説明

モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒

【課題】 比較的温和な条件下で高い触媒活性を示し、反応終了後は生成物と触媒を容易に分離でき、再使用が可能である有機合成触媒及びその簡易な製造方法を提供する。
【解決手段】 モンモリロナイト結晶層間に、サブナノオーダーパラジウムクラスターを固定してなるモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒。上記モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒は、アルカリ土類金属型モンモリロナイトを2価パラジウム錯体で処理しパラジウム(II)型モンモリロナイトを得る工程、及び得られたパラジウム(II)型モンモリロナイトを還元剤で処理することにより製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モンモリロナイト層間にサブナノオーダー(粒子のサイズが1ナノメーター未満)のパラジウムクラスターを固定化してなるモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モンモリロナイトは、層間に多価金属カチオンを導入できる。この性質を利用して層間に銅、スカンジウム等の金属イオンを導入し、種々の有機合成反応において触媒として使用する技術が知られている(非特許文献1及び2)。このような触媒は、比較的穏和な条件下で高い触媒活性を示す上、反応終了後は簡易な操作により生成物と分離し、回収・再使用することが可能であり、環境調和型有機合成において有望である。
【0003】
一方、パラジウムクラスターは医薬品や農薬等、多様な化合物の合成用触媒として極めて有用である。特に、クラスターをナノサイズまで微小化したパラジウムナノクラスターは粒子サイズが微小なために表面積が大きく、触媒活性が高い。そこで、さらに微小なサブナノオーダーのクラスターが得られれば、より高活性な触媒となることが期待されるが、このような超微粒子のクラスターは調製の過程において、又は触媒として使用する工程において容易に凝集して塊となるため、有機合成反応において触媒として使用しうる安定なサブナノオーダーパラジウムクラスターを得るのは困難であった。
【0004】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.,125,10486(2003)
【非特許文献2】Chem.Eur.J.,11.288(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、比較的穏和な条件下で高い活性を示し、反応終了後は生成物と触媒とを容易に分離でき、再使用が可能である有機合成触媒を提供することである。本発明の他の目的は、高い触媒活性を有し、回収・再利用が容易に可能である有機合成触媒の簡易な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、モンモリロナイト結晶層間にサブナノオーダーパラジウムクラスターを固定化することにより、該クラスターが凝集して塊となることを抑制し、有機合成触媒として使用しうる安定なサブナノオーダーパラジウムクラスターが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、モンモリロナイト結晶層間に、サブナノオーダーパラジウムクラスターを固定してなるモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒を提供する。
本発明はまた、アルカリ土類金属型モンモリロナイトを2価パラジウム化合物で処理しパラジウム(II)型モンモリロナイトを得る工程、及び得られたパラジウム(II)型モンモリロナイトを還元剤で処理する工程を含むモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒は、不均一系触媒としてアリル位置換反応等の有機反応に対し極めて高い活性を示す。また、生成物と容易に分離でき、高い触媒活性を保持したまま繰り返し再利用可能である。さらに、クラスターの表面積が大きく活性が高いため、反応に必要な金属量が少なく、同じ触媒を廃棄することなく長く使えることからコスト的に有利であり、廃棄物の削減にもつながる。
本発明の製造方法によれば、従来困難であった安定なサブナノオーダーパラジウムクラスター触媒を簡易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒は、アルカリ土類金属型モンモリロナイト層間のアルカリ土類金属イオンを2価パラジウムイオンで交換し、パラジウム(II)型モンモリロナイトを得る工程及び得られたパラジウム(II)型モンモリロナイトを還元剤で処理する工程により調製することができる。
【0010】
アルカリ土類金属型モンモリロナイトは例えば、市販のナトリウム型モンモリロナイトのナトリウムイオンを適宜な方法によりアルカリ土類金属イオンに交換することにより調製することができる。上記アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどを使用できるが、これらの中で特に、カルシウムが好ましい。ナトリウムイオンのアルカリ土類金属イオンへの交換は、ナトリウム型モンモリロナイトを例えば、水酸化カルシウム水溶液、酢酸カルシウム水溶液、硫酸カルシウム水溶液等のアルカリ土類金属イオンを含む水溶液で処理することにより行うことができる。アルカリ土類金属イオンを含む水溶液のアルカリ土類金属濃度は特に制限されず、モンモリロナイトが浸食されない範囲で選択することができる。例えば、0.1〜1000mMの範囲から選択することができる。処理温度は、例えば20〜150℃、好ましくは50〜110℃、特に好ましくは60〜80℃程度である。処理時間は処理温度によっても異なるが、例えば1〜72時間、好ましくは10〜24時間の範囲から選択することができる。カルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンを含む水溶液での処理終了後、ろ過により回収し、必要に応じてイオン交換水等で洗浄し、乾燥することによりアルカリ土類金属型モンモリロナイトを得ることができる。
【0011】
アルカリ土類金属型モンモリロナイト層間のアルカリ土類金属イオンの2価パラジウムイオンへの交換は、アルカリ土類金属型モンモリロナイトを2価パラジウム化合物の溶液で処理することにより行うことができる。上記2価パラジウム化合物としては例えば、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(II)、ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)、ビス(8−オキシキノリン)パラジウム(II)、プロピオン酸パラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)酢酸塩などのパラジウム錯化合物;塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、テトラアンミンジクロロパラジウム(II)、ジナトリウムテトラクロロパラジウム(II)等のパラジウム無機塩;酢酸パラジウム(II)、安息香酸パラジウム(II)、α−ピコリン酸パラジウム(II)等のパラジウムカルボン酸塩を例示できる。これらの中で、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(II)を好適に使用できる。
【0012】
上記2価パラジウム化合物の溶液に使用する溶媒は特に制限されず、使用する2価パラジウム化合物の溶解性等に応じて適宜選択することができる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類を例示できる。溶媒は、1種または2種以上を選択して使用することができる。2価パラジウム化合物としてビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(II)を使用する場合であれば、N,N−ジメチルアセトアミドをもっとも好適に使用することができる。
【0013】
2価パラジウム化合物の使用量は特に制限されないが、例えば、カルシウム型モンモリロナイトに含まれるカルシウムイオンの0.1〜2.5モル倍の範囲から選択することができる。交換処理の際の温度は特に制限されず、処理温度は例えば、20〜150℃、好ましくは50〜110℃、特に好ましくは60〜80℃程度である。処理時間は処理温度によっても異なるが、例えば、1〜72時間、好ましくは10〜24時間の範囲から選択することができる。交換処理終了後は、得られたパラジウム(II)型モンモリロナイトはそのまま次の還元工程に付すことができるが、脱イオン水又は有機溶媒(アセトン、エタノール等)で洗浄し、乾燥後還元処理することが好ましい。乾燥は例えば、減圧下室温付近で行うことができる。
【0014】
ナトリウム型モンモリロナイト中のナトリウムイオンをカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンで交換し、アルカリ土類金属型モンモリロナイトを経由することで、効率よくモンモリロナイト層間にパラジウムイオンを導入することができる。ナトリウム型モンモリロナイトをビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(II)等で同様の処理を行っても、効率よくパラジウム型モンモリロナイトを得ることはできない。
【0015】
上述のようにして得られたパラジウム(II)型モンモリロナイトを還元剤で処理することにより、本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒を得ることができる。還元剤は公知乃至慣用の還元剤から適宜選択して使用することができ特に制限されないが、例えば、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、ブテン、シクロヘキセン、アリルアルコール、アクロレイン等を例示できる。還元剤による処理を行う際は、必要に応じて酸又はアルカリを添加してもよい。本発明において還元剤としては2価のパラジウムを0価のパラジウムに還元できる還元剤であれば特に限定されないが、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素アルカリ金属類を好適に使用でき、特に水素化ホウ素カリウムを好適に使用できる。
【0016】
還元剤処理は、例えば、パラジウム(II)型モンモリロナイトを水中に分散してスラリーとし、撹拌下、還元剤を添加することにより行うことができる。還元剤の使用量は特に制限されないが、例えば、パラジウム(II)型モンモリロナイトの調製において使用したパラジウム(II)化合物の0.1〜200モル倍程度、好ましくは20〜80モル倍の範囲から選択することができる。還元剤は、適宜な溶媒(水など)に溶解してパラジウム(II)型モンモリロナイトスラリー中に添加してもよい。還元剤として水素化ホウ素カリウムを使用する場合であれば、水を溶媒とし、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を添加するのが好ましい。還元処理終了後はろ過等により固体と液体を分離し、必要に応じて洗浄乾燥して本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒が得られる。
【0017】
上述のようにして得られた本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒は、比表面積の大きいサブナノオーダーのパラジウムクラスターがモンモリロナイト構造中のオングストローム単位の間隙に固定化されているため、種々の有機合成反応において高い触媒活性を示す。また、モンモリロナイト層間に固定されたパラジウムクラスターは、クラスター同士の凝集により粒子径が増大することなく、サブナノオーダーの粒子径を反応条件下においても保持するため、反応の終始に亘り高い触媒活性を発現する。本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒は空気中でも安定であり、水などの水性溶媒中においても好適に使用できる。さらに、本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒は、触媒として繰り返し再利用した場合であっても、クラスターが凝集することなくサブナノオーダーの粒子径を維持し、高い触媒活性や選択性は失われない。
【0018】
本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒は、例えば、
アリル位置換反応の触媒として好適に使用でき、具体的には例えば、下記式(1)で表されるアリルカーボネートや、下記式(2)で表されるアリルアセテートと種々の求核剤とのアリル位置換反応の触媒として好適に使用できる。
【化1】

(式(1)中、R1〜R5は同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R6は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1、R2、R3、R4、R5のうち少なくとも2つが結合して隣接する複数の炭素原子と共に環を形成していてもよい)
【化2】

(式(2)中、R1〜R5は同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1、R2、R3、R4、R5のうち少なくとも2つが結合して隣接する複数の炭素原子と共に環を形成していてもよい)
【0019】
求核剤の代表的な例としては例えば、下記式(3)
【化3】

(式(3)中R7、R8、R9は同一又は異なって、水素原子又は非金属原子含有基を示す。R7、R8、R9のうち少なくとも2つが結合して隣接する複数の炭素原子と共に環を形成していてもよい)
で表される1,3−ジカルボニル化合物や、
下記式(4)
【化4】

(式(4)中Yは電子吸引性基を示し、nは1〜3の整数を示す)
で表されるフェノール誘導体を例示できる。
【0020】
1〜R5における置換基を有していてもよい炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが複数結合した基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ビニル、アリル、エチニル、1−プロピニル基等の炭素数1〜20程度の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)などが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、ノルボニル、アダマンチル基などの炭素数3〜20程度の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基、橋架け炭素環式基等)などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0021】
脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては例えば、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル基などが挙げられる。また、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基として例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル等のアラルキル基;2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル基等が挙げられる。
【0022】
式(1)で表されるアリルカーボネートとしては具体的には例えば、アリルメチルカーボネート、1,3−ジフェニル−2−プロペン−1−イルエチルカーボネートなどを例示できる。
【0023】
6における置換基を有してもよい炭化水素基としては、R1〜R5における置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものを例示できる。
【0024】
式(2)で表されるアリルアセテートとしては具体的には例えば、アリルアセテート、3−フェニル−2−プロペニルアセテート、3−アセトキシ−5−カルボメトキシシクロヘキサ−1−エンなどを例示できる。
【0025】
7、R8、R9における非金属原子含有基としては、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、複素環式基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換もしくは無置換カルバモイル基、シアノ基、アシル基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、これらが複数個結合した基等が挙げられる。
【0026】
式(3)で表される1,3−ジカルボニル化合物としては例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジオン、5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン、2−アセチルシクロヘキサン−1−オンなどのβ−ジケトン;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−メチル−1−エトキシブタン−1,3−ジオンエチルベンゾイルアセテートなどのβ−ケトエステルなどが挙げられる。
【0027】
式(4)中Yで表される電子吸引性基としては例えば、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基、ニトリル基等が例示できる。式(4)で表されるフェノール誘導体としては具体的には例えば、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、ピクリン酸、サリチル酸などを例示できる。一般に、電子吸引性基を有するフェノール類とのアリル位置換反応は、均一系パラジウム触媒を使用した場合容易には進行しないことが知られているが、本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒によれば、容易に進行する。
【0028】
上記アリル位置換反応は、モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒の存在下、基質と求核剤とを混合し、撹拌することによって行うことができる。基質と求核剤との比率は適宜選択できるが、例えば、基質1モルに対して求核剤を0.1〜30モル、好ましくは2〜15モル程度の範囲から選択することができる。モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒の使用量も特に制限されず、適宜選択することができるが、例えば、基質1モルに対してモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒5〜100g、好ましくは50〜70gの範囲から選択することができる。
【0029】
反応は、通常溶媒の存在下行われる。溶媒としては特に制限されず、例えば、水;メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルコール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステルが例示できる。これらの中で、アルコールを特に好適に使用できる。
【0030】
反応温度は原料の種類等に応じて適宜選択でき、例えば、20〜250℃、好ましくは50〜150℃程度である。反応時間は、原料の種類や反応温度等に応じて適宜選択できるが、例えば、0.5〜20時間、好ましくは5〜15時間程度である。反応は、回分式、半回分式、連続式等の慣用の方式で行うことができる。反応は通常大気圧下で行うが、加圧下で行ってもよい。反応は、空気雰囲気下で行ってもよく、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下でおこなってもよい。慣用のパラジウム触媒は通常、空気中では失活するか又は活性が低下するが、本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒は空気中で反応を行った場合も高い活性を維持する。
【0031】
反応終了後、反応生成物は、例えば、ろ過、濃縮、蒸留、析出、析晶、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0033】
アリル位置換反応生成物の同定は、NMR及びMSの測定により行った。化学式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Acはアセチル基、Phはフェニル基を示す。
【0034】
(実施例1)
[モンモリロナイト固定化サブナノクラスターパラジウム触媒の調製]
1.5gのナトリウム型モンモリロナイト[クニミネ工業(株)製:商品名「クニピアF」;(Na0.66(OH)4Si7.7(Al3.34Mg0.66Fe0.19)O20)]を水酸化カルシウム水溶液(水:500mL、Ca(OH)2:9.0mM)に添加し、70℃で15時間撹拌した。固体を濾過により分離し、脱イオン水で洗浄後、減圧下室温で乾燥し、カルシウム型モンモリロナイトを得た。得られたカルシウム型モンモリロナイト1.5gをビスジベンジリデンアセトンパラジウムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)溶液(DMA:200ml、Pd(dba)2:0.2mM)により空気中、室温にて20時間処理した。得られたスラリーをろ過し、アセトンで洗浄後減圧下室温で乾燥し、2価パラジウム型モンモリロナイトの淡黄色粉末を得た。得られた2価パラジウム型モンモリロナイト1.5gを蒸留水1000mL中に室温にて添加した。水素化ホウ素カリウム及び水酸化ナトリウムの水溶液(水:15mL、KBH4:0.225mmol、NaOH:0.03mmol)を上記不均一混合物にゆっくりと添加し、得られた混合物を空気中、室温にて1時間撹拌した。得られたスラリーをろ過により回収し、蒸留水で洗浄後減圧下乾燥し、淡灰色粉末状のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒〈パラジウム含有量:0.0035mmol/g)を得た。
【0035】
(実施例2)
[アリル位置換反応]
還流冷却器を備えた反応器に、触媒として実施例1で調製したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒(0.18g、Pd:0.63μmol)、溶媒としてエタノール2ml、基質としてアリルメチルカーボネート(1a)0.3mmol、求核剤としてアセト酢酸エチル(2a)3.6mmolを入れ、アルゴン雰囲気下、80℃にて9時間激しく撹拌し反応させた。その結果、対応するアリル位置換反応生成物(3a)を得た。内部標準法によるGC収率は93%であった。
【化5】

【0036】
(実施例3)
[モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒の再利用]
実施例2の反応終了後の反応液中より、使用したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒をアルゴン雰囲気下ろ過により回収し、少量のエタノールで洗浄した。回収したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒を再利用して上記[アリル位置換反応]と同様の操作を行い、アリル位置換反応生成物(3a)を収率99%で得た。さらに同様の操作を行ない、再利用2回目及び再利用3回目のモンモリロナイト層間サブナノオーダーパラジウム触媒を使用したときのアリル位置換反応生成物(3a)の内部標準法によるGC収率は、それぞれ、99%及び98%であった。
3回再利用後のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒のTEM(透過型電子顕微鏡)像には、パラジウムの凝集体は確認されなかった。TEMの検出限界は1nmである。
【0037】
(実施例4)
反応を空気雰囲気下で行った以外は実施例2と同様の操作を行ない、化合物(3a)を収率93%で得た。
【0038】
(実施例5)
実施例2においてさらに、トリフェニルホスフィン1.26μmolを加えた以外は実施例2と同様の操作を行い、アリル位置換反応生成物(3a)を得た。収率は50%であった。
多くの慣用のパラジウム触媒系においては、ホスフィン類を配位子として添加することによりアルキル化が促進されるが、本発明のパラジウム型モンモリロナイト触媒では、トリフェニルホスフィンを添加することにより触媒活性は抑制される。
【0039】
(比較例1)
実施例1で、水素化ホウ素カリウム水溶液処理を行わない以外は実施例1と同様の操作を行いパラジウム(II)型モンモリロナイトを調整した。
触媒としてモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒に換えて、上記パラジウム(II)型モンモリロナイトを使用した以外は実施例2と同様の操作を行った。アリル位置換反応は進行しなかった。
【0040】
(比較例2)
触媒としてモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒に換えてPd/Al23(エヌ・イー ケムキャット製)を使用し、溶媒としてエタノール2mlに換えて水1mlを使用した以外は実施例2と同様の操作を行った。アリル位置換反応生成物(3a)を内部標準法によるGC収率14%で得た。
【0041】
(比較例3)
触媒としてモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒に換えてPd/SiO2(エヌ・イー ケムキャット製)を使用し、溶媒としてエタノール2mlに換えて水1mlを使用した以外は実施例2と同様の操作を行った。痕跡量のアリル位置換反応生成物(3a)を得た。
【0042】
(比較例4)
触媒としてモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒に換えてPd/Carbon(エヌ・イー ケムキャット製)を使用し、溶媒としてエタノール2mlに換えて水1mlを使用した以外は実施例2と同様の操作を行った。アリル位置換反応は進行しなかった。
【0043】
(比較例5)
触媒としてモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒に換えてPd/TiO2(エヌ・イー ケムキャット製)を使用し、溶媒としてエタノール2mlに換えて水1mlを使用した以外は実施例2と同様の操作を行った。アリル位置換反応は進行しなかった。
【0044】
(実施例6)
溶媒として、エタノールに換えてDMF(ジメチルホルムアミド)を使用した以外は実施例2と同様の操作を行い、化合物(3a)を得た。内部標準法によるGC収率は58%であった。
【0045】
(実施例7)
溶媒として、エタノールに換えてTHF(テトラヒドロフラン)を使用した以外は実施例2と同様の操作を行い、化合物(3a)を得た。内部標準法によるGC収率は52%であった。
【0046】
(実施例8)
溶媒として、エタノールに換えてヘプタンを使用した以外は実施例2と同様の操作を行い、化合物(3a)を得た。内部標準法によるGC収率は29%であった。
【0047】
(実施例9)
溶媒として、エタノールに換えてトルエンを使用した以外は実施例2と同様の操作を行い、化合物(3a)を得た。内部標準法によるGC収率は15%であった。
【0048】
水やエタノールを溶媒として使用した場合は、高い収率で置換生成物が得られる。このような溶媒にモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒を浸漬すると、モンモリロナイト層間の空間が広げられ、基質がモンモリロナイト層間のパラジウムクラスターに容易に接近できるようになるためと考えられる。モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒のモンモリロナイト層間の距離は、水に浸漬することにより、5.3Åから9.6Åへ拡がる。
【0049】
(実施例10)
還流冷却器を備えた反応器に、触媒として実施例1で調製したパラジウム型モンモリロナイト(0.18g、Pd:0.63μmol)、溶媒として水1ml、基質としてアリルメチルカーボネート(1a)0.3mmol、求核剤として2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(2b)3.6mmolを入れ、アルゴン雰囲気下、80℃にて11時間激しく撹拌し反応させた。その結果、対応するアリル位置換反応生成物(3b)を得た。内部標準法によるGC収率は73%であった。
【化6】

【0050】
(実施例11)
求核剤として2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(2b)に換えてベンゾイルアセトン(2c)を使用し、反応時間を25時間とした以外は実施例10と同様の操作を行い、相当するアリル位置換反応生成物(3c)を得た。内部標準法によるGC収率は84%であった。
【化7】

【0051】
(実施例12)
求核剤として2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(2b)に換えてアセチルアセトン(2d)を使用し、反応時間を15時間とした以外は実施例10と同様の操作を行い、相当するアリル位置換反応生成物(3d)を得た。内部標準法によるGC収率は48%であった。
【化8】

【0052】
(実施例13)
求核剤として2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(2b)に換えて2−アセチルヘキサン−1−オン(2e)を使用し、反応時間を15時間とした以外は実施例10と同様の操作を行い、相当するアリル位置換反応生成物(3e)を得た。内部標準法によるGC収率は70%であった。
【化9】

【0053】
(実施例14)
求核剤として、アセト酢酸エチル(2a)に換えて、2−メチル−1−エトキシブタン−1,3−ジオン(2f)を使用し、反応時間を24時間とした以外は実施例2と同様の操作を行い、相当するアリル位置換反応生成物(3f)を得た。内部標準法によるGC収率は80%であった。
【化10】

【0054】
(実施例15)
求核剤としてアセト酢酸エチル(2a)に換えて5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(2g)を使用し、反応時間を21時間とした以外は実施例2と同様の操作を行い、相当するアリル位置換反応生成物(3g)を得た。内部標準法によるGC収率は90%であった。
【化11】

【0055】
(実施例16)
還流冷却器を備えた反応器に、触媒として実施例1で調製したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒(0.18g、Pd:0.63μmol)、溶媒としてエタノール2ml、基質としてアリルアセテート(1b)0.3mmol、求核剤としてアセト酢酸エチル(2a)3.6mmolを入れ、アルゴン雰囲気下、80℃にて20時間激しく撹拌し反応させた。その結果、対応するアリル位置換反応生成物(3a)を得た。内部標準法によるGC収率は88%であった。
【化12】

【0056】
(実施例17)
求核剤としてアセト酢酸エチル(2a)に換えてエチルベンゾイルアセテート(2h)を使用し、反応時間を24時間とした以外は実施例16と同様の操作を行い相当するアリル位置換反応生成物(3h)を得た。内部標準法によるGC収率は71%であった。
【化13】

【0057】
(実施例18)
求核剤としてアセト酢酸エチル(2a)に換えて5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(2g)を使用し、反応時間を18時間とした以外は、実施例16と同様の操作を行い、相当するアリル位置換反応生成物(3g)を得た。内部標準法によるGC収率は70%であった。
【化14】

【0058】
(実施例19)
基質として、アリルアセテート(1b)に換えて、3−フェニル−2−プロペニルアセテート(1c)0.3mmolを使用し、反応時間を20時間とした以外は実施例16と同様の操作を行い、対応するアリル位置換反応生成物(3i)を得た。内部標準法によるGC収率は71%であった。
【化15】

【0059】
(実施例20)
還流冷却器を備えた反応器に、触媒として実施例1で調製したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒(0.18g、Pd:0.63μmol)、溶媒としてエタノール2ml、基質としてアリルカーボネート(1a)0.3mmol、求核剤としてp−ニトロフェノール(2i)3.6mmolを入れ、アルゴン雰囲気下、80℃にて20時間激しく撹拌し反応させた。その結果、対応するアリル位置換反応生成物(3j)を得た。内部標準法によるGC収率は85%であった。
【化16】

【0060】
(比較例6)
触媒としてモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒に換えてテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを使用し、反応時間を48時間とした以外は実施例20と同様の操作を行った。対応するアリル位置換反応生成物は痕跡量しか得られなかった。
【0061】
(実施例21)
還流冷却器を備えた反応器に、触媒として実施例1で調製したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒(0.18g、Pd:0.63μmol)、溶媒としてエタノール2ml、基質としてシス−3−アセトキシ−5−カルボメトキシシクロヘキサン−1−エン(1d)0.3mmol、求核剤としてアセト酢酸エチル(2a)3.6mmolを入れ、アルゴン雰囲気下、80℃にて9時間激しく撹拌し反応させた。その結果、対応するアリル位置換反応生成物(3k)を得た。得られた化合物(3k)は、シス体:トランス体=96:4の混合物であった。
【化17】

【0062】
(比較例7)
触媒としてモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒に換えて、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを使用した以外は実施例21と同様の操作を行い、アリル位置換反応生成物(3k)を得た。化合物(3k)は、シス体:トランス体=75:25の混合物であった。
【0063】
立体選択は、アセト酢酸エチルの求核攻撃に際して、エンド攻撃から強く遮蔽されているサブナノパラジウムクラスター上のp−アリル中間体表面でおこっていると考えられる。
【0064】
〈試験評価〉
実施例2において、アリルメチルカーボネート(1a)と、アセト酢酸エチル(2a)との反応が、モンモリロナイト層間に固定化されたパラジウムナノクラスター上で起こっていることを確認するために、アリルメチルカーボネートの転化率が40%となった時点で、モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒を80℃の温度を保ちながらろ過により除去した。得られたろ液を、触媒除去前と同じ条件で処理したが、アリル位置換反応は進行しなかった。ICP分析によりろ液中のパラジウム含有量は検出限界以下であることを確認した。以上より、アリル位置換反応がモンモリロナイト層間のパラジウムクラスター上で進行していることは明らかである。
【0065】
[X線吸収微細構造(XAFS)測定]
本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒の原子レベルの構造を解析するために、K−edge EXAFS測定を行った。測定は、蛍光収量法により、室温において、Si(311)モノクロメーターを有するビームライン01B1により測定し、検出は19素子半導体検出器により行った。EXAFSデータのフーリエ変換により動径構造関数を得て、逆フーリエ変換のカーブフィッティングにより、後方散乱の経験値と、PdO、パラジウム箔及び[PdCl(C35)]2の位相ずれからCN(散乱原子の配位数)、R(吸収原子と散乱原子との距離)、Debye−Waller因子を概算した。なお、(d)及び(e)の測定に使用した試料は、実施例2と同様の条件下で処理を行うことにより調製した。
【0066】
図1に、EXAFSのフーリエ変換図を示す。図1中、(a)は水素化ホウ素カリウム処理前のパラジウム(II)型モンモリロナイト、(b)は実施例1で製造した本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒、(c)は実施例3において3回再利用した後のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒、(d)はアリルメチルカーボネート(1a)で処理したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒、(e)はアセト酢酸エチル(2a)で処理したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒、(f)は対照化合物としての[PdCl(C35)]2の測定結果をそれぞれ示す。モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒において、パラジウム種はおおよそ10のパラジウム原子よりなるサブナノオーダーのクラスターとして存在し、3回再利用後も凝集することなく、サブナノオーダーの粒子径を保持する。(a)及び(b)において、1〜2Å辺りに見られるピークは、配位数が4.5である4つのPd−O結合(2.02Å)を有する化合物の測定結果と一致している。(b)において2.50Å辺りのピークはPd−Pd結合に相当するものであるが、このピークは、水素化ホウ素カリウム処理前のパラジウム(II)型モンモリロナイト(a)では見られない。なお、2.50Å周辺のPd−C結合に帰属されるピークは、パラジウム箔の測定で得られる値を参照した。(d)では、Pd−Pd結合に相当するピークが減少し、2.0Å周辺のPd−C結合に相当するピークが現れている。Pd−C原子間距離は、(f)に示す[PdCl(C35)]2を参照した。(d)の測定において使用したサンプルをさらにアセト酢酸エチル(2a)で処理した(e)は、Pd−C結合に帰属されるピークが消失し、3回再利用後のスペクトルに類似している。これらの結果は、アルキル化反応がサブナノオーダーパラジウムクラスターにおける配位不飽和パラジウム原子上で起こっていることを強く示唆している。
水素化ホウ素カリウム処理前のパラジウム(II)型モンモリロナイトでは、パラジウム箔では2.50Å辺りに観測されるPd−Pd結合に相当するピークは観測されない。このことより、1〜2Å辺りのピークは、4つの酸素原子に囲まれたII価パラジウム単量体成分が、モンモリロナイト層間において高度に分散した形態で生成していることによると推測される。
図1Aの(b)で、2.5Å辺りに見られるピークは、およそ6個のパラジウム原子よりなる直径0.57ナノメートルのパラジウムクラスターに相当する平均配位数3.77のパラジウムクラスターが形成されたことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒及びパラジウム(II)型モンモリロナイトのκ3-weighted EXAFSフーリエ変換図である。
【符号の説明】
【0068】
(a) パラジウム(II)型モンモリロナイトのκ3-weighted EXAFSフーリエ変換を示す。
(b) 実施例1で製造した本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウムのκ3-weighted EXAFSフーリエ変換を示す。
(c) 実施例3において3回再利用後の本発明のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒のκ3-weighted EXAFSフーリエ変換を示す。
(d) アリルメチルカーボネートで処理したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒のκ3-weighted EXAFSフーリエ変換を示す。
(e) アリルメチルカーボネートで処理した後、アセト酢酸エチルで処理したモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒のκ3-weighted EXAFSフーリエ変換を示す。
(f) [PdCl(C35)]2のκ3-weighted EXAFSフーリエ変換を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モンモリロナイト結晶層間に、サブナノオーダーパラジウムクラスターを固定してなるモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒。
【請求項2】
アルカリ土類金属型モンモリロナイトを2価パラジウム化合物で処理しパラジウム(II)型モンモリロナイトを得る工程、及び得られたパラジウム(II)型モンモリロナイトを還元剤で処理する工程を含む請求項1記載のモンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−142645(P2008−142645A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333785(P2006−333785)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】