説明

モルタル外壁の接合構造及びモルタル外壁の接合方法

【課題】モルタル層の切断面での防水性を大幅に向上しうる。
【解決手段】壁下地2のみを残して既設のモルタル層3を切断除去し、この切断除去された既設のモルタル層3の切断面3cに新設のモルタル層4を接続させたモルタル外壁の接合構造である。新設のモルタル4層は、防水テープ16、防水シート17、ラス網18、シーリング材19、無収縮性固化材20、及び新設のモルタル21を含む。壁下地2と防水テープ16との間には、既設側の側縁22oが既設のモルタル層3の切断面3c側に近接し、かつ壁下地2の隙間8を覆う下地プレート22が配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタル層の接合部での防水性を大幅に向上しうるモルタル外壁の接合構造及びモルタル外壁の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家族構成や生活環境の変化に伴って、住宅のリフォームが一般的に行われている。このリフォームでは、例えば、部屋数を増やすために、既設の外壁が延設される。この既設の外壁がモルタル外壁である場合の延設方法として、例えば、下記特許文献1において、モルタル外壁の接合構造及び方法が提案されている。
【0003】
この接合構造は、既設のモルタル層の切断面から延設され、かつ複数かつ長尺な板材が隙間を空けて配されたすのこ状のラス板に貼付される防水テープ、該防水テープと切断面とがなる入隅部を水密するシーリング材、該シーリング材を埋設する無収縮性固化材、前記防水テープに積層される防水シート、該防水シートに積層されるラス網、及びこれらを埋設する新設のモルタルを含む。
【0004】
このような接合構造では、シーリング材が、防水テープと切断面との隙間を塞ぐとともに、無収縮性固化材が、シーリング材の周囲で固化することにより、接合部での防水性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4222577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような接合構造では、防水テープがすのこ状のラス板で間欠的に支持されているため、前記入隅部の防水テープ上に、シーリング材を盛ってヘラ等で押し付けると、防水テープがラス板の隙間にめり込むとともに、シーリング材がこの隙間からはみ出すことがあり、接合部での防水性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、壁下地と防水テープとの間に、既設側の側縁が既設のモルタル層の切断面側に近接し、かつ壁下地の隙間を覆う下地プレートを配することを基本として、モルタル層の接合部での防水性を大幅に向上しうるモルタル外壁の接合構造及びモルタル外壁の接合方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、複数かつ長尺な板材が隙間を空けて配されたすのこ状の壁下地、及び該壁下地の外側に既設の防水シートを介して配された既設のモルタルを含む既設のモルタル層からなる既設のモルタル外壁に、前記壁下地のみを残して前記既設のモルタル層を切断除去し、この切断除去された既設のモルタル層の切断面に新設のモルタル層を接続させたモルタル外壁の接合構造であって、前記新設のモルタル層は、前記既設のモルタル層の切断面から露出する前記壁下地の外側に、既設側の側縁が前記既設のモルタル層の切断面に近接して配された防水テープ、前記防水テープと少なくとも一部で積層して配されるとともに、前記壁下地の外側に配された新設の防水シート、前記新設の防水シートの外側に配された新設のラス網、前記既設のモルタル層の前記切断面と前記壁下地との入隅部で、少なくとも前記防水テープの既設側の側縁と前記切断面との間を水密するシーリング材、前記入隅部で前記シーリング材を被覆する無収縮性固化材、及び前記無収縮性固化材の外側で、前記壁下地と、前記防水テープと、前記新設の防水シートと、前記新設のラス網とを被覆する新設のモルタルを含み、前記壁下地と前記防水テープとの間には、既設側の側縁が前記既設のモルタル層の前記切断面側に近接し、かつ前記壁下地の前記隙間を覆う下地プレートが配されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記下地プレートの前記既設側の側縁は、前記既設の防水シートと前記壁下地との間に差し込まれる請求項1に記載のモルタル外壁の接合構造である。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記下地プレートは、樹脂又は金属からなる請求項1又は2に記載の外壁の接合構造である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、複数かつ長尺な板材が隙間を空けて配されたすのこ状の壁下地、及び該壁下地の外側に既設の防水シートを介して配された既設のモルタルを含む既設のモルタル層からなる既設のモルタル外壁に、前記壁下地のみを残して前記既設のモルタル層を切断除去し、この切断除去された既設のモルタル層の切断面に新設のモルタル層を接続させるモルタル外壁の接合方法であって、前記既設のモルタル層の切断面から露出する前記壁下地の外側に、下地プレートを、その既設側の側縁を前記既設のモルタル層の前記切断面側に近接させて配することにより前記壁下地の隙間を覆って該壁下地を補強する下地プレート配置工程、前記下地プレートの外側に、既設側の側縁を前記既設のモルタル層の切断面に近接させて、防水テープを配する防水テープ配置工程、前記防水テープと少なくとも一部で積層するように、前記壁下地の外側に新設の防水シートを配する防水シート配置工程、前記新設の防水シートの外側に新設のラス網を配するラス網配置工程、前記既設のモルタル層の前記切断面と前記壁下地との入隅部で、少なくとも前記防水テープの既設側の側縁と前記切断面との間にシーリング材を配して水密するシーリング材配置工程、前記入隅部で前記シーリング材を被覆するように無収縮性固化材を配する無収縮性固化材配置工程、前記無収縮性固化材の外側で、前記壁下地と、前記防水テープと、前記新設の防水シートと、前記新設のラス網とを被覆するように前記新設のモルタルを塗り込むモルタル配置工程を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記下地プレート配置工程は、前記下地プレートの既設側の側縁を、前記既設の防水シートと前記壁下地との間に差し込む工程を含む請求項4に記載のモルタル外壁の接合方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のモルタル外壁の接合構造は、複数かつ長尺な板材が隙間を空けて配されたすのこ状の壁下地、及び該壁下地の外側に既設の防水シートを介して配された既設のモルタルを含む既設のモルタル層からなる既設のモルタル外壁に、壁下地のみを残して既設のモルタル層を切断除去し、この切断除去された既設のモルタル層の切断面に新設のモルタル層を接続させている。
【0014】
また、新設のモルタル層は、既設のモルタル層の切断面から露出する壁下地の外側に、既設側の側縁が既設のモルタル層の切断面に近接して配された防水テープ、防水テープと少なくとも一部で積層して配されるとともに、壁下地の外側に配された新設の防水シート、新設の防水シートの外側に配された新設のラス網、既設のモルタル層の切断面と壁下地との入隅部で、少なくとも防水テープの既設側の側縁と切断面との間を水密するシーリング材、入隅部でシーリング材を被覆する無収縮性固化材、及び無収縮性固化材の外側で、壁下地と、防水テープと、新設の防水シートと、新設のラス網とを被覆する新設のモルタルを含む。
【0015】
このような新設のモルタル層は、シーリング材が、防水テープと切断面との隙間を確実に塞ぎうるとともに、無収縮性固化材が、シーリング材の周囲で固化できるため、切断面での防水性を確実に向上しうる。
【0016】
さらに、壁下地と防水テープとの間には、既設側の側縁が既設のモルタル層の切断面側に近接し、かつ壁下地の隙間を覆う下地プレートが配される。
【0017】
このような下地プレートは、壁下地の隙間を覆って防水シートを支持しうるため、シーリング材がヘラ等で押し付けられても、該防水シートが壁下地の隙間にめり込むのを防ぎ、ひいてはシーリング材が該隙間からはみ出すのを防ぐことができる。本発明のモルタル外壁の接合構造によれば、モルタル層の接合部での防水性を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態のモルタル外壁の接合構造を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】他の実施形態のモルタル外壁の接合構造を示す断面図である。
【図4】(a)は下地プレート配置工程を説明する断面図、(b)は他の実施形態の下地プレート配置工程を説明する断面図である。
【図5】(a)は防水テープ配置工程を説明する断面図、(b)は防水シート配置工程を説明する断面図、(c)はラス網配置工程を説明する断面図である。
【図6】(a)はシーリング材配置工程を説明する断面図、(b)は無収縮性固化材配置工程を説明する断面図、(c)はモルタル配置工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態のモルタル外壁1の接合構造(以下、単に「接合構造」ということがある。)は、住宅のリフォーム等において、既設のモルタル外壁1oの延設や、開口部の拡大、縮小又は削除する際に用いられる。
【0020】
具体的には、壁下地2と、該壁下地2の外側に配される既設のモルタル層3とからなる既設のモルタル外壁1oに、壁下地2のみを残して既設のモルタル層3を切断除去し、この切断除去された既設のモルタル層3の切断面(以下、単に「切断面」ということがある。)3cに新設のモルタル層4を接続して構成される。
【0021】
前記壁下地2は、例えば、左右に間隔を空けて配され、かつ上下にのびる胴縁7、7と、この胴縁7に固定された複数かつ長尺な板材6とからなる。そして、板材6は、例えば上下方向に隙間8を空けて配されることで、すのこ状に形成される。隙間8の長さL1は、例えば20mm以下に程度に設定される。また、板材6には、例えば杉等の木材が好適に採用されるが、合板、合成樹脂又は金属等からなるものでもよい。
【0022】
前記既設のモルタル層3は、図1及び図2に示されるように、壁下地2の外側に配される既設の防水シート11、この既設の防水シート11の外側に配される既設のラス網12、及び壁下地2の外側に既設の防水シート11とラス網12とを介して配される既設のモルタル13とを含む。
【0023】
前記既設の防水シート11は、壁下地2の外側に、上下及び左右方向に連続して配される。このような既設の防水シート11は、既設のモルタル13から染み込んだ雨水等が、壁下地2側に浸入するのを防ぐことができる。なお、この既設の防水シート11には、例えば、アスファルトフェルト等が適宜採用されている。
【0024】
前記既設のラス網12は、既設の防水シート11の外側に沿って配置され、例えば、ステープル等によって打ち留めされる。このような既設のラス網12は、既設のモルタル13を保持し、該既設のモルタル13が剥落するのを防ぐ。また、既設のラス網12には、例えば、平ラスや、波形ラスが採用されている。
【0025】
前記既設のモルタル13は、壁下地2の外側に、既設の防水シート11及び既設のラス網12を被覆して配置される。この既設のモルタル13には、例えば、既調合軽量セメントモルタル、砂セメントモルタル、サンドセメントモルタル、又はモルタルリシン掻き落とし等が適宜採用される。
【0026】
前記新設のモルタル層4は、前記切断面3cから露出する壁下地2の外側に配される防水テープ16、該防水テープ16と少なくとも一部で積層して配される新設の防水シート17、該新設の防水シート17の外側に配された新設のラス網18、前記切断面3cと壁下地2との入隅部Cに配されるシーリング材19、シーリング材19を被覆する無収縮性固化材20、及び無収縮性固化材20の外側に配される新設のモルタル21を含む。
【0027】
前記防水テープ16は、その既設側の側縁16oが、前記切断面3cに近接して配される。このような防水テープ16は、新設のモルタル21から染み込んだ雨水等が、壁下地2側へ浸入するのを防ぎうる。また、防水テープ16は、その幅W3が、例えば50〜100mm程度に設定され、例えば、住宅防水用粘着テープ又は粘着剤付きアスファルトフェルト等が適宜採用される。
【0028】
前記新設の防水シート17は、防水テープ16と少なくとも一部で重なり、かつ壁下地2の外側を覆って配される。このような新設の防水シート17は、防水テープ16から新設側の広範囲に亘って、壁下地2への雨水の浸入を防ぎ、防水性を向上しうる。この新設の防水シート17には、特に限定されないが、前記既設の防水シート11よりも高性能なアスファルトルーフィングフェルト430以上のルーフィング材や、透湿防水シート等が採用されるのが望ましい。
【0029】
前記新設のラス網18は、新設の防水シート17の外側に配され、ステープル等で打ち止めされる。本実施形態の新設のラス網18は、特に限定されないが、モルタルが絡みやすい波形ラス等のメタルラスや、リブラス等の異形ラスや、力骨付ラス等の複合ラス等が望ましい。
【0030】
また、ラス網18の既設側の側縁18oは、無収縮性固化材20に被覆されるのが望ましい。これにより、ラス網18は、新設のモルタル21の乾燥収縮によって、その側縁18oが壁下地2から剥がれるのを抑制でき、耐久性を向上しうる。
【0031】
前記シーリング材19は、前記入隅部Cに、少なくとも防水テープ16の既設側の側縁16oを覆って配される。このようなシーリング材19は、防水テープ16の前記側縁16oと前記切断面3cとの隙間を塞いで水密にでき、接合部での防水性を大幅に向上しうる。
【0032】
また、本実施形態のシーリング材19は、新設側の防水シート17の既設側の側縁17oも覆って配され、防水性をさらに高めうる。このシーリング材19としては、例えば、建築用シーリング材、アスファルトシーリング又はポリマーセメントシーリングが適宜採用される。
【0033】
前記無収縮性固化材20は、前記入隅部Cでシーリング材19の外側を被覆して配される。このような無収縮性固化材20は、新設のモルタル21の乾燥収縮によって、シーリング材19が剥離したり、損傷を受けるのを抑制しうる。この無収縮性固化材20としては、例えば、樹脂モルタル等が適宜採用される。
【0034】
前記新設のモルタル21は、無収縮性固化材20の外側で、壁下地2と、防水テープ16と、新設の防水シート17と、新設のラス網18とを被覆する。この新設のモルタル21には、特に限定されないが、例えば、既調合軽量モルタル等が望ましい。
【0035】
ところで、防水テープ16の既設側の側縁16oと前記切断面3cとの隙間に、該シーリング材19を配置して水密を確保するためには、シーリング材19が、入隅部Cに盛り付けられた後に、ヘラ等で壁下地2側へ押し付けられる。このシーリング材19の押し付けにより、従来の接合構造では、防水テープ16が壁下地2の隙間8にめり込むように変形し、シーリング材19の一部が隙間8から壁下地2の内方へとはみ出し、接合部での防水性が低下していることが判明した。
【0036】
そこで、本実施形態の接合構造では、壁下地2と防水テープ16との間に、壁下地2の隙間8を覆う下地プレート22が配される。この下地プレート22は、その既設側の側縁22oが、前記切断面3cの新設側に近接し、かつ壁下地2の隙間8を覆って配される。
【0037】
このような下地プレート22は、壁下地2の隙間8を覆って、防水テープ16を連続して支持できるため、シーリング材19がヘラ等で押し付けられても、防水テープ16が該隙間8にめり込んだり、シーリング材19が該隙間8にはみ出したりするのを防ぐことができる。従って、本実施形態の接合構造では、接合部の防水性を大幅に向上しうる。
【0038】
また、前記下地プレート22の新設側の側縁22nは、防水テープ16に覆われるのが望ましい。これにより、下地プレート22の側縁22nに形成されるエッジによって、防水シート17が損傷するのを抑制しうる。
【0039】
上記のような作用を効果的に発揮するために、下地プレート22の幅W4は、防水テープ16の幅W3の20〜50%程度、厚さが0.2〜1.5mm程度が望ましい。
【0040】
また、この下地プレート22は、水分やアルカリ性に対して、耐久性を有する樹脂又は金属からなるのが望ましい。なお、樹脂の場合には、合成樹脂等が望ましく、金属の場合には、ステンレス等が望ましい。
【0041】
本実施形態では、下地プレート22の既設側の側縁22oが、切断面3cに対して新設側に近接して配されるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、図3に示されるように、その既設側の側縁22oが、既設の防水シート11と壁下地2との間に差し込まれてもよい。
【0042】
このような下地プレート22は、前記切断面3cとの間に隙間が形成されるのを防ぎ、防水テープ16をより安定して支持しうる。このような作用を効果的に発揮するために、下地プレート22の側縁22oと切断面3cとの最短長さL5は、下地プレート22の幅W4の5〜10%程度が望ましい。
【0043】
次に、本実施形態のモルタル外壁の接合方法の一例について説明する。
本実施形態の接合方法では、図1に示されるように、前記既設のモルタル外壁1oに、前記壁下地2のみを残して、既設の防水シート11、既設のラス網12、及び既設のモルタル13を含む一部の前記既設のモルタル層3を切断除去した後に、前記切断面3cに新設のモルタル層4を接続させる。
【0044】
この接合方法では、前記切断面3cから露出する壁下地2の外側に、下地プレート22を配する下地プレート配置工程と、下地プレート22の外側に防水テープ16を配する防水テープ配置工程と、壁下地2の外側に新設の防水シート17を配する防水シート配置工程と、新設の防水シート17の外側に新設のラス網18を配するラス網配置工程と、前記入隅部Cにシーリング材19を配するシーリング材配置工程と、入隅部Cに無収縮性固化材20を配する無収縮性固化材配置工程と、無収縮性固化材20の外側で、新設のモルタル21を塗り込むモルタル配置工程とを含む。
【0045】
前記下地プレート配置工程では、図4(a)に示されるように、下地プレート22を、壁下地2の板材6、6(図1に示す)間に跨らせて、その既設側の側縁22oを前記切断面3c側に近接させて固着する。これにより、下地プレート22は、切断面3c近傍において、壁下地2の隙間8(図1に示す)を覆って、該壁下地2を補強でき、該下地プレート22の上に配される防水テープ16(図2に示す)を安定して支持しうる。
【0046】
また、図4(b)に示されるように、本工程では、下地プレート22の既設側の側縁22oを切断面3cの新設側に配した後、該側縁22oを、既設の防水シート11と壁下地2との間に差し込む工程が含まれてもよい。これにより、下地プレート22は、前記切断面3cとの間に隙間が形成されるのを防ぎうる。なお、この下地プレート22は、既設の防水シート11の圧縮変形や、壁下地2の撓みにより、既設の防水シート11と壁下地2との間に差し込まれる。
【0047】
前記防水テープ配置工程では、図5(a)に示されるように、防水テープ16を、その既設側の側縁16oを切断面3cに近接させて、下地プレート22の外側に沿って貼着する。また、防水テープ16の下地プレート22から新設側へはみ出すはみ出し部16Nは、下地プレート22の新設側の側縁22nとの間に大きな隙間ができないように、壁下地2に貼着される。
【0048】
前記防水シート配置工程では、図5(b)に示されるように、新設の防水シート17を、防水テープ16と少なくとも一部で積層されるように、壁下地2の外側に固着する。また、本実施形態では、防水シート17の既設側の側縁17oを、防水テープ16の既設側の側縁16oから新設側へ位置ずれして配置させている。
【0049】
前記ラス網配置工程では、図5(c)に示されるように、新設のラス網18を、新設の防水シート17の外側に配置して、ステープル等で打ち止めする。また、新設のモルタル21(図2に示す)を切断面3c側で確実に保持するために、新設のラス網18は、下地プレート22の少なくとも一部に積層されるのが望ましい。
【0050】
前記シーリング材配置工程では、図6(a)に示されるように、前記入隅部Cにおいて、シーリング材19を、少なくとも防水テープ16の既設側の側縁16oと切断面3cとの間に配して水密する。
【0051】
前記シーリング材19は、入隅部Cに盛られた後に、ヘラやコテ等によって、該シーリング材19を防水テープ16側に押し付けられる。この防水テープ16の内面は、下地プレート22によって支持されるため、防水テープ16の隙間8(図1に示す)へのめり込みや、シーリング材19のはみ出しを効果的に防ぐことができ、施工性及び防水性を向上しうる。
【0052】
前記無収縮性固化材配置工程では、図6(b)に示されるように、シーリング材19を施工した後、入隅部Cにおいて、無収縮性固化材20を、シーリング材19が被覆されるように配置する。本実施形態では、無収縮性固化材20が、ラス網18の既設側の側縁18oを被覆するように配置される。
【0053】
前記モルタル配置工程では、図6(c)に示されるように、無収縮性固化材20を施工した後、該無収縮性固化材20の外側に、壁下地2と、防水テープ16と、新設の防水シート17と、新設のラス網18とを被覆するように、新設のモルタル21を塗り込む。そして、この新設のモルタル21が硬化した後、本発明のモルタル外壁の接合構造が形成される。
【0054】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0055】
2 壁下地
3 既設のモルタル層
4 新設のモルタル層
16 防水テープ
17 防水シート
18 ラス網
19 シーリング材
20 無収縮性固化材
21 新設のモルタル
22 下地プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数かつ長尺な板材が隙間を空けて配されたすのこ状の壁下地、及び該壁下地の外側に既設の防水シートを介して配された既設のモルタルを含む既設のモルタル層からなる既設のモルタル外壁に、前記壁下地のみを残して前記既設のモルタル層を切断除去し、この切断除去された既設のモルタル層の切断面に新設のモルタル層を接続させたモルタル外壁の接合構造であって、
前記新設のモルタル層は、前記既設のモルタル層の切断面から露出する前記壁下地の外側に、既設側の側縁が前記既設のモルタル層の切断面に近接して配された防水テープ、
前記防水テープと少なくとも一部で積層して配されるとともに、前記壁下地の外側に配された新設の防水シート、
前記新設の防水シートの外側に配された新設のラス網、
前記既設のモルタル層の前記切断面と前記壁下地との入隅部で、少なくとも前記防水テープの既設側の側縁と前記切断面との間を水密するシーリング材、
前記入隅部で前記シーリング材を被覆する無収縮性固化材、及び
前記無収縮性固化材の外側で、前記壁下地と、前記防水テープと、前記新設の防水シートと、前記新設のラス網とを被覆する新設のモルタルを含み、
前記壁下地と前記防水テープとの間には、既設側の側縁が前記既設のモルタル層の前記切断面側に近接し、かつ前記壁下地の前記隙間を覆う下地プレートが配されることを特徴とするモルタル外壁の接合構造。
【請求項2】
前記下地プレートの前記既設側の側縁は、前記既設の防水シートと前記壁下地との間に差し込まれる請求項1に記載のモルタル外壁の接合構造。
【請求項3】
前記下地プレートは、樹脂又は金属からなる請求項1又は2に記載の外壁の接合構造。
【請求項4】
複数かつ長尺な板材が隙間を空けて配されたすのこ状の壁下地、及び該壁下地の外側に既設の防水シートを介して配された既設のモルタルを含む既設のモルタル層からなる既設のモルタル外壁に、前記壁下地のみを残して前記既設のモルタル層を切断除去し、この切断除去された既設のモルタル層の切断面に新設のモルタル層を接続させるモルタル外壁の接合方法であって、
前記既設のモルタル層の切断面から露出する前記壁下地の外側に、下地プレートを、その既設側の側縁を前記既設のモルタル層の前記切断面側に近接させて配することにより前記壁下地の隙間を覆って該壁下地を補強する下地プレート配置工程、
前記下地プレートの外側に、既設側の側縁を前記既設のモルタル層の切断面に近接させて、防水テープを配する防水テープ配置工程、
前記防水テープと少なくとも一部で積層するように、前記壁下地の外側に新設の防水シートを配する防水シート配置工程、
前記新設の防水シートの外側に新設のラス網を配するラス網配置工程、
前記既設のモルタル層の前記切断面と前記壁下地との入隅部で、少なくとも前記防水テープの既設側の側縁と前記切断面との間にシーリング材を配して水密するシーリング材配置工程、
前記入隅部で前記シーリング材を被覆するように無収縮性固化材を配する無収縮性固化材配置工程、
前記無収縮性固化材の外側で、前記壁下地と、前記防水テープと、前記新設の防水シートと、前記新設のラス網とを被覆するように前記新設のモルタルを塗り込むモルタル配置工程を含むことを特徴とするモルタル外壁の接合方法
【請求項5】
前記下地プレート配置工程は、前記下地プレートの既設側の側縁を、前記既設の防水シートと前記壁下地との間に差し込む工程を含む請求項4に記載のモルタル外壁の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−49982(P2013−49982A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188474(P2011−188474)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】