説明

モルタル吹付工法、コンクリート構造体の損傷部修復方法、コンクリート構造体

【課題】塩害や骨材反応でヒビや亀裂が発生した部分のコンクリートを高圧水等の吹き付けにより除去し、この除去した部分にモルタルを充填して修復しても、この修復部分が再び塩害や骨材反応によりヒビや亀裂が発生することのなく、またコンクリート構造体の骨材を抑制できるモルタル吹付工法、コンクリート構造体の損傷部修復方法、修復したコンクリート構造体を提供する。
【解決手段】乾燥モルタル供給装置32からポリマーセメントと骨材を混合してなる混合体(乾燥モルタル)35をホース34を介して圧縮空気33でモルタル吹付ノズル31に圧送し、該モルタル吹付ノズル31で乾燥モルタルに水と亜硝酸リチウム溶液の混合液を混入してモルタル37とし、該モルタル37をコンクリート構造体の所定個所に吹き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造体の塩害等による鉄材の腐食、或いは骨材反応による骨材表面の膨張によりヒビや亀裂の発生個所の修復、或いは骨材反応の抑制に好適なモルタル吹付工法、コンクリート構造体の損傷部修復方法、及び修復したコンクリート構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の橋脚や橋梁等のコンクリート構造体には、その強度を増すため多数の鉄筋や鉄骨等の鉄材が埋設されている。このようなコンクリート構造体に塩化物を含有する腐食液が浸透した場合、鉄材に錆が発生し、鉄材表面が膨張し、該鉄材近傍のコンクリートに多くのヒビや亀裂が発生し、コンクリートの強度が劣化(低下)するという問題がある。特に降雪地帯の道路では消雪剤(融雪剤)として塩化カルシウム等の塩化物が多く使用され、融雪水には塩化物が多く含まれ、該融雪水が橋脚等のコンクリート構造体に浸透し、塩化物イオンCl-がコンクリート構造体に埋設された鉄材の不動態皮膜に作用し、該不動態皮膜を破壊し鉄材に錆が発生するという問題が多く発生している。
【0003】
また、コンクリート中にアルカリ成分と水分が適当な条件で存在するとコンクリート中のシリカ骨材のシリカ成分がアルカリと水に反応(骨材反応)し、該骨材表面に反応生成物が堆積成長して膨張し、コンクリートの表面にヒビや亀裂が発生し、コンクリートの強度が劣化(低下)するという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来このような、塩害や骨材反応でコンクリートにヒビや亀裂が発生し、その強度が低下した場合、該ヒビや亀裂が発生した部分のコンクリートを高圧水等の吹き付けにより除去し(ハツリ)、この除去した部分にモルタルを充填して修復していた。しかしながら、修復した後にも再び塩害、骨材反応によりヒビや亀裂が発生した場合、このような修復を再び行わなければならず、場合によっては所定の周期でこのような修復を行わなければならないという問題もある。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、塩害や骨材反応でヒビや亀裂が発生した場合、このヒビや亀裂の発生部分のコンクリートを高圧水等の吹き付けにより除去し、この除去した部分にモルタルを充填して修復しても、この修復部分が再び塩害や骨材反応によりヒビや亀裂が発生することのなく、またコンクリート構造体の骨材反応を抑制できるモルタル吹付工法、コンクリート構造体の損傷部修復方法及び修復したコンクリート構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液とを混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介してコンクリート構造体の所定個所に吹き付けることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモルタル吹付工法において、前記モルタル吹付ノズルからのモルタルの吹付けは、前記ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気により前記モルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で前記混合体に前記水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付けることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のモルタル吹付工法において、前記モルタル吹付ノズルからのモルタルの吹付けは、前記ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをホースを介して前記モルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付けることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、補強用の鉄材が埋設されたコンクリート構造体の該鉄材腐食によりヒビや亀裂が発生したコンクリートの損傷部を鉄材を除いて除去し、該コンクリート除去部にモルタルを充填して、該損傷部を修復するコンクリート構造体の損傷部修復方法であって、前記鉄材を除いたコンクリート除去部にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介して吹き付けて充填することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、前記モルタル吹付ノズルからのモルタル吹付けは、前記ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気により前記モルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で前記混合体に前記水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付けることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、前記モルタル吹付ノズルからのモルタル吹付けは、前記ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルを前記モルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付けることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、前記鉄筋を除いてコンクリートの損傷部を除去した後、該鉄筋に防錆材を塗布した防錆処理層を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項5又は6に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、前記鉄筋を除いてコンクリートの損傷部を除去した後、該コンクリート除去部の表面に前記モルタルの付着を良好にする付着材を塗布した付着材層を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、コンクリート構造体の骨材反応によりヒビや亀裂が発生したコンクリートの損傷部を除去し、該コンクリート除去部にモルタルを充填して、該損傷部を修復するコンクリート構造体の損傷部修復方法であって、前記コンクリート除去部にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介して吹き付けて充填することを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、前記モルタル吹付ノズルからのモルタル吹付けは、前記ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気により前記モルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で前記混合体に前記水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付けることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、前記モルタル吹付ノズルからのモルタル吹付けは、前記ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルを前記モルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付けることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、コンクリート構造体の補強用の鉄材腐食及び/又は骨材反応によりヒビや亀裂が発生したコンクリートの損傷部を除去し、該コンクリート除去部にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルを充填して補修したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、亜硝酸リチウム溶液の混入したモルタルをモルタル吹付ノズルを介してコンクリート構造体の所定個所に吹き付けるので、コンクリート構造体にモルタルが強い結合力で結合(付着)すると共に、この場所に塩化物を含む水等が浸透しても亜硝酸リチウム(LiNO2)の亜硝酸イオン(NO2-)により該塩化物の塩素イオン(Cl-)が中和され、更に後に詳述するようにコンクリート中に埋設されている鉄材表面の塩素イオン(Cl-)で破壊された不動態皮膜が亜硝酸リチウム(LiNO2)により再生され錆発生を防止する。また、モルタル中の亜硝酸リチウム(LiNO2)のリチウムイオン(Li)がシリカ骨材のシリカ成分と反応しその表面に不溶性の反応層(Li2O×Sio2)を形成されるため、骨材反応が抑制される。従って、塩害や骨材反応によりコンクリートにヒビや亀裂を発生させ、その強度が低下するということを防止できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気によりモルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で混合体に水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付ける所謂乾式モルタル吹付けとすることにより、後述するようにポリマーセメント及び骨材の混合体(乾燥モルタル)を長い距離圧送できモルタル吹付工法範囲を広く設定できると共に、高速でモルタルを吹付けることができるので、密度が高くコンクリートの結合力が大きいモルタル層を形成できる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをホースを介してモルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付ける所謂湿式モルタル吹付けとすることにより、後述するように上記乾式に比べてモルタルの圧送距離が短く、吹付速度が低いことから、モルタル吹付工法範囲が狭く、モルタルとコンクリートの結合力は弱くなるが、水とポリマーセメントの比を一定にすることが容易で、モルタルの吹付けに際しモルタルのリバウンド量が少なく、モルタルの無駄が少なくなる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、ヒビや亀裂が発生したコンクリートの損傷部を除去した部分にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介して吹き付けて充填するので、コンクリート構造体にモルタルが強い結合力で結合(付着)すると共に、この場所に塩化物を含む水等が浸透しても塩素イオン(Cl-)は亜硝酸リチウム(LiNO2)の亜硝酸イオン(NO2-)で中和され、更にコンクリート中に埋設されている鉄材表面の塩素イオン(Cl-)で破壊された不動態皮膜がモルタル中の亜硝酸リチウム(LiNO2)により再生され錆発生を防止する。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気によりモルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で混合体に水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付ける所謂乾式モルタル吹付けとすることにより、後述するようにポリマーセメント及び骨材の混合体(乾燥モルタル)を長い距離圧送でき広範囲に存在するコンクリート構造体のコンクリート損傷個所の補修が可能であると共に、高速でモルタルを吹付けるので、密度が高くコンクリートの結合力が大きいモルタル層を形成できる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルを前記モルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付ける所謂湿式モルタル吹付けとすることにより、後述するように上記乾式に比べてモルタルの圧送距離が短く、吹付速度が低いとから、コンクリート構造体の修復範囲が狭く、モルタルとコンクリートの結合力は弱くなるが、水とポリマーセメントの比を一定にすることが容易で、モルタルの吹付けに際しモルタルのリバウンド量が少なく、モルタルの無駄が少なくなる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、鉄筋に防錆処理層を設けたので、鉄材の防錆が更に向上し塩害を防止できる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、コンクリート除去部の表面に付着材層を設けたので、コンクリートとの結合力が更に大きいモルタル層を形成できる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、コンクリート構造体の骨材反応によりヒビや亀裂が発生したコンクリートの損傷部を除去し、該コンクリート除去部にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズル介して吹き付けて充填するので、モルタル中の亜硝酸リチウム(LiNO2)のリチウムイオン(Li)がシリカ骨材のシリカ成分と反応しその表面に不溶性の反応層(Li2O×Sio2)を形成されるため、骨材反応が抑制される。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気によりモルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で混合体に水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付ける所謂乾式モルタル吹付けとすることにより、ポリマーセメント及び骨材の混合体(乾燥モルタル)を長い距離圧送でき広範囲に存在するコンクリート構造体の骨材反応によるコンクリート損傷個所の補修が可能であると共に、高速でモルタルを吹付けるので、密度が高くコンクリートの結合力が大きいモルタル層を形成できる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付ける所謂湿式モルタル吹付けとすることにより、乾式に比べてモルタルの圧送距離が短く、吹付速度が低いことから、骨材反応によるコンクリート構造体の修復範囲が狭く、モルタルとコンクリートの結合力は弱くなるが、水とポリマーセメントの比を一定にすることが容易で、モルタルの吹付けに際しモルタルのリバウンド量が少なく、モルタルの無駄が少なくなる。
【0029】
請求項12に記載の発明によれば、コンクリート除去部にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルを充填して補修したので、この補修部に塩害や骨材反応によりヒビや亀裂が発生することのないコンクリート構造体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。本実施形態例では降雪地帯の道路の橋脚等に塩化カルシウム等の消雪剤(融雪剤)で融雪した消雪剤の塩化物を含む融雪水が浸透し、該橋脚に埋設された鉄筋等の鉄材に錆が発生し、周囲のコンクリートにヒビや亀裂を発生した場合の修復を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンクリート構造体に塩化物を含有する水が浸透し、埋設された鉄材に錆が発生し、コンクリートにヒビや亀裂が発生する塩害、骨材反応によりコンクリートにヒビや亀裂が発生する骨材反応害の補修、骨材反応の抑制に広く利用できる。
【0031】
図1は降雪地帯に敷設された橋脚の頂部の構成例を示す図で、橋脚10の頂部には橋梁11の端部が搭載され、支持されている。橋梁11の上面(道路面)に降雪があると、塩化マグネシウムや塩化カルシウム等の消雪剤を降りかけ雪を溶かす。この融雪水12の多くは橋梁11の端部と端部の間隙を通って流れ、橋脚10の表面を通って流下するが、この融雪水12の一部は橋脚10のコンクリート中に浸透する。該融雪水12中には消雪剤の塩化物が混入しており、該塩化物の塩素イオン(Cl-)により鉄材13の表面の不動態皮膜が破壊され、鉄材13に錆が発生する。このように鉄材13に錆が発生し、該錆で鉄材13の表面が膨張すると、周囲のコンクリート材を圧迫し、コンクリートにヒビや亀裂が発生する。該ヒビや亀裂が発生すると、該ヒビや亀裂を通って融雪水が浸透し、鉄材13の錆が更に進行し、コンクリートに更に多くのヒビや亀裂が発生し、コンクリートの強度が低下する。
【0032】
図2(a)は橋脚10の鉄材13近傍の一部を示す図である。図示するように、鉄材13の錆が進行すると、該鉄材13の周辺のコンクリート14中に多くのヒビや亀裂15が発生する。このヒビや亀裂15が発生した部分のコンクリート強度は劣化するから、この部分を除去して、その除去部に本発明に係るモルタル吹付工法を用いてモルタルを充填して補強修復する必要がある。以下の修復方法について説明する。先ず、図2(b)に示すようにヒビや亀裂15が発生したコンクリート損傷部分16を電動及びエアピック、ウォータージェット等によりコンクリート損傷部16を粉砕除去(ハツル)し、図2(c)に示すように鉄材13の周辺部にコンクリート除去部17を形成する。
【0033】
次に、鉄材13表面の錆をサンドブラスト等で除去する。続いてコンクリート除去部17表面(母材コンクリート表面)の汚れや有害物をサンドブラスト及びウォータジェットにより除去し、コンクリート14の健全な下地を露出させる。この状態で、図3(a)に示すように、錆を落とした鉄材13の表面に防錆材を塗布して防錆処理層18を形成する。ここで防錆材としては、例えばケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウムを所定の割合で混合したものを用いる。鉄材13の表面に防錆処理層18を形成した状態で図3(b)に示すように、コンクリート除去部17に後に詳述するように、ポリマーセメントと骨材(砂)と水と亜硝酸リチウム(LiNO2)の溶液とを混練してなるモルタルをノズル介して吹き付けてモルタル充填層19を形成する。続いて図3(c)に示すように、モルタル充填層19の上に仕上げモルタル層20を形成し、更に仕上げモルタル層20の上に表面処理層(例えばアクリル塗料の塗布層)21を形成する。
【0034】
また、図2(c)に示すように鉄材13の周辺部にコンクリート除去部17を形成し、鉄材13表面の錆を落し、鉄材13の表面に防錆材を塗布して防錆処理層18を形成し、
コンクリート除去部17の表面の汚れや有害物質を除去してコンクリート14の健全な下地を露出させる。次に図4(a)に示すように、コンクリート除去部17の表面にモルタルの付着を良くするため付着材を塗布して付着材層22を形成する。次に図4(b)に示すようにコンクリート除去部17にポリマーセメントと骨材(砂)と水と亜硝酸リチウム(LiNO2)の溶液とを混練してなるモルタルをノズルを介して吹き付けてモルタル充填層19を形成する。続いて図4(c)に示すように、モルタル充填層19の上に仕上げモルタル層20を形成し、更にモルタル層20の上に表面処理層(例えばアクリル塗料の塗布層)21を形成する。なお、付着材層22を形成する付着材としてはケイ酸カルシウム、ギ酸カルシウム、アクリル酸ブチルースチレン及びケイ砂を所定の割合で混合したものを用いる。
【0035】
上記のようにヒビや亀裂が発生したコンクリート損傷部分16を除去しコンクリート除去部分17にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介して吹き付けてモルタル充填層19を形成するので、コンクリート除去部17の表面(母材コンクリート表面)にモルタル充填層19が強い結合力で結合(付着)する。そしてこのモルタル充填層19に塩化物を含んだ融雪水が浸透した場合、該塩化物の塩素イオン(Cl-)が鉄材13の表面の不動態皮膜を破壊するが、モルタル充填層19中に存在する亜硝酸リチウム(LiNO2)の亜硝酸イオン(NO2-)の作用により破壊された不動態皮膜が再形成されるから、鉄材13表面の錆発生を防止する。図5はこの不動態皮膜の破壊と再生のメカニズムを示す図である。図5(a)に示すように、鉄材13が埋設されているコンクリート14中に塩化物が浸透した場合、その塩素イオン(Cl-)と酸素イオン(O2-)、水(H2O)により鉄材13表面の不動態皮膜はFe(OH)2となって破壊されるが、図5(b)に示すようにモルタル充填層19中では該モルタル中に存在する亜硝酸リチウム(LiNO2)の亜硝酸イオン(NO2-)の作用により下記の反応で破壊された不動態皮膜が再形成される。
Fe2++2OH+2NO-→2NO+Fe23+H2
【0036】
また、コンクリート14中のシリカ骨材23のシリカ成分は、図6(a)に示すように所定のアルカリ成分(K+、Na+、OH-)と水(H2O)の存在下で反応(骨材反応)し、シリカ骨材23の表面に生成ゲル(Na2O・nSiO2・mH2O)層24が形成され、該生成ゲル層24の成長膨張によりコンクリート14が圧迫され、その表面にヒビや亀裂25が発生する。これに対して亜硝酸リチウム(LiNO2)を含むモルタル充填層19中では、図6(b)に示すようにリチウムイオン(Li+)がシリカ骨材23のシリカ成分と反応しその表面に不溶性の反応生成物(Li2O×Sio2)層26を形成するため、上記骨材反応が抑制される。これによる骨材反応によりコンクリート14にヒビや亀裂を発生させ、その強度が低下するということを防止できる。
【0037】
モルタル吹付工法には、乾式と湿式がある。乾式モルタル吹付工法は図7に示すように、モルタル吹付ノズル31を備え、該モルタル吹付ノズル31と乾燥モルタル供給装置32をホース34で接続している。乾燥モルタル供給装置32には圧縮空気33が供給され、該乾燥モルタル供給装置からポリマーセメントと骨材の混合体(乾燥モルタル)35を所定量ずつ切り出してホース34内に投入する。該ホース34内には圧縮空気33が供給され、ポリマーセメントと骨材の混合体は圧縮空気によりホース34内を通って圧送されるうちに該圧縮空気33と均一に混合されて、モルタル吹付ノズル31に送られる。該モルタル吹付ノズル31に水と亜硝酸リチウム溶液の混合液36が供給され、該モルタル吹付ノズル31内で圧縮空気と均一に混合したポリマーセメントと骨材の混合体に混合液36を混入し、モルタル37としモルタル吹付ノズル31から橋脚10のコンクリート除去部17(図2、図3、図4参照)に吹付け、該コンクリート除去部17をモルタル37で充填する(モルタル充填層19を形成する)。なお、圧縮空気とポリマーセメントと骨材の混合体と水と亜硝酸リチウム溶液の混合液36の混合・混練は、モルタル吹付ノズル31の直前で行ってもよい。
【0038】
湿式モルタル吹付工法は図8に示すように、モルタル吹付ノズル41を備え、該モルタル吹付ノズル41とモルタル供給装置42をホース43で接続している。モルタル供給装置42内ではポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合・混練してなるモルタル44が収容されており、該モルタル44がホース43を通してモルタル吹付ノズル41まで圧送している。モルタル吹付ノズル41に圧縮空気45を供給することにより、該モルタル吹付ノズル41から橋脚10のコンクリート除去部17にモルタル44を吹付け、該コンクリート除去部17(図2、図3、図4参照)をモルタル44で充填する(モルタル充填層19を形成する)。
【0039】
上記乾式モルタル吹付工法、湿式モルタル吹付工法にはそれぞれ下記のようなメリット・デメリットがある。
(乾式)
・モルタル37の水分の調整はモルタル吹付ノズル31に注入する水の量で行うので、操作者の技量に左右される。
・リバウンドするモルタル(コンクリート表面から跳ね返るモルタル)37の量が湿式より多く(10〜20%)、無駄になるモルタル37の量が多くなる。
・ホース34内のポリマーセメントと骨材の混合体35は乾燥状態にあるから再使用可能である。また、ホース34の内部の清掃は毎日行う必要がない。
・ポリマーセメントと骨材の混合体35の移送距離、即ちホース34の長さを長くとることが可能(最大距離水平200m、高さ方向150m)であるから、モルタル吹付ノズル31を広範囲に移動でき、モルタル吹付施工範囲が大きくなる。
・モルタル吹付け速度を高速(200km/h)とすることができ、吹付けたモルタルがコンクリート表面に高密度と強い結合力で付着する。
【0040】
(湿式)
・モルタルはモルタル供給装置42内でポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合して得るので、水とポリマーセメントの比を一定にすることができると共に、バッチ式で得るのでダストの発生が少ない。
・リバウンドするモルタル(コンクリート表面から跳ね返るモルタル)44の量が乾式より少ない(2〜5%)、無駄になるモルタル44の量が少ない。
・モルタル44の圧送速度は一定である。
・トラブル発生時ホース43等の内部を清掃する必要がある(放置するとホース43等の内部でモルタル44が硬化し詰まる)。
・モルタルの圧送距離、即ちホース43の長さを乾式に比べて長く出来ない(最大60m)ことからモルタル吹付ノズル41の移動範囲が狭く、モルタル吹付施工範囲を広くできない。
・モルタル吹付け速度が乾式に比べて速くできない(100km/h)ため、吹付けたモルタルの結合力は乾式に比べて小さい。
【0041】
図9は乾式モルタル吹付装置の概略構成例を示す図である。乾式モルタル吹付装置は図9に示すように、サイロ51、吹付機52、コンプレッサ53を備えている。サイロ51に収納されているポリマーセメントと骨材の混合体(乾燥モルタル)は供給管54を通して吹付機52に供給される。吹付機52はホッパー55と切出機56を備え、供給管54を通して供給されたポリマーセメントと骨材の混合体は該ホッパー55に収容され、該ホッパー55から切出機56で所定量ずつ切出されてホース43に投入される。該ホース43内にはコンプレッサ53から圧縮空気33が供給されるようになっており、ポリマーセメントと骨材の混合体35はホース43を所定距離(60m以上)移送されるうちに圧縮空気33と均一に混合され、モルタル吹付ノズル31に達する。モルタル吹付ノズル31には水と亜硝酸リチウム溶液の混合液36をホース57を通して供給し、ポリマーセメントと骨材と圧縮空気33と混合液36とを混合して、モルタル37として橋脚10に吹付ける。なお、ポリマーセメントと骨材の混合体(乾燥モルタル)にはダストの飛散を防ぐため、供給管54を通じ混合液36をダストの飛散を防止する程度の量だけ供給する。
【0042】
図10は湿式モルタル吹付装置の概略構成例を示す図である。湿式モルタル吹付装置は図10に示すように、サイロ61、モルタル供給機62、コンプレッサ63を備えている。モルタル供給機62はホッパー64とモルタル攪拌押出機65と該モルタル攪拌押出機65を駆動するモータ67を備えている。サイロ61でポリマーセメントと骨材と水(亜硝酸リチウム溶液を含む)を混合して得られたモルタルは例えば払出機構66でホッパー64に供給され、モータ67によりモルタル攪拌押出機65を駆動することでモルタルをホース43を通ってモルタル吹付ノズル41まで圧送する。該モルタル吹付ノズル41にコンプレッサ63からホース68を通して圧縮空気45を供給し、モルタル吹付ノズル41からモルタル44を橋脚10に吹付ける。
【0043】
上記乾式モルタル吹付工法で使用するポリマーセメントとしては、例えばケイ酸カルシウム、ギ酸カルシウム、アクリル酸ブチルースチレン、ケイ砂を所定割合で混合したものを用いる。また、湿式モルタル吹付工法で使用するポリマーセメントとしては、例えばケイ酸カルシウム、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、アクリル酸スチレン、二酸化ケイ素、ギ酸カルシウム、酸化カルシウム、及びフッ化カルシウムを所定割合で混合したものを用いる。
【0044】
乾式モルタル吹付装置によるモルタルの亜硝酸リチウムの使用量算出方法の一例を以下に説明する。
・モル比(亜硝酸イオン/塩化物イオン)を下式から算出する。
モル比(NO2-/Cl-)=(NO2-量/NO2-分子量)/(Cl-量/Cl-分子量)
=(NO2-量/46.0)/(Cl-量/35.5)
・NO2-量算出式
NO2-量=モル比×(Cl-量/Cl-分子量)×NO2-分子量
=モル比×(Cl-量/35.5)×46.0
【0045】
ここで、コンクリート中のCl-量:1.0kg/m3、モル比1:5、亜硝酸リチウム溶液:濃度20wt%比重の場合とした場合、亜硝酸リチウム(LiNO2)の使用量の計算例は下記のようになる。
NO2-量=モル比×(Cl-量/Cl-分子量)×NO2-分子量
=1.5×(1.0kg/m3/35.5)×46.0
≒1.944
【0046】
亜硝酸リチウム量(kg/m3)=1.944×(LiNO2分子量/NO2分子量)
=1.944×(52.9/46.0)
≒2.236
【0047】
亜硝酸リチウム水溶液量(kg/m3)=2.236/0.2
=11.18
吹付モルタル1m3当たりの重量が2200kgとし、セメント量は25%、水とセメント比を40%とすると、使用する水の量は220kgとなり、亜硝酸リチウム水溶液混入量は11.18/220=5.1%
【0048】
コンクリート構造体の骨材反応を抑止するために、請求項1のモルタル吹付工法により、図11に示すように、コンクリート構造体71の表面にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウムの混合体からなるモルタル層72を形成する。これにより、モルタル層72中の亜硝酸リチウム(LiNO2)がコンクリート構造体71中に浸透し、リチウムイオン(Li+)がシリカ骨材23のシリカ成分と反応しその表面に不溶性の反応生成物(Li2O×Sio2)層26が形成され、骨材反応が抑制する。即ち、骨材反応が発生する恐れがある場合、コンクリート構造体71の表面に亜硝酸リチウム溶液を含むモルタル層72を形成することにより、骨材反応の抑制が期待できる。
【0049】
また、図12に示すように、骨材反応により表面にヒビや亀裂の発生したコンクリート損傷部を除去したコンクリート除去部74を形成し、このコンクリート除去部74にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウムを混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介して吹付けてモルタル充填部75を形成した場合、モルタル充填部75では図6(b)と同様、シリカ骨材23の表面に不溶性の反応生成物(Li2O×Sio2)層26が形成され骨材反応が抑制されると共に、モルタル充填部75の近傍に位置するコンクリート構造体73では図11と同様、モルタル充填部75から浸透する亜硝酸リチウム(LiNO2)により、リチウムイオン(Li+)がシリカ骨材23のシリカ成分と反応しその表面に不溶性の反応生成物(Li2O×Sio2)層26が形成するから、骨材反応が抑制される。
【0050】
図13(a)乃至(c)はそれぞれ乾式モルタル吹付工法で直径(Φ)=50.0mm、厚さ100mm弱のモルタル吹付層を形成し、現場空中での養生で養生期間を変えて強度試験を行った結果を示す図である。(a)は養生期間28日で平均強度は66.0(N/mm2)、(b)は養生期間7日で平均強度48.1(N/mm2)、(c)は養生期間4日で平均強度42.1(N/mm2)であった。
【0051】
図14(a)乃至(c)はそれぞれ湿式モルタル吹付工法で直径(Φ)=50.0mm、厚さ100mm弱のモルタル吹付層を形成し、現場空中での養生で養生期間を変えて強度試験を行った結果を示す図である。(a)は養生期間28日で平均強度は48.7(N/mm2)、(b)は養生期間7日で平均強度34.6(N/mm2)、(c)は養生期間4日で平均強度30.6(N/mm2)であった。図13、図14からも明らかなように、乾式モルタル吹付工法によるモルタル層が湿式モルタル吹付工法によるモルタル層より引っ張り強度が強いこと、即ち剥離しにくいことが解る。
【0052】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】橋脚頂部の構成例を示す図である。
【図2】橋脚の鉄材近傍のコンクリート損傷部及びその除去状態を示す図である。
【図3】橋脚の鉄材近傍のコンクリート損傷除去部にモルタルを吹付け充填する例を示す図である。
【図4】橋脚の鉄材近傍のコンクリート損傷除去部にモルタルを吹付け充填する例を示す図である。
【図5】コンクリート中の鉄材の不動態皮膜の損傷と再生のメカニズムを説明するための図である。
【図6】コンクリートの骨材反応とその抑制のメカニズムを説明するための図である。
【図7】乾式モルタル吹付の概要を示す図である。
【図8】湿式モルタル吹付の概要を示す図である。
【図9】乾式モルタル吹付装置の概略構成を示す図である。
【図10】湿式モルタル吹付装置の概略構成を示す図である。
【図11】コンクリート構造体の表面に亜硝酸リチウムを含むモルタル層を形成した場合の骨材反応抑制のメカニズムを説明するための図である。
【図12】コンクリート構造体のコンクリート除去部に亜硝酸リチウムを含むモルタル充填した場合の骨材反応の抑制メカニズムを説明するための図である。
【図13】本発明に係る乾式モルタル吹付工法で形成したモルタル層の強度試験の結果を示す図である。
【図14】本発明に係る湿式モルタル吹付工法で形成したモルタル層の強度試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10 橋脚
11 橋梁
12 融雪水
13 鉄材
14 コンクリート
15 ヒビや亀裂
16 コンクリート損傷部分
17 コンクリート除去部
18 防錆処理層
19 モルタル充填層
20 仕上げモルタル層
21 表面処理層
22 付着材層
23 シリカ骨材
24 生成ゲル層
25 ヒビや亀裂
26 反応生成物層
31 モルタル吹付ノズル
32 乾燥モルタル供給装置
33 圧縮空気
34 ホース
35 混合体(乾燥モルタル)
36 混合液
37 モルタル
41 モルタル吹付ノズル
42 モルタル供給装置
43 ホース
44 モルタル
45 圧縮空気
51 サイロ
52 吹付機
53 コンプレッサ
54 供給管
55 ホッパー
56 切出機
61 サイロ
62 モルタル供給機
63 コンプレッサ
64 ホッパー
65 モルタル攪拌押出機
67 モータ
68 ホース
71 コンクリート構造体
72 モルタル層
73 コンクリート構造体
74 コンクリート除去部
75 モルタル充填部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液とを混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介してコンクリート構造体の所定個所に吹き付けることを特徴とするモルタル吹付工法。
【請求項2】
請求項1に記載のモルタル吹付工法において、
前記モルタル吹付ノズルからのモルタルの吹付けは、前記ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気により前記モルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で前記混合体に前記水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付けることを特徴とするモルタル吹付工法。
【請求項3】
請求項1に記載のモルタル吹付工法において、
前記モルタル吹付ノズルからのモルタルの吹付けは、前記ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをホースを介して前記モルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付けることを特徴とするモルタル吹付工法。
【請求項4】
補強用の鉄材が埋設されたコンクリート構造体の該鉄材腐食によりヒビや亀裂が発生したコンクリートの損傷部を鉄材を除いて除去し、該コンクリート除去部にモルタルを充填して、該損傷部を修復するコンクリート構造体の損傷部修復方法であって、
前記鉄材を除いたコンクリート除去部にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介して吹き付けて充填することを特徴とするコンクリート構造体の損傷部修復方法。
【請求項5】
請求項4に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、
前記モルタル吹付ノズルからのモルタル吹付けは、前記ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気により前記モルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で前記混合体に前記水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付けることを特徴とするコンクリート構造体の損傷部修復方法。
【請求項6】
請求項4に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、
前記モルタル吹付ノズルからのモルタル吹付けは、前記ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルを前記モルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付けることを特徴とするコンクリート構造体の損傷部修復方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、
前記鉄筋を除いてコンクリートの損傷部を除去した後、該鉄筋に防錆材を塗布した防錆処理層を設けたことを特徴とするコンクリート構造体の損傷部修復方法。
【請求項8】
請求項5又は6に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、
前記鉄筋を除いてコンクリートの損傷部を除去した後、該コンクリート除去部の表面に前記モルタルの付着を良好にする付着材を塗布した付着材層を設けたことを特徴とするコンクリート構造体の損傷部修復方法。
【請求項9】
コンクリート構造体の骨材反応によりヒビや亀裂が発生したコンクリートの損傷部を除去し、該コンクリート除去部にモルタルを充填して、該損傷部を修復するコンクリート構造体の損傷部修復方法であって、
前記コンクリート除去部にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルをモルタル吹付ノズルを介して吹き付けて充填することを特徴とするコンクリート構造体の損傷部修復方法。
【請求項10】
請求項9に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、
前記モルタル吹付ノズルからのモルタル吹付けは、前記ポリマーセメント及び骨材の混合体をホースを介して圧縮空気により前記モルタル吹付ノズルに圧送し、該モルタル吹付ノズルの直前又は該モルタル吹付ノズル中で前記混合体に前記水と亜硝酸リチウム溶液を混入してモルタルとし、該モルタル吹付ノズルから吹付けることを特徴とするコンクリート構造体の損傷部修復方法。
【請求項11】
請求項9に記載のコンクリート構造体の損傷部修復方法において、
前記モルタル吹付ノズルからのモルタル吹付けは、前記ポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルを前記モルタル吹付ノズルに移送し、該モルタル吹付ノズルに圧縮空気を供給して吹付けることを特徴とするコンクリート構造体の損傷部修復方法。
【請求項12】
コンクリート構造体の補強用の鉄材腐食及び/又は骨材反応によりヒビや亀裂が発生したコンクリートの損傷部を除去し、該コンクリート除去部にポリマーセメントと骨材と水と亜硝酸リチウム溶液を混合してなるモルタルを充填して補修したことを特徴とするコンクリート構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−177567(P2007−177567A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379294(P2005−379294)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(506004229)株式会社コンクリート・型枠技術研究所 (1)
【Fターム(参考)】