信端末100)が検出されるまで待つ(ステップS504)。モバイル通信端末200の制御部112は、図6に示すように、モバイル通信端末100の近接無線通信部111から検索要求601を受信することで、通信エリアに相手機器(モバイル通信端末100)が存在することを認識する。
【0091】
通信エリアに相手機器が存在することを認識したら(ステップS504;Yes)、モバイル通信端末200の制御部112は、相手端末情報の確認を行う(ステップS505)。相手端末情報の確認は、相手機器が送信した検索要求601に含まれる送信者情報の内容をチェックすることにより行われる。これにより、相手機器が、モバイル通信端末100であることが確認される。
【0092】
続いて、モバイル通信端末200の制御部112は、相手端末情報により特定されるモバイル通信端末100が、記憶部106に記憶された登録機器リスト700に含まれているか否かを判定する(ステップS506)。含まれていれば、モバイル通信端末200の制御部112は、モバイル通信端末100を登録済みと判定し(ステップS506;Yes)、検索応答602(図6参照)を送信する(ステップS507)。
【0093】
一方、相手端末情報により特定されるモバイル通信端末100が、記憶部106にあらかじめ記憶された登録機器リスト700に含まれていなければ、未登録とみなし(ステップS506;No)、モバイル通信端末200の制御部112は、再び、相手機器発見待ちとなる(ステップS504)。なお、登録済みでなかった場合(ステップS506;No)、モバイル通信端末200の制御部112は、未登録であることを示す情報を含めた検索応答602を返信して、ステップS504に戻るようにしてもよい。
【0094】
ステップS507を実行後、モバイル通信端末200の制御部112は、近接無線通信部111を介してモバイル通信端末100から制御コマンド603を受信したか否かを判定する(ステップS508)。
【0095】
制御コマンド603を受信していないと判定した場合(ステップS508;No)、モバイル通信端末200の制御部112は、タイムアウトであるか否かを判定する(ステップS509)。この判定が否定された場合(ステップS509;No)、モバイル通信端末200の制御部112は、再び、制御コマンド603を受信したか否かを判定する(ステップS508)。一方、この判定が肯定された場合(ステップS509;Yes)、モバイル通信端末200の制御部112は、再び、検索応答602(図6参照)を送信する(ステップS507)。
【0096】
モバイル通信端末100から制御コマンド603を受信したら(ステップS508;Yes)、モバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603の内容を確認する(ステップS511)。受信された制御コマンド603の内容を正常に認識できたら、モバイル通信端末200の制御部112は、その旨を示すコマンド応答(正常応答)604を、近接無線通信部111を介して、モバイル通信端末100に送信する(ステップS512)。続いて、モバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603の内容に従って、所定のアプリケーションを起動し、実行することにより、指定された動作を行う(ステップS513)。ステップS513の終了後は、ステップS504に戻る。
【0097】
なお、この際、誤動作により、ユーザの望まない処理が行われたか否かを確認することができるように、「アプリケーション自動起動」の表示や、どの端末から起動要求があったかなどを画面に表示したり、起動するアプリケーション名を音声出力したりするようにしても良い。これにより、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0098】
(具体例)
次に、本実施形態に係るモバイル通信システムのさらなる具体例について説明する。
【0099】
(放送視聴中の場合)
まず、モバイル通信端末100において、地デジ番組を視聴中であった場合について説明する。この場合、モバイル通信端末100において、ある地デジ番組を視聴中に、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex1の内部状態301の「地デジ視聴中」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0100】
続いて、図8に示すように、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「TVアプリ起動」コマンドが送信され、付属情報としてモバイル通信端末100で視聴中のTVチャンネル番号や番組名が送信される(図4のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に従って、TV受信再生の動作を行うアプリケーションを起動し、地デジ処理部107を制御して、指定されたチャンネルの受信、再生処理(指定動作)を開始する(図5、図7のステップS513)。
【0101】
このように、モバイル通信端末100、200を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末200において、モバイル通信端末100と同じ地上波デジタル放送の番組を見ることができるようになる。この結果、モバイル通信端末100のユーザの利便性が著しく向上する。
【0102】
(Web閲覧中の場合)
次に、モバイル通信端末100において、インターネット等のネットワーク400(図9参照)上のサイトをブラウザで閲覧中であった場合について説明する。この場合、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex2の内部状態301の「Web閲覧中」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0103】
続いて、例えば、図9に示すように、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「ブラウザ起動」コマンドが送信され、付属情報としてモバイル通信端末100で閲覧中のサイトのURLが送信される(図4、図7のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に従って、ブラウザを起動し、携帯電話通信部101を制御して、指定されたURLにアクセスし、表示部103を制御して、サイトを表示する(図5、図7のステップS513)。
【0104】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末200でモバイル通信端末100と同じサイトを閲覧することが可能となる。この結果、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0105】
(写真撮影後、動画撮影後の場合)
次に、モバイル通信端末100において、カメラ機能を用いた写真(静止画)や動画の撮影後であった場合について説明する。これらの場合、写真や動画を撮影した後の所定時間内(例えば、3分以内)に、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex3又はindex4の内部状態301の「写真撮影後」又は「動画撮影後」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0106】
続いて、例えば図10、図11に示すように、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「写真ビューワ起動」又は「動画プレイヤ起動」コマンドが送信され、付属情報としてモバイル通信端末100によって直前に撮影された写真や動画のサイズ、データ本体(写真データ、動画データ)、属性情報等が送信される(図4、図7のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に従って、写真ビューワ又は動画プレイヤを起動し、近接無線通信部111を介して受信した写真データを表示部103に表示させたり、動画データを再生したりする(ステップS513)。
【0107】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末200で、モバイル通信端末100によって撮影された写真や動画を見ることが可能となる。この結果、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0108】
なお、写真や動画を撮影後所定時間内であっても、モバイル通信端末100のカメラ機能のアプリケーションを終了し、待ち受け状態に戻った場合には、制御コマンド603の送信を行わないようにすることも可能である。
【0109】
(写真表示中、動画再生中の場合)
次に、モバイル通信端末100において、写真表示中又は動画再生中であった場合について説明する。これらの場合、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex5又はindex6の内部状態301の「写真表示中」又は「動画再生中」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0110】
続いて、例えば図10、図11に示すように、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「写真ビューワ起動」又は「動画プレイヤ起動」コマンドが送信され、付属情報としてモバイル通信端末100によって直前に撮影された写真や動画のサイズ、データ本体(写真データ、動画データ)、属性情報等が送信される(図4、図7のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に従って、写真ビューワ又は動画プレイヤを起動し、近接無線通信部111を介して受信した写真データを表示部103に表示させたり、動画データを再生したりする(図5、図7のステップS513)。
【0111】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末200で、モバイル通信端末100で表示中の写真や再生中の動画と同じものを見ることが可能となる。この結果、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0112】
(音楽再生中(ダウンロード(DL))、ゲーム中(ダウンロード(DL))の場合)
次に、モバイル通信端末100において、インターネット等のネットワーク400(図12参照)上の特定のサイトからダウンロードした音楽を再生中であった場合と、特定のサイトからダウンロードしたゲームを実行中であった場合について説明する。これらの場合、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、その楽曲データ又はゲームデータを参照し、それらのデータが著作権管理されているものであり、ダウンロード元のサイトを運営する業者に、料金を支払うべきものである場合、図3のコマンドテーブル300におけるIndex7又はindex9の内部状態301の「音楽再生中(DL)」又は「ゲーム中(DL)」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0113】
続いて、例えば、図12に示すように、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「ブラウザ起動」コマンドが送信され、付属情報としてモバイル通信端末100で閲覧中のサイトのURLが送信される(図4、図7のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に従って、ブラウザを起動し、携帯電話通信部101を制御して、指定されたURLにアクセスし、表示部103を制御して、サイトを表示する(図5、図7のステップS513)。
【0114】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末200で、モバイル通信端末100で再生中の音楽データやプレイ中のゲームデータのダウンロードサイトを表示することができるので、データ購入までの手間が省くことができる。この結果、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0115】
(音楽再生中(フリー)、ゲーム中(フリー)の場合)
次に、モバイル通信端末100において、著作権法の下で、許可なしで自由に利用することができる音楽を再生中であった場合と、自由に利用することができるゲームを実行中であった場合について説明する。これらの場合、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex8又はindex10の内部状態301の「音楽再生中(フリー)」又は「動画再生中(フリー)」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0116】
続いて、例えば図13に示すように、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200に対して制御コマンド603として、「音楽プレイヤ起動」又は「ゲーム起動」コマンドが送信され、付属情報としてモバイル通信端末100で再生中の音楽データやプレイ中のゲームデータ等が送信される(図4、図7のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に従って、音楽プレイヤやゲームを起動し、近接無線通信部111を介して受信した音楽データを再生したり、ゲームデータを実行したりする(図5、図7のステップS513)。
【0117】
すなわち、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末100において再生中の音楽データやプレイ中のゲームデータをモバイル通信端末200で、入手し、その音楽やゲームを楽しむことができる。この結果、ユーザの利便性が著しく向上する。このように、音楽データやゲームデータの著作権管理方式によっては(例えばフリーソフトである場合には)、端末同士だけで直接データ交換可能な場合もある。
【0118】
(基本設定中の場合)
次に、モバイル通信端末100において、基本的な内部パラメータを設定中である場合について説明する。この場合、モバイル通信端末100において端末の基本設定中に、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex11の内部状態301の「基本設定中」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0119】
続いて、例えば図14に示すように、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「基本設定処理起動」コマンドが送信され、付属情報としてモバイル通信端末100の設定情報、設定個数、設定項目、設定値が送信される(図4、図7のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に従って、基本設定処理のアプリケーションを起動し、近接無線通信部111を介して受信した設定情報を設定する(図5、図7のステップS513)。
【0120】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末200の端末基本設定をモバイル通信端末100のそれと同じにすることが可能となる。この結果、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0121】
(通話中の場合:その1)
次に、図15に示すように、モバイル通信端末100において、通信相手(第三者)401と、電話網402を介して通話中(図15の(A))であった場合について説明する。この場合、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex12の内部状態301の「通話中」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0122】
続いて、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「発信」コマンドが送信され(図15の(B))、付属情報として文字数、第三者の電話番号が送信される(図4のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に従って、音声通話動作のアプリケーションを起動し、携帯電話通信部101を制御して、指定の電話番号を用いて電話網402を介して発呼する(図15の(C)、図5、図7のステップS513)。これにより、モバイル通信端末100と第三者との通話は一旦保留され、モバイル通信端末200と第三者が通話状態となる。その後、第三者側が認証すれば、モバイル通信端末100とモバイル通信端末200と第三者の電話との三者通話動作(図15の(D))が可能となる。
【0123】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末100と第三者との二者通話状態から、モバイル通信端末200を含んだ三者通話状態へ移行することが可能となる。この結果、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0124】
(着信中の場合)
次に、図16に示すように、モバイル通信端末100において、通信相手(第三者)401からの着信中(図16の(A))であった場合について説明する。この場合、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex13の内部状態301の「着信中」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0125】
続いて、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「電話番号取得」コマンドが送信される(図16の(B)、図4、図7のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に対するコマンド応答604に、文字数と、自端末の電話番号を付加して、モバイル通信端末100に返信する(図16の(C)、図5、図7のステップS512)。
【0126】
コマンド応答604を受信したモバイル通信端末100は、モバイル通信端末200の電話番号に対して、着信中の呼を転送する処理を行う(図16の(D)、図4,図7のステップS414)。これにより、モバイル通信端末100への着信呼は、モバイル通信端末200へ転送される。モバイル通信端末100では、転送された着信呼に対応した処理が行われ(図5、図7のステップS513)、モバイル通信端末100とモバイル通信端末200と第三者の電話との三者通話動作(図16の(E))が実現される。
【0127】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末100への着信呼をモバイル通信端末200へ転送することが可能となる。これにより、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0128】
(メール読み中の場合)
次に、図17に示すように、モバイル通信端末100において、電子メールをオープンし、その電子メールの読み中であった場合について説明する。この場合、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信部111の通信圏内に近づけると、モバイル通信端末100の制御部112は、図3のコマンドテーブル300におけるIndex14の内部状態301の「メール読み中」を、モバイル通信端末100における内部状態として取得する(図4、図7のステップS408)。
【0129】
そして、図17に示すように、モバイル通信端末100からモバイル通信端末200へ、制御コマンド603として、「メールアドレス取得」コマンドが送信される(図17の(A)、図4、図7のステップS411)。それを受信したモバイル通信端末200の制御部112は、受信された制御コマンド603に対するコマンド応答604として、文字数と、自端末のメールアドレスを付加して、モバイル通信端末100に返信する(図17の(B)、図5、図7のステップS512)。
【0130】
コマンド応答604を受信したモバイル通信端末100の制御部112は、モバイル通信端末200のメールアドレスに対して、ネットワーク400を介して現在読んでいる電子メールを転送する(図17の(C)、図4、図7のステップS414)。モバイル通信端末200では、この電子メールが受信され(図5、図7のステップS513)、その電子メールを読むことができる状態となる。
【0131】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末100で読んでいる電子メールをモバイル通信端末200へ転送することが可能となる。これにより、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0132】
(通話中の場合:その2)
なお、図3のコマンドテーブル300におけるIndex12に対応する三者通話への移行については、以下の方法で行うこともできる。
【0133】
図18に示すように、モバイル通信端末100で、通信相手(第三者)401と電話網402を介して通話中(A)に、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100の近接無線通信圏内に近づけると、前述のように、モバイル通信端末100から制御コマンド603として、「電話番号取得」コマンドが送信される(図18の(B)、図4、図7のステップS411)。この場合、それを受信したモバイル通信端末200は、受信された制御コマンド603に従って、近接無線通信部111を介して自端末の電話番号をモバイル通信端末100に送信する(図18の(C)、図5、図7のステップS512)。
【0134】
コマンド応答604を受信したモバイル通信端末100は、携帯電話通信部101を制御して、モバイル通信端末200の電話番号を用いて電話網402を介して発呼を行う(図18の(D)、図4、図7のステップS414)。これにより、モバイル通信端末100と第三者との通話は一旦保留され、モバイル通信端末100とモバイル通信端末200が通話状態となる。その後、モバイル通信端末100が認証すれば、モバイル通信端末100とモバイル通信端末200と第三者との三者通話動作(図18の(E))となる。
【0135】
このように、端末同士を近づけるという簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末100と第三者との通話状態から、モバイル通信端末200を含んだ三者通話状態へ移行することが可能となる。この結果、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0136】
このように、具体例として、テレビ視聴中、Web閲覧中、写真や動画の撮影後、写真表示中、動画再生中、音楽再生中、ゲーム中、基本設定中、通話中、着信中、メール読み中におけるモバイル通信端末100、200の協調動作について説明した。この他、端末100において、録画、撮影ボタンを押すと、同時に、モバイル通信端末200でも、録画、撮影を行ったりするようにすることもできる。
【0137】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、地デジ処理部107と、音声デコード部109と、映像デコード部110と、音声出力部104と、表示部103と、制御部112とによって、放送受信再生手段が実現される。また、携帯電話通信部101と、音声出力部104と、音声入力部105と、制御部112とによって、電話通信手段が実現される。また、携帯電話通信部101と、表示部103と、制御部112とによって、ブラウザ実行手段が実現される。また、音声デコード部109と、音声出力部104と、制御部112とによって音楽再生手段が実現される。また、音声デコード部109と、映像デコード部110と、表示部103と、音声出力部104と、制御部112とによってゲーム実行手段が実現される。
【0138】
さらに、モバイル通信端末100の制御部112によって、制御コマンド生成手段、動作制御手段、端末検索手段が実現される。
【0139】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るモバイル通信端末100によれば、端末同士を近づけるといった、ごく簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末200を制御するための制御コマンド603を送信することができるので、モバイル通信端末100により、モバイル通信端末200の動作を制御することができる。これにより、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0140】
より具体的には、本実施形態によれば、端末同士を近づけるといったごく簡単な操作を行うだけで、モバイル通信端末100で動作しているアプリケーションと、同じか、あるいは関連するアプリケーションを、モバイル通信端末200で起動し動作させることができる。このため、ユーザが、キー操作を行って、送信データを選択したり、アプリケーションを起動したりすることなく、両端末100、200を、協調動作させることができる。これにより、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0141】
モバイル通信端末100、200の協調動作で必要なデータは、それぞれ、制御コマンドに付属する付属情報や、制御コマンドの応答として、近接無線通信部111を介して送受信されるので、協調動作を支障なく実行することができる。それらのデータは、モバイル通信端末100、200のアプリケーションで用いられるデータや、データの送信元である。
【0142】
本実施形態によれば、モバイル通信端末100の内部状態に応じて、モバイル通信端末200のアプリケーションを起動し、特定の機能を実行した。しかしながら、本発明は、モバイル通信端末100の内部状態が、いかなる状態の場合に、モバイル通信端末200のどのアプリケーションを起動し、いかなる機能を実行するかによって、限定されるものではない。モバイル通信端末100の内部状態は、携帯電話等のモバイル通信端末が一般的に有するアプリケーションの起動状態や、その実行状態に関連するものであれば良い。また、起動対象となるモバイル通信端末200のアプリケーションも、携帯電話等のモバイル通信端末が一般的に有するアプリケーションであれば良い。
【0143】
さらに、モバイル通信端末100から、モバイル通信端末200へ、実行中の動作をキャンセルするための制御コマンドを送信するようにしても良い。
【0144】
例えば、上述のようにして、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100に協調させるような操作を行い、それらを遠ざけて近接無線通信部111による近接無線通信を遮断した後、所定時間以内(例えば5分以内)に、モバイル通信端末100を待受(アイドリング)状態にして、モバイル通信端末200に再び近づけると、直前の動作をキャンセルするような制御コマンド603をモバイル通信端末100からモバイル通信端末200に送信するようにしても良い。これは、例えば、図3のコマンドテーブル300に、内部状態301が「待受状態」、コマンド種別が「キャンセル」というindexを追加することにより、実行可能である。このようにすれば、例えば、誤って協調動作させてしまった場合に、その動作をキャンセルすることができる。この結果、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0145】
また、上述のようにして、モバイル通信端末200をモバイル通信端末100に協調させるような操作を行い、それらを遠ざけて近接無線通信部111による近接無線通信を遮断した後、所定時間以内(例えば5分以内)に、モバイル通信端末100を、同じ内部状態のままで、モバイル通信端末200に再び近づけると、モバイル通信端末100から直前の動作をキャンセルするような制御コマンドをモバイル通信端末100からモバイル通信端末200に送信するようにしても良い。このようにしても、誤って協調動作させてしまった場合に、その動作をキャンセルすることができる。この結果、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0146】
また、上記実施形態では、送信側(モバイル通信端末100)と受信側(モバイル通信端末200)とを明確に規定し、モバイル通信端末100から、モバイル通信端末200のアプリケーションを起動し、実行させるものとしたが、2つのモバイル通信端末が、互いに、上述の送信側の機能と受信側の機能を有することも可能である。この場合、双方向で相手方のアプリケーションを起動させることができるようになるので、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0147】
さらに、モバイル通信端末200が、待受状態以外の状態の時には、モバイル通信端末100から制御コマンドを受信しても、指定されたアプリケーションを起動しないようにするようにしても良い。このようにすれば、受信側のモバイル通信端末200において、ユーザが希望しないアプリケーションが誤って起動するのを防ぐことができる。これにより、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0148】
また、上記実施形態では、登録機器リスト700に登録されている端末との間で、協調動作が行われるようにしたが、このような登録機器リスト700として、携帯電話等のメモリに登録されたアドレス帳を用いるようにしてもよいのは勿論である。このようにすれば、登録機器リスト700に相手端末を登録する手間を省くことができるので、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0149】
また、モバイル通信端末では、同時に複数のアプリケーションが起動され、実行される場合もある。このような場合には、それぞれのアプリケーションの動作状態に対応する制御コマンドを、他のモバイル通信端末に送信するようにして、それぞれのアプリケーションに対応する協調動作を、他のモバイル通信端末に行わせるようにしてもよいし、いずれかのアプリケーションの動作に対応する制御コマンドだけを、他のモバイル通信端末に送信するようにしてもよい。また、複数のアプリケーションに、優先順位を設けて、優先順位の高いアプリケーションに対応する制御コマンドを、他のモバイル通信端末に送信することも可能である。
【符号の説明】
【0150】
10…モバイル通信システム、100、200…モバイル通信端末、101…携帯電話通信部、102…操作部、103…表示部、104…音声出力部、105…音声入力部、106…記憶部、107…地上波デジタル放送(地デジ)処理部、108…カメラ処理部、109…音声デコード部、110…映像デコード部、111…近接無線通信部、112…制御部、113…バス、300…コマンドテーブル、301…内部状態、302…コマンド種別、303…自端末動作、304…パラメータ、400…ネットワーク、401…通信相手(第三者)、402…電話網、700…登録機器リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信エリア内に存在する他のモバイル通信端末と直接無線通信を行う近接無線通信手段と、
前記近接無線通信手段により、前記他のモバイル通信端末と通信可能である場合に、内部状態に応じて前記他のモバイル通信端末を制御するための制御コマンドを生成し、前記近接無線通信手段を介して前記他のモバイル通信端末に送信する制御コマンド生成手段と、
を備えるモバイル通信端末。
【請求項2】
アプリケーションを実行するアプリケーション実行手段をさらに備え、
前記内部状態は、前記アプリケーション実行手段の動作状態によって遷移する、
ことを特徴とする請求項1に記載のモバイル通信端末。
【請求項3】
前記制御コマンド生成手段は、
特定のアプリケーション実行手段の起動指示を含む前記制御コマンドに、前記アプリケーション実行手段によるアプリケーションの実行に関する付属情報を付加して送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載のモバイル通信端末。
【請求項4】
前記制御コマンド生成手段は、
前記アプリケーション実行手段により用いられるデータの送信元を特定するための情報を前記付属情報として生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載のモバイル通信端末。
【請求項5】
前記アプリケーション実行手段が、
放送電波を受信して再生する放送受信再生手段である場合には、
前記付属情報には、
前記放送受信再生手段により受信再生されている番組の放送元を特定するための情報が含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、
サイトにアクセスしてそのサイトを表示するブラウザ実行手段である場合には、
前記付属情報には、
前記ブラウザ実行手段によって表示されるサイトを特定するための情報が含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、
音楽を再生する音楽再生手段と、ゲームを実行するゲーム実行手段とのいずれかである場合には、
前記付属情報には、
楽曲データ又はゲームデータのダウンロード元のサイトを特定するための情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項4に記載のモバイル通信端末。
【請求項6】
前記制御コマンド生成手段は、
前記アプリケーション実行手段により用いられるデータを前記付属情報として生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載のモバイル通信端末。
【請求項7】
前記アプリケーション実行手段が、静止画又は動画を撮像する撮像手段と、静止画又は動画を表示する表示手段とのいずれかである場合には、
前記付属情報に、静止画又は動画の画像データが含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、音楽を再生する音楽再生手段である場合には、
前記付属情報に、楽曲データが含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、ゲームを実行するゲーム実行手段である場合には、
前記付属情報に、ゲームデータが含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、内部パラメータを設定する設定手段である場合には、
前記付属情報に、前記内部パラメータが含まれ、
前記アプリケーション実行手段が、電話通信を行う電話通信手段である場合には、
通話中の相手の電話番号が含まれる、
ことを特徴とする請求項6に記載のモバイル通信端末。
【請求項8】
前記制御コマンド生成手段によって送信された前記制御コマンドに対する応答の内容に基づいて、前記アプリケーション実行手段の動作を制御する動作制御手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のモバイル通信端末。
【請求項9】
前記アプリケーション実行手段が、電話通信を行う電話通信手段であり、
前記制御コマンド生成手段は、
前記内部状態が、電話通信手段を用いた通話中又は前記電話通信手段への着信中である場合、電話番号の通知要求を含む前記制御コマンドを送信し、
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに対する応答の内容に含まれる前記他のモバイル通信端末の電話番号に対して発呼するように、前記電話通信手段を制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載のモバイル通信端末。
【請求項10】
前記アプリケーション実行手段が、電子メールを送受信する電子メール実行手段であり、
前記制御コマンド生成手段は、
前記内部状態が、前記アプリケーション実行手段を用いた電子メールのオープン中である場合、メールアドレスの通知要求を含む前記制御コマンドを送信し、
前記動作制御手段は、
前記応答の内容に含まれる前記他のモバイル通信端末のメールアドレスに対してオープン中の電子メールを送信する、
ことを特徴とする請求項8に記載のモバイル通信端末。
【請求項11】
前記制御コマンド生成手段は、
前記内部状態が、アイドリング状態である場合に、
前記近接無線通信手段を介して、すでに前記制御コマンドを送信した前記他のモバイル通信端末、前回送信された前記制御コマンドをキャンセルするための制御コマンドを生成して、送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のモバイル通信端末。
【請求項12】
前記制御コマンド生成手段は、
前記制御コマンドを送信した前記他のモバイル通信端末に対して、前記近接無線通信手段を介した通信が切断されてから再び通信可能になると、前回送信された前記制御コマンドをキャンセルするための制御コマンドを生成して、送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のモバイル通信端末。
【請求項13】
前記近接無線通信手段を介して、前記他のモバイル通信端末を検索し、
検索された他のモバイル通信端末が登録リストに登録されているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記制御コマンド生成手段は、
前記判定手段により、前記登録リストに登録されていると判定された他のモバイル通信端末にのみ、前記制御コマンドを送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のモバイル通信端末。
【請求項14】
通信エリア内に存在する請求項1乃至13のいずれか一項に記載の他のモバイル通信端末と直接無線通信を行う近接無線通信手段と、
前記近接無線通信手段により、前記他のモバイル通信端末と通信可能である場合に、前記近接無線通信手段を介して受信された制御コマンドに従った動作制御を行う動作制御手段と、
を備えるモバイル通信端末。
【請求項15】
アプリケーションを実行するアプリケーション実行手段をさらに備え、
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、特定のアプリケーション実行手段の起動指示が含まれ、前記アプリケーション実行手段に実行に関する付属情報が付加されている場合、
前記起動指示に従って、そのアプリケーション実行手段を起動するとともに、前記付属情報に基づいて、前記アプリケーション実行手段を動作させる、
ことを特徴とする請求項14に記載のモバイル通信端末。
【請求項16】
前記動作制御手段は、
前記付属情報に、データの送信元を特定するための情報が含まれる場合、
前記送信元にアクセスするように、前記アプリケーション実行手段を制御する、
ことを特徴とする請求項15に記載のモバイル通信端末。
【請求項17】
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、前記アプリケーション実行手段としての放送受信再生手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、番組の放送元を特定するための情報が含まれている場合には、
前記放送受信再生手段を起動し、前記放送受信再生手段に、前記付属情報により特定される放送元の番組を受信再生させ、
前記制御コマンドに、前記アプリケーション実行手段としてのブラウザ実行手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、サイトを特定するための情報が含まれている場合には、
前記ブラウザ実行手段を起動し、前記ブラウザ実行手段に、前記付属情報により特定されるサイトにアクセスして、そのサイトを表示させる、
ことを特徴とする請求項16に記載のモバイル通信端末。
【請求項18】
前記付属情報に、前記アプリケーション実行手段で用いられるデータが含まれる場合には、
前記動作制御手段は、
前記データに基づいて、前記アプリケーション実行手段を制御する、
ことを特徴とする請求項15に記載のモバイル通信端末。
【請求項19】
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、表示手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、静止画又は動画の画像データが含まれる場合、前記表示手段に、前記付属情報に含まれる画像データを表示させ、
前記制御コマンドに、音楽再生手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、楽曲データが含まれている場合、前記音楽再生手段に、前記付属情報に含まれる楽曲データに基づく音楽を再生させ、
前記制御コマンドに、ゲーム実行手段が含まれ、前記付属情報に、ゲームデータが含まれる場合、前記付属情報に含まれるゲームデータに基づいて、前記ゲーム実行手段にゲームを実行させ、
前記制御コマンドに、内部パラメータを設定する設定手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に前記内部パラメータが含まれる場合、前記付属情報に含まれる内部パラメータを、前記設定手段に設定させ、
前記制御コマンドに、電話通信を行う電話通信手段の起動指示が含まれ、前記付属情報に、通話中の相手の電話番号が含まれる場合、前記電話通信手段に、前記付属情報に含まれる電話番号に発呼させる、
ことを特徴とする請求項18に記載のモバイル通信端末。
【請求項20】
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、自端末を特定するための情報の送信要求が含まれている場合には、
前記自端末を特定するための情報を返信する、
ことを特徴とする請求項15に記載のモバイル通信端末。
【請求項21】
前記アプリケーション実行手段は、電話通信手段又は電子メール実行手段であり、
前記自端末を特定するための情報は、
電話番号又はメールアドレスである、
ことを特徴とする請求項20に記載のモバイル通信端末。
【請求項22】
前記動作制御手段は、
前記制御コマンドに、前回送信された前記制御コマンドのキャンセル指示が含まれている場合には、
その制御コマンドに従って実行中の動作をキャンセルする、
ことを特徴とする請求項14乃至21のいずれか一項に記載のモバイル通信端末。
【請求項23】
前記近接無線通信手段を介して、前記他のモバイル通信端末を検索し、
検索された他のモバイル通信端末が登録リストに登録されているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記動作制御手段は、
前記判定手段により、前記登録リストに登録されていると判定された他のモバイル通信端末から送信された制御コマンドのみに従って、動作制御を行う、
ことを特徴とする請求項14乃至22のいずれか一項に記載のモバイル通信端末。
【請求項24】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の第1のモバイル通信端末と、
請求項14乃至23のいずれか一項に記載の第2のモバイル通信端末と、
を備えるモバイル通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−219824(P2010−219824A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63654(P2009−63654)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】